このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2018235600) ポリマー組成物
Document

明 細 書

発明の名称 ポリマー組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007  

先行技術文献

特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012  

発明の効果

0013   0014   0015   0016   0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051  

実施例

0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066  

符号の説明

0067  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : ポリマー組成物

技術分野

[0001]
 本発明は、ポリオキサレートをポリマー成分として含むポリマー組成物に関する。

背景技術

[0002]
 ポリオキサレートは、シュウ酸に由来する酸構成単位とジオールに由来するジオール構成単位とからなるポリエステルである。ポリオキサレートは、優れた加水分解性を有しており、種々の用途での使用が検討されている。例えば農業分野ではフィルム、シート、トレイ、ポット等の形態での使用が検討されている。環境分野では粉体やペレットの形態での水浄化材や土壌浄化材としての使用が検討されている。シェールガス等の資源採掘分野では、粉体や球状粒子、繊維の形態でフラクチュアリング流体や仕上げ流体等に添加しての使用が検討されている。特に資源採掘の分野では、ポリオキサレートが環境に優しい生分解性樹脂であり、また、坑井内等の後処理作業を行うのが難しく且つ低温(100℃以下)の環境下でも水さえあれば自然と加水分解することが期待できるため、検討が盛んに行われている。
[0003]
 ところで、ポリオキサレートは、耐熱性が低く、紡糸、押出成形、射出成形等の溶融成形時に熱分解しやすいという問題を有している。例えば、アンダーウォーターカッティングのように、水中にポリオキサレートを溶融押出し、溶融押出物を直ちにカッティングするような成形手段の場合にも、ポリオキサレートは低分子量化されてしまうという欠点を有している。
[0004]
 熱分解性が改善されたポリオキサレートとして、特許文献1には、GPCにより測定したポリスチレン換算での数平均分子量が10,000以上であるポリエステル重合体が提案されており、かかるポリエステル重合体としてポリオキサレートが開示されている。このポリオキサレートは、熱分解温度が高く耐熱性に優れている。
[0005]
 しかるに、上記のポリオキサレートは、高結晶性であるため、加水分解を起こしにくい。このため、ポリオキサレートの加水分解性を利用する用途には、適用し難いという問題がある。
 例えば、上記の資源採掘分野でポリオキサレートを使用する場合、このポリオキサレートは水中に投入され、一定期間経過後に速やかに加水分解することが求められるが、特許文献1のポリオキサレートは、一定期間経過後もなかなか加水分解しないという欠点があった。
[0006]
 本特許出願人は、先に、特願2016-035585号(特開2017-149892号公報)において、ジオールとしてエチレングリコールとその他のジオールの計2種以上を使用したポリオキサレート共重合体を提案している。かかるポリオキサレート共重合体は、耐熱性を有しており、熱成形時の低分子量化が抑制されている。更に、坑井内等の低温(100℃以下)環境下でも十分の水さえあれば、使用開始から数日程度で加水分解し始め、以後速やかに加水分解する。このように、先願のポリオキサレート共重合体は適度な加水分解特性も持っている。
[0007]
 しかしながら、先願のポリオキサレート共重合体は、使用するジオールの種類が限定されており、用途や使用環境等に応じてポリオキサレートの構造を設計する際の自由度が低く、さらなる改善が必要である。

先行技術文献

特許文献

[0008]
特許文献1 : 特開平09-059359号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 従って、本発明の目的は、ポリオキサレートをポリマー成分として含み、ポリオキサレートの成形時の低分子量化が有効に抑制されており且つポリオキサレートの加水分解性が維持されているポリマー組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明によれば、ポリマー成分として、ジオール由来のジオール構成単位とシュウ酸由来の酸構成単位を有するポリオキサレートを含むポリマー組成物において、
 前記ポリオキサレートと共に、成形安定剤として、末端カルボキシル基封止剤を含んでおり、TG-DTAによる5%重量減少温度が300℃以下であることを特徴とするポリマー組成物が提供される。
[0011]
 本発明のポリマー組成物においては、以下の態様が好適である。
(1)前記末端カルボキシル基封止剤が、カルボジイミド化合物またはポリカルボジイミドであること。
(2)前記ジオールが、ブタンジオールまたはエチレングリコールであること。
(3)前記ジオールが、ブタンジオールであること。
(4)前記5%重量減少温度が、220~300℃であること。
(5)90℃の蒸留水中に1週間浸漬して加水分解させた時、下記式で表される残存率が10%以下である請求項1に記載のポリマー組成物。
  残存率(%)=W2(加水分解後の重量g)/W1(初期投入量g)×100
[0012]
 本発明によれば、また、上記ポリマー組成物を熱成形して得られる成形体が提供される。
 上記の成形体は、繊維または粒状の形態を有することが好適である。

発明の効果

[0013]
 本発明のポリマー組成物は、ポリオキサレートをポリマー成分として含むものであるが、末端カルボキシル基封止剤が成形安定剤として配合されている点に重要な特徴である。
 即ち、ポリオキサレートは、一定温度以上に長時間保持されると、末端のカルボキシル基の分解が生じる。また、アンダーウォーターカッティングなどのため、高温のポリオキサレートが水中に投入される加水分解が生じ、加水分解により生成した分子の末端には、カルボキシル基が存在する。このようにしてポリオキサレートの分解により、ポリオキサレートの成形時に分子量の低下が生じる。
 しかるに、本発明では、ポリオキサレートが後述する比較例1及び2に示されているように、ポリオキサレートを融点に近い温度に保持したとき、その分子量は10%以上低下する。しかるに、本発明に従い、末端カルボキシル基封止剤(ポリカルボジイミド)が配合されている場合には、実施例1~6に示されているように、ポリオキサレートの分子量の低下が6%以下に抑制される。このことから理解されるように、本発明のポリオキサレートを含むポリマー組成物では、ポリオキサレートの溶融成形時の熱による分解が有効に抑制される。
[0014]
 即ち、本発明では、末端カルボキシル基封止剤が配合されており、この封止剤によりカルボキシル基の末端が保護され、ポリオキサレートの熱分解が抑制され、さらには加水分解を伴うポリオキサレートの連鎖的な分解が有効に抑制されるわけである。
[0015]
 また、本発明のポリマー組成物では、TG-DTAによる5%重量減少温度が300℃以下(好ましくは、220~300℃)の範囲にある。かかる5%重量減少温度は、末端カルボキシル基封止剤の配合量により調製され、この封止剤の配合量を多くすると、5%重量減少温度は高くなり、配合量を少なくすると、5%重量減少温度は低くなる。
[0016]
 即ち、本発明では、5%重量減少温度が上記範囲となるように、末端カルボキシル基封止剤の量が調整されているため、高温での含水環境下でのポリオキサレートの初期加水分解は抑制されるが、一旦、加水分解が生じると、通常のポリオキサレートと同様、速やかに加水分解が進行する。即ち、アンダーウォーターカッティングなどの成形時には、加水分解が抑制され、その低分子量化が防止されるが、得られる成形体は、末端カルボキシル基封止剤が配合されていないポリオキサレートの成形体と同等の加水分解性を示すこととなる。
 例えば、5%重量減少温度が上記範囲よりも高くなるように末端カルボキシル基封止剤が配合されていると、ポリオキサレートが過度に安定化されてしまい、ポリオキサレートの加水分解性が損なわれてしまうこととなる。
[0017]
 このように、本発明によれば、ポリオキサレートの加水分解性を損なうことなく、加熱溶融などによる熱履歴を生じる成形時の分解(分子量の低下)を有効に抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 2段階重合法に用いる反応装置の概略構造を示す図。

発明を実施するための形態

[0019]
<ポリオキサレート>
 本発明において使用されるポリオキサレートは、ジオール由来のジオール構成単位とシュウ酸由来の酸構成単位を有するポリエステルであり、ジオールとシュウ酸とを反応させてのエステル化重合反応、或いはシュウ酸アルキルとジオールとを用いてのエステル交換を伴う重合反応により得られる。
 このポリオキサレートは、下記式で表されるオキサレート繰り返し単位を有している。
  -(-CO-CO-O-A-O-)
 式中、nは重合度を表す正の数であり、Aは、ジオール由来の有機基であり、複数存在する有機基Aは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
[0020]
 シュウ酸アルキルとしては、シュウ酸ジアルキルが好ましく、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸プロピル等の炭素数1~4のアルキル基からなるシュウ酸ジアルキルがより好ましく、シュウ酸ジメチルとシュウ酸ジエチルが特に好ましい。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノールなどを例示することができるが、適度な加水分解性を獲得しやすいので、直鎖の2価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオールが好ましく、ブタンジオールまたはエチレングリコールがより好ましく、ブタンジオールが特に好ましい。発明を損なわない範囲で、シュウ酸以外を共重合してもよく、脂肪族、脂肪族環や芳香族環を有するジカルボン酸、ヒドロキシ酸が共重合されていてもよい。
[0021]
 本発明において使用されるポリオキサレートは、上述のオキサレート繰り返し単位を有している限り、他のエステル単位を含むコポリマーであってもよいが、好ましくは、上記のオキサレート繰り返し単位が80モル%以上、特に90モル%以上含まれているとよい。
[0022]
 上述したポリオキサレートの重量平均分子量(Mw)は、適度な加水分解性と成形加工性を獲得しやすくする観点から、好ましくは30000~200000、より好ましくは50000~150000、さらに好ましくは50000~100000である。分子量が上記上限値以上になっても性能には何ら影響はないが、重合時間が長くなってしまうため、生産性が低下してしまう懸念がある。
[0023]
<末端カルボキシル基封止剤>
 本発明のポリマー組成物において、上記のポリオキサレートと共に使用される末端カルボキシル基封止剤は、カルボキシル基に結合して保護基として機能し得る官能基を有する化合物もしくはポリマーである。
[0024]
 このような官能基を化合物としては、例えば、カルボジイミド基(-N=C=N-)を有するカルボジイミド化合物、エポキシ基を有するエポキシ化合物、オキサゾリン基を有するオキサゾリン化合物、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等を挙げることができるが、副生物が生成せず添加時に発泡の心配がないので、カルボジイミド化合物が好ましい。
[0025]
 カルボジイミド化合物としては、分子中にカルボジイミド基を1つ有するモノカルボジイミド、例えば、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’-ジ-tert-ブチルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脂肪族モノカルボジイミド;N,N’-ジフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-トリルカルボジイミド、N,N’-ビス(ジメチルフェニル)カルボジイミド、N,N’-ビス(メトキシフェニル)カルボジイミド、N,N’-ビス(ニトロフェニル)カルボジイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’-ビス(トリフェニルシリル)カルボジイミド等の芳香族モノカルボジイミド;などがある。
[0026]
 また、上記のような官能基を有するポリマーとしては、分子中にカルボジイミド基を2つ以上有するポリカルボジイミド、例えば、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニレン-co-1,5-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)等の芳香族ポリカルボジイミド;などがある。
 効率よくカルボキシル基を保護できるので、上記のポリカルボジイミドの中では、脂肪族ポリカルボジイミドが好ましい。
 尚、上記のようなポリカルボジイミドは、日清紡ケミカル株式会社により、カルボジライトの商品名で各種のタイプのものが市販されている。このカルボジライトは、ジイソシアネートを脱炭酸縮合して得られるポリマーである。
[0027]
 本発明において、このような末端カルボキシル基封止剤は、ポリマー組成物のTG-DTAによる5%重量減少温度(Td5%)が300℃以下、より好ましくは220~300℃となるように、決定される。Td5%の値が高いほどポリオキサレートは安定となるが、加水分解性の低下を生じる。既に述べたように、末端カルボキシル基封止剤の配合量が増えるほどTd5%は高くなる。
 Td5%が上記範囲にあるポリマー組成物は、成形に耐えられるだけの十分な安定性を有していながらも、ポリオキサレートに要求される適度な加水分解性を有している。
[0028]
 本発明において、上記のようなTd5%の値を確保するための末端カルボキシル基封止剤の配合量は、その封止剤の種類やポリオキサレートの構造等によって異なるが、一般的には、ポリオキサレートに対し1,000~50,000ppm、特に、1000~20000ppmである。
[0029]
<その他の配合剤>
 本発明では、その効果を妨げない限り、末端カルボキシル基封止剤の添加剤、例えば、可塑剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、顔料、フィラー、充填剤、離型剤、帯電防止剤、香料、滑剤、発泡剤、抗菌・抗カビ剤、核形成剤、層状硅酸塩、架橋剤、酵素などがある。また、必要に応じてポリオキサレート以外の生分解性樹脂組成物、例えば、脂肪族ポリエステル、ポリビニルアルコール、セルロース類を併せて配合してもよい。
[0030]
<ポリマー組成物の製造>
 本発明のポリマー組成物は、公知の方法により、脱水反応やエステル交換反応といったエステル化重合反応を行ってポリオキサレートを重合し、得られたポリオキサレート中に末端カルボキシル基封止剤を撹拌混合して製造される。
[0031]
 ポリオキサレートを得るためのエステル化重合反応には、必要に応じて公知の触媒を用いることができる。公知の触媒としては、例えば、チタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシド、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、ジブチルスズオキシドやジラウリン酸ブチルスズ等のスズ化合物が代表的であるが、これ以外にも、P,Ge、Zn,Fe,Mn,Co,Zr,V及び各種希土類金属の化合物などを挙げることができる。
[0032]
 エステル化重合反応は無溶媒で行ってもよいが、有機溶媒を適宜使用してもよい。有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶媒;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカリン、テトラリン等の脂肪族炭化水素系有機溶媒;エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶媒;クロロホルム、クロロベンゼン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素系有機溶媒;などがある。
[0033]
 具体的なポリオキサレートの重合方法としては、例えば、ジオールとシュウ酸アルキルを使用して常圧重合と減圧重合の2段階でエステル化重合反応を進める方法がある。かかる2段階重合法は、有機溶媒を使用せず無溶媒下でも実施することができる。無溶媒下での実施は、製造コスト等の点で有利である。
[0034]
 2段階重合法は、図1に示すバッチ式の重合反応器を用いて行うとよい。図1を参照すると、重合反応器1には、攪拌機3と留去管5が備えられている。留去管5は頭頂部Aを有しており、また、重合反応器1から頭頂部Aまでの領域の還流部5aと頭頂部Aより下流側の留去部5bとを有している。留去部5bには、熱交換器等の冷却管5cが設けられており、留出する液が速やかに凝縮して排出されるようになっている。還流部5aにも適宜加温管や冷却管を取り付け、頭頂部Aの温度を調整できるようにしてもよい。
[0035]
 重合反応器1内に反応液10(シュウ酸アルキル、ジオール及び必要により使用される触媒や有機溶媒)を供給し、エステル化重合反応に際して副生するアルコール、未反応のジオール、オリゴマー等を、留去管5の還流部5aを通して留去部5bから留出液15として留去する。2段階重合法は、この留去条件を調整しながら実施する。
[0036]
 反応液中のジオールの仕込み量は、常圧重合反応を速やかに進める観点から、シュウ酸アルキル1モルあたり0.8~1.2モルとし、好ましくは1.0~1.2モルとする。
[0037]
1.常圧重合
 常圧重合は、重合反応器1内を窒素ガス雰囲気に置換し、反応液を仕込み、これを撹拌しながら110~200℃の範囲に加熱することで行われ、これにより低重合度のポリオキサレートが得られる。反応温度が高すぎると、生成する低重合度ポリオキサレートが分解する虞がある。反応温度が低すぎると、反応速度が遅く、効果的に重合を行うことができない虞がある。
 アルコールの留出が停止した時点で常圧重合をやめ、次の減圧重合を行う。
[0038]
2.減圧重合
 減圧重合は、重合反応器1内を0.1~1kPaに減圧・保持しながら、常圧重合により生成した低重合度ポリオキサレートを含む反応液10を180~210℃に維持することにより行われる。減圧重合により、反応液10中に残存するジオールを除去しながら重合をさらに進行させ、さらに高分子量化されたポリオキサレートを得る。
[0039]
 減圧重合において、反応液温度が低すぎると、高分子量化が不十分となり、得られるポリオキサレートの加水分解性が過度に大きくなり、例えば水に混合したときに一気に加水分解する。反応液温度が高すぎると、生成したポリオキサレートの分解が生じる。
[0040]
 減圧重合工程では、残存ジオールの除去を促進するために、留去管5の還流部5aを90~140℃に保温することが好ましい。
[0041]
 減圧重合工程は、残存ジオールの除去が停止したときに終了すればよい。残存ジオールの除去の停止は、例えば留去管5の頭頂部Aの温度をモニタリングして確認できる。
[0042]
 常圧重合に続いての減圧重合により、副生アルコールや未反応ジオール等の不純物含有量が抑制され、且つ、常圧重合時より高分子量化したポリオキサレートが得られる。
[0043]
 当然のことであるが、上記記載は本発明におけるポリオキサレートの重合方法を限定するものではなく、それ以外の方法で重合しても構わない。
[0044]
 続いて、溶融状態のポリオキサレートに末端カルボキシル基封止剤を投入し、撹拌混合をする。撹拌混合は、公知の条件および手段により行えばよいが、10kPa以上1000kPa未満の減圧下で撹拌混合を行うと、残存ジオールや副生アルコール等の不純物が含まれていたときにこれらを除去できるので、好ましい。
[0045]
 撹拌混合は、末端カルボキシル基封止剤がポリオキサレート中に均一に混合され、これにより、該封止剤の一部がポリオキサレートの末端カルボキシル基と反応して、該カルボキシル基が封止される。混合時間は、一般には、0.5~3時間程度である。
 尚、ポリオキサレートによる末端カルボキシル基の封止は、ポリオキサレートの酸価の低下や初期加水分解性の低下などにより確認することができる。
 また、この末端カルボキシル基封止剤は、適宜、他のポリマーと溶融混合したブレンド物や溶剤等に溶解乃至分散させた液として、ポリオキサレートと混合することもできる。
[0046]
 尚、カルボキシル基結合性化合物の撹拌混合工程において、ポリオキサレートが低分子量化することがあるので、その場合は、予め撹拌混合工程での低分子量化を想定し、ポリオキサレートを重合するとよい。
[0047]
 尚、末端カルボキシル基封止剤は、押出機の混練部でポリオキサレートと混合することもできる。例えば、ポリオキレートと末端カルボキシル基封止剤とをホッパーから同時に押出機の混練部に供給してもよいし、先にポリオキサレートをホッパーから供給して溶融させ、押出機の途中から末端カルボキシル基封止剤を供給してもよい。
[0048]
 本発明のポリマー組成物は、耐熱性を有し、また、成形工程のように短時間であれば水中での加水分解が抑制される。このことは、ポリマー組成物を、150℃で5分間保持し、25℃の水中に1分間浸漬させたときの重量平均分子量を測定し、分子量保持率を算出したとき、本発明のポリマー組成物の場合、90%以上、特に92%以上を示すことから明らかである。
[0049]
 更に、本発明のポリマー組成物は、成形後においては、公知のポリオキサレートと同様、適度な加水分解性を有する。この適度な加水分解性については、わざわざ成形体の加水分解挙動を確認しなくとも、本発明のポリマー組成物の加水分解挙動から確認可能である。即ち、ポリマー組成物を粉砕した試料を、90℃の蒸留水中に投入し、1週間かけて加水分解させた後、残存試料の重量(加水分解後の重量)を測定し、下記式により残存率を算出すると、本発明のポリマー組成物の残存率は、10%以下、好適な態様においては8%以下、特に好適な態様においては5%以下である。
   残存率(%)=W2(加水分解後の重量g)/W1(初期投入量g)×100
 このように本発明のポリマー組成物は、成形前の時点で1週間以内の残存率が低い値を示すのであるから、成形後、数日程度経過した後には、十分量の水と接した時に速やかに加水分解が進むことは自明である。
[0050]
 上記のような特徴を有する本発明のポリマー組成物は、押出成形、射出成形等、その溶融物を所定形状に成形することにより得られる熱成形体として、加水分解性が要求される用途に適用される。例えば、繊維状或いはペレット状に熱成形されたものは、フラクチュアリング流体や仕上げ流体に代表される採掘用分散液に好適に適用される。
 また、ポリマー組成物(ポリオキサレート組成物)の加水分解性を活用させるため、適宜、他のポリマーと混合しての熱成形により、フィルム乃至シート、トレイ、容器などの形態に成形し、加水分解性が付与され、環境に優しい成形体として使用することもできる。
[0051]
 例えば、本発明のポリマー組成物から得られた長さ0.1~5cmの繊維を水に分散させて掘削用分散液を調整し、かかる掘削用分散液を地下に圧入した場合、かかる繊維状の成形体は、40~80℃の温度で適度な時間経過後に加水分解される。そのため、かかる分散液をフラクチュアリング流体として用いての水圧破砕により、シェールガス等の地下資源の採掘を行うことができる。
実施例
[0052]
 本発明のポリマー組成物について、以下の実施例により説明する。尚、各種の測定は、以下の方法で行った。
[0053]
<ポリブチレンオキサレートの分子量の測定>
装置:ゲル浸透クロマトグラフ GPC
検出器:示差屈折率検出器RI
カラム:SuperMultipore HZ-M(2本)
溶媒:クロロホルム
流速:0.5mL/min
カラム温度:40℃
試料調製:試料約10mgに溶媒3mLを加え、室温で放置した。目視で溶解していることを確認した後、0.45μmフィルターにて濾過した。スタンダードはポリスチレンを用いた。
[0054]
<ポリエチレンオキサレートの分子量の測定>
装置:ゲル浸透クロマトグラフ GPC
検出器:示差屈折率検出器RI
カラム:Shodex HFIP-LG(1本)、HFIP-806M(2本)(昭和電工)
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(5mMトリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
流速:0.5mL/min
カラム温度:40℃
試料調製:試料約1.5mgに溶媒5mLを加え、室温で緩やかに攪拌した(試料濃度約0.03%)。目視で溶解していることを確認した後、0.45μmフィルターにて濾過した。スタンダードはポリメチルメタクリレートを用いた。
[0055]
<5%重量減少温度(Td5%)>
装置:株式会社日立ハイテクサイエンス社製 TG/DTA7220
試料調整:試料量5~10mg
測定条件:窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で40~300℃の範囲で測定。
初期重量に対して、5%重量が減少した温度をTd5%とした。
[0056]
<残存率測定>
 容量50mlのバイアル瓶に目開き16meshのフィルターを通過した試料300mgと蒸留水20mlを加え、90℃の電気オーブン内で1週間加水分解させた。
 その後、上澄み液を取り除き、80℃の電気オーブン内で2時間以上乾燥させ、残存試料量を測定し、下記式に基づき残存率を算出した。
  残存率(%)=W2(残存試料量mg)/W1(初期試料量mg)×100
[0057]
<分子量保持率の測定>
 試料100mgを、150℃の電気オーブン内で5分間保持し、温度25℃の水中に1分間浸漬させた。その後、試料を取り出して80℃の電気オーブン内で2時間乾燥させた。乾燥後の試料の分子量を、上述の分子量の測定方法と同様にして測定し、下記式に基づき残存率を算出した。
 分子量保持率(%)
  =Mw2(処理後の重量平均分子量)/Mw1(処理前の重量平均分子量)
[0058]
<実施例1>
 末端カルボキシル基封止剤として、下記のポリカルボジイミドを用意した。
  日清紡ケミカル社製カルボジライトHMV-15CA;
    軟化温度70℃、5%重量減少温度350℃。
 マントルヒーター、液温の温度計、攪拌装置、窒素導入管および留出カラムを取り付けた1Lのセパラブルフラスコにシュウ酸ジメチル354g(3mol)、1,4-ブタンジオール270g(3mol)、ジブチルスズオキシド0.05gを入れ窒素気流下でフラスコ内の液温を120℃に加温し、常圧重合を行った。メタノールの留去が開始後、少しずつ液温を150℃まで昇温し常圧重合した。最終的に72mlの留出液を得た。
 フラスコ内の液温を段階的に200℃に昇温し、0.1~0.8kPaの減圧度で5時間減圧重合した。その後、圧力を常圧に戻し、カルボジライト0.35g(ポリカルボジイミドはポリマー収量に対して0.1重量%)を加え、10kPa以上の減圧度で1時間撹拌し、ポリマー1を得た。
[0059]
<実施例2>
 カルボジライトの添加量を1.75g(0.5重量%)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリマー2を得た。
[0060]
<実施例3>
 カルボジライトの添加量を3.5g(1.0重量%)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリマー3を得た。
[0061]
<実施例4>
 カルボジライトの添加量を17.5g(5.0重量%)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリマー4を得た。
[0062]
<実施例5>
 カルボジライトの添加量を35g(10.0重量%)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリマー5を得た。
[0063]
<実施例6>
 マントルヒーター、液温の温度計、攪拌装置、窒素導入管および留出カラムを取り付けた1Lのセパラブルフラスコにシュウ酸ジメチル295g(2.5mol)、エチレングリコール171g(2.76mol)、ジブチルスズオキシド0.062gを入れ窒素気流下でフラスコ内の液温を180℃まで徐々に昇温し常圧重合した。
 その後、フラスコ内の液温を190℃に昇温し、0.1~0.8kPaの減圧度で6時間減圧重合した。その後、圧力を常圧に戻し、カルボジライト2.5g(ポリカルボジイミドはポリマー収量に対して1.0重量%)を加え、10kPa以上の減圧度で1時間撹拌し、ポリマー6を得た。
[0064]
<比較例1>
 カルボジライトを使用しなかった点以外は、実施例1と同様の方法でポリマー7を得た。即ち、実施例1と同様の方法で、常圧重合および減圧重合を行い、ポリマー7を得た。
[0065]
<比較例2>
 カルボジライトを使用しなかった点以外は、実施例6と同様の方法でポリマー8を得た。即ち、実施例6と同様の方法で、常圧重合および減圧重合を行い、ポリマー8を得た。
[0066]
<評価試験>
 得られたポリマーについて各種物性を測定した。結果を表1に示す。
[表1]


符号の説明

[0067]
   1:重合反応器
   3:攪拌機
   5:留去管
   A:頭頂部
   5a:還流部
   5b:留去部
   5c:冷却管
   10:反応液
   15:留出液

請求の範囲

[請求項1]
 ポリマー成分として、ジオール由来のジオール構成単位とシュウ酸由来の酸構成単位を有するポリオキサレートを含むポリマー組成物において、
 前記ポリオキサレートと共に、成形安定剤として、末端カルボキシル基封止剤を含んでおり、TG-DTAによる5%重量減少温度が300℃以下であることを特徴とするポリマー組成物。
[請求項2]
 前記末端カルボキシル基封止剤が、カルボジイミド基を分子中に有する化合物もしくはポリマーである請求項1に記載のポリマー組成物。
[請求項3]
 前記ジオールが、ブタンジオールまたはエチレングリコールである、請求項1に記載のポリマー組成物。
[請求項4]
 前記ジオールが、ブタンジオールである、請求項3に記載のポリマー組成物。
[請求項5]
 前記5%重量減少温度が、220~300℃である、請求項1に記載のポリマー組成物。
[請求項6]
 90℃の蒸留水中に1週間浸漬して加水分解させた時、下記式で表される残存率が10%以下である請求項1に記載のポリマー組成物。
  残存率(%)=W2(加水分解後の重量g)/W1(初期投入量g)×100
[請求項7]
 請求項1に記載のポリマー組成物を熱成形して得られる成形体。

図面

[ 図 1]