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1. (WO2018190174) 光学積層体、偏光板、および画像表示装置
Document

明 細 書

発明の名称 光学積層体、偏光板、および画像表示装置

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080  

実施例

0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094  

産業上の利用可能性

0095  

符号の説明

0096  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 光学積層体、偏光板、および画像表示装置

技術分野

[0001]
 本発明は、光学積層体、偏光板、および画像表示装置に関する。

背景技術

[0002]
 近年、アクリル系樹脂からなる基材フィルムの片側に、ハードコート層、防眩層、反射防止層等の機能性層(表面処理層)を形成した光学積層体が知られている(特許文献1)。このような光学積層体は、例えば、偏光子の保護フィルム、または、画像表示装置の前面板として用いられ得る。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2016-218478号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかしながら、上記のような従来の光学積層体は、アクリル系樹脂フィルムに傷が生じていた場合、表面処理層を形成することにより当該傷が顕在化するという問題がある。このような現象は、アクリル系樹脂フィルムに生じた傷が目視できないほどに微細であっても起こり得、目視できない傷は、得られた光学積層体において、目視できる外観不良の原因となり得る。
[0005]
 本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、外観に優れ得る光学積層体、そのような光学積層体を備えた偏光板、および、そのような偏光板を備えた画像表示装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明の光学積層体は、アクリル系樹脂を含有する基材フィルムと、上記基材フィルムの片側に形成された表面処理層と、を含み、上記基材フィルム側から上記表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち上記表面処理層に溶出した上記アクリル系樹脂の成分の割合が18%以上である。
 1つの実施形態においては、上記基材フィルムの屈折率をR1とし、上記表面処理層の屈折率をR2とし、上記基材フィルム側から上記表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置における屈折率をR3としたとき、R3≦0.18R1+0.82R2(ただし、R1<R2とする)を満足する。
 1つの実施形態においては、上記表面処理層の厚みが3μm~20μmである。
 1つの実施形態においては、上記基材フィルムが、上記アクリル系樹脂と、上記アクリル系樹脂に分散されたコアシェル型粒子と、を含む。
 1つの実施形態においては、上記基材フィルムが、上記アクリル系樹脂100重量部に対して、上記コアシェル型粒子を3重量部~50重量部含有する。
 1つの実施形態においては、上記アクリル系樹脂が、グルタルイミド単位、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、マレイミド単位および無水グルタル酸単位からなる群から選択される少なくとも1つを有する。
 1つの実施形態においては、上記表面処理層が、上記基材フィルム上に塗布された樹脂の硬化層である。
 1つの実施形態においては、上記表面処理層が、ハードコート層、防眩層および反射防止層からなる群から選択される少なくとも1つである。
 本発明の別の局面によれば、偏光板が提供される。この偏光板は、偏光子と、上記偏光子の片側に配置された保護層と、を含み、上記保護層が上記光学積層体である。
 本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記偏光板を備える。

発明の効果

[0007]
 本発明によれば、基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち、表面処理層に溶出したアクリル系樹脂の成分が18%以上であることにより、外観に優れ得る光学積層体、そのような光学積層体を備えた偏光板、および、そのような偏光板を備えた画像表示装置を提供し得る。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
[0010]
A.光学積層体の全体構成
 図1は、本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。光学積層体100は、基材フィルム10と、基材フィルム10の片側に形成された表面処理層20と、を含む。光学積層体100は、基材フィルム10側から表面処理層20の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち表面処理層に溶出したアクリル系樹脂の成分の割合が18%以上である。基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置とは、代表的には、基材フィルムの表面処理層との界面から、表面処理層側の方向に3.0μm離れた位置である。上記「3μmの深さの位置」のアクリル系樹脂の成分の割合は、代表的には下記方法にて導き出される。
アクリル系樹脂成分の算出位置(表面処理側からの位置)=表面処理層厚み(PET基材ハードコート厚み)-(3μm)
例えば、(PET基材ハードコート厚み)が15μmの場合は表面処理側から12μm位置のアクリル系樹脂成分の割合を測定する。表面処理層厚み(ハードコート厚み)は、代表的には以下の手順で導き出される。第一に、基材フィルムとしてPET基材(東レ社製、商品名:U48-3、屈折率:1.60)を用い、塗布層の加熱温度を70℃で乾燥させるとともにUV硬化させることにより、ハードコート層が形成された光学積層体を得る。得られた光学積層体の基材層側に、黒色アクリル板(三菱レイヨン社製、厚み2mm)を、厚み20μmのアクリル系粘着剤を介して貼着した。次いで、ハードコート層の反射スペクトルを、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製、商品名:MCPD3700)を用いて以下の条件で測定する。これらの積層体に用いられるPET基材には、ハードコート層形成用組成物が浸透しないので、積層体から得られるFFTスペクトルのピーク位置から、ハードコート層のみの厚みが測定される。
・反射スペクトル測定条件
 リファレンス:ミラー
 アルゴリズム:FFT法
 計算波長:450nm~850nm
・検出条件
 露光時間:20ms
 ランプゲイン:ノーマル
 積算回数:10回
・FFT法
 膜厚値の範囲:2~15μm
 膜厚分解能:24nm
[0011]
 上記割合は、好ましくは18%~30%であり、より好ましくは18.5%~25%である。基材フィルム10側から表面処理層20の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち表面処理層に溶出したアクリル系樹脂の成分の割合は、例えば、プリズムカプラー法により測定することができる。具体的には、基材フィルムの屈折率をR1とし、表面処理層の屈折率をR2とし、プリズムカプラー法によって測定される基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置における屈折率をR3としたとき、基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち表面処理層に溶出したアクリル系樹脂の成分の割合X(%)は以下の式で表わされる。
X(%)=(R3-R2)×100/(R1-R2)
したがって、光学積層体100は、基材フィルムの屈折率R1、表面処理層の屈折率R2、および基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置における屈折率R3に関して、好ましくは以下の不等式を満たす。
R3≦0.18R1+0.82R2 (R1<R2)
表面処理層の厚みは、好ましくは3μm~20μmであり、より好ましくは5μm~15μmである。1つの実施形態においては、基材フィルム10は、アクリル系樹脂と、アクリル系樹脂に分散されたコアシェル型粒子と、を含む。この場合、基材フィルム10は、好ましくは、アクリル系樹脂100重量部に対して、コアシェル型粒子を3重量部~50重量部含有する。アクリル系樹脂は、好ましくは、グルタルイミド単位、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、マレイミド単位および無水グルタル酸単位からなる群から選択される少なくとも1つを有する。表面処理層20は、代表的には、基材フィルム10上に塗布された樹脂組成物の硬化層である。表面処理層20は、好ましくは、ハードコート層、防眩層および反射防止層からなる群から選択される少なくとも1つである。従来の光学積層体は、長尺状の基材フィルムをロールに巻き取ることによって長尺方向に沿って生じた傷が、基材フィルムに表面処理層を形成することによって顕在化する場合があった。これに対して、本発明の光学積層体100によれば、基材フィルム10に含まれるアクリル系樹脂の、表面処理層20への溶出量が十分に多い。これにより、基材フィルム10に表面処理層20を形成することによる基材フィルム10の傷の顕在化を抑制し得る。さらに、基材フィルム10と表面処理層20との密着性が向上し得る。
[0012]
B.基材フィルム
B-1.基材フィルムの特性
 基材フィルムは、上記のとおり、アクリル系樹脂を含む。1つの実施形態においては、基材フィルムは、アクリル系樹脂と、アクリル系樹脂に分散されたコアシェル型粒子と、を含む。基材フィルムの厚みは、好ましくは5μm~150μmであり、より好ましくは10μm~100μmである。基材フィルムは、後述する表面処理層を形成したときに、アクリル系樹脂が表面処理層に溶出する。アクリル系樹脂が表面処理層に溶出することにより、基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち、アクリル系樹脂の成分の割合が18%以上となる。
[0013]
 基材フィルムは、好ましくは、実質的に光学的に等方性を有する。本明細書において「実質的に光学的に等方性を有する」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。面内位相差Re(550)は、より好ましくは0nm~5nmであり、さらに好ましくは0nm~3nmであり、特に好ましくは0nm~2nmである。厚み方向の位相差Rth(550)は、より好ましくは-5nm~+5nmであり、さらに好ましくは-3nm~+3nmであり、特に好ましくは-2nm~+2nmである。基材フィルムのRe(550)およびRth(550)がこのような範囲であれば、光学積層体を画像表示装置に適用した場合に表示特性に対する悪影響を防止することができる。なお、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(550)は、式:Re(550)=(nx-ny)×dによって求められる。Rth(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。Rth(550)は、式:Rth(550)=(nx-nz)×dによって求められる。ここで、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚み(nm)である。
[0014]
 基材フィルムの厚み40μmにおける380nmでの光線透過率は、高ければ高いほど好ましい。具体的には、光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率がこのような範囲であれば、所望の透明性を確保することができる。光線透過率は、例えば、ASTM-D-1003に準じた方法で測定され得る。
[0015]
 基材フィルムのヘイズは、低ければ低いほど好ましい。具体的には、ヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1%以下である。ヘイズが5%以下であると、フィルムに良好なクリヤー感を与えることができる。さらに、光学積層体を画像表示装置の視認側偏光板の保護層として使用する場合でも、表示内容が良好に視認できる。
[0016]
 基材フィルムの厚み40μmにおけるYIは、好ましくは1.27以下、より好ましくは1.25以下、さらに好ましくは1.23以下、特に好ましくは1.20以下である。YIが1.3を超えると、光学的透明性が不十分となる場合がある。なお、YIは、例えば、高速積分球式分光透過率測定機(商品名DOT-3C:村上色彩技術研究所製)を用いた測定で得られる色の三刺激値(X、Y、Z)より、次式によって求めることができる。
   YI=[(1.28X-1.06Z)/Y]×100
[0017]
 基材フィルムの厚み40μmにおけるb値(ハンターの表色系に準じた色相の尺度)は、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.0以下である。b値が1.5以上である場合、所望でない色味が出る場合がある。なお、b値は、例えば、基材フィルムサンプルを3cm角に裁断し、高速積分球式分光透過率測定機(商品名DOT-3C:村上色彩技術研究所製)を用いて色相を測定し、当該色相をハンターの表色系に準じて評価することにより得られ得る。
[0018]
 基材フィルムの透湿度は、好ましくは300g/m ・24hr以下、より好ましくは250g/m ・24hr以下、さらに好ましくは200g/m ・24hr以下、特に好ましくは150g/m ・24hr以下、最も好ましくは100g/m ・24hr以下である。基材フィルムの透湿度がこのような範囲であれば、偏光子の保護層として用いた場合に、耐久性および耐湿性に優れた偏光板が得られ得る。
[0019]
 基材フィルムの引張強度は、好ましくは10MPa以上100MPa未満であり、より好ましくは30MPa以上100MPa未満である。10MPa未満の場合には、十分な機械的強度を発現できない場合がある。100MPaを超えると、加工性が不十分となるおそれがある。引張強度は、例えば、ASTM-D-882-61Tに準じて測定され得る。
[0020]
 基材フィルムの引張伸びは、好ましくは1.0%以上、より好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは5.0%以上である。引張伸びの上限は、例えば100%である。引張伸びが1%未満である場合には、靭性が不十分となる場合がある。引張伸びは、例えば、ASTM-D-882-61Tに準じて測定され得る。
[0021]
 基材フィルムの引張弾性率は、好ましくは0.5GPa以上、より好ましくは1GPa以上、さらに好ましくは2GPa以上である。引張弾性率の上限は、例えば20GPaである。引張弾性率が0.5GPa未満である場合には、十分な機械的強度を発現できない場合がある。引張弾性率は、例えば、ASTM-D-882-61Tに準じて測定され得る。
[0022]
 基材フィルムは、目的に応じて任意の適切な添加剤を含んでいてもよい。添加剤の具体例としては、紫外線吸収剤;ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーまたは無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;などが挙げられる。添加剤はアクリル系樹脂の重合時に添加されてもよく、フィルム形成時に添加されてもよい。添加剤の種類、数、組み合わせ、添加量等は、目的に応じて適切に設定され得る。
[0023]
B-2.アクリル系樹脂
B-2-1.アクリル系樹脂の構成
 アクリル系樹脂としては、任意の適切なアクリル系樹脂が採用され得る。アクリル系樹脂は、代表的には、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。アクリル系樹脂の主骨格を構成するアルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1~18のものを例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。さらに、アクリル系樹脂には、任意の適切な共重合モノマーを共重合により導入してもよい。このような共重合モノマーの種類、数、共重合比等は目的に応じて適切に設定され得る。アクリル系樹脂の主骨格の構成成分(モノマー単位)については、一般式(2)を参照しながら後述する。
[0024]
 アクリル系樹脂は、好ましくは、グルタルイミド単位、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、マレイミド単位および無水グルタル酸単位から選択される少なくとも1つを有する。ラクトン環単位を有するアクリル系樹脂は、例えば特開2008-181078号公報に記載されており、当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。グルタルイミド単位は、好ましくは、下記一般式(1)で表される:
[0025]
[化1]


[0026]
 一般式(1)において、R およびR は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~8のアルキル基を示し、R は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、または炭素数6~10のアリール基を示す。一般式(1)において、好ましくは、R およびR は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R は水素原子、メチル基、ブチル基またはシクロヘキシル基である。より好ましくは、R はメチル基であり、R は水素原子であり、R はメチル基である。
[0027]
 上記アルキル(メタ)アクリレートは、代表的には、下記一般式(2)で表される:
[0028]
[化2]


[0029]
 一般式(2)において、R は、水素原子またはメチル基を示し、R は、水素原子、あるいは、置換されていてもよい炭素数1~6の脂肪族または脂環式炭化水素基を示す。置換基としては、例えば、ハロゲン、水酸基が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2-クロロエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチルが挙げられる。一般式(2)において、R は、好ましくは、水素原子またはメチル基である。したがって、特に好ましいアルキル(メタ)アクリレートは、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルである。
[0030]
 上記アクリル系樹脂は、単一のグルタルイミド単位のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR 、R およびR が異なる複数のグルタルイミド単位を含んでいてもよい。
[0031]
 上記アクリル系樹脂におけるグルタルイミド単位の含有割合は、好ましくは2モル%~50モル%、より好ましくは2モル%~45モル%、さらに好ましくは2モル%~40モル%、特に好ましくは2モル%~35モル%、最も好ましくは3モル%~30モル%である。含有割合が2モル%より少ないと、グルタルイミド単位に由来して発現される効果(例えば、高い光学的特性、高い機械的強度、偏光子との優れた接着性、薄型化)が十分に発揮されないおそれがある。含有割合が50モル%を超えると、例えば、耐熱性、透明性が不十分となるおそれがある。
[0032]
 上記アクリル系樹脂は、単一のアルキル(メタ)アクリレート単位のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるR およびR が異なる複数のアルキル(メタ)アクリレート単位を含んでいてもよい。
[0033]
 上記アクリル系樹脂におけるアルキル(メタ)アクリレート単位の含有割合は、好ましくは50モル%~98モル%、より好ましくは55モル%~98モル%、さらに好ましくは60モル%~98モル%、特に好ましくは65モル%~98モル%、最も好ましくは70モル%~97モル%である。含有割合が50モル%より少ないと、アルキル(メタ)アクリレート単位に由来して発現される効果(例えば、高い耐熱性、高い透明性)が十分に発揮されないおそれがある。上記含有割合が98モル%よりも多いと、樹脂が脆くて割れやすくなり、高い機械的強度が十分に発揮できず、生産性に劣るおそれがある。
[0034]
 上記アクリル系樹脂は、グルタルイミド単位およびアルキル(メタ)アクリレート単位以外の単位を含んでいてもよい。
[0035]
 1つの実施形態においては、アクリル系樹脂は、後述する分子内イミド化反応に関与していない不飽和カルボン酸単位を例えば0~10重量%含有することができる。不飽和カルボン酸単位の含有割合は、好ましくは0~5重量%であり、より好ましくは0~1重量%である。含有量がこのような範囲であれば、透明性、滞留安定性および耐湿性を維持することができる。
[0036]
 1つの実施形態においては、アクリル系樹脂は、上記以外の共重合可能なビニル系単量体単位(他のビニル系単量体単位)を含有することができる。その他のビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、アリルグリシジルエーテル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N-ビニルジエチルアミン、N-アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N-メチルアリルアミン、2-イソプロペニル-オキサゾリン、2-ビニル-オキサゾリン、2-アクロイル-オキサゾリン、N-フェニルマレイミド、メタクリル酸フェニルアミノエチル、スチレン、α-メチルスチレン、p-グリシジルスチレン、p-アミノスチレン、2-スチリル-オキサゾリンなどがあげられる。これらは、単独で用いてもよく併用してもよい。好ましくは、スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体である。他のビニル系単量体単位の含有割合は、好ましくは0~1重量%であり、より好ましくは0~0.1重量%である。このような範囲であれば、所望でない位相差の発現および透明性の低下を抑制することができる。
[0037]
 上記アクリル系樹脂におけるイミド化率は、好ましくは2.5%~20.0%である。イミド化率がこのような範囲であれば、耐熱性、透明性および成形加工性に優れた樹脂が得られ、フィルム成形時のコゲの発生や機械的強度の低下が防止され得る。上記アクリル系樹脂において、イミド化率は、グルタルイミド単位とアルキル(メタ)アクリレート単位との比で表される。この比は、例えば、アクリル系樹脂のNMRスペクトル、IRスペクトル等から得ることができる。本実施形態においては、イミド化率は、 HNMR BRUKER AvanceIII(400MHz)を用いて、樹脂の H-NMR測定により求めることができる。より具体的には、3.5から3.8ppm付近のアルキル(メタ)アクリレートのO-CH プロトン由来のピーク面積をAとし、3.0から3.3ppm付近のグルタルイミドのN-CH プロトン由来のピークの面積をBとして、次式により求められる。
   イミド化率Im(%)={B/(A+B)}×100
[0038]
 上記アクリル系樹脂の酸価は、好ましくは0.10mmol/g~0.50mmol/gである。酸価がこのような範囲であれば、耐熱性、機械物性および成形加工性のバランスに優れた樹脂を得ることができる。酸価が小さすぎると、所望の酸価に調整するための変性剤の使用によるコストアップ、変性剤の残存によるゲル状物の発生といった問題が生じる場合がある。酸価が大きすぎると、フィルム成形時(例えば、溶融押出時)の発泡が起こりやすくなり、成形品の生産性が低下する傾向がある。上記アクリル系樹脂において、酸価は、当該アクリル系樹脂におけるカルボン酸単位およびカルボン酸無水物単位の含有量である。本実施形態においては、酸価は、例えば、WO2005/054311または特開2005-23272号公報に記載の滴定法により算出することができる。
[0039]
 上記アクリル系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000~2000000、より好ましくは5000~1000000、さらに好ましくは10000~500000、特に好ましくは50000~500000、最も好ましくは60000~150000である。重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフ(GPCシステム,東ソー製)を用いて、ポリスチレン換算により求めることができる。なお、溶剤としてはテトラヒドロフランが用いられ得る。
[0040]
 上記アクリル系樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは125℃以上、最も好ましくは130℃以上である。Tgが110℃以上であれば、このような樹脂から得られた基材フィルムを含む偏光板は、耐久性に優れたものとなりやすい。Tgの上限値は、好ましくは300℃以下、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは285℃以下、特に好ましくは200℃以下、最も好ましくは160℃以下である。Tgがこのような範囲であれば、成形性に優れ得る。
[0041]
B-2-2.アクリル系樹脂の重合
 上記アクリル系樹脂は、例えば、以下の方法で製造することができる。この方法は、(I)一般式(2)で表されるアルキル(メタ)アクリレート単位に対応するアルキル(メタ)アクリレート単量体と、不飽和カルボン酸単量体および/またはその前駆体単量体と、を共重合して共重合体(a)を得ること;および、(II)該共重合体(a)をイミド化剤にて処理することにより、当該共重合体(a)中のアルキル(メタ)アクリレート単量体単位と不飽和カルボン酸単量体および/またはその前駆体単量体単位の分子内イミド化反応を行い、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位を共重合体中に導入すること;を含む。
[0042]
 不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-置換アクリル酸、α-置換メタクリル酸が挙げられる。その前駆体単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく併用してもよい。好ましい不飽和カルボン酸単量体はアクリル酸またはメタクリル酸であり、好ましい前駆体単量体はアクリルアミドである。
[0043]
 共重合体(a)をイミド化剤により処理する方法としては、任意の適切な方法を用いることができる。具体例としては、押出機を用いる方法、バッチ式反応槽(圧力容器)を用いる方法が挙げられる。押出機を用いる方法は、押出機を用いて共重合体(a)を加熱溶融し、これをイミド化剤で処理することを含む。この場合、押出機としては、任意の適切な押出機を用いることができる。具体例としては、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機が挙げられる。バッチ式反応槽(圧力容器)を用いる方法においては、任意の適切なバッチ式反応槽(圧力容器)を用いることができる。
[0044]
 イミド化剤としては、上記一般式(1)で表されるグルタルイミド単位を生成できる限りにおいて任意の適切な化合物を用いることができる。イミド化剤の具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、i-プロピルアミン、n-ブチルアミン、i-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有アミン、アニリン、ベンジルアミン、トルイジン、トリクロロアニリン等の芳香族炭化水素基含有アミン、シクロヘキシルアミン等などの脂環式炭化水素基含有アミンが挙げられる。さらに、例えば加熱によりこのようなアミンを発生する尿素系化合物を用いることもできる。尿素化合物としては、例えば、尿素、1,3-ジメチル尿素、1,3-ジエチル尿素、1,3-ジプロピル尿素が挙げられる。イミド化剤は、好ましくはメチルアミン、アンモニア、シクロヘキシルアミンであり、より好ましくはメチルアミンである。
[0045]
 イミド化においては、上記イミド化剤に加えて、必要に応じて、閉環促進剤を添加してもよい。
[0046]
 イミド化におけるイミド化剤の使用量は、共重合体(a)100重量部に対して、好ましくは0.5重量部~10重量部であり、より好ましくは0.5重量部~6重量部である。イミド化剤の使用量が0.5重量部より少ないと、所望のイミド化率が達成されない場合が多い。その結果、得られる樹脂の耐熱性がきわめて不十分となり、成形後のコゲなどの外観欠陥を誘発する場合がある。イミド化剤の使用量が10重量部を超えると、樹脂中にイミド化剤が残存し、当該イミド化剤により成形後のコゲなどの外観欠陥や発泡を誘発する場合がある。
[0047]
 本実施形態の製造方法は、必要に応じて、上記イミド化に加え、エステル化剤による処理を含むことができる。
[0048]
 エステル化剤としては、例えば、ジメチルカーボネート、2,2-ジメトキシプロパン、ジメチルスルホキシド、トリエチルオルトホルメート、トリメチルオルトアセテート、トリメチルオルトホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルサルフェート、メチルトルエンスルホネート、メチルトリフルオロメタンスルホネート、メチルアセテート、メタノール、エタノール、メチルイソシアネート、p-クロロフェニルイソシアネート、ジメチルカルボジイミド、ジメチル-t-ブチルシリルクロライド、イソプロペニルアセテート、ジメチルウレア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジエトキシシラン、テトラ-N-ブトキシシラン、ジメチル(トリメチルシラン)フォスファイト、トリメチルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジアゾメタン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテルが挙げられる。これらの中でも、コストおよび反応性などの観点から、ジメチルカーボネートが好ましい。
[0049]
 エステル化剤の添加量は、アクリル系樹脂の酸価が所望の値になるように設定され得る。
[0050]
B-2-3.他の樹脂の併用
 本発明の実施形態においては、上記アクリル系樹脂と他の樹脂とを併用してもよい。すなわち、アクリル系樹脂を構成するモノマー成分と他の樹脂を構成するモノマー成分とを共重合し、当該共重合体をB-4項で後述するフィルム形成に供してもよく;アクリル系樹脂と他の樹脂とのブレンドをフィルム形成に供してもよい。他の樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどの他の熱可塑性樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。併用する樹脂の種類および配合量は、目的および得られるフィルムに所望される特性等に応じて適切に設定され得る。例えば、スチレン系樹脂(好ましくは、アクリロニトリル-スチレン共重合体)は、位相差制御剤として併用され得る。
[0051]
 アクリル系樹脂と他の樹脂とを併用する場合、アクリル系樹脂と他の樹脂とのブレンドにおけるアクリル系樹脂の含有量は、好ましくは50重量%~100重量%、より好ましくは60重量%~100重量%、さらに好ましくは70重量%~100重量%、特に好ましくは80重量%~100重量%である。含有量が50重量%未満である場合には、アクリル系樹脂が本来有する高い耐熱性、高い透明性が十分に反映できないおそれがある。
[0052]
B-3.コアシェル型粒子
 上記基材フィルムにおいて、コアシェル型粒子は、アクリル系樹脂100重量部に対して、好ましくは3重量部~50重量部、より好ましくは5重量部~25重量部、さらに好ましくは7重量部~15重量部配合される。これにより、基材フィルムを形成するアクリル系樹脂の表面処理層への溶出が促進され、その結果、基材フィルム上に、アクリル系樹脂と表面処理層を構成する組成物との均一性の高い相溶層が形成され得る。これにより、基材フィルムに表面処理層を形成することによる基材フィルムの傷の顕在化を抑制し得る。さらに、基材フィルムと表面処理層との密着性を向上し得る。
[0053]
 コアシェル型粒子は、代表的には、ゴム状重合体で構成されたコアと、ガラス状重合体で構成され該コアを被覆する被覆層と、を有する。コアシェル型粒子は、最内層または中間層として、ガラス状重合体で構成された層を一層以上有していてもよい。
[0054]
 コアを構成するゴム状重合体のTgは、好ましくは20℃以下であり、より好ましくは-60℃~20℃であり、さらに好ましくは-60℃~10℃である。コアを構成するゴム状重合体のTgが20℃を超えると、アクリル系樹脂の機械的強度の向上が十分ではないおそれがある。被覆層を構成するガラス状重合体(硬質重合体)のTgは、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは50℃~140℃であり、さらに好ましくは60℃~130℃である。被覆層を構成するガラス状重合体のTgが50℃より低いと、アクリル系樹脂の耐熱性が低下するおそれがある。
[0055]
 コアシェル型粒子におけるコアの含有割合は、好ましくは30重量%~95重量%、より好ましくは50重量%~90重量%である。コアにおけるガラス状重合体層の割合は、コアの総量100重量%に対して0~60重量%、好ましくは0~45重量%、より好ましくは10重量%~40重量%である。コアシェル型粒子における被覆層の含有割合は、好ましくは5重量%~70重量%、より好ましくは10重量%~50重量%である。
[0056]
 1つの実施形態においては、アクリル系樹脂中に分散されたコアシェル型粒子は扁平形状を有し得る。コアシェル型粒子は、B-4項で後述する延伸によって扁平化され得る。扁平化されたコアシェル型粒子の長さ/厚みの比は7.0以下である。長さ/厚みの比は、好ましくは6.5以下であり、より好ましくは6.3以下である。一方、長さ/厚みの比は、好ましくは4.0以上であり、より好ましくは4.5以上であり、さらに好ましくは5.0以上である。本明細書において「長さ/厚みの比」とは、コアシェル型粒子の平面視形状の代表長さと厚みとの比を意味する。ここで、「代表長さ」とは、平面視形状が円形の場合には直径、楕円形の場合には長径、矩形または多角形の場合には対角線の長さをいう。当該比は、例えば、以下の手順で求められ得る。得られたフィルム断面を透過型電子顕微鏡(例えば、加速電圧80kV、RuO 染色超薄切片法)で撮影し、得られた写真に存在するコアシェル型粒子のうち長いもの(代表長さに近い断面が得られているもの)から順に30個を抽出し、(長さの平均値)/(厚みの平均値)を算出することにより、当該比が得られ得る。
[0057]
 コアシェル型粒子のコアを構成するゴム状重合体、被覆層を構成するガラス状重合体(硬質重合体)、これらの重合方法、およびその他の構成の詳細については、例えば特開2016-33552号公報に記載されている。この公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
[0058]
B-4.基材フィルムの形成
 本発明の実施形態による基材フィルムは、代表的には、上記アクリル系樹脂(その他の樹脂を併用する場合には、当該その他の樹脂とのブレンド)およびコアシェル型粒子を含む組成物をフィルム形成することを含む方法により形成され得る。さらに、基材フィルムを形成する方法は、上記フィルムを延伸することを含み得る。
[0059]
 フィルム形成に用いられるコアシェル型粒子の平均粒子径は、好ましくは1nm~500nmである。コアの平均粒子径は、好ましくは50nm~300nmであり、より好ましくは70nm~300nmである。
[0060]
 フィルムを形成する方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。具体例としては、キャスト塗工法(例えば、流延法)、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、カレンダー成形法、熱プレス法が挙げられる。好ましくは、押出成形法またはキャスト塗工法である。得られるフィルムの平滑性を高め、良好な光学的均一性を得ることができるからである。特に好ましくは、押出成形法である。残存溶媒による問題を考慮する必要がないからである。中でも、Tダイを用いた押出成形法が、フィルムの生産性および以降の延伸処理の容易性の観点から好ましい。成形条件は、使用される樹脂の組成や種類、得られるフィルムに所望される特性等に応じて適宜設定され得る。
[0061]
 延伸方法としては、任意の適切な延伸方法、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸速度、延伸方向)が採用され得る。延伸方法の具体例としては、自由端延伸、固定端延伸、自由端収縮、固定端収縮が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、同時に用いてもよく、逐次に用いてもよい。アクリル系樹脂に対するコアシェル型粒子の配合量が適切に調整されたフィルムを適切な延伸条件で延伸することにより、アクリル系樹脂の表面処理層への溶出が促進され、その結果、基材フィルム上に、アクリル系樹脂と表面処理層を構成する組成物との均一性の高い相溶層が形成され得る。
[0062]
 延伸方向は、目的に応じて適切な方向が採用され得る。具体的には、長さ方向、幅方向、厚さ方向、斜め方向が挙げられる。延伸方向は、一方向であってもよく(一軸延伸)、二方向であってもよく(二軸延伸)、三方向以上であってもよい。本発明の実施形態においては、代表的には、長さ方向の一軸延伸、長さ方向および幅方向の同時二軸延伸、長さ方向および幅方向の逐次二軸延伸が採用され得る。好ましくは、二軸延伸(同時または逐次)である。面内位相差の制御が容易であり、光学的等方性を実現しやすいからである。
[0063]
 延伸温度は、基材フィルムに所望される光学的特性、機械的特性および厚み、使用される樹脂の種類、使用されるフィルムの厚み、延伸方法(一軸延伸または二軸延伸)、延伸倍率、延伸速度等に応じて変化し得る。具体的には、延伸温度は、好ましくはTg~Tg+50℃、さらに好ましくはTg+15℃~Tg+50℃、最も好ましくはTg+35℃~Tg+50℃である。このような温度で延伸することにより、適切な特性を有する基材フィルムが得られ得る。具体的な延伸温度は、例えば110℃~200℃であり、好ましくは120℃~190℃である。延伸温度がこのような範囲であれば、延伸倍率および延伸速度を適切に調整することにより、アクリル系樹脂の表面処理層への溶出が促進され、その結果、基材フィルム上に、アクリル系樹脂と表面処理層を構成する組成物との均一性の高い相溶層が形成され得る。
[0064]
 延伸倍率もまた、延伸温度と同様に、光学的特性、機械的特性および厚み、使用される樹脂の種類、使用されるフィルムの厚み、延伸方法(一軸延伸または二軸延伸)、延伸温度、延伸速度等に応じて変化し得る。二軸延伸を採用する場合、幅方向(TD)の延伸倍率と長さ方向(MD)の延伸倍率との比(TD/MD)は、好ましくは1.0~1.5であり、より好ましくは1.0~1.4であり、さらに好ましくは1.0~1.3である。また、二軸延伸を採用する場合の面倍率(長さ方向の延伸倍率と幅方向の延伸倍率との積)は、好ましくは2.0~6.0であり、より好ましくは3.0~5.5であり、さらに好ましくは3.5~5.2である。延伸倍率がこのような範囲であれば、延伸温度および延伸速度を適切に調整することにより、アクリル系樹脂の表面処理層への溶出が促進され、その結果、基材フィルム上に、アクリル系樹脂と表面処理層を構成する組成物との均一性の高い相溶層が形成され得る。
[0065]
 延伸速度もまた、延伸温度と同様に、光学的特性、機械的特性および厚み、使用される樹脂の種類、使用されるフィルムの厚み、延伸方法(一軸延伸または二軸延伸)、延伸温度、延伸倍率等に応じて変化し得る。延伸速度は、好ましくは3%/秒~20%/秒であり、より好ましくは3%/秒~15%/秒であり、さらに好ましくは3%/秒~10%/秒である。二軸延伸を採用する場合、1つの方向の延伸速度ともう1つの方向の延伸速度とは、同一であってもよく異なっていてもよい。延伸速度がこのような範囲であれば、延伸温度および延伸倍率を適切に調整することにより、アクリル系樹脂の表面処理層への溶出が促進され、その結果、基材フィルム上に、アクリル系樹脂と表面処理層を構成する組成物との均一性の高い相溶層が形成され得る。
[0066]
 以上のようにして、基材フィルムが形成され得る。
[0067]
C.表面処理層
 表面処理層は、光学積層体に求められる機能に応じて基材フィルムの片側に形成された任意の適切な機能層である。表面処理層の具体例としては、ハードコート層、防眩層、および反射防止層等が挙げられる。表面処理層の厚みは、好ましくは3μm~20μmであり、より好ましくは5μm~15μmである。
[0068]
 表面処理層は、代表的には、基材フィルム上に形成された樹脂組成物の硬化層である。表面処理層を形成する工程は、基材フィルム上に表面処理層形成用の樹脂組成物を塗布して塗布層を形成することと、上記塗布層を乾燥および硬化して表面処理層とすることを含み得る。上記塗布層を乾燥および硬化することは、上記塗布層を加熱することを含み得る。
[0069]
 樹脂組成物の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法、コンマコート法が挙げられる。塗布を容易にする観点から、樹脂組成物は希釈用の溶剤を含むことが好ましい。
[0070]
 塗布層の加熱温度は、樹脂組成物の組成に応じた任意の適切な温度に設定され得、好ましくは、基材フィルムに含まれるアクリル系樹脂のガラス転移温度以下に設定される。基材フィルムに含まれるアクリル系樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱すれば、加熱による変形が抑制された光学積層体が得られ得る。塗布層の加熱温度は、例えば、50℃~140℃であり、好ましくは60℃~100℃である。このような加熱温度で加熱することにより、基材フィルムと表面処理層との密着性に優れた光学積層体が得られ得る。
[0071]
C-1.ハードコート層
 ハードコート層は、基材フィルムの表面に耐擦傷性および耐薬品性等を付与する層である。ハードコート層は、鉛筆硬度試験で好ましくはH以上、より好ましくは3H以上の硬度を有する。鉛筆硬度試験は、JIS K 5400に準じて測定され得る。ハードコート層形成用の樹脂組成物は、例えば、熱、光(紫外線等)または電子線等により硬化し得る硬化性化合物を含み得る。ハードコート層およびハードコート層形成用の樹脂組成物の詳細は、例えば特開2014-240955号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
[0072]
C-2.防眩層
 防眩層は、光を散乱して反射させることで、外光の映り込みを防止するための層である。防眩層形成用の樹脂組成物は、例えば、熱、光(紫外線等)または電子線等により硬化し得る硬化性化合物を含み得る。防眩層は、代表的には、表面に微細凹凸形状を有する。このような微細凹凸形状を形成する方法としては、例えば、上記硬化性化合物に微粒子を含有させる方法が挙げられる。防眩層および防眩層形成用の樹脂組成物の詳細は、例えば特開2017-32711号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
[0073]
C-3.反射防止層
 反射防止層は、外光の反射を防止するための層である。反射防止層形成用の樹脂組成物は、例えば、熱、光(紫外線等)または電子線等により硬化し得る硬化性化合物を含み得る。反射防止層は、1層のみからなる単層であっても良いし、2層以上からなる複数層であっても良い。反射防止層および反射防止層形成用の樹脂組成物の詳細は、例えば特開2012-155050号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
[0074]
D.偏光板
 上記AからC項に記載の光学積層体は、偏光板に適用され得る。したがって、本発明は、そのような光学積層体を用いた偏光板も包含する。代表的には、偏光板は、偏光子と、偏光子の片側に配置された本発明の光学積層体と、を有する。光学積層体は、その基材フィルム側が偏光子と貼り合わせられ、偏光子の保護層として機能し得る。
[0075]
 偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
[0076]
 単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
[0077]
 上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
[0078]
 積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
[0079]
 偏光子の厚みは、例えば1μm~80μmである。1つの実施形態においては、偏光子の厚みは、好ましくは2μm~30μmであり、さらに好ましくは3μm~25μmである。
[0080]
E.画像表示装置
 上記D項に記載の偏光板は、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明は、そのような偏光板を用いた画像表示装置も包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置が挙げられる。画像表示装置は業界で周知の構成が採用されるので、詳細な説明は省略する。
実施例
[0081]
 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。なお、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
(1)表面処理層に溶出したアクリル系樹脂の成分の割合
 三次元光屈折率・膜厚測定装置プリズムカプラー(Metricon社製、Metricon2010/M)を用いる方法により、表面処理層に溶出したアクリル系樹脂の成分の割合を測定した。プリズムカプラーを用いた屈折率の測定は以下の条件で実施した。
・測定条件
光源:594nm
モード:TE
Scan:300~-300
(1-1)基材フィルムの屈折率R1
 Measurement type:Bulk/Substrate
 基材フィルムの測定によりモード(Kneeと呼ばれる)を検出した。測定により得られた屈折率をR1とした。
(1-2)表面処理層の屈折率R2
 Measurement type:Single Film(Prism Couple)
 基材フィルムとしてPET基材(東レ社製、商品名:U48-3、屈折率:1.60)を用い、塗布層の加熱温度を60℃とした以外は、各実施例と同様にして、各実施例と同厚みの積層体を得た。この積層体をSingle Filmモードで測定する事により、複数のモードを検出した。測定により得られた屈折率をR2とした。
(1-3)基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置における屈折率R3
 Measurement type:Single Film(Prism Couple)
 解析手法:Index gradient
 光学積層体中で深さ方向に屈折率が変化している場合には、上記プリズムカプラーを用いる方法により、深さ方向に対する屈折率変化を定量的に求めることができる。
 光学積層体の測定により、複数のモードを検出し、Index gradient解析により、深さ方向に対する屈折率変化を算出した。基材フィルム側から表面処理層の方向に「3.0μmの深さの位置」を、以下の式に基づいて決定し、得られた屈折率をR3とした。
「3.0μmの深さの位置」(表面処理側からの位置)=表面処理層厚み(PET基材ハードコート厚み)-(3μm)
(1-4)基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち表面処理層に溶出したアクリル系樹脂の成分の割合X
 以下の式より、基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち表面処理層に溶出したアクリル系樹脂の成分の割合X(%)を算出した。
X(%)=(R3-R2)×100/(R1-R2)
(2)外観評価
 実施例および比較例で得られた光学積層体について、目視により外観不良(基材フィルムに形成した傷に由来する外観不良)の有無を確認し、以下の指標により判定した。
○:傷の跡が目視される
×:傷の跡が目視されない
(3)密着性評価
 表面処理層の基材フィルムに対する密着性を、JIS K-5400の碁盤目剥離試験(碁盤目数:100個)に準じて評価し、以下の指標により判定した。
〇:碁盤目剥離数が0個
×:碁盤目剥離数が1個以上
[0082]
<実施例1>
1.基材フィルムの作製
 MS樹脂(MS-200;メタクリル酸メチル/スチレン(モル比)=80/20の共重合体,新日鐵化学株式会社製)をモノメチルアミンでイミド化(イミド化率:5%)した。得られたイミド化MS樹脂は、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位(R およびR はメチル基、R は水素原子である)、一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位(R およびR はメチル基である)、およびスチレン単位を有していた。なお、上記イミド化には、口径15mmの噛合い型同方向回転式二軸押出機を用いた。押出機の各温調ゾーンの設定温度を230℃、スクリュー回転数150rpmとし、MS樹脂を2.0kg/hrで供給し、モノメチルアミンの供給量はMS樹脂100重量部に対して2重量部とした。ホッパーからMS樹脂を投入し、ニーディングブロックによって樹脂を溶融および充満させた後、ノズルからモノメチルアミンを注入した。反応ゾーンの末端にはシールリングを入れて樹脂を充満させた。反応後の副生成物および過剰のメチルアミンを、ベント口の圧力を-0.08MPaに減圧して脱揮した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。得られたイミド化MS樹脂のイミド化率は5.0%、酸価は0.5mmol/gであった。
 上記で得られたイミド化MS樹脂100重量部とコアシェル型粒子5重量部とを単軸押出機に投入して溶融混合し、Tダイを通してフィルム形成することにより押出フィルムを得た。得られた押出フィルムを、延伸温度140℃で長さ方向および幅方向にそれぞれ2倍に同時二軸延伸した。延伸速度は、長さ方向および幅方向ともに10%/秒であった。
 このようにして、厚み30μmの基材フィルムAを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムAの片側に、硬化後の厚みが6μmとなるようにUV硬化性樹脂(4-HBA(大阪有機化学工業株式会社製)16重量部、NKオリゴUA-53H-80BK(新中村化学工業株式会社製)32重量部、ビスコート#300(大阪有機化学工業株式会社製)48重量部、A-GLY-9E(新中村化学工業株式会社製)4重量部、IRGACURE907(BASF製)2.4重量部を混合し、それぞれMIBK:PGM=50:50の溶媒で固形分濃度42.0%となるよう希釈したもの)を塗布して塗布層を形成した。次いで、上記塗布層を、70℃で乾燥させるとともにUV硬化させることにより、基材フィルムAの片側にハードコート層が形成された光学積層体1を得た。上記光学積層体1を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0083]
<実施例2>
1.基材フィルムの作製
 コアシェル型粒子の配合量を10重量部としたこと、および押出フィルムの延伸温度を150℃としたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムBを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムBを用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムBの片側にハードコート層が形成された光学積層体2を得た。上記光学積層体2を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0084]
<実施例3>
1.基材フィルムの作製
 コアシェル型粒子の配合量を10重量部としたこと、および押出フィルムの延伸温度を160℃としたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムCを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムCを用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムCの片側にハードコート層が形成された光学積層体3を得た。上記光学積層体3を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0085]
<実施例4>
1.基材フィルムの作製
 コアシェル型粒子の配合量を13重量部としたこと、および押出フィルムの延伸温度を152℃としたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムDを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムDを用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムDの片側にハードコート層が形成された光学積層体4を得た。上記光学積層体4を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0086]
<実施例5>
1.基材フィルムの作製
 上記で得られたイミド化MS樹脂100重量部とコアシェル型粒子15重量部とを単軸押出機に投入して溶融混合し、Tダイを通してフィルム形成することにより押出フィルムを得た。得られた押出フィルムを、延伸温度152℃で長さ方向および幅方向にそれぞれ2倍に同時二軸延伸した。延伸速度は、長さ方向および幅方向ともに10%/秒であった。
 このようにして、厚み40μmの基材フィルムEを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムEを用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムEの片側にハードコート層が形成された光学積層体5を得た。上記光学積層体5を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0087]
<実施例6>
1.基材フィルムの作製
 コアシェル型粒子の配合量を23重量部としたこと、および押出フィルムの延伸温度を137℃としたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムFを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムFを用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムFの片側にハードコート層が形成された光学積層体6を得た。上記光学積層体6を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0088]
<実施例7>
1.基材フィルムの作製
 上記で得られたイミド化MS樹脂100重量部とコアシェル型粒子23重量部とを単軸押出機に投入して溶融混合し、Tダイを通してフィルム形成することにより押出フィルムを得た。得られた押出フィルムを、延伸温度152℃で長さ方向および幅方向にそれぞれ2倍に同時二軸延伸した。延伸速度は、長さ方向および幅方向ともに10%/秒であった。
 このようにして、厚み20μmの基材フィルムGを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムGを用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムGの片側にハードコート層が形成された光学積層体7を得た。上記光学積層体7を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0089]
<実施例8>
1.基材フィルムの作製
 コアシェル型粒子の配合量を10重量部としたこと、および押出フィルムの延伸温度を160℃としたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムHを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムHを用い、乾燥後の膜厚を15μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムHの片側にハードコート層が形成された光学積層体8を得た。上記光学積層体8を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0090]
<比較例1>
1.基材フィルムの作製
 上記で得られたイミド化MS樹脂を単軸押出機に投入して溶融混合し、Tダイを通してフィルム形成することにより押出フィルムを得た。得られた押出フィルムを、延伸温度130℃で長さ方向および幅方向にそれぞれ2倍に同時二軸延伸した。延伸速度は、長さ方向および幅方向ともに10%/秒であった。
 このようにして、厚み40μmの基材フィルムIを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムIを用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムIの片側にハードコート層が形成された光学積層体9を得た。上記光学積層体9を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0091]
<比較例2>
1.基材フィルムの作製
 コアシェル型粒子を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムJを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムJを用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムJの片側にハードコート層が形成された光学積層体10を得た。上記光学積層体10を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0092]
<比較例3>
1.基材フィルムの作製
 コアシェル型粒子を配合しなかったこと、および押出フィルムの延伸温度を160℃としたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムKを作製した。
2.光学積層体の作製
 上記基材フィルムKを用いたこと以外は実施例1と同様にして、基材フィルムKの片側にハードコート層が形成された光学積層体11を得た。上記光学積層体11を各評価に供した。結果を表1に示す。
[0093]
[表1]


[0094]
 表1から明らかなように、基材フィルム側から表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち表面処理層に溶出した前記アクリル系樹脂の成分の割合が18%以上である基材フィルムを用いた実施例1~8の光学積層体は、外観および密着性に優れていた。

産業上の利用可能性

[0095]
 本発明の光学積層体は、偏光子の保護層として好適に用いられる。保護層として本発明の光学積層体を有する偏光板は、画像表示装置に好適に用いられる。上記のような画像表示装置は、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯ゲーム機などの携帯機器;パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機などのOA機器;ビデオカメラ、テレビ、電子レンジなどの家庭用電気機器;バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオなどの車載用機器;デジタルサイネージ、商業店舗用インフォメーション用モニターなどの展示機器;監視用モニターなどの警備機器;介護用モニター、医療用モニターなどの介護・医療機器;などの各種用途に用いることができる。

符号の説明

[0096]
 10   基材フィルム
 20   表面処理層
 100  光学積層体

請求の範囲

[請求項1]
 アクリル系樹脂を含有する基材フィルムと、該基材フィルムの片側に形成された表面処理層と、を含み、
 前記基材フィルム側から前記表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置を構成する成分のうち前記表面処理層に溶出した前記アクリル系樹脂の成分の割合が18%以上である、光学積層体。
[請求項2]
 前記基材フィルムの屈折率をR1とし、前記表面処理層の屈折率をR2とし、前記基材フィルム側から前記表面処理層の方向に3.0μmの深さの位置における屈折率をR3としたとき、
R3≦0.18R1+0.82R2 (ただし、R1<R2とする)
を満足する、請求項1に記載の光学積層体。
[請求項3]
 前記表面処理層の厚みが3μm~20μmである、請求項1または2に記載の光学積層体。
[請求項4]
 前記基材フィルムが、前記アクリル系樹脂と、該アクリル系樹脂に分散されたコアシェル型粒子と、を含む、請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体。
[請求項5]
 前記基材フィルムが、前記アクリル系樹脂100重量部に対して、前記コアシェル型粒子を3重量部~50重量部含有する、請求項4に記載の光学積層体。
[請求項6]
 前記アクリル系樹脂が、グルタルイミド単位、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、マレイミド単位および無水グルタル酸単位からなる群から選択される少なくとも1つを有する、請求項1から5のいずれかに記載の光学積層体。
[請求項7]
 前記表面処理層が、前記基材フィルム上に塗布された樹脂の硬化層である、請求項1から6のいずれかに記載の光学積層体。
[請求項8]
 前記表面処理層が、ハードコート層、防眩層および反射防止層からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1から7のいずれかに記載の光学積層体。
[請求項9]
 偏光子と、該偏光子の片側に配置された保護層と、を含み、
 前記保護層が請求項1から8のいずれかに記載の光学積層体である、偏光板。
[請求項10]
 請求項9に記載の偏光板を備える、画像表示装置。

図面

[ 図 1]