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1. (WO2018193992) 全固体リチウムイオン二次電池
Document

明 細 書

発明の名称 全固体リチウムイオン二次電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043  

実施例

0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075  

符号の説明

0076  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 全固体リチウムイオン二次電池

技術分野

[0001]
 本開示は、全固体リチウムイオン二次電池に関する。

背景技術

[0002]
 Liと合金を形成することが可能なSi等の金属を含有する活物質(合金系活物質)は、炭素系の負極活物質と比較して体積当たりの理論容量が大きいことから、このような合金系活物質を負極に用いたリチウムイオン電池が提案されている。
[0003]
 特許文献1には、負極活物質粉末として平均粒径が10μm以下である合金系活物質を使用した二次電池用負極合材及び当該負極活物質粉末を含む負極層を含む全固体リチウムイオン電池が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2013-069416号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特許文献1で開示されているような、負極活物質として合金系活物質を用いた全固体リチウムイオン二次電池では、充放電サイクルを繰り返した場合の容量維持率が低かった。
 本開示は、上記実情に鑑み、負極活物質としてLiと合金を形成可能な金属、当該金属の酸化物、及び、当該金属とLiとの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質を含む負極を有し、サイクル特性が良好である全固体リチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本開示の全固体リチウムイオン二次電池は、負極は、負極活物質、導電材、及び、固体電解質を含有し、前記負極活物質は、Liと合金を形成可能な金属、当該金属の酸化物、及び、当該金属とLiとの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質を含み、前記固体電解質は、BET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子である。
 本開示の全固体リチウムイオン二次電池において、前記固体電解質の下記式(1)より求められる値Aが、12.4~56.7の範囲であってもよい。
  式(1) A=BET比表面積(m /g)×メディアン径;D50(μm)×密度(g/cm
 本開示の全固体リチウムイオン二次電池において、前記負極活物質がSiの単体及びSiとLiとの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質を含んでいてもよい。
 本開示の全固体リチウムイオン二次電池において、前記固体電解質が硫化物固体電解質であってもよい。
 本開示の全固体リチウムイオン二次電池において、前記導電材が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種の炭素系素材であってもよい。

発明の効果

[0007]
 本開示によれば、負極活物質としてLiと合金を形成可能な金属、当該金属の酸化物、及び、当該金属とLiとの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質を含む負極を有し、サイクル特性が良好である全固体リチウムイオン二次電池を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 全固体リチウムイオン二次電池の構成例の模式図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 本開示の全固体リチウムイオン二次電池では、負極は、負極活物質、導電材、及び、固体電解質を含有し、前記負極活物質は、Liと合金を形成可能な金属、当該金属の酸化物、及び、当該金属とLiとの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質を含み、前記固体電解質は、BET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子である。
[0010]
 Liと合金を形成可能な金属自体はイオン伝導性及び電子伝導性が低いことから、通常、当該金属を負極活物質として用いる場合には、負極中に負極活物質と共に導電材と固体電解質を含有させる。
[0011]
 負極活物質としてLiと合金を形成可能な金属(以下、Liと合金を形成可能な金属をMと記載することがある。)を使用する場合、リチウムイオン二次電池の充電に伴い、負極において、下記式(2)に示すような、いわゆる電気化学的合金化反応が起こる。
 式(2)  xLi  + xe  + yM → Li
 また、リチウムイオン二次電池の放電に伴い、負極では、下記式(3)に示すように、前記SiとLiとの合金からLiイオンの離脱反応が起こる。
 式(3)  Li  → xLi  + xe  + yM
 Liと合金を形成可能な金属を負極活物質として使用したリチウムイオン二次電池では、上記式(2)及び式(3)に示すLiの挿入・離脱反応に伴う体積変化が大きい。
[0012]
 特許文献1には、イオン伝導性物質(固体電解質)の粉末の平均粒径が小さいほど負極活物質と固体電解質との接触点が多くなるため好ましい旨の記載がある。
 しかし、本研究者らは、負極活物質、導電材、及び、固体電解質を含有する負極を備える全固体リチウムイオン二次電池では、固体電解質の平均粒径を小さくしすぎると、特に初期段階において容量維持率が悪化する場合があることを知見した。
[0013]
 負極中の固体電解質の平均粒径を小さくする(すなわち比表面積を大きくする)とイオン伝導の観点では優れているが、固体電解質の表面に導電材が吸着しやすくなる。そのため、負極中における導電材の偏在が生じ、導電材が少ない部分では、電子伝導パスが狭くなる。
 このように電子伝導パスが狭い部分では、充放電に伴う合金系活物質の体積変化を繰り返すことによって、徐々に電子伝導パスが切断されるため、結果として、リチウムイオン二次電池の容量維持率が悪化すると考えられる。
 本開示の全固体リチウムイオン二次電池では、負極においてBET比表面積が特定の範囲にある固体電解質粒子を使用することで、良好なイオン伝導性を維持しつつ、導電材の偏在を防止することができるため、合金系活物質を負極活物質として使用した場合であっても容量維持率を高く保つことができると考えられる。
[0014]
 以下、本開示の全固体リチウムイオン二次電池について詳細に説明する。
[0015]
1.全固体リチウムイオン二次電池
 二次電池として機能するものであれば、本開示の全固体リチウムイオン二次電池の構成に特に制限はない。図1に示すように、典型的には、正極2、負極3、並びに、当該正極2及び当該負極3の間に配置される固体電解質層1を備え、正極-固体電解質層-負極集合体101として構成される。この正極-固体電解質層-負極集合体101は、正極、固体電解質層及び負極がこの順序で配列され、直接または他の材料からなる部分を介して接合していてもよく、さらに、正極上の固体電解質層が存在する位置とは反対側(正極の外方側)、及び、負極上の固体電解質層が存在する位置とは反対側(負極の外方側)のうちの片方又は両方の側に、他の材料からなる部分が接合していてもよい配列構造を有する各部の集合体である。
 上記の正極-固体電解質層-負極集合体101に、集電体等の他の部材を取り付けることにより、全固体電池の機能的単位であるセルが得られ、当該セルをそのまま全固体リチウムイオン電池として用いてもよいし、複数のセルを集積して電気的に接続することによりセル集合体として、本開示の全固体リチウムイオン電池として用いてもよい。
 正極-固体電解質層-負極集合体の正極と負極それぞれの厚みは、通常0.1μm~10mm程度であり、固体電解質層の厚みは、通常0.01μm~1mm程度である。
[0016]
1-1.負極
 本開示の全固体リチウムイオン電池の負極は、負極活物質、導電材、及び、固体電解質を含有する。
[0017]
(負極活物質)
 前記負極活物質は、Liと合金を形成可能な金属、当該金属の酸化物、及び、当該金属とLiとの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質を含む。
 Liと合金を形成可能な金属とは、前記式(2)及び式(3)に示す、いわゆる電気化学的合金化反応に伴いLiイオンを挿入・離脱することができる金属であれば特に制限はない。Liと合金を形成可能な金属元素の例として、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、及びBi等が挙げられ、中でも、Si、Ge、Snであってもよく、Siであってもよい。なお、本開示において「金属」用語は、一般的な元素の分類で使用される「金属」と「半金属」とを含む概念として使用する。
[0018]
 Liと合金を形成可能な金属の酸化物とは、リチウムイオン二次電池の充電に伴い、負極において、下記式(4)の電気化学反応によりMが生じる酸化物をいう。
 式(4)  xLi  + xe  + yMO → Li +yM
 式(4)によりLiと合金を形成可能な金属の酸化物から生じたMには、上記式(2)又は(3)の電気化学反応によりLiの挿入・離脱が可能となるため、一般的に、Liと合金を形成可能な金属の酸化物も合金系活物質の範疇に分類される。Liの挿入・離脱反応に伴う体積変化が大きいという性質はLiと合金を形成可能な金属と同様である。
 Liと合金を形成可能な金属の酸化物の例として、SiO、SnO等が挙げられ、SiOであってもよい。
[0019]
 負極中の負極活物質の割合は、特に限定されるものではないが、例えば40質量%以上であり、50質量%~90質量%の範囲内であってもよく、50質量%~70質量%の範囲内であってもよい。
 前記Liと合金を形成可能な金属、当該金属の酸化物、及び、当該金属とLiとの合金の形状にも特に制限はなく、例えば、粒子状、膜状の形状等が挙げられる。
[0020]
(固体電解質)
 前記固体電解質は、BET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子である。上述のように、負極中の固体電解質として、BET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子を用いることで、リチウムイオン二次電池の容量維持率を高く保つことができる。
 ここで、BET比表面積とは、物質表面へのガスの単分子吸着量を用いてBET法により算出される比表面積をいう。
 BET比表面積が19.7m /gを超えると、固体電解質の表面に導電材が吸着して負極中で導電材が偏在するため、局所的に電子伝導パスが狭くなり、結果として容量維持率が低下する。BET比表面積が1.8m /g未満では、負極活物質との接触点が少なくなるため、イオン伝導パスを維持することができない。
 イオン伝導パスと電子伝導パスをバランスよく維持するため、固体電解質粒子のBET比表面積が、3.0~9.0m /gであってもよい。
[0021]
 また、前記固体電解質粒子の下記式(1)より求められる値Aが、12.4~56.7の範囲であってもよい。
  式(1) A=BET比表面積(m /g)×メディアン径;D50(μm)×密度(g/cm
 上記式(1)において、メディアン径とは、粒子の粒径を小さい順に並べた場合に、粒子の累積体積が全体積の半分(50%)となる径である。
[0022]
 値Aは、粒子の形状を表すパラメータであり、粒子の形状が真球である場合には、値Aは6.0となる。ここで、本開示において形状とは、粒子表面の細かな凸凹や内部に存在する開気孔なども含む形状を意味するものである。
 負極中の固体電解質粒子のBET比表面積が1.8~19.7m /gの範囲にある場合には、値Aを12.4~56.7の範囲とすると、容量維持率が向上する。値Aが12.4未満の固体電解質粒子を製造することは困難であるが、値Aが6.0に近いほうが、容量維持率が向上する傾向があることから、粒子の形状が真球に近いほうが、導電材が固体電解質粒子表面に存在しにくくなると考えられる。
[0023]
 前記固体電解質粒子の原料は、全固体リチウムイオン二次電池に使用できるものであれば、特に制限はないが、Liイオンの伝導度が高い酸化物系非晶質固体電解質、硫化物系非晶質固体電解質、結晶質酸化物・窒化物等が好ましく用いられる。
 前記酸化物系非晶質固体電解質としては、例えばLi O-B -P 、Li O-SiO 等が挙げられ、前記硫化物系非晶質固体電解質としては、例えば、Li S-SiS 、LiI-Li S-SiS 、LiI-Li S-P 、LiI-Li PO -P 、Li S-P 等が挙げられる。また、前記結晶質酸化物・窒化物等としては、LiI、Li N、Li La Ta 12、Li La Zr 12、Li BaLa Ta 12、Li PO (4-3/2w)w(w<1)、Li 3.6Si 0.60.4等が挙げられる。
 負極中の固体電解質の割合は、特に限定されるものではないが、例えば10質量%以上であり、20質量%~50質量%の範囲内であってもよく、25質量%~45質量%の範囲内であってもよい。
[0024]
(導電材)
 前記導電材は、負極中で、全固体リチウムイオン二次電池に使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、前記導電材の原料は、アセチレンブラックやファーネスブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種の炭素系素材であってもよい。
 電子伝導性の観点から、カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種の炭素系素材であってもよく、当該カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーはVGCF(気相法炭素繊維)であってもよい。
 負極中の導電材の割合は、特に限定されるものではないが、例えば1.0質量%以上であり、1.0質量%~12.0質量%の範囲内であってもよく、2.0質量%~10.0質量%の範囲内であってもよい。
[0025]
 負極には上記成分以外に、結着剤などの他の成分が含まれていてもよい。負極中の結着剤等他の成分の有無は、BET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子を固体電解質として用いることで、固体電解質表面に導電材が偏在しなくなるという効果に影響しないためである。
 前記結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ブチレンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル樹脂等を用いることができ、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)であってもよい。
 エネルギー密度が高くなることから、本開示に係る負極は、負極活物質以外の成分が少ないものであってもよい。
[0026]
1-2.正極
 前記正極は、全固体リチウムイオン二次電池の正極として機能するものであれば、特に制限はないが、通常、Liを含有する正極活物質を含み、必要に応じ、結着剤、固体電解質、及び導電材等の他の成分を含む。
 本開示においてLiを含有する正極活物質は、Li元素を含む活物質であれば特に制限されるものではない。負極活物質との関係で電池化学反応上の正極活物質として機能し、Liイオンの移動を伴う電池化学反応を進行させる物質であれば、特に制限されず正極活物質として用いることができ、従来リチウムイオン電池の正極活物質として知られている物質も、本開示において用いることができる。
 正極活物質の原料としては、全固体リチウムイオン二次電池に使用できるものであれば、特に制限はない。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO )、ニッケル酸リチウム(LiNiO )、マンガン酸リチウム(LiMn )、Li 1+xNi 1/3Mn 1/3Co 1/3、Li 1+xMn 2-x-y(MがAl、Mg、Co、Fe、Ni、Znから選ばれる1種以上の元素)で表される組成の異種元素置換Li-Mnスピネル、チタン酸リチウム(Li TiO )、リン酸金属リチウム(LiMPO 、M=Fe、Mn、Co、Ni等)等を挙げることができる。
 前記正極活物質は、リチウムイオン伝導性を有し、かつ、活物質や固体電解質と接触しても流動しない物質を含有する被覆層を有していてもよい。当該物質としては、例えば、LiNbO 、Li Ti 12、Li PO が挙げられる。
 前記正極活物質の形状は特に限定されないが、膜状であっても粒子状であってもよい。
 正極中の正極活物質の割合は、特に限定されるものではないが、例えば60質量%以上であり、70質量%~95質量%の範囲内であってもよく、80質量%~90質量%の範囲内であってもよい。
[0027]
 正極で使用される固体電解質の原料は、全固体リチウムイオン二次電池に使用できるものであれば、特に制限はないが、負極で使用される固体電解質の原料と同様に、Liイオンの伝導度が高い酸化物系非晶質固体電解質、硫化物系非晶質固体電解質、結晶質酸化物・窒化物等が好ましく用いられる。
 導電材、結着剤の原料としては、負極で使用する材料と同様のものを用いることができる。
[0028]
1-3.固体電解質層
 前記固体電解質層も、全固体リチウム二次電池の固体電解質として機能するものであれば、特に制限はないが、通常、固体電解質原料を含み、必要に応じ、結着剤等の他の成分を含む。
 固体電解質、結着剤の原料としては、正極で使用する材料と同様のものを用いることができる。
[0029]
 固体電解質層中の固体電解質原料の割合は、特に限定されるものではないが、例えば50質量%以上であり、70質量%~99.99質量%の範囲内であってもよく、90質量%~99.9質量%の範囲内であってもよい。
[0030]
2.全固体リチウムイオン二次電池の製造方法
 本開示の全固体リチウムイオン二次電池の製造方法は、本開示の全固体リチウムイオン二次電池が製造できる方法であれば、特に制限はない。例えば、正極合材、固体電解質材料部、並びに、負極活物質、導電材、及び、固体電解質を含有する負極合材を備える電池部材を準備し、当該電池部材に通電することにより、本開示の全固体リチウムイオン二次電池を得ることができる。
 前記電池部材に通電する方法にも特に制限はないが、効率よく上記式(1)に示すような、電気化学的合金化反応を進行させるため、電流密度を0.1~6.0mA/cm の範囲としてもよいし、電圧を4.3~4.7V(vs Li/Li )の範囲としてもよい。
[0031]
 以下、負極合材、正極合材、固体電解質材料部、及び、電池部材の順に製造工程の例について述べる。
[0032]
2-1.負極合材
 負極合材は、負極活物質、導電材、及び、固体電解質を含有するものであり、当該負極活物質としてLiと合金を形成可能な金属及び当該金属の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質、当該固体電解質として、BET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子を含有するものであれば特に制限はない。
 上述のように、電池部材に通電することで、負極合材から負極を得ることができる。
 負極合材は、前記負極活物質、前記導電材、及び、前記固体電解質以外に、必要に応じ、結着剤などの他の成分を含むものであってもよい。
 固体電解質の原料として、BET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子を用いれば前記負極合材及び当該負極合材から製造される負極中において、導電材が均等に分散された状態を維持することができるためである。
 ここで、負極中の固体電解質粒子のBET比表面積が1.8~19.7m /gの範囲にある場合には、値Aを12.4~56.7の範囲とすると、容量維持率が向上するが、製造上の観点からは、値Aが低すぎると固体電解質粒子同士が凝集しやすくなるため、値Aを17.5~22.0(17.5~56.7)とすることが好ましい。
[0033]
 Liと合金を形成可能な金属及び当該金属の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む負極活物質、導電材、固体電解質、及び、必要に応じ含有される結着剤の成分の原料としては、1-1.負極で例示したものと同様の原料を用いることができる。
 前記負極合材を形成するための原料、すなわち負極合材用原料は、負極活物質、導電材、固体電解質、及び、必要に応じ含有される結着剤の原料以外の成分を含んでいてもよく、さらに、負極合材を形成する途中で除去される成分を含んでいてもよい。負極合材用原料中に含まれるが、負極合材を形成する途中で除去される成分としては、溶剤や除去可能な結着剤が挙げられる。除去可能な結着剤としては、負極合材を形成するときには結着剤として機能するが、負極合材を得る工程で焼成することにより分解又は揮散等し除去され、結着剤を含まない負極合材とすることができる、結着剤を用いることができる。
[0034]
 負極合材を形成する方法にも、特に制限はない。固体電解質の原料としてBET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子を用いれば、形成される負極合材及び当該負極合材から製造される負極中において、導電材が均等に分散された状態を維持することができるためである。
 負極合材を形成する方法としては、例えば、負極合材用原料の粉末を圧縮成形する方法が挙げられる。負極合材用原料の粉末を圧縮成形する場合には、通常、400~1000MPa程度のプレス圧を負荷する。また、ロールプレスを用いて圧縮成形してもよく、その場合には線圧を10~100kN/cmに設定してもよい。
 また、除去可能な結着剤を含む負極合材用原料の粉末を圧縮成形した後、焼成することにより結着剤を除去する方法や、溶剤及び除去可能な結着剤を含む負極合材用原料の分散液を固体電解質材料部の上又は他の支持体の上に塗布、乾燥して負極合材の形状に形成した後、焼成することにより結着剤を除去する方法などを行うことができる。
[0035]
2-2.正極合材
 本開示の製造方法において、正極合材は、例えば、Liを含有する正極活物質原料を含み、必要に応じ、結着剤、固体電解質、及び導電材等の他の原料を含む。
 上述のように、電極部材に通電することで、正極合材から正極を得ることができる。
 結着剤、導電材、固体電解質等の他の原料としては、1-2.正極で例示したものと同様の原料を用いることができる。
[0036]
 正極合材を形成するための原料、すなわち正極合材用原料は、さらに、正極合材を形成する途中で除去される成分を含んでいてもよい。正極合材用原料中に含まれるが、正極合材を形成する途中で除去される成分としては、負極合材用原料に含有させることができる溶剤や除去可能な結着剤と同様の成分が挙げられる。
 正極合材を形成する方法としては、負極合材を形成する方法と同様の方法が挙げられる。
[0037]
2-3.固体電解質材料部
 本開示の製造方法において、固体電解質材料部は、例えば、固体電解質原料を含み、必要に応じ、他の成分を含む。
 上述のように、電池部材に通電することで、固体電解質材料部から固体電解質層を得ることができる。
 固体電解質原料としては、1-3.固体電解質層で例示したものと同様の原料を用いることができる。
[0038]
 固体電解質材料部中の固体電解質原料の割合は、特に限定されるものではないが、例えば50質量%以上であり、70質量%~99.99質量%の範囲内であってもよく、90質量%~99.9質量%の範囲内であってもよい。
 固体電解質材料部に含まれる他の成分も、1-3.固体電解質層で例示したものと同様の材料を用いることができる。
[0039]
 固体電解質材料部を形成する方法としては、固体電解質原料及び必要に応じ他の成分を含む固体電解質材料の粉末を圧縮成形する方法が挙げられる。固体電解質材料の粉末を圧縮成形する場合には、通常、負極用合材の粉末を圧縮成形する場合と同様に、400~1000MPa程度のプレス圧を負荷する。また、ロールプレスを用いて圧縮成形してもよく、その場合には線圧を10~100kN/cmに設定してもよい。
 また、他の方法としては、固体電解質原料及び必要に応じ他の成分を含有する固体電解質材料の溶液又は分散液を用いたキャスト成膜法などを行うことができる。
[0040]
2-4.電池部材
 本開示の製造方法において、本開示において電池部材は、例えば、正極合材、固体電解質材料部、及び、負極合材がこの順序で配列され、直接または他の材料からなる部分を介して接合しており、さらに、正極合材上の固体電解質材料部が存在する位置とは反対側(正極合材の外方側)、及び、負極合材上の固体電解質材料部が存在する位置とは反対側(負極合材の外方側)のうちの片方又は両方の側に、他の材料からなる部分が接合していてもよい配列構造を有する各部の集合体(正極合材-固体電解質材料部-負極合材集合体)である。
 前記電池部材は、正極合材側から固体電解質材料部を経由して負極合材側に至る方向へ通電できる限り、他の材料からなる部分が付属していてもよい。正極合材と固体電解質材料部の間には、例えば、LiNbO 、Li Ti 12、Li PO のような被覆層が設けられていても良い。正極合材の外方側及び負極合材の外方側のいずれか一方又は両方の側には、例えば、集電体、外装体が付属していてもよい。
 上記電池部材は、典型的には、正極合材、負極合材、及び、前記正極合材と前記負極合材の間に配置された固体電解質材料部が直接接合し、且つ、正極合材の外方側及び負極合材の外方側のいずれにも他の材料からなる部分が接合していない配列構造を有する集合体である。
[0041]
 電池部材を作製する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、粉体圧縮成形の圧縮シリンダ内に、負極合材用原料の粉末を投入し均一な厚みに堆積して負極合材用原料粉末層を形成し、その負極合材用原料粉体堆積層の上に、固体電解質粉末及び必要に応じ他の成分を含む固体電解質用材料の粉末を投入し均一な厚みに堆積して固体電解質用材料粉末層を形成し、その固体電解質用材料粉末層の上に、Liを含有する正極活物質を含む正極合材用原料の粉末を投入し均一な厚みに堆積して正極合材用原料粉末層を形成した後、このようにして形成された3層の粉末堆積層を有する粉末堆積体を一度に圧縮成形することにより、電池部材を作製してもよい。
[0042]
 また、固体電解質材料部、負極合材、及び、正極合材は、粉体圧縮成形以外の手法で作製してもよい。具体的な方法は、本明細書中で上記したとおりである。例えば、固体電解質材料部は、固体電解質を含む固体電解質材料の溶液又は分散液を用いたキャスト成膜法や、ダイコーターによる塗工法により成形してもよい。負極合材及び正極合材は、例えば、負極合材用原料又は正極合材用原料の粉末、及び、除去可能な結着剤を含む分散液を固体電解質材料部や集電体の上に塗布することにより塗膜を形成した後、この塗膜を加熱して塗膜から結着剤を除去する方法や、あるいは、負極合材用原料又は正極合材用原料、及び、除去可能な結着剤を含む粉末を圧縮成形して正極合材又は負極合材の形状とした後、この成形体を加熱して塗膜から結着剤を除去する方法により形成してもよい。負極合材及び正極合材については、電極密度を高めるため、圧縮成形前に予め緻密化プレスを行ってもよい。
 また、負極合材及び正極合材は、固体電解質材料部や集電体以外の支持体上に形成してもよい。その場合、当該支持体から負極合材及び正極合材を剥離し、剥離した負極合材又は正極合材を、固体電解質材料部の上に接合する。
[0043]
 本開示に係る全固体リチウムイオン二次電池の放電容量維持率の算出方法の例を以下に述べる。
 まず、所定の電圧まで定電流定電圧充電を行う。次に、充電後の電池について定電流定電圧放電を行う。この充電から放電までを1サイクルとし、Xサイクルまで繰り返す。
 下記式(5)より、Xサイクル後の放電容量維持率を算出する。
  式(5)  r=C /C 1st × 100
 ここで、上記式(5)中、rはXサイクル後の放電容量維持率(%)を、C はXサイクル目の放電容量(mAh)を、C 1stは1サイクル目の放電容量(mAh)を、それぞれ意味する。Xの値には特に制限はないが、負極中における導電材の偏在は、初期の放電容量維持率に影響を与えやすいため、Xは10以下であってもよく、5であってもよい。
実施例
[0044]
1.全固体リチウムイオン二次電池の製造
[実施例1]
(1)負極合材の作製
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように準備した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子800g、ZrO ボール(Φ0.3mm)13kg、脱水ヘプタン5kg、及び、di-n-ブチルエーテル1.5kgを、ビーズミル(商品名:LMZ4、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速12m/sの条件で6時間、湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
粉砕後にポットプレートを用いて、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
 このように準備した固体電解質原料である硫化物固体電解質粒子0.62g、負極活物質原料である平均粒子径が5μmのSi単体粒子0.80g、導電材であるVGCF0.03g、及び、結着剤であるPVdF系樹脂の5質量%酪酸ブチル溶液0.32g、をポリプロピレン製容器に添加した。当該容器を超音波分散装置中で30秒間超音波処理後、振とう器を用いて30分間振とう処理することで、負極合材用原料を調製した。
 このように準備した負極合材用原料を、アプリケーターを使用するブレード法により、集電体であるCu箔上に塗工し、100℃に調整したホットプレート上で30分間乾燥した。当該集電体上の負極合材に対して、事前プレスを行うことで、負極合材を作製した。
[0045]
(2)正極合材の作製
 固体電解質原料である平均粒径が0.8μmであるLiBr及びLiIを含むLi S-P 系非晶質固体電解質0.32g、正極活物質原料である平均粒子径が6μmのLiNi 1/3Co 1/3Mn 1/3粒子2.00g、結着剤であるPVdF系樹脂の5質量%酪酸ブチル溶液3.0g、並びに、導電材であるVGCFを、固体電解質原料、正極活物質原料、結着剤及び導電材の合計体積を100体積%としたときに2.5体積%となる量、をポリプロピレン製容器に添加した。当該容器を超音波分散装置中で30秒間超音波処理後、振とう器を用いて30分間振とう処理することで、正極合材用原料を調製した。
 このように準備した正極合材用原料を、アプリケーターを使用するブレード法により、集電体であるAl箔上に塗工し、100℃に調整したホットプレート上で30分間乾燥した。当該集電体上の正極合材に対して、事前プレスを行うことで、正極合材を作製した。
[0046]
(3)固体電解質材料部の作製
 固体電解質原料である平均粒径が2.5μmであるLiBr及びLiIを含むLi S-P 系非晶質固体電解質6.0g、並びに、結着剤であるブチレンゴム系樹脂の5質量%酪酸ブチル溶液0.05g、をポリプロピレン製容器に添加した。当該容器を超音波分散装置中で30秒間超音波処理後、振とう器を用いて30分間浸透処理することで、固体電解質材料部用ペーストを調製した。
 このように準備した固体電解質材料部用ペーストを、アプリケーターを使用するブレード法により、基盤であるAl箔上に塗工し、100℃に調整したホットプレート上で30分間乾燥することにより固体電解質材料部を得た。同様の方法で固体電解質材料部を合計3枚準備した。
[0047]
(4)電池部材の作製
 (1)及び(3)で得られた負極合材と固体電解質材料部が接するように、負極合材と固体電解質材料部を積層した。この集電体―負極合材―固体電解質材料部―アルミニウム箔積層体に対して、緻密化を目的として、ロール間ギャップ100μm、送り速度0.5m/minの条件で、ロールプレスを用いて5kN/cmの圧力を印加した。固体電解質材料部の基盤として使用したアルミニウム箔を剥がして、集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体を得た。
 (2)及び(3)で得られた正極合材と固体電解質材料部が接するように、正極合材と固体電解質材料部を積層した。この集電体―正極合材―固体電解質材料部―アルミニウム箔積層体に対して、緻密化を目的として、ロール間ギャップ100μm、送り速度0.5m/minの条件で、ロールプレスを用いて5kN/cmの圧力を印加した。固体電解質材料部の基盤として使用したアルミニウム箔を剥がして、集電体―正極合材―固体電解質材料部積層体を得た。
 治具を用いて、上述のように緻密化された集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体は直径11.74mmに、緻密化された集電体―正極合材―固体電解質材料部積層体は直径11.28mmに打ち抜いた。
 打ち抜かれた集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体に、固体電解質材料部同士が接するように(3)で準備した固体電解質材料部を更に積層後、(3)で準備した固体電解質材料部から基盤として使用したアルミニウム箔を剥離した。
 この固体電解質材料部が転写された集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体の中央部に集電体―正極合材―固体電解質材料部積層体が位置し、且つ、固体電解質材料部同士が接触するように重ね合わせた状態で、130℃で200MPaの圧力を1分間印加し、集電体を有する電池部材を得た。
[0048]
(5)全固体リチウムイオン二次電池の作製
 上述のように得られた電池部材に対して、3時間率(1/3C)で所定の電圧まで定電圧-定電流で通電し、実施例1の全固体リチウム二次電池を得た(終止電流1/100C)。
[0049]
[実施例2]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例1と同様に実施例2の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子800g、ZrO ボール(Φ0.3mm)13kg、脱水ヘプタン5kg、及び、di-n-ブチルエーテル1.5kgを、ビーズミル(商品名:LMZ4、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速12m/sの条件で4時間、湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
粉砕後にポットプレートを用いて、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0050]
[実施例3]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例1と同様に実施例3の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子2g、ZrO ボール(Φ0.3mm)40g、脱水ヘプタン5g、及び、di-n-ブチルエーテル3gを、ZrO ポット(容量45mL)に添加後、容器を密閉した。当該ZrO ポットを遊星ボールミル(商品名:P7、フリッチュ社製)に設置し、台盤回転数200rpmの条件で20時間、湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。粉砕後にポットプレートを用いて、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0051]
[実施例4]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例1と同様に実施例4の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子800g、ZrO ボール(Φ0.3mm)13kg、脱水ヘプタン5kg、及び、di-n-ブチルエーテル1.5kgを、ビーズミル(商品名:LMZ4、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速12m/sの条件で10分間、湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。粉砕後にポットプレートを用いて、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0052]
[実施例5]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例1と同様に実施例5の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子2g、ZrO ボール(Φ1.0mm)40g、脱水ヘプタン5g、及び、di-n-ブチルエーテル3gを、ZrO ポット(容量45mL)に添加後、容器を密閉した。当該ZrO ポットを遊星ボールミル(商品名:P7、フリッチュ社製)に設置し、台盤回転数200rpmの条件で5時間、湿式メカニカルミリングを行うこと粉砕した。粉砕後にポットプレートを用いて、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0053]
[比較例1]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例1と同様に比較例1の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子30g、ZrO ボール(Φ0.3mm)450g、脱水ヘプタン200g、及び、di-n-ブチルエーテル80gを、ビーズミル(商品名:LMZ4、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速16m/sの条件で4時間、湿式メカニカルミリングを行うこと粉砕した。粉砕後にポットプレートを用いて、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0054]
[実施例6]
(1)負極合材の作製
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように準備した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子50g、ZrO ボール(Φ0.3mm)485g、脱水ヘプタン265g、及び、di-n-ブチルエーテル135gを、ビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速16m/sの条件で1時間、第一段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第一段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを40℃に維持した状態で、周速3m/sの条件で3時間、第二段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第二段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを、ポットプレートを用いて、120℃で3時間乾燥後、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
 このように準備した固体電解質原料である硫化物固体電解質粒子0.62g、負極活物質原料である平均粒子径が5μmのSi単体粒子0.80g、結着剤であるPVdF系樹脂の5質量%酪酸ブチル溶液0.32g、及び、導電材であるVGCF0.03g、をポリプロピレン製容器に添加した。当該容器を超音波分散装置中で30秒間超音波処理後、振とう器を用いて30分間振とう処理することで、負極合材用原料を調製した。
 このように準備した負極合材用原料を、アプリケーターを使用するブレード法により、集電体であるCu箔上に塗工し、100℃に調整したホットプレート上で30分間乾燥した。当該集電体上の負極合材に対して、事前プレスを行うことで、負極合材を作製した。
[0055]
(2)正極合材の作製
 固体電解質原料である平均粒径が0.8μmであるLiIを含むLi S-P 系非晶質固体電解質0.32g、正極活物質原料である平均粒子径が4μmのLiNi 1/3Co 1/3Mn 1/3粒子2.00g、結着剤であるPVdF系樹脂の5質量%酪酸ブチル溶液0.30g、及び、導電材であるVGCFを、固体電解質原料、正極活物質原料、結着剤及び導電材の合計体積を100体積%としたときに2.5体積%となる量、ポリプロピレン製容器に添加した。当該容器を超音波分散装置中で30秒間超音波処理後、振とう器を用いて3分間振とう処理することで、正極合材用原料を調製した。
 このように準備した正極合材用原料を、アプリケーターを使用するブレード法により、集電体であるAl箔上に塗工し、100℃に調整したホットプレート上で30分間乾燥した。当該集電体上の正極合材に対して、事前プレスを行うことで、正極合材を作製した。
[0056]
(3)固体電解質材料部の作製
 固体電解質原料である平均粒径が2.5μmであるLiIを含むLi S-P 系非晶質固体電解質0.60g、及び、結着剤であるブチレンゴム系樹脂の5質量%酪酸ブチル0.05g、をポリプロピレン製容器に添加した。当該容器を超音波分散装置中で30秒間超音波処理後、振とう器を用いて30分間振とう処理することで、固体電解質材料部用ペーストを調製した。
 このように準備した固体電解質材料部用ペーストを、アプリケーターを使用するブレード法により、前記正極合材及び負極合材上に塗工し、100℃に調整したホットプレート上で30分間乾燥することにより固体電解質材料部を得た。
[0057]
(4)電池部材の作製
 (3)で得られた集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体、集電体―正極合材―固体電解質材料部積層体に対して、緻密化を目的として、ロール間ギャップ100μm、送り速度0.5m/minの条件で、ロールプレスを用いて5kN/cmの圧力を印加した。
 治具を用いて、上述のように緻密化された集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体は直径13.00mmに、緻密化された集電体―正極合材―固体電解質材料部積層体は直径11.28mmに打ち抜いた。
 打ち抜かれた集電体―負極合材―固体電解質材料部積層体の中央部に集電体―正極合材―固体電解質材料部積層体が位置し、且つ、固体電解質材料部同士が接触するように重ね合わせた状態で、130℃で200MPaの圧力を1分間印加し、集電体を有する電池部材を得た。
[0058]
(5)全固体リチウムイオン二次電池の作製
 上述のように得られた電池部材に対して、3時間率(1/3C)で所定の電圧まで定電圧-定電流で通電し、実施例6の全固体リチウム二次電池を得た(終止電流1/100C)。
[0059]
[実施例7]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例6と同様に実施例7の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子50g、ZrO ボール(Φ0.3mm)485g、脱水ヘプタン265g、及び、di-n-ブチルエーテル135gを、ビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速16m/sの条件で1時間、第一段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第一段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを50℃に維持した状態で、周速3m/sの条件で2時間、第二段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第二段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを、ポットプレートを用いて、120℃で3時間乾燥後、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0060]
[実施例8]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例6と同様に実施例8の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子50g、ZrO ボール(Φ0.3mm)485g、脱水ヘプタン265g、及び、di-n-ブチルエーテル135gを、ビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速16m/sの条件で2時間、第一段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第一段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを50℃に維持した状態で、周速3m/sの条件で3時間、第二段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第二段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを、ポットプレートを用いて、120℃で3時間乾燥後、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0061]
[実施例9]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例6と同様に実施例9の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子50g、ZrO ボール(Φ0.3mm)485g、脱水ヘプタン265g、及び、di-n-ブチルエーテル135gを、ビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速16m/sの条件で4時間、第一段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第一段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを50℃に維持した状態で、周速3m/sの条件で4時間、第二段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第二段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを、ポットプレートを用いて、120℃で3時間乾燥後、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0062]
[実施例10]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例6と同様に実施例10の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子75g、ZrO ボール(Φ0.3mm)75g、脱水ヘプタン120g、及び、di-n-ブチルエーテル80gを、ZrO ポット(容量500mL)に添加後、容器を密閉した。当該ZrO ポットを遊星ボールミル(商品名:P5、フリッチュ社製)に設置し、台盤回転数150rpm(周速1.7m/s)の条件で10時間、湿式メカニカルミリングを行うこと粉砕した。粉砕後にポットプレートを用いて、120℃で3時間乾燥後、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0063]
[比較例2]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例6と同様に比較例2の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子50g、ZrO ボール(Φ0.3mm)485g、脱水ヘプタン265g、及び、di-n-ブチルエーテル135gを、ビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速16m/sの条件で4時間、湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 このように得られたスラリーを、ポットプレートを用いて、120℃で3時間乾燥後、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0064]
[比較例3]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例6と同様に比較例3の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子50g、ZrO ボール(Φ0.3mm)485g、脱水ヘプタン265g、及び、di-n-ブチルエーテル135gを、ビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速16m/sの条件で1時間、第一段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第一段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを50℃に維持した状態で、周速5m/sの条件で3時間、第二段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第二段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを、ポットプレートを用いて、120℃で3時間乾燥後、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0065]
[比較例4]
 負極用の固体電解質粒子を、以下のように作製したこと以外は、実施例6と同様に比較例4の全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
 Arガス雰囲気下で、15LiBr-10LiI-75(75Li S-25P )の組成で表される硫化物固体電解質粗粒子50g、ZrO ボール(Φ0.3mm)485g、脱水ヘプタン265g、及び、di-n-ブチルエーテル135gを、ビーズミル(商品名:LMZ015、アシザワ・ファインテック株式会社製)のスラリータンクに投入し、周速16m/sの条件で1時間、第一段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第一段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを50℃に維持した状態で、周速7m/sの条件で3時間、第二段階の湿式メカニカルミリングを行うことで粉砕した。
 第二段階の湿式メカニカルミリングで得られたスラリーを、ポットプレートを用いて、120℃で3時間乾燥後、210℃で3時間の熱処理を行い、負極用の固体電解質粒子を得た。
[0066]
2.評価
(1)負極用固体電解質のBET比表面積、メディアン径、解砕後二次粒径、及び密度の測定
 負極用固体電解質のBET比表面積(m /g)は、比表面積測定装置(商品名:NOVAe2000、カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製)を用いて測定した。
 負極用固体電解質のメディアン径;D50(μm)は、動的光散乱(DLS)式粒子径分布測定装置(商品名:ナノトラックウェーブ、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定した。
 負極用固体電解質の解砕後二次粒径は、上述のように得られた負極用固体電解質250gと酪酸ブチル350gを混合後、超音波分散装置(商品名:超音波プロセッサーUIP500hd、ヒールッシャー社製)中で秒間超音波処理して得られたペースト中の負極用固体電解質の二次粒径を、粒ゲージ(商品名:粒度ゲージ、第一測範製作所社製)を用いてにて測定した。
 負極用固体電解質の密度(g/cm )は、比重測定装置(商品名:AUW120D SMK-401、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
[0067]
(2)サイクル特性の評価
 実施例1乃至10及び比較例1乃至4の全固体リチウムイオン二次電池に対して、定電流―定電圧放電を行った。
 まず、上述のように得られた、実施例1乃至10及び比較例1乃至4の全固体リチウムイオン二次電池を放電した(終止電流1/100C)。放電後の電池に対して、3時間率(1/3C)で、所定の電圧まで定電圧-定電流の条件で充電後、定電流―定電圧放電条件で放電し、1サイクル目の放電容量を測定した。
 同一条件で、充放電サイクルを5サイクル繰り返し、5サイクル目の放電容量を測定した。
 5サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除することにより、5サイクル目における容量維持率を算出した。
[0068]
3.結果
 表1に、負極用固体電解質のBET比表面積、メディアン径の測定結果、及び、これらの値を用いて式(1)から求められる値A、並びに、比較例1の全固体リチウムイオン二次電池の5サイクル目容量維持率を100%とした場合の5サイクル目比容量維持率を示す。
 また、表2に、負極用固体電解質のBET比表面積、メディアン径の測定結果、これらの値を用いて式(1)から求められる値A、及び、解砕後の二次粒径、並びに、比較例2の全固体リチウムイオン二次電池の5サイクル目容量維持率を100%とした場合の5サイクル目比容量維持率を示す。
[0069]
[表1]


[0070]
[表2]


[0071]
 表1に示すように、負極用固体電解質のBET比表面積が28.4m /gである比較例1の電池の5サイクル容量維持率を100%とすると、BET比表面積が1.8~19.7m /gである実施例1乃至5の電池の5サイクル比容量維持率は108~109%と高かった。
 BET比表面積が19.7m /gを超えると、導電材が固体電解質粒子に付着しやすくなり、負極中に導電材の密度が低い部分が生じる。そのため、放電により負極全体の体積が膨張・収縮する過程で、導電材の密度が低い部分における電子伝導パスが徐々に切断されるためであると考えられる。
[0072]
 なお、負極用固体電解質の形状を表す値Aが61.8である比較例1の電池よりも、値Aが13.1~56.7である実施例1乃至5の電池の5サイクル比容量維持率は高かった。値Aが6.0に近いほど形状が真球に近いため、固体電解質粒子の形状が真球に近いほうが、サイクル維持率が高いと考えられる。
[0073]
 また、表2に示すように、負極用固体電解質のBET比表面積が28m /gである比較例2の電池の5サイクル容量維持率を100%とすると、BET比表面積が7~12m /gである実施例6乃至10の電池の5サイクル比容量維持率は108%と高かった。
 表2に記載の電池は、表1に記載の電池と製造方法や材料等に違いがあるものの、負極用固体電解質のBET比表面積とサイクル維持率の関係については同様の結果が得られ、表1の結果を裏付ける結果であった。
[0074]
 また、表2においても、負極用固体電解質の形状を表す値Aが43.6~67.7である比較例2乃至4の電池よりも、値Aが12.4~22.0である実施例6乃至10の電池の5サイクル比容量維持率は高かった。この点においても表1の結果を裏付ける結果であった。
 なお、値Aが12.4である実施例10の負極用固体電解質粒子では解砕後二次粒径が50μmと、値Aが17.5~22.0である実施例6乃至9より大きかった。解砕後二次粒径が大きさは、負極用固体電解質粒子の分散性と関連していると考えられるため、製造時の分散エネルギーを小さくすることができるという観点から、値Aが17.5~22.0である負極用固体電解質粒子を用いることが好ましいと考えられる。
[0075]
 以上の結果より、負極は、負極活物質、導電材、及び、固体電解質を含有し、前記負極活物質は、Liと合金を形成可能な金属、当該金属の酸化物、及び、当該金属とLiとの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質を含み、前記固体電解質は、BET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子である全固体リチウムイオン電池では、サイクル特性が良好であることが明らかとなった。

符号の説明

[0076]
1 固体電解質層
2 正極
3 負極
101 正極-固体電解質層-負極集合体

請求の範囲

[請求項1]
 全固体リチウムイオン二次電池であって、
 負極は、負極活物質、導電材、及び、固体電解質を含有し、
 前記負極活物質は、Liと合金を形成可能な金属、当該金属の酸化物、及び、当該金属とLiとの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質を含み、
 前記固体電解質は、BET比表面積が1.8~19.7m /gの粒子である全固体リチウムイオン二次電池。
[請求項2]
 前記固体電解質粒子の下記式(1)より求められる値Aが、12.4~56.7の範囲である、請求項1に記載の全固体リチウムイオン二次電池。
  式(1) A=BET比表面積(m /g)×メディアン径;D50(μm)×密度(g/cm
[請求項3]
 前記負極活物質がSiの単体及びSiとLiとの合金からなる群より選ばれる少なくとも一種の活物質を含む、請求項1又は2に記載の全固体リチウムイオン二次電池。
[請求項4]
 前記固体電解質が硫化物固体電解質である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の全固体リチウムイオン二次電池。
[請求項5]
 前記導電材が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーからなる群より選ばれる少なくとも一種の炭素系素材である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の全固体リチウムイオン二次電池。

図面

[ 図 1]