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1. (WO2018189945) 硬化性組成物、硬化物及びハードコートフィルム
Document

明 細 書

発明の名称 硬化性組成物、硬化物及びハードコートフィルム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140  

実施例

0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152  

産業上の利用可能性

0153  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : 硬化性組成物、硬化物及びハードコートフィルム

技術分野

[0001]
 本発明は、硬化性組成物、当該硬化性組成物の硬化物、及び当該硬化性組成物の硬化物層を含むハードコートフィルムに関する。本願は、2017年4月12日に日本に出願した、特願2017-079166号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 従来、基材の片面又は両面にハードコート層を有する、当該ハードコート層表面の鉛筆硬度が3H程度のハードコートフィルムが流通している。このようなハードコートフィルムにおけるハードコート層を形成するための材料としては、主に、UVアクリルモノマーが使用されている(例えば、特許文献1参照)。また、上述のUVアクリルモノマーを用いたハードコート層では、表面を平滑にし、外観を向上させるために、シリコーン系やフッ素系などのレベリング剤が一般的に用いられている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2009-279840号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかしながら、上述のUVアクリルモノマーを使用したハードコート層は未だ十分な表面硬度を有するものとは言えなかった。5H程度の鉛筆硬度を有し、より表面硬度が高いハードコート層が求められている。また、上記のようにシリコーン系やフッ素系などのレベリング剤を用いたハードコート層の場合、表面の平滑性がやや悪く、外観があまりきれいでなく、十分な耐擦傷性及び防汚性(耐汚染性)がないという問題がある。
[0005]
 従って、本発明の目的は、表面の平滑性(厚みの均一性)などの外観が良く、表面硬度が高く、十分な耐擦傷性及び防汚性(耐汚染性)を有する硬化物(特に、ハードコート層)を形成することができる硬化性組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者は、エポキシ基を含むシルセスキオキサン構成単位(単位構造)を有するポリオルガノシルセスキオキサン及びシリコンアクリレートを含む硬化性組成物を用いることによって、表面の平滑性(厚みの均一性)などの外観が良く、表面硬度が高く、十分な耐擦傷性及び防汚性(耐汚染性)を有する硬化物(特に、ハードコート層)が得られることを見出した。
[0007]
 すなわち、本発明は、下記ポリオルガノシルセスキオキサンと、シリコンアクリレートとを含む硬化性組成物を提供する。
 ポリオルガノシルセスキオキサン:下記式(1)で表される構成単位を有し、下記式(I)で表される構成単位と、下記式(II)で表される構成単位のモル比[式(I)で表される構成単位/式(II)で表される構成単位]が5以上であり、シロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する、上記式(1)で表される構成単位、及び下記式(4)で表される構成単位の割合が55~100モル%であり、数平均分子量が1000~3000、分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0~3.0である
[化1]


[式(1)中、R 1は、エポキシ基を含有する基を示す。]
[化2]


[式(I)中、R aは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。]
[化3]


[式(II)中、R bは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。R cは、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。]
[化4]


[式(4)中、R 1は、式(1)におけるものと同じ。R cは、式(II)におけるものと同じ。]
[0008]
 本発明の硬化性組成物は、前記ポリオルガノシルセスキオキサンが、さらに、下記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。
[化5]


[式(2)中、R 2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。]
[0009]
 本発明の硬化性組成物は、前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるR 1が、下記式(1a)で表される基、下記式(1b)で表される基、下記式(1c)で表される基、又は、下記式(1d)で表される基であることが好ましい。
[化6]


[式(1a)中、R 1aは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
[化7]


[式(1b)中、R 1bは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
[化8]


[式(1c)中、R 1cは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
[化9]


[式(1d)中、R 1dは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
[0010]
 本発明の硬化性組成物は、前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるR 2が、置換若しくは無置換のアリール基であることが好ましい。
[0011]
 本発明の硬化性組成物は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物を含むことが好ましい。
[0012]
 本発明の硬化性組成物は、光カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。
[0013]
 本発明の硬化性組成物は、表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子を含むことが好ましい。
[0014]
 本発明の硬化性組成物は、ハードコート層形成用硬化性組成物であることが好ましい。
[0015]
 また、本発明は、前記硬化性組成物の硬化物を提供する。
[0016]
 また、本発明は、基材と、当該基材の少なくとも一方の表面に形成されたハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、前記ハードコート層が、前記硬化性組成物の硬化物層であることを特徴とするハードコートフィルムを提供する。

発明の効果

[0017]
 本発明の硬化性組成物は、表面の平滑性(厚みの均一性)などの外観が良く、表面硬度が高く、十分な耐擦傷性及び防汚性(耐汚染性)を有する硬化物(特に、ハードコート層)を形成することができる。

発明を実施するための形態

[0018]
[硬化性組成物]
 本発明の硬化性組成物は、下記のポリオルガノシルセスキオキサン及びシリコンアクリレートを必須成分として含む硬化性組成物である。本発明の硬化性組成物は、特にハードコート層形成用硬化性組成物であることが好ましい。硬化性組成物は、さらに、後述の光カチオン重合開始剤、表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子及びポリオルガノシルセスキオキサン以外のカチオン硬化性化合物(「その他のカチオン硬化性化合物」と称する場合がある)等のその他の成分を含んでいてもよい。
[0019]
(ポリオルガノシルセスキオキサン)
 前記ポリオルガノシルセスキオキサン(シルセスキオキサン)は、下記式(1)で表される構成単位を有し、下記式(I)で表される構成単位(「T3体」と称する場合がある)と、下記式(II)で表される構成単位(「T2体」と称する場合がある)のモル比[式(I)で表される構成単位/式(II)で表される構成単位;「T3体/T2体」と記載する場合がある]が5以上であり、シロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する下記式(1)で表される構成単位及び後述の式(4)で表される構成単位の割合(総量)が55~100モル%であり、数平均分子量が1000~3000、分子量分散度[重量平均分子量/数平均分子量]が1.0~3.0であることを特徴とする。
[化10]


[化11]


[化12]


[0020]
 上記式(1)で表される構成単位は、一般に[RSiO 3/2]で表されるシルセスキオキサン構成単位(いわゆるT単位)である。なお、上記式中のRは、水素原子又は一価の有機基を示し、以下においても同じである。上記式(1)で表される構成単位は、対応する加水分解性三官能シラン化合物(具体的には、例えば、後述の式(a)で表される化合物)の加水分解及び縮合反応により形成される。
[0021]
 式(1)中のR 1は、エポキシ基を含有する基(一価の基)を示す。即ち、前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、分子内にエポキシ基を少なくとも有するカチオン硬化性化合物(カチオン重合性化合物)である。上記エポキシ基を含有する基としては、オキシラン環を有する公知乃至慣用の基が挙げられ、特に限定されないが、硬化性組成物の硬化性、硬化物の表面硬度や耐熱性の観点で、下記式(1a)で表される基、下記式(1b)で表される基、下記式(1c)で表される基、下記式(1d)で表される基が好ましく、より好ましくは下記式(1a)で表される基、下記式(1c)で表される基、さらに好ましくは下記式(1a)で表される基である。
[化13]


[化14]


[化15]


[化16]


[0022]
 上記式(1a)中、R 1aは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。中でも、R 1aとしては、硬化物の表面硬度や硬化性の観点で、炭素数1~4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
[0023]
 上記式(1b)中、R 1bは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R 1aと同様の基が例示される。中でも、R 1bとしては、硬化物の表面硬度や硬化性の観点で、炭素数1~4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
[0024]
 上記式(1c)中、R 1cは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R 1aと同様の基が例示される。中でも、R 1cとしては、硬化物の表面硬度や硬化性の観点で、炭素数1~4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
[0025]
 上記式(1d)中、R 1dは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、R 1aと同様の基が例示される。中でも、R 1dとしては、硬化物の表面硬度や硬化性の観点で、炭素数1~4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
[0026]
 式(1)中のR 1としては、特に、上記式(1a)で表される基であって、R 1aがエチレン基である基[中でも、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基]が好ましい。
[0027]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、上記式(1)で表される構成単位を1種のみ有するものであってもよいし、上記式(1)で表される構成単位を2種以上有するものであってもよい。
[0028]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、シルセスキオキサン構成単位[RSiO 3/2]として、上記式(1)で表される構成単位以外にも、下記式(2)で表される構成単位を有していてもよい。
[化17]


[0029]
 上記式(2)で表される構成単位は、一般に[RSiO 3/2]で表されるシルセスキオキサン構成単位(T単位)である。即ち、上記式(2)で表される構成単位は、対応する加水分解性三官能シラン化合物(具体的には、例えば、後述の式(b)で表される化合物)の加水分解及び縮合反応により形成される。
[0030]
 上記式(2)中のR 2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。上記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
[0031]
 上述の置換アリール基、置換アラルキル基、置換シクロアルキル基、置換アルキル基、置換アルケニル基としては、上述のアリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、アルキル基、アルケニル基のそれぞれにおける水素原子又は主鎖骨格の一部若しくは全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、ハロゲン原子(フッ素原子等)、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アミノ基、及びヒドロキシ基(水酸基)からなる群より選択された少なくとも1種で置換された基が挙げられる。
[0032]
 中でも、R 2としては、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換のアリール基、さらに好ましくはフェニル基である。
[0033]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上述の各シルセスキオキサン構成単位(式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位)の割合は、これらの構成単位を形成するための原料(加水分解性三官能シラン)の組成により適宜調整することが可能である。
[0034]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、上記式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位以外にも、さらに、上記式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位以外のシルセスキオキサン構成単位[RSiO 3/2]、[R 3SiO 1/2]で表される構成単位(いわゆるM単位)、[R 2SiO]で表される構成単位(いわゆるD単位)、及び[SiO 2]で表される構成単位(いわゆるQ単位)からなる群より選択される少なくとも1種のシロキサン構成単位を有していてもよい。なお、上記式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位以外のシルセスキオキサン構成単位としては、例えば、下記式(3)で表される構成単位等が挙げられる。
[化18]


[0035]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記式(I)で表される構成単位(T3体)と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)の割合[T3体/T2体]は、上述のように5以上であり、好ましくは5~18、より好ましくは6~16、さらに好ましくは7~14である。上記割合[T3体/T2体]を5以上とすることにより、硬化物としたときの表面硬度が著しく向上する。
[0036]
 なお、上記式(I)で表される構成単位をより詳細に記載すると、下記式(I')で表される。また、上記式(II)で表される構成単位をより詳細に記載すると、下記式(II')で表される。下記式(I')で表される構造中に示されるケイ素原子に結合した3つの酸素原子はそれぞれ、他のケイ素原子(式(I')に示されていないケイ素原子)と結合している。一方、下記式(II')で表される構造中に示されるケイ素原子の上と下に位置する2つの酸素原子はそれぞれ、他のケイ素原子(式(II')に示されていないケイ素原子)に結合している。即ち、上記T3体及びT2体は、いずれも対応する加水分解性三官能シラン化合物の加水分解及び縮合反応により形成される構成単位(T単位)である。
[化19]


[化20]


[0037]
 上記式(I)中のR a(式(I')中のR aも同じ)及び式(II)中のR b(式(II')中のR bも同じ)は、それぞれ、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。R a及びR bの具体例としては、上記式(1)におけるR 1、上記式(2)におけるR 2と同様のものが例示される。なお、式(I)中のR a及び式(II)中のR bは、それぞれ、前記ポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用した加水分解性三官能シラン化合物におけるケイ素原子に結合した基(アルコキシ基及びハロゲン原子以外の基;例えば、後述の式(a)~(c)におけるR 1、R 2、水素原子等)に由来する。
[0038]
 上記式(II)中のR c(式(II')中のR cも同じ)は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。式(II)中のR cにおけるアルキル基は、一般的には、前記ポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用した加水分解性シラン化合物におけるアルコキシ基(例えば、後述のX 1~X 3としてのアルコキシ基等)を形成するアルキル基に由来する。
[0039]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記割合[T3体/T2体]は、例えば、 29Si-NMRスペクトル測定により求めることができる。 29Si-NMRスペクトルにおいて、上記式(I)で表される構成単位(T3体)におけるケイ素原子と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)におけるケイ素原子とは、異なる位置(化学シフト)にシグナル(ピーク)を示すため、これらそれぞれのピークの積分比を算出することにより、上記割合[T3体/T2体]が求められる。具体的には、例えば、前記ポリオルガノシルセスキオキサンが、上記式(1)で表され、R 1が2-(3',4'-エポキシシクロヘキシル)エチル基である構成単位を有する場合には、上記式(I)で表される構造(T3体)におけるケイ素原子のシグナルは-64~-70ppmに現れ、上記式(II)で表される構造(T2体)におけるケイ素原子のシグナルは-54~-60ppmに現れる。従って、この場合、-64~-70ppmのシグナル(T3体)と-54~-60ppmのシグナル(T2体)の積分比を算出することによって、上記割合[T3体/T2体]を求めることができる。
[0040]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンの 29Si-NMRスペクトルは、例えば、下記の装置及び条件により測定することができる。
 測定装置:商品名「JNM-ECA500NMR」(日本電子(株)製)
 溶媒:重クロロホルム
 積算回数:1800回
 測定温度:25℃
[0041]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンの上記割合[T3体/T2体]が5以上であることは、前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおいてT3体に対し一定以上のT2体が存在していることを意味する。このようなT2体としては、例えば、下記式(4)で表される構成単位、下記式(5)で表される構成単位、下記式(6)で表される構成単位等が挙げられる。下記式(4)におけるR 1及び下記式(5)におけるR 2は、それぞれ上記式(1)におけるR 1及び上記式(2)におけるR 2と同じである。下記式(4)~(6)におけるR cは、式(II)におけるR cと同じく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
[化21]


[化22]


[化23]


[0042]
 一般に、完全カゴ型シルセスキオキサンは、T3体のみにより構成されたポリオルガノシルセスキオキサンであり、分子中にT2体が存在しない。即ち、上記割合[T3体/T2体]が5以上であって、数平均分子量が1000~3000、分子量分散度が1.0~3.0であり、さらに後述のようにFT-IRスペクトルにおいて1100cm -1付近に一つの固有吸収ピークを有する場合の前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、不完全カゴ型シルセスキオキサン構造を有することが示唆される。
[0043]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンがカゴ型(不完全カゴ型)シルセスキオキサン構造を有することは、前記ポリオルガノシルセスキオキサンが、FT-IRスペクトルにおいて1050cm -1付近と1150cm -1付近にそれぞれ固有吸収ピークを有せず、1100cm -1付近に一つの固有吸収ピークを有することから確認される[参考文献:R.H.Raney, M.Itoh, A.Sakakibara and T.Suzuki, Chem. Rev. 95, 1409(1995)]。これに対して、一般に、FT-IRスペクトルにおいて1050cm -1付近と1150cm -1付近にそれぞれ固有吸収ピークを有する場合には、ラダー型シルセスキオキサン構造を有すると同定される。なお、ポリオルガノシルセスキオキサンのFT-IRスペクトルは、例えば、下記の装置及び条件により測定することができる。
 測定装置:商品名「FT-720」((株)堀場製作所製)
 測定方法:透過法
 分解能:4cm -1
 測定波数域:400~4000cm -1
 積算回数:16回
[0044]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対する、上記式(1)で表される構成単位及び上記式(4)で表される構成単位の割合(総量)は、上述のように、55~100モル%であり、好ましくは65~100モル%、さらに好ましくは80~99モル%である。上記割合を55モル%以上とすることにより、硬化性組成物の硬化性が向上し、また、硬化物の表面硬度が著しく高くなる。なお、前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおける各シロキサン構成単位の割合は、例えば、原料の組成やNMRスペクトル測定等により算出できる。
[0045]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対する、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(5)で表される構成単位の割合(総量)は、特に限定されないが、0~70モル%が好ましく、より好ましくは0~60モル%、さらに好ましくは0~40モル%、特に好ましくは1~15モル%である。上記割合を70モル%以下とすることにより、相対的に式(1)で表される構成単位及び式(4)で表される構成単位の割合を多くすることができるため、硬化性組成物の硬化性が向上し、硬化物としたときの表面硬度がより高くなる傾向がある。一方、上記割合を1モル%以上とすることにより、硬化物としたときのガスバリア性が向上する傾向がある。
[0046]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対する、上記式(1)で表される構成単位、上記式(2)で表される構成単位、上記式(4)で表される構成単位、及び上記式(5)で表される構成単位の割合(総量)は、特に限定されないが、60~100モル%が好ましく、より好ましくは70~100モル%、さらに好ましくは80~100モル%である。上記割合を60モル%以上とすることにより、硬化物としたときの表面硬度がより高くなる傾向がある。
[0047]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、上述のように、1000~3000であり、好ましくは1000~2800、より好ましくは1100~2600である。数平均分子量を1000以上とすることにより、硬化物の耐熱性、耐擦傷性、接着性がより向上する。一方、数平均分子量を3000以下とすることにより、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上し、硬化物としたときの耐熱性がより向上する。
[0048]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の分子量分散度(Mw/Mn)は、上述のように、1.0~3.0であり、好ましくは1.1~2.0、より好ましくは1.2~1.9である。分子量分散度を3.0以下とすることにより、硬化物としたときの表面硬度がより高くなる。一方、分子量分散度を1.0以上とすることにより、液状となりやすく、取り扱い性が向上する傾向がある。
[0049]
 なお、前記ポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量、分子量分散度は、下記の装置及び条件により測定することができる。
 測定装置:商品名「LC-20AD」((株)島津製作所製)
 カラム:Shodex KF-801×2本、KF-802、及びKF-803(昭和電工(株)製)
 測定温度:40℃
 溶離液:THF、試料濃度0.1~0.2重量%
 流量:1mL/分
 検出器:UV-VIS検出器(商品名「SPD-20A」、(株)島津製作所製)
 分子量:標準ポリスチレン換算
[0050]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンの空気雰囲気下における5%重量減少温度(T d5)は、330℃以上(例えば、330~450℃)が好ましく、より好ましくは340℃以上、さらに好ましくは350℃以上である。5%重量減少温度が330℃以上であることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。特に、前記ポリオルガノシルセスキオキサンが、上記割合[T3体/T2体]が5以上であって、数平均分子量が1000~3000、分子量分散度が1.0~3.0であり、FT-IRスペクトルにおいて1100cm -1付近に一つの固有ピークを有するものであることにより、その5%重量減少温度は330℃以上に制御される。なお、5%重量減少温度は、一定の昇温速度で加熱した時に加熱前の重量の5%が減少した時点での温度であり、耐熱性の指標となる。上記5%重量減少温度は、TGA(熱重量分析)により、空気雰囲気下、昇温速度5℃/分の条件で測定することができる。
[0051]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、公知乃至慣用のポリシロキサンの製造方法により製造することができ、例えば、1種又は2種以上の加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。但し、上記加水分解性シラン化合物としては、上述の式(1)で表される構成単位を形成するための加水分解性三官能シラン化合物(下記式(a)で表される化合物)を必須の加水分解性シラン化合物として使用する必要がある。
[0052]
 より具体的には、例えば、前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシルセスキオキサン構成単位(T単位)を形成するための加水分解性シラン化合物である下記式(a)で表される化合物、必要に応じてさらに、下記式(b)で表される化合物、下記式(c)で表される化合物を、加水分解及び縮合させる方法により、前記ポリオルガノシルセスキオキサンを製造できる。
[化24]


[化25]


[化26]


[0053]
 上記式(a)で表される化合物は、前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(1)で表される構成単位を形成する化合物である。式(a)中のR 1は、上記式(1)におけるR 1と同じく、エポキシ基を含有する基を示す。即ち、式(a)中のR 1としては、上記式(1a)で表される基、上記式(1b)で表される基、上記式(1c)で表される基、上記式(1d)で表される基が好ましく、より好ましくは上記式(1a)で表される基、上記式(1c)で表される基、さらに好ましくは上記式(1a)で表される基、特に好ましくは上記式(1a)で表される基であって、R 1aがエチレン基である基[中でも、2-(3',4'-エポキシシクロヘキシル)エチル基]である。
[0054]
 上記式(a)中のX 1は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X 1におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等の炭素数1~4のアルコキシ基等が挙げられる。また、X 1におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。中でもX 1としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、3つのX 1は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
[0055]
 上記式(b)で表される化合物は、前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(2)で表される構成単位を形成する化合物である。式(b)中のR 2は、上記式(2)におけるR 2と同じく、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。即ち、式(b)中のR 2としては、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換のアリール基、さらに好ましくはフェニル基である。
[0056]
 上記式(b)中のX 2は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X 2の具体例としては、X 1として例示したものが挙げられる。中でも、X 2としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、3つのX 2は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
[0057]
 上記式(c)で表される化合物は、前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(3)で表される構成単位を形成する化合物である。上記式(c)中のX 3は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X 3の具体例としては、X 1として例示したものが挙げられる。中でも、X 3としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、3つのX 3は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
[0058]
 上記加水分解性シラン化合物としては、上記式(a)~(c)で表される化合物以外の加水分解性シラン化合物を併用してもよい。例えば、上記式(a)~(c)で表される化合物以外の加水分解性三官能シラン化合物、M単位を形成する加水分解性単官能シラン化合物、D単位を形成する加水分解性二官能シラン化合物、Q単位を形成する加水分解性四官能シラン化合物等が挙げられる。
[0059]
 上記加水分解性シラン化合物の使用量や組成は、所望するポリオルガノシルセスキオキサンの構造に応じて適宜調整できる。例えば、上記式(a)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、55~100モル%が好ましく、より好ましくは65~100モル%、さらに好ましくは80~99モル%である。
[0060]
 また、上記式(b)で表される化合物の使用量は、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、0~70モル%が好ましく、より好ましくは0~60モル%、さらに好ましくは0~40モル%、特に好ましくは1~15モル%である。
[0061]
 さらに、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対する式(a)で表される化合物と式(b)で表される化合物の割合(総量の割合)は、60~100モル%が好ましく、より好ましくは70~100モル%、さらに好ましくは80~100モル%である。
[0062]
 また、上記加水分解性シラン化合物として2種以上を併用する場合、これらの加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、同時に行うこともできるし、逐次行うこともできる。上記反応を逐次行う場合、反応を行う順序は特に限定されない。
[0063]
 上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、溶媒の存在下で行うこともできるし、非存在下で行うこともできる。中でも溶媒の存在下で行うことが好ましい。上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール等が挙げられる。上記溶媒としては、中でも、ケトン、エーテルが好ましい。なお、溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0064]
 溶媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量100重量部に対して、0~2000重量部の範囲内で、所望の反応時間等に応じて、適宜調整することができる。
[0065]
 上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、触媒及び水の存在下で進行させることが好ましい。上記触媒は、酸触媒であってもアルカリ触媒であってもよい。上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;リン酸エステル;酢酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のスルホン酸;活性白土等の固体酸;塩化鉄等のルイス酸等が挙げられる。上記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等のアルカリ金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属のフェノキシド;トリエチルアミン、N-メチルピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン等のアミン類(第3級アミン等);ピリジン、2,2'-ビピリジル、1,10-フェナントロリン等の含窒素芳香族複素環化合物等が挙げられる。なお、触媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、触媒は、水や溶媒等に溶解又は分散させた状態で使用することもできる。
[0066]
 上記触媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.002~0.200モルの範囲内で、適宜調整することができる。
[0067]
 上記加水分解及び縮合反応に際しての水の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.5~20モルの範囲内で、適宜調整することができる。
[0068]
 上記水の添加方法は、特に限定されず、使用する水の全量(全使用量)を一括で添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。逐次的に添加する際には、連続的に添加してもよいし、間欠的に添加してもよい。
[0069]
 上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応を行う際の反応条件としては、特に、前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記割合[T3体/T2体]が5以上となるような反応条件を選択することが重要である。上記加水分解及び縮合反応の反応温度は、特に限定されないが、40~100℃が好ましく、より好ましくは45~80℃である。反応温度を上記範囲に制御することにより、上記割合[T3体/T2体]をより効率的に5以上に制御できる傾向がある。また、上記加水分解及び縮合反応の反応時間は、特に限定されないが、0.1~10時間が好ましく、より好ましくは1.5~8時間である。また、上記加水分解及び縮合反応は、常圧下で行うこともできるし、加圧下又は減圧下で行うこともできる。なお、上記加水分解及び縮合反応を行う際の雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下、空気下等の酸素存在下等のいずれであってもよいが、不活性ガス雰囲気下が好ましい。
[0070]
 上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応により、ポリオルガノシルセスキオキサンが得られる。上記加水分解及び縮合反応の終了後には、エポキシ基の開環を抑制するために触媒を中和することが好ましい。また、前記ポリオルガノシルセスキオキサンを、例えば、水洗、酸洗浄、アルカリ洗浄、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段等により分離精製してもよい。
[0071]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンの含有量(配合量)は、溶媒を除く硬化性組成物の全量(100重量%)に対して、70重量%以上、100重量%未満が好ましく、より好ましくは80~99.8重量%、さらに好ましくは90~99.5重量%である。前記ポリオルガノシルセスキオキサンの含有量を70重量%以上とすることにより、硬化物の表面硬度や接着性がより向上する傾向がある。一方、前記ポリオルガノシルセスキオキサンの含有量を100重量%未満とすることにより、硬化触媒を含有させることができ、これにより硬化性組成物の硬化をより効率的に進行させることができる傾向がある。
[0072]
 カチオン硬化性化合物の全量(100重量%)に対する前記ポリオルガノシルセスキオキサンの割合は、70~100重量%が好ましく、より好ましくは75~98重量%、さらに好ましくは80~95重量%である。前記ポリオルガノシルセスキオキサンの含有量を70重量%以上とすることにより、硬化物としたときの表面硬度がより向上する傾向がある。
[0073]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、上述の構成を有するため、当該ポリオルガノシルセスキオキサンを必須成分として含む硬化性組成物を硬化させることにより、高い表面硬度かつ耐熱性を有し、可とう性及び加工性に優れた硬化物を形成できる。
[0074]
(シリコンアクリレート)
 本発明の硬化性組成物は、必須の成分としてシリコンアクリレート(シリコーンアクリレート)を含む。前記シリコンアクリレートは、ケイ素原子と(メタ)アクリロイル基とを少なくとも有する添加剤の一種である。前記シリコンアクリレートは、(メタ)アクリロイル基以外の官能基(例えば、ヒドロキシル基)を有していてもよい。前記シリコンアクリレートは、シリコンジアクリレート、シリコントリアクリレート、シリコンテトラアクリレート、シリコンペンタアクリレート、シリコンヘキサアクリレート、シリコンヘプタアクリレート、シリコンオクタアクリレートであってもよい。前記シリコンアクリレートは、前記ポリオルガノシルセスキオキサンとともに硬化性組成物に用いることで、硬化物としたときの硬化物層表面の架橋密度を効果的に高めることができ、硬化物(特に、ハードコート層)の表面の平滑性などの外観を向上させ、表面硬度、耐擦傷性及び防汚性を向上させる性質を有する。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基(アクリル基)及びメタアクリロイル基(メタクリル基)の総称である。なお、本発明では、シリコンアクリレートは、カチオン硬化性化合物に含まれるものとする。
[0075]
 前記シリコンアクリレートは、有機溶媒(例えば、アセトン、トルエン、メタノール、エタノール)などの公知乃至慣用の一般的な分散媒に分散させた状態の分散液(ディスパージョン)を用いてもよい。シリコンアクリレートとしては、例えば、商品名「KRM8479」、「EBECRYL 350」、「EBECRYL 1360」(ダイセル・オルネクス(株)製)を用いることができる。
[0076]
 前記シリコンアクリレートの割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、例えば0.01~15重量部、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.01~5重量部、さらに好ましくは0.2~3重量部である。前記シリコンアクリレートの割合を0.01重量部以上とすることにより、硬化物(特に、ハードコート層)としたときの耐擦傷性と防汚性を向上することができる。また、シリコンアクリレートの割合を15重量部以下とすることにより、硬化物としたときの表面硬度をより高くすることができる。
[0077]
 本発明の硬化性組成物は、シリコンアクリレート以外に表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子を有していてもよい。前記シリカ粒子は、シリカ粒子の表面に無数の水酸基(Si-OH基)が存在し、硬化時に当該水酸基と前記ポリオルガノシルセスキオキサンとが反応することで、ポリオルガノシルセスキオキサンの硬化後の架橋密度が向上する。また、硬化時に複数の前記シリカ粒子における(メタ)アクリロイル基どうしが結合することで、硬化後の架橋密度が向上する。このように硬化後の架橋密度が向上することで、硬化物(特に、ハードコート層)の表面の平滑性などの外観及び耐擦傷性をさらに向上させる性質を有する。前記シリカ粒子は、シリカ粒子の表面に(メタ)アクリロイル基以外の官能基(例えば、シリコーン変性基)を有していてもよい。なお、本発明では、前記シリカ粒子は、カチオン硬化性化合物に含まれるものとする。
[0078]
 前記シリカ粒子は、水や有機溶媒などの公知乃至慣用の一般的な分散媒に分散させた状態の分散液(ディスパージョン)を用いてもよい。また、シリカ粒子に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシランカップリング剤を反応させたものを前記シリカ粒子として用いてもよい。前記シリカ粒子としては、例えば、商品名「BYK-LPX 22699」、「NANOBYK-3650」、「NANOBYK-3651」、および「NANOBYK-3652」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)を用いることができる。
[0079]
 前記シリカ粒子の粒径は、例えば1~100nm、好ましくは3~50nm、より好ましくは5~30nmである。
[0080]
 前記硬化性組成物における、表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子の割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、例えば0.01~20重量部であり、好ましくは0.05~15重量部であり、より好ましくは0.01~10重量部であり、さらに好ましくは0.2~5重量部である。前記シリカ粒子の割合を0.01重量部以上とすることにより、硬化物(特に、ハードコート層)表面の外観を良くすることができる。また、シリカ粒子の割合を20重量部以下とすることにより、硬化物の表面硬度を高くすることができる。
[0081]
 本発明の硬化性組成物では、硬化物(特に、ハードコート層)の外観をさらに向上させ、表面硬度を高くし、耐擦傷性を向上させる点で、シリコンアクリレートと、表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子とを両方を用いることが好ましい。シリコンアクリレートと前記シリカ粒子を両方含む場合のシリコンアクリレートと前記シリカ粒子の合計の割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、例えば0.01~20重量部、好ましくは0.05~15重量部、より好ましくは0.01~10重量部、さらに好ましくは0.2~5重量部である。前記割合を0.01重量部以上とすることにより、硬化物(特に、ハードコート層)としたときの耐擦傷性を向上することができる。また、前記割合を20重量部以下とすることにより、硬化物としたときの表面硬度をより高くすることができる。
[0082]
(光カチオン重合開始剤)
 前記硬化性組成物は、タックフリーとなるまでの硬化時間が短縮できる点で、硬化触媒として光カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。
[0083]
 上記光カチオン重合開始剤としては、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤を使用することができ、例えば、スルホニウム塩(スルホニウムイオンとアニオンとの塩)、ヨードニウム塩(ヨードニウムイオンとアニオンとの塩)、セレニウム塩(セレニウムイオンとアニオンとの塩)、アンモニウム塩(アンモニウムイオンとアニオンとの塩)、ホスホニウム塩(ホスホニウムイオンとアニオンとの塩)、遷移金属錯体イオンとアニオンとの塩等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[0084]
 上記スルホニウム塩としては、例えば、商品名「HS-1PC」(サンアプロ(株)製)、商品名「LW-S1」(サンアプロ(株)製)、トリフェニルスルホニウム塩、トリ-p-トリルスルホニウム塩、トリ-o-トリルスルホニウム塩、トリス(4-メトキシフェニル)スルホニウム塩、1-ナフチルジフェニルスルホニウム塩、2-ナフチルジフェニルスルホニウム塩、トリス(4-フルオロフェニル)スルホニウム塩、トリ-1-ナフチルスルホニウム塩、トリ-2-ナフチルスルホニウム塩、トリス(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウム塩、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩、4-(p-トリルチオ)フェニルジ-(p-フェニル)スルホニウム塩等のトリアリールスルホニウム塩;ジフェニルフェナシルスルホニウム塩、ジフェニル4-ニトロフェナシルスルホニウム塩、ジフェニルベンジルスルホニウム塩、ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールスルホニウム塩;フェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4-ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4-メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩等のモノアリールスルホニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウム塩、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム塩、ジメチルベンジルスルホニウム塩等のトリアルキルスルホニウム塩等が挙げられる。
[0085]
 上記ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩としては、例えば、商品名「CPI-101A」(サンアプロ(株)製、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート50%炭酸プロピレン溶液)、商品名「CPI-100P」(サンアプロ(株)製、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート50%炭酸プロピレン溶液)等の市販品を使用できる。また、上記トリアリールスルホニウム塩としては、例えば、商品名「K1-S」(サンアプロ(株)製、非アンチモン系トリアリールスルホニウム塩)等の市販品を使用してもよい。
[0086]
 上記ヨードニウム塩としては、例えば、商品名「UV9380C」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、ビス(4-ドデシルフェニル)ヨードニウム=ヘキサフルオロアンチモネート45%アルキルグリシジルエーテル溶液)、商品名「RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074」(ローディア・ジャパン(株)製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート=[(1-メチルエチル)フェニル](メチルフェニル)ヨードニウム)、商品名「WPI-124」(和光純薬工業(株)製)、ジフェニルヨードニウム塩、ジ-p-トリルヨードニウム塩、ビス(4-ドデシルフェニル)ヨードニウム塩、ビス(4-メトキシフェニル)ヨードニウム塩等が挙げられる。
[0087]
 上記セレニウム塩としては、例えば、トリフェニルセレニウム塩、トリ-p-トリルセレニウム塩、トリ-o-トリルセレニウム塩、トリス(4-メトキシフェニル)セレニウム塩、1-ナフチルジフェニルセレニウム塩等のトリアリールセレニウム塩;ジフェニルフェナシルセレニウム塩、ジフェニルベンジルセレニウム塩、ジフェニルメチルセレニウム塩等のジアリールセレニウム塩;フェニルメチルベンジルセレニウム塩等のモノアリールセレニウム塩;ジメチルフェナシルセレニウム塩等のトリアルキルセレニウム塩等が挙げられる。
[0088]
 上記アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、トリエチルメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリメチル-n-プロピルアンモニウム塩、トリメチル-n-ブチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム塩;N,N-ジメチルピロリジウム塩、N-エチル-N-メチルピロリジウム塩等のピロリジウム塩;N,N'-ジメチルイミダゾリニウム塩、N,N'-ジエチルイミダゾリニウム塩等のイミダゾリニウム塩;N,N'-ジメチルテトラヒドロピリミジウム塩、N,N'-ジエチルテトラヒドロピリミジウム塩等のテトラヒドロピリミジウム塩;N,N-ジメチルモルホリニウム塩、N,N-ジエチルモルホリニウム塩等のモルホリニウム塩;N,N-ジメチルピペリジニウム塩、N,N-ジエチルピペリジニウム塩等のピペリジニウム塩;N-メチルピリジニウム塩、N-エチルピリジニウム塩等のピリジニウム塩;N,N'-ジメチルイミダゾリウム塩等のイミダゾリウム塩;N-メチルキノリウム塩等のキノリウム塩;N-メチルイソキノリウム塩等のイソキノリウム塩;ベンジルベンゾチアゾニウム塩等のチアゾニウム塩;ベンジルアクリジウム塩等のアクリジウム塩等が挙げられる。
[0089]
 上記ホスホニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム塩、テトラ-p-トリルホスホニウム塩、テトラキス(2-メトキシフェニル)ホスホニウム塩等のテトラアリールホスホニウム塩;トリフェニルベンジルホスホニウム塩等のトリアリールホスホニウム塩;トリエチルベンジルホスホニウム塩、トリブチルベンジルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリエチルフェナシルホスホニウム塩等のテトラアルキルホスホニウム塩等が挙げられる。
[0090]
 上記遷移金属錯体イオンの塩としては、例えば、(η5-シクロペンタジエニル)(η6-トルエン)Cr +、(η5-シクロペンタジエニル)(η6-キシレン)Cr +等のクロム錯体カチオンの塩;(η5-シクロペンタジエニル)(η6-トルエン)Fe +、(η5-シクロペンタジエニル)(η6-キシレン)Fe +等の鉄錯体カチオンの塩等が挙げられる。
[0091]
 上述の塩を構成するアニオンとしては、例えば、SbF 6 -、PF 6 -、BF 4 -、(CF 3CF 23PF 3 -、(CF 3CF 2CF 23PF 3 -、(C 654-、(C 654Ga -、スルホン酸アニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、p-トルエンスルホン酸アニオン等)、(CF 3SO 23-、(CF 3SO 22-、過ハロゲン酸イオン、ハロゲン化スルホン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、アルミン酸イオン、ヘキサフルオロビスマス酸イオン、カルボン酸イオン、アリールホウ酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
[0092]
 前記硬化性組成物における、光カチオン重合開始剤の含有量(配合量)は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0.01~3.0重量部が好ましく、より好ましくは0.05~3.0重量部、さらに好ましくは0.1~1.0重量部、特に好ましくは0.3~1.0重量部である。硬化触媒の含有量を0.01重量部以上とすることにより、硬化反応を効率的に十分に進行させることができ、硬化物としたときの表面硬度がより向上する傾向がある。一方、光カチオン重合開始剤の含有量を3.0重量部以下とすることにより、硬化性組成物の保存性がいっそう向上したり、硬化物としたときの着色が抑制される傾向がある。
[0093]
(その他のカチオン硬化性化合物)
 前記硬化性組成物は、上記以外のその他のカチオン硬化性化合物を含んでいてもよい。その他のカチオン硬化性化合物としては、公知乃至慣用のカチオン硬化性化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、前記ポリオルガノシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物(「その他のエポキシ化合物」と称する場合がある)、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。なお、前記硬化性組成物においてその他のカチオン硬化性化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0094]
 上記その他のエポキシ化合物としては、分子内に1以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)等が挙げられる。
[0095]
 上記脂環式エポキシ化合物としては、分子内に1個以上の脂環と1個以上のエポキシ基とを有する公知乃至慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、(1)分子内に脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(「脂環エポキシ基」と称する)を有する化合物;(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物;(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物(グリシジルエーテル型エポキシ化合物)等が挙げられる。
[0096]
 上記(1)分子内に脂環エポキシ基を有する化合物としては、下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
[化27]


[0097]
 上記式(i)中、Yは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素-炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。
[0098]
 上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
[0099]
 上記炭素-炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2~8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素-炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素-炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2~4のアルケニレン基である。
[0100]
 上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、3,4,3',4'-ジエポキシビシクロヘキサン、下記式(i-1)~(i-10)で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式(i-5)、(i-7)中のl、mは、それぞれ1~30の整数を表す。下記式(i-5)中のR'は炭素数1~8のアルキレン基であり、中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(i-9)、(i-10)中のn1~n6は、それぞれ1~30の整数を示す。また、上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物としては、その他、例えば、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)エタン、2,3-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)オキシラン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル等が挙げられる。
[化28]


[化29]


[0101]
 上述の(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物等が挙げられる。
[化30]


[0102]
 式(ii)中、R"は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(-OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R"(OH) p]としては、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノール等の多価アルコール(炭素数1~15のアルコール等)等が挙げられる。pは1~6が好ましく、nは1~30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(ii)で表される化合物としては、具体的には、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
[0103]
 上述の(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物としては、例えば、脂環式アルコール(特に、脂環式多価アルコール)のグリシジルエーテルが挙げられる。より詳しくは、例えば、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2-ビス[3,5-ジメチル-4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパンなどのビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5-ジメチル-4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタンなどのビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水素化ビフェノール型エポキシ化合物;水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物;水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水素化ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物の水素化エポキシ化合物;下記芳香族エポキシ化合物の水素化エポキシ化合物等が挙げられる。
[0104]
 上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等]と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらのエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノール類とさらに付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類[例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]とアルデヒド[例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等]とを縮合反応させて得られる多価アルコール類を、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させることにより得られるノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、かつこれらフェノール骨格のヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介してグリシジル基が結合しているエポキシ化合物等が挙げられる。
[0105]
 上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、環状構造を有しないq価のアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル;一価又は多価カルボン酸[例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等]のグリシジルエステル;エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等の二重結合を有する油脂のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン等のポリオレフィン(ポリアルカジエンを含む)のエポキシ化物等が挙げられる。なお、上記環状構造を有しないq価のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール等の一価のアルコール;エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の二価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール等が挙げられる。また、q価のアルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等であってもよい。
[0106]
 上記オキセタン化合物としては、分子内に1以上のオキセタン環を有する公知乃至慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、3,3-ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3-エチル-3-(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1-エチル(3-オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4'-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、1,4-ビス{〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3-エチル-3-{〔(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ〕メチル}オキセタン、キシリレンビスオキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
[0107]
 上記ビニルエーテル化合物としては、分子内に1以上のビニルエーテル基を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル(エチレングリコールモノビニルエーテル)、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1-メチル-3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1-メチル-2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1-ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,8-オクタンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3-シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2-シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、p-キシレングリコールモノビニルエーテル、p-キシレングリコールジビニルエーテル、m-キシレングリコールモノビニルエーテル、m-キシレングリコールジビニルエーテル、o-キシレングリコールモノビニルエーテル、o-キシレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールジビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、イソソルバイドジビニルエーテル、オキサノルボルネンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、ヒドロキシオキサノルボルナンメタノールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等が挙げられる。
[0108]
 前記硬化性組成物における、その他のエポキシ化合物(特に、上記脂環式エポキシ化合物)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、前記ポリオルガノシルセスキオキサンとその他のカチオン硬化性化合物の総量(100重量%;カチオン硬化性化合物の全量)に対して、0.01~10重量%が好ましく、より好ましくは0.05~9重量%、さらに好ましくは1~8重量%である。なお、上記その他のエポキシ化合物には、前記ポリオルガノシルセスキオキサンは含まれない。
[0109]
 前記硬化性組成物における、その他のカチオン硬化性化合物の含有量(配合量)は、特に限定されないが、前記ポリオルガノシルセスキオキサンとその他のカチオン硬化性化合物の総量(100重量%;カチオン硬化性化合物の全量)に対して、50重量%以下(例えば、0~50重量%)が好ましく、より好ましくは30重量%以下(例えば、0~30重量%)、さらに好ましくは10重量%以下である。その他のカチオン硬化性化合物の含有量を50重量%以下(特に10重量%以下)とすることにより、硬化物の耐擦傷性がより向上する傾向がある。一方、その他のカチオン硬化性化合物の含有量を10重量%以上とすることにより、硬化性組成物や硬化物に対して所望の性能(例えば、硬化性組成物に対する速硬化性や粘度調整等)を付与することができる場合がある。
[0110]
(レベリング剤)
 前記硬化性組成物は、レベリング剤を有していてもよい。上記レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、ヒドロキシル基を有するシリコーン系レベリング剤等が挙げられる。
[0111]
 上記シリコーン系レベリング剤としては、市販のシリコーン系レベリング剤を使用でき、例えば、商品名「BYK-300」、「BYK-301/302」、「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-310」、「BYK-315」、「BYK-313」、「BYK-320」、「BYK-322」、「BYK-323」、「BYK-325」、「BYK-330」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-337」、「BYK-341」、「BYK-344」、「BYK-345/346」、「BYK-347」、「BYK-348」、「BYK-349」、「BYK-370」、「BYK-375」、「BYK-377」、「BYK-378」、「BYK-UV3500」、「BYK-UV3510」、「BYK-UV3570」、「BYK-3550」、「BYK-SILCLEAN3700」、「BYK-SILCLEAN3720」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製);商品名「AC FS 180」、「AC FS 360」、「AC S 20」(以上、Algin Chemie製);商品名「ポリフローKL-400X」、「ポリフローKL-400HF」、「ポリフローKL-401」、「ポリフローKL-402」、「ポリフローKL-403」、「ポリフローKL-404」(以上、共栄社化学(株)製);商品名「KP-323」、「KP-326」、「KP-341」、「KP-104」、「KP-110」、「KP-112」(以上、信越化学工業(株)製);商品名「LP-7001」、「LP-7002」、「8032 ADDITIVE」、「57 ADDITIVE」、「L-7604」、「FZ-2110」、「FZ-2105」、「67 ADDITIVE」、「8618 ADDITIVE」、「3 ADDITIVE」、「56 ADDITIVE」(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)等の市販品を使用することができる。
[0112]
 上記フッ素系レベリング剤としては、市販のフッ素系レベリング剤を使用でき、例えば、商品名「オプツールDSX」、「オプツールDAC-HP」(以上、ダイキン工業(株)製);商品名「サーフロンS-242」、「サーフロンS-243」、「サーフロンS-420」、「サーフロンS-611」、「サーフロンS-651」、「サーフロンS-386」(以上、AGCセイミケミカル(株)製);商品名「BYK-340」(ビックケミー・ジャパン(株)製);商品名「AC 110a」、「AC 100a」(以上、Algin Chemie製);商品名「メガファックF-114」、「メガファックF-410」、「メガファックF-444」、「メガファックEXP TP-2066」、「メガファックF-430」、「メガファックF-472SF」、「メガファックF-477」、「メガファックF-552」、「メガファックF-553」、「メガファックF-554」、「メガファックF-555」、「メガファックR-94」、「メガファックRS-72-K」、「メガファックRS-75」、「メガファックF-556」、「メガファックEXP TF-1367」、「メガファックEXP TF-1437」、「メガファックF-558」、「メガファックEXP TF-1537」(以上、DIC(株)製);商品名「FC-4430」、「FC-4432」(以上、住友スリーエム(株)製);商品名「フタージェント 100」、「フタージェント 100C」、「フタージェント 110」、「フタージェント 150」、「フタージェント 150CH」、「フタージェント A-K」、「フタージェント 501」、「フタージェント 250」、「フタージェント 251」、「フタージェント 222F」、「フタージェント 208G」、「フタージェント 300」、「フタージェント 310」、「フタージェント 400SW」(以上、(株)ネオス製);商品名「PF-136A」、「PF-156A」、「PF-151N」、「PF-636」、「PF-6320」、「PF-656」、「PF-6520」、「PF-651」、「PF-652」、「PF-3320」(以上、北村化学産業(株)製)等の市販品を使用することができる。
[0113]
 上記ヒドロキシル基を有するシリコーン系レベリング剤としては、例えば、ポリオルガノシロキサン骨格(ポリジメチルシロキサン等)の主鎖又は側鎖にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン骨格の主鎖又は側鎖にポリエステル基を導入したポリエステル変性ポリオルガノシロキサン、(メタ)アクリル系樹脂にポリオルガノシロキサンを導入したシリコーン変性(メタ)アクリル系樹脂等を挙げることができる。これらのレベリング剤において、ヒドロキシル基は、ポリオルガノシロキサン骨格を有していてもよく、ポリエーテル基、ポリエステル基を有していてもよい。このようなレベリング剤の市販品としては、例えば、商品名「BYK-370」、「BYK-SILCLEAN3700」、「BYK-SILCLEAN3720」等を使用することができる。
[0114]
 上記レベリング剤の割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、例えば0.01~20重量部であり、好ましくは0.05~15重量部であり、より好ましくは0.01~10重量部であり、さらに好ましくは0.2~5重量部である。レベリング剤の割合が少な過ぎると、硬化物の表面平滑性が低下するおそれがあり、多過ぎると、硬化物の表面硬度が低下するおそれがある。
[0115]
(その他)
 前記硬化性組成物は、さらに、その他任意の成分として、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、硬化助剤、溶剤(有機溶剤等)、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤、重金属不活性化剤など)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、補強材(他の充填剤など)、核剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、透明化剤、レオロジー調整剤(流動性改良剤など)、加工性改良剤、着色剤(染料、顔料など)、帯電防止剤、分散剤、消泡剤、ワキ防止剤、表面改質剤(スリップ剤など)、艶消し剤、消泡剤、抑泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、光増感剤、発泡剤などの慣用の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
[0116]
 前記硬化性組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を室温で又は必要に応じて加熱しながら攪拌・混合することにより調製することができる。なお、硬化性組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。
[0117]
 前記硬化性組成物は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、前記硬化性組成物は、溶媒20%に希釈した液[特に、メチルイソブチルケトンの割合が20重量%である硬化性組成物(溶液)]の25℃における粘度として、300~20000mPa・sが好ましく、より好ましくは500~10000mPa・s、さらに好ましくは1000~8000mPa・sである。上記粘度を300mPa・s以上とすることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、上記粘度を20000mPa・s以下とすることにより、硬化性組成物の調製や取り扱いが容易となり、また、硬化物中に気泡が残存しにくくなる傾向がある。なお、硬化性組成物の粘度は、粘度計(商品名「MCR301」、アントンパール社製)を用いて、振り角5%、周波数0.1~100(1/s)、温度:25℃の条件で測定される。
[0118]
[硬化物]
 本発明の硬化性組成物におけるカチオン硬化性化合物(ポリオルガノシルセスキオキサン等)の重合反応を進行させることにより、硬化性組成物を硬化させることができ、硬化物を得ることができる。本発明の硬化物は、前記硬化性組成物を用いているため、表面硬度が高く、十分な耐擦傷性及び防汚性(耐汚染性)を有する。
[0119]
 本発明における硬化物における硬化の方法は、周知の方法より適宜選択でき、例えば、活性エネルギー線の照射、及び/又は、加熱する方法が挙げられる。上記活性エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等のいずれを使用することもできる。中でも、取り扱い性に優れる点で、紫外線が好ましい。
[0120]
 活性エネルギー線の照射による硬化の条件は、照射する活性エネルギー線の種類やエネルギー、硬化物の形状やサイズ等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、紫外線を照射する場合には、例えば1~1000mJ/cm 2程度とすることが好ましい。なお、活性エネルギー線の照射には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光、LEDランプ、レーザー等を使用することができる。活性エネルギー線の照射後には、さらに加熱処理(アニール、エイジング)を施してさらに硬化反応を進行させることができる。
[0121]
 加熱による硬化の条件は、特に限定されないが、例えば、30~200℃が好ましく、より好ましくは50~190℃である。硬化時間は適宜設定可能である。
[0122]
[ハードコートフィルム]
 本発明のハードコートフィルムは、基材と、当該基材の少なくとも一方の表面に形成されたハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、前記ハードコート層が、本発明の硬化性組成物の硬化物層であることを特徴とする。なお、本発明のハードコートフィルムにおける前記ハードコート層は、上記基材の一方の表面(片面)のみに形成されていてもよいし、両方の表面(両面)に形成されていてもよい。
[0123]
 本発明のハードコートフィルムにおける前記基材としては、プラスチック基材、金属基材、セラミックス基材、半導体基材、ガラス基材、紙基材、木基材(木製基材)、表面が塗装表面である基材等の公知乃至慣用の基材を用いることができ、特に限定されない。中でも、プラスチック基材が好ましい。前記基材は、単層の構成を有していてもよいし、多層(積層)の構成を有していてもよく、その構成(構造)は特に限定されない。
[0124]
 上記プラスチック基材を構成するプラスチック材料は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリイミド;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンオキサイド;ポリフェニレンサルファイド;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ノルボルネン系モノマーの単独重合体(付加重合体や開環重合体等)、ノルボルネンとエチレンの共重合体等のノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーの共重合体(付加重合体や開環重合体等の環状オレフィンコポリマー等)、これらの誘導体等の環状ポリオレフィン;ビニル系重合体(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン樹脂(ABS樹脂)等);ビニリデン系重合体(例えば、ポリ塩化ビニリデン等);トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;メラミン樹脂;ユリア樹脂;マレイミド樹脂;シリコーン等の各種プラスチック材料が挙げられる。なお、上記プラスチック基材は、1種のみのプラスチック材料により構成されたものであってもよいし、2種以上のプラスチック材料により構成されたものであってもよい。
[0125]
 中でも、上記プラスチック基材としては、透明性に優れたハードコートフィルムを得ることを目的とする場合には、透明性に優れた基材(透明基材)を用いることが好ましく、より好ましくはポリエステルフィルム(特に、PET、PEN)、環状ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、TACフィルム、PMMAフィルムである。
[0126]
 前記基材(特に、プラスチック基材)は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定剤、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤、補強剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤等のその他の添加剤を含んでいてもよい。なお、添加剤は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
[0127]
 前記基材(特に、プラスチック基材)の表面の一部又は全部には、粗化処理、易接着処理、静電気防止処理、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤処理等の公知乃至慣用の表面処理が施されていてもよい。なお、上記プラスチック基材は、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルム(一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム等)であってもよい。なお、基材としては、市販品を使用することもできる。
[0128]
 前記基材の厚みは、例えば、1~1000μm程度、好ましくは5~500μmである。
[0129]
 本発明におけるハードコート層の厚みは、表面硬度と耐擦傷性の観点から、例えば1~100μm、好ましくは2~80μm、より好ましくは3~60μm、さらに好ましくは5~50μmである。
[0130]
 本発明のハードコートフィルムの厚みは、例えば10~1000μm、好ましくは15~800μm、より好ましくは20~700μm、さらに好ましくは30~500μmである。
[0131]
 本発明のハードコートフィルムのハードコート層表面の鉛筆硬度は、H以上が好ましく、より好ましくは2H以上、さらに好ましくは3H以上、特に好ましくは4H以上、最も好ましくは6H以上である。なお、鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4に記載の方法に準じて評価することができる。
[0132]
 本発明のハードコートフィルムのハードコート層表面の耐擦傷性は、例えば、1kg/cm 2の荷重をかけてスチールウール♯0000で表面を100回往復摺動しても(擦っても)目立った傷が付かない。
[0133]
 本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層表面の平滑性にも優れており、算術平均粗さR aが、JIS B0601に準拠した方法において、例えば0.1~20nmであり、好ましくは0.1~10nmであり、より好ましくは0.1~5nmである。
[0134]
 本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層表面の滑り性(防汚性)にも優れており、表面の水接触角が、例えば60°以上(例えば、60~110°)であり、好ましくは70~110°であり、より好ましくは80~110°である。水接触角60°以上であると、滑り性(防汚性)に優れ、耐擦傷性にも優れる。
[0135]
 本発明のハードコートフィルムのヘイズは、特に限定されないが、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。なお、ヘイズの下限は、特に限定されないが、例えば、0.1%である。ヘイズを特に1.0%以下とすることにより、例えば、非常に高い透明性が要求される用途(例えば、タッチパネル等のディスプレイの表面保護シート等)への使用に適する傾向がある。本発明のハードコートフィルムのヘイズは、例えば、基材として上述の透明基材を使用することによって容易に上記範囲に制御することができる。なお、ヘイズは、JIS K7136に準拠して測定することができる。
[0136]
 本発明のハードコートフィルムの全光線透過率は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。なお、全光線透過率の上限は、特に限定されないが、例えば99%である。全光線透過率を特に90%以上とすることにより、例えば、非常に高い透明性が要求される用途(例えば、タッチパネル等のディスプレイの表面保護シート等)への使用に適する傾向がある。本発明のハードコートフィルムの全光線透過率は、例えば、基材として上述の透明基材を使用することによって容易に上記範囲に制御することができる。なお、全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定することができる。
[0137]
 本発明のハードコートフィルムは、基材やハードコート層以外にも、その他の層(例えば、中間層、下塗り層、接着層等)を有するものであってもよい。また、ハードコート層は、ハードコートフィルムの一部のみに形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層の表面を保護し、打ち抜き加工をし易くする目的で、表面保護フィルムを使用してもよい。表面保護フィルムとしては、公知乃至慣用の表面保護フィルムを使用することができ、例えば、プラスチックフィルムの表面に粘着剤層を有するものが使用できる。
[0138]
 本発明のハードコートフィルムは、ガラス代替材料として各種製品やその部材又は部品の構成材に使用することができる。上記製品としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置;タッチパネルなどの入力装置:太陽電池;各種家電製品;各種電気・電子製品;携帯電子端末(例えば、ゲーム機器、パソコン、タブレット、スマートフォン、携帯電話等)の各種電気・電子製品;各種光学機器、自動車部品(例えば、インストルメントパネル、センターパネル、天井等の自動車内装部品)等が挙げられる。
[0139]
(ハードコートフィルムの製造方法)
 本発明のハードコートフィルムは、公知乃至慣用のハードコートフィルムの製造方法に準じて製造することができ、その製造方法は特に限定されないが、例えば、上記基材の少なくとも一方の表面に前記硬化性組成物(特に、ハードコート層形成用硬化性組成物)を塗布し、上述の硬化物と同様に、硬化性組成物を硬化させることにより製造できる。硬化性組成物を硬化させる際の条件は、特に限定されず、上述の硬化物における条件から適宜選択可能である。
[0140]
 本発明のハードコートフィルムは、可とう性及び加工性に優れたハードコート層から構成されるため、ロールトゥロール方式での製造が可能である。本発明のハードコートフィルムをロールトゥロール方式で製造することにより、その生産性を著しく高めることが可能である。本発明のハードコートフィルムをロールトゥロール方式で製造する方法としては、公知乃至慣用のロールトゥロール方式の製造方法を採用することができ、特に限定されないが、ロール状に巻いた基材を繰り出す工程(工程A)と、繰り出した基材の少なくとも一方の表面に硬化性組成物を塗布し、次いで、必要に応じて溶剤を乾燥によって除去した後、該硬化性組成物を硬化させることによりハードコート層を形成する工程(工程B)と、その後、得られた積層物を再びロールに巻き取る工程(工程C)とを必須の工程として含み、これら工程(工程A~C)を連続的に実施する方法等が挙げられる。なお、当該方法は、工程A~C以外の工程を含んでいてもよい。
実施例
[0141]
 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、生成物の分子量の測定は、Alliance HPLCシステム 2695(Waters製)、Refractive Index Detector 2414(Waters製)、カラム:Tskgel GMH HR-M×2(東ソー(株)製)、ガードカラム:Tskgel guard column H HRL(東ソー(株)製)、カラムオーブン:COLUMN HEATER U-620(Sugai製)、溶媒:THF、測定条件:40℃により行った。また、生成物におけるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]の測定は、JEOL ECA500(500MHz)による 29Si-NMRスペクトル測定により行った。生成物のT d5(5%重量減少温度)は、TGA(熱重量分析)により、空気雰囲気下、昇温速度5℃/分の条件で測定した。
[0142]
合成例1:硬化性樹脂Aの合成
 温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた300ミリリットルのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(以下、「EMS」と称する)161.5ミリモル(39.79g)、フェニルトリメトキシシラン(以下、「PMS」と称する)9ミリモル(1.69g)、及びアセトン165.9gを仕込み、50℃に昇温した。このようにして得られた混合物に、5%炭酸カリウム水溶液4.70g(炭酸カリウムとして1.7ミリモル)を5分で滴下した後、水1700ミリモル(30.60g)を20分かけて滴下した。なお、滴下の間、著しい温度上昇は起こらなかった。その後、50℃のまま、重縮合反応を窒素気流下で4時間行った。
 重縮合反応後の反応溶液中の生成物を分析したところ、数平均分子量は1911であり、分子量分散度は1.47であった。上記生成物の 29Si-NMRスペクトルから算出されるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]は10.3であった。
 その後、反応溶液を冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、上層液を分取した後、1mmHg、40℃の条件で上層液から溶媒を留去し、無色透明の液状の生成物(エポキシ基含有ポリオルガノシルセスキオキサン)を得た。上記生成物のT d5は370℃であった。
[0143]
 なお、合成例1で得られた硬化性樹脂A(ポリオルガノシルセスキオキサン)のFT-IRスペクトルを上述の方法で測定したところ、いずれも1100cm -1付近に一つの固有吸収ピークを有することが確認された。
[0144]
実施例1
(ハードコートフィルムの作製)
 合成例1で得られた硬化性樹脂A(ポリオルガノシルセスキオキサン)61.6重量部、脂環エポキシ基を有する化合物(商品名「EHPE3150」(株)ダイセル製)6.9重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)(関東化学(株)製)30重量部、光カチオン重合開始剤(商品名「CPI-210S」、サンアプロ(株)製)1重量部、及びシリコンアクレート(商品名「KRM8479」、ダイセル・オルネクス(株)製)0.5重量部の混合溶液を調製し、これを硬化性組成物とした。
 上記で得られた硬化性組成物を、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム(商品名「テオネックス」(登録商標)、帝人デュポンフィルム(株)製、厚み50μm)上に、硬化後のハードコート層の厚みが40μmとなるようにワイヤーバー#44を使用して流延塗布した後、80℃のオーブン内で1分間放置(プレベイク)し、次いで5秒間紫外線を照射した(紫外線照射量:400mJ/cm 2)。最後に150℃で30分間熱処理(エイジング)することによって、ハードコート層を有するハードコートフィルム(ハードコート層/基材)を作製した。
[0145]
実施例2及び比較例1~3
 ハードコート層形成用硬化性組成物の組成を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、組成物を調製し、ハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。表1の硬化性組成物のシリカ粒子における、「BYK-LPX 22699」は、表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子であり、商品名「BYK-LPX 22699」(ビックケミー・ジャパン(株)製)である。また、表1の硬化性組成物のレベリング剤における、「BYK-370」は、シリコーン系レベリング剤であり、商品名「BYK-370」(ビックケミー・ジャパン(株)製)である。また、表1の硬化性組成物のレベリング剤における、「サーフロン S-243」は、フッ素系レベリング剤であり、商品名「サーフロン S-243」(DIC(株)製)である。なお、表1に記載の硬化性組成物の原料の配合量の単位は、重量部である。
[0146]
[評価]
 上記で得た実施例1~2及び比較例1~3のハードコートフィルムについて、以下の方法により各種評価を行った。結果を表1に示す。
[0147]
(防汚性:水接触角)
 ハードコートフィルムの表面(ハードコート層の表面)の水接触角(液滴法)の測定し、以下の基準で防汚性を評価した。
○(防汚性が良好):水接触角が90°以上
×(防汚性が不良):水接触角が90°未満
[0148]
(外観)
 ハードコートフィルムの表面(ハードコート層の表面)を蛍光灯の下で目視することにより、外観を評価した。
◎(外観が非常に良好):表面に歪みや凹凸が全くない
○(外観が良好):表面に歪みや凹凸がほとんどない
△(外観がやや不良):表面に歪みや凹凸が少し見られる
×(外観が不良):表面に歪みや凹凸が見られる
[0149]
(鉛筆硬度)
 上記で得たハードコートフィルムにおける表面(ハードコート層の表面)の鉛筆硬度を、JIS K5600-5-4に準じて評価した。なお、荷重は750gで行った。
[0150]
(耐擦傷性)
 上記で得たハードコートフィルムにおける表面(ハードコート層の表面)に対し、荷重1000g/cm 2にて表1に記載の所定の回数、#0000スチールウールを往復させた。100回毎に下記の基準にて表面に付いた傷の有無を確認し、耐擦傷性を評価した。
 OK:所定の回数にて傷が見られない
 NG:所定の回数にて傷が見られる
[0151]
[表1]


[0152]
 以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記する。
[1]下記ポリオルガノシルセスキオキサンと、シリコンアクリレートとを含む硬化性組成物。
ポリオルガノシルセスキオキサン:式(1)で表される構成単位を有し、式(I)で表される構成単位(T3体)と、式(II)で表される構成単位(T2体)のモル比が5以上であり、シロキサン構成単位の全量に対する、式(1)で表される構成単位、及び式(4)で表される構成単位の割合(総量)が55~100モル%であり、数平均分子量が1000~3000、分子量分散度が1.0~3.0である
[2]前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、さらに、式(2)で表される構成単位を有する[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、式(1)及び式(4)中のR 1が、式(1a)で表される基、式(1b)で表される基、式(1c)で表される基、又は、式(1d)で表される基である[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、式(2)中のR 2が、置換若しくは無置換のアリール基(好ましくはフェニル基)である[2]又は[3]に記載の硬化性組成物。
[5]前記式(II)で表される構成単位(T2体)として、式(5)で表される構成単位を含む[1]~[4]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[6]前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量に対する、式(2)で表される構成単位及び式(5)で表される構成単位の割合(総量)は、0~70モル%である[1]~[5]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[7]前記ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量に対する、式(1)で表される構成単位、式(2)で表される構成単位、式(4)で表される構成単位、及び式(5)で表される構成単位の割合(総量)は、60~100モル%である[1]~[6]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[8]前記ポリオルガノシルセスキオキサンの空気雰囲気下における5%重量減少温度(T d5)は、330℃以上である[1]~[7]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[9]前記ポリオルガノシルセスキオキサンの含有量は、溶媒を除く硬化性組成物全量に対して、70重量%以上である[1]~[8]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[10]前記シリコンアクリレートとして、シリコンジアクリレート、シリコントリアクリレート、シリコンテトラアクリレート、シリコンペンタアクリレート、シリコンヘキサアクリレート、シリコンヘプタアクリレート、及びシリコンオクタアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む[1]~[9]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[11]前記シリコンアクリレートの割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0.01~15重量部である[1]~[10]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[12]表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子を含む[1]~[11]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[13]前記シリカ粒子の粒径は、1~100nmである[12]に記載の硬化性組成物。
[14]前記シリカ粒子の割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0.01~20重量部である[12]又は[13]に記載の硬化性組成物。
[15]前記シリコンアクリレートと前記シリカ粒子の合計の割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0.01~20重量部である[12]~[14]のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
[16]前記ポリオルガノシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物(その他のエポキシ化合物)を含む[1]~[15]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[17]前記その他のエポキシ化合物は、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、及び脂肪族エポキシ化合物からなる群より選択される少なくとも1つである[16]に記載の硬化性組成物。
[18]前記脂環式エポキシ化合物は、分子内に脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有する化合物、脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物、及び分子内に脂環とグリシジルエーテル基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1つである[17]に記載の硬化性組成物。
[19]前記の脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物は、式(ii)で表される化合物である[18]に記載の硬化性組成物。
[20]カチオン硬化性化合物の全量に対する前記ポリオルガノシルセスキオキサンの割合は、70~100重量%である[1]~[19]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[21]前記その他のエポキシ化合物(特に、脂環式エポキシ化合物)の含有量は、前記ポリオルガノシルセスキオキサンとその他のカチオン硬化性化合物の総量に対して、0.01~10重量%である[16]~[20]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[22]光カチオン重合開始剤を含む[1]~[21]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[23]前記光カチオン重合開始剤は、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、セレニウム塩、アンモニウム塩、及びホスホニウム塩からなる群より選択される少なくとも1つである[22]に記載の硬化性組成物。
[24]前記光カチオン重合開始剤の含有量は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0.01~3.0重量部である[22]又は[23]に記載の硬化性組成物。
[25]レベリング剤(シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、ヒドロキシル基を有するシリコーン系レベリング剤など)を含む[1]~[24]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[26]前記レベリング剤の割合は、前記ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して、0.01~20重量部である[25]に記載の硬化性組成物。
[27]ハードコート層形成用硬化性組成物である[1]~[26]のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
[28][1]~[27]のいずれか一つに記載の硬化性組成物の硬化物。
[29]基材と、当該基材の少なくとも一方の表面に形成されたハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、前記ハードコート層が、[1]~[28]のいずれか一つに記載の硬化性組成物の硬化物層であることを特徴とするハードコートフィルム。
[30]前記ハードコート層の厚みは、1~100μmである[29]に記載のハードコートフィルム。
[31]前記基材は、プラスチック基材、金属基材、セラミックス基材、半導体基材、ガラス基材、紙基材、木基材、又は表面が塗装表面である基材である[29]又は[30]に記載のハードコートフィルム。

産業上の利用可能性

[0153]
 本発明の硬化性組成物は、ハードコート層形成用として用いることができる。また、本発明の硬化性組成物の硬化物であるハードコート層を含むハードコートフィルムは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置等の各種製品やその部材又は部品の構成材に使用することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 下記ポリオルガノシルセスキオキサンと、シリコンアクリレートとを含む硬化性組成物。
 ポリオルガノシルセスキオキサン:下記式(1)で表される構成単位を有し、下記式(I)で表される構成単位と、下記式(II)で表される構成単位のモル比[式(I)で表される構成単位/式(II)で表される構成単位]が5以上であり、シロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する、下記式(1)で表される構成単位、及び下記式(4)で表される構成単位の割合が55~100モル%であり、数平均分子量が1000~3000、分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0~3.0である
[化1]


[式(1)中、R 1は、エポキシ基を含有する基を示す。]
[化2]


[式(I)中、R aは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。]
[化3]


[式(II)中、R bは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。R cは、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。]
[化4]


[式(4)中、R 1は、式(1)におけるものと同じ。R cは、式(II)におけるものと同じ。]
[請求項2]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、さらに、下記式(2)で表される構成単位を有する請求項1に記載の硬化性組成物。
[化5]


[式(2)中、R 2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。]
[請求項3]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、R 1が、下記式(1a)で表される基、下記式(1b)で表される基、下記式(1c)で表される基、又は、下記式(1d)で表される基である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
[化6]


[式(1a)中、R 1aは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
[化7]


[式(1b)中、R 1bは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
[化8]


[式(1c)中、R 1cは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
[化9]


[式(1d)中、R 1dは、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。]
[請求項4]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサンは、R 2が、置換若しくは無置換のアリール基である請求項2又は3に記載の硬化性組成物。
[請求項5]
 前記ポリオルガノシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[請求項6]
 光カチオン重合開始剤を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[請求項7]
 表面に(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ粒子を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[請求項8]
 ハードコート層形成用硬化性組成物である請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
[請求項9]
 請求項1~8のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
[請求項10]
 基材と、当該基材の少なくとも一方の表面に形成されたハードコート層とを有するハードコートフィルムであって、前記ハードコート層が、請求項1~8のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物層であることを特徴とするハードコートフィルム。