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1. (WO2018230026) 電磁波吸収体及び電磁波吸収体付成形品
Document

明 細 書

発明の名称 電磁波吸収体及び電磁波吸収体付成形品

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050  

実施例

0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 電磁波吸収体及び電磁波吸収体付成形品

技術分野

[0001]
 本発明は、電磁波吸収体及び電磁波吸収体付成形品に関する。

背景技術

[0002]
 近年、1~10mm程度の波長及び30~300GHzの周波数を有するミリ波や準ミリ波の領域の電磁波が情報通信媒体として利用されている。このような電磁波は衝突予防システムへの利用が検討されている。衝突予防システムは、例えば、車両において障害物を検知して自動でブレーキをかけ、又は、周辺車両の速度や車間距離を測定して自車の速度や車間距離を調節するシステムである。衝突予防システムが正常に動作するには、誤認防止のため、不要な電磁波をできるだけ受信しないようにすることが重要である。従って、衝突予防システムに不要な電磁波を吸収する電磁波吸収体を利用することが考えられる。
[0003]
 電磁波吸収体には、電磁波吸収の原理により様々なタイプがある。例えば、電磁波反射層と、λ/4(λは吸収対象とする電磁波の波長)の厚みを有する誘電体層と、抵抗薄膜層とを設けた電磁波吸収体(「λ/4型電磁波吸収体」ということがある)は、材料が比較的安価であり、設計が容易であるので、低コストで作製できる。例えば、特許文献1には、λ/4型電磁波吸収体として、入射角度の広い領域にわたって機能するという優れた特性を発揮する電磁波吸収体が提案されている。また、特許文献2には、磁性体層を有する電磁波吸収材が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2003-198179号公報
特許文献2 : 特開2012-94764号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1及び特許文献2において、電磁波吸収体が取付けられる物品の形状については具体的に検討されておらず、広帯域幅での電磁波吸収性能についても具体的に検討されていない。
[0006]
 そこで、本発明は、平坦ではない面に取り付けるのに有利であり、かつ、広帯域幅での電磁波吸収性能にも優れる電磁波吸収体を提供する。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明は、
 誘電体層又は磁性体層である第一層と、
 前記第一層の少なくとも片側に設けられた導電層と、を備え、
 前記第一層のヤング率と前記第一層の厚みとの積は、0.1~1000MPa・mmであり、
 前記第一層の比誘電率は、1~10である、
 電磁波吸収体を提供する。
[0008]
 また、本発明は、
 成形品と、
 前記成形品に取り付けられた上記の電磁波吸収体と、を備えた、
 電磁波吸収体付成形品を提供する。

発明の効果

[0009]
 上記の電磁波吸収体は、平坦ではない面にも取り付けやすく、かつ、広帯域幅(例えば、50~100GHzの周波数帯域に含まれる2GHz以上の帯域幅)での電磁波吸収性能にも優れる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 図1は、本発明の電磁波吸収体の一例を示す断面図である。
[図2] 図2は、本発明の電磁波吸収体付成形品の一例を示す側面図である。
[図3] 図3は、本発明の電磁波吸収体の別の一例を示す断面図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、下記の説明は、本発明を例示的に説明するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるわけではない。
[0012]
 電磁波吸収体を曲面等の平坦でない面に貼り付けることができれば、電磁波吸収体の用途が広がる。電磁波吸収体の用途の一例として、自動車に搭載されている衝突防止システムを挙げることができる。従来の衝突防止システムのミリ波レーダは、自動車の前方にミリ波を照射することが多く、電磁波吸収体は平坦な面に貼り付けられることが多い。しかし、自動車の斜め前方又は斜め後方にもミリ波を照射して障害物を検出できれば、自動車の走行の安全性をより高めることができる。そこで、ミリ波レーダを自動車のコーナー部に配置することが考えられる。この場合、電磁波障害を防止するためにバンパー等の自動車の部品の端部に電磁波吸収体を貼り付けることが望ましく、曲面等の平坦でない面に貼り付けやすい電磁波吸収体に対する需要が高まると予想される。
[0013]
 また、衝突防止システムのミリ波レーダにおいて、レーダの分解能を高めるために、使用周波数の広帯域化が試みられている。例えば、76GHzの周波数の電磁波を用いる衝突防止システムのミリ波レーダ及び79GHzの周波数の電磁波を用いる衝突防止システムのミリ波レーダにおいては、使用帯域がそれぞれ1GHz及び4GHzに定められることもある。このため、電磁波吸収体が、広帯域幅(例えば、50~100GHzの周波数帯域に含まれる2GHz以上の帯域幅)において良好な電磁波吸収性能を発揮できることが望ましい。
[0014]
 加えて、衝突防止システムにおいて異なる周波数の電磁波を利用する複数のミリ波レーダが使用されることも想定される。この場合、ミリ波レーダ毎に異なる種類の電磁波吸収体を準備することは、衝突防止システムの部品点数を増加させ、製造コストを高める可能性がある。また、ミリ波レーダ毎に異なる種類の電磁波吸収体を準備することは、衝突防止システムの総重量を増加させる可能性がある。そこで、衝突防止システムにおいて異なる周波数の電磁波を利用する複数のミリ波レーダが使用される場合に、広帯域幅において良好な電磁波吸収性能を発揮できる電磁波吸収体があれば、ミリ波レーダ毎に異なる種類の電磁波吸収体を準備する必要がなくなる。
[0015]
 このような事情に鑑み、本発明者らは、平坦ではない面にも取り付けやすく、かつ、広帯域幅での電磁波吸収性能に優れる電磁波吸収体について日夜検討を重ねた。その結果、本発明に係る電磁波吸収体を案出した。なお、自動車における衝突防止システムは、電磁波吸収体の用途の一例にすぎない。
[0016]
 図1に示す通り、電磁波吸収体1aは、第一層10と、導電層20とを備えている。第一層10は、誘電体層又は磁性体層である。導電層20は、第一層10の少なくとも片側に設けられている。第一層10のヤング率(引張弾性率)と第一層10の厚みとの積は、0.1~1000MPa・mmである。加えて、第一層10の比誘電率は1~10である。第一層10のヤング率と第一層の厚みとの積が0.1~1000MPa・mmであることにより、電磁波吸収体1aは平坦ではない面にも取り付けやすい。加えて、第一層10の比誘電率が1~10であることにより、電磁波吸収体1aは広帯域幅(例えば、50~100GHzの周波数帯域に含まれる2GHz以上の帯域幅)において良好な電磁波吸収性能を発揮できる。なお、本明細書において、第一層10のヤング率は、常温において、日本工業規格(JIS) K7161-1:2014に準拠して測定された値を意味する。第一層10の比誘電率は空洞共振器摂動法によって測定できる。
[0017]
 電磁波吸収体1aは、例えば、50~100GHzの周波数帯域に含まれる2GHz以上の帯域幅において、20dB以上の電磁波吸収量を有する。このように、電磁波吸収体1aは、広帯域幅で良好な電磁波吸収性能を発揮できる。電磁波吸収体1aの電磁波吸収量は、JIS R 1679:2007に準拠して、入射角度を15°に設定して電磁波を電磁波吸収体1aに照射させて測定できる。
[0018]
 電磁波吸収体1aの平坦ではない面への取り付けやすさを高める観点から、第一層10のヤング率と第一層の厚みとの積は、望ましくは0.1~1000MPa・mmであり、より望ましくは0.1~500MPa・mmであり、さらに望ましくは0.1~100MPa・mmであり、とりわけ望ましくは0.1~50MPa・mmであり、極めて望ましくは0.1~20MPa・mmである。
[0019]
 第一層10のヤング率と第一層10の厚みとの積を0.1~1000MPa・mmに調節する観点から、第一層10のヤング率は、望ましくは、2000MPa以下である。これにより、第一層10の厚みを大きく変更できない場合でも、第一層10のヤング率と第一層の厚みとの積を0.1~1000MPa・mmに調節しやすい。
[0020]
 第一層10は、例えば、高分子材料を含む。第一層10に含まれる高分子材料は、例えば、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリルウレタン樹脂、アイオノマー、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、及びエポキシ樹脂等の合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)、又は、ポリイソプレンゴム、ポリスチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、及びシリコーンゴム等の合成ゴムである。これらは単独で又は2種以上を組み合せて第一層10に含まれる高分子材料として使用できる。なかでも、第一層10の比誘電率を低くする観点から、第一層10に含まれる高分子材料は、望ましくは、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリオレフィン、ポリエチレン、又はシリコーンゴムである。
[0021]
 第一層10は、例えば、発泡体であってもよい。この場合、第一層10の比誘電率が低くなりやすい。加えて、第一層10を軽量化できる。
[0022]
 第一層10において、誘電体及び磁性体の少なくとも一方が分散していてもよい。この場合、例えば、上記の高分子材料は、マトリクスとして機能する。第一層10に分散されている誘電体又は磁性体の種類及び量を調節することにより、電磁波吸収体1aが所望の電磁波吸収特性を発揮できる。第一層10に分散している誘電体は、例えば、カーボン、酸化チタン、アルミナ、及びチタン酸バリウム等の無機材料である。第一層10に分散されている誘電体及び磁性体の量は、第一層10の比誘電率が1~10となるように調節されている。
[0023]
 電磁波吸収体1aの平坦ではない面への取り付けやすさを高める観点から、導電層20のヤング率と導電層20の厚みとの積は低いことが望ましい。一方で、第一層10のヤング率と第一層10の厚みとの積が0.1~1000MPa・mmとかなり低く調節されているので、導電層20のヤング率と導電層20の厚みとの積の上限は第一層10ほど低く調節されなくてもよい。このため、導電層20のヤング率と導電層20の厚みとの積は、典型的には、12000MPa・mm以下である。これにより、電磁波吸収体1aを平坦ではない面に取り付けやすい。
[0024]
 導電層20のヤング率と導電層20の厚みとの積は、望ましくは10000MPa・mm以下であり、より望ましくは8000MPa・m以下である。
[0025]
 電磁波吸収体1aの平坦ではない面への取り付けやすさを高める観点から、導電層20のヤング率と導電層20との厚みとの積は、基本的には小さければ小さいほどよい。一方で、電磁波吸収体1aを平坦ではない面に取り付けた状態において電磁波吸収体1aに高レベルの耐久性が求められる場合には、導電層20のヤング率と導電層20との厚みとの積を所定値以上に調節することが望ましい。このような観点から、導電層20のヤング率と導電層20との厚みとの積は、望ましくは10MPa・mm以上であり、より望ましくは20MPa・mm以上であり、さらに望ましくは50MPa・mm以上である。
[0026]
 導電層20は必ずしもその全体が導電材料で形成されている必要はなく、例えば導電材料で形成された導電機能層22と、その導電機能層22に接触している導電性を有しない層とを備えていてもよい。
[0027]
 導電層20は、望ましくは、金属を含む。これにより、導電層20が低いシート抵抗を有しやすい。なお、本明細書において、合金は、金属に含まれる。導電層20に含まれる金属は、例えば、銅、ニッケル、亜鉛、又はこれらの合金、アルミニウム、金、又はステンレスである。導電層20は、場合によっては、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物でできていてもよい。
[0028]
 図1に示す通り、導電層20は、例えば、導電材料で形成された導電機能層22を含む。導電層20において導電機能層22が電磁波を反射させて電磁波の透過を防止する。電磁波吸収体1aを平坦ではない面に取り付けた状態で、長期にわたって、導電層20が電磁波の透過を防止して良好な電磁波吸収特性を保つためには、導電機能層22が所定値以上の厚みを有することが望ましい。一方、導電層20のヤング率と導電層20の厚みとの積が上記の範囲に収まるためには、導電機能層22が所定値以下の厚みを有することが望ましい。このため、導電機能層22の厚みは、例えば、5μm~1mmである。
[0029]
 導電機能層22は、上記の厚みを有するために、望ましくは蒸着膜ではなく金属箔によって形成されている。金属箔は、例えば、アルミニウム箔、銅箔、金箔、チタン箔、ニッケル箔、マグネシウム箔、アルミニウム合金箔、銅合金箔、金合金箔、チタン合金箔、ニッケル合金箔、マグネシウム合金箔、又はステンレス箔である。なかでも、金属箔としてアルミニウム箔が望ましく使用される。なぜなら、アルミニウム箔は安価に入手でき、電磁波吸収体1aの製造コストを低減できるからである。
[0030]
 図1に示す通り、導電層20は、例えば、支持体25と、支持体25に接触している導電性の導電機能層22とを含む。この場合、支持体25は、第一層10と導電機能層22との間に配置され、導電機能層22を保護する。例えば、導電機能層22が第一層10に直接接触していると、第一層10に含まれる成分が導電機能層22に拡散して導電機能層22が劣化する可能性がある。加えて、第一層10を導電機能層22にくっつけるための接着剤又は粘着剤が導電機能層22に付着していると、その接着剤又は粘着剤に含まれる成分によって導電機能層22が劣化してしまう可能性がある。さらに、電磁波吸収体1aが平坦ではない面に取り付けられる場合、導電機能層22は曲げられた状態であるので、少ない刺激でも劣化しやすい。しかし、導電機能層22が支持体25によって保護されていることにより、導電機能層22が劣化しにくく、電磁波吸収体1aが長期にわたり所望の電磁波吸収性能を発揮しやすい。なお、導電機能層22が十分な厚み(例えば、20μm以上)を有する場合には支持体25は省略可能であり、導電層20が導電機能層22のみによって形成されていてもよい。
[0031]
 導電機能層22の厚さと支持体25の厚さとの比率(導電機能層22の厚さ:支持体25の厚さ)は、好ましくは1:0.1~1:10である。支持体の厚さに対する導電機能層の厚さの比率が低いと、電磁波吸収体において柔軟性が良好であるが導電機能層の劣化が起きやすい。支持体の厚さに対する導電機能層の厚さの比率が高いと、電磁波吸収体において導電機能層の劣化は起きにくいが、電磁波吸収体の柔軟性を高めにくい。導電機能層22の厚さと支持体25の厚さとの比率が上記の範囲であれば、電磁波吸収体1aにおいて良好な柔軟性と良好な導電機能層の保護とを両立しやすい。
[0032]
 上記の通り、支持体25は、導電機能層22を支持するとともに、導電機能層22を保護する役割を有する。このため、支持体25は、良好な耐熱性及び良好な化学的耐久性を有する材料でできていることが望ましい。このため、支持体25は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂でできている。
[0033]
 図1に示す通り、電磁波吸収体1aは、例えば、抵抗層30をさらに備えている。抵抗層30は、第一層10の少なくとも片側に設けられている。この場合、第一層10は、誘電体層であり、かつ、抵抗層30と導電層20との間に配置されている。換言すると、電磁波吸収体1aはλ/4型電磁波吸収体である。
[0034]
 電磁波吸収体1aがλ/4型電磁波吸収体である場合、吸収対象とする波長(λ O)の電磁波が入射すると、抵抗層30の表面での反射(表面反射)による電磁波と、導電層20における反射(裏面反射)による電磁波とが干渉するように設計されている。そのため、導電層20のシート抵抗が高いと電磁波が導電層20aを透過してしまい、電磁波吸収体1aにおける電磁波の吸収量が低下する。なお、λ/4型電磁波吸収体においては、下記の式(1)に示す通り、誘電体層である第一層10の厚み(t)及び誘電体層の比誘電率(ε r)によって吸収対象の電磁波の波長(λ O)が決定される。すなわち、誘電体層である第一層10の材料及び厚みを適宜調節することにより、吸収対象の波長の電磁波を設定できる。式(1)においてsqrt(ε r)は、比誘電率(ε r)の平方根を意味する。
 λ O=4t×sqrt(ε r)   式(1)
[0035]
 上記の通り、抵抗層30は、吸収対象の波長の電磁波を電磁波吸収体1aの表面近傍で反射させるために配置される。抵抗層30は、例えば、200~600Ω/□のシート抵抗を有し、望ましくは360~500Ω/□のシート抵抗を有する。この場合、電磁波吸収体1aは、ミリ波レーダ又は準ミリ波レーダにおいて汎用される波長の電磁波を選択的に吸収しやすくなる。例えば、電磁波吸収体1aは、ミリ波レーダに用いられる50~100GHz、特に60~90GHzの周波数の電磁波を効果的に減衰させることができる。
[0036]
 抵抗層30は、例えば、インジウム、スズ、及び亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つを主成分とする金属酸化物、導電性高分子、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、及びメタルメッシュのいずれかからなる層(以下、「抵抗機能層」という)を含む。なかでも、抵抗層30の抵抗機能層は、抵抗層30におけるシート抵抗の安定性及び抵抗層30の耐久性の観点から、望ましくは酸化インジウムスズ(ITO)からなる。この場合、抵抗層30の抵抗機能層を形成する材料は、望ましくは20~40重量%のSnO 2を含有するITOであり、より望ましくは25~35重量%のSnO 2を含有するITOである。このような範囲でSnO 2を含有するITOは、非晶質構造が極めて安定であり、高温多湿の環境においても抵抗層30のシート抵抗の変動を抑えることができる。抵抗層30のシート抵抗は、例えば抵抗機能層によって定められた面に対して測定された値を意味する。本明細書において、「主成分」とは、質量基準で最も多く含まれる成分を意味する。
[0037]
 抵抗層30の抵抗機能層は、例えば10~100nmの厚みを有し、望ましくは25~50nmの厚みを有する。これにより、電磁波吸収体1aが平坦でない面に取り付けられた状態で長期間使用されても抵抗層30のシート抵抗が安定しやすい。
[0038]
 抵抗層30は、例えば、抵抗機能層を支持する支持体をさらに含んでいてもよい。この場合、抵抗層30は、例えば、支持体上にスパッタリング又はコーティング(例えば、バーコーティング)等の成膜方法により抵抗機能層を形成することによって作製できる。この場合、支持体は、抵抗機能層の厚みを高精度に調節できる補助材としての役割も果たす。この場合、抵抗層30の支持体の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリウレタン、ウレタンアクリル樹脂、二軸延伸ポリプロピレン(CPP)、又は塩化ビニリデン樹脂である。抵抗層30の支持体の材料は、導電層20の支持体の材料と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。なかでも、良好な耐熱性と、寸法安定性と、コストとのバランスの観点から、抵抗層30の支持体の材料は望ましくはPETである。必要に応じて、抵抗層30において支持体は省略可能である。
[0039]
 抵抗層30が支持体を含む場合、抵抗層30において、抵抗機能層が支持体よりも第一層10に近い位置に配置されていてもよいし、支持体が抵抗機能層よりも第一層10に近い位置に配置されていてもよい。
[0040]
 抵抗層30の支持体は、例えば10~150μmの厚みを有し、望ましくは20~100μmの厚みを有し、より望ましくは30~80μmの厚みを有する。これにより、抵抗層30の曲げ剛性が低く、かつ、抵抗層30の抵抗機能層を形成する場合において皺の発生又は変形を抑制できる。
[0041]
 誘電体層である第一層10は、単一の層であってもよいし、複数の層の積層体であってもよい。第一層10が複数の層の積層体である場合、第一層10の比誘電率は、各層の比誘電率を測定し、得られた各層の比誘電率に第一層10全体の厚みに対する各層の厚みの割合を乗じ、これらを加算することにより算出できる。
[0042]
 電磁波吸収体1aがλ/4型電磁波吸収体であり、抵抗層30の外側に誘電体層が配置される場合、その誘電体層は2以上の比誘電率を有する非多孔質な層のみが配置される。なお、電磁波吸収体の表面に多孔質体が設置された場合、高湿環境で長期間放置されると、吸湿により電磁波吸収体の電磁波吸収性が低下する可能性がある。
[0043]
 図1に示す通り、電磁波吸収体1aは、例えば、粘着層40をさらに備えている。この場合、粘着層40は導電層20の外側に配置されている。これにより、電磁波吸収体1aを成形品等の物品に容易に取り付けることができる。
[0044]
 粘着層40は、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、及びウレタン系粘着剤等の粘着剤を含む。
[0045]
 図2に示す通り、電磁波吸収体1aを用いて、例えば、電磁波吸収体付成形品100を製造できる。電磁波吸収体付成形品100は、成形品70と、成形品70に取り付けられた電磁波吸収体1aとを備えている。成形品70は、例えば、バンパーなどの自動車部品である。
[0046]
 電磁波吸収体1aの製造方法の一例を説明する。シート状に成形された支持体の上に蒸着、スパッタリング、及びコーティング(例えば、バーコーティング)等の成膜方法により抵抗機能層を形成し、抵抗層30を作製する。なかでも、抵抗層30のシート抵抗及び抵抗層30の抵抗機能層の厚みを厳密に調節する観点から、抵抗層30の抵抗機能層は、望ましくはスパッタリングにより形成される。導電層20として、例えば、支持体25及び導電機能層22を含む積層体を準備する。
[0047]
 次に、導電層20の一方の主面(支持体25によって形成された主面)に、所定の厚みにプレス成型された第一層10を形成する樹脂組成物を載せる。その後、第一層10を形成する樹脂組成物に、抵抗層30の一方の主面を重ねる。必要に応じて、樹脂組成物を硬化させる。これにより、電磁波吸収体1aを製造できる。この方法によれば、第一層10の厚みの制御が容易であるので、吸収対象とする波長の電磁波を効果的に吸収できるように電磁波吸収体1aを製造できる。また、抵抗層30および導電層20を別々に形成するので、電磁波吸収体1aの製造に要する時間が短く、電磁波吸収体1aの製造コストが低い。なお、導電層20として、導電機能層22のみからなる層を用いてもよいし、第一層10と導電層20又は抵抗層30とをくっつけるのに接着剤又は粘着剤を用いてもよい。
[0048]
 <変形例>
 電磁波吸収体1aは、図3に示す電磁波吸収体1bのように変更されてもよい。電磁波吸収体1bは、特に説明する場合を除き、電磁波吸収体1aと同様に構成されている。電磁波吸収体1aの構成要素と同一又は対応する電磁波吸収体1bの構成要素には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。電磁波吸収体1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り、電磁波吸収体1bにもあてはまる。
[0049]
 図3に示す通り、電磁波吸収体1bは、第一層10と、導電層20とを備えているものの、抵抗層30を備えていない。第一層10は、誘電体層又は磁性体層である。第一層10が誘電体層である場合、電磁波吸収体1bは、分子の分極に起因する誘電損失を利用して電磁波を吸収する、誘電損失型の電磁波吸収体である。誘電損失型の電磁波吸収体において、電場の変化に分子の分極が追従できずに電磁波が有するエネルギーが熱として損失する。この場合、第一層10において、例えば、誘電体層である第一層10の高分子材料として挙げた上記の合成樹脂又は合成ゴムにカーボン粒子又はチタン酸バリウム(BaTiO 3)粒子等の誘電体の粒子が分散している。第一層10における誘電体の粒子の含有量は、第一層10の比誘電率が1~10になるように調節されている。
[0050]
 第一層10が磁性体層である場合、電磁波吸収体1bは、磁性材料の磁気損失によって電磁波を吸収する、磁性損失型の電磁波吸収体である。磁性損失型の電磁波吸収体において、磁界の変化に磁気モーメントが追従できず電磁波が有するエネルギーが熱として損失する。この場合、第一層10において、例えば、誘電体層である第一層10の高分子材料として挙げた上記の合成樹脂又は合成ゴムにフェライト、鉄、又はニッケル等の磁性体の粒子が分散している。第一層10における磁性体の粒子の含有量は、第一層10の比誘電率が1~10になるように調節されている。
実施例
[0051]
 以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
[0052]
 <実施例1>
 ポリエステルからなるフィルム状の支持体(三菱ケミカル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm厚)に、シート抵抗が380Ω/□になるように30重量%のSnO 2を含有するITOを用いてスパッタリングにより抵抗機能層を形成し、実施例1に係る抵抗層を作製した。また、実施例1に係る導電層として、25μmの厚みを有するPETの層、7μmの厚みを有するアルミニウム箔、及び9μmの厚みを有するPETの層がこの順で積層されているUACJ社製のアルミニウム箔付きPETフィルムを準備した。実施例1に係る導電層の25μmの厚みを有するPETの層に、実施例1に係る誘電体層である560μmの厚みにプレス成型したアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティLA2330)を載せた。次に、アクリル樹脂(誘電体層)の上に、抵抗層の支持体によって形成された主面をアクリル樹脂に向けた状態で実施例1に係る抵抗層を重ねた。このようにして、実施例1に係る電磁波吸収体を得た。実施例1に係る電磁波吸収体における誘電体層の比誘電率は2.55であった。
[0053]
 <実施例2>
 ポリエステルからなるフィルム状の支持体(三菱ケミカル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm厚)に、シート抵抗が20Ω/□になるように10重量%のSnO 2を含有するITOを用いてスパッタリングにより導電機能層を形成し、実施例2に係る導電層を作製した。実施例1に係る導電層の代わりに実施例2に係る導電層を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る電磁波吸収体を得た。なお、実施例2に係る導電層の導電機能層を誘電体層であるアクリル樹脂に向けた。
[0054]
 <実施例3>
 EVA樹脂(三井デュポン社製、エバフレックスEV250、比誘電率:2.45)を120℃でプレス成型して、560μmの厚みを有する実施例3に係る誘電体層を得た。実施例1に係る誘電体層の代わりに実施例3に係る誘電体層を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る電磁波吸収体を得た。
[0055]
 <実施例4>
 100重量部のEVA樹脂(三井デュポン社製、エバフレックスEV250)に、50重量部のチタン酸バリウム粉末(堺化学工業社製、製品名:BT-01)を添加し、ミキシングロールで混錬した。その後、混錬物を120℃でプレス成型し、456μmの厚みを有する実施例4に係る誘電体層を得た。実施例4に係る誘電体層の比誘電率は、3.90であった。実施例1に係る誘電体層の代わりに実施例4に係る誘電体層を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4に係る電磁波吸収体を得た。
[0056]
 <実施例5>
 100重量部のEVA樹脂(三井デュポン社製、エバフレックスEV250)に、100重量部のチタン酸バリウム粉末(堺化学工業社製、製品名:BT-01)を添加し、ミキシングロールで混錬した。その後、混錬物を120℃でプレス成型し、397μmの厚みを有する実施例5に係る誘電体層を得た。実施例5に係る誘電体層の比誘電率は、5.19であった。実施例1に係る誘電体層の代わりに実施例5に係る誘電体層を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5に係る電磁波吸収体を得た。
[0057]
 <実施例6>
 100重量部のEVA樹脂(三井デュポン社製、エバフレックスEV250)に、200重量部のチタン酸バリウム粉末(堺化学工業社製、製品名:BT-01)を添加し、ミキシングロールで混錬した。その後、混錬物を120℃でプレス成型し、336μmの厚みを有する実施例6に係る誘電体層を得た。実施例6に係る誘電体層の比誘電率は、7.25であった。実施例1に係る誘電体層の代わりに実施例6に係る誘電体層を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6に係る電磁波吸収体を得た。
[0058]
 <実施例7>
 オレフィン系発泡体(日東電工社製、製品名:SCF 100、比誘電率:1.07)をスライスして、0.82mmの厚みを有する実施例7に係る誘電体層を得た。実施例1に係る導電層の25μmの厚みを有するPETの層と実施例7に係る誘電体層との間に30μmの厚みを有するアクリル粘着剤を介在させて実施例7に係る誘電体層と実施例1に係る導電層とをくっつけた。次に、実施例1に係る抵抗層の支持体によって形成された主面を実施例7に係る誘電体層に向けた状態で実施例7に係る誘電体層と実施例1に係る抵抗層との間に30μmの厚みを有するアクリル粘着剤を介在させて実施例7に係る誘電体層と実施例1に係る抵抗層とをくっつけた。このようにして、実施例7に係る電磁波吸収体を得た。
[0059]
 <実施例8>
 ポリエステル系発泡体(日東電工社製、製品名:SCF T100、比誘電率:1.09)をスライスして、0.79mmの厚みを有する実施例8に係る誘電体層を得た。実施例1に係る導電層の25μmの厚みを有するPETの層と実施例8に係る誘電体層との間に30μmの厚みを有するアクリル粘着剤を介在させて実施例8に係る誘電体層と実施例1に係る導電層とをくっつけた。次に、実施例1に係る抵抗層の支持体によって形成された主面を実施例8に係る誘電体層に向けた状態で実施例8に係る誘電体層と実施例1に係る抵抗層との間に30μmの厚みを有するアクリル粘着剤を介在させて実施例8に係る誘電体層と実施例1に係る抵抗層とをくっつけた。このようにして、実施例8に係る電磁波吸収体を得た。
[0060]
 <実施例9>
 100重量部のアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティLA2330)に、ニューメタルスエンドケミカルス社製のカルボニル鉄粉YW1を300重量部添加し、ミキシングロールで混練した後120℃でプレス成型して1200μmの厚みを有するシート状の誘電体層(実施例9に係る誘電体層)を作製した。実施例9に係る誘電体層の比誘電率は6.60であった。ポリエステルからなるフィルム状の支持体(三菱ケミカル社製、三菱ダイアホイル、厚み:50μm厚)に、シート抵抗が20Ω/□になるように10重量%のSnO 2を含有するITOを用いてスパッタリングにより導電機能層を形成し、実施例9に係る導電層を作製した。実施例9に係る導電層の導電機能層を実施例9に係る誘電体層に向けた状態で実施例9に係る導電層に実施例9に係る誘電体層を重ねた。このようにして、実施例9に係る電磁波吸収体を得た。
[0061]
 <実施例10>
 実施例9に係る導電層の代わりに、実施例1に係る導電層を用いた以外は、実施例9と同様にして実施例10に係る電磁波吸収体を作製した。実施例1に係る導電層の25μmの厚みを有するPETの層を実施例9に係る誘電体層に向けた。
[0062]
 <実施例11>
 アイオノマー樹脂(三井・デュポン ポリケミカル社製、製品名:ハイミラン1855)をミキシングロールで混練した後、120℃でプレス成型し、565μmの厚みを有する実施例11に係る誘電体層を作製した。実施例11に係る誘電体層の比誘電率は、2.44であった。実施例1に係る誘電体層の代わりに実施例11に係る誘電体層を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例11に係る電磁波吸収体を得た。
[0063]
 <実施例12>
 直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(プライムポリマー社製、製品名:ウルトゼックス2022L)をミキシングロールで混練した後、120℃でプレス成型し、580μmの厚みを有する実施例12に係る誘電体層を作製した。実施例12に係る誘電体層の比誘電率は、2.30であった。実施例7に係る誘電体層の代わりに実施例12に係る誘電体層を用いた以外は実施例7と同様にして実施例12に係る電磁波吸収体を得た。
[0064]
 <実施例13>
 高密度ポリエチレン(HDPE)(プライムポリマー社製、製品名:ハイゼックス2100J)をミキシングロールで混練した後、120℃でプレス成型し、595μmの厚みを有する実施例13に係る誘電体層を作製した。実施例13に係る誘電体層の比誘電率は、2.30であった。実施例7に係る誘電体層の代わりに実施例13に係る誘電体層を用いた以外は実施例7と同様にして実施例13に係る電磁波吸収体を得た。
[0065]
 <実施例14>
 EVA樹脂(三井デュポン社製、エバフレックスEV250、比誘電率:2.45)を120℃でプレス成型して、571μmの厚みを有する実施例14に係る誘電体層を得た。実施例14に係る導電層として、9μmの厚みを有するPETの層及び7μmの厚みを有するアルミニウム箔を有する二層構造のUACJ社製のアルミニウム箔付きPETフィルムを準備した。実施例1に係る誘電体層の代わりに実施例14に係る誘電体層を用い、実施例1に係る導電層の代わりに実施例14に係る導電層を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例14に係る電磁波吸収体を得た。なお、実施例14に係る導電層における7μmの厚みを有するアルミニウム箔に実施例14に係る誘電体層を重ねた。
[0066]
 <実施例15>
 実施例1に係る導電層の代わりに、100μmの厚みを有するアルミニウム箔を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例15に係る電磁波吸収体を得た。
[0067]
 <実施例16>
 実施例16に係る導電層として、アルミニウム蒸着フィルム(三井化学東セロ社製、製品名:CP WS20、基材:二軸延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、基材の厚み:20μm)を準備した。実施例1に係る導電層の代わりに、実施例16に係る導電層を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例16に係る電磁波吸収体を得た。実施例16に係る導電層のアルミニウム蒸着膜に実施例3に係る誘電体層を重ねた。
[0068]
 <比較例1>
 100重量部のEVA樹脂(三井デュポン社製、エバフレックスEV250)に、300重量部のチタン酸バリウム粉末(堺化学工業社製、製品名:BT-01)を添加し、ミキシングロールで混錬した。その後、混錬物を120℃でプレス成型し、242μmの厚みを有する比較例1に係る誘電体層を得た。比較例1に係る誘電体層の比誘電率は、14.00であった。実施例1に係る誘電体層の代わりに比較例1に係る誘電体層を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る電磁波吸収体を得た。
[0069]
 <比較例2>
 100重量部のアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティLA2330)に、ニューメタルスエンドケミカルス社製のカルボニル鉄粉YW1を400重量部添加し、ミキシングロールで混練した後120℃でプレス成型して1200μmの厚みを有するシート状の誘電体層(比較例2に係る誘電体層)を作製した。比較例2に係る誘電体層の比誘電率は、10.30であった。実施例1に係る導電層の25μmの厚みを有するPETの層を比較例2に係る誘電体層に向けた状態で実施例1に係る導電層に比較例2に係る誘電体層を重ねた。このようにして、比較例2に係る電磁波吸収体を得た。
[0070]
 <比較例3>
 比較例3に係る誘電体層として480μmの厚みを有する東レ社製のポリエステルフィルム(PETフィルム)を準備した。比較例3に係る誘電体層の比誘電率は3.20であった。実施例7に係る誘電体層の代わりに比較例3に係る誘電体層を用いた以外は実施例7と同様にして、比較例3に係る電磁波吸収体を得た。
[0071]
 <比較例4>
 比較例4に係る誘電体層として500μmの厚みを有する住化アクリル社製のポリカーボネート(PC)シートを準備した。比較例4に係る誘電体層の比誘電率は2.90であった。実施例7に係る誘電体層の代わりに比較例4に係る誘電体層を用いた以外は実施例7と同様にして、比較例4に係る電磁波吸収体を得た。
[0072]
 [ヤング率]
 実施例及び比較例で使用した各誘電体層及び各導電層のヤング率(引張弾性率)を常温においてJIS K7161-1:2014に準拠して測定し、各誘電体層及び各導電層におけるヤング率と厚みの積(Et)を求めた。結果を表1に示す。
[0073]
 [誘電体層の比誘電率]
 ネットワークアナライザー(アジレント・テクノロジー社製、製品名:N5230C)及び空洞共振器(関東電子応用開発社製 空洞共振器CP531)を用いて、実施例及び比較例における各誘電体層の10GHzにおける比誘電率を空洞共振器摂動法によって測定した。結果を表1に示す。
[0074]
 [曲げ貼り付け性]
 R100(曲率半径:100mm)に曲げた鋼板に、0.05mmの厚みの透明粘着シート(日東電工社製、CS9862UA)を用いて実施例又は比較例に係る電磁波吸収体を貼り付けた場合の状態を観察し、下記の指標に従って各実施例及び各比較例を評価した。結果を表1に示す。
a:電磁波吸収体が鋼板の曲面に沿って変形し、鋼板に貼り付けた後に浮きがない。
b:電磁波吸収体が鋼板の曲面に沿って変形するものの、電磁波吸収体に折れシワが発生する。
x:電磁波吸収体が鋼板の曲面に沿って変形できず貼り付けることが困難である。
[0075]
 [電磁波吸収特性]
 JIS R 1679:2007に準拠して、60GHz~90GHzのミリ波を入射角度15°で実施例又は比較例に係る電磁波吸収体に入射させた場合の反射吸収量を周波数毎に測定した。この測定結果から最大反射吸収量、最大ピーク周波数、及び反射吸収量が20dB以上となる周波数の帯域幅を決定した。結果を表1に示す。
[0076]
 [耐久試験後の電磁波吸収特性]
 R100(曲率半径:100mm)に曲げた鋼板に沿わせて固定した状態の実施例及び比較例に係る電磁波吸収体を温度40℃及び相対湿度92%の環境で500時間保管して耐久試験を実施した。その後、実施例及び比較例に係る電磁波吸収体を鋼板から取り外した。その後、JIS R 1679:2007に準拠して、60GHz~90GHzのミリ波を入射角度15°で実施例又は比較例に係る電磁波吸収体に入射させた場合の反射吸収量を周波数毎に測定し、この測定結果から耐久試験後の最大反射吸収量を決定した。実施例及び比較例に係る電磁波吸収体の耐久試験前後の最大反射吸収量から実施例及び比較例に係る電磁波吸収体を以下のように評価した。結果を表2に示す。
a:最大反射吸収量の低下が認められず、かつ、耐久試験後の最大反射吸収量が20dB以上である。
b:最大反射吸収量の低下が認められるが、耐久試験後の最大反射吸収量が20dB以上である。
x:耐久試験後の最大反射吸収量が20dB未満である。
[0077]
 実施例1~16と、比較例1及び2との対比によれば、誘電体層の比誘電率が10以下であることにより、電磁波吸収体が広帯域幅で良好な反射吸収量(20dB以上)を発揮できることが示唆された。実施例1~16と、比較例3及び4との対比によれば、誘電体層のヤング率と誘電体層の厚みとの積が、0.1~1000MPa・mmであると、電磁波吸収体を平坦でない面に取り付けやすいことが示唆された。また、実施例3と実施例14との対比によれば、導電機能層と誘電体層との間に導電機能層の支持体が位置していることにより、電磁波吸収体が高い耐久性を有することが示唆された。
[0078]
[表1]


[0079]
[表2]


請求の範囲

[請求項1]
 誘電体層又は磁性体層である第一層と、
 前記第一層の少なくとも片側に設けられた導電層と、を備え、
 前記第一層のヤング率と前記第一層の厚みとの積は、0.1~1000MPa・mmであり、
 前記第一層の比誘電率は、1~10である、
 電磁波吸収体。
[請求項2]
 前記第一層のヤング率は、2000MPa以下である、請求項1に記載の電磁波吸収体。
[請求項3]
 前記第一層は、高分子材料を含む、請求項1又は2に記載の電磁波吸収体。
[請求項4]
 前記第一層は、発泡体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
[請求項5]
 前記第一層において、誘電体及び磁性体の少なくとも一方が分散している、請求項1~3のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
[請求項6]
 前記導電層のヤング率と前記導電層の厚みとの積は、12000MPa・mm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
[請求項7]
 前記導電層は、金属を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
[請求項8]
 前記導電層は、支持体と、前記支持体に接触している導電性の導電機能層とを含み、
 前記支持体は、前記第一層と前記導電機能層との間に配置され、前記導電機能層を保護する、請求項1~7のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
[請求項9]
 前記第一層の少なくとも片側に設けられた抵抗層をさらに備え、
 前記第一層は、前記誘電体層であり、かつ、前記抵抗層と前記導電層との間に配置されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
[請求項10]
 前記抵抗層は、200~600Ω/□のシート抵抗を有する、請求項9に記載の電磁波吸収体。
[請求項11]
 50~100GHzの周波数帯域に含まれる2GHz以上の帯域幅において、20dB以上の電磁波吸収量を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
[請求項12]
 前記導電層の外側に配置された粘着層をさらに備えた、請求項1~11のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
[請求項13]
 成形品と、
 前記成形品に取り付けられた請求項1~12のいずれか1項に記載の電磁波吸収体と、を備えた、
 電磁波吸収体付成形品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]