このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2019008863) 電源システム、電源装置、制御方法及び制御プログラム
Document

明 細 書

発明の名称 電源システム、電源装置、制御方法及び制御プログラム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

発明の効果

0040  

図面の簡単な説明

0041  

発明を実施するための形態

0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147  

符号の説明

0148  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17  

図面

1   2   3   4   5   6A   6B   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : 電源システム、電源装置、制御方法及び制御プログラム

技術分野

[0001]
 本発明は、共通の負荷に並列接続される複数の電源装置を備えた電源システム及び当該電源システムを構成する電源装置、並びに制御方法及び制御プログラムに関する。

背景技術

[0002]
 アーク溶接機、アーク切断機等、500~1000Aを超える大電流を必要とする機器がある。特許文献1には、商用交流をAC/DC変換する複数のスイッチングコンバータ回路を並列接続してなり、アーク溶接機へ大電流を出力することができる電源装置が開示されている。各スイッチングコンバータ回路の動作は一つのコントローラによって制御されており、全体として一台の電源装置を構成している。当該コントローラは、各スイッチングコンバータから出力され、合流した電流を検出し、検出された電流が目標電流と一致するように各スイッチングコンバータ回路をPWM制御している。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2001-129667号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 ただ、このように一台の装置で大電流を出力するように構成された電源装置は、長時間運転に耐え得る耐熱設計、安全設計等、種々の問題を抱えており、一般的に高価である。
[0005]
 一方、既存の複数の電源装置を共通の負荷に並列接続し、各電源装置から当該負荷へ電流を供給することも考えられている。しかし、各電源装置は、基本的に個別に動作し、出力電流が目標電流に一致するように制御されている。このため、各電源装置から負荷へ供給される電流が安定しないという問題がある。例えば、溶接負荷は、短絡負荷、アーク負荷、無負荷へと短時間で頻繁に変化するために、電流は過渡状態の連続となる。
 並列接続された各電源装置から負荷へ出力される電流等を外部制御装置にて監視し、各電源装置の動作を補正することも考えられるが、外部制御装置を導入するための設備コストが掛かるという問題がある。また、各電源装置が個別に動作していることには変わりが無く、負荷へ出力される電流の安定性に欠けるという問題がある。
[0006]
 本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、共通の負荷に並列接続される複数の電源装置を備えた電源システムであって、外部制御装置を導入すること無く、各電源装置を同期させ、当該電源装置から負荷へ出力される電流を安定的に制御することができる電源システム、及び当該電源システムを構成する電源装置、並びに制御方法及び制御プログラムを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明に係る電源システムは、共通の負荷に並列接続される複数の電源装置を備えた電源システムであって、第1の前記電源装置は、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出する制御情報算出部と、該制御情報算出部にて算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する制御部と、前記制御情報算出部にて算出された元情報を第2の前記電源装置へ送信する元情報送信部とを備え、前記第2の電源装置は、前記第1の電源装置から送信された元情報を受信する元情報受信部と、該元情報受信部にて受信した元情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報を算出する制御情報算出部と、該制御情報算出部にて算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する制御部と、自装置から前記負荷へ出力された電流を検出する電流検出部と、該電流検出部にて検出された電流を示す電流情報を前記第1の電源装置へ送信する電流情報送信部とを備え、前記第1の電源装置は、更に、前記第2の電源装置から送信された電流情報を受信する電流情報受信部と、自装置から前記負荷へ出力された電流を検出する電流検出部と、自装置から前記負荷へ出力された電圧を検出する電圧検出部とを備え、前記制御情報算出部は、前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流と、前記第1の電源装置が備える前記電流検出部にて検出された電流と、前記電圧検出部にて検出された電圧とに基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出する。
[0008]
 本発明にあっては、共通の負荷に並列接続される第1及び第2の電源装置が相互に通信を行い、第1の電源装置が電源システム全体の出力を制御する。従って、各電源装置を同期させ、各電源装置から負荷へ出力される電流を安定的に制御することができる。
 具体的には、第1の電源装置は、負荷への出力を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出する。そして、第1の電源装置は、算出して得た制御情報に基づいて自装置の出力を制御すると共に、当該元情報を第2の電源装置へ送信する。
 第2の電源装置は、第1の電源装置から送信された元情報を受信し、受信した元情報に基づいて、出力を制御するための制御情報を算出し、算出された制御情報に基づいて自装置の出力を制御する。そして、第2の電源装置は、自装置から負荷へ出力された電流を検出し、電流情報を第1の電源装置へ送信する。
 第1の電源装置は、第2の電源装置から送信された電流情報を受信し、受信した電流情報が示す電流と、自装置で検出した電流及び電圧とに基づいて、制御情報及び元情報を算出する。ここで算出される制御情報は、第1及び第2の電源装置から出力された電流及び電圧に基づいて算出されるものであり、電源システム全体の出力を制御することが可能な情報である。元情報から算出される制御情報も同様にして電源システム全体の出力を制御することが可能な情報である。第1及び第2の電源装置は、かかる制御情報に基づいて出力を制御しているため、各電源装置の出力を同期させることができ、各電源装置から負荷へ出力される電流が不安定になることは無く、出力の安定的な制御が可能になる。
[0009]
 本発明に係る電源システムは、前記第1の電源装置及び前記第2の電源装置は、自装置の動作状態を示す表示部を備え、前記第1の電源装置の表示部は、前記第1の電源装置が動作している場合、前記第1の電源装置にて検出された電流と、前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流とを加算して得られる電流及び前記電圧検出部にて検出された電圧を表示し、前記第2の電源装置の表示部は、前記第2の電源装置が動作している場合、所定情報を表示する構成が好ましい。
[0010]
 本発明にあっては、電源システム全体の制御を行っている第1の電源装置の表示部には、電源システムから負荷へ出力されている電流及び電圧が表示され、第2の電源装置には所定情報が表示される。
 従って、使用者は、第1の電源装置の表示部を用いて、電源システムから負荷へ出力されている電流及び電圧の情報を確認することができる。また、第2の電源装置の表示部に所定情報を表示することによって、使用者に無用な混乱を与えないようにすることができる。例えば、第1及び第2の電源装置の表示部にそれぞれ数値が表示されていると、使用者は、各表示部に表示される数値の意味、関係を確認しようとするため、不要な確認作業負担を与えてしまう。本願によれば、電圧及び電流を第1の電源装置の表示部にのみ表示する構成であるため、かかる確認作業負担を使用者に与えることを避けることができる。
[0011]
 本発明に係る電源システムは、前記第1の電源装置の制御部は、前記電流情報受信部が電流情報を受信していない場合、自装置の動作を停止させる構成が好ましい。
[0012]
 本発明にあっては、第1の電源装置は、第2の電源装置から送信されるはずの電流情報を受信していない場合、第2の電源装置との通信に異常があるものとして、自装置の動作を停止する。第1の電源装置の動作が停止すると、第2の電源装置の動作も停止する。従って、電源装置間の通信に異常があった場合、電源システム全体を停止させ、安全を確保することができる。また、電源システムを保全することができる。
[0013]
 本発明に係る電源システムは、前記第1の電源装置は、前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流が所定の閾値未満であるか否かを判定する判定部を備え、該判定部が閾値未満であると判定した場合、自装置の動作を停止させる構成が好ましい。
[0014]
 本発明にあっては、第1の電源装置は、自装置が電流を出力しているにも関わらず、第2の電源装置から出力される電流が閾値未満である場合、第2の電源装置に異常があるものとして、自装置の動作を停止する。第1の電源装置の動作が停止すると、第2の電源装置の動作も停止する。従って、第2の電源装置の出力に異常があった場合、電源システム全体を停止させ、安全を確保することができる。また、電源システムを保全することができる。
 なお、閾値は、第2の電源装置から電流が出力されているか否かを判定するための値である。
[0015]
 本発明に係る電源システムは、前記第2の電源装置は、自装置の異常の有無を示す異常情報を前記第1の電源装置へ送信する異常情報送信部を備え、前記第1の電源装置は、前記第2の電源装置から送信された異常情報を受信する異常情報受信部を備え、前記第1の電源装置の制御部は、前記異常情報受信部にて受信した異常情報に応じて、自装置の動作を停止させる構成が好ましい。
[0016]
 本発明にあっては、第1の電源装置は、第2の電源装置の異常の有無を示す異常情報を受信しており、第2の電源装置の動作状態に応じて、自装置の動作を停止する。第1の電源装置の動作が停止すると、第2の電源装置の動作も停止する。従って、第2の電源装置に何らかの異常があった場合、電源システム全体を停止させることができる。例えば、第2の電源装置に過電流が発生した場合、電源システム全体を停止させることができ、安全を確保することができる。また、電源システムを保全することができる。
[0017]
 本発明に係る電源システムは、前記複数の電源装置は、アーク溶接に係る負荷へ給電を行う構成が好ましい。
[0018]
 本発明にあっては、電源システムは、アーク溶接に係る負荷へ大電流を供給することができる。
[0019]
 本発明に係る電源システムは、前記元情報は、前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流と、前記第1の電源装置が備える前記電流検出部にて検出された電流とを加算して得られる総電流と、該総電流の目標電流とを含む構成が好ましい。
[0020]
 本発明にあっては、第1の電源装置は、少なくとも第1及び第2の電源装置から負荷へ出力される総電流と、目標電流とを含む元情報を、第2の電源装置へ送信する。第2の電源装置は、元情報に含まれる総電流及び目標電流に基づいて、自装置の出力を制御するための制御情報を算出し、算出して得た制御情報に基づいて、負荷へ出力する電圧又は電流を制御する。
[0021]
 本発明に係る電源システムは、前記電源装置は、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するためのインバータを備え、前記制御部は、前記インバータへパルス信号を出力することによって、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御しており、前記元情報送信部は、前記制御部が出力するパルス信号のオフ期間に元情報を送信する構成が好ましい。
[0022]
 本発明にあっては、各電源装置の制御部は、パルス信号をインバータへ出力することによって、負荷へ出力する電圧又は電流を制御する。パルス信号は、例えばPWM信号である。ところで、本発明に係る電源システムにおいては、複数の電源装置間で、電源制御に係る元情報を送受信する構成であるため、高速な通信が必要である。このため、通信の信頼性を向上させる複雑な処理を行うことは難しく、耐ノイズ性の低い通信となる可能性がある。
 そこで、第1の電源装置の元情報送信部は、パルス信号のオフ期間に元情報を第2の電源装置へ送信する。パルス信号のオフ期間に元情報を送受信することにより、インバータの動作に起因するノイズが当該元情報に乗ることを避けることができ、電源装置間の通信安定性を向上させることができる。なお、制御部によるインバータ制御と、前記元情報送信部による情報送信とは、同期していることが前提である。
[0023]
 本発明に係る電源システムは、前記電流情報送信部は、前記制御部が出力するパルス信号のオフ期間に電流情報を送信する構成が好ましい。
[0024]
 本発明にあっては、第2の電源装置の電流情報送信部は、パルス信号のオフ期間に電流情報を第1の電源装置へ送信する。従って、インバータの動作に起因するノイズが当該電流情報に乗ることを避けることができ、電源装置間の通信安定性を向上させることができる。
[0025]
 本発明に係る電源システムは、前記第1の電源装置及び前記第2の電源装置は、前記負荷へ電圧又は電流を出力していない場合、パケット通信にて情報を送受信し、前記負荷へ電圧又は電流を出力している場合、所定量データを送受信する非パケット通信にて情報を送受信する構成が好ましい。
[0026]
 本発明にあっては、高速通信が必要な溶接動作中においては、非パケット通信にて情報を送受信する。一方、高速通信が不要な非溶接動作中においては、パケット通信にて情報を送受信する。以下、溶接動作中に行う通信方式を適宜、ダイレクト通信モード、非溶接動作中に行う通信方式を、コマンド通信モードと呼ぶ。
 例えば、各電源装置は、溶接動作中のダイレクト通信モードにおいては、負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための元情報を所定量データとして、非パケット通信にて送受信する。所定量データは、固定ビット配列のデータ、例えば32ビットのデータである。ダイレクト通信モード時に送受信される情報は、所定量データの範囲内に収められる。ダイレクト通信モードにおいては、扱えるデータ量が小さい反面、送受信するデータを固定ビット配列に収めるため、高速通信が可能となり、データの取りこぼしに対する頑健性を得ることができる。
 一方、各電源装置は、非溶接動作中、例えば溶接ワイヤのインチング動作中においては、溶接ワイヤの送給に係る情報をパケット通信にて送受信する。非溶接動作中のコマンド通信モードにおいては、各電源装置は多様な情報を送受信することができる。電源装置は、パケットのヘッダ情報を参照することによって、コマンド通信モードにおけるデータを、ダイレクト通信モードにおけるデータと区別することができる。
[0027]
 本発明に係る電源システムは、前記第2の電源装置は、非パケット通信にて情報を送受信しており、前記元情報を所定時間以上受信しなかった場合、通信方式をパケット通信に切り替える構成が好ましい。
[0028]
 第1及び第2の電源装置がパケット通信を行っている場合、即ちコマンド通信モードにある場合、通信の信頼性は高く、溶接開始時に第1及び第2の電源装置は問題なく非パケット通信であるダイレクト通信モードに切り替えることができる。
 一方、第1及び第2の電源装置が非パケット通信を行っている場合、即ちダイレクト通信モードにある場合、溶接終了時の通信に失敗し、第1の電源装置の通信方式がパケット通信に切り替えられたにもかかわらず、第2の電源装置の通信方式が非パケット通信のままになるおそれがある。しかし、本発明に係る第2の電源装置は、所定時間以上、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための元情報を受信しない場合、つまり非溶接動作中にある場合、第2の電源装置は能動的に通信方式をコマンド通信モードに切り替える。前記元情報を受信しない場合には、パケット通信に係る情報を受信している状況、出力ゼロを示す元情報を受信している状況等が含まれる。従って、第1及び第2の電源装置は、溶接終了時に通信方式を確実にコマンド通信モードに切り替えることができる。
[0029]
 本発明に係る電源システムは、前記第1の電源装置の制御情報算出部は、前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流と、前記第1の電源装置が備える前記電流検出部にて検出された電流に基づいて、前記第1の電源装置及び前記第2の電源装置から前記負荷へ出力される電流が等しくなるように、前記第1の電源装置に係る前記制御情報を補正し、前記第2の電源装置の制御情報算出部は、前記元情報受信部にて受信した元情報に基づいて、前記第1の電源装置及び前記第2の電源装置から前記負荷へ出力される電流が等しくなるように、前記第2の電源装置に係る前記制御情報を補正する構成が好ましい。
[0030]
 電源装置及び負荷を接続するパワーケーブルの電気抵抗のバラツキ、電源装置内部の抵抗のバラツキ、接続電気抵抗のバラツキ等によって、実際に電源装置から負荷へ出力される電流はバラツキを有するおそれがある。電流のバラツキが発生すると、運転中の電源装置の温度にもバラツキが生じ、並列接続された各電源装置の寿命にもバラツキが生ずる。
 そこで、第1の電源装置の制御情報算出部は、当該第1の電源装置の出力を制御するための制御情報を、電流のバラツキが小さくなるように補正する。
 同様に、第2の電源装置の制御情報算出部は、第2の電源装置の出力を制御するための制御情報を、電流のバラツキが小さくなるように補正する。
 従って、第1の電源装置から出力される電流と、第2の電源装置から出力される電流とのバラツキを抑えることができる。
 また、第1及び第2の電源装置の制御情報を同様に補正することによって、第1及び第2の電源装置から負荷へ出力される電流の総和に与える影響を極力抑えることができ、各制御情報を補正することができる。なお、電流の総和が変動するような補正が行われたとしても、制御情報算出部は、電流の総和が所要の値になるように制御情報及び元情報の算出を行うため、制御情報の補正によって、負荷へ出力される電流が変化することは無い。
 第1及び第2の電源装置は、上記のように算出及び補正された制御情報に基づいて、出力を制御しているため、各電源装置から負荷へ出力される電流が不安定になったり、電流のバラツキが生じたりすることは無く、出力電流の安定的なバランス制御が可能になる。
[0031]
 本発明に係る電源装置は、負荷へ電圧及び電流を出力する電源装置であって、前記負荷へ出力された電流を検出する電流検出部と、前記負荷へ出力された電圧を検出する電圧検出部と、他の電源装置から前記負荷へ出力された電流を示す電流情報を受信する電流情報受信部と、該電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流と、前記電流検出部にて検出された電流と、前記電圧検出部にて検出された電圧とに基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出する制御情報算出部と、該制御情報算出部にて算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する制御部と、前記制御情報算出部にて算出された元情報を前記他の電源装置へ送信する元情報送信部とを備える。
[0032]
 本発明に係る電源装置によれば、上述の電源システムを構成し、自装置及び他の電源装置の出力を同期させ、各電源装置から負荷へ出力される電流を安定的に制御することができる。
[0033]
 本発明に係る電源装置は、前記電流検出部にて検出された電流を示す電流情報を前記他の電源装置へ送信する電流情報送信部と、前記他の電源装置から送信された元情報を受信する元情報受信部と、受信した電流情報並びに検出された電圧及び電流を用いて前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する第1制御方式、及び前記元情報受信部にて受信した元情報を用いて前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する第2制御方式を選択するための操作部とを備え、前記第1制御方式が選択された場合、前記制御部は、前記制御情報算出部にて算出された制御情報に基づいて前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御し、前記第2制御方式が選択された場合、前記制御情報算出部は、前記元情報受信部にて受信した元情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報を算出し、前記制御部は、算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する構成が好ましい。
[0034]
 本発明にあっては、電源装置の操作部を操作することによって、自装置を上述の第1の電源装置として機能させるか、第2の電源装置として機能させるかを選択することができる。従って、本願に係る電源装置を複数用意して並列接続し、一つの電源装置を第1の電源装置として機能させ、他の電源装置を第2の電源装置として機能させることができ、上述の電源システムを構成することができる。
 任意の電源装置を第1の電源装置又は第2の電源装置として切り替えて機能させることができるため、第1の電源装置として機能している電源装置が故障した場合であっても、第2の電源装置として機能している複数の電源装置の内、一つの電源装置を第1の電源装置として機能するように切り替えることによって、電源システムを再構築することができる。
[0035]
 本発明に係る制御方法は、共通の負荷に並列接続される複数の電源装置を備えた電源システムの制御方法であって、第1の電源装置及び第2の電源装置から前記負荷へ出力された電流、並びに前記第1の電源装置から前記負荷へ出力された電圧を検出し、前記第1の電源装置は、検出された各電流及び電圧に基づいて、第1の電源装置から前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出し、算出された元情報を前記第2の電源装置へ送信すると共に、算出された制御情報に基づいて、前記第1の電源装置から前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御し、前記第2の電源装置は、前記第1の電源装置から送信された元情報を受信し、受信した元情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報を算出し、算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する。
[0036]
 本発明に係る制御方法によれば、共通の負荷に並列接続される複数の電源装置を同期させ、当該電源装置から当該負荷へ出力される電流を安定的に制御することができる。
[0037]
 本発明に係る制御プログラムは、負荷へ電圧及び電流を出力する電源装置の動作をコンピュータに制御させるための制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記負荷へ出力された電流を取得し、前記負荷へ出力された電圧を取得し、他の電源装置から前記負荷へ出力された電流を示す電流情報を取得し、取得した各電流及び電圧に基づいて、前記電源装置が前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出し、算出された元情報を他の電源装置へ送信すると共に、算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する処理を実行させる。
[0038]
 本発明に係る制御プログラムは、前記コンピュータに、取得した電流を示す電流情報を前記他の電源装置へ送信し、前記他の電源装置から送信された元情報を受信し、受信した元情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報を算出し、算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する処理を実行させる構成が好ましい。
[0039]
 本発明に係る制御プログラムによれば、共通の負荷に並列接続される複数の電源装置を同期させ、当該電源装置から当該負荷へ出力される電流を安定的に制御することができる。

発明の効果

[0040]
 本発明によれば、共通の負荷に並列接続される複数の電源装置を備えた電源システムにおいて、外部制御装置を導入すること無く、各電源装置を同期させ、当該電源装置から負荷へ出力される電流を安定的に制御することができる。

図面の簡単な説明

[0041]
[図1] 本実施形態1に係る電源システムの一構成例を示すブロック図である。
[図2] 電源装置の一構成例を示すブロック図である。
[図3] 操作パネルの一構成例を示す模式図である。
[図4] 給電制御に係る各電源装置の処理手順を示すフローチャートである。
[図5] 給電制御に係る各電源装置の処理手順を示すフローチャートである。
[図6A] 動作状態の表示例を示す模式図である。
[図6B] 動作状態の表示例を示す模式図である。
[図7] インバータの一構成例を示す回路図である。
[図8] 情報の送信タイミングを示すタイミングチャートである。
[図9] 溶接中における通信状態を概念的に示すブロック図である。
[図10] 非溶接中における通信状態を概念的に示すブロック図である。
[図11] スレーブ側における通信方式の切り替え方法を概念的に示す遷移図である。
[図12] 実施形態4の給電制御に係る各電源装置の処理手順を示すフローチャートである。
[図13] PWM制御情報等の算出及び補正に係る処理手順を示すフローチャートである。
[図14] 実施形態5に係る信号処理回路の一構成例を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0042]
 以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
 図1は、本実施形態1に係る電源システムの一構成例を示すブロック図である。本実施形態1に係る電源システムは、アーク溶接に係る共通の負荷2に並列接続され、当該負荷2に対して給電を行う、複数の電源装置1を備える。各電源装置1は通信線によって接続されている。複数の電源装置1は、絶縁型のスイッチング電源であり、交流を所要の直流にAC/DC変換し、交直変換された直流を負荷2へ供給する。
[0043]
 各電源装置1は、定電圧特性を有する同一規格及び同一仕様の電源であり、例えば、電源装置1は、100Aの溶接電流の増加に対する溶接電圧の低下が4V以上20V以下となる外部特性を有する。電源装置1の外部特性をこのように設定し、所定の溶接条件で溶接を行うと、アークの熱によって母材22に凹状の溶融部分が形成され、溶接ワイヤ21の先端部が溶融部分によって囲まれる空間に進入した埋もれアーク状態を維持することが容易となる。埋もれアーク状態を実現してアーク溶接を行うと、片面1パスで25mmの溶け込みを得ることができ、厚板の1パス溶接が可能になる。
[0044]
 複数の電源装置1の内、一の電源装置1は、通信線を介して他の電源装置1へPWM制御情報を得るための元情報を送信することにより、各電源装置1の出力を制御するマスタ電源として機能する。他の電源装置1は当該一の電源装置1から送信された元情報を受信し、受信した元情報に基づいてPWM制御情報を算出し、算出されたPWM制御情報に基づいて出力を制御するスレーブ電源として機能する。以下、マスタ電源として機能する電源装置1を、適宜第1の電源装置1と呼び、スレーブ電源として機能する電源装置1を第2の電源装置1と呼ぶ。第2の電源装置1は複数であっても良いし、単一であっても良い。
[0045]
 第2の電源装置1は、自装置から負荷2へ出力される電流を検出し、検出された電流を示す電流情報を、通信線を介して第1の電源装置1へ送信する。第1の電源装置1は、第2の電源装置1から送信された電流情報を受信し、当該電流情報が示す電流と、自装置で検出した電流とを加算することによって、電源システムから負荷2へ出力される総電流を算出する。そして、第1の電源装置1は、自装置から負荷2へ出力される電圧を検出し、検出して得た電圧と、総電流とに基づいて、溶接波形制御演算を行い、電源システムを構成する各電源装置1の出力を制御するためのPWM制御情報及びPWM制御情報を得るための元情報を算出する。元情報は、例えば、電源システムから負荷2へ出力される総電流と、総電流の目標電流とを含む。目標電流の内容は、所要の溶接内容によって異なるものであり、特に限定されるものでは無いが、一般的には変動する値である。例えば、目標電流は数十μ秒周期で変動する値である。第1の電源装置1は、このようにして算出したPWM制御情報に基づいて、自装置の出力を制御すると共に、上述のように当該元情報を第2の電源装置1へ送信することによって、各電源装置1の動作を制御する。
 同一規格及び同一仕様の各電源装置1は、系全体で総電流及び目標電流を共有することにより、出力制御を同期させることができ、単一電源と同様の溶接制御を実現することができる。
[0046]
 なお、後述するように、動作モードを切り替えることによって、各電源装置1を、マスタ電源及びスレーブ電源のいずれの電源としても機能させることができる。また、動作モードを切り替えることによって、一台の独立した電源装置1としても機能させることができる。
[0047]
 図2は、電源装置1の一構成例を示すブロック図である。以下、説明を簡単にするため、電源システムが第1の電源装置1と、第2の電源装置1の2台で構成されているものとして説明する。また、第1及び第2の電源装置1の構成は同じであるため、主に一方の電源装置1の構成を説明する。
[0048]
 電源装置1は、操作パネル10、入力部11、整流器12、インバータ13、トランス14、整流平滑器15、電圧検出部16、電流検出部17、主制御部18及び信号処理部19を備える。
[0049]
 入力部11は、例えば図示しない3相交流電源に接続される入力端子である。入力部11は、整流器12に接続されており、入力端子に印加された3相交流は整流器12に入力される。
[0050]
 整流器12は、例えばダイオードブリッジ回路である。ダイオードブリッジは図示しない2つの順接続されたダイオードからなる直列回路を3組並列させた回路構成である。また、ダイオードブリッジ回路の出力端には図示しない平滑コンデンサが設けられている。整流器12は、入力部11を介して3相交流電源から入力された交流を全波整流し、平滑コンデンサにて平滑化された直流をインバータ13へ出力する。
[0051]
 インバータ13は、整流器12にて整流及び平滑化された直流を高周波の交流に変換してトランス14へ出力する回路である。インバータ13は、例えば、4つのスイッチング素子からなるフルブリッジ回路である。フルブリッジ回路は、2つのスイッチング素子を直列接続してなるレグを2組並列接続させた回路構成である。各スイッチング素子は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)等のパワーデバイスである。
[0052]
 トランス14は、インバータ13から出力された交流を変圧し、変圧された交流を整流平滑器15へ出力する。トランス14は、コアに巻回され、磁気結合した一次コイル及び二次コイルを備え、一次コイルはインバータ13に接続され、二次コイルは整流平滑器15に接続されている。
[0053]
 整流平滑器15は、トランス14から出力された交流を整流及び平滑化する回路であり、整流された直流の電圧及び電流は正出力端子1a及び負出力端子1bから負荷2へ出力される。整流平滑器15は、例えばセンタータップを用いた全波整流回路、リアクトルを用いた平滑化回路等によって構成される。
[0054]
 負荷2は、例えばアーク溶接に係るものであり、溶接ワイヤ21、母材22、シールドガスが電離したアーク等が負荷2となる。正出力端子1aは、正側給電線及び溶接トーチ20を介して溶接ワイヤ21に電気的に接続され、負出力端子1bは負側給電線を介して母材22に接続される。
[0055]
 電圧検出部16は、例えば、整流平滑器15の出力側に接続されており、自装置から負荷2へ出力される電圧を検出し、検出した電圧値を示す電圧値信号を主制御部18へ出力する回路である。
[0056]
 電流検出部17は、例えば、整流平滑器15の出力側に設けられており、自装置から負荷2へ出力される電流を検出し、検出した電流値を示す電流値信号を主制御部18へ出力する回路である。電流検出部17は、例えばホール素子等の磁電変換素子を備えたホール式電流センサである。
[0057]
 主制御部18は、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM、インタフェース等を有し、電源装置1全体の動作を制御するプロセッサである。主制御部18のインタフェースには制御端子1cが接続されている。マスタ電源として機能する電源装置1の制御端子1cには、溶接機の制御通信線が接続され、溶接機から出力された駆動指示信号が入力される。主制御部18は、駆動指示信号の入力状態を監視しており、駆動指示信号が入力された場合、インバータ13を動作させるための駆動要求を信号処理部19へ出力する。なお、スレーブ電源として機能している電源装置1の制御端子1cには、駆動指示信号は入力されない。
 また、主制御部18のインタフェースには、電圧検出部16及び電流検出部17が接続されており、電圧値信号及び電流値信号が入力される。主制御部18は、入力された電圧値信号及び電流値信号をAD変換し、AD変換して得られた、電圧情報及び電流情報を信号処理部19へ出力する。
 更に、主制御部18は操作パネル10に接続されており、操作パネル10に対する操作に応じた信号が入力される。主制御部18は、当該信号を監視することによって、操作パネル10に対する操作を受け付ける。本実施形態1に係る主制御部18は、操作パネル10にて、電源装置1の動作モードの選択を受け付けることができる。動作モードには、電源装置1を、マスタ電源として機能させるマスタ電源モード(第1制御方式)と、スレーブ電源として機能させるスレーブ電源モード(第2制御方式)と、単一電源として機能させる単一電源モードとがある。また、主制御部18は、自装置の動作モード、出力電圧、出力電流等、各種動作状態を表示するための表示指示信号を操作パネル10へ出力することによって、自装置の動作状態を操作パネル10に表示させる。
 更にまた、マスタ電源として動作している電源装置1の主制御部18は、溶接機における溶接ワイヤ21の送給を制御するためのワイヤ送給制御信号を制御端子1cから当該溶接機へ出力する。なお、スレーブ電源として動作している電源装置1は、ワイヤ送給制御信号の出力を行わない。
[0058]
 信号処理部19は、インバータ13を構成するスイッチング素子へPWM信号を出力し、当該スイッチング素子のオンオフをPWM制御するDSP(digital signal processor)であり、制御情報算出部19a、PWM制御部(制御部)19b及び通信部19cを有する。信号処理部19は、インバータ13及び主制御部18に接続されており、信号処理部19には、主制御部18から出力される電圧情報、電流情報、駆動要求等が入力される。信号処理部19は、自装置の動作モードを記憶しており、その信号処理内容は、電源装置1の動作モードによって異なる。信号処理内容の詳細は後述する。
[0059]
 制御情報算出部19aは、インバータ13の動作を制御することによって、負荷2へ出力する電圧又は電流を制御するためのPWM制御情報及びPWM制御情報を得るための元情報を算出する機能部である。PWM制御情報は、インバータ13へ出力するPWM信号のパルス幅及びパルス波形等を示す情報である。元情報は、電源システムから負荷2へ出力される総電流と、総電流の目標電流とを含む情報である。
 動作モードが単一電源モードである場合、制御情報算出部19aは、主制御部18から出力された電圧情報及び電流情報、つまり自装置で検出された電圧及び電流に基づいて、自装置のインバータ13をPWM制御するためのPWM制御情報を算出する。
 動作モードがマスタ電源モードである場合、制御情報算出部19aは、主制御部18から出力された自装置の電圧情報及び電流情報と、他の電源装置1に係る電流情報とに基づいて、第1の電源装置1のインバータ13をPWM制御するためのPWM制御情報と、第2の電源装置1のインバータ13をPWM制御するPWM制御情報を得るための元情報を算出する。つまり、制御情報算出部19aは、自装置で検出された電圧及び電流と、スレーブ電源である他の電源装置1で検出された電流とに基づいて、PWM制御情報及び元情報を算出する。なお、他の電源装置1で検出される電流情報は、通信部19cによって受信することができる。
 動作モードがスレーブ電源モードである場合、制御情報算出部19aは、マスタ電源として溶接波形制御演算によるPWM制御情報の算出を行わず、マスタ電源である他の電源装置1から送信される元情報に基づいて、PWM制御情報を算出する。
[0060]
 PWM制御部19bは、PWM制御情報を用いて、所要のパルス幅及びパルス波形を有するPWM信号を発生させ、インバータ13へ出力する機能部である。PWM制御部19bは、フルブリッジ回路のスイッチング素子を、たすき掛けで交互にオン状態及びオフ状態に切り替えることによって、インバータ13から交流を出力させる。
 動作モードが単一電源モード又はマスタ電源モードである場合、PWM制御部19bは、自装置の制御情報算出部19aにて算出されたPWM制御情報を用いてPWM信号を発生させる。
 動作モードがスレーブ電源モードである場合、PWM制御部19bは、他の電源装置1で算出された元情報に基づいて算出されるPWM制御情報を用いてPWM信号を発生させる。他の電源装置1で算出された元情報は、通信部19cによって受信することができる。自装置と他の電源装置1とが同一出力容量であるときは、自装置のPWM信号と他の電源装置1のPWM信号とは結果的に略同一の信号となる。出力容量が異なるときは、PWM制御部19bは、他の電源装置1で算出された元情報を用いて出力容量差を補正したPWM信号を発生させる。この場合には、自装置のPWM信号と他の電源装置1のPWM信号とは異なる信号となる。
[0061]
 通信部19cは、他の電源装置1と各種情報を送受信するための通信回路である。通信部19cは、例えばHCI(Host Control Interface)通信規格に従って情報を送受信する。
 動作モードがマスタ電源モードである場合、信号処理部19は通信部19cを介して、自装置のインバータ13の動作状態を示す動作情報と、制御情報算出部19aにて算出した元情報とを、スレーブ電源モードで動作している他の電源装置1へ送信する。当該電源装置1は、マスタ電源モードで動作している電源装置1から送信された動作情報及び元情報を通信部19cにて受信する。
 動作モードがスレーブ電源モードである場合、信号処理部19は通信部19cを介して、自装置から負荷2へ出力されている電流を示す電流情報と、自装置のインバータ13の動作状態を示す動作情報と、自装置の異常の有無を示す異常情報とを、マスタ電源モードで動作している電源装置1へ送信する。異常情報は、例えば過電流、異常停止等を示す情報である。マスタ電源である当該電源装置1は、スレーブ電源モードで動作している電源装置1から送信された電流情報、動作情報及び異常情報を通信部19cにて受信する。
[0062]
 図3は、操作パネル10の一構成例を示す模式図である。操作パネル10は、負荷2へ出力している電流及び電圧を示す電流表示部(表示部)10a及び電圧表示部(表示部)10bを備える。
 動作モードがマスタ電源モードである場合、主制御部18は、各電源装置1から出力されている電流を加算して得られる総電流の値を電流表示部10aに表示させる。また、自装置で検出して得られた電圧の値を電圧表示部10bに表示させる(図6A参照)。動作モードがスレーブ電源モードである場合、主制御部18は、自装置が駆動中であることを示す所定情報を電流表示部10a及び電圧表示部10bに表示させる(図6B参照)。所定情報は、例えば「駆動中」又は「RUN」等の文字情報であるが、表示する情報の内容は特に限定されるものでは無く、電流表示部10a及び電圧表示部10bを構成する表示ピクセル又はセグメントを全灯又は全消灯させる構成も含まれる。動作モードが単一電源モードである場合、主制御部18は、自装置から出力されている電流及び電圧の値を電流表示部10a及び電圧表示部10bに表示させる。
[0063]
 また、操作パネル10は、電源装置1の動作モードを切り替えるための操作部10cと、現在の自装置の動作モードを表示する動作モード表示部10dとを備える。操作部10cは例えばシールされたタクタイルスイッチ、押しボタンスイッチ等である。電源装置1の主制御部18は、操作部10cが操作された場合、現在の動作モードを他の動作モードに切り替える。例えば、信号処理部19は、現在の動作モードを記憶しており、主制御部18は、モード切替指示を信号処理部19へ出力することによって、信号処理部19の動作モードを切り替える。動作モードは、例えば、操作部10cが操作される都度、単一電源モード、マスタ電源モード、スレーブ電源モード、単一電源モード…の順で切り替えられる。
 動作モード表示部10dは、複数の発光素子を有する。複数の発光素子は、例えばマスタ電源モードである場合に点灯する発光素子、スレーブ電源モードである場合に点灯する発光素子を含む。
[0064]
 以下、電源システムの制御方法及び動作を説明する。
 図4及び図5は、給電制御に係る各電源装置1の処理手順を示すフローチャート、図6A及び図6Bは、動作状態の表示例を示す模式図である。ここでは、マスタ電源モードで動作している第1の電源装置1と、スレーブ電源モードで動作している第2の電源装置1の処理を説明する。また、図6Aは、マスタ電源モードにある電源装置1の操作パネル10を示し、図6Bは、スレーブ電源モードにある電源装置1の操作パネル10を示している。
[0065]
 マスタ電源である第1の電源装置1に駆動指示信号が入力された場合、主制御部18は、自装置から負荷2へ出力されている電流及び電圧を、電流検出部17及び電圧検出部16にて検出する(ステップS11)。主制御部18は、検出して得た電流情報及び電圧情報を信号処理部19へ出力する。
[0066]
 マスタ電源モードの信号処理部19は、電流情報及び電圧情報が示す電流及び電圧に基づいて溶接波形制御演算を行うことにより、PWM制御情報及び元情報を算出する(ステップS12)。起動時においては、スレーブの電源装置1は動作を開始していないため、例えば、第1の電源装置1で検出された電流及び電圧を用いてPWM制御情報及び元情報を算出する。
 そして、信号処理部19は、算出されたPWM制御情報に基づいて、インバータ13をPWM制御する(ステップS13)。次いで、信号処理部19は、インバータ13の動作状態を示す動作情報及び元情報を、通信部19cを介して、スレーブ電源である第2の電源装置1へ送信する(ステップS14)。動作情報は、例えば、インバータ13が駆動しているか否かを示す情報である。
[0067]
 スレーブ電源モードの信号処理部19は、第1の電源装置1から送信された動作情報及び元情報を通信部19cにて受信する(ステップS15)。そして、スレーブ電源モードの信号処理部19は、マスタ電源が駆動していることを動作情報にて確認し、受信した元情報に基づいて、PWM制御情報を算出し(ステップS16)、算出して得たPWM制御情報に基づいて自装置のインバータ13をPWM制御する(ステップS17)。
[0068]
 なお、ステップS14の送信を行う通信部19cは、元情報送信部に対応し、ステップS15の受信を行う通信部19cは、元情報受信部に対応する。
[0069]
 次いで、第2の電源装置1の主制御部18は、自装置が正常に動作している場合、駆動中である旨を操作パネル10に表示させる(ステップS18)。例えば、図6Bに示すように、主制御部18は、駆動中である旨を電流表示部10a及び電圧表示部10bに表示させる。
[0070]
 次いで、主制御部18は、電流検出部17にて自装置から負荷2へ出力している電流を検出する(ステップS19)。主制御部18は、検出して得た電流情報を信号処理部19へ出力する。
[0071]
 スレーブ電源モードの信号処理部19は、自装置で検出して得た電流情報を、通信部19cを介して、マスタ電源である第1の電源装置1へ送信する(ステップS20)。また、信号処理部19は、自装置のインバータ13の動作状態を示す動作情報、異常の有無を示す異常情報を、通信部19cを介して第1の電源装置1へ送信する(ステップS21)。
[0072]
 元情報等を送信したマスタ電源モードの信号処理部19は、第2の電源装置1から送信される電流情報、動作情報及び異常情報を受信し(ステップS22)、その受信に成功したか否かを判定する(ステップS23)。
[0073]
 なお、ステップS20の送信を行う通信部19cは、電流情報送信部に対応し、ステップS21の送信を行う通信部19cは、異常情報送信部に対応する。また、ステップS22の受信を行う通信部19cは、電流情報受信部及び異常情報受信部に対応する。
[0074]
 所定時間以上、第2の電源装置1からの応答が無く、受信に失敗したと判定した場合(ステップS23:NO)、信号処理部19は、インバータ13の動作並びにPWM制御情報及び元情報の算出を停止させることにより、負荷2への出力を停止させる(ステップS24)。なお、第1の電源装置1におけるPWM制御情報及び元情報の算出が停止すると、スレーブ電源である第2の電源装置1の動作も停止する。
 また、信号処理部19は、通信異常を主制御部18へ通知し、主制御部18は通信に係る異常があった旨を操作パネル10に表示させ(ステップS25)、処理を終える。
 なお、通信異常は、通信線の切断、コネクタの接続不良で発生する他、スレーブ電源として動作させるべき電源装置1を、誤ってマスタ電源モードで動作させた場合にも発生する。
[0075]
 第2の電源装置1からの応答があり、電流情報、動作情報及び異常情報の受信に成功したと判定した場合(ステップS23:YES)、信号処理部19は、受信した電流情報が示す電流が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS26)。なお、ステップS26の判定を行う信号処理部19は、判定部に対応する。
[0076]
 電流が閾値以上であると判定した場合(ステップS26:NO)、信号処理部19は、受信した異常情報に基づいて、第2の電源装置1の状態が異常であるか否かを判定する(ステップS27)。例えば、信号処理部19は、第2の電源装置1のインバータ13が停止状態にあることを異常情報が示している場合、又は異常情報が過電流等の異常を示している場合、異常があると判定する。
[0077]
 電流が閾値未満であると判定された場合(ステップS26:YES)、又は第2の電源装置1に異常があると判定された場合(ステップS27:YES)、信号処理部19は、インバータ13の動作及びPWM制御情報及び元情報の算出を停止させることにより、負荷2への出力を停止させる(ステップS28)。また、信号処理部19は、状態異常を主制御部18へ通知し、主制御部18は、スレーブ電源に異常があった旨を操作パネル10に表示させ(ステップS29)、処理を終える。
[0078]
 第2の電源装置1が正常に動作していると判定された場合(ステップS27:NO)、主制御部18は、電流検出部17及び電圧検出部16にて自装置から負荷2へ出力されている電流及び電圧を、電流検出部17及び電圧検出部16にて検出する(ステップS30)。そして、主制御部18は、自装置で検出して得られた電流と、第2の電源装置1から受信した電流情報が示す電流とを加算する(ステップS31)。そして、信号処理部19は、ステップS31にて加算して得られた電流と、自装置で検出された電圧とに基づいてPWM制御情報及び元情報を算出する(ステップS32)。ここで算出されるPWM制御情報は、電源システム全体から負荷2へ出力される電流及び電圧に基づくものであり、電源システム全体の出力を制御することが可能な情報である。また、元情報は、PWM制御情報を算出するための元になる情報である。
[0079]
 次いで、主制御部18は、図6Aに示すように、ステップS31にて算出した電流の値を電流表示部10aに表示させ、ステップS30にて検出された電圧の値を電圧表示部10bに表示させる(ステップS33)。
 一方、主制御部18は、溶接機を制御するための情報、例えば溶接ワイヤ21の送給を制御するためのワイヤ送給制御信号を制御端子1cから溶接機へ送信する(ステップS34)。ワイヤ送給制御信号は、例えば、溶接ワイヤ21の送給速度、送給の開始及び停止等を制御するための信号である。
[0080]
 次いで、主制御部18は、駆動指示信号の入力が継続しているか否かを判定する(ステップS35)。駆動指示信号が入力されていないと判定した場合(ステップS35:NO)、信号処理部19によるインバータ13の制御を停止させることによって負荷2への出力を停止させ(ステップS36)、処理を終える。駆動指示信号が入力されていると判定した場合(ステップS35:YES)、主制御部18は、処理をステップS13へ戻し、負荷2への給電制御を継続する。
[0081]
 このように構成された電源システムにあっては、マスタ電源である第1の電源装置1が、スレーブ電源である第2の電源装置1から電流情報を取得し、各電源装置1の出力を制御するPWM制御情報及び元情報を算出する。そして、第1の電源装置1は、算出した元情報を第2の電源装置1へ送信し、スレーブ電源である当該電源装置1は、マスタ電源側で算出された元情報に基づいて出力を制御する。従って、本実施形態1に係る電源システムにおいては、系全体で総電流及び目標電流を共有することにより、出力制御を同期させ、各電源装置1から負荷2へ出力される電流を安定的に制御することができ、単一電源と同様の溶接制御を実現することができる。
[0082]
 また、使用者は、マスタ電源として動作している第1の電源装置1の電流表示部10a及び電圧表示部10bを用いて、電源システムから負荷2へ出力されている電流及び電圧の情報を確認することができる。
[0083]
 更に、スレーブ電源として動作している第2の電源装置1の電流表示部10a及び電圧表示部10bに所定情報を表示することによって、使用者に無用な混乱を与えないようにすることができる。
[0084]
 更に、マスタ電源である第1の電源装置1は、スレーブ電源から送信されるはずの電流情報を受信できない場合、スレーブ電源である第2の電源装置1との通信に異常があるものとして、電源システム全体を停止させ、安全を確保することができる。
[0085]
 更にまた、マスタ電源である第1の電源装置1は、自装置が電流を出力しているにも関わらず、スレーブ電源である第2の電源装置1から出力される電流が閾値未満である場合、第2の電源装置1に異常があるものとして、電源システム全体を停止させ、安全を確保することができる。
[0086]
 更にまた、マスタ電源である第1の電源装置1は、スレーブ電源である第2の電源装置1の動作状態に異常がある場合、電源システム全体を停止させ、安全を確保することができる。
[0087]
 更にまた、これらの異常時に電源システムを停止させることによって、電源システムを保全することができる。
[0088]
 更にまた、本実施形態1に係る電源装置1は、操作部10cを操作することによって、マスタ電源及びスレーブ電源のいずれの電源としても機能させることができる。従って、電源システムを構成するマスタ電源が故障しても、スレーブ電源として機能していた電源装置1の動作モードを、マスタ電源モードに切り替えることにより、容易に電源システムを再構築することができる。
[0089]
 更にまた、本実施形態1に係る電源装置1は、操作部10cを操作することによって、単独の電源としても機能させることができる。
[0090]
 なお、本実施形態1では、元情報が、電源システムから負荷2へ出力される総電流と、総電流の目標電流とを含む例を説明したが、PWM制御情報を算出することが可能であれば、当該情報の表現態様は特に限定されるものでは無い。例えば、目標電流に対する総電流の差分を元情報として第1の電源装置1から第2の電源装置1へ送信するように構成しても良い。また、各電源装置1から出力される電流の平均値、負荷2に並列接続される電源装置1の数、目標電流を元情報として第2の電源装置1へ送信するように構成しても良い。
[0091]
 また、主に2台の電源装置1を共通の負荷2に並列接続させる例を説明したが、3台以上の電源装置1を用いて電源システムを構成しても良い。
[0092]
 更に、負荷2として、アーク溶接に係る負荷を説明したが、アーク切断、その他の大電流を要する負荷へ給電する電源システムとして用いても良い。
[0093]
 更にまた、本実施形態1に係る電源システムは、アーク溶接機へ大電流を出力することができる。
[0094]
 更にまた、本実施形態1では、絶縁トランス型スイッチング電源をPWM制御する例を説明したが、電源装置1の構成及び制御方式は特に限定されるものでは無く、公知の構成及び制御方式を用いても良い。公知の制御方式としては、パルス幅変調方式に加え、例えばパルス周波数変調方式等が挙げられる。
[0095]
 更にまた、本実施形態1では、スレーブ電源として動作している電源装置1に異常があった場合、電源システム全体を停止させる例を主に説明したが、電源システム全体として問題がなければ、負荷2への給電を継続するように構成しても良い。例えば、複数のスレーブ電源が並列接続されおり、異常が発見された電源装置1を電源システムから遮断する遮断リレー等が設けられており、残りの電源装置1で所要の電力を供給することが可能であれば、正常に動作している複数の電源装置1を継続的に動作させても良い。
[0096]
(実施形態2)
 実施形態2に係る電源システムは、元情報、電流情報等の情報の送受信タイミングが実施形態1と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
[0097]
 図7は、インバータ13の一構成例を示す回路図である。電源装置1が備えるインバータ13は、第1スイッチング素子13a及び第2スイッチング素子13bを直列接続してなるレグと、第3スイッチング素子13c及び第4スイッチング素子13dを直列接続してなるレグとを並列接続してなる回路を有する。第1乃至第4スイッチング素子13a、13b、13c、13dは、例えばIGBTである。
[0098]
 第1乃至第4スイッチング素子13a、13b、13c、13dのゲートには、信号処理部19が接続されており、信号処理部19は、第1乃至第4スイッチング素子13a、13b、13c、13dのゲートへ、周期的にオンオフするPWM信号(パルス信号)を出力することによって、インバータ13の動作を制御する。
[0099]
 図8は、情報の送信タイミングを示すタイミングチャートである。図8中上段及び中段のタイミングチャートは、信号処理部19からインバータ13へ出力されるPWM信号の出力タイミングを示している。信号処理部19は、PWM制御情報に応じた所要のパルス幅を有するオン信号を、第1スイッチング素子13a及び第4スイッチング素子13dと、第2スイッチング素子13b及び第3スイッチング素子13cとへ交互に出力することによって、インバータ13に交流を出力させる。
 図8中下段のタイミングチャートは、第1及び第2の電源装置1が各種情報を送信するタイミングを示している。具体的には、マスタ電源モードにある第1の電源装置1の信号処理部19は、図4のステップS14に示す処理において、インバータ13の第1乃至第4スイッチング素子13a、13b、13c、13dが全てオフになる期間を特定し、インバータ13の動作状態を示す動作情報及び元情報を、通信部19cを介して、スレーブ電源である第2の電源装置1へ送信する。
 同様にして、スレーブ電源モードにある第2の電源装置1の信号処理部19は、図4のステップS20に示す処理において、インバータ13の第1乃至第4スイッチング素子13a、13b、13c、13dが全てオフになる期間を特定し、自装置で検出して得た電流情報を、通信部19cを介して、マスタ電源である第1の電源装置1へ送信する。また、信号処理部19は、図4のステップS21に示す処理において、インバータ13の第1乃至第4スイッチング素子13a、13b、13c、13dが全てオフになる期間を特定し、自装置のインバータ13の動作状態を示す動作情報、異常の有無を示す異常情報を、通信部19cを介して、マスタ電源である第1の電源装置1へ送信する。
[0100]
 このように構成された実施形態2に係る電源システムによれば、各電源装置1は、PWM信号のオフ期間に元情報を送受信する構成であるため、インバータ13の動作に起因するノイズが当該元情報に乗ることを避けることができ、電源装置1間の通信安定性を向上させることができる。従って、元情報の高速通信と、通信安定性の向上とを両立することができる。
 同様にして、各電源装置1は、PWM制御情報及び元情報の算出に必要な電流情報、その他の各種情報についても、PWM信号のオフ期間に当該情報を送受信する構成であるため、インバータ13の動作に起因するノイズが当該情報に乗ることを避けることができ、電源装置1間の通信安定性を向上させることができる。
[0101]
(実施形態3)
 実施形態3に係る電源システムは、動作状態に応じて各電源装置1の通信方式を切り替える点と、各電源装置1が溶接ワイヤ21の送給制御信号を出力する点が実施形態1及び2と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
[0102]
 図9は、溶接中における通信状態を概念的に示すブロック図、図10は、非溶接中における通信状態を概念的に示すブロック図である。溶接機は、ワイヤ供給源5から溶接ワイヤ21を引き出して溶接トーチ20へ送給する第1送給部3及び第2送給部4を備え、第1及び第2の電源装置1が第1送給部3及び第2送給部4へそれぞれ送給制御信号を出力する。ただし、電流出力と同様、複数の電源装置1の内、第1の電源装置1は、通信線を介して他の電源装置1へ溶接ワイヤ21の送給速度を示す速度情報を送信することにより、第2の電源装置1による溶接ワイヤ21の送給を制御するマスタとして機能する。第2の電源装置1は第1の電源装置1から送信された速度情報を受信し、受信した速度情報に基づいて溶接ワイヤ21の送給を制御するスレーブとして機能する。
 ワイヤ供給源5は、溶接トーチ20へ溶接ワイヤ21を繰り出し可能に収容している。溶接ワイヤ21は、例えばソリッドワイヤであり、消耗電極として機能する。ワイヤ供給源5は、螺旋状に巻かれた状態でペールパックに収容されたパックワイヤ、あるいはワイヤリールに巻回されたリールワイヤである。
[0103]
 第1送給部3は、溶接トーチ20側に配されており、溶接ワイヤ21を挟むことが可能な位置で対向する1対のローラを有し、少なくとも一方のローラはモータによって回転駆動される。第1送給部3は、第1の電源装置1に接続されており、当該電源装置1は、ワイヤ送給制御信号を第1送給部3へ出力することによって、第1送給部3による溶接ワイヤ21の送給を制御する。ワイヤ送給制御信号は、溶接ワイヤ21の送給速度、即ちローラの回転速度を示す信号であり、溶接ワイヤ21の送給は速度制御される。また、溶接動作中の場合、第1の電源装置1は、溶接ワイヤ21の送給速度を示す送給速度情報を、動作情報及び元情報と共に第2の電源装置1へ送信する。
[0104]
 溶接動作中においては、図9に示すように、送給速度情報、動作情報及び元情報は、所定量データ、例えば32ビットのデータとして非パケット通信にて第2の電源装置1へ送信される。つまり、電源装置1は、ダイレクト通信モードにて情報を送受信する。
 一方、非溶接動作中の場合、例えば溶接ワイヤ21を送るインチング動作中の場合、図10に示すように、第1の電源装置1は、溶接ワイヤ21の送給速度を示す送給速度情報を動作情報と共に第2の電源装置1へ送信する。非溶接動作中においては、送給速度情報及び動作情報はパケット通信にて第2の電源装置1へ送信される。つまり、電源装置1は、コマンド通信モードにて情報を送受信する。
[0105]
 第2送給部4は、ワイヤ供給源5側に配されており、溶接ワイヤ21を挟むことが可能な位置で対向する1対のローラを有し、少なくとも一方のローラはモータによって回転駆動される。第2送給部4は、第2の電源装置1に接続されており、当該電源装置1は、ワイヤ送給制御信号を第2送給部4へ出力することによって、第2送給部4による溶接ワイヤ21の送給を制御する。
[0106]
 特に、溶接動作中の場合、図9に示すように、第2の電源装置1は、第1の電源装置1から非パケット通信にて送信される送給速度情報、動作情報及び元情報を受信し、受信した送給速度情報に応じたワイヤ送給制御信号を、第2送給部4へ出力することによって、第2送給部4による溶接ワイヤ21の送給を制御する。
 一方、非溶接動作中の場合、図10に示すように、第2の電源装置1は、第1の電源装置1からパケット通信された送給速度情報及び動作情報を受信し、受信した送給速度情報に応じたワイヤ送給制御信号を、第2送給部4へ出力することによって、第2送給部4による溶接ワイヤ21の送給を制御する。
[0107]
 なお、必要に応じて第1送給部3及び第2送給部4との間に、溶接ワイヤ21を一時的に収容する緩衝装置を配しても良い。
[0108]
 図11は、スレーブ側における通信方式の切り替え方法を概念的に示す遷移図である。マスタ側の電源装置1は、駆動指示信号の入力の有無によって、情報の通信方式をコマンド通信モードと、ダイレクト通信モードとの間で切り替える。具体的には、第1の電源装置1は、溶接動作中においてはダイレクト通信モードを選択し、非溶接動作中においてはコマンド通信モードを選択する。第2の電源装置1は、第1の電源装置1との通信状況に応じて、第1の電源装置1と同じ通信方式に切り替える。
[0109]
 具体的には、溶接に係る電流を出力していない非溶接動作中においては、第1の電源装置1及び第2の電源装置1は、コマンド通信モードを選択し、情報を送受信している。第1及び第2の電源装置1は、送給速度情報をパケット通信にて送受信して第1及び第2送給部3、4を速度制御し、溶接ワイヤ21のインチング等を実行する。
[0110]
 非溶接動作中に第1の電源装置1に駆動指示信号が入力された場合、当該電源装置1は、溶接開始指示又は通信モード切替要求を第2の電源装置1へパケット通信にて送信する。第2の電源装置1は溶接開始指示又は通信モード切替要求を受信した場合、当該指示を受信したことを示す応答信号を第1の電源装置1へ送信し、通信方式をコマンド通信モードに切り替える。第1の電源装置1は、溶接開始指示に対する第2の電源装置1からの応答信号を受信した場合、コマンド通信モードに切り替える。
[0111]
 以後、溶接動作中においては、第1及び第2の電源装置1は各種情報をダイレクト通信モードにて送受信する。具体的には、動作情報、元情報、送給速度情報等を32ビットのデータとして送受信する。
[0112]
 駆動指示信号の入力が無くなった場合、つまり溶接動作が停止した場合、第1の電源装置1は、出力ゼロに対応する元情報を非パケット通信にて第2の電源装置1へ送信し、通信方式をコマンド通信モードに切り替える。出力ゼロに対応する元情報とは、デューティ比がゼロのPWM制御情報が算出され得る情報である。第2の電源装置1は出力ゼロに対応する元情報又はコマンド通信モードの情報を所定時間、例えば20m秒間以上受信した場合、能動的に通信方法をコマンド通信モードに切り替える。従って、溶接終了時に第1及び第2の電源装置1の通信方式を確実にコマンド通信モードに切り替えることができる。
[0113]
 このように構成された実施形態3に係る電源装置1によれば高速通信が必要な溶接中においては、非パケット通信、即ちダイレクト通信モードにて情報を送受信し、高速通信が不要な非溶接中においては、パケット通信、即ちコマンド通信モードにて多様な情報を送受信することができる。
[0114]
 また、溶接動作の開始及び終了時に第1の電源装置1及び第2の電源装置1の通信方式を確実に切り替えることができる。
[0115]
(実施形態4)
 実施形態4に係る電源システムは、機器特性のバラツキに起因する出力のバラツキを抑えるため、PWM制御情報を補正する点が実施形態1~3と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1~3と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
[0116]
 図12は、実施形態4の給電制御に係る各電源装置1の処理手順を示すフローチャートである。第1及び第2の電源装置1は、実施形態1で説明した図4のステップS11~ステップS25の処理を実行し、ステップS23で電流情報等の受信に成功したと判定された場合、図12に示すステップS426以下の処理を実行する。ステップS11~ステップS25の処理内容は、ステップS14及びステップS16の処理を除き、実施形態1と同様であるため、詳細な説明を省略する。元情報の送信に係るステップS14と、PWM制御情報の算出及び補正に係るステップS16の詳細は後述する。
[0117]
 第2の電源装置1からの応答があり、電流情報、動作情報及び異常情報の受信に成功したと判定した場合(ステップS23:YES)、信号処理部19は、受信した電流情報が示す電流が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS426)。
[0118]
 電流が閾値以上であると判定した場合(ステップS426:NO)、信号処理部19は、受信した異常情報に基づいて、第2の電源装置1の状態が異常であるか否かを判定する(ステップS427)。例えば、信号処理部19は、第2の電源装置1のインバータ13が停止状態にあることを異常情報が示している場合、又は異常情報が過電流等の異常を示している場合、異常があると判定する。
[0119]
 第2の電源装置1が正常に動作していると判定された場合(ステップS427:NO)、信号処理部19は、電流検出部17及び電圧検出部16にて自装置から負荷2へ出力されている電流及び電圧を、電流検出部17及び電圧検出部16にて検出する(ステップS428)。具体的には、主制御部18は、自装置から負荷2へ出力されている電流及び電圧を、電流検出部17及び電圧検出部16にて検出し、検出して得た電流情報及び電圧情報を信号処理部19へ出力する。信号処理部19は、主制御部18から出力された電流情報及び電圧情報を取得する。
 なお、信号処理部19は、検出した電流及び電圧を記憶し、少なくとも電流については、数m秒~数十mm秒間にわたる情報を蓄積する。そして、信号処理部19は、各電源装置1で検出された電流のバラツキを算出し(ステップS429)、電流のバラツキが所定の上限閾値未満であるか否かを判定する(ステップS430)。第1の電源装置1と、第2の電源装置1とが並列接続されている場合、当該バラツキは、例えば、第1の電源装置1で検出された電流と、第2の電源装置1で算出された電流との差である。また、第1及び第2の電源装置1で算出される電流の移動平均の差をバラツキとして算出するようにしても良い。3台以上の電源装置1が並列接続されている場合、バラツキは、各電源装置1で検出される電流の標準偏差、電流の最大値及び最小値の差分、電流の平均値と最大値との差分等で表しても良い。
[0120]
 電流が閾値未満であると判定された場合(ステップS426:YES)、第2の電源装置1に異常があると判定された場合(ステップS427:YES)、又は電流のバラツキが上限閾値以上であると判定された場合(ステップS430:NO)、信号処理部19は、インバータ13の動作及びPWM制御情報の算出を停止させることにより、負荷2への出力を停止させる(ステップS431)。また、信号処理部19は、状態異常を主制御部18へ通知し、主制御部18は、電源に異常があった旨を操作パネル10に表示させ(ステップS432)、処理を終える。
[0121]
 電流のバラツキが上限閾値未満であると判定された場合(ステップS430:YES)、主制御部18は、自装置で検出して得られた電流と、第2の電源装置1から受信した電流情報が示す電流とを加算する(ステップS433)。そして、信号処理部19は、ステップS433にて加算して得られた電流と、自装置で検出された電圧とに基づいてPWM制御情報及び元情報を算出する(ステップS434)。ここで算出されるPWM制御情報は、電源システム全体から負荷2へ出力される電流及び電圧に基づくものであり、電源システム全体の出力を制御することが可能な情報である。また、ステップS434の処理で算出されるPWM制御情報は、基本的に各電源装置1に共通の情報であるが、各電源装置1から実際に負荷2へ出力される電流のバラツキに応じて、PWM制御情報の補正が行われる。具体的には、各電源装置1から負荷2へ出力される電流が等しくなるようにPWM制御情報が補正される。PWM制御情報の補正の詳細は後述する。
[0122]
 次いで、主制御部18は、ステップS433にて算出した電流の値を電流表示部10aに表示させ、ステップS27にて検出された電圧の値を電圧表示部10bに表示させる(ステップS435)。
 一方、主制御部18は、溶接機を制御するための情報、例えば溶接ワイヤ21の送給を制御するためのワイヤ送給制御信号を制御端子1cから溶接機へ送信する(ステップS436)。
[0123]
 次いで、主制御部18は、駆動指示信号の入力が継続しているか否かを判定する(ステップS437)。駆動指示信号が入力されていないと判定した場合(ステップS437:NO)、信号処理部19によるインバータ13の制御を停止させることによって負荷2への出力を停止させ(ステップS438)、処理を終える。駆動指示信号が入力されていると判定した場合(ステップS437:YES)、主制御部18は、処理をステップS13(図4参照)へ戻し、負荷2への給電制御を継続する。
[0124]
 図13は、PWM制御情報の算出及び補正に係る処理手順を示すフローチャートである。信号処理部19は、上記ステップS433にて加算して得られた電流と、自装置で検出された電圧とに基づいて、第1の電源装置1以外の他の電源装置1が第1の電源装置1と同一の特性を有するものとして、各電源装置1に共通のPWM制御情報及び元情報を算出する(ステップS451)。
[0125]
 次いで、信号処理部19は、各電源装置1で検出された電流のバラツキが所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS452)。電流のバラツキは、ステップS429で算出されたバラツキと同じである。電流のバラツキが所定の閾値未満であると判定した場合(ステップS452:YES)、信号処理部19は、PWM制御情報の補正を行わずにサブルーチンの処理を終え、処理をステップS434へ戻す。
[0126]
 電流のバラツキが閾値以上であると判定された場合(ステップS452:NO)、信号処理部19は、並列接続されている電源装置1の数Nを特定する(ステップS453)。そして、信号処理部19は、自装置である電源装置1のPWM制御情報を補正するための補正係数を算出する(ステップS454)。ここで補正を行うPWM制御情報は、例えばデューティ比であり、補正係数は、下記式(3)で表される。なお定数Gは、電流のバラツキと、デューティ比の補正量との関係を規定するものである。また、変数n=1は、第1の電源装置1を表すものとする。
[0127]
 Pn=1+G×(ΣI-N×In)/{(N-1)×ΣI}…(3)n:並列接続されている各電源装置1を表す変数N:並列接続される電源装置1の数n:電源装置1を示す変数Pn:補正係数In=I1、I2・・・IN:各電源装置1で検出された電流ΣI=I0+I1+・・・+IN:各電源装置1で検出された電流の総和G:定数
[0128]
 なお、各電源装置1で検出された電流I1,I2,…,INは、1個の検出値であっても良いし、各電源装置1で所定時間にわたって複数回検出された電流の移動平均であっても良い。例えば、信号処理部19は、数十μ秒の周期で各電源装置1の電流を取得し、蓄積している場合、数m秒~数十m秒間にわたって蓄積した電流の値を用いて各電源装置1の電流の移動平均を算出し、当該電流の移動平均を用いて、補正係数Pnを算出すると良い。
 また、上記式(3)は、補正係数Pnの計算式の一例である。各電源装置1から出力される電流が等しくなるように、PWM制御情報を補正できる係数を算出することが可能な数式であれば、特にその内容は限定されるものでは無い。例えば、上記式(3)で表される補正係数Pnは、各電源装置1から出力される電流の差分に比例して増減する係数であるが、非線形的に増減する係数であっても良い。また、上記差分の時間積分又は時間微分等に比例して増減する係数であっても良い。
[0129]
 補正係数Pnを算出した信号処理部19は、変数nに対応する電源装置1に係るデューティ比に、補正係数Pnを乗算することによって、PWM制御情報を補正し(ステップS455)、サブルーチンの処理を終え,処理をステップS434へ戻す。
[0130]
 図13は、第1の電源装置1におけるPWM制御情報の補正を説明したものであるが、第2の電源装置1においても同様にしてPWM制御情報を補正すれば良い。具体的には、第1の電源装置1に係る信号処理部19は、ステップS14において、PWM制御情報を得るための情報に加え、当該PWM制御情報を補正するための情報を含む元情報及び動作情報を、通信部19cを介して、スレーブ電源である第2の電源装置1へ送信する。PWM制御情報を補正するための情報は、例えば、定数G、電流の総和ΣI、並列接続される電源装置1の数N等である。なお、PWM制御情報の補正を要しない場合、補正が不要であることを示す情報、又は定数G=0を含む元情報等を送信すれば良い。
[0131]
 第2の電源装置1に係る信号処理部19は、第1の電源装置1から送信された上記元情報を受信する。そして、信号処理部19は、受信した元情報に基づいて、PWM制御情報を算出し、算出して得たPWM制御情報を補正する処理を実行する。補正係数Pnの算出方法、PWM制御情報の補正方法は、ステップS434における上記処理と同様である。なお、元情報に、PWM制御情報の補正が不要であることを示す情報が含まれている場合、信号処理部19は当該補正を行わない。
[0132]
 2台の電源装置1が並列接続されている場合、上記式(3)は、下記式(4)及び(5)で表される。第1の電源装置1に係る信号処理部19は、補正係数P1を算出し、PWM制御信号に補正係数P1を乗算することによって、当該PWM制御信号を補正する。同様にして、第2の電源装置1に係る信号処理部19は、補正係数P2を算出し、PWM制御信号に補正係数P1を乗算することによって、当該PWM制御信号を補正する。
[0133]
 P1=1+G×(I2-I1)/(I1+I2)…(4)
 P2=1+G×(I1-I2)/(I1+I2)…(5)
[0134]
 なお、上記説明では、補正係数Pnを算出する元になる定数G等を第2の電源装置1へ送信する例を説明したが、第2の電源装置1側でPWM制御情報に乗算する補正係数Pnを、第1の電源装置1側で算出し、算出して得た補正係数Pnを元情報に含めて、第2の電源装置1へ送信しても良い。
[0135]
 このように構成された電源システムにあっては、マスタ電源である第1の電源装置1が、スレーブ電源である第2の電源装置1から電流情報を取得し、各電源装置1の出力を制御するPWM制御情報及び元情報を算出する。第1の電源装置1は、第1及び第2の電源装置1から負荷2へ出力される電流が等しくなるように、自装置である第1の電源装置1のPWM制御情報を補正する。そして、第1の電源装置1は、補正された自装置用のPWM制御情報に基づいて出力を制御する。同様に、スレーブ電源である第2の電源装置1は、受信した元情報に基づいてPWM制御情報を算出し、同様にしてPWM制御情報を補正し、補正されたPWM制御情報に基づいて出力を制御する。従って、本実施形態4に係る電源システムにおいては、各電源装置1の機器特性にバラツキがあっても、各電源装置1から負荷2へ出力される電流が等しくなるように補正することができ、実施形態1~3と同様、単一電源と同等の応答性と安定的な制御を実現することができる。
[0136]
 また、第1の電源装置1は、各電源装置1から負荷2へ出力される電流のバラツキが大きい場合にのみ、PWM制御情報を補正する構成であるため、各電源装置1から負荷2へ出力される電流の時間変動を抑えながら各電流が等しくなるよう、安定的に制御することができる。
[0137]
 更に、電源装置1は、各電源装置1から出力される電流のバラツキが上限閾値以上である場合、電源システム全体を停止させ、安全を確保することができる。例えば、パワーケーブルの未接続状態等、電流のバランス制御では対応できない異常が発生した際にも、電源システムに係る安全を確保することができる。
[0138]
 更にまた、電源装置1は、各電源装置1の動作を制御するためのPWM制御情報のデューティ比に、補正係数Pnを乗算する簡単な補正処理で、各電源装置1から出力される電流のバラツキが小さくなるように、PWM制御情報を補正することができる。
[0139]
(実施形態5)
 図14は、実施形態5に係る信号処理回路の一構成例を示すブロック図である。実施形態5に係る電源装置1は信号処理部519の構成が上記実施形態1~4と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1~4と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。上記実施形態1~4では、PWM制御情報の算出及び補正を専用回路であるDSPがハードウェア的に行う例を説明したが、実施形態5に係る信号処理部519は、PWM制御情報の算出及び補正をソフトウェア的に実行する例を説明する。
[0140]
 信号処理部519は、例えばCPU519aを有するコンピュータであり、CPU519aには、バスを介して記憶部519b、入出力部519c、PWM信号出力部519d、通信部519eが接続されている。信号処理部519のCPU519aは、記憶部519bに記憶されている後述の制御プログラム503を実行することにより、PWM制御情報の算出及び補正を行い、各電源装置1の動作を制御する処理を実行する。
[0141]
 記憶部519bは、RAM等の不揮発性メモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有する。記憶部519bは、各電源装置1が出力する電流及び電圧を制御するためのPWM制御情報の算出及び補正に係る制御を実行するための制御プログラム503を記憶している。なお、制御プログラム503は、記録媒体503aにコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でも良い。記憶部519bは、図示しない読出装置によって記録媒体503aから読み出された制御プログラム503を記憶する。記録媒体503aはCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の光ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク、半導体メモリ等である。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから実施形態1に係る制御プログラム503をダウンロードし、記憶部519bに記憶させても良い。
[0142]
 入出力部519cは、主制御部18に接続されており、CPU519aは、入出力部519cを介して各種信号を入出力する。
[0143]
 通信部519eは、他の電源装置1と各種情報を送受信するための通信回路であり、CPU519aは通信部519eを介して、他の電源装置1との間で各種情報を送受信する。
[0144]
 PWM信号出力部519dには、インバータ13が接続されており、CPU519aは、算出及び補正したPWM制御情報に従って、PWM信号をインバータ13を介してインバータ13へ出力する。
[0145]
 信号処理部519が制御プログラム503を実行することによって行う処理の内容は、上記実施形態1~4に係る処理内容と同様である。
[0146]
 このように構成された実施形態5に係る電源システムにあっても、上記実施形態1~4で説明した電源システムと同様の作用効果を奏する。
[0147]
 今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

符号の説明

[0148]
 1 電源装置
 2 負荷
 3 第1送給部
 4 第2送給部
 5 ワイヤ供給源
 1a 正出力端子
 1b 負出力端子
 1c 制御端子
 10 操作パネル
 10a 電流表示部
 10b 電圧表示部
 10c 操作部
 10d 動作モード表示部
 11 入力部
 12 整流器
 13 インバータ
 13a 第1スイッチング素子
 13b 第2スイッチング素子
 13c 第3スイッチング素子
 13d 第4スイッチング素子
 14 トランス
 15 整流平滑器
 16 電圧検出部
 17 電流検出部
 18 主制御部
 19 信号処理部
 19a 制御情報算出部
 19b PWM制御部
 19c 通信部
 20 溶接トーチ
 21 溶接ワイヤ
 22 母材
 503 制御プログラム

請求の範囲

[請求項1]
 共通の負荷に並列接続される複数の電源装置を備えた電源システムであって、
 第1の前記電源装置は、
 前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出する制御情報算出部と、
 該制御情報算出部にて算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する制御部と、
 前記制御情報算出部にて算出された元情報を第2の前記電源装置へ送信する元情報送信部と
 を備え、
 前記第2の電源装置は、
 前記第1の電源装置から送信された元情報を受信する元情報受信部と、
 該元情報受信部にて受信した元情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報を算出する制御情報算出部と、
 該制御情報算出部にて算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する制御部と、
 自装置から前記負荷へ出力された電流を検出する電流検出部と、
 該電流検出部にて検出された電流を示す電流情報を前記第1の電源装置へ送信する電流情報送信部と
 を備え、
 前記第1の電源装置は、更に、
 前記第2の電源装置から送信された電流情報を受信する電流情報受信部と、
 自装置から前記負荷へ出力された電流を検出する電流検出部と、
 自装置から前記負荷へ出力された電圧を検出する電圧検出部と
 を備え、
 前記制御情報算出部は、
 前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流と、前記第1の電源装置が備える前記電流検出部にて検出された電流と、前記電圧検出部にて検出された電圧とに基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出する電源システム。
[請求項2]
 前記第1の電源装置及び前記第2の電源装置は、自装置の動作状態を示す表示部を備え、
 前記第1の電源装置の表示部は、
 前記第1の電源装置が動作している場合、前記第1の電源装置にて検出された電流と、前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流とを加算して得られる電流及び前記電圧検出部にて検出された電圧を表示し、
 前記第2の電源装置の表示部は、
 前記第2の電源装置が動作している場合、所定情報を表示する
 請求項1に記載の電源システム。
[請求項3]
 前記第1の電源装置の制御部は、
 前記電流情報受信部が電流情報を受信していない場合、自装置の動作を停止させる
 請求項1又は請求項2に記載の電源システム。
[請求項4]
 前記第1の電源装置は、
 前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流が所定の閾値未満であるか否かを判定する判定部を備え、
 該判定部が閾値未満であると判定した場合、自装置の動作を停止させる
 請求項1~請求項3までのいずれか一項に記載の電源システム。
[請求項5]
 前記第2の電源装置は、
 自装置の異常の有無を示す異常情報を前記第1の電源装置へ送信する異常情報送信部を備え、
 前記第1の電源装置は、
 前記第2の電源装置から送信された異常情報を受信する異常情報受信部を備え、
 前記第1の電源装置の制御部は、
 前記異常情報受信部にて受信した異常情報に応じて、自装置の動作を停止させる
 請求項1~請求項4までのいずれか一項に記載の電源システム。
[請求項6]
 前記複数の電源装置は、アーク溶接に係る負荷へ給電を行う
 請求項1~請求項5までのいずれか一項に記載の電源システム。
[請求項7]
 前記元情報は、
 前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流と、前記第1の電源装置が備える前記電流検出部にて検出された電流とを加算して得られる総電流と、該総電流の目標電流とを含む
 請求項1~請求項6までのいずれか一項に記載の電源システム。
[請求項8]
 前記電源装置は、
 前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するためのインバータを備え、
 前記制御部は、
 前記インバータへパルス信号を出力することによって、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御しており、
 前記元情報送信部は、
 前記制御部が出力するパルス信号のオフ期間に元情報を送信する
 請求項1~請求項7までのいずれか一項に記載の電源システム。
[請求項9]
 前記電流情報送信部は、
 前記制御部が出力するパルス信号のオフ期間に電流情報を送信する
 請求項8に記載の電源システム。
[請求項10]
 前記第1の電源装置及び前記第2の電源装置は、
 前記負荷へ電圧又は電流を出力していない場合、パケット通信にて情報を送受信し、前記負荷へ電圧又は電流を出力している場合、所定量データを送受信する非パケット通信にて情報を送受信する
 請求項1~請求項9までのいずれか一項に記載の電源システム。
[請求項11]
 前記第2の電源装置は、
 非パケット通信にて情報を送受信しており、前記元情報を所定時間以上受信しなかった場合、通信方式をパケット通信に切り替える
 請求項10に記載の電源システム。
[請求項12]
 前記第1の電源装置の制御情報算出部は、
 前記電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流と、前記第1の電源装置が備える前記電流検出部にて検出された電流に基づいて、前記第1の電源装置及び前記第2の電源装置から前記負荷へ出力される電流が等しくなるように、前記第1の電源装置に係る前記制御情報を補正し、
 前記第2の電源装置の制御情報算出部は、
 前記元情報受信部にて受信した元情報に基づいて、前記第1の電源装置及び前記第2の電源装置から前記負荷へ出力される電流が等しくなるように、前記第2の電源装置に係る前記制御情報を補正する
 請求項1~請求項11までのいずれか一項に記載の電源システム。
[請求項13]
 負荷へ電圧及び電流を出力する電源装置であって、
 前記負荷へ出力された電流を検出する電流検出部と、
 前記負荷へ出力された電圧を検出する電圧検出部と、
 他の電源装置から前記負荷へ出力された電流を示す電流情報を受信する電流情報受信部と、
 該電流情報受信部にて受信した電流情報が示す電流と、前記電流検出部にて検出された電流と、前記電圧検出部にて検出された電圧とに基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出する制御情報算出部と、
 該制御情報算出部にて算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する制御部と、
 前記制御情報算出部にて算出された元情報を前記他の電源装置へ送信する元情報送信部と
 を備える電源装置。
[請求項14]
 前記電流検出部にて検出された電流を示す電流情報を前記他の電源装置へ送信する電流情報送信部と、
 前記他の電源装置から送信された元情報を受信する元情報受信部と、
 受信した電流情報並びに検出された電圧及び電流を用いて前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する第1制御方式、及び前記元情報受信部にて受信した元情報を用いて前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する第2制御方式を選択するための操作部と
 を備え、
 前記第1制御方式が選択された場合、前記制御部は、前記制御情報算出部にて算出された制御情報に基づいて前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御し、
 前記第2制御方式が選択された場合、前記制御情報算出部は、前記元情報受信部にて受信した元情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報を算出し、前記制御部は、算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する
 請求項13に記載の電源装置。
[請求項15]
 共通の負荷に並列接続される複数の電源装置を備えた電源システムの制御方法であって、
 第1の電源装置及び第2の電源装置から前記負荷へ出力された電流、並びに前記第1の電源装置から前記負荷へ出力された電圧を検出し、
 前記第1の電源装置は、
 検出された各電流及び電圧に基づいて、第1の電源装置から前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出し、
 算出された元情報を前記第2の電源装置へ送信すると共に、算出された制御情報に基づいて、前記第1の電源装置から前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御し、
 前記第2の電源装置は、
 前記第1の電源装置から送信された元情報を受信し、
 受信した元情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報を算出し、
 算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する
 制御方法。
[請求項16]
 負荷へ電圧及び電流を出力する電源装置の動作をコンピュータに制御させるための制御プログラムであって、
 前記コンピュータに、
 前記負荷へ出力された電流を取得し、
 前記負荷へ出力された電圧を取得し、
 他の電源装置から前記負荷へ出力された電流を示す電流情報を取得し、
 取得した各電流及び電圧に基づいて、前記電源装置が前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報及び該制御情報を得るための元情報を算出し、
 算出された元情報を他の電源装置へ送信すると共に、算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する
 処理を実行させるための制御プログラム。
[請求項17]
 前記コンピュータに、
 取得した電流を示す電流情報を前記他の電源装置へ送信し、
 前記他の電源装置から送信された元情報を受信し、
 受信した元情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御するための制御情報を算出し、
 算出された制御情報に基づいて、前記負荷へ出力する電圧又は電流を制御する
 処理を実行させるための請求項16に記載の制御プログラム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]