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1. (WO2018190243) 放射線撮像装置、画像処理装置および画像処理用プログラム
Document

明 細 書

発明の名称 放射線撮像装置、画像処理装置および画像処理用プログラム

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166  

符号の説明

0167  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 放射線撮像装置、画像処理装置および画像処理用プログラム

技術分野

[0001]
 本発明は、被写体を通過した放射線を検出したデータを処理する技術に関し、特に、放射線の散乱に起因する変動を補正する技術に関するものである。

背景技術

[0002]
 人体等の被写体に対してX線等の放射線を照射し、被写体を透過した放射線の強度分布を検出器で検出して透過画像を撮像する技術においては、被写体を直線的に透過した放射線(一次線)から得られる一次線像に、被写体の内部等で散乱した放射線(散乱線)から得られる散乱線像が加わるため、取得した透過画像のコントラストが低下したり鮮鋭度が低下したりするような画質変動が生じることが一般に知られている。
[0003]
 この画質変動を抑えるために、被写体と検出器の間に、グリッドと呼ばれる、放射線の吸収率が高い物質と吸収率が低い物質とを薄く交互に積層した板を設置し、検出器に入射する散乱線量を低く抑える撮像方法が一般に用いられている。しかし、グリッドを設置した場合、検出器に入射する一次線量もグリッドによって減衰するため、グリッドを用いないときよりも強い放射線を被写体に照射する必要があり、被写体の被曝量が増加する。
[0004]
 そこで、グリッドを用いないで取得した透過画像(グリッドレス画像)に信号処理を行うことにより、グリッドを用いて取得した透過画像(グリッド画像)と同等の画質を得る技術が、これまでに数多く提案されている。
[0005]
 例えば、特許文献1に記載の技術では、透過画像を解析することによって、被写体の体厚分布を推定して被写体の仮想モデルを取得し、この仮想モデルから推定した推定一次線像と推定散乱線像とを合成して推定透過画像を生成し、この推定透過画像と実際に取得した透過画像の違いが小さくなるように仮想モデルの体厚分布を修正する。これにより、散乱線による画質変動を抑えた透過画像を得ている。このとき、修正後の体厚分布を用いても推定透過画像と実際に取得した透過画像の違いが残る場合には、この違いがさらに小さくなるように仮想モデルの体厚分布を繰り返し修正する反復処理を行う。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2015-43959号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 特許文献1記載の技術では、前述したように、推定透過画像と実際に取得した透過画像の違いが小さくなるように、反復処理を用いて、仮想モデルの体厚分布を修正する。
[0008]
 しかしながら、特許文献1のような反復処理を行うと、最終的な画像が得られるまでに相当の処理時間が必要となり、結果的に、単位時間あたりに得られる画像枚数が減ってしまう。このため、X線撮像装置の透視撮像のように、透過画像を動画像として表示したい場合、特許文献1の技術では、被写体の動きがギクシャクした不自然な動画になる可能性がある。また、高速な処理を実行できる特別な計算リソースを用いて、単位時間当たりに得られる画像枚数を増加させることも可能であるが、その場合には装置が高額になる。
[0009]
 本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、反復処理を行わないか、あるいは処理の反復回数を大きく削減しながら、散乱線による画質変動を抑えた画像を短時間で得ることにある。

課題を解決するための手段

[0010]
 本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。すなわち、代表的な放射線撮像装置は、被写体に放射線を照射する放射線源と、被写体を通過した放射線の強度分布を検出する放射線検出器と、放射線の強度分布について、空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出する抽出部と、抽出部が抽出した高周波成分に基づいて被写体の厚さの分布を求める厚さ分布算出部とを有する。
[0011]
 本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本発明の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。

発明の効果

[0012]
 本発明によれば、散乱線による画質変動を抑えた放射線画像を短時間で得ることが可能になる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明の実施形態の放射線撮像装置の構成を示すブロック図である。
[図2] 具体的な実施の形態1における放射線撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。
[図3] (a)および(b)は、被写体を透過する放射線の一次線と散乱線を説明する説明図である。
[図4] 図2の放射線撮像装置の画像処理部の構成の一例を示すブロック図である。
[図5] (a)~(d)はそれぞれ、図4の画像処理部の高周波成分抽出部の構成の一例を示すブロック図である。
[図6] 図4の画像処理部の体厚分布算出部の構成の一例を示すブロック図である。
[図7] (a)~(c)はそれぞれ、図4の画像処理部の散乱線像推定部の構成の一例を示すブロック図である。
[図8] (a)および(b)は、図4の画像処理部の散乱線像除去部の構成の一例を示すブロック図である。
[図9] 図2の画像処理部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
[図10] (a)および(b)はそれぞれ、実施の形態2における放射線撮像装置が有する画像処理部の構成の一例を示すブロック図である。
[図11] 実施の形態3における放射線撮像装置が有する画像処理部の構成の一例を示すブロック図である。
[図12] 実施の形態4における放射線撮像装置の構成の一例を示すブロック図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 本発明は、散乱線による画質変動を抑えた放射線画像を短時間で得ることを実現する技術を提供するものである。
[0015]
 以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施形態を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
[0016]
 本実施形態では、当業者が本発明を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本発明の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
[0017]
 更に、本発明の実施形態は、すべての機能をハードウェアで実装してもよいし、機能の一部または全部を汎用コンピュータ上で稼動するソフトウェアで実装しても良い。
[0018]
 また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[0019]
 以下、本発明の実施の形態を説明する。
[0020]
 図1は、本発明の実施の形態の放射線撮像装置を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の放射線撮像装置は、被写体108に放射線を照射する放射線源102と、被写体108を通過した放射線の強度分布を検出する放射線検出器111と、放射線検出器111が検出した放射線の強度分布について、空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出する抽出部301と、抽出部301が抽出した高周波成分に基づいて被写体108の厚さの分布を求める厚さ分布算出部302とを有する。以下、被写体108として、一例として人体である場合を考え、厚さの分布を体厚分布と呼び、厚さ分布算出部302を体厚分布算出部302と呼ぶが、本実施形態の放射線撮像装置は、人体を撮像対象とするものに限定されるものではない。
[0021]
 放射線検出器111は、1次元または2次元に配列された複数の検出素子を含み、複数の検出素子の配列方向についての放射線の空間的な強度分布、すなわち、放射線像を検出する。また、放射線検出器111が検出した放射線の強度分布の高周波成分とは、放射線の強度分布(放射線像)についての空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を言う。高周波成分は、放射線の強度分布を構成する周波数成分の帯域のうち、被写体108の内部で散乱された放射線(散乱線)を構成する周波数成分の強度が相対的に減衰している帯域の周波数成分であればよい。
[0022]
 放射線検出器111が検出する放射線の強度分布は、被写体108を直線的に透過した一次線の強度分布と、被写体108の内部で散乱された放射線(散乱線)の強度分布の和で表される。一次線の強度分布は、被写体の厚さの分布に対応する。このとき、放射線源102から被写体108に照射された放射線に含まれる時間的および空間的な高周波成分は、一部が直線的に被写体108を透過し、他は被写体108の内部で散乱される。散乱された高周波成分は、被写体108内で大きく減衰するため、放射線検出器111で検出された放射線の強度分布に含まれる高周波成分は、直線的に被写体108を透過した一次線の高周波成分にほぼ起因している。よって、抽出部301が、放射線検出器111が検出した放射線の強度分布に含まれる空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出することにより、一次線の強度分布(高周波成分の強度分布)を求めることができる。体厚分布算出部302は、抽出された高周波成分の強度分布から、被写体108の体厚分布を算出することができる。
[0023]
 このように、本実施形態の放射線撮像装置は、高周波成分の強度分布から被写体108の体厚分布を算出することができるため、被写体108の体厚分布に基づいて散乱線の強度分布を求め、放射線検出器が検出した放射線強度分布から散乱線の影響を除去することができる。よって、反復処理を行うことなく、散乱線による画質変動を抑えた画像を短時間で得ることが可能になる。
[0024]
 なお、体厚分布算出部302は、例えば、予め求めておいた体厚と高周波成分の強度との関係から、高周波成分の強度に対応する被写体108の厚さを求める構成とすることができる。
[0025]
 また、図1のように放射線撮像装置は、体厚分布算出部302が求めた被写体108の体厚分布から、被写体108を放射線が通過することによって生じる散乱線の分布を求める散乱線分布推定部303を備えてもよい。また、放射線撮像装置101は、散乱線分布推定部303が求めた散乱線分布を放射線検出器111が検出した放射線の強度分布から除去する散乱線分布除去部304をさらに備えてもよい。
[0026]
 なお、散乱線分布除去部304は、被写体108と放射線検出器111との間にグリッドを配置した場合に生じる散乱線分布と同等な散乱線分布を、被写体の体厚分布に基づいて生成し、散乱線分布推定部303が求めた散乱線分布を除去した放射線分布に対して加算してもよい。これにより、グリッドを配置して撮像した場合と同等の放射線分布をユーザ(医師や放射線技師、等)に対して表示することができる。
[0027]
 以下、本発明のさらに具体的な実施の形態について説明する。なお、以下の説明においては、放射線としてX線を用い、放射線検出器111は、2次元にX線検出素子が配列されたものを用いる。これにより、放射線検出器111は、X線の2次元分布を検出して被写体のX線画像を得る。ただし、本実施形態の放射線撮像装置は、2次元のX線画像を取得するX線撮像装置に限定されるものではなく、少なくとも1次元にX線検出素子が配列されたX線検出器を用いるX線CT装置にも本実施形態を適用することが可能である。また、以下の説明において、散乱線分布推定部303は、散乱線分布として被写体の散乱線像を求める。
[0028]
 (実施の形態1)
 本発明の実施の形態1の放射線撮像装置について説明する。
[0029]
 <放射線撮像装置の構成例>
 図2は、本発明の実施の形態1による放射線撮像装置における構成の一例を示すブロック図である。
[0030]
 図2に示すように、放射線撮像装置(101)は、X線を発生して被写体に向けて照射するX線管(放射線源)(102)と、X線管(102)と電気的に接続される高電圧発生部(103)と、高電圧発生部(103)と電気的に接続されるX線制御部(104)とを備えている。X線管(102)のX線照射方向には、絞り(105)、X線補償フィルタ(106)およびテーブル(109)が順に配置されている。テーブル(109)には、機構制御部(110)が接続されている。絞り(105)およびX線補償フィルタ(106)には、絞り・フィルタ制御部(107)が接続されている。X線管(102)には、絞り(105)、X線補償フィルタ(106)およびテーブル(109)を挟んで対向する位置に、X線検出器(111) が配置されている。X線検出器(111)には、検出器制御部(112)が接続され、検出器制御部(112)には、画像処理部(115)が接続されている。X線制御部(104)、絞り・フィルタ制御部(107)、機構制御部(110)および検出器制御部(112)には、中央処理部(114)が接続され、中央処理部(114)には、記憶部(113)、入力部(116)および表示部(117)が接続されている。
[0031]
 高電圧発生部(103)は、X線管(102)に与える高電圧を発生する。X線管(102)は、テーブル(109)の上に配置された被写体(108)に向けて、X線を照射する。X線制御部(104)は、高電圧発生部(103)を制御し、X線管(102)から照射されるX線の線量や線質を制御する。絞り(105)は、X線管(102)で発生したX線が照射される領域を、X線吸収率の高い金属の開閉によって制御する。X線補償フィルタ(106)は、X線吸収率の高い物質で構成され、被写体(108)のX線吸収率の低い部位に到達するX線を減衰させることで、ハレーションを軽減する。テーブル(109)は、被写体(108)を乗せる寝台である。機構制御部(110)は、テーブル(109)を移動して、被写体(108)を撮影に適した位置へ移動するように制御する。このとき、X線制御部(111)についても、テーブル(109)と一体的に移動する構造としてもよい。
[0032]
 X線検出部(111)は、X線検出素子を2次元に配列した構成であり、画像生成部として機能する。すなわち、X線検出部(111)は、X線管(102)から照射され被写体(108)を透過したX線をX線検出素子でそれぞれ検出することにより、X線の強度分布に応じた画像(放射線像、以下、透過画像と呼ぶ)のデータを出力する。ここでいう被写体(108)を透過したX線には、被写体(108)を直線的に透過してX線検出部(11)に到達したX線と、被写体(108)内で散乱されてX線検出部(111)に到達したX線とを含む。よって、透過画像は、被写体(108)を直線的に透過した一次線の像と、被写体(108)内部で散乱された散乱線の像の和である。検出器制御部(112)は、X線検出部(111)を制御して透過画像のデータを取得し、画像処理部(115)に入力する。検出器制御部(112)がX線検出器(111)を制御することにより、X線検出器(111)は、透過画像を静止画として生成することも可能である。また、時間的に異なるタイミングで撮影した複数の透過画像を生成し、動画像として生成することも可能である。このとき、一般には毎秒30フレームや毎秒15フレームなどの一定の時間間隔で撮影されることが多いが、この時間間隔に限定されるものではない。画像処理部(115)は、検出器制御部(112)を介して、X線検出器(111)の出力する透過画像(入力画像)を受け取って、高周波成分を抽出する等の画像処理を行う。表示部(117)は、画像処理部(115)の処理後の画像(出力画像)を表示する。記憶部(113)は、半導体メモリや磁気ディスク等の記録媒体を備え、画像、画像取得条件、後述する各種特性やパラメータ等をデータとして記憶したり、後述するソフトウェアプログラムを記憶したりすることができる。なお、記録媒体の種類は、これに限定されるものではない。入力部(116)は、使用者が画像取得条件等を設定するためのユーザインターフェースである。この入力部(116)として、キーボード、マウス、制御用ボタン等を備えてもよいし、音声入力やジェスチャー入力などを行うためのセンサー等を備えてもよい。中央処理部(114)は、電気的に接続されている各部を制御する。
[0033]
 なお、パーソナルコンピュータ(PC)を代表とする一般的なコンピュータ構成は、通常、CPUと呼ばれる中央処理部(114)に加え、記憶部(113)、入力部(116)、表示部(117)を備えるとともに、X線制御部(104)、絞り・フィルタ制御部(107)、機構制御部(110)、検出器制御部(112)、画像処理部(115)をソフトウェアプログラムによって実現することができる。よって、中央処理部(114)、記憶部(113)、入力部(116)、表示部(117)、X線制御部(104)、絞り・フィルタ制御部(107)、機構制御部(110)、検出器制御部(112)および画像処理部(115)をコンピュータによって構成してもよい。また、画像処理部(115)の機能は、専用ハードウェアや画像処理プロセッサ等を用いて実現してもよい。なお,画像処理部(115)の詳細については、後ほど詳しく述べる。
[0034]
 <放射線撮像装置の一次線と散乱線>
 図3は、被写体を透過する放射線の一次線と散乱線を説明する説明図である。なお、図3は、放射線撮像装置における一次線と散乱線を説明するためだけに用いる図であり、通常の使用状態における動作を説明する図ではない。
[0035]
 ここでまず、被写体を透過したX線を検出することにより得られる透過画像の画素ごとの強度(強度分布)Im(x,y)、一次線像の強度分布Ip(x,y)および散乱線像の強度分布Is(x,y)について、一般に知られている特性を説明する。なお、以下の式中の(x,y)は画素の位置を示す。
[0036]
 式(1)は、透過画像Im(x,y)が一次線像Ip (x,y)と散乱線像Is(x,y)の和で表されることを示す。式(2)は、一次線像Ip (x,y)の強度が被写体の厚みT(x,y)に応じて指数的に減衰することを示す。ここで、Io (x,y)は位置(x,y)における入射線量を示し、μは単位厚みあたりのX線減衰率(線減弱係数)を示す。式(3)は、散乱線像Is(x,y)の強度が一次線像Ip(x,y)の強度と点拡散関数Sσ(T(x,y))の畳み込み演算(*)で表されることを示しており、この点拡散関数Sσ(T(x,y))は被写体の厚みT(x,y)に応じて変化することを示す。なお、これらの式(1)(2)(3)は、前述した特許文献1に記載された内容に基づく数式である。
[0037]
[数1]


[数2]


[数3]


[0038]
 図3(a)において、X線管(102)から照射されたX線の照射領域を絞り(201(a))によって制御し、テーブル(109)に乗せた被写体(202)に照射する実験を行ったときの様子を示している。このとき、絞り(201(a))は、図2に示した絞り(105)と同じものでもよいが、動作原理説明のため、図2に示した絞り(105)とは別のものとし、X線吸収率の高い金属であるとする。また、被写体(202)は、動作原理説明のため、例えばアクリル板のように、厚みT(x,y)が位置(x,y)によらず一定値(T)の物体とする。
[0039]
 この被写体(202)とテーブル(109)を透過したX線の強度分布をX線検出器(111(a))で検出すると、図3(a1)に示すように、中央部が盛り上がった形状の強度分布Im(x,y)が得られる。これは、X線検出器(111(a))の中央部と比べて端部(左端と右端)のほうが、被写体(202)をX線が通過するときの経路が若干長くなることも原因のひとつであるが、それ以上に、散乱線の強度分布Is(x,y)が、X線照射領域の中央部と端部で異なることによる影響が大きい。すなわち、X線照射領域の中央部では、その両側(左側と右側)の散乱線がX線検出器(111(a))に入射するのに対し、端部(左端と右端)では片側(左端ではその右側、右端ではその左側)の散乱線だけがX線検出器(111(a))に入射することになるため、中央部のほうが端部よりも入射するX線の強度が強くなることに起因する。
[0040]
 この現象は、図3(b)に示すように、絞り(201(b))の位置を絞り(201(a))と異なる位置に動かすことによって、実験的に確認することができる。図3(b)に示す例では、絞り(201(b))の片側(向かって左側)の金属板を動かし、X線管(102)の左側に照射されるX線を遮蔽した様子を示している。すると、X線管(102)、被写体(202)、およびX線検出器(111(b))の位置関係や被写体(202)の厚みを図3(a)と変えていないにも関わらず、図3(b1)に示すように透過画像の強度分布Im(x,y)が変化し、図3(a1)に示した強度分布Im(x,y)よりも、全体に値が小さくなる。この現象は、被写体(202)の左側に照射されるX線を遮蔽されたため、被写体(202)の左側から右側に向けて散乱するX線が無くなったことに起因する。
[0041]
 このように、被写体(202)の厚みが一定値であったとしても、X線が照射される領域の位置や面積が変化すると、透過画像の強度分布Im(x,y)が変化する。人体のように、局所的に厚みが異なる被写体の場合には、より複雑に透過画像の強度分布Im(x,y)が変化する。このため、従来の技術では、ある位置(x,y)の透過画像の強度分布Im(x,y)だけから、その位置の厚みT(x,y)を算出することが困難であり、式(2)に示したIp(x,y)と、式(3)に示したIs(x,y)を簡単に算出することができない。従って、これまでは特許文献1に記載されているような反復処理等を用いて、被写体(202)の厚みT(x,y)を算出せざるを得えなかった。
[0042]
 一方、本発明の実施の形態1による放射線撮像装置では、図3(a1)および図3(b1)に示すノイズに着目する。このノイズは透過画像に含まれ、X線管(102)の中において、図示しないターゲット金属(陽極)に真空中で電子ビームを衝突させてX線を発生させる際に、電子が衝突する位置や時間間隔が確率的に毎回変化することによって発生するものであり、このノイズを無くすことは本質的に困難である。すなわち、このようなノイズは、通常的に発生している。また、このノイズは、インパルス状の波形になることが多く、空間的および時間的に高周波成分を多く含む。
[0043]
 このようなノイズを含むX線が、X線管(102)から被写体(202)に対して照射されると、被写体(202)を透過している間に、そのノイズの一部が散乱する。式(3)によると、散乱線像の強度は、一次線像Ip(x,y)の強度と点拡散関数Sσ(T(x,y))の畳み込み演算、すなわちローパスフィルタ演算として表されるため、ノイズに含まれる高周波成分は大きく減衰する。逆に言えば、図3(a1)および図3(b1)に示す透過画像に残留するノイズ(高周波成分)は、散乱線に起因するのではなく、そのほとんどが一次線に起因するものであると言える。
[0044]
 ここで、図3(a1)に示す透過画像を空間的な高周波成分と低周波成分に分離すると、高周波成分は図3(a2)のようになり、低周波成分は図3(a3)のようになる。同様に、図3(b1)に示す透過画像を高周波成分と低周波成分に分離すると、高周波成分は図3(b2)のようになり、低周波成分は図3(b3)のようになる。このとき、前述したように、高周波成分はそのほとんどが一次線に起因するものであるから、前述した式(2)から、図3(a2)と図3(b2)に示された高周波成分は、被写体の厚みに応じたほぼ同じ強度分布を示す。図3(a2)と図3(b2)の各強度分布をIp(x,y)とおけば、式(2)から式(4)を導出でき、入射線量Io(x,y)を事前に測定しておけば、反復処理を用いることなく被写体の厚みT(x,y)を短時間で算出することができる。なお、図3(a2)、(b2)では、空間的な高周波成分を示したが、時間軸方向の高周波成分についても同様である。
[数4]


[0045]
 以上説明した動作原理を換言すると、ある位置(x,y)の透過画像の強度Im(x,y)に着目すると、一次線の強度Ip(x,y)は、その近傍の位置(x+dx,y+dy)の一次線の強度Ip(x+dx,y+dy)と大きく異なる可能性があるが、散乱線の強度Is(x,y)はその近傍の散乱線の強度Is(x+dx,y+dy)とほぼ等しくなる、という性質を利用している。すなわち、式(5)に示すように、透過画像Imにおける近傍画素との強度の差(Im(x+dx,y+dy)-Im(x,y)、すなわち高周波成分)を求めることによって、散乱線の強度Isをキャンセルでき(Is(x+dx,y+dy)-Is(x,y)≒0)、一次線像Ipにおける近傍画素との強度の差(Ip(x+dx,y+dy)-Ip(x,y))が得られる。これを利用して、式(1)および式(3)における散乱線Is(x,y)の影響を受けることなく、式(2)あるいは式(4)から被写体の厚みT(x,y)を短時間で算出することができる。
[数5]


[0046]
 <画像処理部の構成例>
 図4は、図2の放射線撮像装置が有する画像処理部(115)における構成の一例を示すブロック図である。
[0047]
 図4に示すように、画像処理部(115)は、高周波成分抽出部(301)と、体厚分布算出部(302)と、散乱線像推定部(303)と、散乱線像除去部(304)で構成される。
[0048]
 高周波成分抽出部(301)は、X線検出器(111)の出力する透過画像(入力画像)について、空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出し、この抽出結果を高周波成分情報として体厚分布算出部(302)に入力する。この詳細については、図5を用いて後ほど詳しく述べる。
[0049]
 体厚分布算出部(302)は、高周波成分抽出部(301)で抽出した高周波成分情報をもとに、体厚情報を算出して、散乱線像推定部(散乱線分布推定部)(303)に入力する。この詳細については、図6を用いて後ほど詳しく述べる。
[0050]
 散乱線像推定部(303)は、入力画像と体厚分布算出部(302)からの体厚情報をもとに、入力画像に含まれると推定される散乱線像(推定散乱線像)を算出し、散乱線像除去部(304)に入力する。この詳細については、図7を用いて後ほど詳しく述べる。
[0051]
 散乱線像除去部(304)は、散乱線像推定部(303)が求めた推定散乱線像を入力画像から除去し、出力画像を算出する。この詳細については、図8を用いて後ほど詳しく述べる。
なお、画像処理部(115)に設定される画像取得条件については、後ほど詳しく述べる。
[0052]
 <高周波成分抽出部の構成例>
 図5は、図4の画像処理部(115)が有する高周波成分抽出部(301)の構成の一例を示すブロック図である。高周波成分抽出部(301)は、X線検出器(111)の出力する透過画像(入力画像)について、空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出し、この抽出結果を高周波成分情報として体厚分布算出部(302)に入力する。
[0053]
 図5(a)~(d)に示すように、高周波成分抽出部(301)には、いろいろな変形例が考えられる。以下、これらの構成と動作について、ひとつずつ説明する。
[0054]
 図5(a)は、高周波成分抽出部(301)をフレーム内ハイパスフィルタ(401)で構成した例(301(a))を示す。ここで、フレーム内ハイパスフィルタ(401)は、1枚(1フレーム)の入力画像だけを用いて、入力画像を構成する各画素値の空間軸方向の強度分布の高周波成分を抽出するフィルタであり、一般的な1次元あるいは2次元のハイパスフィルタをそのまま用いることができる。ハイパスフィルタとは、高周波成分の減衰量よりも直流を含む低周波成分の減衰量が多い周波数特性を持つフィルタのことである。例えば、一般的な水平ハイパスフィルタあるいは垂直ハイパスフィルタ(いずれも1次元ハイパスフィルタ)を、フレーム内ハイパスフィルタ(401)としてそのまま用いることができる。また、一般的な水平ハイパスフィルタと垂直ハイパスフィルタを、直列あるいは並列に接続して2次元ハイパスフィルタを構成し、フレーム内ハイパスフィルタ(401)としてもよい。なお、フレーム内ハイパスフィルタ(401)は、ここで述べた構成に限定されるわけではなく、先ほど図3を用いて動作原理説明したように、散乱線像(直流を含む低周波成分)を大きく減衰するような周波数特性を持っていればよい。
[0055]
 図5(b)は、高周波成分抽出部(301)の別の構成例(301(b))を示す。この高周波成分抽出部(301(b))は、膨張処理部(402)と、収縮処理部(403)と、減算器(404)で構成される。ここで、膨張処理部(402)における膨張処理は、一般にディレート(dilate)処理として知られており、注目位置(画素)(x,y)の近傍(例えば注目位置の画素を中心とする9画素)の入力信号(画像値)の最大値を注目位置の出力信号(画素値)とする処理である。また、収縮処理部(403)における収縮処理は、一般にエロード(erode)処理として知られており、注目位置(x,y)の近傍の入力信号(画素値)の最小値を注目位置の出力信号(画素値)とする処理である。
[0056]
 したがって、減算器(404)によって膨張処理部(402)と収縮処理部(403)からの各出力信号の差を取ると、注目位置(x,y)の近傍の入力信号の最大値と最小値の差分が得られるため、式(5)に示したように、一次線像Ipにおける近傍画素との強度の差(Ip(x+dx,y+dy)-Ip(x,y))を抽出したことになり、近傍画素との強度の差が小さい散乱線像を減衰させることができる。
[0057]
 なお、上記「近傍」を何画素分に設定するかは任意であり、X線に含まれるノイズの半値幅が小さいX線管(102)を用いる場合には「近傍」を少ない画素数(例えば水平3画素×垂直3画素)とし、ノイズの半値幅が大きいX線管(102)を用いる場合には「近傍」を多くの画素数(例えば水平7画素×垂直7画素)とすればよい。
[0058]
 図5(c)は、高周波成分抽出部(301)のさらに別の構成例(301(c))を示す。この高周波成分抽出部(301(c))は、フレームメモリ(405)と、減算器(406)で構成され、現在の入力画像と、1フレーム前の入力画像との差分(すなわち、時間方向の高周波成分)を出力する構成になっている。この構成により、被写体が静止している場合には、ノイズ成分を抽出することができる。なお、時間方向の高周波成分を抽出する構成は、ここで述べた構成に限定されるわけではなく、フレームメモリ(405)の数を増やして複数フレーム間の差分をとってもよい。被写体が静止している場合には、一次線の強度がノイズによってフレーム間で大きく変化する可能性があるのに対し、散乱線の強度は1フレーム内の近傍間で平均化されるためエルゴード性によってフレーム間であまり変化しない性質を利用し、高周波成分抽出部(301(c))は、時間周波数における直流を含む低周波成分を大きく減衰するような周波数特性を持っていればよい。なお、エルゴード性とは、時間平均と集合平均が統計的に一致する性質のことであり、ここでは、散乱線のフレーム間の平均値(時間平均)と1フレーム内の平均値(集合平均)が統計的に一致する性質のことを表している。
[0059]
 図5(d)は、高周波成分抽出部(301)のさらに別の構成例(301(d))を示す。この高周波成分抽出部(301(d))は、図5(a)に示した空間軸方向の高周波成分を抽出する高周波成分抽出部(301(a))と、図5(c)に示した時間軸方向の高周波成分を抽出する高周波成分抽出部(301(c))と、動き検出器(407)と、混合器(408)で構成される。
[0060]
 高周波成分抽出部(301(a))の構成および動作は前述したとおりであり、入力画像からフレーム内の空間軸方向の高周波成分を抽出して出力する。高周波成分抽出部(301(c))の構成および動作は前述したとおりであり、入力画像からフレーム間(時間軸方向)の高周波成分を抽出して出力する。ここで、空間軸方向の高周波成分を抽出する高周波成分抽出部(301(a))では、ノイズ成分(高周波成分)だけでなく、入力画像に含まれる被写体の輪郭成分も抽出してしまうため、輪郭部分では式(2)あるいは式(4)を用いて算出した被写体の厚みT(x,y)に誤差が含まれることになる。一方、時間軸方向の高周波成分を抽出する高周波成分抽出部(301(c))では、被写体が静止している領域では、被写体の輪郭の有無によらずにノイズ成分(高周波成分)だけを抽出することができるのに対し、被写体が動いている領域では、ノイズ成分だけでなく、位置(x,y)ごとの被写体の厚みT(x,y)の差に応じて変化する成分も抽出してしまう。したがって、被写体が動く領域では、式(2)あるいは式(4)を用いて算出した被写体の厚みT(x,y)に誤差が含まれることになる。
[0061]
 そこで、動き検出器(407)を用いて被写体の動き情報k(x,y)を検出し、式(6)に示すように、被写体の動きが大きい領域では高周波成分抽出部(301(a))の結果(A(x,y))を高周波成分情報Y(x,y)とし、被写体の動きが小さい領域では高周波成分抽出部(301(c))の結果(B(x,y))を高周波成分情報Y(x,y)とするように混合器(408)を制御する。これにより、厚みT(x,y)の誤差が少なくなるような高周波成分を抽出することができる。
[数6]


 ここで、動き情報k(x,y)は、位置(x,y)ごとのフレーム差の大小を表す情報であり、0(静止)<=k(x,y)<=1(動き)となるように正規化しておく。
[0062]
 なお、動き検出器(407)は、たとえば、位置(x,y)ごとにフレーム差分の絶対値をとる演算と、正規化のための除算器(定数での除算)など用いて、公知の技術で実現することができるため、図示を省略する。
[0063]
 <体厚分布算出部の構成例>
 図6は、図4の画像処理部(115)が有する体厚分布算出部(302)における構成の一例を示すブロック図である。体厚分布算出部(302)は、高周波成分抽出部(301)で抽出した高周波成分情報をもとに、体厚情報を算出して、散乱線像推定部 (303)に入力する。
[0064]
 図6に示すように、体厚分布算出部(302)は、絶対値演算部(501)と、平滑化処理部(502)と、ルックアップテーブル(503)とを備えて構成される。ルックアップテーブル(503)には、予め求めておいた、ノイズ成分(高周波成分)強度の平均値と体厚との関係(変換特性(504))が、画像取得条件(管電圧値、管電流および絞り値等の組み合わせ)ごとに格納されている。
[0065]
 高周波成分抽出部(301)から体厚分布算出部(302)に入力される高周波成分情報は、正負両方の極性を持つとともに、図3に示したようにインパルス性の波形となっていることが多い。そこで、絶対値演算部(501)は、高周波成分抽出部(301)から受け取った高周波成分情報の絶対値をとり、平滑化処理部(502)は、ローパスフィルタ処理を行うことにより、注目位置(画素)(x,y)の近傍のノイズ成分強度の平均値を算出する。その後、体厚分布算出部(302)は、図2に示したX線制御部(104)および絞り・フィルタ制御部(107)に設定されている画像取得条件(管電圧値、管電流値、絞り値など)を読み込み、ルックアップテーブル(503)に格納されているその画像取得条件におけるノイズ成分強度の平均値と体厚との関係を参照することにより、平滑化処理部(502)が算出した注目位置(x,y)の近傍のノイズ成分強度の平均値を、その位置(x,y)の体厚情報に変換して出力する。
[0066]
 このルックアップテーブル(503)に格納されているノイズ成分強度の平均値と体厚との関係(変換特性(504))の求め方について説明する。例えば、図3(a)に示した構成を用いて、画像取得条件と厚み一定の被写体(202)の厚みを様々に変更しながら、図3(a1)に示す透過画像を取得する。その後、図4に示した高周波成分抽出部(301)の機能により高周波成分情報を抽出し、図6に示す絶対値演算部(501)と平滑化処理部(502)の機能により、注目位置(x,y)の近傍のノイズ成分強度の平均値を算出する。具体的には、被写体(202)の厚みをT=0cm、5cm、10cm、15cm、20cm、25cm、30cmなどと変更しながら、各厚みにおいて管電圧値を60kV、70KV、80KV、90KV、100KVなどと変更し、さらに各管電圧値において管電流値を1mA、2mA、4mA、8mAなどと変更することにより、合計140種類(=7×5×4)の条件で、X線検出器(111(a))の中央部に対応する位置のノイズ成分強度の平均値を求めることによって、ノイズ成分強度の平均値から厚みへの変換特性(504)を求めることができる。この変換特性(504)を格納したルックアップテーブル(503)を作成する。
[0067]
 このとき、被写体(202)として、線減弱係数や散乱特性が人体と類似した特性を持つアクリル板などを用いれば、前述した厚みを、そのまま体厚と読み替えることができる。なお、ここで示した各値は、説明のための一例であり、これに限定されるものではない。また、事前に設定しなかった値(例えば、管電圧値=63KV)は、その近傍の値におけるノイズ成分強度の平均値を用いて補間すればよい。例えば、管電圧値=63KVにおけるノイズ成分強度の平均値は、管電圧値=60KVにおけるノイズ成分強度の平均値と管電圧値=70KVにおけるノイズ成分強度の平均値を7:3に内分して求めればよい。また、一般に知られている曲線フィッティング等の技術を用いて、変換特性(504)を近似的に表す変換関数を求めておき、その変換関数のパラメータ(係数等)をルックアップテーブル(503)に格納してもよい。
[0068]
 <散乱線像推定部の構成例>
 図7は、図4の画像処理部(115)が有する散乱線像推定部(303)における構成の一例を示すブロック図である。散乱線像推定部(303)は、入力画像と体厚分布算出部(302)からの体厚情報をもとに、入力画像に含まれると推定される散乱線像(推定散乱線像)を算出する。
[0069]
 ここでまず、図4の画像処理部(115)が有する散乱線像推定部(303)において、体厚から推定散乱線像の算出する原理について以下説明する。
[0070]
 前述した式(1)の両辺に、点拡散関数Sσ(T(x,y))を畳み込むと式(7)が得られる。
[数7]


[0071]
 式(3)を用いて式(7)の右辺第1項をIs(x,y)に置換し、整理すると、式(7)は式(8)のように変換できる。
[数8]


[0072]
 ここで、式(8)の第2項に着目すると、散乱線像(Is(x,y))に対してさらに点拡散関数Sσ(T(x,y))を畳み込んだ形になっており、一次線像Ip(x,y)と比較すると、高周波成分が著しく減衰していると考えることができ、式(8)の第2項を位置(x,y)によらない一定値(直流画像)で近似してもよい。さらに、この一定値(直流画像)の強度は極めて小さいものとみなし、より簡単化して式(8)の第2項を0としてもよい。この簡単化により、式(8)から式(9)の近似式が得られる。
[数9]


[0073]
 よって、散乱線像推定部(303)は、式(9)の右辺を算出し、推定散乱線像として出力するように構成される。
[0074]
 図7(a)~(c)に示すように、散乱線像推定部(303)には、いろいろな変形例が考えられる。以下、これらの構成と動作について、ひとつずつ説明する。
[0075]
 図7(a)は、散乱線像推定部(303)を2次元ローパスフィルタ(601)構成した例(303(a))を示す。ここで、2次元ローパスフィルタ(601)は、式(3)に示した散乱線の点拡散関数Sσ(T(x,y))(602)を入力画像に畳み込んで、推定散乱線像を得るものである。
[0076]
 この2次元ローパスフィルタ(601)の特性は、前述したルックアップテーブル(503)の特性を求めたときと同様に、図3(a)に示した構成を用いて、被写体(202)の厚みと画像取得条件を様々に変更しながら、図3(a1)に示す透過画像を取得して求めておいたものである。このとき、X線検出器(111(a))の端部(左端あるいは右端)の外側(X線が絞り(201(a))によって遮蔽されている部分)では、一次線を含まない散乱線だけの像が得られるため、この強度分布を用いて散乱線の点拡散関数Sσ(T(x,y))(602)を求めることができる。具体的には、被写体(202)に照射されるX線が、端部の外側の線量が0、端部の内側の線量を1としたステップ入力である場合、被写体内での散乱による応答(ステップ応答)が透過画像の強度分布として得られるため、このステップ応答を微分することより、インパルス応答(すなわち、点拡散関数Sσ(T(x,y))(602)を得ることができる。
[0077]
 この図7(a)に示した構成では、体厚が位置(x,y)に応じて変化する被写体の場合に、点拡散関数Sσ(T(x,y))(602)も位置(x,y)に応じて変更する必要があり、処理が煩雑になる。そこで、次に述べる図7(b)に示す構成によって、近似的に代替する。
[0078]
 図7(b)は、散乱線像推定部(303)を、乗算器(603)と、ルックアップテーブル(604)と、2次元ローパスフィルタ(605)で構成した例(303(b))を示している。ここで、2次元ローパスフィルタ(605)の点拡散関数Sσ(606)を、厚みT(x,y)に対して不変の特性とするところが、図7(a)に示した2次元ローパスフィルタ(601)と異なる。
[0079]
 散乱線の一般的な特徴として、体厚が薄いところでは散乱線の強度が弱く、体厚が厚くなるにしたがって散乱線の強度が強くなる。一方、体厚がある程度以上に厚くなると、被写体を透過してくる一次線が弱くなるため、その一次線から生じる散乱線も弱くなる。この特性を、前述した2次元ローパスフィルタ(601)の特性を求めたときと同様に予め求めておく。
[0080]
 すなわち、図3(a)に示した構成を用いて、被写体(202)の厚みと画像取得条件を様々に変更しながら、図3(a1)に示す透過画像を取得して、図7(b)に示すルックアップテーブル(604)を求める。このとき、点拡散関数Sσ(T(x,y))(602)が最も広がったときの厚みを図7(a)の構成によって求めておき、このときの点拡散関数Sσ(T(x,y))(602)を2次元ローパスフィルタ(605)の点拡散関数Sσ(606)として固定する。続いて、図7(a)に示す2次元ローパスフィルタ(601)の出力と図7(b)に示す2次元ローパスフィルタ(605)の結果ができるだけ一致するように、乗算器(603)に入力する強度係数を決定する。体厚(厚み)を適宜変更しながら、体厚(厚み)と強度係数の関係を求め、体厚(厚み)から強度係数に変換する変換特性(607)として、ルックアップテーブル(604)に格納する。
[0081]
 また、一般に知られている曲線フィッティング等の技術を用いて、変換特性(607)を近似的に表す変換関数を求めておき、その変換関数のパラメータ(係数等)をルックアップテーブル(604)に格納してもよい。なお、変換特性(607)に示した各値は、説明のための一例であり、これに限定されるものではない。
[0082]
 以上のように、図7(b)に示す散乱線像推定部(303(b))における2次元ローパスフィルタ(605)の特性を厚みT(x,y)に対して不変としても、図7(a)に示した散乱線像推定部(303(a))の出力と同様の推定散乱線像を近似的に得ることができる。
[0083]
 図7(c)は、散乱線像推定部(303)を、乗算器(608)(609)と、マスク情報生成部(612)と、散乱線像推定部(303(b)-1) (303(b)-2)と、加算器(613)で構成した例(303(c))を示す。
[0084]
 図2の放射線撮像装置を実際に使用する際に、X線検出器(111)よりも小さい被写体(108)の透過画像を取得する場合がある。この場合、被写体の外側は、X線管(102)から照射されたX線が、空気層だけを通って直接的にX線検出器に入射する。空気層においてもX線は散乱するが、被写体(108)の内部よりも散乱の度合いが小さい。
[0085]
 そこで、図7(c)に示すように、被写体内部での散乱を推定する散乱線像推定部(303(b)-1)と、被写体の外側(空気層)での散乱を推定する散乱線像推定部(303(b)-2)を別々に設け、マスク情報生成部(612)によって生成された被写体の内側領域を示すマスク情報(610)と、マスク情報生成部(612)によって生成された被写体の外側領域を示すマスク情報(611)と、乗算器(608)(609)を用いて、入力画像を各領域に分割したのちに、散乱線像推定部(303(b)-1)(303(b)-2)でそれぞれの推定散乱線像を求め、最後に加算器(613)で両方の推定散乱線像を加算して、最終的な推定散乱線像を出力する構成とする。
[0086]
 ここで、被写体の内側領域を示すマスク情報(610)は、被写体の内側領域の位置(x,y)では値を1とし、被写体の外側領域の位置(x,y)では値を0とした情報である。マスク情報生成部(612)では、入力画像の輝度値が所定の閾値よりも小さい領域を被写体の内側領域、入力画像の輝度値が所定の閾値よりも大きい領域を被写体の外側領域として、前記マスク情報(610)を生成する。
[0087]
 なお、このように二値化して生成したマスク情報(610)をローパスフィルタ処理して、内側と外側の境界領域の位置(x,y)では値を0と1の中間値となるようにしてもよい。
[0088]
 また、被写体の外側領域を示すマスク情報(611)は、被写体の内側領域を示すマスク情報(610)と相補的な値とすればよく、マスク情報(610)とマスク情報(611)の各値を位置(x,y)ごとに加算すると1になるように設定すればよい。
[0089]
 散乱線像推定部(303(b)-1)(303(b)-2)の構成は、図7(b)に示した散乱線像推定部(303(b))と同様の構成であるが、2次元ローパスフィルタ(605-1)(605-2)は、特性が互いに異なる。すなわち、2次元ローパスフィルタ(605-1)は被写体の内側領域での散乱を模擬した点拡散関数Sσ(606-1)の畳み込み演算を行い、2次元ローパスフィルタ(605-2)は被写体の外側領域での散乱を模擬した点拡散関数Sσ(606-2)の畳み込みを行う。
[0090]
 点拡散関数Sσ(606-1)およびルックアップテーブル(604-1)については、前述した図7(b)に示した点拡散関数Sσ(606)およびルックアップテーブル(604)と、それぞれ同一の特性でよい。一方、点拡散関数Sσ(606-2)およびルックアップテーブル(604-2)については、図3(a)の構成において、被写体(202)を設置しない状態にしたのちに、前述と同様の手順で、点拡散関数Sσ(606-2)およびルックアップテーブル(604-2)の各特性を求めればよい。
[0091]
 なお、図示していないが、図7(c)の構成における散乱線像推定部(303(b)-1)を細分化してもよい。このとき例えば、肺のように体厚が薄い領域用(X線の透過量が多い領域用)の散乱線像推定部、骨のようにX線の透過量が少ない領域用の散乱線像推定部、その他の領域用(内蔵や筋肉用)の散乱線像推定部、などのように細分化してもよい。その場合、例えば図3(a)の構成において、被写体(202)を各領域の特性を模擬した被写体に置き換えて、前述と同様の手順で、点拡散関数Sσ(606)およびルックアップテーブル(604)の各特性を求めればよい。また、マスク情報生成部(612)では、入力画像の輝度値に応じて各領域用のマスク情報を生成する構成にすればよい。
[0092]
 なお、前述したルックアップテーブル(503)(604)の内容や点拡散関数の特性(602)(606)などは、事前に求めておき、図2に示す記憶部(113)に記録し、実際の使用時に記憶部(113)から各内容を読み出して、各部に設定するように、図2に示す中央処理部(114)で制御すればよい。
[0093]
 <散乱線像除去部の構成例>
 図8は、図4の画像処理部(115)が有する散乱線像除去部(304)における構成の一例を示すブロック図である。散乱線像除去部(304)は、散乱線像推定部(303)が求めた推定散乱線像を入力画像から除去し、出力画像を算出する。
[0094]
 図8(a)(b)に示すように、散乱線像除去部(304)には、いろいろな変形例が考えられる。以下、これらの構成と動作について、ひとつずつ説明する。
[0095]
 図8(a)に示すように、散乱線像除去部(304)を減算器(701)だけで構成した例(散乱線像除去部(304(a))を示す。
[0096]
 ここで、前述した式(1)をIp(x,y)について解くと、式(10)が得られる。
[数10]


[0097]
 式(10)の第2項(Is(x,y))を、図7に示した散乱線像推定部(303)の出力(すなわち、推定散乱線像)で近似することにより、推定一次線像(Ip(x,y))を得ることができる。
[0098]
 この式(10)に従い、図8(a)に示す散乱線像除去部(304(a))の構成では、入力画像から推定散乱線像を減算器(701)によって減算し、推定一次線像を出力画像として出力する。これにより、散乱線による画質変動を抑えた出力画像(推定一次線像)を得ることができる。
[0099]
 このようにして求めた推定一次線像は、散乱線像を含まないため、背景技術として述べたグリッド画像と、画質が大きく異なった印象をユーザが持ってしまう可能性がある。その理由は、グリッドを用いても散乱線を完全に抑えることができないため、ユーザは散乱線の一部が残留したグリッド画像を見慣れており、推定一次線像を見慣れていない場合があるからである。
[0100]
 そこで、図8(b)の構成では、グリッドを配置した場合に生じるのを同等の散乱線像を生成し、推定一次線像に対して加算する。これにより、グリッドを用いた場合と同等の出力画像を得る。すなわち、図8(b)の構成では、散乱線像除去部(304(b))の内部に、図8(a)の構成(304(a))と、第2の散乱線像推定部(303)と、乗算器(702)と、加算器(703)を備えている。そして、散乱線像除去部(304(a))の出力する推定一次線像を、第2の散乱線像推定部(303)に入力し、その出力(推定散乱線像)に対して、乗算器(702)を用いてグリッド損失係数を乗じ、グリッドを配置した場合と同等程度の散乱線像を生成する。
[0101]
 この散乱線像を、加算器(703)を用いて散乱線像除去部(304(a))の出力(推定一次線像)に加算して、出力画像(グリッド画像を模擬した画像)を得る。ここで、グリッド損失係数は、散乱線がグリッドによって減衰する割合を示す係数であり、画像の位置(x,y)によらず一定の値とすればよい。このグリッド損失係数は、図3(a)に示した構成において、テーブル(109)とX線検出器(111(a))の間にグリッドを挿入したときと挿入しないときの、端部(左端あるいは右端)の外側の散乱線強度の比を測定して求めればよい。
[0102]
 <画像処理部の動作例>
 図9は、画像処理部(115)の各部(301)~(304)における処理動作の一例を示すフローチャートである。
[0103]
 上述してきた画像処理部(115)は、CPU等の演算部と、予めプログラムが格納された記憶部とを備えたコンピュータにより構成し、演算部が記憶部内のプログラムを読み込んで実行することにより、各部(301)~(304)の機能をソフトウェア処理により実現する構成であってもよいし、画像処理部(115)の各部(301)~(304)の機能の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等ハードウェアにより実現する構成としてもよい。
[0104]
 以下、図9のフローチャートを用いて、画像処理部(115)の処理動作を説明する。ここでは、画像処理部(115)の各部(301)~(304)の機能がソフトウェア処理により実現される場合を例に説明する。
[0105]
 まず、中央処理部114が、入力部(116)を介してユーザから受け取った画像取得条件に応じてX線制御部(104)、絞り・フィルタ制御部(107)、機構制御部(110)、検出器制御部(112)を制御することにより、X線管(102)からX線が被写体(108)に対して照射され、被写体(108)を通過したX線がX線検出器(111)が検出することにより透過画像が生成される。
[0106]
 画像処理部(115)は、図9のステップ(1001)において演算部が記憶部内のプログラムを読み込んで実行することにより各部(301)~(304)の機能を動作させ以下の処理を開始する。ステップ(1002)において、画像処理部(115)は、検出器制御部(112)を介して、X線検出器(111)が生成した透過画像(以下、入力画像とも呼ぶ)を取得する。
[0107]
 ステップ(1003)において、画像処理部(115)の高周波成分抽出部(301)は、入力画像について空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出する。ステップ(1004)において、体厚分布算出部(302)は、高周波成分から体厚分布を算出する。ステップ(1005)において、散乱線像推定部(303)は、ステップ(1004)で算出した体厚分布から散乱線像を推定する。ステップ(1006)において、散乱線像除去部(304)は、ステップ(1005)で推定した散乱線像を入力画像から減算することにより出力画像を生成する。ステップ(1007)において、画像処理部(115)は、ステップ(1006)で生成した出力画像を出力して、ステップ(1008)で処理を終了する。
[0108]
 なお、これらの各ステップにおける処理の内容は、図2~図8を用いて説明した各部(301)~(304)の処理動作と同一であるため、詳細な説明を省略する。また、図9に具体的に示していない処理についても、図2~図8に示した構成における各部(301)~(304)の動作を、それぞれソフトウェアにより実現することが可能である。
[0109]
 このように、パーソナルコンピュータ(PC)を代表とする一般的なコンピュータ構成上で動作するソフトウェアプログラムによって、散乱線による画質変動を抑えた画像を短時間で得ることが可能となる。
[0110]
 <実施の形態1のまとめ>
 以上述べたように、実施形態1の放射線撮像装置では、図2~図9に示した各部の構成および動作を用いることにより、反復処理を一切行うことなく、短時間で被写体の体厚分布を求めることができるとともに、この体厚分布を用いて、散乱線による画質変動を抑えた画像を得ることができるようになる。
[0111]
 (実施の形態2)
 本発明の実施形態2の放射線撮像装置について説明する。
[0112]
 <画像処理部の他の構成例>
 実施の形態2による放射線撮像装置は、図2に示した実施の形態1による放射線撮像装置における画像処理部(115)を、図10に示す画像処理部(801)に置き換えた構成である。図2と共通のブロックについては説明を省略し、以下、置き換えた後の画像処理部(801)について説明する。
[0113]
 図10は、実施の形態2による放射線撮像装置が有する画像処理部(801)の構成の一例を示すブロック図である。実施形態2の画像処理部(801)は、X線検出器(111)の飽和に起因するハレーション(白飛び)が透過画像に生じた場合であっても、その影響を抑制して、体厚分布を求める。すなわち、透過像を検出したX線検出器がX線によって飽和しているかどうかを判定する検出部と、X線検出器(111)が飽和している場合、飽和している位置について体厚分布算出部(302)が算出した体厚を異なる値に置き換える置き換え部を有する。
[0114]
 図3を用いて説明したように、本発明の実施の形態1による放射線撮像装置は、図3(a1)および図3(b1)に示したようにX線のノイズ(高周波成分)に着目し、透過画像を高周波成分と低周波成分に分離して、高周波成分の強度から体厚分布を求めた。しかし、X線管(102)から照射されるX線の強度が強すぎると、X線検出器(111)が飽和してしまい、透過画像の輝度にハレーション(白飛び)が生じて、高周波成分が見かけ上無くなったようになることがある。この場合、ノイズ成分強度の平均値が0となり、図6に示した体厚分布算出部(302)は、ルックアップテーブル(503)の変換特性(504)を参照して、実際とは異なる体厚を算出してしまう。すなわち、X線の強度が強い領域(すなわち、体厚が薄い領域)であるにも関わらず、ノイズ成分強度の平均値が0であるために、体厚分布算出部(302)は、ノイズが透過しないような、極めて厚い体厚を算出する。そのため、図4に示した画像処理部(115)では結果的に誤った出力画像になってしまう可能性がある。
[0115]
 そこで、図10(a)に示す画像処理部(801)では、図4に示した画像処理部(115)を構成する高周波成分抽出部(301)、体厚分布算出部(302)、散乱線像推定部(303)、および散乱線像除去部(304)をベースとして、新たに、体厚分布算出部(802)、比較器(検出部)(803)、および切り替え器(置き換え部)(804)を追加する。以下、各部の動作を説明する。
[0116]
 まず、体厚分布算出部(802)は、高周波成分ではなく、入力画像の輝度値を用いて、位置(x,y)ごとの体厚分布を算出する。具体的には、予め求めておいた、各画像取得条件における被写体の厚みと入力画像の輝度値の平均値との関係(変換特性)を、図示しないルックアップテーブルに格納しておき、体厚分布算出部(802)は、このルックアップテーブルの変換特性を参照して、位置(x,y)ごとに入力画像の輝度値から体厚を求め、求めた体厚分布を体厚情報として出力する。被写体の厚みと入力画像の輝度値の平均値との関係は、図3(a)に示した構成を用いて、被写体(202)の厚みを適宜変更しながら、画像取得条件ごとに図3(a1)に示す透過画像を取得したのちに、各画像取得条件における厚みと入力画像の輝度値の平均値との関係を求めればよい。
[0117]
 続いて、比較器(803)は、体厚分布算出部(802)が算出した体厚情報と、予め定めた閾値とを位置(x.y)ごとに比較し、各位置の体厚が閾値よりも小さい(薄い)ときには、その位置(x,y)の透過画像が白飛びしている可能性があると判定する。この判定結果を用いて、切り替え器(804)は、透過画像が白飛びしている可能性がある位置(x,y)については、体厚推定部(302)から出力された体厚情報の替わりに、体厚推定部(802)から出力された体厚情報を散乱線像推定部(303)に入力する。
[0118]
 これにより、散乱線像推定部(303)は、X線検出器(111)が飽和して、透過画像の輝度にハレーション(白飛び)が生じている場合でも、白飛びが生じた位置については、透過画像の輝度値から求めた体厚情報を用いることができるため、白飛びの影響を受けることなく、体厚に基づいて散乱線像を推定することができる。
[0119]
 一方、図10(b)に示す画像処理部(805)は、前述した図10(a)に示す画像処理部(804)の構成を簡単化した構成例である。この画像処理部(805)は、図4に示した画像処理部(115)を構成する高周波成分抽出部(301)、体厚分布算出部(302)、散乱線像推定部(303)、および散乱線像除去部(304)をベースとして、新たに、比較器(806)と切り替え器(807)を追加する。以下、追加した各部の動作を説明する。
[0120]
 比較器(806)は、入力画像の輝度値と、予め定めた閾値とを位置(x,y)ごとに比較し、各位置の輝度値が閾値よりも大きいときには、その位置(x,y)の透過画像が白飛びしている可能性があると判定する。この判定結果を用いて、透過画像が白飛びしている可能性がある位置(x,y)では、切り替え器(807)により、体厚推定部(302)から出力された体厚情報の替わりに、体厚設定値を散乱線像推定部(303)に入力する。このとき、体厚設定値は、予め定めた定数を用い、例えば体厚=0cmを表す設定値とすればよい。
[0121]
 これにより、散乱線像推定部(303)は、透過画像の輝度にハレーション(白飛び)が生じている場合でも、白飛びが生じた位置については、予め定めた体厚設定値を用いることができるため、白飛びの影響を低減した散乱線像を推定することができる。
[0122]
 <実施の形態2のまとめ>
 以上のように画像処理部(801)あるいは画像処理部(805)を構成し、画像処理部(115)の替わりに使用すれば、透過画像の白飛びが原因となって、画像処理部(801)(805)から誤った画像が出力されることを無くすことができる。
[0123]
 (実施の形態3)
 実施形態3の放射線撮像装置について説明する。
 <画像処理部のさらに他の構成例>
 実施の形態3による放射線撮像装置は、図2に示した実施の形態1による放射線撮像装置における画像処理部(115)を、図11に示す画像処理部(901)に置き換えた構成である。図2と共通のブロックについては説明を省略し、以下、置き換えた後の画像処理部(901)について説明する。
[0124]
 図11は、実施の形態3の画像処理部(901)における構成の一例を示すブロック図である。
[0125]
 前述した実施の形態1および2の構成および動作では、いくつかの近似を入れて体厚分布を算出しているため、近似に起因する誤差が出力画像に混入することがある。ユーザが動画を観察する用途(X線透視)などでは、この誤差を許容して処理の高速性を優先すればよい。一方、ユーザが静止画を観察する用途(X線撮影)などでは、処理の高速性を若干犠牲にして、誤差を減らしたほうがよい場合もある。
[0126]
 そこで、図11に示す画像処理部(901)では、体厚分布算出部(302)によって算出された体厚の値を補正する体厚分布補正部(902)と、補正部(902)が出力する補正後の体厚に基づいて推定透過線像を生成する推定透過線像(推定入力画像)生成部(904)と、X線検出器(111)の出力する透過画像(入力画像、すなわち放射線強度分布)と推定透過線像とを比較する比較部(905)とを有する。補正部(902)は、比較部(905)の出力に基づいて補正量を調整する。
[0127]
 具体的には、図4に示した画像処理部(115)を構成する高周波成分抽出部(301)、体厚分布算出部(302)、散乱線像推定部(303)、および散乱線像除去部(304)をベースとして、画像処理部(901)は、新たに、体厚分布補正部(902)、切り替え器(903)、推定入力画像生成部(904)、および比較器(905)を追加する。以下、各部の動作を説明する前に、事前に準備するパラメータ取得の方法について説明する。
[0128]
 まず、図3(a)に示した構成を用いて、画像取得条件と被写体(202)の厚みを適宜変更しながら、X線検出器(111(a))で検出された透過画像の輝度値を取得し、式(2)に基づいて線減弱係数μを事前に求めておく。続いて、前述した方法を用いて、被写体(202)の中でX線が散乱する際の点拡散関数Sσ(T(x,y))(602)あるいは点拡散関数Sσ(606)を求めておく。
[0129]
 続いて、放射線撮像装置を実際に使用する際の各部の動作について説明する。
[0130]
 画像処理部(901)において、入力画像から、高周波成分抽出部(301)と、体厚分布算出部(302)とを介して、体厚情報(T(x,y))を得る。ここまでの動作(初期動作)については、図4に示した画像処理部(115)における各部の動作と同じである。
[0131]
 次に、初期動作では図11における上側の経路に切り替えた切り替え器(903)を介して、体厚情報(x,y)を推定入力画像生成部(904)に入力する。推定入力画像生成部(904)では、この体厚情報(T(x,y))に基づき、前述した式(1)(2)(3)を用いて、推定入力画像を生成する。
[0132]
 具体的には、事前に求めた線減弱係数μと体厚情報(T(x,y))と線量Io(x,y)とを用いて、式(2)から推定一次線像Ip(x,y)を求める。また、この推定一次線像Ip(x,y)と、事前に求めた点拡散関数Sσ(T(x,y))あるいは点拡散関数Sσとを用いて、式(3)から推定散乱線像Is(x,y)を求める。続いて、求めた推定一次線像Ip(x,y)と推定散乱線像Is(x,y)とを用いて、式(1)から推定入力画像Im(x,y)を求める。
[0133]
 このようにして求めた推定入力画像Im(x,y)の輝度値と実際の入力画像の輝度値とを、比較器(905)により位置(x,y)ごとに比較して両画像の差分δ(x,y)を求め、この差分δ(x,y)を体厚分布補正部(902)に入力する。
[0134]
 体厚分布補正部(902)では、差分δ(x,y)の値の符号(正負)に基づいて、体厚情報T(x,y)を補正する。差分δ(x,y)が正の場合(すなわち、推定入力画像の輝度値のほうが実際の入力画像の輝度値よりも大きい位置(x,y)の場合)には、その位置(x,y)の体厚情報T(x,y)の値を少し大きい値(T(x,y)+Δ、ただしΔは正値)に補正する。逆に、差分δ(x,y)が負の場合(すなわち、推定入力画像の輝度値のほうが実際の入力画像の輝度値よりも小さい位置(x,y)の場合)には、その位置(x,y)の体厚情報T(x,y)の値を少し小さい値(T(x,y)-Δ、ただしΔは正値)に補正する。補正した体厚情報(T(x,y)±Δ)を新たな体厚情報T(x,y)として、体厚分布補正部(902)から出力する。
[0135]
 ここで、切り替え器(903)を、図11における下側の経路に切り替え、上述した上側の経路の場合と同様に、推定入力画像(904)、比較器(905)、体厚分布補正部(902)の各動作を反復すると、推定入力画像の輝度値と実際の入力画像の輝度値の差分δ(x,y)の絶対値が徐々に小さくなっていく。この差分δ(x,y)の絶対値がすべての位置(x,y)で予め定めた閾値よりも小さくなるか、あるいは、予め定めた所定の反復回数に達したときに、補正後の体厚情報T(x,y)を最終的な体厚情報T(x,y)として、反復処理を終了する。
[0136]
 この最終的な体厚情報T(x,y)と入力画像を用いて、散乱線像推定部(303)で推定散乱線像を求め、散乱線像除去部(304)で入力画像から推定散乱線像を減じて、画像処理部(901)の出力画像とする。
[0137]
 新たな入力画像を処理する前に、切り替え器(903)を図11における上側の経路に切り替えて、初期動作に戻す。
[0138]
 このように、実施形態3の画像処理部(901)は、反復処理を行うことにより、体厚分布算出部(302)が算出した体厚に含まれる誤差を低減することができる。
[0139]
 なお、図11に示す画像処理部(901)の構成例において、体厚分布補正部(902)、推定入力画像生成部(904)、および比較器(905)の各部が機能しないように制御し、切り替え器(903)を図11における上側の経路に切り替えたままにしておけば、体厚分布算出部(302)の出力が散乱線像推定部(303)に入力されるようになり、図11に示す画像処理部(901)は図4に示した画像処理部(115)と同じ機能を持つことになる。このように、体厚情報の経路が切り替えられる構成にすることにより、ユーザが動画を観察する用途(X線透視)と、ユーザが静止画を観察する用途(X線撮影)で、機能を切り替えて使用できるようになる。
[0140]
 以上述べたような反復処理を用いた装置では、体厚情報T(x,y)の初期値(すなわち、体厚分布算出部(302)から出力する体厚情報T(x,y))の精度に応じて、反復の回数が大きく変化する。実施の形態3による放射線撮像装置では、前述したように、透過画像に含まれるノイズ(高周波成分)から体厚情報を推定しているため、透過画像の強度分布Im(x,y)から体厚情報を推定するよりも散乱線による影響を抑えることができ、体厚情報の精度を高く保つことができるため、反復回数を大きく削減でき、散乱線による画質変動を抑えた画像を短時間で得ることが可能となる。
[0141]
 <実施の形態3のまとめ>
 以上述べたように、実施の形態3による放射線撮像装置では、算出した体厚に含まれる誤差に起因して出力画像に混入する誤差を減らすことができる。また、従来技術と比較して、処理の反復回数を大きく削減でき、散乱線による画質変動を抑えた画像を短時間で得ることが可能となる。
[0142]
 (実施の形態4)
 実施形態4の放射線撮像装置について説明する。
 <放射線撮像装置の他の構成例>
 図12は、実施の形態4による放射線撮像装置における構成の一例を示すブロック図である。
[0143]
 図2に示した実施の形態1による放射線撮像装置における構成例では、この装置を構成する各部が、同一の装置、あるいは近接して配置される複数の装置の中に組み込まれることを想定しているため、装置ごとに画像処理部を内蔵する必要がある。
[0144]
 そこで、実施形態4では、図12に示すように、放射線撮像装置(1101)を、透過画像を取得して表示するクライアント部(1102)と、画像処理を行うサーバ部(1105)とに分離し、両者を通信ネットワーク(1104)で接続する構成にする。
[0145]
 クライアント部(1102)は、図2に示した実施の形態1による放射線撮像装置の構成例から、画像処理部(115)を外し、その替わりにネットワークインタフェース(I/F)部(1103)を設けた構成である。ネットワークI/F部(1103)以外の各部については、図2に示した各部の構成および動作と同じであるため、説明を省略する。
[0146]
 クライアント部(1102)が備えるネットワークI/F部(1103)は、通信ネットワーク(1104)に画像データを送信するための図示しないネットワーク送信I/F部を備え、HTTP(HyperText Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)などに代表される一般的なネットワークプロトコルを用いて、X線検出部(111)で検出した透過画像(入力画像)を通信ネットワーク(1104)経由でサーバ部(1105)に送信する。また、ネットワークI/F部(1103)は、通信ネットワーク(1104)から画像データを受信するための図示しないネットワーク受信I/F部を備え、サーバ部(1105)で処理された画像(出力画像)を、通信ネットワーク(1104)を経由して受信し、表示部(117)に送る。
[0147]
 ネットワークI/F部(1103)は、中央処理部(114)と接続して制御するように構成してもよい。なお、ネットワークI/F部(1103)は、一般的な技術で実現できるため、詳細な説明を省略する。
[0148]
 通信ネットワーク(1104)は、一般的なインターネットやイントラネットでもよいし、施設内等に閉じた構内ネットワークでもよいし、固定電話回線や無線電話回線等の公衆網でもよいし、無線LANやBlueTooth(登録商標)等による無線ネットワークでもよい。
[0149]
 サーバ部(1105)は、ネットワークI/F部(1106)と、画像処理部 (1107)と、中央処理部(1108)と、記憶部(1109)で構成される。
[0150]
 サーバ部(1105)が備えるネットワークI/F部(1106)は、通信ネットワーク(1104)から画像データを受信するための図示しないネットワーク受信I/F部を備え、HTTP(HyperText Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)などに代表される一般的なネットワークプロトコルを用いて、クライアント部から送信された入力画像を通信ネットワーク(1104)経由で受信する。また、通信ネットワーク(1104)に画像データを送信するための図示しないネットワーク送信I/F部を備え、画像処理部(1107)で処理された画像を、通信ネットワーク(1104)経由でクライアント部(1102)に送信する。ネットワークI/F部(1106)は、中央処理部(1108)と接続して制御するように構成してもよい。なお、ネットワークI/F部(1106)は、一般的な技術で実現できるため、詳細な説明を省略する。
[0151]
 画像処理部(1107)は、ネットワークI/F部(1106)を介して、クライアント(1102)から受け取った入力画像(すなわち、被写体(108)を通過した放射線を検出して得た放射線強度分布)について、空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出する抽出部(301)と、抽出部(301)が抽出した高周波成分に基づいて被写体の厚さの分布を求める厚さ分布算出部(体厚分布算出部)(302)と、厚さ分布算出部(302)が算出した被写体の厚さ分布に基づいて被写体を放射線が通過することによって生じる散乱線の分布を求める散乱線分布推定部(303)と、散乱線分布推定部(303)が求めた散乱線分布を入力画像から除去する散乱線分布除去部(304)とを備える。画像処理部(1107)は、図2および図4に示した画像処理部(115)、図10に示した画像処理部(801)(805)、図11に示した画像処理部(901)のうち、いずれかと同じ構成で実現できる。また、図9に示したフローチャートに示したプログラムを用いて、コンピュータを抽出部(抽出手段)(301)と、体厚分布算出部(体厚分布算出手段)(302)等として機能させる構成としてもよい。なお、画像処理部(1107)は、中央処理部(1108)と接続して制御するように構成してもよい。
[0152]
 記憶部(1109)は、中央処理部(1109)と接続し、画像処理部(1107)の動作に必要な、前述したルックアップテーブル(503)(604)の内容や点拡散関数の特性(602)(606)を格納する。
[0153]
 以上のように、放射線撮像装置(1101)を、透過画像を取得して表示するクライアント部(1102)と、画像処理を行うサーバ部(1105)とに分離し、両者を通信ネットワーク(1104)で接続する構成にすることにより、以下の効果を得ることができる。
[0154]
 まず、複数のクライアント部(1102)に対して、ひとつのサーバ部(1105)を設置すればよくなるため、大規模な放射線撮像装置を経済的に構築できるようになる。
[0155]
 また、通信ネットワーク(1104)としてインターネット等を用いることにより、クライアント部(1102)とサーバ部(1105)を、互いの遠隔地に設置できるようになる。
[0156]
 さらに、クライアント部(1102)の中に図示しないログイン制御部を設け、サーバ部(1105)の中に図示しないユーザ認証・管理部と課金処理部を設ければ、クライアント部(1102)を操作するユーザに対して、サーバ部(1105)を用いた課金事業を実施することが可能になる。
[0157]
 なお、ログイン制御部はクライアント部(1102)の中央処理部(114)で実行するソフトウェアプログラム処理とし、ユーザ認証・管理部と課金処理部はサーバ部(1105)の中央処理部(1108)で実行するソフトウェアプログラム処理とすれば、一般的に知られている技術を用いて各部を容易に実現できるため、各部の詳細な説明は省略する。
[0158]
 <実施の形態4のまとめ>
 以上述べたように、実施の形態4による放射線撮像装置を用いれば、ネットワークを介して散乱線による画質変動を抑えた画像を得ることができるようになるとともに、大規模な放射線撮像装置を経済的に構築できるようになったり、遠隔地に設置できるようになったり、課金事業を実施することができるようになったりする。
[0159]
 <全体のまとめ>
(i)以上説明した本発明の実施形態によれば、被写体に放射線を照射する放射線源と、被写体を通過した放射線の強度分布を検出する放射線検出器と、放射線の強度分布について、空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出する抽出部と、抽出部が抽出した高周波成分に基づいて被写体の厚さの分布を求める体厚分布算出部とを有することにより、散乱線による画質変動を抑えた放射線透過画像が、短時間で得られるようになる。
(ii)本発明は、実施形態の機能を実現するハードウェア、およびソフトウェアのプログラムコードによって実現できる。
[0160]
 ソフトウェアのプログラムコードで実現する機能については、プログラムコードを記録した記憶媒体を装置或は装置に提供し、その装置或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
[0161]
 また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティング装置)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
[0162]
 さらに、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それを装置又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、使用時にその装置又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
[0163]
 最後に、ここで述べた処理内容及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによってでも実装できることを理解する必要がある。更に、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教授に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するのが有益であることが判るかもしれない。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本発明は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点に於いて限定の為ではなく説明の為である。
[0164]
 本分野にスキルのある者には、本発明を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したハードウェアは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等で実装してもよく、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装してもよい。
[0165]
 さらに、前述の実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
[0166]
 加えて、本技術分野の通常の知識を有する者には、本発明のその他の実装がここに開示された本発明の明細書及び実施形態の考察から明らかになる。記述された実施形態の多様な態様及び/又はコンポーネントは、データを管理する機能を有するコンピュータ化ストレージ装置に於いて、単独又は如何なる組み合わせでも使用することが出来る。

符号の説明

[0167]
101,1101・・・放射線撮像装置
108,202・・・被写体
115,801,805,901,1106・・・画像処理部
301・・・高周波成分抽出部
302・・・体厚分布算出部
303・・・散乱線像推定部
304・・・散乱線像除去部
503,604・・・ルックアップテーブル
602,606・・・散乱線の点拡散関数
610,611・・・マスク情報
1102・・・クライアント部
1104・・・通信ネットワーク
1105・・・サーバ部

請求の範囲

[請求項1]
 被写体に放射線を照射する放射線源と、前記被写体を通過した放射線の強度分布を検出する放射線検出器と、前記放射線の強度分布について、空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出した高周波成分に基づいて前記被写体の厚さの分布を求める厚さ分布算出部とを有することを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項2]
 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記厚さ分布算出部は、予め求めておいた被写体の厚さと高周波成分の強度との関係から、前記高周波成分の強度に対応する前記被写体の厚さを求めることを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項3]
 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記厚さ分布算出部が求めた前記被写体の厚さの分布から、前記被写体を前記放射線が通過することによって生じる散乱線の分布を求める散乱線分布推定部をさらに有することを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項4]
 請求項3に記載の放射線撮像装置であって、前記散乱線分布推定部が求めた前記散乱線分布を前記放射線検出器が検出した前記放射線の強度分布から除去する散乱線分布除去部をさらに有することを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項5]
 請求項3に記載の放射線撮像装置であって、前記散乱線分布推定部は、被写体の位置ごとにその位置の被写体の厚さに応じた前記放射線の広がり度合を求めるフィルタを含むことを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項6]
 請求項4に記載の放射線撮像装置であって、前記散乱線分布除去部は、前記被写体と前記放射線検出器との間にグリッドを配置した場合に生じる散乱線分布と同等な散乱線分布を、前記被写体の厚さの分布に基づいて生成し、前記散乱線分布推定部が求めた散乱線分布を除去した前記放射線の強度分布に対して加算することを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項7]
 請求項4に記載の放射線撮像装置であって、前記放射線の強度分布は、前記被写体の放射線像であり、前記散乱線分布は、前記被写体により生じる散乱線の像であり、前記散乱線分布除去部は、前記放射線像から前記散乱線の像を除去することを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項8]
 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、前記放射線の強度分布を検出した前記放射線検出器が前記放射線によって飽和しているかどうかを判定する検出部と、
 前記放射線検出器が飽和している場合、飽和している位置について前記厚さ分布算出部が算出した前記厚さを異なる値に置き換える置き換え部を有することを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項9]
 請求項8に記載の放射線撮像装置であって、前記置き換え部は、前記飽和している位置の前記厚さを、前記放射線検出器が検出した放射線強度から求めた厚さに置き換えることを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項10]
 請求項8に記載の放射線撮像装置であって、前記置き換え部は、前記飽和している位置の前記厚さを、予め定めた値に置き換えることを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項11]
 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、
 前記厚さ分布算出部によって算出された前記厚さの値を補正する補正部と、
 前記補正部が出力する補正後の前記厚さに基づいて推定透過線像を生成する推定透過線像生成部と、
 前記放射線の強度分布と前記推定透過線像とを比較する比較部とをさらに有し、
 前記補正部は、前記比較部の出力に基づいて前記補正部の前記厚さの値に対する補正量を調整する動作を1回以上繰り返すことを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項12]
 請求項1に記載の放射線撮像装置であって、
 前記抽出部は、前記放射線強度分布内の高周波成分を抽出するハイパスフィルタおよび異なる時刻に検出された複数の前記放射線強度分布間の高周波成分を抽出するハイパスフィルタの少なくとも一方を含むことを特徴とする放射線撮像装置。
[請求項13]
 被写体を通過した放射線を検出して得た放射線強度分布を外部から受け取って、前記放射線強度分布について、空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出する抽出部と、前記抽出部が抽出した高周波成分に基づいて前記被写体の厚さの分布を求める厚さ分布算出部とを有することを特徴とする画像処理装置。
[請求項14]
 請求項13に記載の画像処理装置であって、
 前記放射線強度分布を通信ネットワーク経由で受信して取得するネットワーク受信インターフェース部と、
 画像処理部と、
 前記画像処理部が生成した画像を、前記通信ネットワーク経由で送信して出力するネットワーク送信インターフェース部とを有し、
 前記画像処理部は、前記抽出部と、前記厚さ分布算出部と、前記厚さ分布算出部が算出した被写体の厚さ分布に基づいて前記被写体を前記放射線が通過することによって生じる散乱線の分布を求める散乱線分布推定部と、前記散乱線分布推定部が求めた前記散乱線分布を前記放射線強度分布から除去する散乱線分布除去部とを備え、前記散乱線分布除去部が前記散乱線分布を除去した前記放射線強度分布から画像を生成する、ことを特徴とする画像処理装置。
[請求項15]
 コンピュータを
 被写体を通過した放射線を検出して得た放射線強度分布を外部から受け取って、前記放射線強度分布について、空間軸方向および時間軸方向の少なくとも一方の高周波成分を抽出する抽出手段と、
 前記抽出手段が抽出した高周波成分に基づいて前記被写体の厚さの分布を求める厚さ分布算出手段として機能させるための画像処理用プログラム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]