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1. (WO2018186248) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法およびエピタキシャルシリコンウェーハ
Document

明 細 書

発明の名称 エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法およびエピタキシャルシリコンウェーハ

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022  

実施例

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

符号の説明

0048  

請求の範囲

1   2   3  

図面

1A   1B   2A   2B   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法およびエピタキシャルシリコンウェーハ

技術分野

[0001]
 本発明は、エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法およびエピタキシャルシリコンウェーハに関する。

背景技術

[0002]
 例えば、パワーMOSトランジスタ用のエピタキシャルシリコンウェーハには、そのシリコンウェーハの基板抵抗率が非常に低いことが要求される。シリコンウェーハの基板抵抗率を十分に低くするために、シリコンウェーハの素材である単結晶のインゴットの引き上げ工程で(すなわち、シリコン結晶の育成時に)、溶融シリコンに抵抗率調整用のn型ドーパントとしてリン(P)を高濃度にドープした基板抵抗率が非常に低いシリコンウェーハが使用されつつある(例えば、特許文献1参照)。
[0003]
 この特許文献1には、シリコン単結晶育成時に、抵抗率が0.9mΩ・cm以下となるようにリンが添加されたシリコンウェーハに、エピタキシャル膜を成長させると、積層欠陥(スタッキングフォルト、以下、SFという)がエピタキシャル膜に多数発生し、このSFが段差としてシリコンウェーハの表面に現れて、シリコンウェーハの表面のLPD(Light Point Defect:ライト・ポイント・デフェクト)レベルが大きく悪化することが記されている。
 このような不具合を解消するために、特許文献1には、エピタキシャル膜形成前のシリコンウェーハに対して、アルゴンガス雰囲気下でアルゴンアニール工程を行った後、エピタキシャル膜を成長させることが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2014-11293号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特許文献1の方法で製造されたエピタキシャルシリコンウェーハを用いて半導体デバイスを製造すると、その電気特性が十分でない場合があった。
[0006]
 本発明の目的は、十分な電気特性を有する半導体デバイスを製造可能なエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法およびエピタキシャルシリコンウェーハを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
 特許文献1の方法で製造されたエピタキシャルシリコンウェーハであって、表面検査装置によってSFを検出できなかったエピタキシャルシリコンウェーハのエピタキシャル膜を、M-Dash液((フッ酸(50wt%):硝酸(70wt%):酢酸(100wt%):H O=1:3:8~12:0.17)+硝酸銀水溶液(0.005~0.05g/L))(SEMI MF1809-0704参照)で選択エッチングした。選択エッチング後のエピタキシャル膜表面をTEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)で観察すると、図1Aに示すように、転位欠陥DFが存在していた(後述する、転位線)。さらに、図1AのA-A線に沿う縦断面をTEMで観察すると、図1Bに示すように、転位欠陥DFは、エピタキシャル膜EP表面に対して斜めに延びていた。
 この転位欠陥DFは、平面視のサイズが1μm~2μm程度であって、(100)面が傾斜した面を主表面とし、[011]方向、[0-1-1]方向、[0-11]方向および[01-1]方向のいずれかの方向に結晶方位性を有した転位線であった。
[0008]
 このような転位欠陥DFは、選択エッチング前には検出できないことから、選択エッチングを行っていない状態では、結晶方位性を有し、エピタキシャル膜EP表面側の端部が当該エピタキシャル膜EP内部に位置する(全体がエピタキシャル膜内部に位置する)、転位線として存在していると考えられる。
 また、転位線は、SFと同様に、酸素とリンのクラスターに起因するシリコンウェーハの微小ピットによって発生していると推測できる。
 以上の結果から、本発明者は、エピタキシャル膜EP表面に現れない転位線が半導体デバイスの電気特性を悪化させていると推測し、所定の面方位のシリコンウェーハにエピタキシャル膜を形成すると、面方位性を有する転位線の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
[0009]
 すなわち、本発明のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法は、リンをドーパントとした抵抗率が1.0mΩ・cm未満のシリコンウェーハに、エピタキシャル膜が設けられたエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法であって、(100)面が傾斜した面を主表面とし、前記(100)面に垂直な[100]軸が前記主表面に直交する軸に対して0°5′以上0°25′以下だけ傾斜した前記シリコンウェーハを準備するウェーハ準備工程と、前記シリコンウェーハに対し、アルゴンガス雰囲気下において1200℃以上1220℃以下の温度で30分以上の熱処理を行うアルゴンアニール工程と、前記アルゴンアニール工程後のシリコンウェーハの表面をエッチングするプリベーク工程と、前記プリベーク工程後のシリコンウェーハの表面に1100℃以上1165℃以下の成長温度で前記エピタキシャル膜を成長させるエピタキシャル膜成長工程とを備えていることを特徴とする。
[0010]
 本発明によれば、シリコンウェーハの結晶軸傾け角度を小さくし、(100)面に現れる転位面、すなわちすべり面である(111)面のStep数を低減することで、転位線が発生し難いシリコンウェーハを準備する。そのシリコンウェーハに対し、アルゴンガス雰囲気下で熱処理を行うことで、酸素とリンのクラスターによる微小ピットの溶体化を行う。アルゴンアニール工程後にシリコンウェーハの表面をエッチングするプリベーク工程を行うことで、微小ピットの除去を行い、エピタキシャル膜成長時に微小ピットから発生する転位線を抑制する。結晶軸傾け角度が小さいシリコンウェーハにエピタキシャル膜の低温成長を行った場合にはヒロック欠陥が発生しやすいが、その発生するヒロック欠陥を低減するため、エピタキシャル膜の高温成長を行うことが好適条件となる。
 その結果、転位線の密度が10個/cm 以下であり、転位線の発生が抑制されたエピタキシャルシリコンウェーハを得ることができる。したがって、このようなエピタキシャルシリコンウェーハ用いて、十分な電気特性を有する半導体デバイスを製造できる。
[0011]
 本発明のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法において、前記プリベーク工程は、150nm以上600nm以下の取代でエッチングすることが好ましい。
[0012]
 本発明によれば、アルゴンガス雰囲気下の熱処理で溶体化できないクラスターによる微小ピットを、プリベーク工程によりエッチングすることで除去でき、転位線の発生をより抑制できる。
[0013]
 本発明のエピタキシャルシリコンウェーハは、リンをドーパントとした抵抗率が1.0mΩ・cm未満のシリコンウェーハに、エピタキシャル膜が設けられたエピタキシャルシリコンウェーハであって、前記シリコンウェーハは、(100)面が傾斜した面を主表面とし、前記(100)面に垂直な[100]軸が前記主表面に直交する軸に対して0°5′以上0°25′以下だけ傾斜しており、結晶方位性を有し、全体が前記エピタキシャル膜の内部に位置する転位線の密度が10個/cm 以下であることを特徴とする。
 本発明をリンをドーパントとした抵抗率が0.9mΩ・cm未満のシリコンウェーハに適用することが好ましい。さらに、抵抗率が0.8mΩ・cm未満のシリコンウェーハに適用することがさらに好ましい。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1A] 転位線の平面視の写真。
[図1B] 図1AのA-A線に沿う縦断面視の写真。
[図2A] 本発明の一実施形態に係るエピタキシャルシリコンウェーハの断面図。
[図2B] シリコンウェーハの[100]軸の傾斜方向の説明図。
[図3] 前記一実施形態のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法を示すフローチャート。
[図4] 本発明の実施例における比較例1および実施例1のシリコン単結晶の各固化率における570℃±70℃での滞在時間および抵抗率の関係とシリコンウェーハの取得位置とを示す説明図。
[図5] 前記実施例における比較例2および実施例2のシリコン単結晶の各固化率における570℃±70℃での滞在時間および抵抗率の関係とシリコンウェーハの取得位置とを示す説明図。
[図6] 前記実施例における比較例3および実施例3のシリコン単結晶の各固化率における570℃±70℃での滞在時間および抵抗率の関係とシリコンウェーハの取得位置とを示す説明図。
[図7] 前記実施例におけるエピタキシャルシリコンウェーハの中心からの距離とエピタキシャル膜内部の欠陥密度との関係を示すグラフ。

発明を実施するための形態

[0015]
[実施形態]
 以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
〔エピタキシャルシリコンウェーハの構成〕
 図2Aに示すように、エピタキシャルシリコンウェーハEWは、シリコンウェーハWFと、このシリコンウェーハWFに設けられたエピタキシャル膜EPとを備えている。
 シリコンウェーハWFは、直径が199.8mm以上200.2mm以下であり、電気抵抗率が1.0mΩ・cm未満になるようにリンを含んでいる。シリコンウェーハWFは、(100)面が傾斜した面を主表面WF1とし、図2Bに示すように、(100)面に垂直な[100]軸が主表面WF1に直交する軸に対して、[001]方向、[00-1]方向、[010]方向、[0-10]方向のうちいずれか一方向、あるいは、これらの間の任意の一方向に0°5′以上0°25′以下だけ傾斜している。
 このような構成のエピタキシャルシリコンウェーハEWにおいて、結晶方位性を有し、全体がエピタキシャル膜EP内部に位置する転位線の密度は、10個/cm 以下であり転位線の発生が抑制されている。また、エピタキシャルシリコンウェーハEWの表面で観察されるSFの密度は、1個/cm 以下である。
[0016]
〔エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法〕
 次に、上記エピタキシャルシリコンウェーハEWの製造方法について説明する。
 エピタキシャルシリコンウェーハEWの製造方法は、図3に示すように、ウェーハ準備工程S1と、アルゴンアニール工程S2と、プリベーク工程S3と、エピタキシャル膜成長工程S4とを備えている。
[0017]
 ウェーハ準備工程S1は、上述の構成を有するシリコンウェーハWFを準備する。シリコンウェーハWFを得る方法としては、抵抗率が0.5mΩ・cm以上1.0mΩ・cm未満になるようにリンを含み、かつ、中心軸が(100)面に垂直な[001]軸と一致するシリコン単結晶を製造し、このシリコン単結晶をその中心軸に対する直交面ではなく、この直交面に対する傾斜面でスライスしてもよい。また、中心軸が(100)面に垂直な[100]軸に対して0°5′以上0°25′以下だけ傾斜したシリコン単結晶を製造し、このシリコン単結晶をその中心軸に対する直交面でスライスしてもよい。
 なお、上記シリコン単結晶の製造条件としては、以下のものが例示できる。
   リン濃度:7.38×10 19atoms/cm 以上1.64×10 20atoms/cm 以下
   酸素濃度:2×10 17atoms/cm 以上20×10 17atoms/cm (ASTM F121-1979)以下
 そして、この得られたシリコンウェーハWFに対し、必要に応じて、ラッピング、化学エッチング、鏡面研磨、その他の処理を行う。
[0018]
 アルゴンアニール工程S2は、シリコンウェーハWFに対し、アルゴンガス雰囲気下において1200℃以上1220℃以下の温度で熱処理を行う。熱処理時間は、30分以上90分以下が好ましい。30分未満の場合、このシリコンウェーハWFを用いてエピタキシャルシリコンウェーハEWを製造するとSFが多発するという不具合があり、90分を超える場合、スリップ転位が発生するという不具合がある。
 また、1回で複数のシリコンウェーハWFをアニール可能なバッチ炉を用いることが好ましい。
[0019]
 このようなアルゴンガス雰囲気下の熱処理を行うことによって、シリコンウェーハWFに発生しているクラスターが溶体化して無くなる、あるいは少なくなり、微小ピットの個数を減らすことができる。
[0020]
 プリベーク工程S3は、シリコンウェーハWFの表面をエッチングする。例えば、プリベーク工程S3は、エピタキシャル膜成長工程S4で用いるエピタキシャル装置内において、シリコンウェーハWFに対して以下の条件で熱処理を行う。
   雰囲気:水素ガス、塩化水素ガス
   水素ガスの流量:40SLM
   塩化水素ガスの流量:1SLM
   熱処理温度:1190℃(1050℃以上1250℃以下)
   熱処理時間:30秒(30秒以上300秒以下)
 なお、プリベーク工程S3において水素および塩化水素を含むガス雰囲気を形成するに際し、まず水素ガスのみの雰囲気下で昇温し、1050℃以上1250℃以下の温度に到達したら、塩化水素ガスを供給することが好ましい。このようなタイミングで塩化水素ガスを供給することによって、エピタキシャルシリコンウェーハEWに曇りが発生してしまうことと、スリップ転位の発生を抑制することができる。
 また、プリベーク工程S3によるシリコンウェーハWFの取代は、150nm以上600nm以下が好ましく、500nm±100nmであることがさらに好ましい。
[0021]
 このように、プリベーク工程S3を水素および塩化水素を含むガス雰囲気で行うことによって、シリコンウェーハWFの最表層に存在するクラスターに加えて当該最表層もエッチングされる。その結果、水素のみを含むガス雰囲気で行う場合と比べて、プリベーク工程S3後に存在する微小ピットの個数を減らすことができる。
[0022]
 エピタキシャル膜成長工程S4は、プリベーク工程S3後のシリコンウェーハWFのエッチング面に対して、例えば以下の条件でエピタキシャル膜EPを成長させる。
   ドーパントガス:フォスフィン(PH )ガス
   原料ソースガス:トリクロロシラン(SiHCl )ガス
   キャリアガス:水素ガス
   成長温度:1100℃以上1165℃以下
   エピタキシャル膜の厚さ:2μm(1μm以上10μm以下)
   抵抗率(エピ膜抵抗率):0.2Ω・cm(0.01Ω・cm以上10Ω・cm以下)
 シリコンウェーハの結晶軸傾け角度を大きくすると、エピタキシャル膜成長工程において転位線が発生しやすく、成長温度が高い場合、その転位は、線状のみならず面のずれも伴ってSFとしてエピタキシャル膜表面で検出される。しかし、成長温度が低い場合、転位線は、エピタキシャル膜表面まで突き抜けずに、エピタキシャル膜内部に終端が位置してしまうと考えられる。
 また、結晶軸傾け角度を小さくすることで、(100)面に現れる転位面、すなわちすべり面である(111)面のStep数が低減され、転位線が発生し難いシリコンウェーハに対して、1100℃未満のエピタキシャル膜低温成長を実施した場合は、Terraceが広くかつシリコンが持つエネルギーが小さいため、供給されたシリコンがKink位置に到達できず、Terrace上に留まったシリコンを核として異常成長が行われ、ヒロック欠陥が発生しやすい。
 そこで、結晶軸傾け角度が小さく転位線が発生し難いシリコンウェーハに対して、1100℃以上のエピタキシャル膜高温成長を実施することで、エピタキシャル膜表面にヒロック欠陥が存在せず、エピタキシャル膜内部にも転位線が発生しないエピタキシャルウェーハを得ることができる。その結果、結晶方位性を有し、全体がエピタキシャル膜EP内部に位置する転位線の密度が10個/cm 以下であり転位線の発生が抑制されたエピタキシャルシリコンウェーハEWを得ることができる。なお、エピタキシャル膜成長温度は、1165℃を超えるとエピタキシャル膜にスリップ転位が発生するので好ましくない。
実施例
[0023]
 次に、本発明を実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[0024]
[エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法]
〔比較例1〕
 まず、チョクラルスキー法によって、直胴部の抵抗率が1.0mΩ・cm未満となるようにリンを添加し、中心軸が[100]軸と一致しかつ直径が200mmのシリコン単結晶を製造した。このときの各固化率における570℃±70℃での滞在時間は、図4に示すように、固化率が約56%までの領域は、約280分から約530分までほぼ直線的に長くなり、これに続く約68%までの領域は、約530分から約40分までほぼ直線的に短くなり、これに続く領域は、約40分から約30分までほぼ直線的に短くなった。また、このときの各固化率における抵抗率は、図4に示すように、下端に向かうほど低くなった。
 なお、固化率とは、最初に坩堝に貯留された融液の初期チャージ重量に対するシリコン単結晶の引上げ重量の割合をいう。
[0025]
 このシリコン単結晶をその中心軸に対する直交面ではなく、この直交面に対する傾斜面でスライスし、(100)面が傾斜した面を主表面とし、表1に示すように、(100)面に垂直な[100]軸が主表面に直交する軸に対して[010]方向に0°43′だけ傾斜したシリコンウェーハを取得した。
 比較例1のシリコンウェーハは、引き上げ方向上端側をトップ領域、下端側をボトム領域、トップ領域とボトム領域との間をミドル領域とした場合、ボトム領域の中間位置BMから取得した。中間位置BMにおける570℃±70℃での滞在時間は、40分以下であった。比較例1のシリコンウェーハの基板抵抗率は0.8mΩ・cm以上0.9mΩ・cm未満であった。
[0026]
 次に、シリコンウェーハに対して、アルゴンアニール工程を行った。この工程は、アルゴンガス雰囲気下において、1200℃の温度で30分の熱処理を行った。
 この後、シリコンウェーハに対して、プリベーク工程を行った。この工程は、水素および塩化水素を含むガス雰囲気下において、1190℃の温度で30秒の熱処理を行った。このときの取代は、160nmであった。
[0027]
 次に、シリコンウェーハのエッチング面に対して、以下の条件でエピタキシャル膜成長工程を行うことでエピタキシャル膜を成長させて、比較例1のサンプルを得た。
   ドーパントガス:フォスフィン(PH )ガス
   原料ソースガス:トリクロロシラン(SiHCl )ガス
   キャリアガス:水素ガス
   成長温度:1040℃
   エピタキシャル膜の厚さ:2μm
   エピタキシャル膜の抵抗率:0.2Ω・cm
[0028]
〔比較例2〕
 図5に示すように、各固化率における抵抗率が比較例1と比べて低くなるように、リンの添加量を調整したこと以外は、比較例1と同じ条件でシリコン単結晶を製造した。そして、このシリコン単結晶における比較例1と同じボトム領域の中間位置BMから、面方位が比較例1と同じシリコンウェーハを取得した。比較例2のシリコンウェーハの基板抵抗率は、0.7mΩ・cm未満であった。
 その後、比較例1と同じ条件で、アルゴンアニール工程、プリベーク工程、エピタキシャル膜成長工程を行い、比較例2のサンプルを得た。
[0029]
〔比較例3〕
 図6に示すように、比較例2で製造したシリコン単結晶におけるミドル領域の中間位置MMから、面方位が比較例1と同じシリコンウェーハを取得した。中間位置MMにおける570℃±70℃での滞在時間は、390分以上であった。比較例3のシリコンウェーハの基板抵抗率は0.7mΩ・cm以上0.8mΩ・cm未満であった。
 その後、比較例1と同じ条件で、アルゴンアニール工程、プリベーク工程、エピタキシャル膜成長工程を行い、比較例3のサンプルを得た。
[0030]
〔比較例4~7〕
 図5に示すような比較例2と同じ条件でシリコン単結晶を製造した。このシリコン単結晶における比較例3と同じ中間位置MMから、その中心軸に対する直交面ではない面でスライスし、(100)面が傾斜した面を主表面とし、(100)面に垂直な[100]軸が主表面に直交する軸に対して[010]方向に0°30′だけ傾斜した比較例4,6のシリコンウェーハを取得した。また、上記中間位置MMから、(100)面が傾斜した面を主表面とし、(100)面に垂直な[100]軸が主表面に直交する軸に対して[010]方向に0°45′だけ傾斜した比較例5,7のシリコンウェーハを取得した。比較例4~7のシリコンウェーハの基板抵抗率は0.7mΩ・cm以上0.8mΩ・cm未満であった。
[0031]
 その後、比較例4,5のシリコンウェーハに対し、エピタキシャル膜成長工程における成長温度を1100℃にしたこと以外は、比較例1と同じ条件で、アルゴンアニール工程、プリベーク工程、エピタキシャル膜成長工程を行い、比較例4,5のサンプルを得た。また、比較例6,7のシリコンウェーハに対し、アルゴンアニール工程において1220℃の温度で60分の熱処理を行ったこと、プリベーク工程における処理時間を90秒にしたこと以外は、比較例4と同じ条件で、アルゴンアニール工程、プリベーク工程、エピタキシャル膜成長工程を行い、比較例6,7のサンプルを得た。
[0032]
〔実施例1〕
 図4に示すような比較例1と同じ条件でシリコン単結晶を製造した。このシリコン単結晶におけるボトム領域の中間位置BMから、その中心軸に対する直交面ではない面でスライスし、(100)面が傾斜した面を主表面とし、表1に示すように、(100)面に垂直な[100]軸が主表面に直交する軸に対して[010]方向に0°15′だけ傾斜したシリコンウェーハを取得した。実施例1のシリコンウェーハの基板抵抗率は0.8mΩ・cm以上0.9mΩ・cm未満であった。
[0033]
 次に、シリコンウェーハに対して、温度を1220℃、時間を60分にしたこと以外は、比較例1と同じ条件でアルゴンアニール工程を行った。
 この後、シリコンウェーハに対して、温度を1190℃、時間を90秒、取代を500nmとしたこと以外は、比較例1と同じ条件でプリベーク工程を行った。
 そして、シリコンウェーハのエッチング面に対して、温度を1100℃にしたこと以外は、比較例1と同じ条件でエピタキシャル膜成長工程を行い、実施例1のサンプルを得た。
[0034]
〔実施例2,3〕
 図5に示すような比較例2と同じ条件でシリコン単結晶を製造し、このシリコン単結晶における比較例2,3と同じ中間位置BM,MMから、面方位が実施例1と同じ実施例2,3のシリコンウェーハを取得した。実施例2のシリコンウェーハの基板抵抗率は、0.7mΩ・cm未満であり、実施例3のシリコンウェーハの基板抵抗率は、0.7mΩ・cm以上0.8mΩ・cm未満であった。
 その後、実施例1と同じ条件で、アルゴンアニール工程、プリベーク工程、エピタキシャル膜成長工程を行い、実施例2,3のサンプルを得た。
[0035]
〔実施例4~8〕
 図5に示すような比較例2と同じ条件でシリコン単結晶を製造した。このシリコン単結晶における比較例3と同じ中間位置MMから、その中心軸に対する直交面ではない面でスライスし、(100)面が傾斜した面を主表面とし、(100)面に垂直な[100]軸が主表面に直交する軸に対して[010]方向に0°5′だけ傾斜した実施例4,7のシリコンウェーハを取得した。また、上記中間位置MMから、(100)面が傾斜した面を主表面とし、(100)面に垂直な[100]軸が主表面に直交する軸に対して[010]方向に0°15′だけ傾斜した実施例5のシリコンウェーハを取得した。さらに、上記中間位置MMから、(100)面が傾斜した面を主表面とし、(100)面に垂直な[100]軸が主表面に直交する軸に対して[010]方向に0°25′だけ傾斜した実施例6,8のシリコンウェーハを取得した。実施例4~8のシリコンウェーハの基板抵抗率は0.7mΩ・cm以上0.8mΩ・cm未満であった。
[0036]
 その後、実施例4~6のシリコンウェーハに対し、比較例4と同じ条件で、アルゴンアニール工程、プリベーク工程、エピタキシャル膜成長工程を行い、実施例4~6のサンプルを得た。また、実施例7,8のシリコンウェーハに対し、比較例6と同じ条件で、アルゴンアニール工程、プリベーク工程、エピタキシャル膜成長工程を行い、実施例7,8のサンプルを得た。
[0037]
[評価]
〔エピタキシャル膜表面の評価〕
 表面検査装置(KLA-Tencor社製SP-1、DCNモード)を用いて、比較例1~3、実施例1~3のエピタキシャル膜表面で観察される90nmサイズ以上のLPDをカウントし、単位面積あたりの個数(密度)を評価した。その結果を表1に示す。
[0038]
[表1]


[0039]
 比較例1~3、実施例1~8を比較すると、LPDの密度に大きな差はなかった。一方、比較例1~3と比較例4~7とを比較すると、比較例4~7のLPDの密度は比較例1~3と比べて高かった。
 このことから、シリコンウェーハの[100]軸の傾け角度が0°25′を超える場合、エピタキシャル膜成長工程における成長温度が1100℃以上になるとLPDの密度が高くなり、1100℃未満になるとLPDの密度が低くなることが確認できた。
 また、シリコンウェーハの[100]軸の傾け角度が0°5′以上0°25′以下の場合、エピタキシャル膜成長工程における成長温度が1100℃以上であっても、LPDの密度が低くなることが確認できた。
[0040]
〔エピタキシャル膜内部の評価〕
 比較例1~7、実施例1~8の厚さが2μmのエピタキシャル膜に対し、上述のM-Dash液を用いて1μmの選択エッチングを行った。そして、エッチング面を光学顕微鏡(NIKON、OPTIPHOT88)で観察し、エピタキシャルシリコンウェーハの中心から外縁に向かう直線状の複数箇所において、1.4μmサイズ以上の欠陥をカウントした。その単位面積あたりの個数(密度)を図7に示す。
[0041]
 図7に示すように、比較例1,4~7、実施例1~8では、欠陥が検出されなかった。一方、比較例2,3では、欠陥が検出された。比較例3では、観察領域の全域において1600個/cm 以上の欠陥が検出された。比較例2では、エピタキシャルシリコンウェーハの中心では148個/cm であったものの、外縁に向かうにしたがって徐々に増え、外縁では比較例3とほぼ同じレベルになっていた。
 そして、比較例2,3で検出された欠陥をTEMで観察したところ、図1A,図1Bに示すような(100)面が傾斜した面を主表面とし、[011]方向、[0-1-1]方向、[0-11]方向および[01-1]方向のいずれかの方向に結晶方位性を有する転位欠陥DFであった。このことから、比較例2,3のエピタキシャル膜には、結晶方位性を有し、全体がエピタキシャル膜内部に位置する転位線が存在していることがわかった。
[0042]
 比較例1と実施例1とを比較すると、シリコン単結晶における570℃±70℃の滞在時間が同じ部位から取得したシリコンウェーハを用いているにもかかわらず、基板抵抗率が低い比較例2に転位線が発生し、基板抵抗率が高い比較例1に転位線が発生していなかった。
 このことから、シリコンウェーハの基板抵抗率は、エピタキシャル膜内部における転位線の発生に影響を及ぼすことが確認できた。
[0043]
 さらに、比較例2と比較例3とを比較すると、同じシリコン単結晶から取得したシリコンウェーハを用いているにもかかわらず、570℃±70℃の滞在時間が長い比較例3の方が転位線が多く発生していた。
 このことから、シリコン単結晶における570℃±70℃の滞在時間は、エピタキシャル膜内部における転位線の発生に影響を及ぼすことが確認できた。
[0044]
 また、比較例3は、比較例2よりも基板抵抗率が高いにもかかわらず、比較例2よりも転位線が多く発生していた。
 このことから、シリコン単結晶における570℃±70℃の滞在時間は、基板抵抗率よりもエピタキシャル膜内部における転位線の発生に及ぼす影響が大きいことが確認できた。
[0045]
 また、比較例4~7は、比較例3と570℃±70℃の滞在時間および基板抵抗率が同じであるにもかかわらず、転位線が発生していなかった。
 このことから、エピタキシャル膜成長工程の成長温度は、エピタキシャル膜内部における転位線の発生に及ぼす影響が大きいことが確認できた。
[0046]
 一方、実施例1、実施例2、実施例3~8では、比較例1、比較例2、比較例3のそれぞれと570℃±70℃の滞在時間および基板抵抗率が同じであるにもかかわらず、転位線が発生していなかった。
 このことから、[100]軸の傾け角度を所定の値に設定することで、すなわちシリコンウェーハの面方位を所定の方位に設定することで、転位線の発生抑制できることがわかった。
[0047]
 また、主表面に直交する軸に対する[100]軸の傾き方向が実施例1~8とは逆方向([0-10]方向)や直交する方向([001]、[00-1])、あるいはこれらの間の任意の一方向に傾斜した場合にも、実施例1~8と同様の結果が得られると推測できる。その理由は、(100)面に現れる転位面である(111)面のStep数は結晶軸傾け方向には依存しないからである。
 さらに、[100]軸の傾け角度が0°5′以上0°25′以下のいずれの角度であっても、実施例1~8と同様の結果が得られると推測できる。その理由は、エピタキシャル膜成長時の温度によってTerrace上で核形成が始まるか否かが決まるので、0°5′以上0°25′以下の範囲であれば、成長温度を1100℃以上で適切に選択することにより、Terrace上に留まったシリコンを核とした異常成長によるヒロック欠陥を抑制できると推定される。

符号の説明

[0048]
 EP…エピタキシャル膜、EW…エピタキシャルシリコンウェーハ、WF…シリコンウェーハ、WF1…主表面。

請求の範囲

[請求項1]
 リンをドーパントとした抵抗率が1.0mΩ・cm未満のシリコンウェーハに、エピタキシャル膜が設けられたエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法であって、
 (100)面が傾斜した面を主表面とし、前記(100)面に垂直な[100]軸が前記主表面に直交する軸に対して0°5′以上0°25′以下だけ傾斜した前記シリコンウェーハを準備するウェーハ準備工程と、
 前記シリコンウェーハに対し、アルゴンガス雰囲気下において1200℃以上1220℃以下の温度で30分以上の熱処理を行うアルゴンアニール工程と、
 前記アルゴンアニール工程後のシリコンウェーハの表面をエッチングするプリベーク工程と、
 前記プリベーク工程後のシリコンウェーハの表面に1100℃以上1165℃以下の成長温度で前記エピタキシャル膜を成長させるエピタキシャル膜成長工程とを備えていることを特徴とするエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
[請求項2]
 請求項1に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法において、
 前記プリベーク工程は、150nm以上600nm以下の取代でエッチングすることを特徴とするエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
[請求項3]
 リンをドーパントとした抵抗率が1.0mΩ・cm未満のシリコンウェーハに、エピタキシャル膜が設けられたエピタキシャルシリコンウェーハであって、
 前記シリコンウェーハは、(100)面が傾斜した面を主表面とし、前記(100)面に垂直な[100]軸が前記主表面に直交する軸に対して0°5′以上0°25′以下だけ傾斜しており、
 結晶方位性を有し、全体が前記エピタキシャル膜の内部に位置する転位線の密度が10個/cm 以下であることを特徴とするエピタキシャルシリコンウェーハ。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]