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1. (WO2018186152) 接合監視システムおよび接合装置
Document

明 細 書

発明の名称 接合監視システムおよび接合装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076  

符号の説明

0077  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5A   5B   6   7A   7B   8   9   10   11   12A   12B   12C   12D   13   14   15   16  

明 細 書

発明の名称 : 接合監視システムおよび接合装置

技術分野

[0001]
 本発明は、接合監視システムおよび接合装置に関する。

背景技術

[0002]
 溶接を実行するには、被溶接品の突き合わせ面と垂直に圧力をかけて把持し、通電やレーザ照射、摩擦攪拌などの方法で突き合わせ面を加熱する。印加される圧力により、溶接機の把持部材が磨耗などし、その結果付き合わせ面の接触状態が溶接を実行するごとにバラつく。このことが溶接中の部材間の過渡的な接合状況に影響を与え、溶接品質のバラつきにつながる場合がある。
 抵抗溶接は、加圧しつつ接触させた溶接対象物間に溶接電流を流すことにより発生するジュール熱を利用して溶接対象物を接合する。抵抗溶接における加圧に際して溶接対象物に加えられる荷重ないし加圧力は、溶接の品質を左右する要因の一つとなっている。溶接品質を管理する方法として、抵抗溶接機の電極のひずみ計測により、被溶接品の傾きを推定し、あらかじめ設定した閾値と比較する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
[0003]
 特許文献1には、溶接対象物を挟むように配置される第1及び第2の溶接電極と、前記第1の溶接電極に取り付けられ、前記第1の溶接電極の歪みを非電気的に検出する歪みゲージと、前記歪みゲージからの信号を基に、前記溶接対象物の溶接中における前記第1の溶接電極に対する荷重を検出する制御部と、を備える抵抗溶接装置が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2015-155103号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 ところで、溶接による接合対象の領域が、点ではなく、面のように広がりを持つ場合には、接合領域全体での接合状況を反映する情報により、溶接品質を判定することが求められる。そのためには、溶接中における接合面の状況の過渡的な変化を監視することが必要となる。特許文献1に記載の抵抗溶接装置では、判断基準がある一点の時刻での計測値であったので、品質判定の基準に、接合状況の過渡的な変化の情報が反映されない(該情報を考慮していない)という課題がある。
[0006]
 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、被接合品の接合品質を被溶接品の溶接品質を判定できる接合監視システムおよび接合装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記課題を解決するために、本発明の接合監視システムは、複数の被接合品を接合面で突き合わせて固定する把持部材に印加される荷重を検知する複数の荷重センサと、前記被接合品の前記接合面を加熱する接合手段の出力を計測する接合出力センサと、前記接合出力センサの出力および前記荷重センサの荷重データを、連続的に収録する収録装置と、前記収録装置に収録された前記荷重データをもとに、複数の前記被接合品同士が前記接合面上で均一に接触しないことによる荷重分布の偏りを荷重偏りデータとして算出する荷重偏り評価部と、前記収録装置に収録された前記接合出力センサの出力をもとに、接合中の基準時刻を設定するとともに、接合中の各時刻における荷重偏りデータに対し、前記基準時刻からの時間差を付与することで、荷重偏りの時間変動データである荷重偏り変動データを生成する荷重偏り変動データ生成部と、生成した前記荷重偏り変動データを記録する記録装置と、前記記録装置に記録された前記荷重偏り変動データをもとに、接合品質判定上の基準となる基準データを蓄積する基準データ蓄積部と、を備えることを特徴とする。

発明の効果

[0008]
 本発明によれば、被接合品の接合品質を被溶接品の溶接品質を判定できる接合監視システムおよび接合装置を提供する。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] 本発明の第1の実施形態に係る溶接監視システムの構成を示す図である。
[図2] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの円筒状または円柱状の被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示す図である。
[図3] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの角柱状の被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示す図である。
[図4] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの平板形状の被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示す図である。
[図5A] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示し、被溶接品が付き合わせ面において均一に接している場合の図である。
[図5B] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示し、一方向に傾いた状態で接している場合の図である。
[図6] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの把持部材と荷重センサとの位置関係を表わす概略図である。
[図7A] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの平板形状の被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示し、平板形状の被溶接品が付き合わせ面において均一に接している場合の図である。
[図7B] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの平板形状の被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示し、一方向に傾いた状態で接している場合を示す図である。
[図8] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの溶接品質判定上の基準となるデータ(基準データ)を蓄積する登録時の処理を示すフローチャートである。
[図9] 上記第1の実施形態に係る溶接監視システムの被溶接品の溶接品質を判定する監視時の処理を示すフローチャートである。
[図10] 本発明の第2の実施形態に係る溶接監視システムの構成を示す図である。
[図11] 本発明の第3の実施形態に係る溶接監視システムの構成を示す図である。
[図12A] 上記第3の実施形態に係る溶接監視システムの荷重偏り変動データ生成部により生成された表示データの2次元平面上での描画を示す図である。
[図12B] 上記第3の実施形態に係る溶接監視システムの荷重偏り変動データ生成部により生成された表示データの2次元平面上での描画を示す図である。
[図12C] 上記第3の実施形態に係る溶接監視システムの荷重偏り変動データ生成部により生成された表示データの2次元平面上での描画を示す図である。
[図12D] 上記第3の実施形態に係る溶接監視システムの荷重偏り変動データ生成部により生成された表示データの2次元平面上での描画を示す図である。
[図13] 上記第3の実施形態に係る溶接監視システムの被溶接品の溶接品質を判定する監視時の処理を示すフローチャートである。
[図14] 本発明の第4の実施形態に係る溶接監視システムの構成を示す図である。
[図15] 本発明の第5の実施形態に係る溶接監視システムの構成を示す図である。
[図16] 実施形態に係る溶接監視システムを備える溶接装置の例を示す図である。

発明を実施するための形態

[0010]
 以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
(第1の実施形態)
 図1は、本発明の第1の実施形態に係る溶接監視システム(接合監視システム)の構成を示す図である。
 図1に示すように、溶接監視システム100は、複数の被溶接品(被接合品)1を接合面(溶接面)で突き合わせて固定する把持部材110と、溶接プロセス中(溶接中)の荷重データを収録するデータ収録手段120と、データ収録手段120が収録した荷重データを分析・評価するデータ評価手段130と、を備える。なお、接合には、通常の溶接(Welding)のほか、摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding)などが含まれる。
[0011]
<被溶接品1および把持部材110>
 把持部材110は、複数の被溶接品(例えば図2の被溶接品1aと1b)を、接合する面で突き合せて固定する。このため、把持部材110は、複数の被溶接品を、例えば上下から挟んで把持するための複数の把持部材110(図2の上部把持部材110aと下部把持部材110b参照)からなる。複数の把持部材110は、少なくとも一つは可動である。可動な把持部材(図2の上部把持部材110a参照)が、他の把持部材(図2の下部把持部材110b参照)とともに被溶接品1を挟み、付き合わせ面11(接合面)に対して垂直に圧力をかけることで、被溶接品1を固定する。把持部材110の詳細については、後記する。なお、本実施形態では、把持部材110も溶接監視システム100の構成要素に含まれるものとして説明する。
[0012]
<データ収録手段120>
 データ収録手段120は、把持部材110に印加される荷重を検知する複数の荷重センサ121と、被溶接品1(例えば図2の被溶接品1aと1b)の付き合わせ面11を加熱する溶接機(図示省略)の出力を計測する溶接出力センサ122と、溶接出力センサ122の出力および荷重センサ121の荷重データを、連続的に収録する収録装置123と、を備える。すなわち、溶接出力センサ122の溶接時の出力の時間変化と荷重センサ121の溶接時の荷重データの時間変化を収録(測定)する。
[0013]
 荷重センサ121(図2・図3の例では4つ備わる)は、圧力印加に伴い把持部材110が溶接の進行とともに経験する荷重を計測する。具体的には、荷重センサ121は、把持部材110と被溶接品1との接触面の近傍の荷重(荷重データ)を計測する。荷重センサ121は、例えば、引張・圧縮などの力または質量を電気信号に変換するひずみゲージにより構成される。状把持部材110の表面に、荷重センサ素子としてひずみゲージを貼り付ける構成を採るが、これに限定されるものではない。
 荷重センサ121は、把持部材110において、把持対象である被溶接品1との接触面の近傍に設置する。荷重センサ121は、把持部材110と被溶接品1との接触面の境界線と平行な線上に沿って、4つ以上、ほぼ等間隔に設置することが望ましい。
 荷重センサ121を把持部材110に複数設置することによって、被溶接品1同士が付き合わせ面11上で均一に接触せず、傾きが生じた場合、傾いた方向に設置した荷重センサ121において、より大きい荷重が計測される。このように、荷重センサ素子間の信号の差により、被溶接品1の突き合わせ面11上での接触状況に関する情報を得ることができる。
[0014]
<データ評価手段130>
 データ評価手段130は、荷重偏り評価部131と、荷重偏り変動データ生成部132と、記録装置133と、基準データ蓄積部134と、差異抽出部135と、を備える。
 荷重偏り評価部131は、収録装置123に収録された荷重データをもとに、複数の被溶接品1(例えば図2の被溶接品1aと1b)同士が付き合わせ面11上で均一に接触しないことによる荷重分布の偏りを荷重偏りデータとして算出する。
[0015]
 荷重偏り変動データ生成部132は、収録装置123に収録された溶接出力センサ122の出力をもとに、溶接中の基準時刻(例えば、溶接出力の通電開始の時刻)を設定するとともに、溶接中の各時刻における荷重偏りデータに対し、上記基準時刻からの時間差を付与することで、荷重偏りの時間変動データである荷重偏り変動データを生成する。
 上記基準時刻は、複数の被溶接品1の溶接品質を順次判定しようとする場合、各被溶接品の溶接品質の判定が同一条件で行われるように、各被溶接品において共通に設定される基準となる時刻である。また、この基準時刻を設定することで、この基準時刻からの時間差を設定することができる。
 荷重偏り変動データ生成部132は、例えば、電流による加熱を溶接手段として用いる場合は、溶接出力の立ち上がり(通電開始)の時刻を基準時刻とする。
[0016]
 記録装置133は、荷重偏り変動データ生成部132により生成された荷重偏り変動データを記録する。
[0017]
 基準データ蓄積部134は、記録装置133に記録された荷重偏り変動データをもとに、溶接品質判定上の基準となるデータ(基準データ)を蓄積する。すなわち、被溶接品1として、良好な品質の被溶接品1を用いることで、溶接品質判定上の基準となるデータ(基準データ)を蓄積することができる(図8:「登録処理」参照)。この溶接品質判定上の基準となるデータ(基準データ)は、基準データ蓄積部134に蓄積され、差異抽出部135が比較データとして読み出す。
 なお、良好な品質の被溶接品1を用いる代わりに、各被溶接品の上記荷重偏り変動データを分析して、統計的手法により、良好な判定結果のものを基準データとして蓄積しておくことも可能である。
[0018]
 差異抽出部135は、記録装置133に記録された荷重偏り変動データを、基準データ蓄積部134に蓄積された基準データと比較して差異を抽出する。
[0019]
 なお、上記データ評価手段130は、例えば、汎用または専用処理サーバにより構成される。データ評価手段130は、この処理サーバの記憶部(図示省略)に格納されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)がRAMに展開し実行することにより実現される。
[0020]
 図2乃至図4は、被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示す図である。図2は、被溶接品と把持部材の形状が円筒状または円柱状である場合、図3は、被溶接品と把持部材の形状が角柱状である場合、図4は、被溶接品と把持部材の形状が平板形状である場合をそれぞれ示す。
 図2に示すように、把持部材110は、円筒状または円柱状の被溶接品1aと1bを、上下から挟んで把持する上部把持部材110aと下部把持部材110bからなる。把持部材110は、少なくとも一つ(例えば、上部把持部材110a)は可動である。可動な把持部材(上部把持部材110a)が、他の把持部材(下部把持部材110b)とともに被溶接品1aと1bを挟み、付き合わせ面11に対して垂直に圧力をかけることで、被溶接品1aと1bを固定する。なお、上部把持部材110aと下部把持部材110bを区別せず総称する場合は、把持部材110と表記する(以下同様の表記方法を採る)。
[0021]
 荷重センサ121は、把持部材110(上部把持部材110a,下部把持部材110b)と被溶接品1aと1bとの接触面の境界線と平行な線上に沿って、4つ以上、ほぼ等間隔に設置する。図2の例では、荷重センサ121は、下部把持部材110bの外周面に、4つの荷重センサ121a~121dを等間隔で設置されている。荷重センサ121aと121c、また荷重センサ121bと121dとが一対で対向する位置に設置される。なお、荷重センサ121a~121dは、同一構成をとる。荷重センサ121a~121dを区別せず総称する場合は、荷重センサ121と表記する。
[0022]
 図3に示すように、把持部材110は、角柱(ここでは四角柱)状の被溶接品1cと1dを、上下から挟んで把持する上部把持部材110cと下部把持部材110dからなる。把持部材110は、少なくとも一つ(例えば、上部把持部材110c)は可動である。可動な把持部材(上部把持部材110c)が、他の把持部材(下部把持部材110d)とともに被溶接品1cと1dを挟み、付き合わせ面12に対して垂直に圧力をかけることで、被溶接品1cと1dを固定する。
[0023]
 荷重センサ121は、把持部材110(上部把持部材110c,下部把持部材110d)と被溶接品1cと1dとの接触面の境界線と平行な線上に沿って、4つ以上、ほぼ等間隔に設置する。図3の例では、荷重センサ121は、下部把持部材110bの外周面に、4つの荷重センサ121a~121dを等間隔で設置されている。荷重センサ121aと121c、また荷重センサ121bと121dとが一対で対向する位置に設置される。
[0024]
 図4に示すように、把持部材110は、平板形状の被溶接品1eと1fを、x方向から挟んで把持する把持部材110eと把持部材110fからなる。把持部材110は、少なくとも一つ(例えば、把持部材110e)は可動である。可動な把持部材(把持部材110e)が、他の把持部材(把持部材110f)とともに被溶接品1eと1fを挟み、付き合わせ面13に対して垂直に圧力をかけることで、被溶接品1eと1fとを固定する。
[0025]
 図4に示すように、被溶接品1eと1fの形状と、把持部材110eと110fの形状が平板である場合、被溶接品1eと1fの傾きを検知するには、この平板と平行で、かつ突き合わせ面13と垂直な方向(x方向)と、平板と平行で、かつ突き合わせ面と平行な方向(y方向)への荷重の偏りを取得することが望ましい。そのためには、x方向の荷重を計測するx方向荷重センサ131と、y方向の荷重を計測するy方向荷重センサ141の組を使用する。図4の例では、x方向荷重センサ131a~131dとy方向荷重センサ141a~141dの組を、4組設置する。すなわち、把持部材110eのx方向荷重センサ131aとy方向荷重センサ141aとの組を、把持部材110fのx方向荷重センサ131dとy方向荷重センサ141dとの組に対向して設置する。また、把持部材110eのx方向荷重センサ131bとy方向荷重センサ141bとの組を、把持部材110fのx方向荷重センサ131cとy方向荷重センサ141cとの組に対向して設置する。
[0026]
 以下、上述のように構成された溶接監視システム100の溶接監視方法について説明する。
<溶接時の各部位の動作>
 まず、溶接時の各部位の動作について説明する。
 図2に示す被溶接品110と把持部材1の形状が円筒状または円柱状である場合を例にとる。
 把持部材110の動作により、複数の被溶接品1aと1bを、接合(溶接)する面(付き合わせ面11)で突き合せて固定する。ここでは、可動な把持部材(上部把持部材110a)が、他の把持部材(下部把持部材110b)とともに被溶接品1aと1bを挟み、付き合わせ面11に対して垂直に圧力をかけることで、被溶接品1aと1bとを固定する。
[0027]
 荷重センサ121は、把持部材110(上部把持部材110a,下部把持部材110b)と被溶接品1aと1bとの接触面の境界線と平行な線上に沿って、4つ以上、ほぼ等間隔に設置されている。
 被溶接品1aと1bとが付き合わせ面11上で均一に接触せず、傾きが生じた場合、傾いた方向に設置した荷重センサにおいて、より大きい荷重が計測される。このように、荷重センサ素子間の信号の差により、被溶接品1aと1bの突き合わせ面11上での接触状況に関する情報を得ることができる。
[0028]
<データ収録>
 次に、被溶接品の突き合わせ面11を加熱し、溶接する際の各部位の動作について説明する。
 加熱方法の具体例としては、電流印加(抵抗溶接法)、レーザ照射(レーザ溶接法)、回転工具による攪拌(摩擦攪拌溶接法)などがある。加熱により、突き合わせ面11を溶融、あるいは軟化させ、被溶接品同士を接合(溶接)する。溶接出力センサ122(図1参照)は、加熱のための出力を計測する。また、荷重センサ121は、把持部材110と被溶接品1との接触面の近傍の荷重(荷重データ)を計測し、収録装置123(図1参照)に連続的に収録する。収録装置123には、溶接出力センサ122の出力(出力信号)に基づいて、溶接開始時刻から終了時刻までの時間における、荷重センサ121の荷重データが、所要の計測周期で連続的に、収録装置123に収録される。
[0029]
<荷重データの分析・評価>
 次に、データ評価手段130における、荷重データの分析・評価方法について説明する。
 図5Aおよび図5Bは、被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示す図であり、図5Aは被溶接品が付き合わせ面において均一に接している場合、図5Bは一方向に傾いた状態で接している場合を示す。図2と同一構成部分には同一符号を付している。
[0030]
 図5Aに示すように、円筒状または円柱状の被溶接品が付き合わせ面11において均一に接している場合、荷重センサ121a~121cは、ほぼ等しい荷重を計測する。データ評価手段130の荷重偏り評価部131(図1参照)は、付き合わせ面11の接触状況が均一であると評価する。
[0031]
 一方、図5Bに示すように、円筒状または円柱状の被溶接品が付き合わせ面11で一方向に傾いた状態で接している場合、傾いた方向に設置した荷重センサ121aは、対向する箇所に設置した荷重センサ121cと比較して大きい荷重を計測する。データ評価手段130の荷重偏り評価部131(図1参照)は、この計測値の差によって、付き合わせ面11における荷重の偏りの方向と大きさを評価し、荷重偏りデータを算出する。
[0032]
<荷重偏りデータの生成>
 データ評価手段130の荷重偏り評価部131(図1参照)は、ある時刻における、複数の荷重センサ121の荷重データをそれぞれ組み合わせ、荷重の偏りの方向と大きさを示す荷重偏りデータを算出する(後記図6参照)。
[0033]
 荷重偏りデータの算出方法の一例について説明する。
 図6は、把持部材と荷重センサとの位置関係を表わす概略図である。図6は、図2に示す円筒状または円柱状の把持部材110に、荷重センサ121としてひずみゲージを貼り付けた場合の、荷重偏りデータの算出方法を示す。
 図6に示すように、被溶接品と接する面内の任意の方向にx軸をとり、x軸と直交する方向にy軸をとる。x軸y軸の第1象限に荷重センサ121a、第2象限に荷重センサ121b、第3象限に荷重センサ121c、第4象限に荷重センサ121dをそれぞれ設置する。荷重センサ121a~121dの設置位置方向の角度をθ ,θ ,…,θ とおき、それぞれの荷重センサの信号をε ,ε ,…,ε とおく(図6では、n=4)。
 x軸方向への荷重偏りε およびy軸方向への荷重偏りε は、次式(1)で示される。
[0034]
[数1]


[0035]
 データ評価手段130の荷重偏り評価部131(図1参照)は、式(1)に従って、荷重偏りデータを生成し、x軸方向への荷重偏りε およびy軸方向への荷重偏りε を評価する。
 以上、円筒状または円柱状の把持部材110に荷重センサ121を設置した場合の荷重偏りデータの算出方法について説明した。
 本評価方法は、図3に示す角柱状の把持部材110を用いた場合でも同様に荷重偏りデータを生成することができる。
[0036]
<平板形状の被溶接品と把持部材の荷重データの分析・評価>
 図7Aおよび図7Bは、平板形状の被溶接品と把持部材および荷重センサの取付位置を示す図であり、図7Aは平板形状の被溶接品が付き合わせ面において均一に接している場合、図7Bは一方向に傾いた状態で接している場合を示す。図4と同一構成部分には同一符号を付している。
 また、被溶接品1に印加される、x方向の荷重の大きさを、白抜き矢印の大きさとして示している(白抜き矢印が大きいほど、荷重が大きい)。
 図7Aおよび図7Bに示すように、把持部材110は、平板形状の被溶接品1eと1fを、x方向から挟んで把持する把持部材110eと把持部材110fからなる。把持部材110eと把持部材110fは、被溶接品1eと1fを挟み、付き合わせ面13に対して垂直に圧力をかけることで、被溶接品1eと1fとを固定する。また、x方向荷重センサ131a~131dとy方向荷重センサ141a~141dの組を、4組設置する。
[0037]
 図7Aに示すように、平板形状の被溶接品1eと1fに傾きが無く、ほぼ均等に荷重が印加されている場合、x方向荷重センサ131aとx方向荷重センサ131dは、双方でほぼ等しい荷重を計測する。同様に、x方向荷重センサ131bとx方向荷重センサ131cは、双方でほぼ等しい荷重を計測する。また、y方向についても同様に、y方向荷重センサ134aとy方向荷重センサ141dは、等しい荷重を計測し、y方向荷重センサ134bとy方向荷重センサ141cは、等しい荷重を計測する。
 この場合、データ評価手段130の荷重偏り評価部131(図1参照)は、付き合わせ面13の接触状況が均一であると評価する。
[0038]
 一方、図7Bに示すように、x方向荷重センサ131a,131bの計測値とx方向荷重センサ131d,131cの計測値に差が生じた場合は、その差によってx軸方向への荷重偏りε を得ることができる。このx方向荷重偏りε から、被溶接品1eと1fに傾きと突き合わせ面の状況に関する情報を得ることができる。y方向についても同様に、y方向荷重センサ141a,141bの計測値とy方向荷重センサ141d,141cの計測値に差が生じた場合は、その差によってy軸方向への荷重偏りε を得ることができる。このy方向荷重偏りε から、被溶接品1eと1fに傾きと突き合わせ面の状況に関する情報を得ることができる。
 このように、対向する4つの荷重センサの組を、y方向に沿って複数(図6では、2組)設置することで、それぞれの設置位置における荷重偏りε ,ε が得られる。
 データ評価手段130の荷重偏り評価部131(図1参照)は、この計測値の差によって、付き合わせ面11における荷重の偏りの方向と大きさを評価し、荷重偏りデータを生成する。
[0039]
 データ評価手段130の荷重偏り変動データ生成部132(図1参照)は、データ収録手段120の溶接出力センサ122(図1参照)の出力信号をもとに、基準時刻を設定する。例えば、電流による加熱を溶接手段として用いる場合は、溶接出力の立ち上がり(通電開始)の時刻を基準時刻と設定する。そして、荷重偏り変動データ生成部132は、荷重偏り評価部131が出力する、各時刻における荷重偏りデータに対し、上記基準時刻からの時間差を付与することで、荷重偏り変動データを生成する。荷重偏り変動データは、溶接出力の立ち上がり(通電開始)の時刻を基準時刻に設定したことで、共通の基準時刻において各被溶接品1の溶接品質評価が可能となり、時々刻々と変化する荷重偏りデータを、各被溶接品1の間で比較することができる。これにより、溶接中における被溶接品の突き合わせ面上での接触状況の変化のパターンを、各溶接品間で比較できる。
[0040]
[基準データ蓄積登録時]
 図8は、溶接品質判定上の基準となるデータ(基準データ)を蓄積する登録時の処理を示すフローチャートである。本フローは、例えばデータ評価手段130を構成するサーバなどのCPUにより実行される。基準となる被溶接品として、図2に示す円筒状または円柱状の被溶接品と把持部材を用いる場合を例に採る。
 まず、ステップS1でデータ収録手段120(図1参照)の把持部材110は、基準となる良好な品質の被溶接品1(例えば図2の被溶接品1aと1b)を挟み、付き合わせ面11(接合面)に対して垂直に圧力をかけることで、この良好な品質の被溶接品1(図2の被溶接品1aと1b)を固定する。
 ステップS2では、データ収録手段120は、例えば、電流印加(抵抗溶接法)により、突き合わせ面11を溶融させ、被溶接品1(図2の被溶接品1aと1b)同士を接合する。
 ステップS3では、データ収録手段120の溶接出力センサ122(図1参照)は、加熱のための出力を計測する。
[0041]
 ステップS4では、データ収録手段120の荷重センサ121(図1参照)は、圧力印加に伴い把持部材110が経験する荷重(荷重データ)を計測する。
 ステップS5では、データ収録手段120の収録装置123(図1参照)は、溶接出力センサ122の出力および荷重センサ121の荷重データを、連続的に収録する。
 ステップS6では、データ評価手段130の荷重偏り評価部131(図1参照)は、収録装置123に収録された荷重データをもとに、良好な品質の被溶接品1の荷重偏りデータを生成する。
[0042]
 ステップS7では、データ評価手段130の荷重偏り変動データ生成部132(図1参照)は、収録装置123に収録された溶接出力センサ122の出力をもとに、良好な品質の被溶接品1の基準時刻を設定する。例えば、溶接出力の立ち上がり(通電開始)の時刻を基準時刻とする。
 ステップS8では、荷重偏り変動データ生成部132は、溶接中の各時刻における荷重偏りデータに対し、上記基準時刻からの時間差を付与することで、荷重偏りの時間変動データである荷重偏り変動データを算出する。
[0043]
 ステップS9では、データ評価手段130の記録装置133(図1参照)は、荷重偏り変動データを記録する。
[0044]
 ステップS10では、データ評価手段130の基準データ蓄積部134(図1参照)は、良好な品質の被溶接品1の荷重偏り変動データをもとに、溶接品質判定上の基準となるデータ(基準データ)を蓄積する。
 上記フローを実行することにより、データ評価手段130の基準データ蓄積部134には、良好な品質の被溶接品1、すなわち基準となる被溶接品1についての溶接品質判定上の基準データが蓄積された。
[0045]
 なお、本登録処理は、後記監視時の処理に先立ってあらかじめ実行され、基準データとして基準データ蓄積部134に蓄積される。
 また、被溶接品の形状・種類、溶接機(抵抗溶接、レーザ溶接、摩擦攪拌溶接)、加工機器(プレス機)などの使用条件に応じて、各被溶接品について基準データが蓄積されている。
[0046]
 図9は、被溶接品の溶接品質を判定する監視時の処理を示すフローチャートである。本フローは、例えばデータ評価手段130を構成するサーバなどのCPUにより実行される。基準となる被溶接品として、図2に示す円筒状または円柱状の被溶接品と把持部材を用いる場合を例に採る。
 まず、ステップS11でデータ収録手段120(図1参照)の把持部材110は、溶接監視対象となる被溶接品1(例えば図2の被溶接品1aと1b)を挟み、付き合わせ面11(接合面)に対して垂直に圧力をかけることで、溶接監視対象となる被溶接品1(図2の被溶接品1aと1b)を固定する。
 ステップS12では、データ収録手段120は、例えば、電流印加(抵抗溶接法)により、突き合わせ面11を溶融させ、溶接監視対象となる被溶接品1(図2の被溶接品1aと1b)同士を接合する。
[0047]
 ステップS13では、データ収録手段120の溶接出力センサ122(図1参照)は、加熱のための出力を計測する。
 ステップS14では、データ収録手段120の荷重センサ121(図1参照)は、圧力印加に伴い把持部材110が経験する荷重(荷重データ)を計測する。
 ステップS15では、データ収録手段120の収録装置123(図1参照)は、溶接出力センサ122の出力および荷重センサ121の荷重データを、連続的に収録する。
[0048]
 ステップS16では、データ評価手段130の荷重偏り評価部131(図1参照)は、収録装置123に収録された荷重データをもとに、溶接監視対象となる被溶接品1の荷重偏りデータを算出する。
[0049]
 ステップS17では、データ評価手段130の荷重偏り変動データ生成部132(図1参照)は、収録装置123に収録された溶接出力センサ122の出力信号をもとに、溶接監視対象となる被溶接品1の基準時刻を設定する。例えば、溶接出力の立ち上がり(通電開始)の時刻を基準時刻とする。
 ステップS18では、荷重偏り変動データ生成部132は、溶接中の各時刻における荷重偏りデータに対し、上記基準時刻からの時間差を付与することで、荷重偏り変動データを算出する。
[0050]
 ステップS19では、データ評価手段130の記録装置133(図1参照)は、荷重偏り変動データを記録する。
 ステップS20では、データ評価手段130の基準データ蓄積部134(図1参照)は、良好な品質の被溶接品1の荷重偏り変動データをもとに、溶接品質判定上の基準となるデータ(基準データ)を蓄積する。
[0051]
 ステップS21では、データ評価手段130の差異抽出部135(図1参照)は、溶接監視対象となる被溶接品の荷重偏り変動データを基準データ(良好な品質の被溶接品の荷重偏り変動データ)と比較し、差異が所定値より小さい場合、被溶接品の溶接品質が良好であると判定する。
[0052]
 以上説明したように、本実施形態の溶接監視システム100は、複数の被溶接品1を接合面で突き合わせて固定する把持部材110と、把持部材110に印加される荷重を検知する複数の荷重センサ121と、被溶接品1の付き合わせ面11を加熱する溶接手段の出力を計測する溶接出力センサ122と、溶接出力センサ122の出力および荷重センサ121の荷重データを、連続的に収録する収録装置123と、を備える。さらに、収録装置123に収録された荷重データをもとに、被溶接品1同士が付き合わせ面11上で均一に接触しないことによる荷重偏りデータを生成する荷重偏り評価部131と、収録装置123に収録された溶接出力センサ122の出力信号をもとに、溶接中の基準時刻を設定するとともに、溶接中の各時刻における荷重偏りデータに対し、上記基準時刻からの時間差を付与することで、荷重偏りの時間変動データである荷重偏り変動データを生成する荷重偏り変動データ生成部132と、生成した荷重偏り変動データを記録する記録装置133と、記録装置133に記録された荷重偏り変動データをもとに、溶接品質判定上の基準となるデータを蓄積する基準データ蓄積部134と、記録装置133に記録された荷重偏り変動データを、基準データ蓄積部134に蓄積された基準データと比較して差異を抽出する差異抽出部135と、を備える。
[0053]
 この構成により、荷重偏りの時間変動データである荷重偏り変動データが、被溶接品1の溶接を実行するごとに生成され、良好な品質の被溶接品による基準データと比較できる。溶接中の接合状況の過渡的な変化を反映した情報をもとに、突き合わせ面11の溶融状況を推定できる。また、リアルタイムで溶接品質のバラつきを判定することができ、溶接品の品質管理(品質の向上)に役立てることができる。特に、本溶接監視システムを、量産溶接品の品質保証のためのシステムに用いた場合、製造ラインを止めずに検査することができる。このため、全量検査も可能となる。
[0054]
 なお、本実施形態では、良好な品質の被溶接品の荷重偏り変動データを蓄積する登録処理(図8参照)を実行しているが、この登録処理の実行に代えて、各被溶接品の荷重偏り変動データを蓄積し、基準設定値に該当するものを良好な品質の被溶接品としてもよい。この場合、各被溶接品の荷重偏り変動データの過去値を用いるなどの統計的処理を行う態様でもよい。登録処理を実行しなくてもよい利点がある。
[0055]
(第2の実施形態)
 図10は、本発明の第2の実施形態に係る溶接監視システムの構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
 図10に示すように、溶接監視システム200は、複数の被溶接品1を接合面で突き合わせて固定する把持部材110と、溶接プロセス中(溶接中)の荷重データを収録するデータ収録手段120と、データ収録手段120が収録した荷重データを分析・評価するデータ評価手段230と、を備える。
 データ評価手段230は、荷重偏り評価部231と、荷重偏り変動データ生成部132と、記録装置133と、基準データ蓄積部134と、差異抽出部135と、を備える。
[0056]
 荷重偏り評価部231は、振動モード分解部232と、x方向偏り抽出部233と、y方向偏り抽出部234と、を備える。
 振動モード分解部232は、データ収録手段120から各荷重センサ121の計測データを受け取り、データを振動周波数の成分に分解する。
 x方向偏り抽出部233は、振動モード分解部232で処理したデータを受け取り、前記式(1)に従って、x方向の荷重偏りを算出し、荷重偏り変動データ生成部132にデータを送る。
 y方向偏り抽出部234は、振動モード分解部232で処理したデータを受け取り、前記式(1)に従って、y方向の荷重偏りを算出し、荷重偏り変動データ生成部132にデータを送る。
[0057]
 振動モード分解部232では、フーリエ変換によって荷重データから特定の周波数の振動モードを抽出する。
 これにより、溶接時における、被溶接品の急激な変位に伴う振動の大きさを抜き出し、被溶接品の振動とは無関係な他の周波数成分を除去することができる。その結果、接合面における振動以外のノイズを抑制したデータを得られ、溶接品質の判定精度を向上させることができる。
[0058]
 このように、第2実施形態によれば、データ評価手段230の荷重偏り評価部231が、振動モード分解部232を備えることで、溶接品質の判定精度を向上させることができる。例えば、溶接時の荷重分布の時間変化(振動)の大きい方向ごとの溶融の度合いを調べることができる。よって、本実施形態の溶接監視システム200によれば、被溶接品の溶接品質を向上することができる。
[0059]
(第3の実施形態)
 図11は、本発明の第3の実施形態に係る溶接監視システムの構成を示す図である。図10と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
 図11に示すように、溶接監視システム300は、複数の被溶接品1を接合面で突き合わせて固定する把持部材110と、溶接プロセス中(溶接中)の荷重データを収録するデータ収録手段120と、データ収録手段120が収録した荷重データを分析・評価するデータ評価手段330と、を備える。
 データ評価手段330は、荷重偏り評価部231と、荷重偏り変動データ生成部332と、記録装置133と、基準データ蓄積部134と、差異抽出部335と、を備える。
[0060]
 荷重偏り変動データ生成部332は、荷重偏り評価部231により算出したx方向の荷重偏りとy方向の荷重偏りを、x座標値とy座標値とする一点として2次元平面上に表示する表示データを生成する。すなわち、荷重偏り変動データ生成部332は、溶接時の荷重分布の時間変化(振動)を、x方向の荷重偏りとy方向の荷重偏りの2次元平面上に可視化して表示する表示データを生成する。さらに、荷重偏り変動データ生成部332は、その時間変化(振動)を線で繋ぎ、荷重偏り変動の軌跡として一枚の画像を生成する。軌跡は、軌跡上の点に対応するデータが得られた時刻の、基準時刻との差を読み取れるように描画する。
[0061]
 差異抽出部335は、溶接監視対象となる被溶接品の荷重偏り変動データを基準データと比較し、時間変化(振動)が所定値より小さい場合、被溶接品の溶接品質が良好であると判定する。
[0062]
 図12A-Dは、荷重偏り変動データ生成部332により生成された表示データの2次元平面上での描画を示す図である。図12Aは、良好な品質の被溶接品をもとに、生成された表示データの2次元平面上での描画を示す。また、図12B-Dは、溶接監視対象となる被溶接品をもとに、生成された表示データの2次元平面上での描画を示す。図12Aは、上記基準時間を基点(S;p0)として、一定時間ごとに終点(E;p5)まで、各点(p0-p4)を描画(プロット)する(黒丸印(●印)参照)。また、時間変化(振動)を、荷重偏り変動の軌跡11として描画する。なお、荷重偏り変動の軌跡11を、時間によって輝度や色を変化させて描画した画像を生成するようにしてもよい。時間変化のデータ間差異がより明確となり、溶接品質を評価することができる。
[0063]
 以上は、荷重偏り評価部231の振動モード分解部232が、データ収録手段120から各荷重センサ121の計測データを振動周波数の成分に分解し、x方向偏り抽出部233およびy方向偏り抽出部234が、前記式(1)に従って、x方向およびy方向の荷重偏りを算出する例である。前記式(1)を用いる例に代えて、前記図4および図7に示すように、対向する4つの荷重センサ131,141の組を複数設置した場合、それぞれの組から、図12B-Dに例示した荷重偏り変動の軌跡画像が得られる。
[0064]
 図13は、被溶接品の溶接品質を判定する監視時の処理を示すフローチャートである。図9に示すフローと同一処理には同一ステップ番号を付して重複箇所の説明を省略する。
 ステップS18で荷重偏り変動データを生成すると、ステップS31で、荷重偏り変動データ生成部332は、生成した荷重偏り変動データを2次元平面上で表示する表示データを生成する。例えば、図12Aに示すように、接合面と平行なx/y方向グラフ上に、基準時間を基点(S;p0)として、一定時間ごとに終点(E;p5)まで、ひずみ偏りの軌跡11と、各点(p0-p5)を描画する。
 これにより、荷重分布とその振動の時間変化(すなわち荷重偏り変動データ)を可視化して表示することができる。
[0065]
 ステップS32では、データ評価手段130の差異抽出部335は、溶接監視対象となる被溶接品の荷重偏り変動データを基準データ(良好な品質の被溶接品の荷重偏り変動データ)と比較し、時間変化(振動)が所定値より小さい場合、被溶接品の溶接品質が良好であると判定する。
 これにより、荷重分布とその振動の時間変化(すなわち荷重偏り変動データ)の基準データとの比較から被溶接品の溶接品質を評価することができる。
[0066]
<評価例>
 図12B-Dを参照して、被溶接品の溶接品質の評価例について説明する。
 ある被溶接品について荷重データを測定した結果、図12Bに示す表示データが得られたとする。図12Bに示す表示データの描画と、図12Aに示す上記基準データの描画とを比較した場合、両者の基準時間の基点(S;p0)から終点(E;p5)までの点(p0-p5)と、軌跡11とは互いに類似しているので、正常(溶接品質良好)と判定する。
 また、図12Cに示す表示データの描画と、図12Aに示す上記基準データの描画とを比較した場合、図12Cに示す表示データの荷重分布の振動が小さいため、このとき測定した被溶接品は、異常(溶接品質不良)と判定する。
 また、図12Dに示す表示データの描画と、図12Aに示す上記基準データの描画とを比較した場合、図12Dに示す表示データの荷重分布の振動が大きいため、このとき測定した被溶接品は、異常(溶接品質不良)と判定する。
[0067]
 上記類似判定手法には、下記がある。
(1)両者の、基点(S;p0)から各点(p0-p5)までの距離をそれぞれ比較し、それらの総和を取って偏差を求め、当該偏差が所定範囲に収まる場合は正常、収まらない場合は異常と判定する。
(2)両者の、軌跡11の内側の面積を算出し、算出した面積を比較して、当該面積の差値が所定範囲に収まる場合は正常、収まらない場合は異常と判定する。
(3)基準データのx/y方向グラフ上の軌跡11を基本パターンとして複数登録しておき、測定した被溶接品の前記パターンを、複数の前記基本パターンと比較するパターンマッチングを行って一致するパターンがある場合は正常、ない場合は異常と判定する。
[0068]
 例えば、上記類似判定手法(1)を採用した場合、図12Bの基点(p0)から点(p1)までの距離と、図12Aの基点(0)から点(p1)までの距離との差分を求める。同様に、基点(0)と各点(p1-p5)までの距離との差分をそれぞれ求め、これらの差分の総和を所定値と比較して正常/異常を判定する。
[0069]
 このように、第3実施形態によれば、荷重偏り変動データ生成部332が、荷重偏りの軌跡11画像(図12参照)を生成することで、大容量の溶接データのパターン分類を行うことができ、溶接品質の分類精度を向上させることができる。
[0070]
(第4の実施形態)
 図14は、本発明の第4の実施形態に係る溶接監視システムの構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
 図14に示すように、溶接監視システム400は、複数の被溶接品1を接合面で突き合わせて固定する把持部材110と、溶接プロセス中(溶接中)の荷重データを収録するデータ収録手段420と、データ収録手段420が収録した荷重データを分析・評価するデータ評価手段130と、を備える。
 データ収録手段420は、被溶接品一つ一つの個体を識別するための情報(個体識別情報)を得る個体識別部421と、把持部材110に印加される荷重を検知する複数の荷重センサ121と、被溶接品1(例えば図2の被溶接品1aと1b)の付き合わせ面11を加熱する出力を計測する溶接出力センサ122と、溶接出力センサ122の出力および荷重センサ121の荷重データを、連続的に収録する収録装置123と、を備える。
 個体識別部421は、例えば、外観の撮影や刻印によって個体識別情報を生成する。個体識別情報は、データ評価手段130に送信され、前記荷重偏り変動データと紐づけて記録装置133に記録される。
[0071]
 このように、第4実施形態によれば、溶接監視システム400が、個体識別部421を備えることで、溶接品質の判定精度を向上することができる。
 例えば、ある被溶接品が、製造プロセスでは識別できなかった特徴が後になって把握された場合、個体識別情報をもとに記録装置133に記録された荷重偏り変動データを見返すことで、以降の製造プロセスでの溶接品質判定にフィードバックすることができる。このフィードバックのプロセスを繰り返すことで、溶接品質判定精度を向上させることができる。
[0072]
(第5の実施形態)
 本発明の第5の実施形態に係る溶接監視システムについて説明する。
 本実施形態に係る溶接監視システムは、溶接品質に異常が検知された場合、製造ラインの関連機器、および現場監督者に異常発生を報知する報知プロセスの一例を示す。
 図15は、本発明の第5の実施形態に係る溶接監視システムの構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
 図15に示すように、溶接監視システム500は、図1の溶接監視システム100にさらに、異常通知手段501と、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブル論理制御装置)502,504と、生産システム全体を制御するMES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)503と、を備える。PLC502,504およびMES503は、製造ラインの関連機器である。
[0073]
 異常通知手段501は、差異抽出部135によって溶接品質に異常が検知された場合、製造ラインの関連機器、および現場監督者10に異常発生を報知する。
 溶接監視システム500は、検知された異常を、またPLC502,504を介して、生産システム全体を制御するMES503や携帯端末20に通知する。これにより、MES503異常検知時に必要な制御を実行することができる。
[0074]
 このように、第5実施形態によれば、差異抽出部135によって溶接品質の異常が検知された場合に、検知された異常を、PLC502,504を介してMES503や携帯端末20に通知することができ、生産ラインの稼働状況を制御することができる。
[0075]
 本発明は上記各実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。例えば、図16に示すように、実施形態の溶接監視システム(例えば図1の溶接監視システム100)を備える溶接装置Wとすることができる。
 また、例えば、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
[0076]
 また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。

符号の説明

[0077]
 100,200,300,400,500 溶接監視システム(接合監視システム)
 1,1a,1b 被溶接品(被接合品)
 11 付き合わせ面(接合面)
 110 把持部材
 110a 上部把持部材
 110b 下部把持部材
 120,420 データ収録手段
 121,121a~121d 荷重センサ
 122 溶接出力センサ(接合出力センサ)
 123 収録装置
 130,230,330 データ評価手段
 131,231 荷重偏り評価部
 131a~131d x方向荷重センサ
 141a~141d y方向荷重センサ
 132,332 荷重偏り変動データ生成部
 133 記録装置
 134 基準データ蓄積部
 135 差異抽出部
 231 荷重偏り評価部
 232 振動モード分解部
 233 x方向偏り抽出部
 234 y方向偏り抽出部
 421 個体識別部
 501 異常通知手段
 502,504 PLC
 503 MES
 W   溶接装置(接合装置)

請求の範囲

[請求項1]
 複数の被接合品を接合面で突き合わせて固定する把持部材に印加される荷重を検知する複数の荷重センサと、
 前記被接合品の前記接合面を加熱する接合手段の出力を計測する接合出力センサと、
 前記接合出力センサの出力および前記荷重センサの荷重データを、連続的に収録する収録装置と、
 前記収録装置に収録された前記荷重データをもとに、複数の前記被接合品同士が前記接合面上で均一に接触しないことによる荷重分布の偏りを荷重偏りデータとして算出する荷重偏り評価部と、
 前記収録装置に収録された前記接合出力センサの出力をもとに、接合中の基準時刻を設定するとともに、接合中の各時刻における荷重偏りデータに対し、前記基準時刻からの時間差を付与することで、荷重偏りの時間変動データである荷重偏り変動データを生成する荷重偏り変動データ生成部と、
 生成した前記荷重偏り変動データを記録する記録装置と、
 前記記録装置に記録された前記荷重偏り変動データをもとに、接合品質判定上の基準となる基準データを蓄積する基準データ蓄積部と、を備える
ことを特徴とする接合監視システム。
[請求項2]
 荷重偏り変動データを基準データと比較して差異を抽出する差異抽出部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の接合監視システム。
[請求項3]
 前記差異抽出部は、
 前記被接合品の接合品質の異常が検知された場合に報知する
ことを特徴とする請求項2に記載の接合監視システム。
[請求項4]
 前記荷重偏り評価部は、
 特定の振動周波数の振動モードを抽出する、および/または、荷重偏りをx軸方向とy軸方向とに分解する
ことを特徴とする請求項1に記載の接合監視システム。
[請求項5]
 前記被接合品の個体を識別する個体識別部を備え、
 前記基準データ蓄積部は、
 識別された個体識別情報と前記荷重偏り変動データとを組にして蓄積する
ことを特徴とする請求項1に記載の接合監視システム。
[請求項6]
 前記荷重偏り変動データ生成部は、
 算出された前記荷重偏りデータを可視化する表示データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の接合監視システム。
[請求項7]
 前記荷重偏り変動データ生成部は、
 算出された前記荷重偏りデータを2次元平面上に対応させ、その時間変化を線で繋いで荷重偏り変動の軌跡を表示する表示データを生成する
ことを特徴とする請求項1または請求項6に記載の接合監視システム。
[請求項8]
 請求項1から請求項7のいずれかに記載の接合監視システムを備えることを特徴とする接合装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5A]

[ 図 5B]

[ 図 6]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12A]

[ 図 12B]

[ 図 12C]

[ 図 12D]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]