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1. (WO2018225824) フェーズドアレイアンテナ
Document

明 細 書

発明の名称 フェーズドアレイアンテナ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088  

産業上の利用可能性

0089  

符号の説明

0090  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : フェーズドアレイアンテナ

技術分野

[0001]
 本発明は、フェーズドアレイアンテナに関する。

背景技術

[0002]
 フェーズドアレイアンテナは、配列された複数のアンテナ素子を備え、それぞれのアンテナ素子の励起電流の位相及び振幅を制御することで、アンテナ全体の放射パターンを制御するアンテナである。フェーズドアレイアンテナは機械的に駆動することなくビームを高速に走査することができる。そのため、移動体に搭載すると、運用中に移動体が移動又は動揺してもビームを走査して通信対象に指向させることができる。この特性により、フェーズドアレイアンテナは移動体に搭載する衛星通信用のアンテナとして多く採用されている。
[0003]
 特許文献1には、フェーズドアレイアンテナと、GPS(Global Positioning System)受信部と、フェーズドアレイアンテナを介して準天頂衛星が配信する端末制御情報を受信する端末制御情報受信部と、移動体端末の3次元の姿勢角を検出する姿勢角センサ及び方位センサと、端末制御情報に姿勢角分の補正を施すアレイファクタ計算部と、補正された指向性制御情報を基にフェーズドアレイアンテナの指向性を制御する指向性制御部と、を備える移動体端末用アンテナ追尾装置が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2006-333068号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1に記載の衛星通信に用いるフェーズドアレイアンテナにおいては、フェーズドアレイアンテナが放射する電磁波が静止軌道上の通信対象の人工衛星以外の人工衛星と干渉することを防ぐために、放射する電磁波に低サイドローブ特性を付与しなければならない。しかし、電磁波の伝搬方向に関する全ての角度に対して低サイドローブ特性を付与すると、フェーズドアレイアンテナ全体としての総放射電力及びアンテナ利得が減少してしまうという課題があった。
[0006]
 本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであって、通信対象の人工衛星の軌道面に平行な面における電磁波のサイドローブ特性を他の面よりも改善することが可能なフェーズドアレイアンテナを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記目的を達成するため、本発明に係るフェーズドアレイアンテナは、信号源と、分配回路と、複数の移相器と、複数の増幅器と、複数のアンテナ素子と、制御装置と、を備える。信号源は信号を発生する。分配回路は、信号源が発生した信号を分配する。移相器は、分配回路が分配した信号を移相し、放射する電磁波の指向方向を変更する。増幅器は、移相器から出力された信号を増幅する。アンテナ素子は、増幅器から出力された信号を電磁波として放射する。制御装置は、増幅器を制御し、電磁波の通信対象の人工衛星の軌道面に平行な面において、中心に配置された増幅器の振幅を周囲に配置された増幅器の振幅より大きくする。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、中心に配置された増幅器の振幅を周囲に配置された増幅器の振幅より大きくすることで、通信対象の人工衛星の軌道面に平行な面における電磁波のサイドローブ特性を他の面よりも改善することが可能なフェーズドアレイアンテナを提供できる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 実施の形態1に係るフェーズドアレイアンテナの構成を示すブロック図
[図2] 実施の形態1に係るフェーズドアレイアンテナと機体と人工衛星との関係を示す模式図
[図3] 実施の形態1のアンテナ素子の配列を示す斜視図
[図4] 実施の形態1の制御装置の構成を示すブロック図
[図5] 実施の形態1のアンテナ素子上における静止軌道面と静止軌道面に垂直な面とを示す斜視図
[図6] 実施の形態1における信号のφ=φ の面に付与する振幅分布の例を示す図
[図7] 実施の形態1における信号のφ=φ +90°の面に付与する振幅分布の例を示す図
[図8] 実施の形態1の振幅及び移相値設定処理を示すフローチャート
[図9] 実施の形態1におけるφ=φ の面における電磁波の放射パターンの例を示すグラフ
[図10] 実施の形態1におけるφ=φ +90°の面における電磁波の放射パターンの例を示すグラフ
[図11] 実施の形態2の制御装置の構成を示すブロック図
[図12] 実施の形態2におけるθ MAXに電磁波を送信する場合のアンテナ素子の斜視図
[図13] 実施の形態2におけるθに電磁波を送信する場合のアンテナ素子の斜視図
[図14] 実施の形態2の開口面積制御処理を示すフローチャート
[図15] 実施の形態2におけるビーム走査角度に対するEIRPを示すグラフ
[図16] 実施の形態2におけるビーム走査角度に対する移相器及び増幅器を稼働させる割合を示すグラフ
[図17] 実施の形態3に係るフェーズドアレイアンテナの上面図
[図18] 実施の形態3における電磁波の放射パターンの例を示すグラフ

発明を実施するための形態

[0010]
(実施の形態1)
 本発明の実施の形態1に係るフェーズドアレイアンテナ1について、図1-図10を参照して説明する。図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。フェーズドアレイアンテナ1は、複数のアンテナ素子を備え、電磁波の送受信を行う無線通信装置である。
[0011]
 図1は、フェーズドアレイアンテナ1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、フェーズドアレイアンテナ1は、RF信号を発信する信号源10と、信号源10が発信した信号を分配する分配回路20と、分配回路20が分配した信号を移相する複数の移相器30 ,30 …,30 と、移相器30 ,30 …,30 によって出力された信号をそれぞれ増幅する複数の増幅器40 ,40 …,40 と、増幅器40 ,40 …,40 によって出力された信号をそれぞれ放射する複数のアンテナ素子50 ,50 …,50 と、移相器30,30 …,30 及び増幅器40,40 …,40 を制御する制御装置60と、を備える。複数の移相器30 ,30 …,30 をまとめて移相器30ともいう。増幅器40、アンテナ素子50についても同様である。
[0012]
 以下ではフェーズドアレイアンテナ1を送信機として説明するが、電磁波を受信して復号する受信機であっても良い。
[0013]
 図2は、フェーズドアレイアンテナ1と機体100と人工衛星200との関係を示す模式図である。図2に示すように、フェーズドアレイアンテナ1は、機体100に搭載されて人工衛星200と無線通信を行う。機体100は固定翼機、回転翼機を含む航空機である。人工衛星200は、静止軌道上を周回する人工衛星である。
[0014]
 図1に戻り、信号源10は、高周波信号を発信する信号源である。信号源10は、通信対象である人工衛星200との無線通信を行うための高周波信号を出力する。
[0015]
 分配回路20は、信号源10が発信したRF(Radio Frequency)信号を、複数の移相器30に分配する。分配回路20は、信号源10と、複数の移相器30のそれぞれとに接続されている。
[0016]
 移相器30は、分配回路20によって分配された信号を移相する。移相器30は、移相器30 ,30 …,30 のn個の移相器を含む。移相器30 ,30 …,30 は、分配回路20に接続されている。
[0017]
 増幅器40は、移相器30によって移相された信号を増幅する。増幅器40は、増幅器40 ,40 …,40 のn個の増幅器を含む。増幅器40 ,40 …,40 は、移相器30 ,30 …,30 にそれぞれ接続されている。
[0018]
 アンテナ素子50は、増幅器40によって増幅された信号を電磁波として放射する。アンテナ素子50は、アンテナ素子50 ,50 …,50 のn個のアンテナ素子を含む。アンテナ素子50 ,50 …,50 は、増幅器40 ,40 …,40 にそれぞれ接続されている。アンテナ素子50は、ホーンアンテナ、ダイポールアンテナ、スロットアンテナ、マイクロストリップアンテナを含むが、これに限られるものではない。
[0019]
 図3は、アンテナ素子50の配列を示す斜視図である。図3に示すように、アンテナ素子50 ,50 …,50 は、平面上にa行b列で配置されている。a×b=nである。
[0020]
 図1に戻り、制御装置60は、移相器30及び増幅器40を制御する制御装置である。制御装置60は、移相器30 ,30 …,30 について信号の移相値をそれぞれ算出し、移相器30 ,30 …,30 にそれぞれ伝達する。また、制御装置60は、増幅器40 ,40 …,40 について信号の増幅値をそれぞれ算出し、増幅器40 ,40 …,40 にそれぞれ伝達する。制御装置60は中央処理装置(CPU)を含み得るが、これに限られるものではない。
[0021]
 図4は、制御装置60の構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御装置60は、機体100の位置情報、機首方向情報、及び機体状態情報を取得する機体情報取得部61と、人工衛星200の情報を取得する人工衛星情報取得部62と、信号源10が出力する信号を制御する信号制御部63と、放射する電磁波の指向方向を算出する指向方向算出部64と、静止軌道面とフェーズドアレイアンテナ1との相対位置を算出する位置算出部65と、ビーム指向方向から移相値を算出する移相値算出部66と、位置算出部65が算出した相対位置から増幅値を算出する増幅値算出部67と、を含む。これらの構成要素はバスによって相互に電気的に接続されている。
[0022]
 機体情報取得部61は、機体100の緯度、経度、及び高度を示す位置情報、機体100の機首の向きを示す機首方向情報、及び機体100のロール、ピッチ、並びにヨーを示す機体状態情報を、機体100が備えるGPS並びに動揺センサを含むセンサから取得する。機体情報取得部61は、取得した情報を指向方向算出部64と位置算出部65とに伝達する。
[0023]
 人工衛星情報取得部62は、複数の人工衛星から通信対象の人工衛星200を選部。人工衛星情報取得部62は、人工衛星200の位置、通信に用いる周波数及び偏波を含む人工衛星200の情報を取得する。人工衛星情報取得部62は、取得した情報を信号制御部63と指向方向算出部64と位置算出部65とに伝達する。
[0024]
 信号制御部63は、人工衛星情報取得部62から伝達された人工衛星200の情報を基に、信号源10を制御し、出力する信号の周波数を設定する。
[0025]
 指向方向算出部64は、伝達された機体100の位置情報、機首方向情報及び機体状態情報と、人工衛星200の情報とから、放射する電磁波の指向方向を示す方位角であるアジマス角φ及び仰角であるエレベーション角θを算出する。図3に示すように、アジマス角φはアンテナ素子50が配列された面上の基準軸に関する角度であり、エレベーション角θは当該面に垂直な基準軸に関する角度である。指向方向算出部64は、算出した指向方向を移相値算出部66に伝達する。
[0026]
 図4に戻り、位置算出部65は、伝達された機体100の位置情報、機首方向情報及び機体状態情報と、人工衛星200の情報とから、静止軌道面とフェーズドアレイアンテナ1との相対位置を算出する。位置算出部65は、算出した相対位置から、静止軌道面と平行なアジマス角φの値φ を算出する。位置算出部65は、算出した値φ を増幅値算出部67に伝達する。
[0027]
 移相値算出部66は、指向方向算出部64から伝達された指向方向を基に、信号の移相値を移相器30 ,30 …,30 についてそれぞれ算出する。移相器30 ,30 …,30 がそれぞれの移相値に従って信号を移相すると、アンテナ素子50から放射された電磁波が指向方向に向かって伝播する。移相値算出部66は、算出した移相値を移相器30 ,30 …,30 にそれぞれ伝達する。
[0028]
 増幅値算出部67は、位置算出部65から伝達された値φ を基に、信号の増幅値を増幅器40 ,40 …,40 についてそれぞれ算出し、算出した増幅値を増幅器40 ,40 …,40 にそれぞれ伝達する。
[0029]
 増幅値算出部67は、静止軌道面、即ちアジマス角φ=φ である面に対して増幅値を算出する。アジマス角φ=φ である面において、増幅値の中心部における振幅は、周囲の振幅よりも大きい。算出した増幅値によって、信号の低サイドローブ特性が得られる。増幅値算出部67は、静止軌道面に直交する面、即ちアジマス角φ=φ +90°である面に対して増幅値を算出する。アジマス角φ=φ +90°の面において、増幅値の振幅分布は均一である。
[0030]
 図5は、アンテナ素子50上における静止軌道面と静止軌道面に垂直な面とを示す斜視図である。図5のφ=φ の直線が、静止軌道面とアンテナ素子50が配置された平面との交線である。φ=φ +90°の直線は、静止軌道面に垂直な面とアンテナ素子50が配置された平面との交線である。
[0031]
 図6は、信号のφ=φ の面に付与する振幅分布の例を示す図である。図6の横軸は図5における直線A-A′上の位置であり、縦軸は振幅(単位:dB)である。図6に示すように、制御装置60は、静止軌道面、即ちφ=φ である面に対して、中心部に位置する増幅器40の振幅が周囲の増幅器40のものより大きくなる振幅分布、即ち振幅テーパを付与する。付与する振幅分布は、テイラー分布を含むが、これに限られるものではない。
[0032]
 図7は、信号のφ=φ +90°の面に付与する振幅分布の例を示す図である。図7の横軸は図5における直線B-B′上の位置であり、縦軸は振幅(単位:dB)である。図7に示すように、制御装置60は、静止軌道面に直行する面、即ちアジマス角φ=φ +90°である面に対し、全ての増幅器40について均一な振幅を付与する。
[0033]
 図8は、制御装置60が実行する振幅及び移相値設定処理を示すフローチャートである。図8のフローチャートを用いて、制御装置60が実行する振幅及び移相値設定処理について説明する。
[0034]
 振幅及び移相値設定処理が開始されると、制御装置60の機体情報取得部61が、機体100の位置情報、機首方向情報及び機体状態情報を取得する。機体情報取得部61は、取得した情報を指向方向算出部64と位置算出部65とに伝達する(ステップS101)。
[0035]
 機体100の情報を取得すると、制御装置60の人工衛星情報取得部62が、人工衛星200の位置、通信に用いる周波数及び偏波を含む人工衛星200の情報を取得する。人工衛星情報取得部62は、取得した情報を信号制御部63と指向方向算出部64と位置算出部65とに伝達する(ステップS102)。
[0036]
 人工衛星200の情報を取得すると、制御装置60の信号制御部63が、人工衛星情報取得部62から伝達された人工衛星200の情報を基に、信号源10を制御して信号の出力周波数を設定する(ステップS103)。
[0037]
 出力する信号の周波数を設定すると、制御装置60の指向方向算出部64が、伝達された機体100の情報と人工衛星200の情報とから、放射する電磁波の指向方向を示すアジマス角φ及びエレベーション角θを算出する。指向方向算出部64は、算出した指向方向を移相値算出部66に伝達する(ステップS104)。
[0038]
 指向方向を算出すると、制御装置60の位置算出部65が、伝達された機体100の情報と人工衛星200の情報とから、静止軌道面とフェーズドアレイアンテナ1との相対位置を算出する。位置算出部65は、算出した相対位置から、静止軌道面と平行なアジマス角φの値φ を算出する。位置算出部65は、算出した値φ を増幅値算出部67に伝達する(ステップS105)。
[0039]
 φ を算出すると、制御装置60の移相値算出部66が、指向方向算出部64から伝達された指向方向を基に、信号の移相値を移相器30 から移相器30 についてそれぞれ算出する。移相値算出部66は、算出した移相値を移相器30 から移相器30 にそれぞれ伝達する(ステップS106)。
[0040]
 移相値を算出すると、制御装置60の増幅値算出部67が、位置算出部65から伝達された値φ を基に、信号の増幅値を増幅器40 ,40 …,40 についてそれぞれ算出する。増幅値算出部67は、算出した増幅値を増幅器40 ,40 …,40 にそれぞれ伝達する(ステップS107)。中心部に位置する増幅器40の振幅は、周囲に位置する増幅器40の振幅よりも大きい。
[0041]
 増幅値を算出すると、制御装置60の機体情報取得部61及び人工衛星情報取得部62が、機体100又は人工衛星200の情報に変化があったかどうか判断する(ステップS108)。変化があったと判断した場合(ステップS108:YES)、ステップS101に戻る。
[0042]
 変化がなかったと判断した場合(ステップS108:NO)、振幅及び移相値設定処理を終了する。
[0043]
 以上のような構成を備え、振幅及び移相値設定処理を実行することによって、実施の形態1に係るフェーズドアレイアンテナ1は、静止軌道面に対して低サイドローブ特性を有する電磁波を発信することができる。言い換えれば、静止軌道面に平行な角度に対して、他の角度よりもサイドローブ特性を改善することができる。静止軌道面には通信対象の人工衛星200とは別の人工衛星も存在しているが、静止軌道面に対して低サイドローブ特性を有する電磁波を発信することで、別の人工衛星と干渉する可能性を小さくすることが可能になる。
[0044]
 機体100又は人工衛星200の状態の変化に伴って移相値及び増幅値を算出し直すことで、実施の形態1に係るフェーズドアレイアンテナ1は、他の角度よりも改善されたサイドローブ特性を有する角度を、通信対象の人工衛星200が存在する静止軌道面に追従させることができる。
[0045]
 実施の形態1に係るフェーズドアレイアンテナ1は、静止軌道面に直交する面に対しては、低サイドローブ特性を有しない電磁波を発信することができる。このため、全ての面に対して低サイドローブ特性を有する電磁波と比べて、総放射電力を大きくすることができ、等価等方輻射電力(EIRP)を向上させることができる。
[0046]
 一般に、EIRPを向上させるためには開口面積を大きくする必要がある。開口面積を大きくするためには、アンテナ素子の設置数の増加と、それに伴う移相器及び増幅器の設置数の増加が必要であり、それが設備コスト及び消費電力の増大に繋がる。実施の形態1に係るフェーズドアレイアンテナ1は、移相器30、増幅器40及びアンテナ素子50の設置数を増やすことなくEIRPを向上させることができる。
[0047]
 図9は、φ=φ の面における電磁波の放射パターンの例を示すグラフである。具体的には、この放射パターンは、30GHz帯において開口径400mmの円形開口フェーズドアレイアンテナによって得られたものである。図9の横軸は指向方向を0°とした場合の角度(単位:度)であり、縦軸は指向方向の電磁波を基準とした相対振幅(単位:dBi)である。図9に示すように、φ=φ である静止軌道面において、信号の低サイドローブ特性が得られている。
[0048]
 図10は、φ=φ +90°の面における電磁波の放射パターンの例を示すグラフである。グラフの要素及びアンテナの構成は図9と同様である。図10に示すように、φ=φ +90°である面においては、信号の低サイドローブ特性は得られていない。φ=φ +90°の面にもφ=φ の面と同様の振幅分布を付与した場合と比べ、出力電力として約2.5dB、アンテナ利得として約0.2dB、EIRPとして約2.7dBの改善が見られる。
[0049]
(実施の形態2)
 実施の形態2に係るフェーズドアレイアンテナ1について、図11-図16を参照して説明する。
[0050]
 図11は、制御装置60の構成を示すブロック図である。図11に示すように、実施の形態2に係るフェーズドアレイアンテナ1の制御装置60は、電磁波を送信する角度における利得と通信に必要な利得との差分を算出する利得算出部68と、増幅器及び移相器を制御して開口面積を変更する開口面積制御部69と、をさらに備える。利得算出部68と開口面積制御部69とは、バスを介して制御装置60の他の要素と相互に電気的に接続されている。
[0051]
 利得算出部68は、指向方向算出部64が算出した指向方向を指向方向算出部64から伝達され、伝達されたエレベーション角θに電磁波を送信するときの利得を算出する。利得算出部68は、機体情報取得部61から伝達された機体100の情報と人工衛星情報取得部62から伝達された人工衛星200の情報とを基に、機体100と人工衛星200との間の通信に必要な利得を算出する。最大の開口面積においてその利得を実現する角度をエレベーション角θ MAXとする。
[0052]
 利得算出部68は、θにおける利得とθ MAXにおける利得との差分を算出する。利得算出部68は、算出した利得の差分を開口面積制御部69に伝達する。 
[0053]
 開口面積制御部69は、利得算出部68から伝達された利得の差分を基に、利得の差分に相当する開口面積を算出する。開口面積制御部69は、算出した開口面積に対応する移相器30及び増幅器40への電源供給を停止し、移相器30及び増幅器40の機能を停止させる。具体的には、外側に配置されている移相器30及び増幅器40から、減少する利得が差分に相当するまで停止させる。
[0054]
 図12はθ MAXに電磁波を送信する場合のアンテナ素子50の斜視図である。図13は、θ MAXより小さい角θに電磁波を送信する場合のアンテナ素子50の斜視図である。図12,図13において白抜きで示されているアンテナ素子50は稼働しているアンテナ素子50であり、斜線で示されているアンテナ素子50は機能を停止したアンテナ素子50である。
[0055]
 θ MAXに電磁波を送信する場合は、全てのアンテナ素子50を稼働させ、開口面積を最大にして利得を最大にする必要がある。図12に示すように、θ MAXに電磁波を送信する場合は、開口面積制御部69は全ての移相器30及び増幅器40への電力供給を継続し、全てのアンテナ素子50を稼働させる。
[0056]
 図13に示すように、θ MAXより小さい角θに電磁波を送信する場合は、開口面積制御部69が、利得の差分、即ち過剰な利得に相当する開口面積に対応する移相器30及び増幅器40への電源供給を停止し、移相器30及び増幅器40に接続されたアンテナ素子50の機能を停止させる。
[0057]
 図14は、制御装置60が実行する開口面積制御処理を示すフローチャートである。図14のフローチャートを用いて、制御装置60が実行する開口面積制御処理について説明する。図14に示す開口面積制御処理は、図8に示す振幅及び移相値設定処理の前後又は振幅及び移相値設定処理と並行して実行される。
[0058]
 制御装置60の機体情報取得部61が、機体100の位置情報、機首方向情報及び機体状態情報を取得する。機体情報取得部61は、取得した情報を指向方向算出部64と利得算出部68とに伝達する(ステップS201)。
[0059]
 機体100の情報を取得すると、制御装置60の人工衛星情報取得部62が、通信に用いる周波数及び偏波を含む人工衛星200の情報を取得する。人工衛星情報取得部62は、取得した情報を信号制御部63と指向方向算出部64と利得算出部68とに伝達する(ステップS202)。
[0060]
 人工衛星200の情報を取得すると、制御装置60の指向方向算出部64が、伝達された機体100の情報と人工衛星200の情報とから、放射する電磁波の指向方向を示すエレベーション角θを算出する。指向方向算出部64は、算出した指向方向を利得算出部68に伝達する(ステップS203)。
[0061]
 指向方向を算出すると、制御装置60の利得算出部68が、伝達されたエレベーション角θに電磁波を送信するときの利得を算出する(ステップS204)。
[0062]
 θにおける利得を算出すると、制御装置60の利得算出部68が、伝達された機体100の情報と人工衛星200の情報とを基に、機体100と人工衛星200との間の通信に必要な利得、即ちθ MAXに電磁波を送信するときの利得を算出する(ステップS205)。
[0063]
 θ MAXにおける利得を算出すると、制御装置60の利得算出部68が、θにおける利得とθ MAXにおける利得との差分を算出する。利得算出部68は、算出した利得の差分を開口面積制御部69に伝達する(ステップS206)。
[0064]
 利得の差分を算出すると、制御装置60の開口面積制御部69が、利得算出部68から伝達された利得の差分を基に、利得の差分に相当する開口面積を算出する(ステップS207)。
[0065]
 開口面積を算出すると、制御装置60の開口面積制御部69が、算出した開口面積に相当する移相器30及び増幅器40への電源供給を停止し、移相器30及び増幅器40に接続されたアンテナ素子50の機能を停止させる(ステップS208)。
[0066]
 アンテナ素子50の機能を停止させると、制御装置60の機体情報取得部61及び人工衛星情報取得部62が、機体100又は人工衛星200の情報に変化があったかどうか判断する(ステップS209)。変化があったと判断した場合(ステップS209:YES)、ステップS201に戻る。
[0067]
 変化がなかったと判断した場合(ステップS209:NO)、開口面積制御処理を終了する。
[0068]
 以上のような構成を備え、開口面積制御処理を実行することによって、実施の形態2に係るフェーズドアレイアンテナ1は、実施の形態1に係るフェーズドアレイアンテナ1が奏する効果と同様の効果を奏することに加え、利得が過剰になる場合に移相器30及び増幅器40の一部を停止させることで、消費電力を低減することができる。
[0069]
 図15は、ビーム走査角度に対するEIRPを示すグラフである。図15の横軸はビーム走査角度(単位:度)であり、縦軸はEIRP(単位:dB)である。実線は実施の形態2に係るフェーズドアレイアンテナ1によるEIRPであり、点線は比較対象の移相器及び増幅器を停止させないフェーズドアレイアンテナによるEIRPである。なお、図15において、θ MAX=60°である。
[0070]
 図15に示すように、θ MAXである60°より小さい電磁波の指向角度においては、EIRPが過剰になってしまい、電力を過剰に消費している状態になってしまう。実施の形態2に係るフェーズドアレイアンテナ1によれば、電磁波の指向方向が0°≦θ<60°の範囲において、消費電力を低減することができる。
[0071]
 図16は、ビーム走査角度に対する移相器30及び増幅器40を稼働させる割合を示すグラフである。図16の横軸はビーム走査角度(単位:度)であり、縦軸は全ての移相器30及び増幅器40に対する移相器30及び増幅器40を稼働させる割合(単位:%)である。図16において、図15と同様にθ MAX=60°である。
[0072]
 図16に示すように、実施の形態2に係るフェーズドアレイアンテナ1においては、ビーム走査角度が小さくなるとともに稼働させる移相器30及び増幅器40の割合を小さくすることができる。したがって、ビーム走査角度が小さい場合において、図16に示す割合で消費電力を低減することが可能になる。
[0073]
(実施の形態3)
 実施の形態3に係るフェーズドアレイアンテナ1について、図17,図18を参照して説明する。
[0074]
 実施の形態3に係るフェーズドアレイアンテナ1の構成は、実施の形態2に係るフェーズドアレイアンテナ1と同様である。
[0075]
 実施の形態3に係るフェーズドアレイアンテナ1の開口面積制御部69は、利得算出部68から、θにおける利得とθ MAXにおける利得との差分を取得する。開口面積制御部69は、位置算出部65から、静止軌道面と平行なアジマス角φの値φ を取得する。
[0076]
 開口面積制御部69は、利得の差分に相当する開口面積に対応する移相器30及び増幅器40への電源供給を停止し、移相器30及び増幅器40の機能を停止させる。開口面積制御部69は、停止させずに稼働させたままにする移相器30及び増幅器40の配列を矩形状にする。開口面積制御部69は、稼働する移相器30及び増幅器40で形成される矩形の一つの対角線を角度φ と一致させる。
[0077]
 図17は、フェーズドアレイアンテナ1の上面図である。図17において白抜きで示されている部分はアンテナ素子50が稼働している領域であり、斜線で示されている部分はアンテナ素子50が機能を停止している領域である。
[0078]
 図17に示すように、開口面積制御部69は、利得の差分、即ち過剰な利得に相当する開口面積に対応する移相器30及び増幅器40への電源供給を停止し、移相器30及び増幅器40に接続されたアンテナ素子50の機能を停止させる。稼働するアンテナ素子50は矩形状に配置されており、矩形の一つの対角線は角度φ と一致する。
[0079]
 以上のような構成を備えることで、実施の形態3に係るフェーズドアレイアンテナ1は、実施の形態2に係るフェーズドアレイアンテナ1が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
[0080]
 矩形開口アンテナにおいて、矩形の対角線に垂直な面においては低サイドローブ特性が得られる。実施の形態3に係るフェーズドアレイアンテナ1は、矩形の対角線に垂直な面を静止軌道面と一致させることで、静止軌道面において低サイドローブ特性を得ることが可能になる。
[0081]
 図18は、φ=φ の面とφ=φ +90°における電磁波の放射パターンの例を示すグラフである。図18の実線はφ=φ の面、点線はφ=φ +90°における放射パターンをそれぞれ示す。図18の横軸は指向方向を0°とした場合の角度(単位:度)であり、縦軸は振幅(単位:dB)である。図18に示すように、φ=φ である静止軌道面において、信号の低サイドローブ特性が得られている。一方、φ=φ +90°である面においては、信号の低サイドローブ特性は得られていない。
[0082]
 本発明の実施の形態は上述のものに限られるものではなく、変形が可能である。例えばアンテナ素子50は平面状にa行b列に配置されているとしたが、これに限られるものではない。アンテナ素子50は楕円状、多角形状を含む任意の形状に配置されていても良い。さらに、同一平面上に配置されず曲面上に配置されていても良い。
[0083]
 制御装置60は、静止軌道面に対して、テイラー分布を含む振幅分布を付与するとしたが、これに限られるものではない。制御装置60が静止軌道面に対して付与する振幅分布はガウス分布を含んでいても良い。その他、中心部の振幅が周囲の振幅よりも大きいものであれば、任意の振幅分布を付与することができる。
[0084]
 制御装置60は、静止軌道面に直交する面対して均一な振幅分布を付与するとしたが、これに限られるものではない。総放射電力が増える振幅分布であれば、任意の振幅分布を付与することができる。
[0085]
 機体100は固定翼機、回転翼機を含む航空機であるとしたが、これに限られるものではない。船舶、車両を含むその他の移動体であっても良い。そのため、機体100は移動体100といえる。よって、機首方向情報はフロント部方向情報、機体状態情報は移動体状態情報といえる。さらに、機体情報取得部61は、移動体情報取得部61といえる。
[0086]
 人工衛星200は静止軌道上を周回するとしたが、これに限られるものではない。人工衛星200は任意の軌道上を周回していても良い。
[0087]
 本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
[0088]
 本出願は、2017年6月9日に出願された、日本国特許出願特願2017-114670号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2017-114670号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。

産業上の利用可能性

[0089]
 本発明は、フェーズドアレイアンテナに利用することができる。

符号の説明

[0090]
 1…フェーズドアレイアンテナ、10…信号源、20…分配回路、30,30 -30 …移相器、40,40 -40 …増幅器、50,50 -50 …アンテナ素子、60…制御装置、61…機体情報取得部、62…人工衛星情報取得部、63…信号制御部、64…指向方向算出部、65…位置算出部、66…移相値算出部、67…増幅値算出部、68…利得算出部、69…開口面積制御部、100…機体、200…人工衛星。

請求の範囲

[請求項1]
 信号を発生する信号源と、
 前記信号源が発生した前記信号を分配する分配回路と、
 前記分配回路が分配した前記信号を移相し、放射する電磁波の指向方向を変更する複数の移相器と、
 前記移相器から出力された前記信号を増幅する複数の増幅器と、
 前記増幅器から出力された前記信号を前記電磁波として放射する複数のアンテナ素子と、
 前記増幅器を制御し、前記電磁波の通信対象の人工衛星の軌道面に平行な面において、中心に配置された前記増幅器の振幅を周囲に配置された前記増幅器の振幅より大きくする制御装置と、を備える、
 フェーズドアレイアンテナ。
[請求項2]
 前記制御装置は、前記増幅器を制御し、前記軌道面に平行な面において、中心に配置された前記増幅器の振幅を周囲に配置された前記増幅器の振幅より大きくし、前記電磁波を前記軌道面において低サイドローブ化する、
 請求項1に記載のフェーズドアレイアンテナ。
[請求項3]
 前記制御装置は、前記増幅器を制御し、前記電磁波の前記軌道面と直交する面に均一な振幅を付与させる、
 請求項1又は2に記載のフェーズドアレイアンテナ。
[請求項4]
 前記制御装置は、
 前記アンテナ素子が配置される移動体の情報を取得する移動体情報取得部と、
 前記人工衛星の情報を取得する人工衛星情報取得部と、
 前記移動体及び前記人工衛星の情報から、放射する前記電磁波の指向方向を算出する指向方向算出部と、
 前記軌道面と前記移動体との相対位置を算出し、算出した相対位置から前記電磁波の前記軌道面に平行な面の角度を算出する位置算出部と、
 前記指向方向に前記電磁波を向けるための前記複数の移相器のそれぞれについて移相値を算出する移相値算出部と、
 前記軌道面に平行な面の角度から前記複数の増幅器のそれぞれについて増幅値を算出する増幅値算出部と、を備える、
 請求項1から3のいずれか1項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
[請求項5]
 前記制御装置は、前記複数の移相器の一部及び前記複数の増幅器の一部の機能を停止して開口面積を減少させる、
 請求項1から4のいずれか1項に記載のフェーズドアレイアンテナ。
[請求項6]
 前記制御装置は、
 前記指向方向算出部が算出した前記指向方向における利得を算出し、前記移動体及び前記人工衛星の情報から前記移動体と前記人工衛星との間の通信に必要な利得を算出し、算出した前記通信に必要な利得と前記指向方向における利得との差分を算出する利得算出部と、
 前記差分に相当する開口面積を算出し、算出した前記差分に相当する開口面積に対応する前記増幅器及び前記移相器の機能を停止する開口面積制御部と、を備える、
 請求項4に記載のフェーズドアレイアンテナ。
[請求項7]
 前記開口面積制御部は、矩形状に配置された前記増幅器及び前記移相器の機能を停止させずに稼働させ、
 前記矩形の一つの対角線が前記軌道面に平行な面に含まれる、
 請求項6に記載のフェーズドアレイアンテナ。
[請求項8]
 前記移動体は航空機である、請求項4,6,7のいずれか1項に記載のフェーズドアレイアンテナ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]