このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2018190155) ディスプレイ用印刷物
Document

明 細 書

発明の名称 ディスプレイ用印刷物

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

非特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009  

発明の効果

0010   0011   0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

実施例

0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058  

符号の説明

0059  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : ディスプレイ用印刷物

技術分野

[0001]
 本発明は、光源パネル上に保持されて使用されるディスプレイ用印刷物に関する。

背景技術

[0002]
 従来、化粧品売場では、コルトン等の印刷物の裏面から光を照射する内照式ディスプレイが広く使用されてきた。内照式ディスプレイは、光量が多く視認性に優れ、人々の注意を惹きやすい。

先行技術文献

非特許文献

[0003]
非特許文献1 : トッパン・フォームズ株式会社、“「紙媒体の方がディスプレーより理解できる」ダイレクトメールに関する脳科学実験で確認”、[online]、2013年7月23日、インターネット(http://www.toppan-f.co.jp/news/2013/0723.html)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかしながら、近年、光が脳に及ぼす影響の研究が進み、内照式ディスプレイでは情報が人々の印象に残り辛いことが分かってきた。詳述すると、人々の目には、内照式ディスプレイを見るときには主に透過光が届き、外照式ディスプレイや照明を備えていないディスプレイを見るときには反射光が届く。人間の脳、特に脳内情報を理解する領域である前頭前皮質は、透過光を通じて情報を取り入れたとき、反射光を通じて取り入れたときに比べて反応が弱くなる(非特許文献1参照)。そのため、内照式ディスプレイに掲載する情報は人々の記憶に残りにくいのである。
[0005]
 また、内照式ディスプレイは、裏面にある照明の影響により、印刷像が平面的で無機質な印象を与え易い傾向にあり、これが前述した欠点を助長していた。
[0006]
 従って、本発明の目的は、人々の印象に残りやすい印刷像を有するディスプレイ用印刷物を提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明によれば、光源パネル上に保持されて使用されるディスプレイ用印刷物において、印刷面にインクジェット像が形成された印刷シートを複数枚有し、該複数枚の印刷シートが、隣接する印刷シート同士で印刷面と裏面(印刷面でない方の面)が対面するように積層されており、最下層に位置する印刷シートの裏面が前記光源パネル側に向いていることを特徴とするディスプレイ用印刷物が提供される。
[0008]
 本発明のディスプレイ用印刷物においては、以下の態様が好ましい。
(1)前記印刷シートの間に粘着材層が介在している。
(2)前記粘着材層が、透明であり且つ全面に設けられている。
(3)前記複数枚の印刷シートが、光透過性を有している。
(4)最下層に位置する印刷シートに形成されたインクジェット像の明度が最も高く、最上層に位置する印刷シートに形成されたインクジェット像の明度が最も低い。
(5)前記印刷シートを2枚有し、光源パネル側に位置する印刷シートの印刷面が、他方の印刷シートの裏面と対面している。
[0009]
 本明細書において「明度」とは、具体的には、L 表色系における明度L を意味する。明度は、分光色差計、例えば日本電色工業株式会社製NF555を用いて測定することができる。インクジェット像どうしや印刷像どうしで明度を比較する場合、特に断りが無い限り、標準白色板を試験片の裏側にセットした状態で像の中で最も明度の高い部分を比べるものとする。

発明の効果

[0010]
 本発明のディスプレイ用印刷物に設けられる印刷像は印象に残りやすい。その理由は定かではないが、本発明者等は以下のように推察している。
 即ち、本発明では、絵柄や写真、文字などがインクジェット印刷された印刷シートを複数枚用意し、これらの印刷シートを、隣接する印刷シート同士で印刷面と裏面が対面するように且つインクジェット像の位置が同じになるように重ねている。かかる印刷物の裏面から光を当てると、図1に示されているように、明度の高い部分(図1では花の絵)では表側まで多くの光が透過し、一方明度が低い部分では、表側には光が透過しづらくなる。そのため、見る者の目に、明度の高い部分からは透過光と反射光の両方が入り、明度の低い部分からは反射光が入り、総合的に多くの反射光と少しの透過光が入ることとなる。よって、先に説明した原理により、脳が活性化し、掲載情報が見る者の印象に残りやすい。
[0011]
 更に、光の透過により、本発明の印刷物では、明るい色の部分は、本来の色の明るさ(裏面から光を照射していない状態での色の明るさ)を超えて視認され、例えば白い部分はより白く視認されるので、印刷物全体のダイナミックレンジ(輝度差)が広がり、まるで実物を見ているかのように遠近感や立体感が強調される。更にまた、印刷シートを重ねることで、本発明の印刷物はある程度の厚みを有しており、且つ、インクジェット像の位置に極僅かにずれが生じたり、印刷シート同士が僅かに離れていたりしている。これによって、本発明の印刷物では、表側から入射する自然光や屋内照明等の光と、裏側からの照射光の両方が複雑な挙動を示し、1枚だけの印刷シートからなる印刷物では実現しえない、深みがあって情緒的な印刷像を形成する。このように、美観の点でも、本発明における印刷像は印象に残りやすい。
[0012]
 加えて、付随的な効果として、見る者の目に反射光と透過光の両方が入ることにより、バックライトの存在を意識させない、自然な印象を与えるという利点もある。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 本発明の効果を説明するための概略図である。
[図2] 本発明の印刷物の構造の一例を示す概略断面図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 本発明は、パソコンで編集・作成された画像、手描き画像、カメラ(スマートフォン等のカメラ機能付デバイスやデジタルカメラを含む。)で撮影された画像またはこれらの組み合わせを印刷対象画像としたディスプレイ用印刷物であり、光源パネル上に保持されて利用され、例えばコルトン等に好適に適用されるものである。
[0015]
 以下、図1および図2を参照し、本発明の実施形態を説明する。1で示される本発明の印刷物は、2枚の印刷シート2a、2bを有している。光源パネル10側に位置する方が下側印刷シート2aであり、その上に位置する方が上側印刷シート2bである。印刷シート2a、2bの印刷面には、インクジェット印刷により、それぞれインクジェット像3a、3bが形成されている。これらの印刷シート2a、2bは、下側印刷シート2aの印刷面と上側印刷シート2bの裏面が対面するように積層されており、下側印刷シート2aの裏面が光源パネル10側に向いている。
[0016]
 印刷用シートとしては、印刷後に適度に光を透過しうるものであれば任意の基材シートを使うことができる。具体的には、パルプ紙または以下の樹脂等からなる樹脂製シート乃至フィルムを用いることができる。
  ビニル系樹脂、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等;
  アクリル系樹脂、例えばポリ(メタ)アクリレート等;
  ポリオレフィン樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等;
  ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート等;
あるいは、ガラス繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の繊維状物からなる織布または不織布を用いることもできる。基材シートは、これらを2種類以上積層した積層フィルム乃至シートであってもよい。
[0017]
 上記の基材シートをそのまま印刷用シートとして用いることができるが、得られる印刷像をより鮮明なものにするためには、上記の基材シート上に公知のインク受容層が設けられていることが好ましい。
[0018]
 最終的に得られる印刷像に高い芸術性を求める場合は、下側印刷シート2aの形成に、和紙等のパルプ紙、合成紙、織布、または不織布を用いることが好ましく、パルプ紙が特に好ましい。最終的に得られる印刷像に柔らかい印象を与えることができるからである。一方、印刷像を目立たせて広告等の商業用途で有利なものとしたい場合は、下側印刷シート2aの形成に、樹脂製シート乃至フィルムを用いることが好ましい。印刷像におけるダイナミックレンジを広げやすいからである。
[0019]
 最終的に得られる印刷像をより情緒的なものにするためには、上側印刷シート2bの形成に、基材シート上にインク受容層として無機固体層を設けたものを使用することが好ましい。基材シート上に無機固体層が設けられた印刷用シートとしては、例えば、特許第5039701号に記載されている、基材紙上に設けられる印刷層が水酸化カルシウムを有しており、この水酸化カルシウムの一部が空気中の炭酸ガスと反応して漆喰(炭酸カルシウム)となっている、印刷用シートが挙げられる。かかる印刷用シートを用いると、漆喰が有する光の拡散効果により、上側インクジェット像3bが深みのある像となり、その結果、最終的に得られる印刷像も深みがあって情緒的な像となる。また、印刷後に炭酸ガスとの反応が進行する過程で、インク中の色材の一部が生成する漆喰(炭酸カルシウム)に取り込まれ、その結果、紫外線等による色材の劣化が抑制され、印刷物の耐光性が向上する。
[0020]
 印刷用シートの厚みは、印刷物の大きさや光源の明るさ等に応じて適宜決定されるが、通常、平均厚みが0.1~2.0mmとなるように設定される。印刷用シートが厚すぎると、裏面からの光の透過量が不十分となる虞があり、薄すぎると、強度不十分となる虞がある。平均厚みは、JIS P 8118に準拠して測定される。
[0021]
 インクジェット印刷は公知の方法により行えばよい。即ち、印刷対象画像を、必要に応じて公知の画像編集ソフト、例えばアドビシステムズ株式会社製Adobe Photoshop CS6(登録商標)(以下、これをフォトショップと略称することがある。)で明度調整し、公知のインクジェットプリンタで印刷すればよい。プリンタとしては非接触式のものが好ましい。印刷用インクとしては、印刷後に得られる印刷シートの光透過性を損なわない限り、染料系、顔料系問わず任意のインクジェット用インクを使うことができる。
[0022]
 上側印刷シート2bに設けられる上側インクジェット像3bは、印刷対象画像そのものを印刷したものであってよく、あるいは、印刷対象画像を所望の明度に調整した画像を印刷したものであってもよい。以下、上側インクジェット像3b用の画像を上側用画像と呼ぶことがある。
[0023]
 上側インクジェット像3bを有する印刷シート2bにおいて、最も明度の高い部分と最も明度の低い部分の明度差は大きい方が好ましく、具体的には、裏側から光が当たっていない状態(即ち反射光を選択的に観測している状態)で、明度差がL 値で55以上、特に65~90であることが好ましい。インクジェット像の明度差を大きくすると、通常、付随して輝度差も大きくなり、印刷シート裏面から光を照射した状態(即ち透過光と反射光の両方を観測している状態)では、さらに輝度差も大きくなる。これにより立体感や奥行き感を特に向上させることができる。
[0024]
 下側印刷シート2aに設けられる下側インクジェット像3aの形成には、上側用画像と同じ画像を用いてもよいが、最終的に得られる印刷像において最も明度が高い部分と最も明度が低い部分の明度差が大きくなり、本発明の効果が最大限に発揮されるという観点から、上側用画像よりも明度が高い画像を用いることが好ましい。これにより、本発明の印刷物1において、下側インクジェット像3aの明度は上側インクジェット像3bの明度と同じかそれより高くなる。以下、下側インクジェット像3a用の画像を下側用画像と呼ぶことがある。
[0025]
 上側用画像より明度の高い下側用画像を得るには、例えばフォトショップ等の公知の画像編集ソフトを用い、上側用画像の上に不透明度5~80%の白色レイヤー(白さ100%)を重ねるという方法がある。あるいは、上側用画像の明度の高い部分を選択的に消しゴムツールで消してもよい。
[0026]
 上側インクジェット像3bと下側インクジェット像3aの具体的な明度差は、明度が最も高い部分どうしの差で表され、印刷対象画像の内容や用途等に応じて適宜決定されるが、一般に、かかる明度差が4以上、特に6~12であることが好ましい。更に、明度が最も低い部分どうしを比べたときの差が2以上、特に4~10であることがより好ましい。明度差が上記範囲内であるとき、透過光と反射光のバランスがちょうどよいからである。
[0027]
 印刷後の印刷シート2は、光透過性を有していることが好ましく、具体的には、可視光に対して明度が最も高い部分では40%以上、特に60%以上の光線透過率(JIS K 7361に準拠、積分球式光線透過率測定装置で測定)を有することが好ましい。更に、明度が最も低い部分では20%以下、特に10%以下の光線透過率を有することがより好ましい。この光線透過率は、試験片の印刷面の裏側に光線を照射した時の全入射光に対する全透過光の割合のことを意味し、全透過光には拡散透過光と平行透過光とが含まれる。明度が最も低い部分の光透過率が高すぎると、反射光による脳活性化効果が薄れる虞がある。即ち、明度が最も低い部分において光源パネル10から発せられる光が印刷シート1の表面に向けて透過すると、人の目には印刷物は薄いフィルムであると認識され、印刷像のリアリティが低下するためである。
[0028]
 印刷シート同士を積層するにあたっては、ビスや釘等の物理的手段により固定してもよいが、作業性の高さの観点から、図2に示されているように粘着材層4を介在させて化学的に固定することが好ましい。粘着材層4に使用する粘着材に特に制限はなく、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系粘着材;或いは(メタ)アクリル酸や無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性オレフィン系樹脂などの熱溶着性樹脂;等適宜のものを使用することができる。裏面からの光の透過を損なわないという観点から、透明な粘着材を用いることが好ましい。「透明」とは、1.0mm以上の厚みで完全に硬化したときの可視光に対する光線透過率が90%以上であることを意味する。
[0029]
 粘着材層4は粘着材を溶媒に溶かしてから塗布する方法で形成しても良いが、作業性に優れ、仕上がりもきれいなので、粘着材を両面に塗布したポリエステルなどの透明フィルムを離型紙で挟んだ両面粘着シートの形態で使用することが好ましい。
[0030]
 粘着材層4は、任意の位置に設ければよいが、下側印刷シート2aと上側印刷シート2bの接触面全体に設けることが好ましい。印刷シート間に適度な隙間を設け、表側および裏側から入る光が乱反射、屈折等を起こして複雑に透過するようにし、深みのある印刷像を得ることができるからである。粘着材層4の厚みは特に制限されないが、平均厚みが0.02~1.00mmであることが好ましい。
[0031]
 本発明の印刷物1は、上記した基本構造を有するという条件の下、種々の態様を採ることができる。
[0032]
 例えば、上側印刷シート2bの上に公知の透明樹脂からなる保護層を設けてもよい。
[0033]
 また、下側印刷シート2aおよび上側印刷シート2b以外に更に印刷シートを積層してもよく、即ち、3枚以上の印刷シートを有してもよい。3枚以上の印刷シートは、印刷シートが2枚の場合と同様に、隣接する印刷シート同士で印刷面と裏面が対面するように積層され、最下層に位置する印刷シートの裏面が光源パネル側に向いている。
[0034]
 このとき、製造方法や各印刷シートの構成、積層構造等の詳細な態様も、印刷シートが2枚の場合と同じである。
[0035]
 例えば各印刷シートに形成されるインクジェット像の明度に関しては、最下層に位置する印刷シートに形成されたインクジェット像の明度が最も高く、最上層に位置する印刷シートに形成されたインクジェット像の明度が最も低いことが好ましい。最下層に位置する印刷シートに形成されたインクジェット像の明度が最も高く、上層になるほど明度が低くなり、最上層に位置する印刷シートに形成されたインクジェット像の明度が最も低いことが特に好ましい。尚、この場合の明度差も、前記と同様、標準白色板を使用した状態での最も明度の高い部分どうしの差で評価するものとする。
[0036]
 本発明の印刷物1は、透過光と反射光のバランスの観点から、明度が最も高い部分では40%以上、特に60%以上の光線透過率であることが好ましい。更に、明度が最も低い部分では20%以下、特に10%以下の光線透過率であることがより好ましい。
[0037]
 また、本発明の印刷物1の平均厚みは、0.1~6.0mm、特に0.2~3.0mmが好ましい。平均厚みが上記数値範囲に含まれるとき、透過光および反射光のバランスを保ちながらも、強度や印刷像の芸術性等も高めることができ、商品価値の高い印刷物が得られるからである。
[0038]
 本発明の印刷物は、光源パネル上に保持されて利用に供される。光源パネルとしては、特に制限されず公知のものを各種用いることができるが、一般的には、多数のLEDを配列した面状LEDパネルを用いることが好ましい。面状LEDパネルの輝度は、透過光と反射光のバランスの観点から、500~5000cd/cm が好ましく、特に800~4000cd/cm がより好ましい。面状LEDパネルの輝度が高すぎると、印刷物の明度が最も低い部分において透過光が多くなり、画像のリアリティが失われる虞がある。面状LEDパネルの輝度が低すぎると、印刷物の明度が最も高い部分の透過光が少なくなり、反射光のみの画像となり、立体感や奥行き感が発揮されない虞がある。
[0039]
 本発明の印刷物を光源パネル上に保持してディスプレイを作成し、裏面側から光を照射すると、人々は、下側インクジェット像3aと上側インクジェット像3bが重なりあってできる印刷像を視認する。かかる印刷像において、明度の低い箇所からは主に反射光が、明度の高い箇所からは反射光と透過光が、人々の目に入っていく。更に、裏面からの光照射により、照射前と比べて印刷像における輝度差が増大し、即ち、ダイナミックレンジも広くなる。その結果、かかるディスプレイは、人々の注意を惹きつけながらも脳を活発に活動させ、掲載情報がより多くの人の印象に残る。そのため、本発明は、コルトンに代表される内照式ディスプレイに適用され、百貨店の化粧品売場等で好適に利用される。また、写真や絵画の制作や複製に適用することができ、鑑賞者の情感に訴えかける、これまでにない新しい作品を実現することもできる。
実施例
[0040]
 本発明の優れた効果を、次の実施例で説明する。
 なお、以下に、実施例で用いた各試験評価方法および材料を示す。
[0041]
<リアリティと奥行き感の評価方法>
 実施例および比較例で得られたディスプレイ用印刷物を、下側印刷シートの裏面が光源パネル側になるようにして、光源パネル(FREESHINE社製、商品名:LEDアクリルパネル、有効画面寸法:285×406mm、色温度:6000K、照度:約4000Lx)上に設置し、目視観察で画像のリアリティ、奥行き感および印象を下記基準に従って評価した。
(1)画像のリアリティの評価
A:印刷画像は鮮明でリアリティは非常に良好である。
B:印刷画像は鮮明でリアリティは良好である。
C:印刷画像は鮮明であるがリアリティは十分ではない。
(2)画像の奥行き感の評価
A:印刷画像の奥行き感は非常に優れている。
B:印刷画像の奥行き感は優れている。
C:印刷画像の奥行き感は十分ではない。
(3)画像の印象の評価
A:印刷画像が強く印象に残っている。
B:強くはないが、印刷画像が印象に残っている。
C:印刷画像が印象に残っていない。
[0042]
<輝度の測定方法>
 照度500ルクス下において、ディスプレイ用印刷物を、下側印刷シートの裏面が光源パネル側になるようにして、光源パネル(FREESHINE社製、商品名:LEDアクリルパネル、有効画面寸法:285×406mm、色温度:6000K、照度:約4000Lx)上に設置し、輝度計(コニカミノルタジャパン社製、型番:LS-150、DIN 5032-7 Class B 準拠)にて、光源パネルの点灯時と消灯時における最明部および最暗部の輝度を測定した。
 尚、実施例と比較例で使用した、背景を含む人物写真の場合、明度が最も高い最明部において輝度も最も高かった。また、明度が最も低い最暗部において輝度も最も低かった。
[0043]
<明度の測定方法>
 画像を印刷した印刷シートの裏側に硫酸バリウム製の標準白色板を配置した状態で分光色差計(日本電色工業社製、型番:NF555)によりL 表色系におけるL 値を測定し明度とした。
[0044]
<光線透過率の測定方法>
 JIS K 7361に準拠し、裏面側から光が照射されるように試験片を設置し、積分球式光線透過率測定装置で測定した。
[0045]
<材料>
(A)基材シート;
   基材シートA;和紙(アワガミファクトリー製、商品名:No3・楮・中厚口・晒、平均厚み:0.16mm、目付量:35g/m 、素材:楮90%+木材パルプ10%)
   基材シートB;不織布(廣瀬製紙製、商品名:HOP-30H・楮・薄口・晒、平均厚み:0.11mm、目付量:30g/m 、素材:ポリプロピレン+ポリエチレン)
   基材シートC;透明インクジェットフィルム(株式会社Too製、商品名:バックライトフィルムFP-M厚口、平均厚み:0.22mm、目付量:230g/m 、素材:ポリエステル)
(B)粘着材;
   粘着材A;両面粘着フィルム(リンテック製、商品名:タックライナーTL-41MS-06K、厚み:0.03mm、粘着力:9.8N/25mm、構成:ポリエステルフィルムの両面にアクリル系粘着材を塗工、1.0mm厚み換算での光線透過率:95%)
(C)無機粉体;
   水酸化カルシウムA;高純度消石灰分級品(宇部マテリアルズ製、通過分積算分布のメディアン径(d50):3.1μm)
(D)水不溶性無機粉体;
   水不溶性無機粉体A;酸化アルミニウム(大明化学工業製、アルミナ1水和物、商品名:ベーマイトC06、通過分積算分布のメディアン径(d50):0.7μm)
(E)有機バインダー;
   有機バインダーA;水性アクリル樹脂エマルジョン(旭化成工業株式会社製、商品名:ポリトロン、固形分濃度:40質量%)
(F)添加剤;
   分散剤A;ポリカルボン酸コポリマー(竹本油脂製、製品名:チューポールSSP、固形分濃度:40質量%)
[0046]
[実施例1]
 図2に示される印刷物を次の方法に従って製造した。
[0047]
<基材シートAへのインク受容層の形成>
 有機バインダーとして有機バインダーA100質量部、無機粉体として水酸化カルシウムA150質量部、水不溶性無機粉体として水不溶性無機粉体A50質量部、添加剤として分散剤A10質量部、および水100質量部を秤取り、ホバートミキサーで15分混錬し、スラリーを得た。
 得られたスラリーをA2サイズにカットした基材シートAの一方の表面にドクターナイフコーターで均一にコートし、送風乾燥機中に入れ80℃で20分間乾燥させ、インク受容層を有する印刷用シートAを得た。得られた印刷用シートAのインク受容層では、インク受容層中に含まれる水酸化カルシウムの一部が空気中の炭酸ガスと反応して漆喰(炭酸カルシウム)になっていた。インク受容層の平均厚みは45μmであった。
[0048]
<上側用画像データおよび下側用画像データ作成の準備>
 背景を含む人物の写真データをパソコンに取り込み、これをフォトショップで開き、フォトショップのコマンドを使って色調調整およびトーンカーブ調整を行い、それを背景レイヤーとし、その上に白色レイヤー(白さ100%)を重ね、その白色レイヤーの不透明度が調整できるようにして、上側用画像データおよび下側用画像データを得るための画像データとした。
[0049]
<上側インクジェット像3bの形成>
 上記の画像データにおいて、その白色レイヤーの不透明度を0%に調整した上側用画像データをセイコーエプソン社製のインクジェットプリンタ(品番:PX-5V、顔料が分散された水性インクを使用)を用いて、インク受容層を有する印刷用シートAに印刷し、2時間室温にて静置してインクを定着させ、更に室温且つ空気中で3日静置し、上側インクジェット像3bを表面に有する上側印刷シートA2bを得た。
 この上側印刷シートA2bの平均厚さは、216μmであった。明度が最も高い部分(最明部)の明度は、L =75であり、明度が最も低い部分(最暗部)の明度は、L =8であった。また、最明部の光線透過率は、74%であり、最暗部の光線透過率は、11%であった。
[0050]
<下側インクジェット像3aの形成>
 上記の画像データにおいて、その白色レイヤーの不透明度を30%に調整した下側用画像データをインクジェットプリンタで、インク受容層を有する印刷用シートAに印刷し、2時間室温にて静置してインクを定着させ、更に室温且つ空気中で3日静置し、下側インクジェット像3aを表面に有する下側印刷シートA2aを得た。
 この下側印刷シートA2aの平均厚さは、210μmであった。最明部の明度は、L =84であり、最暗部の明度は、L =12であった。また、最明部の光線透過率は、76%であり、最暗部の光線透過率は、17%であった。
[0051]
<ディスプレイ用印刷物1の形成>
 上記のようにして得られた下側印刷シートA2aの印刷面と、上側印刷シートA2bの裏面を、粘着材Aを用いて全面を接着させ、ディスプレイ用印刷物Aを得た。
 得られたディスプレイ用印刷物Aの平均厚さは、0.46mmであった。また、最明部の光線透過率は、62%であり、最暗部の光線透過率は、4%であった。
[0052]
<印刷物の評価>
 このようにして得られたディスプレイ用印刷物Aについて、リアリティ、奥行き感および印象の評価を行った。また、光源パネルの点灯時と消灯時における最明部および最暗部の輝度を測定した。その結果を表2および表3に示す。
[0053]
[実施例2]
 実施例1と同様の操作で基材シートB上にインク受容層を形成し、平均厚みが60μmのインク受容層(漆喰)を有する印刷用シートBを製造した。
 次に、上側用画像、および下側用画像を実施例1と同様の操作でインク受容層を有する印刷用シートBに印刷し、上側インクジェット像3bを有する上側印刷シートB2b、および下側インクジェット像3aを有する下側印刷シートB2aを得た。
 このときの上側印刷シートB2b、および下側印刷シートB2aの平均厚さ、最明部と最暗部の明度を測定した。その結果を表1に示す。
 上記のようにして得られた下側印刷シートB2aの印刷面と、上側印刷シートB2bの裏面を、粘着材Aを用いて全面を接着させ、ディスプレイ用印刷物Bを得た。得られたディスプレイ用印刷物Bの平均厚さ、最明部および最暗部の光線透過率を測定し、その結果を表2に示す。
 さらに、このようにして得られたディスプレイ用印刷物Bについて、リアリティ、奥行き感および印象の評価を行った。また、光源パネルの点灯時と消灯時における最明部および最暗部の輝度を測定した。その結果を表2および表3に示す。
[0054]
[実施例3]
 実施例1で使用した上側用画像、および下側用画像を実施例1と同様の操作で基材シートCに印刷し上側インクジェット像3bを有する上側印刷シートC2b、および下側インクジェット像3aを有する下側印刷シートC2aを得た。尚、基材シートCにはインク受容層としての無機固体層は形成されていない。このときの上側印刷シートC2b、および下側印刷シートC2aの平均厚さ、最明部と最暗部の明度を測定した。その結果を表1に示す。
 次に、上記のようにして得られた下側印刷シートC2aの印刷面と、上側印刷シートC2bの裏面を、粘着材Aを用いて全面を接着させ、ディスプレイ用印刷物Cを得た。得られたディスプレイ用印刷物Cの平均厚さ、最明部および最暗部の光線透過率を測定し、その結果を表2に示す。
 さらに、このようにして得られたディスプレイ用印刷物Cについて、リアリティ、奥行き感および印象の評価を行った。また、光源パネルの点灯時と消灯時における最明部および最暗部の輝度を測定した。その結果を表2および表3に示す。
[0055]
[比較例1~3]
 実施例1~3で得られた上側インクジェット像3bを表面に有する上側印刷シートA2b、B2b、およびC2bについてリアリティ、奥行き感および印象の評価を行った。その結果を表2に示す。
[0056]
[表1]


[0057]
[表2]


[0058]
[表3]


符号の説明

[0059]
1.ディスプレイ用印刷物、 2.印刷シート、 2a.下側印刷シート、 2b.上側印刷シート、 3a.下側インクジェット像、 3b.上側インクジェット像、 4.粘着材層、10.光源パネル。

請求の範囲

[請求項1]
 光源パネル上に保持されて使用されるディスプレイ用印刷物において、
 印刷面にインクジェット像が形成された印刷シートを複数枚有し、
 該複数枚の印刷シートが、隣接する印刷シート同士で印刷面と裏面が対面するように積層されており、
 最下層に位置する印刷シートの裏面が前記光源パネル側に向いていることを特徴とするディスプレイ用印刷物。
[請求項2]
 前記印刷シートの間に粘着材層が介在している、請求項1に記載のディスプレイ用印刷物。
[請求項3]
 前記粘着材層が、透明であり且つ全面に設けられている、請求項2に記載ディスプレイ用印刷物。
[請求項4]
 前記複数枚の印刷シートが、光透過性を有している、請求項1に記載のディスプレイ用印刷物。
[請求項5]
 最下層に位置する印刷シートに形成されたインクジェット像の明度が最も高く、最上層に位置する印刷シートに形成されたインクジェット像の明度が最も低い、請求項1に記載のディスプレイ用印刷物。
[請求項6]
 前記印刷シートを2枚有し、光源パネル側に位置する印刷シートの印刷面が、他方の印刷シートの裏面と対面している、請求項1に記載のディスプレイ用印刷物。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]