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1. (WO2018193497) スクロール圧縮機およびその製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 スクロール圧縮機およびその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014   0015   0016   0017   0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

符号の説明

0062  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

補正された請求の範囲(条約第19条)

1  *   2   3   4   5  

条約第19条(1)に基づく説明書

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : スクロール圧縮機およびその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、スクロール圧縮機およびその製造方法に関し、特に、チップシールを不要にすると共に運転時に於けるスクロールどうしの干渉を抑止したスクロール圧縮機およびその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 一般的なスクロール圧縮機は、スクロール本体に固定スクロールが取りつけられ、この固定スクロールに対して可動スクロールが旋回可能に組み合わされている。スクロール圧縮機を運転すると、旋回中心を回転軸にして可動スクロールが旋回することで、スクロール圧縮機の周辺部から、固定スクロールと可動スクロールとの間に導入された流体は、両者の間で圧縮されながら、中心部に向かって移動する。中心部に達した流体は圧縮された状態で系外に供給される。
[0003]
 この種のスクロール圧縮機では、可動スクロールと固定スクロールとの接触箇所にチップシールを配置することで、両者の直接的な接触を防止し、運転時に於ける破損を防止している。しかしながら、チップシールはゴム等の弾性体から成るため、運転を継続すると形状等が変形すると共に弾性力が劣化してしまう。
[0004]
 係る問題に対処するべく、特許文献1には、チップシールを廃したスクロール圧縮機が提案されている。この文献に記載されたスクロール圧縮機では、運転時においてはスクロール圧縮機の中央部が周辺部よりも高温である性質に着目し、旋回スクロールの歯先および歯底を、径方向外側に向かって次第に固定スクロール側から離れるように形成している。このようにすることで、運転時に於ける固定スクロールと旋回スクロールとの機械的接触を抑制し、旋回スクロールの耐久性を向上させることができる。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特許第4635660号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、上記した特許文献1に記載されたスクロール圧縮機では、旋回スクロールの歯先および歯底を、径方向外側に向かって次第に固定スクロール側から離れるように形成していたため、鋳造や切削による旋回スクロールの製造が簡単でない課題があった。
[0007]
 更に、特許文献1に記載されたスクロール圧縮機では、運転時に於いて、旋回スクロールのラップ歯底と固定スクロールのラップ歯先を優先的に接触させていたが、このようにすることで、両者が運転時に干渉するようになり、過度の負荷が発生することでスクロール圧縮機が破損してしまうことも考えられる。
[0008]
 本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、チップシールを廃すると共に、運転時に於いてスクロールどうしが干渉してしまうことを抑止することができるスクロール圧縮機およびその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明のスクロール圧縮機は、圧縮機本体側に固定された固定スクロールと、前記固定スクロールの軸を中心として旋回可能に配置された可動スクロールと、を具備し、前記固定スクロールは、固定スクロール基板と、前記固定スクロール基板から渦巻状に前記可動スクロール側に向かって立設された固定スクロール壁体と、を有し、前記可動スクロールは、可動スクロール基板と、前記可動スクロール基板から渦巻状に前記固定スクロール側に向かって立設された可動スクロール壁体と、を有し、前記固定スクロール壁体は、半径方向中心側から、第1固定スクロール壁体部と、前記第1固定スクロール壁体部よりも立設高さが長い第2固定スクロール壁体部と、を有し、前記可動スクロール壁体は、半径方向中心側から、第1可動スクロール壁体部と、前記第1可動スクロール壁体部よりも立設高さが長い第2可動スクロール壁体部と、を有し、前記第1可動スクロール壁体部の角度範囲は、前記第1固定スクロール壁体部の角度範囲よりも、広いことを特徴とする。
[0010]
 更に本発明のスクロール圧縮機では、前記固定スクロール壁体は、前記固定スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状であり、前記可動スクロール壁体は、前記可動スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状であることを特徴とする。
[0011]
 更に本発明のスクロール圧縮機では、前記固定スクロール壁体は、前記第1固定スクロール壁体部および前記第2固定スクロール壁体部よりも半径方向外側に、前記第2固定スクロール壁体部よりも立設高さが長い第3固定スクロール壁体部を更に有し、前記可動スクロール壁体は、前記第1可動スクロール壁体部および前記第2可動スクロール壁体部よりも半径方向外側に、前記第2可動スクロール壁体部よりも立設高さが長い第3可動スクロール壁体部を更に有することを特徴とする。
[0012]
 更に本発明のスクロール圧縮機では、前記可動スクロール壁体の前記第2可動スクロール壁体部の終点角度は、前記固定スクロール壁体の前記第2固定スクロール壁体部の終点角度よりも、大きいことを特徴とする。
[0013]
 更に本発明のスクロール圧縮機の製造方法は、スクロール基板と、前記スクロール基板から渦巻状に立設されたスクロール壁体と、を有するスクロール基材を、金型を用いて成形する成形工程と、前記スクロール基材の表面を研削加工する研削工程と、を具備し、前記成形工程では、前記スクロール壁体を、前記スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状に成形し、前記研削工程では、前記スクロール壁体の側面を前記テーパ形状が維持されるように研削し、前記スクロール壁体の端面を、半径方向中心部における前記スクロール壁体の立設高さが、半径方向外側における前記スクロール壁体の立設高さよりも短くなるように、研削することを特徴とする。

発明の効果

[0014]
 本発明のスクロール圧縮機は、圧縮機本体側に固定された固定スクロールと、前記固定スクロールの軸を中心として旋回可能に配置された可動スクロールと、を具備し、前記固定スクロールは、固定スクロール基板と、前記固定スクロール基板から渦巻状に前記可動スクロール側に向かって立設された固定スクロール壁体と、を有し、前記可動スクロールは、可動スクロール基板と、前記可動スクロール基板から渦巻状に前記固定スクロール側に向かって立設された可動スクロール壁体と、を有し、前記固定スクロール壁体は、半径方向中心側から、第1固定スクロール壁体部と、前記第1固定スクロール壁体部よりも立設高さが長い第2固定スクロール壁体部と、を有し、前記可動スクロール壁体は、半径方向中心側から、第1可動スクロール壁体部と、前記第1可動スクロール壁体部よりも立設高さが長い第2可動スクロール壁体部と、を有し、前記第1可動スクロール壁体部の角度範囲は、前記第1固定スクロール壁体部の角度範囲よりも、広いことを特徴とする。従って、立設される高さが短い第1可動スクロール壁体部の角度範囲が広く形成されることで、スクロール圧縮機が運転された際に於いて発熱した際に、この発熱に伴い発生する熱膨張により生じる課題を緩和することができる。具体的には、スクロール圧縮機で流体を圧縮すると、固定スクロールおよび可動スクロールの半径方向中心部は、流体が圧縮されることから、半径方向外周部よりも高温状態となり、熱膨張量が大きくなる。また、可動スクロールは固定スクロールよりも放熱環境が良くないことから、可動スクロールは固定スクロールよりも高温となり、その分熱膨張量も多くなる。そこで本発明では、立設される高さが短い第1可動スクロール壁体部を径方向に長く形成し、第1可動スクロール壁体部の固定スクロール側の端部が、固定スクロール基板の表面と干渉することを抑制している。
[0015]
 更に本発明のスクロール圧縮機では、前記固定スクロール壁体は、前記固定スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状であり、前記可動スクロール壁体は、前記可動スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状であることを特徴とする。従って、固定スクロール壁体をテーパ形状にすることで、固定スクロール壁体と固定スクロール基板とが接合する部分に於いて、固定スクロール壁体の厚みを厚く確保でき、固定スクロール壁体と固定スクロール基板との接合部分の機械強度を大きくすることができる。また、固定スクロール壁体および可動スクロール壁体をストレート形状とした場合と比較すると、固定スクロールおよび可動スクロールを軽量化でき、更に、スクロールにより圧縮できる流体の体積を大きくすることができる。
[0016]
 更に本発明のスクロール圧縮機では、前記固定スクロール壁体は、前記第1固定スクロール壁体部および前記第2固定スクロール壁体部よりも半径方向外側に、前記第2固定スクロール壁体部よりも立設高さが長い第3固定スクロール壁体部を更に有し、前記可動スクロール壁体は、前記第1可動スクロール壁体部および前記第2可動スクロール壁体部よりも半径方向外側に、前記第2可動スクロール壁体部よりも立設高さが長い第3可動スクロール壁体部を更に有することを特徴とする。従って、固定スクロールおよび可動スクロールは、運転時に於いては、半径方向外側の方が半径方向内側よりも低温となる。よって、固定スクロール壁体および固定スクロール壁体の半径方向外側部分に、立設高さが長い第3固定スクロール壁体部および第3可動スクロール壁体部を形成することで、固定スクロールと可動スクロールとの間隙を少なくし、両者の間から流体が漏れることを抑制し、流体の圧縮効率を向上することができる。
[0017]
 更に本発明のスクロール圧縮機では、前記可動スクロール壁体の前記第2可動スクロール壁体部の終点角度は、前記固定スクロール壁体の前記第2固定スクロール壁体部の終点角度よりも、大きいことを特徴とする。従って、放熱環境が良くない可動スクロールの第2可動スクロール壁体部を、半径方向外側に配置することで、使用状況下にて高温になった第2可動スクロール壁体部の端部が、固定スクロールの固定スクロール基板と干渉することを抑制することができる。
[0018]
 更に本発明のスクロール圧縮機の製造方法は、スクロール基板と、前記スクロール基板から渦巻状に立設されたスクロール壁体と、を有するスクロール基材を、金型を用いて成形する成形工程と、前記スクロール基材の表面を研削加工する研削工程と、を具備し、前記成形工程では、前記スクロール壁体を、前記スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状に成形し、前記研削工程では、前記スクロール壁体の側面を前記テーパ形状が維持されるように研削し、前記スクロール壁体の端面を、半径方向中心部における前記スクロール壁体の立設高さが、半径方向外側における前記スクロール壁体の立設高さよりも短くなるように、研削することを特徴とする。従って、成形工程にてスクロール壁体をテーパ形状とし、研削工程でスクロール壁体の側面をテーパ形状が維持されるように研削することで、スクロール壁体の削りしろを少なくしつつ、スクロール壁体をテーパ形状とすることができる。また、スクロール壁体の端面を、半径方向中心部における前記スクロール壁体の立設高さが、半径方向外側部分におけるスクロール壁体の立設高さよりも短くなるように、研削することで、スクロールの熱環境に応じて、スクロール壁体の立設高さを調節することができる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機を示す断面図である。
[図2] 本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機を構成する固定スクロールを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は上面図であり、(C)は断面図である。
[図3] 本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機を構成する可動スクロールを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は上面図であり、(C)は断面図である。
[図4] 本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機を示す図であり、(A)は固定スクロールを示す上面図であり、(B)は固定スクロールの固定スクロール壁体の立設高さを示すグラフであり、(C)は可動スクロールを示す上面図であり、(D)は可動スクロールの可動スクロール壁体の立設高さを示すグラフである。
[図5] 本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機の製造方法を示す図であり、(A)および(B)は可動スクロールを研削する工程を示す断面図であり、(C)は可動スクロールの端面を研削する工程を示す展開図である。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下、図を参照して本形態のスクロール圧縮機10およびその製造方法を説明する。以下の説明では、同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[0021]
 図1を参照して、本実施の形態に係るスクロール圧縮機10の構成を説明する。スクロール圧縮機10は、スクロール本体11(圧縮機本体)と、スクロール本体11に固定された固定スクロール20と、固定スクロール20に対して旋回可能に組み合わされた可動スクロール30と、を主要に具備している。
[0022]
 スクロール圧縮機10の機能は、可動スクロール30を固定スクロール20に対して旋回させることで、スクロール本体11の半径方向外側に配置された吸入口14から導入された流体を圧縮し、圧縮された流体をスクロール本体11の半径方向中央部分から外部に供給することである。スクロール圧縮機10は、例えば、乗用車等の車両に搭載されて冷暖房を行う空気調和機に組み込まれ、イソブタン等の冷媒を圧縮する。
[0023]
 本実施形態に係るスクロール圧縮機10では、後述するように、チップシールを不要にすることでその構成を簡略化することができる。更に、スクロール圧縮機10では、各スクロールのスクロール壁の形状を最適化することで、各スクロールを軽量化すると共に、スクロール圧縮機10を運転する際にスクロール同士が干渉することを抑止することができる。
[0024]
 スクロール圧縮機10の構成を詳述すると、固定スクロール20と可動スクロール30とは、互いにスクロール壁体どうしをかみ合わせる状態を維持するように、紙面上横方向に一定の拘束力が加えられている。また、可動スクロール30とシャフト12との間には、可動スクロール30を旋回させるための駆動力をシャフト12から可動スクロール30に伝達すると共に、可動スクロール30の自転を防止する自転防止機構13が配置されている。自転防止機構13は、例えば、オルダムリングおよび軸受部材等から構成される。
[0025]
 ここでは、車両の空気調和機にスクロール圧縮機10が備えられる場合を示しており、シャフト12の左端側には電磁クラッチ50が備えられている。電磁クラッチ50は、車両に搭載されたエンジン等の回転力供給源とシャフト12との間に配置され、電磁クラッチ50に制御電流が供給されている間はエンジンの回転力をシャフト12に伝達させ、電磁クラッチ50に制御電流が供給されていない間はエンジンの回転力はシャフト12に伝達させない。
[0026]
 スクロール圧縮機10では、電動機(モータ)やエンジンによる回転運動により、クランクシャフトであるシャフト12を回転させることで、シャフト12の偏心部に回転可能に接続された可動スクロール30を旋回させる。これにより、固定スクロール20と可動スクロール30との間隙に進入した流体を、圧縮しながら中央部に向かって移動させ、固定スクロール20の中央部に形成された後述する吐出孔28から、圧縮後の流体を外部に供給する。
[0027]
 図2を参照して、本形態のスクロール圧縮機10に組み込まれる固定スクロール20の構成を説明する。図2(A)は固定スクロール20を全体的に示す斜視図であり、図2(B)は図2(A)の状態の固定スクロール20を上方から見た上面図であり、図2(C)は固定スクロール20の断面図である。ここで、図2(A)の上方、図2(B)は紙面を手前に貫く方向、および、図2(C)の左方が、ここでは図示しない可動スクロール30に接近する方向である。
[0028]
 図2(A)を参照して、固定スクロール20は、固定スクロール基板21と、固定スクロール基板21の上面から渦巻状に上方に向かって立設された固定スクロール壁体22と、を有している。固定スクロール20は、一体成形されたアルミニウム等の金属材料から成り、後述するように、射出成形した金属体を研削加工することで製造される。固定スクロール20は、全体としては、扁平な略円筒形状を呈している。固定スクロール20の周辺部には、固定スクロール20を上下方向に貫通する孔部26が4つ形成されている。孔部26に挿入されるボルトなどの締結手段を介して、図1に示したように、固定スクロール20はスクロール圧縮機10のスクロール本体11に固定される。ここでは、後述する可動スクロール30が旋回する際の中心となる軸27を点線で示している。
[0029]
 図2(B)を参照して、固定スクロール壁体22は、この視点では、半径方向中心から半径方向外側に向かって、反時計回りに渦巻形状を形成している。また、固定スクロール基板21の中心部付近を円形に貫通する吐出孔28が形成されている。吐出孔28からは、上記したように、可動スクロール30が旋回することで圧縮された流体が、固定スクロール20と可動スクロール30との間隙から外部に吐出される。
[0030]
 図2(C)を参照して、固定スクロール基板21は、略円板状を呈する板状の部材であり、紙面上に於ける固定スクロール基板21の左側主面から、固定スクロール壁体22が左方に向かって突出している。固定スクロール壁体22の両側面は、固定スクロール基板21から離れる方向に幅が狭くなるテーパ形状を呈している。固定スクロール壁体22の半径方向内側側面が、厚み方向内側に向かって垂直方向から傾斜する傾斜角は、例えば、1.5度程度である。同様に、固定スクロール壁体22の半径方向外側側面が、厚み方向内側に向かって垂直方向から傾斜する傾斜角も、例えば、1.5度程度である。固定スクロール壁体22をテーパ形状とすることで、固定スクロール壁体22の厚みを薄くしつつ、固定スクロール壁体22と固定スクロール基板21との接合部分を大きくし、両者の接合強度を大きくすることができる。また、固定スクロール壁体22をテーパ形状とすることで、固定スクロール壁体22をストレート形状とした場合と比較して、より多くの流体を圧縮することができる。
[0031]
 後述するように、本実施形態では、運転時に於いてスクロール圧縮機10の中央部分が外周部分よりも高温となる性質に鑑み、固定スクロール壁体22の立設高さを、中央部分を外周部分よりも低くしている。かかる事項は図4を参照して後述する。ここで、固定スクロール壁体22の立設高さは、固定スクロール壁体22の歯先の位置と称されることもある。
[0032]
 また、固定スクロール基板21の紙面上左側主面は、半径方向内側部分でも、半径方向外側部分でも高さが変わらない平坦面とされている。換言すると、固定スクロール壁体22が固定スクロール基板21に連続する連続部の高さは、半径方向内側部分でも、半径方向外側部分でも、同一とされている。ここで、固定スクロール壁体22が固定スクロール基板21に連続する連続部の高さは、固定スクロール壁体22の歯底の位置と称されることもある。
[0033]
 図3を参照して、可動スクロール30の構成を説明する。図3(A)は可動スクロール30を全体的に示す斜視図であり、図3(B)は図3(A)の状態の可動スクロール30を上方から見た上面図であり、図3(C)は可動スクロール30の断面図である。ここで、図3(A)の上方、図3(B)は紙面を手前に貫く方向、および、図3(C)の左方が、図示しない固定スクロール20に接近する方向である。
[0034]
 図3(A)を参照して、可動スクロール30は、可動スクロール基板31と、可動スクロール基板31の上面から渦巻状に上方に向かって立設された可動スクロール壁体32と、を有している。可動スクロール30は、固定スクロール20と同様に、一体成形されたアルミニウム等の金属材料から成り、後述するように、射出成形した金属体を研削加工することで製造される。可動スクロール30は、全体としては、扁平な略円筒形状を呈している。
[0035]
 図3(B)を参照して、可動スクロール壁体32は、この視点では、半径方向中心から半径方向外側に向かって、反時計回りに渦巻形状を形成している。図2に示した固定スクロール20に、この図に示す可動スクロール30を組み合わせると、固定スクロール20の固定スクロール壁体22と、可動スクロール30の可動スクロール壁体32との間に、スクロール圧縮機10に導入された流体を圧縮するための空間が形成される。
[0036]
 図3(C)を参照して、可動スクロール基板31は、固定スクロール基板21と同様に、略円板状を呈する板状の部材であり、紙面上に於ける可動スクロール基板31の左側主面から、可動スクロール壁体32が左方に向かって突出している。可動スクロール壁体32の両側面は、固定スクロール壁体22と同様に、可動スクロール基板31から離れる方向に幅が狭くなるテーパ形状を呈している。可動スクロール壁体32の半径方向内側側面が、厚み方向内側に向かって垂直方向から傾斜する傾斜角は、例えば、1.5度程度である。同様に、可動スクロール壁体32の半径方向外側側面が、厚み方向内側に向かって垂直方向から傾斜する傾斜角も、例えば、1.5度程度である。
[0037]
 上記した固定スクロール壁体22と同様に、可動スクロール壁体32の立設高さは、中央部分が外周部分よりも低くされている。かかる事項は図4を参照して後述する。本実施形態では、固定スクロール壁体22の立設高さと、可動スクロール壁体32の立設高さとを、放熱条件に応じて異ならせているが、かかる事項も図4を参照して後述する。
[0038]
 また、固定スクロール壁体22と同様に、可動スクロール基板31の紙面上左側主面は、半径方向内側部分でも、半径方向外側部分でも高さが変わらない平坦面とされている。
[0039]
 図4を参照して、固定スクロール20の固定スクロール壁体22の立設高さ、および、可動スクロール30の可動スクロール壁体32の立設高さを説明する。図4(A)は固定スクロール20を示す上面図であり、図4(B)は固定スクロール20の固定スクロール壁体22の立設高さを示すグラフであり、図4(C)は可動スクロール30を示す上面図であり、図4(D)は可動スクロール30の可動スクロール壁体32の立設高さを示すグラフである。
[0040]
 ここで、図4(B)および図4(D)のグラフにおいて、横軸は各スクロール壁体の半径方向内側端部を0度とした場合の回転角度を示しており、縦軸は各スクロール壁体の立設高さを示している。ここで、立設高さとは、スクロール壁体とスクロール基板との接続部から、スクロール壁体の端面までの長さのことである。また、ここでは、運転状況下でない常温下に於ける固定スクロール20および可動スクロール30の寸法等を示している。
[0041]
 図4(A)および図4(B)を参照して、固定スクロール壁体22の高さを説明する。図4(A)に示すように、固定スクロール壁体22は、固定スクロール20の半径方向中心付近から半径方向外周部に向かって、渦巻状に形成されている。また、固定スクロール壁体22の立設高さは、半径方向中心部の方が半径方向外周部よりも低くなるように形成されている。
[0042]
 固定スクロール壁体22の立設高さは、スクロール圧縮機10の運転時に於ける熱分布を考慮して決定されている。具体的には、流体が高圧に圧縮される固定スクロール20の半径方向中心部が半径方向外周部よりも高温となる。よって、仮に、固定スクロール壁体22の立設高さを均一とした場合は、熱膨張量が不均一と成り、固定スクロール壁体22の半径方向中央部に於ける立設高さが半径方向外側よりも高くなる。従って、半径方向中央部に於ける固定スクロール壁体22が、図3(C)に示す、可動スクロール30の可動スクロール基板31と干渉してしまい、焼き付き等の問題が生じてしまう恐れがある。
[0043]
 係る問題に鑑みて本形態では、半径方向中心部における固定スクロール壁体22の立設高さを、半径方向外側よりも低くしている。具体的には、固定スクロール壁体22は、半径方向内側から、第1固定スクロール壁体部23と、第2固定スクロール壁体部24と、第3固定スクロール壁体部25と、を有している。そして、この順番で立設高さが低く形成されている。第1固定スクロール壁体部23と第3固定スクロール壁体部25との立設高さの差H10は、例えば、55μmである。第2固定スクロール壁体部24と第3固定スクロール壁体部25との立設高さの差H11は、例えば、35μmである。
[0044]
 ここで、第1固定スクロール壁体部23の角度範囲は0度以上θ10未満(例えば255度)であり、第2固定スクロール壁体部24の角度範囲はθ10(例えば255度)以上θ11(例えば455度)未満であり、455度以上の角度範囲の部分は第3固定スクロール壁体部25とされている。
[0045]
 ここで、図2に示した固定スクロール20と、図3に示した可動スクロール30とは、図1に示したように互いに組みあわされるが、本形態では両者の間にチップシールを有さないので、両者の間隙は微少に形成される。具体的には、図2に示された固定スクロール20の固定スクロール壁体22の上端部と、図3に示した可動スクロール30の可動スクロール基板31の上面との間隙は、固定スクロール20と可動スクロール30との間で圧縮される流体が顕著に漏出しない程度とされる。また、図2に示された固定スクロール20の固定スクロール基板21の上面部と、図3に示した可動スクロール30の可動スクロール壁体32の上端部との間隙は、固定スクロール20と可動スクロール30との間で圧縮される流体が顕著に漏出しない程度とされる。
[0046]
 図4(D)を参照して、半径方向中心部における可動スクロール壁体32の立設高さは、半径方向外側よりも低くされている。具体的には、可動スクロール壁体32は、半径方向内側から、第1可動スクロール壁体部33と、第2可動スクロール壁体部34と、第3可動スクロール壁体部35と、を有している。そして、この順番で立設高さが低く形成されている。第1可動スクロール壁体部33と第3可動スクロール壁体部35との立設高さの差H20は、例えば、55μmである。第2可動スクロール壁体部34と第3可動スクロール壁体部35との立設高さの差H21は、例えば、35μmである。
[0047]
 ここで、第1可動スクロール壁体部33の角度範囲は0度以上θ20未満(例えば315度)であり、第2可動スクロール壁体部34の角度範囲はθ20(例えば315度)以上θ21(例えば475度)未満であり、475度以上の角度範囲の部分は第3可動スクロール壁体部35とされている。
[0048]
 ここで、固定スクロール壁体22の、第1固定スクロール壁体部23、第2固定スクロール壁体部24および第3固定スクロール壁体部25と、可動スクロール壁体32の第1可動スクロール壁体部33、第2可動スクロール壁体部34および第3可動スクロール壁体部35とでは、それぞれ、立設高さが同一または略同一である。
[0049]
 本実施形態では、上記したように、固定スクロール壁体22および可動スクロール壁体32の両方において、半径方向中心部分が半径方向外部よりも、立設高さが低く形成されている。このようにすることで、スクロール圧縮機10の運転状況下に於いて、固定スクロール20の両方の中心部付近が周辺部よりも高温となり、熱膨張により固定スクロール壁体22の中心部分の立設高さが周辺部よりも高くなっても、固定スクロール壁体22の中心部分の立設高さは比較的低く形成されているので、固定スクロール壁体22の端面が可動スクロール30の可動スクロール基板31に干渉することを抑止できる。同様に、可動スクロール壁体32の中心部分の立設高さが低く形成されていることで、可動スクロール基板31の端面が、固定スクロール20の固定スクロール基板21に干渉することが抑止されている。
[0050]
 更に本形態では、可動スクロール壁体32のうち最も内側に形成されて最も立設高さが低い第1可動スクロール壁体部33の角度範囲を、固定スクロール壁体22のうち最も内側に形成されて最も立設高さが低い第1固定スクロール壁体部23の角度範囲よりも、大きく形成している。このようにすることで、固定スクロール20と可動スクロール30の放熱性に起因したスクロールどうしの干渉を抑止することができる。
[0051]
 具体的には、図1の断面図を参照すると、固定スクロール20は体積が大きく外部との接触面積が大きい一方、可動スクロール30は体積が小さく外部との接触面積が小さい。よって、放熱特性の観点から、可動スクロール30は固定スクロール20に劣るので、スクロール圧縮機10の運転状況下では、可動スクロール30は固定スクロール20よりも高温となる。特に、半径方向中心部付近では、可動スクロール30は固定スクロール20よりも高温となる。更に、可動スクロール30の高温を呈する領域は、固定スクロール20の高温を呈する領域よりも広い。このことから、仮に、固定スクロール壁体22と可動スクロール壁体32とで、半径方向中心部に於ける立設高さを同一とした場合、可動スクロール壁体32の熱膨張量が大きくなり、可動スクロール壁体32の半径方向中心部が固定スクロール基板21に干渉してしまう恐れがある。
[0052]
 この対策として、本実施形態では、立設高さが低い第1可動スクロール壁体部33の角度範囲を、第1固定スクロール壁体部23の角度範囲よりも広くしている。換言すると、展開された第1可動スクロール壁体部33の長さを、第1固定スクロール壁体部23よりも長くしている。このようにすることで、スクロール圧縮機10の運転中に於いて、可動スクロール30が固定スクロール20よりも広い領域で高温となっても、可動スクロール壁体32が固定スクロール基板21に干渉することが抑止されている。
[0053]
 更に、可動スクロール30の第2可動スクロール壁体部34の終点角度θ21は475度である一方、固定スクロール20の第2固定スクロール壁体部24の終点角度θ11は445度である。即ち、第2可動スクロール壁体部34の終点角度θ21は、第2固定スクロール壁体部24の終点角度θ11よりも大きい。このようにすることで、立設高さが低く形成される部分の可動スクロール壁体32の範囲が、立設高さが低く形成される部分の固定スクロール壁体22の範囲よりも広くなり、上記した、可動スクロール壁体32と固定スクロール基板21との干渉を抑止する効果を更に顕著とすることができる。
[0054]
 更に本形態では、固定スクロール壁体22の最外周部に立設高さが長い第3固定スクロール壁体部25を形成し、可動スクロール壁体32の最外周部に立設高さが長い第3可動スクロール壁体部35を形成している。このようにすることで、最外周部に於いて両スクロールの間隙を小さくでき、圧縮するべき流体の外部への漏出を抑止することができる。
[0055]
 次に、図5を参照して、上記した構成を有するスクロール圧縮機10の製造方法を説明する。図5(A)および図5(B)は可動スクロール壁体32の側面を研削する工程を示す断面図であり、図5(C)は可動スクロール壁体32の端面を研削する工程を示す展開図である。
[0056]
 図5(A)を参照して、先ず、可動スクロール30となるスクロール基材を、金型を用いて成形する。この成形方法としては鋳造または鍛造を採用することができる。また、本工程では、成形工程にてキャビティ内に充填された空気と酸素とを置換するPF法(Pore Free Die Casting)を採用することができる。PF法を採用することで、成形体である可動スクロール30に含まれる気泡を減少させ、製造される可動スクロール30の機械強度を向上することができる。また、本工程では、可動スクロール壁体32の側面がテーパ形状と成るように成型を行っている。このようにすることで、後の工程で研削するべき部分を減少することができる。
[0057]
 図5(B)を参照して、旋盤等の検索用機械を用いて、可動スクロール30の可動スクロール壁体32の側面を研削加工し、可動スクロール壁体32の側面の位置および角度を所定のものとする。また、本工程では、可動スクロール30の可動スクロール基板31の上面も、所定の位置および平坦度となるように研削加工する。この図では、加工前の形状を点線で示している。
[0058]
 図5(C)を参照して、可動スクロール壁体32の端面(ここでは上面)を研削加工することで、可動スクロール壁体32の上方端部に段差を形成する。具体的には、可動スクロール壁体32の、角度範囲の0度からθ20(例えば315度)未満までの研削厚みH20は55μmであり、角度範囲がθ20(例えば315度)以上θ21(例えば475度)未満の範囲の研削厚みH21は35μmである。一方、可動スクロール壁体32の、角度範囲がθ21(例えば475度)以上の部分では研削量がゼロである。このように、可動スクロール壁体32の端面を研削加工することで、可動スクロール壁体32の半径方向中央部付近の立設高さを、半径後方外側部分よりも容易に低くすることができ、上記した運転時の干渉を抑止することができる。
[0059]
 ここで、固定スクロール20の製造方法も上記した可動スクロール30と同様であり、金型を用いた成型と研削加工を経て、図2に構成を示す固定スクロール20が製造される。
[0060]
 上記の工程にて固定スクロール20および可動スクロール30が製造されたら、図1に示すように、固定スクロール20、可動スクロール30をスクロール本体11に組み込み、更に、スクロール本体11に自転防止機構13、シャフト12、電磁クラッチ50を組み込むことで、スクロール圧縮機10が製造される。
[0061]
 以上、本発明の実施形態を示したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。

符号の説明

[0062]
10 スクロール圧縮機
11 スクロール本体
12 シャフト
13 自転防止機構
14 吸入口
20 固定スクロール
21 固定スクロール基板
22 固定スクロール壁体
23 第1固定スクロール壁体部
24 第2固定スクロール壁体部
25 第3固定スクロール壁体部
26 孔部
27 軸
28 吐出孔
30 可動スクロール
31 可動スクロール基板
32 可動スクロール壁体
33 第1可動スクロール壁体部
34 第2可動スクロール壁体部
35 第3可動スクロール壁体部
50 電磁クラッチ

請求の範囲

[請求項1]
 圧縮機本体側に固定された固定スクロールと、前記固定スクロールの軸を中心として旋回可能に配置された可動スクロールと、を具備し、
 前記固定スクロールは、固定スクロール基板と、前記固定スクロール基板から渦巻状に前記可動スクロール側に向かって立設された固定スクロール壁体と、を有し、
 前記可動スクロールは、可動スクロール基板と、前記可動スクロール基板から渦巻状に前記固定スクロール側に向かって立設された可動スクロール壁体と、を有し、
 前記固定スクロール壁体は、半径方向中心側から、第1固定スクロール壁体部と、前記第1固定スクロール壁体部よりも立設高さが長い第2固定スクロール壁体部と、を有し、
 前記可動スクロール壁体は、半径方向中心側から、第1可動スクロール壁体部と、前記第1可動スクロール壁体部よりも立設高さが長い第2可動スクロール壁体部と、を有し、
 前記第1可動スクロール壁体部の角度範囲は、前記第1固定スクロール壁体部の角度範囲よりも、広いことを特徴とするスクロール圧縮機。
[請求項2]
 前記固定スクロール壁体は、前記固定スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状であり、
 前記可動スクロール壁体は、前記可動スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状であることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
[請求項3]
 前記固定スクロール壁体は、前記第1固定スクロール壁体部および前記第2固定スクロール壁体部よりも半径方向外側に、前記第2固定スクロール壁体部よりも立設高さが長い第3固定スクロール壁体部を更に有し、
 前記可動スクロール壁体は、前記第1可動スクロール壁体部および前記第2可動スクロール壁体部よりも半径方向外側に、前記第2可動スクロール壁体部よりも立設高さが長い第3可動スクロール壁体部を更に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクロール圧縮機。
[請求項4]
 前記可動スクロール壁体の前記第2可動スクロール壁体部の終点角度は、前記固定スクロール壁体の前記第2固定スクロール壁体部の終点角度よりも、大きいことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のスクロール圧縮機。
[請求項5]
 スクロール基板と、前記スクロール基板から渦巻状に立設されたスクロール壁体と、を有するスクロール基材を、金型を用いて成形する成形工程と、
 前記スクロール基材の表面を研削加工する研削工程と、を具備し、
 前記成形工程では、前記スクロール壁体を、前記スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状に成形し、
 前記研削工程では、前記スクロール壁体の側面を前記テーパ形状が維持されるように研削し、前記スクロール壁体の端面を、半径方向中心部における前記スクロール壁体の立設高さが、半径方向外側における前記スクロール壁体の立設高さよりも短くなるように、研削することを特徴とするスクロール圧縮機の製造方法。

補正された請求の範囲(条約第19条)
[ 2017年7月4日 ( 04.07.2017 )  国際事務局受理 ]

[1]
[補正後] 圧縮機本体側に固定された固定スクロールと、前記固定スクロールと同種の材料から成り前記固定スクロールの軸を中心として旋回可能に配置された可動スクロールと、を具備し、前記固定スクロールは、固定スクロール基板と、前記固定スクロール基板から渦巻状に前記可動スクロール側に向かって立設された固定スクロール壁体と、を有し、前記可動スクロールは、可動スクロール基板と、前記可動スクロール基板から渦巻状に前記固定スクロール側に向かって立設された可動スクロール壁体と、を有し、前記固定スクロール壁体は、半径方向中心側から、第1固定スクロール壁体部と、前記第1固定スクロール壁体部よりも立設高さが長い第2固定スクロール壁体部と、を有し、前記可動スクロール壁体は、半径方向中心側から、第1可動スクロール壁体部と、前記第1可動スクロール壁体部よりも立設高さが長い第2可動スクロール壁体部と、を有し、前記第1可動スクロール壁体部の角度範囲は、前記第1固定スクロール壁体部の角度範囲よりも、広いことを特徴とするスクロール圧縮機。
[2]
 前記固定スクロール壁体は、前記固定スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状であり、
 前記可動スクロール壁体は、前記可動スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状であることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
[3]
 前記固定スクロール壁体は、前記第1固定スクロール壁体部および前記第2固定スクロール壁体部よりも半径方向外側に、前記第2固定スクロール壁体部よりも立設高さが長い第3固定スクロール壁体部を更に有し、
 前記可動スクロール壁体は、前記第1可動スクロール壁体部および前記第2可動スクロール壁体部よりも半径方向外側に、前記第2可動スクロール壁体部よりも立設高さが長い第3可動スクロール壁体部を更に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクロール圧縮機。
[4]
 前記可動スクロール壁体の前記第2可動スクロール壁体部の終点角度は、前記固定スクロール壁体の前記第2固定スクロール壁体部の終点角度よりも、大きいことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のスクロール圧縮機。
[5]
 スクロール基板と、前記スクロール基板から渦巻状に立設されたスクロール壁体と、を有するスクロール基材を、金型を用いて成形する成形工程と、
 前記スクロール基材の表面を研削加工する研削工程と、を具備し、
 前記成形工程では、前記スクロール壁体を、前記スクロール基板から離間するに従い幅が狭くなるテーパ形状に成形し、
 前記研削工程では、前記スクロール壁体の側面を前記テーパ形状が維持されるように研削し、前記スクロール壁体の端面を、半径方向中心部における前記スクロール壁体の立設高さが、半径方向外側における前記スクロール壁体の立設高さよりも短くなるように、研削することを特徴とするスクロール圧縮機の製造方法。

条約第19条(1)に基づく説明書
<補正の説明>  
請求項1の「前記固定スクロールと同種の材料から成り前記固定スクロールの軸を中心として旋回可能に配置された可動スクロール」は、当初明細書の〔0034〕に記載された事項であります。よって、上記補正は当初明細書の範囲内で行うものであります。
<引用刊行物記載の発明との差異>  
見解書に於ける「文献及び説明」によりますと、「スクロールの熱膨張率に応じて段差の位置を形成するものが文献1に記載されており、具体的にどの位置に段差を形成するものとするかは設計事項に過ぎない。」との指摘であります。  
しかしながら、先ず、文献1に記載された引用発明と、補正後の請求項1に係る本願発明とを比較すると、発明の前提としている事項が大きく異なります。  
具体的には、引用発明では、固定スクロール2と旋回スクロール3の材料が異なることを発明の前提としております。文献1の段落〔0037〕には、固定スクロール2は鋳鉄から成り、旋回スクロール3はアルミから成ることが記載されております。引用発明では、固定スクロール2と旋回スクロール3とで材料が異なることで、熱膨張率が両者で異なり、これにより発生する内部漏れや摩擦損失を防止することを課題としております。  
一方、本願発明では、上記しましたように、固定スクロールと可動スクロールとは同種の材料から成り、例えば両者はアルミニウムから成ります。そして、スクロールコンプレッサが動作する際に、固定スクロールと可動スクロールとで放熱条件が異なることに着目し、「前記第1可動スクロール壁体部の角度範囲は、前記第1固定スクロール壁体部の角度範囲よりも、広い」という構成を採用することで、段落〔0014〕に記載された効果を奏しております。  
以上の理由から、本発明は進歩性を有すると考えます

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]