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1. (WO2019003943) 電動倍力装置
Document

明 細 書

発明の名称 電動倍力装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

符号の説明

0054  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6  

明 細 書

発明の名称 : 電動倍力装置

技術分野

[0001]

 本発明は、自動車等の車両のブレーキ装置に組み込まれ、電動モータを利用して、マスタシリンダにブレーキ液圧を発生させる電動倍力装置に関するものである。

背景技術

[0002]

 上述した電動倍力装置において、従来から小型・軽量化が要求されている。例えば、特許文献1には、車両に取り付けられ、電動モータの回転を、回転直動変換機構によりネジ軸の直線運動に変換して、マスタシリンダのピストンを移動させる電動倍力装置が開示されている。当該特許文献1に係る電動倍力装置の回転直動変換機構としてのボールネジ機構は、電動モータからの回転運動が伝達されるナット部材と、ナット部材と複数のボールを介して係合されるネジ軸と、を備えている。そして、ナット部材は、その両端部が、ベアリングによってフロントハウジング及びリアカバーに回転自在に支持されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2016-124355号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]

 上述した特許文献1に係る電動倍力装置では、ナット部材とネジ軸とを複数のボールによって係合する係合部よりも後方に配置された後部軸受は、ナット部材をハウジングに対して相対回転自在に、且つ軸方向に移動不能に支持すべく、ラジアル方向及びアキシアル方向からの負荷に対応できるものである。一方、前記係合部よりも前方に配置された前部軸受は、ナット部材をハウジングに対して相対回転自在に支持すべく、主にラジアル方向の負荷に対応できるラジアル軸受で構成されている。
[0005]
 しかしながら、この特許文献1に係る電動倍力装置では、マスタシリンダからの液圧反力は、ネジ軸から係合部を経由してナット部材にブレーキペダルに向かう付勢力として伝達されるが、当該液圧反力は、前記係合部から後部軸受に対して押す方向の荷重として作用するので、後部軸受に偏荷重が作用した場合、後部軸受には軸方向に対して傾斜する方向にモーメントが発生しやすくなり、後部軸受が、液圧反力に加えて、その偏荷重にも耐え得る性能を有する必要があり、後部軸受が大型化して、ひいては電動倍力装置が大型化する虞がある。 
[0006]
 そして、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、小型化を可能にした電動倍力装置を提供することを課題としてなされたものである。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題を解決するために、本発明の第1の電動倍力装置は、入力部材の進退移動に応じて駆動される電動モータと、前記電動モータによる回転運動を直線運動に変換しマスタシリンダのピストンを移動させる回転直動変換機構と、前記回転直動変換機構を収容するハウジングと、前記電動モータより回転駆動される前記回転直動変換機構の回転部材を支持し、回転軸方向の荷重を受けて前記ハウジングに伝達する軸受と、を有する電動倍力装置において、前記回転直動変換機構は、前記回転部材と前記回転部材の回転に応じて進退移動する直動部材とが係合する係合部を有し、前記軸受は、前記係合部に対して前記マスタシリンダ側に設けられる。
 また、本発明の第2の電動倍力装置は、電動モータによる回転運動を直線運動に変換しマスタシリンダのピストンに推力を与える回転直動変換機構と、前記回転直動変換機構を収容するハウジングと、前記回転直動変換機構の回転部材と接して、回転軸方向の荷重を受けて前記ハウジングに伝達する軸受と、を有する電動倍力装置において、前記回転直動変換機構は、前記電動モータにより回転駆動される回転部材と、前記回転部材の回転に応じて進退移動する直動部材と、前記回転部材と前記直動部材とが係合する係合部と、を有し、前記軸受は、前記係合部に対して、前記マスタシリンダのピストンから伝達される反力方向と反対方向の位置に設けられる。

発明の効果

[0008]
 本発明に係る電動倍力装置では、回転直動変換機構の回転部材を支持し、回転軸方向の荷重を受けてハウジングに伝達する軸受を、係合部よりマスタシリンダ側に配置している。また、回転直動変換機構の回転部材と接して、回転軸方向の荷重を受けてハウジングに伝達する軸受を、係合部に対して、マスタシリンダのピストンから伝達される反力方向と反対方向の位置に設けている。これにより、軸受を小型化することができ、ひいては電動倍力装置を小型化することができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本実施形態の電動倍力装置の斜視図である。
[図2] 本実施形態の電動倍力装置の斜視図である。
[図3] 本実施形態の電動倍力装置の後面図である。
[図4] 図3のA-A線に沿う断面図である。
[図5] 本実施形態の電動倍力装置の前面図である。
[図6] 図5のB-B線に沿う断面図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明の実施形態を図1~図6に基づいて詳細に説明する。
 以下、本実施形態に係る電動倍力装置1を説明する。図1及び図2においては、ブレーキペダルの図示を省略している。また、図4及び図6について、右方が車両後方で、左方が車両前方となる。本実施形態に係る電動倍力装置1は、図4に示すように、大略、電動モータ2、ハウジング3、入力部材4、回転直動変換機構6、ストローク検出装置7、回転角検出手段8及びコントローラ9(図2参照)を備えている。
 図4に示すように、電動モータ2は、ハウジング3のリアハウジング23、詳しくはリアハウジング23を構成する略円筒状の第3モータハウジング部23C内に設けられる。入力部材4は、入力ロッド10と入力プランジャ11とからなり、マスタシリンダ15と同軸上を往復移動する。入力ロッド10は、ブレーキペダル13に連結され、ハウジング3内をマスタシリンダ15に向かって延びている。この入力ロッド10の前端(ボールジョイント部85)に入力プランジャ11が連結される。当該入力プランジャ11は、マスタシリンダ15のプライマリピストン31及びセカンダリピストン32を前進させて、プライマリピストン31及びセカンダリピストン32からの反力の一部が伝達される。
[0011]
 図4に示すように、回転直動変換機構6は、ブレーキペダル13の操作に伴う入力ロッド10の前進に伴って、電動モータ2の作動により、マスタシリンダ15のプライマリピストン31及びセカンダリピストン32への推力をアシストするものである。ストローク検出装置7は、ブレーキペダル13の操作量に基づく、ハウジング3に対する入力部材4(入力ロッド10及び入力プランジャ11)の移動量(ストローク量)を検出するものである。回転角検出手段8は、電動モータ2の回転軸2Aの回転角度を検出するものである。コントローラ9(図2参照)は、ストローク検出装置7及び回転角検出手段8等の各種センサからの検出信号に基づき、入力部材4と推進部材110との相対位置を調整して、所望の倍力比をもってマスタシリンダ15内のプライマリ室37及びセカンダリ室38にブレーキ液圧を発生させるべく、電動モータ2の駆動を制御するものである。
[0012]
 以下に、本電動倍力装置1を詳しく説明する。
 図1~図4に示すように、本電動倍力装置1は、ハウジング3の前側にタンデム型のマスタシリンダ15を連結した構造を有している。マスタシリンダ15の上部には、マスタシリンダ15にブレーキ液を供給するリザーバ16が取り付けられている。ハウジング3は、リアハウジング23と、該リアハウジング23の前端開口(図4の左端開口)を閉塞するフロントハウジング20と、を備えている。
[0013]
 図4及び図6に示すように、フロントハウジング20の前壁部には、マスタシリンダ15から延びるプライマリピストン31が挿通される開口部21が形成される。フロントハウジング20の前面には、開口部21周辺に凹状部19が形成される。フロントハウジング20は、壁部において、薄壁部位20Aと、当該薄壁部位20Aより相当厚い厚壁部位20Bと、を備えている。すなわち、フロントハウジング20の壁部は、各厚壁部位20B、20Bの間の部位が肉抜きされることで、薄壁部位20Aが形成されている。当該厚壁部位20Bは、後述するマスタシリンダ15に設けた各板状固定部15A、15A(図5も参照)と対向する部位に2箇所形成される。各厚壁部位20Bの前面は略同一平面上に形成される。各厚壁部位20Bには、後述する結合部材17が挿通する貫通孔20Cがそれぞれ形成される。各貫通孔20Cは、入力部材4の軸方向に沿って形成される。フロントハウジング20において、後述する第1リアハウジング部23Aの開口端と対向する、薄壁部位20A及び各厚壁部位20Bの後端には、後述する主軸受150の前端面から前端外周面に至る範囲を支持する環状のフロント側凹状支持部20Dが形成される。
[0014]
 リアハウジング23は、回転直動変換機構6を収容する第1リアハウジング部23Aと、該第1リアハウジング部23Aと一体的に接続され、電動モータ2からの回転を回転直動変換機構6に伝達する伝達部材200の中間歯車202を収容する第2リアハウジング部23Bと、第2リアハウジング部23Bに連結され、電動モータ2を収容する第3モータハウジング部23Cと、第1リアハウジング部23Aから一体的に後方に延びる第4円筒状リアハウジング部23Dと、を備えている。第1リアハウジング部23Aの壁部においてその前端には、後述する主軸受150の後端面から後端外周面に至る範囲を支持する環状のリア側凹状支持部23A’が形成される。第3モータハウジング部23Cは、第1リアハウジング部23A及び第2リアハウジング部23Bとは別体に設けられ、第2リアハウジング部23Bに複数のボルト部材29(図1及び図2参照)により連結されている。
[0015]
 図1及び図5に示すように、フロントハウジング20と、リアハウジング23の第1及び第2リアハウジング部23A、23Bとは、複数箇所にてボルト部材24より連結される。図6も参照して、第1リアハウジング部23Aの前端部には、その外壁面から外方に突設する突設部25が形成されている。該突設部25、25は、フロントハウジング20の各厚壁部位20Bと対向するように2箇所形成されている。各突設部25には、軸方向に沿って雌ねじ部26が貫通している。図2~図4も参照して、第4円筒状リアハウジング部23Dは、マスタシリンダ15と同心状で、マスタシリンダ15から離れる方向(後方)に第1リアハウジング部23Aから一体的に突設されている。第4円筒状リアハウジング部23Dの周りに取付プレート27が固定される。該取付プレート27には複数のスタッドボルト28が貫通するように取り付けられている。そして、本電動倍力装置1は、入力ロッド10を、車両のエンジンルームと車室との隔壁であるダッシュパネル(図示略)から車室内に突出させた状態で、エンジンルーム内に配置されて、複数のスタッドボルト28を用いてダッシュパネルに固定される。
[0016]
 図4及び図6に示すように、マスタシリンダ15は、フロントハウジング20の前面に取り付けられる。詳しくは、図5も参照して、マスタシリンダ15の後部外壁面からは、板状固定部15A、15Aが径方向外方に向かって互いに相反する方向に一対突設されている。板状固定部15Aは、所定幅を有する板状に形成される。各板状固定部15Aの端部には、結合部材17が挿通される挿通孔15Bが、マスタシリンダ15の軸方向に沿ってそれぞれ貫通されている。結合部材17は、雄ねじ部17Aを有する六角ボルトにて構成される。マスタシリンダ15は、その後端部がフロントハウジング20の凹状部19内で、開口部21に近接するように配置される。また、マスタシリンダ15の各板状固定部15A、15Aが、フロントハウジング20の各厚壁部位20B、20Bの前面にそれぞれ当接される。そして、結合部材17を、マスタシリンダ15の板状固定部15Aに設けた挿通孔15B、及びフロントハウジング20の厚壁部位20Bに設けた貫通孔20Cにそれぞれ挿通して、結合部材17の雄ねじ部17Aを、第1リアハウジング部23Aの突設部25に設けた雌ねじ孔26に締結する。これにより、マスタシリンダ15は、フロントハウジング20を介して第1リアハウジング部23Aに結合される。
[0017]
 図4に示すように、マスタシリンダ15には、有底のシリンダボア30が形成されている。このシリンダボア30の開口部側にプライマリピストン31が配置される。プライマリピストン31の前部がマスタシリンダ15のシリンダボア30内に配置され、プライマリピストン31の後部は、マスタシリンダ15のシリンダボア30からフロントハウジング20の開口部21を経由してハウジング3内に延出されている。このプライマリピストン31の前部及び後部は、それぞれカップ状に形成され、断面H字状に形成される。プライマリピストン31の軸方向略中央に設けられた中間壁34の後面に球状凹部35が形成される。該球状凹部35に、後述する出力ロッド137の押圧ロッド142の球状面143が当接される。シリンダボア30の底部側には、カップ状のセカンダリピストン32が配置されている。そして、マスタシリンダ15のシリンダボア30内には、プライマリピストン31とセカンダリピストン32との間にプライマリ室37が形成され、シリンダボア30の底部とセカンダリピストン32との間にセカンダリ室38が形成される。
[0018]
 マスタシリンダ15のプライマリ室37及びセカンダリ室38は、それぞれ、マスタシリンダ15の2個の液圧ポート52、52(図2参照)から2系統のアクチュエーション管路(図示略)を介して液圧制御ユニット(図示略)に連通されている。該液圧制御ユニットは、4系統のファンデーション管路(図示略)を介して各車輪のホイールシリンダ(図示略)にそれぞれ連通されている。そして、マスタシリンダ15、または、液圧制御ユニットによって発生されるブレーキ液の液圧を各車輪のホイールシリンダに供給して制動力を発生させている。
[0019]
 マスタシリンダ15には、プライマリ室37及びセカンダリ室38をそれぞれリザーバ16に接続するためのリザーバポート44、45が設けられている。シリンダボア30の内周面には、シリンダボア30内をプライマリ室37及びセカンダリ室38に区画するために、プライマリピストン31及びセカンダリピストン32に当接する環状のピストンシール47、48、49、50が軸方向に沿って所定間隔を置いて配置されている。ピストンシール47、48は、軸方向に沿って一方のリザーバポート44(後側)を挟んで配置されている。プライマリピストン31が図4に示す非制動位置にあるとき、プライマリ室37は、プライマリピストン31の側壁に設けられたピストンポート62を介してリザーバポート44に連通する。そして、プライマリピストン31が非制動位置から前進してピストンポート62が一方のピストンシール48(前側)に達したとき、プライマリ室37がピストンシール48によってリザーバポート44から遮断されて液圧が発生する。
[0020]
 同様に、残りの2つのピストンシール49、50は、軸方向に沿って他方のリザーバポート45(前側)を挟んで配置されている。セカンダリピストン32が図4に示す非制動位置にあるとき、セカンダリ室38は、セカンダリピストン32の側壁に設けられたピストンポート63を介してリザーバポート45に連通している。そして、セカンダリピストン32が非制動位置から前進してピストンポート63が一方のピストンシール50(前側)に達したとき、セカンダリ室38がピストンシール50によってリザーバポート45から遮断されて液圧が発生する。
[0021]
 プライマリピストン31とセカンダリピストン32との間には、圧縮コイルバネ65が介装されている。圧縮コイルバネ65により、プライマリピストン31とセカンダリピストン32とを互いに離間する方向に付勢する。圧縮コイルバネ65の内部には、一定範囲で伸縮自在の伸縮部材66が配置されている。該伸縮部材66は、プライマリピストン31の中間壁34に当接されるリテーナガイド67と、セカンダリピストン32に前端が当接され、該リテーナガイド67内を軸方向に移動可能なリテーナロッド68と、からなる。リテーナガイド67は、円筒状に形成され、前端に内方に突設されるストッパ部67Aを有する。リテーナロッド68は、その後端に径方向外方に突設するツバ部68Aを有する。そして、リテーナガイド67内にリテーナロッド68を挿入することで、軸方向に沿う両者67、68の相対移動が可能になり、リテーナガイド67のストッパ部67Aとリテーナロッド68のツバ部68Aとが干渉した時点で、伸縮部材66が最大伸長となる。
[0022]
 シリンダボア30の底部とセカンダリピストン32との間には、圧縮コイルバネ71が介装されている。圧縮コイルバネ71により、シリンダボア30の底部とセカンダリピストン32とを互いに離間する方向に付勢する。圧縮コイルバネ71の内部にも、一定範囲で伸縮自在の伸縮部材72が配置されている。該伸縮部材72は、シリンダボア30の底部に前端が当接されるリテーナガイド73と、セカンダリピストン32に後端が当接され、該リテーナガイド73内を軸方向に移動可能なリテーナロッド74と、からなる。リテーナガイド73は、円筒状に形成され、後端に内方に突設されるストッパ部73Aを有する。リテーナロッド74は、その前端に径方向外方に突設するツバ部74Aを有する。そして、リテーナガイド73内にリテーナロッド74を挿入することで、軸方向に沿う両者73、74の相対移動が可能になり、リテーナガイド73のストッパ部73Aとリテーナロッド74のツバ部74Aとが干渉した時点で、伸縮部材72が最大伸長状態となる。
[0023]
 図4に示すように、第4円筒状リアハウジング部23Dの内部に、径方向内側から外側に向かって、入力プランジャ11及び推進部材110がそれぞれ配置される。入力部材4の入力ロッド10は、第4円筒状リアハウジング部23D内に同心状に配置される。入力ロッド10の後端側が第4円筒状リアハウジング部23Dから外部に突出している。入力ロッド10の前端にボールジョイント部85が形成される。該ボールジョイント部85が、入力プランジャ11の後端の球状凹部100に連結される。入力ロッド10の後端部がクレビス90に接続される。そして、入力ロッド10は、クレビス90を介してブレーキペダル13に連結される。これにより、ブレーキペダル13が操作されることで、入力ロッド10は、軸方向に沿って移動するようになる。
[0024]
 入力プランジャ11は、全体として棒状に形成され、入力ロッド10と同心状に配置されている。入力プランジャ11は、第1ロッド部91と、第1ロッド部91から前方に一体的に延び、第1ロッド部91より小径の第2ロッド部92と、第1ロッド部91から後方に一体的に延びる筒状かしめ部93と、を備えている。第1ロッド部91と第2ロッド部92との間の段差部がバネ受け部94として作用する。第1ロッド部91の後端面で径方向中央部に、入力ロッド10のボールジョイント部85が連結される球状凹部100が形成される。第1ロッド部91の外周面には、環状に延びる環状溝部97が形成される。入力プランジャ11には、環状溝部97から前側の部位に、ストローク検出装置7の磁石ホルダ175から延びるピン部材185が挿通されている。
[0025]
 入力プランジャ11の筒状かしめ部93は、第1ロッド部91の外径よりも大径に形成される。筒状かしめ部93の外周面には、カシメ用工具を挿入するための環状凹部101が形成される。筒状かしめ部93内には、前方に向かって次第に縮径される円錐状開口部102が形成される。この円錐状開口部102の前端が球状凹部100の後端に連続する。なお、筒状かしめ部93において、環状凹部101よりも後側の後側ロッド部103の外径が、環状凹部101よりも前側の前側ロッド部104の外径よりも大径に形成される。第2ロッド部92の前端面にレシオプレート105が当接される。レシオプレート105は、円板状押圧部106と、円板状押圧部106の径方向中央から一体的に後方に延び、円板状押圧部106よりも小径に形成されるロッド部107と、から構成されている。レシオプレート105のロッド部107の後端が、入力プランジャ11の第2ロッド部92の前端面に当接される。
[0026]
 図4に示すように、入力プランジャ11の径方向外方に推進部材110が配置される。推進部材110は、全体として円筒状に形成され、入力プランジャ11と同心状に配置される。推進部材110は、入力プランジャ11の径方向外方を、第4円筒状リアハウジング部23Dに対して軸方向に沿って移動自在に支持される。推進部材110は、第4円筒状リアハウジング部23D内に配置され、第4円筒状リアハウジング部23Dの内壁面に当接される小径部117と、該小径部117から前方に一体的に形成され、該小径部117より大径の大径部118と、備えている。推進部材110は、後端に開口する第1開口部111と、該第1開口部111から前側に連続して形成され、第1開口部111より小径の第2開口部112と、該第2開口部112から前側に連続して形成され、第2開口部112より小径の第3開口部113と、該第3開口部113から前側に連続して、第3開口部113よりも大径に形成される第4開口部114と、該第4開口部114から前側に連続して、第1開口部111より相当大径に形成される第5開口部115と、該第5開口部115から前側に連続すると共に推進部材110の前端に開口して、第5開口部115より大径に形成される第6開口部116と、を備えている。これら第1~第6開口部111~116は同心状に形成される。第2開口部112と第3開口部113との間の段差部にはバネ受け部121が形成される。
[0027]
 推進部材110の第1開口部111内に、入力プランジャ11の筒状かしめ部93の後側ロッド部103が配置される。推進部材110の第2開口部112内に、入力プランジャ11の第1ロッド部91と、第2ロッド部92の前部を除く部分とが配置される。推進部材110の第3開口部113内に、入力プランジャ11の第2ロッド部92の前部と、レシオプレート105のロッド部107とが配置される。推進部材110の第4開口部114内に、レシオプレート105の円板状押圧部106が配置される。推進部材110の第5開口部115内に、後述するリアクションディスク135が配置される。
[0028]
 推進部材110の大径部118の前端外周面には、力伝達フランジ部123が径方向外方に向かって突設される。推進部材110の小径部117の上部外周面には、切欠き部119が軸方向に沿って形成される。該切欠き部119は、推進部材110の後端から第2開口部112の前端付近まで形成される。この切欠き部119により第1開口部111及び第2開口部112の大部分が上方に向かって開口するようになる。推進部材110には、径方向に延びる細長いスリットが径方向に貫通するように形成され、そのスリットにより第2開口部112の内壁面に対向する一対の溝部120、120が形成される。この各溝部120の軸方向に沿う長さ(スリットの軸方向に沿う長さ)は、入力プランジャ11の第1ロッド部91の外周面に設けた環状溝部97の軸方向に沿う長さより長く形成される。そして、推進部材110の第2開口部112の内壁面に設けた各溝部120、120と、入力プランジャ11の第1ロッド部91に設けた環状溝部97との間に、推進部材110と入力プランジャ11とを、軸方向に沿って所定範囲の相対移動を許容しつつ、一体化するストップキー(図示略)の一対の挟持部材122、122が係合される。
[0029]
 推進部材110の第4開口部114の軸方向の長さは、レシオプレート105の円板状押圧部106の軸方向に沿う長さより長く形成される。なお、推進部材110と、入力部材4(入力ロッド10及び入力プランジャ11)とは、上述したように、所定範囲で相対移動が許容される。図2に示すように、推進部材110の力伝達フランジ部123の前面と、フロントハウジング20内の環状壁面22との間には圧縮コイルバネ130が配置されている。該圧縮コイルバネ130の付勢力によって、推進部材110を後退方向に付勢している。また、圧縮コイルバネ125が、推進部材110の第2開口部112と第3開口部113との間のバネ受け部121と、入力プランジャ11の第1ロッド部91と第2ロッド部92との間のバネ受け部94との間に配置される。この圧縮コイルバネ125の付勢力により、推進部材110と入力プランジャ11とを互いに離間する方向に付勢している。
[0030]
 推進部材110の第5開口部115内には、その内壁面に略円板状のリアクションディスク135が当接するように配置される。該リアクションディスク135は、ゴム等の弾性体で構成される。出力ロッド137は、断面略円形状のロッド部138と、該ロッド部138の後端に一体的に設けられ、ロッド部138よりも大径に形成される円板状部139と、ロッド部138の前端に連結される押圧ロッド142と、を備えている。出力ロッド137の円板状部139は、リアクションディスク135と同径に形成される。該円板状部139は、その後面がリアクションディスク135の前面に当接するように、推進部材110の第5開口部115内に配置される。ロッド部138の前端面には固定孔140が所定深さで形成されている。該固定孔140に押圧ロッド142が固定される。押圧ロッド142の前端面は球状面143に形成される。そして、出力ロッド137のロッド部138の前部、及び押圧ロッド142が、プライマリピストン31の中間壁34に向かって延びて、出力ロッドの押圧ロッド142の前端面に設けた球状面143が、プライマリピストン31の中間壁34の後面に設けた球状凹部35に当接される。
[0031]
 図4及び図6に示すように、回転直動変換機構6は、ハウジング3の第3モータハウジング部23Cに配置された電動モータ2からの回転運動を、ナット部材145を介してサンシャフト部材147の直線運動に変換して、推進部材110を介してプライマリピストン31及びセカンダリピストン32に推力を付与するものである。回転直動変換機構6は、ナット部材145と、複数のプラネタリシャフト部材146と、サンシャフト部材147と、を備えている。ナット部材145が回転部材に相当する。サンシャフト部材147が直動部材に相当する。ナット部材145は円筒状に形成される。ナット部材145は、各プラネタリシャフト部材146及びサンシャフト部材147よりも軸方向の長さが相当長く形成される。ナット部材145の後端は、プラネタリシャフト部材146の軸方向略中間位置よりもやや後方寄りに位置する。ナット部材145の前端は、第1リアハウジング部23Aの前端から若干突出している。ナット部材145の前端には、径方向外方に突設される環状鍔部145Aが形成される。
[0032]
 ナット部材145の環状鍔部145Aを除く前端外周面に主軸受150の内壁面が当接される。該主軸受150の前端面の内側が、ナット部材145の環状鍔部145Aに支持され、その前端面から前端外周面に至る範囲が、フロントハウジング20のフロント側凹状支持部20Dに支持される。一方、主軸受150の後端面から後端外周面に至る範囲が、第1リアハウジング部23Aのリア側凹状支持部23A’に支持される。これにより、主軸受150は、ナット部材145の環状鍔部145Aと、第1リアハウジング部23Aのリア側凹状支持部23A’とによって軸方向に沿って挟持される。また、主軸受150は、フロントハウジング20のフロント側凹状支持部20Dと、第1リアハウジング部23Aのリア側凹状支持部23A’とによって軸方向に沿って挟持される。このように、主軸受150は、ナット部材145の環状鍔部145Aと、フロントハウジング20のフロント側凹状支持部20Dと、第1リアハウジング部23Aのリア側凹状支持部23A’とによって軸方向に沿って挟持するように支持されることになる。
[0033]
 主軸受150は、ナット部材145のラジアル方向及びアキシアル方向からの負荷に対応できるものである。主軸受150は、転がり軸受で構成される。そして、ナット部材145は、主軸受150によりハウジング3に対して相対回転自在に、且つ軸方向に沿って相対移動不能に支持される。その結果、主軸受150は、回転直動変換機構6の駆動時、ナット部材145から回転軸方向及び径方向の荷重を受けて、ハウジング3に伝達することになる。ナット部材145のブレーキペダル13側、すなわちナット部材145の後部外壁面にはラジアル軸受151の内壁面が当接される。ラジアル軸受151は第1リアハウジング部23Aの内壁面に支持される。ラジアル軸受151は、ナット部材145のラジアル方向からの負荷に対応できるものである。ラジアル軸受151は、すべり軸受で構成される。ラジアル軸受151の後端はナット部材145の後端と略一致して、ラジアル軸受151の前端は各プラネタリシャフト部材146やサンシャフト部材147の前端と略一致する。そして、ナット部材145は、ラジアル軸受151によりハウジング3に対して相対回転自在に支持される。このように、ナット部材145は、その軸方向両端に配置された主軸受150及びラジアル軸受151により、ハウジング3に対して相対回転自在に、且つ軸方向に沿って相対移動不能に支持される。ナット部材145の後側内周面には、周方向に延び、軸方向に沿って間隔を置いて連設される内側溝部154が形成される。ナット部材145の内部にサンシャフト部材147が同心状に配置されている。
[0034]
 サンシャフト部材147は、円筒状に形成される。該サンシャフト部材147は、ハウジング3に対して相対回転不能で、且つ軸方向に沿う相対移動可能に推進部材110の大径部118の外周に沿って支持されている。サンシャフト部材147の前端面が、推進部材110の力伝達フランジ部123の後面に当接される。サンシャフト部材147の外周面には、周方向に延び、軸方向に沿って間隔を置いて連設される外側溝部155が形成される。プラネタリシャフト部材146は、棒状に形成される。該プラネタリシャフト部材146は、ナット部材145とサンシャフト部材147との間に周方向に沿って複数配置されている。プラネタリシャフト部材146の外周面には、周方向に沿って延び、軸方向に沿って間隔を置いて連設される溝部156が形成される。なお、プラネタリシャフト部材146とサンシャフト部材147とは、その軸方向の長さが略同じである。
[0035]
 そして、ナット部材145の内側溝部154と、各プラネタリシャフト部材146の溝部156とが第1係合部158として係合され、また、各プラネタリシャフト部材146の溝部156と、サンシャフト部材147の外側溝部155とが第2係合部159として係合される。これにより、ナット部材145が回転運動すると、ナット部材145の内側溝部154と各プラネタリシャフト部材146の溝部156との間の第1係合部158、及び各プラネタリシャフト部材146の溝部156とサンシャフト部材147の外側溝部155との間の第2係合部159により、各プラネタリシャフト部材146が自身の軸線を中心に自転しながらサンシャフト部材147の軸線を中心に公転する遊星運動しつつ、各プラネタリシャフト部材146の遊星運動により、サンシャフト部材147が軸方向に沿ってハウジング3に対して相対的に直線運動するようになる。
[0036]
 そこで、図4及び図6に示すように、ナット部材145をハウジング3に対して相対回転自在に、且つ軸方向に沿って相対移動不能に支持する、すなわちナット部材145を支持し、回転軸方向の荷重を受けてハウジング3に伝達する主軸受150は、第1及び第2係合部158、159よりも前側、すなわち、マスタシリンダ15側に配置されることになる。言い換えれば、主軸受150は、係合部158、159に対してマスタシリンダ15のプライマリピストン31及びセカンダリピストン32から伝達される液圧反力方向と反対方向に位置することになる。さらに、ナット部材145をハウジング3に対して相対回転自在に支持するラジアル軸受151は、第1及び第2係合部158、159と軸方向に沿う位置が略一致する。
[0037]
 図4に示すように、ストローク検出装置7は、ブレーキペダル13の操作量に基づく、入力部材4(入力ロッド10及び入力プランジャ11)の移動量を検出するものである。ストローク検出装置7は、複数の磁石部材172A、172B、172Cと、ホールセンサユニット173と、を備えている(本実施形態では、磁石部材172A、172B、172Cは3箇所配置される)。各磁石部材172A、172B、172Cは、磁石ホルダ175により保持される。磁石ホルダ175は、板状のベース部材178と、該ベース部材178に嵌合され、複数の収容凹部184を有するホルダ部179と、を備えている。当該磁石ホルダ175は、推進部材110の外周面に設けられた切欠き部119と、第4円筒状リアハウジング部23Dの内壁面との間に配置される。磁石ホルダ175は軸方向に沿って移動自在に支持される。そして、ホルダ部179の各収容凹部184、184、184に、磁石部材172A、172B、172Cをそれぞれ収容して、これら磁石部材172A、172B、172Cを、ホルダ部179とベース部材178との間に挟み込むように保持する。ホルダ部179の前寄りにはピン部材185が入力プランジャ11に向かって延設されている。該ピン部材185が、入力プランジャ11に挿通されている。これにより、入力プランジャ11の移動に伴って、磁石ホルダ175、すなわち磁石部材172A、172B、172Cが移動するようになる。
[0038]
 一方、ホールセンサユニット173は、磁石ホルダ175に保持された各磁石部材172A、172B、172Cから発生する磁束密度により、入力部材4の移動量を表す信号を出力するものである。ホールセンサユニット173は、電動モータ2を後方から覆い、第3モータハウジング部23Cに複数のボルト部材42(図2及び図3参照)により連結されるケーシング195内に配置される。そして、軸方向に移動する各磁石部材172A、172B、172Cからの磁束密度の変化をホールセンサユニット173により検出することで、各磁石部材172A、172B、172Cを含む磁石ホルダ175の移動量、ひいては入力部材4の移動量を検出することができる。
[0039]
 電動モータ2は、マスタシリンダ15、入力部材4及び回転直動変換機構6とは、別軸で配置されている。電動モータ2は、第3モータハウジング部23C内に収容される。電動モータ2の回転軸2Aは、入力部材4の移動方向と略平行に延び、各軸受190、191によりハウジング3に対して相対回転自在に支持される。回転軸2Aの前端部が第2リアハウジング部23B内に延出される。回転軸2Aの後端部周辺に回転角検出手段8が配置される。該回転角検出手段8は、電動モータ2の回転軸2Aの回転角度を検出するものである。
[0040]
 電動モータ2の回転軸2Aの前端側には、電動モータ2の回転トルクを伝達する伝達部材200が配置される。該伝達部材200は、回転軸2Aの前端外周面に設けた外歯201と、該外歯201と噛み合う中間歯車202と、該中間歯車202と噛み合い、回転直動変換機構6のナット部材145の外周面に固定される主歯車203と、から構成される。なお、主歯車203は、ナット部材145の、主軸受150より後側の外周面に固定される。中間歯車202は、第2リアハウジング部23B内に突設されるシャフト部材204に軸受205を介して相対回転自在に支持される。そして、電動モータ2の回転軸2Aからの回転トルクは、伝達部材200、すなわち外歯201、中間歯車202及び主歯車203を介して、回転直動変換機構6のナット部材145に伝達される。
[0041]
 図2も参照して、コントローラ9は、ストローク検出装置7、回転角検出手段8及び電動モータ2に供給する電流値を検出する電流センサ(図示略)等の各種センサからの検出信号や、CANを介して取得するマスタシリンダ15のプライマリ室37及びセカンダリ室38の液圧を検出する液圧センサ(図示略)からの信号等に基づき、電動モータ2の駆動により回転直動変換機構6の推進部材110を推進させて、所望の倍力比をもってマスタシリンダ15内のプライマリ室37及びセカンダリ室38にブレーキ液圧を発生させるべく、電動モータ2の駆動を制御するものである。
[0042]
 次に、本電動倍力装置1の通電時の作動について説明する。
 図2に示すブレーキペダル13の非操作状態から、ブレーキペダル13が操作される、すなわち、ブレーキペダル13が踏み込まれると、入力ロッド10と共に入力プランジャ11が圧縮コイルバネ125の付勢力に抗して前進して、その入力プランジャ11に当接されたレシオプレート105がリアクションディスク135を押圧する。また、ブレーキペダル13の操作に伴って入力部材4(入力ロッド10及び入力プランジャ11)が前進すると、ストローク検出装置7により、入力部材4の移動量が検出されると共に、回転角検出手段8により、電動モータ2の回転軸2Aの回転角度が検出されて、それぞれ検出結果等に基づいて、コントローラ9により電動モータ2の駆動が制御される。
[0043]
 そして、電動モータ2からの回転は、伝達部材200、すなわち外歯201、中間歯車202及び主歯車203を介して、回転直動変換機構6のナット部材145に伝達される。続いて、ナット部材145の回転に伴って、第1及び第2係合部158、159により、各プラネタリシャフト部材146が自身の軸線を中心に自転しながらサンシャフト部材147の軸線を中心に公転する遊星運動しつつ、サンシャフト部材147が前進する。そして、サンシャフト部材147の前進により、推進部材110が圧縮コイルバネ130の付勢力に抗して前進するようになる。このサンシャフト部材147の前進により、推進部材110が入力部材4(入力ロッド10及び入力プランジャ11)を追従するように、該入力部材4との相対変位を維持したまま前進してリアクションディスク135をレシオプレート105と共に押圧する。
[0044]
 この結果、ブレーキペダル13の操作に伴う入力部材4の推進力と、電動モータ2からの推進部材110の推進力とが、リアクションディスク135を介して出力ロッド137に伝達されて、該出力ロッド137が前進することで、マスタシリンダ15のプライマリピストン31及びセカンダリピストン32が前進する。
[0045]

 これにより、マスタシリンダ15のプライマリ室37及びセカンダリ室38に液圧がそれぞれ発生して、これらプライマリ室37及びセカンダリ室38で発生したブレーキ液圧が、液圧制御ユニットを介して各車輪のホイールシリンダに供給され、摩擦制動による制動力が発生する。マスタシリンダ15における液圧発生時には、プライマリ室37及びセカンダリ室38の液圧を、リアクションディスク135を介して入力プランジャ11のレシオプレート105によって受圧し、その液圧による反力に圧縮コイルバネ125の付勢力を加えた反力が、入力部材4(入力ロッド10及び入力プランジャ11)を介してブレーキペダル13に伝達されるようになる。そして、推進部材110の前端面の受圧面積と、入力プランジャ11のレシオプレート105(円板状押圧部106)の前端面の受圧面積との比が、倍力比(ブレーキペダル13の操作入力に対する液圧出力の比)となって、所望の制動力を発生させることができる。
[0046]
 マスタシリンダ15における液圧発生時、マスタシリンダ15からの液圧反力は、回転直動変換機構6のサンシャフト部材147から第1及び第2係合部158、159を経由してナット部材145に後方に向かう付勢力として伝達されるが、当該液圧反力は、主軸受150に対して軸方向に沿って引く方向の荷重として作用するので、主軸受150に偏荷重が作用した場合でも、主軸受150には軸方向に対して傾斜する方向のモーメントが減少する方向に働き、主軸受150への偏荷重を小さくすることができる。 
[0047]
 次に、ブレーキペダル13の操作を解除する、すなわちブレーキペダル13への踏み込みを解除すると、入力部材4が、マスタシリンダ15(プライマリ室37及びセカンダリ室38)からの液圧による反力を含む圧縮コイルバネ125からの付勢力によって後退する。続いて、ストローク検出装置7により、入力部材4の移動量が検出されると共に、回転角検出手段8により、電動モータ2の回転軸2Aの回転角度が検出されて、それぞれ検出結果に基づいて、コントローラ9により電動モータ2の駆動(逆回転)が制御され、その逆回転が回転直動変換機構6のナット部材145に伝達される。続いて、このナット部材145の逆回転に伴って、各プラネタリシャフト部材146が自身の軸線を中心に逆方向に自転しながらサンシャフト部材147の軸線を中心に逆方向に公転する遊星運動しつつ、サンシャフト部材147が後退する。このサンシャフト部材147の後退に伴って、推進部材110が圧縮コイルバネ130の付勢力により、入力部材4との相対変位を維持しながら後退して、初期位置に戻るようになる。これにより、マスタシリンダ15のプライマリピストン31及びセカンダリピストン32が後退して、マスタシリンダ15のプライマリ室37及びセカンダリ室38の液圧が減圧されて制動力が解除される。
[0048]

 以上説明したように、本実施形態に係る電動倍力装置1では、回転直動変換機構6のナット部材145を支持し、ナット部材145から回転軸方向の荷重を受けてハウジング3に伝達する主軸受150を備え、該主軸受150は、第1及び第2係合部158、159より前側、すなわちマスタシリンダ15側に配置される。また、主軸受150は、係合部158、159に対してマスタシリンダ15のプライマリピストン31及びセカンダリピストン32から伝達される液圧反力方向と反対方向に位置している。その結果、マスタシリンダ15における液圧発生時、マスタシリンダ15からの液圧反力は、主軸受150に対して軸方向に沿って引く方向の荷重として作用するので、主軸受150に偏荷重が作用した場合でも、主軸受150には軸方向に対して傾斜する方向のモーメントが減少する方向に働くために、軸受150が受ける偏荷重を小さくすることができる。
[0049]
 要するに、従来(特開2016-124355号公報)のように、マスタシリンダ15からの液圧反力が、主軸受150に対して押す方向の荷重として作用すると、偏荷重が作用した場合に、主軸受150には軸方向に対して傾斜する方向のモーメントが増加する方向に働くが、本実施形態のように、マスタシリンダ15からの液圧反力を、主軸受150に対して引く方向の荷重として作用させれば、偏荷重が作用した場合でも、主軸受150には軸方向に対して傾斜する方向のモーメントが減少する方向に働くために、軸受150が受ける偏荷重が小さくなる点に着目したものである。これにより、主軸受150は、偏荷重をほとんど考慮する必要がなく、軸方向に沿う液圧反力のみに耐え得る性能を有していればよい。その結果、主軸受150を小型化することができ、ひいては本電動倍力装置1の小型化を実現することができる。しかも、主軸受150の性能を上げる必要がないので、コストも削減することができ、ひいては本電動倍力装置1の製造コストを削減することができる。 
[0050]
 また、本実施形態に係る電動倍力装置1では、主軸受150は、ナット部材145の環状鍔部145Aと、フロントハウジング20のフロント側凹状支持部20Dと、第1リアハウジング部23Aのリア側凹状支持部23A’とによって軸方向に沿って挟持されているので、主軸受150に対してマスタシリンダ15からの液圧反力による偏荷重が作用した際、軸方向に対して傾斜する方向のモーメントの発生を抑制することができ、偏荷重をさらに小さくすることができる。
 さらに、本実施形態に係る電動倍力装置1では、第1及び第2係合部158、159より後側、すなわちブレーキペダル13側に配置され、ナット部材145をハウジング3に対して相対回転自在に支持するラジアル軸受151を備え、該ラジアル軸受151は、すべり軸受で構成されるので、ラジアル軸受151をさらに小型化することができ、電動倍力装置1をさらに小型化することができる。
 なお、本実施形態に係る電動倍力装置1を、入力部材4がハウジング3の内部に配置されないブレーキバイワイヤ用の電動倍力装置に適用してもよい。
[0051]
 以上説明した実施形態に基づく電動倍力装置1として、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
 第1の態様は、入力部材4の進退移動に応じて駆動される電動モータ2と、前記電動モータ2による回転運動を直線運動に変換しマスタシリンダ15のピストン31、32を移動させる回転直動変換機構6と、前記回転直動変換機構6を収容するハウジング3と、前記電動モータ2より回転駆動される前記回転直動変換機構6の回転部材145を支持し、回転軸方向の荷重を受けて前記ハウジング3に伝達する軸受150と、を有する電動倍力装置1において、前記回転直動変換機構6は、前記回転部材145と前記回転部材145の回転に応じて進退移動する直動部材147とが係合する係合部158、159を有し、前記軸受150は、前記係合部158、159に対して前記マスタシリンダ15側に設けられる。
[0052]
 第2の態様は、第1の態様において、前記軸受150は、前記回転部材145と前記ハウジング3とによって軸方向で挟持される。
 第3の態様は、第1または第2の態様において、前記回転部材145の前記入力部材4側に配置され、前記回転部材145を前記ハウジング3に対して相対回転自在に支持するラジアル軸受151を備える。
 第4の態様は、第3の態様において、前記軸受150は、転がり軸受で構成され、前記ラジアル軸受151は、すべり軸受で構成される。
[0053]
 第5の態様は、電動モータ2による回転運動を直線運動に変換しマスタシリンダ15のピストン31、32に推力を与える回転直動変換機構6と、前記回転直動変換機構6を収容するハウジング3と、前記回転直動変換機構6の回転部材145と接して、回転軸方向の荷重を受けて前記ハウジング3に伝達する軸受150と、を有する電動倍力装置1において、前記回転直動変換機構6は、前記電動モータ2により回転駆動される回転部材145と、前記回転部材145の回転に応じて進退移動する直動部材147と、前記回転部材145と前記直動部材147とが係合する係合部158、159と、を有し、前記軸受150は、前記係合部158、159に対して、前記マスタシリンダ15のピストン31、32から伝達される反力方向と反対方向の位置に設けられる。

符号の説明

[0054]
 1 電動倍力装置,2 電動モータ,3 ハウジング,4 入力部材,6 回転直動変換機構,10 入力ロッド(入力部材),11 入力プランジャ(入力部材),13 ブレーキペダル,15 マスタシリンダ,20 フロントハウジング,20D フロント側凹状支持部,23 リアハウジング,23A’ リア側凹状支持部,31 プライマリピストン,32 セカンダリピストン,145 ナット部材(回転部材),145A 環状鍔部,147 サンシャフト部材(直動部材),150 主軸受,151 ラジアル軸受,158 第1係合部(係合部),159 第2係合部(係合部)

請求の範囲

[請求項1]
 入力部材の進退移動に応じて駆動される電動モータと、
 前記電動モータによる回転運動を直線運動に変換しマスタシリンダのピストンを移動させる回転直動変換機構と、
 前記回転直動変換機構を収容するハウジングと、
 前記電動モータより回転駆動される前記回転直動変換機構の回転部材を支持し、回転軸方向の荷重を受けて前記ハウジングに伝達する軸受と、を有する電動倍力装置において、
 前記回転直動変換機構は、
 前記回転部材と前記回転部材の回転に応じて進退移動する直動部材とが係合する係合部を有し、
 前記軸受は、
 前記係合部に対して前記マスタシリンダ側に設けられる、電動倍力装置。
[請求項2]
 請求項1に記載の電動倍力装置であって、
 前記軸受は、前記回転部材と前記ハウジングとによって軸方向で挟持される、電動倍力装置。
[請求項3]
 請求項1または2に記載の電動倍力装置であって、
 前記回転部材の前記入力部材側に配置され、前記回転部材を前記ハウジングに対して相対回転自在に支持するラジアル軸受を備える、電動倍力装置。
[請求項4]
 請求項3に記載の電動倍力装置であって、
 前記軸受は、転がり軸受で構成され、
 前記ラジアル軸受は、すべり軸受で構成される、電動倍力装置。
[請求項5]
 電動モータによる回転運動を直線運動に変換しマスタシリンダのピストンに推力を与える回転直動変換機構と、
 前記回転直動変換機構を収容するハウジングと、
 前記回転直動変換機構の回転部材と接して、回転軸方向の荷重を受けて前記ハウジングに伝達する軸受と、を有する電動倍力装置において、
 前記回転直動変換機構は、
 前記電動モータにより回転駆動される回転部材と、
 前記回転部材の回転に応じて進退移動する直動部材と、
 前記回転部材と前記直動部材とが係合する係合部と、を有し、
 前記軸受は、
 前記係合部に対して、前記マスタシリンダのピストンから伝達される反力方向と反対方向の位置に設けられる、電動倍力装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]