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1. (WO2018194113) 冷媒を含有する組成物及びその応用
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明 細 書

発明の名称 冷媒を含有する組成物及びその応用

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083  

実施例

0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100  

符号の説明

0101  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 冷媒を含有する組成物及びその応用

技術分野

[0001]
 本発明は、冷媒を含有する組成物及びその応用に関する。

背景技術

[0002]
 近年、エアコン、冷凍機、冷蔵庫等に使用される冷媒としては、ジフルオロメタン(CH 2F 2、R32、沸点-52℃)、ペンタフルオロエタン(CF 3CHF 2、R125、沸点-48℃)、1,1,1-トリフルオロエタン(CF 3CH 3、R143a、沸点-47℃)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(CF 3CH 2F、R134a、沸点-26℃)、1,1-ジフルオロエタン(CHF 2CH 3、R152a、沸点-24℃)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF 3CF=CH 2、1234yf、沸点-29℃)等の、その分子構造中に塩素を含まないフッ素化炭化水素が用いられている。
[0003]
 これまでに、上記のフッ素化炭化水素のうち、R32/R125/R134aからなる3成分混合冷媒であって、その組成が23/25/52重量%であるもの(R407C)、R125/143a/R134aからなる3成分混合冷媒であって、その組成が44/52/4重量%であるもの(R404A)等が提案されている。現在、R404Aが冷凍用及び冷蔵用の冷媒として広く用いられている(特許文献1、2等)。
[0004]
 しかしながら、R404Aの地球温暖化係数(GWP)は3922と極めて高く、含塩素フッ素化炭化水素類の一つであるCHClF 2(R22、GWP=1810)と比べてさらに高いことが分かっている。従って、R404Aの代替冷媒として、R404Aと同等の冷凍能力を有し、R404Aと比較して冷凍サイクルで消費された動力と冷凍能力との比(成績係数(COP))が同等もしくはそれ以上であり、GWPが小さく、圧縮機出口温度が低く、かつR404A同様に不燃冷媒(ASHRAE不燃(ANSI/ASHRAE34-2013で定義されるクラス1の冷媒))の性能を兼ね備える冷媒の開発が求められている。
[0005]
 また、R404A以前に冷凍用及び冷蔵用の冷媒として使用されていた含塩素フッ素化炭化水素類(HCFC)としてCHClF 2(R22)を使用する冷凍機もまだ数多く残っているが、HCFCはモントリオール議定書により先進国は2020年に全廃が求められ、途上国は段階的削減(第1:10%、第2:35%)することが求められている。これらの冷凍機には、R22の代替冷媒として、冷凍サイクルにおいてR22を用いる場合と同等な圧縮機出口圧力となる冷媒(いわゆるR22レトロフィット冷媒)であって、GWPが小さく、かつR22と同様に不燃冷媒(ASHRAE不燃(ANSI/ASHRAE34-2013で定義されるクラス1の冷媒))の性能を兼ね備える冷媒の開発も求められている。
[0006]
 本発明に関連する他の先行文献として、特許文献3、4等がある。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 日本国特許第2869038号公報
特許文献2 : 米国特許第8,168,077号公報
特許文献3 : 日本国特許第5689068号公報
特許文献4 : 日本国特表2013-529703号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 特許文献3及び4では、R404Aの代替冷媒として、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)を含む冷媒組成物が報告されている。しかしながら、R404Aと同等の冷凍能力を有し、R404Aと比較してCOPが同等もしくはそれ以上であり、GWPが小さく、圧縮機出口温度が130℃以下で、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える冷媒組成物の開発には至っていない。
[0009]
 本発明は、現在汎用されているR404Aと同等の冷凍能力を有し、R404Aと比較してCOPが同等もしくはそれ以上であり、GWPが1500以下であり、圧縮機出口温度が130℃以下で、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える、冷媒を含有する組成物を提供することを目的とする。また、R22と圧縮機出口圧力が同等で、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える、冷媒を含有する組成物を提供することをも目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意研究を行った結果、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)を特定濃度で含む、冷媒を含有する組成物が、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
[0011]
 すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供するものである。
項1.冷媒を含有する組成物であって、
 前記冷媒が、フッ素化炭化水素の混合物を含有し、
 前記混合物は、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)をこれらの濃度の総和で99.5重量%以上含有し、
 前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125及びR134aの濃度の総和を100重量%とする3成分組成図において、
点G(R32/R125/R134a=25.5/12.7/61.8重量%)、
点T(R32/R125/R134a=24.9/9.3/65.8重量%)、
点R(R32/R125/R134a=19.5/4.3/76.2重量%)及び
点I(R32/R125/R134a=17.5/9.8/72.7重量%)、
の4点を頂点とする四角形で囲まれる範囲内の組成比を有し、
 R22又はR404Aの代替冷媒として用いられる、組成物。
項2.冷媒を含有する組成物であって、
 前記冷媒が、フッ素化炭化水素の混合物を含有し、
 前記混合物は、R32、R125及びR134aをこれらの濃度の総和で99.5重量%以上含有し、
 前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125及びR134aの濃度の総和を100重量%とする3成分組成図において、
点G’(R32/R125/R134a=25.2/11.4/63.4重量%)、
点T (R32/R125/R134a=24.9/9.3/65.8重量%)、
点R (R32/R125/R134a=19.5/4.3/76.2重量%)及び
点I’(R32/R125/R134a=17.9/8.7/73.4重量%)、
の4点を頂点とする四角形で囲まれる範囲内の組成比を有する、項1に記載の組成物。
項3.前記混合物は、更に水を含有する、項1又は2に記載の組成物。
項4.更にトレーサー、相溶化剤、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、項1~3のいずれかに記載の組成物。
項5.前記混合物が、R32、R125及びR134aのみからなる、項1又は2に記載の組成物。
項6.更に冷凍機油を含有し、冷凍機用作動流体として用いられる、項1~5のいずれかに記載の組成物。
項7.前記冷凍機油が、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項6に記載の組成物。
項8.冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、チラー(チリングユニット)、ターボ冷凍機及びスクリュー冷凍機からなる群から選択される少なくとも1種に使用する、項1~7のいずれかに記載の組成物。
項9.項1~7のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む、冷凍方法。
項10.項1~7のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する、冷凍機の運転方法。
項11.項1~7のいずれかに記載の組成物を含む冷凍機。

発明の効果

[0012]
 本発明の冷媒を含有する組成物は、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)を特定濃度で含む混合物を含有し、当該組成物は、HCFC冷媒であるR22の代替冷媒、又は混合冷媒であるR404A(R125/R134a/R143a=44/4/52重量%)の代替冷媒として用いられる。また、当該組成物は、R404Aと同等程度の冷凍能力を有し、R404Aと比較してCOPが同等もしくはそれ以上であり、GWPが1500以下であり、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備えている。このような本発明の冷媒を含有する組成物は、冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法に用いる作動流体として好適である。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] R32、R125及びR134aの3成分組成図における、本発明の冷媒を含有する組成物に含有される混合物の組成(点G、T、R及びIで囲まれる四角形)を示す図である。
[図2] R32、R125及びR134aの3成分組成図における、GWPが1500以下で、圧縮機出口温度が147.5℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して107.5%以上となる混合物の組成(点O、P及びQで囲まれる三角形)を示す図である。
[図3] R32、R125及びR134aの3成分組成図における、本発明の実施例及び比較例の関係を示す図である。
[図4] R32、R125及びR134aの3成分組成図における、P:ASHRAE不燃限界線とP’:許容範囲を加味したASHRAE不燃限界線との関係を示す図である。
[図5] 燃焼性試験に用いた装置の模式図である。

発明を実施するための形態

[0014]
<用語の定義>
 本明細書において用語「冷媒」には、ISO817(国際標準化機構)で定められた、冷媒の種類を表すRで始まる冷媒番号(ASHRAE番号)が付された化合物が少なくとも含まれ、さらに冷媒番号が未だ付されていないとしても、それらと同等の冷媒としての特性を有するものが含まれる。冷媒は、化合物の構造の面で、「フルオロカーボン系化合物」と「非フルオロカーボン系化合物」とに大別される。「フルオロカーボン系化合物」には、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)が含まれる。「非フルオロカーボン系化合物」としては、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、二酸化炭素(R744)及びアンモニア(R717)等が挙げられる。
[0015]
 本明細書において、用語「冷媒を含有する組成物」には、(1)冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と、(2)その他の成分をさらに含み、少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることのできる組成物と、(3)冷凍機油を含有する冷凍機用作動流体とが少なくとも含まれる。本明細書においては、これら三態様のうち、(2)の組成物のことを、冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と区別して「冷媒を含有する組成物」と表記する。
[0016]
 本明細書において、用語「代替」は、第一の冷媒を第二の冷媒で「代替」するという文脈で用いられる場合、第一の類型として、第一の冷媒を使用して運転するために設計された機器において、必要に応じてわずかな部品(冷凍機油、ガスケット、パッキン、膨張弁、ドライヤその他の部品のうち少なくとも一種)の変更及び機器調整のみを経るだけで、第二の冷媒を使用して、最適条件下で運転することができることを意味する。すなわち、この類型は、同一の機器を、冷媒を「代替」して運転することを指す。この類型の「代替」の態様としては、第二の冷媒への置き換えの際に必要とされる変更乃至調整の度合いが小さい順に、「ドロップイン(drop in)代替」、「ニアリー・ドロップイン(nealy drop in)代替」及び「レトロフィット(retrofit)」があり得る。
[0017]
 第二の類型として、第二の冷媒を用いて運転するために設計された機器を、第一の冷媒の既存用途と同一の用途のために、第二の冷媒を搭載して用いることも、用語「代替」に含まれる。この類型は、同一の用途を、冷媒を「代替」して提供することを指す。
[0018]
 本明細書において用語「冷凍機(refrigerator)」とは、物あるいは空間の熱を奪い去ることにより、周囲の外気よりも低い温度にし、かつこの低温を維持する装置全般のことをいう。言い換えれば、冷凍機は温度の低い方から高い方へ熱を移動させるために、外部からエネルギーを得て仕事を行いエネルギー変換する変換装置のことをいう。
[0019]
 本発明の冷媒を含有する組成物は、前記冷媒が、フッ素化炭化水素の混合物を含有し、前記混合物は、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)をこれらの濃度の総和で99.5重量%以上含有する。
 前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比は、R32、R125及びR134aの濃度の総和を100重量%とする3成分組成図(図1)において、
点G(R32/R125/R134a=25.5/12.7/61.8重量%)、
点T(R32/R125/R134a=24.9/9.3/65.8重量%)、
点R(R32/R125/R134a=19.5/4.3/76.2重量%)及び
点I(R32/R125/R134a=17.5/9.8/72.7重量%)、
の4点を頂点とする四角形で囲まれる範囲内の組成比を有する。
 本発明の冷媒を含有する組成物は、HCFC冷媒であるR22の代替冷媒、又は混合冷媒であるR404A(R125/R134a/R143a=44/4/52重量%)の代替冷媒として用いられる。
[0020]
 本発明の冷媒を含有する組成物は、R404Aと比較して、同等の不燃性、代替可能な冷凍能力等を有し、COPが同等もしくはそれ以上であり、且つGWPが1500以下であるという性能を兼ね備える。具体的には、本発明の冷媒を含有する組成物は、R404Aと同様に、ASHRAE不燃(定義などの詳細は後述する)であることにより、可燃性冷媒に比して安全性が高く使用可能範囲が広い。
[0021]
 GWPについては1500以下とすることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷媒と比べてより一層顕著に環境負荷を抑えることができる。また、GWPについては1475以下とすることにより、環境負荷をより格別に抑えることができるため、好ましい。さらに、ASHRAE不燃であることにより、可燃性冷媒に比して安全性が高く使用可能範囲が広い。
[0022]
 R404Aに対する冷凍能力については、R404Aに対して代替可能な冷凍能力であればよく、具体的にはR404Aに対して76.5%以上であり、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。R404Aは冷凍用及び冷蔵用の冷媒として現在広く用いられている冷媒であり、本発明の冷媒を含有する組成物は従来から知られているR404Aを含有する冷媒組成物の代替組成物であることができる。
[0023]
 また、冷凍サイクルでの圧縮機出口温度は、機器及び冷凍機油劣化防止の観点から、130℃以下が好ましい。
[0024]
 さらに、R404Aに対するCOPについては、同等もしくはそれ以上(100%以上)であればよいが、105%以上が好ましく、107.5%以上がより好ましく、110%以上が更に好ましく、112%以上が特に好ましい。
[0025]
 本発明の冷媒を含有する組成物に含まれる混合物は、冷凍サイクルにおける圧縮機出口圧力がR22と同等(R22レトロフィット)であることが好ましい。R22は冷凍用及び冷蔵用の冷媒としてR404A普及以前の冷媒として広く使用され、R22を冷媒とした冷凍機もまだ数多く残っているが、HCFC規制により先進国では2020年にR22は廃止予定であるので、代替冷媒が強く求められている。R22を使用している冷凍機の代替冷媒となるには、冷凍サイクルにおいて最大圧力となる圧縮機出口圧力がR22と同等であることが必須である。さらに、圧縮機出口圧力については、R22に対して110%以下が好ましく、100%以下がより好ましい。
[0026]
 本発明の冷媒を含有する組成物は、当該冷媒が、フッ素化炭化水素の混合物を含有し、当該混合物が基本3成分、即ちジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)のみから形成されてもよい。
[0027]
  フッ素化炭化水素の混合物
 本発明の実施形態の一例による冷媒を含有する組成物(形態1)は、
 前記冷媒が、フッ素化炭化水素の混合物を含有し、
 前記混合物は、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)をこれらの濃度の総和で99.5重量%以上含有する。
 前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比は、R32、R125及びR134aの濃度の総和を100重量%とする3成分組成図(図1)において、
点G(R32/R125/R134a=25.5/12.7/61.8重量%)、
点T(R32/R125/R134a=24.9/9.3/65.7重量%)、
点R(R32/R125/R134a=19.5/4.3/76.2重量%)及び
点I(R32/R125/R134a=17.5/9.8/72.7重量%)、
の4点を頂点とする四角形で囲まれる範囲内の組成比を有する。
 前記組成物は、HCFC冷媒であるR22の代替冷媒、又は混合冷媒であるR404Aの代替冷媒として用いられる。
[0028]
 形態1において、点T及び点Rの二点を通る直線(P’)は、R32、R125及びR134a製造時の許容範囲(許容濃度)を±2.0%と設定した場合のASHRAE不燃限界線であり、点G及び点Iの二点を通る直線(L)は、GWP1500となる組成比を示す線である。また、点I及び点Rの二点を通る直線は、冷凍能力がR404Aに対して76.5%である組成比を示す線であり、点G及び点Tの二点を通る直線は、圧縮機出口温度が130℃を示す線である。
[0029]
 点GTRIで囲まれる四角形は、GWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が130℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して76.5%以上となる領域を示す。
[0030]
 形態2の場合は、冷媒を含有する組成物であって、
 前記冷媒が、フッ素化炭化水素の混合物を含有し、
 前記混合物は、R32、R125及びR134aをこれらの濃度の総和で99.5重量%以上含有する。
 前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比は、R32、R125及びR134aの濃度の総和を100重量%とする3成分組成図(図1)において、
点G’(R32/R125/R134a=25.2/11.4/63.4重量%)、
点T (R32/R125/R134a=24.9/9.3/65.8重量%)、
点R (R32/R125/R134a=19.5/4.3/76.2重量%)及び
点I’(R32/R125/R134a=17.9/8.7/73.4重量%)、
の4点を頂点とする四角形で囲まれる範囲内の組成比を有する。
 前記組成物は、R22の代替冷媒、又は混合冷媒であるR404Aの代替冷媒として用いられる。
[0031]
 形態2において、点G’はAR4基準のGWP=1475(図1の直線L’)であって圧縮機出口温度が130℃になる組成比を示す。また、点I’はAR4基準のGWP=1475であって冷凍能力がR404Aに対して76.5%となる組成比を示す。
[0032]
 点G’TRI’で囲まれる四角形は、GWPが1475以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が130℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して76.5%以上となる領域を示す。
[0033]
 冷凍能力の向上の観点からは、下記形態3が特に好ましい形態として挙げられる。
[0034]
 形態3の場合は、冷媒を含有する組成物であって、前記冷媒が、フッ素化炭化水素の混合物を含有する。前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比は、R32、R125及びR134aの濃度の総和を100重量%とする3成分組成図(図2)において、
点O(R32/R125/R134a=47.5/20.7/31.8重量%)、
点P(R32/R125/R134a=38.1/17.3/44.6重量%)及び
点Q(R32/R125/R134a=43.1/6.8/50.1重量%)
の3点を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する。
 前記冷媒を含有する組成物は、混合冷媒であるR404Aの代替冷媒として用いられる。
[0035]
 形態3において、点O及び点QはAR4基準のGWP=1500となる組成比を示す。
[0036]
 点OPQで囲まれる三角形は、GWPが1500以下で、圧縮機出口温度が147.5℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して107.5%以上となる領域を示す。
[0037]
 詳細は後述するが、図1において、点X及び点Yの二点を通る直線P’はR32、R125及びR134a製造時の許容範囲(許容濃度)を±2.0%と設定した場合のASHRAE不燃限界線を示し、点A及び点Bの二点を通る直線LはAR4基準でGWP1500となる組成比を示す線を示し、点I及び点Jの二点を通る直線は冷凍能力がR404Aに対して76.5%である組成比を示す線を示す。
[0038]
 以下、図1~図4中の各点の技術的意味について詳しく説明する。
[0039]
 図4において、R32の重量%=x、R125の重量%=y及びR134aの重量%=zとするとき、ASHRAE不燃限界線を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
[0040]
 ASHRAE不燃限界線:図4の線分P
 y=0.9286x-17.643
 z=100-x-y
 19.0≦x≦61.0
[0041]
 ここで、ASHRAEによる冷媒の可燃性分類について説明する。
[0042]
 ASHRAEでは、冷媒の可燃性分類はANSI/ASHRAE Standard34-2013に基づいて行われ、クラス1に分類されるものが不燃性冷媒である。つまり、本発明の冷媒を含有する組成物がASHRAE不燃であることは、本発明で用いるフッ素化炭化水素の混合物(特に基本3成分)がその可燃性分類において前記クラス1に分類されることを意味する。
[0043]
 具体的には、ANSI/ASHRAE34-2013に基づいた貯蔵、輸送、使用時の漏洩試験を行うことでWCFF(Worst case of fractionation for flammability:最も燃え易い混合組成)を特定し、WCFF組成がASTM E681-09〔化学品(蒸気及び気体)の引火性濃度限界の標準試験法〕に基づいた試験で不燃と特定できた場合がクラス1に分類される。
[0044]
 図1では、線分XYからR125側はASHRAE不燃混合冷媒となり、R32側はASHRAE可燃性混合冷媒(クラス2:微燃性混合冷媒、クラス3:強燃性混合冷媒)に分類される。
[0045]
 但し、混合冷媒の製造では混合冷媒の中心組成が図1の線分XYからR125側にあっても、各冷媒ごとに許容範囲(許容誤差)が設定されているため、許容範囲全てが線分XYよりR125側にならないとASHRAE不燃混合冷媒とは定義されない。
[0046]
 例えば、R32=28.0重量%±2.0重量%、R125=12.2重量%±2.0重量%、R134a=59.8重量%±2.0重量%は、図4に示すように許容範囲の全てが線分XYよりR125側になるので、この許容範囲を設定した混合冷媒ではASHRAE不燃混合冷媒と分類される。また、R32=48.0重量%±2.0重量%、R125=30.8重量%±2.0重量%、R134a=21.2重量%±2.0重量%は、図4に示すように許容範囲の全てが線分XYよりR125側になるので、この許容範囲を設定した混合冷媒ではASHRAE不燃混合冷媒と分類される。
[0047]
 R32の許容範囲を±2.0重量%、R125の許容範囲を±2.0重量%、R134aの許容範囲を±2.0重量%とした場合、許容範囲の全てが線分XYよりR125側になる範囲を許容範囲を加味したASHRAE不燃限界線とし、詳細を図4に示す。
[0048]
 図4において、WCF(Worst case of fractionation)は許容範囲内で一番燃えやすい点を示しており、中心組成が(28.0/12.2/59.8)の場合はWCFは線分P上で(30.0/10.2/59.8)となる。また、中心組成が(48.0/30.8/21.2)の場合はWCFは線分P上で(50.0/28.8/21.2)となる。このように、R32の許容範囲を±2.0重量%、R125の許容範囲を±2.0重量%、R134aの許容範囲を±2.0重量%とした場合許容範囲内がすべてASHRAE不燃となるのは、中心組成が(28.0/12.2/59.8)や(48.0/30.8/21.2)を通る直線となり、ASHRAE不燃の式と傾きが0.9286で同じでこれらの中心組成を通る式が許容範囲を加味したASHRAE不燃限界線となり、下記式にて近似される。
[0049]
 許容範囲を加味したASHRAE不燃限界線:点X及び点Yの二点を通る直線
(図1~4の線分P’)
 y=0.9286x-13.80
 z=100-x-y
 14.9≦x≦59.0
[0050]
 図1~3おいて、R32の重量%=x、R125の重量%=y及びR134aの重量%=zとするとき、GWP=1500、GWP=1475となる組成比を示す線分は、以下の式によって表わされる線分に近似される。
[0051]
 GWP=1500となる組成比を示す線分:点A及びBの二点を通る直線(図1~3の線分L)
 y=0.3644x+3.400
 z=100-x-y
 0≦x≦70.8
[0052]
 GWP=1475となる組成比を示す線分:点A’及びB’の二点を通る直線(図1~3の線分L’)
 y=0.3644x+2.20
 z=100-x-y
 0≦x≦71.7
[0053]
 また、冷凍能力がR404Aに対して76.5%である組成比を示す線分は、それぞれ以下の式によって表わされる線分に近似される、また、許容範囲を加味したASHRAE不燃限界線(y=0.9286x-13.80)との交点は以下で示される。
[0054]
 R404Aに対して76.5%である組成比を示す線分:点I及び点Jの二点を通る直線(図1~3の線分IJ)
 y=-2.80x+58.80
 z=100-x-y
 17.5≦x≦21.0
[0055]
 許容範囲を加味したASHRAE不燃限界線との交点は、R=(19.2/4.3/76.2)(図1~3の点R)で示される。また、GWP=1475の線との交点は、I’=(17.9/8.7/73.4)で示される。
[0056]
 さらに、圧縮機出口温度が130℃、140℃及び150℃である組成比を示す線分は、それぞれ以下の式によって表わされる線分に近似される、また、許容範囲を加味したASHRAE不燃限界線(y=0.9286x-13.80)との交点は以下で示される。
[0057]
 圧縮機出口温度が130℃である組成比を示す線分:点G及び点Hの二点を通る直線(図1~3の線分GH)
 y=5.2917x-122.24
 z=100-x-y
 23.1≦x≦25.5
[0058]
 許容範囲を加味したASHRAE不燃限界線との交点は、T=(24.9/9.3/65.8)(図1~3の点T)で示される。
[0059]
 また、GWP=1475との交点は、G’=(25.2/11.4/63.4)で示される。
[0060]
 圧縮機出口温度が140℃である組成比を示す線分:点E及び点Fの二点を通る直線(図2の線分EF)
 y=4.1463x-138.07
 z=100-x-y
 33.3≦x≦37.4
[0061]
 圧縮機出口温度が150℃である組成比を示す線分:点C及び点Dの二点を通る直線(図2の線分CD)
 y=3.2353x-143
 z=100-x-y
 44.2≦x≦51.0
[0062]
  基本3成分以外の他の成分
 本発明の冷媒を含有する組成物に含有される混合物は、基本3成分(R32、R125及びR134a)に加えて、微量の水をさらに含んでもよく、その量は、前記混合物100重量%に対して、0.1重量%以下とすることが好ましい。また、本発明の冷媒を含有する組成物に含有される混合物は、基本3成分及び水のみからなる態様も含まれる。混合物が微量の水分を含むことで、冷媒を含有する組成物中に含まれ得る不飽和のフッ素化炭化水素類の分子内二重結合が安定に存在でき、また、不飽和のフッ素化炭化水素類の酸化も起こりにくくなるため、結果として混合物及び冷媒を含有する組成物の安定性が向上する。
[0063]
 本発明の冷媒を含有する組成物に含有される混合物は、基本3成分(R32、R125及びR134a)に加えて、他の成分(基本3成分とは異なるフッ素化炭化水素)を含有することができる。他の成分としてのフッ素化炭化水素は特に限定されず、HCFC-1122、HCFC-124、CFC-1113及び3,3,3-トリフルオロプロピンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素化炭化水素が挙げられる。
[0064]
 本発明の冷媒を含有する組成物に含有される混合物は、基本3成分(R32、R125及びR134a)に加えて、他の成分として式(1):C mH nX p[式中、Xはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又は臭素原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも1種のハロゲン化有機化合物を含有することができる。他の成分としてのハロゲン化有機化合物は特に限定されず、例えば、ジフルオロクロロメタン、クロロメタン、2-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン、2-クロロ-1,1-ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン等が好ましい。
[0065]
 本発明の冷媒を含有する組成物に含有される混合物は、基本3成分(R32、R125及びR134a)に加えて、他の成分として式(2):C mH nX p[式中、Xはそれぞれ独立してハロゲン原子ではない原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも1種の有機化合物を含有することができる。他の成分としての有機化合物は特に限定されず、例えば、プロパン、イソブタン等が好ましい。
[0066]
 前述の通り、混合物が他の成分(基本3成分とは異なるフッ素化炭化水素)を含む場合には、混合物中の他の成分の含有量は、他の成分が単独又は2種以上で含まれるいずれの場合であっても合算量として0.5重量%未満が好ましく、0.3重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下が特に好ましい。
[0067]
  任意の添加剤
 本発明の冷媒を含有する組成物は、前記混合物の他に、種々の添加剤を適宜含むことができる。
[0068]
 本発明の冷媒を含有する組成物は、さらに少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることができる。
 冷凍機用作動流体は、冷凍機の圧縮機において使用される冷凍機油と、本発明の冷媒を含有する組成物とが互いに混じり合うことによって得られる。冷凍機用作動流体には、冷凍機用作動流体中冷凍機油が、通常、本発明の冷媒を含有する組成物と冷凍機油との合計量を100重量%とした場合に、1~50重量%含まれる。
[0069]
 冷凍機油としては、特に限定されず、一般に用いられる冷凍機油の中から適宜選択することができる。その際には、必要に応じて、前記混合物との相溶性(miscibility)及び前記混合物の安定性等を向上する作用等の点でより優れている冷凍機油を適宜選択することができる。
[0070]
 冷凍機油の種類は、より具体的には、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
[0071]
 冷凍機油は、例えば、40℃における動粘度が5~400 cStであるものを用いることができる。動粘度がこの範囲内にあると、潤滑性の点で好ましい。
[0072]
 本発明の冷媒を含有する組成物は、一種以上のトレーサーをさらに含むことができる。トレーサーは、本発明の冷媒を含有する組成物が希釈、汚染、その他何らかの変更があった場合、その変更を追跡できるように検出可能な濃度で本発明の冷媒を含有する組成物に添加される。トレーサーとしては、特に限定されず、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N 2O)等が好ましく、ハイドロフルオロカーボン又はフルオロエーテルが特に好ましい。
[0073]
 本発明の冷媒を含有する組成物は、相溶化剤をさらに含むことができる。相溶化剤の種類は特に限定されず、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテルおよび1,1,1-トリフルオロアルカン等が好ましく、ポリオキシアルキレングリコールエーテルが特に好ましい。
[0074]
 本発明の冷媒を含有する組成物は、一種以上の紫外線蛍光染料をさらに含むことができる。紫外線蛍光染料としては、特に限定されず、ナフタルイミド、クマリン、アントラセン、フェナントレン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン及びフルオレセイン、並びにこれらの誘導体が好ましく、ナフタルイミド及びクマリンのいずれか又は両方が特に好ましい。
[0075]
 本発明の冷媒を含有する組成物は、必要に応じて、安定剤、重合禁止剤等をさらに含むことができる。
[0076]
 安定剤としては、特に限定されず、(i)ニトロメタン、ニトロエタン等の脂肪族ニトロ化合物、ニトロベンゼン、ニトロスチレン等の芳香族ニトロ化合物、(ii)1,4-ジオキサン等のエーテル類、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアミン、ジフェニルアミン等のアミン類、ブチルヒドロキシキシレン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。安定剤は、単独で又は2種以上を組み合わせであることができる。
[0077]
 安定剤の濃度は、安定剤の種類により異なるが、本発明の冷媒を含有する組成物の性質に支障を与えない程度とすることができる。安定剤の濃度は前記混合物100重量部に対して、通常、0.01~5重量部程度とすることが好ましく、0.05~2重量部程度とすることがより好ましい。
[0078]
 前記混合物の安定性の評価方法は、特に限定されず、一般的に用いられる手法で評価することができる。そのような手法の一例として、ASHRAE標準97-2007にしたがって遊離フッ素イオンの量を指標として評価する方法等が挙げられる。その他にも、全酸価(total acid number)を指標として評価する方法等も挙げられる。この方法は、例えば、ASTM D 974-06にしたがって行うことができる。
[0079]
 重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、ヒドロキノン、ヒドロキノンメチルエーテル、ジメチル-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
[0080]
 重合禁止剤の濃度は前記混合物100重量部に対して、通常、0.01~5重量部とすることが好ましく、0.05~2重量部程度とすることがより好ましい。
[0081]
 本発明の実施形態の一例では、本発明の冷媒を含有する組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む方法により、対象物を冷凍することができる。例えば、本発明の冷媒を含有する組成物を、圧縮機を介して循環させることで前記冷凍サイクルを構成することができる。
[0082]
 また、圧縮機を介して本発明の冷媒を含有する組成物を循環させる冷凍サイクルを構成する装置とすることもできる。
[0083]
 本発明の冷媒を含有する組成物を使用できる冷凍機としては、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫等に用いられる冷凍機、チラー(チリングユニット)、ターボ冷凍機、スクリュー冷凍機等があるが、これらに限定されない。
実施例
[0084]
 以下に、実施例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[0085]
  実施例1~9及び比較例1~11
 R404A、並びに、R32、R125及びR134a混合冷媒の各GWPは、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第4次報告書(AR4)の値に基づいて評価した。
[0086]
 また、R404A、並びに、R32、R125及びR134a混合冷媒のCOP、冷凍能力、圧縮機出口温度、及び圧縮機出口圧力は、National Institute of Science and Technology(NIST)、Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Database(Refprop 9.0)を用いて、下記条件で冷媒及び混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度   -40℃
凝縮温度   40℃
過熱温度   20K
過冷却温度  0K
圧縮機効率  70%
[0087]
 図3中、各点で示す実施例・比較例以外の実施例の冷媒を含有する組成物の組成を○で示し、比較例の冷媒を含有する組成物の組成を△で示す。
[0088]
 また、これらの結果をもとに算出したGWP、COP、冷凍能力を表1及び2に示す。なお、COP及び冷凍能力については、R404Aに対する割合を示す。
[0089]
 成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP =(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
[0090]
 冷媒を含有する組成物を構成する基本3成分の混合物の燃焼性は、米国ASHRAE34-2013規格に従って評価した。燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく図5の測定装置を用いて測定を実施した。
[0091]
 燃焼の状態が目視及び録画撮影できるように内容積12リットルの球形ガラスフラスコを使用し、燃焼により過大な圧力が発生した際には上部のふたからガスが開放される。着火方法は底部から1/3の高さに保持された電極からの放電により発生させる。
[0092]
 <試験条件>
試験容器:280 mmφ球形(内容積:12リットル)
試験温度: 60℃±3℃
圧力 :101.3 kPa±0.7 kPa
水分 :乾燥空気1 gにつき0.0088 g±0.0005 g
冷媒を含有する組成物/空気混合比:1 vol.%刻み±0.2 vol.%
冷媒を含有する組成物混合: ±0.1 重量%
点火方法:交流放電、電圧15kV、電流30mA、ネオン変圧器
電極間隔:6.4 mm (1/4 inch)
スパーク:0.4 秒 ±0.05 秒
判定基準:着火点を中心に90度以上火炎が広がった場合 = 燃焼(伝播)
[0093]
 不燃限界におけるR32、R125及びR134aの各成分の組成比(x/y/z重量%)は、ほぼ下記式(1)~(3)で示される関係を満たすものであった。
19.0≦x≦61.0    (1)
y=0.9286x-17.643 (2)
z=100-x-y (3)
[0094]
 この結果より、本発明の冷媒を含有する組成物は不燃性であることが明確であり、空気といかなる比率で混じり合っても燃焼は認められない。
[0095]
[表1]


[0096]
[表2]


[0097]
 比較例3、5、7、9及び11の冷媒を含有する組成物はいずれも可燃性であった。
[0098]
 比較例4、比較例6の冷媒を含有する組成物は不燃性であったが、冷凍能力がR404Aに対して53.5%、53.2%という低い値を示した。
[0099]
 比較例10の冷媒を含有する組成物は不燃性であったが、GWPが1674という1500を大きく超える値を示した。
[0100]
 比較例11の冷媒を含有する組成物は不燃性であったが、圧縮機出口温度が141℃という高い温度を示した。

符号の説明

[0101]
A:AR4基準のGWP=1500であってR134aの濃度(重量%)が0重量%の組成比
B:AR4基準のGWP=1500であってR32の濃度(重量%)が0重量%の組成比
A’:AR4基準のGWP=1475であってR134aの濃度(重量%)が0重量%の組成比
B’:AR4基準のGWP=1475であってR32の濃度(重量%)が0重量%の組成比
C:AR4基準のGWP=1500であって圧縮機出口温度が150℃になる組成比
D:R125の濃度(重量%)が0重量%であって圧縮機出口温度が150℃になる組成比
E:AR4基準のGWP=1500であって圧縮機出口温度が140℃になる組成比
F:R125の濃度(重量%)が0重量%であって圧縮機出口温度が140℃になる組成比
G:AR4基準のGWP=1500であって圧縮機出口温度が130℃になる組成比
G’:AR4基準のGWP=1475であって圧縮機出口温度が130℃になる組成比
H:R125の濃度(重量%)が0重量%であって圧縮機出口温度が130℃になる組成比
I:AR4基準のGWP=1500であって対R404A冷凍能力が76.5%になる組成比
I’:AR4基準のGWP=1475であって対R404A冷凍能力が76.5%になる組成比
J:R125の濃度(重量%)が0重量%であって対404A冷凍能力が76.5%になる組成比
R:線分IJと線分XYとの交点
T:線分MNと線分GH、及び、線分XYとの交点
P:ASHRAE不燃限界線
P’:R32、R125及びR134a製造時の許容範囲(許容濃度)を±2.0%と設定した場合のASHRAE不燃限界線
L:GWP=1500を示す線分の近似線分
L’:GWP=1475を示す線分の近似線分

請求の範囲

[請求項1]
 冷媒を含有する組成物であって、
 前記冷媒が、フッ素化炭化水素の混合物を含有し、
 前記混合物は、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)をこれらの濃度の総和で99.5重量%以上含有し、
 前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125及びR134aの濃度の総和を100重量%とする3成分組成図において、
点G(R32/R125/R134a=25.5/12.7/61.8重量%)、
点T(R32/R125/R134a=24.9/9.3/65.8重量%)、
点R(R32/R125/R134a=19.5/4.3/76.2重量%)及び
点I(R32/R125/R134a=17.5/9.8/72.7重量%)、
の4点を頂点とする四角形で囲まれる範囲内の組成比を有し、
 R22又はR404Aの代替冷媒として用いられる、組成物。
[請求項2]
 冷媒を含有する組成物であって、
 前記冷媒が、フッ素化炭化水素の混合物を含有し、
 前記混合物は、R32、R125及びR134aをこれらの濃度の総和で99.5重量%以上含有し、
 前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125及びR134aの濃度の総和を100重量%とする3成分組成図において、
点G’(R32/R125/R134a=25.2/11.4/63.4重量%)、
点T (R32/R125/R134a=24.9/9.3/65.8重量%)、
点R (R32/R125/R134a=19.5/4.3/76.2重量%)及び
点I’(R32/R125/R134a=17.9/8.7/73.4重量%)、
の4点を頂点とする四角形で囲まれる範囲内の組成比を有する、請求項1に記載の組成物。
[請求項3]
 前記混合物は、更に水を含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
[請求項4]
 更にトレーサー、相溶化剤、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
[請求項5]
 前記混合物が、R32、R125及びR134aのみからなる、請求項1又は2に記載の組成物。
[請求項6]
 更に冷凍機油を含有し、冷凍機用作動流体として用いられる、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
[請求項7]
 前記冷凍機油が、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項6に記載の組成物。
[請求項8]
 冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、チラー(チリングユニット)、ターボ冷凍機及びスクリュー冷凍機からなる群から選択される少なくとも1種に使用する、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
[請求項9]
 請求項1~7のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む、冷凍方法。
[請求項10]
 請求項1~7のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する、冷凍機の運転方法。
[請求項11]
 請求項1~7のいずれかに記載の組成物を含む冷凍機。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]