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1. (WO2019008898) 樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜形成用複合シート
Document

明 細 書

発明の名称 樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜形成用複合シート

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286   0287   0288   0289   0290   0291   0292   0293   0294   0295   0296   0297   0298   0299   0300   0301   0302   0303   0304   0305   0306   0307   0308   0309   0310   0311   0312   0313   0314   0315   0316   0317   0318   0319   0320   0321   0322   0323   0324   0325   0326   0327   0328   0329   0330   0331   0332   0333   0334   0335   0336   0337   0338   0339   0340   0341   0342   0343   0344   0345   0346   0347   0348   0349   0350   0351   0352   0353   0354   0355   0356   0357   0358   0359   0360   0361   0362   0363   0364   0365   0366   0367   0368   0369   0370   0371   0372   0373   0374   0375   0376   0377   0378   0379   0380   0381   0382   0383   0384   0385   0386   0387   0388   0389   0390   0391   0392   0393  

実施例

0394   0395   0396   0397   0398   0399   0400   0401   0402   0403   0404   0405   0406   0407   0408   0409   0410   0411   0412   0413   0414   0415   0416  

産業上の利用可能性

0417  

符号の説明

0418  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜形成用複合シート

技術分野

[0001]
 本発明は、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜形成用複合シートに関する。
 本願は、2017年7月6日に、日本に出願された特願2017-132980号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 半導体装置の製造過程においては、半導体チップの回路面とは反対側の面(裏面)に、有機材料を含有する樹脂膜を備えたもの(樹脂膜付き半導体チップ)や、この樹脂膜を形成するための樹脂膜形成用フィルムを備えたもの(樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ)が取り扱われる。前記樹脂膜としては、例えば、前記樹脂膜形成用フィルムの硬化物等が挙げられる。この場合、半導体ウエハの回路面とは反対側の面(裏面)に樹脂膜形成用フィルムを貼付した後、半導体ウエハの半導体チップへの個片化と、樹脂膜形成用フィルムの硬化と、を行うことで、樹脂膜付き半導体チップを作製する。
 これに対して、樹脂膜形成用フィルムの使用対象となる半導体チップとしては、回路面に電極であるバンプを備えたものと、備えていないものが挙げられる。
[0003]
 回路面にバンプを備えていない半導体チップは、最も汎用されているものであり、その裏面には、通常、前記樹脂膜形成用フィルムとして、半導体チップを基板の回路形成面にダイボンディングするために用いるフィルム状接着剤を備える。すなわち、この場合の樹脂膜形成用フィルムは、フィルム状接着剤である。
 一方、回路面にバンプを備えた半導体チップは、バンプによって、基板の回路形成面にフリップチップ接続される。しかし、この場合の半導体チップは、そのままでは、その裏面が剥き出しとなるため、この裏面には、通常、前記樹脂膜として保護膜を備える。すなわち、この場合の樹脂膜は保護膜であり、樹脂膜形成用フィルムは保護膜形成用フィルムである。
[0004]
 樹脂膜付き半導体チップ及び樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップは、例えば、支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルムを備えてなる、樹脂膜形成用複合シートを用いて、製造される。より具体的には、以下のとおりである。すなわち、まず、樹脂膜形成用複合シートを、このシート中の樹脂膜形成用フィルムによって、半導体ウエハの裏面に貼付する。次いで、必要に応じて、樹脂膜形成用フィルムを硬化させてから、半導体ウエハを、樹脂膜形成用フィルム又はその硬化物ごとダイシングして、半導体チップへと個片化する。次いで、半導体チップを、その裏面に切断後の樹脂膜形成用フィルム又は前記硬化物を備えた状態で、支持シートから引き離してピックアップする。以上により、樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップが得られる。ダイシングにはいくつかの方法があるが、最も汎用されているのは、ダイシングブレードを用いる方法(ブレードダイシング)である。ブレードダイシングを行うときには、前記支持シートはダイシングシートとして機能する。
[0005]
 樹脂膜形成用複合シートとしては、これまでに種々のものが開示されている。例えば、有機樹脂成分に対して特定範囲量の無機充填材を含有し、熱硬化前の溶融粘度が特定範囲内にあり、被着体との密着性に優れる熱硬化性樹脂膜形成用フィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)と、このフィルムを備えた樹脂膜形成用複合シート(ダイシング・ダイボンドフィルム)が開示されている(特許文献1及び2参照)。
[0006]
 一方で従来は、ブレードダイシングを行った後、樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートから引き離してピックアップするときに、半導体チップとともにピックアップされるべき樹脂膜形成用フィルム若しくは樹脂膜の、一部又は全部が、支持シート上に残存してしまうという問題点、すなわち、樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップが正常に得られず、ピックアップ不良が生じ易い、という問題点があった。このような問題点は、半導体チップの1辺の長さが4mm以下等である、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップの場合に顕著であった。
[0007]
 これに対して、特許文献1及び2で開示されている熱硬化性樹脂膜形成用フィルムと、このフィルムを備えた樹脂膜形成用複合シートは、このような問題点を解決できるものであるか、定かではない。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 日本国特許第4732472号公報
特許文献2 : 日本国特許第5390209号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 本発明は、支持シートとともに樹脂膜形成用複合シートを構成し、かつ半導体チップの裏面に樹脂膜を形成するための樹脂膜形成用フィルムであって、前記樹脂膜形成用フィルムを用いて、ブレードダイシング後に得られた、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを、支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制できる、樹脂膜形成用フィルムと、このフィルムを備えた樹脂膜形成用複合シートを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明は、樹脂膜形成用フィルムであって、複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる、大きさが50mm×50mm、厚さが200μmの第1積層体を作製し、前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、前記第1積層体をエネルギー線硬化させた第1硬化物を第1試験片とし、前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、前記第1積層体を第1試験片として、前記第1試験片を純水中に2時間浸漬したとき、前記第1試験片の吸水率が0.55%以下であり、かつ、前記樹脂膜形成用フィルムがシリコンミラーウエハに貼付されてなる第2積層体を作製し、前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、前記第2積層体中の前記樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて第2硬化物とした後の硬化済み第2積層体を第2試験片とし、前記第2試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させたときの、前記第2硬化物と前記シリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力を測定し、経時後の前記第2試験片を純水中に2時間浸漬したときの、前記第2硬化物と前記シリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力を測定したとき、前記経時後粘着力及び浸漬後粘着力から算出される前記第2試験片の粘着力変化率が、60%以下であるか、又は、前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、前記第2積層体を第2試験片とし、前記第2試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させたときの、前記樹脂膜形成用フィルムと前記シリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力を測定し、経時後の前記第2試験片を純水中に2時間浸漬したときの、前記樹脂膜形成用フィルムと前記シリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力を測定したとき、前記経時後粘着力及び浸漬後粘着力から算出される前記第2試験片の粘着力変化率が、60%以下である、樹脂膜形成用フィルムを提供する。
[0011]
 複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる、大きさが15mm×150mm、厚さが200μmの第3積層体を作製し、前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、前記第3積層体をエネルギー線硬化させた第3硬化物を第3試験片とし、前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、前記第3積層体を第3試験片として、前記第3試験片を純水中に2時間浸漬したとき、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、浸漬後の前記第3試験片のヤング率は、15MPa以上であってもよい。
 本発明の樹脂膜形成用フィルムは、充填材を含有し、前記樹脂膜形成用フィルムにおいて、前記樹脂膜形成用フィルムの総質量に対する、前記充填材の含有量の割合が、25~75質量%であってもよい。
 本発明は、支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルムを備えてなり、前記樹脂膜形成用フィルムが、上述の本発明の樹脂膜形成用フィルムである、樹脂膜形成用複合シートを提供する。

発明の効果

[0012]
 本発明の樹脂膜形成用フィルムは、支持シートとともに樹脂膜形成用複合シートを構成し、かつ半導体チップの裏面に樹脂膜を形成することが可能である。前記樹脂膜形成用フィルムを用いることにより、ブレードダイシングを行い、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを得て、これらを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制できる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明の樹脂膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。
[図2] 本発明の樹脂膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。
[図3] 本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
[図4] 本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
[図5] 本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0014]
◇樹脂膜形成用フィルム
 本発明の樹脂膜形成用フィルムは、前記フィルムから作製した下記第1試験片の吸水率が0.55%以下となり、かつ、前記フィルムから作製した下記第2試験片の粘着力変化率が60%以下となるものである。
 前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合、第1試験片は、複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムが積層されてなり、大きさが50mm×50mm、厚さが200μmの第1積層体である。前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第1試験片は、前記第1積層体をエネルギー線硬化させた第1硬化物である。
 前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合、第2試験片は、前記樹脂膜形成用フィルムがシリコンミラーウエハに貼付されてなる第2積層体であり、前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第2試験片は、前記第2積層体中の前記樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて第2硬化物とした後の硬化済み第2積層体である。
 第1試験片の吸水率(%)は、式「(W -W )/W ×100」により算出する。ここで、W は純水中へ浸漬する前の第1試験片の質量であり、W はW を測定した第1試験片を純水中に2時間浸漬した後の第1試験片の質量である。
 樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合、第2試験片の粘着力変化率(%)は、式「(|P B2-P A2|)/P A2×100」により算出する。ここで、P A2は、第2試験片を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させたときの、第2試験片中の樹脂膜形成用フィルムとシリコンミラーウエハとの間の粘着力(経時後粘着力)である。また、P B2は、この経時後の第2試験片を、純水中に2時間浸漬したときの、この浸漬後の第2試験片中の樹脂膜形成用フィルムとシリコンミラーウエハとの間の粘着力(浸漬後粘着力)である。
 一方、樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第2試験片の粘着力変化率(%)は、式「(|P B1-P A1|)/P A1×100」により算出する。ここで、P A1は、第2試験片を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させたときの、第2試験片中の第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(経時後粘着力)である。また、P B1は、この経時後の第2試験片を、純水中に2時間浸漬したときの、この浸漬後の第2試験片中の第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(浸漬後粘着力)である。
 上述の吸水率及び粘着力変化率については、後ほど、より詳しく説明する。
[0015]
 本発明の樹脂膜形成用フィルムは、半導体チップの回路面とは反対側の面(本明細書においては、「裏面」と称することがある)に、樹脂膜を形成するために用いることができる。また、本発明の樹脂膜形成用フィルムは、後述するように、硬化性及び非硬化性のいずれであってもよい。本明細書においては、特に断りのない限り、前記樹脂膜形成用フィルムが硬化性である場合には、前記樹脂膜形成用フィルムの硬化物を樹脂膜とみなし、前記樹脂膜形成用フィルムが非硬化性である場合には、前記樹脂膜形成用フィルムが目的とする箇所に貼付された段階で、樹脂膜を形成したとみなす。
[0016]
 半導体チップが回路面にバンプを備えていない場合であれば、前記樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜としては、半導体チップを基板の回路形成面にダイボンディングするために用いるフィルム状接着剤が挙げられる。
 一方、半導体チップが回路面にバンプを備えている場合であれば、このような半導体チップは、バンプによって基板の回路形成面にフリップチップ接続されるのであり、半導体チップの裏面は、そのままでは剥き出しとなる。このような半導体チップに対して用いる場合の前記樹脂膜形成用フィルムとしては保護膜形成用フィルムが挙げられ、前記樹脂膜としては、前記裏面を保護するための保護膜が挙げられる。
 すなわち、本発明の樹脂膜形成用フィルムは、前記フィルム状接着剤又は保護膜の形成用として、用いることができる。
[0017]
 本発明の樹脂膜形成用フィルムは、半導体ウエハの回路面とは反対側の面(本明細書においては、半導体チップの場合と同様に「裏面」と称することがある)に貼付するときに、支持シートとともに樹脂膜形成用複合シートを構成した状態で用いることができる。
 本発明の樹脂膜形成用フィルムは、上述のとおり、前記吸水率及び粘着力変化率の条件をともに満たしている。このような樹脂膜形成用フィルムを用いることにより、ブレードダイシング後に、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを、支持シートからピックアップするときにおいて、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制できる。本発明の樹脂膜形成用フィルムが、このような優れたピックアップ適性を示す理由は定かではないが、以下のように推測される。
[0018]
 樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜(樹脂膜形成用フィルムの硬化物)は、ピックアップ時においては、半導体チップと接触している側とは反対側の面から、支持シートを介して、突起状等の形状を有する突き上げ手段によって力を加えられる。このとき、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜のうち、力を加えられている箇所とその近傍は、半導体チップに押し付けられる力が強いため、半導体チップから剥がれ難い。これに対して、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜のうち、力を加えられている箇所から離れた箇所は、半導体チップに押し付けられる力が弱いため、力を加えられている箇所とその近傍よりも、半導体チップから剥がれ易い。例えば、樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の前記反対側の面の中央付近に力が加えられている場合、樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜のうち、中央付近とその近傍は、半導体チップから剥がれ難いが、中央付近から離れた周縁部とその近傍は、中央付近とその近傍よりも半導体チップから剥がれ易い。なお、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜のうち、力を加えられている箇所とその近傍は、上記のように、相対的に半導体チップから剥がれ難いが、条件によっては、剥がれてしまうこともある。
[0019]
 一方、ブレードダイシングを行う場合には、半導体ウエハと、樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜と、のうち、ダイシングブレードとの接触箇所における温度上昇を抑制するために、これら接触箇所に冷却水(「切削水」ともいう)をかけながらダイシングを行う。しかし、サイズが小さい半導体チップを得る場合には、ダイシング箇所が多いことに伴って、ダイシング時間が長くなってしまい、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜の、冷却水に晒される時間が長くなってしまう。この場合、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜は、吸水によって、吸水前よりも柔らかくなり、ピックアップ時に加えられる力によってちぎれることがある。ちぎれた場合、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜は、そのちぎれた箇所を境にして、少なくとも力を加えられている箇所から離れた箇所は、上述のように半導体チップから剥がれ易いこともあり、支持シート上に残存してしまうと推測される。また、樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の半導体チップから剥がれてしまった箇所においては、ダイシング時に用いた冷却水(切削水)が、樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜と、半導体チップと、の間に侵入してしまう。そのため、以降、このような箇所では、樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜は半導体チップと密着することはなく、一方で、樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜は支持シートに密着した状態が維持され易い。このような作用が、ちぎれた後の樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜を、支持シート上へ残存させ易くしていると推測される。
 このような問題点は、樹脂膜形成用フィルムで顕著であるが、樹脂膜であっても、完全に硬化していないものなど、硬化度の低いものでも顕著である。例えば、後述するような、エネルギー線硬化性及び熱硬化性をともに有する樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線照射による硬化物(エネルギー線硬化物)では、上述の問題点が認められる。
[0020]
 これに対して、本発明の樹脂膜形成用フィルムを用いた場合に、前記吸水率及び粘着力変化率がともに特定範囲内であることにより、上述のような問題点を解決でき、優れたピックアップ適性が得られると推測される。
[0021]
 上述の「日本国特許第4732472号明細書」(特許文献1)及び「日本国特許第5390209号明細書」(特許文献2)には、熱硬化後に特定範囲の吸湿率を示す熱硬化性樹脂膜形成用フィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)が開示されているが、熱硬化前の吸湿率については開示されていない。これは、これら熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが、リフロー工程において、半導体パッケージにクラックが発生するのを防止することを目的としているためである。すなわち、これら特許文献で開示されている発明の課題は、本発明の課題とは異なっている。さらに、これら特許文献で開示されている熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの吸湿率は、本発明の樹脂膜形成用フィルムにおける前記吸水率とは、一切無関係であって、本発明における前記吸水率を何ら想起させるものではない。
[0022]
 なお、本明細書においては、「樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ」とは、「半導体チップの裏面に樹脂膜形成用フィルムを備えたもの」を意味し、「樹脂膜付き半導体チップ」とは、「半導体チップの裏面に樹脂膜を備えたもの」を意味する。樹脂膜付き半導体チップ中の樹脂膜は、樹脂膜形成用フィルムが完全に硬化した硬化物であってもよいし、完全には硬化していない硬化物(換言すると、硬化度がさらに高くなる硬化物)であってもよい。
[0023]
 本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
 また、本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
[0024]
 本発明の樹脂膜形成用フィルムは、硬化性であってもよいし、非硬化性であってもよい。
 硬化性の樹脂膜形成用フィルムは、熱硬化性及びエネルギー線硬化性のいずれであってもよく、熱硬化性及びエネルギー線硬化性の両方の特性を有していてもよい。
 前記樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。
 なお、本明細書において、「非硬化性」とは、加熱やエネルギー線の照射等、如何なる手段によっても、硬化しない性質を意味する。
[0025]
 本発明の樹脂膜形成用フィルムは、硬化性の有無によらず、また、硬化性を有する場合には、熱硬化性及びエネルギー線硬化性のいずれであるかによらず、後述する充填材(D)等の充填材を含有するものが好ましい。充填材を用いることにより、前記吸水率及び粘着力変化率の条件をともに満たす樹脂膜形成用フィルムを、より容易に製造できる。
[0026]
 本発明の樹脂膜形成用フィルムが充填材を含有する場合、前記樹脂膜形成用フィルムにおいて、前記樹脂膜形成用フィルムの総質量に対する、充填材の含有量の割合(換言すると、前記樹脂膜形成用組成物における、溶媒以外の成分の総含有量に対する、充填材の含有量の割合)が、25~75質量%であることが好ましく、28~72質量%であることがより好ましい。充填材が他の成分よりも顕著に吸水し難いため、充填材の含有量の割合が前記下限値以上であることで、前記吸水率を0.55%以下とすることがより容易となる。そして、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。また、充填材の含有量の割合が前記上限値以下であることで、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜の強度が、より向上する。充填材については、後ほど詳しく説明する。
[0027]
<<第1試験片の吸水率>>
 前記樹脂膜形成用フィルムは、第1試験片を純水中に2時間浸漬したとき、前記第1試験片の吸水率が0.55%以下となる。なお、本明細書において、吸水率の単位「%」は、すべて「質量%」を意味する。以下に、第1試験片の吸水率について、詳しく説明する。
[0028]
 樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合、第1試験片とは、複数枚の樹脂膜形成用フィルムが、これらの厚さ方向において積層されてなる、大きさが50mm×50mm、厚さが200μmの第1積層体である。
 樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第1試験片とは、前記第1積層体にエネルギー線を照射して、第1積層体をエネルギー線硬化させた第1硬化物である。
 樹脂膜形成用フィルムが熱硬化性である場合、この樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであるかによらず、前記第1積層体及び第1硬化物は、いずれも熱硬化していないことが好ましい。
[0029]
 前記第1積層体の作製に用いる複数枚の樹脂膜形成用フィルムは、すべて組成が同じものである。
 複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムの厚さは、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ同じであってもよいが、すべて同じであることが好ましい。
[0030]
 第1積層体は、例えば、50mm×50mmより大きい任意の大きさの複数枚の樹脂膜形成用フィルムを、合計の厚さが200μmとなるように積層して貼り合わせ、50mm×50mmの大きさに打ち抜く(切断する)ことで、作製できる。また、第1積層体は、例えば、大きさが50mm×50mmの複数枚の樹脂膜形成用フィルムを、合計の厚さが200μmとなるように、すべて周縁部の位置を一致させて、積層して貼り合わせることでも作製できる。
[0031]
 樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、作製した第1積層体をそのまま第1試験片として用いる。
 脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、作製した第1積層体に、さらにエネルギー線を照射して、第1積層体中のすべての樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて、得られた第1硬化物を第1試験片として用いる。
[0032]
 前記第1硬化物を作製するときの、第1積層体(脂膜形成用フィルム)へのエネルギー線の照射条件は、第1積層体が十分にエネルギー線硬化する限り、特に限定されない。
 通常、第1積層体の硬化時における、エネルギー線の照度は、120~280mW/cm であることが好ましく、エネルギー線の光量は、100~1000mJ/cm であることが好ましい。
[0033]
 第1試験片の吸水率を求めるためには、まず、純水中へ浸漬する前の第1試験片の質量W を測定する。このとき、作製後の第1試験片が吸湿等による明確な質量変化を示していない状態で、第1試験片の質量W を測定することが好ましい。このようにすることで、後述する吸水率をより高精度に求められる。
[0034]
 質量W を測定した第1試験片は、純水中に2時間浸漬する。このとき、第1試験片が純水中から突出して露出することがないように(換言すると、第1試験片全体が純水に完全に浸るように)、十分な量の純水中に第1試験片を沈める。
[0035]
 第1試験片を浸漬中の純水の温度は、18~28℃であることが好ましい。このようにすることで、後述する吸水率をより高精度に求められる。
[0036]
 純水中に2時間浸漬した後は、第1試験片を速やかに純水中から取り出し、必要に応じて、例えば、第1試験片の表面に付着している余分の水滴を水切り(除去)して、この浸漬後の第1試験片の質量W を測定する。
 そして、これらW 及びW の値を用いて、式「(W -W )/W ×100」により、第1試験片の吸水率(%)を算出する。
[0037]
 本発明において、第1試験片の吸水率は0.55%以下であり、0.53%以下であることが好ましく、例えば、0.4%以下等であってもよい。第1試験片の吸水率が前記上限値以下であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
[0038]
 本発明において、第1試験片の吸水率の下限値は、特に限定されず、例えば、0%であってもよい。第1試験片の吸水率が低いほど、第1試験片(換言すると樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜)は、水に晒される時間が長くても、物性が変化し難いといえる。樹脂膜形成用フィルムの製造がより容易となる点では、第1試験片の吸水率は、0.01%以上であることが好ましく、0.05%以上であることがより好ましい。
[0039]
 本発明においては、第1試験片の吸水率は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて決定される数値範囲となるように、適宜調節できる。例えば、第1試験片の吸水率は、0~0.55%であることが好ましく、0~0.53%であることがより好ましく、0~0.4%等であってもよい。ただし、これらは第1試験片の吸水率の一例である。
[0040]
<<第2試験片の粘着力変化率>>
 前記樹脂膜形成用フィルムは、第1試験片の吸水率が上述の条件を満たすとともに、さらに、第2試験片の粘着力変化率が60%以下となるものである。以下に、第2試験片の粘着力変化率について、詳しく説明する。この粘着力変化率は、第2試験片を特定条件下で純水中に浸漬した前後での、粘着力の変化の度合いを示す。
[0041]
 樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合、第2試験片とは、樹脂膜形成用フィルムがシリコンミラーウエハに貼付されてなる第2積層体である。
 樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第2試験片とは、前記第2積層体中の樹脂膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して、樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて第2硬化物とした後の、硬化済み第2積層体(すなわち、第2積層体の硬化物)である。
 樹脂膜形成用フィルムが熱硬化性である場合、この樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであるかによらず、前記第2積層体及び第2硬化物は、いずれも熱硬化していないことが好ましい。
[0042]
 前記第2積層体は、シリコンミラーウエハのミラー面に、樹脂膜形成用フィルムの一方の表面を貼付することで、作製できる。
[0043]
 前記第2積層体の作製に用いるシリコンミラーウエハの大きさは、樹脂膜形成用フィルムの大きさに対して同等以上であればよく、後述する粘着力を精度よく測定できるように、適宜調節できる。
 シリコンミラーウエハの厚さは、350~760μmであることが好ましい。このようにすることで、後述する粘着力をより高精度に測定できる。
[0044]
 前記第2積層体の作製に用いる樹脂膜形成用フィルムの大きさは、特に限定されない。
 ただし、シリコンミラーウエハとの間の粘着力の測定対象である(換言すると、シリコンミラーウエハから剥離させる)樹脂膜形成用フィルムの幅は、25mmであることが好ましい。前記測定対象である樹脂膜形成用フィルムの長さは、粘着力を高精度に測定できる限り特に限定されないが、150~250mmであることが好ましい。前記経時後粘着力(後述する浸漬前粘着力)の測定対象である樹脂膜形成用フィルムの大きさと、前記浸漬後粘着力の測定対象である樹脂膜形成用フィルムの大きさは、同じとする。
[0045]
 前記第2積層体の作製時には、樹脂膜形成用フィルムを、例えば、35~45℃に加熱してシリコンミラーウエハに貼付することが好ましい。このようにすることで、より安定した第2積層体が得られる。
[0046]
 樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、作製した第2積層体をそのまま第2試験片として用いる。
 脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、作製した第2積層体中の樹脂膜形成用フィルムに、このフィルムのシリコンミラーウエハを備えている側とは反対側から、さらにエネルギー線を照射して、第2積層体中の樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて、第2硬化物とした後の硬化済み第2積層体(すなわち、樹脂膜形成用フィルムの硬化物を備えたシリコンミラーウエハ)を、第2試験片として用いる。
[0047]
 前記第2硬化物(前記硬化済み第2積層体)を作製するときの、脂膜形成用フィルムへのエネルギー線の照射条件は、脂膜形成用フィルムが十分にエネルギー線硬化する限り、特に限定されない。
 通常、前記第2硬化物の作製時における、エネルギー線の照度及び光量は、いずれも、上述の第1積層体の硬化時における、エネルギー線の照度及び光量と同じとすることができる。
[0048]
・樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合
 脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、第2試験片の粘着力変化率を求めるためには、まず、第2試験片を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させる。次いで、この経時後の第2試験片において、23℃の環境下で、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力(本明細書においては「浸漬前粘着力」と称することもある)P A1を測定する。このとき、作製後の第2試験片が、明確な特性変化を示していない状態で、経時後粘着力P A1を測定することが好ましい。このようにすることで、後述する粘着力変化率をより高精度に求められる。
[0049]
 一方、浸漬後粘着力を測定するときには、測定対象の経時後の第2試験片を、純水中に2時間浸漬する。このとき、第2試験片が純水中から突出して露出することがないように(換言すると、第2試験片全体が純水に完全に浸るように)、十分な量の純水中に第2試験片を沈める。
[0050]
 第2試験片を浸漬中の純水の温度は、上述の第1試験片を浸漬中の純水の温度と同じとすることができる。このようにすることで、後述する粘着力変化率をより高精度に求められる。
[0051]
 純水中に2時間浸漬した後は、第2試験片を速やかに純水中から取り出し、必要に応じて、例えば、第2試験片の表面に付着している余分の水滴を水切り(除去)して、この浸漬後の第2試験片において、23℃の環境下で、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力P B1を測定する。このとき、浸漬後の第2試験片が、明確な特性変化を示していない状態で、浸漬後粘着力P B1を測定することが好ましい。このようにすることで、後述する粘着力変化率をより高精度に求められる。
[0052]
 そして、これらP A1及びP B1の値を用いて、式「(|P B1-P A1|)/P A1×100」により、第2試験片の粘着力変化率(%)を算出する。
[0053]
 経時後粘着力(浸漬前粘着力)P A1及び浸漬後粘着力P B1は、同じ第2試験片を複数個作製して、これら第2試験片において別々に測定してもよいし、1個の同一の第2試験片において順次測定してもよい。
 1個の同一の第2試験片において、経時後粘着力P A1及び浸漬後粘着力P B1を順次測定する場合には、例えば、1個の同一の第2試験片における、互いに異なる箇所で、経時後粘着力P A1及び浸漬後粘着力P B1を別々に測定すればよい。
[0054]
 本発明において、経時後粘着力P A1及び浸漬後粘着力P B1はいずれも、シリコンミラーウエハから第2硬化物を引き剥がす操作を行ったときに測定される剥離力である。経時後粘着力P A1及び浸漬後粘着力P B1の測定時においては、例えば、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じていてもよいし、第2硬化物中で凝集破壊が生じていてもよい。
[0055]
 経時後粘着力P A1の測定時には、第2試験片において第2硬化物を引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで、純水への浸漬前の段階で第2硬化物を引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を経時後粘着力P A1とすることができる。
 例えば、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じている場合であれば、上述の「2面の剥離面の為す角度」とは、「第2硬化物のシリコンミラーウエハへの貼付面と、シリコンミラーウエハの第2硬化物への貼付面と、の為す角度」である。第2硬化物中で凝集破壊が生じている場合であれば、上述の「2面の剥離面の為す角度」とは、「第2硬化物における凝集破壊面2面の為す角度」である。
[0056]
 このとき、第2硬化物は、強粘着テープを用いて引き剥がしてもよい。すなわち、経時後粘着力P A1の測定時には、その測定対象となる、純水への浸漬前の第2硬化物に対して、強粘着テープを貼付しておく。そして、引き剥がす力を直接加える対象を前記強粘着テープとすることにより、前記剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで、純水への浸漬前の段階で、第2試験片において第2硬化物及び前記強粘着テープの積層物を引き剥がす180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を経時後粘着力P A1とすることもできる。
[0057]
 前記強粘着テープを用いる場合には、樹脂膜形成用フィルムの硬化前に、前記強粘着テープをこの樹脂膜形成用フィルムに貼付して、次いで樹脂膜形成用フィルムを硬化させて第2硬化物としてもよいし、前記強粘着テープを樹脂膜形成用フィルムには貼付せずに、樹脂膜形成用フィルムを硬化させて第2硬化物とし、前記強粘着テープをこの第2硬化物に貼付してもよい。
[0058]
 浸漬後粘着力P B1も、経時後粘着力P A1の場合と同様の方法で測定できる。
 すなわち、浸漬後粘着力P B1の測定時には、上述の経時後の第2試験片を純水中に2時間浸漬した後、第2試験片において第2硬化物を引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで第2硬化物を引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を浸漬後粘着力P B1とすることができる。
 ここで、「2面の剥離面の為す角度」とは、上述の経時後粘着力P A1の測定時の場合と同様である。
[0059]
 また、浸漬後粘着力P B1の測定時には、強粘着テープを用いてもよい。すなわち、浸漬後粘着力P B1の測定対象となる、純水への浸漬前の第2硬化物に対して、強粘着テープを貼付しておく。そして、この強粘着テープを貼付した第2試験片を純水中に2時間浸漬した後、引き剥がす力を直接加える対象を前記強粘着テープとすることにより、前記剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで、第2試験片において第2硬化物及び前記強粘着テープの積層物を引き剥がす180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を浸漬後粘着力P B1とすることができる。
[0060]
 浸漬後粘着力P B1の測定時にも、経時後粘着力(浸漬前粘着力)P A1の測定時と同様に、樹脂膜形成用フィルムの硬化前に、前記強粘着テープをこの樹脂膜形成用フィルムに貼付して、次いで樹脂膜形成用フィルムを硬化させて第2硬化物としてもよいし、前記強粘着テープを樹脂膜形成用フィルムには貼付せずに、樹脂膜形成用フィルムを硬化させて第2硬化物とし、前記強粘着テープをこの第2硬化物に貼付してもよい。
[0061]
 前記強粘着テープの大きさは、経時後粘着力P A1及び浸漬後粘着力P B1の測定対象である(換言すると、シリコンミラーウエハから剥離させる)第2硬化物の大きさと、同じであることが好ましい。
[0062]
 第2積層体の作製に用いた樹脂膜形成用フィルムの大きさよりも小さい前記強粘着テープを用いる場合には、第2積層体において、前記強粘着テープの外周に沿って、樹脂膜形成用フィルムに切り込みを形成してから、経時後粘着力P A1及び浸漬後粘着力P B1を測定することが好ましい。このようにすることで、経時後粘着力P A1をより容易に測定できる。また、浸漬後粘着力P B1の測定時には、浸漬後粘着力P B1をより容易に測定できるだけでなく、第2硬化物の純水への浸漬の影響をより正確に反映でき、浸漬後粘着力P B1をより高精度に測定できる。
[0063]
・樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合
 樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、第2積層体をそのまま第2試験片として用いる(換言すると、シリコンミラーウエハとの間の粘着力の測定対象が、第2硬化物ではなく、樹脂膜形成用フィルムである)点以外は、上述の樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合と同様の方法で、第2試験片の粘着力変化率(%)を求められる。
 より具体的には、以下のとおりである。
[0064]
 脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、第2試験片の粘着力変化率を求めるためには、まず、第2試験片を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させる。次いで、この経時後の第2試験片において、23℃の環境下で、樹脂膜形成用フィルムとシリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力(浸漬前粘着力)P A2を測定する。このとき、作製後の第2試験片が、明確な特性変化を示していない状態で、経時後粘着力P A2を測定することが好ましい。このようにすることで、後述する粘着力変化率をより高精度に求められる。
[0065]
 一方、浸漬後粘着力を測定するときには、測定対象の経時後の第2試験片を、純水中に2時間浸漬する。このときの、第2試験片の純水中への浸漬は、上述の脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合と同様に行うことができる。
[0066]
 純水中に2時間浸漬した後は、第2試験片を速やかに純水中から取り出し、必要に応じて、例えば、第2試験片の表面に付着している余分の水滴を水切り(除去)して、この浸漬後の第2試験片において、23℃の環境下で、樹脂膜形成用フィルムとシリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力P B2を測定する。このとき、浸漬後の第2試験片が、明確な特性変化を示していない状態で、浸漬後粘着力P B2を測定することが好ましい。このようにすることで、後述する粘着力変化率をより高精度に求められる。
[0067]
 そして、これらP A2及びP B2の値を用いて、式「(|P B2-P A2|)/P A2×100」により、第2試験片の粘着力変化率(%)を算出する。
[0068]
 経時後粘着力(浸漬前粘着力)P A2及び浸漬後粘着力P B2は、同じ第2試験片を複数個作製して、これら第2試験片において別々に測定してもよいし、1個の同一の第2試験片において順次測定してもよい。
 1個の同一の第2試験片において、経時後粘着力P A2及び浸漬後粘着力P B2を順次測定する場合には、例えば、1個の同一の第2試験片における、互いに異なる箇所で、経時後粘着力P A2及び浸漬後粘着力P B2を別々に測定すればよい。
[0069]
 本発明において、経時後粘着力P A2及び浸漬後粘着力P B2はいずれも、シリコンミラーウエハから樹脂膜形成用フィルムを引き剥がす操作を行ったときに測定される剥離力である。経時後粘着力P A2及び浸漬後粘着力P B2の測定時においては、例えば、樹脂膜形成用フィルムとシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じていてもよいし、樹脂膜形成用フィルム中で凝集破壊が生じていてもよい。
[0070]
 経時後粘着力P A2の測定時には、第2試験片において樹脂膜形成用フィルムを引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで、純水への浸漬前の段階で樹脂膜形成用フィルムを引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を経時後粘着力P A2とすることができる。
 例えば、樹脂膜形成用フィルムとシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じている場合であれば、上述の「2面の剥離面の為す角度」とは、「樹脂膜形成用フィルムのシリコンミラーウエハへの貼付面と、シリコンミラーウエハの樹脂膜形成用フィルムへの貼付面と、の為す角度」である。樹脂膜形成用フィルム中で凝集破壊が生じている場合であれば、上述の「2面の剥離面の為す角度」とは、「樹脂膜形成用フィルムにおける凝集破壊面2面の為す角度」である。
[0071]
 このとき、樹脂膜形成用フィルムは、強粘着テープを用いて引き剥がしてもよい。すなわち、経時後粘着力P A2の測定時には、その測定対象となる、純水への浸漬前の樹脂膜形成用フィルムに対して、強粘着テープを貼付しておく。そして、引き剥がす力を直接加える対象を前記強粘着テープとすることにより、前記剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで、純水への浸漬前の段階で、第2試験片において樹脂膜形成用フィルム及び前記強粘着テープの積層物を引き剥がす180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を経時後粘着力P A2とすることもできる。
[0072]
 浸漬後粘着力P B2も、経時後粘着力P A2の場合と同様の方法で測定できる。
 すなわち、浸漬後粘着力P B2の測定時には、上述の経時後の第2試験片を純水中に2時間浸漬した後、第2試験片において樹脂膜形成用フィルムを引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで樹脂膜形成用フィルムを引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を浸漬後粘着力P B2とすることができる。
 ここで、「2面の剥離面の為す角度」とは、上述の経時後粘着力P A2の測定時の場合と同様である。
[0073]
 また、浸漬後粘着力P B2の測定時には、強粘着テープを用いてもよい。すなわち、浸漬後粘着力P B2の測定対象となる、純水への浸漬前の樹脂膜形成用フィルムに対して、強粘着テープを貼付しておく。そして、この強粘着テープを貼付した第2試験片を純水中に2時間浸漬した後、引き剥がす力を直接加える対象を前記強粘着テープとすることにより、前記剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで、第2試験片において樹脂膜形成用フィルム及び前記強粘着テープの積層物を引き剥がす180°剥離を行う。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、この値を浸漬後粘着力P B2とすることもできる。
[0074]
 前記強粘着テープの大きさは、経時後粘着力P A2及び浸漬後粘着力P B2の測定対象である(換言すると、シリコンミラーウエハから剥離させる)樹脂膜形成用フィルムの大きさと、同じであることが好ましい。
[0075]
 第2積層体の作製に用いた樹脂膜形成用フィルムの大きさよりも小さい前記強粘着テープを用いる場合には、第2積層体(第2試験片)において、前記強粘着テープの外周に沿って、樹脂膜形成用フィルムに切り込みを形成してから、経時後粘着力P A2及び浸漬後粘着力P B2を測定することが好ましい。このようにすることで、経時後粘着力P A2をより容易に測定できる。また、浸漬後粘着力P B2の測定時には、浸漬後粘着力P B2をより容易に測定できるだけでなく、樹脂膜形成用フィルムの純水への浸漬の影響をより正確に反映でき、浸漬後粘着力P B2をより高精度に測定できる。
[0076]
 本発明において、第2試験片の粘着力変化率は60%以下であり、50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、40%以下であることが特に好ましい。第2試験片の粘着力変化率が前記上限値以下であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
[0077]
 本発明において、第2試験片の粘着力変化率の下限値は、特に限定されず、例えば、0%であってもよい。第2試験片の粘着力変化率が低いほど、第2試験片(換言すると樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜)は、水に晒される時間が長くても、粘着力が変化し難いといえる。樹脂膜形成用フィルムの製造がより容易となる点では、第2試験片の粘着力変化率は、3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。
[0078]
 本発明においては、第2試験片の粘着力変化率は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて決定される数値範囲となるように、適宜調節できる。例えば、第2試験片の粘着力変化率は、0~60%であることが好ましく、0~50%であることがより好ましく、0~45%であることがさらに好ましく、0~40%であることが特に好ましい。ただし、これらは第2試験片の粘着力変化率の一例である。
[0079]
<<浸漬後の第3試験片のヤング率>>
 前記樹脂膜形成用フィルムは、第3試験片を純水中に2時間浸漬したとき、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、浸漬後の前記第3試験片のヤング率が、15MPa以上となるものが好ましい。
[0080]
 樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合、第3試験片とは、複数枚の樹脂膜形成用フィルムが、これらの厚さ方向において積層されてなる、大きさが15mm×150mm、厚さが200μmの第3積層体である。
 樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、第3試験片とは、前記第3積層体にエネルギー線を照射して、第3積層体をエネルギー線硬化させた第3硬化物である。
 樹脂膜形成用フィルムが熱硬化性である場合、この樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであるかによらず、前記第3積層体及び第3硬化物は、いずれも熱硬化していないことが好ましい。
[0081]
 浸漬後の第3試験片の前記ヤング率が前記下限値以上であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
[0082]
 前記第3積層体の作製に用いる複数枚の樹脂膜形成用フィルムは、すべて組成が同じものである。
 複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムの厚さは、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ同じであってもよいが、すべて同じであることが好ましい。
[0083]
 第3積層体は、例えば、15mm×150mmより大きい任意の大きさの複数枚の樹脂膜形成用フィルムを、合計の厚さが200μmとなるように積層して貼り合わせ、15mm×150mmの大きさに打ち抜く(切断する)ことで、作製できる。また、第3積層体は、例えば、大きさが15mm×150mmの複数枚の樹脂膜形成用フィルムを、合計の厚さが200μmとなるように、すべて周縁部の位置を一致させて、積層して貼り合わせることでも作製できる。
[0084]
 樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、作製した第3積層体をそのまま第3試験片として用いる。
 樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、作製した第3積層体に、さらにエネルギー線を照射して、第3積層体中のすべての樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて、得られた第3硬化物を第3試験片として用いる。
[0085]
 前記第3硬化物を作製するときの、第3積層体(脂膜形成用フィルム)へのエネルギー線の照射条件は、第3積層体が十分にエネルギー線硬化する限り、特に限定されない。
 通常、前記第3硬化物の作製時における、エネルギー線の照度及び光量は、いずれも、上述の第1積層体の硬化時における、エネルギー線の照度及び光量と同様とすることができる。
[0086]
 サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる点から、浸漬後の第3試験片の前記ヤング率は、17MPa以上であることがより好ましく、19MPa以上であることが特に好ましい。
[0087]
 本発明において、浸漬後の第3試験片の前記ヤング率の上限値は、特に限定されない。通常、前記ヤング率は、350MPa以下であることが好ましく、300MPa以下であることがより好ましく、250MPa以下であることが特に好ましい。前記ヤング率が前記上限値以下となる樹脂膜形成用フィルムは、製造がより容易である。
[0088]
 本発明においては、浸漬後の第3試験片の前記ヤング率は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて決定される数値範囲となるように、適宜調節できる。例えば、前記ヤング率は、15~350MPaであることが好ましく、17~300MPaであることがより好ましく、19~250MPaであることが特に好ましい。ただし、これらは前記ヤング率の一例である。
[0089]
<<浸漬前の第3試験片のヤング率>>
 本発明においては、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、純水中に浸漬する前の第3試験片のヤング率は、20~200MPaであることが好ましく、30~190MPaであることがより好ましく、40~180MPaであることが特に好ましい。浸漬前の第3試験片の前記ヤング率がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
[0090]
<<浸漬後の第3試験片の破断伸度>>
 前記樹脂膜形成用フィルムは、第3試験片を純水中に2時間浸漬したとき、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、浸漬後の前記第3試験片の破断伸度が、15~410%となるものが好ましく、20~390%となるものがより好ましい。浸漬後の第3試験片の破断伸度がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
 第3試験片の破断伸度は、上述の第3試験片のヤング率の測定時に、第3試験片が破断したときの第3試験片の伸びから求められる。これは、第3試験片を純水中に浸漬する前及び浸漬した後のいずれにおいても同様である。
[0091]
 なお、本明細書において、「破断伸度がX%である」(Xは正の数である)とは、試験片を引っ張り、試験片がその引張方向において元の長さ(換言すると、引っ張っていないときの長さ)のX%の長さだけ伸びたとき、すなわち、試験片の引張方向における全体の長さが引っ張る前の長さの[1+X/100]倍となったときに、試験片が破断することを意味する。
[0092]
<<浸漬前の第3試験片の破断伸度>>
 本発明においては、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、純水中に浸漬する前の第3試験片の破断伸度は、20~550%であることが好ましく、25~500%であることがより好ましい。浸漬前の第3試験片の破断伸度がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
[0093]
<<浸漬後の第3試験片の破断応力>>
 前記樹脂膜形成用フィルムは、第3試験片を純水中に2時間浸漬したとき、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、浸漬後の前記第3試験片の破断応力が、0.8~7MPaとなるものが好ましく、0.8~5.5MPaとなるものがより好ましい。浸漬後の第3試験片の破断応力がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
 第3試験片の破断応力は、上述の第3試験片のヤング率の測定時に、第3試験片が破断したときに第3試験片に加えられていた力から求められる。これは、第3試験片を純水中に浸漬する前及び浸漬した後のいずれにおいても同様である。
[0094]
<<浸漬前の第3試験片の破断応力>>
 本発明においては、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、純水中に浸漬する前の第3試験片の破断応力は、1.1~8MPaであることが好ましく、1.1~6.5MPaであることがより好ましい。浸漬前の第3試験片の破断応力がこのような範囲であることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。
[0095]
○熱硬化性樹脂膜形成用フィルム
 好ましい熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとしては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するものが挙げられ、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)及び充填材(D)を含有するものがより好ましい。重合体成分(A)は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分である。また、熱硬化性成分(B)は、熱を反応のトリガーとして、硬化(重合)反応し得る成分である。なお、本発明において重合反応には、重縮合反応も含まれる。
[0096]
 熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。
[0097]
 熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さは、1~100μmであることが好ましく、3~75μmであることがより好ましく、5~50μmであることが特に好ましい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、厚さの均一性がより高くなる。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、半導体ウエハのブレードダイシング時に発生する脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の切削屑の発生量が抑制される。
 ここで、「熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
[0098]
 熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを半導体ウエハの裏面に貼付した後に、熱硬化させるときの硬化条件は、硬化物が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り特に限定されず、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの種類に応じて、適宜選択すればよい。
 例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの熱硬化時の加熱温度は、100~200℃であることが好ましく、110~180℃であることがより好ましく、120~170℃であることが特に好ましい。そして、前記硬化時の加熱時間は、0.5~5時間であることが好ましく、0.5~3時間であることがより好ましく、1~2時間であることが特に好ましい。
[0099]
<<熱硬化性樹脂膜形成用組成物>>
 熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面に熱硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。
[0100]
 熱硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
[0101]
 熱硬化性樹脂膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物は、例えば、70~130℃で10秒~5分の条件で乾燥させることが好ましい。ただし、本発明においては、形成される熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが熱硬化しないように、熱硬化性樹脂膜形成用組成物を乾燥させることが好ましい。
[0102]
<熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III-1)>
 好ましい熱硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)及び充填材(D)を含有する熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III-1)(本明細書においては、単に「組成物(III-1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[0103]
[重合体成分(A)]
 重合体成分(A)は、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムに造膜性や可撓性等を付与するための成分である。
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する重合体成分(A)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0104]
 重合体成分(A)としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、フェノキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
[0105]
 重合体成分(A)における前記アクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体が挙げられる。
 アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000~2000000であることが好ましく、100000~1500000であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制される。
 なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
[0106]
 アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-60~70℃であることが好ましく、-30~50℃であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgが前記下限値以上であることで、例えば、樹脂膜形成用フィルムの硬化物と支持シートとの接着力が抑制されて、支持シートの剥離性が適度に向上する。また、アクリル系樹脂のTgが前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム及びその硬化物の被着体との接着力が向上する。
[0107]
 アクリル系樹脂としては、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN-メチロールアクリルアミド等から選択される2種以上のモノマーの共重合体等が挙げられる。
[0108]
 なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語についても同様であり、例えば、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。
[0109]
 アクリル系樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1~18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
 (メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
 (メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
 (メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
 (メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
 (メタ)アクリル酸イミド;
 (メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
 (メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
 (メタ)アクリル酸N-メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
[0110]
 アクリル系樹脂は、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN-メチロールアクリルアミド等から選択される1種又は2種以上のモノマーが共重合してなるものでもよい。
[0111]
 アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0112]
 アクリル系樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。アクリル系樹脂の前記官能基は、後述する架橋剤(F)を介して他の化合物と結合してもよいし、架橋剤(F)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
[0113]
 本発明においては、重合体成分(A)として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)を、アクリル系樹脂を用いずに単独で用いてもよいし、アクリル系樹脂と併用してもよい。前記熱可塑性樹脂を用いることで、樹脂膜の支持シートからの剥離性が向上したり、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制されることがある。
[0114]
 前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1000~100000であることが好ましく、3000~80000であることがより好ましい。
[0115]
 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-30~150℃であることが好ましく、-20~120℃であることがより好ましい。
[0116]
 前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等が挙げられる。
[0117]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記熱可塑性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0118]
 組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおける、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの総質量に対する、重合体成分(A)の含有量の割合)は、重合体成分(A)の種類によらず、3~85質量%であることが好ましく、3~80質量%であることがより好ましく、例えば、3~65質量%、3~50質量%、3~35質量%、及び3~20質量%等のいずれかであってもよい。
[0119]
 重合体成分(A)は、熱硬化性成分(B)にも該当する場合がある。本発明においては、組成物(III-1)が、このような重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の両方に該当する成分を含有する場合、組成物(III-1)は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するとみなす。
[0120]
[熱硬化性成分(B)]
 熱硬化性成分(B)は、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムを硬化させるための成分である。
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0121]
 熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂等が挙げられ、エポキシ系熱硬化性樹脂が好ましい。
[0122]
(エポキシ系熱硬化性樹脂)
 エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0123]
・エポキシ樹脂(B1)
 エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
[0124]
 エポキシ樹脂(B1)としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。そのため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いることで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた樹脂膜付き半導体チップの信頼性が向上する。
[0125]
 不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が不飽和炭化水素基を有する基に変換されてなる化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へ(メタ)アクリル酸又はその誘導体を付加反応させることにより得られる。
 また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
 不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2-プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
[0126]
 エポキシ樹脂(B1)の数平均分子量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化性、並びに硬化後の樹脂膜の強度及び耐熱性の点から、300~30000であることが好ましく、300~10000であることがより好ましく、300~3000であることが特に好ましい。
 エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、100~1000g/eqであることが好ましく、150~950g/eqであることがより好ましい。
[0127]
 エポキシ樹脂(B1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0128]
・熱硬化剤(B2)
 熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
 熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
[0129]
 熱硬化剤(B2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。
 熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド等が挙げられる。
[0130]
 熱硬化剤(B2)は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
 不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(B2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
 熱硬化剤(B2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
[0131]
 熱硬化剤(B2)としてフェノール系硬化剤を用いる場合には、樹脂膜の支持シートからの剥離性が向上する点から、熱硬化剤(B2)は軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
[0132]
 熱硬化剤(B2)のうち、例えば、多官能フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等の樹脂成分の数平均分子量は、300~30000であることが好ましく、400~10000であることがより好ましく、500~3000であることが特に好ましい。
 熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60~500であることが好ましい。
[0133]
 熱硬化剤(B2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0134]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、熱硬化剤(B2)の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の含有量100質量部に対して、0.1~500質量部であることが好ましく、1~200質量部であることがより好ましく、例えば、1~100質量部、1~50質量部、1~25質量部、及び1~10質量部等のいずれかであってもよい。熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化がより進行し易くなる。また、熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの吸湿率が低減されて、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
[0135]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、熱硬化性成分(B)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)の総含有量)は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、5~600質量部であることが好ましく、例えば、50~600質量部、100~600質量部、200~600質量部、300~600質量部、400~600質量部、及び500~600質量部等のいずれかであってもよい。熱硬化性成分(B)の前記含有量がこのような範囲であることで、例えば、樹脂膜形成用フィルムの硬化物と支持シートとの接着力が抑制されて、支持シートの剥離性が向上する。
[0136]
[充填材(D)]
 熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有することにより、前記吸水率及び粘着力変化率を目的とする範囲内に調節することが、より容易となる。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム及びその硬化物(樹脂膜)は、充填材(D)を含有することにより、熱膨張係数の調節がより容易となる。そして、この熱膨張係数を、熱硬化性樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の形成対象物に対して最適化することで、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた樹脂膜付き半導体チップの信頼性がより向上する。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有することにより、樹脂膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
[0137]
 充填材(D)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
 好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
 これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましい。
[0138]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する充填材(D)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0139]
 組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおける、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの総質量に対する、充填材(D)の含有量の割合)は、25~75質量%であることが好ましく、28~72質量%であることがより好ましい。充填材(D)が他の成分よりも顕著に吸水し難いため、前記割合が前記下限値以上であることで、前記吸水率を0.55%以下とすることがより容易となる。そして、サイズが小さい樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、樹脂膜形成用フィルム及びその硬化物である樹脂膜の強度が、より向上する。
[0140]
[硬化促進剤(C)]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、組成物(III-1)の硬化速度を調整するための成分である。
 好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
[0141]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する硬化促進剤(C)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0142]
 硬化促進剤(C)を用いる場合、組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、硬化促進剤(C)の含有量は、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~7質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(C)の前記含有量が前記下限値以上であることで、硬化促進剤(C)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、硬化促進剤(C)の含有量が前記上限値以下であることで、例えば、高極性の硬化促進剤(C)が、高温・高湿度条件下で熱硬化性樹脂膜形成用フィルム中において被着体との接着界面側に移動して偏析することを抑制する効果が高くなる。その結果、樹脂膜形成用複合シートを用いて得られた樹脂膜付き半導体チップの信頼性がより向上する。
[0143]
[カップリング剤(E)]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化物(樹脂膜)は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
[0144]
 カップリング剤(E)は、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
 好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
[0145]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有するカップリング剤(E)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0146]
 カップリング剤(E)を用いる場合、組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、カップリング剤(E)の含有量は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03~20質量部であることが好ましく、0.05~10質量部であることがより好ましく、0.1~5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(E)の前記含有量が前記下限値以上であることで、充填材(D)の樹脂への分散性の向上や、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの被着体との接着性の向上など、カップリング剤(E)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、カップリング剤(E)の前記含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
[0147]
[架橋剤(F)]
 重合体成分(A)として、上述のアクリル系樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)は、重合体成分(A)中の前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための成分であり、このように架橋することにより、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
[0148]
 架橋剤(F)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
[0149]
 前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);前記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記「アダクト体」は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物と、の反応物を意味する。前記アダクト体の例としては、後述するようなトリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。また、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、先に説明したとおりである。
[0150]
 前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート;2,6-トリレンジイソシアネート;1,3-キシリレンジイソシアネート;1,4-キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート;3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は2種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
[0151]
 前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
[0152]
 架橋剤(F)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、重合体成分(A)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(F)がイソシアネート基を有し、重合体成分(A)が水酸基を有する場合、架橋剤(F)と重合体成分(A)との反応によって、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムに架橋構造を簡便に導入できる。
[0153]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する架橋剤(F)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0154]
 架橋剤(F)を用いる場合、組成物(III-1)において、架橋剤(F)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.1~10質量部であることがより好ましく、0.5~5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(F)の前記含有量が前記下限値以上であることで、架橋剤(F)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、架橋剤(F)の前記含有量が前記上限値以下であることで、架橋剤(F)の過剰使用が抑制される。
[0155]
[エネルギー線硬化性樹脂(G)]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
[0156]
 エネルギー線硬化性樹脂(G)は、エネルギー線硬化性化合物を重合(硬化)して得られたものである。
 前記エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
[0157]
 前記アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等の環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;オリゴエステル(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー;エポキシ変性(メタ)アクリレート;前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート;イタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
[0158]
 前記エネルギー線硬化性化合物の重量平均分子量は、100~30000であることが好ましく、300~10000であることがより好ましい。
[0159]
 重合に用いる前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0160]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有するエネルギー線硬化性樹脂(G)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0161]
 エネルギー線硬化性樹脂(G)を用いる場合、組成物(III-1)において、組成物(III-1)の総質量に対する、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量の割合は、1~95質量%であることが好ましく、1~90質量%であることがより好ましく、1~85質量%であることが特に好ましく、例えば、1~70質量%、1~55質量%、1~40質量%、1~25質量%、及び1~10質量%等のいずれかであってもよい。
[0162]
[光重合開始剤(H)]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(G)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(H)を含有していてもよい。
[0163]
 組成物(III-1)における光重合開始剤(H)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα-ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4-ジエチルチオキサントン;1,2-ジフェニルメタン;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン;2-クロロアントラキノン等が挙げられる。
 また、前記光重合開始剤としては、例えば、1-クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等も挙げられる。
[0164]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する光重合開始剤(H)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0165]
 光重合開始剤(H)を用いる場合、組成物(III-1)において、光重合開始剤(H)の含有量は、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましく、2~5質量部であることが特に好ましい。
[0166]
[着色剤(I)]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、着色剤(I)を含有していてもよい。
 着色剤(I)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
[0167]
 前記有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素及びスレン系色素等が挙げられる。
[0168]
 前記無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
[0169]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する着色剤(I)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0170]
 着色剤(I)を用いる場合、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよい。例えば、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量を調節し、樹脂膜の光透過性を調節することにより、樹脂膜に対してレーザー印字を行った場合の印字視認性を調節できる。また、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量を調節することで、樹脂膜の意匠性を向上させたり、半導体ウエハの裏面の研削痕を見え難くすることもできる。これの点を考慮すると、組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する着色剤(I)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムにおける、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの総質量に対する、着色剤(I)の含有量の割合)は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.1~7.5質量%であることがより好ましく、0.1~5質量%であることが特に好ましい。着色剤(I)の前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、着色剤(I)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、着色剤(I)の前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの光透過性の過度な低下が抑制される。
[0171]
[汎用添加剤(J)]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内において、汎用添加剤(J)を含有していてもよい。
 汎用添加剤(J)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
[0172]
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する汎用添加剤(J)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
 組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムの汎用添加剤(J)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
[0173]
[溶媒]
 組成物(III-1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する組成物(III-1)は、取り扱い性が良好となる。
 前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2-プロパノール、イソブチルアルコール(2-メチルプロパン-1-オール)、1-ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
 組成物(III-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0174]
 組成物(III-1)が含有する溶媒は、組成物(III-1)中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
[0175]
 組成物(III-1)の溶媒の含有量は、特に限定されず、例えば、溶媒以外の成分の種類に応じて適宜選択すればよい。
[0176]
 組成物(III-1)で好ましいものとしては、例えば、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)及び充填材(D)を含有し、これら成分の含有量が、いずれも、先に説明した好ましい数値範囲のいずれかに含まれるものが挙げられる。
 このような好ましい組成物(III-1)の一実施形態としては、例えば、組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合が、3~85質量%であり、かつ、熱硬化性成分(B)の含有量が、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、5~600質量部であり、かつ、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合が、25~75質量%であるものが挙げられる。
 また、このような好ましい組成物(III-1)の一実施形態としては、例えば、組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合が、3~35質量%であり、かつ、熱硬化性成分(B)の含有量が、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、300~600質量部であり、かつ、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合が、28~72質量%であるものが挙げられる。
[0177]
 組成物(III-1)でより好ましいものとしては、例えば、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)、硬化促進剤(C)、充填材(D)、カップリング剤(E)、架橋剤(F)、エネルギー線硬化性樹脂(G)及び光重合開始剤(H)を含有し、これら成分の含有量が、いずれも、先に説明した好ましい数値範囲のいずれかに含まれるものが挙げられる。
 このようなより好ましい組成物(III-1)の一実施形態としては、例えば、組成物(III-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合が、3~35質量%であり、かつ、熱硬化性成分(B)の含有量が、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、300~600質量部であり、かつ、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合が、28~72質量%であり、かつ、硬化促進剤(C)の含有量が、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01~10質量部であり、かつ、カップリング剤(E)の含有量が、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03~20質量部であり、かつ、架橋剤(F)の含有量が、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であり、かつ、光重合開始剤(H)の含有量が、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量100質量部に対して、2~5質量部であり、かつ、組成物(III-1)の総質量に対する、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量の割合が、1~10質量%であるものが挙げられる。
[0178]
<<熱硬化性樹脂膜形成用組成物の製造方法>>
 組成物(III-1)等の熱硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
 各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
 溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
 配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
 各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
[0179]
○エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルム
 エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムとしては、エネルギー線硬化性成分(a)を含有するものが挙げられ、エネルギー線硬化性成分(a)及び充填材を含有するものが好ましい。
 エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムにおいて、エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。ここで、「エネルギー線」及び「エネルギー線硬化性」とは、先に説明したとおりである。
[0180]
 エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
[0181]
 エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さは、1~100μmであることが好ましく、3~75μmであることがより好ましく、5~50μmであることが特に好ましい。エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、厚さの均一性がより高くなる。また、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、半導体ウエハのブレードダイシング時に発生する脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の切削屑の発生量が抑制される。
 ここで、「エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
[0182]
 エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを半導体ウエハの裏面に貼付した後に、硬化させるときの硬化条件は、硬化物が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り特に限定されず、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの種類に応じて、適宜選択すればよい。
 例えば、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの硬化時における、エネルギー線の照度は、120~280mW/cm であることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、100~1000mJ/cm であることが好ましい。
[0183]
<<エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物>>
 エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面にエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位にエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。
[0184]
 エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工は、例えば、上述の熱硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
[0185]
 エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物は、例えば、70~130℃で10秒~5分の条件で乾燥させることが好ましい。ただし、本発明においては、形成されるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが熱硬化しないように、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物を乾燥させることが好ましい。
[0186]
<エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物(IV-1)>
 好ましいエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)及び充填材を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物(IV-1)(本明細書においては、単に「組成物(IV-1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[0187]
[エネルギー線硬化性成分(a)]
 エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するとともに、硬化後に硬質の樹脂膜を形成するための成分でもある。
 エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000~2000000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
[0188]
(エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000~2000000の重合体(a1))
 エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000~2000000の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が反応してなるアクリル系樹脂(a1-1)が挙げられる。
[0189]
 他の化合物が有する基と反応可能な前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基(アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基)、エポキシ基等が挙げられる。ただし、半導体ウエハや半導体チップ等の回路の腐食を防止するという点では、前記官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
 これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
[0190]
・官能基を有するアクリル系重合体(a11)
 前記官能基を有するアクリル系重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリル系モノマーと、前記官能基を有しないアクリル系モノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)が共重合したものであってもよい。
 また、前記アクリル系重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよく、重合方法についても公知の方法を採用できる。
[0191]
 前記官能基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、置換アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
[0192]
 前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
[0193]
 前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2-カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
[0194]
 前記官能基を有するアクリル系モノマーは、水酸基含有モノマーが好ましい。
[0195]
 前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有するアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0196]
 前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1~18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
[0197]
 また、前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル等を含む、芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル;非架橋性の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等も挙げられる。
[0198]
 前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有しないアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0199]
 前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
 前記アクリル系重合体(a11)を構成する前記非アクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0200]
 前記アクリル系重合体(a11)において、これを構成する構成単位の全量に対する、前記官能基を有するアクリル系モノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、0.1~50質量%であることが好ましく、1~40質量%であることがより好ましく、3~30質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記アクリル系重合体(a11)と前記エネルギー線硬化性化合物(a12)との共重合によって得られた前記アクリル系樹脂(a1-1)において、エネルギー線硬化性基の含有量は、樹脂膜の硬化の程度を好ましい範囲に容易に調節可能となる。
[0201]
 前記アクリル系樹脂(a1-1)を構成する前記アクリル系重合体(a11)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0202]
 組成物(IV-1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、アクリル系樹脂(a1-1)の含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムにおける、前記フィルムの総質量に対する、アクリル系樹脂(a1-1)の含有量の割合)は、1~70質量%であることが好ましく、5~60質量%であることがより好ましく、10~50質量%であることが特に好ましい。
[0203]
・エネルギー線硬化性化合物(a12)
 前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
[0204]
 前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1分子中に前記エネルギー線硬化性基を1~5個有することが好ましく、1~3個有することがより好ましい。
[0205]
 前記エネルギー線硬化性化合物(a12)としては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;
 ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;
 ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
 これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
[0206]
 前記アクリル系樹脂(a1-1)を構成する前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0207]
 前記アクリル系樹脂(a1-1)において、前記アクリル系重合体(a11)に由来する前記官能基の含有量に対する、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来するエネルギー線硬化性基の含有量の割合は、20~120モル%であることが好ましく、35~100モル%であることがより好ましく、50~100モル%であることが特に好ましい。前記含有量の割合がこのような範囲であることで、硬化後の樹脂膜の接着力がより大きくなる。なお、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が一官能(前記基を1分子中に1個有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%となるが、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が多官能(前記基を1分子中に2個以上有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%を超えることがある。
[0208]
 前記重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は、100000~2000000であることが好ましく、300000~1500000であることがより好ましい。
 ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
[0209]
 前記重合体(a1)が、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものである場合、前記重合体(a1)は、前記アクリル系重合体(a11)を構成するものとして説明した、上述のモノマーのいずれにも該当せず、かつ架橋剤と反応する基を有するモノマーが重合して、前記架橋剤と反応する基において架橋されたものであってもよいし、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来する、前記官能基と反応する基において、架橋されたものであってもよい。
[0210]
 組成物(IV-1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記重合体(a1)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0211]
(エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80000の化合物(a2))
 エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80000の化合物(a2)中の前記エネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
[0212]
 前記化合物(a2)は、上記の条件を満たすものであれば、特に限定されないが、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂等が挙げられる。
[0213]
 前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物としては、例えば、多官能のモノマー又はオリゴマー等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
 前記アクリレート系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
 トリス(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
 ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
[0214]
 前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂としては、例えば、「特開2013-194102号公報」の段落0043等に記載されているものを用いることができる。このような樹脂は、後述する熱硬化性成分を構成する樹脂にも該当するが、本発明においては前記化合物(a2)として取り扱う。
[0215]
 前記化合物(a2)の重量平均分子量は、100~30000であることが好ましく、300~10000であることがより好ましい。
[0216]
 組成物(IV-1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記化合物(a2)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0217]
[エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)]
 組成物(IV-1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
 前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
[0218]
 エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、アクリル系重合体、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ゴム系樹脂、アクリルウレタン樹脂等が挙げられる。
 これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b-1)」と略記することがある)であることが好ましい。
[0219]
 アクリル系重合体(b-1)は、公知のものでよく、例えば、1種のアクリル系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリル系モノマーの共重合体であってもよいし、1種又は2種以上のアクリル系モノマーと、1種又は2種以上のアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)と、の共重合体であってもよい。
[0220]
 アクリル系重合体(b-1)を構成する前記アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、先に説明したとおりである。
[0221]
 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1~18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
[0222]
 前記環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
 (メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
 (メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
 (メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
[0223]
 前記グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
 前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。
 前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N-メチルアミノエチル等が挙げられる。
[0224]
 アクリル系重合体(b-1)を構成する前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
[0225]
 少なくとも一部が架橋剤によって架橋された、前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、前記重合体(b)中の反応性官能基が架橋剤と反応したものが挙げられる。
 前記反応性官能基は、架橋剤の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
[0226]
 前記反応性官能基を有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、少なくとも前記反応性官能基を有するモノマーを重合させて得られたものが挙げられる。アクリル系重合体(b-1)の場合であれば、これを構成するモノマーとして挙げた、前記アクリル系モノマー及び非アクリル系モノマーのいずれか一方又は両方として、前記反応性官能基を有するものを用いればよい。反応性官能基として水酸基を有する前記重合体(b)としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られたものが挙げられ、これ以外にも、先に挙げた前記アクリル系モノマー又は非アクリル系モノマーにおいて、1個又は2個以上の水素原子が前記反応性官能基で置換されてなるモノマーを重合して得られたものが挙げられる。
[0227]
 反応性官能基を有する前記重合体(b)において、これを構成する構成単位の全量に対する、反応性官能基を有するモノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、1~20質量%であることが好ましく、2~10質量%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記重合体(b)において、架橋の程度がより好ましい範囲となる。
[0228]
 エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の重量平均分子量(Mw)は、組成物(IV-1)の造膜性がより良好となる点から、10000~2000000であることが好ましく、100000~1500000であることがより好ましい。ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
[0229]
 組成物(IV-1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0230]
 組成物(IV-1)としては、前記重合体(a1)及び前記化合物(a2)のいずれか一方又は両方を含有するものが挙げられる。そして、組成物(IV-1)は、前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましく、この場合、さらに前記(a1)を含有することも好ましい。また、組成物(IV-1)は、前記化合物(a2)を含有せず、前記重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)をともに含有していてもよい。
[0231]
 組成物(IV-1)が、前記重合体(a1)、前記化合物(a2)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する場合、組成物(IV-1)において、前記化合物(a2)の含有量は、前記重合体(a1)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の総含有量100質量部に対して、10~400質量部であることが好ましく、30~350質量部であることがより好ましい。
[0232]
 組成物(IV-1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムにおける、前記フィルムの総質量に対する、前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量の割合)は、5~90質量%であることが好ましく、10~80質量%であることがより好ましく、20~70質量%であることが特に好ましい。エネルギー線硬化性成分の含有量の前記割合がこのような範囲であることで、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化性がより良好となる。
[0233]
[充填材]
 充填材を含有するエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有する熱硬化性樹脂膜形成用フィルムと同様の効果を奏する。
[0234]
 組成物(IV-1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する充填材としては、組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する充填材(D)と同じものが挙げられる。
[0235]
 組成物(IV-1)及びエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する充填材は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0236]
 組成物(IV-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材の含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムにおける、前記フィルムの総質量に対する、充填材の含有量の割合)は、25~75質量%であることが好ましく、28~72質量%であることがより好ましい。充填材が他の成分よりも顕著に吸水し難いため、前記割合が前記下限値以上であることで、前記吸水率を0.55%以下とすることがより容易となる。そして、サイズが小さい樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、樹脂膜形成用フィルム及びその硬化物である樹脂膜の強度が、より向上する。
[0237]
 組成物(IV-1)は、前記エネルギー線硬化性成分及び充填材以外に、目的に応じて、熱硬化性成分、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤及び汎用添加剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
[0238]
 組成物(IV-1)における前記熱硬化性成分、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤及び汎用添加剤としては、それぞれ、組成物(III-1)における熱硬化性成分(B)、カップリング剤(E)、架橋剤(F)、光重合開始剤(H)、着色剤(I)及び汎用添加剤(J)と同じものが挙げられる。
[0239]
 例えば、前記エネルギー線硬化性成分及び熱硬化性成分を含有する組成物(IV-1)を用いることにより、形成されるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、加熱によって被着体に対する接着力が向上し、このエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムから形成された樹脂膜の強度も向上する。
 また、前記エネルギー線硬化性成分及び着色剤を含有する組成物(IV-1)を用いることにより、形成されるエネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムは、先に説明した熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが着色剤(I)を含有する場合と同様の効果を発現する。
[0240]
 組成物(IV-1)において、前記熱硬化性成分、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤及び汎用添加剤は、それぞれ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0241]
 組成物(IV-1)における前記熱硬化性成分、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤、着色剤及び汎用添加剤の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
[0242]
 組成物(IV-1)は、希釈によってその取り扱い性が向上することから、さらに溶媒を含有するものが好ましい。
 組成物(IV-1)が含有する溶媒としては、例えば、組成物(III-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
 組成物(IV-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
[0243]
<<エネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物の製造方法>>
 組成物(IV-1)等のエネルギー線硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
 各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
 溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
 配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
 各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
[0244]
○非硬化性樹脂膜形成用フィルム
 前記非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、硬化による特性の変化を示さないが、本発明においては、半導体ウエハの前記裏面等、目的とする箇所に貼付された段階で、樹脂膜を形成したとみなす。
[0245]
 非硬化性樹脂膜形成用フィルムとしては、例えば、熱可塑性樹脂を含有するものが挙げられ、熱可塑性樹脂及び充填材を含有するものが好ましい。
[0246]
 非硬化性樹脂膜形成用フィルムは1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
[0247]
 非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さは、1~100μmであることが好ましく、3~75μmであることがより好ましく、5~50μmであることが特に好ましい。非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、厚さの均一性がより高くなる。また、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、半導体ウエハのブレードダイシング時に発生する脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の切削屑の発生量が抑制される。
 ここで、「非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さ」とは、非硬化性樹脂膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる非硬化性樹脂膜形成用フィルムの厚さとは、非硬化性樹脂膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
[0248]
<<非硬化性樹脂膜形成用組成物>>
 非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、非硬化性樹脂膜形成用フィルムの形成対象面に非硬化性樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に非硬化性樹脂膜形成用フィルムを形成できる。
[0249]
 非硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工は、例えば、上述の熱硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
[0250]
 非硬化性樹脂膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、非硬化性樹脂膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物は、例えば、70~130℃で10秒~5分の条件で乾燥させることが好ましい。
[0251]
<非硬化性樹脂膜形成用組成物(V-1)>
 好ましい非硬化性樹脂膜形成用組成物としては、例えば、前記熱可塑性樹脂及び充填材を含有する非硬化性樹脂膜形成用組成物(V-1)(本明細書においては、単に「組成物(V-1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[0252]
[熱可塑性樹脂]
 前記熱可塑性樹脂は、特に限定されない。
 前記熱可塑性樹脂として、より具体的には、例えば、上述の組成物(III-1)の含有成分として挙げた、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等の硬化性ではない樹脂と同様のものが挙げられる。
[0253]
 組成物(V-1)及び非硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する前記熱可塑性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0254]
 組成物(V-1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記熱可塑性樹脂の含有量の割合(すなわち、非硬化性樹脂膜形成用フィルムにおける、前記フィルムの総質量に対する、前記熱可塑性樹脂の含有量の割合)は、25~75質量%であることが好ましく、28~72質量%であることがより好ましい。
[0255]
[充填材]
 充填材を含有する非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有する熱硬化性樹脂膜形成用フィルムと、同様の効果を奏する。
[0256]
 組成物(V-1)及び非硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する充填材としては、組成物(III-1)及び熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する充填材(D)と同じものが挙げられる。
[0257]
 組成物(V-1)及び非硬化性樹脂膜形成用フィルムが含有する充填材は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0258]
 組成物(V-1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材の含有量の割合(すなわち、非硬化性樹脂膜形成用フィルムにおける、前記フィルムの総質量に対する、充填材の含有量の割合)は、25~75質量%であることが好ましく、28~72質量%であることがより好ましい。充填材が他の成分よりも顕著に吸水し難いため、前記割合が前記下限値以上であることで、前記吸水率を0.55%以下とすることがより容易となる。そして、サイズが小さい樹脂膜付き半導体チップを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜の残存を抑制する効果がより高くなる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、樹脂膜形成用フィルム(樹脂膜)の強度が、より向上する。
[0259]
 組成物(V-1)は、前記熱可塑性樹脂及び充填材以外に、目的に応じて、他の成分を含有していてもよい。
 前記他の成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
 例えば、前記熱可塑性樹脂及び着色剤を含有する組成物(V-1)を用いることにより、形成される非硬化性樹脂膜形成用フィルムは、先に説明した熱硬化性樹脂膜形成用フィルムが着色剤(I)を含有する場合と同様の効果を発現する。
[0260]
 組成物(V-1)において、前記他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0261]
 組成物(V-1)における前記他の成分の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
[0262]
 組成物(V-1)は、希釈によってその取り扱い性が向上することから、さらに溶媒を含有するものが好ましい。
 組成物(V-1)が含有する溶媒としては、例えば、上述の組成物(III-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
 組成物(V-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
[0263]
<<非硬化性樹脂膜形成用組成物の製造方法>>
 組成物(V-1)等の非硬化性樹脂膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
 各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
 溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
 配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
 各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
[0264]
◇樹脂膜形成用複合シート
 本発明の樹脂膜形成用複合シートは、支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルムを備えてなり、前記樹脂膜形成用フィルムが、上述の本発明の樹脂膜形成用フィルムとなっているものである。
[0265]
 本発明の樹脂膜形成用複合シートは、ブレードダイシングによって、半導体ウエハをサイズが小さい半導体チップへ個片化(分割)するときに、半導体ウエハの裏面に貼付して使用するのに好適である。樹脂膜形成用複合シート中の樹脂膜形成用フィルムは、半導体ウエハ又は半導体チップの裏面に樹脂膜を形成するのに使用でき、支持シートはダイシングシートとして使用できる。ブレードダイシングによって得られた、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップは、支持シートからのピックアップ適性に優れ、ピックアップ時に、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存が抑制される。
 以下、本発明の樹脂膜形成用複合シートの、樹脂膜形成用フィルム以外の構成について、詳細に説明する。
[0266]
◎支持シート
 前記支持シートは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層の構成材料及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
 なお、本明細書においては、支持シートの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
[0267]
 好ましい支持シートとしては、例えば、基材を備え、前記基材上に粘着剤層が積層されてなるもの;基材を備え、前記基材上に中間層が積層され、前記中間層上に粘着剤層が積層されてなるもの;基材のみからなるもの等が挙げられる。
[0268]
 本発明の樹脂膜形成用複合シートの例を、このような支持シートの種類ごとに、以下、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
[0269]
 図1は、本発明の樹脂膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。
 ここに示す樹脂膜形成用複合シート101は、基材11上に粘着剤層12を備え、粘着剤層12上に樹脂膜形成用フィルム13を備えている。支持シート1は、基材11及び粘着剤層12の積層体であり、樹脂膜形成用複合シート101は、換言すると、支持シート1の一方の表面1a上に樹脂膜形成用フィルム13が積層された構成を有する。また、樹脂膜形成用複合シート101は、さらに樹脂膜形成用フィルム13上に剥離フィルム15を備えている。
[0270]
 樹脂膜形成用複合シート101においては、基材11の一方の表面11aに粘着剤層12が積層され、粘着剤層12の一方の表面12aの全面に樹脂膜形成用フィルム13が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の一方の表面13aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層16が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aのうち、治具用接着剤層16が積層されていない面と、治具用接着剤層16の表面16a(上面及び側面)に、剥離フィルム15が積層されている。
[0271]
 樹脂膜形成用複合シート101において、樹脂膜形成用フィルム13は、上述の吸水率及び粘着力変化率の条件をともに満たす。
[0272]
 治具用接着剤層16は、例えば、接着剤成分を含有する単層構造のものであってもよいし、芯材となるシートの両面に接着剤成分を含有する層が積層された複数層構造のものであってもよい。
[0273]
 図1に示す樹脂膜形成用複合シート101は、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aに半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、治具用接着剤層16の表面16aのうち上面に、リングフレーム等の治具が貼付されて、使用される。
 なお、治具用接着剤層16においては、その上面及び側面の境界が明確に区別できない場合もある。
[0274]
 図2は、本発明の樹脂膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
[0275]
 ここに示す樹脂膜形成用複合シート102は、治具用接着剤層16を備えていない点以外は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート101と同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート102においては、基材11の一方の表面11aに粘着剤層12が積層され、粘着剤層12の一方の表面12aの全面に樹脂膜形成用フィルム13が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の一方の表面13aの全面に剥離フィルム15が積層されている。
[0276]
 図2に示す樹脂膜形成用複合シート102は、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aのうち、中央側の一部の領域に半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部近傍の領域に、リングフレーム等の治具が貼付されて、使用される。
[0277]
 図3は、本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
 ここに示す樹脂膜形成用複合シート103は、粘着剤層12を備えていない点以外は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート101と同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート103においては、支持シート1が基材11のみからなる。そして、基材11の一方の表面11a(換言すると、支持シート1の一方の表面1a)に樹脂膜形成用フィルム13が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層16が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aのうち、治具用接着剤層16が積層されていない面と、治具用接着剤層16の表面16a(上面及び側面)に、剥離フィルム15が積層されている。
[0278]
 図3に示す樹脂膜形成用複合シート103は、図1に示す樹脂膜形成用複合シート101と同様に、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aに半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、治具用接着剤層16の表面16aのうち上面に、リングフレーム等の治具が貼付されて、使用される。
[0279]
 図4は、本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
 ここに示す樹脂膜形成用複合シート104は、治具用接着剤層16を備えていない点以外は、図3に示す樹脂膜形成用複合シート103と同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート104においては、基材11の一方の表面11aに樹脂膜形成用フィルム13が積層され、樹脂膜形成用フィルム13の一方の表面13aの全面に剥離フィルム15が積層されている。
[0280]
 図4に示す樹脂膜形成用複合シート104は、図2に示す樹脂膜形成用複合シート102と同様に、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム13の表面13aのうち、中央側の一部の領域に半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、樹脂膜形成用フィルム13の周縁部近傍の領域に、リングフレーム等の治具が貼付されて、使用される。
[0281]
 図5は、本発明の樹脂膜形成用複合シートのさらに他の実施形態を模式的に示す断面図である。
 ここに示す樹脂膜形成用複合シート105は、樹脂膜形成用フィルムの形状が異なる点以外は、図2に示す樹脂膜形成用複合シート102と同じものである。すなわち、樹脂膜形成用複合シート105は、基材11上に粘着剤層12を備え、粘着剤層12上に樹脂膜形成用フィルム23を備えている。支持シート1は、基材11及び粘着剤層12の積層体であり、樹脂膜形成用複合シート105は、換言すると、支持シート1の一方の表面1a上に樹脂膜形成用フィルム23が積層された構成を有する。また、樹脂膜形成用複合シート105は、さらに樹脂膜形成用フィルム23上に剥離フィルム15を備えている。
[0282]
 樹脂膜形成用複合シート105においては、基材11の一方の表面11aに粘着剤層12が積層され、粘着剤層12の一方の表面12aの一部、すなわち、支持シート1の幅方向(図5における左右方向)における中央側の領域に、樹脂膜形成用フィルム23が積層されている。そして、粘着剤層12の表面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム23が積層されていない面と、樹脂膜形成用フィルム23の一方の表面23a(上面及び側面)の上に、剥離フィルム15が積層されている。
[0283]
 樹脂膜形成用複合シート105を上方から見下ろして平面視したときに、樹脂膜形成用フィルム23は粘着剤層12よりも表面積が小さく、例えば、円形状等の形状を有する。
[0284]
 樹脂膜形成用複合シート105において、樹脂膜形成用フィルム23は、上述の吸水率及び粘着力変化率の条件をともに満たす。
[0285]
 図5に示す樹脂膜形成用複合シート105は、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、樹脂膜形成用フィルム23の表面23aに半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、粘着剤層12の表面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム23が積層されていない面に、リングフレーム等の治具が貼付されて、使用される。
[0286]
 なお、図5に示す樹脂膜形成用複合シート105においては、粘着剤層12の表面12aのうち、樹脂膜形成用フィルム23が積層されていない面に、図1及び図3に示すものと同様に治具用接着剤層が積層されていてもよい(図示略)。このような治具用接着剤層を備えた樹脂膜形成用複合シート105は、図1及び図3に示す樹脂膜形成用複合シートと同様に、治具用接着剤層の表面に、リングフレーム等の治具が貼付されて、使用される。
[0287]
 本発明の樹脂膜形成用複合シートは、支持シート及び樹脂膜形成用フィルムがどのような形態であっても、治具用接着剤層を備えたものであってもよい。
[0288]
 本発明の樹脂膜形成用複合シートは、図1~図5に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1~図5に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
[0289]
 例えば、図3及び図4に示す樹脂膜形成用複合シートにおいては、基材11と樹脂膜形成用フィルム13との間に、中間層が設けられていてもよい。中間層としては、目的に応じて任意のものを選択できる。
 また、図1、図2及び図5に示す樹脂膜形成用複合シートにおいては、基材11と粘着剤層12との間に中間層が設けられていてもよい。すなわち、本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいて、支持シートは、基材、中間層及び粘着剤層がこの順に積層されてなるものであってもよい。ここで中間層とは、図3及び図4に示す樹脂膜形成用複合シートにおいて設けられていてもよい中間層と同じものである。
 また、図1~図5に示す樹脂膜形成用複合シートは、前記中間層以外の層が、任意の箇所に設けられていてもよい。
 また、本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、剥離フィルムと、この剥離フィルムと直接接触している層との間に、一部隙間が生じていてもよい。
 また、本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、各層の大きさや形状は、目的に応じて任意に調節できる。
[0290]
○基材
 前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
 前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
 また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
 また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
[0291]
 基材を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0292]
 基材は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
[0293]
 基材の厚さは、50~300μmであることが好ましく、60~140μmであることがより好ましい。基材の厚さがこのような範囲であることで、前記樹脂膜形成用複合シートの可撓性と、半導体ウエハ又は半導体チップへの貼付性がより向上する。
 ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
[0294]
 基材は、厚さの精度が高いもの、すなわち、部位によらず厚さのばらつきが抑制されたものが好ましい。上述の構成材料のうち、このような厚さの精度が高い基材を構成するのに使用可能な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン以外のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
[0295]
 基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
[0296]
 基材は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよいし、他の層が蒸着されていてもよい。
 樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
[0297]
 基材は、その上に設けられる層(例えば、粘着剤層、中間層又は樹脂膜形成用フィルム)との接着性を向上させるために、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理;コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理等が表面に施されたものであってもよい。また、基材は、表面がプライマー処理されたものであってもよい。
[0298]
 基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
[0299]
○粘着剤層
 前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
 前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
[0300]
 なお、本発明において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用により粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含む。
[0301]
 粘着剤層は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
[0302]
 粘着剤層の厚さは1~100μmであることが好ましく、1~60μmであることがより好ましく、1~30μmであることが特に好ましい。
 ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
[0303]
 粘着剤層は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよい。
 樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、粘着剤層はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
[0304]
 粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものであってもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものであってもよい。すなわち、粘着剤層は、エネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであってもよい。エネルギー線硬化性の粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を容易に調節できる。
[0305]
<<粘着剤組成物>>
 粘着剤層は、粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。
[0306]
 粘着剤組成物の塗工は、例えば、上述の熱硬化性樹脂膜形成用組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
[0307]
 基材上に粘着剤層を設ける場合には、例えば、基材上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、基材上に粘着剤層を積層すればよい。また、基材上に粘着剤層を設ける場合には、例えば、剥離フィルム上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層の露出面を、基材の一方の表面と貼り合わせることで、基材上に粘着剤層を積層してもよい。この場合の剥離フィルムは、樹脂膜形成用複合シートの製造過程のいずれかのタイミングで、取り除けばよい。
[0308]
 粘着剤組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、粘着剤組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有する粘着剤組成物は、例えば、70~130℃で10秒~5分の条件で乾燥させることが好ましい。
[0309]
 粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合、エネルギー線硬化性粘着剤を含有する粘着剤組成物、すなわち、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)(以下、「粘着性樹脂(I-1a)」と略記することがある)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I-1);非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)(以下、「粘着性樹脂(I-2a)」と略記することがある)を含有する粘着剤組成物(I-2);前記粘着性樹脂(I-2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I-3)等が挙げられる。
[0310]
<粘着剤組成物(I-1)>
 前記粘着剤組成物(I-1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
[0311]
[粘着性樹脂(I-1a)]
 前記粘着性樹脂(I-1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
 前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
 前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0312]
 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が1~20であるのものが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
[0313]
 粘着剤層の粘着力が向上する点から、前記アクリル系重合体は、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましい。そして、粘着剤層の粘着力がより向上する点から、前記アルキル基の炭素数は、4~12であることが好ましく、4~8であることがより好ましい。また、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
[0314]
 前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
 前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
[0315]
 官能基含有モノマー中の前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
 すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
[0316]
 前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
[0317]
 前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2-カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
[0318]
 官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
[0319]
 前記アクリル系重合体を構成する官能基含有モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0320]
 前記アクリル系重合体において、官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、1~35質量%であることが好ましく、2~32質量%であることがより好ましく、3~30質量%であることが特に好ましい。
[0321]
 前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、及び官能基含有モノマー由来の構成単位以外に、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
 前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
 前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
[0322]
 前記アクリル系重合体を構成する前記他のモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0323]
 前記アクリル系重合体は、上述の非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)として使用できる。
 一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)として使用できる。
[0324]
 粘着剤組成物(I-1)が含有する粘着性樹脂(I-1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0325]
 粘着剤組成物(I-1)において、粘着剤組成物(I-1)の総質量に対する、粘着性樹脂(I-1a)の含有量の割合は、5~99質量%であることが好ましく、10~95質量%であることがより好ましく、15~90質量%であることが特に好ましい。
[0326]
[エネルギー線硬化性化合物]
 粘着剤組成物(I-1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
 エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
 エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
[0327]
 粘着剤組成物(I-1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0328]
 前記粘着剤組成物(I-1)において、粘着剤組成物(I-1)の総質量に対する、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量の割合は、1~95質量%であることが好ましく、5~90質量%であることがより好ましく、10~85質量%であることが特に好ましい。
[0329]
[架橋剤]
 粘着性樹脂(I-1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I-1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
[0330]
 前記架橋剤は、例えば、前記官能基と反応して、粘着性樹脂(I-1a)同士を架橋するものである。
 架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1-(2-メチル)-アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
 粘着剤の凝集力を向上させて粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
[0331]
 粘着剤組成物(I-1)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0332]
 前記粘着剤組成物(I-1)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I-1a)の含有量100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、0.1~20質量部であることがより好ましく、0.3~15質量部であることが特に好ましい。
[0333]
[光重合開始剤]
 粘着剤組成物(I-1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
[0334]
 前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα-ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4-ジエチルチオキサントン;1,2-ジフェニルメタン;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン;2-クロロアントラキノン等が挙げられる。
 また、前記光重合開始剤としては、例えば、1-クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
[0335]
 粘着剤組成物(I-1)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0336]
 粘着剤組成物(I-1)において、光重合開始剤の含有量は、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.03~10質量部であることがより好ましく、0.05~5質量部であることが特に好ましい。
[0337]
[その他の添加剤]
 粘着剤組成物(I-1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
 前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
 なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I-1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物(I-1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(-C(=O)-)を2個以上有するものが挙げられる。
[0338]
 粘着剤組成物(I-1)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0339]
 粘着剤組成物(I-1)のその他の添加剤の含有量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[0340]
[溶媒]
 粘着剤組成物(I-1)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I-1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
[0341]
 前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;シクロヘキサン、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール等が挙げられる。
[0342]
 前記溶媒としては、例えば、粘着性樹脂(I-1a)の製造時に用いたものを粘着性樹脂(I-1a)から取り除かずに、そのまま粘着剤組成物(I-1)において用いてもよいし、粘着性樹脂(I-1a)の製造時に用いたものと同一又は異なる種類の溶媒を、粘着剤組成物(I-1)の製造時に別途添加してもよい。
[0343]
 粘着剤組成物(I-1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0344]
 粘着剤組成物(I-1)の溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
[0345]
<粘着剤組成物(I-2)>
 前記粘着剤組成物(I-2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-2a)を含有する。
[0346]
[粘着性樹脂(I-2a)]
 前記粘着性樹脂(I-2a)は、例えば、粘着性樹脂(I-1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
[0347]
 前記不飽和基含有化合物は、前記エネルギー線重合性不飽和基以外に、さらに粘着性樹脂(I-1a)中の官能基と反応することで、粘着性樹脂(I-1a)と結合可能な基を有する化合物である。
 前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2-プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
 粘着性樹脂(I-1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
[0348]
 前記不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[0349]
 粘着剤組成物(I-2)が含有する粘着性樹脂(I-2a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0350]
 粘着剤組成物(I-2)において、粘着剤組成物(I-2)の総質量に対する、粘着性樹脂(I-2a)の含有量の割合は、5~99質量%であることが好ましく、10~95質量%であることがより好ましく、10~90質量%であることが特に好ましい。
[0351]
[架橋剤]
 粘着性樹脂(I-2a)として、例えば、粘着性樹脂(I-1a)におけるものと同様の、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I-2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
[0352]
 粘着剤組成物(I-2)における前記架橋剤としては、粘着剤組成物(I-1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0353]
 前記粘着剤組成物(I-2)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)の含有量100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、0.1~20質量部であることがより好ましく、0.3~15質量部であることが特に好ましい。
[0354]
[光重合開始剤]
 粘着剤組成物(I-2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
[0355]
 粘着剤組成物(I-2)における前記光重合開始剤としては、粘着剤組成物(I-1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0356]
 粘着剤組成物(I-2)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)の含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.03~10質量部であることがより好ましく、0.05~5質量部であることが特に好ましい。
[0357]
[その他の添加剤]
 粘着剤組成物(I-2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
 粘着剤組成物(I-2)における前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0358]
 粘着剤組成物(I-2)のその他の添加剤の含有量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[0359]
[溶媒]
 粘着剤組成物(I-2)は、粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
 粘着剤組成物(I-2)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
 粘着剤組成物(I-2)の溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
[0360]
<粘着剤組成物(I-3)>
 前記粘着剤組成物(I-3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I-2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
[0361]
 粘着剤組成物(I-3)において、粘着剤組成物(I-3)の総質量に対する、粘着性樹脂(I-2a)の含有量の割合は、5~99質量%であることが好ましく、10~95質量%であることがより好ましく、15~90質量%であることが特に好ましい。
[0362]
[エネルギー線硬化性化合物]
 粘着剤組成物(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、粘着剤組成物(I-1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0363]
 前記粘着剤組成物(I-3)において、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)の含有量100質量部に対して、0.01~300質量部であることが好ましく、0.03~200質量部であることがより好ましく、0.05~100質量部であることが特に好ましい。
[0364]
[光重合開始剤]
 粘着剤組成物(I-3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I-3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
[0365]
 粘着剤組成物(I-3)における前記光重合開始剤としては、粘着剤組成物(I-1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0366]
 粘着剤組成物(I-3)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I-2a)及び前記エネルギー線硬化性化合物の総含有量100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、0.03~10質量部であることがより好ましく、0.05~5質量部であることが特に好ましい。
[0367]
[その他の添加剤]
 粘着剤組成物(I-3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
 前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0368]
 粘着剤組成物(I-3)のその他の添加剤の含有量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[0369]
[溶媒]
 粘着剤組成物(I-3)は、粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
 粘着剤組成物(I-3)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
 粘着剤組成物(I-3)の溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
[0370]
<粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の粘着剤組成物>
 ここまでは、粘着剤組成物(I-1)、粘着剤組成物(I-2)及び粘着剤組成物(I-3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の粘着剤組成物以外の全般的な粘着剤組成物(本明細書においては、「粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
[0371]
 粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の粘着剤組成物としては、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物以外に、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物も挙げられる。
 非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I-1a)を含有する粘着剤組成物(I-4)が挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
[0372]
 粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の粘着剤組成物は、1種又は2種以上の架橋剤を含有することが好ましく、その含有量は、上述の粘着剤組成物(I-1)等の場合と同様とすることができる。
[0373]
<粘着剤組成物(I-4)>
 粘着剤組成物(I-4)で好ましいものとしては、例えば、前記粘着性樹脂(I-1a)と、架橋剤と、を含有するものが挙げられる。
[0374]
[粘着性樹脂(I-1a)]
 粘着剤組成物(I-4)における粘着性樹脂(I-1a)としては、粘着剤組成物(I-1)における粘着性樹脂(I-1a)と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-4)が含有する粘着性樹脂(I-1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0375]
 粘着剤組成物(I-4)において、粘着剤組成物(I-4)の総質量に対する、粘着性樹脂(I-1a)の含有量の割合は、5~99質量%であることが好ましく、10~95質量%であることがより好ましく、15~90質量%であることが特に好ましい。
[0376]
[架橋剤]
 粘着性樹脂(I-1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I-4)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
[0377]
 粘着剤組成物(I-4)における架橋剤としては、粘着剤組成物(I-1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-4)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0378]
 前記粘着剤組成物(I-4)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I-1a)の含有量100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、0.1~47質量部であることがより好ましく、0.3~44質量部であることが特に好ましい。
[0379]
[その他の添加剤]
 粘着剤組成物(I-4)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
 前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I-1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-4)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[0380]
 粘着剤組成物(I-4)のその他の添加剤の含有量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[0381]
[溶媒]
 粘着剤組成物(I-4)は、粘着剤組成物(I-1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
 粘着剤組成物(I-4)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I-1)における溶媒と同じものが挙げられる。
 粘着剤組成物(I-4)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
 粘着剤組成物(I-4)の溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
[0382]
 本発明の樹脂膜形成用複合シートにおいては、後述する樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合、粘着剤層は非エネルギー線硬化性であることが好ましい。これは、粘着剤層がエネルギー線硬化性であると、エネルギー線の照射によって樹脂膜形成用フィルムを硬化させるときに、粘着剤層も同時に硬化するのを抑制できないことがあるためである。粘着剤層が樹脂膜形成用フィルムと同時に硬化してしまうと、樹脂膜形成用フィルムの硬化物及び粘着剤層がこれらの界面において剥離不能な程度に貼り付いてしまうことがある。その場合、樹脂膜形成用フィルムの硬化物、すなわち樹脂膜を裏面に備えた半導体チップ(すなわち樹脂膜付き半導体チップ)を、粘着剤層の硬化物を備えた支持シートから剥離させることが困難となり、樹脂膜付き半導体チップを正常にピックアップできなくなってしまう。本発明における支持シートで、粘着剤層を非エネルギー線硬化性のものとすることで、このような不具合を確実に回避でき、樹脂膜付き半導体チップをより容易にピックアップできる。
[0383]
 ここでは、粘着剤層が非エネルギー線硬化性である場合の効果について説明したが、支持シートの樹脂膜形成用フィルムと直接接触している層が粘着剤層以外の層であっても、この層が非エネルギー線硬化性であれば、同様の効果を奏する。
[0384]
<<粘着剤組成物の製造方法>>
 粘着剤組成物(I-1)~(I-3)や、粘着剤組成物(I-4)等の粘着剤組成物(I-1)~(I-3)以外の粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
 各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
 溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
 配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
 各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
[0385]
◇樹脂膜形成用複合シートの製造方法
 本発明の樹脂膜形成用複合シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
 例えば、支持シートを製造するときに、基材上に粘着剤層を積層する場合には、基材上に上述の粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させればよい。
[0386]
 一方、例えば、基材上に積層済みの粘着剤層の上に、さらに樹脂膜形成用フィルムを積層する場合には、粘着剤層上に樹脂膜形成用組成物を塗工して、樹脂膜形成用フィルムを直接形成することが可能である。樹脂膜形成用フィルム以外の層も、この層を形成するための組成物を用いて、同様の方法で、粘着剤層の上にこの層を積層できる。このように、いずれかの組成物を用いて、連続する2層の積層構造を形成する場合には、前記組成物から形成された層の上に、さらに組成物を塗工して新たに層を形成することが可能である。ただし、これら2層のうちの後から積層する層は、別の剥離フィルム上に前記組成物を用いてあらかじめ形成しておき、この形成済みの層の前記剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面を、既に形成済みの残りの層の露出面と貼り合わせることで、連続する2層の積層構造を形成することが好ましい。このとき、前記組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
[0387]
 例えば、基材上に粘着剤層が積層され、前記粘着剤層上に樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる樹脂膜形成用複合シート(換言すると、支持シートが基材及び粘着剤層の積層物である樹脂膜形成用複合シート)を製造する場合には、基材上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、基材上に粘着剤層を積層しておき、別途、剥離フィルム上に樹脂膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に樹脂膜形成用フィルムを形成しておく。そして、この樹脂膜形成用フィルムの露出面を、基材上に積層済みの粘着剤層の露出面と貼り合わせて、樹脂膜形成用フィルムを粘着剤層上に積層することで、樹脂膜形成用複合シートが得られる。
[0388]
 なお、基材上に粘着剤層を積層する場合には、上述の様に、基材上に粘着剤組成物を塗工する方法に代えて、剥離フィルム上に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に粘着剤層を形成しておき、この層の露出面を、基材の一方の表面と貼り合わせることで、粘着剤層を基材上に積層してもよい。
 いずれの方法においても、剥離フィルムは目的とする積層構造を形成後の任意のタイミングで取り除けばよい。
[0389]
◇樹脂膜形成用複合シートの使用方法
 本発明の樹脂膜形成用複合シートは、例えば、以下に示す方法で使用できる。
 すなわち、まず、半導体ウエハの裏面に、樹脂膜形成用複合シートを、その樹脂膜形成用フィルムによって貼付する。
[0390]
 次いで、樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線の照射によってエネルギー線硬化させて樹脂膜とするか、又はエネルギー線硬化させさせずにそのままとしておき、樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、樹脂膜形成用フィルムをそのままとしておく。そして、ブレードダイシングによって、半導体ウエハを樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜ごと分割して、半導体チップとする。このとき、半導体チップのサイズが小さくなるように調節することが好ましい。より具体的には、半導体チップの1辺の長さは、4mm以下であることが好ましく、例えば、3.5mm以下、3mm以下及び2.5mm以下等のいずれかであってもよい。
[0391]
 次いで、半導体チップを、この樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜が裏面に貼付された状態のまま(すなわち、樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップとして)、支持シートから引き離してピックアップする。このとき、本発明の樹脂膜形成用フィルムを用いていることで、サイズが小さい樹脂膜形成用フィルム付き半導体チップ又は樹脂膜付き半導体チップであっても、これらを支持シートからピックアップするときに、支持シートへの樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜の残存を抑制できる。
[0392]
 なお、樹脂膜形成用フィルムが熱硬化性である場合(例えば、樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性ではなく熱硬化性である場合、又は、エネルギー線硬化性及び熱硬化性の両方の特性を有する場合)には、半導体チップに貼付されている、樹脂膜形成用フィルム又は熱硬化していない樹脂膜は、ピックアップの終了までの間、熱硬化させないことが好ましい。すなわち、本発明の熱硬化性樹脂膜形成用フィルムは、半導体チップのピックアップ後に熱硬化させることが好ましい。
 また、エネルギー線硬化性樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させずに、ブレードダイシングを行った場合には、ブレードダイシング後のいずれかの段階で、半導体チップの裏面に貼付されている樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて、樹脂膜としてもよいし、エネルギー線硬化させなくてもよい。
[0393]
 以降は従来法と同様の方法で、樹脂膜の用途に応じて、目的とする半導体装置を作製すればよい。
 例えば、樹脂膜形成用フィルム又は樹脂膜をフィルム状接着剤として用いる場合には、半導体チップを基板の回路面にフィルム状接着剤によってダイボンディングし、必要に応じて、この半導体チップにさらに半導体チップを1個以上積層して、ワイヤボンディングを行った後、全体を樹脂により封止することで、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製する。
 例えば、樹脂膜形成用フィルムを保護膜形成用フィルムとして(換言すると、樹脂膜を保護膜として)用いる場合には、保護膜付き半導体チップを基板の回路面にフリップチップ接続した後、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製すればよい。なお、この場合には、樹脂膜形成用フィルムの硬化による樹脂膜(保護膜)の形成は、ブレードダイシングの前後のいずれのタイミングでも行うことができる。
実施例
[0394]
 以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[0395]
<樹脂膜形成用組成物の製造原料>
 樹脂膜形成用組成物の製造に用いた原料を以下に示す。
[重合体成分(A)]
 (A)-1:アクリル酸n-ブチル(55質量部)、アクリル酸メチル(10質量部)、メタクリル酸グリシジル(20質量部)及びアクリル酸2-ヒドロキシエチル(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量800000、ガラス転移温度-28℃)。
[熱硬化性成分(B)]
・エポキシ樹脂(B1)
 (B1)-1:液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びアクリルゴム微粒子の混合物(日本化薬社製「BPA328」、エポキシ当量235g/eq)
 (B1)-2:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(日本化薬社製「XD-1000-L」、エポキシ当量248g/eq)
 (B1)-3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「エピクロンHP-7200HH」、エポキシ当量255~260g/eq)
・熱硬化剤(B2)
 (B2)-1:ジシアンジアミド(熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤、ADEKA社製「アデカハードナーEH-3636AS」、活性水素量21g/eq)
[硬化促進剤(C)]
 (C)-1:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ」)
[充填材(D)]
 (D)-1:球状シリカ(アドマテックス社「SC2050」)
[カップリング剤(E)]
 (E)-1:γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを付加させたシリケート化合物(三菱化学社製「MKCシリケートMSEP2」)
[架橋剤(F)]
 (F)-1:トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート三量体付加物(トーヨーケム社製「BHS8515」)
[エネルギー線硬化性樹脂(G)]
 (G)-1:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R-684」、紫外線硬化性樹脂)
[光重合開始剤(H)]
 光重合開始剤(H)-1:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製「IRGACURE 184」)
[0396]
<樹脂膜形成用複合シートの製造>
[実施例1]
(熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III-1)の製造)
 表1に示すように、重合体成分(A)-1(9.56質量部)、エポキシ樹脂(B1)-1(12.75質量部)、エポキシ樹脂(B1)-2(12.75質量部)、エポキシ樹脂(B1)-3(25.50質量部)、熱硬化剤(B2)-1(1.08質量部)、硬化促進剤(C)-1(1.08質量部)、充填材(D)-1(30.00質量部)、カップリング剤(E)-1(0.38質量部)、架橋剤(F)-1(0.32質量部)、エネルギー線硬化性樹脂(G)-1(6.37質量部)、及び光重合開始剤(H)-1(0.20質量部)を混合し、さらにメチルエチルケトンで固形分の濃度が55質量%となるように希釈して、熱硬化性樹脂膜形成用組成物(III-1)を得た。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の配合量は、すべて固形分量である。
[0397]
(樹脂膜形成用フィルムの製造)
 ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET381031」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた組成物(III-1)を塗工し、100℃で1分乾燥させることにより、厚さが20μmである樹脂膜形成用フィルムを形成した。
 さらに、この樹脂膜形成用フィルムの露出面(前記剥離フィルムを備えている側とは反対側の表面)に、別途、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製「SP-PET502150」、厚さ50μm)の前記剥離処理面を貼り合わせて、樹脂膜形成用フィルムの両面に剥離フィルムが積層された積層フィルムを作製した。
[0398]
(樹脂膜形成用複合シートの製造)
 上記で得られた積層フィルムから、後から貼り合わせた剥離フィルムを取り除いて、樹脂膜形成用フィルムを露出させた。
 エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)製フィルム(厚さ40μm)及びポリプロピレン(PP)製フィルム(厚さ50μm)が積層されてなる2層構造のフィルム(2層の合計の厚さ90μm)を基材として用い、そのポリプロピレン製フィルム側の表面に、上記の樹脂膜形成用フィルムの新たに露出させた面を貼り合わせることで、基材(支持シート)及び樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる樹脂膜形成用複合シートを得た。
[0399]
<樹脂膜形成用フィルムの評価>
(第1試験片の吸水率)
 上記で得られた複数枚の樹脂膜形成用フィルムを積層して貼り合わせ、合計の厚さが200μmである積層体を作製した。次いで、この積層体を、50mm×50mmの大きさに打ち抜く(切断する)ことで、大きさが50mm×50mm、厚さが200μmの第1積層体を作製した。次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000 m/12」)を用いて、照度220mW/cm 、光量120mJ/cm の条件で、この第1積層体に紫外線を照射することで、第1積層体を紫外線硬化させて、熱硬化していない第1硬化物を作製した。この第1硬化物を第1試験片として用い、直ちにその質量W を測定した。次いで、この第1試験片を23℃の純水中に2時間浸漬し、純水中から取り出し、表面に付着している余分の水滴を除去した後、この浸漬後の第1試験片の質量W を測定した。次いで、式「(W -W )/W ×100」により、第1試験片の吸水率(%)を算出した。なお、第1試験片の純水中への浸漬時には、第1試験片全体が純水に完全に浸るように、十分な量の純水を用いた。結果を表1に示す。
[0400]
(第2試験片の粘着力変化率)
 6インチシリコンミラーウエハ(厚さ350μm)の全面に、上記で得られた樹脂膜形成用フィルムを40℃に加熱して貼付した。そして、シリコンミラーウエハからはみ出している樹脂膜形成用フィルムを切り取り、除去した。さらに、樹脂膜形成用フィルムの露出面(換言すると、シリコンミラーウエハを備えている側とは反対側の表面)の複数個所に、幅25mm、長さ200mm、厚さ70μmの強粘着テープを貼付し、この強粘着テープの外周に沿って、樹脂膜形成用フィルムに切り込みを形成した。以上により、第2積層体を作製した。次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000 m/12」)を用いて、照度220mW/cm 、光量120mJ/cm の条件で、第2積層体中の樹脂膜形成用フィルムに紫外線を照射することで、樹脂膜形成用フィルムを紫外線硬化させて、熱硬化していない第2硬化物とした。この第2硬化物を備えた第2積層体(硬化済み第2積層体)を第2試験片として用い、直ちにこの第2試験片を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させた。次いで、直ちにこの経時後の第2試験片のうち、1箇所の強粘着テープの貼付箇所において、23℃の環境下で、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力(浸漬前粘着力)P A1を測定した。次いで、この経時後の第2試験片を23℃の純水中に2時間浸漬した。次いで、この第2試験片を純水中から取り出し、表面に付着している余分の水滴を除去した後、直ちにこの浸漬後の第2試験片のうち、他の1箇所の強粘着テープの貼付箇所において、23℃の環境下で、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力P B1を測定した。次いで、式「(|P B1-P A1|)/P A1×100」により、第2試験片の粘着力変化率(%)を算出した。このように、浸漬前粘着力及び浸漬後粘着力は、同一の第2試験片中の異なる箇所で連続的に測定した。また、第2試験片の純水中への浸漬時には、第2試験片全体が純水に完全に浸るように、十分な量の純水を用いた。
[0401]
 なお、浸漬前粘着力及び浸漬後粘着力の測定時には、いずれも島津製作所社製万能引張試験機「オートグラフ」を用いて、第2硬化物を引き剥がしたときに生じる2面の剥離面の為す角度が180°となるように、剥離速度300mm/minで、第2試験片において第2硬化物及び前記強粘着テープの積層物を引き剥がす、いわゆる180°剥離を行った。そして、このときの剥離力(mN/25mm)を測定して、これをそれぞれ浸漬前粘着力及び浸漬後粘着力とした。結果を表1に示す。
[0402]
(第3試験片のヤング率、破断伸度及び破断応力)
 上記で得られた複数枚の樹脂膜形成用フィルムを積層し、合計の厚さが200μmである積層体を作製した。次いで、この積層体を、15mm×150mmの大きさに打ち抜く(切断する)ことで、大きさが15mm×150mm、厚さが200μmの第3積層体を作製した。次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000 m/12」)を用いて、照度220mW/cm 、光量120mJ/cm の条件で、この第3積層体に紫外線を照射することで、第3積層体を紫外線硬化させて、熱硬化していない第3硬化物を作製した。この第3硬化物を第3試験片として用い、この第3試験片について、23℃の環境下で、JIS K 7127に準拠して、試験速度を200mm/minとして引張試験を行い、ヤング率(浸漬前ヤング率)(MPa)を測定した。
 別途、同じ第3試験片を23℃の純水中に2時間浸漬した。次いで、直ちにこの浸漬後の第3試験片について、23℃の環境下で、同じ方法で引張試験を行い、ヤング率(浸漬後ヤング率)(MPa)を測定した。なお、第3試験片の純水中への浸漬時には、第3試験片全体が純水に完全に浸るように、十分な量の純水を用いた。結果を表1に示す。
[0403]
 また、上記の第3試験片の浸漬前ヤング率及び浸漬後ヤング率の測定時に、第3試験片が破断したときの第3試験片の伸びから、第3試験片の浸漬前破断伸度(%)及び浸漬後破断伸度(%)をそれぞれ求め、第3試験片が破断したときに第3試験片に加えられていた力から、浸漬前破断応力(MPa)及び浸漬後破断応力(MPa)をそれぞれ求めた。結果を表1に示す。
[0404]
<樹脂膜形成用複合シートの評価>
(樹脂膜付き半導体チップのピックアップ適性(樹脂膜付き半導体チップの製造適性))
 テープラミネーター(リンテック社製「RAD3510」)を用いて、8インチシリコンミラーウエハに、バックグラインドテープ(リンテック社製「ADWILL E-8180HR」)を貼付した。次いで、グラインダー(ディスコ社製「DGP8760」)を用いて、8インチシリコンミラーウエハのバックグラインドテープが貼付されている側とは反対側の面を研削し、シリコンミラーウエハの厚さを350μmとした。そして、このシリコンミラーウエハを、研削後72時間放置した。次いで、ウエハマウンター(リンテック社製「RAD2700」)を用いて、この放置後のシリコンミラーウエハの研削面に、上記で得られた樹脂膜形成用複合シートを40℃に加熱して、その樹脂膜形成用フィルムによって、20mm/secの貼付速度で貼付した。次いで、バックグラインドテープを取り除いた後、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000 m/12」)を用いて、照度230mW/cm 、光量120mJ/cm の条件で、この樹脂膜形成用複合シート中の樹脂膜形成用フィルムに紫外線を照射することで、樹脂膜形成用フィルムを紫外線硬化させて、熱硬化していない樹脂膜を作製した。次いで、ダイシング装置(ディスコ社製「DFD6361」)を用いて、シリコンミラーウエハを樹脂膜ごと、1.0L/minの流量で冷却水をかけながらダイシングすることにより、大きさが2mm×2mmのシリコンチップへと個片化した。
[0405]
 ダイシング後の多数の樹脂膜付きシリコンチップが支持シートに固定化されているワークを、23℃の純水中に2時間浸漬した。次いで、ピックアップ・ダイボンディング装置(キャノンマシナリー社製「BESTEM-D02」)を用いて、この浸漬後のワークにおいて、樹脂膜付きシリコンチップを支持シート(前記基材)から引き離してピックアップする操作を100回行った。このときのピックアップは、1個の樹脂膜付きシリコンチップを1本のピンで突き上げる方式とし、突上速度を20mm/sとし、突上量を200μmとした。次いで、光学顕微鏡(キーエンス社製「VHX-100」)を用いて、操作終了後の支持シートにおける樹脂膜付きシリコンチップを備えていた側の表面を観察し、樹脂膜の残存の有無を確認した。そして、支持シートの前記表面において、樹脂膜付きシリコンチップを備えていた100箇所のうち、樹脂膜が残存している箇所の数から、ピックアップが正常に行われなかった回数、すなわち、ピックアップ適性での不良数を特定した。支持シートの前記表面において、樹脂膜が残存している箇所では、樹脂膜付きシリコンチップを正常にピックアップできなかったと判断される。結果を表1に示す。表1中の評価結果の欄のうち、「ピックアップ適性での不良数」の欄に、本項目の評価結果を示している。
[0406]
<樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜形成用複合シートの製造並びに評価>
[実施例2~3、比較例1~2]
 熱硬化性樹脂膜形成用組成物(樹脂膜形成用フィルム)の各成分の含有量を、表1に示すとおりとした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、樹脂膜形成用フィルム及び樹脂膜形成用複合シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
 なお、表1中の含有成分の欄の「-」との記載は、熱硬化性樹脂膜形成用組成物がその成分を含有していないことを意味する。
[0407]
[表1]


[0408]
 上記結果から明らかなように、実施例1~3では、樹脂膜付きシリコンチップのピックアップ適性での不良数が4以下に抑制されていた。
[0409]
 実施例1~3では、第1試験片の吸水率が0.24~0.50%であり、第2試験片の粘着力変化率が16.5~38.4%であった。第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の、浸漬前粘着力(経時後粘着力)P A1の測定時と、浸漬後粘着力P B1の測定時に、目視により第2試験片の剥離箇所を観察したところ、実施例1~3では、浸漬前後のいずれにおいても、第2試験片の第2硬化物中で凝集破壊が生じていた。
 すなわち、実施例1~3の樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化物は、吸水率が低く、浸漬(吸水)前後での粘着力の変化が抑制されており、浸漬後においても、ピックアップ適性が優れていた。
[0410]
 また、実施例1~3では、第3試験片の浸漬後ヤング率が20.7~104.5MPaであり、実施例1~3の樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化物は、ピックアップ時に目的外の箇所での切断が起こり難いものであり、より好ましい特性を有していた。さらに、実施例1~3では、第3試験片の浸漬後破断伸度が25~384%であり、第3試験片の浸漬後破断応力が0.9~4.6MPaであった。
[0411]
 これに対して、比較例1では、樹脂膜付きシリコンチップのピックアップ適性での不良数が56であり、明らかにピックアップ適性に劣っていた。
[0412]
 比較例1では、第1試験片の吸水率が0.96%であり、高水準であった。
 一方、実施例1~3の場合と同様に、浸漬前粘着力(経時後粘着力)P A1の測定時と、浸漬後粘着力P B1の測定時に、目視により第2試験片の剥離箇所を観察したところ、浸漬後においては、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じていたが、浸漬前においては、第2硬化物と強粘着テープとの間で界面破壊が生じており、第2硬化物とシリコンミラーウエハとは、密着したままであった。すなわち、比較例1では、浸漬前の剥離力が、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力を表してはおらず、剥離力の測定値が23584(mN/25mm)であったことから、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力は、23584(mN/25mm)より大きく、第2試験片の粘着力変化率が66.0%よりも大きいことを確認するにとどまった。ただし、前記粘着力変化率が高水準であることは確認できた。
 すなわち、比較例1の樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化物は、吸水率が高目であり、浸漬(吸水)前後での粘着力の変化が抑制されておらず、浸漬後において、ピックアップ適性の点で、好ましい特性を有していなかった。
[0413]
 また、比較例1では、第3試験片の浸漬後ヤング率が1.0MPaであり、比較例1の樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化物は、ピックアップ時に目的外の箇所での切断が起こり易いものであり、この点でも好ましい特性を有していなかった。
[0414]
 比較例2でも、樹脂膜付き半導体チップのピックアップ適性での不良数が45であり、明らかにピックアップ適性に劣っていた。
[0415]
 比較例2では、第1試験片の吸水率が0.62%であり、高水準であった。
 一方、比較例2でも、比較例1の場合と同様に、浸漬後においては、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間で界面破壊が生じていたが、浸漬前においては、第2硬化物と強粘着テープとの間で界面破壊が生じており、第2硬化物とシリコンミラーウエハとは、密着したままであった。すなわち、比較例2でも、浸漬前の剥離力が、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力を表してはおらず、剥離力の測定値が25877(mN/25mm)であったことから、第2硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力は、25877(mN/25mm)より大きく、第2試験片の粘着力変化率が69.0%よりも大きいことを確認するにとどまった。ただし、前記粘着力変化率が高水準であることは確認できた。
 すなわち、比較例2の樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化物も、吸水率が高目であり、浸漬(吸水)前後での粘着力の変化が抑制されておらず、浸漬後において、ピックアップ適性の点で、好ましい特性を有していなかった。
[0416]
 また、比較例2では、第3試験片の浸漬後ヤング率が5.1MPaであり、比較例2の樹脂膜形成用フィルムのエネルギー線硬化物も、ピックアップ時に目的外の箇所での切断が起こり易いものであり、この点でも好ましい特性を有していなかった。

産業上の利用可能性

[0417]
 本発明は、半導体装置の製造に利用可能である。

符号の説明

[0418]
 101,102,103,104,105・・・樹脂膜形成用複合シート、1・・・支持シート、11・・・基材、12・・・粘着剤層、13,23・・・樹脂膜形成用フィルム

請求の範囲

[請求項1]
 樹脂膜形成用フィルムであって、
 複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる、大きさが50mm×50mm、厚さが200μmの第1積層体を作製し、
 前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、前記第1積層体をエネルギー線硬化させた第1硬化物を第1試験片とし、前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、前記第1積層体を第1試験片として、前記第1試験片を純水中に2時間浸漬したとき、前記第1試験片の吸水率が0.55%以下であり、かつ、
 前記樹脂膜形成用フィルムがシリコンミラーウエハに貼付されてなる第2積層体を作製し、
 前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、前記第2積層体中の前記樹脂膜形成用フィルムをエネルギー線硬化させて第2硬化物とした後の硬化済み第2積層体を第2試験片とし、前記第2試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させたときの、前記第2硬化物と前記シリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力を測定し、経時後の前記第2試験片を純水中に2時間浸漬したときの、前記第2硬化物と前記シリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力を測定したとき、前記経時後粘着力及び浸漬後粘着力から算出される前記第2試験片の粘着力変化率が、60%以下であるか、又は、
 前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、前記第2積層体を第2試験片とし、前記第2試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下で30分静置して経時させたときの、前記樹脂膜形成用フィルムと前記シリコンミラーウエハとの間の経時後粘着力を測定し、経時後の前記第2試験片を純水中に2時間浸漬したときの、前記樹脂膜形成用フィルムと前記シリコンミラーウエハとの間の浸漬後粘着力を測定したとき、前記経時後粘着力及び浸漬後粘着力から算出される前記第2試験片の粘着力変化率が、60%以下である、樹脂膜形成用フィルム。
[請求項2]
 複数枚の前記樹脂膜形成用フィルムが積層されてなる、大きさが15mm×150mm、厚さが200μmの第3積層体を作製し、前記樹脂膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合には、前記第3積層体をエネルギー線硬化させた第3硬化物を第3試験片とし、前記樹脂膜形成用フィルムが非エネルギー線硬化性である場合には、前記第3積層体を第3試験片として、前記第3試験片を純水中に2時間浸漬したとき、JIS K 7127に準拠した引張試験で、試験速度を200mm/minとして測定された、浸漬後の前記第3試験片のヤング率が、15MPa以上である、請求項1に記載の樹脂膜形成用フィルム。
[請求項3]
 前記樹脂膜形成用フィルムが充填材を含有し、
 前記樹脂膜形成用フィルムにおいて、前記樹脂膜形成用フィルムの総質量に対する、前記充填材の含有量の割合が、25~75質量%である、請求項1又は2に記載の樹脂膜形成用フィルム。
[請求項4]
 支持シートを備え、前記支持シート上に、樹脂膜形成用フィルムを備えてなり、
 前記樹脂膜形成用フィルムが、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂膜形成用フィルムである、樹脂膜形成用複合シート。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]