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1. (WO2019004428) 液体吸収体、液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法および画像形成装置
Document

明 細 書

発明の名称 液体吸収体、液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法および画像形成装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123  

実施例

0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171  

符号の説明

0172  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 液体吸収体、液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法および画像形成装置

技術分野

[0001]
本発明は、液体吸収体、液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法および画像形成装置に関する。

背景技術

[0002]
インクジェット記録方式に代表される液系の記録方式による画像形成方法では、色材等を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。
[0003]
インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を同様に乾燥した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法が提案されている。また、熱エネルギーを用いずに、多孔質体等でできた液体吸収体を、インク像と接触させてインク像から液体成分を吸収して除去する方法も提案されている。この場合、色材等の記録媒体に残しておくべき成分が、液体成分とともに除去されることが懸念される。
そこで、特許文献1では液体吸収体の表面に離型部材を設けるという提案がなされている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2001-179959号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
特許文献1の方法では、色材等の記録媒体に残しておくべき成分が除去されるのを軽減することができるが、同時に除去すべき液体成分もインク像から除去しにくくなるという懸念があった。
[0006]
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。本発明の一態様では、記録媒体や転写体に残しておくべきインク像中の固体成分、溶解成分、またはそれらから得られる組成物が除去されるのを軽減しながら、同時に除去すべきインク像中の液体成分を良好に除去する液体吸収体を提供することを目的とする。また本発明の別の態様では、液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法および画像形成装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
上記目的は本発明に係る液体吸収体、液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法および画像形成装置にて達成される。
[0008]
すなわち、本発明の一態様は、表面の少なくとも一部が親水撥油材料であることを特徴とする画像形成装置用の液体吸収体、に関する。
[0009]
また、本発明の一態様は、記録媒体または転写体上に形成されたインク像に、上記の液体吸収体を接触させることで、前記インク像に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去することを特徴とする液体除去方法、に関する。
また、本発明の一態様は、記録媒体に、インクを付与する工程と、前記インク像に上記の液体吸収体を接触させることで前記インク像中に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、を有することを特徴とする画像形成方法、に関する。
[0010]
また、本発明の一態様は、転写体にインクを付与することによってインク像を形成する工程と、前記インク像に上記の液体吸収体を接触させることで、前記インク像に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、前記転写体から記録媒体に液体成分の少なくとも一部が除去されたインク像を転写する工程と、を有することを特徴とする画像形成方法、に関する。
[0011]
また、本発明の一態様は、記録媒体にインク像を形成するインク付与装置と、上記の液体吸収体を有する液体吸収装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置、に関する。
また、本発明の一態様は、転写体と、前記転写体にインク像を形成するインク付与装置と、上記の液体吸収体を有する液体吸収装置と、前記転写体から記録媒体に前記インク像を転写する転写装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置、に関する。

発明の効果

[0012]
本発明によれば、記録媒体や転写体に残しておくべきインク像中の固体成分、溶解成分、またはそれらから得られる組成物が除去されるのを軽減しながら、同時に除去すべきインク像中の液体成分を良好に除去する、液体吸収体を提供することができる。また、本発明によれば、液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法および画像形成装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。
[図2] 本発明の一実施形態における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。
[図3] 図1および2に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
[図4] 図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
[図5] 図2に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。

発明を実施するための形態

[0014]
以下に、本発明に係る液体吸収体と、液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法および画像形成装置を詳しく説明する。ただし、構成、構造、材料、設定などは、発明を適用する各種条件に応じて適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
[0015]
本発明の液体吸収体は、記録媒体または転写体に付与されたインクによって形成されたインク像に接触することで、インク像に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する画像形成装置用の液体吸収体である。液体吸収体の基材としては、有機、無機、あるいはそれらのハイブリッドからなる多孔質体や繊維、高分子吸水材などが挙げられる。基材の表面と内部の組成、構造は、特に区別されず同一であってもよいし、機能に応じて異なっていてもよい。多孔質体や繊維など液体が浸透したり透過できる細孔を持つものは、その孔径が記録媒体や転写体に残しておくべきインク中の固体成分、溶解成分、またはそれらから得られる組成物(以下、離型すべき内容物)のサイズより、略同等かそれより小さいことが好ましい。一方で孔径が小さすぎると液体の流抵抗が増大するため、インク中の固体成分を凝集させたり、溶解成分を析出させたり、重合させるなどして、そのサイズを大きくしたり、その粘度を高くするなど、インク側に工夫を加えることも好ましい。
液体吸収体の形状としては、一度インク像に接触した後、循環して再度接触して液吸収が可能な形状を有するものが好ましく、例えばベルトやドラムなどの形状が挙げられる。また、液体吸収体はインク像への接触に際して、ほとんど押圧せずに毛管力や材料との親和性を駆動力として液体を吸収してもよいし、押圧して細孔に押し込む作用を付加するなどしてもよい。
[0016]
<親水撥油>
通常、固体-液体間の濡れ性は、固体側の表面自由エネルギーと液体の表面張力で表すことができる。表面自由エネルギーが小さいほど、表面張力が大きいほど、液体は固体上で撥かれるため濡れ性は低下する。表面自由エネルギーの小さい代表的な材料であるPTFEを例にとれば、水も油も撥く「撥水撥油性」という性質を示す。この材料の場合、水の表面張力は油よりも大きいため、水の接触角>油の接触角となる。一方、表面自由エネルギーがある程度大きいPET(ポリエチレンテレフタレート)では、水も油も濡れる「親水性」(特に親油とは言わないことが多い)という性質を示す。この材料の場合も、やはり水の表面張力は油よりも大きいため、水の接触角>油の接触角となる。
[0017]
本発明の液体吸収体は、インク像と接触する面の少なくとも一部に親水撥油性を有する材料(以下、親水撥油材料という)を用いる。「親水撥油性」とは、水に対する濡れ性と、油に対する撥液性を両立する性質のことを言う。極端な場合、親水撥油材料では水の接触角<油の接触角となる例も見られる。ここで油の接触角の評価にはn-ヘキサデカンなどを用いることが多い。この接触角の差が大きいほど、液体成分と、離型すべき内容物を分離する能力が向上するため好ましい。また水の接触角が小さいほど、インク像中の液体成分を除去する能力が向上するため好ましく、水の接触角が90°以下であると毛管力により自発的にインク溶媒が吸収されるためより好ましい。水の接触角が60°以下であると濡れに関係し毛管力などを決めるcosθ(θは接触角)が0.5以上となって、毛管力が顕著となってさらに好ましい。また油の接触角が大きいほど、離型すべき内容物を離型する能力が向上するため好ましい。油は表面張力が小さいため、通常、水の接触角と比較して油の接触角は小さくなることが多い。そのため油の接触角が30°以上ある材料は、実用上有用であり撥油性があると言うことができる。本発明では、水の接触角が90°以下であり、n-ヘキサデカンの接触角が30°以上となる性質を「親水撥油性」とし、この親水撥油性を有する材料を「親水撥油材料」と定義する。
ここで述べた接触角とはいわゆる静的接触角であり、基板に液滴を滴下する方式の一般的な接触角計で測定することができる。ただし基板が多孔質であるなど浸透性を持つ場合、接触角を測定しにくいことがある。この場合、液体吸収体の液体が接触する面の材料を平板にしたもので測定することにする。しかし液滴の種類などによる接触角の大小関係については、浸透の仕方に明確な差があれば十分比較することができる。また、一般に多孔質の構造や凹凸が接触角に与える効果は、平板上での接触角が90°以上であれば接触角を大きくし、90°以下であれば接触角を小さくするとされている。すなわち、多孔質体上で接触角を測定した場合、水の接触角が90°以下であったり、浸透したりし、かつn-ヘキサデカンの接触角が30°以上であれば、平板上であっても水の接触角は90°以下であり、かつn-ヘキサデカンの接触角は30°以上であることが分かるため、親水撥油性であると判断することができる。また、液体吸収体を接触させる中間画像中における液体成分と、離型すべき内容物を分離する能力をさらに向上させる点から、親水撥油材料と水との接触角は、親水撥油材料とn-ヘキサデカンとの接触角よりも小さいことが好ましい。
[0018]
接触角が液体の接触時間で変化することは動的接触角としてよく知られている。濡れる瞬間の接触角は前進接触角、濡れた後の接触角は後退接触角と言われ、一般に接触時間が長いほど濡れ性は向上していく。しかし例えばインクジェットなどの画像形成装置で、記録媒体または転写体に付与されたインクによって形成されるインク像に液体吸収体を接触させて用いることを考えると、液体吸収体とインクが接触する時間はごく短時間である。したがって液体吸収体の接触面における水の前進接触角が90°以下であると好ましく、60°以下であるとより好ましい。
ここで述べた動的接触角は、拡張/収縮法、滑落法、Wilhelmy法などに対応した一般的な接触角計で測定することができる。ただし基板が多孔質であるなど浸透性を持つ場合、接触角を測定しにくいことがある。この場合、液体吸収体の液体が接触する面の材料を平板にしたもので測定することにする。ただし上述の通り、多孔質体上で水の前進接触角が90°以下であれば、平板上であっても90°以下であることが分かる。
このように本発明の液体吸収体をより効果的に機能させるには、短時間における濡れ性を考慮する必要がある。このことは常に液体と接触する単純なフィルタなどとは明らかに異なる液体吸収体を用いた液体吸収方法であることを示している。
[0019]
親水撥油材料は、液体吸収体のインクと接触する面の少なくとも一部に含まれていればよく、親水撥油材料そのものが液体吸収体の基材を成していてもよいし、基材に練り込まれるなどしてその一部として含まれていてもよいし、基材にコーティングされているなどしてもよい。親水撥油材料を基材に含ませる、親水撥油材料を基材にコーティングするなどの場合は、基材やバインダー、その他の添加物などと合わせて所望の特性が発現するようにしてあればよい。親水撥油材料が他の材料と混合物や化合物としてなる場合も、その材料が親水撥油性を有していれば、その材料自体もまた親水撥油材料と呼ぶことができる。
[0020]
(親水撥油材料)
親水撥油材料としてはその材料が親水撥油性を有していれさえいれば良く、特に限定されるものではない。また、本発明に使用可能な親水撥油材料としては、例えば、以下の特許文献等に記載のものが挙げられ、これらは本発明に係る親水撥油材料に含まれるものとする。
・特許第5879014号公報に示された含窒素フッ素化合物を含む親水撥油剤、
・特開2016-74830号公報に示されたペルフルオロポリエーテル基含有化合物である親水撥油剤、
・特開2016-74828号公報に示されたペルフルオロアルキル基含有化合物である親水撥油剤、
・特開2016-64405号公報等に示された撥油性付与基および親水性付与基とを有するフッ素系化合物、
・特開2012-184207号公報にされた含フッ素単量体とアルコキシ基含有単量体とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体、
・特開2012-12718号公報に示されたフルオロアルキル系ビニルモノマーとポリアルキレングリコール含有親水性ビニルモノマーと非ポリアルキレングリコール系ビニルモノマーとからなるアクリレート系共重合体、
・特開2012-6893号公報に示された含フッ素単量体とアルコキシ基含有単量体を含めて共重合反応させてなる含フッ素共重合体、
・特開2011-88850号公報に示された含フッ素単量体及びアルコキシ基含有単量体を必須に含む単量体を共重合して得られるフッ素アルキルアクリレート/ポリアルキレングリコールアクリレートポリマー、
・特開2008-062127号公報に示されたパーフルオロカーボンと、酸素原子を有し、C-H結合およびハロゲン原子のいずれも有しない酸素含有物質とが存在する雰囲気中で放電処理して得られる多孔質膜、
・特開2007-154020号公報に示された水ガラスと、両末端にフッ素含有基をもつオリゴマー及び/又はコオリゴマーである低重合体とが少なくとも混合されてなることを特徴とするハイブリッド塗料、
・特開2006-152508号公報に示されたフッ素系ビニルモノマーと、ポリアルキレングリコール含有親水性ビニルモノマーと、非ポリアルキレングリコール系ビニルモノマーとの共重合体からなる親水撥油加工剤、
・特開2005-330354号公報に示されたフッ素系ビニルモノマーとポリアルキレングリコール含有親水性ビニルモノマーならびに非ポリアルキレングリコール系ビニルモノマーの共重合体である事を特徴とする親水・撥油加工剤、
・特開2002-105433号公報に示されたフッ素系ビニルモノマーの他に、スルホン基含有親水性ビニルモノマーを必須成分として含む親水撥油性の共重合体、
・特開平05-331455号公報に示された含フッ素シラン化合物と親水性シラン化合物とからなる親水撥油処理剤、
・特開平04-367721号公報に示されたフッ素を側鎖に含む分子鎖が存在していることを特徴とするフッ素系化学吸着単分子累積膜。

基材への処理方法等も特に限定されるものではないが、各特許文献にもそれぞれ詳しく記述されている。
[0021]
親水撥油材料の中でも、末端にアニオン、カチオン、両性型(ベタイン)から選択される親水性基、並びに、分子鎖中にエーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、及びウレタン結合から選択される1つ以上の結合を含む2価の有機基を有するフッ素化合物を含むことがより好ましい。
その中でも、親水撥油材料が、下記一般式(1)から(6)からなる群から選択される少なくとも一つのフッ素化合物を含むことがさらに好ましい。
Rf1-Rfo-Rf2-X ・・・(1)
一般式(1)中、Rf1は、炭素数1~6のペルフルオロアルコキシ基又はフッ素原子である。Rfoは、2価のペルフルオロポリエーテル基である。Rf2は、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか一つの親水性基である。
一般式(1)で示されるフッ素化合物は、特開2016-74830号公報に開示されており、各基の具体例及び例示化合物の全ては本発明に係る親水撥油材料に含まれる。
Rf-R-X ・・・(2)
一般式(2)中、Rfは、炭素数6~16の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。Rは、直鎖状又は分岐状の分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選ばれる少なくとも一つの結合を含む2価の有機基である。また、Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか一つの親水性基である。
一般式(2)で示されるフッ素化合物は、特開2016-74828号公報に開示されており、各基の具体例及び例示化合物の全ては本発明に係る親水撥油材料に含まれる。
[0022]
[化1]


[0023]
一般式(3)及び(4)中、Rf 及びRf は、それぞれ同一または互いに異なって、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。Rf は、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。一般式(5)及び(6)中、Rf 、Rf 及びRf は、それぞれ同一または互いに異なって炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。また、Zは、2価の酸素結合、置換基を有している窒素結合、CF 基、置換基を有しているCF結合のいずれかから選択される。また、Zが窒素原子又はCF基を含む場合、Zから分岐したペルフルオロアルキル基が当該Zに結合していてもよい。また、上記式(4)及び(6)中、Rは、直鎖状又は分岐状の分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選ばれる少なくとも一つを含む2価の有機基である。また、上記式(3)~(6)中、Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか一つの親水性基である。
一般式(3)~(6)で示されるフッ素化合物は、特開2016-64405号公報及び特許第5879014号公報に開示されており、各基の具体例及び例示化合物の全ては本明細書に取り込まれる。
[0024]
優れた親水性と撥油性とを同時に発現するためには、撥油性を示す構造と親水性を示す構造が密に配列することが好ましく、そのためにはコンパクトな構造であることが重要であると考えられる。また直鎖のフッ化アルキル基よりも分岐構造や環状構造にしたり、分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合などの結合基で連結することでさらに撥油構造がコンパクトになり、撥油性を示す構造と親水性を示す構造を密にすることができると考えられる。またフッ化アルキル基以外の二価の有機基を連結することで、基材に対して二価の有機基が配向し、撥油部、親水部のどちらかが極端に表面でるのではなく、バランスのとれた状態で親水部、撥油部が表面に配列するため、親水撥油性が同時に発現できると考えられる。
なおイオンは一般に優れた親水性を示す。この性質は、特にアニオン、カチオン、及び両性型の差によらない。
[0025]
(基材)
基材としては特に限定されないが、親水材料、撥水材料いずれも使用することができる。親水材料としては、セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアクリル酸ナトリウムなどの有機材料、アルミナやシリカ、グラスファイバーなどの無機材料がある。また撥水材料を、スパッタエッチング法、放射線やH Oイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射、プラズマ照射などの方法により親水化処理してもよい。撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素樹脂や、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンなどがある。
以下、基材として多孔質体を用いる場合について具体例を挙げて説明する。液吸収体のインク像との接触面を第一の面とし、少なくとも第一の面に基材として多孔質体が配置される。
[0026]
(多孔質体)
本実施形態において、多孔質体は親水撥油材料を含む。多孔質体自体がまたはその一部が親水撥油材料で構成されていてもよく、基材としての多孔質体に親水撥油材料がコーティングされていてもよい。多孔質体の平均孔径とは第一の面または第二の面の表面での平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合や機械的な性能が不足する場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。
[0027]
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここではインク像に接触する側の第一の層、第一の層のインク像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。
[0028]
[第一の層]
本実施形態において、第一の層の材料は親水撥油材料を含んでいればよく、本発明の効果が得られる範囲で、その他の材料を含んでいてもよい。例えば、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性の材料のいずれも使用することができる。
[0029]
親水性材料としては、セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアクリル酸ナトリウムなどの有機材料、アルミナやシリカ、グラスファイバーなどの無機材料がある。また撥水性材料を、スパッタエッチング法、放射線やH Oイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射、プラズマ照射などの方法により親水化処理してもよい。
親水性材料の場合、水に対する接触角が60°以下であることがより好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体、特に水を吸い上げる効果がある。
撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素樹脂や、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンなどがある。
本実施形態の実施例において、膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
第一の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、樹脂材料を押出成形などの方法でシート状物を得た後、所定の厚みに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
[0030]
[第二の層]
本実施形態において、第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。このような層は例えば樹脂繊維の不織布や、織布でも良い。ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される
[0031]
[第三の層]
本実施形態において、多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよく、限定されない。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布であることが好ましい。材料としては第二の層と同様なものも好ましく用いられる。
[0032]
[その他の材料]
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[0033]
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特に限定されることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本実施形態においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
また、市販の多孔質フィルムを基材として用いてもよい。
[0034]
このようにして構成された液体吸収体は、種々のインクに対して好適に用いることができる。インクは特に限定されないが、インクジェット用インク、フレキソ印刷用インク、グラビア印刷用インク、スクリーン印刷用インク、液体現像用トナーなどがあり、その他にもインクジェット用のいわゆる反応液や、オフセット印刷の湿し水、各種印刷方式における後がけのニスなど、前処理、後処理等を含めた種々の液体に対しても好適である。特に溶媒として水を含むインクおよび反応液等の液体は、親水撥油性の効果が高く好適である。
除去すべき溶媒は特に水などの主たる溶媒だけでなく、水溶性の有機溶剤などであってもよい。また離型すべき内容物は顔料や染料と言った色材に限られず、エマルションや水溶性樹脂などであってもよい。除去すべき溶媒と離型すべき内容物は、同一のインク、液体から供給されてもよいし、インクジェットにおける反応液とインクのように、異なる種類のインク、液体から供給されてもよい。
[0035]
インクジェット用インクは、一般に吐出性の観点から粘度を下げる必要性があり、水などの多量の溶媒を使用することが多いため、本発明の液体吸収体を特に好適に用いることができる。インクジェット用インクは特に限定されないが、次のような成分から構成される。
[0036]
<インクジェット用インク>
以下、本実施形態に適用されるインクジェット用インク(以下、単にインクという)を構成する各成分について詳細に説明する。
[0037]
(色材)
色材としては、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
[0038]
顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。
顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子の表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。
顔料を水性媒体中に分散させるための樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体中に分散させうるものを用いることが好ましい。樹脂分散剤としては、好適には、後述するような樹脂、さらに好適には水溶性樹脂を用いることができる。顔料の含有量(質量%)は、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で(顔料/樹脂分散剤)、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
[0039]
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(-R-)を介して顔料の粒子表面に結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン;アンモニウム;有機アンモニウム;などを挙げることができる。また、他の原子団(-R-)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基;フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基;カルボニル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エステル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。
[0040]
染料としては、アニオン性基を有するものを用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、(アザ)フタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどの染料を挙げることができる。
[0041]
(樹脂)
インクには、樹脂を含有させることができる。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定にする、すなわち上述の樹脂分散剤やその補助として、(ii)記録される画像の各種特性を向上させる、などの理由でインクに添加することができる。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。また、樹脂は、水性媒体に水溶性樹脂として溶解した状態であってもよく、水性媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。樹脂粒子は色材を内包するものである必要はない。
[0042]
本発明において樹脂が水溶性であることとは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、のように設定することができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA-EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
[0043]
樹脂の酸価は、水溶性樹脂の場合100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましく、樹脂粒子の場合5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、水溶性樹脂の場合3,000以上15,000以下であることが好ましく、樹脂粒子の場合1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。樹脂粒子の動的光散乱法(測定条件は上記と同様)により測定される体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下であることが好ましい。
[0044]
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などを挙げることができる。なかでも、アクリル系樹脂やウレタン樹脂が好ましい。
[0045]
アクリル系樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、芳香環を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの少なくとも一方に由来する疎水性ユニットと、を有する樹脂が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットと、スチレン及びα-メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来する疎水性ユニットとを有する樹脂が好ましい。これらの樹脂は、顔料との相互作用が生じやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適に利用することができる。親水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有するユニットである。親水性ユニットは、例えば、親水性基を有する親水性モノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有する親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。疎水性ユニットは、アニオン性基などの親水性基を有しないユニットである。疎水性ユニットは、例えば、アニオン性基などの親水性基を有しない、疎水性モノマーを重合することで形成することができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどを挙げることができる。
[0046]
ウレタン系樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得ることができる。また、鎖延長剤をさらに反応させたものであってもよい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
[0047]
(水性媒体)
インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。
[0048]
(その他添加剤)
インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤など種々の添加剤を含有してもよい。
[0049]
インクジェット用インクの付与に先立って、以下に示すような反応液が付与されていてもよい。反応液は画像品位を向上させるだけでなく、液体吸収体の接触に際しては、離型すべき内容物のサイズを大きくしたり、その粘度を高くするなどの効果により、細孔に取り込まれるのを防止しやすくすることが期待できる。
[0050]
<反応液>
反応液はインクと接触することによって、記録媒体や転写体上でのインク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、インクによる画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制することができる。具体的には、反応液に含まれる反応剤(インク高粘度化成分とも称する)が、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着する。これによって、インク全体の粘度の上昇や、色材などインクを構成する成分の一部が凝集することによる局所的な粘度の上昇を生じさせ、インク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下させることができる。なお、反応液を用いる場合、インク像は、インクと反応液の混合物によって形成される。
[0051]
以下、本実施形態に適用される反応液を構成する各成分について詳細に説明する。
(反応剤)
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。
[0052]
多価金属イオンとしては、例えば、Ca 2+、Cu 2+、Ni 2+、Mg 2+、Sr 2+、Ba 2+及びZn 2+などの2価の金属イオンや、Fe 3+、Cr 3+、Y 3+及びAl 3+などの3価の金属イオンが挙げられる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl 、Br 、I 、ClO 、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2-、CO 2-、HCO 、PO 3-、HPO 2-、及びH PO などの無機アニオン;HCOO 、(COO 、COOH(COO )、CH COO 、C (COO 、C COO 、C (COO 及びCH SO などの有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下であることが好ましい。
[0053]
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0~5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩、などを挙げることができる。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、1.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。
[0054]
カチオン性樹脂としては、例えば、1~3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂などを挙げることができる。反応液における溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
[0055]
(反応剤以外の成分)
反応剤以外の成分としては、インクに用いることができるものとして先に挙げた、水性媒体、その他の添加剤などと同様のものを用いることができる。
[0056]
インクジェット用インクの中でも、水と、活性エネルギー線の照射により硬化する成分とを含むインク(水性の活性エネルギー線硬化性インクともいう)に対し、本実施形態の液体吸収体を好適に用いることができる。活性エネルギー線の照射で生じた硬化物は、水を含んだ柔軟な状態となることがあり、付着力が高くなることも多い。本実施形態の液体吸収体は、内容物に対する離型性と液体の除去性を両立できるため、このようなインクに対し顕著な効果を示し好適である。なお、以降、活性エネルギー線として紫外線(UV)を用いる場合に用いられるインクを、水性UV硬化性インクと呼ぶことがある。
[0057]
<水性の活性エネルギー線硬化性インク>
(親水性重合性成分)
活性エネルギー線の照射により硬化する成分(硬化性成分)としては特に限定されないが、例えば紫外線硬化樹脂などが挙げられる。紫外線硬化性樹脂は水に溶けないものが多いが、本発明に好適に用いられる水系インクに適応できる材料としては、その構造に紫外線で硬化可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも2官能以上もち、且つ親水性の結合基を持つことが好ましい。親水性をもつための結合基としては例えば、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基およびこれらの塩、エーテル結合、アミド結合などが挙げられる。
硬化性成分は親水性のものが好ましい(以下親水性重合性成分と示す)。ここでいう化合物が親水性であるということは、その化合物が以下の状態のいずれかであることを意味する。
(1)水と混和し得る有機溶剤に可溶であり、有機溶剤溶液が水溶性である。
(2)化合物自体は非水溶性であっても水に乳化可能な形態に処理が施されている。
[0058]
本発明において非水溶性の重合性化合物を界面活性剤などで乳化分散したり、分散可能なアニオン性基などの親水基を重合性化合物の構造に付与することで、エマルション、ディスパージョン形態で水性インクに適用できる。例えば、荒川化学社製の「ビームセットEM-90」、「ビームセットEM-92」や、新中村化学工業社製の「UA-7100」、「UA-W2」(いずれも商品名)などがあげられる。
[0059]
(3)水溶性である。
本発明に於いて親水性重合性成分の少なくとも1種が水溶性であることが好ましい。また親水性重合性成分はラジカル重合性物質であることが好ましい。親水性重合性成分はさらに反応液にも含有されていてもよい。
以下に親水性重合性成分の好ましい例を表1に示す。
[0060]
[表1-1]


[0061]
[表1-2]


[0062]
(親水性重合開始剤)
本発明に用いられる重合開始剤は親水性であることが好ましい。
親水性重合性成分がラジカル重合性物質である場合、親水性重合開始剤は、活性エネルギー線によってラジカルを生成する化合物であればいずれのものでもよいが、下記一般式(7)~(11)からなる群より選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。
[0063]
[化2]


[0064]
上記式(7)中のR はアルキル基またはフェニル基を示し、R はアルキルオキシ基またはフェニル基を示し、R は下記式(a)で表される基を示す。
[0065]
[化3]


[0066]
上記式(a)中のR は、-[CH x2-(x2は0または1)またはフェニレン基を示し、m2は0~10の整数を示し、n2は0または1を示し、R は水素原子、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を示し、塩を形成していてもよい。
[0067]
[化4]


[0068]
上記式(8)中のm3は1以上の整数を示し、n3は0以上の整数を示し、m3+n3は1~8の整数を示す。
[0069]
[化5]


[0070]
上記式(9)中のR 10およびR 11は各々独立に、水素原子またはアルキル基を示し、m4は5~10の整数を示す。
[0071]
[化6]


[0072]
上記式(10)中のR 10およびR 11は各々独立に、水素原子またはアルキル基を示し、R 12は、-(CH -(xは0または1)、-O-(CH -(yは1または2)またはフェニレン基を示し、Mは水素原子またはアルカリ金属を示す。
[0073]
[化7]


[0074]
上記式(11)中のR 10およびR 11は各々独立に、水素原子またはアルキル基を示し、Mは水素原子もしくはアルカリ金属を示す。
[0075]
これらの中では、一般式(7)、(8)および(9)のいずれかで示される化合物であることが好ましく、特には一般式(7)および(8)のいずれかで示される化合物であることが好ましい。
[0076]
前記一般式(7)におけるR のアルキル基およびフェニル基は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、以下のものが挙げられる。具体的には、例えば、ハロゲン、炭素数1~5の低級アルキル基、炭素数1~5の低級アルキルオキシ基、上記式(a)で示される基、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基が挙げられる。特に好ましいR は、炭素数1~5の低級アルキル基を置換基として有するフェニル基である。
[0077]
前記式(a)におけるR のフェニレン基は1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレンのいずれであってもよく、置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、以下のものが挙げられる。具体的には、例えば、ハロゲン、炭素数1~5の低級アルキル基、炭素数1~5の低級アルキルオキシ基、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基が挙げられる。
[0078]
前記一般式(7)中のR 、式(a)のR のフェニレン基が置換基としてスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する場合や、式(a)におけるR のスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基の場合には、塩を形成していてもよい。かかる塩を形成するカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、またはHN (R 、R 、R はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~5の低級アルキル基、炭素数1~5のモノヒドロキシル置換低級アルキル基またはフェニル基を示す。)で表されるアンモニウムカチオンなどの1価カチオンとの塩、あるいはアルカリ土類金属カチオンなどの2価カチオンがスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基から選択される2つの基と塩を形成する場合が挙げられる。
[0079]
前記一般式(7)におけるR のアルキルオキシ基およびフェニル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン、炭素数1~5の低級アルキル基、炭素数1~5の低級アルキルオキシ基が挙げられる。特に好ましいR は、アルキルオキシ基であり、中でも-OC およびOC(CH である。
[0080]
前記一般式(9)~(11)におけるR 10およびR 11のアルキル基は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、以下のものが挙げられる。具体的には、例えば、ハロゲン、スルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基が挙げられる。置換基がスルホン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基の場合、上記一般式(7)において説明したような塩を形成していてもよい。
[0081]
これらの親水性重合開始剤の特に好ましい具体例としては、例えば、下記表2に示す構造の親水性重合開始剤が挙げられるが、本発明で使用する親水性重合開始剤は、これらに限定されるものではない。
[0082]
[表2]


[0083]
親水性重合開始剤としてチオキサントン系親水性重合開始剤などを用いる場合は、水素供与剤を添加することが好ましい。水素供与剤としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、2種類以上の親水性重合開始剤を組み合わせて使用することができる。2種類以上の親水性重合開始剤を添加することで、1種類の親水性重合開始剤では有効に利用できない波長の光を利用して、さらなるラジカルの発生を期待できる。また、上記したような親水性重合開始剤は、活性エネルギー線として電子線を用いてインクを硬化する電子線硬化法を採用する場合には必ずしも必要ではない。
[0084]
また活性エネルギー線の照射により硬化する成分と組み合せて用いられる活性エネルギー線硬化触媒としては、αヒドロキシケトン、ベンジルケタール、アシルフォスフィン、チオキサントン等の骨格をもち、且つ反応性を最大限に発揮するためにも親水性であることが好ましい。親水性をもつための結合基としては例えば、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基およびこれらの塩、エーテル結合、アミド結合などが挙げられそのいずれも好適に用いる事ができる。なお本発明に用いられる材料は水に1重量%以上溶解することが好ましい。
さらに、反応速度を向上させるために光の吸収波長を広げる役割を有する増感材を併用することも好ましい形態の一つである。
[0085]
使用されるインクは色材と親水性重合性成分を含む以外は特に限定されるものではない。場合によっては着色剤を入れずに透明インクとして用いる場合もある。着色剤としては一般的に染料や顔料、またこれらの分散体が好適に用いられる。
[0086]
染料としては限定を受けず、一般的に使われる染料であれば問題なく用いることができる。例としては、C.Iダイレクトブルー6,8,22,34,70,71,76,78,86,142,199、C.Iアシッドブルー9,22,40,59,93,102,104,117,120,167,229、C.Iダイレクトレッド1,4,17,28,83,227、C.Iアシッドレッド1,4,8,13,14,15,18,21,26,35,37,249,257,289、C.Iダイレクトイエロー12,24,26,86,98,132,142、C.Iアシッドイエロー1,3,4,7,11,12,13,14,19,23,25,34,44,71、C.Iフードブラック1,2、C.Iアシッドブラック2,7,24,26,31,52,112,118等が挙げられる。
[0087]
顔料としては限定を受けず、一般的に使われる顔料であれば問題なく用いることができる。例としては、C.Iピグメントブルー1,2,3,15:3,16,22、C.Iピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn)57(Ca),112,122、C.Iピグメントイエロー1,2,3,13,16,83、カーボンブラックNo2300,900,33,40,52、MA7,8,MCF88(三菱化成製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL330R、660R、MOGUL(キャボット)、Color Black FW1,FW18,S170,S150,Printex35(デグッサ)等が挙げられる。
[0088]
分散樹脂としては、水溶性で重量平均分子量が1000から15000程度のものが好適に使用される。例としては、スチレン及びその誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導体、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸及びその誘導体、マレイン酸及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体、フマル酸及びその誘導体からなるブロック共重合体あるいはランダム共重合体、またこれらの塩等が挙げられる。また、分散樹脂を用いず、光硬化性樹脂を単独で用いる事もできる。
[0089]
また本発明はインク形態としての限定を受けず、自己分散タイプ、樹脂分散タイプ、マイクロカプセルタイプ等の使用も適宜可能である。
[0090]
インク中にはインクジェット吐出性や乾燥性を制御するために有機溶剤を含んでも良い。使用する有機溶剤は高沸点で蒸気圧の低い水溶性の材料が好ましく、例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン等である。また、粘度、表面張力等を調整する成分としてエチルアルコールやイソプロピルアルコール等のアルコール類や各種界面活性剤を添加する事もできる。
[0091]
配合比についても限定を受けることなく、選択したインクジェット記録方式やヘッドの吐出力、ノズル径などから吐出可能な範囲で調整可能である。一般的にはインクの全質量を基準として、色材0.1~10質量%、樹脂0.1~10質量%、親水性重合性成分3~40質量%、親水性重合性開始剤0~10質量%、溶剤0~10質量%、界面活性剤0.1~10質量%であり、残りは純水である。
[0092]
本実施形態の液体吸収体は、記録媒体または転写体に付与されたインク像に接触することで、インク像中の液体成分(インクや反応液に含まれる溶媒等)の少なくとも一部を除去する。インク像への接触のさせ方は限定されないが、例えば以下のような方法がある。
[0093]
インク像への接触を確実にするために、液体吸収体を圧力Pでインク像に対して押圧してもよい。液体吸収体の細孔を通じて吸引を行ってもよく、この場合圧力Pは、液体吸収体の記録媒体あるいは転写体への圧力と、吸引圧を合計した圧力となる。
離形すべき内容物は通常粘弾性体であり、液体吸収体と離型すべき内容物との間に生じる単位面積当たりの付着力P3は、液体吸収体の材料的な離型性だけでは必ずしも決まらない。Pが大きいほど液体吸収体への濡れや細孔への浸透は大きくなるためP3は増大する。離型すべき内容物を記録媒体または転写体に効果的に残留させるにはP3が、離型すべき内容物の単位面積当たりの凝集力P2より小さく、かつ離型すべき内容物と記録媒体または転写体との間に生じる単位面積当たりの付着力P1より小さいとよい。
P3<P2, かつ P3<P1 ・・・(A)
また液体吸収体が液体成分を良好に除去するためには、Pは液体吸収体に対するインク溶媒の毛管圧Ps(吸い込まれる方向を正として)との間に、
-Ps<P ・・・(B)
の関係が成り立つとよい。すなわち、液体成分が液体吸収体に撥かれる性質を持っていても、Pを押圧や吸引圧として加えればよい。液体成分が液体吸収体に浸透する性質を持っていれば、液体吸収体はインク像に接触してさえいれば良く、Pは0であってもよい。
またP2が特に小さかったり、Psが特に小さい場合、液体成分が液体吸収体に撥かれる性質を持っていても、インク像内部で分離して液体吸収体に付着することがある。
P1とP3は一般的なタッキング試験機でそれぞれ測定することができる。P2は一般的なレオメータで、変形を加えた時の最大応力から測定することができる。ただし原理上、P2がP1より小さい場合、タッキング試験中に離形すべき内容物の内部で分離が起こるために、P1を測定することはできない。離形すべき内容物の内部で分離が起こった場合、P2<P1と見なす。これはP2とP3の関係についても同様である。
Pは一般的な圧力センサで測定することができる。Psは毛管上昇法など既知の方法で測定することができる。ただしPsの正負だけであれば、単純に液体吸収体に液体が浸透するか否かを観察すればよい。
このように本発明の液体除去方法をより効果的に機能させるには、液体吸収体に押圧を加えたり、その圧力に特別な工夫が必要である。このことは単純なフィルタなどとは明らかに異なる液体除去方法であることを示している。
[0094]
一般に、紙などへの液体の浸透はLucas-Washburnの式で表され、さらに圧力を考慮したものに下記のOlsson-Pihlの式(C)がある。
[0095]
[数1]


[0096]
ここで、lは浸透深さ、rは孔径の半径、γ は液体の表面張力、θは接触角、pは圧力、ηは液体の粘度、tは時間である。平方根の中の分子の第一項は毛管力を、第二項は圧力による力を示している。
本発明の液体吸収体において、親水撥油性をより効果的に用いて内容物を離形するには、下記の式(D)のように離形すべき内容物が液体吸収体に吸い込まれる毛管力に対して、圧力による力が小さいとよい。なぜなら、毛管力には材料的な選択性が働くが、圧力による力にはそれがないからである。
[0097]
[数2]


[0098]
液体吸収体がインク像に接触し始めた瞬間を考えると、インク像中に含まれる離形すべき内容物も液体成分、特に水を多く含んでいる。したがって、γ を水の18℃での表面張力である73mN/mとし、θは十分に小さいとしてcosθを1と仮定する。以上より、親水撥油性を効果的に機能させる圧力Pは、液体吸収体の孔径の半径rとの間に以下のような条件式(E)に示す関係が成立することが好ましい。
P[Pa]<1.46×10 -1[N/m]/r[m]    (E)
例えば孔径200nmの液体吸収体を考えると、孔径の半径rが100nmとなるため、P<1.46MPaとなる。実際の浸透深さlには粘度ηや接触時間tが関係する。しかしこの条件を満たせば、親水撥油性の効果が顕在化しやすくすることができる。
[0099]
上記のような液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法及び画像形成装置を、インクジェット記録装置を例にして詳しく説明する。ただし、構成、構造、材料、設定などは、発明を適用する各種条件に応じて適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
[0100]
<インクジェット記録装置>
本発明を適用したインクジェット記録装置としては、記録媒体上に直接画像を形成する直接描画型インクジェット記録装置と、転写体上に画像を形成したのちに記録媒体へ転写する転写型インクジェット記録装置とが挙げられる。インク付与装置からインクが付与される対象を「被記録体」と称し、直接描画型インクジェット記録装置では記録媒体、転写型インクジェット記録装置では転写体が該当する。
まず、各インクジェット記録装置に共通する装置について説明する。
[0101]
<インク付与装置>
 インクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気-熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気-機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本発明では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気-熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。
本発明のインクジェット記録装置は、被記録体上に各色のインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インクジェット記録装置は上記4種類のインクを被記録体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有する。また、インク付与装置は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。
[0102]
<反応液付与装置>
反応液付与装置は、反応液を被記録体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来知られている各種装置を適宜用いる事ができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被記録体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。反応液付与装置はインクジェット記録装置に必ずしも必須の装置ではなく、反応液を用いない構成であれば当然省略することができる。
[0103]
次に直接描画型インクジェット記録装置と転写型インクジェット記録装置を、それぞれ説明する。転写型インクジェット記録装置のほうが構成要素が多いため、先にこちらを説明する。
[0104]
<転写型インクジェット記録装置>
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。この転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上に反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上にインクを付与し、転写体101上で画像を形成するインク付与装置104と、転写体101上の画像から液体成分を吸収する液体吸収装置105、液体成分を除去した転写体101上の画像を紙などの記録媒体108上に転写する転写用の押圧部材106を有する転写部111を含む。また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。反応液付与装置103は必ずしも必須の装置ではなく、反応液を用いない構成であれば当然省略することができる。インク付与装置104と液体吸収装置105との間に活性エネルギー線を照射する装置、例えば活性エネルギー線照射装置110を備えることができる。活性エネルギー線照射装置110は必ずしも必須の装置ではなく、また、設置位置も図示した位置に限定されない。詳細については後述する。
[0105]
支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動される。移動された転写体101上に、反応液付与装置103による反応液、および、インク付与装置104によるインクの付与が順次行われ、転写体101上に画像が形成される。転写体101上に形成された画像は、転写体101の移動により、液体吸収装置105が有する液体吸収体105aと接触する位置まで移動される。
転写体101と液体吸収装置105は、互いに同期して移動しており、画像は液体吸収体105aと接触した状態を経由する。この間に液体吸収体105aは画像から液体成分を除去する。このとき画像と液体吸収体105aとは所定の押圧力をもって接触した状態とされることが好ましい。
[0106]
液体成分が除去された画像は、転写体101の移動により、記録媒体108と接触する転写部111に移動され、記録媒体搬送装置107によって転写部に搬送された記録媒体108に圧接することによって、記録媒体108上に画像を形成する。
なお、転写体101上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液体吸収体105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。したがって、以上では画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体101上から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
[0107]
転写型インクジェット記録装置100の各構成について以下に説明する。
[0108]
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体101は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体101は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の材料としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンの共重合体、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
[0109]
転写体101を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体101は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体101の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体101の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
[0110]
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体101の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体101に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体101を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
[0111]
<反応液付与装置>
図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
[0112]
<液体吸収装置>
本実施形態において、液体吸収装置105は、液体吸収体105a、および、液体吸収体105aを転写体101上の第一の画像に押し当てる押圧部材105bを有する。なお、液体吸収体105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液体吸収体105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液体吸収体105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液体吸収体105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液体吸収体105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。
ベルト形状の液体吸収体105aを有する液体吸収装置105は、液体吸収体105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105c、105d、105eは張架部材としての張架ローラである。図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液体吸収装置105では、本発明に係る液体吸収体105aを押圧部材105bによって画像に接触させることで、画像に含まれる液体成分を液体吸収体105aに吸収させる。液体吸収体105aの画像に対する圧力P、接触時間tが上述した範囲となるように、押圧部材の加圧力や、液体吸収体105aと転写体101の間のニップ幅等の条件を調整すればよい。液体吸収体105aを通して画像との接触部で吸引を行わない場合、Pは押圧部材の加圧力をニップの面積で除して算出される。またtはニップ幅を転写体101の移動速度で除して算出される。
画像中の液体成分を減少させる方法として、液体吸収体105aを接触する本方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。
[0113]
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体101上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後のインク像は、液除去前のインク像と比べてインクが濃縮された状態となり、さらに転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部111へ移動される。液除去後のインク像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後インク像は液除去前のインク像、および液除去後のインク像の反転画像である。
なお、本実施形態では転写体101上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、インクによる画像が形成されない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。
したがって、以上では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体101上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
[0114]
このようにして、転写体101上には、液体分の減少した画像が形成される。画像は次に転写部111において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
[0115]
<転写部>
転写部111では、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108上に、転写体101上の画像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に圧接させることで転写する。転写体101上の画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
転写用の押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。転写用の押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。転写用の押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
転写体101上の画像を記録媒体108に圧接させる圧力および時間は、転写性やその他の条件を鑑みて適切に調整すればよい。一般に圧力が大きいほど、時間が長いほど、紙など記録媒体108の凹凸への追従性は良化し、真実接触面積が増大して転写性は良好になる。一方で圧力が強すぎると紙の風合いが損なわれたり、転写体101の耐久性を損なったりする可能性が高まる。また圧力が大きいほど、時間が長いほど、押圧部材にかける総圧が大きくなるため、装置構成は大型化しやすい。
転写体101上の画像を記録媒体108に圧接させる温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であると転写性は良好となる。これらの温度とするために、転写体101上の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備えていてもよい。
[0116]
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体108としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体108を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
[0117]
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置100は、各装置を制御する制御システムを有する。図3は図1に示す転写型インクジェット記録装置100における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。図3において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は図1の転写型インクジェット記録装置100におけるプリンタ制御部のブロック図である。401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液体吸収体搬送モータ406を駆動するための液体吸収体搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
[0118]
<直接描画型のインクジェット記録装置>
本発明における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置200が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置200において、被記録体は画像を形成すべき記録媒体である。
図2は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置200は、前述した転写型インクジェット記録装置100と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109、転写部111を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置100と同様の手段を有する。
したがって、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204、および、記録媒体208上の画像に接触する液体吸収体205aにより画像に含まれる液体成分を吸収する液体吸収装置205は、転写型インクジェット記録装置100と同様の構成を有しており、説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置200において、液体吸収装置205は液体吸収体205a、および、液体吸収体205aを記録媒体208上の画像に押し当てる押圧部材205bを有する。また、液体吸収体205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置100で使用可能な液体吸収体205aおよび押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液体吸収装置205は、液体吸収体205aを張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図4の5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与する印字部、および、液体吸収体205aを記録媒体208上の画像に圧接し、液体成分を除去する液体成分除去部には、記録媒体208を下から支える不図示の記録媒体支持部材を有していてもよい。
[0119]
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置200において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置200における搬送手段を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置207が挙げられる。
[0120]
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200は、各装置を制御する制御システムを有する。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置200における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置100と同様に、図3に示す通りである。
図5は図2の直接描画型インクジェット記録装置200におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図4における転写型インクジェット記録装置100におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液体吸収体搬送モータ506を駆動するための液体吸収体搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
[0121]
活性エネルギー線の照射により硬化する成分を含むインクを用いる場合、活性エネルギー線を照射する装置を備えることができる。インクが紫外線で硬化する成分を有する場合には、インクジェット記録装置は活性エネルギー線照射装置としての紫外線照射装置を備えることができる。
[0122]
<活性エネルギー線照射装置>
活性エネルギー線照射装置は、重合開始剤の吸収波長など重合を進めることのできる波長の光を照射することができれば、公知の照射装置を特に限定せずに用いることができる。なお、活性エネルギー線の中でも、紫外線が好ましい。以降紫外線照射装置を例に挙げて説明する。なお、ここにいう紫外線とは波長が厳密に400nm以下という限定されるものではなく、重合を進めることのできる主に短波長の光を指しており、場合によっては可視光が含まれることもある。紫外線照射装置には例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ、LEDなどが挙げられる。
紫外線照射装置は、画像の仮留め、半硬化、完全硬化など、その役割に応じて、任意の位置に任意の条件で配置することができ、それらは特に限定されない。例えば、主にブリーディングやビーディングの抑制を目的として、インク付与装置の各ヘッド間に配置したり、記録媒体への定着や堅牢性の発現(以下、本硬化)を目的として、記録媒体上の最終画像に対して配置したりしてもよい。
[0123]
本発明のように液体吸収体を有するインクジェット記録装置では、紫外線硬化による離形すべき内容成分の相変化や粘度上昇などを目的として、インク付与装置の後、液体吸収装置の前に紫外線照射装置を配置してもよい(図1の110,図2の210)。この場合、インクを完全に硬化させない、半硬化状態に留めるような条件で紫外線照射を行ってもよい。半硬化状態とすることで硬化物をより柔軟な状態にすることができ、転写性をより良好にするなどの効果を期待することができる。また、水を多く含んだ状態で硬化させると硬化物はゲル状になることがあり、ゲル状の硬化物から単純に水を除去しても堅牢性が不十分である場合がある。液体吸収体と接触させるためにまず半硬化状態とし、水の量を減少させてから本硬化させることは良い方法である。そのため、活性エネルギー線を照射する工程は、インク像に含まれる活性エネルギー線の照射により硬化する成分の一部を重合する第一の照射工程を含むことが好ましい。また、この第一の照射工程の後に、インク像に含まれる活性エネルギー線の照射により硬化する成分の一部を重合することにより硬化する第二の照射工程を含むことがさらに好ましい。
また、前記第一の照射工程は、前記液体成分の少なくとも一部を除去する工程より前に行うことが好ましい。さらに、前記第二の照射工程は、前記液体成分の少なくとも一部を除去する工程より後に行うことが好ましい。特に、画像形成方法が転写工程を有する場合、第二の照射工程は、前記転写工程より後に行うことが好ましい。転写工程よりも後に第二の照射工程を行う場合は、インクジェット記録装置は、図1に示すように、第一の活性エネルギー線照射装置110以外に、第二の活性エネルギー線照射装置112を有する。
紫外線の照射条件には波長以外に、照度や積算光量が挙げられる。照度は単位面積当たりの放射束を示す値であり、単位としてmW/cm を用いることが多い。積算光量は照度を時間で積分した単位面積当たりのエネルギーを示す値であり、単位としてmJ/cm を用いることが多い。いずれも紫外線に対応した一般的な照度計で測定することが可能である。
実施例
[0124]
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。以下で特に断らない限り、「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。
接触角の測定には協和界面科学社製の接触角計「CA-W」を用い、前進接触角は拡張/収縮法を用いた。
[0125]
<実施例1>
本実施例では図2に記載の直接描画型インクジェット記録装置を用いて画像形成を行った。
記録媒体にはコート紙(オーロラコート紙、坪量127.9g/m 、日本製紙製)紙を用い、搬送速度600mm/sで搬送した。
次いで記録媒体に反応液付与装置で下記組成の反応液を付与した。反応液付与装置にはグラビアオフセットローラを用い、以下の反応液を0.6g/m 付与した。
[0126]
(反応液)
・グルタル酸:                     50.0%
・KOH:                        2.0%
・界面活性剤(SNウエット125 サンノプコ製商品名): 1.5%
・2-ピロリドン:                    5.0%
・イオン交換水:                    41.5%
[0127]
次いで記録媒体にインク付与装置で下記組成のインク1を付与した。インク付与装置には、電気-熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッド(ノズル列密度1200dpi)を使用し、周波数14.173kHzで駆動させてインクを10g/m 付与した。インクジェットヘッドはいわゆるシリアルに走査させるものではなく、ノズル列を記録媒体の搬送方向に対して略直交させて固定した。
[0128]
(インク1)
(顔料分散液1の調製)
以下の原料を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し水冷しつつ、5時間分散処理を行った。
・ピグメントレッド122   :              10%
・樹脂水溶液(顔料分散剤) :               15%
樹脂:スチレン-アクリル酸-アクリル酸エチル共重合体
(酸価150、重量平均分子量8000 固形分20%の水溶液、中和剤KOH)
・イオン交換水 :                     75%
次にこの分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去した後、顔料濃度が10%の顔料分散液1を得た。
[0129]
(水溶性樹脂1)
水溶性樹脂1としてスチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸共重合体(酸価121mgKOH/g、重量平均分子量7,000、固形分20%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム)を用いた。
[0130]
(インク1の調製)
上記で得られた顔料分散液1、水溶性樹脂1を下記各成分と混合し、インク1を調製した。
・顔料分散液1(色材の含有量は10.0%)       20.0%
・水溶性樹脂1                     17.0%
・グリセリン                       7.0%
・界面活性剤                       1.0%
(「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル株式会社製商品名)
・イオン交換水                     55.0%
[0131]
次いで記録媒体上のインク像に下記のようにして得られた液体吸収体1を接触させて、液体成分を除去した。押圧部材は表面の10mmがスポンジで構成されたφ100mmのローラであり、液体吸収体を表面に担持させて圧力98kPa(1kgf/cm )でインク像に押圧した。ニップ幅は40mmであり、接触時間は67msであった。
[0132]
(表面被覆材1の作成)
特許第5879014号公報の実施例18と同じ、下記式で示されるフッ素化合物と、結合剤としてポリビニルブチラール樹脂とを用いた表面被覆材1を作成した。
[0133]
[化8]


[0134]
(液体吸収体1)
孔径約200nm、厚さ30μmの多孔質PTFE膜(ポアフロン(登録商標)疎水膜HP-020-30、住友電工ファインポリマー社製)を表面被覆材1にディップし、溶液を十分に含浸させたのち引き揚げて溶媒を乾燥除去し、液体吸収体1とした。液体吸収体1は水を即座に吸収して、水の接触角および水の前進接触角は測定できなかった。液体吸収体1のn-ヘキサデカンとの接触角は81°だった。
そのため、表面被覆材1をPTFEの平板に同様の方法で処理したものを用意した。この平板と水との接触角は26°で、n-ヘキサデカンとの接触角は67°だった。またこの平板と水との前進接触角は44°だった。
すなわち、液体吸収体1は表面の少なくとも一部が親水撥油材料である液体吸収体であった。さらに親水撥油材料と水の接触角がn-ヘキサデカンの接触角より小さく、かつ水の前進接触角が60°より小さかった。
[0135]
<実施例2>
本実施例では下記のようにして得られた液体吸収体2を用いる以外は、実施例1と同様の条件で画像形成を行った。
[0136]
(表面被覆材2の作成)
特開平5-331455号公報の実施例2と同じ、下記式で示される含フッ素シラン化合物と親水性シラン化合物とを用いて調製された表面被覆材2を作成した。
[0137]
[化9]


[0138]
(液体吸収体2)
孔径約200nm、厚さ30μmの多孔質PTFE膜(ポアフロン(登録商標)疎水膜HP-020-30、住友電工ファインポリマー社製)を表面被覆材2にディップし、溶液を十分に含浸させたのち引き揚げて溶媒を乾燥除去した。次に120℃で2時間加熱処理し、液体吸収体2とした。液体吸収体2は水を即座に吸収して、水の接触角および水の前進接触角は測定できなかった。液体吸収体2のn-ヘキサデカンとの接触角は50°だった。
表面被覆材2をPTFEの平板に同様の方法で処理したものを用意した。この平板と水との接触角は15°で、n-ヘキサデカンの接触角は55°だった。またこの平板と水との前進接触角は65°だった。
すなわち、液体吸収体2は表面の少なくとも一部が親水撥油材料である液体吸収体であった。また親水撥油材料と水の接触角がn-ヘキサデカンの接触角より小さかったが、水の前進接触角が60°より大きかった。
[0139]
<比較例1>
本比較例では下記構成の液体吸収体3を用いる以外は、実施例1と同様に画像形成を行った。
[0140]
(液体吸収体3)
孔径200nm、厚さ30μmの多孔質PTFE膜(ポアフロン(登録商標)疎水膜HP-020-30、住友電工ファインポリマー社製)である。液体吸収体3の水の接触角は136°で、n-ヘキサデカンの接触角は29°だった。液体吸収体3の水の前進接触角は162°だった。
PTFEの平板に対する水の接触角は105°で、n-ヘキサデカンの接触角は40°だった。またこの平板と水との前進接触角は111°だった。
[0141]
<比較例2>
本比較例では下記構成の液体吸収体4を用いる以外は、実施例1と同様に画像形成を行った。
(液体吸収体4)
孔径200nm、厚さ30μmの多孔質親水PTFE膜(ポアフロン(登録商標)親水膜HPW-020-30、住友電工ファインポリマー社製)である。これはPTFEの表面をPVAで処理したものである。
液体吸収体4の水の接触角は78°で、水の前進接触角は103°だった。n-ヘキサデカンはすぐに吸収して接触角は測定できなかった。
PTFEの平板にPVAを塗工したものを用意した。この平板に対する水の接触角は36°で、n-ヘキサデカンの接触角は10°だった。また水の前進接触角は56°だった。
[0142]
<実施例3>
本実施例では反応液を付与しないこと、下記組成のインク2を用いること以外は、実施例1と同様に画像形成を行った。液体吸収体には液体吸収体1を用いた。
[0143]
(インク2)
このインクは光沢性を制御するためのインクであり、色材を含んでいない。
[0144]
(樹脂粒子分散液1の調製)
エチルメタクリレート18部、2,2’-アゾビス-(2-メチルブチロニトリル)2部、n-ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量:7,000)の6%水溶液78部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が40.0%である樹脂粒子分散液1を調製した。樹脂粒子の重量平均分子量は250,000、平均粒径(D50)は80nmであった。
ガラス転移点を測定したところ60℃であった。
[0145]
(インク2の調製)
上記で得られた樹脂粒子分散液1と水溶性樹脂1を用い下記各成分と混合した。
・樹脂粒子分散液1(樹脂粒子の含有量は40.0%)   25.0%
・水溶性樹脂1                     17.0%
・グリセリン                      10.0%
・界面活性剤                       1.0%
(「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル株式会社製商品名)
・イオン交換水                     47.0%
[0146]
<比較例3>
本比較例では液体吸収体に液体吸収体3を用いる以外は、実施例3と同様に画像形成を行った。
[0147]
<比較例4>
本比較例では液体吸収体に液体吸収体4を用いる以外は、実施例3と同様に画像形成を行った。
[0148]
<実施例4>
本実施例では図1に記載の転写型インクジェット記録装置を用いて画像形成を行った。
転写体には下記構成のものを用い、接着剤により支持部材に固定した上で、搬送速度600mm/sで搬送した。転写体の表面温度は、支持部材内部に設置した不図示のヒーターにより60℃に調整した。
[0149]
(転写体)
厚さ0.5mmのPETシートに黒色に着色したシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KE12)を0.3mmの厚さにコーティングして弾性層とした。グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(ADEKA製SP150)の混合物を作製した。弾性層表面の水の接触角が10°以下となるように大気圧プラズマ処理を行い、前記混合物を弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm )、熱硬化(150℃2時間)により成膜し、弾性体上に厚さ0.5μmの表面層を形成した転写体101を作製した。
[0150]
次いで転写体に実施例1と同様に反応液を付与した。
次いで転写体に実施例1と同様の方法、条件で、下記組成のインク3を付与した。
[0151]
(インク3)
(樹脂粒子分散液2の調製)
エチルメタクリレート20部、2,2’-アゾビス-(2-メチルブチロニトリル)3部、n-ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0%である樹脂粒子分散体を調製した。
[0152]
(インク3の調製)
上記で得られた樹脂粒子分散液2、及び、顔料分散液1を下記各成分と混合した。
・顔料分散液1(色材の含有量は10.0%)   20.0%
・樹脂粒子分散液2               20.0%
・グリセリン                   7.0%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000)
                         3.0%
・界面活性剤                   0.5%
(「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル株式会社製商品名)
・イオン交換水                 49.5%
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、インク3を調製した。
[0153]
次いで転写体上のインク像に液体吸収体1を接触させて、液体成分を除去した。押圧部材は表面の10mmがスポンジで構成されたφ100mmのローラであり、液体吸収体を表面に担持させて圧力98kPa(1kgf/cm )でインク像に押圧した。ニップ幅は40mmであり、接触時間は67msであった。
次いで不図示の赤外線照射器によってインク像を加熱した。転写部に突入するときの温度は90℃であった。
次いで記録媒体をインク像に転写用の押圧部材で圧接させて、インク像を転写体から記録媒体に転写した。記録媒体にはコート紙(オーロラコート紙、坪量127.9g/m 、日本製紙製)紙を用い、搬送速度600mm/sで搬送した。転写用の押圧部材は表面の3mmがゴムで構成されたφ150mmのローラであり、圧力980kPa(10kgf/cm )でインク像に押圧した。ニップ幅は20mmであり、接触時間は33msであった。
[0154]
<比較例5>
本比較例では液体吸収体に液体吸収体3を用いる以外は、実施例4と同様に画像形成を行った。
[0155]
<比較例6>
本比較例では液体吸収体に液体吸収体4を用いる以外は、実施例4と同様に画像形成を行った。
[0156]
<実施例5>
本実施例では図1に記載の転写型インクジェット記録装置を用いて画像形成を行った。
転写体には実施例4と同様のものを用い、接着剤により支持部材に固定した上で、搬送速度600mm/sで搬送した。支持部材内部にヒーターは有しておらず、転写体は特に加熱していない。
次いで転写体に実施例4と同様に反応液を付与した。
次いで転写体に実施例4と同様の方法、条件で、下記組成のインク4を付与した。
[0157]
(インク4)
(インク4の調製)
下記に示す組成でインク4を調製した。
・顔料分散液1             :20.0%
・親水性重合性成分(表1の例No.2) :27.0%
・親水性重合性成分(表1の例No.5) :3.0%
・重合開始剤(表2のPI-1)     :4.5%
・界面活性剤              :1.0%
(「アセチレノールEH」、川研ファインケミカル株式会社製商品名)
・イオン交換水             :44.5%
[0158]
次いで転写体上のインク像に、活性エネルギー線照射装置110であるUV-LED照射装置(UV-LED L60II、波長395nm、ウシオ電機製)を用いて紫外線を照射した。積算光量は400mJ/cm とした。予備的な検討によれば、この積算光量でほぼ反応は終了しており、完全硬化した状態であった。次いで転写体上のインク像から、実施例4と同様に液体成分を除去した。液体吸収体には液体吸収体1を用いた。
次いでインク像を実施例4と同様に記録媒体に転写した。
[0159]
<比較例7>
本比較例では液体吸収体に液体吸収体3を用いる以外は、実施例5と同様に画像形成を行った。
[0160]
<比較例8>
本比較例では液体吸収体に液体吸収体4を用いる以外は、実施例5と同様に画像形成を行った。
[0161]
<実施例6>
本実施例では液体吸収体1のインク像への接触条件を以下のように変更する以外は、実施例5と同様に画像形成を行った。
押圧部材は表面の3mmがゴムで構成されたφ100mmのローラであり、液体吸収体を表面に担持させて圧力980kPa(10kgf/cm )でインク像に押圧した。ニップ幅は10mmであり、接触時間は17msであった。
[0162]
<実施例7>
本実施例では液体吸収体1のインク像への接触条件を以下のように変更する以外は、実施例5と同様に画像形成を行った。
押圧部材は表面の2mmがゴムで構成されたφ100mmのローラであり、液体吸収体を表面に担持させて圧力1.96MPa(20kgf/cm )でインク像に押圧した。ニップ幅は10mmであり、接触時間は17msであった。
[0163]
<実施例8>
本実施例では活性エネルギー線照射装置における紫外線の照射条件を以下のように変更する以外は、実施例5と同様に画像形成を行った。
具体的には、液体吸収体による液体成分の除去に先立って行う、図1の110の位置における第一の活性エネルギー線照射装置による紫外線の照射は、積算光量を100mJ/cm とした。予備的な検討によれば、この積算光量では反応は終了しておらず、半硬化した状態であった。
さらに記録媒体に転写した後のインク像に対して、図1の112の位置における第二の活性エネルギー線照射装置である紫外線照射装置(UV-LED L60II、波長395nm、ウシオ電機製)を用いて紫外線を照射した。積算光量は400mJ/cm とした。
[0164]
<評価>
上記のような実施例、比較例に基づいて画像形成を行い、以下のような手法でインク内容物の離形性と、液体成分の除去性を評価した。光学濃度(ODともいう)の測定には、X-rite社製の分光反射濃度計504を使用し、マゼンタ画像のODを測定した。なお、ベースとなる液体吸収体あるいは転写体の光学濃度を前もって測定しておき、その値を減算した。
[0165]
(内容物の離形性)
画像形成後に液体吸収体の光学濃度を測定し、その値をもとに以下の判定基準に従って評価を行った。
A:ODが0.05以下である。
B:ODが0.05より大きく、0.20以下である。
C:ODが0.20より大きい。
[0166]
ただし、色材を含まないインク2を用いた実施例3、比較例3と4に関しては、画像形成後に液体吸収体を目視で観察し、以下の判定基準に従って評価した。
A:付着物がほとんど存在しない。
B:付着物は存在するが許容できる。
C:付着物が多量に存在する。
[0167]
(インク溶媒(液体成分)の除去性)
画像形成後に記録媒体を目視で観察し、以下の判定基準に従って評価した。
A:紙はほとんど変形していない。
B:紙の変形は軽微である。
C:紙は大きく変形している。
[0168]
評価した結果を表3に示す。
[0169]
[表3]


[0170]
以上のように、記録媒体や転写体に残しておくべきインク像中の固体成分、溶解成分、またはそれらから得られる組成物が除去されるのを軽減しながら、同時に除去すべき液体成分は良好に除去する、液体吸収体を提供することができた。また、液体吸収体を用いた液体除去方法、画像形成方法および画像形成装置を提供することができた。
[0171]
 この出願は2017年6月30日に出願された日本国特許出願番号2017-129725の優先権を主張するものであり、それらの内容を引用してこの出願の一部とするものである。

符号の説明

[0172]
100 転写型インクジェット記録装置
101 転写体
104 インク付与装置
105 液体吸収装置
105a 液体吸収部材
106 転写用の押圧部材
107 記録媒体搬送装置
108 記録媒体
110 第一の活性エネルギー線照射装置
112 第二の活性エネルギー線照射装置
200 直接描画型インクジェット記録装置
204 インク付与装置
205 液体吸収装置
205a 液体吸収部材
207 記録媒体搬送装置
208 記録媒体
210 紫外線照射装置

請求の範囲

[請求項1]
表面の少なくとも一部が親水撥油材料であることを特徴とする画像形成装置用の液体吸収体。
[請求項2]
前記親水撥油材料と水との接触角が、前記親水撥油材料とn-ヘキサデカンとの接触角より小さいことを特徴とする請求項1に記載の液体吸収体。
[請求項3]
前記親水撥油材料と水との前進接触角が60°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吸収体。
[請求項4]
前記親水撥油材料が、
末端にアニオン、カチオン、及び両性型から選択される親水性基、並びに、
分子鎖中にエーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、及びウレタン結合から選択される1つ以上の結合
を有するフッ素化合物を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の液体吸収体。
[請求項5]
前記親水撥油材料が、下記一般式(1)から(6)からなる群から選択される少なくとも一つのフッ素化合物を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の液体吸収体。
Rf1-Rfo-Rf2-X ・・・(1)
(一般式(1)中、Rf1は、炭素数1~6のペルフルオロアルコキシ基又はフッ素原子である。Rfoは、2価のペルフルオロポリエーテル基である。Rf2は、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか一つの親水性基である。)
Rf-R-X ・・・(2)
(一般式(2)中、Rfは、炭素数6~16の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。Rは、直鎖状又は分岐状の分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選ばれる少なくとも一つの結合を含む2価の有機基である。また、Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか一つの親水性基である。)
[化1]


(一般式(3)及び(4)中、Rf 及びRf は、それぞれ同一または互いに異なって炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。Rf は、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。一般式(5)及び(6)中、Rf 、Rf 及びRf は、それぞれ同一または互いに異なって炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。また、Zは、2価の酸素結合、置換基を有している窒素結合、CF 基、置換基を有しているCF結合のいずれかから選択される。また、上記式(4)及び(6)中、Rは、直鎖状又は分岐状の分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選ばれる少なくとも一つを含む2価の有機基である。また、一般式(3)~(6)中、Xは、アニオン型、カチオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか一つの親水性基である。)
[請求項6]
記録媒体または転写体上に形成されたインク像に、請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吸収体を接触させることで、前記インク像に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去することを特徴とする液体除去方法。
[請求項7]
前記インク像がインクジェット用インクからなることを特徴とする請求項6に記載の液体除去方法。
[請求項8]
前記インク像が水と、活性エネルギー線の照射により硬化する成分とを含むことを特徴とする請求項6または7に記載の液体除去方法。
[請求項9]
前記液体吸収体は、前記インク像に対して圧力Pで押圧され、前記圧力Pは、前記液体吸収体の孔径の半径rとの間に、
P[Pa]<1.46×10 -1[N/m]/r[m]
の関係が成り立つことを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の液体除去方法。
[請求項10]
記録媒体に、インクを付与することによってインク像を形成する工程と、
前記インク像に請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吸収体を接触させることで前記インク像中に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
[請求項11]
転写体にインクを付与することによってインク像を形成する工程と、
前記インク像に請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吸収体を接触させることで、前記インク像に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去する工程と、
前記転写体から記録媒体に液体成分の少なくとも一部が除去されたインク像を転写する工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
[請求項12]
前記インク像に、活性エネルギー線を照射する工程を有することを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成方法。
[請求項13]
前記活性エネルギー線を照射する工程が、前記液体成分の少なくとも一部を除去する工程より前に行われることを特徴とする請求項12に記載の画像形成方法。
[請求項14]
記録媒体にインク像を形成するインク付与装置と、
請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吸収体を有する液体吸収装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
[請求項15]
転写体と、
前記転写体上にインク像を形成するインク付与装置と、
請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吸収体を有する液体吸収装置と、
前記転写体から記録媒体に前記インク像を転写する転写装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
[請求項16]
活性エネルギー線を照射する装置をさらに備えることを特徴とする請求項14または15に記載の画像形成装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]