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1. (WO2018186227) 弾性波フィルタ装置、デュプレクサ、高周波フロントエンド回路、および通信装置
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明 細 書

発明の名称 弾性波フィルタ装置、デュプレクサ、高周波フロントエンド回路、および通信装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

発明の効果

0040  

図面の簡単な説明

0041  

発明を実施するための形態

0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198   0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252  

産業上の利用可能性

0253  

符号の説明

0254  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11A   11B   11C   12   13A   13B   14   15   16   17   18   19   20   21   22  

明 細 書

発明の名称 : 弾性波フィルタ装置、デュプレクサ、高周波フロントエンド回路、および通信装置

技術分野

[0001]
 本発明は、共振子を有する弾性波フィルタ装置、デュプレクサ、高周波フロントエンド回路、および通信装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、移動体通信機のフロントエンド部に配置される帯域通過フィルタなどに、弾性波を使用した弾性波フィルタが広く用いられている。また、マルチモード/マルチバンドなどの複合化に対応すべく、複数の弾性波フィルタを備えた高周波フロントエンド回路が実用化されている。
[0003]
 特許文献1には、異なる共振周波数および反共振周波数を有する複数の弾性波共振子からなる直列腕回路または並列腕回路で構成された周波数可変型の弾性波フィルタが開示されている。より具体的には、スイッチ素子の導通および非導通の切り替えにより弾性波共振子を短絡または開放して直列腕回路または並列腕回路の共振周波数または反共振周波数を可変させることで、弾性波フィルタの通過帯域および減衰帯域が可変する。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2009-207116号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特許文献1に開示された弾性波フィルタのように、弾性波共振子とスイッチ素子との直列回路で構成された周波数可変回路において、スイッチ素子の非導通時の容量成分であるオフ容量が大きいほど、当該非導通時における周波数可変回路の共振周波数は低周波数側にシフトしてしまう。このため、スイッチ素子の導通および非導通の切り替えによる弾性波フィルタの減衰極の周波数シフト量が小さくなるという問題がある。さらには、スイッチ素子の非導通時の弾性波フィルタの通過帯域幅が狭くなるという問題も発生する。
[0006]
 そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、減衰帯域の周波数シフト量を十分確保しつつ2つの周波数帯域の信号経路を切り替えることが可能な弾性波フィルタ装置、デュプレクサ、高周波フロントエンド回路、および通信装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る弾性波フィルタ装置は、第1通過帯域の高周波信号を通過させ、当該第1通過帯域より高周波数側に割り当てられた第1減衰帯域の高周波信号を減衰させる第1フィルタ特性と、前記第1通過帯域より高周波数側に割り当てられた第2通過帯域の高周波信号を通過させ、当該第2通過帯域より高周波数側に割り当てられた第2減衰帯域の高周波信号を減衰させる第2フィルタ特性と、を可変する弾性波フィルタ装置であって、第1入出力端子と第2入出力端子との間に接続された直列腕回路と、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子とを結ぶ経路上のノードおよびグランドに接続された並列腕共振回路と、を備え、前記並列腕共振回路は、第1弾性波共振子と、前記第1弾性波共振子に並列接続され、前記並列腕共振回路の共振周波数および反共振周波数を可変する機能を有する周波数可変回路と、を備え、前記周波数可変回路は、前記第1弾性波共振子の共振周波数よりも高い共振周波数および前記第1弾性波共振子の反共振周波数よりも高い反共振周波数を有する第2弾性波共振子と、前記第2弾性波共振子に直列接続されたスイッチ素子と、を備え、前記スイッチ素子の導通および非導通の切り替えにより、それぞれ、前記第1フィルタ特性および前記第2フィルタ特性が切り替えられ、前記スイッチ素子が非導通状態である場合の前記並列腕共振回路の2つの共振周波数のうち高周波数側の共振周波数と、前記スイッチ素子が導通状態である場合の前記並列腕共振回路の2つの共振周波数のうち高周波数側の共振周波数との周波数差である共振周波数差は、前記第2減衰帯域の低周波端周波数と前記第1減衰帯域の低周波端周波数との周波数差である減衰帯域周波数差以上である。
[0008]
 上記構成によれば、直列腕回路と並列腕共振回路とで構成される帯域通過型の弾性波フィルタ装置において、スイッチ素子が導通状態である場合には、直列腕共振子と第1および第2弾性波共振子の合成共振器とにより、第1フィルタ特性が実現される。また、スイッチ素子が非導通状態である場合には、直列腕共振子と、第1、第2弾性波共振子、およびオフ容量の合成共振器とにより、第2フィルタ特性が形成される。
[0009]
 上記構成において、共振周波数差が減衰帯域周波数差以上であることにより、スイッチ素子の導通および非導通の切り替えによる並列腕共振回路の共振周波数のシフト量を大きくすることができ、当該共振周波数で構成される減衰極の周波数のシフト量を大きくすることができる。
[0010]
 また、前記第2弾性波共振子は、インダクタンスL を有するインダクタおよび静電容量C を有するキャパシタが直列接続された直列回路と、静電容量C 02を有するキャパシタとが並列接続された等価回路で表され、前記減衰帯域周波数差をΔf FILとした場合、前記スイッチ素子が非導通状態である場合の当該スイッチ素子の静電容量であるオフ容量C offは、
[数1]


 なる関係式を満たしてもよい。
[0011]
 上記構成において、弾性波共振子をインダクタおよびキャパシタで構成される等価回路で表すことにより、並列腕共振回路の共振周波数で構成される減衰極の周波数のシフト量を大きく確保するためのオフ容量の大きさを規定することが可能となる。
[0012]
 また、前記オフ容量C offは、前記静電容量C 02よりも小さくてもよい。
[0013]
 これにより、スイッチ素子が非導通状態である場合の通過帯域幅を広くすることができ、挿入損失を低減できる。
[0014]
 また、前記直列腕回路は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子との間に接続された直列腕共振子を備え、前記第1弾性波共振子の共振周波数は、前記直列腕共振子の共振周波数よりも低く、前記第2弾性波共振子の共振周波数は、前記第1弾性波共振子の共振周波数よりも高くてもよい。
[0015]
 上記構成において、スイッチ素子が導通状態である場合、並列腕共振回路の2つの共振周波数の一方は、第1弾性波共振子の共振周波数となり、他方は第2弾性波共振子の共振周波数となり、並列腕共振回路の2つの反共振周波数の一方は、第1弾性波共振子の共振周波数より低くなり、他方は第2弾性波共振子の共振周波数より低くなる。一方、スイッチ素子が非導通状態である場合、並列腕共振回路の2つの共振周波数の一方は、第1弾性波共振子の共振周波数となり、他方は第2弾性波共振子の共振周波数より高い周波数となり、並列腕共振回路の2つの反共振周波数の一方および他方は、それぞれ、スイッチ素子が導通状態である場合の2つの反共振周波数の一方および他方より高い周波数となる。よって、スイッチ素子の導通および非導通の切り替えにより、通過帯域幅と通過帯域高周波数側の減衰極の周波数を切り替えることができる。つまり、スイッチ素子の切り替えにより、上記フィルタ回路の通過帯域を調整することが可能となる。従来では、互いに2つの帯域を排他的に選択するシステムに適用されるフィルタ回路には、2つのフィルタ回路および当該2つのフィルタを切り替えるSPDT型のスイッチを必要としていた。これに対して、本構成では、1つのフィルタ回路およびSPST(Single Pole Single Throw)型のスイッチ素子で構成できる。よって、フィルタ回路を簡素化および小型化することが可能となる。
[0016]
 また、前記第2弾性波共振子の共振周波数は、前記直列腕共振子の共振周波数よりも高く、かつ、前記直列腕共振子の反共振周波数よりも低くてもよい。
[0017]
 この構成によれば、第2弾性波共振子の共振周波数が、通過帯域内の中心周波数近傍の挿入損失に影響する直列腕共振子の共振周波数よりも高く、かつ、通過帯域外の高周波数側の減衰極に対応する直列腕共振子の反共振周波数よりも低い。これにより、スイッチ素子を導通させた場合に、通過帯域内の低損失性を維持したまま、通過帯域外の高周波数側の減衰極を低周波側へとシフトさせることが可能となる。よって、スイッチ素子を導通させた場合には、通過帯域の高域端を低周波数側へシフトできるので、通過特性の急峻性を損なうことなく通過帯域幅を狭くすることが可能となる。
[0018]
 また、前記弾性波フィルタ装置は、直列腕回路と並列腕回路とで構成されるフィルタ構造を複数段有し、複数の前記並列腕回路のうち2以上の並列腕回路が、前記第1弾性波共振子と前記第2弾性波共振子と前記スイッチ素子とを有する前記並列腕共振回路であってもよい。
[0019]
 これにより、複数段のラダー型のフィルタ構造で規定される通過帯域特性において、導通させるスイッチ素子を任意に選択することにより、細かな帯域幅の調整をすることが可能となる。
[0020]
 また、前記第2弾性波共振子と前記スイッチ素子との直列接続で構成された前記周波数可変回路が、前記ノードとグランドとの間に、複数並列接続されていてもよい。
[0021]
 これにより、直列腕共振子と第1弾性波共振子とで規定される第2フィルタ特性において、第2弾性波共振子とスイッチ素子とで構成された複数の周波数可変回路のうち、導通させる周波数可変回路のスイッチ素子を任意に選択することにより、細かな帯域幅の調整をすることが可能となる。
[0022]
 また、さらに、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子との間に配置された縦結合型フィルタ回路を備えてもよい。
[0023]
 これにより、通過帯域外の減衰特性を向上させることが可能となる。
[0024]
 また、前記第1弾性波共振子および前記第2弾性波共振子は、弾性表面波子、または、BAW共振子を用いた弾性波共振子であってもよい。
[0025]
 これにより、弾性波フィルタ装置を、弾性波を用いた圧電素子により構成できるので、急峻度の高い通過特性を有する小型の弾性波フィルタ装置を実現できる。
[0026]
 また、前記第1弾性波共振子および前記第2弾性波共振子は、同一の圧電性を有する基板上に形成されたIDT電極を有してもよい。
[0027]
 これにより、弾性波フィルタ装置を、IDT電極を用いた弾性表面波共振子により構成できるので、急峻度の高い通過特性を有する小型かつ低背の弾性波フィルタ装置を実現できる。
[0028]
 また、前記スイッチ素子は、GaAsもしくはCMOSからなるFETスイッチ、または、ダイオードスイッチであってもよい。
[0029]
 これにより、スイッチ素子を、1つのFETスイッチまたはダイオードスイッチにより構成できるので、小型の弾性波フィルタ装置を実現できる。
[0030]
 また、本発明の一態様に係るデュプレクサは、送信側フィルタ回路および受信側フィルタ回路のいずれかは、上記いずれかに記載の弾性波フィルタ装置を含んでもよい。
[0031]
 これにより、互いに近接する2つの帯域を排他的に選択するシステムに適用されるチューナブルなデュプレクサにおいて、当該デュプレクサを簡素化および小型化することが可能となる。
[0032]
 また、本発明の一態様に係る高周波フロントエンド回路は、上記記載の弾性波フィルタ装置と、複数の前記スイッチ素子の導通および非導通の切り替えを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数のスイッチ素子の導通および非導通の切り替えを個別に制御してもよい。
[0033]
 これにより、直列腕共振子と第1弾性波共振子とで規定される第2フィルタ特性において、複数のスイッチ素子を個別に選択することにより、3以上の周波数帯域に対応した通過特性を的確に選択することが可能となる。
[0034]
 また、高周波送信信号を増幅するパワーアンプと、前記パワーアンプで増幅された高周波送信信号を通過させる、上記いずれかに記載の弾性波フィルタ装置または上記記載のデュプレクサと、前記スイッチ素子の導通および非導通の切り替えを制御する制御部と、を備えてもよい。
[0035]
 これにより、パワーアンプを有する送信系のフロントエンド回路を簡素化および小型化することが可能となる。
[0036]
 また、アンテナ素子で受信した高周波受信信号を通過させる、上記いずれかに記載の弾性波フィルタ装置または上記記載のデュプレクサと、前記弾性波フィルタ装置または前記デュプレクサから出力された高周波受信信号を増幅するローノイズアンプと、前記スイッチ素子の導通および非導通の切り替えを制御する制御部と、を備えてもよい。
[0037]
 これにより、ローノイズアンプを有する受信系のフロントエンド回路を簡素化および小型化することが可能となる。
[0038]
 また、本発明の一態様に係る通信装置は、ベースバンド信号または高周波信号を処理するRF信号処理回路と、上記いずれかに記載の高周波フロントエンド回路とを備える。
[0039]
 これにより、通信装置を簡素化および小型化することが可能となる。

発明の効果

[0040]
 本発明によれば、スイッチ素子の導通および非導通の切り替えにより減衰帯域の周波数シフト量を十分確保しつつ2つの周波数帯域の信号経路を切り替えることが可能な弾性波フィルタ装置、デュプレクサ、高周波フロントエンド回路、および通信装置を提供することが可能となる。

図面の簡単な説明

[0041]
[図1] 図1は、実施の形態1に係る高周波フロントエンド回路の回路構成図である。
[図2] 図2は、実施の形態1に係る弾性波フィルタの通過特性と周波数割り当てとの関係を説明する図である。
[図3] 図3は、実施の形態1に係る弾性波フィルタの一例を示す回路構成図である。
[図4] 図4は、実施の形態1に係る弾性波フィルタの共振子を模式的に表す平面図および断面図の一例である。
[図5] 図5は、実施の形態1に係る弾性波フィルタのスイッチ導通時および非導通時のインピーダンス特性および通過特性の比較を表すグラフである。
[図6] 図6は、比較例に係る弾性波フィルタの回路構成図である。
[図7] 図7は、実施の形態1に係る弾性波フィルタのスイッチ導通時および非導通時の回路状態を示す図である。
[図8] 図8は、実施の形態1に係る弾性波フィルタのオフ容量を変化させた場合の通過特性を比較したグラフである。
[図9] 図9は、実施の形態1に係る並列腕共振回路のオフ容量を変化させた場合のインピーダンス特性の比較を表すグラフである。
[図10] 図10は、実施の形態1に係る弾性波フィルタのオフ容量を変化させた場合のインピーダンス特性および通過特性を表すグラフである。
[図11A] 図11Aは、並列腕共振回路の等価回路を表す図である。
[図11B] 図11Bは、並列腕共振回路のスイッチ導通時の等価回路を表す図である。
[図11C] 図11Cは、並列腕共振回路のスイッチ非導通時の等価回路を表す図である。
[図12] 図12は、並列腕共振回路を構成する共振子および共振回路のインピーダンス特性を表すグラフである。
[図13A] 図13Aは、並列腕共振回路の共振周波数のシフト量を表すグラフである。
[図13B] 図13Bは、並列腕共振回路のオフ容量値と共振周波数のシフト量との関係を示すグラフである。
[図14] 図14は、実施の形態1の変形例に係る弾性波フィルタの回路構成図である。
[図15] 図15は、実施の形態2に係る弾性波フィルタの回路構成図である。
[図16] 図16は、実施の形態2に係る弾性波フィルタの通過特性を表すグラフである。
[図17] 図17は、実施の形態2に係る弾性波フィルタの通過特性および並列腕共振回路を構成する共振子および共振回路のインピーダンス特性を表すグラフである。
[図18] 図18は、実施の形態2に係る弾性波フィルタのオフ容量を変化させた場合の通過特性を比較したグラフである。
[図19] 図19は、実施の形態2に係る弾性波フィルタのオフ容量値と挿入損失との関係を示すグラフである。
[図20] 図20は、実施の形態3に係る弾性波フィルタの回路構成図である。
[図21] 図21は、実施の形態4に係るデュプレクサの回路構成図である。
[図22] 図22は、実施の形態5に係る通信装置の構成図である。

発明を実施するための形態

[0042]
 以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさ、または大きさの比は、必ずしも厳密ではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する場合がある。また、共振子等の回路素子については要求仕様等に応じて定数が適宜調整され得る。このため、回路素子については、同一の符号であっても定数が異なる場合もある。
[0043]
 また、共振子または回路における共振周波数とは、特に断りの無い限り、当該共振子または当該回路を含むフィルタの通過帯域または通過帯域近傍の減衰極を形成するための共振周波数であり、当該共振子または当該回路のインピーダンスが極小となる特異点(理想的にはインピーダンスが0となる点)である「共振点」の周波数である。
[0044]
 また、共振子または回路における反共振周波数とは、特に断りの無い限り、当該共振子または当該回路を含むフィルタの通過帯域または通過帯域近傍の減衰極を形成するための反共振周波数であり、当該共振子または当該回路のインピーダンスが極大となる特異点(理想的にはインピーダンスが無限大となる点)である「反共振点」の周波数である。
[0045]
 なお、以下の実施の形態において、直列腕(共振)回路および並列腕(共振)回路は、以下のように定義される。
[0046]
 並列腕(共振)回路は、第1入出力端子および第2入出力端子を結ぶ経路上の一のノードと、グランドと、の間に配置された回路である。
[0047]
 直列腕(共振)回路は、第1入出力端子または第2入出力端子と、並列腕(共振)回路が接続される上記経路上のノードと、の間に配置された回路、または、一の並列腕(共振)回路が接続される上記経路上の一のノードと、他の並列腕(共振)回路が接続される上記経路上の他のノードと、の間に配置された回路である。
[0048]
 (実施の形態1)
 [1.1 RFフロントエンド回路の構成]
 図1は、実施の形態1に係るRFフロントエンド回路2の回路構成図である。同図には、アンテナ素子1と、RFフロントエンド回路2と、RF信号処理回路(RFIC)3とが示されている。アンテナ素子1、RFフロントエンド回路2、およびRFIC3は、例えば、マルチモード/マルチバンド対応の携帯電話のフロントエンド部に配置される。
[0049]
 RFIC3は、例えば、ベースバンド信号処理回路(図示せず)から入力されたベースバンド送信信号をアップコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された高周波送信信号をRFフロントエンド回路2へ出力する。また、RFIC3は、使用される周波数帯域に基づいて、RFフロントエンド回路2が有する各スイッチの導通および非導通を制御する制御部として機能する。
[0050]
 RFフロントエンド回路2は、スイッチ11A、11B、11C、および23と、弾性波フィルタ10Aと、フィルタ20Bおよび20Cと、パワーアンプ24とを備える。これにより、RFフロントエンド回路2は、所定の周波数帯域の高周波信号を選択的に通過させる信号経路を複数有する。具体的には、周波数帯域(バンド)A1または周波数帯域(バンド)A2の高周波送信信号は、パワーアンプ24、スイッチ23、弾性波フィルタ10A、およびスイッチ11Aを経由する信号経路によりアンテナ素子1へ出力される。また、バンドBの高周波送信信号は、パワーアンプ24、スイッチ23、フィルタ20B、およびスイッチ11Bを経由する信号経路によりアンテナ素子1へ出力される。また、バンドCの高周波送信信号は、パワーアンプ24、スイッチ23、フィルタ20C、およびスイッチ11Cを経由する信号経路によりアンテナ素子1へ出力される。
[0051]
 弾性波フィルタ10Aは、本発明の要部構成であり、バンドA1の高周波送信信号を伝達するための通過特性とバンドA2の高周波送信信号を伝達するための通過特性とが、周波数帯域を選択するための制御信号C1により切り替わる弾性波フィルタ装置である。
[0052]
 フィルタ20Bは、バンドBの高周波送信信号を伝達するための通過特性を有するフィルタ素子である。
[0053]
 フィルタ20Cは、バンドCの高周波送信信号を伝達するための通過特性を有するフィルタ素子である。
[0054]
 スイッチ23は、SP3T(Single Pole Triple Throw)型のスイッチであり、周波数帯域を選択するための制御信号C2により接続が切り替わるスイッチ素子である。なお、スイッチ23は、設定されるバンド数に応じて選択端子数nが設定されるSPnT(Single Pole n Throw)型のスイッチであってもよい。
[0055]
 なお、図1では受信信号経路の詳細表示を省略しているが、高周波受信信号は、アンテナ素子1から、RFフロントエンド回路2が有する各受信信号経路を経由してRFIC3へと出力される。具体的には、バンドA1またはバンドA2の高周波受信信号は、アンテナ素子1、スイッチ11A、受信側フィルタ回路(図示せず)、およびローノイズアンプ(図示せず)を経由する信号経路によりRFIC3へ出力される。また、バンドBの高周波受信信号は、アンテナ素子1、スイッチ11B、受信側フィルタ回路(図示せず)、およびローノイズアンプ(図示せず)を経由する信号経路によりRFIC3へ出力される。また、バンドCの高周波受信信号は、アンテナ素子1、スイッチ11C、受信側フィルタ回路(図示せず)、およびローノイズアンプ(図示せず)を経由する信号経路によりRFIC3へ出力される。
[0056]
 また、図1では、パワーアンプ24は、全てのバンドの高周波信号を増幅するものとしているが、各バンドに応じた個別のパワーアンプが配置されていてもよい。
[0057]
 また、図1では、送信経路(Tx)と受信経路(Rx)とを切り替えるものとして、時分割複信(TDD)方式を想定してスイッチ11A~11Cが配置されているが、これに限られない。例えば、周波数分割複信(FDD)方式を想定して、バンドBの高周波送信信号を選択通過させるフィルタ20BとバンドBの高周波受信信号を選択通過させるフィルタとを備えたデュプレクサが配置される場合には、当該デュプレクサの前段にはスイッチ11Bは不要である。バンドA1/A2およびバンドCについても同様である。
[0058]
 また、時分割複信(TDD)方式の場合には、弾性波フィルタ10A、フィルタ20Bおよび20Cとアンテナ素子1との間にスイッチ11A、11Bおよび11Cが配置されていることに限定されない。弾性波フィルタ10A、フィルタ20Bおよび20Cとパワーアンプ24との間にスイッチ11A、11Bおよび11Cが配置されていてもよく、あるいは、弾性波フィルタ10A、フィルタ20Bおよび20Cの前段および後段の双方にスイッチが配置されていてもよい。
[0059]
 上記構成により、RFフロントエンド回路2は、RFIC3からの制御信号C1およびC2により、バンドA1/A2、バンドB、およびバンドCの信号経路の少なくとも1つを選択し、当該選択された信号経路を用いて高周波信号を低損失で伝達することが可能な無線通信用の高周波フロントエンド回路として機能する。
[0060]
 [1.2 弾性波フィルタ装置の構成]
 マルチモード/マルチバンド対応のシステムにおいて、周波数帯域が近接または一部重複する2以上のバンドを排他的に選択使用する場合がある。図1に示されたRFフロントエンド回路2では、バンドA1およびバンドA2がこれに該当する。以下、バンドA1とバンドA2との関係および要求される通過特性について説明する。
[0061]
 図2は、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aの通過特性と周波数割り当てとの関係を説明する図である。同図に示すように、バンドA1の送信帯域(第1通過帯域)は、f T1L~f T1Hであり、バンドA2の送信帯域(第2通過帯域)は、f T2L~f T2Hである。ここで、バンドA1の送信帯域とバンドA2の送信帯域とは、f T2L~f T1Hにおいて重複している。また、バンドA2の送信帯域の高周波端f T2Hは、バンドA1の送信帯域の高周波端f T1Hよりも高い。一方、バンドA1の受信帯域(第1減衰帯域)は、f R1L~f R1Hであり、バンドA2の受信帯域(第2減衰帯域)は、f R2L~f R2Hである。ここで、バンドA1の受信帯域とバンドA2の受信帯域とは、f R2L~f R1Hにおいて重複している。さらに、バンドA2の送信帯域の高周波端f T2Hと、バンドA1の受信帯域の低周波端f R1Lとの周波数間隔は非常に小さい、もしくは重なっている。上記周波数割り当てにおいて、バンドA1とバンドA2とは、排他的に選択使用される。
[0062]
 以上のようなバンドA1およびバンドA2の周波数仕様において送信側フィルタを構成する場合、各送信帯域の低損失性および各受信帯域の減衰量を確保するには、図2で示されたような通過特性が要求される。つまり、バンドA1の送信側フィルタのフィルタ特性10A1(第1フィルタ特性)としては、図2の実線の特性が要求され、バンドA2の送信側フィルタのフィルタ特性10A2(第2フィルタ特性)としては、図2の破線の特性が要求される。具体的には、バンドA2の送信側フィルタの帯域内通過特性に対して、バンドA1の送信側フィルタの帯域内通過特性の高周波側を低周波側へシフトさせて帯域幅を狭くする必要がある。言い換えると、第2通過帯域の高周波端を低周波数側へシフトさせて第1通過帯域の高周波端とし、第2通過帯域の高周波数側近傍の減衰極を低周波数側へシフトさせて第1通過帯域の高周波数側近傍の減衰極とする必要がある。
[0063]
 ここで、本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Aでは、第2フィルタ特性の上記減衰極の周波数と、第1フィルタ特性の上記減衰極の周波数との周波数差は、第2減衰帯域の低周波端周波数f R2Lと第1減衰帯域の低周波端周波数f R1Lとの周波数差Δf FIL以上である。この周波数関係については、図7~図13Bを用いて詳細に説明する。
[0064]
 上記のようなフィルタ要求特性の観点から、本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Aは、バンドA1に要求されるフィルタ特性10A1とバンドA2に要求されるフィルタ特性10A2とを切り替えることで、簡素かつ小型な構成で実現したものである。
[0065]
 ここで、2つのバンドにおいて「周波数帯域が近接または一部重複する」とは、図2に示されたバンドA1およびバンドA2のように、通過帯域が一部重複する場合に限られない。2つのバンドが離れている場合であっても、例えば、2つのバンドの周波数間隔が、2つのバンドの中心周波数(各中心周波数の平均周波数)の数パーセント以内であるような周波数関係を有する場合も含まれる。
[0066]
 図3は、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aの回路構成図である。同図に示された弾性波フィルタ10Aは、直列腕回路12sと、並列腕共振回路12pと、入出力端子110および120と、を備える。
[0067]
 直列腕回路12sは、入出力端子110(第1入出力端子)と入出力端子120(第2入出力端子)との間に接続されている。本実施の形態に係る直列腕回路12sは、入出力端子110および120の間に接続された直列腕共振子s1を備えている。
[0068]
 並列腕共振回路12pは、入出力端子110と入出力端子120とを結ぶ経路上のノードx1およびグランドに接続されている。並列腕共振回路12pは、並列腕共振子p1と、周波数可変回路72pと、を備えている。並列腕共振子p1は、ノードx1とグランドとの間に接続された第1弾性波共振子である。
[0069]
 周波数可変回路72pは、並列腕共振子p1に並列接続され、並列腕共振回路12pの共振周波数および反共振周波数を可変する機能を有する。周波数可変回路72pは、並列腕共振子p2と、スイッチSW1とを備えている。並列腕共振子p2は、並列腕共振子p1の共振周波数よりも高い共振周波数および並列腕共振子p1の反共振周波数よりも高い反共振周波数を有する第2弾性波共振子である。スイッチSW1は、ノードx1とグランドとの間に配置され、並列腕共振子p2に直列接続されたスイッチ素子である。
[0070]
 上記構成により、スイッチSW1が導通状態の場合には、図2で示したフィルタ特性10A1が実現され、スイッチSW1が非導通状態の場合には、図2で示したフィルタ特性10A2が実現される。
[0071]
 ここで、並列腕共振子p2の共振周波数は、並列腕共振子p1の共振周波数よりも高い。また、並列腕共振子p2の共振周波数は、直列腕共振子s1の共振周波数よりも高く、かつ、直列腕共振子s1の反共振周波数よりも低い。
[0072]
 つまり、本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Aでは、ラダー型フィルタを構成する直列腕共振子s1および並列腕共振子p1のうち並列腕共振子p1と、周波数可変用の並列腕共振子p2およびスイッチSW1を直列接続した回路とが、ノードx1とグランドとの間に並列に接続されている。
[0073]
 また、スイッチSW1は、例えば、GaAsもしくはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)からなるFET(Field Effect Transistor)スイッチ、または、ダイオードスイッチが挙げられる。これにより、スイッチSW1を、1つのFETスイッチまたはダイオードスイッチにより構成できるので、小型の弾性波フィルタ10Aを実現できる。
[0074]
 本実施の形態では、直列腕共振子s1、ならびに並列腕共振子p1およびp2は、弾性表面波を用いた共振子である。これにより、弾性波フィルタ10Aを、圧電性を有する基板上に形成されたIDT(InterDigital Transducer)電極により構成できるので、急峻度の高い通過特性を有する小型かつ低背の弾性波フィルタ10Aを実現できる。ここで、弾性表面波共振子の構造を説明する。
[0075]
 図4は、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aの共振子を模式的に表す平面図および断面図の一例である。同図には、弾性波フィルタ10Aを構成する直列腕共振子s1、ならびに並列腕共振子p1およびp2のうち、直列腕共振子s1の構造を表す平面摸式図および断面模式図が例示されている。なお、図4に示された直列腕共振子は、上記複数の共振子の典型的な構造を説明するためのものであって、電極を構成する電極指の本数や長さなどは、これに限定されない。
[0076]
 弾性波フィルタ10Aの各共振子は、圧電基板50と、櫛形形状を有するIDT電極21aおよび21bとで構成されている。
[0077]
 図4の平面図に示すように、圧電基板50の上には、互いに対向する一対のIDT電極21aおよび21bが形成されている。IDT電極21aは、互いに平行な複数の電極指210aと、複数の電極指210aを接続するバスバー電極211aとで構成されている。また、IDT電極21bは、互いに平行な複数の電極指210bと、複数の電極指210bを接続するバスバー電極211bとで構成されている。複数の電極指210aおよび210bは、X軸方向と直交する方向に沿って形成されている。
[0078]
 また、複数の電極指210aおよび210b、ならびに、バスバー電極211aおよび211bで構成されるIDT電極54は、図4の断面図に示すように、密着層541と主電極層542との積層構造となっている。
[0079]
 密着層541は、圧電基板50と主電極層542との密着性を向上させるための層であり、材料として、例えば、Tiが用いられる。密着層541の膜厚は、例えば、12nmである。
[0080]
 主電極層542は、材料として、例えば、Cuを1%含有したAlが用いられる。主電極層542の膜厚は、例えば162nmである。
[0081]
 保護層55は、IDT電極21aおよび21bを覆うように形成されている。保護層55は、主電極層542を外部環境から保護するとともに、周波数温度特性を調整する、および、耐湿性を高めるなどを目的とする層であり、例えば、二酸化ケイ素を主成分とする膜である。
[0082]
 なお、本発明に係る弾性波フィルタ10Aが有する各共振子の構造は、図4に記載された構造に限定されない。例えば、IDT電極54は、金属膜の積層構造でなく、金属膜の単層であってもよい。
[0083]
 また、密着層541、主電極層542および保護層55を構成する材料は、上述した材料に限定されない。さらに、IDT電極54は、上記積層構造でなくてもよい。IDT電極54は、例えば、Ti、Al、Cu、Pt、Au、Ag、Pd,NiCrなどの金属又は合金から構成されてもよく、また、上記の金属又は合金から構成される複数の積層体から構成されてもよい。また、保護層55は、形成されていなくてもよい。
[0084]
 圧電基板50は、例えば、50°YカットX伝搬LiTaO 圧電単結晶または圧電セラミックス(X軸を中心軸としてY軸から50°回転した軸を法線とする面で切断したタンタル酸リチウム単結晶、またはセラミックスであって、X軸方向に弾性表面波が伝搬する単結晶またはセラミックス)からなる。なお、本実施の形態では、圧電基板50として50°YカットX伝搬LiTaO 単結晶を例示したが、圧電基板50を構成する単結晶材料はLiTaO に限定されないし、単結晶材料のカット角もこれに限定されない。
[0085]
 ここで、IDT電極の設計パラメータについて説明する。弾性表面波共振子の波長λとは、図4の中段に示すIDT電極21aおよび21bを構成する複数の電極指210aおよび210bのピッチの2倍で規定される。また、IDT電極の交叉幅Lは、図4の上段に示すように、IDT電極21aの電極指210aとIDT電極21bの電極指210bとのX軸方向から見た場合の重複する電極指長さである。また、対数は、電極指210aおよび210bの総数をMpとすると、(Mp-1)/2である。また、電極デューティ(デューティ比)とは、複数の電極指のライン幅占有率であり、当該複数の電極指のライン幅とスペース幅との加算値に対する当該ライン幅の割合である。波長λの1/2をPs1とし、電極指のライン幅をWs1とし、隣り合う電極指の間のスペース幅をSs1とした場合、電極デューティはWs1/(Ws1+Ss1)で定義される。すなわち、電極デューティは、電極指ピッチ(複数の電極指のピッチ)に対する複数の電極指の幅の比、つまりWs1/Ps1で定義される。バンドA1およびバンドA2における通過帯域の要求仕様に応じて、直列腕共振子s1、ならびに並列腕共振子p1およびp2の波長λ、交叉幅L、対数、および電極デューティが決定される。
[0086]
 なお、直列腕共振子s1、並列腕共振子p1およびp2は、弾性波フィルタ10Aの小型化の観点から、同じ圧電基板50上に形成されていることが好ましいが、それぞれ別の基板上に形成されていてもよい。
[0087]
 また、直列腕共振子s1、ならびに並列腕共振子p1およびp2は、弾性表面波共振子でなくてもよく、BAW(Bulk Acoustic Wave)を用いた共振子であってもよい。これにより、弾性波フィルタ10Aを、弾性波を用いた圧電素子により構成できるので、急峻度の高い通過特性を有する小型のフィルタ回路を実現できる。
[0088]
 [1.3 弾性波フィルタ装置の基本的な通過特性]
 ここで、図5を参照して、弾性波フィルタ10AのスイッチSW1非導通(以下、オフと記す)時およびスイッチSW1導通(以下、オンと記す)時の基本的なインピーダンス特性および通過特性について説明する。ここで、上述した基本的なインピーダンス特性および通過特性とは、スイッチSW1がオフ状態の場合には、スイッチSW1のインピーダンスが無限大であり、かつ、容量が0であると仮定した場合のインピーダンス特性および通過特性である。
[0089]
 スイッチSW1オフ時の場合には、並列腕共振子p2とスイッチSW1との直列回路のインピーダンスは無限大であるため、弾性波フィルタ10Aのインピーダンス特性は、直列腕共振子s1のインピーダンス特性(図5上段グラフの実線)と並列腕共振子p1のインピーダンス特性(図5上段グラフの細破線)とが合成されたインピーダンス特性となる。このため、スイッチSW1オフ時の場合の弾性波フィルタ10Aは、並列腕共振子p1の共振周波数frp1を低周波側の減衰極とし、直列腕共振子s1の反共振周波数fasを高周波側の減衰極とし、並列腕共振子p1の反共振周波数fap1と直列腕共振子s1の共振周波数frsとで通過帯域を構成するバンドパスフィルタ(図5下段グラフの破線)となる。
[0090]
 一方、スイッチSW1オン時の場合には、弾性波フィルタ10Aのインピーダンス特性は、直列腕共振子s1のインピーダンス特性(図5上段グラフの実線)と並列腕共振子p1およびp2が並列接続された並列共振回路のインピーダンス特性(図5上段グラフの太破線)とが合成されたインピーダンス特性となる。なお、並列共振回路のインピーダンス特性(図5上段グラフの太破線)は、並列腕共振子p1のインピーダンス特性(図5上段グラフの細破線)と並列腕共振子p2のインピーダンス特性(図5上段グラフの一点鎖線)との合成特性となる。このため、スイッチSW1オン時の場合の弾性波フィルタ10Aは、並列共振回路の共振周波数frp3(並列腕共振子p1の共振周波数frp1を反映)を低周波数側の減衰極とし、並列共振回路の共振周波数frp4(並列腕共振子p2の共振周波数frp2を反映)を高周波数側の減衰極とするバンドパスフィルタ(図5下段グラフの実線)となる。
[0091]
 ここで、スイッチSW1オン時には、並列腕共振子p1の共振周波数frp1よりも高周波側に、並列腕共振子p2の共振周波数frp2が存在する。このため、並列共振回路の反共振周波数fap3が並列腕共振子p1の反共振周波数fap1よりも低周波側へシフトするとともに、並列共振回路の反共振周波数fap4が並列腕共振子p2の反共振周波数fap2よりも低周波数側へシフトする。つまり、並列共振回路の反共振周波数fap3は並列腕共振子p1の反共振周波数fap1よりも低周波数側となり、かつ、並列共振回路の共振周波数frp4は直列腕共振子s1の反共振周波数fasよりも低周波数側となる。よって、スイッチSW1オン時には、スイッチSW1オフ時よりも通過帯域幅が低周波数側に狭くなると共に、減衰帯域も低周波数側にシフトする。
[0092]
 つまり、上記構成によれば、並列腕共振子p2の共振周波数frp2が、通過帯域内の中心周波数近傍の挿入損失に影響する直列腕共振子s1の共振周波数frsよりも高く、かつ、通過帯域外の高周波側の減衰極に対応する直列腕共振子s1の反共振周波数fasよりも低い。これにより、スイッチSW1オン時に、通過帯域内の低損失性を維持したまま、通過帯域外の高周波側の減衰極を低周波側へとシフトさせることが可能となる。よって、スイッチSW1オン時には、通過帯域の高域端を低周波側へシフトできるので、通過帯域の高周波端の急峻性を損なうことなく通過帯域幅を狭くすることが可能となる。
[0093]
 なお、本発明に係る弾性波フィルタは、並列腕共振子p2の共振周波数frp2が直列腕共振子s1の共振周波数frsよりも高く、かつ、直列腕共振子s1の反共振周波数fasよりも低いことに限定されない。つまり、並列腕共振子p2の共振周波数frp2は、直列腕共振子s1の反共振周波数fasより高くてもよい。この場合であっても、上述したように、並列腕共振子p2の共振周波数frp2が並列腕共振子p1の共振周波数frp1よりも高く設定されることにより、並列共振回路の通過帯域高域端でのインピーダンスが並列腕共振子p1の通過帯域高域端でのインピーダンスよりも低くなる。よって、スイッチSW1オン時の弾性波フィルタ10Aの帯域幅を、スイッチSW1オフ時の弾性波フィルタ10Aの帯域幅よりもが狭くすることが可能となる。
[0094]
 [1.4 従来との比較]
 ここで、本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Aと従来のフィルタ回路とを比較する。
[0095]
 図6は、比較例に係るフィルタ回路522Aの回路構成図である。同図に記載されたフィルタ回路522Aは、従来のフィルタ回路であり、バンドA1用の送信側フィルタ522A1と、バンドA2用の送信側フィルタ522A2と、SPDT型のスイッチ523および524とを備える。なお、フィルタ回路522Aの前段にはスイッチ23が接続され、および、後段にはスイッチ11Aが接続されている点については、本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Aと同様である。図6に示すように、比較例に係るフィルタ回路522Aでは、近接するバンドA1およびバンドA2の2つの周波数帯域を排他的に選択する回路は、2つの独立したフィルタおよび2つのSPDT型のスイッチを要する。1つのSPDT型のスイッチを構成するには、例えば4つのFETスイッチが必要となる。つまり、比較例に係るフィルタ回路522Aの回路構成では、2つの独立したフィルタおよび8つのFETスイッチが必要となる。このため、回路構成が煩雑となり、また、回路サイズが大型化してしまう。
[0096]
 これに対して、本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Aは、図3に示すように、直列腕回路12sと、並列腕共振子p1およびp2で構成される1つのフィルタ回路と1つのSPST型のスイッチSW1とで構成できる。よって、フィルタ回路を簡素化および小型化することが可能となる。
[0097]
 [1.5 弾性波フィルタ装置のオフ容量を考慮した回路構成]
 図7は、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aのスイッチオン時およびオフ時の回路状態を示す図である。スイッチSW1がオン状態の場合には、並列腕共振回路12pは、並列腕共振子p1およびp2の並列接続回路となり、弾性波フィルタ10Aの等価回路は、図7の左下側に示された回路となる。一方、スイッチSW1がオフ状態の場合には、スイッチSW1のインピーダンスは理想的には無限大となるが、実際には無限大とはならず、並列腕共振回路12pは、スイッチSW1のオフ時の容量成分であるオフ容量(C off)を有することとなる。このため、弾性波フィルタ10Aの等価回路は、図7の右下側に示された回路となる。
[0098]
 図8は、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aのオフ容量を変化させた場合の通過特性を比較したグラフである。また、図9は、実施の形態1に係る並列腕共振回路12pのオフ容量C offの容量値を変化させた場合のインピーダンス特性の比較を表すグラフである。また、図10は、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aのオフ容量C offの容量値を変化させた場合のインピーダンス特性および通過特性を表すグラフである。
[0099]
 図7~図10では、LTE規格のBand13およびBand14を切り換える弾性波フィルタ10Aを例示している。表1に、実施例1、2、および比較例1に係る弾性波フィルタの仕様および各パラメータを示す。
[0100]
[表1]


[0101]
 ここで、表1に示された弾性波共振子の静電容量は、以下の式1で示される。
[0102]
[数2]


[0103]
  なお、ε は真空中の誘電率、εrは圧電基板50の誘電率である。
[0104]
 図9の上段には、並列腕共振子p1単体のインピーダンス特性、並列腕共振子p2単体のインピーダンス特性、および、オフ容量C offを0.1~6.4pFで変化させた場合におけるスイッチSW1オフ時の周波数可変回路のインピーダンス特性が示されている。また、図9の下段には、スイッチSW1オン時の並列腕共振回路のインピーダンス特性、および、オフ容量C offを0.1~6.4pFで変化させた場合におけるスイッチSW1オフ時の並列腕共振回路のインピーダンス特性が示されている。
[0105]
 また、図10の上段には、図9の下段のグラフに加えて、直列腕共振子s1単体のインピーダンス特性が示されている。また、図10の下段には、スイッチSW1オン時の弾性波フィルタのフィルタ特性、および、オフ容量C offを0.1~6.4pFで変化させた場合におけるスイッチSW1オフ時の弾性波フィルタのフィルタ特性が示されている。
[0106]
 図10に示すように、並列腕共振回路の低周波数側の共振周波数frp3で通過帯域低周波数側の減衰極が規定される。また、直列腕共振子s1の共振周波数frs、および、並列腕共振回路の低周波数側の反共振周波数fap1で通過帯域が規定される。また、直列腕共振子s1の反共振周波数fasと、並列腕共振回路の高周波数側の共振周波数frp4とで、それぞれ、通過帯域高域側の2つの減衰極が規定される。
[0107]
 スイッチSW1のオフ時には、理想的には、スイッチSW1のインピーダンスは無限大であることが望ましいが、実際にはオフ容量C offが大きくなることで、上記インピーダンスは低下する。このため、図9に示すように、オフ容量C offの値により、スイッチSW1オフ時の周波数可変回路(並列腕共振子p2とオフ容量C offとの合成特性)の共振周波数(frp2)、および、スイッチSW1オフ時の並列腕共振回路の2つの共振周波数frp3およびfrp4のうち高周波数側の共振周波数frp4が変化し、通過帯域高周波数側の減衰極が変化する。
[0108]
 図9の上段グラフに示すように、オフ容量C offを大きくすることで、スイッチSW1オフ時の周波数可変回路(並列腕共振子p2とオフ容量C offとの合成特性)の共振周波数(frp2)は低周波数にシフトする。このため、図9の下段グラフおよび図10の上段グラフに示すように、オフ容量C offを大きくすることで、スイッチSW1オフ時の並列腕共振回路が有する2つの共振周波数frp3およびfrp4のうち、高周波数側の共振周波数frp4も低周波側にシフトするとともに、低周波数側の反共振周波数fap3も低周波数側にシフトする。なお、オフ容量C offの変化は、周波数可変回路(並列腕共振子p2とオフ容量C offとの合成特性)の反共振周波数(fap2)には影響しない。
[0109]
 つまり、図10の下段グラフに示すように、オフ容量C offが大きくなるにつれて、スイッチSW1オフ時の通過帯域高域側の減衰極(frp4)は低周波側にシフトしていく。このため、スイッチSW1オフ時の並列腕共振回路の共振周波数frp4と、スイッチSW1オン時の並列腕共振回路の共振周波数frp4との周波数差、つまり、スイッチSW1オフ時の通過帯域高域側の減衰極(frp4)と、スイッチSW1オン時の通過帯域高域側の減衰極(frp4)との周波数シフト量(共振周波数差)は、オフ容量C offが大きくなるにつれて小さくなっていく。さらに、オフ容量C offが大きくなるにつれて、低周波数側の反共振周波数fap3も低周波数側にシフトするため、スイッチオフ時の通過帯域高域側のカットオフ周波数が低周波数側にシフトし、スイッチオフ時の通過帯域幅が狭くなっていく。
[0110]
 図8の左側グラフには、実施例1に係る弾性波フィルタ10A(C off=0.4pF)、実施例2に係る弾性波フィルタ10A(C off=0.8pF)、および比較例1に係る弾性波フィルタ(C off=1.6pF)の通過特性および周波数シフト量が示されている。オフ容量C offの値が小さい実施例1および実施例2では、周波数シフト量(図8のf SW(C off=0.4pF)およびf SW(C off=0.8pF))を大きく確保できるのに対して、オフ容量C offの値が大きい比較例1では、スイッチSW1オフ時の周波数可変回路の共振周波数frp2が直列腕共振子s1の反共振周波数fasより大幅に下がるため、周波数シフト量(図8のf SW(C off=1.6pF))が小さくなっている。
[0111]
 また、オフ容量C offが並列腕共振子p2の静電容量(0.5pF)より大きくなる比較例1および実施例2では、図10上段グラフにも示されているように、スイッチSW1オフ時の並列腕共振回路の共振周波数frp4(通過帯域高域側の減衰極)は、直列腕共振子s1の反共振周波数fasで構成される減衰極より低くなる。さらに、スイッチSW1オフ時の通過帯域を構成するスイッチSW1オフ時の並列腕共振回路の共振周波数frp4が低周波数側に位置する。この場合、図8の右側グラフに示すように、上記周波数シフト量が小さくなるとともに、スイッチSW1オフ時の通過帯域幅が狭くなり、特に、通過帯域高周波端の挿入損失が劣化する。
[0112]
 ここで、本実施例に係る弾性波フィルタ10Aでは、上記周波数シフト量(共振周波数差)は、Band14送信帯域の低周波端周波数(788MHz)と、Band13送信帯域の低周波端周波数(777MHz)との周波数差Δf FIL(減衰帯域周波数差)以上となっている。この周波数関係について、図11A~図13Bを用いて詳細に説明する。
[0113]
 [1.6 弾性波フィルタ装置のオフ容量の最適化]
 以下、弾性波共振子およびスイッチ素子で構成された並列腕共振回路の共振特性について、等価回路モデルを用いて説明し、オフ容量C offの範囲について規定する。
[0114]
 図11Aは、本実施の形態に係る並列腕共振回路12pの等価回路を表す図である。同図の(a)に示された並列腕共振回路は、本実施の形態に係る並列腕共振回路12pと同じ回路構成を有している。つまり、図11Aに示された並列腕共振回路は、共振子reso1と、共振子reso2と、スイッチSWと、を備える。共振子reso1(並列腕共振子p1に対応)は、経路1上に配置され、共振子reso2(並列腕共振子p2に対応)およびスイッチSW(スイッチSW1に対応)は、経路2上に配置されている。共振子reso2およびスイッチSWは、周波数可変回路を構成し、当該周波数可変回路は、共振子reso1に並列接続される。共振子reso2は、共振子reso1の共振周波数よりも高い共振周波数および共振子reso1の反共振周波数よりも高い反共振周波数を有する。
[0115]
 スイッチSWオン時の経路2の等価回路は、図11Aの(b)に示されるように、インダクタンスL を有するインダクタ、静電容量C を有するキャパシタ、および静電容量C 02を有するキャパシタで構成される。ここで、インダクタンスL を有するインダクタおよび静電容量C を有するキャパシタは、共振子reso2の共振周波数を規定する仮想素子であり、静電容量C 02は、共振子reso2の静電容量である。
[0116]
 ここで、静電容量C 02は、以下の式2で示される。
[0117]
[数3]


[0118]
 なお、ε は真空中の誘電率、εrは共振子reso2を構成する圧電基板の誘電率である。
[0119]
 スイッチSWオフ時の経路2の等価回路は、図11Aの(c)に示されるように、インダクタンスL を有するインダクタ、静電容量C を有するキャパシタ、および静電容量C 02有するキャパシタ、ならびに、スイッチSWのオフ容量C offを有するキャパシタで構成される。
[0120]
 経路1の等価回路は、スイッチSWのオンおよびオフに拘わらず、図11Aの(d)に示されるように、インダクタンスL を有するインダクタ、静電容量C を有するキャパシタ、および静電容量C 01を有するキャパシタで構成される。ここで、インダクタンスL および静電容量C は、共振子reso1の共振周波数を規定する仮想素子の仮想インダクタンスおよび仮想容量であり、静電容量C 01は、共振子reso1の静電容量である。
[0121]
 ここで、静電容量C 01は、以下の式3で示される。
[0122]
[数4]


[0123]
 なお、ε は真空中の誘電率、εrは共振子reso1を構成する圧電基板の誘電率である。
[0124]
 図11Bは、並列腕共振回路のスイッチオン時の等価回路を表す図である。スイッチオン時の並列腕共振回路の等価回路は、図11Bの左側に示すように、図11Aの(b)および(d)を並列合成したものとなる。この等価回路は、図11Bの右側に示すように、インダクタンスL を有するインダクタおよび静電容量C を有するキャパシタの直列接続回路、インダクタンスL を有するインダクタおよび静電容量C を有するキャパシタの直列接続回路、ならびに、静電容量C (=C 01+C 02)有するキャパシタ、が並列接続された回路で表される。
[0125]
 図11Cは、並列腕共振回路のスイッチオフ時の等価回路を表す図である。スイッチオフ時の並列腕共振回路の等価回路は、図11Cに示すように、図11Aの(c)および(d)を並列合成したものとなる。
[0126]
 図12は、並列腕共振回路を構成する共振子および共振回路のインピーダンス特性を表すグラフである。
[0127]
 上記等価回路において、共振子reso1の共振周波数fr1(frp1)は、キャパシタ(C )とインダクタ(L )との直列回路で規定され、式4で示される。
[0128]
[数5]


[0129]
 また、共振子reso1の反共振周波数fa1(fap1)は、上記等価回路のアドミッタンスYが0となる周波数であることから、式5を解くことにより、式6で示される。
[0130]
[数6]


[0131]
[数7]


[0132]
 式4および式6より、図12の上段グラフの共振子reso1単体特性に示すように、反共振周波数fa1は、共振周波数fr1よりも高周波数側に出現する。
[0133]
 なお、静電容量C は、式6より式7で表され、インダクタンスL は、式4より式8で表される。
[0134]
[数8]


[0135]
[数9]


[0136]
 つまり、静電容量C は、共振子reso1の共振周波数fr1、反共振周波数fa1、および静電容量C 01から導出される。また、インダクタンスL は、共振子reso1の共振周波数fr1および静電容量C から導出される。
[0137]
 次に、スイッチSWオン時の経路2の共振特性は、共振子reso2の単体特性と同様となり、共振周波数fr2(frp2)および反共振周波数fa2(fap2)は、以下の式9および式10で表される。
[0138]
[数10]


[0139]
[数11]


[0140]
 式9および式10より、図12の上段グラフの共振子reso2単体特性に示すように、反共振周波数fa2は、共振周波数fr2よりも高周波数側に出現する。また、共振周波数fr2は共振周波数fr1よりも高く、反共振周波数fa2は反共振周波数fa1よりも高い。
[0141]
 なお、静電容量C は、式10より式11で表され、インダクタンスL は、式9より式12で表される。
[0142]
[数12]


[0143]
[数13]


[0144]
 つまり、静電容量C は、共振子reso2の共振周波数fr2、反共振周波数fa2、および静電容量C 02から導出される。また、インダクタンスL は、共振子reso2の共振周波数fr2および静電容量C から導出される。
[0145]
 次に、スイッチSWオフ時の経路2の共振周波数fr2_offは、図11Aの(c)の等価回路のインピーダンスZが0となるときの周波数であることから、式13を解くことにより、式14で示される。
[0146]
[数14]


[0147]
[数15]


[0148]
 また、スイッチSWオフ時の経路2の反共振周波数fa2_offは、図11Aの(c)における共振子reso2のアドミッタンスYが0となるときの周波数であることから、式15を解くことにより、式16で示される。
[0149]
[数16]


[0150]
[数17]


[0151]
 式14および式16より、図12の上段グラフの共振子reso2+C off特性に示すように、スイッチSWオフ時の共振周波数fr2_offは、スイッチSWオン時の共振周波数fr2よりも高周波数側に出現する。また、スイッチSWオフ時の反共振周波数fa2_offは、スイッチSWオン時の反共振周波数fa2と同じとなる。
[0152]
 次に、スイッチSWオン時の並列腕共振回路の2つの共振周波数frL_onおよびfrH_on、ならびに、2つの反共振周波数faL_onおよびfaH_onについて求める。
[0153]
 まず、共振周波数frL_onは、図11Bの等価回路において、キャパシタ(C )とインダクタ(L )との直列回路のインピーダンスZが0となる周波数であることから、式17で示される。
[0154]
[数18]


[0155]
 また、共振周波数frH_onは、図11Bの等価回路において、キャパシタ(C )とインダクタ(L )との直列回路のインピーダンスZが0となる周波数であることから、式18で示される。
[0156]
[数19]


[0157]
 また、反共振周波数faL_onおよびfaH_onは、図11Bの等価回路のアドミッタンスYが0となるときの周波数であることから、式19を解くことにより、式20で示される。
[0158]
[数20]


[0159]
[数21]


[0160]
 次に、スイッチSWオフ時の並列腕共振回路の2つの共振周波数frL_offおよびfrH_off、ならびに、2つの反共振周波数faL_offおよびfaH_offについて求める。
[0161]
 まず、共振周波数frL_offは、図11Cの等価回路において、キャパシタ(C )とインダクタ(L )との直列回路のインピーダンスZが0となる周波数であることから、式21で示される。
[0162]
[数22]


[0163]
 また、共振周波数frH_offは、図11Cの等価回路において、共振子reso2とキャパシタ(C off)との直列回路のインピーダンスZが0となる周波数であることから、式22を解くことにより、式23で示される。
[0164]
[数23]


[0165]
[数24]


[0166]
 また、反共振周波数faL_offおよびfaH_offは、図11Cの等価回路のアドミッタンスYが0となるときの周波数であることから、式24を解くことにより、式25で示される。
[0167]
[数25]


[0168]
[数26]


[0169]
 上記式20、式21、式23および式25より、図12の下段グラフの並列共振回路のインピーダンス特性に示すように、スイッチSWオン時の共振周波数frL_onおよびfrH_on、ならびに、スイッチSWオン時の反共振周波数faL_onおよびfaH_onが規定される。また、スイッチSWオフ時の共振周波数frL_off(=frL_on)およびfrH_off、ならびに、スイッチSWオフ時の反共振周波数faL_offおよびfaH_offが規定される。
[0170]
 ここで、上記並列腕共振回路が有する2つの共振周波数frLおよびfrHのうち、スイッチSWのオンおよびオフによりシフトするのは、高周波数側の共振周波数frHである。よって、上記並列腕共振回路のスイッチSWのオンおよびオフによる周波数シフト量ΔfrHは、以下の式26で表される。
[0171]
[数27]


[0172]
 本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Aでは、スイッチSWオフ時の通過特性(第2フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(高周波数側の共振周波数frH_off)と、スイッチSWオン時の通過特性(第1フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(高周波数側の共振周波数frH_on)との周波数差である周波数シフト量ΔfrH(共振周波数差)が、第2減衰帯域の低周波端周波数f R2Lと第1減衰帯域の低周波端周波数f R1Lとの周波数差Δf FIL(減衰帯域周波数差)以上である。つまり、以下の式27が成立する。
[0173]
[数28]


[0174]
 式26および式27より、オフ容量C offの範囲は、式28で規定される。
[0175]
[数29]


[0176]
 図13Aは、オフ容量C offの容量値を変化させた場合の、並列腕共振回路を構成する共振子および共振回路のインピーダンス特性を表すグラフである。また、図13Bは、並列腕共振回路のオフ容量値と共振周波数および反共振周波数のシフト量との関係を示すグラフである。
[0177]
 図13Aの上段グラフは、オフ容量C offの容量値を0.1~6.4pFで変化させた場合の、並列腕共振子p1および周波数可変回路のインピーダンス特性の変化を表している。また、図13Aの下段グラフは、オフ容量C offの容量値を0.1~6.4pFで変化させた場合の、並列腕共振回路のインピーダンス特性の変化を表している。
[0178]
 図13Bには、オフ容量C offの容量値と、スイッチSWのオンおよびオフによる低周波数側の共振周波数の周波数シフト量ΔfrL、高周波数側の共振周波数の周波数シフト量ΔfrH、低周波数側の反共振周波数の周波数シフト量ΔfaL、および高周波数側の反共振周波数の周波数シフト量ΔfaHとの関係を、上記式1~式28を用いて導出した結果が示されている。表2に、本導出の際に用いた各パラメータを示す。
[0179]
[表2]


[0180]
ここで、本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Aを、Band13およびBand14を切り換える受信用フィルタに適用した場合、表1より、周波数差Δf FILは、第2減衰帯域の低周波端周波数f R2L(788MHz)と第1減衰帯域の低周波端周波数f R1L(777MHz)との周波数差であり、11MHzとなる。式20の関係を図13Bのグラフに適用した場合、オフ容量C offの範囲は、1.16pF以下であることが算出される。
[0181]
 また、さらに、オフ容量C offは、並列腕共振子p2の静電容量C 02(0.5pF)よりも小さいことが好ましい。これにより、スイッチSWオフ時の並列腕共振回路の共振周波数frH_off(frp4)は、直列腕共振子s1の反共振周波数fasで構成される減衰極より低くならない。これにより、上記周波数シフト量ΔfrHを大きく確保できるとともに、スイッチSWオフ時の通過帯域幅を広く確保でき、特に、通過帯域高周波端の挿入損失の劣化を抑制できる。
[0182]
 [1.7 変形例に係る弾性波フィルタ装置の構成]
 図14は、実施の形態1の変形例に係る弾性波フィルタ10Bの回路構成図である。同図に示すように、変形例に係る弾性波フィルタ10Bは、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aと比較して、帯域幅調整用の並列腕共振子とスイッチ素子との直列接続で構成される周波数可変回路が、並列腕共振子p1に複数個並列接続されている点が回路構成として異なる。以下、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aと同じ点は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
[0183]
 図14に示すように、弾性波フィルタ10Bは、直列腕共振子s1と、並列腕共振子p1、p21、p22、p23およびp24と、スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4と、入出力端子110および120と、を備える。
[0184]
 並列腕共振子p1は、ノードx1とグランドとの間に接続された第1弾性波共振子であり、並列腕共振子p21~p24は、それぞれ、ノードx1とグランドとの間に接続された第2弾性波共振子である。
[0185]
 スイッチSW1~SW4は、それぞれ、ノードx1とグランドとの間に配置され、並列腕共振子p21~p24と直列接続されている。これにより、スイッチSW1および並列腕共振子p21は第1の周波数可変回路を構成し、スイッチSW2および並列腕共振子p22は第2の周波数可変回路を構成し、スイッチSW3および並列腕共振子p23は第3の周波数可変回路を構成し、スイッチSW4および並列腕共振子p24は第4の周波数可変回路を構成する。つまり、ノードx1とグランドとの間に、複数の周波数可変回路が並列接続されている。
[0186]
 なお、弾性波フィルタ10Bにおいて、並列腕共振子p21とスイッチSW1との接続順序、並列腕共振子p22とスイッチSW2との接続順序、並列腕共振子p23とスイッチSW3との接続順序、および並列腕共振子p24とスイッチSW4との接続順序はいずれでもよい。ただし、図14に示すように、並列腕共振子p21、p22、p23およびp24が、それぞれ、スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4よりもノードx1側に配置されているほうが望ましい。スイッチSW1~SW4がノードx1側に配置されると、スイッチオン時におけるスイッチSW1~SW4の抵抗成分により、弾性波フィルタ10Bのロスが増大してしまうからである。
[0187]
 なお、並列腕共振子p21~p24の共振周波数は、それぞれ異なっていてもよい。これにより、直列腕共振子s1と並列腕共振子p1とで規定される通過帯域特性において、導通させるスイッチSW1~SW4を任意に選択することにより、細かな帯域幅の調整をすることが可能となる。
[0188]
 さらに、弾性波フィルタ10Bでは、スイッチSW1~SW4のオンおよびオフにより選択される所定の2つのフィルタ特性において、上記式27の関係を満たしている。これにより、スイッチSW1~SW4の導通および非導通の切り替えにより減衰帯域の周波数シフト量を十分確保することが可能となる。
[0189]
 なお、並列腕共振子p21~p24の共振周波数は、全て同じでもよい。この場合には、スイッチオン時の抵抗を低減できるため、通過帯域内のロスを低減できる。
[0190]
 (実施の形態2)
 実施の形態1では、1つの直列腕共振子s1および1つの並列腕共振子p1に対して、通過特性を可変するための並列腕共振子p2およびスイッチSW1を付加した構成について説明した。これに対して、実施の形態2では、1つの直列腕回路と1つの並列腕回路との組み合わせを1段のフィルタ構造と定義した場合、当該フィルタ構造を複数段有する弾性波フィルタについて説明する。
[0191]
 [2.1 弾性波フィルタ装置の構成]
 図15は、実施の形態2に係る弾性波フィルタ10Cの回路構成図である。以下、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aと同じ点は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
[0192]
 図15に示すように、弾性波フィルタ10Cは、直列腕共振子s1、s2、s3、s4およびs5と、並列腕回路13p1、13p2、13p3、13p4、13p5、および13p6と、入出力端子110および120と、を備える。
[0193]
 直列腕共振子s1~s5は、それぞれ、直列腕回路を構成し、入出力端子110と120との間の経路上に配置されている。
[0194]
 並列腕回路13p1は、入出力端子110および120の間の経路上のノードx1とグランドとの間に接続され、並列腕共振子p1aを備える。並列腕回路13p2は、入出力端子110および120の間の経路上のノードx2とグランドとの間に接続され、並列腕共振子p2aを備える。並列腕回路13p6は、入出力端子110および120の間の経路上のノードx6とグランドとの間に接続され、並列腕共振子p6aを備える。
[0195]
 並列腕回路13p3は、入出力端子110および120の間の経路上のノードx3とグランドとの間に接続され、並列腕共振子(第1弾性波共振子)p3aと、周波数可変回路73pと、を備えた並列腕共振回路である。周波数可変回路73pは、並列腕共振子(第2弾性波共振子)p3bとスイッチSW3とが直列接続された回路である。並列腕回路13p4は、入出力端子110および120の間の経路上のノードx4とグランドとの間に接続され、並列腕共振子(第1弾性波共振子)p4aと、周波数可変回路74pと、を備えた並列腕共振回路である。周波数可変回路74pは、並列腕共振子(第2弾性波共振子)p4bとスイッチSW4とが直列接続された回路である。並列腕回路13p5は、入出力端子110および120の間の経路上のノードx5とグランドとの間に接続され、並列腕共振子(第1弾性波共振子)p5aと、周波数可変回路75pと、を備えた並列腕共振回路である。周波数可変回路75pは、並列腕共振子(第2弾性波共振子)p5bとスイッチSW5とが直列接続された回路である。
[0196]
 上記構成により、弾性波フィルタ10Cは、周波数可変型のラダーフィルタ回路を構成している。本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Cは、複数の並列腕回路13p1~13p6のうち、3つの並列腕回路13p3~13p5が、周波数可変回路を有している。
[0197]
 ここで、弾性波フィルタ10Cでは、スイッチSW3~SW5のオンおよびオフの切り替えにより選択される2つのフィルタ特性において、上記式27の関係を満たしている。これにより、スイッチSW3~SW5の導通および非導通の切り替えにより減衰帯域の周波数シフト量を十分確保することが可能となる。
[0198]
 図16は、実施の形態2に係る弾性波フィルタ10Cの通過特性を表すグラフである。本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Cは、例えば、Band38(2570-2620MHz)を第1通過帯域とし、2645-2670MHzを第1減衰帯域とし、ISM2.4(2400-2480MHz)をその他の減衰帯域とする第1フィルタ特性と、Band41(2496-2690MHz)を第2通過帯域とし、2730-2950MHzを第2減衰帯域とし、ISM2.4(2400-2480MHz)をその他の減衰帯域とする第2フィルタ特性とを有する。スイッチSW3~SW5を同時にオンおよびオフを切り替えることにより、上記第1フィルタ特性と上記第2フィルタ特性とが切り替えられる。
[0199]
 本実施の形態において、スイッチSW3~SW5オフ時の通過特性(第2フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(共振周波数frH_off)と、スイッチSW3~SW5オン時の通過特性(第1フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(共振周波数frH_on)との共振周波数差である周波数シフト量ΔfrHが、第2減衰帯域の低周波端周波数(2730MHz)と第1減衰帯域の低周波端周波数(2645MHz)との周波数差Δf FIL(減衰帯域周波数差:85MHz)以上となっている。つまり、式27が成立している。この式27および式28を満たすオフ容量C offとして、本実施の形態では、C off=0.20pFとしている。表3に、各共振子の共振周波数fr、反共振周波数fa、および静電容量を示す。なお、表3中の静電容量は、各共振子の共振周波数を規定する仮想容量ではなく、各共振子の静電容量を示している。例えば、並列腕共振子p1a、p2a、p3a、p4a、p5a、およびp6a、ならびに直列腕共振子s1、s2、s3、s4、およびs5の場合には、静電容量C 01を示し、並列腕共振子p3b、p4b、およびp5bの場合には、静電容量C 02を示している。
[0200]
[表3]


[0201]
 図17は、実施の形態2に係る弾性波フィルタ10Cの通過特性および並列腕回路を構成する共振子および共振回路のインピーダンス特性を表すグラフである。同図左上には、スイッチSW3~SW5オン時およびオフ時の切り替えによる弾性波フィルタ10Cの通過特性が示されている。また、同図左下には、スイッチSW3オン時およびオフ時の切り替えによる並列腕回路13p3のインピーダンス特性が示されている。また、同図右上には、スイッチSW4オン時およびオフ時の切り替えによる並列腕回路13p4のインピーダンス特性が示されている。また、同図右下には、スイッチSW5オン時およびオフ時の切り替えによる並列腕回路13p5のインピーダンス特性が示されている。
[0202]
 図18は、実施の形態2に係る弾性波フィルタのオフ容量C offを変化させた場合の通過特性を比較したグラフである。また、表4に、並列腕回路13p3、13p4、および13p5の共振パラメータを示す。なお、図18では、通過特性の差異を明確に示すため、オフ容量C offが0.05pF~0.35pFの場合に絞って通過特性を示しているが、実際には、表4に示すように、オフ容量C offは0.05pF~0.55pFの範囲で変化させて通過特性を取得した。
[0203]
[表4]


[0204]
 図18に示すように、オフ容量C offが小さいほど第2減衰帯域での減衰量を大きくでき、また、オフ容量C offが小さいほど第2通過帯域高周波端における挿入損失を小さくでき通過帯域幅を確保できる。なお、本実施の形態において、式28により算出されるオフ容量C off(の最大値)は0.35pFである。
[0205]
 図19は、実施の形態2に係る弾性波フィルタ10Cのオフ容量C offと挿入損失との関係を示すグラフである。同図に示すように、オフ容量C offが大きくなるほど第2通過帯域の挿入損失は増加する。ここで、式28により算出されるオフ容量C offは、0.35pFであり、オフ容量C offが0.35pF以下であれば、挿入損失を4.5dB以下にすることが可能である。さらに、オフ容量C offを、並列腕共振子p3b、p4b、およびp5bの静電容量(=0.25pF)よりも小さくすることで、挿入損失を2.0dB程度に改善することが可能である。
[0206]
 なお、本実施の形態では、スイッチSW3~SW5を一斉にオンまたは一斉にオフする2態様での切り替えを説明したが、スイッチSW3~SW5は、個別にオンおよびオフを切り替えてもよい。これにより、より細かな通過帯域幅および減衰極の周波数の調整をすることが可能となる。
[0207]
 また、本実施の形態において、弾性波フィルタ10Cの並列腕共振回路の個数は6個に限定されず、また、直列腕回路の個数は5個に限定されない。また、直列腕共振子s1~s5で構成された各直列腕回路、ならびに、並列腕回路13p1、13p2および13p6は、弾性波共振子で構成されていなくてもよく、LC共振回路、または、インダクタンスLおよびキャパシタンスC等で構成されたインピーダンス回路であってもよい。
[0208]
 (実施の形態3)
 実施の形態1および2に係る弾性波フィルタは、ラダー型のフィルタ構造を有するものであるのに対して、本実施の形態では縦結合型のフィルタ構造を有する弾性波フィルタについて説明する。
[0209]
 図20は、実施の形態3に係る弾性波フィルタ10Dの回路構成図である。本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Dは、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aと比較して、縦結合型のフィルタ構造が付加されている点が回路構成として異なる。以下、実施の形態1に係る弾性波フィルタ10Aと同じ点は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
[0210]
 図20に示すように、弾性波フィルタ10Dは、直列腕共振子s1、s2およびs3と、並列腕共振子p11、p1およびp2と、スイッチSW1と、縦結合共振器250と、を備える。
[0211]
 弾性波フィルタ10Dは、直列腕共振子s1~s3と、並列腕共振子p11およびp1とで、ラダー型のフィルタ回路を構成している。さらに、弾性波フィルタ10Dには、このラダー型のフィルタ回路に縦結合共振器250が付加されている。縦結合共振器250は、3つのIDTとその両端に配置された反射器とで構成されている。縦結合共振器250が付加されることにより、広帯域化および減衰強化など要求されるフィルタ特性に適応することが可能となる。
[0212]
 直列腕共振子s1~s3は、それぞれ、直列腕回路を構成し、入出力端子の間の経路上に配置されている。並列腕共振子p1は、入出力端子間の経路上のノードx1とグランドとの間に接続された第1弾性波共振子である。並列腕共振子p2とスイッチSW1とは、直列接続され、周波数可変回路を構成している。周波数可変回路は、並列腕共振子p1に並列接続されている。並列腕共振子p1およびp2ならびにスイッチSW1は、並列腕共振回路を構成する。周波数可変回路は、並列腕共振回路の共振周波数および反共振周波数を可変する機能を有する。並列腕共振子p2は、並列腕共振子p1の共振周波数よりも高い共振周波数および並列腕共振子p1の反共振周波数よりも高い反共振周波数を有する第2弾性波共振子である。スイッチSW1は、ノードx1、並列腕共振子p2、およびグランドを結ぶ経路の導通および非導通を切り替えるスイッチ素子である。
[0213]
 上記並列腕共振回路、直列腕共振子s1~s3、および並列腕共振子p11は、周波数可変型のラダー型フィルタ部を構成している。
[0214]
 ここで、本実施の形態に係る弾性波フィルタ10Dでは、スイッチSW1オフ時の通過特性(第2フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(共振周波数frH_off)と、スイッチSW1オン時の通過特性(第1フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(共振周波数frH_on)との共振周波数差である周波数シフト量ΔfrHが、スイッチSW1オフ時の第2減衰帯域の低周波端周波数f R2LとスイッチSW1オン時の第1減衰帯域の低周波端周波数f R1Lとの周波数差Δf FIL(減衰帯域周波数差)以上である。つまり、上記式27が成立している。これにより、スイッチSW1の導通および非導通の切り替えにより減衰帯域の周波数シフト量を十分確保することが可能となる。
[0215]
 (実施の形態4)
 本実施の形態では、実施の形態1~3に係る弾性波フィルタを、送信側フィルタおよび受信側フィルタに適用したデュプレクサについて説明する。
[0216]
 図21は、実施の形態4に係るデュプレクサ10Eの回路構成図である。同図に示されたデュプレクサ10Eは、送信側フィルタTxと受信側フィルタRxとを備える。送信側フィルタTxは、入力端子220tおよび共通端子220cに接続され、受信側フィルタRxは、共通端子220cおよび出力端子220rに接続されている。
[0217]
 送信側フィルタTxは、直列腕共振子221s~224sと、並列腕共振子221p1と、並列腕共振子(第1弾性波共振子)222p1~224p1とを備えたラダー型のフィルタ回路である。送信側フィルタTxは、4段のフィルタ構造を有している。送信側フィルタTxは、さらに、通過特性を可変させるための並列腕共振子(第2弾性波共振子)222p2~224p2と、スイッチ(スイッチ素子)222SW~224SWと、を備える。複数段のフィルタ構造のうち3段のフィルタ構造が、第2弾性波共振子とスイッチ素子との直列接続で構成された周波数可変回路を有している。
[0218]
 ここで、並列腕共振子222p2の共振周波数は、並列腕共振子222p1の共振周波数よりも高く、並列腕共振子223p2の共振周波数は、並列腕共振子223p1の共振周波数よりも高く、並列腕共振子224p2の共振周波数は、並列腕共振子224p1の共振周波数よりも高い。
[0219]
 また、スイッチ222SW、223SW、および224SWがオフ時の通過特性(第2フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(共振周波数frH_off)と、スイッチ222SW、223SW、および224SWがオン時の通過特性(第1フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(共振周波数frH_on)との共振周波数差である周波数シフト量ΔfrHが、スイッチ222SW、223SW、および224SWがオフ時の第2減衰帯域の低周波端周波数f R2Lとスイッチ222SW、223SW、および224SWがオン時の第1減衰帯域の低周波端周波数f R1Lとの周波数差Δf FIL(減衰帯域周波数差)以上である。つまり、上記式27が成立している。これにより、スイッチ222SW、223SW、および224SWの導通および非導通の切り替えにより減衰帯域の周波数シフト量を十分確保することが可能となる。
[0220]
 受信側フィルタRxは、直列腕共振子261s~264sと、並列腕共振子261p1と、並列腕共振子(第1弾性波共振子)262p1~264p1とを備えたラダー型のフィルタ回路である。受信側フィルタRxは、4段のフィルタ構造を有している。受信側フィルタRxは、さらに、通過特性を可変させるための並列腕共振子(第2弾性波共振子)262p2~264p2と、スイッチ(スイッチ素子)262SW~264SWとを備える。複数段のフィルタ構造のうち3段のフィルタ構造が、第2の並列腕共振子とスイッチ素子とを有している。
[0221]
 ここで、並列腕共振子262p2の共振周波数は、並列腕共振子262p1の共振周波数よりも高く、並列腕共振子263p2の共振周波数は、並列腕共振子263p1の共振周波数よりも高く、並列腕共振子264p2の共振周波数は、並列腕共振子264p1の共振周波数よりも高い。
[0222]
 また、スイッチ262SW、263SW、および264SWがオフ時の通過特性(第2フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(共振周波数frH_off)と、スイッチ262SW、263SW、および264SWがオン時の通過特性(第1フィルタ特性)における通過帯域高周波数側の減衰極の周波数(共振周波数frH_on)との共振周波数差である周波数シフト量ΔfrHが、スイッチ262SW、263SW、および264SWがオフ時の第2減衰帯域の低周波端周波数f R2Lとスイッチ262SW、263SW、および264SWがオン時の第1減衰帯域の低周波端周波数f R1Lとの周波数差Δf FIL(減衰帯域周波数差)以上である。つまり、上記式27が成立している。これにより、スイッチ262SW、263SW、および264SWの導通および非導通の切り替えにより減衰帯域の周波数シフト量を十分確保することが可能となる。
[0223]
 上記構成によれば、互いに近接する2つの帯域を排他的に選択するシステムに適用されるチューナブルなデュプレクサにおいて、スイッチ222SW~224SW、およびスイッチ262SW~264SWの切り替えにより、デュプレクサ10Eの送信通過帯域および受信通過帯域を調整することが可能となる。また、デュプレクサ10Eを簡素化および小型化することが可能となる。
[0224]
 なお、本発明に係るデュプレクサは、上記構成に限定されず、実施の形態1~3に係る弾性波フィルタのいずれかを送信側フィルタおよび受信側フィルタに適用することができる。
[0225]
 また、本発明に係るデュプレクサは、送信側フィルタおよび受信側フィルタのうち、いずれか一方のみに、実施の形態1~3の弾性波フィルタが適用されていてもよい。
[0226]
 (実施の形態5)
 以上の実施の形態1~4で説明した弾性波フィルタおよびデュプレクサは、使用バンド数が多いシステムに対応する高周波フロントエンド回路に適用することもできる。そこで、本実施の形態では、このような高周波フロントエンド回路および通信装置について説明する。
[0227]
 図22は、実施の形態5に係る通信装置300の構成図である。
[0228]
 同図に示すように、通信装置300は、複数のスイッチにより構成されるスイッチ群310と、複数のフィルタにより構成されるフィルタ群320と、送信側スイッチ331、受信側スイッチ332、333および334、ならびに、スイッチ335および336と、送信増幅回路341、342および343、ならびに受信増幅回路351、352、353および354と、RF信号処理回路(RFIC)と、ベースバンド信号処理回路(BBIC)と、アンテナ素子(ANT)と、を備える。なお、アンテナ素子(ANT)は、通信装置300に内蔵されていなくてもよい。
[0229]
 スイッチ群310は、制御部(図示せず)からの制御信号にしたがって、アンテナ素子(ANT)と所定のバンドに対応する信号経路とを接続し、例えば、複数のSPST型のスイッチによって構成される。なお、アンテナ素子(ANT)と接続される信号経路は1つに限らず、複数であってもかまわない。つまり、通信装置300は、キャリアアグリゲーションに対応してもかまわない。
[0230]
 フィルタ群320は、例えば次の帯域を通過帯域に有する複数のフィルタ(デュプレクサを含む)によって構成される。具体的には、当該帯域は、(i)Band3、4および66の送信帯域、(ii)Band3の受信帯域/Band3および39の受信帯域(Band3の受信帯域とBand3および39の受信帯域とが可変)、(iii-Tx)Band25の送信帯域、(iii-Rx)Band25の受信帯域、(iv)Band1の送信帯域/Band65の送信帯域(Band1の送信帯域とBand65の送信帯域とが可変)、(v)Band1、4、65および66の受信帯域、(vi-Tx)Band30の送信帯域、(vi-Rx)Band30の受信帯域、(vii-Tx)Band7の送信帯域、(vii-Rx)Band7の受信帯域/Band7および38の受信帯域(Band7の受信帯域とBand7および38の受信帯域とが可変)、(viii)Band39の送受信帯域、(ix)Band40の送受信帯域、ならびに、(x)Band41の送受信帯域/Band38の送受信帯域(Band41の送受信帯域とBand38の送受信帯域とが可変)、である。
[0231]
 送信側スイッチ331は、複数の送信側信号経路に接続された複数の選択端子と送信増幅回路341に接続された共通端子とを有するスイッチ回路である。送信側スイッチ331は、フィルタ群320の前段(ここでは送信側信号経路における前段)に設けられ、制御部(図示せず)からの制御信号にしたがって接続状態が切り換えられるスイッチ回路である。これにより、送信増幅回路341で増幅された高周波信号(ここでは高周波送信信号)は、フィルタ群320の所定のフィルタを介してアンテナ素子(ANT)に出力される。
[0232]
 受信側スイッチ332は、複数の受信側信号経路に接続された複数の選択端子と受信増幅回路351に接続された共通端子とを有するスイッチ回路である。受信側スイッチ333は、複数の受信側信号経路に接続された複数の選択端子と受信増幅回路352に接続された共通端子とを有するスイッチ回路である。受信側スイッチ334は、複数の受信側信号経路に接続された複数の選択端子と受信増幅回路353に接続された共通端子とを有するスイッチ回路である。これら受信側スイッチ332~334は、フィルタ群320の後段(ここでは受信側信号経路における後段)に設けられ、制御部(図示せず)からの制御信号にしたがって接続状態が切り換えられる。これにより、アンテナ素子(ANT)に入力された高周波信号(ここでは高周波受信信号)は、フィルタ群320の所定のフィルタを介して、受信増幅回路351、352および353で増幅されて、RF信号処理回路(RFIC)に出力される。
[0233]
 スイッチ335は、所定のバンド(ここではBand39)の信号経路に接続された共通端子と、受信側スイッチ334の選択端子および送信増幅回路342の出力端子に接続された2つの選択端子とを有するスイッチ回路である。スイッチ336は、Band40の信号経路およびBand41/38の信号経路に接続された2つの選択端子と、送信増幅回路343の出力端子および受信増幅回路354の入力端子に接続された2つの選択端子とを有するスイッチ回路である。
[0234]
 送信増幅回路341、342および343は、高周波送信信号を電力増幅するパワーアンプである。
[0235]
 受信増幅回路351、352、353および354は、高周波受信信号を電力増幅するローノイズアンプである。
[0236]
 RF信号処理回路(RFIC)は、アンテナ素子(ANT)で送受信される高周波信号を処理する回路である。具体的には、RF信号処理回路(RFIC)は、アンテナ素子(ANT)から受信側信号経路を介して入力された高周波信号(ここでは高周波受信信号)を、ダウンコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をベースバンド信号処理回路(BBIC)へ出力する。また、RF信号処理回路(RFIC)は、ベースバンド信号処理回路(BBIC)から入力された送信信号をアップコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された高周波信号(ここでは高周波送信信号)を送信側信号経路に出力する。
[0237]
 このように構成された通信装置300は、例えば、(x)Band41の送受信帯域/Band38の送受信帯域を通過帯域に有するフィルタとして、実施の形態1~3のいずれかに係る弾性波フィルタを備える。つまり、当該フィルタは、制御信号にしたがって、通過帯域を切り換える。
[0238]
 なお、通信装置300のうち、スイッチ群310と、フィルタ群320と、送信側スイッチ331、受信側スイッチ332、333および334、ならびにスイッチ335および336と、送信増幅回路341、342および343、ならびに受信増幅回路351、352、353および354と、上記制御部とは、高周波フロントエンド回路を構成する。
[0239]
 ここで、上記制御部は、図22には図示していないが、RF信号処理回路(RFIC)が有していてもよいし、制御部が制御する各スイッチとともにスイッチICを構成していてもよい。
[0240]
 以上のように構成された高周波フロントエンド回路及び通信装置300によれば、上記実施の形態1~3のいずれかに係る弾性波フィルタまたは実施の形態4に係るデュプレクサを備えることにより、スイッチ素子の導通および非導通の切り替えにより減衰帯域の周波数シフト量を十分確保しつつ2つの周波数帯域の信号経路を切り替えることが可能となる。
[0241]
 また、本実施の形態に係る高周波フロントエンド回路によれば、フィルタ群320(複数の高周波フィルタ)の前段または後段に設けられた送信側スイッチ331、受信側スイッチ332、333および334、ならびにスイッチ335および336(スイッチ回路)を備える。これにより、高周波信号が伝達される信号経路の一部を共通化することができる。よって、例えば、複数の高周波フィルタに対応する送信増幅回路341~343あるいは受信増幅回路351~354(増幅回路)を共通化することができる。したがって、高周波フロントエンド回路の小型化及び低コスト化が可能となる。
[0242]
 なお、送信側スイッチ331、受信側スイッチ332、333および334、ならびにスイッチ335および336は、少なくとも1つが設けられていればよい。また、送信側スイッチおよび受信側スイッチの個数は、上記説明した個数に限らず、例えば、1つの送信側スイッチと1つの受信側スイッチとが設けられていてもかまわない。また、送信側スイッチおよび受信側スイッチの選択端子等の個数も、本実施の形態に限らず、それぞれ2つであってもかまわない。
[0243]
 (その他の実施の形態など)
 以上、本発明の実施の形態に係る弾性波フィルタ装置、デュプレクサ、高周波フロントエンド回路、および通信装置について、実施の形態1~5および変形例を挙げて説明したが、本発明の弾性波フィルタ装置、デュプレクサ、高周波フロントエンド回路、および通信装置は、上記実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本開示の弾性波フィルタ装置、デュプレクサ、高周波フロントエンド回路、および通信装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
[0244]
 例えば、実施の形態1の変形例に係る弾性波フィルタ10Bと、複数のスイッチSW1~SW4の導通および非導通を制御する制御部とを備え、当該制御部が複数のスイッチSW1~SW4の導通および非導通を個別に制御するRFフロントエンド回路も、本発明に含まれる。これにより、直列腕共振子s1と並列腕共振子p1とのラダー型フィルタ構造で規定される通過特性において、上記複数のスイッチ素子を個別に選択することにより、3以上の周波数帯域(バンド)に対応した通過特性を適宜選択することが可能となる。
[0245]
 あるいは、高周波送信信号を増幅するパワーアンプ24と、パワーアンプ24で増幅された高周波送信信号を通過させる、実施の形態1~3およびその変形例のいずれかに係る弾性波フィルタと、単数または複数のスイッチ素子の導通および非導通を制御する制御部とを備えるRFフロントエンド回路も、本発明に含まれる。これにより、パワーアンプ24を有する送信系のフロントエンド回路を簡素化および小型化することが可能となる。
[0246]
 あるいは、単数または複数のスイッチ素子の導通および非導通を制御する制御部と、アンテナ素子で受信した高周波受信信号を通過させる、実施の形態1~3およびその変形例のいずれかに係る弾性波フィルタを受信側フィルタ回路として適用した高周波フィルタ回路と、当該高周波フィルタ回路から出力された高周波受信信号を増幅するローノイズアンプとを備えるRFフロントエンド回路も、本発明に含まれる。これにより、ローノイズアンプを有する受信系のフロントエンド回路を簡素化および小型化することが可能となる。
[0247]
 さらには、ベースバンド信号または高周波信号を処理するRFIC3と上記RFフロントエンド回路とを備える通信装置も、本発明に含まれる。これにより、通信装置を簡素化および小型化することが可能となる。なお、上記RFフロントエンド回路が備える制御部は、RFIC3であってもよい。
[0248]
 なお、上記実施の形態1~3およびその変形例に係る弾性波フィルタは、互いに近接する周波数帯域を排他的に切り替えるシステムに適用されるものとして説明したが、1つの周波数帯域内に割り当てられた、互いに近接する複数のチャネルを排他的に切り替えるシステムにも適用することが可能である。
[0249]
 また、上記実施の形態1~4およびその変形例に係る弾性波フィルタおよびデュプレクサにおいて、弾性表面波フィルタを構成する圧電基板50は、高音速支持基板と、低音速膜と、圧電膜とがこの順で積層された積層構造であってもよい。圧電膜は、例えば、50°YカットX伝搬LiTaO 圧電単結晶または圧電セラミックス(X軸を中心軸としてY軸から50°回転した軸を法線とする面で切断したタンタル酸リチウム単結晶、またはセラミックスであって、X軸方向に弾性表面波が伝搬する単結晶またはセラミックス)からなる。圧電膜は、例えば、厚みが600nmである。高音速支持基板は、低音速膜、圧電膜ならびにIDT電極54を支持する基板である。高音速支持基板は、さらに、圧電膜を伝搬する表面波や境界波の弾性波よりも、高音速支持基板中のバルク波の音速が高速となる基板であり、弾性表面波を圧電膜および低音速膜が積層されている部分に閉じ込め、高音速支持基板より下方に漏れないように機能する。高音速支持基板は、例えば、シリコン基板であり、厚みは、例えば200μmである。低音速膜は、圧電膜を伝搬するバルク波よりも、低音速膜中のバルク波の音速が低速となる膜であり、圧電膜と高音速支持基板との間に配置される。この構造と、弾性波が本質的に低音速な媒質にエネルギーが集中するという性質とにより、弾性表面波エネルギーのIDT電極外への漏れが抑制される。低音速膜は、例えば、二酸化ケイ素を主成分とする膜であり、厚みは、例えば670nmである。この積層構造によれば、圧電基板50を単層で使用している構造と比較して、共振周波数および反共振周波数におけるQ値を大幅に高めることが可能となる。すなわち、Q値が高い弾性表面波共振子を構成し得るので、当該弾性表面波共振子を用いて、挿入損失が小さいフィルタを構成することが可能となる。
[0250]
 なお、高音速支持基板は、支持基板と、圧電膜を伝搬する表面波や境界波の弾性波よりも、伝搬するバルク波の音速が高速となる高音速膜とが積層された構造を有していてもよい。この場合、支持基板は、サファイア、リチウムタンタレート、リチュウムニオベイト、水晶等の圧電体、アルミナ、マグネシア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等の各種セラミック、ガラス等の誘電体またはシリコン、窒化ガリウム等の半導体及び樹脂基板等を用いることができる。また、高音速膜は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、DLC膜またはダイヤモンド、上記材料を主成分とする媒質、上記材料の混合物を主成分とする媒質等、様々な高音速材料を用いることができる。
[0251]
 また、上記実施の形態1~4およびその変形例に係る弾性波フィルタおよびデュプレクサにおいて、さらに、入出力端子および共通端子の間に、インダクタンス素子やキャパシタンス素子が接続されていてもよい。
[0252]
 また、上記実施の形態1~4およびその変形例に係る弾性波フィルタおよびデュプレクサにおいて、便宜上1つの共振子で説明したが、直列分割した複数の共振子から構成されていても良い。

産業上の利用可能性

[0253]
 本発明は、互いに近接するバンドを排他的に使用するマルチバンドおよびマルチモードシステムに適用できる小型のフィルタ、デュプレクサ、フロントエンド回路および通信装置として、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。

符号の説明

[0254]
 1  アンテナ素子
 2  RFフロントエンド回路
 3  RF信号処理回路(RFIC)
 10A、10B、10C、10D  弾性波フィルタ
 10A1、10A2  通過特性
 10E  デュプレクサ
 11A、11B、11C、23、222SW、223SW、224SW、262SW、263SW、264SW、335、336、523、524、SW1、SW2、SW3、SW4、SW5  スイッチ
 12p  並列腕共振回路
 12s  直列腕回路
 13p1、13p2、13p3、13p4、13p5、13p6  並列腕回路
 20B、20C  フィルタ
 21a、21b、54  IDT電極
 24  パワーアンプ
 50  圧電基板
 55  保護層
 72p、73p、74p、75p  周波数可変回路
 110、120  入出力端子
 210a、210b  電極指
 211a、211b  バスバー電極
 220c  共通端子
 220r  出力端子
 220t  入力端子
 221p1、222p1、222p2、223p1、223p2、224p1、224p2、261p1、262p1、262p2、263p1、263p2、264p1、264p2、p1、p11、p1a、p2、p21、p22、p23、p24、p2a、p3a、p3b、p4a、p4b、p5a、p5b、p6a  並列腕共振子
 221s、222s、223s、224s、261s、262s、263s、264s、s1、s2、s3、s4、s5  直列腕共振子
 250  縦結合共振器
 300  通信装置
 310  スイッチ群
 320  フィルタ群
 331  送信側スイッチ
 332、333、334  受信側スイッチ
 341、342、343  送信増幅回路
 351、352、353、354  受信増幅回路
 522A  フィルタ回路
 522A1、522A2  送信側フィルタ
 541  密着層
 542  主電極層

請求の範囲

[請求項1]
 第1通過帯域の高周波信号を通過させ、当該第1通過帯域より高周波数側に割り当てられた第1減衰帯域の高周波信号を減衰させる第1フィルタ特性と、前記第1通過帯域より高周波数側に割り当てられた第2通過帯域の高周波信号を通過させ、当該第2通過帯域より高周波数側に割り当てられた第2減衰帯域の高周波信号を減衰させる第2フィルタ特性と、を可変する弾性波フィルタ装置であって、
 第1入出力端子と第2入出力端子との間に接続された直列腕回路と、
 前記第1入出力端子と前記第2入出力端子とを結ぶ経路上のノードおよびグランドに接続された並列腕共振回路と、を備え、
 前記並列腕共振回路は、
  第1弾性波共振子と、
  前記第1弾性波共振子に並列接続され、前記並列腕共振回路の共振周波数および反共振周波数を可変する機能を有する周波数可変回路と、を備え、
 前記周波数可変回路は、
  前記第1弾性波共振子の共振周波数よりも高い共振周波数および前記第1弾性波共振子の反共振周波数よりも高い反共振周波数を有する第2弾性波共振子と、
  前記第2弾性波共振子に直列接続されたスイッチ素子と、を備え、
 前記スイッチ素子の導通および非導通の切り替えにより、それぞれ、前記第1フィルタ特性および前記第2フィルタ特性が切り替えられ、
 前記スイッチ素子が非導通状態である場合の前記並列腕共振回路の2つの共振周波数のうち高周波数側の共振周波数と、前記スイッチ素子が導通状態である場合の前記並列腕共振回路の2つの共振周波数のうち高周波数側の共振周波数との周波数差である共振周波数差は、前記第2減衰帯域の低周波端周波数と前記第1減衰帯域の低周波端周波数との周波数差である減衰帯域周波数差以上である、
 弾性波フィルタ装置。
[請求項2]
 前記第2弾性波共振子は、インダクタンスL を有するインダクタおよび静電容量C を有するキャパシタが直列接続された直列回路と、静電容量C 02を有するキャパシタとが並列接続された等価回路で表され、
 前記減衰帯域周波数差をΔf FILとした場合、前記スイッチ素子が非導通状態である場合の当該スイッチ素子の静電容量であるオフ容量C offは、
[数1]


 なる関係式を満たす、
 請求項1に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項3]
 前記オフ容量C offは、前記静電容量C 02よりも小さい、
 請求項2に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項4]
 前記直列腕回路は、
 前記第1入出力端子と前記第2入出力端子との間に接続された直列腕共振子を備え、
 前記第1弾性波共振子の共振周波数は、前記直列腕共振子の共振周波数よりも低く、
 前記第2弾性波共振子の共振周波数は、前記第1弾性波共振子の共振周波数よりも高い、
 請求項1~3のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項5]
 前記第2弾性波共振子の共振周波数は、前記直列腕共振子の共振周波数よりも高く、かつ、前記直列腕共振子の反共振周波数よりも低い、
 請求項4に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項6]
 前記弾性波フィルタ装置は、直列腕回路と並列腕回路とで構成されるフィルタ構造を複数段有し、
 複数の前記並列腕回路のうち2以上の並列腕回路が、前記第1弾性波共振子と前記第2弾性波共振子と前記スイッチ素子とを有する前記並列腕共振回路である、
 請求項1~5のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項7]
 前記第2弾性波共振子と前記スイッチ素子との直列接続で構成された前記周波数可変回路が、前記ノードとグランドとの間に、複数並列接続されている、
 請求項1~6のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項8]
 さらに、
 前記第1入出力端子と前記第2入出力端子との間に配置された縦結合型フィルタ回路を備える、
 請求項1~7のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項9]
 前記第1弾性波共振子および前記第2弾性波共振子は、弾性表面波子、または、BAW共振子を用いた弾性波共振子である、
 請求項1~8のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項10]
 前記第1弾性波共振子および前記第2弾性波共振子は、同一の圧電性を有する基板上に形成されたIDT電極を有する、
 請求項9に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項11]
 前記スイッチ素子は、GaAsもしくはCMOSからなるFETスイッチ、または、ダイオードスイッチである、
 請求項1~10のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置。
[請求項12]
 送信側フィルタ回路および受信側フィルタ回路のいずれかは、請求項1~11のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置を含む、
 デュプレクサ。
[請求項13]
 請求項6または7に記載の弾性波フィルタ装置と、
 複数の前記スイッチ素子の導通および非導通の切り替えを制御する制御部と、を備え、
 前記制御部は、前記複数のスイッチ素子の導通および非導通の切り替えを個別に制御する、
 高周波フロントエンド回路。
[請求項14]
 高周波送信信号を増幅するパワーアンプと、
 前記パワーアンプで増幅された高周波送信信号を通過させる、請求項1~11のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置または請求項12に記載のデュプレクサと、
 前記スイッチ素子の導通および非導通の切り替えを制御する制御部と、を備える、
 高周波フロントエンド回路。
[請求項15]
 アンテナ素子で受信した高周波受信信号を通過させる、請求項1~11のいずれか1項に記載の弾性波フィルタ装置または請求項12に記載のデュプレクサと、
 前記弾性波フィルタ装置または前記デュプレクサから出力された高周波受信信号を増幅するローノイズアンプと、
 前記スイッチ素子の導通および非導通の切り替えを制御する制御部と、を備える、
 高周波フロントエンド回路。
[請求項16]
 ベースバンド信号または高周波信号を処理するRF信号処理回路と、
 請求項13~15のいずれか1項に記載の高周波フロントエンド回路とを備える、
 通信装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11A]

[ 図 11B]

[ 図 11C]

[ 図 12]

[ 図 13A]

[ 図 13B]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]