国際・国内特許データベース検索
このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2018193655) 揚げ物用ミックス
Document

明 細 書

発明の名称 揚げ物用ミックス

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

0007   0008   0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

実施例

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027  

産業上の利用可能性

0028  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 揚げ物用ミックス

技術分野

[0001]
 本発明は、揚げ物の製造時に衣の材料として使用される揚げ物用ミックスに関する。

背景技術

[0002]
 揚げ物は、各種の食材からなる具材を油ちょうなどの加熱調理することで得られる食品である。揚げ物には、具材に衣材を付着させずにそのまま油ちょうして得られる素揚げなどもあるが、その多くは、表面に衣材が付着した具材を加熱調理することで得られ、具材の表面に衣材からなる衣が付着している。表面に衣材が付着した具材を高温の油中で加熱することより、油に直接触れる衣は、サクミのある独特の食感と風味を有し、一方で中身の具材は、衣の内側で蒸されたように火が通っていて旨味が凝縮されたものとなる。揚げ物は数えきれないほどのバリエーションを有し、非常に人気がある食品である。
[0003]
 揚げ物の製造に使用される衣材は通常、常温常圧において粉末状であるが、具材に付着させる際の形態によっていくつかのタイプに分類され、典型的なタイプとして、具材表面に粉末状のまままぶして使用するまぶしタイプと、液体に溶かして液状の衣材(いわゆるバッター液)としてから具材表面に付着させるバッタータイプとがある。また、バッタータイプを使用する場合、具材表面にバッター液を付着させた後、該バッター液の上からさらにパン粉などの粉末を付着させる場合がある。揚げ物を製造するに当たっては、このような衣材のタイプの選択の他、衣の厚みや付着量、衣と具材とのバランスなど、工夫すべき点が数多くある。
[0004]
 揚げ物には、調理直後から時間が経過すると、具材の水分が衣に移行することによって、具材のジューシーさが失われると共に衣が柔らかくなって、独特の食感が失われやすいという問題がある。特に近年は、調理済みの揚げ物が流通販売され、消費者がこれを購入してそのまま喫食するか又は電子レンジなどで加熱調理してから喫食するスタイルが普及しているが、斯かる食事スタイルにおいては、揚げ物が製造されてから喫食されるまでに比較的長時間を要するため、前記の水分移行に起因する衣の品質低下が問題となりやすく、特に、喫食前に揚げ物を電子レンジで加熱調理すると、電子レンジのマイクロ波によって具材の水分が加熱蒸散して衣に移行しやすくなるため、衣の品質低下はより一層深刻なものとなる。また、衣材として前記バッタータイプを使用した場合には、具材に対する衣の量が比較的多くなりやすく、それ故に、揚げ物全体の食感に占める衣の食感の割合が大きくなりやすいため、前記の水分移行に起因する衣の経時的な品質低下が問題となりやすい。
[0005]
 斯かる問題を解決するべく衣材の改良技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、バッター固形成分100重量部に対して、固形成分として難消化性デキストリンを50~90重量部含有させた揚げ物用バッターが記載されている。しかしながら、このように衣材に難消化性デキストリンを高含有させると、これを用いて得られた揚げ物は、衣の食感がネトついたものになり、サクミのある好ましい食感が得られにくい。また特許文献2~4には、澱粉中のアミロース含量が50%以上であるハイアミロース澱粉を含有する揚げ物用バッターが記載されているが、この揚げ物用バッターを用いても、衣の食感に物足りないものがあった。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2008-136445号公報
特許文献2 : 特開平8-173073号公報
特許文献3 : 特開平11-46711号公報
特許文献4 : 特開2000-73号公報

発明の概要

[0007]
 近年はカロリーや糖質の過剰摂取や運動不足等により健康上の問題が取り上げられることが多く、揚げ物のような比較的高カロリーで糖質の多い食品が敬遠される傾向がある。このような健康志向などを背景に、低糖質な揚げ物が要望されている。また近年は、摂取しても消化吸収されない食品素材である食物繊維が注目されており、澱粉などの糖質を食物繊維に置き換えた食品が提案されている。例えば、特許文献2~4記載の揚げ物用バッターに含有されているハイアミロース澱粉は、食物繊維を20~30%程度含有しているが、この程度の食物繊維含有量では健康食品素材として十分とは言えない。一方で、食物繊維は特有の味や臭いがあるため、これを食品に多量に含有させると、食感や食味などが低下する。揚げ物における衣の経時的な品質低下を防止しつつ、健康志向に応え得る衣材は未だ提供されていない。
[0008]
 本発明の課題は、食物繊維を豊富に含み、低糖質で健康食品素材として有用でありながらも、ネトつきが無く歯脆いサクミのある衣を有する揚げ物を製造することができ、しかもその衣の優れた食感が、製造後ある程度の時間が経過した場合や電子レンジなどで再加熱した場合でも維持され得る揚げ物用ミックスを提供することである。
[0009]
 本発明は、食物繊維含有量60質量%以上の食物繊維高含有難消化性澱粉を20質量%以上含有する揚げ物用ミックスである。
 また本発明は、前記の本発明の揚げ物用ミックス100質量部と液体100~1000質量部とを含むバッター液である。
 また本発明は、前記の本発明の揚げ物用ミックス100質量部と液体100~1000質量部とを含むバッター液を具材に付着させ、加熱調理する工程を有する揚げ物の製造方法である。

発明を実施するための形態

[0010]
 本発明の揚げ物用ミックスに配合される食物繊維高含有難消化性澱粉は、健常人の消化管で消化吸収されない難消化性澱粉の一種であり、食物繊維含有量が60質量%以上である点で特徴付けられる。難消化性澱粉であっても食物繊維含有量が60質量%未満では、これを含む揚げ物用ミックスを用いて得られた揚げ物の衣がネトついた食感の強いものとなり、サクミのある好ましい食感の衣が得られない。食物繊維高含有難消化性澱粉における食物繊維含有量は、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
[0011]
 本明細書において、食物繊維含有量とは、AOAC985.29をベースとした酵素-重量法(プロスキー法)によって定量される値である。食物繊維含有量は、市販の測定キット(例えば、和光純薬工業製の食物繊維測定キット)を用いて測定できる。
[0012]
 難消化性澱粉は、レジスタントスターチとも呼ばれ、不溶性食物繊維の1種で消化酵素に抵抗性を示し、大腸で腸内細菌に資化され腸内菌叢に良好な影響を及ぼすことが知られている。難消化性澱粉は、下記RS1~RS4の4種類に分類される。
 RS1は、それ自体は消化されやすいものの、外皮などにより物理的に保護されているために、消化酵素が作用できずに消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、主に全粒粉、種子、マメ類などに含まれる。
 RS2は、澱粉粒の特殊な結晶構造に起因して消化抵抗性を示す未加工の難消化性澱粉(生澱粉)であり、馬鈴薯澱粉、未熟バナナ澱粉を例示できる。また、ハイアミロース澱粉も、直鎖構造のアミロースが多く、RS2に分類される。ここでいうハイアミロース澱粉とは、澱粉中のアミロース含量が50質量%以上の澱粉である。
 RS3は、澱粉の老化により消化酵素が作用しにくい構造に変化したために消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、加熱により一旦糊化(α化)させた後、冷却して得られる老化澱粉(β化澱粉)を例示できる。
 RS4は、高度に化学修飾されたことにより消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、強い架橋処理が施された澱粉、エーテル化、エステル化された澱粉を例示できる。
[0013]
 本発明では、食物繊維高含有難消化性澱粉として、RS2~RS4からなる群から選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特にRS2の食物繊維高含有難消化性澱粉が好ましい。RS3の食物繊維高含有難消化性澱粉は、これを含む揚げ物用ミックスを用いて得られた揚げ物の衣の食感が硬くなることがあり、また、RS4の食物繊維高含有難消化性澱粉は、該衣の食感がネトつくことがあるが、RS2の食物繊維高含有難消化性澱粉を使用した場合にはこれらの不都合が生じ難い。
[0014]
 本発明で用いる食物繊維高含有難消化性澱粉は、食物繊維含有量が60質量%以上であればよく、天然の澱粉(未加工の澱粉)でも加工澱粉でも構わない。尤も、一般に、天然の難消化性澱粉は食物繊維含有量が高くても30質量%未満に留まるものがほとんどであり、食物繊維高含有難消化性澱粉としては適さない場合が多い。これに対し例えば、RS2の難消化性澱粉であって熱処理が施されたものは、熱処理によって食物繊維含有量が高められており、本発明で食物繊維高含有難消化性澱粉として利用し得る。具体的には例えば、澱粉中のアミロース含量が70質量%のハイアミロースコーンスターチは、熱処理前の未加工の状態では食物繊維含有量が20質量%程度に過ぎないが、湿熱処理が施されると60質量%程度になる。このように、湿熱処理されたハイアミロース澱粉(RS2の難消化性澱粉)は、食物繊維高含有難消化性澱粉として本発明で利用し得る。
[0015]
 本発明では、食物繊維高含有難消化性澱粉として市販品を用いることができる。RS2の例として、日食ロードスター(日本食品化工製)、ハイメイズ1043(日本エヌエスシー製)、Actistar 11700(カーギルジャパン製)が挙げられる。RS4の例として、パインスターチRT(松谷化学工業製)、ファイバージムRW(松谷化学工業製)、Actistar RT 75330(カーギルジャパン製)が挙げられる。
[0016]
 本発明の揚げ物用ミックスにおける食物繊維高含有難消化性澱粉の含有量は、該ミックスの全質量に対して20質量%以上であり、好ましくは20~95質量%、さらに好ましくは30~90質量%、より好ましくは50~85質量%である。食物繊維高含有難消化性澱粉の含有量が20質量%より少ないと、これを含む揚げ物用ミックスを用いて得られた揚げ物の衣において歯脆いサクミが低下し、ネトついた食感が強くなり、また、食物繊維を豊富に含み低糖質な揚げ物用ミックスが得られない。
[0017]
 本発明の揚げ物用ミックスは、難消化性澱粉に加えて、必要に応じて、この種の揚げ物用ミックスの製造に通常用いられ得る他の原料を含んでいてもよい。そのような他の原料としては、例えば、小麦粉、大麦粉、米粉等の穀粉;難消化性澱粉以外の澱粉、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉等の未加工澱粉、及びこれら未加工澱粉に油脂加工、α化、エーテル化、エステル化、架橋、酸化等の処理の1つ以上を施した加工澱粉;糖類、食塩や粉末醤油等の調味料、油脂、粉末乳化剤、増粘剤、蛋白質、膨張剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の揚げ物用ミックスにおける前記他の原料の含有量は、該ミックスの全質量に対して、好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
[0018]
 本発明の揚げ物用ミックスは、常温常圧下で粉末状であり、これを用いて揚げ物を製造する際には、その粉末状のまま具材表面に付着して使用してもよく、液体と混ぜて使用してもよいが、後者の方がより高い効果が得られる。即ち、本発明の揚げ物用ミックスに液体を添加混合して揚げ物用衣液(バッター液)を調製し、その衣液を具材表面に付着させて使用することが好ましい。揚げ物用衣液を調製する際に使用される液体としては水が一般的であるが、水以外の液体、例えば、牛乳、出し汁、煮汁などを用いることもでき、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の揚げ物用ミックスを用いて揚げ物用衣液を調製する場合、該ミックスと混合される液体の分量は、具材の種類などに応じて適宜調整すればよいが、該揚げ物用ミックス100質量部に対して、好ましくは100~1000質量部、さらに好ましくは100~500質量部、より好ましくは110~350質量部である。本発明には、前述した本発明の揚げ物用ミックス100質量部と液体100~1000質量部とを含むバッター液、及び、該バッター液を具材に付着させ、加熱調理する工程を有する揚げ物の製造方法が包含される。
[0019]
 本発明の揚げ物用ミックスを用いた揚げ物の製造方法においては、該ミックスを粉末状のまま又は前記のように衣液とした上で、具材の表面の少なくとも一部に付着させ、必要に応じてさらにパン粉やブレッダーなどを付着させた後、油ちょうすることで、揚げ物を製造することができる。本発明は、種々の揚げ物の製造に適用することができるが、特に、天ぷら、フリッター、フライ、から揚げに好適であり、とりわけ、天ぷら、フリッターに好適である。揚げ物の具材としては、特に限定されず、例えば、鶏、豚、牛、羊、ヤギなどの畜肉類、イカ、エビ、アジなどの魚介類、野菜類などの種々のものを使用することができる。具材には、本発明の揚げ物用ミックスあるいは該ミックスから調製された衣液を付着させる前に、必要に応じて、下味を付けてもよく、打ち粉をまぶしてもよい。
実施例
[0020]
 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[0021]
〔実施例1~8及び比較例1~7〕
 下記表1~2の配合で各原料を混合し、揚げ物用ミックスを製造した。使用した原料は下記の通り。
・難消化性澱粉A(食物繊維含有量85質量%):ノベロースW(イングレディオン製)
・難消化性澱粉B(食物繊維含有量60質量%):日食ロードスター(日本食品化工製)
・難消化性澱粉C(食物繊維含有量55質量%):アミロジェルHB-450(三和澱粉製)
・難消化性澱粉D(食物繊維含有量20質量%):ハイアミロースコーンスターチ
・難消化性デキストリン(食物繊維含有量90質量%):ファイバーソル2(松谷化学工業製)
・澱粉(食物繊維含量0質量%):コーンスターチ
[0022]
〔試験例〕
 各揚げ物用ミックス100質量部に対して水160質量部を混合し、軽くかき混ぜて天ぷら用衣液を製造した。尾付き海老(20g/1尾)を剥いて水気を取り、打ち粉をしてから衣液を海老の身全体に絡めた。170℃の油槽に投入して2分半油ちょうして、揚げ物の一種である海老天ぷらを製造した。揚げたての海老天ぷらを10名のパネラーに食してもらい、その際の食感を下記評価基準で評価してもらった。また、製造後に室温で4時間保管後、電子レンジにより600Wで10秒間再加熱した海老天ぷらを10名のパネラーに食してもらい、その際の食感を下記評価基準で評価してもらった。結果を下記表1~2に示す。
[0023]
(天ぷらの食感の評価基準)
 5点:衣が硬すぎずネトつかず、歯脆いサクミが非常にあり、極めて良好。
 4点:衣が硬すぎずネトつかず、歯脆いサクミがあり、良好。
 3点:衣に硬さやネトつきは少ないが、歯脆いサクミがやや物足りない。
 2点:衣に硬さかネトつきが感じられ、歯脆いサクミに乏しく不良。
 1点:衣が硬すぎるかネトつきが多く、歯脆いサクミも感じられず極めて不良。
[0024]
[表1]


[0025]
 表1に示す通り、各実施例の揚げ物用ミックスは、その主体をなす難消化性澱粉が、食物繊維含有量60質量%以上の食物繊維高含有難消化性澱粉であるため、該食物繊維高含有難消化性澱粉を含有しない各比較例に比して、揚げ物の食感が製造直後及び再加熱後のいずれにおいても良好であった。また、比較例3の結果から、食物繊維含有量60質量%以上の成分を主体としていても、その成分が難消化性澱粉ではなく難消化性デキストリンでは、所定の効果は得られないことがわかる。
[0026]
[表2]


[0027]
 表2に示す結果から、揚げ物用ミックスにおける食物繊維高含有難消化性澱粉の含有量は、実施例の範囲内である20質量%以上が好ましいことがわかる。また、揚げ物の製造直後の食感の向上については、食物繊維高含有難消化性澱粉の含有量が30~90質量%程度、特に50~85質量%程度が好ましいのに対し、揚げ物の再加熱後の食感については、食物繊維高含有難消化性澱粉の含有量が多いほど良好であった。この結果から、揚げ物の用途に応じて、食物繊維高含有難消化性澱粉の含有量を適宜調整することが有効であることがわかる。

産業上の利用可能性

[0028]
 本発明によれば、食物繊維を豊富に含み、低糖質で健康食品素材として有用でありながらも、ネトつきが無く歯脆いサクミのある衣を有する揚げ物を製造することができ、しかもその衣の優れた食感が、製造後ある程度の時間が経過した場合や電子レンジなどで再加熱した場合でも維持され得る揚げ物用ミックスを提供することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 食物繊維含有量60質量%以上の食物繊維高含有難消化性澱粉を20質量%以上含有する揚げ物用ミックス。
[請求項2]
 前記食物繊維高含有難消化性澱粉の食物繊維含有量が70質量%以上である請求項1に記載の揚げ物用ミックス。
[請求項3]
 液体と混ぜて使用される請求項1又は2に記載の揚げ物用ミックス。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか1項に記載の揚げ物用ミックス100質量部と液体100~1000質量部とを含むバッター液。
[請求項5]
 請求項1~3のいずれか1項に記載の揚げ物用ミックス100質量部と液体100~1000質量部とを含むバッター液を具材に付着させ、加熱調理する工程を有する揚げ物の製造方法。