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1. (WO2018190038) 孔内面切削装置及び方法
Document

明 細 書

発明の名称 孔内面切削装置及び方法

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

0004   0005   0006   0007   0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060  

産業上の利用可能性

0061  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

明 細 書

発明の名称 : 孔内面切削装置及び方法

技術分野

[0001]
 本開示は、ワーク[workpiece]に形成された貫通孔の内面を切削する装置及び方法に関する。

背景技術

[0002]
 下記特許文献1は、長尺中空シャフトに形成された貫通孔[penetrating hole]の内面を切削する装置を開示している。当該装置では、回転する切削刃を有する加工ヘッドは、貫通孔の軸方向に移動される。この際、加工ヘッドから放射状に突出された三つのローラが貫通孔の内面に押し付けられて、加工ヘッドの貫通孔内での位置が保持されている。三つのローラは加工ヘッドの前後二カ所に設けられており、これにより、加工ヘッドの中心軸が貫通孔の軸方向に一致される。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 日本国特開2010-188484号公報

発明の概要

[0004]
 しかし、上記特許文献1に開示された装置では、貫通孔の内径が緩やかに変化する場合は貫通孔の内面を切削できる。しかし、貫通孔の内径が局所的に減少したり拡張したりする場合(即ち、内面上に周状突起や周状溝が形成されている場合)には、ローラが当該周状突起や周状溝を通過する際に、軸方向の抵抗が高くなり、軸方向への移動ができなかった。
[0005]
 本開示の目的は、ワークに形成された貫通孔の内径が局所的に減少したり拡張したりする場合でも、高精度に貫通孔の内面を切削することのできる孔内面切削装置及び方法[an apparatus and a method for cutting an inner surface of a hole]を提供することである。
[0006]
 本開示の第1の特徴は、ワークに形成された貫通孔の内面を切削する孔内面切削装置であって、前記ワークを保持するワーク保持装置と、前記貫通孔内に挿入可能で、かつ、前記貫通孔の前記内面を切削する切削具[cutting tool]を有し、その中心軸の回りに回転可能なヘッド回転部及び前記ヘッド回転部を回転可能に保持するヘッド本体部を有する加工ヘッドと、前記貫通孔の一端から当該貫通孔内に挿入可能で、前記ヘッド回転部と連結されて、回転駆動源によって回転されることで前記ヘッド回転部を回転させるヘッド回転ロッドと、前記貫通孔の他端から当該貫通孔内に挿入可能で、前記ヘッド本体部と連結されて、ストローク駆動源によってストロークされることで前記加工ヘッドを前記貫通孔の軸方向にストロークさせるヘッドストロークロッドと、を備えており、前記加工ヘッドの前記ヘッド回転部及び前記ヘッド回転ロッドには、前記切削具を前記軸方向に垂直な径方向に移動可能な切削具移動機構が設けられており、前記ヘッド本体部には、前記中心軸に沿って少なくとも三カ所に、前記加工ヘッドを前記貫通孔内で前記径方向に位置決めする複数の位置決め機構が設けられており、前記位置決め機構のそれぞれが、放射状に均等に配置された前記径方向にスライド可能な少なくとも三つのスライダ、前記スライダの先端にそれぞれ設けられた前記貫通孔の前記内面と接触するガイドローラ、前記スライダを前記径方向の外方に押し出すピストン、及び、前記ピストンを作動させる液圧室を有しており、前記孔内面切削装置が、前記位置決め機構の前記液圧室の液圧をそれぞれ互いに独立して制御する制御部をさらに備えている、孔内面切削装置を提供する。
[0007]
 本開示の第2の特徴は、ワークに形成された貫通孔の内面を切削する孔内面切削方法であって、上述した第1の特徴の孔内面切削装置を用いて前記貫通孔の前記内面を切削するに際して、前記位置決め機構のうちの一つが貫通孔の内径が局所的に減少する局所縮径部に接近した際には、前記弁機構によって、前記局所縮径部に対応する前記位置決め機構の前記液圧室の圧力を他の前記位置決め機構の前記液圧室の圧力よりも低くする、孔内面切削方法を提供する。
[0008]
 上記第1又は第2の特徴によれば、加工ヘッドの少なくとも三か所に設けられた位置決め機構によって、切削具の位置を高精度に保持できる。ワークに形成された貫通孔の内径が局所的に減少したり拡張したりする部分がある場合でも、複数の位置決め機構の何れか一つがそのような部分を通過する際には、複数の位置決め機構の他の残りによって加工ヘッドの中心軸は貫通孔の軸方向に一致される。従って、ワークに形成された貫通孔の内面を高精度に切削できる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 孔内面切削装置の実施形態の全体構成を示す概略側面図である。
[図2] 上記孔内面切削装置によって加工されるワークである長尺中空シャフトの概略側面図である。
[図3] 上記孔内面切削装置の加工ヘッドの断面図である。
[図4] (a)及び(b)は上記加工ヘッドに液圧路を示す断面図である。
[図5] 上記孔内面切削装置の構成を示すブロック図である。
[図6] 上記加工ヘッドがワーク内面上の周状突起を通過する際(通過前)の断面図である。
[図7] 上記加工ヘッドがワーク内面上の周状突起を通過する際(通過中)の断面図である。
[図8] 上記加工ヘッドがワーク内面上の周状突起を通過する際(通過後)の断面図である。
[図9] 上記加工ヘッドがワーク内面上の周状溝を通過する際(通過前)の断面図である。
[図10] 上記加工ヘッドがワーク内面上の周状溝を通過する際(通過中)の断面図である。
[図11] 上記加工ヘッドがワーク内面上の周状溝を通過する際(通過後)の断面図である。
[図12] 上記加工ヘッドがワーク内面上の周状突起(周状溝)を通過する際の油圧制御のフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0010]
 実施形態に係る孔内面切削装置(孔内面切削方法)について説明する。まず、孔内面切削装置[hole inner-surface cutting apparatus]1の全体構成について説明する。図1に示されるように、孔内面切削装置1は、その中央に位置するワーク保持装置[workpiece hold device]10と、ワーク保持装置10の一側(図1中左側)に位置するヘッドストローク装置[head stroke device]30と、ワーク保持装置10の他側(図1中右側)に位置するヘッド回転装置[head rotation device]40とを備えている。ワーク保持装置10、ヘッドストローク装置30、及び、ヘッド回転装置40は、テーブル50上に一列に並べて配置されている。なお、ワーク保持装置10、ヘッドストローク装置30、及び、ヘッド回転装置40は、壁面上に垂直に並べて設置されてもよい。
[0011]
 本実施形態におけるワーク2は、例えば図2に示されるような長尺中空シャフトである。中空シャフト2は、約3mの長さを有し、その両端の直径は拡張されている。中空シャフト2には、その軸方向に沿って貫通孔2hが形成されている。貫通孔2hの両端の内径も拡張されている。貫通孔2hの中央部の内径は約90mmである。貫通孔2hの内面上には、後述する周状突起[circumferential protrusion]2r又は周状溝[circumferential groove]2gが形成されているが、図2には示されていない。なお、本実施形態のワークは中空シャフト2であるが、貫通孔が形成されていれば、図2に示されるような中空シャフトに限定されない。中空シャフト2は、図1中では一点鎖線で概略的に示されている。
[0012]
 ワーク保持装置10は、中空シャフト(ワーク)2の貫通孔2h内面を切削する際に、中空シャフト2を保持する。中空シャフト2は、その軸方向が後述する加工ヘッド[working head]20の移動方向と一致するように保持される。ワーク保持装置10は、中空シャフト2の両端を保持する一対のチャック12及び13を有している。互いに対向して配置されたチャック12及び13は、具体的には、三つ以上の爪を有するスクロールチャックである。一対のチャック12及び13の間には、中空シャフト2を下方から支持する、又は、中空シャフト2を挟止する複数のホルダ14も設けられている。チャック12及び13並びにホルダ14によって、貫通孔2hの軸方向が加工ヘッド20の移動方向に一致するように(中空シャフト2が撓まないように)、中空シャフト2が保持される。なお、ワーク2が中空シャフトでない場合、ワーク保持装置10は、ワーク2に形成された貫通孔(2h)の軸方向が加工ヘッド20の移動方向に一致するようにワーク2を保持する。
[0013]
 中空シャフト2の貫通孔2hの内面を切削する加工ヘッド20は、その一端(ヘッド回転部20b)に後述するヘッド回転ロッド41が連結されてワーク保持装置10に保持された中空シャフト2の貫通孔2hの一端から貫通孔2h内に挿入される。その後、貫通孔2hの他端側で、加工ヘッド20の他端(ヘッド本体部20a)に後述するヘッドストロークロッド31が連結される。あるいは、加工ヘッド20は、ヘッドストロークロッド31と連結された後に貫通孔2hに挿入され、さらに、ヘッド回転ロッド41と連結される。加工ヘッド20については追って詳しく説明する。
[0014]
 ヘッドストローク装置30は、ヘッドストロークロッド31、及び、ロッドストローク機構32を備えている。ヘッドストロークロッド31の先端(図1中右端)は加工ヘッド20(ヘッド本体部20a)に連結(固定)される。ヘッドストロークロッド31には、加工ヘッド20に油圧を供給する三つの液圧路31a(図4参照)が設けられている。液圧路31aは、後述する油圧ユニット60に接続されている。液圧路31aに関しては油圧ユニット60や加工ヘッド20と共に追って説明する。
[0015]
 ロッドストローク機構32は、ヘッドストロークロッド31をストロークさせて、ヘッドストロークロッド31の先端に連結された加工ヘッド20をストロークさせる。ロッドストローク機構32は、ヘッドストロークロッド31の基端に固定されたブロック32a、ブロック32aに形成された送り孔32bと螺合する送りねじ32c、送りねじ32cを回転させるストローク駆動源(送りモータ)32dを備えている。送りねじ32cは、ヘッドストロークロッド31と平行に配されている。送りねじ32cは、送りモータ32dによって回転されることで、ブロック32a(送り孔32b)を介して、ヘッドストロークロッド31及び加工ヘッド20を、加工ヘッド20の中心軸方向(即ち、ワーク保持装置10に保持された中空シャフト2の貫通孔2hの軸方向)にストロークさせる。送りモータ32dは、後述する制御部[controller](制御盤[control console])70に接続されており、制御部70によって制御される。
[0016]
 なお、ロッドストローク機構32の機構は、高精度にヘッドストロークロッド31及び加工ヘッド20をストロークさせることができれば、上述した機構に限定されない。例えば、ボールねじ機構、ラックアンドピニオン機構、ベルト/チェーン駆動機構、リニアアクチュエータ、なども利用可能である。
[0017]
 ヘッド回転装置40は、ヘッド回転ロッド41、及び、ロッド回転機構42を備えている。ヘッド回転ロッド41の先端(図1中左端)は加工ヘッド20(のヘッド回転部20b)に連結(固定)される。ヘッド回転ロッド41内には、加工ヘッド20の切削具20cを加工ヘッド20の中心軸に垂直な方向(貫通孔2hの軸方向に垂直な方向、即ち、貫通孔2hの径方向)に移動させるためのスライドシャフト41aがスライド可能に収納されている。ヘッド回転ロッド41には、加工ヘッド20に切削液[cutting fluid](クーラント[coolant])を供給するクーラント供給路41b(切削液の供給路:図3参照)も設けられている。クーラント供給路41bは、後述するクーラントユニット80に接続されている。クーラント供給路41bに関してはクーラントユニット80や加工ヘッド20と共に追って説明する。
[0018]
 ロッド回転機構42は、ヘッド回転ロッド41を回転させて、ヘッド回転ロッド41の先端に連結された加工ヘッド20のヘッド回転部20bを回転させる。ロッド回転機構42は、テーブル上をスライド可能なスライド台42a、及び、スライド台42a上に設けられてヘッド回転ロッド41を回転する回転駆動源42bを備えている。スライド台42aは、上述したヘッドストローク装置30によって加工ヘッド20がストロークされると、加工ヘッド20のストロークに追従してスライドする。回転駆動源42bは、ヘッド回転ロッド41を回転可能に保持するとともに、その回転モータでギア機構を介してヘッド回転ロッド41を回転させる。回転駆動源42bは、後述する制御部(制御盤)70に接続されており、制御部70によって制御される。
[0019]
 ロッド回転機構42は、ヘッド回転ロッド41を回転可能に支持する、固定ホルダ42c及び可動ホルダ42dも備えている。固定ホルダ42cは、テーブル50上に固定されている。可動ホルダ42dは、スライド台42aと固定ホルダ42cとの間でスライド可能である。可動ホルダ42dは、ワイヤやチェーンなどによってスライド台42aに繋がれている。スライド台42a上には、上述したスライドシャフト41aをスライドさせるアクチュエータ42eも設けられている。アクチュエータ42eによる加工ヘッド20の切削具20cの移動については、追って説明する。アクチュエータ42eも、後述する制御部(制御盤)70に接続されており、制御部70によって制御される。
[0020]
 次に、加工ヘッド20について説明する。図3に示されるように、加工ヘッド20は、回転しないヘッド本体部[head main body]20aと、回転可能なヘッド回転部[head rotatable body]20bとからなる。ヘッド本体部20aとヘッド回転部20bとは、ベアリング20dを介して結合されている。上述したように、ヘッド本体部20aは、ヘッドストロークロッド31の先端と連結され、ヘッド回転部20bは、ヘッド回転ロッド41の先端と連結される。
[0021]
 ヘッド本体部20aは、円筒状[hollow cylindrical]のケース21を有している。そして、ケース21には、加工ヘッド20の中心軸に沿って三つの位置決め機構[positioning mechanisms]22A~22Cが設けられている。位置決め機構22A~22Cは、加工ヘッド20の中心軸が貫通孔2hの軸と一致するように、貫通孔2h内で加工ヘッド20を位置決めする[position the working head 20]。三つの位置決め機構22A~22Cを、後述するヘッド回転部20bの切削具20cから順に第1機構22A、第2機構22B及び第3機構22Cと呼ぶ。
[0022]
 位置決め機構22A~22Cは、向きは異なるが同じ構成を有している。ここでは、位置決め機構22A~22Cを総称して位置決め機構22と呼んで、その構成を以下に説明する。位置決め機構22は、ピストン23と、液圧室24と、三つのスライダ25と、自由回転可能なガイドローラ26とを有している。ピストン23は、加工ヘッド20の中心軸方向にスライド可能である。液圧室24は、ピストン23の基端側に形成されている。各スライダ25は、ピストン23によって加工ヘッド20の径方向にスライド可能である。各ガイドローラ26は、スライダ25上に設けられて貫通孔2hの内面に押し付けられる。ピストン23の基端側は円柱形で、先端側は円錐形である。図3では、ピストン23の基端はケース21の内部に設けられた隔壁27と当接されているが、ピストン23の基端の周縁には段差が形成されており、この段差によってケース21の内周面、隔壁27及びピストン23との間に液圧室24が形成されている。
[0023]
 上述したヘッドストロークロッド31に設けられた液圧路31aは、図4(a)及び図4(b)に示されるように、ヘッド本体部20aのケース21にも延設されている。ヘッドストロークロッド31とヘッド本体部20aとが連結されると、三つの液圧路31aは、三つの液圧室24にそれぞれ連通される。図4(a)及び図4(b)に示される、ケース21に形成された液圧路31aは、加工ヘッド20の中心軸方向に沿って見た際に均等に配置されている必要はない。液圧路31aは、ヘッドストロークロッド31の液圧路31aを三つの液圧室24にそれぞれ連通させれば、それらの経路はどのように形成されてもよい。ただし、圧力損失を極力生じさせない経路が設計される。
[0024]
 一つの位置決め機構22には三つのスライダ25が設けられるが、加工ヘッド20の中心軸方向に沿って見た際に三つのスライダ25が放射状に均等に(即ち、中心角120°毎に)配置される(図3では一つのスライダ25のみが見える)。スライダ25の内端は、ピストン23円錐部の傾斜に合わせた傾斜を有している。このため、液圧室24の液圧によってピストン23がスライダ25側にスライドする(作動される)と、三つのスライダ25は均等に径方向の外方に押し出される。この結果、スライダ25の外端に取り付けられたガイドローラ26が貫通孔2hの内面に均等に押し付けられる。三つのガイドローラ26が貫通孔2hの内面に均等に押し付けられることで、加工ヘッド20の中心軸が貫通孔2hの軸に一致される。
[0025]
 なお、ピストン23と対向して、ガイドピン28が突設されており、ガイドピン28はピストン23に形成されたガイド孔29に挿入されている。ガイドピン28及びガイド孔29は、加工ヘッド20の中心軸と平行であり、ピストン23のスライドをガイドする。ガイドピン28及びガイド孔29によって、ピストン23の傾きが抑止され、ピストン23は円滑にスライドされ得る。
[0026]
 本実施形態では、加工ヘッド20の中心軸に沿って、切削具20cから、第1機構22Aのスライダ25、第1機構22Aの液圧室24、第2機構22Bのスライダ25、第2機構22Bの液圧室24、第3機構22Cの液圧室24、及び、第3機構22Cのスライダ25がこの順で配設されている。なお、液圧室24とスライダ25との間には必然的にピストン23が配置される。言い換えれば、切削具20cに近い第1機構22A及び第2機構22Bでは、スライダ25(ガイドローラ26)が切削具20c側に配置され、切削具20cから遠い第3機構22Cでは、液圧室24が切削具20c側に配置される。この配置については追って詳しく説明する。
[0027]
 このように、加工ヘッド20の中心軸を貫通孔2hの軸に一致させる位置決め機構22が、当該中心軸に沿って三つ(22A~22C)設けられているため、ヘッド本体部20a、即ち、加工ヘッド20は貫通孔2h内で傾くことなく高精度に位置決めされ得る。加工ヘッド20が高精度に位置決めされるので、後述するヘッド回転部20bの切削具20cの位置も高精度に位置決めされ、高精度の切削を行うことができる。
[0028]
 図3に示されるように、ベアリング20dを介してヘッド本体部20aと結合されたヘッド回転部20bは、回転可能な回転ボディ20e、及び、回転ボディ20e内に収納された切削具20cを有している。切削具20cは、上述した径方向にスライド可能であり、その先端には、切削刃[cutting insert]20fが固定されている。切削具20cの基端側の平側面には、傾斜された複数の係合溝20gが形成されている。
[0029]
 上述したヘッド回転ロッド41の内部に設けられたスライドシャフト41aの先端にも、傾斜された複数の被係合溝41cが形成されている。係合溝20g及び被係合溝41cは互いにスライド可能に係合している。従って、スライドシャフト41aがスライドされると、係合溝20g及び被係合溝41cの係合によって、切削具20cが径方向に移動される。即ち、係合溝20g、被係合溝41c、スライドシャフト41a及びアクチュエータ42eは、切削具20cを径方向に移動可能な切削具移動機構を構成している。切削具20cの径方向移動によって、切削刃20fの位置を調整でき、切削径を調整できる。この切削径の調整は、ヘッド回転部20bが回転していても行える。即ち、貫通孔2hの内面の切削中でも切削径を調整することが可能である。
[0030]
 図3では、切削具20cは回転ボディ20e内に収納されている。この状態で加工ヘッド20を貫通孔2hに挿入すれば、切削刃20fが保護され得る。貫通孔2hの内面を切削する際には、切削具20cは図3に示される状態から径方向に突出される(図6~図11参照)。
[0031]
 なお、スライドシャフト41aは、被係合溝41cが形成されている先端部のみがヘッド回転ロッド41と共に回転し、当該先端部よりも基端側は回転せず、先端部と基端側との間はロータリジョイントで結合されている。即ち、スライドシャフト41aの基端側は、回転する中空のヘッド回転ロッド41の内部で回転せずにスライドされる。
[0032]
 また、本実施形態では、位置決め機構22は三つ(22A~22C)設けられたが、少なくとも三つ設けられれば、四つ以上設けられてもよい。さらに、本実施形態では、各位置決め機構22において、スライダ25(ガイドローラ26)は三つ設けられたが、少なくとも三つ設けられれば、四つ以上設けられてもよい。ただし、構造をできるだけ簡素にし、かつ、加工ヘッド20の中心軸を貫通孔2hの軸に一致させるには、各位置決め機構22に三つのスライダ25(ガイドローラ26)を設けるのが最も好ましい。
[0033]
 さらに、本実施形態では、ヘッドストロークロッド31が(図1及び図3の左方に)引かれることで、切削具20cによって中空シャフト2の貫通孔2hの内面が切削される。しかし、向きの異なる切削具20cを用意することで、ヘッドストロークロッド31が(図1及び図3の右方に)押されることで、切削具20cによって中空シャフト2の貫通孔2hの内面が切削されてもよい。
[0034]
 次に、図5のブロック図を参照しつつ、上述した油圧ユニット60、制御部70、及び、クーラントユニット80等も含めた、孔内面切削装置1のシステム構成について説明する。図5に示されるように、制御部70は、油圧ユニット60とも接続されており、油圧ユニット60も制御している。油圧ユニット60は、位置決め機構22の液圧室24に供給する液圧を生じさせるオイルタンク61及びオイルポンプ62を有している。なお、オイルポンプ62で液圧を高めたオイルをオイルタンク61に溜めた後に、液圧室24へと供給してもよい。オイルタンク61及びオイルポンプ62が、液圧室24に液圧を供給する液圧源を構成している。
[0035]
 上述した液圧路31aは、単一の液圧源から三つに分岐されている。分岐された三つの液圧路31a上には、液圧室24に供給される液圧を調整する弁機構63がそれぞれ設けられている。このため、三つの液圧室24の液圧は、弁機構63によって独立して調整可能である。本実施形態の弁機構63は減圧弁である。制御部70によって弁機構63が制御され、所望の液圧室24の液圧が減じられる。液圧室24の液圧が減じられると、液圧室24の容積が小さくなり、スライダ25(ガイドローラ26)がケース21内へと格納される。
[0036]
 制御部70は、クーラントユニット80とも接続されており、クーラントユニット80も制御している。クーラントユニット80は、切削具20cの近傍にクーラントを噴出するためのクーラントタンク81及びクーラントポンプ82を有している。なお、切削具20c近傍で切削部分に噴出されたクーラントは切削時の摩擦を抑制すると共に切削で生じる熱を冷却する。クーラントは、回収されて再処理装置83で切削屑などが除去された後に再度クーラントタンク81に戻される。
[0037]
 上述したように、制御部70は、ヘッドストローク装置30のストローク駆動源(送りモータ)32dにも接続されており、加工ヘッド20のストロークも制御している。この際、加工ヘッド20のストローク位置は、送りモータ32dの回転数(ストローク駆動源の制御情報)に基づいて、制御部70によって把握されている。なお、送りモータ32dの回転数ではなく、送りねじ32cの回転数や、ギア機構が介在する場合はギアの回転数によって、加工ヘッド20のストローク位置が把握されてもよい。なお、ワーク2をワーク保持装置10上に保持させた後、切削を始める前に、加工ヘッド20のストローク位置の初期位置が設定される。
[0038]
 また、制御部70は、ヘッド回転装置40の回転駆動源42bにも接続されており、加工ヘッド20のヘッド回転部20b、即ち、切削具20cの回転位置も制御している。この際、切削具20cの回転位置は、回転駆動源42bの状態に基づいて、制御部70によって把握されている。なお、回転駆動源42b自体の状態ではなく、ギア機構が介在する場合はギアの回転数によって、切削具20cの回転位置が把握されてもよい。なお、ワーク2をワーク保持装置10上に保持させた後、切削を始める前に、加工ヘッド20の回転位置の初期位置が設定される。
[0039]
 また、制御部70は、ヘッド回転装置40のアクチュエータ42eにも接続されており、切削具20cの切削径も制御している。この際、切削具20cの切削径(径方向の位置)は、アクチュエータ42eの制御状態(切削具移動機構の制御情報)に基づいて、制御部70によって把握されている。なお、アクチュエータ42eの状態ではなく、スライドシャフト41aのスライド位置を検出する検出器を設けて切削具20cの切削径を把握してもよい。なお、ワーク2をワーク保持装置10上に保持させた後、切削を始める前に、加工ヘッド20の切削径が初期設定される(切削刃20fの先端位置が設定される)。
[0040]
 次に、周状突起2rが形成されている貫通孔2hの内面を上述した構成を有する孔内面切削装置1によって切削する際の加工ヘッド20の動作を、図12のフローチャート及び図6~図8を参照しつつ説明する。図6~図8には、第1機構22Aのガイドローラ26が周状突起2rを通過する場合が示されている。図12のフローチャートは、第1機構22A~第3機構22Cのそれぞれに対して実行されている。ここでは、図6~図8に示されるように第1機構22Aを例にして説明する。
[0041]
 なお、加工ヘッド20は、ヘッドストロークロッド31によって図中左方に引かれて移動される。従って、第1機構22Aのガイドローラ26は、周状突起2rの局所縮径部[local diameter-reduction portion]Xを通過して周状突起2rに乗り上げ、その後、周状突起2rの局所拡径部[local diameter-expansion portion]Yを通過して周状突起2rを越える。
[0042]
 上述したように、中空シャフト2が取り付けられた後に、加工ヘッド20の初期位置が設定される。また、中空シャフト2の形状データも予め制御部70に入力される。従って、第1機構22Aのガイドローラ26が周状突起2rに達するまでに加工ヘッド20が初期位置からどのくらいストロークするかが予め分かっている。制御部70は、第1機構22Aのガイドローラ26が周状突起2rの局所縮径部Xに近づいたか否かを監視している(ステップS10)。例えば、ガイドローラ26が局所縮径部Xに所定距離まで接近したらステップS10が肯定される。この所定距離は、固定的に設定されてもよいし、加工ヘッド20のストローク速度に応じて変えられてもよい。
[0043]
 図6に示されるように、第1機構22Aのガイドローラ26が周状突起2rの局所縮径部Xに近づいたと判定される(ステップS10でYES)と、制御部70によって第1機構22Aに対応する弁機構(減圧弁)63が制御され、第1機構22Aの液圧室24の液圧が減じられる(ステップS20)。即ち、第1機構22Aの液圧室24の液圧は、第2機構22B及び第3機構22Cの液圧室24の液圧よりも低くされる。第1機構22Aの液圧室24の液圧が減じられるので、加工ヘッド20のストロークによってガイドローラ26が周状突起2rの局所縮径部Xに達しても、図7に示されるように、スライダ25は局所縮径部Xに押されて円滑に径内方向にスライドされ、加工ヘッド20のストロークが阻害されることはない。
[0044]
 また、第1機構22Aの液圧室24の液圧が減じられている間は、第1機構22Aは加工ヘッド20の位置決めには貢献しない。しかし、残りの二つの第2機構22B及び第3機構22Cによって、加工ヘッド20の中心軸が貫通孔2hの軸に一致されるので、切削具20cの位置は高精度に制御され、高精度の切削がそのまま維持される。ステップS20の後は、制御部70は、第1機構22Aのガイドローラ26が周状突起2rの局所縮径部Xを通過したか否かを監視している(ステップS30)。例えば、ガイドローラ26が局所縮径部Xから所定距離だけ離れたらステップS30が肯定される。この所定距離は、固定的に設定されてもよいし、加工ヘッド20のストローク速度に応じて変えられてもよい。
[0045]
 第1機構22Aのガイドローラ26が周状突起2rの局所縮径部Xを通過したと判定される(ステップS30でYES)と、制御部70によって第1機構22Aに対応する弁機構(減圧弁)63が制御され、第1機構22Aの液圧室24の液圧が増加されて復元される(ステップS40)。即ち、第1機構22Aの液圧室24の液圧は、第2機構22B及び第3機構22Cの液圧室24の液圧まで増加される。第1機構22Aの液圧室24の液圧が復元されるので、スライダ25は径外方に突出されて、図8に示されるように、ガイドローラ26は再び貫通孔2hの内面に押し付けられる。従って、三つの位置決め機構22A~22Cの全てで加工ヘッド20が位置決めされて、加工ヘッド20の中心軸が貫通孔2hの軸に一致される。即ち、切削具20cの位置は高精度に制御され、高精度の切削がそのまま維持される。
[0046]
 なお、ガイドローラ26が局所縮径部Xを通過したことを監視するための上述した所定距離よりも周状突起2rの幅の方が大きい場合、ガイドローラ26が周状突起2rの内周面と接触しているとき(図7参照)に液圧室24の液圧が復元されることもある。この場合、ガイドローラ26は、局所拡径部Yに達した後は、復元された液圧室24の液圧によって径外方に移動され、やはり図8の状態となる。この場合も、加工ヘッド20のストロークが阻害されることはない。
[0047]
 次に、周状溝2gが形成されている貫通孔2hの内面を孔内面切削装置1によって切削する際の加工ヘッド20の動作を、図12のフローチャート及び図9~図11を参照しつつ説明する。図9~図11には、第1機構22Aのガイドローラ26が周状溝2gを通過する場合が示されている。図12のフローチャートは、周状突起2rに対してだけではなく、周状溝2gにも適用できるものであり、第1機構22A~第3機構22Cのそれぞれに対して実行されている。ここでは、図9~図11に示されるように第1機構22Aを例にして説明する。第1機構22Aのガイドローラ26は、周状溝2gの局所拡径部Yを通過して周状溝2gに入り、その後、周状溝2gの局所縮径部Xを通過して周状溝2gを渡る。
[0048]
 上述した周状突起2rの場合と同様に、制御部70は、第1機構22Aのガイドローラ26が周状溝2gの局所縮径部Xに近づいたか否かを監視している(ステップS10)。上述したように、ガイドローラ26が局所縮径部Xまであと所定距離となったらステップS10が肯定される。即ち、手前の周状溝2gの局所拡径部Yに関しては、液圧室24の液圧は制御されない。もし、局所縮径部Xに対する液圧室24の液圧制御が始まる前にガイドローラ26が局所拡径部Yに達した場合は、液圧室24の液圧に応じてスライダ25が径外方にスライドされてガイドローラ26が周状溝2gの底面に押し付けられる場合もあり得る。もちろん、ガイドローラ26が局所拡径部Yに達する前にステップS10が肯定される場合もあり得る。
[0049]
 本実施形態では、図9に示されるように、第1機構22Aのガイドローラ26が周状溝2gの局所拡径部Yに近づいた状態では局所縮径部Xに近づいたとはまだ判定されない(ステップS10でNO)。しかし、図10に示されるように、ガイドローラ26が周状溝2gに入ってからガイドローラ26が周状溝2gの局所縮径部Xに近づいたと判定される(ステップS10でYES:周状溝2gの幅より上述した所定距離の方が短い)。このとき、上述したように、ガイドローラ26が周状溝2gの底面に向けて径外方に移動している。
[0050]
 ステップS10が肯定されると、制御部70によって第1機構22Aに対応する弁機構(減圧弁)63が制御され、第1機構22Aの液圧室24の液圧が減じられる(ステップS20)。即ち、第1機構22Aの液圧室24の液圧は、第2機構22B及び第3機構22Cの液圧室24の液圧よりも低くされる。第1機構22Aの液圧室24の液圧が減じられるので、加工ヘッド20がさらにストロークされてガイドローラ26が周状溝2gの局所縮径部Xに達すると、図11に示されるように、スライダ25は局所縮径部Xに押されて円滑に径内方向にスライドされ、加工ヘッド20のストロークが阻害されることはない。
[0051]
 第1機構22Aの液圧室24の液圧が減じられている間は、第1機構22Aは加工ヘッド20の位置決めには貢献しない。しかし、残りの二つの第2機構22B及び第3機構22Cによって、加工ヘッド20の中心軸が貫通孔2hの軸に一致されるので、切削具20cの位置は高精度に制御され、高精度の切削がそのまま維持される。ステップS20の後は、制御部70は、第1機構22Aのガイドローラ26が周状溝2gの局所拡径部Yを通過したか否かを監視している(ステップS30)。上述したように、ガイドローラ26が局所縮径部Xから所定距離だけ離れたらステップS30が肯定される。
[0052]
 第1機構22Aのガイドローラ26が周状溝2gの局所縮径部Xを通過したと判定される(ステップS30でYES)と、制御部70によって第1機構22Aに対応する弁機構(減圧弁)63が制御され、第1機構22Aの液圧室24の液圧が増加されて復元される(ステップS40)。即ち、第1機構22Aの液圧室24の液圧は、第2機構22B及び第3機構22Cの液圧室24の液圧まで増加される。第1機構22Aの液圧室24の液圧が復元されるので、図11に示されるように、ガイドローラ26は再び貫通孔2hの内面に押し付けられる。従って、三つの位置決め機構22A~22Cの全てで加工ヘッド20が位置決めされて、加工ヘッド20の中心軸が貫通孔2hの軸に一致される。即ち、切削具20cの位置は高精度に制御され、高精度の切削がそのまま維持される。
[0053]
 本実施形態の孔内面切削装置1によれば、加工ヘッド20が、その中心軸に沿って(少なくとも)三つの位置調整機構22(22A~22C)を備えている。そして、三つの位置調整機構22の液圧室24の液圧は、制御部70によってそれぞれ互いに独立して制御できる。このため、三つの位置調整機構22のいずれか一つが貫通孔2h内に形成された周状突起2rや周状溝2g(即ち、局所縮径部X)を通過する際でも、少なくとも二つの位置調整機構22によって加工ヘッド20の中心軸が貫通孔2hの軸と一致される。従って、切削具20cの位置は高精度に維持され、高精度の切削を行うことができる。
[0054]
 特に、本実施形態の孔内面切削方法によれば、周状突起2rや周状溝2g(即ち、局所縮径部X)を通過する位置調整機構22の液圧室の液圧が、制御部70によって、その他の位置調整機構22の液圧室24の液圧よりも低くされる。従って、加工ヘッド20のストロークが局所縮径部Xによって阻害されることがなく、切削具20cの位置は高精度に維持され、高精度の切削を行うことができる。
[0055]
 本実施形態では、位置調整機構22の液圧室24に供給される液圧は、単一の液圧源(オイルタンク61及びオイルポンプ62)によって発生され、それぞれ独立した液圧路31aによって液圧室24に供給される。そして、各液圧路31a上に、液圧を調整する弁機構63がそれぞれ配設されている。このため、通常は、単一の液圧源から均一な液圧を複数の液圧室24に供給することができる。そして、いずれか一つの位置調整機構22が周状突起2rや周状溝2g(即ち、局所縮径部X)を通過する際には、当該位置調整機構22の液圧室24の液圧のみを弁機構63によって調整することができる。従って、液圧の供給系統を簡素に構成することができると共に、確実な液圧制御を行うことができる。
[0056]
 また、本実施形態では、加工ヘッド20の中心軸に沿って、切削具20cから、第1機構22Aのスライダ25、第1機構22Aの液圧室24、第2機構22Bのスライダ25、第2機構22Bの液圧室24、第3機構22Cの液圧室24、及び、第3機構22Cのスライダ25がこの順で配設されている。切削具20cの最も近くに第1機構22Aのスライダ25、即ち、ガイドローラ26が配されているので、切削具20cの位置を高精度に保持でき、高精度の切削を行うことができる。ここで、第1機構22Aのガイドローラが周状突起2rや周状溝2g(即ち、局所縮径部X)を通過する際には、第1機構22Aは加工ヘッド20の位置決めに寄与しないこととなる。しかし、第2機構22Bのスライダ25、即ち、ガイドローラ26が、切削具20cのできるだけ近くに配設されているため、切削具20cの位置を高精度に保持でき、高精度の切削を行うことができる。この時、第3機構22Cのスライダ25(ガイドローラ26)は、第2機構22Bのスライダ25(ガイドローラ26)からできるだけ遠くに配設される。このため、第2機構22B及び第3機構22Cによって、加工ヘッド20の貫通孔2h内での軸傾きが効果的に抑制され、高精度の切削を行うことができる。
[0057]
 さらに、本実施形態では、ヘッドストロークロッド31及びヘッド本体部20aに液圧路31aが設けられ、ヘッド回転ロッド41及びヘッド回転部20bにクーラント供給路41bが設けられている。このように両者を分離することで、液圧及びクーラントを確実に加工ヘッド20に供給できる。また、両者を分離することで、加工ヘッド20内の流路形成が簡素化できるので加工ヘッド20の小型化を実現できる。その結果、より小径の貫通孔に対応することができる。また、クーラントがヘッド回転部20b、即ち、切削具20cの近傍に供給されるため、安定した切削を行うことができる。
[0058]
 またさらに、本実施形態では、加工ヘッド20のストローク位置が、送りモータ32dの回転数(ストローク駆動源の制御情報)に基づいて、制御部70によって検出される。従って、ストローク位置の検出のためのセンサを別に設ける必要がなく、簡素な構成で高精度の切削を行うことができる。位置決め機構22(ガイドローラ26)の何れかの周状突起2rや周状溝2g(即ち、局所縮径部X)への接近もこのストローク位置に基づいて検出されるので、この点からも高精度の切削に寄与している。
[0059]
 同様に、切削具20cの切削径(径方向の位置)は、アクチュエータ42eの制御状態(切削具移動機構の制御情報)に基づいて、制御部70によって検出される。従って、切削径の検出のためのセンサを別に設ける必要がなく、簡素な構成で高精度の切削を行うことができる。
[0060]
 また、本実施形態では、位置決め機構22(ガイドローラ26)の何れかが周状突起2rや周状溝2g(即ち、局所縮径部X)を通過した後に、その液圧室24の液圧が復元されるので、周状突起2rや周状溝2g(即ち、局所縮径部X)の影響を受けない間は安定して高精度の切削を行うことができる。

産業上の利用可能性

[0061]
 本開示の孔内面切削装置及び方法は、ワークに形成された貫通孔の内面を切削する装置及び方法として利用可能である。

請求の範囲

[請求項1]
 ワークに形成された貫通孔の内面を切削する孔内面切削装置であって、
 前記ワークを保持するワーク保持装置と、
 前記貫通孔内に挿入可能で、かつ、前記貫通孔の前記内面を切削する切削具を有し、その中心軸の回りに回転可能なヘッド回転部及び前記ヘッド回転部を回転可能に保持するヘッド本体部を有する加工ヘッドと、
 前記貫通孔の一端から当該貫通孔内に挿入可能で、前記ヘッド回転部と連結されて、回転駆動源によって回転されることで前記ヘッド回転部を回転させるヘッド回転ロッドと、
 前記貫通孔の他端から当該貫通孔内に挿入可能で、前記ヘッド本体部と連結されて、ストローク駆動源によってストロークされることで前記加工ヘッドを前記貫通孔の軸方向にストロークさせるヘッドストロークロッドと、を備えており、
 前記加工ヘッドの前記ヘッド回転部及び前記ヘッド回転ロッドには、前記切削具を前記軸方向に垂直な径方向に移動可能な切削具移動機構が設けられており、
 前記ヘッド本体部には、前記中心軸に沿って少なくとも三カ所に、前記加工ヘッドを前記貫通孔内で前記径方向に位置決めする複数の位置決め機構が設けられており、
 前記位置決め機構のそれぞれが、放射状に均等に配置された前記径方向にスライド可能な少なくとも三つのスライダ、前記スライダの先端にそれぞれ設けられた前記貫通孔の前記内面と接触するガイドローラ、前記スライダを前記径方向の外方に押し出すピストン、及び、前記ピストンを作動させる液圧室を有しており、
 前記孔内面切削装置が、前記位置決め機構の前記液圧室の液圧をそれぞれ互いに独立して制御する制御部をさらに備えている、孔内面切削装置。
[請求項2]
 請求項1に記載の孔内面切削装置であって、
 前記孔内面切削装置が、前記液圧室に液圧を供給する液圧源、前記液圧源と前記液圧室のそれぞれとを接続する液圧路、及び、前記液圧路上に設けられ、前記制御部によって制御されて前記液圧室のそれぞれに供給される前記液圧を調整する弁機構、をさらに備えている、孔内面切削装置。
[請求項3]
 請求項2に記載の孔内面切削装置であって、
 前記ヘッドストロークロッド及び前記ヘッド本体部が前記液圧路を有し、前記ヘッド回転ロッド及び前記ヘッド回転部が前記切削具近傍に切削液を供給する供給路を有している、孔内面切削装置。
[請求項4]
 請求項1~3の何れか一項に記載の孔内面切削装置であって、
 前記ストローク駆動源が前記制御部によって制御され、前記制御部が前記ストローク駆動源の制御情報に基づいて前記加工ヘッドの前記貫通孔内での前記軸方向の位置を検出する、孔内面切削装置。
[請求項5]
 請求項1~4の何れか一項に記載の孔内面切削装置であって、
 前記切削具移動機構が前記制御部によって制御され、前記制御部が前記切削具移動機構の制御情報に基づいて前記切削具の前記貫通孔内での前記径方向の位置を検出する、孔内面切削装置。
[請求項6]
 孔内面切削装置を用いてワークに形成された貫通孔の内面を切削する孔内面切削方法であって、
 請求項1に記載の孔内面切削装置を用いて前記貫通孔の前記内面を切削するに際して、
 前記位置決め機構のうちの一つが貫通孔の内径が局所的に減少する局所縮径部に接近した際には、前記弁機構によって、前記局所縮径部に対応する前記位置決め機構の前記液圧室の圧力を他の前記位置決め機構の前記液圧室の圧力よりも低くする、孔内面切削方法。
[請求項7]
 請求項6に記載の孔内面切削方法であって、
 前記ストローク駆動源が前記制御部によって制御され、前記制御部が前記ストローク駆動源の制御情報に基づいて前記加工ヘッドの前記貫通孔内での前記軸方向の位置を検出し、
 前記位置決め機構の前記一つが前記局所縮径部に接近するのを前記制御部によって監視する、孔内面切削方法。
[請求項8]
 請求項6又は7に記載の孔内面切削方法であって、
 前記位置決め機構のうちの前記一つが前記局所縮径部を通過した後に、前記弁機構によって、前記局所縮径部に対応する前記位置決め機構の前記液圧室の圧力を他の前記位置決め機構の前記液圧室の圧力に戻す、孔内面切削方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]