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1. (WO2018193645) 船舶
Document

明 細 書

発明の名称 船舶

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015  

発明の効果

0016  

図面の簡単な説明

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053  

産業上の利用可能性

0054  

符号の説明

0055  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 船舶

技術分野

[0001]
 本発明は、船舶に関する。
 本願は、2017年4月17日に出願された特願2017-081356号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 船舶として、LNGやLPG等の液化ガスを貯留するカーゴタンクが船首尾方向に複数配列された運搬船が知られている(例えば特許文献1参照)。カーゴタンクのうち、いわゆる方形タンクは、板部材を上下、船首尾方向及び船幅方向に互いに接合することで構成されている。このカーゴタンクは、船体の舷側外板及び隔壁によって区画されたカーゴホールド内に配置されている。カーゴタンクの側壁は、舷側外板の内面に対向している。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2013-79704号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 ところで、上記運搬船では、規則によってカーゴタンクの側壁と船体の舷側外板との距離を所定の値以上に確保することが要求されている。したがって、カーゴタンクの側壁の形状が上記の規則を部分的に満たすことができない場合には、タンク全体の形状を見直す必要がある。特に、板部材同士を円弧状に湾曲する接続部材で接続する場合には、当該湾曲箇所がタンクの外方に突出する。そのため、規則通りの舷側外板との距離を確保できないことがある。
[0005]
 一方で、カーゴタンクとしては、液体ガス等の貨物をより多く積載すべく、容積を出来る限り確保することが望まれる。しかしながら、上記規則によりカーゴタンクの側壁と船体の舷側外板との距離を確保すれば、該カーゴタンクの容積を減少させてしまう場合がある。
[0006]
 本発明は、カーゴタンクの側壁と船体の舷側外板との距離の要求値を満たしながらカーゴタンクの容積を確保することができる船舶を提供する。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明の一の態様に係る船舶は、舷側外板によって区画されたカーゴホールドを有する船体と、前記カーゴホールドに収容されて前記舷側外板に対向する側壁を有するとともに、内部に貨物を収容する収容空間が形成されたカーゴタンクと、を備え、前記側壁は、上板部、該上板部の下方に配置された下板部、及び、前記上板部と前記下板部との間で船首尾方向に延在するとともに、延在方向に直交する断面視で前記カーゴタンクの外方に突出する円弧状をなして、該円弧状の接線方向に延びるようにそれぞれ前記上板部及び前記下板部が接続される湾曲部材を有する側板ユニットを有し、前記湾曲部材は、前記側板ユニットの前記船首尾方向の端部側に向かうに従って、前記円弧状の曲率半径が徐々に大きくなりながら、前記上板部と前記下板部とにわたる幅寸法が徐々に大きくなる拡径部を有する。
[0008]
 上記態様によれば、側板ユニットの端部における湾曲部材の曲率半径が該端部に近づくに連れて大きくなる。そのため、端部における上板部と下板部との接続箇所における湾曲部材の突出量を抑えることができる。よって、側板ユニットの端部の上記接続箇所が舷側外板に対して近接する場合であっても、当該接続箇所と舷側外板との距離を確保することができる。
 ここで仮に、湾曲部材の円弧状の曲率半径を該湾曲部材の延在方向全域で一定とした場合には、側板ユニットの端部における湾曲部材の突出量は大きい。そのため、舷側外板との距離を確保しようとすれば、側板ユニットごとカーゴタンクの内方に後退させるように再設計する必要がある。この場合、収容空間を画成する上板部及び下板部をカーゴタンクの内方に位置させることになるため、カーゴタンクの容積が減少してしまう。
 本態様では、上板部及び下板部の位置を維持しながら側板ユニットの端部における湾曲部材の突出量を抑えることができる。そのため、カーゴタンクの容積を確保しながら舷側外板との距離を大きく確保することができる。
[0009]
 上記態様では、前記湾曲部材は、前記拡径部から前記端部側とは反対側に連続して延びるように該拡径部に接続されて、前記円弧状の曲率半径及び前記幅寸法が一定をなして延びる定径部を有する。
[0010]
 必要部分を超えて拡径部を設けた場合には、湾曲部材の円弧状の大径部分が増える分だけカーゴタンクの容積を侵食してしまう。これに対して、湾曲部材のうち舷側外板との距離が確保できる箇所は、拡径部の小径側に連続して一定の曲率半径及び幅寸法で伸びる定径部とする。これにより、カーゴタンクの容積の不用意な減少を回避することができる。
[0011]
 上記態様では、前記側板ユニットは一対が設けられ、これら側板ユニットは、前記カーゴタンクの外方に向かって突出するように、かつ、前記上板部同士、前記下板部同士、及び前記湾曲部材の前記拡径部同士が接続されるように、前記端部同士が接合されていてもよい。
[0012]
 一対の側板ユニットが上記のように接合されている場合、一対の上板部及び一対の下板部が集合する部分が最も舷側外板に近接する。本態様では、当該部分が拡径部で形成されることになるため、舷側外板への突出量を抑えることができる。これにより、側壁と舷側外板との距離を一定以上確保しながら、カーゴタンクの容積を大きく維持することができる。
[0013]
 上記態様では、前記側壁のうち、前記湾曲部材における前記側板ユニットの端部に該当する箇所が、前記舷側外板に最も近接していることが好ましい。
[0014]
 これにより、側壁と舷側外板との距離を所定の値以上に確保できる範囲で、カーゴタンクの容積を大きく維持することができる。
[0015]
 上記態様では、前記湾曲部材は、前記円弧状の両端から該両端の接線方向に延びる直線部を有し、前記上板部及び前記下板部は、それぞれ前記直線部を介して前記湾曲部材に接続されていてもよい。

発明の効果

[0016]
 本発明の船舶によれば、カーゴタンクの側壁と船体の舷側外板との距離の要求値を満たしながらカーゴタンクの容積を確保することができる。

図面の簡単な説明

[0017]
[図1] 実施形態に係る船舶の側面図である。
[図2] 実施形態に係る船舶のカーゴタンクの斜視図である。
[図3] 実施形態に係る船舶のカーゴタンク側壁の模式的な側面図である。
[図4] 図3のA―A断面図である。
[図5] 図3のB-B断面図である。
[図6] 図3のB-B断面図であって、実施形態の作用効果を説明する図である。
[図7] 比較例を説明する図である。

発明を実施するための形態

[0018]
 以下、本発明の第一実施形態に係る船舶100について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の船舶100は、液化ガスとして液化石油ガス(LPG;liquefied petroleum gas)を輸送する液化ガス運搬船である。
 図1に示すように、船舶100は、船体10、ブリッジ20、主機25及びカーゴタンク30Aを備えている。
[0019]
 船体10は、舷側11、船底12及び上甲板13を有している。舷側11は、左右の舷側11をそれぞれ構成する一対の舷側外板11aから構成されている。船底12は、これら左右の舷側11同士を下部で接続する船底外板から構成されている。上甲板13は、船底12よりも上方で左右一対の舷側11を接続している。上甲板13は、船首から船尾にわたって延びる全通甲板としての乾舷甲板である。上甲板13は、水平方向に延びている。
[0020]
 船体10は、これら舷側11、船底12及び上甲板13によって、船首尾方向に直交する断面形状が、内部に空間を形成する略箱状に形成さている。該船体10内における船尾側の部分は、機関室14とされている。船体10内における機関室14よりも船首側の部分は、機関室14と隔壁によって区画されたカーゴホールド15とされている。カーゴホールド15は、船幅方向両側は左右の舷側外板11aによって画成されている。
[0021]
 ブリッジ20は、船体10の上部から上方に向かって延びるように設けられている。ブリッジ20は、船体10の上部における船尾側に設けられており、機関室14の上方に設けられている。ブリッジ20は、複数階層をなしている。ブリッジ20の上層には、船舶100を操縦するための操縦室21が設けられている。該操縦室21は、船舶100の前方を高所から見渡せるように構成されている。
[0022]
 主機25は、船体10内の機関室14に配置されている。本実施形態の主機25は、図示しない燃料タンクから供給されるLPGを燃料として駆動される。ここで、主機25の燃料は、LPGのみに限られず、LPGと他の燃料との併用(バイフューエル)や、混合(デュアルフューエル)等であってもよい。主機25の駆動によって、船体10の船尾の下方に設けられたスクリュー26が回転する。
[0023]
 カーゴタンク30(30A,30B,30C)は、船体10のカーゴホールド15内に船首尾方向に複数(本実施形態では3つ)が配列されるように設けられている。隣り合うカーゴタンク30同士の間の部分は、各カーゴタンク30が収容される区画を隔てる隔壁が設けられている。
[0024]
 本実施形態のカーゴタンク30は、平板状の板部材を接合することによって構成された方形タンクである。カーゴタンクの内部は、貨物としての液化ガスであるLPGを収容する収容空間とされている。
 ここで、複数のカーゴタンク30のうち最船首側のカーゴタンク30Aについて、図2を参照してさらに詳細に説明する。カーゴホールド15は、船体10の船幅方向の寸法が船首側に向かうに従って船首側ほど船幅方向の寸法が小さくなる。そのため、最船首側のカーゴタンク30Aは、船首側に向かうに従って船幅方向が小さくなる先細り形状をなす。
[0025]
 最船首側のカーゴタンク30Aは、上壁31、底壁33、端壁35及び側壁40を有する。上板、底板、一対の端壁35及び一対の側壁40によって、カーゴタンク30Aの内部に収容空間が形成されている。カーゴタンク30Aの収容空間の容積は、これら上壁31、底壁33、一対の端壁35及び一対の側壁40の配置によって決定される。なお、上壁31、底壁33、端壁35及び側壁40の表面には、図示しない断熱材が設けられる。
[0026]
 上壁31は、カーゴタンク30Aの上部を形成する。上壁31は、船首尾方向及び船幅方向に延びており、即ち、水平方向に延びている。上壁31には、トランクトップ(図2で図示省略)が一体に設けられている。底壁33は、カーゴタンク30Aの底部を形成する。底壁33は、上壁31と平行に、船首尾方向及び船幅方向に延びており、即ち、水平方向に延びている。底壁33の船幅方向の寸法は上壁31の船幅方向の寸法よりも小さい。
 これら上壁31及び底壁33は、平板状をなす板部材32,34を船首尾方向に複数接合することで構成されている。
[0027]
 端壁35はカーゴタンク30Aの船首尾方向の端部を形成する。端壁35は、船尾側及び船首側にそれぞれ設けられており、上下方向及び船幅方向に延びている。即ち、端壁35は、船首尾方向に直交する鉛直面上に設けられている。端壁35は、上壁31と底壁33とを上下に接続する。船首側の端壁35は、上部よりも下部の方が船幅方向の寸法が小さい。
[0028]
 そして、側壁40は、カーゴタンク30Aの側部を形成する。側壁40は、上壁31と底壁33とを上下に接続するように、かつ、一対の端壁35を船首尾方向に接続するように延びている。即ち、側壁40は、上下方向及び船首尾方向に延びている。側壁40は、カーゴタンク30Aを船幅方向から画成する左右の舷側外板11aに船幅方向に対向している。
[0029]
 側壁40は、船首尾方向に配列された複数の側板ユニット50を有している。側壁40は、複数の側板ユニット50が互いに船首尾方向に接合されることで構成されている。
 図3に示すように、各側板ユニット50は、上板部60、下板部70及び湾曲部材80を有する。
[0030]
 上板部60は、平板状をなす部材であって、側板ユニット50の上部を形成している。
 下板部70は、上板部60と同様、平板状をなす部材であって、側板ユニット50の下部を形成している。
[0031]
 これら上板部60及び下板部70は、図4及び図5に示すように、船首尾方向に直交する断面視で、側板ユニット50がカーゴタンク30Aの外方に凸となるように、互いに近接するにしたがってカーゴタンク30Aの外方に向かう姿勢で配置されている。船首尾方向に直交する断面視では、上板部60の下端61及び下板部70の上端71は、互いに上下に間隔をあけて配置されている。当該断面視での上板部60の仮想延長線と下板部70の仮想延長線とは、これら上板部60及び下板部70の配置箇所よりもカーゴタンク30Aの外方側、即ち、舷側外板11a側で互いに交差する。
[0032]
 湾曲部材80は、上板部60の下端61と下板部70の上端71との間で、船首尾方向に延在している。湾曲部材80は、上板部60の下端61と下板部70の上端71とを船首尾方向にわたって接続している。湾曲部材80と上板部60、下板部70とはそれぞれ溶接により接合されている。湾曲部材80は、該湾曲部材80の延在方向に直交する断面視で、カーゴタンク30Aの外方に突出する円弧状をなしている。即ち、湾曲部材80は、当該断面視でカーゴタンク30Aの外方に凸となる円弧に沿って形成されている。
[0033]
 湾曲部材80における断面視円弧状の曲率半径Rは、該湾曲部材80の延在方向の各位置では一定とされている。湾曲部材80は、延在方向に直交する断面視で、上板部60及び下板部70が湾曲部材80の円弧状の接線方向に延びるように、これら上板部60及び下板部70に接続されている。したがって、湾曲部材80は、上記断面視で、上板部60及び下板部70に滑らかに連続するように接続されている。
[0034]
 湾曲部材80は、図3に示すように、定径部81と拡径部82とが該湾曲部材80の延在方向に連続して接続されることで構成されている。定径部81は、側板ユニット50の船首尾方向の端部付近の領域以外の領域で、上板部60と下板部70とを連続的に接続している。拡径部82は、側板ユニット50の船首尾方向の端部付近の領域で上板部60と下板部70とを連続的に接続している。
[0035]
 定径部81は、図3及び図4に示すように、湾曲部材80の延在方向に直交する断面視円弧状の曲率半径Rが、延在方向全域で一定とされている。定径部81は、上板部60と下板部70とにわたる寸法である幅寸法(互いに対向する上板部60の下端61と下板部70との上端71との距離に対応する寸法)が延在方向全域で一定とされている。
[0036]
 定径部81に接続される上板部60の下端61と下板部70の上端71とは互いに平行に延びている。上板部60の下端61と上端71とのうち、互いに平行に伸びる部分を平行部62,72とする。上板部60及び下板部70は、定径部81の断面視円弧状の両端から、該両端の接線方向に延びるように接続されている。
[0037]
 拡径部82は、図3及び図5に示すように、定径部81の端部に接続されており、該定径部81の端部から側板ユニット50の端部にわたって延びている。換言すれば、定径部81は、拡径部82から側板ユニット50の端部側とは反対側に延びている。
[0038]
 拡径部82は、側板ユニット50の端部から離間した定径部81との接続箇所から側板ユニット50の端部に向かうにしたがって、断面視円弧状の曲率半径Rが徐々に大きくなるように拡径している。拡径部82は、定板部と下板部70とにわたる寸法である幅寸法(互いに対向する上板部60の下端61と下板部70との上端71との距離に対応する寸法)が定径部81との接続箇所から側板ユニット50の端部に向かうにしたがって徐々に大きくなる。即ち、拡径部82の幅寸法は、側板ユニット50の端部に向かうに連れて拡大する。拡径部82における定径部81との接続箇所での断面視円弧状の曲率半径R及び幅寸法は、定径部81と同一とされている。
[0039]
 拡径部82の幅寸法の拡大にともなって、当該拡径部82によって接続される上板部60の下端61と下板部70の上端71とは、それぞれ互いに離間するように後退している。上板部60の下端61と下板部70の上端71とにおけるこのように後退する部分を後退部63,73とする。後退部63,73は上記平行部62,72に接続されている。これによって、上板部60及び下板部70は、拡径部82の延在方向全域で、該拡径部82の断面視円弧状の両端から該両端の接線方向に延びるように接続されている。
[0040]
 このような構成の複数の側板ユニット50は、互いの船首尾方向の端部同士が溶接によって接合されている。この際、互いに隣り合う側板ユニット50は、平面視で互いに交差するように配置されている。互いに隣り合う側板ユニット50は、それぞれ互いに近接するに従ってカーゴタンク30Aの外方に向かって延びている。即ち、互いに接合される側板ユニット50の姿勢は、側板ユニット50が接合されることで構成される側壁40が、カーゴタンク30Aの外方に凸となる姿勢とされている。
[0041]
 隣り合う側板ユニット50は、互いの上板部60の船首尾方向の端部同士が上下方向にわたって接合されている。また、互いの下板部70の船首尾方向の端部同士が上下方向にわたって接合されている。さらに、湾曲部材80における拡径部82の船首尾方向の端部同士が上下方向にわたって接合されている。即ち、隣り合う側板ユニット50は、上板部60同士、下板部70同士、拡径部82同士が対応するように互いに接合されている。
[0042]
 船首尾方向に直交する断面視でカーゴタンク30Aの外方に凸となる側板ユニット50同士が、平面視でカーゴタンク30Aの外方に凸となるように接合されている。これにより、側壁40は一部が突出部Pとしてカーゴタンク30Aの外方に突出した形状をなす。当該突出部Pは、各側板ユニット50の拡径部82の箇所に他ならない。当該突出部Pは、カーゴタンク30Aを画成する舷側外板11aに最も近接する。
[0043]
 次に本実施形態の作用効果について説明する。
 上記のような船舶100では、規則によってカーゴタンク30Aの側壁40と船体10の舷側外板11aとの距離を所定の値以上に確保することが要求されている。即ち、カーゴタンク30Aの側壁40は、舷側外板11aから一定距離だけカーゴタンク30A側に離れた基準線S(図6参照)よりも舷側外板11a側に侵入してはならない。
[0044]
 本実施形態によれば、側板ユニット50の船首尾方向の端部における湾曲部材80の曲率半径R(拡径部82の曲率半径R)が該端部に近づくに連れて大きくなる。また、併せて湾曲部材80の幅寸法も端部に近づくに連れて大きくなり、当該幅寸法の拡大に伴って上板部60の下端61及び下板部70の上端71が後退する。そのため、図6に示すように、湾曲部材80によって上板部60と下板部70とを該湾曲部材80の両端の接線方向に滑らかに接続しながら、側板ユニット50の船首尾方向の端部における湾曲部材80の突出量を抑えることができる。よって、側板ユニット50の端部の湾曲部材80の箇所が舷側外板11aに対して近接する場合であっても、当該湾曲部材80と舷側外板11aとの距離を確保することができる。そのため、カーゴタンク30Aの側壁40が基準線Sを超えて舷側外板11aに近づいてしまうことを回避できる。
[0045]
 ここで仮に、湾曲部材80の円弧状の曲率半径Rを該湾曲部材80の延在方向全域で一定とした場合には、側板ユニット50の端部における湾曲部材80の突出量は大きい。即ち、湾曲部材80の断面視円弧状の曲率半径Rが拡径することなく一定であれば、図6に示す二点鎖線のように、側板ユニット50の端部における湾曲部材80の突出量を抑制することができない。その結果、カーゴタンク30Aの側壁40が基準線Sを超えてしまうことになる。
[0046]
 また、このように湾曲部材80の断面視円弧状の曲率半径Rを一定としながら、舷側外板11aとの距離を確保しようとすれば、例えば比較例として図7に示すように、側板ユニット50ごと舷側外板11aから離間させるべく、該側板ユニット50をカーゴタンク30Aの内方に後退させる再設計をする必要がある。即ち、図7の点線で示すラインから実線で示すラインに再設計を施す必要がある。この場合、カーゴタンク30Aの収容空間を画成する上板部60及び下板部70をカーゴタンク30Aの内方に位置させることになる。そのため、カーゴタンク30Aの収容空間の容積を減少させることになってしまう。
[0047]
 これに対して本実施形態では、突出部Pを構成する湾曲部材80における船首尾方向の端部のみの曲率半径R及び幅寸法を大きくすることのみをもって基準線Sの侵入を回避している。そのため、上板部60及び下板部70の位置をカーゴタンク30Aの内方に移動させる必要はない。そのため、カーゴタンク30Aの容積を大きく確保することができる。
[0048]
 なお、必要部分を超えて拡径部82を設けた場合や、単に湾曲部材80の断面視円弧状の曲率半径Rを全域にわたって大きくした場合には、湾曲部材80の円弧状の大径部分が増える分だけカーゴタンク30Aの容積をいたずらに侵食してしまう。これに対して、本実施形態では、湾曲部材80のうち舷側外板11aとの距離が確保できる箇所は、拡径部82の小径側に連続して一定の曲率半径R及び幅寸法で伸びる定径部81とすることで、カーゴタンク30Aの容積の不用意な減少を回避することができる。
[0049]
 さらに、一対の側板ユニット50が本実施形態のように互いに接合されている場合には、一対の上板部60及び一対の下板部70が集合する部分が突出部Pとして最も舷側外板11aに近接する。本実施形態では、当該突出部Pが湾曲部材80の拡径部82で形成されることになるため、舷側外板11aへの突出量を抑えることができる。これにより、側壁40と舷側外板11aとの距離を一定以上確保しながら、カーゴタンク30Aの容積を大きく維持することができる。
[0050]
 以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
 例えば、実施形態では、互いに隣り合う一対の側板ユニット50同士の間に形成される突出部Pでの突出量を抑えるべく、当該突出部Pを形成する湾曲部材80の端部を拡径部82とした。しかしながらこれに限定されることはなく、例えば、側板ユニット50と端壁35とを互いに接合することによって形成される角部に本発明を適用してもよい。即ち、湾曲部材80の端部が拡径する側板ユニット50は、必ずしも一対設ける必要はない。
 また、その他、側板ユニット50の端部が接合される箇所ならば、いずれの箇所に本発明を適用してもよい。
[0051]
 実施形態では、湾曲部材80が断面視円弧状をなしている例について説明したが、湾曲部材80の断面視で円弧状の両端に該両端の接線方向に延びる直線部が設けられていてもよい。上板部60及び下板部70は、該直線部に連続して接合される。この場合も、上板部60及び下板部70は、湾曲部材80の断面視円弧状の両端の接線方向に延びるように、該湾曲部材80に接合されている。
[0052]
 湾曲部材80の延在方向は、船首尾方向に一致している必要はなく、船首尾方向に対して傾斜していてもよい。互いに隣り合う側板ユニット50同士の接合線も、上下方向に一致する必要はなく、上下方向に対して傾斜していてもよい。
[0053]
 カーゴタンク30Aの形状は実施形態で示した例に限られず、適宜変更してもよい。
 また、実施形態では最船首側のカーゴタンク30Aに本発明を適用した例について説明したが、他のカーゴタンク30B,30Cに本発明を適用してもよい。
 実施形態ではカーゴタンク30を、LPGを収容するものとして説明したが、例えばLNG等の他の液化ガスを収容してもよいし、他の液体を収容してもよい。また、カーゴタンク30が液体以外の他の物資を収容してもよい。

産業上の利用可能性

[0054]
 上記船舶によれば、カーゴタンクの側壁と船体の舷側外板との距離の要求値を満たしながらカーゴタンクの容積を確保することができる。

符号の説明

[0055]
100 船舶
10 船体
11 舷側
11a 舷側外板
12 船底
13 上甲板
14 機関室
15 カーゴホールド
20 ブリッジ
21 操縦室
25 主機
26 スクリュー
30 カーゴタンク
30A カーゴタンク
30B カーゴタンク
30C カーゴタンク
31 上壁
32 板部材
33 底壁
34 板部材
35 端壁
40 側壁
50 側板ユニット
60 上板部
61 下端
62 平行部
63 後退部
70 下板部
71 上端
72 平行部
73 後退部
80 湾曲部材
81 定径部
82 拡径部
P 突出部
S 基準線

請求の範囲

[請求項1]
 舷側外板によって区画されたカーゴホールドを有する船体と、
 前記カーゴホールドに収容されて前記舷側外板に対向する側壁を有するとともに、内部に貨物を収容する収容空間が形成されたカーゴタンクと、
を備え、
 前記側壁は、
 上板部、該上板部の下方に配置された下板部、及び、前記上板部と前記下板部との間で船首尾方向に延在するとともに、延在方向に直交する断面視で前記カーゴタンクの外方に突出する円弧状をなして、該円弧状の接線方向に延びるようにそれぞれ前記上板部及び前記下板部が接続される湾曲部材を有する側板ユニットを有し、
 前記湾曲部材は、
 前記側板ユニットの前記船首尾方向の端部側に向かうに従って、前記円弧状の曲率半径が徐々に大きくなりながら、前記上板部と前記下板部とにわたる幅寸法が徐々に大きくなる拡径部を有する船舶。
[請求項2]
 前記湾曲部材は、
 前記拡径部から前記端部側とは反対側に連続して延びるように該拡径部に接続されて、前記円弧状の曲率半径及び前記幅寸法が一定をなして延びる定径部を有する請求項1に記載の船舶。
[請求項3]
 前記側板ユニットは一対が設けられ、
 これら側板ユニットは、前記カーゴタンクの外方に向かって突出するように、かつ、前記上板部同士、前記下板部同士、及び前記湾曲部材の前記拡径部同士が接続されるように、前記端部同士が接合されている請求項1又は2に記載の船舶。
[請求項4]
 前記側壁のうち、前記湾曲部材における前記側板ユニットの端部における前記拡径部の箇所が、前記舷側外板に最も近接している請求項1から3のいずれか一項に記載の船舶。
[請求項5]
 前記湾曲部材は、前記円弧状の両端から該両端の接線方向に延びる直線部を有し、
 前記上板部及び前記下板部は、それぞれ前記直線部を介して前記湾曲部材に接続されている請求項1から4のいずれか一項に記載の船舶。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]