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1. (WO2018193997) プラズマ照射装置、ハンドピース、及び手術用装置
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明 細 書

発明の名称 プラズマ照射装置、ハンドピース、及び手術用装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036  

発明の効果

0037  

図面の簡単な説明

0038  

発明を実施するための形態

0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118  

符号の説明

0119  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : プラズマ照射装置、ハンドピース、及び手術用装置

技術分野

[0001]
 本発明は、手術用装置に用いるプラズマ照射装置、ハンドピース、及び手術用装置に関するものである。

背景技術

[0002]
 プラズマを利用した手術用の装置として、特許文献1のような技術が提案されている。特許文献1で開示される電気手術装置は、連続的にプラズマ化されている不活性ガスを通じて電極から組織への放電を行い、組織の切開と凝固とを同時的に行い得る構成となっている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特表2013-545530号公報
特許文献2 : 特表2013-544122号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 特許文献1で開示される電気手術装置は、生体組織の切開と止血(凝固)を単一の装置によって行うことができるという利点があるが、止血箇所に対する加熱が大きくなるため、止血箇所において熱損傷等が生じやすいという懸念がある。
[0005]
 一方、特許文献2には、組織凝固用熱凝固止血装置と、生化学的止血装置とを組み合わせた止血器具が開示されている。この止血器具では、組織の外的又は内的加熱による熱凝固止血と、誘電体バリア放電による生化学的止血とを選択することができ、生化学的止血を選択した場合、低温プラズマの照射に基づく非加熱方式での止血処置がなされるため、組織の熱損傷を抑えつつ止血がなされる。しかし、特許文献2で採用される生化学的止血は、放電極と組織とを一対の電極として機能させ、これらの間に誘電体を介在させて誘電体バリア放電を行う構成である。つまり、生体組織そのものを電極として使用する方式を採用しているため、生体組織に対して電流が流れ込む懸念がある。
[0006]
 本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、作用部材によって生体組織の切開、剥離または止血の少なくともいずれか1つを行い得るハンドピースにおいて低温プラズマの照射による止血を可能とし、且つ低温プラズマの照射による止血時に生体組織に対する加熱及び通電を抑制し得る構成を実現することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

[0007]
 第1の解決手段であるプラズマ照射装置は、
 生体組織に作用する作用部材が組み込まれたハンドピースに設けられるプラズマ照射装置であって、
 前記ハンドピースの外部から供給されるガスを前記作用部材の先端部に供給するガス流路と、
 第1電極部と、該第1電極部に対向する第2電極部と、少なくとも一部が前記第1電極部と前記第2電極部との間に位置し、且つ、前記第1電極部と前記第2電極部との間に位置する部位が前記第1電極部の表面と前記第2電極部の表面との少なくとも一方に配置される誘電体と、を備えるとともに前記ガス流路に配置され、前記第1電極部と前記第2電極部との電位差に基づく電界を前記ガス流路内の空間に発生させて低温プラズマ放電を生じさせる電界発生部と、
を有する。
[0008]
 上記構成のプラズマ照射装置は、作用部材によって生体組織の切開、剥離または止血の少なくともいずれか1つを行う基本機能を備えたハンドピースにおいて低温プラズマの照射による止血機能を付加することができ、共通のハンドピースによって両処置(上記基本機能による処置と低温プラズマの照射による止血処置の両方)を行うことが可能となる。このように共通のハンドピースによって両処置を行うことができるため、施術対象に対して使用する器具の数を低減することができ、施術対象の負担をより軽減しやすくなる。しかも、低温プラズマの照射により血液の凝固作用を生じさせ、止血処置を行うものであるため、より低侵襲な止血が可能となる。また、作用部材の先端部にガスを供給するようにガス流路が構成され、このガス流路内で低温プラズマを生成する構成であるため、上記基本機能による作用(切開作用、剥離作用または止血作用)を生体組織に生じさせる部分(作用部材の先端部付近)の近傍に効率的に低温プラズマを照射することができる。更に、ハンドピースに第1電極部と第2電極部とが配置され、これらの電位差に基づく電界をハンドピースに設けられたガス流路内の空間に発生させて低温プラズマを生成する構成であるため、施術対象とハンドピースとの間に強制的に電圧を印加したり施術対象側に強制的に電流を流したりしなくてもハンドピースで低温プラズマを生成することができる。
[0009]
 誘電体は、第1電極部と第2電極部との間に位置する部位が第1電極部の表面と第2電極部の表面との一方のみと接触するものであってもよい。プラズマ照射装置は、第1電極部と第2電極部との間にガス流路内の空間が存在し、当該空間で低温プラズマ放電を生じさせる構成であってもよい。
[0010]
 このプラズマ照射装置は、第1電極部と第2電極部との間に存在するガス流路内の空間で安定的にプラズマを発生させることができる。そして、この放電で生じたプラズマを、ガス流路でのガスの流れを利用して作用部材の先端部側へ効率的に照射することができる。
[0011]
 誘電体は、第2電極部の第1電極部側の表面に配置される第1誘電体部と、第1電極部側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部と、を備えていてもよい。そして、第2電極部が、第1電極部の電位を中心として電位が振動する電極となっていてもよい。そして、第2誘電体部の厚さが第1誘電体部の厚さより大きくなっていてもよい。
[0012]
 このように、第2電極部の第1電極部側の表面に配置される第1誘電体部の厚さよりも、第1電極部側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部の厚さのほうが大きくなっていれば、電位の振動によって第2電極部の電位が高くなっても、その高電位の影響が第2誘電体部の外側の領域(ガス流路とは反対側の領域)に及びにくくなり、第2電極部の電位に起因する問題が第2誘電体部の外側の領域で生じにくくなる。逆に、ガス流路側には第2電極部の電位の影響が及びやすくなり、ガス流路内で電界強度をより高めやすくなる。
[0013]
 作用部材は、軸状に構成されるとともに少なくとも一部が第1電極部として構成され且つグラウンド電極として構成されていてもよい。
[0014]
 このように作用部材が軸状に構成され第1電極部を兼ねる構成であれば、部品点数の削減及び小型化を図りやすくなる。また、作用部材がグラウンド電極であるため、生体組織に近接させる部位の電位が低く抑えられ、作用部材を生体組織に近づけても、作用部材から生体組織への通電は抑えられる。
[0015]
 第2電極部は、第1電極部周りに連続的又は断続的な環状形態で配置されていてもよい。そして、第1電極部の周りにおいて、環状形態に配置される第2電極部の内側にガス流路が配置されていてもよい。
[0016]
 このように、第1電極部の周りにおいて、環状形態に配置される第2電極部の内側にガス流路が配置されていれば、第1電極部の周りで全体的に電界を発生させることができ、第1電極部の周りに存在するガス流路内の空間で、より効率的に低温プラズマを発生させることができる。
[0017]
 誘電体は、第1電極部と第2電極部との間に位置する部位が、第1電極部の表面と第2電極部の表面との両方に接触するものであってもよい。そして、誘電体の少なくとも一部がガス流路の内壁部を構成し、該内壁部に沿って低温プラズマ放電を生じさせるように構成されていてもよい。
[0018]
 このプラズマ照射装置は、誘電体によって構成されるガス流路の内壁部に沿って低温プラズマ放電を生じさせ、この放電で生じた低温プラズマを、ガス流路でのガスの流れを利用して作用部材の先端部側へ効率的に照射することができる。また、誘電体の面に沿って比較的狭い領域で低温プラズマ放電を生じさせることができるため、小型化を図りやすくなる。
[0019]
 ガス流路の内壁部に沿って低温プラズマ放電を生じさせうる上述の構成において、誘電体は、第2電極部の第1電極部側の表面に配置される第1誘電体部と、第1電極部側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部と、を備えていてもよい。第2電極部は、第1電極部の電位を中心として電位が振動する電極であってもよい。第2誘電体部の厚さは、第1誘電体部の厚さより大きくてもよい。
[0020]
 このように、第2電極部の第1電極部側の表面に配置される第1誘電体部の厚さよりも、第1電極部側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部の厚さのほうが大きくなっていれば、電位の振動によって第2電極部の電位が高くなっても、その高電位の影響が第2誘電体部の外側の領域(ガス流路とは反対側の領域)に及びにくくなり、第2電極部の電位に起因する問題が第2誘電体部の外側の領域で生じにくくなる。逆に、ガス流路側には第2電極部の電位の影響が及びやすくなり、ガス流路内で電界強度をより高めやすくなる。
[0021]
 ガス流路の内壁部に沿って低温プラズマ放電を生じさせうる上述の構成において、第1電極部は、連続的又は断続的な環状形態で配置されていてもよい。そして、第2電極部は、環状形態で配置された第1電極部の周りに連続的又は断続的な環状形態で配置されていてもよい。
[0022]
 このように、第1電極部及び第2電極部を環状形態で配置することで、低温プラズマ放電の発生領域をより広く確保することができる。
[0023]
 プラズマ照射装置は、作用部材を内側に備えるとともに所定方向に延びる筒状部を有していてもよい。作用部材は、軸状に構成されるとともに一端側が生体組織に作用する作用部となっていてもよい。
[0024]
 この構成によれば、一端側が作用部(生体組織に作用する部分)として構成された軸状の作用部材を筒状部の内側に配置する形でプラズマ照射装置を構成することができ、このような構成のものにおいて、作用部に向けて低温プラズマを照射することができるようになる。
[0025]
 電界発生部は、筒状部のうち、作用部材の一端側(生体組織に作用する作用部側)に設けられていてもよい。
[0026]
 このように、作用部材の一端側(生体組織に作用する作用部側)で低温プラズマ放電を生じさせるように電界発生部を構成することで、放電で生じた低温プラズマが作用部付近に効率的に供給されやすくなる。
[0027]
 第2の解決手段であるハンドピースは、第1の解決手段である上述のプラズマ照射装置と、作用部材を駆動させる駆動部と、を有する。駆動部は、超音波振動を発生させる超音波振動部であり、作用部材は、超音波振動部で発生する超音波振動が伝達されることにより、自身が振動して生体組織に対して切開作用、剥離作用または熱凝固止血作用を生じさせる。
[0028]
 このハンドピースは、第1の解決手段のプラズマ照射装置と同様の効果を生じさせ、更に、超音波振動による生体組織の切開、剥離または熱凝固止血と、低温プラズマの照射による止血と、を共通のハンドピースによって行うことを可能とする。
[0029]
 第3の解決手段であるハンドピースは、第1の解決手段である上述のプラズマ照射装置と、作用部材を駆動させる駆動部と、を有する。駆動部は、高周波電流を供給する高周波電流供給部である。作用部材は、高周波電流供給部から供給される高周波電流が流れることにより、生体組織に対して切開作用、剥離作用または熱凝固止血作用を生じさせる。
[0030]
 このハンドピースは、第1の解決手段のプラズマ照射装置と同様の効果を生じさせ、更に、作用部材を介して流れる高周波電流による生体組織の切開、剥離または熱凝固止血と、低温プラズマの照射による止血と、を共通のハンドピースによって行うことを可能とする。
[0031]
 第4の解決手段であるハンドピースは、第1の解決手段である上述のプラズマ照射装置と、作用部材を、筒状部から突出させる突出位置と、突出位置よりも突出量が小さい退避位置とに変位させる変位装置と、を有する。
[0032]
 このハンドピースは、第1の解決手段のプラズマ照射装置と同様の効果を生じさせ、更に、必要に応じて作用部材を退避させることができ、作用部材を退避させた状態で低温プラズマを照射する止血処置が可能となる。
[0033]
 第2、第3、第4の解決手段である各ハンドピースには、第1の解決手段のプラズマ照射装置に対して付加し得る上述のいずれの特徴をも付加することができる。
[0034]
 第5の解決手段である手術用装置は、第2~第4の解決手段のいずれかのハンドピースを含む。
[0035]
 この手術用装置は、第1の解決手段のプラズマ照射装置と同様の効果を生じさせ、更に、第2~第4の解決手段のいずれかのハンドピースと同様の効果を生じさせることができる。
[0036]
 第5の解決手段である手術用装置には、第1の解決手段のプラズマ照射装置に対して付加し得る上述のいずれの特徴をも付加することができる。

発明の効果

[0037]
 本発明によれば、作用部材によって生体組織を切開、剥離または止血し得るハンドピースにおいて低温プラズマの照射による止血を可能とし、且つ低温プラズマの照射による止血時には、生体組織に対する加熱及び通電を抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0038]
[図1] 第1実施形態のプラズマ照射装置が組み込まれた手術用装置を概略的に示す概略図である。
[図2] 第1実施形態のプラズマ照射装置における軸方向に沿った切断面の断面構成を概略的に示す断面概略図である。
[図3] 第1実施形態のプラズマ照射装置における軸方向と直交する方向に沿った切断面の断面構成を概略的に示す断面概略図である。
[図4] 第1実施形態のプラズマ照射装置の製造方法を説明する説明図である。
[図5] 第2実施形態のプラズマ照射装置における軸方向に沿った切断面の断面構成を概略的に示す断面概略図である。
[図6] 第2実施形態のプラズマ照射装置における軸方向と直交する方向に沿った切断面の断面構成を概略的に示す断面概略図である。
[図7] 第2実施形態のプラズマ照射装置の製造方法を説明する説明図である。
[図8] 第3実施形態のプラズマ照射装置が組み込まれた手術用装置を概略的に示す概略図である。
[図9] 第4実施形態のプラズマ照射装置における軸方向に沿った切断面の断面構成を概略的に示す断面概略図である。
[図10] 第5実施形態のプラズマ照射装置が組み込まれた手術用装置を概略的に示す概略図である。
[図11] 第5実施形態のプラズマ照射装置における軸方向と直交する方向に沿った切断面の断面構成を概略的に示す断面概略図である。
[図12] 第6実施形態のプラズマ照射装置が組み込まれた手術用装置を概略的に示す概略図である。
[図13] 第6実施形態のプラズマ照射装置における軸方向と直交する方向に沿った切断面の断面構成を概略的に示す断面概略図である。
[図14] 他の実施形態のプラズマ照射装置における軸方向と直交する方向に沿った切断面の断面構成を概略的に示す断面概略図である。

発明を実施するための形態

[0039]
 <第1実施形態>
 1.手術用装置の全体構成
 図1で示す手術用装置1は、施術対象の生体組織に対して切開、剥離または止血を行い得る処置装置として構成されている。手術用装置1は、主に、ハンドピース3と、超音波振動部12(駆動部)を制御する装置である制御装置5と、ハンドピース3内のガス流路22(図3)に対してガスを供給するガス供給装置7と、プラズマ照射装置20に対して電圧を印加し得る電源装置9とを備える。
[0040]
 制御装置5は、超音波振動部12に対して超音波振動を発生させるための電気信号を与える装置であり、例えば、ハンドピース3と制御装置5との間に介在する図示しない可撓性の信号ケーブルを介して超音波振動部12に電気信号を与え得る構成となっている。
[0041]
 ガス供給装置7は、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを供給する装置であり、例えば、ハンドピース3とガス供給装置7との間に介在する図示しない可撓性の管路を介して後述するガス流路22に不活性ガスを供給する。
[0042]
 電源装置9は、後述するプラズマ照射装置20の第1電極部(作用部材31)及び第2電極部32の間に所望の電圧を印加するための装置である。具体的には、作用部材31(第1電極部)をグラウンド電位に保ちながら、第1電極部(作用部材31)と第2電極部32との間に所定周波数の交流電圧を印加する。電源装置9は、交流電圧を生成し得る回路であれば、公知の様々な回路を採用し得る。なお、図1の例では、第1電極部(作用部材31)と第2電極部32との間に印加する交流電圧を生成する電源装置9をハンドピース3の外部に設けてなる手術用装置を例示しているが、第1電極部(作用部材31)と第2電極部32との間に印加する交流電圧を生成する電源回路をハンドピース3の内部に設けてもよい。
[0043]
 ハンドピース3は、手術を行う術者によって把持されて使用される装置であり、主に、プラズマ照射装置20、超音波振動部12、可動部材変位機構60、ケース体14などを備える。
[0044]
 ケース体14は、円筒状に構成され所定方向に延びる第1ケース体14Aと、第1ケース体14Aの一端部に連結され、所定方向に延びる円筒状の第2ケース体14Bとを備える。第1ケース体14Aの内部には、超音波振動部12などが収容され、第2ケース体14Bの内部には、プラズマ照射装置20などが収容されている。なお、図2、図3では、第2ケース体14Bを二点鎖線によって仮想的に示す。本構成では、第1ケース体14Aが基部の一例に相当し、把持部(具体的には、固定把持部62及び可動把持部64)が設けられた部分となっている。また、第2ケース体14Bが延出部の一例に相当し、第1ケース体14A(基部)から所定方向に延びる構成をなしている。第2ケース体14B(延出部)は、例えば、外径が10mm以下の円筒状に構成すると内視鏡手術などに好適に用いることができる。
[0045]
 超音波振動部12は、公知の超音波振動子として構成され、上述した制御装置5によって所定の電気信号が与えられたときに駆動し、軸状に構成された作用部材31に対して超音波振動を伝達するように動作する。この超音波振動部12は、駆動部の一例に相当し、作用部材31の先端部付近において生体組織を切開、剥離または熱凝固止血する作用が生じるように作用部材31を駆動する。
[0046]
 作用部材31は、先端部付近が固定刃として生体組織に作用する部材であり、超音波振動部12で発生した超音波振動が伝達される振動部材の一例に相当する。この作用部材31は、超音波振動部12によって超音波振動が伝達されているときに先端部付近において生体組織を切開、剥離または熱凝固止血する作用が生じるように動作する。なお、作用部材31の更なる詳細については後述する。
[0047]
 可動部材変位機構60は、可動刃として機能する可動部材66を変位させる機構であり、公知の可動機構を採用している。この可動部材変位機構60は、第1ケース体14Aに固定される固定把持部62と、固定把持部62に対して相対移動可能に取り付けられる可動把持部64と、可動把持部64と連動して変位する可動部材66と、可動把持部64及び可動部材66と連動し、可動把持部64の変位に応じて可動部材66を変位させる図示しない連動機構とを備える。可動部材変位機構60では、軸状の可動部材66が第2ケース体14Bの先端部付近の回動軸を中心として回動可能とされており、図1で示す二点鎖線のように可動把持部64を固定把持部62側に近接させる操作を行ったときに可動部材66の先端部側が作用部材31の先端部側に近づくように可動部材66が回動する。逆に、可動把持部64を固定把持部62から離間させる操作を行ったときに可動部材66の先端部側が作用部材31の先端部側から離れるように可動部材66が回動する。
[0048]
 このように構成されたハンドピース3では、超音波振動を用いた生体組織の切開処置、剥離処置、止血処置を行いうる。例えば、固定刃として機能する作用部材31の先端部と、可動刃として機能する可動部材66とによって生体組織が挟み込まれたときに、作用部材31に加えられた超音波振動によって生体組織を切除することができる。また、超音波振動が加えられた作用部材31を生体組織に接触させて摩擦熱を生じさせ、止血を行うこともできる。また、作用部材31に対して超音波振動を与えながら、又は与えずに、作用部材31と可動部材66とによって生体組織を挟持し、剥離処置を行うこともできる。このように、ハンドピース3では、超音波振動による切開、剥離または熱凝固止血が可能となっており、更に、後述するプラズマ照射装置20からの低温プラズマの照射によって低侵襲な止血を行うこともできる。この低侵襲な止血は、固定刃として機能する作用部材31の先端部と、可動刃として機能する可動部材66とによって生体組織を挟み込みながら行い得る。
[0049]
 2.プラズマ照射装置の構成
 次に、プラズマ照射装置20の構成を詳述する。
 図1のように、プラズマ照射装置20は、ハンドピース3に組み込まれ、ハンドピース3の内部で誘電体バリア放電を生じさせる装置として構成されている。図2、図3のように、プラズマ照射装置20は、主に、ガス流路22と、電界発生部30とを備える。
[0050]
 図3のように、ガス流路22は、ハンドピース3を構成する作用部材31の一部が内部に挿通されるように設けられ、ハンドピース3の外部(具体的には、ガス供給装置7)から供給される不活性ガスを作用部材31の先端部側に向けて流す流路となっている。
[0051]
 図2のように、プラズマ照射装置20は、筒状に構成されるとともに所定方向(第2ケース体14Bの延出方向)に延びる筒状部50を備える。筒状部50は、図1で示す第2ケース体14B内に収容された形で設けられている。そして、図2のように、筒状部50の中心部に配置される形で、作用部材31が筒状部50内に挿入されている。作用部材31は、角棒形状をなす軸部材として構成されており、軸方向において第2電極部32が設けられた領域ARでは、図3のように、作用部材31における軸方向と直交する方向の断面の外縁形状が矩形状(具体的には正方形状)となっている。そして、筒状部50の内面部(内壁部)と作用部材31(軸部材)の外面部とによってガス流路22が構成され、筒状部50と作用部材31の間の空間を、第2ケース体14Bの基端側(第1ケース体14A側)から先端側に向けて不活性ガスが流れるようになっている。
[0052]
 図2のように、電界発生部30は、第1電極部(作用部材31)と、第2電極部32と、第1電極部(作用部材31)と第2電極部32の間に介在する誘電体40とを備えており、ハンドピース3(図1)の内部に組み込まれている。この電界発生部30は、第1電極部(作用部材31)と第2電極部32の電位差に基づく電界をガス流路22内で発生させて低温プラズマ放電を生じさせるように機能する。電界発生部30は、長手状に構成されたハンドピース3において長手方向一端寄りの位置(作用部材31の先端寄りの位置)で低温プラズマ放電を生じさせるように動作し、具体的には、第2ケース体14B(延出部)における先端部寄りの位置(第2ケース体14Bにおいて長手方向中央位置よりも先端側の位置)で低温プラズマ放電を生じさせるようになっている。
[0053]
 図3のように、誘電体40は、作用部材31(第1電極部)を覆う第1電極部側誘電体41と、第2電極部32が埋め込まれる第2電極部側誘電体42とを備える。これら第1電極部側誘電体41及び第2電極部側誘電体42の材料は、例えばアルミナなどのセラミックやガラス材料を好適に用いることができる。なお、機械的強度が高いアルミナを誘電体として用いることで、電界発生部30の小型化を図りやすくなる。
[0054]
 図2、図3のように、第1電極部側誘電体41は、作用部材31の軸方向の所定領域において作用部材31を環状に囲むように配置されている。具体的には、図2のように、作用部材31の軸方向において第2電極部32が配置された領域ARの全体にわたり、且つ、領域ARの軸方向両側に及ぶように領域ARよりも広い範囲で、第1電極部側誘電体41が作用部材31の周囲を囲んでいる。作用部材31の軸方向において、少なくとも領域ARの範囲では作用部材31がガス流路22側に露出しない構成となっている。なお、第1電極部側誘電体41の形状に合わせた凹部を作用部材31の表面に形成し、この凹部に第1電極部側誘電体41を嵌め込むように配置してもよい。このような構成とすれば、ガス流路22の表面の凹凸を減らすことができるので、流れる不活性ガスの乱れを防ぐことにつながり、低温プラズマを安定して生じさせることができる。
[0055]
 図2のように、作用部材31は、軸状の形態をなすとともに第1電極部として構成され且つグラウンド電極として構成された軸状電極部材として機能する。この作用部材31は、図3のように、少なくとも第2電極部32及び第1電極部側誘電体41が設けられた領域の軸方向全範囲にわたり断面の外縁形状が四角形(具体的には正方形)となる角棒形態をなす。一方、第2電極部32は、作用部材31(軸状電極部材)の周りに断続的な環状形態で配置されている。そして、作用部材31(軸状電極部材)の周りにおいて、環状形態に配置される第2電極部32の内側にガス流路22が構成されている。
[0056]
 図2、図3のように、第2電極部32は、第2電極部側誘電体42内に埋め込まれ、ガス流路22側に第2電極部32が露出しない構成となっている。第2電極部32が設けられた領域では、第2電極部側誘電体42によってガス流路22の内壁部が構成されている。各々の第2電極部32は、それぞれ層状に構成され、作用部材31の各外面部31A,31B,31C,31Dとそれぞれ対向するように配置されている。図3の例では、板状に構成された複数の第2電極部側誘電体42のそれぞれの内部に第2電極部32が配置され、筒状部50の各壁部50A,50B,50C,50Dがそれぞれ構成されている。複数の壁部50A,50B,50C,50Dは、同様の構成をなし、これら複数の壁部50A,50B,50C,50Dが環状に連結される形で筒状部50が構成されている。そして、複数の壁部50A,50B,50C,50Dのいずれの第2電極部側誘電体42も、第2電極部32の作用部材31側(第1電極部側)の表面に配置される第1誘電体部42Cと、作用部材31側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部42Dとを備える。そして、第2誘電体部42Dの厚さT2が第1誘電体部42Cの厚さT1より大きくなっている。厚さT1は、第2電極部側誘電体42におけるガス流路22側の面42Aと第2電極部32の間の間隔であり、厚さT2は、第2電極部側誘電体42におけるガス流路22とは反対側の面42Bと第2電極部32の間の間隔である。
[0057]
 このように構成されたプラズマ照射装置20は、作用部材31(第1電極部)と第2電極部32との間にガス流路22内の空間が存在し、この空間で不活性ガスが流れるようになっている。そして、作用部材31と第2電極部32との間には、電源装置9によって所定周波数の交流電圧が印加されるようになっている。この電源装置9は、第1電極部としての作用部材31をグラウンド電位に保ち、各第2電極部32の電位を、作用部材31の電位(グラウンド電位)を中心として、グラウンド電位よりも一定程度高い電位である+A(V)から一定程度低い電位である-A(V)までの範囲で振動させるように動作する。なお、「A」は、正の値である。このように交流電圧が印加されると、作用部材31及び第2電極部32において誘電体40によるバリアが構成された形で、これら電極間で電界の変化が生じ、作用部材31(第1電極部)と第2電極部32の間に存在するガス流路22内の空間で誘電体バリア放電が生じる。ガス流路22では、ガス流路22の端部(具体的には、図2で示す筒状部50の端部をなす開口部52)に向けて不活性ガスが流れるようになっており、誘電体バリア放電によって生じた低温プラズマは、ガス流路22の端部から作用部材31の先端側に向けて放出される。このような構成であるため、術者がハンドピース3の先端部付近(作用部材31の先端部付近)を出血箇所に向けるように操作し、プラズマ照射装置20を動作させれば、低温プラズマを出血箇所に照射することができ、血液の凝固作用を生じさせて止血処置を行うことができる。
[0058]
 3.プラズマ照射装置の製造方法
 次に、プラズマ照射装置20の製造方法について説明する。ここでは、主に、図3で示す筒状部50を構成する各壁部(壁部50A,50B,50C,50D)の製造方法を説明する。
[0059]
 筒状部50を構成する壁部を製造する場合、まず、第1セラミックグリーンシート形成工程を行う。第1セラミックグリーンシート形成工程では、図4(A)のように、アルミナ粉末を主成分とするセラミック材料を用いて、所定厚さの第1セラミックグリーンシート142Aを形成する。ここで、セラミックグリーンシートの形成方法としては、テープ成形や押出成形などの公知の方法を用いることができる。そして、第1セラミックグリーンシート形成工程の後には、ビアホール形成工程を行う。ビアホール形成工程は、まず、図4(A)のように形成された第1セラミックグリーンシートに対してレーザ加工を行い、ビアホール134(図4(G)参照)用の貫通孔を形成する。なお、貫通孔の形成としては、パンチング加工やドリル加工などの周知の方法を用いることができる。次に、公知のペースト印刷装置(図示略)を用いて、ビアホール134用の貫通孔に導電性ペースト(本実施形態では、タングステンペースト)を充填し、ビアホール134の導体となる未焼成のビアホール導体部134Aを形成する。なお、図4(B)は、第1セラミックグリーンシート142Aに未焼成のビアホール導体部134Aが形成された様子を概念的に示す。
[0060]
 図4(A)のように第1セラミックグリーンシート形成工程を行い、図4(B)のようにビアホール形成工程を行った後には、未焼成導体層形成工程を行う。未焼成導体層形成工程では、図4(C)のように、公知のペースト印刷装置(図示略)を用いて、第1セラミックグリーンシート142Aの一方面上に、タングステンを主成分とするタングステンペースト132Aを塗布(印刷)する。
[0061]
 未焼成導体層形成工程の後には、第2セラミックグリーンシート形成工程を行う。第2セラミックグリーンシート形成工程では、アルミナ粉末を主成分とするセラミック材料を用いて、所定厚さの第2セラミックグリーンシート142Bを形成し、この第2セラミックグリーンシート142Bを、図4(D)のように、未焼成導体層形成工程で得られた積層体(第1セラミックグリーンシート142Aとタングステンペースト132Aの積層体)上に載置し、シート積層方向に押圧力を付与し圧着することで一体化する。さらに、図4(E)のように、表面電極部形成工程を行う。表面電極部形成工程では、公知のペースト印刷装置(図示略)を用い、第1セラミックグリーンシート142Aにおける未焼成のビアホール導体部134Aの形成側の主面上に導電性ペーストを印刷し、未焼成の表面電極部136Aを形成する。未焼成の表面電極部136Aは、焼成後に表面電極部136(図4(G)参照)となる部分である。
[0062]
 次に、公知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、セラミック積層体(セラミックグリーンシート及び未焼成電極)をアルミナ及びタングステンが焼結し得る所定の温度(例えば、1400℃~1600℃程度)に加熱する焼成工程を行う。この焼成工程の結果、図4(F)のように、セラミックグリーンシートのアルミナ、タングステンペースト中のタングステンが焼結し、板状体150(誘電体42内に第2電極部32、ビアホール134が埋設し、且つ、表面電極部136が形成されてなる板状体)が構成される。
[0063]
 そして、このように構成された板状体150に対し、表面電極部136を覆うようにメッキ部138(例えば、Niメッキ部)を形成する。この構成では、第2電極部32が、ビアホール134の導体を介して表面電極部136と導通している。従って、表面電極部136を介して第2電極部32の電位を設定することが可能となる。
[0064]
 このような工程で筒状部50の壁部となるべき板状体150(図4(G))を複数形成し、この板状体150を環状に配置することで、筒状部50の少なくとも一部(図3のように第2電極部32が埋設された環状部分)を構成することができる。図3で示す各壁部50A,50B,50C,50Dは、図4(G)のような板状体150によってそれぞれ構成されている。なお、図3では、表面電極部136やビアホール134などを省略して示している。筒状部50は、複数の板状体150のみによって角筒状に構成されていてもよく、角筒状に構成された複数の板状体150に他の環状部材(例えば、誘電体40と同材料又は別材料の絶縁材料によって構成される角筒状の部材)を連結して筒状部50を構成してもよい。
[0065]
 筒状部50が形成された後には、筒状部50の内部に作用部材31(具体的には、所定形状に加工された金属製の軸部材の一部に誘電体(第1電極部側誘電体41を)被覆してなる軸状体)を配置し、これら筒状部50と作用部材31を所定の位置関係で保持することで、図2、図3で示すプラズマ照射装置20が得られる。
[0066]
 なお、図4の例では、板状体150におけるガス流路の内壁面となるべき面42Aとは反対側の面42Bに表面電極部136を配置して第2電極部32と外部との導通を確保した例を示したが、第2電極部32を板状体150の端面(側壁面)に露出させ、この端面に電極部を配置して第2電極部32と外部との導通を確保してもよい。
[0067]
 次に、本構成の効果を例示する。
 プラズマ照射装置20は、生体組織を切開、剥離または熱凝固止血する基本機能を備えたハンドピース3において低温プラズマの照射による止血機能を付加することができ、共通のハンドピース3によって両処置(上記基本機能による処置と低温プラズマの照射による止血処置の両方)を行うことが可能となる。このように共通のハンドピース3によってこれらの処置を行うことができるため、施術対象に対して使用する器具の数を低減することができ、施術対象の負担をより軽減しやすくなる。
[0068]
 例えば、内視鏡手術に適用することを想定した場合、プラズマ照射装置20が超音波切開、剥離または熱凝固止血を行いうる装置と一体化されているため、腹腔内に挿入する器具の本数を低減することができ、患者の負担をより軽減することができる。
[0069]
 しかも、低温プラズマの照射により血液の凝固作用を生じさせ、止血処置を行うものであるため、より低侵襲な止血が可能となる。
[0070]
 特に、低温プラズマによる止血では、熱損傷が発生しないため、術後障害のリスクを低減することができる。また、熱損傷の痕が残りにくいため、再手術の際に病変箇所の特定が容易になるというメリットもある。また、止血処置を行う際に加熱に起因する煙が発生しないため、手術中に煙によって視野が狭められるという問題も生じにくい。
[0071]
 また、作用部材31の先端部にガスを供給するようにガス流路22が構成され、このガス流路22内で低温プラズマを生成する構成であるため、上記基本機能による作用(切開作用、剥離作用または熱凝固止血作用)を生体組織に生じさせる部分(作用部材31の先端部付近)の近傍に効率的に低温プラズマを照射することができる。
[0072]
 更に、ハンドピース3に第1電極部(作用部材31)と第2電極部32とが配置され、これらの電位差に基づく電界をハンドピース3に設けられたガス流路22内の空間に発生させて低温プラズマを生成する構成であるため、施術対象とハンドピース3との間に強制的に電圧を印加したり施術対象側に強制的に電流を流したりしなくてもハンドピース3で低温プラズマを生成することができる。
[0073]
 作用部材31は、超音波振動部12(駆動部)で発生する超音波振動が伝達されることにより、自身が振動して生体組織に対して切開作用、剥離作用、または熱凝固止血作用を生じさせる。このように構成されるため、プラズマ照射装置20は、超音波振動による生体組織の切開、剥離または熱凝固止血と、低温プラズマの照射による低侵襲な止血とを、共通のハンドピースによって行うことを可能とする。
[0074]
 誘電体40は、作用部材31(第1電極部)と第2電極部32との間に位置する部位が作用部材31(第1電極部)の表面と第2電極部32の表面との一方のみ(具体的には、第2電極部32の表面のみ)と接触するものとなっている。そして、プラズマ照射装置20は、作用部材31(第1電極部)と第2電極部32との間にガス流路22内の空間が存在し、当該空間で低温プラズマ放電を生じさせる構成となっている。このプラズマ照射装置20は、作用部材31(第1電極部)と第2電極部32との間に存在するガス流路22内の空間で安定的にプラズマを発生させることができる。そして、この放電で生じた低温プラズマを、ガス流路22で生じるガスの流れを利用して作用部材31の先端部側へ効率的に照射することができる。
[0075]
 誘電体40は、第2電極部32の作用部材31(第1電極部)側の表面に配置される第1誘電体部42Cと、作用部材31(第1電極部)側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部42Dと、を備える。そして、第2電極部32は、作用部材31(第1電極部)の電位(グラウンド電位)を中心として電位が振動する電極となっている。そして、第2誘電体部42Dの厚さT2が第1誘電体部42Cの厚さT1より大きくなっている。このように、第1誘電体部42Cの厚さT1よりも第2誘電体部42Dの厚さT2のほうが大きくなっていれば、電位の振動によって第2電極部32の電位が高くなっても、その高電位の影響が第2誘電体部42Dの外側の領域(ガス流路22とは反対側の領域)に及びにくくなり、第2電極部32の電位に起因する問題が第2誘電体部42Dの外側の領域(例えば、第2ケース体14Bの外側)で生じにくくなる。逆に、ガス流路22側には第2電極部32の電位の影響が及びやすくなり、ガス流路22内で電界強度をより高めやすくなる。
[0076]
 作用部材31は、軸状に構成されるとともに少なくとも一部が第1電極部として構成され且つグラウンド電極として構成されている。このように作用部材31が軸状に構成され、第1電極部を兼ねる構成であれば、部品点数の削減及び小型化を図りやすくなる。また、作用部材31がグラウンド電極であるため、生体組織に近接させる部位の電位が低く抑えられ、作用部材31を生体組織に近づけても、作用部材31から生体組織への通電は抑えられる。なお、生体組織の電位状態は特に限定されないが、グラウンド電極として構成される作用部材31と生体組織とを図示しない配線によって電気的に接続し、生体組織と作用部材31とが同一のグラウンド電位に保たれるようにしてもよい。この場合、作用部材31又は生体組織に接地用のアース線を電気的に接続して接地してもよい。
[0077]
 第2電極部32は、作用部材31(第1電極部)周りに断続的な環状形態で配置されている。そして、作用部材31(第1電極部)の周りにおいて、環状形態に配置される第2電極部32の内側にガス流路22が配置されている。このように作用部材31(第1電極部)の周りにおいて、環状形態に配置される第2電極部32の内側にガス流路22が配置されていれば、作用部材31(第1電極部)の周りで全体的に電界を発生させることができ、作用部材31(第1電極部)の周りに存在するガス流路22内の空間で、より効率的に低温プラズマを発生させることができる。
[0078]
 作用部材31は、超音波振動部12で発生した超音波振動が伝達される振動部材として構成されている。そして、この作用部材31(振動部材)の振動により生体組織に対して切開、剥離または熱凝固止血作用を生じさせる構成となっている。この構成では、第1電極部として構成される作用部材31を生体組織に接触させて切開、剥離または熱凝固止血作用を生じさせる振動部材として兼用することができるため、部品点数をより削減することができ、小型化を図る上でより有利になる。しかも、生体組織に接触する振動部材(作用部材31)をグラウンド電位に安定的に保つことができるため、生体組織に電気的な悪影響を及ぼしにくくなる。
[0079]
 プラズマ照射装置20は、作用部材31を内側に備えるとともに所定方向(延出部である第2ケース体14Bが延びる方向)に延びる筒状部50を有する。そして、作用部材31は、軸状に構成されるとともに一端側が生体組織に作用する作用部となっている。この構成によれば、一端側が作用部(生体組織に作用する部分)として構成された軸状の作用部材31を筒状部50の内側に配置する形でプラズマ照射装置20を構成することができ、このような構成のものにおいて、作用部に向けて低温プラズマを照射することができるようになる。具体的には、作用部材31の外面部又は外面部を被覆する被覆部(第1電極部側誘電体41)と、筒状部50の内壁部とによってガス流路22が構成されている。このようにガス流路22が構成されていれば、作用部材31に沿うように作用部材31近傍でガスを流すことができ、作用部(作用部材31の先端部)に向けてより効率的に低温プラズマを照射することができる。
[0080]
 電界発生部30は、筒状部50のうち、作用部材31の一端側(生体組織に作用する作用部側)に設けられている。このように、作用部材31の一端側(生体組織に作用する作用部側)で低温プラズマ放電を生じさせるように電界発生部30を構成することで、放電で生じた低温プラズマが作用部付近に効率的に供給されやすくなる。具体的には、プラズマ照射装置20が組み込まれたハンドピース3は、把持部(固定把持部62及び可動把持部64)が設けられてなる第1ケース体14A(基部)と、第1ケース体14A(基部)から所定方向に延びる第2ケース体14B(延出部)とを備える。そして、電界発生部30は、第2ケース体14B(延出部)内に設けられ、第2ケース体14B(延出部)における先端部寄りの位置で低温プラズマ放電を生じさせる構成となっている。このように電界発生部30を構成することで、放電で生じた低温プラズマが第2ケース体14B(延出部)の先端側に効率的に供給されやすくなる。
[0081]
 <第2実施形態>
 次に、第2実施形態について説明する。
 第2実施形態のプラズマ照射装置220が適用された手術用装置201は、図1で示す手術用装置1においてプラズマ照射装置20をプラズマ照射装置220に置き換えたものであり、プラズマ照射装置220以外の構成(手術用装置1におけるプラズマ照射装置20以外の構成)は、図1で示す手術用装置1と同様である。図5、図6で概念的に示すハンドピース203は、プラズマ照射装置20をプラズマ照射装置220に置き換えた点以外は、図1で示すハンドピース3と同様である。なお、第2実施形態のプラズマ照射装置220が適用された手術用装置201において、図1で示す手術用装置1と同様の構成をなす部分については、手術用装置1の該当部分と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、プラズマ照射装置220の作用部材212は、図1等で示すプラズマ照射装置20の作用部材31と同様に機能し、図1で示す超音波振動部12と同様の超音波振動部によって超音波振動が加えられる振動部材となっている。また、この例でも、作用部材212の先端部が生体組織に作用する作用部となっている。
[0082]
 プラズマ照射装置220は、ハンドピース203に組み込まれ、ハンドピース203の内部で沿面放電を生じさせる装置として構成されている。図5、図6のように、プラズマ照射装置220は、主に、ガス流路222と、電界発生部230とを備える。ガス流路222は、ハンドピース203に設けられ、ハンドピース203の外部(具体的には、図1のガス供給装置7と同様の装置)から供給される不活性ガスを作用部材31の先端部側に向けて流す流路となっている。
[0083]
 図5、図6のように、プラズマ照射装置220は、筒状に構成されるとともに所定方向(第2ケース体14Bの延出方向)に延びる筒状部250を備える。筒状部250は、第2ケース体14B内に収容された形で設けられている。そして、筒状部250の中心部に配置される形で、作用部材212が筒状部250内に挿入されている。作用部材212は、断面円形状の軸部材として構成されている。そして、筒状部250の内面部(内壁部)と作用部材212(軸部材)の外面部とによってガス流路222が構成され、筒状部250と作用部材212の間の空間を、第2ケース体14Bの基端側(第1ケース体14A側)から先端側に向けて不活性ガスが流れるようになっている。
[0084]
 図5のように、電界発生部230は、第1電極部231と、第2電極部232と、第1電極部231と第2電極部232の間に一部が介在する誘電体240とを備えており、ハンドピース203の内部に組み込まれている。この電界発生部230は、第1電極部231と第2電極部232の電位差に基づく電界をガス流路222内で発生させて低温プラズマ放電を生じさせるように機能する。電界発生部230は、長手状に構成されたハンドピース203において長手方向一端寄りの位置(作用部材212の先端寄りの位置)で低温プラズマ放電を生じさせるように動作し、第2ケース体14B(延出部)における先端部寄りの位置(第2ケース体14Bにおいて長手方向中央位置よりも先端側の位置)で低温プラズマ放電を生じさせるようになっている。
[0085]
 図6のように、電界発生部230は、板状に構成される複数の誘電体240が環状に配置されており、各々の誘電体240の一部がガス流路222の内壁部として構成されている。各々の誘電体240には、第2電極部232が埋め込まれており、誘電体240において第2電極部232よりもガス流路222側には、第1電極部231が配置されている。そして、第1電極部231と第2電極部232との間には、図1で示す電源装置9と同様の電源装置によって所定周波数の交流電圧が印加されるようになっている。電源装置9は、各第1電極部231をグラウンド電位に保ち、各第2電極部232の電位を、第1電極部231の電位(グラウンド電位)を中心として、グラウンド電位よりも一定程度高い電位である+A(V)から一定程度低い電位である-A(V)までの範囲で振動させるように動作する。なお、「A」は、正の値である。このように所定周波数の交流電圧が印加されると、誘電体240におけるガス流路222側の面に沿って沿面放電が生じる。なお、この例でも、誘電体240は、例えばアルミナを好適に用いることができる。
[0086]
 本構成でも、第2電極部232は、第1電極部231よりも高い電位に変化しうる電極となっており、複数の壁部250A,250B,250C,250Dのいずれの誘電体240でも、第2電極部232の第1電極部231側の表面に配置される第1誘電体部241と、第1電極部231側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部242と、を備える。そして、図6のように第2誘電体部242の厚さT4が第1誘電体部241の厚さT3より大きくなっている。厚さT3は、第1電極部231と第2電極部232との間隔に相当し、厚さT4は,誘電体240におけるガス流路222とは反対側の面242Aと第2電極部232との間隔に相当する。
[0087]
 図6のように、プラズマ照射装置220では、第1電極部231が、ガス流路222の周りに断続的な環状形態で配置されている。また、第2電極部232は、ガス流路222及び環状に配置される第1電極部231の周りに断続的な環状形態で配置されている。具体的には、図6のように、複数の誘電体240のそれぞれの内部に第1電極部231及び第2電極部232が配置された形で、筒状部250の各壁部250A,250B,250C,250Dがそれぞれ構成されている。複数の壁部250A,250B,250C,250Dは、同様の構成をなし、これら複数の壁部250A,250B,250C,250Dが環状に連結される形で筒状部250が構成されている。
[0088]
 このように構成されたプラズマ照射装置220は、筒状部250の各壁部250A,250B,250C,250Dにおいて、誘電体240によってガス流路222の内壁部が構成され、各壁部250A,250B,250C,250Dの各々において内壁面(ガス流路222の空間との境界面)付近で沿面放電が生じるようになっている。具体的には、図6のように、第1電極部231よりも幅の広い第2電極部232が誘電体240を介在させた形で第1電極部231と対向して配置されており、第1電極部231の幅方向両端部よりも延びた形で第2電極部232の幅方向両端側が配置されている。そして、第1電極部231が誘電体240の表面(ガス流路222側の面)付近に配置されている。なお、ここでは、作用部材212の軸方向と直交する方向において、第1電極部231が延びる方向を第1電極部231の幅方向とし、第2電極部232が延びる方向を第2電極部232の幅方向とする。この構成では、第1電極部231の幅方向両側に誘電体240の沿面が存在し、これら沿面は、第2電極部232の幅方向両端部付近と対向する位置関係にある。このような構成では、第1電極部231と第2電極部232の電位差に起因する電界の変化が誘電体240の沿面(誘電体240とガス流路222の空間との境界面)付近で生じやすくなっており、第1電極部231と第2電極部232との間に交流電圧が印加されたときには、誘電体240の沿面(不活性ガスが流れるガス流路22の沿面)に沿って強い電界が誘起され、沿面放電が生じる。ガス流路222では、ガス流路222の端部(具体的には、図2で示す筒状部50の端部をなす開口部52)に向けて不活性ガスが流れるようになっており、沿面放電によって生じた低温プラズマは、ガス流路222の端部(具体的には、筒状部250の先端部である開口部252)から作用部材212の先端側に向けて放出される。このような構成であるため、術者がハンドピース203の先端部付近(作用部材212の先端部付近)を出血箇所に向けるように操作し、プラズマ照射装置220を動作させれば、低温プラズマを出血箇所に照射することができ、血液の凝固作用を生じさせて止血処置を行うことができる。
[0089]
 次に、プラズマ照射装置220の製造方法について説明する。ここでは、主に、図6で示す筒状部250を構成する各壁部(壁部250A,250B,250C,250D)の製造方法を説明する。
[0090]
 筒状部250を構成する壁部を製造する場合、まず、第1セラミックグリーンシート形成工程を行う。第1セラミックグリーンシート形成工程では、図7(A)のように、アルミナ粉末を主成分とするセラミック材料を用いて、所定厚さの第1セラミックグリーンシート240Aを形成する。そして、第1セラミックグリーンシート形成工程の後には、第1未焼成導体層形成工程を行う。第1未焼成導体層形成工程では、図7(B)のように、ペースト印刷装置を用いて、第1セラミックグリーンシート240Aの一方面上に、タングステンを主成分とするタングステンペースト232Aを塗布(印刷)する。そして、第1未焼成導体層形成工程の後には、第2セラミックグリーンシート形成工程を行う。第2セラミックグリーンシート形成工程では、アルミナ粉末を主成分とするセラミック材料を用いて、所定厚さの第2セラミックグリーンシート240Bを形成し、この第2セラミックグリーンシート240Bを、図7(C)のように、第1未焼成導体層形成工程で得られた積層体上に載置し、圧着する。そして、第2セラミックグリーンシート形成工程の後には、第2未焼成導体層形成工程を行う。第2未焼成導体層形成工程では、図7(D)のように、ペースト印刷装置を用いて、第2セラミックグリーンシート240Bの一方面上に、タングステンを主成分とするタングステンペースト231Aを塗布(印刷)する。第2未焼成導体層形成工程の後には、セラミック保護層形成工程を行う。セラミック保護層形成工程では、図7(E)のように、ペースト印刷装置を用い、第2未焼成導体層形成工程で得られた積層体の一方面上に、タングステンペースト231Aを覆う形でアルミナペースト240Cを塗布(印刷)する。そして、セラミック保護層形成工程の後には、焼成工程を行う。この焼成工程では、セラミック保護層形成工程で得られた積層体に対して焼成を行う。この焼成工程の結果、図7(F)のように、セラミックグリーンシートのアルミナ、タングステンペーストのタングステン、アルミナペーストのアルミナが焼結し、板状体251(誘電体240内に第1電極部231、第2電極部232が埋設してなる板状体)が構成される。なお、板状体251の第1電極部231及び第2電極部232については、第1実施形態の第2電極部32と同様の方法で外部との導通を確保することができる。
[0091]
 このような工程で筒状部250の壁部となるべき板状体251(図7(F))を複数形成し、この板状体251を環状に配置することで、筒状部250の少なくとも一部(図6のように第1電極部231及び第2電極部232が埋設された環状部分)を構成することができる。図6で示す各壁部250A,250B,250C,250Dは、図7(F)のような板状体251によってそれぞれ構成されている。筒状部250は、複数の板状体251のみによって角筒状に構成されていてもよく、角筒状に構成された複数の板状体251に他の環状部材(例えば、誘電体240と同材料又は別材料の絶縁材料によって構成される角筒状の部材)を連結して筒状部250を構成してもよい。筒状部250が形成された後には、筒状部250の内部に作用部材212を配置し、これら筒状部250と作用部材212を所定の位置関係で保持することで、プラズマ照射装置220が得られる。
[0092]
 以上のように、本構成のプラズマ照射装置220において、誘電体240は、第1電極部231と第2電極部232との間に位置する部位が、第1電極部231の表面と第2電極部232の表面との両方に接触するものとなっている。そして、誘電体240の少なくとも一部がガス流路222の内壁部を構成し、この内壁部に沿って低温プラズマ放電を生じさせるように構成されている。この構成によれば、ガス流路222の内壁面(誘電体240におけるガス流路222側の面)に沿って低温プラズマ放電を生じさせ、この放電で生じた低温プラズマを、ガス流路222でのガスの流れを利用して作用部材212の先端部側へ効率的に照射することができる。また、誘電体240の面に沿って比較的狭い領域で低温プラズマ放電を生じさせることができるため、小型化を図りやすくなる。
[0093]
 また、誘電体240は、第2電極部232の第1電極部231側の表面に配置される第1誘電体部241と、第1電極部231側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部242とを備える。そして、第2電極部232は、第1電極部231の電位(グラウンド電位)を中心として電位が振動する電極となっている。そして、第2誘電体部242の厚さT4が第1誘電体部241の厚さT3より大きくなっている。このように、第1誘電体部241の厚さT3よりも第2誘電体部242の厚さT4のほうが大きくなっていれば、電位の振動によって第2電極部232の電位が高くなっても、その高電位の影響が第2誘電体部242の外側の領域(ガス流路222とは反対側の領域)に及びにくくなり、第2電極部232の電位に起因する問題が第2誘電体部242の外側の領域(例えば、第2ケース体14Bの外側)で生じにくくなる。逆に、ガス流路222側には第2電極部232の電位の影響が及びやすくなり、ガス流路222内で電界強度をより高めやすくなる。
[0094]
 また、第1電極部231は、作用部材212の周りに断続的な環状形態で配置されており、第2電極部232は、環状形態で配置された第1電極部231の周りに断続的な環状形態で配置されている。このように、作用部材212の周りに第1電極部231及び第2電極部232を環状形態で配置することで、低温プラズマ放電の発生領域を作用部材212の周りにより広く確保することができる。
[0095]
 <第3実施形態>
 図8で示す第3実施形態のプラズマ照射装置220は、図5等で示す第2実施形態のプラズマ照射装置220と同様の構成をなし、電気メスとして機能する手術用装置301に適用されている。図8の例では、作用部材212(図5等)に代えて作用部材312が用いられている。作用部材312は、配置や形状はプラズマ照射装置220の作用部材212と同様であり、超音波振動に代えて高周波電流が供給されるようになっている点が作用部材212と異なる。
[0096]
 第3実施形態のプラズマ照射装置220が適用される手術用装置301は、円筒状のケースとして構成された把持部314Aが設けられ、この把持部314Aから延出するようにプラズマ照射装置220(図5等参照)が配置された形でハンドピース403が構成されている。このプラズマ照射装置220における筒状部250の内部には、作用部材312が挿入されている。そして、筒状部250の内壁部と作用部材312の間にガス流路が構成され、このガス流路で低温プラズマ放電が生じ、作用部材312の先端部側にプラズマが照射されるようになっている。
[0097]
 第3実施形態では、駆動部に相当する制御装置305が高周波電流を供給する高周波電流供給部として構成されており、作用部材312は、制御装置305(高周波電流供給部)から供給される高周波電流が流れる電極部として機能する。つまり、作用部材312は、公知の電気メスとして機能させることができ、作用部材312(電極部)を介して流れる高周波電流により生体組織に対して切開、剥離または熱凝固止血作用を生じさせ得る構成となっている。このプラズマ照射装置220は、作用部材312(電極部)を介して流れる高周波電流による生体組織の切開、剥離または熱凝固止血と、低温プラズマの照射による低侵襲な止血と、を共通のハンドピース303によって行うことを可能とする。なお、図8の例では、駆動部の一例に相当する制御装置305が円筒状のケースとして構成された把持部314Aの外側に設けられ、高周波電流を供給する高周波電流供給部として構成されていたが、把持部314Aの内部に高周波電流を供給する高周波電流供給部(例えば、高周波電流生成回路)が設けられ、これら駆動部として機能してもよい。
[0098]
 <第4実施形態>
 次に、第4実施形態のプラズマ照射装置420について説明する。
 図9で示す第4実施形態のプラズマ照射装置420は、変位装置460を付加した点のみが第2実施形態のプラズマ照射装置220と異なる、それ以外は、第2実施形態のプラズマ照射装置220と同様である。図9で示す手術用装置401は、プラズマ照射装置20をプラズマ照射装置420に変更した点のみが図1等で示す手術用装置1と異なり、それ以外は、手術用装置1と同様である。図9で示すハンドピース403は、プラズマ照射装置20をプラズマ照射装置420に変更した点のみが図1等で示すハンドピース3と異なり、それ以外はハンドピース3と同様である。
[0099]
 図9で示すプラズマ照射装置420は、作用部材212をハンドピース403の本体部(具体的には、ハンドピース403のうち、作用部材212を除く部分)から突出させる突出位置と、突出位置よりも突出量が小さい退避位置とに変位させる変位装置460を備えている。変位装置460は、公知のリニアアクチュエータとして構成されており、作用部材212をこの作用部材212の軸方向に移動させ得る。変位装置460は、例えば図示しない制御回路から第1信号が与えられた場合に作用部材212を図9で示す突出位置に移動させる。突出位置では、作用部材212が第2ケース体14Bから所定量突出するように配置される。また、変位装置460は、図示しない制御回路から第2信号が与えられた場合に作用部材212を上記突出位置よりも突出量が小さい退避位置(図9において二点鎖線で示す位置)に変位させる。このようにすれば、必要に応じて作用部材212を退避させることができ、作用部材31を退避させた状態で低温プラズマを照射する止血処置が可能となる。
[0100]
 <第5実施形態>
 次に、第5実施形態のプラズマ照射装置520及びプラズマ照射装置520を備えた手術用装置501について、主に図10、図11を参照して説明する。なお、図10、図11の構成において、第1実施形態のプラズマ照射装置20と同様の構成をなす部分についてはプラズマ照射装置20と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
[0101]
 図10のように、第5実施形態のプラズマ照射装置520を備えた手術用装置501は、生体組織に作用する作用部材535が組み込まれたハンドピース503と、超音波振動部12(駆動部)を制御する装置である制御装置5と、ガス流路22に対してガスを供給するガス供給装置7と、プラズマ照射装置520に対して電圧を印加し得る電源装置9とを備える。手術用装置501に設けられた制御装置5、ガス供給装置7、電源装置9、超音波振動部12は、図1で示す手術用装置1の制御装置5、ガス供給装置7、電源装置9、超音波振動部12と同様の構成をなし、それぞれと同様に機能する。
[0102]
 図10で示す手術用装置501は、例えば、外科手術などに好適に用いられる装置であり、少なくとも超音波振動による生体組織の切開、剥離または熱凝固止血の機能を有し、施術対象の生体組織に対して切開、剥離または止血を行い得る処置装置として構成されている。手術用装置501は、生体組織に作用する作用部材535がガス流路522の外側に配置されている点が第1実施形態等で説明した手術用装置とは異なり、超音波振動部12は、流路外に配置された作用部材535を振動させる構成をなす。
[0103]
 ハンドピース503は、主に、プラズマ照射装置520、超音波振動部12、可動部材変位機構560、ケース体514などを備える。ケース体514の内部には、超音波振動部12などが収容されている。作用部材535は、先端部付近が固定刃として生体組織に作用する部材であり、超音波振動部12で発生した超音波振動が伝達される振動部材の一例に相当する。可動部材変位機構560は、可動刃として機能する可動部材566を変位させる機構であり、公知の可動機構を採用している。この可動部材変位機構560は、ケース体514に固定される固定把持部562と、固定把持部562に対して相対移動可能に取り付けられる可動把持部564とを有し、軸状の可動部材566がケース体514の先端部付近の回動軸を中心として回動可能とされており、可動把持部564を固定把持部562側に近接させる操作を行ったときに可動部材566の先端部側が作用部材535の先端部側に近づくように可動部材566が回動し、可動把持部564を固定把持部562から離間させる操作を行ったときに可動部材566の先端部側が作用部材535の先端部側から離れるように可動部材566が回動する。
[0104]
 図10のように、プラズマ照射装置520は、ハンドピース3に組み込まれ、誘電体バリア放電を生じさせる装置として構成されている。図11のように、プラズマ照射装置520は、ハンドピース503の外部(具体的には、図10で示すガス供給装置7)から供給される不活性ガスを作用部材535(図10)の先端部に供給するガス流路522と、ガス流路522に配置され、第1電極部531と第2電極部532との電位差に基づく電界をガス流路522内の空間に発生させて低温プラズマ放電を生じさせる電界発生部530とを備える。
[0105]
 電界発生部530は、長手状に構成されたハンドピース503(図10)において長手方向一端寄りの位置(図10で示す作用部材535の先端寄りの位置)で低温プラズマ放電を生じさせるように動作する。図11のように、電界発生部530は、第1電極部531と、第1電極部531に対向する第2電極部532と、一部が第1電極部531と第2電極部532との間に位置する誘電体540と、を備える。第1電極部531は、グラウンド電極として構成される電極であり、使用時(低温プラズマ放電発生時)にグラウンド電位に維持される。第2電極部532は、電源装置9によって所定周波数の交流電圧が印加される電極であり、使用時(低温プラズマ放電発生時)に第1電極部531の電位(グラウンド電位)を中心として電位が振動する電極である。
[0106]
 誘電体540は、複数の壁部541,542,543,544を構成しており、これら複数の壁部541,542,543,544によって角筒状のガス流路522を構成している。ガス流路522の内壁面は、複数の壁部541,542,543,544の壁面によって構成されている。壁部542は、内部に第2電極部532が埋め込まれる壁部(誘電体による壁部)であり、第2電極部532の第1電極部531側の表面に配置される第1誘電体部542Aと、第1電極部531側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部542Bとを備える。そして、第2誘電体部542Bの厚さT2が第1誘電体部542Aの厚さT1より大きくなっている。誘電体540は、第1電極部531と第2電極部532との間に位置する各部位が第1電極部531の表面と第2電極部532の表面との一方のみと接触する構成をなす。例えば、壁部541において第1電極部531と第2電極部532との間に位置する部位541Aは、第1電極部531及び第2電極部532のうちの第1電極部531の表面のみと接触する。壁部542において第1電極部531と第2電極部532との間に位置する部位(第1誘電体部542A)は、第1電極部531及び第2電極部532のうちの第2電極部532の表面のみと接触する。そして、第1電極部531と第2電極部532との間にガス流路522内の空間が存在し、電界発生部530は、当該空間で低温プラズマ放電(空間放電)を生じさせる。
[0107]
 このように構成されたプラズマ照射装置520は、ガス供給装置7から供給される不活性ガスがガス流路522内の空間を流れている状態で、電源装置9によって第1電極部531と第2電極部532との間に所定周波数の交流電圧が印加されると、第1電極部531及び第2電極部532において誘電体540によるバリアが構成された形で、これら電極間で電界の変化が生じ、ガス流路522内の空間で誘電体バリア放電が生じる。誘電体バリア放電によって生じた低温プラズマは、ガス流路522の一端部から作用部材535の先端側に向けて放出される。
[0108]
 なお、図11の例では、ガス流路522は、当該ガス流路522が延びる方向と直交する平面方向の断面が四角形状となるような構成を例示したが、この断面が四角形以外の多角形状であってもよく、円形状、楕円形状などであってもよい。また、図11の例では、誘電体540において第1電極部531のみに接触する部位541Aと、第2電極部532のみに接触する部位(第1誘電体部542A)とを設けたが、いずれかの部位を省略してもよい。つまり、第1電極部531及び第2電極部532のうち、少なくとも一方の電極のガス流路側が誘電体によって覆われていればよく、必ずしも両方が覆われていなくてもよい。また、図11の例では、第1電極部531と第2電極部532とを一対設けたが、例えば、壁部543,544においてもう一対設けるようにしてもよい。
[0109]
 <第6実施形態>
 次に、第6実施形態について図12、図13を参照しつつ説明する。図12で示す第6実施形態の手術用装置601は、図10で示す手術用装置501においてプラズマ照射装置520に代えて図13で示すプラズマ照射装置620を用いた点のみが第5実施形態の手術用装置501と異なる。よって、図12では、図10で示す第5実施形態の手術用装置501と同様の構成をなす部分については手術用装置501と同一の符号を付し、これらの詳細な説明は省略する。また、図13で示すプラズマ照射装置620は、図5、図6等で示す第2実施形態のプラズマ照射装置220から作用部材212を省略した点のみが第2実施形態のプラズマ照射装置220と異なる。よって、図13では、図5、図6等で示す第2実施形態のプラズマ照射装置220と同様の構成をなす部分についてはプラズマ照射装置220と同一の符号を付し、これらの詳細な説明は省略する。
[0110]
 図13で示すプラズマ照射装置620は、プラズマ照射装置220と同様の構成をなし、誘電体240は、第1電極部231と第2電極部232との間に位置する部位が、第1電極部231の表面と第2電極部232の表面との両方に接触している。更に、誘電体240によってガス流路222の内壁部が構成され、電界発生部230は、この内壁部に沿って低温プラズマ放電(沿面放電)を生じさせる。また、誘電体240は、第2電極部232の第1電極部231側の表面に配置される第1誘電体部241と、第1電極部231側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部242と、を備え、第2誘電体部242の厚さT4が第1誘電体部241の厚さT3より大きくなっている。また、第1電極部231は、断続的な環状形態で配置されており、第2電極部232は、環状形態で配置された第1電極部231の周りに断続的な環状形態で配置されている。
[0111]
 <他の実施形態>
 本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態の各態様に限定されるものではなく、例えば、矛盾しない範囲で、複数の実施形態の特徴を組み合わせることが可能である。また、次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。
[0112]
 第1実施形態では、第2電極部32が断続的な環状形態で配置されていたが、連続的な環状形態で配置されていてもよい。例えば、第2電極部が角筒状の第2電極部側誘電体に埋め込まれた形で角筒状に配置されていてもよく、第2電極部が円筒状の第2電極部側誘電体に埋め込まれた形で円筒状に配置されていてもよい。
[0113]
 第2、第6実施形態では、第1電極部231が断続的な環状形態で配置されていたが、沿面放電が生じ得る配置であれば連続的な環状形態で配置されていてもよい。また、第2電極部232が断続的な環状形態で配置されていたが、沿面放電が生じ得る配置であれば連続的な環状形態で配置されていてもよい。
[0114]
 第1、第2、第5、第6実施形態では、駆動部は、ハンドピースのケース体の内部に配置されていたが、第3実施形態のように、ハンドピースのケース体の外部に配置されるものであってもよい。このような場合でも、駆動部はハンドピースの一部とみなす。
[0115]
 第3実施形態又は第4実施形態のようなものにおいて、第1実施形態のような放電方式を用いるようにしてもよい。
[0116]
 第1実施形態のプラズマ照射装置20の一部を変更し、図14のようにしてもよい。図14の例では、作用部材31が断面円形状の軸部材として構成され、その周囲に第1電極部側誘電体41が円筒状に配置されている点が第1実施形態のプラズマ照射装置20と異なる。
[0117]
 図3、図6、図13等で示す構成では、誘電体や第2電極部を四角形状に配置した例を示したが、いずれの例でも、誘電体や第2電極部を四角形状以外の多角形状で配置してもよい。また、誘電体を円筒形状に構成し、その内部に第2電極部を連続的又は断続的な円環形状で配置してもよい。円筒形状で構成する場合、例えば、セラミックシート間にタングステンペーストを介在して積層した積層体を焼成前に冶具等を用いて円筒形状に丸めて形を整え、これを冶具等でサポートしつつ型崩れを防ぎながら焼成を行うことで円筒形状の電界発生部を構成することができる。
[0118]
 特許請求の範囲、及び明細書において、「生体組織に作用する」とは、作用部材が生体組織に影響を及ぼし、切開と剥離と止血との少なくとも1つを為すことを意味する。上述した実施形態で例示された作用部材はあくまで一例であり、作用部材が生体組織に影響を及ぼし、切開、剥離、止血の少なくとも1つを行い得るようになっていれば、上述した実施形態以外の様々な構成を採用することができる。

符号の説明

[0119]
 1,201,301,401,501,601…手術用装置
 3,203、303,403,503,603…ハンドピース
 12…超音波振動部(駆動部)
 20,220,420,520,620…プラズマ照射装置
 22,222,522…ガス流路
 30,230,530…電界発生部
 31…作用部材(第1電極部)
 32…第2電極部
 40,240,540…誘電体
 42C…第1誘電体部
 42D…第2誘電体部
 50,250…筒状部
 212…作用部材
 231…第1電極部
 232…第2電極部
 241…第1誘電体部
 242…第2誘電体部
 305…制御装置(駆動部、高周波電流供給部)
 312…作用部材
 460…変位装置
 531…第1電極部
 532…第2電極部
 535…作用部材
 542A…第1誘電体部
 542B…第2誘電体部

請求の範囲

[請求項1]
 生体組織に作用する作用部材が組み込まれたハンドピースに設けられるプラズマ照射装置であって、
 前記ハンドピースの外部から供給されるガスを前記作用部材の先端部に供給するガス流路と、
 第1電極部と、該第1電極部に対向する第2電極部と、少なくとも一部が前記第1電極部と前記第2電極部との間に位置し、且つ、前記第1電極部と前記第2電極部との間に位置する部位が前記第1電極部の表面と前記第2電極部の表面との少なくとも一方に配置される誘電体と、を備えるとともに前記ガス流路に配置され、前記第1電極部と前記第2電極部との電位差に基づく電界を前記ガス流路内の空間に発生させて低温プラズマ放電を生じさせる電界発生部と、
を有するプラズマ照射装置。
[請求項2]
 前記誘電体は、前記第1電極部と前記第2電極部との間に位置する部位が前記第1電極部の表面と前記第2電極部の表面との一方のみと接触するものであり、前記第1電極部と前記第2電極部との間に前記ガス流路内の空間が存在し、当該空間で低温プラズマ放電を生じさせる請求項1に記載のプラズマ照射装置。
[請求項3]
 前記誘電体は、前記第2電極部の前記第1電極部側の表面に配置される第1誘電体部と、前記第1電極部側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部と、を備え、
 前記第2電極部は、前記第1電極部の電位を中心として電位が振動する電極であり、
 前記第2誘電体部の厚さが前記第1誘電体部の厚さより大きい請求項2に記載のプラズマ照射装置。
[請求項4]
 前記作用部材は、軸状に構成されるとともに少なくとも一部が前記第1電極部として構成され且つグラウンド電極として構成される請求項2又は請求項3に記載のプラズマ照射装置。
[請求項5]
 前記第2電極部は、前記第1電極部周りに連続的又は断続的な環状形態で配置され、
 前記第1電極部の周りにおいて、環状形態に配置される前記第2電極部の内側に前記ガス流路が配置されている請求項4に記載のプラズマ照射装置。
[請求項6]
 前記誘電体は、前記第1電極部と前記第2電極部との間に位置する部位が、前記第1電極部の表面と前記第2電極部の表面との両方に接触するものであり、前記誘電体の少なくとも一部は前記ガス流路の内壁部を構成し、該内壁部に沿って低温プラズマ放電を生じさせる請求項1に記載のプラズマ照射装置。
[請求項7]
 前記誘電体は、前記第2電極部の前記第1電極部側の表面に配置される第1誘電体部と、前記第1電極部側の表面とは反対側の表面に配置される第2誘電体部と、を備え、
 前記第2電極部は、前記第1電極部の電位を中心として電位が振動する電極であり、
 前記第2誘電体部の厚さが前記第1誘電体部の厚さより大きい請求項6に記載のプラズマ照射装置。
[請求項8]
 前記第1電極部は、連続的又は断続的な環状形態で配置されており、
 前記第2電極部は、前記環状形態で配置された前記第1電極部の周りに連続的又は断続的な環状形態で配置されている請求項6又は請求項7に記載のプラズマ照射装置。
[請求項9]
 前記作用部材を内側に備えるとともに所定方向に延びる筒状部を有し、
 前記作用部材は、軸状に構成されるとともに一端側が生体組織に作用する作用部となっている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のプラズマ照射装置。
[請求項10]
 前記電界発生部は、前記筒状部のうち、前記作用部材の前記一端側に設けられる請求項9に記載のプラズマ照射装置。
[請求項11]
 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のプラズマ照射装置と、
 前記作用部材を駆動させる駆動部と、
を有し、
 前記駆動部は、超音波振動を発生させる超音波振動部であり、
 前記作用部材は、前記超音波振動部で発生する超音波振動が伝達されることにより、自身が振動して生体組織に対して切開作用、剥離作用または止血作用を生じさせるハンドピース。
[請求項12]
 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のプラズマ照射装置と、
 前記作用部材を駆動させる駆動部と、
を有し、
 前記駆動部は、高周波電流を供給する高周波電流供給部であり、
 前記作用部材は、前記高周波電流供給部から供給される高周波電流が流れることにより、生体組織に対して切開作用、剥離作用または止血作用を生じさせるハンドピース。
[請求項13]
 請求項9又は請求項10に記載のプラズマ照射装置と、
 前記作用部材を、前記筒状部から突出させる突出位置と、前記突出位置よりも突出量が小さい退避位置とに変位させる変位装置と、
を有するハンドピース。
[請求項14]
 請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のハンドピースを含む手術用装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]