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1. (WO2018194028) 多元共重合体の製造方法、多元共重合体、ゴム組成物およびタイヤ
Document

明 細 書

発明の名称 多元共重合体の製造方法、多元共重合体、ゴム組成物およびタイヤ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122  

実施例

0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145  

産業上の利用可能性

0146  

符号の説明

0147  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 多元共重合体の製造方法、多元共重合体、ゴム組成物およびタイヤ

技術分野

[0001]
 本発明は、多元共重合体の製造方法、多元共重合体、ゴム組成物およびタイヤに関する。

背景技術

[0002]
 一般に、ゴム製品(タイヤ、コンベヤベルト、防振ゴム、免震ゴムなど)には高い耐久性(耐破壊特性、耐摩耗性および耐亀裂成長性など)および耐候性が求められる。そして、このような要求を満たすために様々なゴム成分やゴム組成物が開発されている。
[0003]
 例えば、特許文献1は、共役ジエン部分(共役ジエン化合物由来部分)のシス-1,4結合含量が70.5mol%より大きく、非共役オレフィンの含有量が10mol%以上である、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体を開示している。また、特許文献1では、この共重合体が、耐亀裂成長性および耐候性の良好なゴムを製造するのに用いられることが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第2012/014455号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1に開示された共重合体および当該共重合体を含むゴム組成物には、破断強度において改善の余地があることがわかった。
[0006]
 そこで、本発明は、破断強度に優れる多元共重合体を得ることができる、多元共重合体の製造方法、破断強度に優れる、多元共重合体、ゴム組成物およびタイヤを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法は、
 共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体を製造する方法において、
 触媒と、非共役オレフィン化合物および芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つとを含む反応器内に、共役ジエン化合物を分割して添加する工程を含むことを特徴とする。本発明の多元共重合体の製造方法によれば、破断強度に優れる多元共重合体を得ることができる。
[0008]
 本発明に係る多元共重合体は、上記製造方法により得られることを特徴とする。本発明によれば、破断強度に優れる多元共重合体を提供することができる。
[0009]
 本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分として上記多元共重合体を含むことを特徴とする。本発明によれば、破断強度に優れるゴム組成物を提供することができる。
[0010]
 本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とする。本発明によれば、破断強度に優れるタイヤを提供することができる。

発明の効果

[0011]
 本発明によれば、破断強度に優れる多元共重合体を得ることができる、多元共重合体の製造方法、破断強度に優れる、共重合体、ゴム組成物およびタイヤを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 図1は、本発明に係る多元共重合体の製造方法の一例を表した模式図である。
[図2] 図2は、本発明に係る多元共重合体の製造方法の別の一例を表した模式図である。
[図3] 図3は、本発明に係る多元共重合体の製造方法の別の一例を表した模式図である。
[図4] 図4は、本発明に係る多元共重合体の製造方法の別の一例を表した模式図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
[0014]
 本発明では、2以上の実施形態を任意に組み合わせることができる。
[0015]
 本明細書において、「共役ジエン単位」は、多元共重合体における、共役ジエン化合物に由来する単位を指す。本明細書において、「共役ジエン化合物」は、共役系のジエン化合物を指す。
[0016]
 本明細書において、「非共役オレフィン単位」は、多元共重合体における、非共役オレフィン化合物に由来する単位を指す。本明細書において、「非共役オレフィン化合物」は、脂肪族不飽和炭化水素であり、炭素-炭素二重結合を1個以上有する非共役系の化合物を指す。
[0017]
 本明細書において、「芳香族ビニル単位」は、多元共重合体における、芳香族ビニル化合物に由来する単位を指す。本明細書において、「芳香族ビニル化合物」は、少なくともビニル基を有する芳香族化合物を指す。本明細書において、「芳香族ビニル化合物」は、共役ジエン化合物には含まれないものとする。
[0018]
 本明細書において、「多元共重合体」は、3種類以上の単量体を重合してなる共重合体を指す。
[0019]
(多元共重合体の製造方法)
 本発明に係る多元共重合体の製造方法は、
 共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体を製造する方法において、
 触媒と、非共役オレフィン化合物および芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つとを含む反応器内に、共役ジエン化合物を分割して添加する工程を含むことを特徴とする。本発明の多元共重合体の製造方法によれば、破断強度に優れる多元共重合体を得ることができる。この理由は定かではないが、共役ジエン化合物を分割して添加することにより、多元共重合体中の共役ジエンの連鎖長が均一となることで、多元共重合体鎖中の架橋点も均一となるためと推測される。
[0020]
 図1は、本発明に係る多元共重合体の製造方法の一例を表した模式図である。図1では、反応器1が、非共役オレフィン化合物および芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つを含む。そして、その反応器1内に、共役ジエン化合物を分割して添加する。図1~4では、説明の簡略化のため、反応器内の触媒は図示していない。また、図1~4では、矢印は、化合物を反応器に添加する操作のみを表すものであり、すなわち、矢印自体が、添加の連続性または不連続性を表すものではなく、矢印の位置も添加の方向、反応器に対する位置を表すものではない。
[0021]
<共役ジエン化合物>
 共役ジエン化合物は、公知の共役ジエン化合物を用いることができる。共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0022]
 共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンなどが挙げられる。一実施形態では、共役ジエン化合物の炭素数は、4~8である。共役ジエン化合物としては、入手容易性の観点から、ブタジエン、イソプレンが好ましい。
[0023]
 一実施形態では、共役ジエン化合物は、1,3-ブタジエンおよびイソプレンからなる群より選択される1種以上である。この場合、共役ジエン単位は、ブタジエン単位およびイソプレン単位からなる群より選択される1種以上である。別の実施形態では、共役ジエン化合物は、1,3-ブタジエンのみである。この場合、共役ジエン単位は、ブタジエン単位のみである。
[0024]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法は、0.1~500mmol/回の量で、前記共役ジエン化合物を分割して添加することが好ましい。これにより、多元共重合体中の共役ジエン単位の分散性が高くなる。
[0025]
 共役ジエン化合物を分割して添加する工程において、添加する共役ジエン化合物の濃度は、適宜選択すればよく、例えば、10~100重量%とすればよい。100重量%の場合は、共役ジエン化合物を溶媒などで希釈せずに、共役ジエン化合物単独で添加することを表す。前記濃度は、10~35重量%が好ましい。
[0026]
 上記溶媒としては、共役ジエン化合物の重合で用いられている公知の溶媒を適宜選択して用いればよい。溶媒としては、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサンなどが挙げられる。
[0027]
 共役ジエン化合物を分割して添加する工程において、添加する共役ジエン化合物の濃度は、各回において、一定であってもよいし、各回によって異なっていてもよい。添加する共役ジエン化合物の濃度が各回によって異なる場合、重合時間が長くなるにつれて、共役ジエン化合物の溶液の濃度を薄い濃度から濃い濃度に変更してもよいし、または濃い濃度から薄い濃度に変更してもよい。
[0028]
 共役ジエン化合物を分割して添加する工程において、触媒のモルに対する共役ジエン化合物のモルの比、すなわちモル比は、適宜調節すればよい。例えば、共役ジエン化合物の量(モル)を触媒に対して、1~1,000,000倍とすればよい。
[0029]
 共役ジエン化合物を分割して添加する工程において、各回に加える共役ジエンの量(体積)は、適宜調節すればよく、例えば、0.001~30mL/回としてもよい。共役ジエン化合物と溶媒とを含む溶液として分割して添加する場合、例えば、溶液の量は、0.004~30mL/回、0.04~3mL/回または0.3~1mL/回としてもよい。
[0030]
 前記共役ジエン化合物を分割して添加する時間は、適宜調節すればよく、例えば、5分以上とすることができる。本発明に係る多元共重合体の製造方法は、前記共役ジエン化合物を分割して添加する時間が、合計1分~100時間であることが好ましい。これにより、多元共重合体中の共役ジエン単位の分散性が高くなる。前記共役ジエン化合物を分割して添加する時間は、合計1~10時間であることがより好ましい。ここで、前記共役ジエン化合物を分割して添加する時間は、共役ジエン化合物の分割による添加を開始してからの時間をいう。
[0031]
 共役ジエン化合物を分割して添加する工程において、添加する回数は、特に制限がなく、適宜調節すればよく、例えば、2回以上、3回以上、4回以上、5回以上、10回以上、30回以上または60回以上、また、1000回以下、100回以下、60回以下、30回以下、10回以下、5回以下、4回以下または3回以下とすればよい。
[0032]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法は、前記共役ジエン化合物を分割して添加する回数が、5回以上であることが好ましい。これにより、破断強度と破断伸びがより高まるという効果がある。
[0033]
 共役ジエン化合物を分割して添加する工程において、添加の間隔は、適宜調節すればよく、例えば、5分以上、10分以上、24分以上、30分以上、48分以上、60分以上または100分以上、また、100分以下、60分以下、48分以下、30分以下、24分以下、10分以下または5分以下とすればよい。
[0034]
<非共役オレフィン化合物>
 非共役オレフィン化合物は、公知の非共役オレフィン化合物を用いることができる。非共役オレフィン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0035]
 非共役オレフィン化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテンなどのα-オレフィン;ノルボルネンなどの非共役環状オレフィン;ピバリン酸ビニル、1-フェニルチオエテン、N-ビニルピロリドンなどのヘテロ原子置換アルケン化合物などが挙げられる。一実施形態では、非共役オレフィン化合物の炭素数は、2~10である。非共役オレフィン化合物としては、入手容易性の観点から、エチレンが好ましい。
[0036]
 非共役オレフィン化合物は、補強材として良好に機能し得る結晶を生成させて耐亀裂性および耐摩耗性をより向上させる観点から、非環状の非共役オレフィン化合物であることが好ましく、また、当該非環状の非共役オレフィン化合物は、α-オレフィンであることがより好ましく、エチレンを含むα-オレフィンであることが更に好ましく、低発熱性および耐摩耗性をより向上させる観点ならびにコストの観点から、エチレンのみからなることが特に好ましい。
[0037]
 共役ジエン化合物を分割して添加する工程において、共役ジエン化合物を分割して添加する前の反応器が非共役オレフィン化合物を含む場合、非共役オレフィン化合物の量は、適宜調節すればよいが、40~99.8molであることが好ましい。
[0038]
<芳香族ビニル化合物>
 芳香族ビニル化合物は、公知の芳香族ビニル化合物を用いることができる。芳香族ビニル化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0039]
 芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレンなどが挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、入手容易性の観点から、スチレンが好ましい。
[0040]
 芳香族ビニル化合物を用いることによって、すなわち、芳香族ビニル単位を重合体中に含むことによって、非共役オレフィンの連鎖長を制御することができ、破断強度や破断伸びが向上する。
[0041]
 芳香族ビニル化合物は、SBRなどの汎用ゴムとの相溶性および耐摩耗性を向上させる観点から、スチレンを含むことが好ましく、スチレンのみからなることがより好ましい。
[0042]
 共役ジエン化合物を分割して添加する工程において、共役ジエン化合物を分割して添加する前の反応器が芳香族ビニル化合物を含む場合、芳香族ビニル化合物の量は、適宜調節すればよいが、0.1~40重量%であることが好ましい。
[0043]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法は、上述した共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物および芳香族ビニル化合物以外の単量体をさらに用いてもよいし、用いなくてもよい。用いない場合は、本発明に係る多元共重合体の製造方法により得られる多元共重合体は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位および芳香族ビニル単位のみを有する。
[0044]
<触媒>
 本発明に係る多元共重合体の製造方法で用いる触媒は、特に限定されず、公知の共重合体の製法で用いられている触媒を用いることができる。例えば、特許文献1、特開2016-210940号公報、特開2016-128552号公報などに記載の重合触媒組成物を用いることが好ましい。以下、重合触媒組成物を例示する。
[0045]
<重合触媒組成物>
 本発明の製造方法では、共役ジエン化合物と、非共役オレフィン化合物と、芳香族ビニル化合物とを下記一般式(I):
[化1]


(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cp は、それぞれ独立して置換インデニルを示し、R ~R は、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、及び下記一般式(II):
[化2]


(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cp は、それぞれ独立して置換インデニルを示し、X’は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、並びに下記一般式(III):
[化3]


(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cp R’は、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル又は置換フルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示し、[B] -は、非配位性アニオンを示す)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体からなる群より選択される少なくとも1種類の錯体を含む重合触媒組成物の存在下で共重合させる工程を含むことが好ましい。
[0046]
 重合触媒組成物は、更に、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。ここで、メタロセン錯体は、一つ又は二つ以上のシクロペンタジエニル又はその誘導体が中心金属に結合した錯体化合物であり、特に、中心金属に結合したシクロペンタジエニル又はその誘導体が一つであるメタロセン錯体を、ハーフメタロセン錯体と称することがある。
 なお、重合反応系において、重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1~0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
[0047]
 一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体において、式中のCp は、置換インデニルである。置換インデニル環を基本骨格とするCp は、C 7-x又はC 11-xで示され得る。ここで、Xは置換インデニル基上の置換基の数であり、Xは1~7又は1~11の整数である。芳香族ビニル化合物の共重合比率を高める観点から、Xは、2以上であるのが好ましく、置換インデニル基の5員環上に存在するのも好ましい。Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。中でも、芳香族ビニル化合物の共重合比率を高める観点から、少なくとも1つのRは、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基であることが好ましい。Xが2以上であったり、Rが芳香族基等のかさ高い置換基を有すると、Cp が一層かさ高くなり、重合される単量体が、立体障害によって、一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体の触媒中心である金属Mに対してNSi(R )Si(R )側又はSiX’ 側から接近することになるため、非共役オレフィン化合物や芳香族ビニル化合物のビニル部分が導入され易くなるからである。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2-フェニルインデニル、2-メチルインデニル、1-メチル-2-フェニルインデニル、1,3-ビス(t-ブチルジメチルシリル)インデニル、1-エチル-2-フェニルインデニル、1-ベンジル-2-フェニルインデニル等が挙げられる。なお、一般式(I)及び(II)における二つのCp は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
[0048]
 一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体において、式中のCp R’は、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル又は置換フルオレニルであり、これらの中でも、芳香族ビニル化合物の共重合比率を高める観点から、置換インデニルであることが好ましい。置換シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCp R’は、C 5-xで示される。ここで、Xは1~4の整数である。芳香族ビニル化合物の共重合比率を高める観点から、Xは、2以上であるのが好ましく、置換インデニル基の5員環上に存在するのも好ましい。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。中でも、芳香族ビニル化合物の共重合比率を高める観点から、少なくとも1つのRは、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基であることが好ましい。Xが2以上であったり、Rが芳香族基等のかさ高い置換基を有すると、Cp が一層かさ高くなり、重合される単量体が、立体障害によって、一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体の触媒中心である金属Mに対してNSi(R )Si(R )側又はSiX’ 側から接近することになるため、非共役オレフィン化合物や芳香族ビニル化合物のビニル部分が導入され易くなるからである。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCp R’として、具体的には、以下のものが例示される。
[化4]


(式中、R’はメチル基又はエチル基を示し、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)
 一般式(III)において、上記置換インデニル環を基本骨格とするCp R’は、一般式(I)のCp と同様に定義され、好ましい例も同様である。
[0049]
 一般式(III)において、上記置換フルオレニル環を基本骨格とするCp R’は、C 139-x又はC 1317-xで示され得る。ここで、Xは1~9又は1~17の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1~20であることが好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。中でも、芳香族ビニル化合物の共重合比率を高める観点から、少なくとも1つのRは、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基であることが好ましい。Xが2以上であったり、Rが芳香族基等のかさ高い置換基を有すると、Cp が一層かさ高くなり、重合される単量体が、立体障害によって、一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体の触媒中心である金属Mに対してNSi(R )Si(R )側又はSiX’ 側から接近することになるため、非共役オレフィン化合物や芳香族ビニル化合物のビニル部分が導入され易くなるからである。ベンジル基等の芳香族基 一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
[0050]
 一般式(I)、(II)及び(III)における中心金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57~71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
[0051]
 一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[-N(SiR ]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(一般式(I)におけるR ~R )は、それぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は水素原子である。また、R ~R のうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。R ~R のうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になり、また、ケイ素まわりのかさ高さが低くなるため、非共役オレフィン化合物や芳香族ビニル化合物が導入され易くなる。同様の観点から、R ~R のうち少なくとも一つが水素原子であり、R ~R のうち少なくとも一つが水素原子であることが更に好ましい。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
[0052]
 一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、シリル配位子[-SiX’ ]を含む。シリル配位子[-SiX’ ]に含まれるX'は、下記で説明される一般式(III)のXと同様に定義される基であり、好ましい基も同様である。
[0053]
 一般式(III)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基及び炭素数1~20の炭化水素基からなる群より選択される基である。ここで、上記アルコキシド基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシド基が挙げられ、これらの中でも、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基が好ましい。
[0054]
 一般式(III)において、Xが表すチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn-ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec-ブトキシ基、チオtert-ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルチオフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基が挙げられ、これらの中でも、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
[0055]
 一般式(III)において、Xが表すアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニルアミド基、2,6-ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6-ジネオペンチルフェニルアミド基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェニルアミド基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェニルアミド基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基が挙げられ、これらの中でも、ビストリメチルシリルアミド基が好ましい。
[0056]
 一般式(III)において、Xが表すシリル基としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等が挙げられ、これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
[0057]
 一般式(III)において、Xが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。また、Xが表す炭素数1~20の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等の他;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
[0058]
 一般式(III)において、Xとしては、ビストリメチルシリルアミド基又は炭素数1~20の炭化水素基が好ましい。
[0059]
 一般式(III)において、[B] で示される非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが挙げられる。該4価のホウ素アニオンとして、具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニルペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)フェニル]ボレート、トリデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
[0060]
 上記一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、更に0~3個、好ましくは0~1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
[0061]
 また、上記一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
[0062]
 上記一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)及びビス(トリアルキルシリル)アミドの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間~数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(I)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
[化5]


(式中、X’’はハライドを示す。)
 上記一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間~数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(II)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
[化6]


(式中、X’’はハライドを示す。)
[0063]
 上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、例えば、次の反応により得ることができる。
[化7]


[0064]
 ここで、一般式(IV)で表される化合物において、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Cp R’は、それぞれ独立して置換シクロペンタジエニル、置換インデニル又は置換フルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0~3の整数を示す。また、一般式[A] [B] で表されるイオン性化合物において、[A] は、カチオンを示し、[B] は、非配位性アニオンを示す。
[0065]
 [A] で表されるカチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
[0066]
 上記反応に用いる一般式[A] [B] で表されるイオン性化合物としては、上記の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物であって、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、一般式[A] [B] で表されるイオン性化合物は、メタロセン錯体に対して0.1~10倍mol加えることが好ましく、約1倍mol加えることが更に好ましい。なお、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を重合反応に用いる場合、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそのまま重合反応系中に提供してもよいし、上記反応に用いる一般式(IV)で表される化合物と一般式[A] [B] で表されるイオン性化合物を別個に重合反応系中に提供し、反応系中において一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させてもよい。また、一般式(I)又は(II)で表されるメタロセン錯体と一般式[A] [B] で表されるイオン性化合物とを組み合わせて使用することにより、反応系中において一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させることもできる。
[0067]
 一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体、並びに一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体の構造は、X線構造解析により決定することが好ましい。
[0068]
 重合触媒組成物に用いることができる助触媒は、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物の助触媒として用いられる成分から任意に選択され得る。該助触媒としては、例えば、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物、上記のイオン性化合物等が好適に挙げられる。これら助触媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0069]
 上記アルミノキサンとしては、アルキルアミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO-3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。なお、上記第二重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、メタロセン錯体の中心金属Mに対する、アルミノキサンのアルミニウム元素Alの元素比率Al/Mが、10~1000程度、好ましくは100程度となるようにすることが好ましい。
[0070]
 一方、上記有機アルミニウム化合物としては、一般式AlRR’R’’(式中、R及びR'はそれぞれ独立して炭素数1~10の炭化水素基又は水素原子であり、R’’は炭素数1~10の炭化水素基である)で表される有機アルミニウム化合物が好ましい。上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられる。なお、上記重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、メタロセン錯体に対して1~50倍molであることが好ましく、約10倍molであることが更に好ましい。
[0071]
 更に、重合触媒組成物においては、一般式(I)及び(II)で表されるメタロセン錯体、並びに一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそれぞれ、適切な助触媒と組み合わせることで、シス-1,4結合含量や得られる重合体の分子量を増大できる。
[0072]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法は、共役ジエン化合物を分割して添加する前の前記反応器が、前記非共役オレフィン化合物および前記芳香族ビニル化合物を含むことが好ましい。これにより、得られる多元共重合体の、破断強度と破断伸びがより高まる。図2は、本発明に係る多元共重合体の製造方法の別の一例を表した模式図である。図2では、反応器1が、非共役オレフィン化合物および芳香族ビニル化合物を含む。そして、その反応器1内に、共役ジエン化合物を分割して添加する。
[0073]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法は、共役ジエン化合物を分割して添加する前の前記反応器が、前記共役ジエン化合物をさらに含むことが好ましい。これにより、重合活性が高くなり、収率が向上する、つまり、生産性が向上する。この場合、反応器に含まれる共役ジエン化合物の量は、0.001~1molまたは使用する前記共役ジエン化合物の総量の10%以下であることが好ましい。
[0074]
 図3は、本発明に係る多元共重合体の製造方法の別の一例を表した模式図である。図3では、反応器1が、非共役オレフィン化合物および芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つと、共役ジエン化合物とを含む。そして、その反応器1内に、共役ジエン化合物を分割して添加する。
[0075]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法は、前記反応器内に、前記非共役オレフィン化合物および前記芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つを添加する工程を含むことが好ましい。
[0076]
 図4は、本発明に係る多元共重合体の製造方法の別の一例を表した模式図である。図4では、反応器1内に、共役ジエン化合物を分割して添加する。また、反応器内に、非共役オレフィン化合物および芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つを添加する工程を含む。反応器1内の中身は、図1~3のいずれかの反応器内の中身と同じである。
[0077]
 前記非共役オレフィン化合物および前記芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つを添加する工程において、芳香族ビニル化合物を添加する場合、添加する芳香族ビニル化合物の濃度は、適宜選択すればよく、例えば、10~100重量%とすればよい。100重量%の場合は、芳香族ビニル化合物を溶媒などで希釈せずに、芳香族ビニル化合物単独で添加することを表す。
[0078]
 上記溶媒としては、芳香族ビニル化合物の重合で用いられている公知の溶媒を適宜選択して用いればよい。溶媒としては、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサンなどが挙げられる。
[0079]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法は、使用する前記非共役オレフィン化合物、前記芳香族ビニル化合物および前記共役ジエン化合物の合計量に対して、
 使用する前記非共役オレフィン化合物の総量が、40~99.8mol%であり、
 使用する前記芳香族ビニル化合物の総量が、0.1~30mol%であり、かつ、
 使用する前記共役ジエン化合物の総量が、0.01~30mol%であることが好ましい。これにより、多元共重合体における、非共役オレフィン単位、芳香族ビニル単位、共役ジエン単位を好ましい含有量にできる。
[0080]
 前記非共役オレフィン化合物および前記芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つを添加する工程を行う場合、共役ジエン化合物を分割して添加する工程との順序は特に限定されず、共役ジエン化合物を分割して添加する工程と同時に行ってもよいし、共役ジエン化合物を分割して添加する工程の前または後に行ってもよい。
[0081]
 前記非共役オレフィン化合物および前記芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つを添加する工程では、添加する化合物の添加方法は特に限定されず、連続的に添加してもよいし、分割して添加してもよい。また、添加する化合物の濃度も適宜調節すればよく、重合時間にかかわらず、均一な濃度でもよいし、重合時間が長くなるにつれて、濃度を変化させてもよい。
[0082]
 多元共重合体の重合方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法などの任意の方法を用いることができる。
[0083]
 重合反応は、不活性ガスの雰囲気下において行われることが好ましく、窒素ガスまたはアルゴンガスの雰囲気下において行われることがより好ましい。
[0084]
 重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば、-100~200℃または室温(25℃)~100℃とすればよく、あるいは室温程度としてもよい。
[0085]
 重合反応の圧力は、共役ジエン化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。
[0086]
 重合反応を停止する場合、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの重合停止剤を用いて、重合を停止させることができる。
[0087]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法では、得られた多元共重合体の高分子鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を変性する反応(カップリング反応)を行うカップリング工程を有していてもよい。カップリング工程においては、重合反応が100%に達した際にカップリング反応を行うことが好ましい。
[0088]
 カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。カップリング剤としては、例えば、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)などのスズ含有化合物;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物などが挙げられる。これらの中でも、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。カップリング反応を行うことにより、数平均分子量(Mn)を増加させることができる。
[0089]
 本発明に係る多元共重合体の製造方法では、多元共重合体中の触媒残渣量を低下させるために、溶媒を用いて、多元共重合体の重合工程において得られた多元共重合体を洗浄する工程を有していてもよい。洗浄に用いる溶媒としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。
[0090]
 重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する場合、洗浄に用いる溶媒に対して酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸など)を加えて使用することができる。添加する酸の量は、酸の残存量を低減して、ゴム組成物の混練および加硫時の反応に悪影響を及ぼさない観点から、溶媒に対して15mol%以下が好ましい。
[0091]
(多元共重合体)
 本発明に係る多元共重合体は、上記いずれかの製造方法により得られることを特徴とする。本発明によれば、破断強度に優れる多元共重合体を提供することができる。
[0092]
 本発明に係る多元共重合体は、さらに、共役ジエン単位で分断されてなる、非共役オレフィン単位および/または芳香族ビニル単位を含む連鎖部分のピークトップ分子量が、1,000以上40,000であることが好ましい。低発熱性および耐摩耗性に優れる詳細は定かではないが、当該ピークトップ分子量が1,000以上40,000であると、ゴム組成物中でミクロな分子鎖同士の絡み合いを増大させ、これがゴム全体のロスを低減したり、補強性を高めたり、応力集中を分散するような働きを有するためと推測される。ここで、「共役ジエン単位で分断されてなる、非共役オレフィン単位および/または芳香族ビニル単位を含む連鎖部分」(以下、単に「連鎖部分」ということがある)とは多元共重合体から共役ジエン単位を全て除いた場合に残る連鎖部分であって、非共役オレフィン単位および芳香族ビニル単位から選択される2以上の単位を含む部分を意味する。
[0093]
 上記連鎖部分は、多元共重合体をオゾン分解して得られた混合物をアルコールなどで洗浄し、乾燥させることによって、得ることができる。オゾン分解によって共役ジエン単位を分解し、アルコールに可溶な低分子量成分として除去することによって、連鎖部分を残して共役ジエン単位を除去することができる。当該連鎖部分(混合物)のピークトップ分子量(Mp)および重量平均分子量(Mw)ならびに当該連鎖部分の各々の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求めることができる。なお、「ピークトップ分子量(Mp)」とは、GPCで得られる分子量分布のピークの頂点の位置から求められる分子量である。
[0094]
 多元共重合体中の連鎖部分の含有量は、5質量%以上であることが好ましい。連鎖部分の含有量が5質量%以上であると、連鎖部分のミクロな絡み合いを確保しつつ、共役ジエン単位によるジエン系ゴムとの相溶性および充填剤の分散を十分なものとすることができ、低発熱性および耐摩耗性を一層向上させることができる。ここで、連鎖部分の含有量とは、連鎖を構成している非共役オレフィン単位および/または芳香族ビニル単位の、重合体全体における量である。低発熱性および耐摩耗性を一層向上させる観点から、連鎖部分の含有量は、5~90質量%であることがより好ましく、5~50質量%であることがより好ましい。
[0095]
 多元共重合体において、連鎖部分の40質量%以上が、1,000~40,000の分子量を有することが好ましい。これにより、連鎖部分のミクロな分子鎖同士の絡み合いが一層増大して、低発熱性および耐摩耗性を一層向上させることができる。また、低発熱性および耐摩耗性を一層向上させる観点から、当該連鎖部分の40~100質量%が1,000~40,000の分子量を有することがより好ましく、当該連鎖部分の45~100質量%が1,000~40,000の分子量を有することが特に好ましい。当該連鎖部分で1,000~40,000の分子量を有するものの比率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られたGPC曲線図から、ポリスチレンを標準物質として換算して分子量1,000~40,000の範囲に相当するピーク面積から算出することができる。
[0096]
 多元共重合体における共役ジエン単位は、ブタジエン単位およびイソプレン単位からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、ブタジエン単位およびイソプレン単位からなる群より選択される1種以上であることがより好ましく、ブタジエン単位のみからなることがさらに好ましい。
[0097]
 多元共重合体における共役ジエン単位の含有量は、特に限定されないが、1~20mol%であることが好ましい。共役ジエン単位の含有量が1~20mol%であると、ミクロな分子鎖同士の絡み合いを確保しつつ、共役ジエン単位によるジエン系ゴムとの相溶性および充填剤の分散を十分なものとすることができ、低発熱性および耐摩耗性を一層向上させることができ、またBR、NRなどの汎用ゴムとの相溶性も向上する。低発熱性および耐摩耗性、相溶性を向上させる観点から、3~20mol%であることがより好ましい。
[0098]
 多元共重合体における非共役オレフィン単位は、非環状の非共役オレフィン単位であることが好ましく、また、当該非環状の非共役オレフィン単位は、α-オレフィン単位であることがより好ましく、エチレン単位を含むα-オレフィン単位であることが更に好ましく、エチレン単位のみからなることが更に好ましい。
[0099]
 多元共重合体における非共役オレフィン単位の含有量は、特に限定されないが、60mol%以上であることが好ましい。非共役オレフィン単位の含有量が60mol%以上であると、多元共重合体における連鎖部分の含有量、当該連鎖部分のうち分子量1,000~40,000のものの含有量を最適化することができ、低発熱性および耐摩耗性を向上させることができる。低発熱性および耐摩耗性を向上させる観点から、非共役オレフィン単位の含有量は、60~96mol%であることがより好ましく、65~90mol%であることが特に好ましい。
[0100]
 多元共重合体における芳香族ビニル単位は、スチレン単位を含むことが好ましく、スチレン単位のみからなることがより好ましい。
[0101]
 多元共重合体における芳香族ビニル単位の含有量は、特に限定されないが、3mol%以上であることが好ましい。3mol%以上であれば、連鎖部分の含有量ならびに当該連鎖部分における分子量1,000~40,000のものの含有量を最適化することができ、ロール加工性および耐摩耗性を向上させることができ、またSBRなどの汎用ゴムとの相溶性も向上する。低発熱性および耐摩耗性、相溶性を向上させる観点から、芳香族ビニル単位の含有量は、3~20mol%であることがより好ましく、5~15mol%であることが特に好ましい。
[0102]
 本発明に係る多元共重合体は、
 前記多元共重合体における共役ジエン単位の含有量が、1~20mol%であり、
 前記多元共重合体における非共役オレフィン単位の含有量が、60~96mol%であり、
 前記多元共重合体における芳香族ビニル単位の含有量が、3~20mol%であることが好ましい。これにより、低発熱性、耐摩耗性および汎用ゴムとの相溶性を向上させることができるという効果がある。
[0103]
 多元共重合体の重量平均分子量(Mw)は、特限定されないが、Mwが10,000~10,000,000であることが好ましく、100,000~9,000,000であることがより好ましく、150,000~8,000,000であることが特に好ましい。Mwが10,000以上であることにより、ゴム物品の材料としての機械的強度を十分に確保することができ、また、Mwが10,000,000以下であることにより、高い作業性を保持することができる。ゴム物品の材料としての機械的強度の十分な確保の観点および高い作業性の保持の観点から、Mwが100,000~9,000,000であることが好ましく、150,000~8,000,000であることがより好ましい。
[0104]
 更に、多元共重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が、10.0以下であることが好ましく、9.0以下であることがより好ましく、8.0以下であることが特に好ましく、また、6以下、5以下、4以下または3以下であることが好ましい。分子量分布が10.0以下であることにより、多元共重合体の物性に十分な均質性をもたらすことができる。なお、上述した重量平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求める。
[0105]
 本発明のゴム組成物において、前記多元共重合体(a1)は、0~120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10~150J/gであることが好ましく、30~120J/gであることが更に好ましい。多元共重合体(a1)の吸熱ピークエネルギーが10J/g以上であれば、多元共重合体(a1)の結晶性が高くなり、ゴム組成物の耐亀裂性が更に向上し、また、150J/g以下であれば、ゴム組成物の作業性が更に向上する。ここで、該吸熱ピークエネルギーは、実施例に記載の方法で測定した値である。
[0106]
 多元共重合体における共役ジエン単位、非共役オレフィン単位および芳香族ビニル単位の配列は特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などであってもよい。
[0107]
(ゴム組成物)
 本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分として上記多元共重合体を含むことを特徴とする。本発明によれば、破断強度に優れるゴム組成物を提供することができる。
[0108]
 本発明に係るゴム組成物には、上記多元共重合体に加えて、その他のゴム成分が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。このようなその他のゴム成分としては、公知のゴム成分から適宜選択すればよく、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、イソブチレンとp-メチルスチレンとの共重合体の臭化物、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリロブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。これらのその他のゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0109]
 本発明に係るゴム組成物には、ゴム組成物に配合される公知の添加剤を適宜配合してもよい。このような添加剤としては、例えば、充填剤、架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、補強剤、軟化剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、可塑剤、加工助剤、酸化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、オイルなどが挙げられる。これらは、それぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
[0110]
 ゴム組成物には、必要に応じて、充填剤を用いることができる。充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0111]
 充填剤としては、特に制限はなく、公知の充填剤を用いることができ、例えば、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましい。
[0112]
 カーボンブラックとしては、例えば、FEF、GPF、SRF、HAF、N339、IISAF、ISAF、SAFなどが挙げられる。
[0113]
 カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N SA、JIS K6217-2:2001に準拠して測定する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、N SAは、20m /g以上または35m /g以上、200m /g以下または100m /g以下とすればよい。
[0114]
 ゴム組成物における充填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ゴム成分100質量部に対し、10~100質量部、20~80質量部、または30~60質量部とすればよい。
[0115]
 架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の架橋剤から適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム-ニトロソアミン系架橋剤などが挙げられる。タイヤ用ゴム組成物としては、これらの中でも硫黄系架橋剤(加硫剤)が好ましい。
[0116]
 ゴム組成物における架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ゴム成分100質量部に対し、0.1~20質量部とすればよい。
[0117]
 硫黄系架橋剤(加硫剤)を用いる場合には、さらに加硫促進剤を併用することもできる。加硫促進剤としては、例えば、グアジニン系、アルデヒド-アミン系、アルデヒド-アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系などの化合物が挙げられる。
[0118]
(架橋ゴム組成物)
 本発明に係るゴム組成物を架橋して架橋ゴム組成物を得ることができる。当該架橋ゴム組成物は、本発明に係る多元共重合体に由来するため、破断強度に優れる。
[0119]
 架橋の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加熱温度を例えば、120~200℃とし、加熱時間を例えば、1分間~900分間とすればよい。
[0120]
(ゴム物品)
 本発明に係るゴム組成物を用いたまたは上記架橋ゴム組成物を含むゴム物品は、破断強度に優れる。
[0121]
 ゴム物品としては、特に限定されないが、例えば、タイヤ;防振ゴム;免震ゴム;コンベヤベルトなどのベルト;ゴムクローラ;各種ホースなどが挙げられる。
[0122]
(タイヤ)
 本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とする。本発明によれば、破断強度に優れるタイヤを提供することができる。タイヤにおけるゴム組成物または架橋ゴム組成物の適用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トレッドゴム、ベーストレッドゴム、サイドウォールゴム、サイド補強ゴムおよびビードフィラーなどが挙げられる。
実施例
[0123]
 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
[0124]
 実施例で用いた材料の詳細は以下のとおりである。
シリカ:東ソー・シリカ社製の商品名NipSil AQ
シランカップリング剤:信越化学社製の商品名ABC-856
オイル:JX日鉱日石エネルギー社製の商品名JOMO PROCESS NC300BN
WAX:精工化学社製の商品名サンタイト(登録商標)A
老化防止剤:N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業社製の商品名ノクラック 6C
加硫促進剤1:1,3-ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業社製の商品名ノクセラーD
加硫促進剤2:ビス(2-ベンゾチアゾリル)ペルスルフィド、大内新興化学工業社製の商品名ノクセラーDM-P
加硫促進剤3:N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、大内新興化学工業社製の商品名ノクセラーNS-P
[0125]
比較例1
 十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン75gと、1,3-ブタジエン20gを含むトルエン溶液80gと、トルエン675gとを加えた。
[0126]
 窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に((1-ベンジルジメチルシリル-3-メチル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体1-Benzyldimethyl-3-MethylSi] Gd[N(SiHMe ]0.075mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me NHPhB(C ]0.083mmolおよびジイソブチルアルミニウムハイドライド0.35mmolを加え、さらにトルエン30gを加えて触媒溶液とした。その触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加えて75℃に加温した。
[0127]
 次いで、エチレンを圧力1.5MPaでその耐圧ステンレス反応器に投入し、75℃で計4時間共重合を行った。
[0128]
 次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体aを得た。
[0129]
実施例1
 十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン75g、1,3-ブタジエン4gを含むトルエン溶液16gとトルエン675gを加えた。
[0130]
 窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に((1-ベンジルジメチルシリル-3-メチル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体1-Benzyldimethyl-3-MethylSi] Gd[N(SiHMe ]0.075mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me NHPhB(C ]0.083mmolおよびジイソブチルアルミニウムハイドライド0.35mmolを加え、さらにトルエン30gを加えて触媒溶液とした。その触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加えて60℃に加温した。
[0131]
 次いで、エチレンを圧力1.5MPaでその耐圧ステンレス反応器内に投入し、75℃で計4時間共重合を行った。その共重合の際、1,3-ブタジエン20gを含むトルエン溶液80gを48分間隔で5分割して添加した。すなわち、各回に1,3-ブタジエン4gを含むトルエン溶液16gを添加した。
[0132]
 次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器内に加えて反応を停止させた。次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体Aを得た。
[0133]
実施例2
 十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン75g、1,3-ブタジエン2gを含むトルエン溶液8gとトルエン675gを加えた。
[0134]
 実施例1と同様に触媒溶液を調製した。その触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加えて60℃に加温した。
[0135]
 次いで、エチレンを圧力1.5MPaでその耐圧ステンレス反応器に投入し、75℃で計4時間共重合を行った。その共重合の際、1,3-ブタジエン20gを含むトルエン溶液80gを24分間隔で10分割して添加した。すなわち、各回に1,3-ブタジエン2gを含むトルエン溶液8gを添加した。
[0136]
 次いで、実施例1と同様に反応を停止させ、共重合体を分離し、乾燥し、共重合体Bを得た。
[0137]
比較例2
 実施例1において、スチレンを用いないこと以外は、実施例1と同じ条件で重合を行い、共重合体bを得た。
[0138]
 比較例で得られた共重合体a、bおよび実施例で得られた共重合体A~Bについて、ブタジエン、エチレンおよびスチレンの含有率(mol%)を、以下の方法で測定した。
[0139]
 得られた共重合体中のエチレン、スチレン、ブタジエン部分の含有率(mol%)を H-NMRスペクトル(100℃、d-テトラクロロエタン標準:6ppm)の各ピークの積分比より求めた。より具体的には、共重合体中のスチレン単位中の芳香族水素(5H:7.4-6.4ppm);ブタジエン単位中のオレフィン水素(二重結合に結合した水素)(2H:5.3-5.5ppm);およびそれぞれの脂肪族水素(スチレン(3H)+ブタジエン(4H)+エチレン(1H):1.4-2.4ppm、)の積分比より求めた。その結果を表1に示す。この結果から、比較例1および実施例で得られた共重合体は、ブタジエン単位、エチレン単位およびスチレン単位を有する多元共重合体であることが分かった。比較例2で得られた共重合体は、ブタジエン単位およびエチレン単位を有する共重合体であることが分かった。
[0140]
 得られた各多元共重合体および共重合体bについて、JIS K 7121-1987に準拠して、10℃/minの昇温速度で-150℃から150℃まで昇温してDSC測定を行った。その時の0~100℃における吸熱ピーク(エンタルピー緩和)を求めた。その結果を表1に合わせて示す。
[0141]
[表1]


[0142]
 得られた各多元共重合体および共重合体bを用い、表2に示す配合で、常法に従ってゴム組成物を調製した。次いで、このゴム組成物を160℃で30分間加硫して加硫ゴム組成物を得た。
[0143]
[表2]


 表2中の比較例1~実施例2および比較例2において、オイルなどの種類と量は以下のとおりである。
オイル:10質量部
ステアリン酸:2.0質量部
WAX:2.0質量部
老化防止剤:1.0質量部
亜鉛華:2.5質量部
加硫促進剤1:1.0質量部
加硫促進剤2:1.0質量部
加硫促進剤3:1.0質量部
硫黄:1.4質量部
[0144]
 破断強度および破断伸びの評価
 各加硫ゴム組成物について、JIS K6251に準拠して、ダンベル状3号形試験片を用いて、100℃で引っ張り試験を行い、破断強度(TS )と破断伸び(Eb)を測定した。比較例1の測定値を100として、各加硫ゴム組成物の測定値を指数表示した。その結果を表2に合わせて示す。指数値が大きい程、破断強度または破断伸びに優れることを示す。
[0145]
 1,3-ブタジエンを分割して添加した実施例では、比較例1に比べて破断強度と破断伸びに優れていた。また、比較例1の破断伸びに対する破断伸びの上昇率は、分割の回数5回の実施例1では21%だったのに対して、分割の回数を10回とした実施例2では64%と大きく上昇していた。

産業上の利用可能性

[0146]
 本発明によれば、破断強度に優れる多元共重合体を得ることができる、多元共重合体の製造方法、破断強度に優れる、多元共重合体、ゴム組成物およびタイヤを提供することができる。

符号の説明

[0147]
1:反応器

請求の範囲

[請求項1]
 共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体を製造する方法において、
 触媒と、非共役オレフィン化合物および芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つとを含む反応器内に、共役ジエン化合物を分割して添加する工程を含むことを特徴とする、多元共重合体の製造方法。
[請求項2]
 前記共役ジエン化合物を分割して添加する回数が、5回以上である、請求項1に記載の多元共重合体の製造方法。
[請求項3]
 前記反応器が、前記非共役オレフィン化合物および前記芳香族ビニル化合物を含む、請求項1または2に記載の多元共重合体の製造方法。
[請求項4]
 前記反応器が、前記共役ジエン化合物をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の多元共重合体の製造方法。
[請求項5]
 前記反応器内に、前記非共役オレフィン化合物および前記芳香族ビニル化合物から選択される少なくとも1つを添加する工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の多元共重合体の製造方法。
[請求項6]
 前記共役ジエン化合物を分割して添加する時間が、合計1~100時間である、請求項1~5のいずれか一項に記載の多元共重合体の製造方法。
[請求項7]
 0.1~500mmol/回の量で、前記共役ジエン化合物を分割して添加する、請求項1~6のいずれか一項に記載の多元共重合体の製造方法。
[請求項8]
 使用する前記非共役オレフィン化合物、前記芳香族ビニル化合物および前記共役ジエン化合物の合計量に対して、
 使用する前記非共役オレフィン化合物の総量が、40~99.8mol%であり、
 使用する前記芳香族ビニル化合物の総量が、0.1~30mol%であり、かつ、
 使用する前記共役ジエン化合物の総量が、0.01~30mol%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の多元共重合体の製造方法。
[請求項9]
 前記多元共重合体における共役ジエン単位の含有量が、1~20mol%であり、
 前記多元共重合体における非共役オレフィン単位の含有量が、60~96mol%であり、
 前記多元共重合体における芳香族ビニル単位の含有量が、3~20mol%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の多元共重合体の製造方法。
[請求項10]
 請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法により得られることを特徴とする、多元共重合体。
[請求項11]
 ゴム成分として請求項10に記載の多元共重合体を含むことを特徴とする、ゴム組成物。
[請求項12]
 請求項11に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]