このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2018225419) 冷媒量推定装置、冷凍サイクル装置
Document

明 細 書

発明の名称 冷媒量推定装置、冷凍サイクル装置 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 冷媒量推定装置、冷凍サイクル装置

関連出願への相互参照

[0001]
 本出願は、2017年6月6日に出願された日本出願番号2017-111860号に基づくものであって、ここにその記載内容を援用する。

技術分野

[0002]
 本開示は、冷媒が循環する循環回路内の冷媒量を推定する冷媒量推定装置、および当該冷媒量推定装置を備える冷凍サイクル装置に関する。

背景技術

[0003]
 蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置は、循環回路における冷媒量が不足していると、冷却能力の低下等の不具合が生ずる。また、循環回路における冷媒量が過剰となっていると、凝縮器における液冷媒の滞留や、圧縮機に液冷媒が吸入される等の不具合が生ずる。そこで、冷凍サイクル装置における冷媒の循環回路に対して、適正な量の冷媒を充填する方法が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2008-232579号公報

発明の概要

[0005]
 ところで、家屋やビル等の空調に利用される冷凍サイクル装置では、気密性の高い密閉型の圧縮機が採用される共に、各種配管が溶接によって接合されており、実質的に冷媒漏れが生じない構成となっている。
[0006]
 一方、車両等の移動体に搭載される冷凍サイクル装置では、メンテナンスの都合上、半密閉型または開放型の圧縮機を採用したり、移動体の移動時の振動を吸収するために循環回路の一部にゴム製の配管を採用したりする必要がある。このため、移動体に搭載される冷凍サイクル装置では、圧縮機や配管の一部から微量の冷媒漏れ(いわゆる、スローリーク)が避けられない。
[0007]
 これに対して、特許文献1の如く、予め実施した試験結果に基づいて決定したパラメータを含む汎用の演算式、および循環回路における冷媒の温度や圧力といった状態量に基づいて、循環回路内の冷媒量を推定することが考えられる。
[0008]
 しかしながら、特許文献1の如く、汎用の演算式に用いるパラメータを固定値とすると、例えば、冷凍サイクル装置を構成する機能品の個体差による誤差が生ずるため、冷媒量の推定精度を充分に確保することができない。
[0009]
 本開示は、冷媒量を精度よく推定可能な冷媒量推定装置、および当該冷媒量推定装置を備える冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
[0010]
 本開示の1つの観点によれば、冷媒量推定装置は、移動体に搭載され、冷媒の循環回路を有する蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に適用される。また、本開示の別の観点によれば、冷凍サイクル装置は、移動体に搭載され、冷媒が循環する循環回路と、循環回路内の冷媒量を推定する冷媒量推定装置と、を備える。
[0011]
 各観点における冷媒量推定装置は、
 冷凍サイクル装置の稼働時における冷媒の状態量を含む物理量、および所定の推定パラメータに基づいて、循環回路内の冷媒量を推定する冷媒量推定部と、
 冷媒量推定部で推定された冷媒量が冷媒の充填時に計量された実冷媒量に近付くように、推定パラメータを補正するパラメータ補正部と、
 を含んで構成されている。
[0012]
 そして、冷媒量推定部は、冷媒の状態量を含む物理量、およびパラメータ補正部にて補正された推定パラメータに基づいて、循環回路内の冷媒量を推定する。
[0013]
 これによると、実機である冷凍サイクル装置を稼働させた際に推定した冷媒量が実冷媒量に近付くように、冷媒量の推定に用いる推定パラメータを補正するので、冷凍サイクル装置を構成する機能品の個体差による誤差を小さくすることが可能となる。この結果、冷媒量を精度よく推定することができる。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 第1実施形態の冷凍サイクル装置が搭載された車両を示す模式図である。
[図2] 第1実施形態の冷凍サイクル装置の概略構成を示す模式図である。
[図3] 第1実施形態の冷媒漏れ検知装置の概略構成を示すブロック図である。
[図4] 冷凍サイクル装置の稼働時における冷媒の状態を示すモリエル線図である。
[図5] 循環回路における冷媒量の継時的な変化を説明するための説明図である。
[図6] 第1実施形態の冷媒量推定装置が実行する補正係数算出処理の流れを示すフローチャートである。
[図7] 第1実施形態の冷媒量推定装置が実行する冷媒量推定処理の流れを示すフローチャートである。
[図8] 第2実施形態の冷媒量推定装置が実行する補正係数算出処理の流れを示すフローチャートである。
[図9] 冷凍サイクル装置の稼働時における汎用推定式にて推定された冷媒量の変化を説明するための説明図である。

発明を実施するための形態

[0015]
 以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
[0016]
 (第1実施形態)
 本実施形態について、図1~図7を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態では、本開示の冷凍サイクル装置20が、移動体である自動車1に搭載された例について説明する。本実施形態の自動車1には、走行用の駆動源および冷凍サイクル装置20の駆動源として機能するエンジン10が搭載されている。
[0017]
 冷凍サイクル装置20は、自動車1の車室内空間を空調する車両用空調装置に適用されている。冷凍サイクル装置20は、車室内空間に吹き出す空気を所望の温度となるまで冷却する機能を果たす。
[0018]
 図2に示すように、冷凍サイクル装置20は、冷媒が循環する循環回路200、圧縮機21、放熱器22、減圧機器23、蒸発器24を含む蒸気圧縮式の冷凍サイクルとして構成されている。
[0019]
 冷凍サイクル装置20は、冷媒として、HFC系冷媒であるR134aが採用されている。なお、冷媒には、圧縮機21を潤滑するオイル(すなわち、冷凍機油)が混入されている。オイルの一部は、冷媒と共に循環回路200を循環する。
[0020]
 圧縮機21は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する機器である。圧縮機21は、往復動式の圧縮機構を含んで構成されている。なお、圧縮機21は、回転式の圧縮機構を含む構成となっていてもよい。
[0021]
 本実施形態の圧縮機21は、外部のエンジン10から出力される回転駆動力によって駆動される構成となっている。本実施形態の圧縮機21は、冷媒の吐出容量を変更可能な容量可変型の圧縮機として構成されている。
[0022]
 本実施形態の圧縮機21は、開放型の圧縮機として構成されている。具体的には、本実施形態の圧縮機21は、ハウジング211を貫通して外部に突き出たシャフト212が、エンジン10からの駆動力によって回転するように、プーリおよびベルト等の動力伝達機構213を介してエンジン10の出力軸10aに連結されている。
[0023]
 さらに、本実施形態の圧縮機21には、エンジン10からの回転駆動力の伝達をオン・オフする電磁クラッチ214が設けられている。本実施形態の圧縮機21は、電磁クラッチ214がオフされることで、その作動が停止される構成となっている。
[0024]
 ここで、本実施形態の圧縮機21は、シャフト212がハウジング211を貫通する部位が、メカニカルシールやリップシール等のシール部材215によってシールされている。シール部材215は、樹脂を含む高分子材料で構成されている。なお、高分子材料は、ガス透過性を有している。このため、圧縮機21では、ハウジング211内部の冷媒がシール部材215を介して徐々に外部に透過することがある。
[0025]
 続いて、放熱器22は、圧縮機21から吐出された高温高圧の冷媒を、室外送風機221から導入される外気、または、自動車1の走行時のラム圧によって導入される外気との熱交換によって放熱させる熱交換器である。本実施形態の放熱器22は、エンジンルームのうち、自動車1の走行時のラム圧によって外気が導入される前方部分に配置されている。放熱器22に流入した冷媒は、外気との熱交換によって凝縮する。なお、外気は、図2の破線矢印AFoで示すように、放熱器22を通過する。
[0026]
 続いて、減圧機器23は、放熱器22を通過した冷媒を減圧膨張させる膨張弁である。減圧機器23としては、例えば、蒸発器24の出口側の温度を所定温度に調整可能に構成された温度式膨張弁が採用されている。
[0027]
 続いて、蒸発器24は、減圧機器23で減圧された低温低圧の冷媒を、車室内空間へ空気を送風する室内送風機241から供給される送風空気との熱交換によって蒸発させる熱交換器である。室内送風機241から供給される送風空気は、図2の破線矢印AFcで示すように、蒸発器24を通過する。室内送風機241から供給される送風空気は、蒸発器24を通過する際に、冷媒の蒸発潜熱によって所望の温度となるまで冷却された後、車室内へ吹き出される。
[0028]
 続いて、循環回路200は、圧縮機21、放熱器22、減圧機器23、蒸発器24を複数の配管201~204により順次接続して構成される閉回路である。具体的には、循環回路200は、圧縮機21の冷媒吐出側と放熱器22の冷媒入口側とを接続する第1高圧配管201、放熱器22の冷媒出口側と減圧機器23の冷媒入口側とを接続する第2高圧配管202を含んで構成されている。また、循環回路200は、減圧機器23の冷媒出口側と蒸発器24の冷媒入口側とを接続する第1低圧配管203、蒸発器24の冷媒出口側と圧縮機21の冷媒吸入側とを接続する第2低圧配管204を含んで構成されている。
[0029]
 各高圧配管201、202および各低圧配管203、204は、基本的に金属製の配管で構成されている。但し、第1高圧配管201は、エンジン10や圧縮機21の振動を吸収するために、その一部が可撓性に優れた高分子材料(例えば、ゴム、樹脂)を含む第1高分子配管201aで構成されている。同様に、第2低圧配管204は、エンジン10や圧縮機21の振動を吸収するために、その一部が可撓性に優れた高分子材料(例えば、ゴム、樹脂)を含む第2高分子配管204aで構成されている。
[0030]
 各高分子配管201a、204aは、金属製の配管で構成された部位に比べて、ガス透過性が高いため、内部を流れる冷媒が徐々に外部に透過してしまうことがある。特に、第1高分子配管201aは、圧縮機21で圧縮された高圧の冷媒が流れることから、冷媒が外部に漏れ易い傾向がある。
[0031]
 本実施形態の冷凍サイクル装置20では、圧縮機21のシール部材215や、各高分子配管201a、204a等からの冷媒のスローリークが避けられない。このため、冷凍サイクル装置20は、循環回路200内の冷媒量を推定する冷媒量推定装置30を備えている。
[0032]
 図3に示す冷媒量推定装置30は、プロセッサ、ROM、RAM等の記憶部31を有する周知のマイクロコンピュータ、およびその周辺回路を含んで構成されている。なお、冷媒量推定装置30の記憶部31は、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
[0033]
 図3に示すように、冷媒量推定装置30の入力側には、外気温度を検出する外気温度センサ301、内気温度を検出する内気温度センサ302、冷凍サイクル装置20を制御する空調制御装置40、エンジン10を制御するエンジン制御装置50等が接続されている。
[0034]
 冷媒量推定装置30は、空調制御装置40が有する空調制御情報、およびエンジン制御装置50が有する走行制御情報が取得可能なように、空調制御装置40およびエンジン制御装置50に対して接続されている。
[0035]
 空調制御装置40は、その入力側に循環回路200を流れる冷媒の温度、圧力といった冷媒の状態量を検出する各種センサが接続されている。具体的には、空調制御装置40には、放熱器22から流出した高圧冷媒の圧力および温度を検出する高圧側圧力センサ41および高圧側温度センサ42が接続されている。また、空調制御装置40は、蒸発器24から流出した低圧冷媒の圧力および温度を検出する低圧側圧力センサ43および低圧側温度センサ44が接続されている。
[0036]
 本実施形態の冷媒量推定装置30は、高圧側圧力センサ41、高圧側温度センサ42、低圧側圧力センサ43、低圧側温度センサ44が検出した情報を空調制御情報として空調制御装置40から取得可能となっている。
[0037]
 エンジン制御装置50は、その入力側に、エンジン10の回転数を検出する回転数センサ51、自動車1の走行速度を検出する車速センサ52等が接続されている。本実施形態の冷媒量推定装置30は、回転数センサ51および車速センサ52が検出した情報をエンジン制御情報としてエンジン制御装置50から取得可能となっている。
[0038]
 ここで、冷凍サイクル装置20は、圧縮機21がエンジン10からの出力される回転駆動力によって駆動される構成となっている。このため、エンジン10の回転数は、冷凍サイクル装置20の圧縮機21に作動に大きく影響する因子となる。
[0039]
 また、冷凍サイクル装置20は、放熱器22が自動車1の走行時のラム圧によって外気導入される構成となっている。このため、自動車1の走行速度は、冷凍サイクル装置20における放熱器22の放熱量に影響する因子となる。
[0040]
 このように、回転数センサ51および車速センサ52で検出される情報は、自動車1の稼働状態のうち、冷凍サイクル装置20の作動に関連性を有する状態量となる。本実施形態では、回転数センサ51および車速センサ52で検出される情報が、移動体の稼働状態のうち、冷凍サイクル装置20の作動に関連性を有する移動体状態量に相当する。
[0041]
 冷媒量推定装置30は、その出力側に、圧縮機21の電磁クラッチ214、ユーザに対して異常を報知する報知装置60等が接続されている。報知装置60は、図示しないが、冷凍サイクル装置20の各種異常情報を視覚的に表示する表示パネルを有している。報知装置60は、冷媒量推定装置30から異常状態を示す異常信号が入力された際に、表示パネルに異常を示す情報を表示する。なお、報知装置60は、異常情報を視覚的に報知する構成に限らず、異常情報を聴覚的に報知する構成となっていてもよい。
[0042]
 また、本実施形態の冷媒量推定装置30は、自動車1に搭載された無線通信機70に接続されている。無線通信機70は、基地局80およびインターネット85を介して外部サーバ90と通信可能に構成されている。
[0043]
 本実施形態の冷媒量推定装置30は、無線通信機70を介して、記憶部31に記憶された各種情報等を外部サーバ90に出力可能に構成されている。本実施形態では、外部サーバ90が外部のデータ蓄積装置として機能する。
[0044]
 このように構成された冷媒量推定装置30は、入力側から入力された各種信号等を、予め記憶部31に記憶されたプログラムに従って演算処理し、当該演算処理の結果等に基づいて、出力側に接続された各種制御対象機器を制御する。
[0045]
 具体的には、冷媒量推定装置30は、入力された情報、および所定の推定パラメータに基づいて、循環回路200内の冷媒量を推定する。本実施形態の冷媒量推定装置30は、冷凍サイクル装置20を構成する機能品の個体差による誤差を小さくするために、冷媒量を推定する際に用いる推定パラメータを補正する構成となっている。
[0046]
 また、本実施形態の冷媒量推定装置30は、推定した冷媒量に基づいて、循環回路200内の冷媒量が適正基準量以下となる異常状態であるか否かを判定し、冷媒量が不足する異常状態となった際に当該異常状態に対する所定の対策を実行する。
[0047]
 さらに、本実施形態の冷媒量推定装置30は、冷媒漏れが異常漏れであるか否かを判定する際に用いた各種情報等を、無線通信機70、インターネット85等を利用して外部サーバ90に出力する。
[0048]
 ここで、冷媒量推定装置30には、各種演算処理を実行するハードウェアおよびソフトフェアで構成される処理実行部、各種制御対象機器を制御するハードウェアおよびソフトフェアで構成される制御部等が集約されている。
[0049]
 冷媒量推定装置30には、循環回路200内の冷媒量を推定する冷媒量推定部30a、冷媒量を推定する際に用いる推定パラメータを補正するパラメータ補正部30bが集約されている。
[0050]
 また、冷媒量推定装置30には、循環回路200内の冷媒量が不足する異常状態であるか否かを判定する異常判定部30c、異常状態となった際に所定の対策を実行する対策実行部30dが集約されている。
[0051]
 さらに、冷媒量推定装置30には、冷媒漏れが異常漏れであるか否かを判定する際に用いた各種情報等を、無線通信機70等を利用して外部サーバ90に出力する出力部30eが集約されている。
[0052]
 次に、本実施形態の冷凍サイクル装置20の作動について、図4を参照して説明する。エンジン10が稼働した状態で車両用空調装置の運転が開始されると、空調制御装置40が、電磁クラッチ214をオンして圧縮機21を作動させる。
[0053]
 これにより、図4の実線で示すように、圧縮機21から吐出された冷媒(すなわち、図4のA1点)は、放熱器22に流入し、放熱器22において外気との熱交換によって放熱される(すなわち、図4のA1点→A2点)。
[0054]
 放熱器22から流出した冷媒(すなわち、図4のA2点)は、減圧機器23に流入し、減圧機器23において所定の圧力となるまで減圧膨張される(すなわち、図4のA2点→A3点)。
[0055]
 減圧機器23から流出した冷媒(すなわち、図4のA3点)は、蒸発器24に流入し、蒸発器24において車室内への送風空気から吸熱して蒸発する(すなわち、図4のA3点→A4点)。これにより、車室内への送風空気が冷却される。そして、蒸発器24から流出した冷媒(すなわち、図4のA4点)は、圧縮機21の冷媒吸入側へと流れて、再び圧縮機21で圧縮される(すわなち、図4のA4点→A1点)。
[0056]
 ここで、冷凍サイクル装置20では、循環回路200内の冷媒量が減少すると、図4の破線で示すように、圧縮機21に吸入される低圧冷媒の圧力が低下する。そして、蒸発器24の冷媒出口側における冷媒の過熱度SHが大きくなる(すなわち、図4のA4点→B4点)。本発明者らの知見によれば、低圧冷媒の圧力の低下量ΔPLおよび冷媒の過熱度SHの増加量ΔSHは、循環回路200内の冷媒量が減少するにつれて大きくなる傾向がある。
[0057]
 また、冷媒量の減少によって圧縮機21に吸入される冷媒の圧力が低下すると、圧縮機21から吐出される高圧冷媒の圧力が低下すると共に、放熱器22の冷媒出口側における冷媒の過冷却度SCが小さくなる(すなわち、図4のA2点→B2点)。本発明者らの知見によれば、高圧冷媒の圧力の低下量ΔPHおよび冷媒の過冷却度SCの減少量ΔSCは、循環回路200内の冷媒量が減少するにつれて大きくなる傾向がある。
[0058]
 このように、冷凍サイクル装置20では、循環回路200における冷媒量と、循環回路200における冷媒の温度および圧力といった冷媒の状態量との間に強い相関性がある。
[0059]
 次に、本実施形態の冷凍サイクル装置20における冷媒量の継時的な変化について図5を参照して説明する。前述したように、本実施形態の冷凍サイクル装置20は、循環回路200の一部に冷媒の透過性を有する配管が採用されると共に、開放型の圧縮機21が採用されているため、冷媒のスローリークが避けられない。すなわち、本実施形態の冷凍サイクル装置20では、図5の実線で示すように、循環回路200における冷媒量Mが経時的に減少する。
[0060]
 そして、循環回路200内の冷媒量Mが、適正基準量M_th以下となると、循環回路200における冷媒量が不足した異常状態となる。この異常状態では、冷凍サイクル装置20における冷却能力不足等の不具合が生じ易くなる。
[0061]
 そこで、本実施形態の冷媒量推定装置30は、冷媒の状態量、および自動車1の状態量を含む物理量を変数として、所定の推定パラメータを用いた推定式に代入することで冷媒量を推定する構成となっている。
[0062]
 冷媒量を推定する推定式としては、冷凍サイクル装置20の試験機や、冷凍サイクル装置20を模したシミュレータで実施した試験結果に基づいて決定した推定パラメータを用いた汎用推定式を採用することが考えられる。なお、推定パラメータは、冷媒量の推定に用いる変数毎に設定された各係数の総称である。
[0063]
 しかしながら、汎用推定式を採用する場合、例えば、実機である冷凍サイクル装置20を構成する機能品の個体差による誤差が生ずるため、冷媒量の推定精度を確保することができない。
[0064]
 そこで、本実施形態の冷媒量推定装置30では、汎用推定式における推定パラメータを補正するための補正係数ΔMを決定し、汎用推定式および補正係数ΔMを用いた補正推定式によって、冷媒量を推定する構成となっている。
[0065]
 以下、本実施形態の冷媒量推定装置30が実行する補正係数決定処理および冷媒量推定処理について、図6、図7を参照して説明する。なお、図6、図7に示す制御処理の各制御ステップは、冷媒量推定装置30が実行する各種機能を実現する機能実現部を構成している。
[0066]
 まず、本実施形態の冷媒量推定装置30が実行する補正係数算出処理の概要について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。本実施形態の冷媒量推定装置30は、製品の出荷段階やメンテナンスにおいて、規定量の冷媒が循環回路200に充填された後、初回に冷凍サイクル装置20を稼働させた際に、補正係数算出処理を実行する。
[0067]
 具体的には、図6に示すように、冷媒量推定装置30は、ステップS100にて、冷媒の充填時に計量された実冷媒量M を読み込む。なお、実冷媒量M は、冷媒を充填する冷媒充填機にて計量された冷媒量であり、予め空調制御装置40等に記憶されている。
[0068]
 続いて、冷媒量推定装置30は、ステップS110にて、空調制御装置40を介して冷凍サイクル装置20を稼働させる。本実施形態の冷媒量推定装置30は、室内送風機241の出力、室外送風機221の出力、圧縮機21の吐出容量それぞれが最大となるように、冷凍サイクル装置20を稼働させる。
[0069]
 続いて、冷媒量推定装置30は、ステップS120にて、タイマAによって、冷凍サイクル装置20を稼働させてからの経過時間Cnt1をカウントする。なお、タイマAは、計時手段であって、予め冷媒量推定装置30に内蔵されている。
[0070]
 また、冷媒量推定装置30は、ステップS130にて、タイマAでカウントしている経過時間Cnt1が、予め設定された第1基準時間Cnt_th1を経過したか否かを判定する。
[0071]
 ここで、第1基準時間Cnt_th1は、冷凍サイクル装置20を稼働させてから冷凍サイクル装置20における冷媒の状態量の変動が所定の範囲内に収まる安定状態になるまでに要する時間に設定されている。このため、ステップS130の処理は、冷凍サイクル装置20における冷媒の挙動が安定したか否かを判定する判定処理と解釈することができる。
[0072]
 ステップS130の判定処理の結果、経過時間Cnt1が第1基準時間Cnt_th1を経過している場合、冷媒量推定装置30は、ステップS140にて、予め記憶部31に記憶された汎用推定式M (t)によって冷媒量M を推定する。なお、汎用推定式M (t)は、図5の実線で示すように、経過時間tの増加に伴って冷媒量M が減少するように設定されている。
[0073]
 本実施形態では、汎用推定式M (t)として、冷媒量との相関性が強い放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度Tdおよび圧力Pd、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度Tsおよび圧力Ps、経過時間t等を変数とする以下の数式F1を採用している。
[0074]
 M (t)=f[Pd、Ps、Td、Ts、Ne、Vs、t]…F1
 ここで、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度Tdおよび圧力Pd、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度Tsおよび圧力Psは、自動車1の走行速度Vs、エンジン10の回転数Neの変動によって変化する。このため、上述の数式F1では、自動車1の走行速度Vsおよびエンジン10の回転数Neといった自動車1の状態量についても変数に追加している。
[0075]
 また、汎用推定式M (t)には、冷凍サイクル装置20の試験機等で実施した試験結果に基づいて決定した推定パラメータが設定されている。なお、推定パラメータは、例えば、以下の数式F2に示すように、変数毎に設定された各係数α1~α7として定義される。
[0076]
 M (t)=α1×Pd+α2×Ps+α3×Td+α4×Ts+α5×Ne+α6×Vs-α7×t…F2
 このように、本実施形態の冷媒量推定装置30は、ステップS140にて、冷媒の状態量および自動車1の状態量を含む物理量を所定の推定パラメータを用いた汎用推定式M (t)に代入することで冷媒量M を推定する。そして、冷媒量推定装置30は、汎用推定式M (t)で推定したM を記憶部31に記憶する。
[0077]
 続いて、冷媒量推定装置30は、ステップS150にて、タイマAとは異なるタイマBによって、冷凍サイクル装置20が安定状態となってからの経過時間Cnt2をカウントする。なお、タイマBは、計時手段であって、予め冷媒量推定装置30に内蔵されている。
[0078]
 また、冷媒量推定装置30は、ステップS160にて、タイマBでカウントしている経過時間Cnt2が、予め設定された第2基準時間Cnt_th2を経過したか否かを判定する。
[0079]
 ここで、第2基準時間Cnt_th2は、汎用推定式M (t)で推定した冷媒量M のサンプル数が、後述する回帰分析に必要となる必要数に達するまでに必要な時間に設定されている。サンプル数の必要数としては、例えば、推定パラメータを構成する各係数の数の10倍以上とすることが望ましい。
[0080]
 ステップS160の判定処理の結果、経過時間Cnt2が第2基準時間Cnt_th2を経過していない場合、冷媒量推定装置30は、ステップS140に戻り、汎用推定式M (t)で冷媒量M を推定する。
[0081]
 一方、ステップS160の判定処理の結果、経過時間Cnt2が第2基準時間Cnt_th2を経過している場合、冷媒量推定装置30は、ステップS170にて、実冷媒量M と冷媒量M (t)との差分量ΔM(t)を算出する。
[0082]
 冷媒量推定装置30は、例えば、以下の数式F3により実冷媒量M と冷媒量M (t)との差分量ΔM(t)を算出する。
[0083]
 ΔM(t)=M -M (t)…F3
 続いて、冷媒量推定装置30は、ステップS180にて、差分量ΔM(t)に関する数理モデルΔMを算出する。本実施形態の冷媒量推定装置30は、差分量ΔM(t)を目的変数とし、汎用推定式M (t)で冷媒量M を推定した際の冷媒の温度、圧力を含む物理量を説明変数とする回帰分析により差分量ΔM(t)に関する数理モデルΔMを算出する。
[0084]
 本実施形態では、汎用推定式M (t)における変数として、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度Tdおよび圧力Pd、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度Tsおよび圧力Ps、自動車1の走行速度Vs、エンジン10の回転数Neを採用している。
[0085]
 このため、冷媒量推定装置30は、回帰分析の説明変数として、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度Tdおよび圧力Pd、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度Tsおよび圧力Ps、自動車1の走行速度Vs、エンジン10の回転数Neを採用している。
[0086]
 具体的には、ステップS180で算出する数理モデルΔMは、以下の数式F4で示すように、自動車1の走行速度Vs、エンジン10の回転数Neを変数に含む数式となっている。
[0087]
 ΔM=g[Pd、Ps、Td、Ts、Ne、Vs]…F4
 上述の数式F4では、回帰分析により算出された補正パラメータが設定されている。なお、補正パラメータは、例えば、以下の数式F5に示すように、変数毎に設定された各係数β1~β6として定義される。
[0088]
 ΔM=β1×Pd+β2×Ps+β3×Td+β4×Ts+β5×Ne+β6×Vs…F5
 続いて、冷媒量推定装置30は、ステップS190にて、数理モデルΔMにより汎用推定式M (t)の推定パラメータを補正した補正推定式M (t)を算出する。具体的には、冷媒量推定装置30は、以下の数式F6に示すように、汎用推定式M (t)に対して数理モデルΔMを追加することで、補正推定式M (t)を算出する。
[0089]
 M (t)=M (t)+ΔM…F6
 なお、上述の数式F6における推定パラメータは、以下の数式F7で示すように、汎用推定式M1(t)の推定パラメータα1~α6に対して、数理モデルΔMの補正パラメータβ1~β6を追加したものとなる。
[0090]
 M (t)=(α1+β1)×Pd+(α2+β2)×Ps+(α3+β3)×Td+(α4+β4)×Ts+(α5+β5)×Ne+(α6+β6)×Vs-α7×t…F7
 続いて、冷媒量推定装置30は、ステップS200にて、実冷媒量M と補正推定式M (t)で算出した冷媒量M との差分の絶対値が予め設定された誤差許容値e_th未満であるか否かを判定する。
[0091]
 この結果、実冷媒量M と冷媒量M との差分の絶対値が誤差許容値e_th以上となる場合、冷媒量推定装置30は、ステップS210にて、タイマAおよびタイマBをリセットすると共に、汎用推定式M (t)を補正推定式M (t)に置き換える。そして、冷媒量推定装置30は、再び、ステップS140にて、汎用推定式M (t)によって冷媒量M を推定する。なお、ステップS210にて汎用推定式M (t)を補正推定式M (t)に置き換えているので、ステップS140の処理では、汎用推定式M (t)によって冷媒量M を推定することになる。
[0092]
 一方、実冷媒量MRと冷媒量M2との差分の絶対値が誤差許容値e_th未満となる場合、冷媒量推定装置30は、ステップS220にて、ステップS180で算出した数理モデルΔMを汎用推定式M (t)の推定パラメータを補正する補正係数に決定する。
[0093]
 続いて、冷媒量推定装置30は、ステップS230にて、本制御処理で算出したデータを、無線通信機70等を利用して外部サーバ90に出力する。具体的には、冷媒量推定装置30は、補正した推定パラメータに関する情報(例えば、補正係数ΔM)を、自動車1を識別する識別情報(例えば、車両識別番号)に関連付けた状態で、無線通信機70等を利用して外部サーバ90に出力する。
[0094]
 以上までが補正係数算出処理の概要であり、以下、冷媒量推定装置30が実行する冷媒量推定処理の概要について、図7を参照して説明する。本実施形態の冷媒量推定装置30は、冷凍サイクル装置20が稼働している際に、所定の開始条件が成立すると冷媒量推定処理を実行する。
[0095]
 図7に示すように、冷媒量推定装置30は、ステップS300にて、空調制御装置40、エンジン制御装置50等を介して各種センサ出力を読み込む。そして、冷媒量推定装置30は、ステップS310にて、補正推定式M (t)によって循環回路200内の冷媒量M を推定する。
[0096]
 本実施形態では、補正推定式M (t)として、以下の数式F8で示すように、汎用推定式M (t)に対して補正係数ΔMを追加したものを採用している。
[0097]
 M =M (t)+ΔM…F8
 具体的には、冷媒量推定装置30は、上述の数式F8に対して、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度Tdおよび圧力Pd、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度Tsおよび圧力Ps、走行速度Vs、エンジン10の回転数Neを代入して冷媒量M を推定する。
[0098]
 続いて、冷媒量推定装置30は、ステップS320にて、冷媒量M が予め設定された冷媒の適正基準量M_th以下であるか否かを判定する。なお、適正基準量M_thは、冷凍サイクル装置20の作動(例えば、冷却能力)に影響し始める冷媒量に設定されている。
[0099]
 この結果、冷媒量M が適正基準量M_thを超えている場合、冷媒量推定装置30は、ステップS330にて、冷媒量の状態を示す状態フラグを冷媒量が不足していない状態を示す適正状態に設定し、本処理を抜ける。
[0100]
 一方、冷媒量M が適正基準量M_th以下の場合、冷媒量推定装置30は、ステップS340にて、冷媒量の状態を示す状態フラグを冷媒量が不足していることを示す異常状態に設定する。
[0101]
 続いて、冷媒量推定装置30は、ステップS350にて、報知装置60によって冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態となっている旨をユーザに対して報知する報知処理を実行する。具体的には、冷媒量推定装置30は、報知装置60に対して冷媒量が異常状態となっていることを示す異常信号を出力する。この報知処理では、異常状態となっていることに加えて、冷媒の充填を喚起する情報を報知装置60によってユーザに報知することが望ましい。
[0102]
 また、冷媒量推定装置30は、ステップS360にて、冷凍サイクル装置20の作動を制限する作動制限処理を実行する。この作動制限処理では、電磁クラッチ214をオフして、冷凍サイクル装置20の作動を停止させる。これによれば、冷媒不足によって冷凍サイクル装置20に生ずる各種不具合を抑制することができる。
[0103]
 以上説明した冷媒量推定装置30は、実機である冷凍サイクル装置20を稼働させた際に推定した冷媒量が実冷媒量M に近付くように、冷媒量の推定に用いる推定パラメータを補正する構成となっている。これによると、冷凍サイクル装置20を構成する機能品の個体差による誤差を小さくすることができるので、冷媒量の推定精度を向上させることができる。
[0104]
 具体的には、本実施形態の冷媒量推定装置30は、実冷媒量M と推定した冷媒量との差分を目的変数とし、冷媒の状態量および自動車1の状態量を説明変数とする回帰分析により差分量に関する数理モデル(すなわち、補正係数ΔM)を決定する。そして、冷媒量推定装置30は、回帰分析により決定した補正係数ΔMによって汎用推定式M (t)の推定パラメータを補正する構成となっている。これによると、冷凍サイクル装置20を構成する機能品の個体差に起因する冷媒量の推定誤差を小さくすることができる。
[0105]
 ここで、冷凍サイクル装置20の起動時等のように、循環回路200内の冷媒の状態が不安定となる状態において、推定パラメータを補正する補正係数ΔMを決定すると、補正した推定パラメータの信頼性を確保することができない。
[0106]
 これに対して、本実施形態の冷媒量推定装置30は、冷媒の状態量の変動が所定の範囲内に収まる安定状態で冷凍サイクル装置20が稼働している状態で、推定パラメータを補正する補正係数ΔMを決定する構成となっている。これによると、補正した推定パラメータの信頼性を確保することができる。
[0107]
 また、本実施形態の冷媒量推定装置30は、冷媒の充填後において、冷凍サイクル装置20の初回の稼働時に、推定パラメータを補正する補正係数ΔMを決定する構成となっている。このように、実際に循環回路200内に存する冷媒量と実冷媒量M とのずれが殆どない状況で補正係数ΔMを決定する構成とすれば、補正した推定パラメータの信頼性を充分に確保することができる。
[0108]
 さらに、本実施形態の冷媒量推定装置30は、補正した推定パラメータを用いた補正推定式M (t)によって推定した水分量M と冷媒の適正基準量M_thとを比較して、冷媒量が異常状態であるか否かを判定する構成となっている。
[0109]
 これによると、スローリーク等によって循環回路200内の冷媒量が不足した異常状態を把握可能となるので、冷凍サイクル装置20における冷却能力の低下等の不具合を予防し易くなるといった利点がある。
[0110]
 また、本実施形態の冷媒量推定装置30は、冷媒の状態量だけでなく、自動車1の走行速度Vsおよびエンジン10の回転数Neといった自動車1の状態量を含む物理量に基づいて、冷媒量を推定する構成となっている。これよると、冷媒量推定装置30における冷媒の推定精度を向上させることができる。
[0111]
 さらに、本実施形態の冷媒量推定装置30は、補正した推定パラメータに関する情報を、自動車1の識別情報に関連付けた状態で、無線通信機70等を利用して外部サーバ90に出力する構成となっている。これによると、例えば、外部の外部サーバ90に蓄積されたデータを、自動車1に搭載された冷凍サイクル装置20を構成する機能品の個体差が生ずる傾向の把握等に有効活用することができる。
[0112]
 ここで、本実施形態では、補正係数算出処理におけるステップS110にて、室内送風機241の出力、室外送風機221の出力、圧縮機21の吐出容量それぞれが最大となるように、冷凍サイクル装置20を稼働させる例について説明したが、これに限定されない。
[0113]
 冷媒量推定装置30は、補正係数算出処理におけるステップS110にて、例えば、室内送風機241の出力、室外送風機221の出力、圧縮機21の吐出容量それぞれが予め定めた設定値となるように、冷凍サイクル装置20を稼働させる構成となっていてもよい。
[0114]
 (第2実施形態)
 次に、第2実施形態について、図8、図9を参照して説明する。本実施形態では、冷媒量推定装置30が実行する補正係数算出処理の内容が第1実施形態と相違している。その他の構成については、基本的に第1実施形態と同様である。このため、本実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
[0115]
 本実施形態の冷媒量推定装置30は、図6で示した補正係数算出処理に代えて、図8に示す補正係数算出処理を実行する。なお、図8に示す各ステップのうち、図6で示したステップと同じ符号が付されたステップは、特に言及しない限り、同じ処理内容となっている。
[0116]
 本実施形態の冷媒量推定装置30は、製品の出荷段階やメンテナンスにおいて、規定量の冷媒が循環回路200に充填された後、ユーザが冷凍サイクル装置20を稼働させた際に、補正係数算出処理を実行する。
[0117]
 具体的には、図8に示すように、本実施形態の冷媒量推定装置30は、ステップS100で実冷媒量M を読み込んだ後、ステップS110Aにて、ユーザによって冷凍サイクル装置20が起動された否かを判定する。
[0118]
 ステップS110Aの判定処理の結果、ユーザによって冷凍サイクル装置20が起動された場合、冷媒量推定装置30は、ステップS120Aにて、汎用推定式M (t)によって冷媒量M を推定する。このステップS120Aの処理は、図6のステップS140の処理と同様であるため、その説明を省略する。なお、冷媒量推定装置30は、今回推定した冷媒量M を記憶部31に記憶する。
[0119]
 ここで、冷凍サイクル装置20の起動時等のように、循環回路200内の冷媒の状態量が不安定状態となっている場合、汎用推定式M (t)で推定する冷媒量M は、図9に示すように大きく変動する。このため、循環回路200内の冷媒の状態量が不安定状態となっている場合に汎用推定式M (t)で推定した冷媒量M は、その信頼性が充分に確保されているとはいえない。
[0120]
 一方、循環回路200内の冷媒の状態量が安定状態となっている場合、汎用推定式M (t)で推定する冷媒量M の変動が所定の範囲に収束する。すなわち、循環回路200内の冷媒の状態量が安定状態となっている場合に汎用推定式M (t)で推定した冷媒量M は、その信頼性を充分に確保することができる。
[0121]
 そこで、本実施形態では、冷媒量推定装置30は、ステップS130Aにて、今回推定した冷媒量M と前回推定した冷媒量M _oldとの差分が、予め設定された基準差分量e 未満であるか否かを判定する。なお、前回推定した冷媒量M _oldが記憶部31に記憶されてない場合は、ステップS130Aの判定が実施できない。このため、前回推定した冷媒量M _oldが記憶部31に記憶されてない場合は、強制的にステップS120Aの処理に戻るようにすればよい。
[0122]
 ステップS130Aの判定処理の結果、今回推定した冷媒量M と前回推定した冷媒量M _oldとの差分が基準差分量e を超えている場合、冷媒量推定装置30は、ステップS120Aにて、再び汎用推定式M (t)によって冷媒量M を推定する。この際、冷媒量推定装置30は、汎用推定式M (t)によって冷媒量M を推定する前に、前回推定した冷媒量M をM _oldとして記憶部31に記憶する。
[0123]
 一方、今回推定した冷媒量M と前回推定した冷媒量M _oldとの差分が基準差分量e 未満となる場合、冷媒量推定装置30は、ステップS140にて、汎用推定式M (t)によって冷媒量M を推定する。なお、ステップS140以降の処理は、図6で示す処理と同じであるため、その説明を省略する。
[0124]
 以上説明した本実施形態の冷媒量推定装置30は、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。特に、本実施形態の冷媒量推定装置30は、ユーザが冷凍サイクル装置20を稼働させたタイミングで補正係数算出処理を実行する構成となっており、冷凍サイクル装置20を強制的に稼働させる必要がない。このことは、例えば、製品出荷やメンテナンスに要する時間を短縮可能になるといった利点がある。
[0125]
 (他の実施形態)
 以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
[0126]
 上述の各実施形態では、補正された推定パラメータを用いた補正推定式を用いて、循環回路200内の冷媒量を算出する例について説明したが、これに限定されない。冷媒量推定装置30は、例えば、冷媒の状態量、自動車1の状態量、冷媒量、および補正された推定パラメータそれぞれを関連付けた制御マップを用いて、循環回路200内の冷媒量を算出する構成となっていてもよい。
[0127]
 上述の各実施形態では、回帰分析により数理モデルΔMを算出する例について説明したが、これに限定されない。冷媒量推定装置30は、例えば、ニューラルネットワーク等の機械学習によって数理モデルΔMを算出する構成となっていてもよい。
[0128]
 上述の各実施形態の如く、冷凍サイクル装置20における冷媒の状態が安定状態となっている際に、推定パラメータを補正する補正係数ΔMを決定することが望ましいが、これに限定されない。冷媒量推定装置30は、例えば、冷凍サイクル装置20における冷媒の状態が安定状態であるか否かに関わらず、推定パラメータを補正する補正係数ΔMを決定する構成となっていてもよい。
[0129]
 上述の各実施形態の如く、冷媒の充填後において冷凍サイクル装置20の初回の稼働時に、推定パラメータを補正することが望ましいが、これに限定されない。冷媒量推定装置30は、例えば、冷媒の充填後における任意のタイミングで推定パラメータを補正する構成となっていてもよい。
[0130]
 上述の各実施形態では、冷凍サイクル装置20が稼働している際の冷媒の状態量および自動車1の状態量を含む物理量を変数として、循環回路200内の冷媒量を推定する例について説明したが、これに限定されない。冷媒量推定装置30は、例えば、冷凍サイクル装置20が稼働している際の冷媒の状態量に関する物理量に基づいて、循環回路200内の冷媒量を推定する構成となっていてもよい。
[0131]
 また、上述の各実施形態では、冷媒量の推定時の変数となる冷媒の状態量として、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度Tdおよび圧力Pd、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度Tsおよび圧力Psを例示したが、これに限定されない。
[0132]
 冷媒量の推定時の変数は、直接的な冷媒の状態量に限らず、冷媒の状態量に強い相関性を有する物理量が採用されていてもよい。例えば、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度Tdは、外気温度に強い相関性を有する。また、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度Tsは、内気温度に強い相関性を有する。このため、冷媒量の推定時の変数としては、例えば、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度Tdおよび蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度Tsに代えて、外気温度および内気温度が採用されていてもよい。また、冷媒量の推定時の変数には、例えば、過冷却度SCおよび過熱度SH等が含まれていてもよい。
[0133]
 上述の各実施形態の如く、推定した冷媒量に基づいて、循環回路200内の冷媒量が不足した異常状態であるか否かを判定する構成となっていることが望ましいが、これに限定されない。冷媒量推定装置30は、例えば、単に、推定した冷媒量を表示装置等に出力する構成となっていてもよい。この場合、表示装置に適正基準量M_thが表示される構成となっていることが望ましい。
[0134]
 上述の各実施形態の如く、補正した推定パラメータに関する情報を、自動車1を識別する識別情報に関連付けた状態で、無線通信機70等を利用して外部サーバ90に出力する構成になっていることが望ましいが、これに限定されない。冷媒量推定装置30は、単に、冷媒量を推定するだけで、補正した推定パラメータに関する情報等を外部サーバ90に出力しない構成となっていてもよい。
[0135]
 上述の各実施形態では、外部のエンジン10から出力される回転駆動力によって駆動される圧縮機21を例示したが、これに限定されない。圧縮機21は、例えば、電動機から出力される回転駆動力によって駆動される構成となっていてもよい。
[0136]
 上述の各実施形態では、冷凍サイクル装置20が移動体である自動車1に搭載される例について説明したが、これに限定されない。冷凍サイクル装置20は、例えば、鉄道車両や、トレーラのような移動体に搭載されていてもよい。
[0137]
 上述の各実施形態では、循環回路200に充填される冷媒として、HFC系冷媒であるR134aが採用された例について説明したが、これに限定されない。冷凍サイクル装置20は、例えば、地球温暖化係数GWPが低いR1234yfが採用されていてもよい。
[0138]
 上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
[0139]
 上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
[0140]
 上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
[0141]
 (まとめ)
 上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、冷媒量推定装置は、冷媒量推定部と、パラメータ補正部と、を備える。冷媒推定部は、冷凍サイクル装置の稼働時における冷媒の状態量を含む物理量、および所定の推定パラメータに基づいて、循環回路内の冷媒量を推定する。また、パラメータ補正部は、冷媒量推定部で推定された冷媒量が冷媒の充填時に測定された実冷媒量に近付くように推定パラメータを補正する。
[0142]
 第2の観点によれば、パラメータ補正部は、実冷媒量と冷媒量推定部で推定された冷媒量との差分量を目的変数とし、冷媒量推定部にて冷媒量を推定した際の冷媒の状態量を含む物理量を説明変数とする回帰分析により差分量に関する数理モデルを決定する。そして、パラメータ補正部は、回帰分析により決定した数理モデルによって推定パラメータを補正する。これによると、冷凍サイクル装置を構成する機能品の個体差に起因する冷媒量の推定誤差を小さくすることが可能となる。
[0143]
 第3の観点によれば、パラメータ補正部は、冷凍サイクル装置が冷媒の状態量を含む物理量の変動が所定の範囲に収まる安定状態で稼働している際に、推定パラメータを補正する。
[0144]
 冷凍サイクル装置の起動時等のように、循環回路内の冷媒の状態量が不安定となる状態において、推定パラメータを補正すると、補正した推定パラメータの信頼性を確保することができない。このため、冷凍サイクル装置が冷媒の状態量を含む物理量の変動が所定の範囲に収まる安定状態で稼働している際に、推定パラメータを補正することが望ましい。
[0145]
 第4の観点によれば、パラメータ補正部は、冷媒の充填後において冷凍サイクル装置の初回の稼働時に、推定パラメータを補正する。このように、実際に循環回路内に存する冷媒量と実冷媒量とのずれが殆どない状況で推定パラメータを補正すれば、補正した推定パラメータの信頼性を確保することができる。
[0146]
 第5の観点によれば、冷媒量推定装置は、冷媒量推定部で推定された冷媒量に基づいて、循環回路内の冷媒量が予め適正基準量以下であるか否かを判定する異常判定部を備えている。これによると、スローリーク等によって循環回路内の冷媒量が不足した異常状態を把握可能となるので、冷凍サイクル装置における冷却能力の低下等の不具合を予防し易くなるといった利点がある。
[0147]
 第6の観点によれば、冷媒量推定装置は、物理量に、移動体の稼働状態のうち、冷凍サイクル装置の作動に関連性を有する移動体状態量が含まれている。これによると、冷媒推定部における冷媒量の推定精度の向上させることができる。
[0148]
 第7の観点によれば、冷媒量推定装置は、パラメータ補正部で補正された推定パラメータ、移動体を識別する識別情報に関連付けた状態で、外部のデータ蓄積装置に出力する出力部を備えている。これによると、例えば、外部のデータ蓄積装置に蓄積されたデータを、冷凍サイクル装置を構成する機能品の個体差が生ずる傾向の把握等に有効活用することができる。
[0149]
 第8の観点によれば、冷媒量推定装置は、圧縮機、放熱器、減圧機器、蒸発器を含んで構成される冷凍サイクル装置に適用されている。そして、冷媒量推定部は、少なくとも放熱器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、蒸発器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、およびパラメータ補正部にて補正された推定パラメータに基づいて、循環回路内の冷媒量を推定する。
[0150]
 このように、循環回路内の冷媒量に強い相関性を有する放熱器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、蒸発器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力に基づいて、循環回路内の冷媒量を推定する構成とすれば、冷媒量の推定精度を向上させることができる。
[0151]
 上述の実施形態の一部または全部で示された第9の観点によれば、冷凍サイクル装置は、冷媒が循環する循環回路と、循環回路内を循環する冷媒量を推定する冷媒量推定装置と、を備える。冷媒量推定装置は、冷媒量推定部と、パラメータ補正部と、を含んで構成されている。冷媒量推定部は、冷凍サイクル装置の稼働時における冷媒の状態量を含む物理量、および所定の推定パラメータに基づいて、循環回路内の冷媒量を推定する。また、パラメータ補正部は、冷媒量推定部で推定された冷媒量が、冷媒の充填時に測定された実冷媒量に近付くように、推定パラメータを補正する。

請求の範囲

[請求項1]
 移動体(1)に搭載され、冷媒の循環回路(200)を有する蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(20)に適用される冷媒量推定装置であって、
 前記冷凍サイクル装置の稼働時における冷媒の状態量を含む物理量、および所定の推定パラメータに基づいて、前記循環回路内の冷媒量を推定する冷媒量推定部(30a)と、
 前記冷媒量推定部で推定された冷媒量が冷媒の充填時に計量された実冷媒量に近付くように、前記推定パラメータを補正するパラメータ補正部(30b)と、を備え、
 前記冷媒量推定部は、冷媒の状態量を含む物理量、および前記パラメータ補正部にて補正された前記推定パラメータに基づいて、前記循環回路内の冷媒量を推定する冷媒量推定装置。
[請求項2]
 前記パラメータ補正部は、前記実冷媒量と前記冷媒量推定部で推定された冷媒量との差分量を目的変数とし、前記冷媒量推定部にて冷媒量を推定した際の冷媒の状態量を含む物理量を説明変数とする回帰分析により前記差分量に関する数理モデルを決定し、決定した前記数理モデルによって前記推定パラメータを補正する請求項1に記載の冷媒量推定装置。
[請求項3]
 前記パラメータ補正部は、冷媒の状態量を含む物理量の変動が所定の範囲内に収まる安定状態で前記冷凍サイクル装置が稼働している状態で、前記推定パラメータを補正する請求項1または2に記載の冷媒量推定装置。
[請求項4]
 前記パラメータ補正部は、冷媒の充填後において前記冷凍サイクル装置の初回の稼働時に、前記推定パラメータを補正する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の冷媒量推定装置。
[請求項5]
 前記冷媒量推定部で推定された冷媒量に基づいて、前記循環回路内の冷媒量が予め定めた適正基準量以下であるか否かを判定する異常判定部(30c)を備える請求項1ないし4のいずれか1つに記載の冷媒量推定装置。
[請求項6]
 前記物理量には、前記移動体の稼働状態のうち、前記冷凍サイクル装置の作動に関連性を有する移動体状態量が含まれている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の冷媒量推定装置。
[請求項7]
 前記パラメータ補正部で補正した前記推定パラメータに関する情報を、前記移動体を識別する識別情報に関連付けた状態で、外部のデータ蓄積装置(90)に出力する出力部(30e)を備える請求項1ないし6のいずれか1つに記載の冷媒量推定装置。
[請求項8]
 前記冷凍サイクル装置は、圧縮機(21)、放熱器(22)、減圧機器(23)、蒸発器(24)を含んで構成されており、
 前記冷媒量推定部は、少なくとも前記放熱器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、前記蒸発器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、および前記パラメータ補正部にて補正された前記推定パラメータに基づいて、前記循環回路内の冷媒量を推定する請求項1ないし7のいずれか1つに記載の冷媒量推定装置。
[請求項9]
 移動体(1)に搭載される蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(20)であって、
 冷媒が循環する循環回路(200)と、
 前記循環回路内の冷媒量を推定する冷媒量推定装置(30)と、を備え、
 前記冷媒量推定装置は、
 前記冷凍サイクル装置の稼働時における冷媒の状態量を含む物理量、および所定の推定パラメータに基づいて、前記循環回路内の冷媒量を推定する冷媒量推定部(30a)と、
 前記冷媒量推定部で推定された冷媒量が、冷媒の充填時における実冷媒量に近付くように、前記推定パラメータを補正するパラメータ補正部(30b)と、を含んで構成されており、
 前記冷媒量推定部は、冷媒の状態量を含む物理量、および前記パラメータ補正部にて補正された前記推定パラメータに基づいて、前記循環回路内の冷媒量を推定する冷凍サイクル装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]