このアプリケーションの一部のコンテンツは現時点では利用できません。
このような状況が続く場合は、にお問い合わせくださいフィードバック & お問い合わせ
1. (WO2018189822) IPMロータ
Document

明 細 書

発明の名称 IPMロータ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009  

発明の効果

0010   0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

符号の説明

0062  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : IPMロータ

技術分野

[0001]
 本発明は、積層されたコアシートに永久磁石が埋設されるIPM(Interior Permanent Magnet)ロータに関するものである。

背景技術

[0002]
 回転電機において、永久磁石を用いるロータには、磁石を回転子の表面に貼りつけるSPM(Surface Permanent Magnet)ロータと、磁石を回転子の中に埋め込むIPMロータとがある。IPMロータでは、直方体の磁石を利用できるので、取り付けおよびコスト面から、SPMロータと比較して有利であり、また、発生するトルクは大きく、さらにリラクタンストルクも利用できるため、IPMロータの採用が増加している。
[0003]
 このようなIPMロータでは、磁石の断面と同形状の穴部を打ち抜いた、略円形のコアシートを積層させた後、穴に磁石部材を挿入する方法が知られている。
 IPMロータでは、磁石の磁極から出る磁束は、効率よく、ステータのコイルへ伝達されることが必要である。ステータのコイルへ向かわない磁束は無駄磁束となる。そのため、IPMロータでは、磁束の流れに注意が必要である。
 また、IPMロータでは、高速回転すること、急に回転すること、または急に停止することがある。また、磁石には、カケおよび割れといった物理的もろさもある。そのため、磁石の固定方法には、注意が必要である。
[0004]
 例えば、特許文献1に記載されるIPMロータでは、2種類のコアシートが設けられている。1つのコアシートには、磁石の長手方向の端面に当接する穴部が設けられている。もう1つのコアシートには、磁石の長手方向の端面に隙間が生じる穴部が設けられている。これら2種類のコアシートが積層され、接着剤なしで磁石が固定されている。
 また、特許文献2に記載されるIPMロータでは、1つの略円形のコアシートの円周方向に設けられる穴部が2種類ある。1つの穴部には、穴部の中で、コアシートの径方向外側に磁石を押し付けるバネ板部が設けられている。もう1つの穴部には、バネ板部の逃げ部となる凹部が設けられている。これら2種類の穴部を同時に有する1種類のコアシートが、回転されながら積層されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2016-46949号公報
特許文献2 : 特開2015-76956号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、特許文献1に記載されるIPMロータでは、磁石を穴部の長手方向に位置決めすることはできるが、磁石を穴部の幅方向に位置決めすることはできない。そのため、穴部の幅方向において、磁石とコアシートとの間に隙間ができ、磁束密度が低下する可能性があった。
[0007]
 また、特許文献2に記載されるIPMロータでは、1つのコアシートの穴部に、別々にバネ板部または凹部が設けられている。しかしながら、例えば、最上層のコアシートの凹部が設けられている穴部には、上側にコアシートがないため、上側にバネ板部は存在しない。このような凹部は、バネ板部によって埋められないので、穴部の幅方向において、磁石とコアシートとの間に隙間が生じる。そのため、磁束密度が低下する可能性があった。
[0008]
 この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構造で、磁束密度の低下を抑制するとともに、磁石を保持することができるIPMロータを提供するものである。

課題を解決するための手段

[0009]
 この発明によるIPMロータは、磁石を収納する穴部が設けられる複数のコアシートが積層され、穴部に磁石が挿入され、穴部に、バネ板部が設けられる第1コアシートと、穴部に、凹部が設けられる第2コアシートとを備え、積層された複数のコアシートの少なくとも1つにおいて、穴部に突起部が設けられる。

発明の効果

[0010]
 この発明のIPMロータによれば、突起部によって、磁石は、穴部の長手方向の動きを規制される。また、バネ板部によって、磁石は、穴部の幅方向に固定される。バネ板部の曲げ方向には、凹部が存在するため、凹部はバネ板部によって埋められ、隙間ができることはない。また、バネ板部は、磁束密度が低下しない位置に設けられる。
[0011]
 これにより、簡単な構造で、磁束密度の低下を抑制するとともに、磁石を保持することができるIPMロータを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 本発明の実施の形態1によるIPMロータを有するモータ断面図である。
[図2] 実施の形態1における基本コアシートの部分平面図である。
[図3] 実施の形態1における第1コアシートの部分平面図である。
[図4] 実施の形態1における第2コアシートの部分平面図である。
[図5] 実施の形態1における第3コアシートの部分平面図である。
[図6] 図2から図5の各コアシートが積層されたものについて、図2から図5のVI-VI線から見た断面図である。
[図7] 図6におけるバネ板部周辺の模式的な拡大図である。
[図8] 本発明の実施の形態2によるIPMロータを有するモータ断面図である。
[図9] 実施の形態2における基本コアシートの部分平面図である。
[図10] 実施の形態2における第1コアシートの部分平面図である。
[図11] 実施の形態2における第2コアシートの部分平面図である。
[図12] 実施の形態3における第1コアシートの部分平面図である。
[図13] 実施の形態3における第2コアシートの部分平面図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、この発明のIPMロータの実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
[0014]
 実施の形態1.
 図1は、この発明の実施の形態1によるIPMロータを有するモータにおいて、モータの回転軸の方向から見た断面図である。図1に示すように、回転軸1を中心軸として、IPMロータ101が設けられている。
[0015]
 IPMロータ101には、V字形状の穴部2が8つ設けられている。穴部2は、IPMロータ101の外径側にある外向面2c、および内径側にある内向面2dを有する。穴部2のV字の両辺には、それぞれ、略直方体の磁石3が1つずつ配置される。磁石3は、磁束の流れる向きによって2つの場合に分けられる。1つは、1つのV字の両辺に挟まれる空間である第1コア部5aがN極となるように配置されている磁石3aである。もう1つは、N極となる第1コア部5aに隣接する第1コア部5aが、S極となるように配置されている磁石3bである。
[0016]
 IPMロータ101の外周には、IPMロータ101と同心円状に、ステータ50が設けられている。ステータ50には、48個のスロット51が円周方向に沿って設けられている。1個のスロット51には、半径方向に4つのコイル52が設けられている。
[0017]
 磁石3からの磁束は、磁石3aから出て、第1コア部5aを通って、ステータ50へ達し、別の第1コア部5aを通り、磁石3bに戻ってくる。一方、ステータのコイル52には、電流を流すことにより磁界が生じる。コイル52の磁極は、磁石3と引き合い、または反発することによって、IPMロータ101を回転させる、コイル52に流す電流の向きを変えることで、IPMロータ101の回転方向を変更できる。
[0018]
 このIPMロータ101は、電磁鋼板製の略円形のコアシートが積層され、磁石3が挿入されたものである。
 IPMロータ101を構成するコアシートについて、図2から図5を用いて説明する。図2から図5の各図面では、コアシートの一部のみを拡大して示す。
[0019]
 図2に、基本コアシート10の部分平面図を示す。基本コアシート10には、穴部10hが設けられている。図2は、穴部10hに磁石3が挿入された状態を示している。穴部10hは、基本コアシート10の径方向外側に開いたV字形状である。穴部10hは、挿入される磁石3の長手方向に、磁石3よりも長く空隙が設けられており、磁石3の動きに自由度がある。一方、穴部10hの幅方向の動きは規制されている。
[0020]
 穴部10hのV字形状の先端部2aおよびV字の曲折部2bは、それぞれ空間部が広げられている。先端部2aおよび曲折部2bの空間部は、フラックスバリア穴と呼ばれるものであり、隣接する磁石3同士の磁束の直接的な流れを抑止するものである。
 図3から図5において説明する第1コアシート11、第2コアシート12、および第3コアシート13は、この基本コアシート10を元にして形成されている。
[0021]
 図3に、第1コアシート11の部分平面図を示す。第1コアシート11には、V字形状の穴部11hが設けられている。図3は、穴部11hに磁石3が挿入された状態を示している。穴部11hの内向面2dには、4つのバネ板部11a、11b、11cおよび11dが設けられている。バネ板部11aおよび11dは、穴部11hにおいて、V字形状先端部近傍にある。一方、バネ板部11bおよび11cは、穴部11hにおいて、V字形状の交点側近傍にある。すなわち、4つのバネ板部11a~11dは、磁石3の長辺の端部3eに配置されている。4つのバネ板部11a~11dは、穴部11hの内向面2dから穴部11hの外側に向かって矩形状のくぼみが設けられ、くぼみの中央部から穴部11hの内側に向かって直方体が突出した形状となっている。
[0022]
 ここで、磁束の流れ6aおよび6bについて説明する。磁束の流れ6aおよび6bは、磁石3の短辺方向を貫通して、第1コア部5aを通り、破線で示す外側のステータ50へ流れていく。磁石3の中央部を通る磁束は、端部を通る磁束より多く、4つのバネ板部11a~11dが磁石3の端部にあっても、磁束には大きな損失とならないことがわかった。一方で、4つのバネ板部11a~11dが、穴部11hの外向面2cの側に設けられる、または、4つのバネ板部11a~11dがそれぞれ別々の側に設けられると、磁束の流れは阻止される。そのため、4つのバネ板部11a~11dが配置される部位は重要である。
[0023]
 図4に、第2コアシート12の部分平面図を示す。第2コアシート12には、V字形状の穴部12hが設けられている。図4は、穴部12hに磁石3が挿入された状態を示している。穴部12hの内向面2dには、4つの凹部12a~12dが設けられている。4つの凹部12a~12dは、図3で説明した第1コアシ-ト11の4つのバネ板部11a~11dが設けられている部位に対応する位置にある。4つの凹部12a~12dは、第1コアシート11の厚さ分だけ、第2コアシート12の内側に向かって、穴部12hが矩形状に広げられている。4つの凹部12a~12dは、それぞれ、4つのバネ板部11a~11dが曲げられてくるための逃げ部になっている。なお、穴部12hにおいて、4つの凹部12a~12d以外の部位については、磁石3との空隙ができる限り小さくなるように設けられている。そのため、穴部12hの形状が、磁束の流れ6aおよび6bに及ぼす影響は小さい。
[0024]
 図5に、第3コアシート13の部分平面図を示す。第3コアシート13には、V字形状の穴部13hが設けられている。図5は、穴部13hに磁石3が挿入された状態を示している。穴部13hには、磁石3の短辺3sの外側に、穴部13hの幅を狭めるように突出した突起部13a、13bおよび13cが設けられている。3つの突起部13a~13cは、穴部13h内において、磁石3の長手方向の動きを規制する。
[0025]
 次に、実施の形態1におけるIPMロータ101用のコアシートの積層構造について、図6を用いて説明する。
[0026]
 図6は、IPMロータ101における、穴部2周辺の断面図である。図6に示す断面図は、図2から図5において、VI-VI線から見た図である。
 IPMロータ101は、基本コアシート10、第1コアシート11、第2コアシート12、および第3コアシート13が、後述する順で積層されている。それぞれのコアシートに設けられている穴部10h、11h、12hおよび13hは、コアシートが積層されることによって連通し、穴部2を構成する。穴部2に、磁石3が挿入される。穴部2は、外向面2cおよび内向面2dを有する。
[0027]
 IPMロータ101では、磁石3が挿入される上方から、以下の順でコアシートが積層されている。
 まず、第3コアシート13が3つ積層されている。磁石3の背後には、突起部13aが破線で示されている。示されている面は、図5における突起部13aの磁石側端部面13tである。
 次に、基本コアシート10が5つ積層されている。
 次に、1つの第1コアシート11および3つの第2コアシート12からなる組が5組積層されている。
 最後に、第3コアシート13が6つ積層されている。最後の第3コアシート13が積層される数によって、ロータ長、すなわちIPMロータ101の高さが調整される。図6では、磁石3が挿入された際に、磁石3の背後となる突起部13aが一点鎖線で示されている。示されている面は、図5における突起部13aの磁石側端部面13tである。ロータ長の調整には、基本コアシート10を用いてもよい。
[0028]
 次に、IPMロータ101のコアシートの積層構造における、それぞれのコアシートの機能について、図6および図7を用いて説明する。説明は、磁石3の挿入工程に沿って行う。
[0029]
 図6に示すように、IPMロータ101用のコアシートの積層構造に対して、磁石3は上方から挿入されている。磁石3は、未着磁状態で挿入され、挿入完了後に着磁される。
[0030]
 まず、磁石3は、第3コアシート13の部分を通る。破線で示す突起部13aは、穴部2内において、磁石3の長手方向の動きを規制し、磁石3の位置決めをする。
 次に、磁石3は、基本コアシート10の部分を通る。基本コアシート10では、磁石3の位置ずれは発生しない。
[0031]
 次に、磁石3は、第1コアシート11のバネ板部11aに当接する。破線で示すように、バネ板部11aは、磁石3によって下方に押し曲げられる。磁石3は、バネ板部11aの復元力によって、外向面2cに押しつけられる。また、押し曲げられたバネ板部11aは、第2コアシート12と磁石3との隙間となる凹部12aを埋める。磁石3は、このバネ板部11aの押し曲げを4回行う。
 次に、磁石3は、第3コアシート13を通過して底面で止められる。一点鎖線で示す突起部13aは、穴部2内において、磁石3の長手方向の動きを規制する。磁石3は、上部および下部の両方で長手方向の動きが規制されるため、動きがより強く制約される。
[0032]
 図7は、図6におけるバネ板部11aの周辺の模式的な拡大図である。図7では、第1コアシート11のバネ板部11aが、下向きに押し曲げられている途中の状態を示している。バネ板部11aは、接触端部11pを起点として、押し曲げられる。接触端部11pは、第1コアシート11のバネ板部11a、および第2コアシート12の凹部12aが接触している内向面2dの角部である。第2コアシート12が積層される厚さは、少なくとも、このバネ板部11aの長さTが必要である。これにより、第2コアシート12の凹部12aは、第1コアシート11のバネ板部11aの曲がりによって埋められ、空隙ができなくなる。バネ板部11aの長さTは、第2コアシートの厚さtにもよるが、10t≧T≧tであることが望ましい。
[0033]
 実施の形態1では、バネ板部11aの長さTは、第2コアシートの厚さtの2.6倍程度である。一方、バネ板部11aの押し曲げに対する逃げは、3つの第2コアシート12が積層されることによって行われている。すなわち、第2コアシート12が連続して積層される厚さは3tである。したがって、第2コアシート12が連続して積層される厚さ3tは、バネ板部11aの長さT(≒2.6t)以上である。バネ板部11b、11cおよび11dの長さについても同様である。
[0034]
 第1コアシート11のバネ板部11aの幅mについて、図4を用いて説明する。幅mは、第1コアシート11の厚さt’とともに、磁石3を穴部2の外向面2cに押し付ける力を決める。押し付ける力が強すぎると、磁石3を損傷させる。また、バネ板部11aが変形しにくくなるため、磁石3は挿入しにくくなる。一方、押し付ける力が弱すぎると、磁石3を固定することができない。そのため、バネ板部11aの幅mは、第1コアシート11の厚さt’に対して、10t’>m>t’であることが望ましい。
 実施の形態1では、バネ板部11aの幅mは、第1コアシート11の厚さt’に対して約6倍としている。バネ板部11b、11cおよび11dの幅についても同様である。
[0035]
 また、4つのバネ板部11a~11dの幅mは、磁石3の大きさにも関係する。図4に示すように、穴部11hの長手方向における磁石3の長さkは、4つのバネ板部11a~11dの幅mに対して、0.34k≧mであることが望ましい。
 実施の形態1では、4つのバネ板部11a~11dの幅mは、磁石3の長さkの0.11倍程度であり、kおよびmの関係式を満たしている。
 以上のように、4つのバネ板部11a~11dの大きさを、第1コアシート11の厚さt’および磁石3の長さkによって規定することにより、磁石3に対する適切な押し付け力と、磁石3の挿入容易性との両立を図ることができる。
[0036]
 このように、実施の形態1によるIPMロータ101では、磁石3を収納する穴部2が設けられる複数のコアシート10~13が積層され、穴部2に磁石3が挿入されている。
穴部11hに、バネ板部11a~11dが設けられる第1コアシート11と、穴部12hに、凹部12a~12dが設けられる第2コアシート12とを備え、積層された複数のコアシート10~13の少なくとも1つにおいて、穴部2に突起部13a~13cが設けられている。
[0037]
これにより、簡単な構造で、磁束密度の低下を抑制するとともに、磁石を保持することができるIPMロータを提供することができる。
[0038]
 IPMロータ101は、第3コアシート13を備え、第3コアシート13に3つの突起部13a~13cが設けられている。これにより、コアシートの積層構造のバリエーションを増やすことができるので、設計の自由度を増やすことができる。
[0039]
 また、IPMロータ101は、穴部10hのみが設けられる基本コアシート10をさらに備え、3つの第3コアシート13、5つの基本コアシート10、第1コアシート、および3つの第2コアシートの順に積層される部分を備えている。これにより、磁石3に対する位置の固定と、磁石の挿入容易性との両立を図ることができる。
[0040]
 第2コアシート12は、第1コアシート11に連続して積層され、バネ板部11aは、第1コアシート11のバネ板部11a、および第2コアシート12の凹部12aの接触端部11pを起点に曲げられ、第2コアシート12が連続して積層される厚さは、バネ板部11aの長さT以上であり、バネ板部11aの長さTは、第2コアシート12の厚さtの1倍以上10倍以下の範囲内の3倍である。これにより、第2コアシートの凹部12aは、バネ板部11aによって埋められるので、空隙が生じることがなく、磁束密度の低下が発生しない。
[0041]
 バネ板部11aの幅mは、第1コアシート11の厚さt’の1倍~10倍の間にある6倍である。これにより、磁石3を損傷させることなく、磁石3を固定することができるとともに、磁石3の挿入容易性を図ることができる。
[0042]
 磁石3は略直方体をなし、穴部2はコアシート10~13の外径側に向かって開くV字形状に設けられ、3つの突起部13a~13cは、磁石3の短辺3sの外側に設けられ、4つのバネ板部11a~11dは、穴部11hの内径側の内向面2dであり、磁石3の長辺の端部3eに設けられている。これにより、磁束の流れ6aおよび6bに大きな損失を与えることなく、磁石3の位置を固定することができる。
[0043]
 実施の形態1では、コアシートを4種類用いたが、第3コアシート13を基本コアシート10の代わりに用い、3種類のコアシートで構成してもよい。
 また、第1コアシート11の厚さt’および第2コアシート12の厚さtは、等しくてもよい。
[0044]
 実施の形態2.
 次に、本発明の実施の形態2によるIPMロータ102について図8から図11を用いて説明する。実施の形態2では、実施の形態1に対して、磁石を挿入する穴部の形状が異なっている。
[0045]
 図8は、実施の形態2によるIPMロータ102を、回転軸1の方向から見た概略図である。IPMロータ102では、略円形のIPMロータ102の弦方向に、直線形状の穴部4が8つ設けられている。穴部4に挿入される磁石3は、IPMロータ102の外側が、N極およびS極が交互になるように配置されている。穴部4の長手方向の両端には、穴部が広げられた隙間4aおよび4bが設けられている。隙間4aおよび4bは、フラックスバリア穴であり、隣接する磁石3同士の磁束の直接的な流れを抑止するものである。また、隙間4aおよび4bの外側には、ブリッジ部5dが設けられている。ブリッジ部5dは、穴部4の外周部において、他の部位より細く形成されている。ブリッジ部5dも、隣接する磁石3からの磁束が直接流れ込みにくくするためのものである。
[0046]
 IPMロータ102は、3種類のコアシートによって構成されている。IPMロータ102を構成するコアシートについて、図9から図11を用いて説明する。図9から図11の各図面は、コアシートの一部のみを拡大して示す。また、図9から図11の各図面は、それぞれの穴部に磁石3が挿入された状態を示している。
[0047]
 図9に、基本コアシート20の部分平面図を示す。基本コアシート20には、弦方向に穴部20hが設けられている。穴部20hの長手方向には、磁石3よりも長く空隙が設けられており、磁石3の動きに自由度がある。一方、穴部20hの幅方向には、磁石3の動きは規制される。また、穴部20hは、基本コアシート20の外径側にある外向面4c、および内径側にある内向面4dを有する。
 図10および図11において説明する第1コアシート21、および第2コアシート22は、この基本コアシート20を元にして形成されている。
[0048]
 図10に、第1コアシート21の部分平面図を示す。第1コアシート21には、弦方向に穴部21hが設けられている。穴部21hの内向面4dには、磁石3の長辺の中央部3mに、バネ板部21aが設けられている。バネ板部21aは、穴部21hの内向面4dから穴部21hの外側に向かって矩形状のくぼみが設けられ、くぼみの中央部から穴部21hの内側に向かって直方体が突出した形状となっている。バネ板部21aは、磁石3によって押し曲げられる。押し曲げられたバネ板部21aは復元力によって、磁石3を、穴部21hの外向面4cに押し付けるように作用する。
[0049]
 ここで、磁束の流れ6cおよび6dについて説明する。磁束の流れ6cおよび6dは、磁石3の短辺にほぼ平行に出た後、左右に広がるように第1コアシート21の外部へ流れている。そのため、磁石3の中央部にバネ板部21aが設けられても、磁束の流れ6cおよび6dへの影響は少ない。磁石3は、穴部21hの外向面4cに密着させられており、磁石3と第1コアシート21との間に隙間はなくなる。そのため、磁束の流れ6cおよび6dが抑制されることはない。
[0050]
 図11に、第2コアシート22の部分平面図を示す。第2コアシート22には、弦方向に穴部22hが設けられている。穴部22hの内向面4dには、磁石3の長辺の中央部3mに、凹部22aが設けられている。凹部22aは、第1コアシート21の厚さ分だけ、第2コアシート22の内径方向に、穴部22hが矩形状に広げられている。また、凹部22aは、第1コアシート21のバネ板部21aに対応する位置にあり、バネ板部21aの逃げ部として機能する。
 また、穴部22hには、磁石3の短辺3sの外側に、穴部22hの幅を狭めるように突出した突起部22bおよび22cが設けられている。突起部22bおよび22cは、穴部22h内において、磁石3の長手方向の動きを規制する。
[0051]
 これらの3種類のコアシートを用いたIPMロータ102の積層順は、以下のとおりである。すなわち、第1コアシート21の下側に、第2コアシート22が積層される。第2コアシート22が積層される厚さは、バネ板部21aの長さ以上となるように設定する。このような第1コアシート21および第2コアシート22の組が複数組設けられ、基本コアシート20が、それらの組と組との間、またはそれらの組の上下両端に配置される。
[0052]
 このように、実施の形態2におけるIPMロータ102では、突起部22bおよび22cが、第2コアシート22の穴部22hに設けられている。これにより、用意するコアシートの種類を減らすことができるので、コストの削減をはかることができる。
[0053]
 また、磁石3は、略直方体をなし、穴部4は、コアシート20~22の弦方向に設けられ、突起部22bおよび22cは、磁石3の短辺3sの外側に設けられ、バネ板部21aは、穴部21hの内径側の内向面4dであり、磁石3の長辺の中央部3mに設けられている。これにより、磁束の流れ6cおよび6dを阻止することがなく、簡単な構造で磁石3を固定できる。その結果として、効率のよい回転電機のロータを実現できる。
[0054]
 実施の形態3.
 次に、本発明の実施の形態3によるIPMロータについて、図12および13を用いて説明する。実施の形態3では、磁石の長手方向の動きを規制する突起部が、バネ板部を有する第1コアシートに設けられている。
 図12および図13では、略円形のコアシートの一部のみを拡大して示す。また、図12および図13では、それぞれの穴部に磁石3が挿入された状態を示している。
[0055]
 図12に、第1コアシート31の部分平面図を示す。第1コアシート31には、弦方向に穴部31hが設けられている。穴部31hは、第1コアシート31に対して外径側にある外向面4c、および内径側にある内向面4dを有する。穴部31hの内向面4dには、磁石3の長辺の中央部3mに、バネ板部31aが設けられている。バネ板部31aは、穴部31hの内向面4dから穴部31hの外側に向かって矩形状のくぼみが設けられ、くぼみの中央部から穴部31hの内側に向かって直方体が突出した形状となっている。バネ板部31aは、磁石3によって押し曲げられる。押し曲げられたバネ板部31aは、復元力によって、磁石3を、穴部31hの外向面4cに押し付けるように作用する。
[0056]
 また、穴部31hには、磁石3の短辺3sの外側に、穴部31hの幅を狭めるように突出した突起部31bおよび31cが設けられている。突起部31bおよび31cは、穴部31h内において、磁石3の長手方向の動きを規制する。
[0057]
 図13に、第2コアシート32の部分平面図を示す。第2コアシート32には、弦方向に穴部32hが設けられている。穴部32hの内向面4dには、磁石3の長辺の中央部3mに、矩形状の凹部32aが設けられている。凹部32aは、第1コアシート31のバネ板部31aに対応する位置にあり、バネ板部31aの逃げ部として機能する。
[0058]
 これらの2種類のコアシートは、1つの第1コアシート31の下側に、バネ板部31aの長さ以上の厚さを有するように、第2コアシート32が積層されることによって1組となる。この組が複数設けられ、例えば、図9で説明した基本コアシート20が、それらの組と組との間、または組の上下両端に設けられ、磁石3が挿入されることによって、IPMロータが構成される。
[0059]
 このように、実施の形態3におけるIPMロータでは、突起部31bおよび31cが、第1コアシート31の穴部31hに設けられている。これにより、用意するコアシートの種類を減らすことができるので、コストの削減をはかることができる。
[0060]
 このように、バネ板部、凹部および突起部を、どのコアシートに設けるかについては、種々の組合せがあることは言うまでもない。
[0061]
 また、磁石の磁極中心位置をずらした、いわゆる段スキューする場合が考えられる。段スキューする場合には、以下の方法を用いることができる。まず、実施の形態1から3で説明したように、複数の種類のコアシートを積層し、磁石を挿入した1組のロータを構成する。次に、同様にして、1組以上のロータを別に構成する。次に、先に構成した1組のロータの上または下に、別に構成したロータを一体化させる。その場合に、軸を中心に所定角度ずらして組み上げる。このようにすることで、段スキューは実現可能である。これにより、コアシートの種類を増やすことなくさまざまなIPMロータを製造できる。その結果、トルクリップルを低減できるロータを実現することができる。

符号の説明

[0062]
 2,4,10h,11h,12h,13h,20h,21h,22h,31h,32h 穴部、2d,4d 穴部の内向面、3,3a,3b 磁石、3e 磁石の長辺の端部、3m 磁石の長辺の中央部、3s 磁石の短辺、10,20 基本コアシート、11,21,31 第1コアシ-ト、11a,11b,11c,11d,21a,31a バネ板部、11p 接触端部、12,22,32 第2コアシ-ト、12a,12b,12c,12d,22a,32a 凹部、13 第3コアシート、13a,13b,13c,22b,22c,31b,31c 突起部、101,102 IPMロータ、k 磁石の長さ、m バネ板部の幅、T バネ板部の長さ、t 第2コアシートの厚さ、t’ 第1コアシートの厚さ。

請求の範囲

[請求項1]
 磁石を収納する穴部が設けられる複数のコアシートが積層され、前記穴部に前記磁石が挿入されるIPMロータであって、
 前記穴部に、バネ板部が設けられる第1コアシートと、
 前記穴部に、凹部が設けられる第2コアシートとを備え、
 前記積層された複数の前記コアシートの少なくとも1つにおいて、前記穴部に突起部が設けられるIPMロータ。
[請求項2]
 前記突起部が、前記第1コアシートの前記穴部に設けられる請求項1に記載のIPMロータ。
[請求項3]
 前記突起部が、前記第2コアシートの前記穴部に設けられる請求項1に記載のIPMロータ。
[請求項4]
 第3コアシートをさらに備え、前記突起部が、前記第3コアシートに設けられる請求項1に記載のIPMロータ。
[請求項5]
 前記穴部のみが設けられる基本コアシートをさらに備え、
 少なくとも1つの前記第3コアシート、少なくとも1つの前記基本コアシート、前記第1コアシート、および少なくとも1つの前記第2コアシートの順に積層される部分を備える請求項4に記載のIPMロータ。
[請求項6]
 前記第2コアシートは、前記第1コアシートに連続して積層され、
 前記バネ板部は、前記第1コアシートの前記バネ板部、および前記第2コアシートの前記凹部の接触端部を起点に曲げられ、
 前記第2コアシートが連続して積層される厚さは、前記バネ板部の長さ以上であり、
 前記バネ板部の長さは、前記第2コアシートの厚さの1倍以上10倍以下である請求項1から5のいずれか1項に記載のIPMロータ。
[請求項7]
 前記バネ板部の幅は、前記第1コアシートの厚さの1倍~10倍の間である請求項1から6のいずれか1項に記載のIPMロータ。
[請求項8]
 前記磁石は、略直方体をなし、
 前記穴部は、前記コアシートの外径側に向かって開くV字形状に設けられ、
 前記突起部は、前記磁石の短辺の外側に設けられ、
 前記バネ板部は、前記穴部の内径側の面であり、前記磁石の長辺の端部に設けられる請求項1から7のいずれか1項に記載のIPMロータ。
[請求項9]
 前記磁石は、略直方体をなし、
 前記穴部は、前記コアシートの弦方向に設けられ、
 前記突起部は、前記磁石の短辺の外側に設けられ、
 前記バネ板部は、前記穴部の内径側の面であり、前記磁石の長辺の中央部に設けられる請求項1から7のいずれか1項に記載のIPMロータ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]