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1. (WO2018235741) 吸音材
Document

明 細 書

発明の名称 吸音材

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005   0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062  

実施例

0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075  

符号の説明

0076  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2A   2B   2C   3   4A   4B   5A   5B   6A   6B   6C   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 吸音材

技術分野

[0001]
 本発明は、吸音材に関し、特に、多孔質吸音体と2枚以上の不織布とが積層されて構成された吸音材に関する。

背景技術

[0002]
 従来から、吸音材は、主に騒音を低減するために、車両、家屋、電気製品など様々な製品に用いられている。吸音材は、その材質や形状によっていくつかに区分されており、そのうちの一つとして多孔質体(フェルト、グラスウール、ウレタンフォームなど)からなる吸音材(多孔質吸音体)が知られている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2005-195989号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 前記多孔質吸音体は、軽量かつ柔軟であり、取扱いも比較的容易である。このため、近年、その用途がますます広がりつつあり、これに伴って、その吸音性能の向上などが求められている。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明者は、前記多孔質吸音体に、特定の条件を満たす不織布を2枚以上組み合わせる(積層する)と、前記多孔質吸音体のみの場合と比較して、6000Hz以下の所定の低周波数帯域において吸音性能が大幅に向上することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
[0006]
 すなわち、本発明の一側面によると、吸音材は、多孔質吸音体と2枚以上の不織布とが積層されて構成され、前記不織布は、延伸され且つ一方向に沿って配列された複数の長繊維フィラメントを有し、前記複数の長繊維フィラメントの繊維径分布の最頻値が1~4μmにあり、かつ、前記不織布の目付が5~40g/m である。

発明の効果

[0007]
 本発明によれば、前記多孔質吸音体の軽量性、柔軟性及び取扱性などをほとんど損なうことなく、6000Hz以下の所定の低周波数帯域において高い吸音性能を発揮し得る吸音材を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 本発明による吸音材を構成する不織布の一例である一方向配列不織布の走査型電子顕微鏡による拡大写真(倍率:1000倍)である。
[図2A] 第1実施形態に係る吸音材の概略構成を示す断面図である。
[図2B] 第2実施形態に係る吸音材の概略構成を示す断面図である。
[図2C] 第3実施形態に係る吸音材の概略構成を示す断面図である。
[図3] 前記長繊維不織布(前記一方向配列不織布)としての縦配列長繊維不織布の製造装置の一例の概略構成を示す断面図である。
[図4A] 前記長繊維不織布(前記一方向配列不織布)としての横配列長繊維不織布の製造装置の要部断面図である。
[図4B] 前記横配列長繊維不織布の製造装置の図4Aに直交する方向の要部断面図である。
[図5A] 前記横配列長繊維不織布の製造装置で使用される紡糸ヘッドの断面図である。
[図5B] 前記紡糸ヘッドを下側から見た図である。
[図6A] 前記紡糸ヘッドの変形例の断面図である。
[図6B] 前記紡糸ヘッドの変形例を下側から見た図である。
[図6C] 前記紡糸ヘッドの変形例の図6Aに直交する方向の断面図である。
[図7] 前記縦配列長繊維不織布の物性を示す表である。
[図8] 前記縦配列長繊維不織布の繊維径分布を示す図である。
[図9] 参考例1-5(不織布+PETフェルト)、比較例1(PETフェルトのみ)及び比較例2(長繊維不織布のみ)の垂直入射吸音率の測定結果を示すグラフである。
[図10] 実施例1-4(不織布×n+PETフェルト)、参考例4及び比較例1の垂直入射吸音率の測定結果を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0009]
 本発明は、多孔質吸音体と2枚以上の不織布とが積層されて構成された吸音材を提供する。本発明による吸音材において、前記多孔質吸音体は、多孔質型吸音材とも称されるものであって、フェルト、ウレタンフォーム、グラスウールなどを含む。また、前記不織布は、延伸され且つ一方向に沿って配列された複数の長繊維フィラメントを有しており、前記複数の長繊維フィラメントの繊維径分布の最頻値が1~4μmにある。さらに、前記不織布の目付は、5~40g/m である。本発明による吸音材は、後述するように、前記多孔質吸音体のみの場合と比較して、6000Hz以下の所定の低周波数帯域において高い吸音性能を発揮することができる。
[0010]
 前記多孔質吸音体と共に本発明による吸音材を構成する各不織布、すなわち、延伸され且つ一方向に沿って配列された複数の長繊維フィラメントを有する不織布は、例えば、延伸された複数の長繊維フィラメントが一方向に沿って配列された構成の「一方向配列不織布」であり得る。前記一方向は、厳密に一方向である必要はなく、概ね一方向であればよい。このような一方向配列不織布は、例えば、複数の長繊維フィラメントを一方向に沿って配列すること、及び、配列された前記複数の長繊維フィラメントを前記一方向に延伸すること、を含む作製工程を経て作製され得る。
[0011]
 ここで、「複数の長繊維フィラメントを一方向に沿って配列する」とは、複数の長繊維フィラメントをそれぞれの長さ方向(軸方向)が一方向となるように配列すること、すなわち、配列された複数の長繊維フィラメントのそれぞれが概ね一方向に延びていることをいう。例えば、前記一方向配列不織布が長尺シートとして製造される場合には、前記一方向は、前記長尺シートの長手方向(縦方向ともいう)、前記長尺シートの長手方向から傾斜した方向、前記長尺シートの幅方向(横方向ともいう)、又は、前記長尺シートの横方向から傾斜した方向であり得る。また、「配列された複数の長繊維フィラメントを前記一方向に延伸する」とは、配列された複数の長繊維フィラメントのそれぞれを概ねその軸方向に延伸することをいう。なお、一方向に沿って配列された複数の長繊維フィラメントを一方向に延伸すると、各長繊維フィラメントの構成分子は、延伸方向である一方向、すなわち、各長繊維フィラメントの軸方向に配列されることになる。
[0012]
 図1は、前記不織布の一例である前記一方向配列不織布の走査型電子顕微鏡による拡大写真(倍率:1000倍)である。図1に示される一方向配列不織布では、複数の長繊維フィラメントのそれぞれが概ね図1の上下方向に沿って配列されている。
[0013]
 また、前記多孔質吸音体と共に本発明による吸音材を構成する各不織布は、延伸され且つ一方向に沿って配列された複数の長繊維フィラメント(第1の長繊維フィラメント)に加えて、延伸され且つ前記一方向に直交する方向に沿って配列された複数の第2の長繊維フィラメントをさらに有してもよい。すなわち、前記各不織布は、延伸された複数の長繊維フィラメントが直交する二方向のいずれかに沿って配列された構成の「直交配列不織布」であり得る。前記直交する二方向は、厳密に直交している必要はなく、概ね直交していればよい。このような直交配列不織布は、例えば、二つの前記一方向配列不織布を互いの長繊維フィラメントが直交するように積層し且つ融着することによって作製され得る。
[0014]
 本発明による吸音材においては、2枚以上の前記不織布が互いに積み重ねられて不織布積層体を形成し得る。すなわち、本発明による吸音材は、前記多孔質吸音体と、2枚以上の前記不織布が積み重ねられてなる不織布積層体とで構成され得る。ここで、前記不織布積層体において、積み重ねられた各不織布の長繊維フィラメントの軸方向は、同じであってもよいし、ランダムであってもよい。
[0015]
 前記不織布積層体は、複数の前記不織布が厚さ方向に積み重ねられて構成されていればよく、複数の前記不織布が単に積み重ねられた状態(非圧縮状態)のものであってもよいし、複数の前記不織布が積み重ねられ、かつ、圧縮された状態(圧縮状態)のものであってもよい。また、前記不織布積層体において、複数の前記不織布は、互いに分離可能な状態であってもよいし、その一部又は全部が一体化されていてもよい。したがって、前記直交配列不織布は、前記不織布とも言えるし、前記不織布積層体とも言えるものである。
[0016]
 本発明による吸音材において、前記多孔質吸音体は、主にシート状又はブロック状に形成されている。そして、前記不織布又は前記不織布積層体が前記多孔質吸音体の表面及び裏面の少なくとも一方の面上に配置されて本発明による吸音材が構成される。ここで、前記多孔質吸音体と、前記不織布又は前記不織布積層体とは、分離可能に一体化されてもよいし、融着や接着などによって分離不可能に一体化されてもよい。
[0017]
 ここで、図2A~図2Cを参照して本発明による吸音材のいくつかの実施形態について説明する。
[0018]
 図2Aは、第1実施形態に係る吸音材の概略構成を示す断面図である。図2Aに示されるように、第1実施形態に係る吸音材は、多孔質吸音体51の表面上(又は裏面上)に不織布積層体52が配置されて構成される。なお、不織布積層体52を構成する前記不織布の数(積層数)は、任意に設定され得る。
[0019]
 図2Bは、第2実施形態に係る吸音材の概略構成を示す断面図である。図2Bに示されるように、第2実施形態に係る吸音材は、多孔質吸音体51の表面上及び裏面上に不織布積層体52が配置されて構成される。換言すれば、第2実施形態に係る吸音材は、二つの不織布積層体52の間に多孔質吸音体51が配置されて構成される。なお、第2実施形態に係る吸音材において、二つの不織布積層体52は必ずしも同じものである必要はない。例えば、二つの不織布積層体52は、互いに異なる種類の前記長繊維不織布が積み重ねられて構成されたり、互いに異なる数の前記長繊維不織布が積み重ねられて構成されたりし得る。また、二つの不織布積層体52のうちの一方又は両方が前記不織布に置換されてもよい。
[0020]
 図2Cは、第3実施形態に係る吸音材の概略構成を示す断面図である。図2Cに示されるように、第3実施形態に係る吸音材は、不織布積層体52の表面上及び裏面上に多孔質吸音体51が配置されて構成される。換言すれば、第3実施形態に係る吸音材は、二つの多孔質吸音体51の間に不織布積層体52が配置されて構成される。なお、第3実施形態に係る吸音材において、二つの多孔質吸音体51は必ずしも同じものである必要はない。例えば、二つの多孔質吸音体51は、互いに種類及び/又は形状(厚さ等)が異なるものであり得る。また、第1実施形態の場合と同様、不織布積層体52を構成する前記不織布の数(積層数)は、任意に設定され得る。
[0021]
 第1~第3実施形態に係る吸音材は、それぞれ単体で、それぞれを複数まとめて又はそれぞれを適宜組み合わせて使用され得る。
[0022]
 次に、本発明による吸音材を構成する前記不織布について具体的に説明する。上述のように、本発明による吸音材を構成する前記不織布は、前記一方向配列不織布又は前記直交配列不織布であり得る。なお、以下の説明において、「縦方向」とは、前記不織布を作製する際の機械方向(MD方向)、すなわち、送り方向(前記不織布の長さ方向に相当する)をいい、「横方向」とは、前記縦方向に垂直な方向(TD方向)、すなわち、前記送り方向に直交する方向(前記不織布の幅方向に相当する)をいう。また、以下では、長繊維フィラメントを単にフィラメントという場合がある。
[0023]
[一方向配列不織布:縦配列長繊維不織布]
 前記一方向配列不織布の一例である縦配列長繊維不織布は、熱可塑性樹脂からなる複数の長繊維フィラメントを縦方向に沿って配列し、すなわち、各長繊維フィラメントの長さ方向(軸方向)が縦方向に概ね一致するように配列し、配列された前記複数の長繊維フィラメントを縦方向(軸方向)に延伸することによって得られる。前記縦配列長繊維不織布においては、各長繊維フィラメントの構成分子が前記縦方向に配向されている。ここで、前記複数の長繊維フィラメントの前記縦方向への延伸の倍率は3~6倍である。また、前記縦配列長繊維不織布を構成する前記複数の長繊維フィラメント(すなわち、延伸された複数の長繊維フィラメント)の繊維径分布の最頻値は、1~4μmにあり、好ましくは2~3μmにある。さらに言えば、前記縦配列長繊維不織布を構成する前記複数の長繊維フィラメントの平均繊維径は1~4μm、好ましくは2~3μmであり、前記縦配列長繊維不織布を構成する前記複数の長繊維フィラメントの繊維径分布の変動係数は0.1~0.3、好ましくは0.15~0.25である。なお、前記変動係数は、前記縦配列長繊維不織布を構成する前記複数の長繊維フィラメントの繊維径の標準偏差を平均(平均繊維径)で除算した値である。
[0024]
 前記長繊維フィラメントは実質的に長繊維であればよく、特に制限されるものではないが、例えば平均長が100mmを超える繊維(フィラメント)であり得る。また、前記複数の長繊維フィラメントの平均繊維径が1~4μmの範囲内にあればよく、前記縦配列長繊維不織布は、繊維径が1μm未満の長繊維フィラメントや繊維径が4μmを超える長繊維フィラメントを含み得る。なお、長繊維フィラメントの長さ及び繊維径は、例えば、走査型電子顕微鏡よって撮影された前記縦配列長繊維不織布の拡大写真から測定することができ、N個(例えば50個)の測定値から平均繊維径及び標準偏差を求め、前記標準偏差を前記平均繊維径で除算して繊維径分布の変動係数を求めることができる。
[0025]
 前記縦配列長繊維不織布の重量目付(以下「目付」という)wは、5~40g/m であり、好ましくは10~30g/m である。目付は、例えば、300mm×300mmに切り出された不織布シートを複数枚用意し、それぞれの重量を測定してその平均値から算出され得る。また、前記縦配列長繊維不織布の厚さtは、10~90μmであり、好ましくは25~60μmである。さらに、前記縦配列長繊維不織布の厚さtを目付wで除算した値である比容積t/w(cm /g)は、2.0~3.5である。前記比容積t/wが2.0~3.5の範囲であることは、前記縦配列長繊維不織布の厚さが目付に対して薄いことを意味する。さらにまた、前記縦配列長繊維不織布の通気度は、5~250cm /cm /sであり、好ましくは10~70cm /cm /sである。
[0026]
 また、前記縦配列長繊維不織布を作製する際のフィラメントの折り畳み幅は、300mm以上であることが好ましい。フィラメントが長繊維として機能するには、折り畳み幅もある程度大きい必要があるからである。なお、フィラメントの折り畳み幅とは、後述するように、紡糸されたフィラメントが縦方向に振動されてコンベア上で折り返して配置される場合における折り返し点間の略直線の部分の平均長さであり、延伸されて前記縦配列長繊維不織布となった状態において目視で観察され得る長さをいうものとする。このような折り畳み幅は、後述の製造方法(製造装置)において、例えば、高速気流の流速及び/又は気流振動機構の回転速度に依存して変化させることができる。
[0027]
 前記長繊維フィラメントは、熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られる。前記熱可塑性樹脂は、溶融紡糸可能な樹脂であればよく、特に制限されるものではないが、主にポリエステル、特に固有粘度IVが0.43~0.63、好ましくは0.48~0.58であるポリエチレンテレフタレートが用いられる。あるいは、前記熱可塑性樹脂としてポリプロピレンが用いられてもよい。これらはメルトブロー法などでの紡糸性が良好なためである。なお、前記熱可塑性樹脂は、酸化防止剤、耐候剤、着色剤などの添加剤を0.01~2重量%程度含んでもよい。また、前記熱可塑性樹脂として、難燃性樹脂、例えばリン系の難燃成分を共重合させることによって難燃化した難燃性ポリエステルが用いられてもよい。
[0028]
 次に、前記縦配列長繊維不織布の製造方法の一例を説明する。前記縦配列長繊維不織布の製造方法は、複数の長繊維フィラメントが縦方向に沿って配列された構成の不織布ウェブを作製する工程と、作製された不織布ウェブ(すなわち、縦方向に沿って配列された複数の長繊維フィラメント)を縦方向に一軸延伸することによって縦配列長繊維不織布を得る工程とを含む。
[0029]
 詳細には、前記不織布ウェブを作製する工程は、複数(多数)本のフィラメントを押し出すノズル群、前記ノズル群から押し出されたフィラメントを捕集して搬送するコンベアベルト及び前記フィラメントに吹き付けられる高速気流を振動させる気流振動手段を準備する工程と、前記ノズル群から複数(多数)のフィラメントを前記コンベアベルトに向けて押し出す工程と、前記ノズル群から押し出された各フィラメントを高速気流に随伴させて細径化する工程と、前記気流振動手段によって前記高速気流の向きを前記コンベアベルトの走行方向(すなわち、縦方向)に周期的に変動させる工程と、を含み、複数のフィラメントが前記コンベアベルトの走行方向(縦方向)に沿って配列された不織布ウェブを作製する。また、前記縦配列長繊維不織布を得る工程は、前記不織布ウェブを作製する工程で作製された不織布ウェブを縦方向に一軸延伸し、これによって、前記縦配列長繊維不織布を得る。なお、前記延伸の倍率は、3~6倍である。
[0030]
 ここで、前記ノズル群に関し、ノズル数、ノズル孔数、ノズル孔間ピッチP、ノズル孔直径D及びノズル孔長さLは、任意に設定され得るが、ノズル孔直径Dが0.1~0.2mm、L/Dが10~40であるのが好ましい。
[0031]
 図3は、前記縦配列長繊維不織布の製造装置の一例の概略構成を示す断面図である。図3に示される製造装置は、メルトブロー法によって前記縦配列長繊維不織布を製造するように構成されており、メルトブローダイス1、コンベアベルト7、気流振動機構9、延伸シリンダ12a、12b及び引取ニップローラ16a、16bなどを含む。
[0032]
 まず、装置の前段において、熱可塑性樹脂(ここでは、ポリエステル又はポリプロピレンを主成分とする熱可塑性樹脂)が押出機(図示省略)に投入され、溶融され、押し出されてメルトブローダイス1に送られる。
[0033]
 メルトブローダイス1は、その先端(下端)に、紙面に対して垂直な方向、すなわち、コンベアベルト7の走行方向に垂直に並べられた多数のノズル3を有する。ギアポンプ(図示省略)などによってメルトブローダイス1に送られた溶融樹脂2が各ノズル3から押し出されることで、多数のフィラメント11が形成(紡糸)される。なお、図3においては、メルトブローダイス1は断面図で示されているため、ノズル3は一つしか示されていない。また、メルトブローダイス1において、各ノズル3の両側にはそれぞれエアー溜め5a,5bが設けられている。前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱された高圧加熱エアーは、これらエアー溜め5a,5bに送入され、その後、エアー溜め5a,5bに連通すると共にメルトブローダイス1の先端に開口するスリット6a,6bから噴出される。これにより、ノズル3の下方には、ノズル3からのフィラメント11の押し出し方向とほぼ平行な高速気流が形成される。この高速気流によって、ノズル3から押し出されたフィラメント11がドラフト可能な溶融状態に維持されると共に、高速気流の摩擦力によりフィラメント11にドラフトが与えられて(すなわち、フィラメント11が引っ張られて)フィラメント11が細径化される。なお、紡糸直後のフィラメント11の直径は、好ましくは10μm以下である。また、ノズル3の下方に形成される高速気流の温度は、フィラメント11の紡糸温度よりも20℃以上、望ましくは40℃以上高く設定される。
[0034]
 メルトブローダイス1を用いてフィラメント11を形成する方法では、前記高速気流の温度を高くすることにより、ノズル3から押し出された直後のフィラメント11の温度をフィラメント11の融点よりも十分に高くすることができ、これによって、フィラメント11の細径化が可能である。
[0035]
 メルトブローダイス1の下方にはコンベアベルト7が配置されている。コンベアベルト7は、図示省略の駆動源により回転されるコンベアローラ13やその他のローラに掛け回されている。コンベアローラ13の回転によってコンベアベルト7を駆動することで、ノズル3から押出されてコンベアベルト7上に集積されたフィラメント11が図3における矢印方向(右方向)へと搬送される。
[0036]
 メルトブローダイス1とコンベアベルト7との間の所定位置、具体的には、ノズル3の両側のスリット6a,6bから噴出された高圧加熱エアーが合流して形成される高速気流の流域(近傍)には、気流振動機構9が設けられている。気流振動機構9は、断面が楕円形の楕円柱部と、楕円柱部の両端のそれぞれから延びる支持軸9aとを有し、コンベアベルト7によるフィラメント11の搬送方向にほぼ直交する方向、すなわち、製造すべき縦配列長繊維不織布の幅方向とほぼ平行に配置されている。そして、気流振動機構9は、支持軸9aが回転されることで前記楕円柱部が矢印A方向に回転するように構成されている。このように前記高速気流の近傍に楕円柱状の気流振動機構9を配置し、これを回転させることによって、後述するようにコアンダ効果を利用して前記高速気流の向きを変えることができる。なお、気流振動機構9の数は一つに限られるものではなく、必要に応じて複数個設けて、フィラメント11の振れ幅をより大きくしてもよい。
[0037]
 フィラメント11は、前記高速気流に沿って流れる。前記高速気流は、スリット6a,6bから噴出された高圧加熱エアーが合流して形成され、コンベアベルト7の搬送面とほぼ垂直な方向に流れる。ところで、気体や液体の高速噴流近傍に壁が存在しているとき、噴流が壁面の近くを流れる傾向があることは一般に知られている。これをコアンダ効果という。気流振動機構9は、このコアンダ効果を利用して前記高速気流、すなわち、フィラメント11の流れの向きを変える。
[0038]
 気流振動機構9(前記楕円柱部)の幅、すなわち、支持軸9aと平行な方向における気流振動機構9の長さは、メルトブローダイス1によって紡糸されるフィラメント群の幅よりも100mm以上大きいことが望ましい。これよりも気流振動機構9の幅が小さいと、フィラメント群の両端部で前記高速気流の流れ方向を十分に変えられず、フィラメント群の両端部でのフィラメント11の縦方向に沿った配列が不十分になるおそれがあるからである。また、気流振動機構9(前記楕円柱部)の周壁面9bと前記高速気流の気流軸100との距離は、最も小さいときで25mm以下、望ましくは15mm以下である。気流振動機構9と気流軸100との距離がこれ以上大きくなると、前記高速気流が気流振動機構9に引き寄せられる効果が小さくなって、フィラメント11を十分に振らせることができなくなるおそれがあるからである。
[0039]
 ここで、フィラメント11の振れ幅は、前記高速気流の流速と気流振動機構9の回転速度に依存する。したがって、高速気流の速度は10m/sec以上、好ましくは15m/sec以上となるように設定される。これ以下の速度では、前記高速気流が気流振動機構9の周壁面9bに十分に引き寄せられず、結果的にフィラメント11を十分に振らせることができなくなるおそれがあるである。気流振動機構9の回転速度は、周壁面9bにおける振動数を、フィラメント11の振れ幅を最大とする振動数とすればよい。このような振動数は、紡糸条件によっても異なるため、前記紡糸条件に応じて適宜決定される。
[0040]
 また、図3に示された製造装置においては、メルトブローダイス1とコンベアベルト7との間に、スプレーノズル8が設けられている。スプレーノズル8は、前記高速気流中に霧状の水等を噴霧するものであり、スプレーノズル8による水等の噴霧によってフィラメント11が冷却されて、急速に凝固する。なお、スプレーノズル8は実際には複数個設置されるが、煩雑さを避けるため、図3では1個のスプレーノズル8のみが示されている。
[0041]
 凝固したフィラメント11は、縦方向に振られながらコンベアベルト7上に集積され、縦方向に部分的に折り畳まれて連続的に捕集される。コンベアベルト7上のフィラメント11は、コンベアベルト7によって図3における矢印方向(右方向)に搬送され、延伸温度に加熱された延伸シリンダ12aと押さえローラ14とにニップされて、延伸シリンダ12aに移される。その後、フィラメント11は、延伸シリンダ12bと押えゴムローラ15とにニップされて延伸シリンダ12bに移され、2つの延伸シリンダ12a,12bに密着される。このように、フィラメント11が延伸シリンダ12a,12bに密着しながら送られることによって、フィラメント11は、縦方向に部分的に折り畳まれた状態のまま、隣接するフィラメント同士が融着した不織布ウェブとなる。
[0042]
 前記不織布ウェブは、その後に、引取ニップローラ16a,16b(後段の引取ニップローラ16bはゴム製)で引き取られる。引取ニップローラ16a,16bの周速は、延伸シリンダ12a,12bの周速よりも大きく設定されており、これにより、前記不織布ウェブが縦方向に3~6倍に延伸される。このようにして、縦配列長繊維不織布18が製造される。なお、前記不織布ウェブは、必要に応じて、熱処理や熱エンボス等の部分接着処理などの後処理がさらに行われてもよい。また、延伸倍率は、例えば、延伸前の不織布ウェブに一定の間隔で入れたマークによって次式で定義され得る。
 延伸倍率=「延伸後のマーク間の長さ」/「延伸前のマーク間の長さ」
[0043]
 上述のように、製造された縦配列長繊維不織布18を構成するフィラメントの平均繊維径は1~4μm(好ましくは2~3μm)であり、製造された縦配列長繊維不織布18を構成するフィラメントの繊維径分布の変動係数は0.1~0.3である。また、好ましい態様において、縦配列長繊維不織布18は、繊維の方向、すなわち、長繊維フィラメントの軸方向であり且つ延伸方向である縦方向への伸び率が、1~20%、好ましくは5~15%である。すなわち、縦配列長繊維不織布18は、縦方向に伸縮性を有するものであり得る。さらに、縦配列長繊維不織布18の縦方向の引張強度は、20N/50mm以上である。前記伸び率及び前記引張強度は、JIS L1096 8.14.1 A法により測定した値である。
[0044]
[一方向配列不織布:横配列長繊維不織布]
 前記一方向配列不織布の他の例である横配列長繊維不織布は、熱可塑性樹脂からなる複数の長繊維フィラメントを横方向に沿って、すなわち、各長繊維フィラメントの長さ方向(軸方向)が概ね前記横方向に一致するように配列し、配列された複数の長繊維フィラメントを横方向に延伸することによって得られる。前記横配列長繊維不織布においては、各長繊維フィラメントの構成分子が前記横方向に配向されている。なお、以下では、前記縦配列長繊維不織布の場合と同様でよいものについての説明は適宜省略する。
[0045]
 図4A、図4Bは、前記横配列長繊維不織布の製造装置の一例の要部構成を示す図である。図4Aは、前記横配列長繊維不織布の製造装置の要部断面図であり、図4Bは、前記横配列長繊維不織布の製造装置の図4Aに直交する方向の要部断面図である。図4A、図4Bに示されるように、前記横配列長繊維不織布の製造装置は、紡糸ヘッド210、コンベアベルト219及び図示省略の延伸装置などを含む。なお、図4A、図4Bにおいて、紡糸ヘッド210は、内部構造が分かるように断面図で示されている。また、本製造装置において、コンベアベルト219は、紡糸ヘッド210に下方に配置され、図4Aにおける矢印方向(左方向)に走行するように構成されている。
[0046]
 図5A、図5Bは、紡糸ヘッド210を示している。図5Aは、紡糸ヘッド210の断面図であり、図5Bは、紡糸ヘッド210を下側から見た図である。
[0047]
 紡糸ヘッド210は、エアー噴出部206と、エアー噴出部206の内部に配置された円筒状の紡糸ノズル部205とを含む。紡糸ノズル部205の内部には、重力方向に延びると共に紡糸ノズル部205の下端面に開口する紡糸ノズル201が形成されている。紡糸ノズル201のノズル孔径Nzは、任意に設定され得るが、例えば0.1~0.7mmである。紡糸ヘッド210は、紡糸ノズル201がコンベアベルト219の幅方向のほぼ中央に位置するように、コンベアベルト219に上方に配置される。紡糸ノズル201には、ギアポンプ(図示省略)などによってその上側から溶融樹脂が供給され、供給された溶融樹脂が紡糸ノズル201を通って紡糸ノズル201の下側の開口端から下方へ押し出されることによってフィラメント211が形成(紡糸)される。
[0048]
 エアー噴出部206の下面には、二つの斜面208a,208bを有する凹部が形成されている。前記凹部の底面は、重力方向に対して垂直な水平面207を構成しており、一方の斜面208aは、コンベアベルト219の走行方向における水平面207の一端側に配置され、他方の斜面208bは、コンベアベルト219の走行方向における水平面207の他側に配置されている。2つの斜面208a,208bは、水平面207に直交すると共に紡糸ノズル201の中心線を通る平面に関して対称に配置されており、下方に向かって互いの距離が徐々に大きくなるようにそれぞれ傾斜して形成されている。
[0049]
 紡糸ノズル部205の下端面は、エアー噴出部206の水平面207の中央部において水平面207から突出するように配設されている。紡糸ノズル部205の下端面の水平面207から突出量Hは、任意に設定され得るが、例えば0.01~1mmである。また、紡糸ノズル部205の外周面とエアー噴出部206との間には、高温の一次エアーを噴出する円環状の一次エアースリット202が形成されている。なお、紡糸ノズル部205の外径、すなわち、一次エアースリット202の内径dは、任意に設定され得るが、例えば2.5~6mmである。なお、図示は省略するが、主に一次エアースリット202から噴出させる一次エアーの速度及び温度を均一化するため、紡糸ヘッド210の内部には、少なくとも一部の隙間が0.1~0.5mmであるスリット状流路が形成されており、このスリット状流路を介して高温の一次エアーが一次エアースリット202に供給される。
[0050]
 一次エアースリット202には、その上部から高温の一次エアーが供給され、供給された一次エアーが一次エアースリット202内を通って一次エアースリット202の水平面207側の開口端から下方に向かって高速で噴出される。このように一次エアースリット202から一次エアーが高速で噴出されることで、紡糸ノズル部205の下端面の下方で減圧部分が生じ、この減圧によって紡糸ノズル201から押し出されたフィラメント211が振動する。
[0051]
 さらに、エアー噴出部206には、高温の二次エアーを噴出する二次エアー噴出口204a,204bが形成されている。二次エアーは、一次エアースリット202から噴出された一次エアーによって振動するフィラメント211を広げて一方向に配列させるために噴出される。二次エアー噴出口204aは、斜面208aに開口形成されており、エアー噴出部206の内部に向かって斜面208aに対して垂直に延びている。同様に、二次エアー噴出口204bは、斜面208bに開口形成されており、エアー噴出部206の内部に向かって斜面208bに対して垂直に延びている。二次エアー噴出口204a,204bは、水平面207に直交すると共に紡糸ノズル201の中心線を通る平面に関して対称に配置されている。なお、二次エアー噴出口204a,204bの直径rは、任意に設定され得るが、1.5~5mmであるのが好ましい。また、本実施形態では、二次エアー噴出口204a,204bがそれぞれ二つずつ形成されているが、これに限られるものではなく、二次エアー噴出口204a,204bの数は任意に設定され得る。
[0052]
 二次エアー噴出口204a,204bのそれぞれからは、水平な方向よりも僅かに下向きに二次エアーが噴出される。そして、二次エアー噴出口204aから噴出された二次エアーと、二次エアー噴出口204bから噴出された二次エアーとは、紡糸ズル201の下方で衝突してコンベアベルト219の幅方向に広がる。これにより、振動しながら落下するフィラメント211がコンベアベルト219の幅方向に広がる。
[0053]
 また、紡糸ノズル部205を挟んでその両側には、紡糸ノズル201と平行に延びると共に水平面207に開口する複数の小孔203が形成されている。複数の小孔203は、紡糸ノズル201の中心線と直交する一直線上に一列に並んでおり、紡糸ノズル部205の2次エアー噴出口204a側と204b側とのそれぞれに同数(ここでは3つ)形成されている。複数の小孔203は、水平面207の開口端から高温のエアーを下方に向けて噴出するように構成されており、これにより、フィラメント211の紡糸が安定する。なお、小孔203の径qは、任意に設定され得るが、概ね1mm程度であるのが好ましい。また、各小孔203から噴出させる高温のエアーは、一次エアースリット202から噴出させるための一次エアーの発生源から導かれてもよいし、二次エアー噴出口204a,204bから噴出させるための二次エアーの発生源から導かれてもよい。あるいは、一次エアー及び二次エアーとは別の高温のエアーが各小孔203に供給されてもよい。
[0054]
 さらに、紡糸ヘッド210とコンベアベルト219との間には、一対の冷却ノズル220が設けられている。本実施形態において、一方の冷却ノズル220は、紡糸ノズル201から紡出されたフィラメント211のコンベアベルト219の走行方向の上流側に配置され、他方の冷却ノズル220は、紡糸ノズル201から紡出されたフィラメント211のコンベアベルト219の走行方向の下流側の配置されている。各冷却ノズル220は、コンベアベルト219に到達する前のフィラメント211に霧状の水等を噴霧し、これにより、フィラメント211が冷却されて凝固する。なお、冷却ノズル220の数や配置は任意に設定され得る。
[0055]
 凝固したフィラメント211は、コンベアベルト219の幅方向に配列されてコンベアベルと219上に集積され、これにより、複数のフィラメント211が幅方向に沿って配列された不織布ウェブ218がコンベアベルト219上に作製される。
[0056]
 そして、コンベアベルト219上に作製された不織布ウェブ218は、コンベアベルト219によって図4Aにおける矢印方向に搬送され、その後、図示省略の前記延伸装置によって横方向に3~6倍に延伸される。このようにして、前記横配列長繊維不織布が製造される。
[0057]
 図6A~図6Cは、紡糸ヘッド210の変形例を示している。図6Aは、変形例に係る紡糸ヘッド210の断面図であり、図6Bは、変形例に係る紡糸ヘッド210を下側から見た図であり、図6Cは、変形例に係る紡糸ヘッド210の図6Aに直交する方向の断面図である。
[0058]
 図6A~図6Cに示されるように、変形例に係る紡糸ヘッド210においては、複数の小孔203が紡糸ノズル部205(紡糸ノズル201)を円形に囲むように配置されている。各小孔203は、水平面に対して僅かに傾斜して形成されており、各小孔203からは、図6Bにおける矢印方向に高温のエアーが噴出される。このような複数の小孔203から高温のエアーを噴出させることによってもフィラメント211の紡糸が安定する。
[0059]
 上述のように、製造された横配列長繊維不織布を構成するフィラメントの平均繊維径は1~4μm(好ましくは、2~3μm)であり、製造された縦配列長繊維不織布を構成するフィラメントの繊維径分布の変動係数は0.1~0.3である。また、製造された横配列長繊維不織布は、繊維の方向、すなわち、長繊維フィラメントの軸方向であり且つ延伸方向である横方向への伸び率が、1~20%であり、好ましくは5~15%である。すなわち、横配列長繊維不織布は、横方向に伸縮性を有するものであり得る。また、製造された横配列長繊維不織布の横方向への引張強度は、5N/50mm以上、好ましくは10N/50mm以上、さらに好ましくは20N/50mm以上である。
[0060]
[直交配列不織布]
 直交配列不織布は、前記縦配列長繊維不織布と前記横配列長繊維不織布とを積層し且つ融着して形成され、二つの前記縦配列長繊維不織布のうちの一方を90°回転させて積層し且つ融着して形成され、又は、二つの前記横配列長繊維不織布のうちの一方を90°回転させて積層し且つ融着して形成され得る。融着は、特に制限されるものではないが、一般的にはエンボスロール等を使用した熱圧着によって行われる。
[0061]
 次に、前記不織布積層体について説明する。前記不織布積層体は、基本的には、複数の前記縦配列長繊維不織布が厚さ方向に積み重ねられて構成され、複数の前記横配列長繊維不織布が厚さ方向に積み重ねられて構成され、又は、複数の前記直交配列不織布が厚さ方向に積み重ねられて構成され得る。但し、これらに限られるものではなく、前記不織布積層体は、前記縦配列長繊維不織布と前記横配列長繊維不織布と前記直交配列不織布との任意の組み合わせによっても構成され得る。
[0062]
 そして、上述のように、前記不織布又は前記不織布積層体が前記多孔質吸音体の表面及び裏面の少なくとも一方の面上に配置されて本発明による吸音材が構成される。また、上述のように、前記直交配列不織布は、前記不織布及び前記不織布積層体のいずれにも該当し得るものである。
実施例
[0063]
 以下、本発明による吸音材を実施例により説明する。但し、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
[0064]
[不織布]
 図3に示された製造装置を用いて縦配列長繊維不織布を作製した。メルトブローダイスとしては、ノズル径が0.15mm、ノズルピッチが0.5mm、L/D(ノズル孔長/ノズル孔直径)=20、紡糸幅が500mmの紡糸ノズルを有するものを用い、これをコンベアの走行方向と垂直に配置した。フィラメントの原料(熱可塑性樹脂)としては、固有粘度IVが0.53、融点が260℃のポリエチレンテレフタレート(CHUNG SHING TEXTILE CO.,LTD.)を用いた。1ノズル当たりの吐出量を40g/min、ダイスの温度を295℃として前記メルトブローダイスからフィラメントを押し出した。ノズルから押し出されたフィラメントにドラフトをかけて細径化するための高速気流は、温度を400℃、流量を0.4m /minとした。また、スプレーノズルからは霧状の水を噴霧してフィラメントを冷却した。気流振動機構は、メルトブローダイスのノズルの延長線との距離が最小で20mmとなるように配置した。気流振動機構を900rpm(気流振動機構の周壁面での振動数が15.0Hz)で回転させ、フィラメントを縦方向に沿って配列させた状態でコンベアベルト上に捕集した。コンベアベルト上に捕集されたフィラメントを延伸シリンダで加熱し、縦方向に4.5倍に延伸して縦配列長繊維不織布とした。そして、コンベアベルトの走行速度を適宜変化させることによって、目付が5~40g/m の縦配列長繊維不織布を得た。
[0065]
 得られた縦配列長繊維不織布の物性を図7に示す。また、目付が10g/m の縦配列長繊維不織布と目付が20g/m の縦配列長繊維不織布の繊維径分布を図8に示す。図8に示されるように、いずれの縦配列長繊維不織布においても、その繊維径分布の最頻値は約2.5μmであり、平均繊維径も約2.5μmであった。なお、作製時のコンベアベルトの走行速度が異なるだけであるので、繊維径分布の最頻値及び平均繊維径は、目付が5g/m 、15g/m 、30g/m 及び40g/m の縦配列長繊維不織布についても図8とほぼ同じになると考えられる。
[0066]
[多孔質吸音体]
 多孔質吸音体として市販のPET吸音シート(PETフェルト)を用意した。なお、前記PETフェルトの厚さは10mm、前記PETフェルトの目付は230g/m であった。
[0067]
(実施例)
 前記PETフェルトの表面に目付が20g/m の縦配列長繊維不織布を3枚配置(積層)したもの{(不織布(20g)×3)+PETフェルト}を実施例1とし、前記PETフェルトの表面に目付が20g/m の縦配列長繊維不織布を5枚配置したもの{(不織布(20g)×5)+PETフェルト}を実施例2とし、前記PETフェルトの表面に目付が20g/m の縦配列長繊維不織布を10枚配置したもの{(不織布(20g)×10)+PETフェルト}を実施例3とし、前記PETフェルトの表面に目付が20g/m の縦配列長繊維不織布を20枚配置したもの{(不織布(20g)×20)+PETフェルト}を実施例4とした。
[0068]
(参考例)
 前記PETフェルトの表面に目付が5g/m の縦配列長繊維不織布を1枚だけ配置したもの(不織布(5g)+PETフェルト)を参考例1とし、前記PETフェルトの表面に目付が10g/m の縦配列長繊維不織布を1枚だけ配置したもの(不織布(10g)+PETフェルト)を参考例2とし、前記PETフェルトの表面に目付が15g/m の縦配列長繊維不織布を1枚だけ配置したもの(不織布(15g)+PETフェルト)を参考例3とし、前記PETフェルトの表面に目付が20g/m の縦配列長繊維不織布を1枚だけ配置したもの(不織布(20g)+PETフェルト)を参考例4とし、前記PETフェルトの表面に目付が40g/m の縦配列長繊維不織布を1枚だけ配置したもの(長不織布(40g)+PETフェルト)を参考例5とした。
[0069]
(比較例)
 前記PETフェルト単体(PETフェルトのみ)を比較例1とし、縦配列長繊維不織布単体(不織布のみ)を比較例2とした。なお、縦配列長繊維不織布単体の吸音性能は、目付が5~40g/m の間でほとんど変わらないことが確認されている。
[0070]
[吸音試験]
 日本音響エンジニアリング社製の垂直入射吸音率測定システムWinZacMTXを用いて、実施例1-4、参考例1-5及び比較例1-2のそれぞれについてJIS A1405-2に規定されている垂直入射吸音率を測定した。図9は、参考例1-5と比較例1-2の垂直入射吸音率の測定結果を示し、図10は、実施例1-4、参考例4及び比較例1の垂直入射吸音率の測定結果を示す。
[0071]
 図9に示されるように、前記不織布(1枚)と前記PETフェルトとが組み合わされる(積層される)と、個々の垂直入射吸音率の合計を超える垂直入射吸音率が得られること、及び、前記PETフェルト単体の場合と比較して、1000-10000Hzの周波数帯域において垂直入射吸音率が大幅に向上することが確認された。なお、10000Hz以下の周波数帯域において、前記PETフェルト単体の垂直入射吸音率は50%未満であり、前記不織布(1枚)の垂直入射吸音率は10%未満である。
[0072]
 また、図10に示されるように、前記PETフェルトと2枚以上の前記不織布とが組み合わされる(積層される)と、10000Hz以下の周波数帯域、特に前記PETフェルト単体では吸音性能をほとんど発揮することができなかった(具体的には垂直入射吸音率が40%未満である)6000Hz以下の周波数帯域において垂直入射吸音率が大幅に向上すること、換言すれば、6000Hz以下の所定の周波数に垂直入射吸音率のピークがあり、当該ピークにおける垂直入射吸音率が40%以上、さらに言えば、50%以上であること、及び、前記不織布の枚数が多くなるほど垂直入射吸音率のピークが低周波数側にシフトする傾向があることが確認された。
[0073]
 したがって、前記PETフェルトなどの多孔質吸音体、特に10000Hz以下の周波数の吸音性能が比較的低い多孔質吸音体に対して、前記不織布を組み合わせることによって、1000-10000Hzの周波数帯域の吸音性能を向上させることができ、特に2枚以上の前記不織布又は前記不織布積層体を組み合わせることによって、6000Hz以下の所定の周波数帯域の吸音性能を著しく向上させたりすることができる。
[0074]
 特に、前記不織布の枚数に応じて吸音率のピークが変化するので、例えば、吸音すべき音の周波数をあらかじめ測定し、測定された周波数に応じて前記多孔質吸音体に積層する前記不織布の枚数などを調整することによって、個別に最適な吸音材を形成することも可能である。
[0075]
 本発明による吸音材は、様々な場所において使用され得る。例えば、本発明による吸音材は、自動車のエンジンルーム用吸音材や内装用吸音材として、自動車や家電製品や各種モータなどの吸音保護材として、各種建築物の壁、床又は天井などに設置される吸音材として、機械室などの内装用吸音材として、各種防音壁の吸音材として、及び/又は、コピー機や複合機などのOA機器用の吸音材として、使用され得る。

符号の説明

[0076]
 51              多孔質吸音体
 52              不織布積層体

請求の範囲

[請求項1]
 多孔質吸音体と2枚以上の不織布とが積層されて構成された吸音材であって、
 前記不織布は、延伸され且つ一方向に沿って配列された複数の長繊維フィラメントを有し、前記複数の長繊維フィラメントの繊維径分布の最頻値が1~4μmにあり、かつ、前記不織布の目付が5~40g/m である、吸音材。
[請求項2]
 前記多孔質吸音体は、シート状又はブロック状に形成され、
 前記不織布又は前記不織布が2枚以上積み重ねられてなる不織布積層体が、前記多孔質体の表面及び裏面の少なくとも一方の面上に配置されている、請求項1に記載の吸音材。
[請求項3]
 前記複数の長繊維フィラメントは3~6倍に延伸されたものであり、前記複数の長繊維フィラメントの平均繊維径は1~4μmであり、前記複数の長繊維フィラメントの繊維径分布の変動係数は0.1~0.3である、請求項1に記載の吸音材。
[請求項4]
 前記不織布の前記一方向における引張強度が20N/50mm以上である、請求項1に記載の吸音材。
[請求項5]
 6000Hz以下の所定の周波数に前記吸音材の垂直入射吸音率のピークがあり、当該ピークにおける垂直入射吸音率が40%以上である、請求項1に記載の吸音材。
[請求項6]
 6000Hz以下の周波数帯域における前記多孔質吸音体の垂直入射吸音率が40%未満である、請求項5に記載の吸音材。
[請求項7]
 10000Hz以下の周波数帯域における前記多孔質吸音体の垂直入射吸音率が50%未満であり、
 6000Hz以下の所定の周波数に前記吸音材の垂直入射吸音率のピークがあり、当該ピークにおける垂直入射吸音率が50%以上である、請求項1に記載の吸音材。
[請求項8]
 前記複数の長繊維フィラメントのそれぞれがポリエステル又はポリプロピレンを主成分とする長繊維フィラメントである、請求項1に記載の吸音材。
[請求項9]
 前記ポリエステルは、固有粘土IVが0.43~0.63のポリエチレンテレフタレートである、請求項8に記載の吸音材。
[請求項10]
 前記不織布は、延伸され且つ一方向に沿って配列された複数の第1の長繊維フィラメントと、延伸され且つ前記一方向に直交する方向に沿って配列された複数の第2の長繊維フィラメントとを有する、請求項1に記載の吸音材。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 2C]

[ 図 3]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 6C]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]