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1. (WO2018186389) 光電変換素子、光センサ、および、撮像素子
Document

明 細 書

発明の名称 光電変換素子、光センサ、および、撮像素子

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008  

発明の効果

0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094  

実施例

0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115  

符号の説明

0116  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1A   1B   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 光電変換素子、光センサ、および、撮像素子

技術分野

[0001]
 本発明は、光電変換素子、光センサ、および、撮像素子に関する。

背景技術

[0002]
 従来、固体撮像素子としては、フォトダイオード(PD:photodiode)を2次元的に配列し、各PDで発生した信号電荷を回路で読み出す平面型固体撮像素子が広く用いられている。
 カラー固体撮像素子を実現するには、平面型固体撮像素子の光入射面側に、特定の波長の光を透過するカラーフィルタを配した構造が一般的である。現在、2次元的に配列した各PD上に、青色(B:blue)光、緑色(G:green)光、および、赤色(R:red)光を透過するカラーフィルタを規則的に配した単板式固体撮像素子がよく知られている。しかし、この単板式固体撮像素子においては、カラーフィルタを透過しなかった光が利用されず光利用効率が悪い。
 これらの欠点を解決するため、近年、有機光電変換膜を信号読み出し用基板上に配置した構造を有する光電変換素子の開発が進んでいる。このような有機光電変換膜を使用した光電変換素子として、例えば、特許文献1では、以下のような化合物を含む光電変換膜を有する光電変換素子が開示されている。
[0003]
[化1]


先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 米国特許出願公開第2014/0097416号明細書

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 近年、撮像素子および光センサ等の性能向上の要求に伴い、これらに使用される光電変換素子に求められる諸特性に関してもさらなる向上が求められている。
 例えば、応答性のより一層の向上が求められている。
 また、製造適性の点から、光電変換膜を高速で成膜した場合においても、光電変換素子の暗電流の値を低く保てることが求められている。
 本発明者は、特許文献1で具体的に開示されている化合物(例えば、上述した化合物)を用いて光電変換素子を作製し、得られた光電変換素子の応答性、および、光電変換膜を高速で成膜した場合の光電変換素子の暗電流の値(以後、単に「高速成膜時の暗電流特性」とも称する)について検討したところ、その特性は必ずしも昨今求められるレベルに達しておらず、さらなる向上が必要であることを見出した。
 なお、後段においては、上記暗電流の値が小さいことを、高速成膜時の暗電流特性に優れるという。
[0006]
 本発明は、上記実情に鑑みて、優れた応答性、および、優れた高速成膜時の暗電流特性を示す光電変換素子を提供することを課題とする。
 また、本発明は、上記光電変換素子を有する光センサ、撮像素子、および、化合物を提供することも課題とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、所定の構造を有する化合物を含む光電変換膜を使用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、以下に示す手段により上記課題を解決し得る。
[0008]
 (1) 導電性膜、光電変換膜、および、透明導電性膜をこの順で有する光電変換素子であって、上記光電変換膜が、後述する式(1)で表される化合物、および、n型有機半導体を含み、上記n型有機半導体は、後述する式(2)で表される化合物および後述する式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、光電変換素子。
 (2) 上記n型有機半導体が、後述する式(3)で表される化合物を含む、上記(1)に記載の光電変換素子。
 (3) Mが、Zn、Cu、Co、Ni、Pt、Pd、Mg、または、Caを表す、上記(1)または(2)に記載の光電変換素子。
 (4) Mが、Znを表す、上記(1)~(3)のいずれかに記載の光電変換素子。
 (5) 後述する式(1)で表される化合物の極大吸収波長が、480~600nmの範囲にある、上記(1)~(4)のいずれかに記載の光電変換素子。
 (6) 上記光電変換膜が、480~600nmの範囲に極大吸収波長を有し、上記極大吸収波長における上記光電変換膜の吸光度を1とした場合において、上記光電変換膜の400nmおよび650nmにおける吸光度の相対値が、それぞれ0.10以下である、上記(1)~(5)のいずれかに記載の光電変換素子。
 (7) 上記式(1)で表される化合物の分子量が、400~1200である、上記(1)~(6)のいずれかに記載の光電変換素子。
 (8) 上記光電変換膜が、バルクへテロ構造を有する、上記(1)~(7)のいずれかに記載の光電変換素子。
 (9) 上記導電性膜と上記透明導電性膜の間に、上記光電変換膜の他に1種以上の中間層を有する、上記(1)~(8)のいずれかに記載の光電変換素子。
 (10) 上記(1)~(9)のいずれかに記載の光電変換素子を有する、光センサ。
 (11) 上記(1)~(9)のいずれかに記載の光電変換素子を有する、撮像素子。
 (12) 後述する式(1-1)で表される化合物。

発明の効果

[0009]
 本発明によれば、優れた応答性、および、優れた高速成膜時の暗電流特性を示す光電変換素子を提供することができる。
 また、本発明によれば、上記光電変換素子を有する光センサ、撮像素子、および、化合物を提供することもできる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1A] 光電変換素子の一構成例を示す断面模式図である。
[図1B] 光電変換素子の一構成例を示す断面模式図である。
[図2] ハイブリッド型光電変換素子の1画素分の断面模式図である。
[図3] 撮像素子の1画素分の断面模式図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 以下に、本発明の光電変換素子の好適実施形態について説明する。
 なお、本明細書において、置換または無置換を明記していない置換基等については、目的とする効果を損なわない範囲で、その基にさらに置換基(好ましくは、後述する置換基W)が置換していてもよい。例えば、「アルキル基」という表記は、置換基(好ましくは、後述する置換基W)が置換していてもよいアルキル基を意味する。
 また、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
 また、本明細書において、1Å(オングストローム)は、0.1nmに相当する。
[0012]
 本発明の従来技術と比較した特徴点としては、後述する式(1)で表される化合物(以後、単に「特定化合物」とも称する)と、n型有機半導体として、後述する式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種とを併用している点が挙げられる。
[0013]
 上記特定化合物においては、2つのピロメテン部分が金属原子に配位するため、特定化合物の構造は3次元的である。そのため、特定化合物は結晶化しづらく、結果として、蒸着速度による性能への影響が小さいと考えられる。また、特定化合物は電荷輸送の異方性が比較的小さいため、応答性に優れると考えられる。
[0014]
 以下に、本発明の光電変換素子の好適実施形態について図面を参照して説明する。図1に、本発明の光電変換素子の一実施形態の断面模式図を示す。
 図1Aに示す光電変換素子10aは、下部電極として機能する導電性膜(以下、下部電極とも記す)11と、電子ブロッキング膜16Aと、後述する式(1)で表される化合物を含む光電変換膜12と、上部電極として機能する透明導電性膜(以下、上部電極とも記す)15とがこの順に積層された構成を有する。
 図1Bに別の光電変換素子の構成例を示す。図1Bに示す光電変換素子10bは、下部電極11上に、電子ブロッキング膜16Aと、光電変換膜12と、正孔ブロッキング膜16Bと、上部電極15とがこの順に積層された構成を有する。なお、図1A、および、図1B中の電子ブロッキング膜16A、光電変換膜12、および、正孔ブロッキング膜16Bの積層順は、用途、および、特性に応じて、適宜変更してもよい。
[0015]
 光電変換素子10a(または、10b)では、上部電極15を介して光電変換膜12に光が入射されることが好ましい。
 また、光電変換素子10a(または、10b)を使用する場合には、電圧を印加できる。この場合、下部電極11と上部電極15とが一対の電極をなし、この一対の電極間に、1×10 -5~1×10 V/cmの電圧を印加することが好ましい。性能、および、消費電力の点から、印加される電圧としては、1×10 -4~1×10 V/cmがより好ましく、1×10 -3~5×10 V/cmがさらに好ましい。
 なお、電圧印加方法については、図1A、および、図1Bにおいて、電子ブロッキング膜16A側が陰極となり、光電変換膜12側が陽極となるように印加することが好ましい。光電変換素子10a(または、10b)を光センサとして使用した場合、また、撮像素子に組み込んだ場合も、同様の方法により電圧を印加できる。
 後段で、詳述するように、光電変換素子10a(または、10b)は光センサ用途、および、撮像素子用途に好適に適用できる。
[0016]
 また、図2に、本発明の光電変換素子の別の実施形態の断面模式図を示す。
 図2に示される光電変換素子200は、有機光電変換膜209と無機光電変換膜201とを備えるハイブリッド型の光電変換素子である。なお、有機光電変換膜209は、後述する式(1)で表される化合物を含む。
 無機光電変換膜201は、p型シリコン基板205上に、n型ウェル202、p型ウェル203、および、n型ウェル204を有する。
 p型ウェル203とn型ウェル204との間に形成されるpn接合にて青色光が光電変換され(B画素)、p型ウェル203とn型ウェル202との間に形成されるpn接合にて赤色光が光電変換される(R画素)。なお、n型ウェル202、p型ウェル203、および、n型ウェル204の導電型は、これらに限るものではない。
[0017]
 さらに、無機光電変換膜201の上には透明な絶縁層207が配置されている。
 絶縁層207の上には、画素毎に区分けした透明な画素電極208が配置され、その上に、緑色光を吸収して光電変換する有機光電変換膜209が各画素共通に一枚構成で配置され、その上に、電子ブロッキング膜212が各画素共通に一枚構成で配置され、その上に、一枚構成の透明な共通電極210が配置され、最上層に、透明な保護膜211が配置されている。電子ブロッキング膜212と有機光電変換膜209との積層順は図2とは逆であってもよく、共通電極210は、画素毎に区分けして配置されてもよい。
 有機光電変換膜209は、緑色光を検出するG画素を構成する。
[0018]
 画素電極208は、図1Aに示した光電変換素子10aの下部電極11と同じである。共通電極210は、図1Aに示した光電変換素子10aの上部電極15と同じである。
[0019]
 この光電変換素子200に被写体からの光が入射すると、入射光の内の緑色光が有機光電変換膜209に吸収されて光電荷が発生し、この光電荷は、画素電極208から図示しない緑色信号電荷蓄積領域に流れ蓄積される。
[0020]
 有機光電変換膜209を透過した青色光と赤色光との混合光が無機光電変換膜201内に侵入する。波長の短い青色光は主として半導体基板(無機光電変換膜)201の浅部(p型ウェル203とn型ウェル204との間に形成されるpn接合付近)にて光電変換されて光電荷が発生し、信号が外部に出力される。波長の長い赤色光は主として半導体基板(無機光電変換膜)201の深部(p型ウェル203とn型ウェル202との間に形成されるpn接合付近)で光電変換されて光電荷が発生し、信号が外部に出力される。
[0021]
 なお、光電変換素子200を撮像素子に使用する場合、p型シリコン基板205の表面部には、信号読出回路(CCD:Charge Coupled Device)型であれば電荷転送路、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型であればMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタ回路、または、緑色信号電荷蓄積領域が形成される。また、画素電極208は、縦配線により対応の緑色信号電荷蓄積領域に接続される。
[0022]
 以下に、本発明の光電変換素子を構成する各層の形態について詳述する。
[0023]
[光電変換膜]
(式(1)で表される化合物)
 光電変換膜12(または、有機光電変換膜209)は、光電変換材料として式(1)で表される化合物を含む膜である。この化合物を使用することにより、優れた応答性、および、優れた高速成膜時の暗電流特性を示す、光電変換素子が得られる。
 以下、式(1)で表される化合物について詳述する。
[0024]
[化2]


[0025]
 式(1)中、R ~R 12は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換基を表す。上記置換基の定義は、後述する置換基Wと同義である。
 光電変換素子の応答性、および/または、高速成膜時の暗電流特性がより優れる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、R ~R 12としては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましい。
 中でも、本発明の効果がより優れる点で、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10、および、R 12としては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましく、水素原子、アルキル基、または、アリール基がより好ましく、水素原子、メチル基、または、フェニル基がさらに好ましい。
 また、中でも、本発明の効果がより優れる点で、R 、R 、R 、および、R 11としては、水素原子、アルキル基、または、アリール基が好ましく、水素原子がより好ましい。
[0026]
 なお、R とR 12とが互いに結合して環を形成することはない。R とR とが互いに結合して環を形成することもない。R とR とが互いに結合して環を形成することもない。R とR とが互いに結合して環を形成することもない。R とR とが互いに結合して環を形成することもない。R 11とR 12とが互いに結合して環を形成することもない。
[0027]
 式(1)中、X およびX は、それぞれ独立に、窒素原子、または、CR 13を表す。R 13は、水素原子、または、置換基を表す。上記置換基の定義は、後述する置換基Wと同義である。
 本発明の効果がより優れる点で、X およびX としては、CR 13が好ましい。
 中でも、本発明の効果がより優れる点で、R 13としては、水素原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましく、水素原子、アリール基、または、含窒素ヘテロアリール基がより好ましく、水素原子、フェニル基、または、含窒素ヘテロアリール基がさらに好ましい。
 なお、上述したように、R 13で表されるアルキル基、アリール基、および、ヘテロアリール基等に、さらに置換基が置換していてもよい。置換基としては、後述する置換基W(例えば、アルキル基、および、ハロゲン原子等)が挙げられる。中でも、本発明の効果がより優れる点で、R 13がさらに有する置換基Wとしては、フッ素原子またはメチル基が好ましい。
[0028]
 式(1)中、Mは、2価の金属原子を表す。Mが表す2価の金属原子としては、例えばZn、Cu、Fe、Co、Ni、Au、Ag、Ir、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Mg、Ti、Be、Ca、Ba、Cd、Hg、Pb、および、Sn等が挙げられる。中でも、Mが表す2価の金属原子としては、Zn、Cu、Co、Ni、Pt、Pd、Mg、または、Caが好ましく、Zn、Cu、Co、または、Niがより好ましく、Zn、Cu、または、Coがさらに好ましく、Znが特に好ましい。
[0029]
 本明細書における置換基Wについて記載する。
 置換基Wとしては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子等)、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、および、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、および、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH) )、ホスファト基(-OPO(OH) )、スルファト基(-OSO H)、および、その他の公知の置換基が挙げられる。
 また、置換基Wは、さらに置換基Wで置換されていてもよい。例えば、アルキル基にハロゲン原子が置換していてもよい。
 なお、置換基Wの詳細については、特開2007-234651号公報の段落[0023]に記載される。
[0030]
 なお、特定化合物(式(1)で表される化合物)が有するアルキル基としては、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~6がより好ましく、炭素数1~4がさらに好ましい。アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、および、環状のいずれであってもよい。また、アルキル基には、置換基(好ましくは、置換基W)が置換していてもよい。
 アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、および、シクロへキシル基等が挙げられる。
[0031]
 特定化合物(式(1)で表される化合物)が有するアリール基中の炭素数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、炭素数6~30が好ましく、炭素数6~18がより好ましく、炭素数6がさらに好ましい。アリール基は、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造(縮合環構造)であってもよい。また、アリール基には、置換基(好ましくは、置換基W)が置換していてもよい。
 アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ビフェニル基、および、フルオレニル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基、または、アントリル基が好ましい。
[0032]
 特定化合物(式(1)で表される化合物)が有するヘテロアリール基(1価の芳香族複素環基)中の炭素数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、3~30が好ましく、3~18がより好ましい。ヘテロアリール基には、置換基(好ましくは、置換基W)が置換していてもよい。
 ヘテロアリール基は、炭素原子、および、水素原子以外にヘテロ原子を有する。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、および、ホウ素原子が挙げられ、窒素原子、硫黄原子、または、酸素原子が好ましい。
 ヘテロアリール基が有するヘテロ原子の数は特に制限されず、通常、1~10程度であり、1~4が好ましく、1~2がより好ましい。
 ヘテロアリール基の環員数は特に制限されないが、3~8が好ましく、5~7がより好ましく、5~6がさらに好ましい。なお、ヘテロアリール基は、単環構造であっても、2つ以上の環が縮環した縮環構造であってもよい。縮環構造の場合、ヘテロ原子を有さない芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環)が含まれていてもよい。
 ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、プテリジニル基、ピラジニル基、キノキサリニル基、ピリミジニル基、キナゾリル基、ピリダジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、トリアジニル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピロリル基、インドリル基、イミダゾピリジニル基、および、カルバゾリル基等が挙げられる。
[0033]
 式(1)で表される化合物の好適態様の一つとしては、式(1-1)で表される化合物が挙げられる。
[0034]
[化3]


[0035]
 式(1-1)中、R ~R 12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表す。アルキル基、アリール基、および、ヘテロアリール基の定義は、それぞれ上述した通りである。
 式(1-1)において、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10、および、R 12としては、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましい。
 中でも、R ~R 12としては、アルキル基がより好ましい。
[0036]
 Z およびZ は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σ が0超である、置換基を有していてもよいアリール基、または、ハメットの置換基定数σ が0超である、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。
 上記置換基を有していてもよいアリール基は、その基全体でハメットの置換基定数σ が0超であればよい。例えば、アリール基が置換基を有する場合は、置換基を有するアリール基全体のハメットの置換基定数σ が0超であればよい。
 上記置換基を有していてもよいヘテロアリール基に関しても、その基全体でハメットの置換基定数σ が0超であればよい。例えば、ヘテロアリール基が置換基を有する場合は、置換基を有するヘテロアリール基全体のハメットの置換基定数σ が0超であればよい。
 よって、上記を言い換えれば、Z およびZ は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σ が0超である無置換のアリール基、ハメットの置換基定数σ が0超である置換基を有するアリール基、ハメットの置換基定数σ が0超である無置換のヘテロアリール基、または、ハメットの置換基定数σ が0超である置換基を有するヘテロアリール基を表す。
[0037]
 ここで、ハメットの置換基定数σ 値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσ 値とσ 値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s and book of Chemistry」第12版、1979年(McGraw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96~103頁、1979年(南光堂)に詳しく記載される。なお、本発明において置換基をハメットの置換基定数σ により限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むものである。
[0038]
 アリール基の定義は、上述した通りであり、フェニル基が好ましい。
 アリール基が有していてもよい置換基の種類は特に制限されず、後述する置換基Wが挙げられる。
 なお、上記置換基を有していてもよいアリール基としては、上述したように基全体のハメットの置換基定数σ が0超であれば、その種類は特に制限されないが、アリール基は、置換基として、ハメットの置換基定数σ が0超である電子求引性基を有することが好ましい。
 ハメットの置換基定数σ が0超である電子求引性基としては、具体的には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、および、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基が挙げられる。中でも、特定化合物の極大吸収波長がより長波長化しやすい点で、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、および、ヨウ素原子等)、シアノ基、ハロゲン置換アルキル基が好ましい。
 アリール基が有するハメットの置換基定数σ が0超である電子求引性基の数は特に制限されないが、特定化合物の極大吸収波長がより長波長化しやすい点で、1~5つが好ましい。
[0039]
 ヘテロアリール基の定義は、上述した通りである。
 中でも、ヘテロアリール基としては、特定化合物の極大吸収波長がより長波長化しやすい点で、含窒素ヘテロアリール基(含窒素芳香族基)が好ましい。含窒素ヘテロアリール基としては、単環構造であることが好ましい。
 含窒素ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、キノリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアジル基、チアゾリル基、および、オキサゾリル基が挙げられる。
 ヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、置換基の種類は特に制限されず、後述する置換基Wが挙げられる。なお、置換基としては、上述したハメットの置換基定数σ が0超である電子求引性基であってもよい。
[0040]
 以下に、式(1)で表される化合物を例示する。
[0041]
[化4]


[0042]
[化5]


[0043]
[化6]


[0044]
 式(1)で表される化合物の分子量は特に制限されないが、400~1200が好ましい。分子量が1200以下であれば、蒸着温度が高くならず、化合物の分解が起こりにくい。分子量が400以上であれば、蒸着膜のガラス転移点が低くならず、光電変換素子の耐熱性が向上する。
[0045]
 上述した、緑色光を吸収して光電変換する有機光電変換膜209に適用可能とするため、式(1)で表される化合物の極大吸収波長は、450~600nmの範囲にあることが好ましく、480~600nmの範囲にあることがより好ましい。
 なお、上記極大吸収波長は、式(1)で表される化合物の吸収スペクトルを吸光度が0.5~1になる程度の濃度に調整して溶液状態(溶剤:クロロホルム)で測定した値である。
[0046]
 式(1)で表される化合物は、p型有機半導体として使用する際の安定性とn型有機半導体とのエネルギー準位のマッチングの点で、単独膜でのイオン化ポテンシャルが-5.0~-6.0eVである化合物であることが好ましい。
[0047]
 式(1)で表される化合物は、光センサ、撮像素子、または、光電池に用いる光電変換膜の材料として特に有用である。なお、通常、式(1)で表される化合物は、光電変換膜内でp型有機半導体として機能する場合が多い。また、式(1)で表される化合物は、着色材料、液晶材料、有機半導体材料、電荷輸送材料、医薬材料、および、蛍光診断薬材料としても用いることもできる。
[0048]
(n型有機半導体)
 光電変換膜は、上述した式(1)で表される化合物以外の他の成分として、n型有機半導体を含む。
 n型有機半導体は、アクセプタ性有機半導体材料(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、本明細書においてn型有機半導体は、式(1)で表される化合物と比較した際に、式(1)で表される化合物よりも電子親和力の大きい有機化合物をいう。
 n型有機半導体は、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含み、本発明の効果がより優れる点で、式(3)で表される化合物を含むことが好ましい。
 まず、式(2)で表される化合物について詳述する。
[0049]
[化7]


[0050]
 式(2)中、R t1~R t6は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換基を表す。上記置換基の定義は、上述した置換基Wと同義である。
 中でも、本発明の効果がより優れる点で、R t1、R t2、R t5、および、R t6としては、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましく、水素原子、または、アルキル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。ここで、R t1、R t2、R t5、および、R t6が表すアルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基の好適な範囲は、式(1)で表される化合物が置換基として有するアルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基の好適な範囲と同様である。
 また、中でも、本発明の効果がより優れる点で、R t3およびR t4としては、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましく、水素原子、または、アルキル基がより好ましく、炭素数2~8の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がさらに好ましく、炭素数4~6の直鎖状のアルキル基が特に好ましい。
 ここで、R t3およびR t4が表すアリール基、または、ヘテロアリール基の好適な範囲は、式(1)で表される化合物が置換基として有するアリール基、または、ヘテロアリール基の好適な範囲と同様である。
[0051]
 式(2)中、R b1~R b6は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換基を表す。上記置換基の定義は、上述した置換基Wと同義である。
 また、R b1~R b6のうち、少なくとも一つは、電子吸引性基を表す。
 R b1~R b6が表す電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化ヘテロアリール基、含窒素ヘテロアリール基、メチルエステル基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、ホスホリル基、および、アルキニル基等が挙げられる。中でも、本発明の効果がより優れる点で、R b1~R b6が表す電子吸引性基としては、ハロゲン化アルキル基、メチルエステル基、シアノ基が好ましく、シアノ基がより好ましい。
 R b1~R b6が表す電子吸引性基が複数存在する場合、複数存在する電子吸引性基の種類はそれぞれ異なっていてもよい。
 R b1~R b6が表す電子吸引性基の数としては、2~6が好ましく、2~4がより好ましい。
 また、本発明の効果がより優れる点で、R b1~R b6のうち、R b1、R b2、R b5、および、R b6が電子吸引性基であることが好ましい。R b3およびR b4は、電子吸引性基以外の基であることが好ましく、水素原子がより好ましい。
[0052]
 以下に、式(2)で表される化合物を例示する。
[0053]
[化8]


[0054]
 次に、式(3)で表される化合物について詳述する。
[0055]
[化9]


[0056]
 式(3)中、R s1~R s3は、それぞれ独立に、置換基を表す。上記置換基の定義は、上述した置換基Wと同義である。
 中でも、本発明の効果がより優れる点で、R s1~R s3としては、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基が好ましく、ハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子がさらに好ましい。
 ここで、R s1~R s3が表すアルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基の好適な範囲は、式(1)で表される化合物が置換基として有するアルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基の好適な範囲と同様である。
[0057]
 式(3)中、a~cは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
 a~cが表す整数としては、それぞれ独立に、1~4が好ましく、2~4がより好ましい。
 aが2以上の整数を表す場合、複数存在するR s1はそれぞれ異なっていてもよく、bが2以上の整数を表す場合、複数存在するR s2はそれぞれ異なっていてもよく、cが2以上の整数を表す場合、複数存在するR s3はそれぞれ異なっていてもよい。
[0058]
 式(3)中、Y は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボニルオキシ基を有する基(好ましくは、R -CO-O-で表される基。R は水素原子または置換基(例えば置換基W)を表す)、アミノ基、エチニル基、または、エテニル基を表す。中でも、本発明の効果がより優れる点で、Y としては、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子が好ましく、ハロゲン原子がより好ましい。
 なお、上述したように、Y で表される基がさらに置換基を有することができる場合、Y で表される基にさらに置換基が置換していてもよい。置換基としては、上述した置換基W(例えば、ハロゲン原子等)が挙げられる。
[0059]
 以下に、式(3)で表される化合物を例示する。
[0060]
[化10]


[0061]
 図2に示したような形態の場合には、特定n型有機半導体は無色、または、式(1)で表される化合物に近い極大吸収波長、および/または、吸収波形を持つことが好ましい。具体的には、n型有機半導体の吸収極大波長としては、本発明の効果がより優れる点で、500~600nmが好ましい。
[0062]
 光電変換膜は、上述した式(1)~式(3)で表される化合物以外の成分を含んでいてよい。例えば、光電変換膜は、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物以外のn型有機半導体を含んでいてもよい。
[0063]
 上記光電変換膜の極大吸収波長は、上述した、緑色光を吸収して光電変換する有機光電変換膜209に適用可能とするため、450~600nmの範囲にあることが好ましく、480~600nmの範囲にあることがより好ましい。
 さらに、本発明の効果がより優れる点で、光電変換膜が480~600nmの範囲に極大吸収波長を有する場合、上記極大吸収波長における吸光度を1とした場合において、光電変換膜の400nmおよび650nmにおける吸光度の相対値が、それぞれ0.10以下であることが好ましい。
 光電変換膜の吸光度は、島津製作所製分光光度計UV-3600を用いて測定する。具体的には、2.5cm角のガラス基板上に膜を作製し、上記分光光度計に付属のフイルムホルダに基板を固定して透過率を測定することで吸光度を得る。
[0064]
 光電変換膜は、上記式(1)で表される化合物と、n型有機半導体とが混合された状態で形成されるバルクヘテロ構造を有することが好ましい。バルクヘテロ構造は、光電変換膜内で、式(1)で表される化合物とn型有機半導体とが混合、分散している層である。バルクヘテロ構造を有する光電変換膜は、湿式法、および、乾式法のいずれでも形成できる。なお、バルクへテロ構造については、特開2005-303266号公報の段落[0013]~[0014]等において詳細に説明されている。
[0065]
 光電変換素子の応答性の点から、式(1)で表される化合物とn型有機半導体との合計の含有量に対する式(1)で表される化合物の含有量(=式(1)で表される化合物の単層換算での膜厚/(式(1)で表される化合物の単層換算での膜厚+n型有機半導体の単層換算での膜厚)×100)は、20~80体積%が好ましく、30~70体積%がより好ましく、40~60体積%がさらに好ましい。
 なお、光電変換膜は、実質的に、式(1)で表される化合物とn型有機半導体から構成されることが好ましい。実質的とは、光電変換膜全質量に対して、式(1)で表される化合物およびn型有機半導体の合計含有量が95質量%以上であることを意図する。
[0066]
 式(1)で表される化合物を含む光電変換膜は非発光性膜であり、有機電界発光素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)とは異なる特徴を有する。非発光性膜とは発光量子効率が1%以下の膜を意図し、発光量子効率は0.5%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましい。
[0067]
(成膜方法)
 光電変換膜は、主に、乾式成膜法により成膜できる。乾式成膜法の具体例としては、蒸着法(特に、真空蒸着法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、および、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等の物理気相成長法、ならびに、プラズマ重合等のCVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。中でも、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法により光電変換膜を成膜する場合、真空度、および、蒸着温度等の製造条件は常法に従って設定できる。
[0068]
 光電変換膜の厚みは、10~1000nmが好ましく、50~800nmがより好ましく、100~500nmがさらに好ましい。
[0069]
[電極]
 電極(上部電極(透明導電性膜)15と下部電極(導電性膜)11)は、導電性材料から構成される。導電性材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、および、これらの混合物等が挙げられる。
 上部電極15から光が入射されるため、上部電極15は検知したい光に対し透明であることが好ましい。上部電極15を構成する材料としては、例えば、アンチモンまたはフッ素等をドープした酸化錫(ATO:Antimony Tin Oxide、FTO:Fluorine doped Tin Oxide)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)、および、酸化亜鉛インジウム(IZO:Indium Zinc Oxide)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、および、ニッケル等の金属薄膜、これらの金属と導電性金属酸化物との混合物、または、積層物;ならびに、ポリアニリン、ポリチオフェン、および、ポリピロール等の有機導電性材料、等が挙げられる。中でも、高導電性、および、透明性等の点から、導電性金属酸化物が好ましい。
[0070]
 通常、導電性膜をある範囲より薄くすると、急激な抵抗値の増加をもたらすが、本実施形態にかかる光電変換素子を組み込んだ固体撮像素子では、シート抵抗は、好ましくは100~10000Ω/□でよく、薄膜化できる膜厚の範囲の自由度は大きい。また、上部電極(透明導電性膜)15は厚みが薄いほど吸収する光の量は少なくなり、一般に光透過率が増す。光透過率の増加は、光電変換膜での光吸収を増大させ、光電変換能を増大させるため、好ましい。薄膜化に伴う、リーク電流の抑制、薄膜の抵抗値の増大、および、透過率の増加を考慮すると、上部電極15の膜厚は、5~100nmが好ましく、5~20nmがより好ましい。
[0071]
 下部電極11は、用途に応じて、透明性を持たせる場合と、逆に透明性を持たせず光を反射させる場合とがある。下部電極11を構成する材料としては、例えば、アンチモンまたはフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、および、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、および、アルミ等の金属、これらの金属の酸化物、または、窒化物等の導電性化合物(一例として窒化チタン(TiN)を挙げる);これらの金属と導電性金属酸化物との混合物、または、積層物;ならびに、ポリアニリン、ポリチオフェン、および、ポリピロール、等の有機導電性材料等が挙げられる。
[0072]
 電極を形成する方法は特に制限されず、電極材料に応じて適宜選択できる。具体的には、印刷方式、および、コーティング方式等の湿式方式;真空蒸着法、スパッタ法、および、イオンプレーティング法等の物理的方式;ならびに、CVD、および、プラズマCVD法等の化学的方式、等が挙げられる。
 電極の材料がITOの場合、電子ビーム法、スパッタ法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル-ゲル法等)、および、酸化インジウムスズの分散物の塗布等の方法が挙げられる。
[0073]
[電荷ブロッキング膜:電子ブロッキング膜、正孔ブロッキング膜]
 本発明の光電変換素子は、導電性膜と透明導電性膜の間に、光電変換膜の他に1種以上の中間層を有することも好ましい。上記中間層としては、電荷ブロッキング膜が挙げられる。光電変換素子がこの膜を有することにより、得られる光電変換素子の特性(光電変換効率、および、応答性等)がより優れる。電荷ブロッキング膜としては、電子ブロッキング膜と正孔ブロッキング膜とが挙げられる。以下に、それぞれの膜について詳述する。
[0074]
(電子ブロッキング膜)
 電子ブロッキング膜は、電子供与性化合物を含む。具体的には、低分子材料では、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(TPD)、および、4,4’-ビス[N-(ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル(α-NPD)等の芳香族ジアミン化合物;ポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、および、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポルフィリン化合物;オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、テトラヒドロイミダゾール、ポリアリールアルカン、ブタジエン、4,4’,4’’-トリス(N-(3-メチルフェニル)N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、トリアゾール誘導体、オキサジザゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ならびに、シラザン誘導体等が挙げられる。高分子材料としては、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、および、ジアセチレン等の重合体、または、その誘導体が挙げられる。また、特許第5597450号の段落[0049]~[0063]に記載の化合物、特開2011-225544号公報の段落[0119]~[0158]に記載の化合物、および、特開2012-94660号公報の段落[0086]~[0090]に記載の化合物等が挙げられる。
[0075]
 なお、電子ブロッキング膜は、複数膜で構成してもよい。
 電子ブロッキング膜は、無機材料で構成されていてもよい。一般的に、無機材料は有機材料よりも誘電率が大きいため、無機材料を電子ブロッキング膜に用いた場合に、光電変換膜に電圧が多くかかるようになり、光電変換効率が高くなる。電子ブロッキング膜となりうる無機材料としては、例えば、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化クロム銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化ガリウム銅、酸化ストロンチウム銅、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化インジウム銅、酸化インジウム銀、および、酸化イリジウム等が挙げられる。
[0076]
(正孔ブロッキング膜)
 正孔ブロッキング膜は、電子受容性化合物を含む。
 電子受容性化合物としては、1,3-ビス(4-tert-ブチルフェニル-1,3,4-オキサジアゾリル)フェニレン(OXD-7)等のオキサジアゾール誘導体;アントラキノジメタン誘導体;ジフェニルキノン誘導体;バソクプロイン、バソフェナントロリン、および、これらの誘導体;トリアゾール化合物;トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体;ビス(4-メチル-8-キノリナート)アルミニウム錯体;ジスチリルアリーレン誘導体;ならびに、シロール化合物、等が挙げられる。また、特開2006-100767号公報の段落[0056]~[0057]に記載の化合物等が挙げられる。
[0077]
 電荷ブロッキング膜の製造方法は特に制限されず、乾式成膜法、および、湿式成膜法が挙げられる。乾式成膜法としては、蒸着法、および、スパッタ法が挙げられる。蒸着法は、物理蒸着法(PVD:Physical Vapor Deposition)、および、化学蒸着法(CVD)のいずれでもよく、真空蒸着法等の物理蒸着法が好ましい。湿式成膜法としては、インクジェット法、スプレー法、ノズルプリント法、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、および、グラビアコート法等が挙げられ、高精度パターニングの点からは、インクジェット法が好ましい。
[0078]
 電荷ブロッキング膜(電子ブロッキング膜、および、正孔ブロッキング膜)の厚みは、それぞれ、10~200nmが好ましく、30~150nmがより好ましく、50~100nmがさらに好ましい。
[0079]
[基板]
 光電変換素子は、さらに基板を有していてもよい。使用される基板の種類は特に制限されず、半導体基板、ガラス基板、および、プラスチック基板が挙げられる。
 なお、基板の位置は特に制限されないが、通常、基板上に導電性膜、光電変換膜、および、透明導電性膜をこの順で積層する。
[0080]
[封止層]
 光電変換素子は、さらに封止層を有していてもよい。光電変換材料は水分子等の劣化因子の存在で顕著にその性能が劣化してしまうことがある。そこで、水分子を浸透させない緻密な金属酸化物、金属窒化物、および、金属窒化酸化物等のセラミクス、または、ダイヤモンド状炭素(DLC:Diamond-like Carbon)等の封止層で光電変換膜全体を被覆して封止することで、上記劣化を防止できる。
 なお、封止層としては、特開2011-082508号公報の段落[0210]~[0215]に記載に従って、材料の選択、および、製造を行ってもよい。
[0081]
[光センサ]
 光電変換素子の用途として、例えば、光電池、および、光センサが挙げられるが、本発明の光電変換素子は光センサとして用いることが好ましい。光センサとしては、上記光電変換素子単独で用いてもよいし、上記光電変換素子を直線状に配したラインセンサ、または、平面上に配した2次元センサとして用いてもよい。本発明の光電変換素子は、ラインセンサでは、スキャナー等の様に光学系、および、駆動部を用いて光画像情報を電気信号に変換し、2次元センサでは、撮像モジュールのように光画像情報を光学系でセンサ上に結像させ電気信号に変換することで撮像素子として機能する。
[0082]
[撮像素子]
 次に、光電変換素子10aを備えた撮像素子の構成例を説明する。
 なお、以下に説明する構成例において、すでに説明した部材等と同等な構成、または、作用を有する部材等については、図中に同一符号、または、相当符号を付すことにより、説明を簡略化、または、省略する。
 撮像素子とは画像の光情報を電気信号に変換する素子であり、複数の光電変換素子が同一平面状でマトリクス上に配置されており、それぞれの光電変換素子(画素)において光信号を電気信号に変換し、その電気信号を画素ごとに逐次撮像素子外に出力できるものをいう。そのために、画素ひとつあたり、一つの光電変換素子、一つ以上のトランジスタから構成される。
 図3は、本発明の一実施形態を説明するための撮像素子の概略構成を示す断面模式図である。この撮像素子は、デジタルカメラ、および、デジタルビデオカメラ等の撮像装置、ならびに、電子内視鏡、および、携帯電話機等の撮像モジュール等に搭載される。
 この撮像素子は、図1Aに示したような構成の複数の光電変換素子と、各光電変換素子の光電変換膜で発生した電荷に応じた信号を読み出す読み出し回路が形成された回路基板とを有し、回路基板上方の同一面上に、複数の光電変換素子が一次元状、または、二次元状に配列された構成となっている。
[0083]
 図3に示す撮像素子100は、基板101と、絶縁層102と、接続電極103と、画素電極(下部電極)104と、接続部105と、接続部106と、光電変換膜107と、対向電極(上部電極)108と、緩衝層109と、封止層110と、カラーフィルタ(CF:Color Filter)111と、隔壁112と、遮光層113と、保護層114と、対向電極電圧供給部115と、読み出し回路116とを備える。
[0084]
 画素電極104は、図1Aに示した光電変換素子10aの下部電極11と同じ機能を有する。対向電極108は、図1Aに示した光電変換素子10aの上部電極15と同じ機能を有する。光電変換膜107は、図1Aに示した光電変換素子10aの下部電極11、および、上部電極15間に設けられる層と同じ構成である。
[0085]
 基板101は、ガラス基板、または、Si等の半導体基板である。基板101上には絶縁層102が形成されている。絶縁層102の表面には複数の画素電極104と複数の接続電極103が形成されている。
[0086]
 光電変換膜107は、複数の画素電極104の上にこれらを覆って設けられた全ての光電変換素子で共通の層である。
[0087]
 対向電極108は、光電変換膜107上に設けられた、全ての光電変換素子で共通の1つの電極である。対向電極108は、光電変換膜107よりも外側に配置された接続電極103の上にまで形成されており、接続電極103と電気的に接続されている。
[0088]
 接続部106は、絶縁層102に埋設されており、接続電極103と対向電極電圧供給部115とを電気的に接続するためのプラグである。対向電極電圧供給部115は、基板101に形成され、接続部106、および、接続電極103を介して対向電極108に所定の電圧を印加する。対向電極108に印加すべき電圧が撮像素子の電源電圧よりも高い場合は、チャージポンプ等の昇圧回路によって電源電圧を昇圧して上記所定の電圧を供給する。
[0089]
 読み出し回路116は、複数の画素電極104のそれぞれに対応して基板101に設けられており、対応する画素電極104で捕集された電荷に応じた信号を読出すものである。読み出し回路116は、例えば、CCD、CMOS回路、または、TFT(Thin Film Transistor)回路等で構成されており、絶縁層102内に配置された図示しない遮光層によって遮光されている。読み出し回路116は、それに対応する画素電極104と接続部105を介して電気的に接続されている。
[0090]
 緩衝層109は、対向電極108上に、対向電極108を覆って形成されている。封止層110は、緩衝層109上に、緩衝層109を覆って形成されている。カラーフィルタ111は、封止層110上の各画素電極104と対向する位置に形成されている。隔壁112は、カラーフィルタ111同士の間に設けられており、カラーフィルタ111の光透過率を向上させるためのものである。
[0091]
 遮光層113は、封止層110上のカラーフィルタ111、および、隔壁112を設けた領域以外に形成されており、有効画素領域以外に形成された光電変換膜107に光が入射することを防止する。保護層114は、カラーフィルタ111、隔壁112、および、遮光層113上に形成されており、撮像素子100全体を保護する。
[0092]
 このように構成された撮像素子100では、光が入射すると、この光が光電変換膜107に入射し、ここで電荷が発生する。発生した電荷のうちの正孔は、画素電極104で捕集され、その量に応じた電圧信号が読み出し回路116によって撮像素子100外部に出力される。
[0093]
 撮像素子100の製造方法は、次の通りである。
 対向電極電圧供給部115と読み出し回路116が形成された回路基板上に、接続部105、および、106、複数の接続電極103、複数の画素電極104、ならびに、絶縁層102を形成する。複数の画素電極104は、絶縁層102の表面に例えば正方格子状に配置する。
[0094]
 次に、複数の画素電極104上に、光電変換膜107を例えば真空蒸着法によって形成する。次に、光電変換膜107上に例えばスパッタ法により対向電極108を真空下で形成する。次に、対向電極108上に緩衝層109、封止層110を順次、例えば真空蒸着法によって形成する。次に、カラーフィルタ111、隔壁112、および、遮光層113を形成後、保護層114を形成して、撮像素子100を完成する。
実施例
[0095]
 以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
[0096]
(化合物(D-1)および(D-2)の合成)
 化合物(D-1)および(D-2)は、Inorganic Chemistry,2003,42,6629-6647に記載の方法に従って、合成した。
[0097]
(化合物(D-3)の合成)
 化合物(D-3)は以下のスキームに従って合成した。
[0098]
[化11]


[0099]
 2,4-ジメチルピロール(5.10g、54.0mmol)、および、ペンタフルオロベンズアルデヒド(5.00g、25.5mmol)を、塩化メチレン(100mL)に添加した。得られた混合液にトリフルオロ酢酸(TFA)(145mg、1.27mmol)を加えて撹拌し、混合液を室温で1時間反応させた。混合液にトリエチルアミン(0.5mL)を加えて濃縮し、得られた生成物をシリカゲルカラム(2%メタノール/クロロホルム)で精製することで化合物(A-1)(7.15g、収率76%)を得た。
[0100]
 化合物(A-1)(3.00g、8.19mmol)をテトラヒドロフランに溶解させ、得られた溶液にp-クロラニル(p-Chloranil)(2.01g、8.19mmol)、および、酢酸亜鉛二水和物(Zn(OAc) ・2H O)(4.49g、20.4mmol)を添加した。得られた混合液を撹拌し、室温で1時間反応させた。その後、混合液を濃縮し、得られた生成物をシリカゲルカラム(2%メタノール/クロロホルム)で精製し、精製された化合物をメタノールから再結晶することで化合物(D-3)(1.64g、収率50%)を得た。
 得られた化合物(D-3)はMS(Mass Spectrometry)により同定した。
 MS(ESI )m/z:795.1([M+H]
[0101]
(化合物(D-4)~(D-11)の合成)
 化合物(D-4)~(D-11)は上記と同様の反応を用いて合成した。
 また、比較化合物に該当する比較化合物(R-1)は、Luminescence Technology社より購入した。
 比較化合物(R-2)はOrganic Biomolecular Chemistry,2010,8,4546-4553に記載の方法に従って合成した。
[0102]
 以下に、得られた化合物(D-1)~(D-11)、および、比較化合物(R-1)~(R-2)の構造を具体的に示す。
[0103]
[化12]


[0104]
[化13]


[0105]
 実施例または比較例で用いたn型有機半導体を以下に示す。なお、化合物(NR-1)は、C 60(フラーレン)である。
[0106]
[化14]


[0107]
 実施例または比較例で用いた化合物の極大吸収波長を表1に示す。
 なお、極大吸収波長は、化合物の吸収スペクトルを吸光度が0.5~1になる程度の濃度に調整して溶液状態(溶剤:クロロホルム)で測定した値である。
[0108]
[表1]


[0109]
<光電変換素子の作製>
 得られた化合物を用いて図1Aの形態の光電変換素子を作製した。つまり、本実施例で評価する光電変換素子は、下部電極11、電子ブロッキング膜16A、光電変換膜12および上部電極15からなる。
 また、以下では、化合物(D-1)をp型有機半導体として、化合物(N-1)をn型有機半導体として用いて光電変換膜を作製した場合について詳述する。
 具体的には、ガラス基板上に、アモルファス性ITOをスパッタ法により成膜して、下部電極11(厚み:30nm)を形成し、さらに、下部電極11上に酸化モリブデン(MoO )を真空蒸着法により成膜して、電子ブロッキング膜16Aとして酸化モリブデン層(厚み:30nm)を形成した。
 さらに、基板の温度を25℃に制御した状態で、酸化モリブデン層16A上に化合物(D-1)と化合物(N-1)とをそれぞれ単層換算で50nm、50nmとなるように真空蒸着法により共蒸着して成膜し、100nmのバルクヘテロ構造を有する光電変換膜12を形成した。この際、光電変換膜12の成膜速度は1.0Å/秒とした。
 さらに、光電変換膜12上に、アモルファス性ITOをスパッタ法により成膜して、上部電極15(透明導電性膜)(厚み:10nm)を形成した。上部電極15上に、真空蒸着法により封止層としてSiO膜を形成した後、その上にALCVD(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition)法により酸化アルミニウム(Al )層を形成し、光電変換素子を作製した。この素子を素子(A)とする。
[0110]
 p型有機半導体とn型有機半導体の組み合わせを表2のように変更した以外は、上記と同様の手順に従って、下記表2に示す各例の光電変換素子(素子(A))を作製した。
[0111]
<評価>
(応答性の評価)
 得られた光電変換素子(素子(A))を用いて、以下の応答性の評価を実施した。
 具体的には、光電変換膜の極大吸収波長に対する光電変換効率が50%となるように、光電変換素子に電圧を印加した。その後、LED(Light Emitting Diode)を瞬間的に点灯させて上部電極(透明導電性膜)側から光を照射し、そのときの光電流をオシロスコープで測定して、0から97%信号強度までの立ち上がり時間を計測した。比較例1(化合物(R-1)および化合物(N-2)の組み合わせで作製した素子(A))の立ち上がり時間を10として、各素子(A)の立ち上がり時間の相対値を求めた。
 なお、立ち上がり時間の相対値が比較例1に対して、3未満の場合を「A」、3以上5未満の場合を「B」、5以上10未満の場合を「C」、10以上の場合を「D」とした。実用上、「A」または「B」が好ましく、「A」がより好ましい。
 結果を下記表2に示す。
[0112]
(高速成膜時の暗電流特性の評価)
 光電変換膜12の成膜速度を3.0Å/秒としたこと以外は、素子(A)と同様の手順で、下記表2に示す各例の光電変換素子(素子(B))を作製した。得られた素子(B)を用いて、高速成膜時の暗電流特性の評価を行った。
 具体的には、光電変換膜の極大吸収波長に対する光電変換効率が50%となるように、光電変換素子に電圧を印加し、その状態での素子(A)の暗電流の値を1とした。さらに、同一のp型有機半導体およびn型有機半導体の組み合わせからなる素子(B)についても、同様に、光電変換膜の極大吸収波長に対する光電変換効率が50%となるように電圧を印加した状態で暗電流の値を測定し、素子(A)の暗電流の値に対する相対値を求めた。
 素子(A)に対する素子(B)の暗電流の値の相対値が1.5以下のものを「A」、1.5以上3未満のものを「B」、3以上5未満のものを「C」、5以上のものを「D」とした。実用上、「A」または「B」であることが好ましく、「A」であることがより好ましい。
 結果を下記表2に示す。
 なお、表2中、「極大吸収波長」欄は、光電変換膜の極大吸収波長を表す。
 また、「吸光度の相対値(極大吸収波長での吸光度を1とする)」欄は、光電変換膜の極大吸収波長での吸光度を1とした場合の波長400nmおよび波長650nmでの吸光度の相対値を表す。
 なお、光電変換膜の吸光度は、島津製作所製分光光度計UV-3600を用いて測定した。具体的には、2.5cm角のガラス基板上に膜を作製し、上記分光光度計に付属のフイルムホルダに基板を固定して透過率を測定することで吸光度を得た。
 相対値が0.01未満であった場合、相対値を0と評価した。
[0113]
[表2]


[0114]
 上記表2に示すように、式(1)で表される化合物、および、n型有機半導体として式(2)または(3)で表される化合物を含む光電変換膜を有する光電変換素子は、優れた応答性、および、優れた高速成膜時の暗電流特性を両立できることが確認された。
 中でも、実施例1と実施例9、および、実施例6と実施例12との比較より、n型有機半導体として式(3)で表される化合物を含む光電変換膜を有する光電変換素子は、より優れた応答性、および、より優れた高速成膜時の暗電流特性を示すことが確認された。
 また、中でも、実施例1~8の比較より、MがZnを表す式(1)で表される化合物を含む場合、より良好な応答性を示すことが確認された。
 一方で、所定の化合物の組み合わせを用いていない比較例1~4では、所望の効果は得られなかった。
[0115]
<撮像素子の作製>
 図3に示す形態と同様の撮像素子を作製した。すなわち、CMOS基板上に、アモルファス性TiN 30nmをスパッタ法により成膜後、フォトリソグラフィーによりCMOS基板上のフォトダイオード(PD)の上にそれぞれ1つずつ画素が存在するようにパターニングして下部電極とし、電子ブロッキング材料の成膜以降は素子(A)または素子(B)と同様に作製した。得られた撮像素子での応答性評価、および、高速成膜時の暗電流特性の評価も同様に行い、表2と同様な結果を得た。このことから、本発明の光電変換素子は、撮像素子においても優れた性能を示すことが分かった。

符号の説明

[0116]
 10a、10b  光電変換素子
 11  導電性膜(下部電極)
 12  光電変換膜
 15  透明導電性膜(上部電極)
 16A  電子ブロッキング膜
 16B  正孔ブロッキング膜
 100  画素分離型撮像素子
 101  基板
 102  絶縁層
 103  接続電極
 104  画素電極(下部電極)
 105  接続部
 106  接続部
 107  光電変換膜
 108  対向電極(上部電極)
 109  緩衝層
 110  封止層
 111  カラーフィルタ(CF)
 112  隔壁
 113  遮光層
 114  保護層
 115  対向電極電圧供給部
 116  読み出し回路
 200  光電変換素子(ハイブリッド型の光電変換素子)
 201  無機光電変換膜
 202  n型ウェル
 203  p型ウェル
 204  n型ウェル
 205  p型シリコン基板
 207  絶縁層
 208  画素電極
 209  有機光電変換膜
 210  共通電極
 211  保護膜
 212  電子ブロッキング膜

請求の範囲

[請求項1]
 導電性膜、光電変換膜、および、透明導電性膜をこの順で有する光電変換素子であって、
 前記光電変換膜が、式(1)で表される化合物、および、n型有機半導体を含み、
 前記n型有機半導体は、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、光電変換素子。
[化1]


 式(1)中、R ~R 12は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換基を表す。X およびX は、それぞれ独立に、窒素原子、または、CR 13を表す。R 13は、水素原子、または、置換基を表す。Mは、2価の金属原子を表す。
[化2]


 式(2)中、R t1~R t6は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換基を表す。R b1~R b6は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換基を表す。R b1~R b6のうち、少なくとも一つは、電子吸引性基を表す。
[化3]


 式(3)中、R s1~R s3は、それぞれ独立に、置換基を表す。a~cは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。Y は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボニルオキシ基を有する基、アミノ基、エチニル基、または、エテニル基を表す。
[請求項2]
 前記n型有機半導体が、前記式(3)で表される化合物を含む、請求項1に記載の光電変換素子。
[請求項3]
 Mが、Zn、Cu、Co、Ni、Pt、Pd、Mg、または、Caを表す、請求項1または2に記載の光電変換素子。
[請求項4]
 Mが、Znを表す、請求項1~3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[請求項5]
 前記式(1)で表される化合物の極大吸収波長が、480~600nmの範囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[請求項6]
 前記光電変換膜が、480~600nmの範囲に極大吸収波長を有し、前記極大吸収波長における前記光電変換膜の吸光度を1とした場合において、前記光電変換膜の400nmおよび650nmにおける吸光度の相対値が、それぞれ0.10以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[請求項7]
 前記式(1)で表される化合物の分子量が、400~1200である、請求項1~6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[請求項8]
 前記光電変換膜が、バルクへテロ構造を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[請求項9]
 前記導電性膜と前記透明導電性膜の間に、前記光電変換膜の他に1種以上の中間層を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
[請求項10]
 請求項1~9のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する、光センサ。
[請求項11]
 請求項1~9のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する、撮像素子。
[請求項12]
 式(1-1)で表される化合物。
[化4]


 式(1-1)中、R ~R 12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表す。Z およびZ は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σ が0超である、置換基を有していてもよいアリール基、または、ハメットの置換基定数σ が0超である、置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2]

[ 図 3]