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1. (WO2018186105) 冷媒漏れ検知装置、冷凍サイクル装置
Document

明 細 書

発明の名称 冷媒漏れ検知装置、冷凍サイクル装置 0001  

技術分野

0002  

背景技術

0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 冷媒漏れ検知装置、冷凍サイクル装置

関連出願への相互参照

[0001]
 本出願は、2017年4月5日に出願された日本出願番号2017-75521号に基づくものであって、ここにその記載内容を援用する。

技術分野

[0002]
 本開示は、冷媒漏れ検知装置、および当該冷媒漏れ検知装置を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に関する。

背景技術

[0003]
 蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置は、冷媒が循環する循環回路における冷媒の充填量が不足していると、冷却能力の低下等の不具合が生ずる。また、循環回路における冷媒の充填量が過剰となっていると、凝縮器における液冷媒の滞留や、圧縮機に液冷媒が吸入される等の不具合が生ずる。そこで、冷凍サイクル装置における冷媒の循環回路に対して、適正な量の冷媒を充填する方法が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2008-232579号公報

発明の概要

[0005]
 ところで、家屋やビル等の空調に利用される冷凍サイクル装置では、気密性の高い密閉型の圧縮機が採用され、各種配管が溶接によって接合されており、実質的に冷媒漏れが生じない構成となっている。
[0006]
 一方、車両等の移動体に搭載される冷凍サイクル装置では、メンテナンスの都合上、半密閉型または開放型の圧縮機を採用したり、移動体の移動時の振動を吸収するために循環回路の一部にゴム製の配管を採用したりする必要がある。この種の冷凍サイクル装置では、圧縮機や配管の一部からの微量の冷媒漏れ(いわゆる、スローリーク)が避けられない。
[0007]
 このため、移動体に搭載される冷凍サイクル装置では、設計時に、製品耐用年数やメンテナンスの期間内における冷媒の漏れ量を考慮し、予め冷媒の漏れ量を見込んだ量の冷媒を充填するのが一般的である。
[0008]
 ところが、予め冷媒の漏れ量を見込んだ量の冷媒を充填したとしても、実際の冷媒の漏れ量が、予め想定される量よりも大きくなる異常漏れが生ずると、循環回路における冷媒不足が生じてしまう。
[0009]
 ここで、特許文献1の如く、循環回路内の冷媒量を算出可能な構成では、現状の冷媒量と適正な冷媒量とを比較することができるので、冷媒が不足した冷媒不足状態であるか否かを判定可能となる。
[0010]
 しかしながら、冷媒不足状態を検知できたとしても、冷媒漏れが、スローリーク等の通常想定される冷媒漏れに起因するものなのか、異常漏れに起因するものなのかを特定することができない。
[0011]
 本開示は、冷媒漏れが異常漏れであるか否かを判定可能な冷媒漏れ検知装置および冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
[0012]
 本開示の1つの観点によれば、冷媒漏れ検知装置は、移動体(1)に搭載され、冷媒の循環回路(200)を有する蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(20)に適用されるものを対象としている。
[0013]
 冷媒漏れ検知装置は、
 循環回路を循環する冷媒の温度、圧力を含む物理量に基づいて、循環回路内の冷媒量を算出する冷媒量算出部(30a)と、
 冷媒量算出部で算出された冷媒量に基づいて、単位期間当たりの冷媒の漏れ量を示す冷媒漏れ勾配を算出する勾配算出部(30b)と、
 勾配算出部で算出された冷媒漏れ勾配を予め想定される予想漏れ勾配と比較して、循環回路における冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定する異常判定部(30c)と、
 を備える。
[0014]
 冷媒漏れ状態が異常漏れ状態となる場合、単位期間当たりの冷媒の漏れ量が大きくなる。このため、単位期間当たりの冷媒の漏れ量である冷媒漏れ勾配を算出し、当該冷媒漏れ勾配と予測漏れ勾配と比較することで、循環回路における冷媒の漏れ状態が、異常漏れ状態である否かを判定することができる。
[0015]
 ここで、冷凍サイクル装置における冷却能力の低下等の不具合は、異常漏れ状態が所定期間継続された後に生ずる。このため、異常漏れ状態を把握可能な構成では、冷凍サイクル装置における冷却能力の低下等の不具合を予防し易くなるといった利点がある。
[0016]
 本開示の別の観点によれば、冷凍サイクル装置は、移動体(1)に搭載されるものを対象としている。冷凍サイクル装置は、冷媒が循環する循環回路(200)と、循環回路からの冷媒の漏れを検知する冷媒漏れ検知装置(30)と、を備える。
[0017]
 冷媒漏れ検知装置は、
 循環回路を循環する冷媒の温度、圧力を含む物理量に基づいて、循環回路内の冷媒量を算出する冷媒量算出部(30a)と、
 冷媒量算出部で算出された冷媒量に基づいて、単位期間当たりの冷媒の漏れ量を示す冷媒漏れ勾配を算出する勾配算出部(30b)と、
 勾配算出部で算出された冷媒漏れ勾配を予め想定される予想漏れ勾配と比較して、循環回路からの冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定する異常判定部(30c)と、
 を含んで構成される。
[0018]
 これによると、冷媒漏れ検知装置によって異常漏れ状態を把握することができるので、冷凍サイクル装置における冷却能力の低下等の不具合を予防し易くなるといった利点がある。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 第1実施形態の冷凍サイクル装置が搭載された車両を示す模式図である。
[図2] 第1実施形態の冷凍サイクル装置の概略構成を示す模式図である。
[図3] 第1実施形態の冷媒漏れ検知装置の概略構成を示すブロック図である。
[図4] 冷凍サイクル装置における冷媒の状態を示すモリエル線図である。
[図5] 循環回路における冷媒量の経時的な変化を説明するための説明図である。
[図6] 第1実施形態の冷媒漏れ検知装置が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。
[図7] 第2実施形態の冷媒漏れ検知装置が実行する制御処理の流れを示すフローチャートである。

発明を実施するための形態

[0020]
 以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
[0021]
 (第1実施形態)
 本実施形態について、図1~図6を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態では、本開示の冷凍サイクル装置20が、移動体である自動車1に搭載された例について説明する。本実施形態の自動車1には、走行用の駆動源および冷凍サイクル装置20の駆動源として機能するエンジン10が搭載されている。
[0022]
 冷凍サイクル装置20は、自動車1の車室内空間を空調する車両用空調装置に適用されている。冷凍サイクル装置20は、車室内空間に吹き出す空気を所望の温度となるまで冷却する機能を果たす。
[0023]
 図2に示すように、冷凍サイクル装置20は、冷媒が循環する循環回路200、圧縮機21、放熱器22、減圧機器23、蒸発器24を含む蒸気圧縮式の冷凍サイクルとして構成されている。
[0024]
 冷凍サイクル装置20は、冷媒として、HFC系冷媒であるR134aが採用されている。なお、冷媒には、圧縮機21を潤滑するオイル(すなわち、冷凍機油)が混入されている。オイルの一部は、冷媒と共に循環回路200を循環する。
[0025]
 圧縮機21は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する機器である。圧縮機21は、往復動式の圧縮機構を含んで構成されている。なお、圧縮機21は、回転式の圧縮機構を含む構成となっていてもよい。
[0026]
 本実施形態の圧縮機21は、外部のエンジン10から出力される回転駆動力によって駆動される構成となっている。本実施形態の圧縮機21は、開放型の圧縮機として構成されている。具体的には、本実施形態の圧縮機21は、ハウジング211を貫通して外部に突き出たシャフト212が、エンジン10からの駆動力によって回転するように、プーリおよびベルト等の動力伝達機構213を介してエンジン10の出力軸10aに連結されている。
[0027]
 さらに、本実施形態の圧縮機21には、エンジン10からの回転駆動力の伝達をオン・オフする電磁クラッチ214が設けられている。本実施形態の圧縮機21は、電磁クラッチ214がオフされることで、その作動が停止される構成となっている。
[0028]
 ここで、本実施形態の圧縮機21は、シャフト212がハウジング211を貫通する部位が、メカニカルシールやリップシール等のシール部材215によってシールされている。シール部材215は、樹脂を含む高分子材料で構成されている。なお、高分子材料は、ガス透過性を有している。このため、圧縮機21では、ハウジング211内部の冷媒がシール部材215を介して徐々に外部に透過することがある。
[0029]
 続いて、放熱器22は、圧縮機21から吐出された高温高圧の冷媒を、室外送風機221から導入される外気、または、自動車1の走行時のラム圧によって導入される外気との熱交換によって放熱させる熱交換器である。本実施形態の放熱器22は、エンジンルームのうち、自動車1の走行時のラム圧によって外気が導入される前方部分に配置されている。放熱器22に流入した冷媒は、外気との熱交換によって凝縮する。なお、外気は、図2の破線矢印AFoで示すように、放熱器22を通過する。
[0030]
 続いて、減圧機器23は、放熱器22を通過した冷媒を減圧膨張させる膨張弁である。減圧機器23としては、例えば、蒸発器24の出口側の温度を所定温度に調整可能に構成された温度式膨張弁が採用されている。
[0031]
 続いて、蒸発器24は、減圧機器23で減圧された低温低圧の冷媒を、車室内空間へ空気を送風する室内送風機241から供給される送風空気との熱交換によって蒸発させる熱交換器である。室内送風機241から供給される送風空気は、図2の破線矢印AFcで示すように、蒸発器24を通過する。室内送風機241から供給される送風空気は、蒸発器24を通過する際に、冷媒の蒸発潜熱によって所望の温度となるまで冷却された後、車室内へ吹き出される。
[0032]
 続いて、循環回路200は、圧縮機21、放熱器22、減圧機器23、蒸発器24を複数の配管201~204により順次接続して構成される閉回路である。具体的には、循環回路200は、圧縮機21の冷媒吐出側と放熱器22の冷媒入口側とを接続する第1高圧配管201、放熱器22の冷媒出口側と減圧機器23の冷媒入口側とを接続する第2高圧配管202を含んで構成されている。また、循環回路200は、減圧機器23の冷媒出口側と蒸発器24の冷媒入口側とを接続する第1低圧配管203、蒸発器24の冷媒出口側と圧縮機21の冷媒吸入側とを接続する第2低圧配管204を含んで構成されている。
[0033]
 各高圧配管201、202および各低圧配管203、204は、基本的に金属製の配管で構成されている。但し、第1高圧配管201は、エンジン10や圧縮機21の振動を吸収するために、その一部が可撓性に優れた高分子材料(例えば、ゴム、樹脂)を含む第1高分子配管201aで構成されている。同様に、第2低圧配管204は、エンジン10や圧縮機21の振動を吸収するために、その一部が可撓性に優れた高分子材料(例えば、ゴム、樹脂)を含む第2高分子配管204aで構成されている。
[0034]
 各高分子配管201a、204aは、金属製の配管で構成された部位に比べて、ガス透過性が高いため、内部を流れる冷媒が徐々に外部に透過してしまうことがある。特に、第1高分子配管201aは、圧縮機21で圧縮された高圧の冷媒が流れることから、冷媒が外部に漏れ易い傾向がある。
[0035]
 本実施形態の冷凍サイクル装置20では、圧縮機21のシール部材215や、各高分子配管201a、204a等からの冷媒のスローリークが避けられない。このため、冷凍サイクル装置20は、冷媒漏れを検知する冷媒漏れ検知装置30を備えている。
[0036]
 図3に示す冷媒漏れ検知装置30は、プロセッサ、ROM、RAM等の記憶部31を有する周知のマイクロコンピュータ、およびその周辺回路を含んで構成されている。なお、冷媒漏れ検知装置30の記憶部31は、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
[0037]
 図3に示すように、冷媒漏れ検知装置30は、その入力側に外気温度を検出する外気温度センサ301、冷凍サイクル装置20を制御する空調制御装置40、エンジン10を制御するエンジン制御装置50等が接続されている。
[0038]
 冷媒漏れ検知装置30は、空調制御装置40が有する空調制御情報、およびエンジン制御装置50が有する走行制御情報が取得可能なように、空調制御装置40およびエンジン制御装置50に対して接続されている。
[0039]
 空調制御装置40は、その入力側に循環回路200を流れる冷媒の温度、圧力を検出する各種センサが接続されている。具体的には、空調制御装置40には、放熱器22から流出した高圧冷媒の圧力および温度を検出する高圧側圧力センサ41および高圧側温度センサ42が接続されている。また、空調制御装置40は、蒸発器24から流出した低圧冷媒の圧力および温度を検出する低圧側圧力センサ43および低圧側温度センサ44が接続されている。
[0040]
 本実施形態の冷媒漏れ検知装置30は、高圧側圧力センサ41、高圧側温度センサ42、低圧側圧力センサ43、低圧側温度センサ44が検出した情報を空調制御情報として空調制御装置40から取得可能となっている。
[0041]
 エンジン制御装置50は、その入力側に、エンジン10の回転数を検出する回転数センサ51、自動車1の走行速度を検出する車速センサ52等が接続されている。本実施形態の冷媒漏れ検知装置30は、回転数センサ51および車速センサ52が検出した情報をエンジン制御情報としてエンジン制御装置50から取得可能となっている。
[0042]
 ここで、冷凍サイクル装置20は、圧縮機21がエンジン10からの出力される回転駆動力によって駆動される構成となっている。このため、エンジン10の回転数は、冷凍サイクル装置20の圧縮機21に作動に大きく影響する因子となる。
[0043]
 また、冷凍サイクル装置20は、放熱器22が自動車1の走行時のラム圧によって外気導入される構成となっている。このため、自動車1の走行速度は、冷凍サイクル装置20における放熱器22の放熱量に影響する因子となる。
[0044]
 このように、回転数センサ51および車速センサ52で検出される情報は、自動車1の稼働状態のうち、冷凍サイクル装置20の作動に関連性を有する状態量となる。本実施形態では、回転数センサ51および車速センサ52で検出される情報が、移動体の稼働状態のうち、冷凍サイクル装置20の作動に関連性を有する移動体状態量に相当する。
[0045]
 冷媒漏れ検知装置30は、その出力側に、圧縮機21の電磁クラッチ214、ユーザに対して異常を報知する報知装置60等が接続されている。報知装置60は、図示しないが、冷凍サイクル装置20の各種異常情報を視覚的に表示する表示パネルを有している。報知装置60は、冷媒漏れ検知装置30から冷媒の異常漏れを示す異常信号が入力された際に、表示パネルに異常漏れを示す情報を表示する。なお、報知装置60は、異常情報を視覚的に報知する構成に限らず、異常情報を聴覚的に報知する構成となっていてもよい。
[0046]
 また、本実施形態の冷媒漏れ検知装置30は、自動車1に搭載された無線通信機70に接続されている。無線通信機70は、基地局80およびインターネット85を介して外部サーバ90と通信可能に構成されている。
[0047]
 本実施形態の冷媒漏れ検知装置30は、無線通信機70を介して、記憶部31に記憶された各種情報等を外部サーバ90に出力可能に構成されている。本実施形態では、外部サーバ90が外部のデータ蓄積装置として機能する。
[0048]
 このように構成された冷媒漏れ検知装置30は、入力側から入力された各種信号等を、予め記憶部31に記憶されたプログラムに従って演算処理し、当該演算処理の結果等に基づいて、出力側に接続された各種制御対象機器を制御する。
[0049]
 具体的には、冷媒漏れ検知装置30は、入力された情報から循環回路200内の冷媒量を算出すると共に、当該冷媒量から冷媒漏れ勾配を算出し、さらに、当該冷媒漏れ勾配に基づいて循環回路200からの冷媒の漏れが異常漏れであるか否かを判定する。
[0050]
 また、本実施形態の冷媒漏れ検知装置30は、冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態となった際に、出力側に接続された各種制御対象機器を用いて、当該異常漏れ状態に対する所定の対策を実行する。
[0051]
 さらに、本実施形態の冷媒漏れ検知装置30は、冷媒漏れが異常漏れであるか否かを判定する際に用いた各種情報等を、無線通信機70、インターネット85等を利用して外部サーバ90に出力する。
[0052]
 ここで、冷媒漏れ検知装置30には、各種演算処理を実行するハードウェアおよびソフトフェアで構成される処理実行部、各種制御対象機器を制御するハードウェアおよびソフトフェアで構成される制御部等が集約されている。
[0053]
 冷媒漏れ検知装置30には、循環回路200内の冷媒量を算出する冷媒量算出部30a、冷媒量算出部30aで算出された冷媒量から冷媒漏れ勾配を算出する勾配算出部30bが集約されている。なお、冷媒漏れ勾配は、単位期間当たりの冷媒の漏れ量を示している。
[0054]
 また、冷媒漏れ検知装置30には、循環回路200からの冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定する異常判定部30c、異常漏れ状態となった際に所定の対策を実行する対策実行部30dが集約されている。
[0055]
 さらに、冷媒漏れ検知装置30には、冷媒漏れが異常漏れであるか否かを判定する際に用いた各種情報等を、無線通信機70等を利用して外部サーバ90に出力する出力部30eが集約されている。
[0056]
 次に、本実施形態の冷凍サイクル装置20の作動について、図4を参照して説明する。エンジン10が稼働した状態で車両用空調装置の運転が開始されると、空調制御装置40が、電磁クラッチ214をオンして圧縮機21を作動させる。
[0057]
 これにより、図4の実線で示すように、圧縮機21から吐出された冷媒(すなわち、図4のA1点)は、放熱器22に流入し、放熱器22において外気との熱交換によって放熱される(すなわち、図4のA1点→A2点)。
[0058]
 放熱器22から流出した冷媒(すなわち、図4のA2点)は、減圧機器23に流入し、減圧機器23において所定の圧力となるまで減圧膨張される(すなわち、図4のA2点→A3点)。
[0059]
 減圧機器23から流出した冷媒(すなわち、図4のA3点)は、蒸発器24に流入し、蒸発器24において車室内への送風空気から吸熱して蒸発する(すなわち、図4のA3点→A4点)。これにより、車室内への送風空気が冷却される。そして、蒸発器24から流出した冷媒(すなわち、図4のA4点)は、圧縮機21の冷媒吸入側へと流れて、再び圧縮機21で圧縮される(すわなち、図4のA4点→A1点)。
[0060]
 ここで、冷凍サイクル装置20では、循環回路200内の冷媒量が減少すると、図4の破線で示すように、圧縮機21に吸入される低圧冷媒の圧力が低下し、蒸発器24の冷媒出口側における冷媒の過熱度SHが大きくなる(すなわち、図4のA4点→B4点)。本発明者らの知見によれば、低圧冷媒の圧力の低下量ΔPLおよび冷媒の過熱度SHの増加量ΔSHは、循環回路200内の冷媒量が減少するにつれて大きくなる傾向がある。
[0061]
 また、冷媒量の減少によって圧縮機21に吸入される冷媒の圧力が低下すると、圧縮機21から吐出される高圧冷媒の圧力が低下すると共に、放熱器22の冷媒出口側における冷媒の過冷却度SCが小さくなる(すなわち、図4のA2点→B2点)。本発明者らの知見によれば、高圧冷媒の圧力の低下量ΔPHは、循環回路200内の冷媒量が減少するにつれて大きくなる傾向がある。また、冷媒の過冷却度SCの減少量ΔSCは、循環回路200内の冷媒量が減少するにつれて大きくなる傾向がある。
[0062]
 このように、冷凍サイクル装置20では、循環回路200における冷媒量と、循環回路200における冷媒の温度および圧力との間に強い相関性がある。
[0063]
 次に、本実施形態の冷凍サイクル装置20における冷媒量の継時的な変化について図5を参照して説明する。前述したように、本実施形態の冷凍サイクル装置20は、循環回路200の一部に冷媒の透過性を有する配管が採用されると共に、開放型の圧縮機21が採用されているため、冷媒のスローリークが避けられない。すなわち、本実施形態の冷凍サイクル装置20では、図5の実線で示すように、循環回路200における冷媒量Caが経時的に減少する。
[0064]
 ここで、図5の破線で示すように、循環回路200からの冷媒の漏れ量が、予め想定される冷媒漏れ量よりも大きくなる異常漏れが発生すると、循環回路200の冷媒量Caが想定されるよりも早く許容下限値Cathに達してしまう。すなわち、循環回路200における冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態となると、循環回路200における冷媒不足が生じてしまう。
[0065]
 これに対して、循環回路200内における現状の冷媒量Caを算出し、当該冷媒量Caを許容下限値Cathと比較することで、冷媒が不足した冷媒不足状態であるか否かを判定することができる。
[0066]
 しかしながら、仮に冷媒不足状態を検知できたとしても、冷媒漏れが、スローリーク等の通常想定される冷媒漏れに起因するものなのか、異常漏れに起因するものなのかを切り分けることができない。
[0067]
 図5で示すように、冷媒漏れ状態が異常漏れ状態となる場合の単位期間(例えば、1日)当たりの冷媒の漏れ量Csfは、冷媒漏れ状態がスローリーク等の正常漏れ状態となる場合の冷媒の漏れ量Cssに比べて大きくなる。
[0068]
 これらを考慮して、本実施形態の冷媒漏れ検知装置30は、単位期間当たりの冷媒の漏れ量である冷媒漏れ勾配を算出し、当該冷媒漏れ勾配と予測漏れ勾配と比較することで、循環回路における冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態である否かを判定する構成となっている。
[0069]
 以下、本実施形態の冷媒漏れ検知装置30における具体的な冷媒の漏れ検知処理について説明する。冷媒漏れ検知装置30は、冷凍サイクル装置20が作動している際に、冷媒漏れを検知する制御処理を実行する。本実施形態では、冷媒漏れ検知装置30が実行する制御処理の概要について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。図6に示す制御処理の各制御ステップは、冷媒漏れ検知装置30が実行する各種機能を実現する機能実現部を構成している。
[0070]
 図6に示すように、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS100で、入力側に接続された外気温度センサ301、空調制御装置40、エンジン制御装置50等から各種信号を取得する。そして、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS110で、ステップS100において取得した各種信号に基づいて冷媒量Caを算出する。この際、冷媒漏れ検知装置30は、冷媒量Caを記憶部31に記憶する。
[0071]
 前述したように、冷凍サイクル装置20では、循環回路200における冷媒量Caと、循環回路200における冷媒の温度および圧力との間に強い相関性がある。このため、冷媒漏れ検知装置30は、循環回路200における冷媒量Caを、循環回路200における冷媒の温度、圧力といった物理量に基づいて算出する。
[0072]
 具体的には、冷媒漏れ検知装置30は、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、並びに、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力を所定の算出式に代入して、冷媒量Caを算出する。
[0073]
 冷媒量Caの算出式としては、例えば、冷媒量Caを目的変数とし、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、並びに、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力を説明変数とする回帰分析によって得られた回帰式を採用することができる。
[0074]
 ここで、前述したように、冷媒量Caは、放熱器22の冷媒出口側における過冷却度SC、および蒸発器24の冷媒出口側における過熱度SHとの間にも強い相関性を有する。このため、冷媒量Caの算出式は、過冷却度SCおよび過熱度SHが説明変数として追加された回帰式を採用することが望ましい。なお、放熱器22の冷媒出口側における過冷却度SCは、冷媒の蒸気圧曲線、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力から算出することができる。また、蒸発器24の冷媒出口側における過熱度SHは、冷媒の蒸気圧曲線、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力から算出することができる。
[0075]
 また、放熱器22の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、並びに、蒸発器24の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力は、外気温度、自動車1の走行速度、エンジン10の回転数等の変動によって変化する。
[0076]
 このため、冷媒量Caの算出式は、外気温度、自動車1の走行速度、エンジン10の回転数が説明変数として追加された回帰式を採用することが望ましい。すなわち、冷媒漏れ検知装置30は、冷凍サイクル装置20の周囲の環境情報である外気温度や、自動車1の稼働状態を示す自動車1の走行速度、エンジン10の回転数を含む状態量に基づいて、冷媒量Caを算出する構成となっていることが望ましい。これによると、冷媒漏れ検知装置30における冷媒量Caの算出精度の向上を図ることができる。
[0077]
 続いて、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS120で、ステップS110において算出した冷媒量Caに基づいて、単位期間(例えば、1日)当たりの冷媒の漏れ量を示す冷媒漏れ勾配Csを算出する。具体的には、冷媒漏れ検知装置30は、前日に算出した冷媒量Caから今回算出した冷媒量Caを減算した値を冷媒漏れ勾配Csとして算出する。
[0078]
 ここで、前日に冷媒量Caを複数回算出している場合、冷媒漏れ検知装置30は、例えば、前日に算出した冷媒量Caの平均値、または、冷媒量Caの最大値から今回算出した冷媒量Caを減算した値を冷媒漏れ勾配Csとして算出する構成となっていてもよい。
[0079]
 また、前日に冷媒量Caを算出していない場合、冷媒漏れ検知装置30は、例えば、前回の冷媒量Caから今回の冷媒量Caを減算し、その減算値を、前回冷媒量Caを算出してから経過日数で除算した値を冷媒漏れ勾配Csとして算出する構成となっていてもよい。
[0080]
 続いて、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS130で、本制御処理で算出したデータを、無線通信機70等を利用して外部サーバ90に出力する。具体的には、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS110で算出した冷媒量CaおよびステップS120で算出した冷媒漏れ勾配Csを、冷媒量Caの算出に利用した物理量に関連付けた状態で、無線通信機70等を利用して外部サーバ90に出力する。
[0081]
 続いて、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS140で、ステップS120において算出した冷媒漏れ勾配Csが、予め想定される予想漏れ勾配Csth以下であるか否かを判定する。予想漏れ勾配Csthは、スローリーク等の通常の冷媒漏れが生ずる際の冷媒漏れ勾配であり、予め設定された値となっている。
[0082]
 ステップS140の判定処理の結果、冷媒漏れ勾配Csが予想漏れ勾配Csth以下となる場合、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS150で、冷媒の漏れ状態を正常漏れ状態に設定する。
[0083]
 そして、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS160で、冷媒量Caが予め設定された許容下限値Cathを上回っているか否かを判定する。許容下限値Cathは、予め設定された基準冷媒量であり、例えば、冷凍サイクル装置20の作動(例えば、冷却能力)に影響が生じ始める冷媒量に設定される。
[0084]
 ステップS160の判定処理の結果、冷媒量Caが予め設定された許容下限値Cathを上回っている場合、冷媒漏れによる不具合が生じないと考えられるため、冷媒漏れ検知装置30は、本制御処理を抜ける。
[0085]
 また、ステップS160の判定処理の結果、冷媒量Caが予め設定された許容下限値Cath以下となる場合、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS170で、冷凍サイクル装置20の作動を制限する作動制限処理を実行する。この作動制限処理では、電磁クラッチ214をオフして、冷凍サイクル装置20の作動を停止させる。これによれば、冷媒不足によって冷凍サイクル装置20に生ずる各種不具合を抑制することができる。
[0086]
 一方、ステップS140の判定処理の結果、冷媒漏れ勾配Csが予想漏れ勾配Csthよりも大きい場合、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS180で、冷媒の漏れ状態を異常漏れ状態に設定する。
[0087]
 そして、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS190で、報知装置60によって冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態となっている旨をユーザに対して報知する報知処理を実行する。具体的には、冷媒漏れ検知装置30は、報知装置60に対して冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態となっていることを示す異常信号を出力する。この報知処理では、異常漏れ状態となっていることに加えて、冷媒の漏れ箇所の調査を注意喚起する情報を報知装置60によってユーザに報知することが望ましい。
[0088]
 以上説明した冷媒漏れ検知装置30は、単位期間当たりの冷媒の漏れ量である冷媒漏れ勾配Csを算出し、当該冷媒漏れ勾配Csが予想漏れ勾配Csthと比較することで、循環回路200における冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定する。
[0089]
 冷凍サイクル装置20における冷却能力の低下等の不具合は、異常漏れ状態が所定期間継続された後に生ずる。このため、異常漏れ状態を把握可能な構成では、冷凍サイクル装置20における冷却能力の低下等の不具合を予防し易くなるといった利点がある。
[0090]
 具体的には、冷媒漏れ検知装置30は、冷媒漏れ勾配Csが予想漏れ勾配Csthよりも大きい場合に異常漏れ状態であると判定し、冷媒漏れ勾配Csが予想漏れ勾配Csth以下の場合に正常漏れ状態であると判定する構成となっている。これによると、冷媒の漏れ状態を、正常漏れ状態と異常漏れ状態とに切り分けることができるので、冷凍サイクル装置20における冷却能力の低下等の不具合を予防し易くなる。
[0091]
 また、冷媒漏れ検知装置30は、異常漏れ状態に対する対策として、報知装置60によって冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態となっている旨をユーザに対して報知する報知処理を実行する構成となっている。このように、異常漏れ状態をユーザに対して報知する構成では、冷凍サイクル装置20の異常な作動が生ずる前に、冷媒漏れ対策の実施をユーザに注意喚起することが可能となる。
[0092]
 さらに、冷媒漏れ検知装置30は、冷媒量Caおよび冷媒漏れ勾配Csを、冷媒量Caの算出に利用した物理量に関連付けた状態で、無線通信機70等を利用して外部サーバ90に出力する構成となっている。これによれば、冷媒漏れ検知装置30で算出した冷媒量Ca、冷媒漏れ勾配Csを、冷媒量Caの算出に用いた物理量に関連付けた状態で、データ蓄積装置を構成する外部サーバ90に対して蓄積することができる。これによると、例えば、外部の外部サーバ90に蓄積されたデータを、自動車1に搭載された冷凍サイクル装置20における冷媒量Caが変化する傾向の把握等に有効活用することができる。
[0093]
 (第2実施形態)
 次に、第2実施形態について、図7を参照して説明する。本実施形態では、冷媒漏れ検知装置30が実行する制御処理の内容が第1実施形態と相違している。その他の構成については、基本的に第1実施形態と同様である。このため、本実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
[0094]
 本実施形態の冷媒漏れ検知装置30は、図6で示した制御処理に代えて図7に示す制御処理を実行する。なお、図7に示す各ステップのうち、図6で示したステップと同じ符号が付されたステップは、特に言及しない限り、同じ処理内容となっている。
[0095]
 図7に示すように、ステップS140の判定処理の結果、冷媒漏れ勾配Csが予想漏れ勾配Csthよりも大きい場合、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS200で、冷媒量Caが予め設定された許容下限値Cathを上回っているか否かを判定する。許容下限値Cathは、予め設定された基準冷媒量であり、例えば、冷凍サイクル装置20の作動(例えば、冷却能力)に影響が生じ始める冷媒量に設定される。
[0096]
 ステップS200の判定処理の結果、冷媒量Caが予め設定された許容下限値Cathを上回っている場合、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS210で、異常漏れ状態を初期異常状態に設定する。この初期異常状態は、冷凍サイクル装置20の異常な作動が生ずる前の異常漏れ状態を示している。
[0097]
 そして、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS220で、報知装置60によって異常漏れ状態が初期異常状態となっている旨をユーザに対して報知する報知処理を実行する。具体的には、冷媒漏れ検知装置30は、報知装置60に対して異常漏れ状態が初期異常状態となっていることを示す異常信号を出力する。この報知処理では、初期異常漏れ状態となっていることに加えて、冷媒の漏れ箇所の調査を注意喚起する情報を報知装置60によってユーザに報知することが望ましい。
[0098]
 一方、ステップS200の判定処理の結果、冷媒量Caが予め設定された許容下限値Cath以下となる場合、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS230で、異常漏れ状態を末期異常状態に設定する。この末期異常状態は、冷凍サイクル装置20の異常な作動が生ずる異常漏れ状態を示している。
[0099]
 そして、冷媒漏れ検知装置30は、ステップS240で、冷凍サイクル装置20の作動を制限する作動制限処理を実行する。この作動制限処理では、電磁クラッチ214をオフして、冷凍サイクル装置20の作動を停止させる。
[0100]
 以上説明した冷媒漏れ検知装置30は、異常漏れ状態を、冷凍サイクル装置20の作動に異常が生ずる前の初期異常状態と冷凍サイクル装置20の作動に異常が生ずる末期異常状態とに切り分けることができる。
[0101]
 そして、冷媒漏れ検知装置30は、異常漏れ状態が初期異常状態となる場合に初期異常状態である旨をユーザに対して報知する構成となっているので、冷凍サイクル装置20の異常な作動が生ずる前に、冷媒漏れ対策の実施を注意喚起することができる。
[0102]
 また、冷媒漏れ検知装置30は、異常漏れ状態が末期異常状態となる場合に冷凍サイクル装置20の作動を制限する構成となっているので、冷媒不足によって冷凍サイクル装置20に生ずる各種不具合を抑制することができる。
[0103]
 (他の実施形態)
 以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
[0104]
 上述の各実施形態では、冷媒量Caを回帰分析によって得られた回帰式を用いて算出する例について説明したが、これに限定されない。冷媒漏れ検知装置30は、冷媒量Caを回帰分析以外の手法によって得られた算出式や、冷媒量Caと冷媒の温度および圧力との関係を規定した制御マップを用いて算出する構成となっていてもよい。
[0105]
 上述の第1実施形態では、冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態となった際に、異常漏れ状態をユーザに対して報知する報知処理を実行する例について説明したが、これに限定されない。冷媒漏れ検知装置30は、例えば、冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態となった際に、冷凍サイクル装置20の作動を制限する作動制限処理を実行する構成となっていてもよい。
[0106]
 また、上述の各実施形態では、作動制限処理として、電磁クラッチ214をオフして冷凍サイクル装置20の作動を停止させる処理を実行する例について説明したが、これに限定されない。作動制限処理は、例えば、高圧冷媒の圧力が所定の基準圧力を上回った場合に電磁クラッチ214をオフし、高圧冷媒の圧力が基準圧力以下の場合に電磁クラッチ214をオンする縮退処理となっていてもよい。これによると、冷凍サイクル装置20の負荷が低い状態では、冷凍サイクル装置20の作動を継続させることができるので、車室内の空調を継続させつつ、冷凍サイクル装置20の各種不具合の発生を抑制することが可能となる。
[0107]
 上述の各実施形態では、冷媒漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定する前の段階で、冷媒量Ca、冷媒漏れ勾配Cs等を外部サーバ90に出力する例について説明したが、これに限定されない。冷媒漏れ検知装置30は、冷媒漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定した後に、冷媒量Ca、冷媒漏れ勾配Cs等を外部サーバ90に出力する構成となっていてもよい。なお、上述の各実施形態の如く、冷媒量Ca、冷媒漏れ勾配Cs等を外部サーバ90に出力する構成となっていることが望ましいが、これに限定されない。冷媒漏れ検知装置30は、例えば、冷媒量Ca、冷媒漏れ勾配Cs等を記憶部31に記憶し、外部サーバ90に出力しない構成となっていてもよい。
[0108]
 上述の各実施形態では、外部のエンジン10から出力される回転駆動力によって駆動される圧縮機21を例示したが、これに限定されない。圧縮機21は、例えば、外部の電動機から出力される回転駆動力によって駆動される構成となっていてもよい。
[0109]
 上述の各実施形態では、冷凍サイクル装置20が、移動体である自動車1に搭載された例について説明したが、これに限定されない。冷凍サイクル装置20は、例えば、鉄道車両や、トレーラのような移動体に搭載されていてもよい。
[0110]
 上述の各実施形態では、循環回路200に充填される冷媒として、HFC系冷媒であるR134aが採用された例について説明したが、これに限定されない。冷媒としては、例えば、地球温暖化係数GWPが低いR1234yfが採用されていてもよい。
[0111]
 上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
[0112]
 上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
[0113]
 上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
[0114]
 (まとめ)
 上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、冷媒漏れ検知装置は、循環回路を循環する冷媒の温度、圧力を含む物理量に基づいて、循環回路内の冷媒量を算出する。冷媒漏れ検知装置は、算出した冷媒量に基づいて、単位期間当たりの冷媒の漏れ量を示す冷媒漏れ勾配を算出し、当該冷媒漏れ勾配を予め想定される予想漏れ勾配と比較して、循環回路における冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定する。
[0115]
 第2の観点によれば、冷媒漏れ検知装置は、異常判定部が、勾配算出部で算出された冷媒漏れ勾配が予想漏れ勾配よりも大きい場合に、漏れ状態が異常漏れ状態であると判定する構成となっている。そして、冷媒漏れ検知装置は、異常判定部が、勾配算出部で算出された冷媒漏れ勾配が予想漏れ勾配以下の場合に、漏れ状態が正常漏れ状態であると判定する構成となっている。これによると、冷媒の漏れ状態を、正常漏れ状態と異常漏れ状態とに切り分けることができるので、冷凍サイクル装置における冷却能力の低下等の不具合を予防し易くなる。
[0116]
 第3の観点によれば、冷媒漏れ検知装置は、異常漏れ状態に対する所定の対策を実行する対策実行部を備える。そして、対策実行部は、異常判定部にて漏れ状態が異常漏れ状態と判定された場合に、少なくとも異常漏れ状態を報知装置によってユーザに報知する報知処理を実行する。このように、異常漏れ状態をユーザに対して報知する構成では、冷凍サイクル装置の異常な作動が生ずる前に、冷媒漏れ対策の実施をユーザに注意喚起することが可能となる。
[0117]
 第4の観点によれば、冷媒漏れ検知装置は、異常判定部が、勾配算出部で算出された冷媒漏れ勾配が予想漏れ勾配よりも大きく、且つ、冷媒量が予め定められた基準冷媒量を上回っている場合に、異常漏れ状態が初期異常状態であると判定する構成となっている。また、冷媒漏れ検知装置は、異常判定部が、勾配算出部で算出された冷媒漏れ勾配が予想漏れ勾配よりも大きく、且つ、冷媒量が基準冷媒量以下となる場合に、異常漏れ状態が末期異常状態であると判定する構成となっている。これによると、異常漏れ状態を、冷凍サイクル装置の作動に異常が生ずる前の初期異常状態と冷凍サイクル装置の作動に異常が生ずる末期異常状態とに切り分けることができる。
[0118]
 第5の観点によれば、冷媒漏れ検知装置は、異常漏れ状態に対する所定の対策を実行する対策実行部を備える。対策実行部は、異常判定部にて異常漏れ状態が初期異常状態と判定された場合に、異常漏れ状態を報知装置によってユーザに報知する報知処理を実行する。そして、異常判定部にて異常漏れ状態が末期異常状態と判定された場合に、冷凍サイクル装置の作動を制限する作動制限処理を実行する。
[0119]
 このように、異常漏れ状態が初期異常状態となる場合に、初期異常状態をユーザに対して報知する構成では、冷凍サイクル装置の異常な作動が生ずる前に、冷媒漏れ対策の実施を注意喚起することが可能となる。また、異常漏れ状態が末期異常状態となる場合に、冷凍サイクル装置の作動を制限する構成では、冷媒不足によって冷凍サイクル装置に生ずる各種不具合を抑制することができる。
[0120]
 第6の観点によれば、冷媒漏れ検知装置は、物理量に、移動体の稼働状態のうち、冷凍サイクル装置の作動に関連性を有する移動体状態量が含まれている。これによると、冷媒量算出部における冷媒量の算出精度の向上を図ることができる。
[0121]
 第7の観点によれば、冷媒漏れ検知装置は、冷媒量算出部で算出された冷媒量、および勾配算出部で算出された冷媒漏れ勾配を物理量に関連付けた状態で外部のデータ蓄積装置に出力する出力部を備える。
[0122]
 これによれば、冷媒漏れ検知装置で算出した冷媒量、冷媒漏れ勾配量を、冷媒量の算出に用いた物理量に関連付けた状態で、外部のデータ蓄積装置に対して蓄積することができる。これによると、例えば、外部のデータ蓄積装置に蓄積されたデータを、移動体に搭載された冷凍サイクル装置における冷媒量が変化する傾向の把握等に有効活用することができる。
[0123]
 第8の観点によれば、冷媒漏れ検知装置は、冷凍サイクル装置が、圧縮機、放熱器、減圧機器、蒸発器を含んで構成されている。そして、冷媒量算出部は、少なくとも放熱器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、蒸発器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力に基づいて冷媒量を算出する。
[0124]
 このように、冷媒量に強い相関性を有する放熱器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、蒸発器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力に基づいて冷媒量を算出する構成とすれば、冷媒量算出部にて精度よく冷媒量を算出することができる。
[0125]
 上述の実施形態の一部または全部で示された第9の観点によれば、冷凍サイクル装置は、冷媒が循環する循環回路と、循環回路からの冷媒の漏れを検知する冷媒漏れ検知装置と、を備える。そして、冷媒漏れ検知装置は、単位期間当たりの冷媒の漏れ量を示す冷媒漏れ勾配を算出し、当該冷媒漏れ勾配を予め想定される予想漏れ勾配と比較して、循環回路における冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定する。

請求の範囲

[請求項1]
 移動体(1)に搭載され、冷媒の循環回路(200)を有する蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(20)に適用される冷媒漏れ検知装置であって、
 前記循環回路を循環する冷媒の温度、圧力を含む物理量に基づいて、前記循環回路内の冷媒量を算出する冷媒量算出部(30a)と、
 前記冷媒量算出部で算出された冷媒量に基づいて、単位期間当たりの冷媒の漏れ量を示す冷媒漏れ勾配を算出する勾配算出部(30b)と、
 前記勾配算出部で算出された前記冷媒漏れ勾配を予め想定される予想漏れ勾配と比較して、前記循環回路における冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定する異常判定部(30c)と、
 を備える冷媒漏れ検知装置。
[請求項2]
 前記異常判定部は、前記勾配算出部で算出された前記冷媒漏れ勾配が前記予想漏れ勾配よりも大きい場合に、前記漏れ状態が前記異常漏れ状態であると判定し、前記勾配算出部で算出された前記冷媒漏れ勾配が前記予想漏れ勾配以下の場合に、前記漏れ状態が正常漏れ状態であると判定する請求項1に記載の冷媒漏れ検知装置。
[請求項3]
 前記異常漏れ状態に対する所定の対策を実行する対策実行部(30d)を備え、
 前記対策実行部は、前記異常判定部にて前記漏れ状態が前記異常漏れ状態と判定された場合に、少なくとも前記異常漏れ状態を報知装置(60)によってユーザに報知する報知処理を実行する請求項1または2に記載の冷媒漏れ検知装置。
[請求項4]
 前記異常判定部は、
 前記勾配算出部で算出された前記冷媒漏れ勾配が前記予想漏れ勾配よりも大きく、且つ、前記冷媒量が予め定められた基準冷媒量を上回っている場合に、前記異常漏れ状態が初期異常状態であると判定し、
 前記勾配算出部で算出された前記冷媒漏れ勾配が前記予想漏れ勾配よりも大きく、且つ、前記冷媒量が前記基準冷媒量以下となる場合に、前記異常漏れ状態が末期異常状態であると判定する請求項1または2に記載の冷媒漏れ検知装置。
[請求項5]
 前記異常漏れ状態に対する所定の対策を実行する対策実行部(30d)を備え、
 前記対策実行部は、
 前記異常判定部にて前記異常漏れ状態が前記初期異常状態と判定された場合に、前記異常漏れ状態を報知装置(60)によってユーザに報知する報知処理を実行し、
 前記異常判定部にて前記異常漏れ状態が前記末期異常状態と判定された場合に、前記冷凍サイクル装置の作動を制限する作動制限処理を実行する請求項4に記載の冷媒漏れ検知装置。
[請求項6]
 前記物理量には、前記移動体の稼働状態のうち、前記冷凍サイクル装置の作動に関連性を有する移動体状態量が含まれている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の冷媒漏れ検知装置。
[請求項7]
 前記冷媒量算出部で算出された前記冷媒量、および前記勾配算出部で算出された前記冷媒漏れ勾配を前記物理量に関連付けた状態で外部のデータ蓄積装置(90)に出力する出力部(30e)を備える請求項1ないし6のいずれか1つに記載の冷媒漏れ検知装置。
[請求項8]
 前記冷凍サイクル装置は、圧縮機(21)、放熱器(22)、減圧機器(23)、蒸発器(24)を含んで構成されており、
 前記冷媒量算出部は、少なくとも前記放熱器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力、前記蒸発器の冷媒出口側の冷媒の温度および圧力に基づいて前記冷媒量を算出する請求項1ないし7のいずれか1つに記載の冷媒漏れ検知装置。
[請求項9]
 移動体(1)に搭載される蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置であって、
 冷媒が循環する循環回路(200)と、
 前記循環回路からの冷媒の漏れを検知する冷媒漏れ検知装置(30)と、を備え、
 前記冷媒漏れ検知装置は、
 前記循環回路を循環する冷媒の温度、圧力を含む物理量に基づいて、前記循環回路内の冷媒量を算出する冷媒量算出部(30a)と、
 前記冷媒量算出部で算出された冷媒量に基づいて、単位期間当たりの冷媒の漏れ量を示す冷媒漏れ勾配を算出する勾配算出部(30b)と、
 前記勾配算出部で算出された冷媒漏れ勾配を予め想定される予想漏れ勾配と比較して、前記循環回路からの冷媒の漏れ状態が異常漏れ状態であるか否かを判定する異常判定部(30c)と、
 を含んで構成される冷凍サイクル装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]