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1. (WO2018225385) 回転電機
Document

明 細 書

発明の名称 回転電機

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004  

課題を解決するための手段

0005  

発明の効果

0006  

図面の簡単な説明

0007  

発明を実施するための形態

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063  

符号の説明

0064  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : 回転電機

技術分野

[0001]
 本発明は、回転電機に関する。

背景技術

[0002]
 近年、電動パワーステアリングなどに用いられるモータは、高い出力密度が求められる。コイルが発生できる磁界の強さは、コイルの巻数とコイルに流れる電流の大きさによって決まり、磁界の強さはモータの出力に強い影響を与えるため、コイルに流す電流を大きくする目的のために銅線の太線化が進められている。しかし、太線の採用によって高電流化を図れる一方、モータの製造過程においては、太線化による電線の加工の難化が問題となる。一般に、電線は太い方が曲げなどの加工が難しく、集中巻コイルにおいては、ボビンに電線を巻きつける際のボビンと電線の密着性に影響する。集中巻コイルのボビンは縦横比が大きいが、このうち回転子の回転軸と略平行である長辺部と電線の密着性は、モータの出力密度に大きな影響を与える。密着性の低さは、略長方形状のボビンに電線を巻きつける際に、ボビンの輪郭に電線が沿い切れずに膨らむために生ずるものであり、ここではこの現象を巻き膨らみと呼ぶ。この巻き膨らみを抑制することは、集中巻コイルの太線化と出力密度向上の両立のためには避けられない課題である。
 特許文献1には、ボビン端部を構成する2つの曲部において、コイルの巻き終わり側の曲率半径R2を、コイルの巻き始め側の曲率半径R1よりも大きくする構成が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 日本国特開2006-067778号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 コイルの巻き膨らみの低減が求められる。

課題を解決するための手段

[0005]
 本発明の第1の態様による回転電機は、鉄心を覆うボビンにコイルが巻き回されて形成される集中巻コイルを複数有する固定子を備える回転電機であって、前記ボビンは、直線部と前記直線部の長手方向に配される端部とを備え、前記端部は、前記直線部と接し前記ボビンの幅の半分よりも大きな曲率半径を有する2つの曲部、および屈曲規定部を備え、前記屈曲規定部の少なくとも一部は前記直線部から前記長手方向に前記ボビンの幅の半分よりも離れた位置に存在する。

発明の効果

[0006]
 本発明によれば、コイルの巻き膨らみを低減することができる。

図面の簡単な説明

[0007]
[図1] 固定子の外観を示す図
[図2] コイル4が巻き回された鉄心2を示す図
[図3] コイル4が巻き回される前の鉄心2を示す図
[図4] ボビン3の断面図
[図5] 端部32の詳細を示す図
[図6] ボビン3にコイル4を巻き回す過程を示す図
[図7] 図7(a)はボビン3の平面図、図7(b)はボビン3の下面図
[図8] コイルの巻き膨らみを抑制しない場合に生じうる問題を示す図
[図9] 変形例3における端部32の形状を示す図
[図10] 変形例5おける端部32の形状を示す図
[図11] 第2の実施の形態における端部32Aの形状を示す図
[図12] 第2の実施の形態の変形例における端部32Aの形状を示す図
[図13] 第3の実施の形態における端部32Bの形状を示す図
[図14] 第4の実施の形態におけるボビン3の形状を示す図
[図15] 第5の実施の形態におけるボビン3およびその製造工程を示す図
[図16] 第5の実施の形態の変形例におけるボビン3を示す図
[図17] 第6の実施の形態におけるボビン3を示す図
[図18] 巻線機90にボビン3を組み付けてボビン3にコイル4を巻回する様子を示す図

発明を実施するための形態

[0008]
―第1の実施の形態―
 以下、図1~図8を参照して、本発明にかかる回転電機である電動モータの第1の実施の形態を説明する。
[0009]
(固定子の概要)
 図1は、固定子の外観を示す図である。電動モータ100は、固定子1と不図示の回転子を備える。固定子1は複数の鉄心2を備え、それぞれの鉄心2にコイル4が集中的に巻かれている。換言すると、電動モータ100は巻き線の形態として集中巻きを採用している。コイル4に通電されると磁界が生じ、不図示の回転子が回転する。
[0010]
 図2はコイル4が巻き回された後の状態にある鉄心2を示す図、図3はコイル4が巻き回される前の状態にある鉄心2を示す図である。以下では、図2に示す矢印Hの方向を高さ方向または長手方向、矢印Dの方向を奥行き方向、矢印Wの方向を幅方向と呼ぶ。なおここではH,D,Wが方向を表すにすぎず、寸法を表すものではないことを明確にするために一方向矢印を用いている。
[0011]
 鉄心2は鉄系の金属で構成される。鉄心2は、たとえば鋳造、削り出しで製造される。また鉄心2は、鉄心の断面形状に打ち抜かれた薄い鋼板を複数枚重ねて製造することや、粉末状の金属を押し固めて製造することもできる。鉄心2は、コイル4との電気的な絶縁のために、樹脂など絶縁性の材料で成形されたボビン3で覆われる。ボビン3は図3に示すように鉄心2の長手方向の両端から挿入され、ボビン3の挿入後にコイル4が巻き回される。なおコイル4の主な素材は、銅やアルミなどである。
[0012]
 鉄心2へのコイル4の巻回は、たとえば鉄心2とボビン3を組み合わせたものを巻線機に固定し、電線の片方の端部をボビン3あるいはその周囲の治具に固定した状態において、鉄心2とボビン3を回転させてボビン3にコイル4を巻きつける方法をとることができる。また、電線の繰出し口であるノズルを、電線を繰出しながらボビン3の周囲を旋回させることによってコイル4を巻回してもよい。なお以下では、鉄心2に巻回する前の電線もコイル4と呼ぶ。
[0013]
(ボビン3の断面図)
 図4は、ボビン3の断面図である。図4はコイル4が巻き回される平面で切断しているので、図4の上下が高さ方向、図4の左右が幅方向である。ボビン3をその形状により便宜的に分割すると、ボビン3は長手方向に上から端部32、直線部31、端部32に分割される。図4に示すように、ボビン3の幅を以下ではボビン幅BWと呼ぶ。
[0014]
 直線部31の外形は直線で構成され、内部に鉄心2が挿入される空洞を有する。ただし直線部31は図3に示すように2つの部材の組み合わせにより形成されるため、図2に示すように長手方向の中間に切れ目が存在していてもよい。端部32は図4において2つ存在するが、形状は同一なのでここでは上部の端部32のみを説明する。端部32は、第1曲部12と、第2曲部13と、第3曲部14とを備える。第1曲部12および第3曲部14は、BWよりも大きい同一の曲率半径を有する円弧である。第2曲部13は、第1曲部12および第3曲部14よりも小さい曲率半径を有する円弧である。
[0015]
(端部32の詳細)
 図5は、端部32の詳細を示す図である。ただし図5では、それぞれの構成を明確にするために、直線部31と端部32の接合部、第1曲部12と第2曲部13の接合部、および第2曲部13と第3曲部14の接合部の間隔を開けて表示している。また図5において破線は直線部31と端部32の境界を示している。
[0016]
 第1曲部12の両端を接触端12A、頂点端12Bと呼ぶと、接触端12Aは直線部31と接触し、頂点端12Bは第2曲部13と接触する。第3曲部14の両端を接触端14A、頂点端14Bと呼ぶと、接触端14Aは直線部31と接触し、頂点端14Bは第2曲部13と接触する。第1曲部12、第2曲部13、および第3曲部14は上述した幾何的な特徴を有するので、直線部31と端部32との境界から第2曲部13の頂部までの長手方向の距離Lはボビン幅BWの半分を超える。
[0017]
(コイル4の巻回過程)
 図6は、ボビン3にコイル4を巻き回す過程を示す図である。図6において破線がコイル4を表す。図6では図示の都合によりボビン3とコイル4の間に隙間が生じているが、実際にはボビン3とコイル4は略密着する。コイル4はまず、図6(a)に示すように直線部31に沿って配される。次にコイル4は、図6(b)に示すように直線部31と第1曲部12の境界で軽く屈曲され、第1曲部12に沿って配される。そしてコイル4は、図6(c)に示すように第2曲部13において大きく屈曲される。このように、第2曲部13は大きな屈曲を生じさせる部位なので、以下では第2曲部13を「屈曲規定部」とも呼ぶ。最後にコイル4は、図6(d)に示すように第3曲部14と直線部31の境界で軽く屈曲される。なお以下では、図6に示した方向にコイル4を巻き付けることを、「ボビン3にコイル4を時計回りに巻回する」と言う。
[0018]
(ボビンの上端と下端の相違)
 ボビン3にコイル4を巻き回す際には、コイル4はボビン3の周囲を一周するごとに奥行き方向へおよそコイル4の厚み分移動する。コイルの密度を高めるために、この移動は図6に示すようにボビン3の端部で集中的に行われる。この移動はボビン3の上端部と下端部のいずれで行ってもよいが、ここでは上端部で行うとして説明を続ける。
[0019]
 図7(a)はボビン3の平面図、図7(b)はボビン3の下面図である。ただし図7ではコイル4を1層分のみ記載している。ボビン3の上端では図7(a)に示すように、コイル4がボビン3の端部を斜めに渡る。一方、ボビン3の下端では図7(b)に示すように、コイル4がボビン3の端部を平行に渡る。図7(a)と図7(b)のそれぞれにおいて、コイル4に沿ってボビン3を切断する切断面を、切断面6A、切断面6Bと呼ぶ。切断面6Bで切断して得られる断面が図4に示した切断面であり、切断面6Aで切断すると厳密には切断面の横幅はBWよりもわずかに大きくなる。しかし第1曲部12、第2曲部13、および第3曲部14のいずれもBWと同様の比率で大きくなるので、曲率半径と横幅の関係は維持される。すなわち、ボビン3の上端と下端のいずれでも以下に説明するように巻き膨らみが低減される。
[0020]
(巻き膨らみの低減)
 ボビン3は以下の3つの特徴的な構成を有するので、巻き膨らみが顕著に低減される。
 第1の特徴的な構成は、ボビン3の端部から長辺に向かってコイル4が巻回される箇所に配される、曲率半径の大きな第3曲部14である。第3曲部14の曲率半径が大きく、直線部31と滑らかに接続されることにより、巻回されるコイル4は巻き膨らみの小さな状態で直線部31へ巻回され始めることとなる。仮に第3曲部14の曲率半径が小さな場合には、十分に曲がりきらなかったコイル4がボビン3から大きく遊離してボビン3の長辺部へ巻回され始めることとなり、巻き膨らみが大きくなる原因となる。
[0021]
 第2の特徴的な構成は、直線部31からボビンの端部、すなわち第2曲部13に向かってコイル4が巻回される箇所に配される、曲率半径の大きな第1曲部12である。第1曲部12の曲率半径が大きく、ボビン3の直線部31と滑らかに接続されることにより、巻回されるコイル4は、強い曲げの影響を受けることなく、ボビン3の先端部に向けて緩やかな曲げを伴って巻回され、すでに通過した直線部31に巻回されたコイル4の巻き膨らみの大きさを増大させない。仮に第1曲部12の曲率半径が小さな場合には、第1曲部12に沿うように曲げられるコイル4は、急激な曲げ加工の影響を曲げの基点の前方および後方の両側に受け、すでに通過した長辺部に巻回されたコイル4は、ボビン3から遊離する方向に移動する力を受け、巻き膨らみが大きくなる原因となる。
[0022]
 第3の特徴的な構成は、ボビン3の先端部に配されてコイル4の曲げの基点となる、屈曲規定部である第2曲部13である。ボビン3の先端部付近に屈曲規定部を設けられるので、コイル4がボビン3の端部付近で強く曲げられる。したがって、直線部31と端部32の境界付近ではコイル4を急激に曲げる必要がなく、曲げ残しなどによる巻き膨らみの増大を防ぐことができる。
[0023]
(巻き膨らみ)
 図8は、コイル94の巻き膨らみを抑制しない場合に生じうる問題を示す図である。図8に示すボビン93は、上述したボビン3とは異なる形状を有する。図8では、簡略化のためコイル94をボビン93に一層だけ巻回している。また図8では図6と同様に、ボビン93にコイル94を時計回りに巻回している。図8に示すように、巻き膨らみによるコイル94と鉄心92との距離は、巻き回される前後で異なる。具体的には、端部に達する前のコイル94の膨らみ98よりも、端部に達した後のコイル94の膨らみ99の方が大きく、コイル94と鉄心92との距離がより離れる。そして、この巻きふくらみにより隣接するコイル94同士の距離が短くなる。そのため巻き膨らみが大きな場合には、鉄心92同士の距離を離すなどの対策が必要になる。また巻き膨らみの影響を最小にとどめるためには、巻き膨らみ最大箇所、すなわち図8の符号99の膨らみの箇所への対策だけでは十分ではなく、ボビン93の長辺全域にわたって巻き膨らみを低減することが必要である。
[0024]
 上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電動モータ100は、鉄心2を覆うボビン3にコイル4が巻き回されて形成される集中巻コイルを複数有する固定子1を備える。ボビン3は、直線部31と直線部31の長手方向に配される端部32とを備える。端部32は、直線部31と接しボビン幅BWの半分よりも大きな曲率半径を有する2つの曲部、すなわち第1曲部12および第3曲部14を備える。端部32はさらに、直線部31から長手方向にボビン幅BWの半分よりも離れて存在する屈曲規定部、たとえば第2曲部13を備える。そのため、コイル4の巻き膨らみを低減することができる。
[0025]
(2)第2曲部13は、第1曲部12および第3曲部14よりも小さな曲率半径を有する円弧形状を有する。
[0026]
(3)第1曲部12および第3曲部14は同一の曲率半径を有する。換言すると、端部32は左右対称である。そのため、図6に示したようにボビン3にコイル4を時計回りに巻回する場合だけでなく、ボビン3にコイル4を反時計回りに巻回する場合にも同様に巻きふくらみを抑制できる。集中巻モータにおいては、回転子の回転軸側から固定子の突極を見る向きにおいて、突極によってコイル4がボビン3に時計回りに巻回されるものと反時計回りに巻回されるものが混在する例が多く存在する。したがっていずれの巻回方向であっても巻き膨らみを低減できる本実施の形態におけるボビン3の形状は有用である。またボビン3が左右対称なので成形が容易である。
[0027]
(4)ボビン3は、2つの端部32と1つの直線部31を備え、直線部31は2つの端部32により挟まれる。すなわち本実施の形態では、ボビン3は上端と下端に同一形状の端部32を備える。そのため、全周にわたってコイル4の巻き膨らみを低減することができる。また2つの端部32の部品を共通化できるので製作や管理のコストを低減できる。
[0028]
(変形例1)
 第1曲部12と第3曲部14の曲率半径は異なっていてもよい。第1曲部12の曲率半径と第3曲部14の曲率半径のそれぞれが、ボビン幅BWの半分よりも大きければよい。
[0029]
(変形例2)
 第3曲部14の曲率半径は、第1曲部12および第3曲部14の曲率半径よりも小さいだけでなく、ボビン幅BWの半分よりも小さくしてもよい。
[0030]
(変形例3)
 端部32は、第1曲部12、第2曲部13、および第3曲部14の他に直線や曲線を含んで構成されてもよい。
[0031]
 図9は変形例3における端部32の形状を示す図である。本変形例における端部32は、図9に示すように、第1曲部12、第2曲部13、および第3曲部14の他に窪み16を有する。窪み16は、第1曲部12と第2曲部13との間、および第2曲部13と第3曲部14との間に存在し、ボビン3の内側に向かって窪んでいる。この窪み16により、ボビン3に使用する材料を削減できる。またこの窪み16が存在することにより、コイル4とボビン3の間に空気が流れる隙間が形成されるのでボビン3およびコイル4の放熱性が向上する。なお、以下の理由により、本変形例におけるボビン3の形態であっても、上述した第1の実施の形態と同様の巻き膨らみ低減効果を得られる。
[0032]
 図9に示すボビン3へのコイル4の巻回を考察すると、ボビン3の窪み16にコイル4が入り込むように巻回されることは、力学的に現実的ではない。換言すると、ボビン3に設けられた窪み16は、コイル4の実質的な巻き付け面ではない。この場合の実質的なコイル4の巻き付け面は、おおよそ、ボビン3の巻き付け面に細く柔らかな糸を巻回し、適度な張力をかけた際の糸の位置に存在し、ボビン3の周囲を最短で結ぶ曲線によって描かれる面である。したがって、変形例3におけるボビン3も上述した第1の実施の形態と同様の巻き膨らみ低減効果を得られる。
[0033]
(変形例4)
 ボビン3は端部32を少なくとも1つ備えればよい。たとえばボビン3は、上部は上述した端部32の形状を有し、下部は端部32とは異なる形状を有するボビンとしてもよい。
[0034]
(変形例5)
 第2曲部13を構成する弧の角度は180度以上でもよい。
 図10は、変形例5における端部32の形状を示す図である。図10に示すように、第2曲部13を構成する弧の角度が180度以上であってもよい。
[0035]
―第2の実施の形態―
 図11を参照して、本発明にかかる回転電機である電動モータの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、端部32の形状が第1の実施の形態と異なる。
[0036]
 図11は、第2の実施の形態における端部32Aの形状を示す図である。端部32Aは、第1曲部12と、接続部15と、第3曲部14とから構成される。第1曲部12の曲率半径がボビン幅BWの半分よりも大きい点は第1の実施の形態と同様であるが、さらに弧の高さ、すなわち直線部31と端部32Aとの境界から頂点端12Bまでの長手方向の距離Mがボビン幅BWの半分を超える。第3曲部14も同様であり、第3曲部14の曲率半径はボビン幅BWの半分よりも大きく、直線部31と端部32Aとの境界から頂点端14Bまでの長手方向の距離Mがボビン幅BWの半分を超える。接続部15は、第1曲部12の頂点端12Bと第3曲部14の頂点端14Bとを接続する直線である。
[0037]
 本実施の形態では、第1曲部12の頂点端12B、および第3曲部14の頂点端14Bが屈曲規定部となる。
[0038]
 上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)第1曲部12と第3曲部14のそれぞれは、直線部31と接する端部である接触端12Aおよび接触端14Aと、直線部31と接触しない端部である頂点端12Bおよび頂点端14Bとを備える。頂点端12Bおよび頂点端14Bは、直線部31から長手方向にボビン幅BWの半分よりも離れている。本実施の形態における屈曲規定部は、頂点端12Bおよび頂点端14Bである。
[0039]
(第2の実施の形態の変形例)
 接続部15は直線でなくてもよい。たとえば第1の実施の形態と同様に上に凸の円弧でもよいし、下に凸の円弧でもよい。
 図12は、第2の実施の形態の変形例における端部32Aの形状を示す図である。接続部15は下に凸の円弧形状を有する。本変形例においても、第2の実施の形態と同様に第1曲部12の曲率半径はボビン幅BWの半分よりも大きく、直線部31と端部32Aとの境界から頂点端12Bまでの長手方向の距離Mがボビン幅BWの半分を超える。また第3曲部14の曲率半径はボビン幅BWの半分よりも大きく、直線部31と端部32Aとの境界から頂点端14Bまでの長手方向の距離Mがボビン幅BWの半分を超える。本実施の形態では第1曲部12の頂点端12B、および第3曲部14の頂点端14Bが屈曲規定部の役割を果たすので、接続部15が下に凸の円弧であっても、第1の実施の形態と同様にコイル4の巻き膨らみを低減することができる。
[0040]
―第3の実施の形態―
 図13を参照して、本発明にかかる回転電機である電動モータの第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、端部32の形状が第1および第2の実施の形態と異なる。
[0041]
 図13は、第3の実施の形態における端部32Bの形状を示す図である。ただし図13では、それぞれの構成を明確にするために、直線部31と端部32Bの接合部、および第1曲部12と第3曲部14の接合部の間隔を開けて表示している。端部32Bは、第1曲部12と、第3曲部14とから構成される。第1曲部12の曲率半径がボビン幅BWの半分よりも大きい点は第1の実施の形態と同様であるが、さらに弧の高さ、すなわち直線部31と端部32Aとの境界から頂点端12Bまでの長手方向の距離Nがボビン幅BWの半分を超える。第3曲部14も同様であり、第3曲部14の曲率半径はボビン幅BWの半分よりも大きく、直線部31と端部32Aとの境界から頂点端14Bまでの長手方向の距離Nがボビン幅BWの半分を超える。
[0042]
 本実施の形態では、第1曲部12の頂点端12Bと第3曲部14の頂点端14Bとが接合しており、この接合点が屈曲規定部となる。換言すると、第1曲部12と第3曲部14の交点が本実施の形態における屈曲規定部である。なおこの接合点は、図13では端部32Bにおける幅方向の中心に存在するが、幅方向の中心からずれた位置に存在してもよい。
[0043]
 上述した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)屈曲規定部は、頂点端12Bおよび頂点端14Bの交点である。そのため端部32Bの構成を簡素化できる。
[0044]
―第4の実施の形態―
 図14を参照して、本発明にかかる回転電機である電動モータの第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、鉄心2とボビン3の接する箇所の形状が、第1の実施の形態と異なる。
[0045]
(構成)
 図14は第4の実施の形態におけるボビン3の形状を示す図である。ボビン3は鉄心2の端部と正対する面に、突起20あるいは窪み21を有する。このボビン3と組み合わせられる鉄心2は、ボビン3の突起20あるいは窪み21に対応し、これとはめ合いの関係となる窪みあるいは突起を有する。ボビン3の突起20と鉄心2のくぼみ、またはボビン3の窪み21と鉄心2の突起が嵌め合わされる。ボビン3は端部32の先端までが長いのでコイル4を巻回する際にボビン3がコイル4から力を受けやすいが、突起と窪みの嵌め合いにより鉄心2とボビン3の相対的な位置関係を一定に保つことができる。なお図14では、ボビン3は長手方向の上部に窪み21を有し下部に突起20を有するが、いずれも窪み21であってもよいし、いずれも突起20であってもよい。
[0046]
(鉄心2の製造方法)
 鉄心2は様々な方法で製造できるが、薄い鋼板を複数枚重ねて製造する場合は以下のように製造を簡略化できる。薄い鋼板を鉄心2の断面形状に打ち抜く際に、それぞれの鋼板には同じ個所にダボが形成される。このダボは、鋼板の片側に先端の尖った金属を打ち付けるなどして形成されるものである。そこでこのダボを上述した鉄心2の窪みまたは突起として利用することで、鉄心2に窪みまたは突起を形成する工程を省略できる。
[0047]
 上述した第4の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)鉄心2とボビン3は、突起と窪みの組み合わせにより嵌合される。ボビン3は端部32の先端までが長いのでコイル4を巻回する際にボビン3がコイル4から力を受けやすいが、突起と窪みの嵌め合いにより鉄心2とボビン3の相対的な位置関係を一定に保つことができる。
[0048]
―第5の実施の形態―
 図15を参照して、本発明にかかる回転電機である電動モータの第5の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、ボビンの端部の表面粗さを粗くする点で、第1の実施の形態と異なる。
[0049]
 図15は、第5の実施の形態におけるボビン3およびその製造工程を示す図である。ボビン3の外形は第1の実施の形態と同様であるが、表面粗さを規定する点が第1の実施の形態と異なる。すなわち、端部32の表面粗さは、直線部31の表面粗さよりも粗く、摩擦係数が大きい。そのため、コイル4の端部32における滑りが防止される。表面粗さを粗くする領域を表面粗さ付与面17と呼ぶと、表面粗さ付与面17は端部32の全域であってもよいし、端部32の一部であってもよい。
[0050]
 ボビン3は、上部金型35および下部金型36の中に絶縁性の材料を流し込んで成形される。上部金型35の内周部には、表面粗さ付与面17に対応する粗さ生成部34が形成されており、追加の加工を要さず成形のみによって表面粗さ付与面17を実現することができる。
[0051]
 上述した第5の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)端部32の表面粗さは、直線部31の表面粗さよりも粗い。ボビン3~コイル4間の摩擦係数が小さく滑りが発生しやすい場合には巻き膨らみが大きくなる可能性があるが、本実施の形態では端部32の表面粗さを粗くした。そのためコイル4のボビン3からの滑りを防止し、端部32の形状により得られる効果である巻き膨らみの防止の効果をより確実に奏することができる。
[0052]
(第5の実施の形態の変形例)
 表面粗さを加工する代わりに突起を設けてもよい。
 図16は、第5の実施の形態の変形例におけるボビン3を示す図である。ボビン3の外形は第1の実施の形態と同様であるが、端部32の表面に突起が設けられている。この突起はコイル4と接する面に設けられ、コイル4の滑りを防止する。突起の長さは特に限定されないが、コイル4の直径よりも短いことが望ましい。
[0053]
 本変形例によれば、次の作用効果が得られる。
(1)端部32はコイル4と接する面にコイル4の直径よりも短い突起を有する。そのためコイル4のボビン3からの滑りを防止し、端部32の形状により得られる効果である巻き膨らみの防止の効果をより確実に奏することができる。
[0054]
―第6の実施の形態―
 図17~図18を参照して、本発明にかかる回転電機である電動モータの第6の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第5の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、端部に貫通穴が備えられる点で、第1の実施の形態と異なる。
[0055]
 図17は、第6の実施の形態におけるボビン3を示す図である。ボビン3の外形、すなわちボビン3とコイル4が接する面の形状は第1の実施の形態と同様である。ボビン3は、奥行き方向に貫通する穴19を両端に備える。換言すると、穴19はコイル4が巻き回される平面、すなわち図17に示される高さ方向と幅方向を含む平面、を貫くものである。この穴19は以下に説明するようにボビン3にコイル4を巻回する際に利用される。なお直線部31は内部に鉄心2が挿入され、直線部31における端部32との境界付近の樹脂の幅は薄い。そのため直線部31に穴19を設けることは現実的ではなく、穴19は端部32に設けられることになる。ただし穴19が直線部31と端部32に跨って存在してもよい。
[0056]
 図18は、巻線機90にボビン3を組み付けてボビン3にコイル4を巻回する様子を示す図である。巻線機90は、巻線機土台38とピン37とを備える。ボビン3にコイル4を巻回す際には、巻線機土台38の上にボビン3が置かれ、ボビン3の穴19にピン37が差し込まれる。そして巻線機土台38が回転中心33を中心に回転して、コイル4がボビン3に巻回される。そのため巻線時にボビン3がコイル4から受ける力は、穴19、およびピン37を回して巻線機土台38に伝わる。すなわち、ボビン3の内部に高い応力が発生することを回避してボビン3が破壊されることを防止するとともに、ボビン3と鉄心2の相対的な位置関係を規制することができる。
[0057]
 上述した第6の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)端部32は、コイルが巻き回される平面を貫く穴19を有する。そのためボビン3の内部に高い応力が発生することを回避してボビン3が破壊されることを防止するとともに、ボビン3と鉄心2の相対的な位置関係を規制することができる。
[0058]
(第6の実施の形態の変形例)
 穴19の代わりに窪みを設けてもよい。第6の実施の形態において穴19は、巻線機土台38が回転する際にピン37と組み合わされてボビン3を巻線機土台38に固定する役割を有していた。そのためボビン3は貫通穴である穴19の代わりにピン37と組み合わされて、巻線機土台38に固定することができる窪みを備えてもよい。この窪みは、コイル4が巻き回される平面、すなわち図17に示される高さ方向と幅方向を含む平面に垂直である。たとえば、穴19の一方の出口を塞ぐことにより形成される窪みが本変形例における窪みである。
[0059]
 上述した各実施の形態および変形例では、固定子1の各突極部を分割した分割鉄心型を例に挙げて図示しているが、一体コアなどの分割鉄心型でない鉄心であってもよい。また、ボビン3は、あらかじめ成形し、鉄心の両端から挿入する方法を例に挙げたが、鉄心2をモールドするように成形してもよいし、分割されずに一体であってもよい。ボビン3の材質は、一例として樹脂を挙げたが、鉄心2とコイル4の間に必要なだけの電気的な絶縁を提供できればよく、材質は問わない。またボビン3の構造は、主にコイル4の巻き付け面となる箇所について記述したが、巻き付け面の周囲に、コイル4の位置ずれを防止するための土手や、巻回位置を規制するための構造物を設けてもよく、そのような場合でも本発明の本質は不変である。
[0060]
 上述した各実施の形態および変形例では、コイル4の端部32への巻き付け面を固定子1の径方向に進んだ場合の形状の変化に言及していない。しかし、目的とする形状にあわせて、コイル4の端部32への巻き付け面を固定子1の径方向にあわせて変化させてもよい。たとえば、一周の巻回ごとにコイル4の先端の位置を変化させるためにボビン3の先端の位置が異なってもよいし、コイル4の巻き始めや巻き終わり箇所など、特に巻き膨らみの顕著な箇所のみに本発明のボビン3端部形状を適用してもよい。
[0061]
 端部32の詳細な形状は、コイル4の最小曲げ半径や、巻回時にコイル4にかかる張力に留意することが望ましい。コイル4の絶縁被膜の破壊を防止することを考えると、コイル4の最小曲げ半径は、コイル4の線径の半分以上であることが望ましい。換言すると、第2曲部13の曲率半径や接続部15の形状などは、使用するコイル4の線径を考慮して決定することが望ましい。また、張力はコイル4が伸びずに巻回できる張力がおよそ100MPaであることや伸びを5%に留める張力がおよそ180MPaであることを考慮して巻回されることが望ましい。なお上述した各実施の形態および変形例のボビン3の形状を採用することにより巻き膨らみが低減できるため、巻線張力を強めることにより巻き膨らみを低減する手法を採用する必要がなく、従来よりも巻線張力を低減させて巻回することにより、コイル4の損傷や伸びを低減することも可能である。
[0062]
 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。たとえば第4の実施の形態、第5の実施の形態、第6の実施の形態に示す特徴を全て兼ね備えるボビンも本発明の範囲に含まれる。上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
[0063]
 次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
 日本国特許出願2017-112991号(2017年6月7日出願)

符号の説明

[0064]
1…固定子
2…鉄心
3…ボビン
4…コイル
12…第1曲部
12A、14A…接続端
12B、14B…頂点端
13…第2曲部
14…第3曲部
19…穴
20…突起
21…窪み
31…直線部
32、32B…端部
100…電動モータ

請求の範囲

[請求項1]
 鉄心を覆うボビンにコイルが巻き回されて形成される集中巻コイルを複数有する固定子を備える回転電機であって、
 前記ボビンは、直線部と前記直線部の長手方向に配される端部とを備え、
 前記端部は、前記直線部と接し前記ボビンの幅の半分よりも大きな曲率半径を有する2つの曲部と屈曲規定部とを備え、
 前記屈曲規定部の少なくとも一部は前記直線部から前記長手方向に前記ボビンの幅の半分よりも離れた位置に存在する回転電機。
[請求項2]
 請求項1に記載の回転電機において、
 前記屈曲規定部は、前記2つの曲部の交点である回転電機。
[請求項3]
 請求項1に記載の回転電機において、
 前記屈曲規定部は、前記ボビンの幅の半分よりも小さな曲率半径を有する円弧形状を有する回転電機。
[請求項4]
 請求項1に記載の回転電機において、
 前記2つの曲部のそれぞれは、前記直線部と接する端部である接触端と前記直線部と接触しない端部である頂点端とを備え、
 前記2つの曲部の前記頂点端は、前記直線部から前記長手方向に前記ボビンの幅の半分よりも離れており、
 前記屈曲規定部は、前記頂点端である回転電機。
[請求項5]
 請求項1に記載の回転電機において、
 前記鉄心と前記ボビンは、突起と窪みの組み合わせにより接合される回転電機。
[請求項6]
 請求項1に記載の回転電機において、
 前記端部の表面粗さは、前記直線部の表面粗さよりも粗い回転電機。
[請求項7]
 請求項1に記載の回転電機において、
 前記端部は前記コイルと接する面に前記コイルの直径よりも短い突起を有する回転電機。
[請求項8]
 請求項1に記載の回転電機において、
 前記端部は、前記コイルが巻き回される平面を貫く穴、または前記平面に垂直な窪みを有する回転電機。
[請求項9]
 請求項1に記載の回転電機において、
 前記2つの曲部は同一の曲率半径を有する回転電機。
[請求項10]
 請求項1に記載の回転電機において、
 前記ボビンは、2つの前記端部と1つの前記直線部を備え、前記直線部は2つの前記端部により挟まれる回転電機。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]