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1. (WO2018193853) リアクトル
Document

明 細 書

発明の名称 リアクトル

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005  

図面の簡単な説明

0006  

発明を実施するための形態

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050  

符号の説明

0051  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : リアクトル

技術分野

[0001]
 本発明は、リアクトルに関する。
 本出願は、2017年4月18日付の日本国出願の特願2017-082393に基づく優先権を主張し、前記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。

背景技術

[0002]
 電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば特許文献1には、巻回部を有するコイルと、コイル(巻回部)の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、コイル(巻回部)と磁性コアとの間に介在される絶縁介在部材とを備えるリアクトルが開示されている。上記コイルは、並列に配置される一対の巻回部を有し、各巻回部が四角筒状に形成されている。上記磁性コアは、巻回部の内部に配置される内側コア部と巻回部の外部に配置される外側コア部とで環状に構成されている。上記絶縁介在部材は、巻回部の内周面と内側コア部の外周面との間に介在される内側介在部材と、巻回部の端面と外側コア部との間に介在される端面介在部材とで構成されている。特許文献1に記載のリアクトルは、コイルの巻回部の内周面と内側コア部の外周面との間に充填される内側樹脂部を備える。
[0003]
 特許文献1に記載のリアクトルでは、巻回部の内周面と内側コア部の外周面との間に内側介在部材を介在させて配置することにより、巻回部と内側コア部との間に隙間(樹脂流路)を確保する。そして、端面介在部材に形成された樹脂充填孔を介して、巻回部の端面側から巻回部と内側コア部との隙間に樹脂を充填することにより、内側樹脂部を形成している。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2017-28142号公報

発明の概要

[0005]
 本開示に係るリアクトルは、
 コイルと、前記コイルの内外に配置される環状の磁性コアとを備えるリアクトルであって、
 前記コイルは、互いに横並びに配置される2つの巻回部を有し、
 前記磁性コアは、前記巻回部の内側に配置される2つの内側コア部と、前記巻回部の外側に配置されて前記両内側コア部の各端部同士を接続する2つの外側コア部とを有し、
 前記巻回部の内周面と前記内側コア部との間に充填される内側樹脂部と、
 前記巻回部の端面と前記外側コア部との間に介在される端面介在部材と、
 前記端面介在部材に一体に形成され、前記両巻回部の互いに対向する内側面同士間の全域に亘って介在されるスペーサ片と、を備える。

図面の簡単な説明

[0006]
[図1] 実施形態1に係るリアクトルの概略斜視図である。
[図2] 実施形態1に係るリアクトルの概略上面図である。
[図3] 実施形態1に係るリアクトルに備える組合体の概略斜視図である。
[図4] 図1に示す(IV)-(IV)線で切断した概略横断面図である。
[図5] 図1に示す(V)-(V)線で切断した概略平断面図である。
[図6] 実施形態1に係るリアクトルに備える端面介在部材を正面側から見た概略正面図である。
[図7] スペーサ片の変形例を示す概略横断面図である。

発明を実施するための形態

[0007]
 [本開示が解決しようとする課題]
 上述したような2つの巻回部を有するコイルと、コイル(巻回部)の内外に配置される環状の磁性コアとを備えるリアクトルにおいて、巻回部の内周面と内側コア部の外周面との間に樹脂を充填して内側樹脂部を形成する際に巻回部が変形することがある。
[0008]
 一般に、内側樹脂部を形成する樹脂の充填は、射出成形により樹脂に圧力をかけて行うが、巻回部の内周面と内側コア部の外周面との狭い隙間に樹脂を十分に行き渡らせるために高い圧力をかける必要がある。そのため、樹脂の圧力によって巻回部が外方に向かって膨らむように変形することがあり、場合によっては、巻回部同士(具体的には、両巻回部の互いに対向する内側面同士)が接触することが起こり得る。巻回部同士が接触すると、巻回部間の電気的絶縁を確保できない虞がある。特に、巻回部の端面形状が矩形状であり、端面形状の長辺側が内側面になるように巻回部が配置されている場合は、内側面で変形が大きくなり、巻回部同士の接触が起こり易い。
[0009]
 そこで、本開示は、コイルの巻回部の内周面と磁性コアの内側コア部との間に樹脂を充填して内側樹脂部を形成する際に、巻回部の変形を抑制して巻回部同士の接触を回避できるリアクトルを提供することを目的の一つとする。
[0010]
 [本開示の効果]
 本開示のリアクトルは、コイルの巻回部の内周面と磁性コアの内側コア部との間に樹脂を充填して内側樹脂部を形成する際に、巻回部の変形を抑制して巻回部同士の接触を回避できる。
[0011]
 [本願発明の実施形態の説明]
 最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
[0012]
 (1)本願発明の一態様に係るリアクトルは、
 コイルと、前記コイルの内外に配置される環状の磁性コアとを備えるリアクトルであって、
 前記コイルは、互いに横並びに配置される2つの巻回部を有し、
 前記磁性コアは、前記巻回部の内側に配置される2つの内側コア部と、前記巻回部の外側に配置されて前記両内側コア部の各端部同士を接続する2つの外側コア部とを有し、
 前記巻回部の内周面と前記内側コア部との間に充填される内側樹脂部と、
 前記巻回部の端面と前記外側コア部との間に介在される端面介在部材と、
 前記端面介在部材に一体に形成され、前記両巻回部の互いに対向する内側面同士間の全域に亘って介在されるスペーサ片と、を備える。
[0013]
 上記リアクトルによれば、スペーサ片を備えることで、巻回部の内周面と内側コア部との間に樹脂を充填して内側樹脂部を形成する際に、樹脂の圧力によって巻回部の内側面が外方に変形することを抑制でき、両巻回部の内側面同士が接触することを回避できる。また、巻回部の間にスペーサ片が介在されることで、スペーサ片によって巻回部間の電気的絶縁を確保できる。
[0014]
 スペーサ片が両巻回部の互いに対向する内側面同士間の全域に亘って介在されることで、内側面の全面に亘って変形を抑制でき、巻回部の変形による巻回部同士の接触を回避できる。「内側面同士間の全域に亘って介在される」とは、両巻回部の内側面の全面に亘って対向し、巻回部の間に内側面の全面(全長及び全高)に亘って接触するように設けられていることを意味する。ここで、スペーサ片が巻回部の内側面の全面に亘って設けられていない場合は、スペーサ片に接触しない箇所で内側面の一部が変形することがあり、内側面同士の接触を回避できない可能性がある。
[0015]
 また、スペーサ片が端面介在部材に一体に形成されていることで、作業性を改善できる。巻回部の変形を抑制して巻回部同士の接触を回避する手段の1つとして、巻回部と内側コア部との隙間に樹脂を充填する際に、巻回部の間に板状のスペーサを配置して樹脂の充填を行うことが考えられる。しかし、この場合は、スペーサを別途配置したり、樹脂を充填して成形した後にスペーサを抜き取る作業が必要になる。また、スペーサの取り忘れや、スペーサを抜き取る際に巻回部を形成する巻線の絶縁被覆を傷付ける可能性がある。上記リアクトルでは、スペーサ片が端面介在部材に一体に形成されているため、スペーサを別途配置したり、抜き取る作業が不要になり、また、巻回部の内側面を傷付ける虞も少ない。
[0016]
 (2)上記リアクトルの一形態として、前記スペーサ片の上下方向の高さが前記巻回部の内側面の高さよりも大きく、前記スペーサ片の上端部及び下端部が前記内側面よりも突出していることが挙げられる。
[0017]
 スペーサ片の上端部及び下端部が内側面よりも上下方向に突出していることで、巻回部間の沿面距離を確保して、巻回部間の電気的絶縁を高めることができる。
[0018]
 (3)上記リアクトルの一形態として、前記巻回部は、軸方向から見た端面形状が矩形状で、その端面形状の長辺側が前記内側面になるように配置されていることが挙げられる。
[0019]
 巻回部の端面形状が矩形状である場合、巻回部の外周面のうち、端面形状の長辺側の面の方が短辺側の面よりも樹脂の圧力によって変形し易い。そのため、端面形状の長辺側が内側面になるように巻回部が配置されている場合は、内側面で変形が生じ易く、巻回部同士の接触が起き易い。上記リアクトルによれば、端面形状の長辺側が内側面になるように巻回部が配置されている場合に、スペーサ片で巻回部の内側面の変形を抑制できるので効果が大きい。
[0020]
 [本願発明の実施形態の詳細]
 本願発明の実施形態に係るリアクトルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本願発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[0021]
 [実施形態1]
 <リアクトルの構成>
 図1~図6を参照して、実施形態1に係るリアクトル1を説明する。実施形態1のリアクトル1は、図1~図3に示すように、2つの巻回部2cを有するコイル2と、巻回部2cの内外に配置される磁性コア3と、端面介在部材52を含む絶縁介在部材5との組合体10を備える。両巻回部2cは、互いに横並びに配置されている。磁性コア3は、巻回部2cの内側に配置される2つの内側コア部31と、巻回部2cの外側に配置されて両内側コア部31の各端部同士を接続する2つの外側コア部32とを有する。また、リアクトル1は、図4、図5に示すように、巻回部2cの内周面と内側コア部31との間に充填される内側樹脂部41(モールド樹脂部4)を備える。リアクトル1の特徴の1つは、両巻回部2cの互いに対向する内側面同士間に介在されるスペーサ片55を備える点にある。
[0022]
 リアクトル1は、例えば、コンバータケースなどの設置対象(図示せず)に設置される。ここでは、リアクトル1(コイル2及び磁性コア3)において、図1、図4における紙面下側が、設置対象に面する設置側であり、設置側を「下」、その反対側を「上」とし、上下方向を高さ方向とする。また、巻回部2c(内側コア部31)の並び方向(図2の紙面左右方向)を横方向とし、巻回部2c(内側コア部31)の軸方向に沿った方向(図2の紙面上下方向)を長さ方向とする。図4は、巻回部2cの長さ方向に直交する横方向に切断した横断面図であり、図5は、巻回部2cを上下に分断する平面で切断した平断面図である。以下、リアクトル1の構成について詳しく説明する。
[0023]
 (コイル)
 コイル2は、図1~図3に示すように、2本の巻線2wをそれぞれ螺旋状に巻回してなる2つの巻回部2cを有し、両巻回部2cを形成するそれぞれの巻線2wの一方の端部同士が接合部20を介して接続されている。両巻回部2cは、互いの軸方向が平行するように横並び(並列)に配置されている。接合部20は、各巻回部2cから引き出された巻線2wの一方の端部同士を溶接や半田付け、ロウ付けなどの接合方法によって接合することで形成されている。巻線2wの他方の端部はそれぞれ、各巻回部2cから適宜な方向(この例では上方)に引き出され、端子金具(図示せず)が適宜取り付けられて、電源などの外部装置(図示せず)に電気的に接続される。コイル2は、公知のものを利用でき、例えば、両巻回部2cが1本の連続する巻線で形成されたものでもよい。
[0024]
 〈巻回部〉
 両巻回部2cは、同じ仕様の巻線2wからなり、形状・大きさ・巻回方向・ターン数が同じであり、巻回部2cを形成する隣り合うターン同士が密着している。巻線2wは、例えば、導体(銅など)と、導体の外周に絶縁被覆(ポリアミドイミドなど)とを有する被覆線(いわゆるエナメル線)である。この例では、巻回部2cが被覆平角線の巻線2wをエッジワイズ巻きした四角筒状(具体的には、矩形筒状)のエッジワイズコイルであり、軸方向から見た巻回部2cの端面形状は角部が丸められた矩形状である(図4も参照)。巻回部2cの外周面は、図4に示すように、4つの平面(上面、下面及び2つの側面)と4つの角部とを有し、2つの側面のうち、両巻回部2cの互いに対向する側面を内側面、その反対側に位置する側面を外側面とする。巻回部2cは、その端面形状の一対の短辺側が上面及び下面になり、一対の長辺側が内側面及び外側面になるように配置されている。巻回部2cの形状は、特に限定されるものではなく、例えば、長円筒状(レーストラック形状)などであってもよい。
[0025]
 巻回部2cの内側面の高さ(端面形状の長辺の長さ。角部を除く)は、例えば30mm以上100mm以下、巻回部2c間の間隔(内側面同士間の空間距離)は、例えば1mm以上5mm以下であることが挙げられる。
[0026]
 この例では、コイル2(巻回部2c)が後述するモールド樹脂部4で覆われておらず、リアクトル1を構成したとき、図1に示すように、コイル2の外周面が露出された形態になる。そのため、コイル2から外部に放熱し易く、コイル2の放熱性を高めることができる。
[0027]
 その他、コイル2は、電気絶縁性を有する樹脂でモールドされたモールドコイルであってもよい。この場合、コイル2を外部環境(粉塵や腐食など)から保護したり、コイル2の機械的強度や電気絶縁性を高めることができる。例えば、巻回部2cの内周面が樹脂で覆われていることで、巻回部2cと内側コア部31との間の電気的絶縁を高めることができる。コイル2をモールドする樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6やナイロン66といったポリアミド(PA)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂などの熱可塑性樹脂が利用できる。
[0028]
 或いは、コイル2は、巻回部2cを形成する隣り合うターン間に融着層を備え、隣り合うターン同士が熱融着された熱融着コイルであってもよい。この場合、隣り合うターン同士をより密着させることができる。
[0029]
 磁性コア3は、図2、図3及び図5に示すように、巻回部2cの内側に配置される2つの内側コア部31と、巻回部2cの外側に配置される2つの外側コア部32とを有する。内側コア部31は、横並びに配置された巻回部2cの内側に位置し、コイル2が配置される部分である。つまり、両内側コア部31は、巻回部2cと同様に、横並び(並列)に配置される。内側コア部31は、その軸方向の端部の一部が巻回部2cから突出していてもよい。外側コア部32は、巻回部2cの外側に位置し、コイル2が実質的に配置されない(即ち、巻回部2cから突出(露出)する)部分である。外側コア部32は、両内側コア部31の各端部同士を接続するように設けられる。この例では、内側コア部31を両端から挟むように外側コア部32がそれぞれ配置され、両内側コア部31の各端面が外側コア部32の内端面32eにそれぞれ対向して接続されることによって環状の磁性コア3が構成されている。磁性コア3には、コイル2に通電して励磁した際に磁束が流れ、閉磁路が形成される。
[0030]
 〈内側コア部〉
 内側コア部31の形状は、巻回部2cの内周面に対応した形状である。この例では、内側コア部31が四角柱状(矩形柱状)に形成されており、軸方向から見た内側コア部31の端面形状は角部が面取りされた矩形状である(図4も参照)。内側コア部31の外周面は、図4に示すように、4つの平面(上面、下面及び2つの側面)と4つの角部とを有する。また、この例では、図2、図3及び図5に示すように、内側コア部31が複数の内コア片31mを有し、内コア片31mが長さ方向に連結されて構成されている。
[0031]
 内側コア部31(内コア片31m)は、軟磁性材料を含有する材料で形成されている。内コア片31mは、例えば、鉄又は鉄合金(Fe-Si合金、Fe-Si-Al合金、Fe-Ni合金など)といった軟磁性粉末や更に絶縁被覆を有する被覆軟磁性粉末などを圧縮成形した圧粉成形体や、軟磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体などで形成されている。複合材料の樹脂には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、低温硬化性樹脂などが利用できる。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PI樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。その他、不飽和ポリエステルに炭酸カルシウムやガラス繊維が混合されたBMC(Bulk molding compound)、ミラブル型シリコーンゴム、ミラブル型ウレタンゴムなども利用できる。この例では、内コア片31mが圧粉成形体で形成されている。
[0032]
 〈外側コア部〉
 外側コア部32は、1つのコア片で構成されている。外側コア部32は、内コア片31mと同様に、軟磁性材料を含有する材料で形成されており、上述した圧粉成形体や複合材料などが利用できる。この例では、外側コア部32が圧粉成形体で形成されている。
[0033]
 (絶縁介在部材)
 絶縁介在部材5は、コイル2(巻回部2c)と磁性コア3(内側コア部31及び外側コア部32)との間に介在され、コイル2と磁性コア3との間の電気的絶縁を確保する部材であり、内側介在部材51と端面介在部材52とを有する。絶縁介在部材5(内側介在部材51及び端面介在部材52)は、電気絶縁性を有する樹脂で形成され、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PI樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などの樹脂で形成することが挙げられる。
[0034]
 〈内側介在部材〉
 内側介在部材51は、図3~図5に示すように、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間に介在され、巻回部2cと内側コア部31との間の電気的絶縁を確保する。この例では、図3、図5に示すように、内側介在部材51は、内コア片31m間に介在される矩形状の板部510と、板部510の角部に形成され、隣接する両内コア片31mの角部に沿って長さ方向に延在する突片511とを有する。更に、この例では、板部510の外縁部に、隣接する両内コア片31mの端面の周縁部を囲む枠部512が形成されている。板部510は、内コア片31m間の間隔を保持してギャップとして機能する。突片511は、内コア片31mの角部を保持すると共に、巻回部2cの内周面と内コア片31mの外周面との間に介在して、巻回部2c内に内コア片31m(内側コア部31)を位置決めする。図4に示すように、突片511により巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間に隙間が形成され、内側コア部31の4面(上面、下面及び両側面)にそれぞれ隙間が確保される。各隙間は、後述する内側樹脂部41(図4、図5参照)を形成する樹脂の流路になり、各隙間に樹脂が充填されることで、内側樹脂部41が形成される。また、図3に示すように、隣り合う内側介在部材51の突片511同士が突き合わされて連結される。
[0035]
 〈端面介在部材〉
 端面介在部材52は、図3、図5に示すように、巻回部2cの端面と外側コア部32の内端面32eとの間に介在され、巻回部2cと外側コア部32との間の電気的絶縁を確保する。端面介在部材52は、巻回部2cの両端にそれぞれ配置され、図3に示すように、内側コア部31が挿入される2つの貫通孔520が形成された矩形状の枠状体である。この例では、図6に示すように、端面介在部材52を外側コア部32側(正面側)から見たとき、内側コア部31(内コア片31m)の端面の角部に当接するように、貫通孔520の内方に突出する突起523が形成されている。突起523が内側コア部31の端面の角部と外側コア部32の内端面32eとの間に介在して、図5に示すように、内側コア部31の端面と外側コア部32の内端面32eとの間に隙間が形成される。また、図6に示すように、各貫通孔520が十字状に形成されており、組合体10の状態において、貫通孔520には、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との各隙間に連通する樹脂充填孔524が形成される。この樹脂充填孔524を介して、巻回部2cと内側コア部31との各隙間に樹脂を充填することが可能である。
[0036]
 端面介在部材52の外側コア部32側(正面側)には、図3、図6に示すように、外側コア部32の内端面32e側が嵌合される凹状の嵌合部525が形成されており、嵌合部525により端面介在部材52に対して外側コア部32が位置決めされる。端面介在部材52の内側コア部31側(裏面側)には、図3に示すように、内側コア部31の端部に位置する内コア片31mの角部に沿って長さ方向に延在する突片521が形成されている。突片521は、内側コア部31の端部に位置する内コア片31mの角部を保持すると共に、巻回部2cの内周面と内コア片31mの外周面との間に介在して、巻回部2c内に内コア片31m(内側コア部31)を位置決めする。突片521により端面介在部材52に対して内側コア部31が位置決めされ、結果的に、端面介在部材52を介して内側コア部31と外側コア部32とを位置決めできる。また、端面介在部材52の突片521は、図2に示すように、内側介在部材51の突片511と突き合わされて連結される。これにより、内側コア部31の長さ方向に亘って、図4に示すように、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との隙間が突片511及び突片521によって周方向に分断されている。
[0037]
 (スペーサ片)
 端面介在部材52には、図1~図5に示すように、巻回部2cの間に介在されるスペーサ片55が一体に形成されている。スペーサ片55は、図3~図5に示すように、端面介在部材52の内側コア部31側(裏面側)から突出して、両巻回部2cの互いに対向する内側面同士間の全域に亘って介在されるように設けられる。スペーサ片55は、両巻回部2cの内側面の全面に亘って対向する大きさを有し、巻回部2cの間に内側面の全面(全長及び全高)に亘って接触するように形成されている。この例では、図4、図5に示すように、スペーサ片55が内側面の長さ方向に沿って全長に亘って形成されると共に内側面の高さ方向に沿って全高に亘って形成されており、スペーサ片55の長さが内側面の長さと同等でかつ、スペーサ片55の高さが内側面の高さと同等である。スペーサ片55の厚さは、巻回部2c間の間隔と同等であり、例えば1mm以上5mm以下であることが挙げられる。
[0038]
 また、この例では、図2、図5に示すように、両方の端面介在部材52にスペーサ片55が一体に形成されており、互いのスペーサ片55の先端部同士が突き合わされて一連になる。互いのスペーサ片55の長さは、図2、図5に示すように同じであってもよいし、一方が長く他方が短くてもよい。また、互いのスペーサ片55の先端部に凹凸や段差を形成して、スペーサ片55の先端部同士が係合する構成としてもよい。或いは、一方の端面介在部材52にのみスペーサ片55を形成する構成とすることも可能である。この場合、他方の端面介在部材52にスペーサ片55の先端部が挿入される凹部を設けてもよい。
[0039]
 (内側樹脂部)
 内側樹脂部41は、図4、図5に示すように、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間に樹脂が充填されることで形成されており、巻回部2cの内周面及び内側コア部31の外周面に密着している。この内側樹脂部41は、射出成形により樹脂を充填することによって形成されている。
[0040]
 内側樹脂部41は、電気絶縁性を有する樹脂で形成されている。内側樹脂部41を形成する樹脂には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、低温硬化性樹脂などが利用できる。例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PI樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂が利用できる。
[0041]
 この例では、図1、図2に示すように、外側コア部32の表面の少なくとも一部を覆う外側樹脂部42を有する。外側樹脂部42は、内側樹脂部41と一体成形されており、図5に示すように、内側樹脂部41と外側樹脂部42とでモールド樹脂部4が構成されている。このモールド樹脂部4により内側コア部31及び外側コア部32が一体化されると共に、組合体10を構成するコイル2、磁性コア3及び絶縁介在部材5が一体化される。また、図5に示すように、内側コア部31の端面と外側コア部32の内端面32eとの隙間にも樹脂が充填されている。
[0042]
 <リアクトルの製造方法>
 リアクトル1の製造方法の一例を説明する。リアクトルの製造方法は、大別すると、組合体組立工程と、樹脂充填工程とを備える。
[0043]
 (組合体組立工程)
 組合体組立工程では、コイル2と磁性コア3と絶縁介在部材5との組合体10を組み立てる(図3参照)。
 この例では、内コア片31m間に内側介在部材51を配置して内側コア部31を作製して、コイル2の両巻回部2cに内側コア部31をそれぞれ挿入する。その後、巻回部2cの両端に端面介在部材52をそれぞれ配置して、内側コア部31を両端から挟むように外側コア部32をそれぞれ配置する。これにより、内側コア部31と外側コア部32とで環状の磁性コア3(図2参照)を構成する。以上のようにして、コイル2と磁性コア3と絶縁介在部材5とを備える組合体10を組み立てる。
[0044]
 (樹脂充填工程)
 樹脂充填工程では、巻回部2cの内周面と内側コア部31との間に樹脂を充填して内側樹脂部41を形成する(図4、図5参照)。
 この例では、組合体10を図示しない成形型にセットして、成形型に端面介在部材52を固定する。この成形型は、組合体10をセットしたとき、コイル2の両巻回部2cの外側面が成形型の内面に接触するように形成されている。そして、組合体10の外側コア部32側から樹脂を射出し、端面介在部材52の樹脂充填孔524を介して、巻回部2cと内側コア部31との隙間に樹脂を充填する。このとき、内側コア部31の端面と外側コア部32の内端面32eとの隙間にも樹脂が充填される。その後、充填した樹脂を固化させることで、内側樹脂部41を形成する。また、この例では、内側樹脂部41の形成と同時に、外側コア部32も樹脂で覆うように外側樹脂部42を形成して、内側樹脂部41と外側樹脂部42とを一体成形する。これにより、内側樹脂部41と外側樹脂部42とでモールド樹脂部4を構成し、内側コア部31及び外側コア部32を一体化すると共に、コイル2、磁性コア3及び絶縁介在部材5を一体化する。
[0045]
 樹脂の充填は、一方の外側コア部32側から他方の外側コア部32側に向かって巻回部2cと内側コア部31との隙間に樹脂を充填してもよいし、両方の外側コア部32側から隙間に樹脂を充填してもよい。
[0046]
 この例では、内側介在部材51の突片511と端面介在部材52の突片521とが内側コア部31の角部に沿って長さ方向に連結されることにより(図2参照)、巻回部2cと内側コア部31との隙間が周方向に分断されている(図4参照)。そのため、各隙間に流れる樹脂同士が合流することによるウェルドの発生を抑制でき、内側樹脂部41にウェルドが形成されることを回避できる。
[0047]
 {作用効果}
 実施形態1のリアクトル1は、次の作用効果を奏する。
 巻回部2cの間に介在されるスペーサ片55を備えることで、巻回部2cの内周面と内側コア部31との間に樹脂を充填して内側樹脂部41を形成する際に、樹脂の圧力によって巻回部2cの内側面が外方に変形することを抑制できる。よって、両巻回部2cの内側面同士が接触することを回避できる。特に、巻回部2cの端面形状の長辺側が内側面になるようにコイル2が配置されている場合に、スペーサ片55で巻回部2cの内側面の変形を抑制できるので効果が大きい。
[0048]
 スペーサ片55が両巻回部2cの互いに対向する内側面同士間の全域に亘って介在されることで、内側面の全面に亘って変形を抑制でき、巻回部2c同士の接触を回避できる。また、スペーサ片55が端面介在部材52に一体に形成されていることで、スペーサを別途配置したり、抜き取る作業が不要になり、作業性を改善できる。
[0049]
 〈用途〉
 実施形態1のリアクトル1は、例えば、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC-DCコンバータ)や、空調機のコンバータなど種々のコンバータ、並びに電力変換装置の構成部品に好適に利用可能である。
[0050]
 [変形例]
 上述した実施形態1のリアクトル1では、図4に示すように、スペーサ片55の高さが巻回部2cの内側面の高さと同等である形態を説明した。これに限らず、例えば、図7に示すように、スペーサ片55の高さが巻回部2cの内側面の高さよりも大きくてもよく、スペーサ片55の上端部及び下端部が内側面よりも突出している形態としてもよい。図7では、スペーサ片55の高さが巻回部2cの高さ(上面から下面までの距離)と同等であり、スペーサ片55の上端部及び下端部が両巻回部2cの互いに対向する内側に位置する上下の角部の間の空間に突出している。図7の変形例に示すスペーサ片55のように、スペーサ片55の上端部及び下端部が内側面よりも上下方向に突出している場合、巻回部2c間の沿面距離を長くして、巻回部2c間の電気的絶縁を高めることができる。スペーサ片55の上端部及び下端部の突出長さは、コイル2の印加電圧や使用環境などに応じて必要な沿面距離を確保できるように適宜設定すればよい。

符号の説明

[0051]
 1 リアクトル
 10 組合体
 2 コイル
 2w 巻線
  2c 巻回部
 20 接合部
 3 磁性コア
 31 内側コア部
  31m 内コア片
 32 外側コア部
  32e 内端面
 4 モールド樹脂部
  41 内側樹脂部
  42 外側樹脂部
 5 絶縁介在部材
 51 内側介在部材
  510 板部
  511 突片
  512 枠部
 52 端面介在部材
  520 貫通孔
  521 突片
  523 突起
  524 樹脂充填孔
  525 嵌合部
 55 スペーサ片

請求の範囲

[請求項1]
 コイルと、前記コイルの内外に配置される環状の磁性コアとを備えるリアクトルであって、
 前記コイルは、互いに横並びに配置される2つの巻回部を有し、
 前記磁性コアは、前記巻回部の内側に配置される2つの内側コア部と、前記巻回部の外側に配置されて前記両内側コア部の各端部同士を接続する2つの外側コア部とを有し、
 前記巻回部の内周面と前記内側コア部との間に充填される内側樹脂部と、
 前記巻回部の端面と前記外側コア部との間に介在される端面介在部材と、
 前記端面介在部材に一体に形成され、前記両巻回部の互いに対向する内側面同士間の全域に亘って介在されるスペーサ片と、を備えるリアクトル。
[請求項2]
 前記スペーサ片の上下方向の高さが前記巻回部の内側面の高さよりも大きく、
 前記スペーサ片の上端部及び下端部が前記内側面よりも突出している請求項1に記載のリアクトル。
[請求項3]
 前記巻回部は、軸方向から見た端面形状が矩形状で、その端面形状の長辺側が前記内側面になるように配置されている請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]