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1. (WO2018186229) 熱間等方圧加圧装置
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明 細 書

発明の名称 熱間等方圧加圧装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006   0007   0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

明 細 書

発明の名称 : 熱間等方圧加圧装置

技術分野

[0001]
 本発明は、熱間等方圧加圧装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、HIP法(Hot Isostatic Pressing法:熱間等方圧加圧装置を用いたプレス方法)では、数10 ~ 数100MPaの高圧に設定された雰囲気の圧媒ガスのもと、焼結製品(セラミックス等) や鋳造製品等の被処理物が、その再結晶温度以上の高温に加熱され処理される。当該方法では、被処理物中の残留気孔を消滅させることができるという特徴がある。
[0003]
 このような従来の熱間等方圧加圧装置は、高圧容器と、当該高圧容器内に配置された逆コップ形状の断熱層と、断熱層内に配置されたヒーティングエレメントと、処理物を載せる製品台と、を有する。ヒーティングエレメントが発熱することで、断熱層内に処理物を処理するホットゾーンが形成される。断熱層の上面部は塞がれており、断熱層の下面部は開口されている。この結果、加圧処理中のホットゾーン内は、熱気球のように高温に維持される。一方、このような熱間等方圧加圧装置において、被処理物の処理後に、高圧容器内を急冷することで、処理時間を短縮する技術が知られている。
[0004]
 特許文献1には、熱間等方圧加圧装置において、被処理物の処理後に装置内を急冷却する技術が開示されている。熱間等方圧加圧装置は、冷却機構を備える。冷却機構は、断熱層内外を循環する冷却ガス流を形成する。冷却機構は、断熱層の下部に配置され断熱層内外を径方向に貫通するように形成されたガス通路と、ホットゾーン内に形成されたガス上昇流路と、ガス流を発生するファンと、ガス流の流れを制御するバルブと、底壁部と、を備える。当該技術では、逆コップ状の断熱層の上面部に開口部が形成されており、バルブは当該開口部を開放または封止可能に配置されている。また、底壁部は、ホットゾーンと、ファン等が収納される炉床部と、を仕切るように断熱層の下部に接続されている。底壁部と断熱層との間には、ガスの漏れを防止するシールが配置されている。被処理物の加圧処理中には、バルブが開口部を塞ぐことで、断熱層の内部にホットゾーンが形成される。一方、冷却時には、バルブが開口部を開放する。そして、ガス通路からホットゾーンの下部に導入された冷却ガスが、ホットゾーン内のガス上昇流路を上昇しながら断熱層を冷却した後、開口部から放出される。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2013-178070号公報

発明の概要

[0006]
 上記のような、急冷却機能を備えた熱間等方圧加圧装置では、長期間の装置の使用に伴って、バルブと開口部との隙間や底壁部のシール部分において僅かなガスの流出入(ガスリーク)が発生しやすくなる。そして、被処理物の加圧処理中に、底壁部の周辺からホットゾーン内に低温のガスが流入すると、ホットゾーンの上部と比較してホットゾーンの下部の温度が低くなる。この結果、ホットゾーン内の均熱性が悪化し、被処理物に対する処理性能が低下するという問題があった。
[0007]
 本発明は、ホットゾーンを形成するケーシングの下端部が底壁部によって塞がれた構造を備える熱間等方圧加圧装置において、被処理物の加圧処理中のホットゾーンの均熱性を向上させることを目的とする。
[0008]
 提供されるのは、被処理物に対して圧媒ガスを用いて等方圧加圧処理を行う熱間等方圧加圧装置である。熱間等方圧加圧装置は、高圧容器と、内側ケーシングと、断熱体と、外側ケーシングと、加熱部と、底壁部と、複数の連通管と、複数の導入管と、ガス流発生部と、を備える。高圧容器は、上下方向に沿って延びる内周面を備え、内部に前記内周面によって画定される本体内部空間が形成されている。内側ケーシングは、前記本体内部空間に配置され、前記被処理物を加圧するホットゾーンを囲むように上下方向に沿って延びるガス不透過性の内側周壁部を備え、前記圧媒ガスの透過を許容する内側開口部が前記内側ケーシングの上面部に開口されている。断熱体は、前記本体内部空間において前記内側ケーシングを囲むように配置されるガス不透過性の断熱体である。断熱体は、前記圧媒ガスの通路を挟んで前記内側周壁部を囲むように上下方向に沿って延びる断熱体周壁部と、前記断熱体周壁部の上面部を塞ぐように前記断熱体周壁部に接続されるとともに前記圧媒ガスの通路を挟んで前記内側開口部の上方に配置される断熱体上壁部と、を備える。外側ケーシングは、前記本体内部空間において前記断熱体を囲むように配置され、前記圧媒ガスの通路を挟んで前記断熱体周壁部を囲むように上下方向に沿って延びるガス不透過性の外側周壁部を備えるとともに、前記圧媒ガスの透過を許容する外側開口部が前記外側ケーシングの上面部に開口されている。加熱部は、前記ホットゾーンに配置され、発熱する。底壁部は、前記外側周壁部の下端部、前記内側周壁部の下端部および前記断熱体周壁部の下端部を支持する支持部と、前記ホットゾーンの下面部を画定するととともに、前記被処理物が載置される上面部を含む載置部とを備え、前記ホットゾーンを下方から封止する。複数の連通管は、前記内側周壁部と前記断熱体周壁部との間の空間に対して遮断され、かつ、前記断熱体周壁部を貫通して前記断熱体周壁部と前記外側周壁部との間の空間と前記ホットゾーンの下端部とを連通させる前記圧媒ガスの通路をそれぞれ形成する。複数の導入管は、前記内側周壁部と前記断熱体周壁部との間の空間の下側部分と前記本体内部空間のうち前記底壁部よりも下方の部分とを連通させる。ガス流発生部は、前記本体内部空間のうち前記底壁部の下方に配置され、前記載置部に載置された前記被処理物に前記等方圧加圧処理を行う加圧処理時に、前記複数の導入管に流入する圧媒ガス流を発生する。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態に係る熱間等方圧加圧装置の断面図である。
[図2] 図2は、本発明の一実施形態に係る熱間等方圧加圧装置において、圧媒ガスの流れを示した断面図である。
[図3] 図3は、図2の熱間等方圧加圧装置の位置A-Aにおける断面図である。
[図4] 図4は、図2の熱間等方圧加圧装置の位置B-Bにおける断面図である。
[図5] 図5は、図2の熱間等方圧加圧装置の位置C-Cにおける断面図である。
[図6] 図6は、図2の熱間等方圧加圧装置の位置D-Dにおける断面図である。
[図7] 図7は、図2の熱間等方圧加圧装置の位置E-Eにおける断面図である。
[図8] 図8は、本発明の一実施形態に係る熱間等方圧加圧装置の制御部のブロック図である。
[図9] 図9は、本発明の第1変形実施形態に係る熱間等方圧加圧装置の断面図である。
[図10] 図10は、本発明の第2変形実施形態に係る熱間等方圧加圧装置の拡大断面図である。
[図11] 図11は、本発明の第3変形実施形態に係る熱間等方圧加圧装置の拡大断面図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るHIP装置100(熱間等方圧加圧装置)について説明する。HIP装置100は、被処理物(W)に対して圧媒ガスを用いて等方圧加圧処理を行う。図1は、HIP装置100の鉛直方向に沿った断面図であって、HIP装置100の中心線CLを通る断面図である。図2は、HIP装置100において、圧媒ガスの流れを示した断面図である。図3乃至図7は、それぞれ、図2のHIP装置100の位置A-A、B-B、C-C、D-DおよびE-Eにおける水平断面図である。
[0011]
 HIP装置100は、円筒状の高圧容器100Sを備える。高圧容器100Sは、上蓋1と、容器胴2と、下蓋3と、を備える。容器胴2は、上下方向に沿った中心軸CL回りに円筒状に形成されている。容器胴2は、中心軸CL回りに配置される円筒状の内周面2Sを備える。上蓋1は、容器胴2の上側の開口を塞ぎ、下蓋3は、容器胴2の下側の開口を塞いでいる。高圧容器100Sの内部には外部から気密的に隔離された本体内部空間100T(空洞)が形成されている。容器胴2の内周面2Sは、本体内部空間100Tを画定する。高圧容器100Sには不図示の供給配管や排出配管が連結されており、これらの供給配管および排出配管を通じて高温高圧の圧媒ガス(HIP処理が可能なように10~300MPa程度に昇圧されたアルゴンガスや窒素ガス)が高圧容器100Sに対して供給および排出可能とされている。
[0012]
 更に、HIP装置100は、外側ケーシング4と、内側ケーシング5と、断熱体Rと、ヒーターエレメント8(加熱部)と、を備える。
[0013]
 外側ケーシング4は、高圧容器100Sの本体内部空間100Tに配置された有蓋円筒状の部材であり、下方に向かって開口した逆コップ状(コップの上下を反転させた形状)の部材からなる。外側ケーシング4は、断熱体Rを囲むように配置されている。外側ケーシング4には、HIP処理の温度条件に合わせてステンレス、ニッケル合金、モリブデン合金またはグラファイトなどのガス不透過性の耐熱材料が用いられる。外側ケーシング4は、外側上壁部41と、外側周壁部42と、を備える。外側周壁部42は、本体内部空間100Tにおいて中心軸CL回りに形成された円筒状の部分であって、高圧容器100Sの内周面2Sに対して径方向内側に間隔をおいて配置される。また、外側周壁部42は、圧媒ガスの通路を挟んで断熱体周壁部RSを囲むように上下方向に沿って延びている。外側上壁部41は、外側周壁部42の上面部を塞ぐように外側上壁部41の上端部に接続される円板状の蓋部である。外側上壁部41の中央部には、中心軸CLを中心とする円形の外側開口部4Hが開口されている(図3)。外側開口部4Hは、外側ケーシング4の内部と外部との間での圧媒ガスの透過を許容する。なお、本実施形態では、外側上壁部41および外側周壁部42は、一体的に構成されている。
[0014]
 内側ケーシング5は、高圧容器100Sの本体内部空間100Tにおいて、外側ケーシング4の内部に配置された有蓋円筒状の部材であり、下方に向かって開口した逆コップ状の部材からなる。内側ケーシング5にも、外側ケーシング4と同様に、ガス不透過性の耐熱材料が用いられる。内側ケーシング5は、内側上壁部51と、内側周壁部52と、を備える。内側周壁部52は、中心軸CL回りに形成され上下方向に沿って延びる円筒状の部分であって、外側ケーシング4の外側周壁部42に対して径方向内側に間隔をおいて配置される。内側上壁部51は、内側周壁部52の上面部を塞ぐように内側周壁部52の上端部に接続される円板状の蓋部である。内側上壁部51は、外側上壁部41の下方に間隔をおいて配置される。内側上壁部51の中央部(内側ケーシング5の上面部)には、中心軸CLを中心とする円形の内側開口部5Hが開口されている(図4)。内側開口部5Hは、ホットゾーンPと内側ケーシング5の上方の空間との間での圧媒ガスの透過を許容する。また、図1に示すように、内側ケーシング5の内側上壁部51および内側周壁部52は、被処理物を加圧処理するホットゾーンPを囲むように配置されている。なお、内側上壁部51および内側周壁部52は、一体的に構成されている。
[0015]
 断熱体Rは、図1に示すように、本体内部空間100Tにおいて、外側ケーシング4と内側ケーシング5との間で、内側ケーシング5を囲むように配置されている。断熱体Rは、下方に向かって開口した逆コップ状の構造を備えている。本実施形態では、断熱体Rは、ガス不透過性の特性を備えている。断熱体Rは、断熱体周壁部RSと、断熱体上壁部RTと、を備える。断熱体周壁部RSは、外側周壁部42と内側周壁部52との間に配置される。断熱体周壁部RSは、外側周壁部42および内側周壁部52に対してそれぞれ間隔をおいて、中心軸CL回りに配置される円筒状の部分である。また、断熱体周壁部RSは、圧媒ガスの通路を挟んで内側周壁部52を囲むように上下方向に沿って延びている。断熱体上壁部RTは、断熱体周壁部RSの上端部に接続される円板状の蓋部である。断熱体上壁部RTは、断熱体周壁部RSの上面部を塞ぐように断熱体周壁部RSに接続されるとともに、圧媒ガスの通路を挟んで内側開口部5Hの上方に配置される。換言すれば、断熱体上壁部RTは、外側上壁部41の下方かつ内側上壁部51の上方に配置される。なお、断熱体上壁部RTには開口部が開口されていない。このため、断熱体上壁部RTは、外側開口部4Hと内側開口部5Hとの間での上下方向に沿った圧媒ガスの流通を遮断する。
[0016]
 更に、本実施形態では、断熱体Rは、以下のような構造を備えている。図1に示すように、断熱体Rは、断熱体外筒6と、断熱体内筒7と、を備える。断熱体外筒6および断熱体内筒7は、いずれも、下方に向かって開口した逆コップ状の部材からなる。断熱体外筒6および断熱体内筒7には、ガス不透過性の耐熱材料が用いられる。断熱体外筒6と断熱体内筒7との間には、径方向において隙間が形成されている。また、断熱体外筒6の上面部と断熱体内筒7の上面部との間にも上下方向において隙間が形成されている。これらの隙間に、断熱性のガスが流通することで断熱層が形成されてもよい。なお、当該断熱層には、カーボンファイバを編み込んだ黒鉛質材料やセラミックファイバなどの多孔質材料、繊維質材料などが充填されてもよい。また、後記の変形実施形態のように、断熱体Rは、3以上の筒体を備える態様でもよい。
[0017]
 図1に示すように、内側ケーシング5の内側周壁部52と断熱体Rの断熱体周壁部RS(断熱体内筒7)との間には、圧媒ガスが流通可能な円筒状の空間(ケーシング間内側流路L1(通路))が形成されている。ケーシング間内側流路L1の上端部は、内側開口部5Hを介してホットゾーンPに連通している。また、外側ケーシング4の外側周壁部42と断熱体Rの断熱体周壁部RS(断熱体外筒6)との間には、圧媒ガスが流通可能な円筒状の空間(ケーシング間外側流路L2(通路))が形成されている。更に、高圧容器100Sの内周面2Sと外側周壁部42との間には、圧媒ガスが流通可能な円筒状の空間(外周流路L3(通路))が形成されている。外周流路L3の上端部は、外側開口部4Hを介してケーシング間外側流路L2に連通しており、外周流路L3の下端部は、後記の収容空間14Bに連通している。
[0018]
 図1のHIP装置100について換言すれば、HIP装置100は、本体内部空間100Tに配置された、外側ケーシング4と、内側ケーシング5と、断熱体外筒6と、断熱体内筒7とを備える。すなわち、HIP装置100は、4つのコップ体によって3層構造となっている。
[0019]
 ヒーターエレメント8は、ホットゾーンPに配置され、発熱することで、ホットゾーンP内の圧媒ガスを加熱する。ヒーターエレメント8は、後記の制御部90によって制御される。本実施形態では、図1に示すように、ヒーターエレメント8は、上下4つのエレメントに分割されている。各エレメントは、円筒形状を備えており、上から順に、第1ヒーターエレメント81、第2ヒーターエレメント82、第3ヒーターエレメント83および第4ヒーターエレメント84と定義される(図8参照)。
[0020]
 更に、HIP装置100は、複数の連通管11と、複数の第1ガス導管12(導入管)と、複数の第1開閉バルブ13と、底壁部20と、ガス流発生部30と、を備える。
[0021]
 複数の連通管11は、中心軸CL回りの周方向に沿って互いに間隔をおいて配置されており、本実施形態では、図6に示すように4つの連通管11が配置されている。各連通管11は、内側ケーシング5の内側周壁部52に配置される入口と、断熱体Rの断熱体周壁部RS(断熱体外筒6)に配置される出口とを備える。複数の連通管11は、断熱体R(断熱体外筒6)と外側周壁部42との間の空間(ケーシング間外側流路L2)とホットゾーンPの下端部とを径方向に沿ってそれぞれ連通させる。なお、連通管11の管内空間(通路)は、ケーシング間内側流路L1および断熱体Rの断熱層には連通しておらず、これらの空間から遮断されている。すなわち、連通管11は、ホットゾーンPの下端部とケーシング間外側流路L2の下端部とを直接連通させている。このため、内側ケーシング5、断熱体外筒6および断熱体内筒7(断熱体周壁部RS)には、連通管11が貫通するための開口が形成されており、当該開口部と連通管11の外周面との間には、不図示のシール部材が配置されている。当該シール部材は、ホットゾーンPの圧媒ガスが、連通管11の周辺からケーシング間内側流路L1または断熱体Rの断熱層に直接流入することを防止する。
[0022]
 底壁部20は、ホットゾーンPを下方から封止する部材である。特に、本実施形態では、底壁部20は、外側ケーシング4の外側周壁部42の下端部よりも径方向内側の領域全体を下方から覆うように配置される。底壁部20は、底壁部本体14と、ケーシング支持部15(支持部)と、を備える。ケーシング支持部15は、外側周壁部42の下端部、内側周壁部52の下端部および断熱体周壁部RSの下端部を一体的に支持する。ケーシング支持部15は、上面視でリング形状を備えている。本実施形態では、外側周壁部42の下端部、内側周壁部52の下端部および断熱体周壁部RSの下端部は、それぞれ、ケーシング支持部15の上面部に接合されているとともに、当該接合部にはシール部材が配置されている。底壁部本体14は、ケーシング支持部15を下方から支持する。図1に示すように、底壁部本体14の径方向内側の領域は、径方向外側の領域よりも上方に突出するように配置されている。底壁部本体14は、当該上方に突出する位置に配置された載置部14Aを備える。載置部14Aは、ケーシング支持部15よりも径方向内側に配置され、ホットゾーンPの下面部を画定する。また、載置部14Aは、被処理物(W)が載置される上面部を含む。載置部14Aの上面部に載置された被処理物(W)は、ホットゾーンPに対向して配置される。また、図1に示すように、載置部14Aの下方には、収容空間14Bが形成されている。
[0023]
 なお、底壁部本体14とケーシング支持部15との間には、シール部S(パッキン材)が配置されている。シール部Sは、底壁部本体14とケーシング支持部15との間を通って、ホットゾーンPと本体内部空間100Tとの間で圧媒ガスが流通することを防止する。当該シール部Sのシール性を高めるために、外側ケーシング4の外側上壁部41と高圧容器100Sの上蓋1との間に、不図示のばね部材(付勢部材)が配置されてもよい。この場合、ばね部材の付勢力によって、ケーシング支持部15が底壁部本体14に押し付けられ、シール部Sのシール性が向上する。なお、他の実施形態において、底壁部本体14およびケーシング支持部15は、一体的に構成されてもよい。また、底壁部本体14には、ヒーターエレメント8の電気導線、熱電対用の導線など(いずれもフィードスルー)を通すための不図示の孔部が開口されている。当該孔部にも、上記のフィードスルーが通された後、不図示のシール部材が充填される。
[0024]
 ガス流発生部30は、本体内部空間100Tのうち底壁部20の下方の収容空間14Bに配置される。ガス流発生部30は、ファン9を備える。ファン9は、回転することで、圧媒ガス流を発生する。ファン9は、後記の制御部90によって制御される。
[0025]
 複数の第1ガス導管12は、中心軸CL回りの周方向に沿って互いに間隔をおいて配置されており、本実施形態では、図7に示すように8つの第1ガス導管12が配置されている。なお、複数の第1ガス導管12の数は、8つに限定されるものではない。各第1ガス導管12は、収容空間14Bに配置される入口と、内側ケーシング5の内側周壁部52に配置される出口とを備える。第1ガス導管12は、内側周壁部52と断熱体周壁部RSとの間の空間(ケーシング間内側流路L1)の下側部分とガス流発生部30(ファン9)とを連通させる。なお、第1ガス導管12を通過した圧媒ガスが、ケーシング間内側流路L1に均一に分布するために、不図示のガススプリッタが第1ガス導管12に連結されてもよい。
[0026]
 複数の第1開閉バルブ13は、それぞれ、第1ガス導管12の入口付近に配置される電磁弁である。第1開閉バルブ13は、第1ガス導管12における圧媒ガスの流通および当該流通の遮断を切り替える。第1開閉バルブ13の開閉は、後記の制御部90によって制御される。
[0027]
 更に、HIP装置100は、制御部90を備える。図8は、本実施形態に係るHIP装置100の制御部90のブロック図である。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、制御部90には、ヒーターエレメント8(第1ヒーターエレメント81、第2ヒーターエレメント82、第3ヒーターエレメント83、第4ヒーターエレメント84)、ファン9、第1開閉バルブ13が電気的に接続されている。制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、運転切替部91、ヒーター制御部92、バルブ制御部93およびファン制御部94を備えるように機能する。
[0028]
 運転切替部91は、HIP装置100の運転動作を切り替える。運転切替部91は、加圧動作(加圧処理)と、急冷却動作(急冷却処理)との間で、前記運転動作を切り替える。加圧動作では、運転切替部91は、載置部14Aに載置された被処理物に等方圧加圧処理を行う。急冷却動作では、運転切替部91は、被処理物に対する加圧処理が終了した後に、ホットゾーンPの急冷却処理を実行する。
[0029]
 ヒーター制御部92は、運転切替部91が制御する運転動作に応じて、ヒーターエレメント8に対する入力電圧の供給を切り替える。この結果、ヒーターエレメント8が発熱する、または当該発熱が停止される。また、ヒーター制御部92は、ヒーターエレメント8の発熱量を調整することができる。
[0030]
 HIP装置100では、図1のように、ヒーターエレメント8が上下複数段(4段)に分割されており(第1ヒーターエレメント81~第4ヒーターエレメント84)、それぞれのヒーターエレメントが不図示の熱電対によって測温され、個別に投入電力量が制御される(ゾーン制御)。一例として、ヒーター制御部92が、下段のヒーターエレメント8への投入電力を増やすと、下段において暖められた圧媒ガスが上昇するため、ヒーター制御部92は、上段のヒーターエレメント8の投入電力を減らす。
[0031]
 バルブ制御部93は、複数の第1開閉バルブ13の開弁動作を切り替えることで、複数の第1ガス導管12への圧媒ガスの流入を制御する。
[0032]
 ファン制御部94は、ファン9の回転動作を切り替えることで、圧媒ガス流の発生を制御する。本実施形態では、ファン制御部94によってファン9の回転数が切替可能とされており、第1ガス導管12に流入する圧媒ガスの流量が調整可能とされる。
[0033]
 次に、図1乃至図8を参照して、HIP装置100における圧媒ガスの流れについて説明する。HIP装置100における熱間等方圧加圧処理が被処理物に施されるにあたって、載置部14Aに被処理物(W)が載置される。この際、一例として、図1において、上蓋1が容器胴2から上方に脱離され、更に、外側ケーシング4、断熱体Rおよび内側ケーシング5とともにケーシング支持部15が底壁部本体14から上方に脱離されることで、載置部14Aへの被処理物の載置が可能となる。その後、各部材が再び図1のように配置されると、制御部90の運転切替部91(図8)が加圧処理を開始することで、高圧容器100Sの本体内部空間100Tに不図示の供給路から圧媒ガスが充填される。そして、制御部90のヒーター制御部92がヒーターエレメント8を制御して、ホットゾーンP内の圧媒ガスの加熱を開始する。
[0034]
 更に、本実施形態では、ファン制御部94がファン9を低速で回転させるとともに、バルブ制御部93が複数の第1開閉バルブ13を開放する。この結果、ファン9が圧媒ガス流を発生する。図2に示すように、複数の第1ガス導管12を通じて内側周壁部52と断熱体周壁部RSとの間のケーシング間内側流路L1(図1)に流入した圧媒ガス流は、内側周壁部52および断熱体周壁部RSに沿って上昇するとともに、内側開口部5HからホットゾーンPに流入した後、ホットゾーンPを下降し、更に、複数の連通管11を通じて、外側周壁部42と断熱体周壁部RSとの間のケーシング間外側流路L2(図1)に流入する。
[0035]
 更に、図2に示すように、複数の連通管11を通じてケーシング間外側流路L2に流入した圧媒ガスは、断熱体周壁部RSおよび外側周壁部42に沿って上昇した後、外側開口部4Hから外側ケーシング4の外部に流出し、更に高圧容器100Sの内周面2Sと外側周壁部42との間の外周流路L3(図1)を通って下降し、底壁部20の下方においてファン9によって再び複数の第1ガス導管12に流入する。この結果、高圧容器100Sの本体内部空間100TとホットゾーンPとの間で、緩やかな圧媒ガスの循環流が形成される。
[0036]
 このように、本実施形態では、被処理物の加圧処理時に、ファン9が発生する低温の圧媒ガス流が、内側開口部5HからホットゾーンPに流入する。ホットゾーンP内の圧媒ガスよりも低温の圧媒ガスはホットゾーンP内を徐々に下降する。このため、ホットゾーンPの下方部分を封止する底壁部20の周辺(シール部分)からホットゾーンP内に低温の圧媒ガスが直接流入(リーク)することがあっても、加圧処理中のホットゾーンP内の均熱性が保持される。また、内側開口部5HからホットゾーンP内に流入した圧媒ガスは、ホットゾーンPの下方部分から複数の連通管11を介して、ケーシング間外側流路L2に流入する。このため、ホットゾーンP内において圧媒ガスの流れが停滞することがなく、ホットゾーンP内の均熱性が更に保持される。また、ケーシング間外側流路L2に流入した圧媒ガスは、上昇した後、外側開口部4Hを介して外周流路L3に流出する。このため、ホットゾーンPの均熱性が維持されるとともに、断熱体Rの下方部分および外側ケーシング4の下方部分の温度が局所的に低下することが抑止されながら、本体内部空間100Tに安定して圧媒ガスの循環流を形成することができる。
[0037]
 なお、本実施形態では、ファン9によって発生され複数の第1ガス導管12から流入した圧媒ガス流は、ケーシング間内側流路L1を通って上昇する。ケーシング間内側流路L1は、内側ケーシング5の内側周壁部52と断熱体Rの断熱体周壁部RSとの間に形成された円筒状の空間であり、ケーシング間内側流路L1の断面積は複数の第1ガス導管12の断面積よりも大きい。このため、ケーシング間内側流路L1に流入した圧媒ガスの流速が低下し、圧媒ガスは緩やかな速度で周方向全体に亘って均一にホットゾーンPに流入する。したがって、ホットゾーンPにおける被処理物に対する加圧処理を妨げることなく、ホットゾーンP内の均熱性を安定して向上することができる。また、このように圧媒ガスの流速が低下することで、内側開口部5HからホットゾーンPに流入する圧媒ガスの流量を、底壁部20の周辺からホットゾーンP内に流入する(リークする)圧媒ガスの流量に近づけることができる。
[0038]
 なお、本実施形態では、ホットゾーンPにおいて上下方向に沿った圧媒ガスの流れを可能とするために、内側ケーシング5に内側開口部5Hが開口されている。しかしながら、図1に示すように、内側ケーシング5の外側を囲むように断熱体Rが配置されており、断熱体Rの断熱体上壁部RTには開口部が形成されていない。このため、ホットゾーンPの温度を保持する断熱性能は、ケーシングに開口部を備えていない他のHIP装置と同等に維持される。
[0039]
 更に、本実施形態では、被処理物に対する加圧処理が終了すると、運転切替部91がHIP装置100の動作を加圧動作から急冷却動作に切り替える。この結果、ヒーター制御部92は、ヒーターエレメント8の発熱を停止する。一方、バルブ制御部93は引き続き第1開閉バルブ13を開放したままとし、ファン制御部94はファン9を回転させたままとする。すなわち、ファン9が、本体内部空間100TとホットゾーンPとの間で引き続き圧媒ガスの循環流を形成することで、ホットゾーンPの急冷却処理が実行される。
[0040]
 このような構成によって、均熱性保持のための圧媒ガスの流路を利用して、加圧処理後のHIP装置100の急冷却を実行することができる。この結果、被処理物の取り出しまでの時間を含む被処理物の加圧処理時間を短縮することができる。
[0041]
 なお、制御部90のファン制御部94によって制御されるファン9は、急冷却処理の実行時に第1ガス導管12を通過する圧媒ガスの流量が、加圧処理時に第1ガス導管12を通過する圧媒ガスの流量よりも大きくなるように、圧媒ガス流を発生してもよい。この場合、加圧処理後のHIP装置100の急冷却を更に短時間で実行することができる。
[0042]
 なお、本実施形態に係るHIP装置100の構造について付言すると、急冷却機能を備えていない従来のHIP装置(熱間等方圧加圧装置)では、各コップ体(ケーシング)の上面部には開口部が開口されていない。この場合、図1のように、底壁部20が配置される必要がない。このような技術では、被処理物への加圧処理が終了した後、自然放熱によって冷却されるため、上記のように開口部が不要である。また、加圧処理中は、逆コップ体によって形成されたホットゾーンは、熱気球のように加温される。この際、逆コップ体の上面部から圧媒ガスが流出することがないため、逆コップ体の下面部から新たな圧媒ガスが流入しにくい。したがって、上記のように、底壁部20が不要となる。一方、本実施形態のように、加圧処理後にホットゾーンPの圧媒ガスを積極的に流動させるために、内側ケーシング5に内側開口部5Hが開口されている場合、加圧処理中にホットゾーンPの圧媒ガスが内側開口部5Hから流出する可能性がある。この場合、前述のように、底壁部20の周辺の各シール部分からホットゾーンPに低温の圧媒ガスが流入しやすい。この結果、ホットゾーンPの上部側よりも下部側が低温となり、ホットゾーンPの均熱性が低下する。なお、底壁部20が一体の部材からなる場合であっても、底壁部20のケーシング支持部15と各ケーシング部材(外側ケーシング4、内側ケーシング5、断熱体R)との接合部から圧媒ガスが流入する可能性がある。
[0043]
 従来のHIP装置において、低温の圧媒ガスが底壁部20の周辺からホットゾーンPに流入した場合に、制御部90(図8)のヒーター制御部92が、ヒーターエレメント8に対して前述のゾーン制御を実行することを仮想的に検討する。この場合、ホットゾーンPの下部の温度が部分的に下がるため、ヒーター制御部92は、下側のヒーターエレメント8への投入電力を増大させる。一方、ヒーター制御部92は、上側のヒーターエレメント8への電力を増大させる必要ない。しかしながら、下側のヒーターエレメント8によって暖められた圧媒ガスが上昇する。このため、ヒーター制御部92は、むしろ上側のヒーターエレメント8への投入電力を下げる。そして、最終的には、上側のヒーターエレメント8への投入電力は、ほぼゼロとなり、下側のヒーターエレメント8のみでホットゾーンP全体の温度を制御することとなる。この結果、ホットゾーンPのゾーン制御が困難となる。
[0044]
 本発明は、上記のような課題に対し、低温の圧媒ガスを内側開口部5HからホットゾーンPに少しずつ流入させる点に特徴を有している。流入した低温の圧媒ガスは、ホットゾーンP内の高温の圧媒ガス中を下降する。このため、底壁部20の周辺のシール部から低温の圧媒ガスが流入(リーク)した場合であっても、ホットゾーンPの均熱性が保持される。
[0045]
 以上、本発明の一実施形態に係るHIP装置100(熱間等方圧加圧装置)について説明したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明に係る熱間等方圧加圧装置として、以下のような変形実施形態が可能である。
[0046]
 (1)上記の実施形態では、圧媒ガス流を発生させるガス流発生部30がファン9を備える態様にて説明したが、ガス流発生部30は公知のイジェクターを備えることで、圧媒ガス流を発生させるものでもよい。
[0047]
 (2)上記の実施形態では、ホットゾーンPを下降した圧媒ガスのみが複数の連通管11を通じてケーシング間外側流路L2に流入する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図9は、本発明の第1変形実施形態に係る熱間等方圧加圧装置100Aの断面図である。本変形実施形態では、先の実施形態と比較して、HIP装置100Aが、複数の第2ガス導管16(合流管)および複数の第2開閉バルブ17を更に備える点で相違するため、当該相違点について説明し、その他の共通する点の説明を省略する。
[0048]
 複数の第2ガス導管16は、底壁部本体14に配置されている。なお、複数の第2ガス導管16は、図7の複数の第1ガス導管12の上方にそれぞれ配置されている。複数の第2ガス導管16は、収容空間14BとホットゾーンPの下端部とを連通させる。この結果、図9に示すように、ファン9と複数の連通管11の入口とが複数の第2ガス導管16を介して互いに連通する。複数の第2開閉バルブ17は、それぞれ、複数の第2ガス導管16の入口付近に配置されている。各第2開閉バルブ17は、第2ガス導管16における圧媒ガスの流通と遮断とを切り替える。なお、第2開閉バルブ17の開閉動作は、前述の制御部90のバルブ制御部93によって制御される。
[0049]
 本変形実施形態では、制御部90は、前記急冷却処理時に、複数の第1開閉バルブ13に加え、複数の第2開閉バルブ17を開放する。この結果、複数の第2ガス導管16は、ファン9によって発生された圧媒ガスを、予め複数の第1ガス導管12を通過した後ホットゾーンPを下降した圧媒ガスに、連通管11の入口側において合流させる。この結果、急冷却処理時に、ホットゾーンPから流出する高温の圧媒ガスに、低温の圧媒ガスを混合させることが可能となる。このため、急冷処理時に、高圧容器100Sの内周面2S(図1)と熱交換する圧媒ガス流を低温化、高流量化することが可能となる。この結果、高圧容器100Sの温度を強度上の許容温度以下に維持した場合の熱交換効率が高くなり、HIP装置100Aの急冷却速度を向上することができる。なお、複数の第2ガス導管16は、断熱体周壁部RSと外側周壁部42との間の空間およびホットゾーンPの下端部のうちの少なくとも一方を介して複数の連通管11とガス流発生部30(ファン9)とをそれぞれ連通させればよい。
[0050]
 (3)上記の実施形態では、互いに間隔をおいて配置される断熱体外筒6および断熱体内筒7によって断熱体Rが構成される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図10は、本発明の第2変形実施形態に係る熱間等方圧加圧装置100Bの拡大断面図であり、図11は、本発明の第3変形実施形態に係る熱間等方圧加圧装置100Cの拡大断面図である。
[0051]
 図10のHIP装置100Bでは、断熱体Rが、それぞれ逆コップ形状を備えた、第1断熱ケーシング71、第2断熱ケーシング72および第3断熱ケーシング73によって構成される。第1断熱ケーシング71と第2断熱ケーシング72との間には、第1断熱層R1が形成され、第2断熱ケーシング72と第3断熱ケーシング73との間には、第2断熱層R2が形成されている。また、先の実施形態と同様に、内側ケーシング5と第1断熱ケーシング71との間には、ケーシング間内側流路L1が形成され、第3断熱ケーシング73と外側ケーシング4との間には、ケーシング間外側流路L2が形成されている。すなわち、本変形実施形態では、5つのコップ体によってHIP装置100の内部が4層構造となっている。なお、各コップ体の間の間隔が狭いほど、ガス対流が抑制され、断熱効果が高められる。また、図10において、ケーシング間内側流路L1およびケーシング間外側流路L2は圧媒ガスが流通するガス層であり、第1断熱層R1および第2断熱層R2には、断熱材が充填されている。他の変形実施形態において、第1断熱層R1および第2断熱層R2もガス層であってもよい。
[0052]
 同様に、図11のHIP装置100Cでは、断熱体Rが、それぞれ逆コップ形状を備えた、第4断熱ケーシング74、第5断熱ケーシング75、第6断熱ケーシング76および第7断熱ケーシング77によって構成される。第4断熱ケーシング74と第5断熱ケーシング75との間には、第3断熱層R3が形成され、第5断熱ケーシング75と第6断熱ケーシング76との間には、第4断熱層R4が形成され、第6断熱ケーシング76と第7断熱ケーシング77との間には、第5断熱層R5が形成されている。また、先の実施形態と同様に、内側ケーシング5と第4断熱ケーシング74との間には、ケーシング間内側流路L1が形成され、第7断熱ケーシング77と外側ケーシング4との間には、ケーシング間外側流路L2が形成されている。すなわち、本変形実施形態では、6つのコップ体によってHIP装置100の内部が5層構造となっている。なお、各層の構造については、図10の100Bと同様である。
[0053]
 (4)また、上記の実施形態では、外側ケーシング4が外側上壁部41を備え、内側ケーシング5が内側上壁部51を備える態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。外側ケーシング4が外側周壁部42のみを備え、外側周壁部42の上端部が開放されていることで、外側ケーシング4に外側開口部4Hが形成されてもよい。また、内側ケーシング5が内側周壁部52のみを備え、内側周壁部52の上端部が開放されていることで、内側ケーシング5に内側開口部5Hが形成されてもよい。
[0054]
 (5)また、上記の実施形態では、内側ケーシング5、断熱体Rおよび外側ケーシング4が、軸心CLを中心として、それぞれ円筒形状を備える態様にて説明したが、各部材の形状は円筒形状に限定されるものではない。
[0055]
 (6)また、上記の実施形態では、加圧処理中にヒーターエレメント8が発熱する態様にて説明したが、加圧処理中の一部においてヒーターエレメント8の発熱が停止されてもよい。この際、ガス流発生部30によって圧媒ガスの循環流が継続して形成されてもよいし、一時的に循環流の形成が停止されてもよい。
[0056]
 本発明によって提供されるのは、被処理物に対して圧媒ガスを用いて等方圧加圧処理を行う熱間等方圧加圧装置であって、上下方向に沿って延びる内周面を備える高圧容器であって、内部に前記内周面によって画定される本体内部空間が形成されている高圧容器と、前記本体内部空間に配置され、前記被処理物を加圧するホットゾーンを囲むように上下方向に沿って延びるガス不透過性の内側周壁部を備える内側ケーシングであって、前記圧媒ガスの透過を許容する内側開口部が前記内側ケーシングの上面部に開口されている、内側ケーシングと、前記本体内部空間において前記内側ケーシングを囲むように配置されるガス不透過性の断熱体であって、前記圧媒ガスの通路を挟んで前記内側周壁部を囲むように上下方向に沿って延びる断熱体周壁部と、前記断熱体周壁部の上面部を塞ぐように前記断熱体周壁部に接続されるとともに前記圧媒ガスの通路を挟んで前記内側開口部の上方に配置される断熱体上壁部と、を備える断熱体と、前記本体内部空間において前記断熱体を囲むように配置される外側ケーシングであって、前記圧媒ガスの通路を挟んで前記断熱体周壁部を囲むように上下方向に沿って延びるガス不透過性の外側周壁部を備えるとともに、前記圧媒ガスの透過を許容する外側開口部が前記外側ケーシングの上面部に開口されている、外側ケーシングと、前記ホットゾーンに配置され、発熱する加熱部と、前記外側周壁部の下端部、前記内側周壁部の下端部および前記断熱体周壁部の下端部を支持する支持部と、前記ホットゾーンの下面部を画定するととともに、前記被処理物が載置されることを許容する上面部を含む載置部とを備え、前記ホットゾーンを下方から封止する底壁部と、前記内側周壁部と前記断熱体周壁部との間の空間に対して遮断され、かつ、前記断熱体周壁部を貫通して前記断熱体周壁部と前記外側周壁部との間の空間と前記ホットゾーンの下端部とを連通させる前記圧媒ガスの通路をそれぞれ形成する複数の連通管と、前記内側周壁部と前記断熱体周壁部との間の空間の下側部分と前記本体内部空間のうち前記底壁部よりも下方の部分とを連通させる複数の導入管と、前記本体内部空間のうち前記底壁部の下方に配置され、前記載置部に載置された前記被処理物に前記等方圧加圧処理を行う加圧処理時に、前記複数の導入管に流入する圧媒ガス流を発生するガス流発生部と、を有する。
[0057]
 本構成によれば、被処理物の加圧処理時に、ガス流発生部によって発生される低温の圧媒ガス流が、内側開口部からホットゾーンに流入する。ホットゾーン内の圧媒ガスよりも低温の圧媒ガスはホットゾーン内を徐々に下降する。このため、ホットゾーンの下方部分を封止する底壁部の周辺からホットゾーン内に低温の圧媒ガスが直接流入(リーク)することがあっても、加圧処理中のホットゾーン内の均熱性が保持される。また、内側開口部からホットゾーン内に流入した圧媒ガスは、ホットゾーンの下方部分から複数の連通管を介して、外側周壁部と断熱体周壁部との間の空間に流入する。このため、ホットゾーン内において圧媒ガスの流れが停滞することがなく、ホットゾーン内の均熱性が更に保持される。更に、ホットゾーンにおいて上下方向に沿った圧媒ガスの流れを可能とするために、内側ケーシングには内側開口部が開口されている。しかしながら、上記の構成によれば、内側ケーシングの外側を囲むように断熱体が配置されている。このため、ホットゾーンの温度を保持する断熱性能は、ケーシングに開口部を備えていない他の熱間等方圧加圧装置と同等に維持される。
[0058]
 上記の構成において、前記ガス流発生部は、前記複数の導入管を通じて前記内側周壁部と前記断熱体周壁部との間の前記空間に流入した前記圧媒ガス流が、前記内側周壁部および前記断熱体周壁部に沿って上昇するとともに、前記内側開口部から前記ホットゾーンに流入した後、前記ホットゾーンを下降し、更に、前記複数の連通管を通じて、前記外側周壁部と前記断熱体周壁部との間の空間に流入するように前記圧媒ガス流を発生させることが望ましい。
[0059]
 本構成によれば、ホットゾーンを下降する低温の圧媒ガス流を安定して形成することができる。
[0060]
 上記の構成において、前記内側ケーシングは、前記内側周壁部の上面部を塞ぐように前記内側周壁部に接続される内側上壁部を更に備え、前記内側開口部は、前記内側上壁部に開口されており、前記外側ケーシングは、前記外側周壁部の上面部を塞ぐように前記外側周壁部に接続される外側上壁部を更に備え、前記外側開口部は、前記外側上壁部に開口されていることが望ましい。
[0061]
 本構成によれば、内側上壁部に開口された内側開口部を通じて、ホットゾーンに低温の圧媒ガスを流入させることができる。また、外側上壁部に開口された外側開口部を通じて、外側ケーシングの外部に圧媒ガスを流出させることができる。
[0062]
 上記の構成において、前記ガス流発生部は、前記加圧処理時に、前記複数の連通管を通じて前記外側周壁部と前記断熱体周壁部との間の前記空間に流入した前記圧媒ガスが、前記断熱体周壁部および前記外側周壁部に沿って上昇した後、前記外側開口部から前記外側ケーシングの外部に流出し、更に前記高圧容器の前記内周面と前記外側周壁部との間を通って下降し、再び前記複数の導入管に流入するように、前記本体内部空間に前記圧媒ガスの循環流を形成することが望ましい。
[0063]
 本構成によれば、ホットゾーンの均熱性が維持されながら、本体内部空間に安定して圧媒ガスの循環流を形成することができる。
[0064]
 上記の構成において、前記ガス流発生部は、前記被処理物に対する前記加圧処理が終了した後に、前記本体内部空間に前記圧媒ガスの前記循環流を形成することで、前記ホットゾーンの急冷却処理を実行することが望ましい。
[0065]
 本構成によれば、均熱性保持のための圧媒ガスの流路を利用して、加圧処理後の熱間等方圧加圧装置の急冷却を実行することができる。この結果、被処理物の取り出しまでの時間を含む被処理物の加圧処理時間を短縮することができる。
[0066]
 上記の構成において、前記ガス流発生部は、前記急冷却処理の実行時に前記導入管を通過する前記圧媒ガスの流量が、前記加圧処理時に前記導入管を通過する前記圧媒ガスの流量よりも大きくなるように、前記圧媒ガス流を発生することが望ましい。
[0067]
 本構成によれば、加圧処理後の熱間等方圧加圧装置の急冷却を更に短時間で実行することができる。
[0068]
 上記の構成において、前記断熱体周壁部と前記外側周壁部との間の空間および前記ホットゾーンの下端部のうちの少なくとも一方を介して前記複数の連通管と前記ガス流発生部とをそれぞれ連通させる複数の合流管であって、前記急冷却処理時に、前記ガス流発生部によって発生された前記圧媒ガス流を、予め前記導入管を通過した後、前記ホットゾーンを下降した前記圧媒ガスに合流させる、複数の合流管を更に備えることが望ましい。
[0069]
 本構成によれば、急冷却処理時に、ホットゾーンから流出する高温の圧媒ガスに、低温の圧媒ガスを混合させることが可能となる。このため、急冷却処理時に、高圧容器の内周面との間で熱交換する圧媒ガス流を低温化、高流量化することが可能となる。この結果、熱間等方圧加圧装置の急冷却速度を向上することができる。

請求の範囲

[請求項1]
 被処理物に対して圧媒ガスを用いて等方圧加圧処理を行う熱間等方圧加圧装置であって、
 上下方向に沿って延びる内周面を備える高圧容器であって、内部に前記内周面によって画定される本体内部空間が形成されている高圧容器と、
 前記本体内部空間に配置され、前記被処理物を加圧するホットゾーンを囲むように上下方向に沿って延びるガス不透過性の内側周壁部を備える内側ケーシングであって、前記圧媒ガスの透過を許容する内側開口部が前記内側ケーシングの上面部に開口されている、内側ケーシングと、
 前記本体内部空間において前記内側ケーシングを囲むように配置されるガス不透過性の断熱体であって、前記圧媒ガスの通路を挟んで前記内側周壁部を囲むように上下方向に沿って延びる断熱体周壁部と、前記断熱体周壁部の上面部を塞ぐように前記断熱体周壁部に接続されるとともに前記圧媒ガスの通路を挟んで前記内側開口部の上方に配置される断熱体上壁部と、を備える断熱体と、
 前記本体内部空間において前記断熱体を囲むように配置される外側ケーシングであって、前記圧媒ガスの通路を挟んで前記断熱体周壁部を囲むように上下方向に沿って延びるガス不透過性の外側周壁部を備えるとともに、前記圧媒ガスの透過を許容する外側開口部が前記外側ケーシングの上面部に開口されている、外側ケーシングと、
 前記ホットゾーンに配置され、発熱する加熱部と、
 前記外側周壁部の下端部、前記内側周壁部の下端部および前記断熱体周壁部の下端部を支持する支持部と、前記ホットゾーンの下面部を画定するととともに、前記被処理物が載置されることを許容する上面部を含む載置部とを備え、前記ホットゾーンを下方から封止する底壁部と、
 前記内側周壁部と前記断熱体周壁部との間の空間に対して遮断され、かつ、前記断熱体周壁部を貫通して前記断熱体周壁部と前記外側周壁部との間の空間と前記ホットゾーンの下端部とを連通させる前記圧媒ガスの通路をそれぞれ形成する複数の連通管と、
  前記内側周壁部と前記断熱体周壁部との間の空間の下側部分と前記本体内部空間のうち前記底壁部よりも下方の部分とを連通させる複数の導入管と、
 前記本体内部空間のうち前記底壁部の下方に配置され、前記載置部に載置された前記被処理物に前記等方圧加圧処理を行う加圧処理時に、前記複数の導入管に流入する圧媒ガス流を発生するガス流発生部と、
を有する、熱間等方圧加圧装置。
[請求項2]
 前記ガス流発生部は、前記複数の導入管を通じて前記内側周壁部と前記断熱体周壁部との間の前記空間に流入した前記圧媒ガス流が、前記内側周壁部および前記断熱体周壁部に沿って上昇するとともに、前記内側開口部から前記ホットゾーンに流入した後、前記ホットゾーンを下降し、更に、前記複数の連通管を通じて、前記外側周壁部と前記断熱体周壁部との間の空間に流入するように前記圧媒ガス流を発生させる、請求項1に記載の熱間等方圧加圧装置。
[請求項3]
 前記内側ケーシングは、前記内側周壁部の上面部を塞ぐように前記内側周壁部に接続される内側上壁部を更に備え、前記内側開口部は、前記内側上壁部に開口されており、
 前記外側ケーシングは、前記外側周壁部の上面部を塞ぐように前記外側周壁部に接続される外側上壁部を更に備え、前記外側開口部は、前記外側上壁部に開口されている、請求項1または2に記載の熱間等方圧加圧装置。
[請求項4]
 前記ガス流発生部は、前記加圧処理時に、前記複数の連通管を通じて前記外側周壁部と前記断熱体周壁部との間の前記空間に流入した前記圧媒ガスが、前記断熱体周壁部および前記外側周壁部に沿って上昇した後、前記外側開口部から前記外側ケーシングの外部に流出し、更に前記高圧容器の前記内周面と前記外側周壁部との間を通って下降し、再び前記複数の導入管に流入するように、前記本体内部空間に前記圧媒ガスの循環流を形成する、請求項1または2に記載の熱間等方圧加圧装置。
[請求項5]
 前記ガス流発生部は、前記被処理物に対する前記加圧処理が終了した後に、前記本体内部空間に前記圧媒ガスの前記循環流を形成することで、前記ホットゾーンの急冷却処理を実行する、請求項4に記載の熱間等方圧加圧装置。
[請求項6]
 前記ガス流発生部は、前記急冷却処理の実行時に前記導入管を通過する前記圧媒ガスの流量が、前記加圧処理時に前記導入管を通過する前記圧媒ガスの流量よりも大きくなるように、前記圧媒ガス流を発生する、請求項5に記載の熱間等方圧加圧装置。
[請求項7]
 前記断熱体周壁部と前記外側周壁部との間の空間および前記ホットゾーンの下端部のうちの少なくとも一方を介して前記複数の連通管と前記ガス流発生部とをそれぞれ連通させる複数の合流管であって、前記急冷却処理時に、前記ガス流発生部によって発生された前記圧媒ガス流を、予め前記導入管を通過した後、前記ホットゾーンを下降した前記圧媒ガスに合流させる、複数の合流管を更に備える、請求項5に記載の熱間等方圧加圧装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]