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1. (WO2018186070) 車両動力源騒音低減装置
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明 細 書

発明の名称 車両動力源騒音低減装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

図面の簡単な説明

0024  

発明を実施するための形態

0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098  

符号の説明

0099  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15  

明 細 書

発明の名称 : 車両動力源騒音低減装置

技術分野

[0001]
 本発明は、車両動力源騒音低減装置に関し、特に、車両動力源から放射される騒音を低減する車両動力源騒音低減装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、車両動力源から放射される騒音を低減する車両動力源騒音低減装置が知られている。このような車両動力源騒音低減装置は、たとえば、特開平2-306845号公報に開示されている。
[0003]
 特開平2-306845号公報には、車両の操縦を行う運転者の耳元(受聴点)においてエンジンの爆発に起因する騒音を低減する、車室内騒音の低減装置が開示されている。この車室内騒音の低減装置は、車室内に設けられたスピーカと、受聴点における騒音を低減するように音の位相および音圧を調整して、スピーカに出力する制御手段を備えている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平2-306845号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特開平2-306845号公報に記載された車室内騒音の低減装置では、受聴点での室内騒音成分を低減することが可能である一方、受聴点以外の場所では、スピーカから発せられる音と、エンジンに起因する騒音とが打ち消し合わずに、逆に強め合う場所が生じてしまうという不都合がある。このため、車両外部(車外)の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことができないという問題点がある。
[0006]
 この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことが可能な車両動力源騒音低減装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0007]
 上記目的を達成するために、この発明の一の局面における車両動力源騒音低減装置は、車両を駆動させるための車両動力源の外表面近傍に配置され、車両動力源から放射される騒音を低減する、騒音とは逆位相のキャンセル音を発生させる音波発生部を含む複数のスピーカを備え、複数のスピーカは、各々、車両動力源から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置されている。
[0008]
 この発明の一の局面による車両動力源騒音低減装置では、上記のように、複数のスピーカを車両動力源の外表面近傍に配置するとともに、複数のスピーカを、各々、車両動力源から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置する。これにより、車両動力源の外表面から離間した位置に配置されたスピーカからキャンセル音が発生する場合と異なり、スピーカと車両動力源とが互いに近傍に配置され、かつ、キャンセル音と騒音との放射方向が略等しくなるので、キャンセル音と騒音との間に大きな位相差が生じるのを抑制することができる。この結果、キャンセル音と騒音とが強め合う場所が生じるのを抑制することができるので、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことができる。
[0009]
 さらに、上記一の局面による車両動力源騒音低減装置では、複数のスピーカを、各々、車両動力源から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置する。これにより、指向性のあるスピーカであっても複数設けられることによって、車両動力源の騒音の放射方向に沿った大部分の方向にキャンセル音を放射することができる。この結果、騒音が低減されない領域が生じるのを抑制することができるので、これによっても、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことができる。
[0010]
 上記一の局面による車両動力源騒音低減装置において、好ましくは、複数のスピーカは、各々、騒音の放射方向のうち、車両の車内に向かう方向以外の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置されている。なお、「車内」とは、車両に形成された、運転者および搭乗者などの乗員が乗車する室内空間を意味し、エンジンなどの車両動力源が配置される収容空間とは、異なる空間である。
[0011]
 ここで、一般的な車両では、車両動力源と車内とは防音性能を有する壁部で仕切られているので、車内に向かう放射方向に放射される騒音は、スピーカにより低減させなくてもスピーカ以外の壁部により十分に低減することができる。これにより、車両の車内に向かう方向以外の放射方向のみにキャンセル音を放射するように、複数のスピーカを各々配置することによって、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行いつつ、車両動力源騒音低減装置の装置構成を容易に簡素化することができる。
[0012]
 上記一の局面による車両動力源騒音低減装置において、好ましくは、音波発生部は、車両動力源の外表面から、騒音の最大周波数に対応する最小波長の1/4の距離未満の範囲内に配置されている。
[0013]
 このように構成すれば、キャンセル音と騒音との間に大きな位相差が生じるのを確実に抑制することができるので、キャンセル音と騒音とが強め合う場所が生じるのを確実に抑制することができる。これにより、車外の広範な領域において、騒音の低減をより十分に行うことができる。
[0014]
 上記一の局面による車両動力源騒音低減装置において、好ましくは、車両動力源の負荷率および車両動力源の回転数の両方を変化させた場合の各々の負荷率および各々の回転数での騒音に対応するキャンセル音のキャンセル音データを記憶する記憶部をさらに備え、複数のスピーカは、車両動力源の負荷率および回転数に応じたキャンセル音データに基づいて、キャンセル音を発生させるように構成されている。なお、「負荷率」とは、車両動力源における最大トルクに対する発生トルクの比率(百分率)を意味する。
[0015]
 ここで、車両動力源における騒音は、車両動力源の駆動状態により周波数および音圧が変化する。そして、騒音における周波数および音圧の変化は、主に回転数および負荷率に起因する。したがって、上記のように、各々の負荷率および各々の回転数での騒音に対応するキャンセル音のキャンセル音データに基づいて、キャンセル音を発生させるように構成すれば、車両動力源の駆動状態に合致したキャンセル音をスピーカから発生させることができるので、車外の広範な領域において、騒音の低減をより十分に行うことができる。
[0016]
 上記一の局面による車両動力源騒音低減装置において、好ましくは、車両動力源からの騒音を、複数のスピーカからのキャンセル音に比べて感度よく集音可能なように構成され、騒音を検出する騒音検出部をさらに備え、騒音検出部において検出した騒音に基づく騒音データと基準騒音データとのずれ量がずれ閾値を超えた場合に、キャンセル音を補正するように構成されている。
[0017]
 このように構成すれば、車両動力源が長期間駆動されたことなどに起因して騒音の音質が一定以上変化した(騒音データと基準騒音データとのずれ量がずれ閾値を超えた)場合に、変化した騒音に合わせてキャンセル音を補正することができるので、騒音の低減が十分に行われなくなるのを抑制することができる。また、騒音検出部が車両動力源からの騒音をスピーカからのキャンセル音に比べて感度よく集音可能に構成されていることにより、車両動力源からの騒音を騒音検出部に確実に取得させることができるので、騒音に基づく騒音データと基準騒音データとのずれ量を確実に取得することができる。
[0018]
 上記一の局面による車両動力源騒音低減装置において、好ましくは、複数のスピーカのうちのいずれかは、警告音を発生させる車両のホーンを兼ねる。
[0019]
 このように構成すれば、ホーンを車両動力源騒音低減装置とは別個に設ける必要がないので、車両動力源騒音低減装置が設けられた車両において、部品点数を削減することができる。
[0020]
 上記複数のスピーカが車両の車内に向かう方向以外の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射する構成において、好ましくは、複数のスピーカは、車両の車内側における車両動力源の外側面には配置されずに、車内側における車両動力源の外側面を除く車両動力源の外側面近傍の各々に配置されている。
[0021]
 このように構成すれば、車両の車内に向かう方向以外の放射方向のみにキャンセル音を放射するように、車両動力源騒音低減装置を容易に構成することができる。
[0022]
 上記一の局面による車両動力源騒音低減装置において、好ましくは、車両動力源は、エンジン本体と、エンジン本体に接続される吸気分配管および排気合流管とを有するエンジンを含む。
[0023]
 このようなエンジンを備える車両において、エンジン、吸気分配管および排気合流管に起因する騒音が、車両から離れる放射方向に向かってエンジンの外表面から放射される場合であっても、複数のスピーカを、各々、車両動力源から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置することによって、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことができる。

図面の簡単な説明

[0024]
[図1] 本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置が搭載された車両を概略的に示した側面図である。
[図2] 本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置が収容されるエンジンルームを示した模式的な断面図である。
[図3] 本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置のブロック図である。
[図4] 本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置の記憶部に記憶されたキャンセル音データを説明するための図である。
[図5] 本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置のキャンセル音データの取得を説明するための模式的な平面図である。
[図6] 本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置のスピーカの配置位置を示した模式的な平面図である。
[図7] 本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置のスピーカのエンジンの外表面に対する位置を説明するための図である。
[図8] 本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置の効果を説明するための模式図である。
[図9] 本発明の第2実施形態によるエンジン騒音低減装置のブロック図である。
[図10] 本発明の第2実施形態によるエンジン騒音低減装置が収容されるエンジンルームを示した模式的な断面図である。
[図11] 本発明の第3実施形態によるエンジン騒音低減装置が収容されるエンジンルームを示した模式的な断面図である。
[図12] 本発明の第3実施形態によるエンジン騒音低減装置が収容されるエンジンルームを示した模式的な断面図である。
[図13] 本発明の第3実施形態によるエンジン騒音低減装置を搭載する車両の下方から見た下面図である。
[図14] 本発明の変形例による騒音低減装置が収容されるエンジンルームを示した模式的な断面図である。
[図15] 本発明の変形例によるエンジン騒音低減装置を搭載する車両の下方から見た下面図である。

発明を実施するための形態

[0025]
 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[0026]
 (第1実施形態)
 図1~図8を参照して、本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置100(車両動力源騒音低減装置の一例)が搭載される車両1について説明する。なお、第1実施形態では、車両1の走行方向(X軸方向)の前方をX1方向とし、後方をX2方向とする。また、地面G(図1参照)に対して垂直な方向(Z軸方向)の上方をZ1方向とし、下方(地面G側)をZ2方向とする。また、X軸方向およびZ軸方向と直交する車両1の幅方向(Y軸方向)の一方側をY1方向とし、他方側をY2方向とする。
[0027]
(車両の構成)
 本発明の第1実施形態によるエンジン騒音低減装置100が搭載される車両1は、図1に示すように、エンジン10が収容されるエンジンルーム2と、エンジンルーム2よりも後方に設けられた車内3とを備えている。車内3は、シート3aが配置されており、図示しない運転者および搭乗者が乗車する車内空間である。エンジンルーム2と車内3とは、ダッシュボード4により区画されている。ダッシュボード4のエンジンルーム2側には、遮音のための防音材(図示せず)が取り付けられている。
[0028]
 また、車両1は、ステアリング部5と、ステアリング部5により向きが変化されることによって、車両1の走行方向を変更するための4個の車輪6とをさらに備えている。ステアリング部5は、運転者により操作されるステアリングホイール5aと、ステアリングホイール5aからエンジンルーム2に向かって前方および下方に延びるステアリングシャフト5bと、Y軸方向に延び、車両1の前方の一対の車輪6に接続されるステアリングロッド5cと、ギアボックス5dとを含んでいる。ギアボックス5dは、ステアリングシャフト5bとステアリングロッド5cとを接続している。
[0029]
 また、エンジンルーム2は、前方(X1方向)に配置されたバンパー2a、両側方(Y1およびY2方向)にそれぞれ配置された一対のサイドパネル2b、後方(X2方向)に配置されたダッシュボード4、上方(Z1方向)に配置されたボンネット2c、および、下方に配置されたアンダーカバー2dおよび2eとにより取り囲まれることにより形成されている。なお、バンパー2a、一対のサイドパネル2b、ダッシュボード4、ボンネット2c、アンダーカバー2dおよび2eは、フレーム7(図2参照)に取り付けられている。また、バンパー2aとボンネット2cとの間には、前方からエンジンルーム2内に空気を取り込むための開口部8a(図2参照)を有するフロントグリル8が配置されている。
[0030]
 エンジンルーム2内には、図2に示すように、4個の気筒が幅方向(Y軸方向)に並ぶ4気筒直列エンジン10(以降、エンジン10と省略する、車両動力源の一例)と、エンジン10に接続され、エンジン10内を流通するエンジン冷却水を冷却するためのラジエータ20とが収容されている。エンジン10は、車両1を駆動させるために設けられている。ラジエータ20は、エンジン10の前方で、かつ、フロントグリル8の後方に配置されている。ラジエータ20は、フロントグリル8から取り込まれた空気により、エンジン冷却水を冷却する機能を有している。
[0031]
 エンジン10は、4個の気筒10aが設けられ、気筒において吸気、圧縮、膨張(燃焼)および排気の各工程が連続して行われるエンジン本体11と、エンジン本体11に接続されるインテークマニホールド12(吸気分配管の一例)およびエキゾーストマニホールド13(排気合流管の一例)とを含んでいる。
[0032]
 インテークマニホールド12は、図示しない吸気ダクトに接続されている。エキゾーストマニホールド13は、排気ダクト14に接続されている。排気ダクト14は、車両1の下部において後方に向かって延びている。
[0033]
 インテークマニホールド12は、サージタンク12aと、サージタンク12aから分岐する4個の分岐管12bとを含んでいる。4個の分岐管12bは、それぞれ、対応する4個の気筒10aに吸気を供給(分配)する機能を有している。エキゾーストマニホールド13は、4個の分岐管13aを含んでいる。4個の分岐管13aは、それぞれ、対応する4個の気筒10aからの排気を排気ダクト14に集合させる機能を有している。
[0034]
 ここで、エンジン10では、様々な音が騒音として発生している。具体的には、膨張(燃焼)工程におけるエンジン本体11内での爆発音、吸気脈動等に起因する音などが騒音として発生する。発生した騒音は、エンジン10の外表面10bから離れる放射方向に向かって外表面10bの全面から放射される。なお、騒音は、エンジン10の駆動状態に応じて、周波数および音圧が変化する。そして、騒音における周波数および音圧の変化は、主にエンジン回転数およびエンジン負荷率に起因する。
[0035]
 そこで、第1実施形態では、車両1には、エンジン10の騒音を低減させるためのエンジン騒音低減装置100が搭載されている。エンジン騒音低減装置100は、図3に示すように、騒音と逆位相のキャンセル音を発生させる3個(複数)のスピーカ30(第1スピーカ30a、第2スピーカ30b、第3スピーカ30c)と、スピーカ30にキャンセル音を発生させるための出力部40とを含んでいる。なお、3個のスピーカ30は、図2に示すように、エンジンルーム2内に配置されている。
[0036]
 出力部40は、図3に示すように、ECU(Engine Control Unit)41と、信号を増幅するアンプ42とを有している。ECU41は、エンジン10全体の制御を行う機能を有している。また、ECU41には、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Ramdom Access Memory)などから構成される記憶部43が設けられている。記憶部43には、第1スピーカ30aから発生させるキャンセル音に対応する複数のキャンセル音データ43aと、第2スピーカ30bから発生させるキャンセル音に対応する複数のキャンセル音データ43bと、第3スピーカ30cから発生させるキャンセル音に対応する複数のキャンセル音データ43cとが記憶されている。
[0037]
 このキャンセル音データ43a~43cは、エンジン10のエンジン負荷率およびエンジン回転数の両方を変化させた場合の各々のエンジン負荷率および各々のエンジン回転数での騒音に対応するキャンセル音のキャンセル音データである。なお、記憶部43には、図4に示すように、0%より大きく100%以下のエンジン負荷率と、0rpmより大きく6000rpm(最大回転数)以下のエンジン回転数とに対応するキャンセル音データ43a~43cがそれぞれ記憶されている。たとえば、20%のエンジン負荷率で、かつ、4000rpmのエンジン回転数である場合のキャンセル音データ43a~43cや、60%のエンジン負荷率で、かつ、5000rpmのエンジン回転数である場合のキャンセル音データ43a~43cなどがそれぞれ記憶されている。
[0038]
 また、図4には詳細には記載していないものの、記憶部43において、キャンセル音データ43a~43cは、各々、エンジン負荷率に関しては5%刻み、エンジン回転数に関しては50rpm刻みで記憶されている。つまり、キャンセル音データ43a~43cは、各々、2400(=20×120)個、記憶部43に記憶されている。
[0039]
 ここで、キャンセル音データ43a~43cは、下記の方法で予め取得される。まず、図5に示すように、エンジン10および3個のマイクを、壁面反響のない空間である無響音室内に配置する。ここで、3個のマイクの集音位置を、第1スピーカ30a、第2スピーカ30bおよび第3スピーカ30cの後述する振動板34の位置とそれぞれ略一致させる。そして、測定するエンジン負荷率およびエンジン回転数でエンジン10を駆動させた際のエンジン音(騒音)を、3個のマイクによって取得する。そして、取得した騒音の騒音データを逆位相の波形に変換することによって、測定するエンジン負荷率およびエンジン回転数におけるキャンセル音に対応するキャンセル音データ43a~43cが取得されて、記憶部43に記憶される。
[0040]
 そして、ECU41は、車両走行時に、記憶部43に記憶されたキャンセル音データ43a~43cの中から、現時点でのエンジン回転数およびエンジン負荷率に対応するキャンセル音データ43a~43cを取得するように構成されている。そして、ECU41は、アンプ42を介して、取得したキャンセル音データ43a~43cを、それぞれ、第1スピーカ30a、第2スピーカ30bおよび第3スピーカ30cに信号として送信するように構成されている。この結果、第1スピーカ30a、第2スピーカ30bおよび第3スピーカ30cの各々から、現時点でのエンジン回転数およびエンジン負荷率に対応するキャンセル音が出力される。
[0041]
 また、記憶部43には、警告音を発生させるためのホーン音データ43dが記憶されている。ECU41は、運転者から警告音を発生させる指示が行われた場合には、記憶部43に記憶されたホーン音データ43dを第1スピーカ30aに信号として送信するように構成されている。これにより、エンジン10の前方に配置された第1スピーカ30aから、警告音が発生する。なお、第1スピーカ30aは、警告音を発生させる車両1のホーンを兼ねている。また、第1スピーカ30aは、キャンセル音を発生させながら、警告音を発生させることが可能に構成されている。
[0042]
 3個のスピーカ30は、等しい構造を有している。具体的には、図6に示すように、スピーカ30は、スピーカボックス31と、スピーカボックス31内に配置されたコイル32、マグネット33、および、振動板34(音波発生部の一例)とを有している。スピーカ30では、コイル32に電流が流れた際に、マグネット33の磁界により、コイル32およびコイル32に接続された振動板34とが振動する。この振動が音波として、スピーカボックス31の開口31aから放射されるように構成されている。なお、このスピーカ30は、一般的な指向性を有するスピーカであり、正面軸(振動板34の中心を通り、振動板34に対して直交する方向に延びる軸)を中心として、90度以上180度以下の指向角度(正面軸の音圧レベルより6dB音が小さくなる位置の角度)を有している。
[0043]
 ここで、第1実施形態では、3個のスピーカ30は、各々エンジン10の外表面10b近傍に配置されている。また、3個のスピーカ30は、各々、エンジン10の外表面10bから離れる方向に向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。この結果、3個のスピーカ30は、それぞれ、エンジン10の外表面10b近傍から、エンジン10から放射される騒音の放射方向に沿った方向に向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。
[0044]
 また、第1スピーカ30aでは、振動板34が、エンジン10の前方(X1方向)において、エンジン10の外表面10bから距離L1の位置に配置されている。そして、第1スピーカ30aは、エンジン10の前方において、前方に向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。なお、第1スピーカ30aは、エンジン10のインテークマニホールド12の前方で、かつ、インテークマニホールド12の外表面10b近傍に配置されている。
[0045]
 第2スピーカ30bでは、振動板34が、エンジン10の幅方向の一方側(Y1方向側)において、エンジン10の外表面10bから距離L2の位置に配置されている。そして、第2スピーカ30bは、エンジン10のY1方向側において、Y1方向に向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。なお、第2スピーカ30bは、エンジン10のエンジン本体11のY1方向側で、かつ、エンジン本体11のY1方向側の外側面(外表面10b)近傍に配置されている。
[0046]
 第3スピーカ30cでは、振動板34が、エンジン10の幅方向の他方側(Y2方向側)において、エンジン10の外表面10bから距離L3の位置に配置されている。そして、第3スピーカ30cは、エンジン10のY2方向側において、Y2方向に向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。なお、第3スピーカ30cは、エンジン10のエンジン本体11のY2方向側で、かつ、エンジン本体11のY2方向側の外側面(外表面10b)近傍に配置されている。なお、距離L1、L2およびL3は、共に等しい。以下、説明の都合上、距離L1、L2およびL3を、距離Lとして記載する。
[0047]
 また、複数のスピーカ30がそれぞれ異なる方向に向かってキャンセル音を発生させることによって、キャンセル音が互いに干渉するのを抑制することが可能である。
[0048]
 さらに、複数のスピーカ30は、エンジン10の外表面10bのうち、車両1の車内3側の外側面(X2方向側の外表面10b)、上面(Z1方向側の外表面10b)および下面(Z2方向側の外表面10b)側には配置されずに、車内3側の外側面を除く3個の外側面(X1方向側の外表面10b、Y1方向側の外表面10bおよびY2方向側の外表面10b)近傍の各々に配置されている。つまり、車内3に向かう方向(後方)にキャンセル音を発生させるスピーカは、エンジンルーム2内に配置されていない。この結果、車両1の車内3に向かう方向以外の放射方向のみにキャンセル音を放射するように、複数のスピーカ30が各々配置されている。なお、エンジン10から車内3に向かう方向へ放射される騒音は、ダッシュボード4の防音材によってある程度吸音される。
[0049]
 また、エンジン10の上面および下面近傍から上方および下方にキャンセル音をそれぞれ発生させるスピーカは、エンジンルーム2内に配置されていない。ここで、車外のうち、車両1の上方および下方には、騒音を受聴する歩行者などが存在しないので、スピーカを設けなくても、騒音に関する問題が生じることは少ない。
[0050]
 また、第1スピーカ30aは、エンジン10の外表面10bから離れる方向で、かつ、開口部8aに向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。
[0051]
 また、第1実施形態では、距離Lは、騒音の最大周波数fmaxに対応する最小波長をλminとした場合に、L<λmin/4を満たしている。つまり、スピーカ30の振動板34は、エンジン10の外表面10bから、騒音の最大周波数fmaxに対応する最小波長λminの1/4の距離未満の範囲内(つまり、外表面10b近傍)に配置されている。振動板34の上記配置範囲に関して、以下に詳細に説明する。
[0052]
 図7に示すような状態を想定する。つまり、スピーカ30の振動板34がエンジン10の外表面10bから距離Lの位置に配置された状態において、外表面10bから距離(L+D0)、かつ、スピーカ30の振動板34から距離D0だけ離れた地点Aを想定する。また、地点Aとは異なる地点であるとともに、外表面10bから距離(L+D0)、かつ、振動板34から距離(D0+D)だけ離れた地点Bを想定する。なお、地点Aと地点Bとは外表面10bからの距離が等しいので、外表面10bからの騒音は等しい波形になる。
[0053]
 ここで、地点Aにおけるエンジン10からの騒音を完全に相殺させるために、逆位相のキャンセル音をスピーカ30の振動板34から発生させる場合を想定する。この場合、地点Bでは、外表面10bから地点Bまでの距離(D0+L)と振動板34との距離(D0+D)の差dは、d=(L-D)となる。ここで、d=(2n-1)λ/4(nは自然数)である場合には、地点Bにおいて、騒音とキャンセル音との位相差に起因して騒音とキャンセル音とが強め合う。このため、騒音とキャンセル音とが強め合うのを抑制するためには、dがλ/4未満である必要がある。つまり、d=(L-D)<λ/4を満たす必要がある。このため、Dがいかなる値であっても(L-D)<λ/4を満たすためには、L<λ/4である必要がある。
[0054]
 なお、波長λ(=c/f(cは音速、fは周波数))は、最大周波数fmaxの時に最小波長λminになるので、距離Lが、L<λmin/4を満たすことによって、騒音とキャンセル音とが強め合うのが確実に抑制される。
[0055]
 たとえば、エンジン10の最大回転数が6000rpm(100回転/s)である場合に、最大周波数fmaxを最大回転数時の回転4次成分(爆発2次成分)における周波数であるとすると、最大周波数fmaxは、fmax=100×4=400Hzとなる。ここで、常温下での音速cを340m/sであるとすると、最小波長λminは、λmin=c/fmax=340/400=0.85mとなる。この結果、距離Lが、L<λ/4=0.85/4=0.2125mを満たす場合に、騒音とキャンセル音とが強め合うのが確実に抑制される。つまり、振動板34は、エンジン10の外表面10bから、約21.2mm以下(21.25mm未満)の範囲内に配置されることになる。
[0056]
 なお、最大周波数fmaxは、最大回転数時の回転4次成分における周波数に限られず、騒音として主要な周波数のうち、最大の周波数を選択すればよい。たとえば、最大周波数fmaxとして、最大回転数時の回転2次成分における周波数を選択してもよい。
[0057]
 このように、振動板34をエンジン10の外表面10b近傍(外表面10bから距離L<λmin/4の範囲)に配置することによって、外表面10b近傍に配置したスピーカ30の振動板34により車外の全体に亘って低減することが可能である。具体的には、図8に示すように、地面Gなどからの反射により、実際の地点Cに到達する騒音が通る経路としては、異なる経路長Da、DbおよびDcを有する複数の経路が存在する。ここで、従来例のように、反射が生じない経路長Daの経路を通過する騒音を低減するキャンセル音を、エンジン10の外表面10bから離れた位置に配置されたスピーカから発生させた場合、経路長DbおよびDcの経路を通過した騒音と、経路長Daの経路を通過した騒音との間には位相差が発生する。このため、経路長Daの経路を通過する騒音に応じたキャンセル音と、経路長DbおよびDcの経路を通過する騒音とでは、強め合う場合が生じ得る。
[0058]
 一方、第1実施形態では、反射が生じない経路長Daの経路を通過する騒音を低減するキャンセル音を、エンジン10の外表面10b近傍に配置したスピーカ30の振動板34から発生させているので、経路長Da、DbおよびDcのいずれの経路においても、騒音とキャンセル音との位相差が生じるのが抑制される。この結果、エンジンルーム2内に多くの部材が配置されることに起因して反射が生じやすい場合であっても、外表面10b近傍に配置したスピーカ30の振動板34によって、エンジン10から放射方向に放射される騒音を車外の広範な領域において低減することが可能である。
[0059]
 (第1実施形態の効果)
 第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
[0060]
 第1実施形態では、上記のように、複数のスピーカ30をエンジン10の外表面10b近傍に配置するとともに、複数のスピーカ30を、各々、エンジン10から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置する。これにより、エンジン10の外表面10bから離間した位置に配置されたスピーカ30からキャンセル音が発生する場合と異なり、スピーカ30とエンジン10とが互いに近傍に配置され、かつ、キャンセル音と騒音との放射方向が略等しくなるので、キャンセル音と騒音との間に大きな位相差が生じるのを抑制することができる。この結果、キャンセル音と騒音とが強め合う場所が生じるのを抑制することができるので、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことができる。
[0061]
 また、複数のスピーカ30を、各々、エンジン10から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置する。これにより、指向性のあるスピーカ30であっても、複数設けられることによって、エンジン10の騒音の放射方向に沿った大部分の方向にキャンセル音を放射することができる。この結果、騒音が低減されない領域が生じるのを抑制することができるので、これによっても、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことができる。
[0062]
 また、第1実施形態では、車両1の車内3に向かう方向以外の放射方向のみにキャンセル音を放射するように、複数のスピーカ30を各々配置する。これにより、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行いつつ、エンジン騒音低減装置100の装置構成を容易に簡素化することができる。
[0063]
 また、第1実施形態では、振動板34を、エンジン10の外表面10bから、騒音の最大周波数fmaxに対応する最小波長λminの1/4の距離L未満の範囲内に配置する。これにより、キャンセル音と騒音との間に大きな位相差が生じるのを確実に抑制することができるので、キャンセル音と騒音とが強め合う場所が生じるのを確実に抑制することができる。この結果、車外の広範な領域において、騒音の低減をより十分に行うことができる。
[0064]
 また、第1実施形態では、各々の負荷率および各々の回転数での騒音に対応するキャンセル音のキャンセル音データ43a~43cに基づいて、複数のスピーカ30がキャンセル音を発生させるようにエンジン騒音低減装置100を構成する。これにより、エンジン10の駆動状態に合致したキャンセル音をスピーカ30から発生させることができるので、車外の広範な領域において、騒音の低減をより十分に行うことができる。
[0065]
 また、第1実施形態では、複数のスピーカ30のうちの第1スピーカ30aが、警告音を発生させる車両1のホーンを兼ねる。これにより、ホーンをエンジン騒音低減装置100とは別個に設ける必要がないので、エンジン騒音低減装置100が設けられた車両1において、部品点数を削減することができる。
[0066]
 また、第1実施形態では、複数のスピーカ30を、車両1の車内3側におけるエンジン10の外表面10b(外側面)には配置せずに、車内3側におけるエンジン10の外表面10b(外側面)を除くエンジン10の外表面10b(外側面)近傍の各々に配置する。これにより、車両1の車内3に向かう方向以外の放射方向のみにキャンセル音を放射するように、エンジン騒音低減装置100を容易に構成することができる。
[0067]
 また、第1実施形態では、エンジン10は、エンジン本体11と、エンジン本体11に接続されるインテークマニホールド12およびエキゾーストマニホールド13とを有する。このようなエンジン本体11におけるピストンの上下運動に起因する音、インテークマニホールド12における吸気脈動等に起因する音などが騒音として、外表面10bから離れる放射方向に向かってエンジン10の外表面10bから放射される場合に、複数のスピーカ30をエンジン10の外表面10b近傍に配置するとともに、複数のスピーカ30を、各々、エンジン10から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置する。これにより、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことができる。
[0068]
 (第2実施形態)
 次に、図9および図10を参照して、本発明の第2実施形態によるエンジン騒音低減装置200(車両動力源騒音低減装置の一例)が搭載される車両201の構成について説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態の構成に加えて、エンジン騒音低減装置200にマイク250(騒音検出部の一例)を設ける例について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
[0069]
 本発明の第2実施形態による車両201には、図9に示すように、エンジン10の騒音を低減させるためのエンジン騒音低減装置200が搭載されている。エンジン騒音低減装置200は、3個(複数)のスピーカ30と、出力部240と、エンジン10から放射される騒音を集音するマイク250とを含んでいる。なお、複数のスピーカ30は、図10に示すように、上記第1実施形態と同様に、エンジン10の外表面10b近傍に配置されているとともに、複数のスピーカ30は、各々、エンジン10から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置されている。
[0070]
 マイク250は、エンジン10からの騒音を、スピーカ30からのキャンセル音に比べて感度よく集音可能なように構成されている。具体的には、マイク250は、エンジンルーム2内において、エンジン10よりも車内3側(X2方向側)の領域に配置されている。なお、エンジン10よりも車内3側の領域には、エンジン騒音低減装置200のスピーカ30が配置されていない。ここで、指向性を有する3個のスピーカ30からのキャンセル音は、エンジン10の車両201の車内3側の領域にはほとんど到達しない。この結果、マイク250は、エンジン10からの騒音を、スピーカ30からのキャンセル音に比べて感度よく集音可能なように構成(配置)されている。
[0071]
 また、図9に示すように、出力部240の記憶部243には、補正データ243eが記憶されている。この補正データ243eには、キャンセル音データ43a~43cを補正するための種々のデータが含まれている。具体的には、補正データ243eには、初期のエンジン10における各々のエンジン負荷率および各々のエンジン回転数での基準騒音に関する複数の基準騒音データと、複数の基準騒音データの各々に対応する複数のずれ閾値と、ずれ閾値を超えた場合に行われる複数の補正内容とが含まれている。なお、ずれ閾値には、位相ずれに関する位相ずれ閾値、音圧ずれに関する音圧ずれ閾値、および、周波数ずれに関する周波数ずれ閾値が含まれている。
[0072]
 そして、ECU241は、マイク250により集音された現時点でのエンジン10の騒音に基づく騒音データと、基準騒音データとのずれ量を取得するように構成されている。具体的には、ECU241により、騒音データと基準騒音データとの位相ずれ量、音圧ずれ量および周波数ずれ量がそれぞれ取得される。この際、ECU241により、基準騒音データとして、現時点でのエンジン負荷率およびエンジン回転数に対応する基準騒音データが選択される。そして、ECU241は、取得したずれ量が、基準騒音データに対応するずれ閾値を超えた場合に、ずれ閾値に対応する補正内容に基づいて、ずれ閾値を超えた基準騒音に対応するキャンセル音データ43a~43cを補正するように構成されている。たとえば、騒音データと基準騒音データとの位相ずれ量が位相ずれ閾値を超えた場合には、ECU241により、補正内容に基づいて、現在の騒音データの位相に近づくようにキャンセル音データ43a~43cが補正される。
[0073]
 その後、ECU241は、補正されたキャンセル音データ43a~43cを、それぞれ、第1スピーカ30a、第2スピーカ30bおよび第3スピーカ30cに信号として送信するように構成されている。そして、補正されたキャンセル音が、第1スピーカ30a、第2スピーカ30bおよび第3スピーカ30cから放射されることにより、エンジン10の騒音が適切に低減される。
[0074]
 なお、エンジン10における各々のエンジン負荷率および各々のエンジン回転数での基準騒音に関する複数の騒音データは、上記第1実施形態のキャンセル音データ43a~43cの取得(図5参照)と同様に、無響音室内での測定により予め取得することが可能である。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
[0075]
 (第2実施形態の効果)
 第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
[0076]
 第2実施形態では、上記のように、複数のスピーカ30をエンジン10の外表面10b近傍に配置するとともに、複数のスピーカ30を、各々、エンジン10から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置する。これにより、第1実施形態と同様に、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことができる。
[0077]
 また、第2実施形態では、エンジン騒音低減装置200が、エンジン10からの騒音を、複数のスピーカ30からのキャンセル音に比べて感度よく集音可能なように構成され、騒音を検出するマイク215を備える。そして、エンジン騒音低減装置200(ECU241)を、マイク215において検出した騒音に基づく騒音データと基準騒音データとのずれ量がずれ閾値を超えた場合に、キャンセル音を補正するように構成する。これにより、エンジン10が長期間駆動されたことなどに起因して騒音の音質が一定以上変化した(騒音データと基準騒音データとのずれ量がずれ閾値を超えた)場合に、変化した騒音に合わせてキャンセル音を補正することができるので、騒音の低減が十分に行われなくなるのを抑制することができる。また、マイク215がエンジン10からの騒音をスピーカ30からのキャンセル音に比べて感度よく集音可能に構成されていることにより、エンジン10からの騒音をマイク215に確実に取得させることができるので、騒音に基づく騒音データと基準騒音データとのずれ量を確実に取得することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態の効果と同様である。
[0078]
 (第3実施形態)
 次に、図11~図13を参照して、本発明の第3実施形態によるエンジン騒音低減装置300(車両動力源騒音低減装置の一例)が搭載される車両301の構成について説明する。なお、第3実施形態では、上記第1実施形態の構成とは異なり、第2スピーカ330bおよび第3スピーカ330cが開口部302fに向けてキャンセル音を発生させる例について説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
[0079]
 本発明の第3実施形態による車両301では、図11~図13に示すように、両側方(Y1およびY2方向)にそれぞれ配置された一対のサイドパネル2bと、後方(X2方向)のアンダーカバー302eとの間には、開口部302f(図12および図13参照)が形成されている。この開口部302fは、エンジンルーム2の後部(X2方向側の部分)で、かつ、下部(Z2方向側の部分)において、Y軸方向の全体に亘って形成されている。また、開口部302fは、エンジンルーム2のY軸方向の両側の側面部にも形成されている。なお、図12に示すように、エンジンルーム2の後部で、かつ、下部における開口部302fは、エンジン10の下端よりも下方に形成されている。また、図13に示すように、開口部302fは、X軸方向において、エンジン10のエンジン本体11よりも後方(X2方向)に形成されている。
[0080]
 開口部302fは、ステアリングロッド5cと車輪6とを接続するとともに、排気ダクト14をエンジンルーム302から車外に導くために設けられている。さらに、開口部302fは、フロントグリル8からエンジンルーム302内に取り込まれた空気を車外に排出する機能を有している。
[0081]
 ここで、エンジンルーム302に形成された開口部302fからは、ボンネット2cなどが配置された場所と異なり、エンジン10の騒音がエンジンルーム302から直接車外に放射される。このため、開口部302fから放射される音を低減することによって、車外における騒音を効果的に低減させることが可能である。また、エンジンルーム302に形成されたフロントグリル8の開口部8aからも、エンジン10の騒音がエンジンルーム302から直接車外に放射される。このため、開口部8aおよび開口部302fから放射される音を低減することによって、車外における騒音を効果的に低減させることが可能である。
[0082]
 そこで、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、第1スピーカ30aは、エンジン10の外表面10bから離れる方向で、かつ、開口部8aに向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。同様に、第2スピーカ330bおよび第3スピーカ330cは、エンジン10の外表面10bから離れる方向で、かつ、開口部302fに向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。具体的には、第2スピーカ330bは、エンジン10の外表面10b近傍で、かつ、エンジン本体11のY1方向側の外側面に配置されている。そして、第2スピーカ330bは、Y1方向、X2方向およびZ2方向に向かう放射方向にキャンセル音を発生させるように構成されている。この結果、第2スピーカ330bは、エンジンルーム2のY1方向側の側面部における開口部302fの部分と、エンジンルーム2の後部で、かつ、下部における開口部302fのうちのY1方向側の部分とに向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。
[0083]
 また、第3スピーカ330cは、エンジン10の外表面10b近傍で、かつ、エンジン本体11のY2方向側の外側面に配置されている。そして、第3スピーカ330cは、Y2方向、X2方向およびZ2方向に向かう放射方向にキャンセル音を発生させるように構成されている。この結果、第3スピーカ330cは、エンジンルーム2のY2方向側の側面部における開口部302fの部分と、エンジンルーム2の後部で、かつ、下部における開口部302fのうちのY2方向側の部分とに向かってキャンセル音を発生させるように構成されている。
[0084]
 したがって、エンジン騒音低減装置300は、第2スピーカ330bおよび第3スピーカ330cにより、開口部302fの略全体にキャンセル音を放射することが可能なように構成されている。なお、第2スピーカ330bおよび第3スピーカ330cは、互いにキャンセル音が干渉しないように、互いに離れた位置に配置されている。なお、第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
[0085]
 (第3実施形態の効果)
 第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
[0086]
 第3実施形態では、上記のように、複数のスピーカ330をエンジン10の外表面10b近傍に配置するとともに、複数のスピーカ330を、各々、エンジン10から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置する。これにより、第1実施形態と同様に、車外の広範な領域において、騒音の低減を十分に行うことができる。
[0087]
 また、第3実施形態では、第2スピーカ330bおよび第3スピーカ330cを、エンジン10の外表面10bから離れる方向で、かつ、開口部302fに向かってキャンセル音を発生させるように構成する。これにより、開口部302fから放射される音を低減することによって、車外における騒音を効果的に低減させることができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態の効果と同様である。
[0088]
 [変形例]
 今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
[0089]
 たとえば、上記第1~第3実施形態では、エンジン騒音低減装置100(200、300、車両動力源騒音低減装置)により、直列4気筒のエンジン10(車両動力源)の騒音を低減させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、車両動力源騒音低減装置を、直列4気筒型以外の多気筒型エンジンやV型多気筒型エンジンなどの騒音を低減させるために用いてもよい。また、車両動力源騒音低減装置を、騒音を低減する必要のある自動車用以外のたとえば設備機器などに搭載されたエンジンの騒音を低減させるために用いてもよい。また、車両動力源はエンジンに限られず、たとえば、モータであってもよい。さらに、車両動力源は1個に限られず、2個以上の車両動力源の騒音を低減するように車両動力源騒音低減装置を用いてもよい。たとえば、エンジンとモータとの両方が搭載された車両において、エンジンとモータとの両方の騒音を低減するように車両動力源騒音低減装置を用いてもよい。
[0090]
 また、上記第1~第3実施形態では、スピーカ30(330)を3個用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スピーカを2個または4個以上用いてもよい。
[0091]
 また、上記第1~第3実施形態では、エンジン騒音低減装置100(200、300、車両動力源騒音低減装置)を、車内3の前方に形成されたエンジンルーム2(302)内に配置されたエンジン10の騒音を低減するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図14および図15に示す本発明の変形例の車両401のように、車内3の後方(X2方向)に形成されたエンジンルーム402内に配置されたエンジン410の騒音を、エンジン騒音低減装置400(車両動力源騒音低減装置の一例)により低減するように構成してもよい。この場合、複数のスピーカ430を、エンジン410の外表面410b近傍に配置するとともに、エンジン410から放射される騒音の放射方向に沿った方向にキャンセル音を放射するように配置する。また、エンジンルーム402に開口部402g(図14参照)、開口部402hおよび402i(図15参照)が設けられている場合には、複数のスピーカ430のいずれかを、開口部402g、402hおよび402iに向かう方向にキャンセル音を放射するように配置するのが好ましい。
[0092]
 また、上記第1実施形態では、複数のスピーカ30を、エンジン10(車両動力源)の外表面10bのうち、車両1の車内3側の外側面、上面および下面側には配置せずに、車内3側の外側面を除く3個の外側面近傍の各々に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数のスピーカを、車両動力源の外表面の全面(4個の外側面、上面および下面側の全て)の近傍に配置してもよいし、外表面のうちのいずれか1面または複数面の近傍に配置してもよい。また、車両動力源の外表面のうち、いずれかの表面近傍に複数のスピーカを配置してもよい。この場合、同一のスピーカを配置してもよいし、異なる指向性または異なる周波数特性を有する異なるスピーカを配置してもよい。
[0093]
 また、上記第1~第3実施形態では、記憶部43(243)に、0%より大きく100%以下のエンジン負荷率と、0rpmより大きく6000rpm(最大回転数)以下のエンジン回転数とに対応するキャンセル音データ43a~43cがそれぞれ記憶されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、車両動力源の性能によっては最大回転数の値を変更してもよい。また、負荷率および回転数以外のパラメータ(たとえば、スロットル開度など)に応じて、キャンセル音データを記憶してもよい。
[0094]
 また、上記第1~第3実施形態では、記憶部43(243)において、キャンセル音データ43a~43cが、各々、エンジン負荷率に関しては5%刻み、エンジン回転数に関しては50rpm刻みで記憶されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、キャンセル音データがエンジン負荷率に関しては10%刻み、エンジン回転数に関しては100rpm刻みで記憶されてもよい。この場合、キャンセル音データの数は、600個に減少する。これにより、騒音低減の効果は若干小さくなるものの、キャンセル音データのデータ量を少なくすることができるとともに、無響音室内でのキャンセル音データ取得のために要する時間を短くすることが可能である。なお、キャンセル音データの数は、所望の騒音低減の度合いなどに応じて、適宜変更してもよい。
[0095]
 また、上記第1実施形態では、3個のスピーカ30において、エンジン10(車両動力源)の外表面10bから振動板34(音波発生部)までのそれぞれの距離L1、L2およびL3が、共に等しい例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数のスピーカにおいて、車両動力源の外表面から音波発生部までの距離はそれぞれ異なっていてもよい。この場合、車両動力源の外表面から音波発生部までの距離Lは、L<λmin/4を満たすのが好ましい。
[0096]
 また、上記第2実施形態では、騒音データと基準騒音データとのずれ量として、騒音データと基準騒音データとの位相ずれ量、音圧ずれ量および周波数ずれ量を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ずれ量は、位相ずれ量、音圧ずれ量および周波数ずれ量に限定されずに、位相、音圧および周波数とは別のパラメータに関するずれ量であってもよい。また、たとえば、位相と周波数との両方に関するずれ閾値を設定し、位相と周波数との両方のずれ量がずれ閾値を超えたい場合に、ずれ閾値を超えた基準騒音に対応するキャンセル音データを補正するようにECUを構成してもよい。
[0097]
 また、上記第2実施形態では、マイク250(騒音検出部)を、スピーカ30が配置されていない、車両201の車内3側におけるエンジン10(車両動力源)の外表面10b(外側面)近傍に配置することによって、エンジン10からの騒音をスピーカ30からのキャンセル音に比べて感度よく集音可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、車両動力源の外表面に向かって狭い指向性を有することによって、車両動力源からの騒音をスピーカからのキャンセル音に比べて感度よく集音可能なように構成された騒音検出部を用いてもよい。この場合、騒音検出部の位置を任意の位置にすることが可能である。また、ECUなどにより、騒音検出部により検出された音を騒音とキャンセル音とに分離可能であれば、騒音検出部は、車両動力源からの騒音をスピーカからのキャンセル音に比べて感度よく集音可能である必要はない。
[0098]
 また、上記第1~第3実施形態では、複数のスピーカ30(330)として、指向性のあるスピーカを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スピーカのいずれか1個または全てを無指向性のスピーカに置き換えてもよい。なお、無指向性のスピーカは全方位にキャンセル音を放射可能な一方、出力が弱くなりやすい。したがって、スピーカを複数設けることにより、車両動力源の騒音を十分に低減させることが可能である。

符号の説明

[0099]
 1、201、301、401 車両
 3 車内
 10、410 エンジン(車両動力源)
 10b、410b 外表面
 11 エンジン本体
 12 インテークマニホールド(吸気分配管)
 13 エキゾーストマニホールド(排気合流管)
 30、330、430 スピーカ
 34 振動板(音波発生部)
 100、200、300、400 エンジン騒音低減装置
 250 マイク(騒音検出部)

請求の範囲

[請求項1]
 車両を駆動させるための車両動力源の外表面近傍に配置され、前記車両動力源から放射される騒音を低減する、前記騒音とは逆位相のキャンセル音を発生させる音波発生部を含む複数のスピーカを備え、
 前記複数のスピーカは、各々、前記車両動力源から放射される前記騒音の放射方向に沿った方向に前記キャンセル音を放射するように配置されている、車両動力源騒音低減装置。
[請求項2]
 前記複数のスピーカは、各々、前記騒音の放射方向のうち、前記車両の車内に向かう方向以外の放射方向に沿った方向に前記キャンセル音を放射するように配置されている、請求項1に記載の車両動力源騒音低減装置。
[請求項3]
 前記音波発生部は、前記車両動力源の前記外表面から、前記騒音の最大周波数に対応する最小波長の1/4の距離未満の範囲内に配置されている、請求項1または2に記載の車両動力源騒音低減装置。
[請求項4]
 前記車両動力源の負荷率および前記車両動力源の回転数の両方を変化させた場合の各々の前記負荷率および各々の前記回転数での前記騒音に対応する前記キャンセル音のキャンセル音データを記憶する記憶部をさらに備え、
 前記複数のスピーカは、前記車両動力源の前記負荷率および前記回転数に応じた前記キャンセル音データに基づいて、前記キャンセル音を発生させるように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の車両動力源騒音低減装置。
[請求項5]
 前記車両動力源からの前記騒音を、前記複数のスピーカからの前記キャンセル音に比べて感度よく集音可能なように構成され、前記騒音を検出する騒音検出部をさらに備え、
 前記騒音検出部において検出した前記騒音に基づく騒音データと基準騒音データとのずれ量がずれ閾値を超えた場合に、前記キャンセル音を補正するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の車両動力源騒音低減装置。
[請求項6]
 前記複数のスピーカのうちのいずれかは、警告音を発生させる前記車両のホーンを兼ねる、請求項1~5のいずれか1項に記載の車両動力源騒音低減装置。
[請求項7]
 前記複数のスピーカは、前記車両の前記車内側における前記車両動力源の外側面には配置されずに、前記車内側における前記車両動力源の外側面を除く前記車両動力源の外側面近傍の各々に配置されている、請求項2に記載の車両動力源騒音低減装置。
[請求項8]
 前記車両動力源は、エンジン本体と、前記エンジン本体に接続される吸気分配管および排気合流管とを有するエンジンを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の車両動力源騒音低減装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]