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1. (WO2018185962) 電力変換装置
Document

明 細 書

発明の名称 電力変換装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007  

発明の効果

0008  

図面の簡単な説明

0009  

発明を実施するための形態

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115  

産業上の利用可能性

0116  

符号の説明

0117  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : 電力変換装置

技術分野

[0001]
 この発明は、直流電圧を高周波交流電圧に変換し、トランスに出力するフルブリッジインバータと、トランスの出力を整流する整流回路とを備えた電力変換装置に関するものである。

背景技術

[0002]
 フルブリッジインバータと整流回路とを組み合わせた絶縁型DC/DCコンバータは、全てのスイッチ素子がオフしている状態において、トランスの漏れインダクタンスや寄生容量とスイッチ素子の寄生容量との間で共振現象が発生する。ターンオンのタイミングによってターンオン電圧が変動し、スイッチング損失が変動する。スイッチング損失の最大値で冷却器を設計するため冷却器が大型化し、コスト増加になる。
[0003]
 この問題を解決するため、第1直列回路における上アームのスイッチング素子と第2直列回路における下アームのスイッチング素子がオフした後に、第1の直列回路における下アームのスイッチング素子と第2直列回路における上アームのスイッチング素子がオンするまでの全スイッチング素子がオフ状態となる第1オフ期間と、第1直列回路における下アームのスイッチング素子と第2直列回路における上アームのスイッチング素子がオフした後に、第1の直列回路における上アームのスイッチング素子と第2の直列回路における下アームのスイッチング素子がオンするまでの全スイッチング素子がオフ状態となる第2オフ期間とを互いに異なるように設定し、いずれかのスイッチング素子のドレイン-ソース間の電圧が極小値に達した時にターンオンするように第1オフ期間および第2オフ期間を調整する電力変換装置が開示されている(例えば、特許文献1)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2011-101497号公報(段落[0016]、[0021]-[0024]および図1、3)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1では、入出力条件に応じた制御量を予め制御器に保存しておく手法が開示されている。しかし、制御量は入出力の電圧・電流のみならず、温度条件の変化にも対応させる必要があるため、保存する制御量が膨大となる課題がある。さらに、全てのスイッチング素子がオフしている状態で発生する共振現象の共振周波数はスイッチング周波数に対して高周波であるために、予め保存された制御量に微小なずれが生じた場合に、極小点以外でターンオンすることとなりスイッチング損失が増大してしまう問題がある。
[0006]
 この発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、簡易な制御法によりスイッチング損失の増加を抑制することで制御器と冷却器を小型化し、小型な電力変換装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 この発明に係る第1の電力変換装置は、上アームと下アームを構成する2個のスイッチング素子が直列に接続された第1レグと第2レグとが並列に接続され、第1レグと第2レグとは直流電源に並列に接続され、第1レグの上アームと下アームとの接続点と、第2レグの上アームと下アームとの接続点を交流電圧の出力端子とするフルブリッジ構成のインバータと、交流電圧の出力端子に一次側が接続されたトランスと、トランスの二次側に接続された整流回路と、各スイッチング素子をオン/オフする制御部と、を備えた電力変換装置において、制御部は、インバータの第1レグの上アームのスイッチング素子と第2レグの下アームのスイッチング素子を同時にオンする第1電力伝送期間と、第1レグの下アームのスイッチング素子と第2レグの上アームのスイッチング素子を同時にオンする第2電力伝送期間を交互に設け、さらに、制御部は、第1電力伝送期間と第2電力伝送期間の間に全てのスイッチング素子がオフ状態となる第1電力非伝送期間を設け、第2電力伝送期間と第1電力伝送期間の間に全てのスイッチング素子がオフ状態となる第2電力非伝送期間を設け、さらに、制御部は、第1電力非伝送期間、および第2電力非伝送期間の合計長さを一定にした上で、第1電力非伝送期間および第2電力非伝送期間の長さをスイッチング周期ごとに変化させるように制御するものである。

発明の効果

[0008]
 この発明に係る電力変換装置は、制御部は、第1電力非伝送期間、および第2電力非伝送期間の合計長さを一定にした上で、第1電力非伝送期間および第2電力非伝送期間の長さをスイッチング周期ごとに変化させるように制御するものであるから、簡易な制御法によりスイッチング損失の増加を抑制することで制御器と冷却器を小型化し、小型な電力変換装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0009]
[図1] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る構成図である。
[図2] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る動作説明用のタイムチャートである。
[図3] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る動作説明用のタイムチャートである。
[図4] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る動作説明用のタイムチャートである。
[図5] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る制御部(デューティ演算器)の構成を示すブロック図である。
[図6] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る制御部(デューティ演算器)の構成を示すブロック図である。
[図7] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る制御部(デューティ演算器)の構成を示すブロック図である。
[図8] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る制御部(ターンオン位相演算器)の構成を示すブロック図である。
[図9] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る制御部(PWM演算器)の構成を示すブロック図である。
[図10] この発明の実施の形態1の電力変換装置に係る変形例の構成図である。
[図11] この発明の実施の形態2の電力変換装置に係る構成図である。
[図12] この発明の実施の形態2の電力変換装置に係る制御部(ターンオン位相演算器)の構成を示すブロック図である。
[図13] この発明の実施の形態3の電力変換装置に係る構成図である。
[図14] この発明の実施の形態3の電力変換装置に係る制御部(ターンオン位相演算器)の構成を示すブロック図である。
[図15] この発明の実施の形態3の電力変換装置に係る制御部(デューティ演算器)の構成を示すブロック図である。
[図16] この発明の実施の形態4の電力変換装置に係る構成図である。
[図17] この発明の実施の形態4の電力変換装置に係る制御部(ターンオン位相演算器)の構成を示すブロック図である。
[図18] この発明の実施の形態5の電力変換装置に係る構成図である。

発明を実施するための形態

[0010]
実施の形態1.
 実施の形態1は、フルブリッジインバータと、トランスと、整流回路と、制御部とから構成された電力変換装置において、第1対角にあるスイッチング素子が同時にオフし、第2対角にあるスイッチング素子が同時にオンするまでの期間をT1(第1電力非伝送期間)、第2対角にあるスイッチング素子が同時にオフし、第1対角にあるスイッチング素子が同時にオンするまでの期間をT2(第2電力非伝送期間)とし、第1対角にあるスイッチング素子が同時にオンしている期間(第1電力伝送期間)と、第2対角にあるスイッチング素子が同時にオンしている期間(第2電力伝送期間)を等しく設定(Ton)し、スイッチング周期Ts、およびTon一定の条件で、制御部はスイッチング周期毎に一定時間間隔でT1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)の間でスイープを繰り返すものである。
[0011]
 以下、実施の形態1に係る電力変換装置の構成および動作について、電力変換装置の構成図である図1、動作説明用のタイムチャートである図2-図4、制御部(デューティ演算器)の構成を示すブロック図である図5-図7、制御部(ターンオン位相演算器)の構成を示すブロック図である図8、制御部(PWM演算器)の構成を示すブロック図である図9、および電力変換装置に係る変形例の構成図である図10に基づいて説明する。
[0012]
 まず、実施の形態1の電力変換装置の構成を図1に基づいて説明する。
 なお、直流電源と負荷は電力変換装置の構成要素ではないが、電力変換装置の動作上関連しているため、特に区別せずに説明する。
[0013]
 図1において、電力変換装置1は、大きく電力変換部と検出・制御部とから構成される。
 電力変換部は、フルブリッジ構成のインバータ2と、トランス5と、整流回路6と、出力平滑フィルタ7とを備える。電力変換部のインバータ2の入力側には直流電源11が接続され、出力平滑フィルタ7の出力側には、負荷12が接続されている。
 検出・制御部は、入力検出部8と、出力検出部9と、制御部10とを備える。
[0014]
 まず、電力変換部の全体の機能、動作を説明し、その後、各構成要素の構成、機能について説明する。
 インバータ2は、直流電源11の直流電圧を高周波交流電圧に変換し、トランス5に出力する。トランス5は、インバータ2と整流回路6との間の絶縁を保ち、インバータ2の出力電圧を所定の波高値を有する高周波交流電圧に変換する。整流回路6はトランス5から出力される高周波交流電圧を整流する。出力平滑フィルタ7は整流回路6から出力される電圧の高周波成分を除去し、負荷12に直流電力を供給する。
[0015]
 次に、インバータ2の構成について説明する。
 フルブリッジ構成のインバータ2は、それぞれスイッチング素子が直列に接続された第1レグ3と第2レグ4との並列接続で構成される。
 第1レグ3は、上アーム3Uと下アーム3Lとが直列に接続された構成である。上アーム3Uは、スイッチング素子S1とスイッチング素子S1に逆並列に接続された帰還ダイオードD1とを備える。下アーム3Lは、スイッチング素子S2とスイッチング素子S2に逆並列に接続された帰還ダイオードD2とを備える。
 第2レグ4は、上アーム4Uと下アーム4Lとが直列に接続された構成である。上アーム4Uは、スイッチング素子S3とスイッチング素子S3に逆並列に接続された帰還ダイオードD3とを備える。下アーム4Lは、スイッチング素子S4とスイッチング素子S4に逆並列に接続された帰還ダイオードD4とを備える。
[0016]
 第1レグ3と第2レグ4との並列回路の上アーム3U、4Uの端部と下アーム3L、4Lの端部が、それぞれ正極側入力端子および負極側入力端子となっている。これらの入力端子間に直流電源11の出力電圧が印加されている。なお、適宜、スイッチング素子S1およびスイッチング素子S3を、上アーム側スイッチング素子と記載し、スイッチング素子S2とスイッチング素子S4を下アーム側スイッチング素子と記載する。
[0017]
 また、第1レグ3の上アーム3Uと下アーム3Lとの接続点、および第2レグ4の上アーム4Uと下アーム4Lとの接続点が、インバータ2の出力端子となっている。これらのインバータ2の出力端子に出力される電圧(VINV)がトランス5の一次側コイルに印加される。
 トランス5の二次側コイルには、ダイオードD5、D6、D7、D8から成る整流回路6が接続されている。整流回路6の出力端子に、インダクタ71とコンデンサ72から成る出力平滑フィルタ7が接続されている。出力平滑フィルタ7の出力には、負荷12が接続されている。
[0018]
 なお、フルブリッジ構成のインバータの電力制御には、一般的にPWM(Pulse Width Modulation)制御(ハードスイッチング方式)と位相シフト制御(ソフトスイッチング方式)とがあるが、本実施の形態では、PWM制御(ハードスイッチング方式)を用いている。
[0019]
 なお、スイッチング素子S1~S4は、ダイオードが逆並列に接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、またはソース・ドレイン間にダイオードが接続されたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Fffect Transistor)などを用いることが望ましい。また、帰還ダイオードD1~D4はIGBTやMOSFETに内蔵されたダイオードを用いてもよく、外付けに別途ダイオードを設けてもよい。
[0020]
 次に、検出・制御部の構成、機能を説明する。
 直流電源11と並列に入力検出部8を設け、直流電源11の電圧Vdcおよび電流Idcの内少なくとも一方を検出する。また、負荷12と並列に出力検出部9を設け、負荷12の電圧Voutおよび電流Ioutの内少なくとも一方を検出する。
 制御部10は、デューティ演算器21、ターンオン位相演算器22、およびPWM演算器23を備える。
[0021]
 デューティ演算器21、ターンオン位相演算器22、およびPWM演算器23の機能について説明する。
 デューティ演算器21は、入力検出部8および出力検出部9の内少なくとも一方の検出値に基づき、スイッチング周期に対するオン時間長さの比率であるデューティDを演算する。ターンオン位相演算器22は、デューティ演算器21が演算したデューティDに基づきターンオン位相を演算する。PWM演算器23は、演算されたデューティDとターンオン位相に応じてスイッチング素子S1~S4のゲート信号を演算する。
 なお、デューティDは、D=Ton/Tsと定義し、0.5以上にはならない。
[0022]
 実施の形態1の電力変換装置1の機能、動作の理解を容易にするため、基本的な動作を図2のタイムチャートに基づいて説明し、その後、電力変換装置1に係る動作を図3、図4のタイムチャートに基づいて説明する。
[0023]
 まず、図2に基づいて、インバータ2の基本的な動作説明を行う。
 図2はある1スイッチング周期前後のタイムチャートを示すものである。ここでは、図1に示したインバータ2を構成するスイッチング素子としてMOSFETを使用した場合を想定して説明する。
 F2aは第1レグ3のスイッチング素子S1、S2のゲートにそれぞれ供給される駆動信号を示している。F2bは第2レグ4のスイッチング素子S3、S4のゲートにそれぞれ供給される駆動信号を示している。
 F2a、F2bで示すように、各レグの上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子は交互にオン、オフを繰り返す。
[0024]
 また、F2cはトランス5に入力される電圧であるインバータ2の出力電圧(VINV)を示している。
 F2d~F2gは、それぞれ、スイッチング素子S1~S4の両端の電圧(ドレン-ソース間電圧)Vds―S1、Vds―S2、Vds―S3、およびVds―S4を実線で示している。さらに、各アームのスイッチング素子S1~S4と帰還ダイオードD1~D4を流れる電流の合計電流Id-Q1、Id-Q2、Id-Q3、およびId―Q4を破線で示している。
[0025]
 図2において、t0~t4はスイッチング素子S1~S4のオンからオフ、またはオフからオンへの切り換えの時刻を表している。
 また、Vdsはスイッチング素子S1~S4のソース電位を基準としたドレイン電圧であり、Idはドレインから流入する方向を正としたスイッチング素子の電流である。
[0026]
 時刻t0~t4は、PWM制御の繰り返し周期である1スイッチング周期であり、この期間長さをTsと定義する。また、トランス5の偏磁を抑制するために時刻t0~t1とt2~t3の期間長さを等しく設定し、この期間長さをTonと定義する。
 さらに、スイッチング素子S1、S4が同時にオフしてからスイッチング素子S2、S3が同時にオンするまでの期間(すなわちt1からt2までの期間)をT1(第1電力非伝送期間)と定義する。また、スイッチング素子S2、S3が同時にオフしてからスイッチング素子S1、S4が同時にオンするまでの期間(すなわちt3からt4までの期間)をT2(第2電力非伝送期間)と定義する。そして、図2においては、T1とT2とは等しい。
 なお、t0からt1までの期間を第1電力伝送期間と、t2からt3までの期間を第2電力伝送期間と、適宜記載する。
[0027]
 以下、図2に基づいて、インバータ2の動作説明を行う。
 時刻t0において、スイッチング素子S1~S4がオフの状態から、第1レグ3の上アーム3Uのスイッチング素子S1と第2レグ4の下アームのスイッチング素子S4をターンオンする。
 このとき、スイッチング素子S1とスイッチング素子S4は電圧印加状態でターンオンすることでドレイン―ソース間電圧を0Vへと遷移させるため、ハードスイッチングとなりスイッチング損失が発生する。
 t0からt1までの期間(第1電力伝送期間)において、インバータ2の出力電圧(VINV)は図1の矢印の方向に出力され、負荷12に電力が供給される。
[0028]
 時刻t1において、第1レグ3の上アーム3Uのスイッチング素子S1と第2レグ4の下アーム4Lのスイッチング素子S4をターンオフし、スイッチング素子S1~S4を全てオフ状態とする。このとき、インバータ2からの電圧出力は停止する。
 そして、このとき、スイッチング素子S1とスイッチング素子S4は電流通流中にターンオフすることで電流を遮断するため、ハードスイッチングとなりスイッチング損失が発生する。
[0029]
 次に、時刻t1から時刻t2の期間T1(第1電力非伝送期間)について説明する。
 理想的にはインバータ2の出力電圧(VINV)は0Vとなり、スイッチング素子S1~S4のドレイン―ソース間電圧はそれぞれ直流電源11の電圧Vdcの1/2が印加される状態となる。しかし、実際の回路では、この間にトランス5の漏れインダクタンスと、トランス5の寄生容量およびスイッチング素子S1~S4の寄生容量との間で共振現象が発生し、インバータ2の出力電圧(VINV)は共振電圧波形となる。
 これに伴い、スイッチング素子S1~S4のドレイン―ソース間の電圧波形は、直流電源11の電圧Vdcの1/2電圧にこの共振電圧が重畳した波形となる。この間、スイッチング素子S1~S4はオフ状態であるため、直流電源11からの電力供給はなく、トランス5とスイッチング素子S1~S4との間で共振による電力授受が行われる。
[0030]
 時刻t2において、第1レグ3の下アーム3Lのスイッチング素子S2と第2レグ4の上アーム4Uのスイッチング素子S3をターンオンする。
 このとき、スイッチング素子S2とスイッチング素子S3は電圧印加状態でターンオンすることでドレイン―ソース間電圧を0Vへと遷移させるため、ハードスイッチングとなりスイッチング損失が発生する。
 t2からt3までの期間(第2電力伝送期間)において、インバータ2の出力電圧(VINV)は図1の矢印の逆方向に出力され、負荷12に電力が供給される。
[0031]
 時刻t3において、第1レグ3の下アーム3Lのスイッチング素子S2と第2レグ4の上アーム4Uのスイッチング素子S3をターンオフし、スイッチング素子S1~S4を全てオフ状態とする。このとき、インバータ2からの電圧出力は停止する。
 そして、このとき、スイッチング素子S2とスイッチング素子S3は電流通流中にターンオフすることで電流を遮断するため、ハードスイッチングとなりスイッチング損失が発生する。
[0032]
 時刻t3から時刻t4の期間T2(第2電力非伝送期間)については、上記の時刻t1から時刻t2の期間と同様である。すなわち、スイッチング素子S1~S4のドレイン―ソース間の電圧波形は、直流電源11の電圧Vdcの1/2電圧に共振電圧が重畳した波形となる。この間、スイッチング素子S1~S4はオフ状態であるため、直流電源11からの電力供給はなく、トランス5とスイッチング素子S1~S4との間で共振による電力授受が行われる。
[0033]
 時刻t4以降は、上記で説明した動作の繰り返しとなる。すなわち、図2において、時刻t4が時刻t0となる。
[0034]
 ここで、時刻t0、t2におけるターンオン時のスイッチング損失はターンオン直前のドレイン-ソース間電圧に比例するため、共振電圧の位相によってスイッチング損失が変動する。例えば、理想状態である共振電圧がVdc/2の状態でスイッチングした場合を基準とすると、共振電圧の極小点でスイッチングすればターンオン損失は減少し、極大点でスイッチングすればターンオン損失が増加する。
[0035]
 ヒートシンク等の放熱器を設計する場合、最大損失条件を放熱可能なように冷却器サイズを決定するため、変動するスイッチング損失の最大値で冷却器を設計する必要がある。このため、冷却器が大型化し、装置の大型化やコスト増加が課題となる。
[0036]
 次に、本願実施の形態1の電力変換装置1、具体的にはインバータ2の動作について、図3、図4のタイムチャートに基づいて説明する。なお、図3のF3a~F3gは、図2のF2a~F2gに対応する。また、図4のF4a~F4gは、図2のF2a~F2gに対応する。
[0037]
 実施の形態1による電力変換装置1では、次の条件でスイッチング素子S1~S4をオン/オフする。(1)スイッチング周期Tsは一定。(2)オン時間Tonは一定。(3)スイッチング素子S1とS4とは同時にターンオン、ターンオフし、スイッチング素子S2とS3とは同時にターンオン、ターンオフする。(4)スイッチング周期Ts内においてスイッチング素子S1~S4をターンオンするタイミング、即ちターンオン位相を変化させる。
 上記条件のもとで、T1(第1電力非伝送期間)とT2(第2電力非伝送期間)を異なるように設定する状態を設け、変動するターンオン電圧に対して、ターンオン位相をスイッチング周期毎に変更し、複数のスイッチング周期で見たとき、ターンオン電圧を平均化する。
[0038]
 図3、図4に本実施の形態1による電力変換装置1のスイッチングパターンに応じたタイムチャートを示す。図3はT1(第1電力非伝送期間)をT2(第2電力非伝送期間)よりも短く設定した場合である。図4はT1(第1電力非伝送期間)をT2(第2電力非伝送期間)よりも長く設定した場合である。
[0039]
 T1(第1電力非伝送期間)とT2(第2電力非伝送期間)とが同じである図2と、T1とT2が異なる図3、図4におけるスイッチング素子S1~S4のターンオンを比較する。図3、図4においては、T1(第1電力非伝送期間)の長さを変更することにより、ターンオンの位相が変化し、ターンオンする電圧が変化することになる。
 すなわち、T1とT2とを異なるようにすることで時刻t0におけるスイッチング素子S1、S4、または時刻t2におけるスイッチング素子S2、S3のドレインーソース間電圧を、T1とT2とが同じである場合と比較して低減することができる。
[0040]
 本実施の形態1による電力変換装置1では、スイッチング周期Tsを一定かつ、スイッチング素子S1~S4のオン時間Tonを一定とするため、予め定めたターンオン位相範囲内でターンオン位相を変更する。例えば、図3、図4において、ターンオン位相範囲、すなわちT1(第1電力非伝送期間)が取りえる(変化しえる)範囲は、0から(Ts-2Ton)である。
 しかし、実際には、T1=0またはT1=(Ts-2Ton)では、デッドタイムを考慮する。例えば、時刻t1にデッドタイムを加算した時刻に時刻t2の初期値を設定する。
 このターンオン位相範囲内において、スイッチング周期毎に予め定めた単位時間分ターンオン位相を進ませたり、遅らせたりする。
[0041]
 例えば、図2に示したT1(第1電力非伝送期間)の長さとT2(第2電力非伝送期間)の長さが同じ状態を初期状態とし、最大のターンオン位相範囲でターンオン位相を可変する場合を説明する。
 なお、先に説明したように、Ts一定、Ton一定、Ts=2Ton+T1+T2であり、(T1+T2)は一定である。ここで、説明を分かりやすくするために、Tref=T1+T2と定義する。
 図2に示したT1(第1電力非伝送期間)の長さとT2(第2電力非伝送期間)の長さが同じ状態から、次のスイッチング周期では、予め定めた単位時間分、t2を進ませ、T1の長さを短くする。T2はT1の長さを短くした分長さは短くなる。
[0042]
 次のスイッチング周期では、予め定めた単位時間分更にt2を進ませ、T1=0(t1=t2)となるまで、スイッチング周期毎にt2を進ませる動作を繰り返す。
 T1=0(t1=t2)となったスイッチング周期の次のスイッチング周期では、予め定めた単位時間分、T1の長さを長くする(t2を遅らせる)。
 T1=(Ts-2Ton)(すなわち、t3=t4)となるまでスイッチング周期毎にt2を遅らせる動作を繰り返す。
 T1=(Ts-2Ton)(すなわち、t3=t4)となったスイッチング周期の次の周期では、予め定めた単位時間分、t2を進ませる。
[0043]
 上記の動作を繰り返すことにより、予め定めたターン位相範囲内でターンオン位相を可変することとなり、スイッチング素子S1~S4のターンオン電圧を複数のスイッチング周期で見て、平均化できる。
 なお、予め定めた単位時間については、先に説明したT1(第1電力非伝送期間)およびT2(第2電力非伝送期間)で発生するスイッチング素子S1~S4のドレイン―ソース間の共振電圧波形の周期よりも短い値に設定する。
[0044]
 上記説明では、分かりやすいように図2のT1=T2の状態から開始する場合を説明したが、下記のようにしてもよい。
 Ts一定、Ton一定、Ts=2Ton+T1+T2であり、Tref(=T1+T2)一定の条件の下で、T1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させ、その後、(Ts-2Ton)から0に減少させるように、T1(第1電力非伝送期間)の開始位相を制御し、以降この位相制御を繰り返すことで、スイッチング素子S1~S4のターンオン電圧を複数のスイッチング周期で見て、平均化できる。
 デッドタイムを考慮した場合、T1(第1電力非伝送期間)をデッドタイムの長さから(Ts-2Ton-デッドタイムの長さ)まで増加させ、その後、デッドタイムの長さに減少させる。
 また、T2(第2電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させ、その後(Ts-2Ton)から0に減少させるように、T2(第2電力非伝送期間)の開始位相を制御し、以降この位相制御を繰り返しても、同様の効果を奏することができる。
 デッドタイムを考慮した場合、T2(第2電力非伝送期間)をデッドタイムの長さから(Ts-2Ton-デッドタイムの長さ)まで増加させ、その後、デッドタイムの長さに減少させる。
[0045]
 次に、制御部10のデューティ演算器21、ターンオン位相演算器22、およびPWM演算器23の機能、動作を図5-図9に基づいて説明する。
 まず、デューティ演算器21について説明する。
 デューティ演算器21では、入力検出部8、出力検出部9の出力をもとにデューティDを演算する。なお、デューティDを演算するための検出信号が異なるため、図5-図7のデューティ演算器21をそれぞれ21A~21Cと区別している。
[0046]
 図5にデューティ演算器21Aのブロック図を示す。デューティ演算器21Aは、加減算器211と比例制御器212とを備える。
 出力検出部9の電圧検出値Voutと予め定めた負荷電圧目標値Vout*との偏差を比例(P)制御し、デューティDを演算する。
[0047]
 また、デューティ演算器21の別の例として、図6にデューティ演算器21Bのブロック図を示す。デューティ演算器21Bは、加減算器211と比例制御器212とを備える。
 出力検出部9の電流検出値Ioutと、負荷電流目標値Iout*との偏差に基づき、デューティDを演算している。
[0048]
 さらに、デューティ演算器21の別の例として、図7にデューティ演算器21Cのブロック図を示す。デューティ演算器21Cは、加減算器211、214と比例積分制御器213と、比例制御器215とを備える。
 直流電源11がAC/DCコンバータ等の電流源である場合、入力検出部8の電圧検出値Vdcと電源電圧目標値Vdc*との偏差を比例積分して、負荷電流目標値Iout*を演算する。この演算した負荷電流目標値Iout*と出力検出部9の電流検出値Ioutとの偏差に基づいてデューティDを演算している。
[0049]
 同様に、入力検出部8の検出値である直流電源11の電流Idcと直流電源電流目標値Idc*に基づいて、デューティDを演算してもよい。いずれの検出値を用いてデューティDを求めるかは、負荷12がどのような負荷であるかによって決定すればよい。
 例えば、定電流が要求される負荷であれば出力検出部9の電流検出値に基づいてデューティDを決定し、定電圧が要求される負荷であれば、出力検出部9の電圧検出値に基づいてデューティDを決定すればよい。
[0050]
 次に、ターンオン位相演算器22について説明する。図8にターンオン位相演算器22のブロック図を示す。ターンオン位相演算器22は、キャリア位相演算器221と、乗算器225と、加減算器226とを備える。
 デューティ演算器21の演算結果、およびスイッチング周期Tsよりターンオン位相範囲を演算し、基準キャリアCarSと同期したキャリアCarAと、ターンオン位相範囲内で基準キャリアCarSと位相差を有するキャリアCarBを演算する。
 キャリアCarBは、キャリア位相演算器221によって基準キャリアCarSとの位相差が与えられる。
[0051]
 例えば、時刻t2を可変にする場合、デューティ演算器21の演算結果であるデューティDとスイッチング周期Tsに基づいて、乗算器225でTon、すなわちt2の最小値(t2min)を演算する。さらに、加減算器226でt2の最大値(t2max)を演算することで、ターンオン位相範囲を演算する。
 キャリア位相演算器221は、演算したターンオン位相範囲(t2min~t2max)内でターンオン位相をスイッチング周期毎に変更していく。
 具体的には、スイッチング周期毎に予め定めた単位時間分キャリアCarBの位相を進ませたり、遅らせたりすることでターンオン位相を制御する。
[0052]
 次に、PWM演算器23について説明する。図9にPWM演算器23の一例のブロック図を示す。PWM演算器23は、比較器231、232と、ANDゲート233と、遅延器234とを備える。
[0053]
 PWM演算器23は、デューティ演算器21の演算結果であるデューティDと、ターンオン位相演算器22の演算結果であるキャリアCarA、CarBに基づいてスイッチング素子S1~S4のゲートへのPWM信号を演算して生成する。
 キャリアCarAとキャリアCarBはそれぞれ比較器231、232に入力され、デューティDと比較することでパルス波形を生成する。
 比較器231の出力から、ANDゲート233と遅延器234とを用いて、スイッチング素子S1、S4に出力するPWM信号を生成する。
 比較器232の出力から、ANDゲート233と遅延器234とを用いて、スイッチング素子S2、S3に出力するPWM信号を生成する。
 なお、デッドタイムTdを演算する遅延器234を設けることで、所定のデッドタイムTdを有するスイッチング素子S1~S4へのPWM信号を生成する。
[0054]
 本実施の形態1による電力変換装置1によれば、ターンオン時の電圧は複数のスイッチング周期で平均化されるため、トランスの漏れインダクタンスおよび寄生容量、スイッチング素子の寄生容量の個体毎のばらつきを考慮した調整が不要である。
[0055]
 次に、本実施の形態1の電力変換装置1の変形例として、トランス5と整流回路6との構成が異なる電力変換装置1Aについて図10に基づいて説明する。
 図10において、図1の電力変換装置1からの相違点は、トランス5Aおよび整流回路6Aの構成である。トランス5Aは、トランス2次側巻線に中点を設けたセンタータップの構成とし、整流回路6AはダイオードD9、D10から成る。
 図10における電力変換装置1Aに対しても、例えば、上記に説明したT1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させ、その後、(Ts-2Ton)から0に減少させるように、T1の開始位相を制御し、以降この位相制御を繰り返すことで、スイッチング素子S1~S4のターンオン電圧を複数のスイッチング周期で見て、平均化できる。
[0056]
 なお、以上の説明では、整流回路6(6A)と出力平滑フィルタ7とを別の構成要素として説明したが、出力平滑フィルタの構成部品を整流回路に取り込み、全体を整流回路とまとめてもよい。
 なお、以上の説明では、第1電力伝送期間と第2電力伝送期間の長さを等しく設定した。しかし、例えば、入力電圧にリプルが存在する、あるいは回路のインピーダンスが異なる要因で、第1電力伝送期間の振幅と第2電力伝送期間の振幅が異なり、トランス5Aに偏磁が発生する場合には、第1電力伝送期間と第2電力伝送期間の長さを異なるように設定してもよい。
[0057]
 以上より、実施の形態1による電力変換装置1によれば、スイッチング素子S1~S4のターンオン電圧を複数のスイッチング周期で見て平均化することが可能となる。一般的に、スイッチング周期よりも冷却器の熱時定数の方が大きい。このため、スイッチング素子の損失は平均化され、冷却器を設計する際に考慮すべき最大損失を抑制することできる。この結果、制御器と冷却器を小型化し、小型な電力変換装置を実現できる。
[0058]
 以上説明したように、実施の形態1の電力変換装置は、フルブリッジインバータの第1対角にあるスイッチング素子が同時にオフし、第2対角にあるスイッチング素子が同時にオンするまでの期間をT1(第1電力非伝送期間)、第2対角にあるスイッチング素子が同時にオフし、第1対角にあるスイッチング素子が同時にオンするまでの期間をT2(第2電力非伝送期間)とし、第1対角にあるスイッチング素子が同時にオンしている期間(第1電力伝送期間)と、第2対角にあるスイッチング素子が同時にオンしている期間(第2電力伝送期間)を等しく設定(Ton)し、スイッチング周期Ts、およびTon一定の条件で、制御部はスイッチング周期毎に一定時間間隔でT1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)の間でスイープを繰り返すものである。このため、スイッチング素子のターンオン電圧を複数のスイッチング周期で見て平均化することできる。この結果、実施の形態1の電力変換装置は、簡易な制御法によりスイッチング損失の増加を抑制することで制御器と冷却器を小型化し、小型な電力変換装置を提供することができる。
[0059]
実施の形態2.
 実施の形態1の電力変換装置においては、T1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)の間でスイープすることで、スイッチング素子のターンオン電圧を平均化したが、本実施の形態2の電力変換装置は、スイッチング素子の温度検出部を設け、スイッチング素子の温度検出値に基づき、スイッチング素子のターンオン位相を変更し、スイッチング素子の温度が最小となる点を探索することで、スイッチング素子のターンオン損失が最小となるスイッチング素子のターンオン位相を探索する構成としたものである。
[0060]
 以下、実施の形態2の電力変換装置について、電力変換装置の構成図である図11および制御部(ターンオン位相演算器)の構成を示すブロック図である図12に基づいて、実施の形態1との差異を中心に説明する。図11において、実施の形態1の図1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
[0061]
 まず、実施の形態2の電力変換装置100の構成を図11に基づいて説明する。
 図11において、電力変換装置100は、大きく電力変換部と検出・制御部とから構成される。
 電力変換部は、フルブリッジ構成のインバータ2と、トランス5と、整流回路6と、出力平滑フィルタ7とを備える。電力変換部のインバータ2の入力側には直流電源11が接続され、出力平滑フィルタ7の出力側には、負荷12が接続されている。
 検出・制御部は、入力検出部8と、出力検出部9と、温度検出部130と、制御部110とを備える。
[0062]
 まず、電力変換部の全体の機能、動作を説明する。
 インバータ2は、直流電源11の直流電圧を高周波交流電圧に変換し、トランス5に出力する。トランス5は、インバータ2と整流回路6との間の絶縁を保ち、所定の高周波交流電圧に変換する。整流回路6はトランス5から出力される高周波交流電圧を整流する。出力平滑フィルタ7は整流回路6から出力される電圧の高周波成分を除去し、負荷12に直流電力を供給する。
[0063]
 実施の形態2において、電力変換装置100の電力変換部のインバータ2の構成は実施の形態1と同じである。
 実施の形態1との差異、すなわち、電力変換装置100の電力変換部のインバータ2の動作の差異および検出・制御部の構成、動作の差異を中心に説明する。
[0064]
 実施の形態2による電力変換装置100では、検出部として、入力検出部8、出力検出部9、および温度検出部130を備える。
 電力変換装置100は、実施の形態1と同様に直流電源11と並列に入力検出部8を設け、直流電源11の電圧Vdcと電流Idcの少なくとも一方を検出する。また、負荷12と並列に出力検出部9を設け、負荷の電圧Voutと電流Ioutの少なくとも一方を検出する。さらに、スイッチング素子S1~S4の温度を検出する温度検出部130を備える。
[0065]
 なお、温度検出部130はスイッチング素子S1~S4がモジュールの場合は、モジュール内部の温度を検出してもよいし、ディスクリート品の場合はヒートシンクや実装された基板、バスバー等の温度を検出してもよい。
 スイッチング素子S1~S4のすべての温度を検出することを想定して説明するが、スイッチング素子の温度の検出は、代表の1個または複数個であってもよい。
[0066]
 制御部110は、デューティ演算器21、ターンオン位相演算器122、およびPWM演算器23を備える。次に説明するように、制御部110と実施の形態1の制御部10との相違点は、ターンオン位相演算器122である。
[0067]
 まず、ターンオン位相演算器122について説明する。図12はターンオン位相演算器122のブロック図を示す。ターンオン位相演算器122は、キャリア位相演算器221Aと、乗算器225と、加減算器226とを備える。図12において、温度検出部130からの信号をTmpと記載している。
[0068]
 温度検出部130は、スイッチング素子S1~S4の温度を検出し、ターンオン位相演算器122に出力する。
 ターンオン位相演算器122は、実施の形態1と同様にデューティ演算器21の演算結果であるデューティD、スイッチング周期Tsからターンオン位相範囲演算し、同範囲内で基準キャリアCarSと同期したキャリアCarAと、ターンオン位相範囲内で基準キャリアCarSと位相差を有したキャリアCarBを演算する。ターンオン位相範囲内で基準キャリアCarSと位相差を有したキャリアCarBはキャリア位相演算器221Aでターンオン位相を演算する。
[0069]
 キャリア位相演算器221Aは、定期的にキャリアCarBをターンオン位相範囲内でターンオン位相をスイープする。すなわち、例えば、T1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させる。
 キャリア位相演算器221Aは、各ターンオン位相における温度検出結果を保存し、温度検出結果が最小となるキャリアCarBの位相を選択する。
 温度検出結果の保存は、各ターンオン位相に対する温度検出結果を保存してもよいし、最小温度に対応するデータのみを保存してもよい。
[0070]
 電力変換装置100の動作条件の変化に対応するために、T1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させるスイープを定期的に行う。さらに、入力検出部8および出力検出部9で検出した1つあるいは複数の電圧、電流が所定の閾値を超えた場合に、T1を0から(Ts-2Ton)まで増加させるスイープを開始することで、電力変換装置100の動作条件の変化により迅速に対応することができる。
[0071]
 次に、山登り法による探索について説明する。
 山登り法により、温度検出結果が最小となるターンオン位相を探索し、キャリアCarBの位相を決定することも可能である。
 山登り法を用いる場合、時刻t2の初期値を時刻t1と等しくする、すなわちT1=0とすることで、共振振幅が大きい状態、すなわち、より低い電圧でターンオンすることが可能となり、スイッチング素子S2、S3のターンオン損失をより効果的に低減することができる。
[0072]
 山登り法を用いることで、定期的にT1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させるスイープを行ってスイッチング素子S1~S4の温度の最小値を探索する必要がなくなる。このため、常に温度が最小となる動作条件で動作を継続することができる。
[0073]
 なお、スイッチング素子S1~S4の温度の検出が、スイッチング素子の電圧・電流変化と比較して応答が遅い場合は、温度が飽和するまでの待ち時間を設けてもよい。
[0074]
 本実施の形態2による電力変換装置によれば、温度によりターンオン位相を調整可能であるため、トランスの漏れインダクタンスや寄生容量、スイッチング素子の寄生容量の個体毎のばらつきを考慮した調整が不要である。
[0075]
 なお、本実施の形態2のスイッチング素子の温度検出値に基づき、スイッチング素子のターンオン損失が最小となるターンオン位相を探索は、トランス2次側巻線に中点を設け、整流回路6をセンタータップの構成とする電力変換装置にも適用することが可能である。
[0076]
 以上説明したように、本実施の形態2の電力変換装置は、スイッチング素子の温度検出部を設け、スイッチング素子の温度検出値に基づき、スイッチング素子のターンオン位相を変更し、スイッチング素子の温度が最小となる点を探索することで、スイッチング素子のターンオン損失が最小となるスイッチング素子のターンオン位相を探索できる。したがって、実施の形態1の電力変換装置と同様に、簡易な制御法によりスイッチング損失の増加を抑制することで制御器と冷却器を小型化し、小型な電力変換装置を提供することができる。
[0077]
実施の形態3.
 実施の形態3の電力変換装置は、入力検出部あるいは出力検出部の検出値に基づき、スイッチング素子のターンオン位相を変更し、入力検出部の検出入力電流が最小となる点を探索することで、スイッチング素子のターンオン損失が最小となるスイッチング素子のターンオン位相を探索する構成としたものである。
[0078]
 以下、実施の形態3の電力変換装置について、電力変換装置の構成図である図13、制御部(ターンオン位相演算器)の構成を示すブロック図である図14、および制御部(デューティ演算器)の構成を示すブロック図である図15に基づいて、実施の形態2との差異を中心に説明する。図13-図15において、実施の形態1、2の図と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
[0079]
 まず、実施の形態3の電力変換装置200の構成を図13に基づいて説明する。
 図13において、電力変換装置200は、大きく電力変換部と検出・制御部とから構成される。
 電力変換部は、フルブリッジ構成のインバータ2と、トランス5と、整流回路6と、出力平滑フィルタ7とを備える。電力変換部のインバータ2の入力側には直流電源11が接続され、出力平滑フィルタ7の出力側には、負荷12が接続されている。
 検出・制御部は、入力検出部8と、出力検出部9と、制御部210とを備える。
[0080]
 まず、電力変換部の全体の機能、動作を説明する。
 インバータ2は、直流電源11の直流電圧を高周波交流電圧に変換し、トランス5に出力する。トランス5は、インバータ2と整流回路6との間の絶縁を保ち、所定の高周波交流電圧に変換する。整流回路6はトランス5から出力される高周波交流電圧を整流する。出力平滑フィルタ7は整流回路6から出力される電圧の高周波成分を除去し、負荷12に直流電力を供給する。
[0081]
 実施の形態3において、電力変換装置200の電力変換部のインバータ2の構成および動作は実施の形態2と同じである。
 実施の形態2との差異、すなわち、電力変換装置200の検出・制御部の構成、動作の差異を中心に説明する。
[0082]
 実施の形態3による電力変換装置200では、検出部として、入力検出部8、および出力検出部9を備える。
 電力変換装置200は、実施の形態2と同様に直流電源11と並列に入力検出部8を設け、直流電源11の電圧Vdcと電流Idcの少なくとも一方を検出する。また、負荷12と並列に出力検出部9を設け、負荷の電圧Voutと電流Ioutの少なくとも一方を検出する。
[0083]
 制御部210は、デューティ演算器21、ターンオン位相演算器222、およびPWM演算器23を備える。次に説明するように、制御部210と実施の形態2の制御部110との相違点は、ターンオン位相演算器222である。
 実施の形態2の電力変換装置100では、温度検出部130で検出したスイッチング素子S1~S4の温度をターンオン位相演算器122に出力していた。実施の形態3の電力変換装置200では、入力検出部8あるいは出力検出部9で検出した電圧、電流値をターンオン位相演算器222にも出力している。
[0084]
 まず、ターンオン位相演算器222について説明する。図14はターンオン位相演算器222のブロック図を示す。ターンオン位相演算器222は、キャリア位相演算器221Bと、乗算器225と、加減算器226とを備える。図14において、入力検出部8、出力検出部9からの信号をSGと記載している。
[0085]
 ターンオン位相演算器222は、実施の形態2と同様にデューティ演算器21の演算結果であるデューティD、スイッチング周期Tsからターンオン位相範囲演算し、同範囲内で基準キャリアCarSと同期したキャリアCarAと、ターンオン位相範囲内で基準キャリアCarSと位相差を有したキャリアCarBを演算する。ターンオン位相範囲内で基準キャリアCarSと位相差を有したキャリアCarBはキャリア位相演算器221Bでターンオン位相を演算する。
[0086]
 入力が電圧源で出力がバッテリ等の電圧源負荷の場合、出力電流量を制御することで出力電力が決まるため、入力電流が小さい方がスイッチング損失は小さい状態となる。
 この場合は、入力検出部8で検出した入力電流検出値を用いて、入力電流検出値が最小となる点を探索する。
 以下、入力が電圧源で出力がバッテリ等の電圧源負荷の場合について、説明する。
[0087]
 図15に示すデューティ演算器21Bは、出力検出部9の出力電流検出値Ioutと、負荷電流目標値Iout*との偏差に基づきデューティDを演算する。
 このとき、ターンオン位相演算器222は、ターンオン位相を制御し、入力検出部8の入力電流検出値に基づき、入力電流が最小となる点を探索する。
[0088]
 キャリア位相演算器221Bは、定期的にキャリアCarBをターンオン位相範囲内でターンオン位相をスイープする。すなわち、例えば、T1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させる。
 各ターンオン位相における入力電流検出値を保存し、入力電流検出値が最小となるキャリアCarBの位相を選択する。
 探索結果の保存は、各ターンオン位相に対する入力電流検出値を保存してもよいし、最小入力電流に対応するターンオン位相データのみを保存してもよい。
[0089]
 電力変換装置200の動作条件の変化に対応するために、T1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させるスイープを定期的に行う。さらに、入力検出部8および出力検出部9で検出した1つあるいは複数の電圧、電流が所定の閾値を超えた場合に、T1を0から(Ts-2Ton)まで増加させるスイープを開始することで、電力変換装置100の動作条件の変化により迅速に対応することができる。
[0090]
 次に、山登り法による探索について説明する。
 山登り法により、入力電流検出値が最小となるターンオン位相を探索し、キャリアCarBの位相を決定することも可能である。
 山登り法を用いる場合、時刻t2の初期値を時刻t1と等しくする、すなわちT1=0とすることで、共振振幅が大きい状態、すなわち、より低い電圧でターンオンすることが可能となり、入力電流検出値の最小値をより効果的に探索することができる。
[0091]
 山登り法を用いることで、定期的にT1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させるスイープを行って入力電流検出値の最小値を探索する必要はない。このため、常に入力電流検出値が最小となる動作条件で動作を継続することができる。
[0092]
 以上、実施の形態3の電力変換装置200として、入力が電圧源で出力がバッテリ等の電圧源負荷の場合を説明した。
 直流電源11がAC/DCコンバータ等の定電力源であり、出力側がバッテリ等の電圧源負荷である場合、出力電流が大きい方がスイッチング損失は小さい状態となる。
 この場合には、出力検出部9からキャリア位相演算器221Bに出力された出力電流検出値に基づいて、出力電流検出値の最大値を探索することで、スイッチング素子S1~S4のスイッチング損失が最小となる点を探索できる。
[0093]
 本実施の形態3による電力変換装置によれば、例えば、入力電流検出値に基づいて、スイッチング素子のスイッチング損失が最小となる点を探索できるため、トランスの漏れインダクタンスや寄生容量、スイッチング素子の寄生容量の個体毎のばらつきを考慮した調整が不要である。
[0094]
 以上説明したように、実施の形態3の電力変換装置は、入力検出部あるいは出力検出部の検出値に基づき、スイッチング素子のターンオン位相を変更し、入力検出部の検出入力電流が最小となる点を探索することで、スイッチング素子のターンオン損失が最小となるスイッチング素子のターンオン位相を探索する構成としたものである。したがって、実施の形態1の電力変換装置と同様に、簡易な制御法によりスイッチング損失の増加を抑制することで制御器と冷却器を小型化し、小型な電力変換装置を提供することができる。
[0095]
実施の形態4.
 実施の形態4の電力変換装置は、実施の形態2において大容量バッテリを負荷とした場合、バッテリ電圧上昇に伴う温度変化を除去し、共振振動による温度変化のみを検出するため、ターンオン位相演算器にハイパスフィルタを設ける構成としたものである。
[0096]
 以下、実施の形態4の電力変換装置について、電力変換装置の構成図である図16、および制御部(ターンオン位相演算器)の構成を示すブロック図である図17に基づいて、実施の形態2との差異を中心に説明する。図16、図17において、実施の形態1、2の図と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
[0097]
 まず、実施の形態4の電力変換装置300の構成を図16に基づいて説明する。
 図16において、電力変換装置300は、大きく電力変換部と検出・制御部とから構成される。
 電力変換部は、フルブリッジ構成のインバータ2と、トランス5と、整流回路6と、出力平滑フィルタ7とを備える。電力変換部のインバータ2の入力側には直流電源11が接続され、出力平滑フィルタ7の出力側には、負荷12が接続されている。
 検出・制御部は、入力検出部8と、出力検出部9と、制御部310とを備える。
[0098]
 実施の形態4において、電力変換装置300の電力変換部のインバータ2の構成および動作は実施の形態2と同じである。
 実施の形態2との差異、すなわち、電力変換装置300の検出・制御部の構成、動作の差異を中心に説明する。
[0099]
 実施の形態4による電力変換装置300では、検出部として、入力検出部8、出力検出部9、および温度検出部130を備える。
 電力変換装置300は、実施の形態2と同様に直流電源11と並列に入力検出部8を設け、直流電源11の電圧Vdcと電流Idcの少なくとも一方を検出する。また、負荷12と並列に出力検出部9を設け、負荷の電圧Voutと電流Ioutの少なくとも一方を検出する。さらに、スイッチング素子S1~S4の温度を検出する温度検出部130を備える。
[0100]
 制御部310は、デューティ演算器21、ターンオン位相演算器322、およびPWM演算器23を備える。次に説明するように、制御部310と実施の形態2の制御部210との相違点は、ターンオン位相演算器322である。
[0101]
 まず、ターンオン位相演算器322について説明する。図17はターンオン位相演算器322のブロック図を示す。ターンオン位相演算器322は、キャリア位相演算器221Aと、乗算器225と、加減算器226と、ハイパスフィルタ327とを備える。図17において、温度検出部130からの信号をTmpと記載している。
[0102]
 温度検出部130は、スイッチング素子S1~S4の温度を検出し、ターンオン位相演算器322に出力する。しかし、実施の形態2とは異なり、この温度検出部130からの信号(Tmp)は、ハイパスフィルタ327を介してキャリア位相演算器221Aに入力される。
 ターンオン位相演算器322は、実施の形態2と同様にデューティ演算器21の演算結果であるデューティD、スイッチング周期Tsからターンオン位相範囲を演算し、同範囲内で基準キャリアCarSと同期したキャリアCarAと、ターンオン位相範囲内で基準キャリアCarSと位相差を有したキャリアCarBを演算する。ターンオン位相範囲内で基準キャリアCarSと位相差を有したキャリアCarBはキャリア位相演算器221Aでターンオン位相を演算する。
[0103]
 キャリア位相演算器221Aは、定期的にキャリアCarBをターンオン位相範囲内でターンオン位相をスイープする。すなわち、例えば、T1(第1電力非伝送期間)を0から(Ts-2Ton)まで増加させる。
 キャリア位相演算器221Aは、各ターンオン位相におけるハイパスフィルタ327を介した温度検出結果を保存し、この温度検出結果が最小となるキャリアCarBの位相を選択する。
 ハイパスフィルタ327を介した温度検出結果の保存は、各ターンオン位相に対する温度検出結果を保存してもよいし、最小温度に対応するデータのみを保存してもよい。
[0104]
 このように、実施の形態4では、図17に示した通り、温度検出部130で検出したスイッチング素子S1~S4の温度検出結果はハイパスフィルタ回路327を介してキャリア位相演算器221Aに入力する。この入力結果に基づき、実施の形態2と同様にスイッチ素子のターンオン位相を変更し、第1電力非伝送期間および第2電力非伝送期間の長さを制御する。
[0105]
 つぎに、ターンオン位相演算器322にハイパスフィルタ回路327を設けた理由について説明する。
 EV(Electric Vehicle)/PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)などに搭載される車載充電器のように大容量バッテリを負荷とする電力変換装置の場合、バッテリの電圧が徐々に上昇するのに伴い、スイッチング素子の温度も徐々に変化する。一方、電力非伝送期間の共振振動はMHzオーダーの高周波であり、温度変化の時定数はバッテリ電圧の変化による温度変化の時定数と比較して短い。
 本実施の形態4で新たに設けたハイパスフィルタ回路327により、バッテリ電圧上昇に伴う温度変化を除去し、共振振動による温度変化のみを検出することが可能となる。このため、より高精度にスイッチング損失が最小となる点を探索できる。
[0106]
 以上説明したように、実施の形態4の電力変換装置は、大容量バッテリを負荷とした場合、バッテリ電圧上昇に伴う温度変化を除去し、共振振動による温度変化のみを検出するため、ターンオン位相演算器にハイパスフィルタを設ける構成としたものである。したがって、実施の形態1の電力変換装置と同様に、簡易な制御法によりスイッチング損失の増加を抑制することで制御器と冷却器を小型化し、小型な電力変換装置を提供することができる。さらに、より高精度にスイッチング損失が最小となる点を探索できる。
[0107]
実施の形態5.
 実施の形態5の電力変換装置は、実施の形態2から実施の形態4に対して、スイッチング損失が最小となる点の探索を容易とするために、電力変換部のインバータのスイッチング素子に並列にコンデンサを追加する、あるいはトランスの1次巻線にインダクタを追加する構成としたものである。
[0108]
 以下、実施の形態3の電力変換装置に適用した場合を例として、実施の形態5の電力変換装置について、電力変換装置の構成図である図18に基づいて、実施の形態3との差異を中心に説明する。図18において、実施の形態1、3の図と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
[0109]
 まず、実施の形態5の電力変換装置400の構成を図18に基づいて説明する。
 図18において、電力変換装置400は、大きく電力変換部と検出・制御部とから構成される。
 電力変換部は、フルブリッジ構成のインバータ402と、トランス5と、整流回路6と、出力平滑フィルタ7と、トランス5の1次巻線に直列接続されたインダクタL1とを備える。電力変換部のインバータ402の入力側には直流電源11が接続され、出力平滑フィルタ7の出力側には、負荷12が接続されている。
 検出・制御部は、入力検出部8と、出力検出部9と、制御部210とを備える。
[0110]
 実施の形態5において、電力変換装置500の電力変換部のインバータ402の基本構成および動作は実施の形態3と同じである。
 実施の形態3との差異、すなわち、インバータ402のスイッチング素子S1~S4に並列に接続されたコンデンサC1~C4、およびトランス5の1次巻線に直列に設けられたインダクタL1の機能を中心に説明する。
[0111]
 インバータ402のスイッチング素子S1~S4に並列にコンデンサC1~C4を接続し、またトランス5の1次巻線にインダクタL1を直列に接続することで、第1電力非伝送期間および第2電力非伝送期間に発生する共振振動を低周波化することが可能となり、スイッチング損失が最小となる点の探索が容易となる。
[0112]
 なお、コンデンサC1~C4、あるいはインダクタL1のいずれか1方のみを追加してもよい。また、コンデンサC1~C4のすべてを追加するのではなく、いずれか1つ以上のスイッチング素子S1~S4と並列に接続してもよい。例えば、上アーム(3U、4U)あるいは下アーム(3L、4L)のスイッチング素子に追加してもよい。また、第1レグ3あるいは第2レグ4のスイッチング素子に追加してもよい。スイッチング素子S1とS4、あるいはスイッチング素子S2とS3のいずれかの対角素子のみに追加してもよい。さらに、インダクタL1はトランス5の2次巻線と直列に接続してもよいし、1次側、2次側双方に設けてもよい。
[0113]
 以上の説明では、実施の形態3の電力変換装置にコンデンサおよびインダクタを追加する例を説明したが、実施の形態2、4の電力変換装置に対しても同様に適用できる。
[0114]
 以上説明したように、実施の形態5の電力変換装置は、電力変換部のインバータのスイッチング素子に並列にコンデンサを追加する、あるいはトランスの1次巻線にインダクタを追加する構成としたものである。したがって、実施の形態1の電力変換装置と同様に、簡易な制御法によりスイッチング損失の増加を抑制することで制御器と冷却器を小型化し、小型な電力変換装置を提供することができる。さらに、スイッチング損失が最小となる点の探索を容易にできる。
[0115]
 なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。

産業上の利用可能性

[0116]
 この発明は、簡易な制御法によりスイッチング損失の増加を抑制することで制御器と冷却器を小型化できるため、電力変換装置に広く適用できる。

符号の説明

[0117]
 1,1A,100,200,300,400 電力変換装置、2,402 インバータ、3 第1レグ、4 第2レグ、5,5A トランス、6,6A 整流回路、7 出力平滑フィルタ、8 入力検出部、9 出力検出部、10,110,210,310 制御部、11 直流電源、12 負荷、21,21A,21B,21C デューティ演算器、22,122,222,322 ターンオン位相演算器、23 PWM演算器、71,L1 インダクタ、72,C1~C4 コンデンサ、211,214 加減算器、212 比例制御器、213 比例積分制御器、215 比例制御器、231,232 比較器、225 乗算器、226 加減算器、233 ANDゲート、234 遅延器、327 ハイパスフィルタ、3U,4U 上アーム、3L,4L 下アーム、S1~S4 スイッチング素子、D1~D4 帰還ダイオード、D5~D10 ダイオード。

請求の範囲

[請求項1]
上アームと下アームを構成するスイッチング素子が直列に接続された第1レグと第2レグとが並列に接続され、前記第1レグと前記第2レグとは直流電源に並列に接続され、前記第1レグの前記上アームと前記下アームとの接続点と、前記第2レグの前記上アームと前記下アームとの接続点を交流電圧の出力端子とするフルブリッジ構成のインバータと、
前記交流電圧の前記出力端子に一次側が接続されたトランスと、
前記トランスの二次側に接続された整流回路と、
前記各スイッチング素子をオン/オフする制御部と、を備えた電力変換装置において、
前記制御部は、前記インバータの前記第1レグの前記上アームの前記スイッチング素子と前記第2レグの前記下アームの前記スイッチング素子を同時にオンする第1電力伝送期間と、前記第1レグの前記下アームの前記スイッチング素子と前記第2レグの前記上アームの前記スイッチング素子を同時にオンする第2電力伝送期間を交互に設け、
さらに、前記制御部は、前記第1電力伝送期間と前記第2電力伝送期間の間に全ての前記スイッチング素子がオフ状態となる第1電力非伝送期間を設け、前記第2電力伝送期間と前記第1電力伝送期間の間に全ての前記スイッチング素子がオフ状態となる第2電力非伝送期間を設け、
さらに、前記制御部は、前記第1電力非伝送期間、および前記第2電力非伝送期間の合計長さを一定にした上で、前記第1電力非伝送期間および前記第2電力非伝送期間の長さをスイッチング周期ごとに変化させるように制御する電力変換装置。
[請求項2]
前記制御部は、前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の長さを、0またはデッドタイム分の長さから、増加させるように制御する請求項1に記載の電力変換装置。
[請求項3]
前記制御部は、前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の長さを、前記スイッチング周期の長さから前記第1電力伝送期間および前記第2電力伝送期間の長さを引いた長さ、または、前記スイッチング周期の長さから前記第1電力伝送期間、前記第2電力伝送期間およびデッドタイム分の長さを引いた長さ、から減少させるように制御する請求項1に記載の電力変換装置。
[請求項4]
前記制御部は、前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の長さを予め定めた単位時間変化させるように制御する請求項2または請求項3に記載の電力変換装置。
[請求項5]
前記単位時間は、前記スイッチング素子のドレイン-ソース間電圧に発生する共振電圧波形の周期よりも短い請求項4に記載の電力変換装置。
[請求項6]
前記インバータの入力側と前記整流回路の出力側の少なくとも一方の電圧および電流の少なくとも一方を検出する検出回路を備え、
前記制御部は、前記スイッチング周期と、前記検出回路で検出した電圧、電流の少なくとも1つの検出値と前記検出値の予め定めた目標値とに基づいて前記第1電力伝送期間と前記第2電力伝送期間の長さを制御する請求項2または請求項3に記載の電力変換装置。
[請求項7]
さらに、前記制御部は、前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間のいずれか一方の開始位相を演算し、前記第1電力非伝送期間、および前記第2電力非伝送期間の合計長さを一定にした上で、前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の長さを制御し、前記スイッチング素子の損失が最小となる点を探索し、この損失最小点で動作させる請求項1に記載の電力変換装置。
[請求項8]
前記制御部は、前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の長さを予め定めた単位時間変化させるように制御する請求項7に記載の電力変換装置。
[請求項9]
前記単位時間は、前記スイッチング素子のドレイン-ソース間電圧に発生する共振電圧波形の周期よりも短い請求項8に記載の電力変換装置。
[請求項10]
前記制御部は、前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間のいずれか一方を0またはデッドタイム分の長さから増加させるように前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の開始位相を制御し、前記スイッチング素子の損失が最小となる点を山登り法で探索する請求項7または請求項8に記載の電力変換装置。
[請求項11]
前記制御部は、前記インバータの入力側の入力電流を検出する検出回路の検出信号に基づき前記入力電流が最小となるように前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の開始位相を制御する請求項7または請求項8に記載の電力変換装置。
[請求項12]
前記制御部は、前記インバータの出力側の出力電流を検出する検出回路の検出信号に基づき前記出力電流が最大となるように前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の開始位相を制御する請求項7または請求項8に記載の電力変換装置。
[請求項13]
さらに、前記インバータを構成する前記スイッチング素子のうち、少なくとも1個以上の前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出器を備え、
前記温度検出器の検出信号に基づき、前記スイッチング素子の温度が最小となるように前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の開始位相を制御する請求項7または請求項8に記載の電力変換装置。
[請求項14]
前記制御部は、前記温度検出器の検出信号に対してハイパスフィルタ回路をさらに有し、前記ハイパスフィルタ回路の出力結果に基づき、前記スイッチング素子の温度が最小となるように前記第1電力非伝送期間あるいは前記第2電力非伝送期間の開始位相を制御する請求項13に記載の電力変換装置。
[請求項15]
前記スイッチング素子の少なくとも1つと並列にコンデンサを有する請求項7から請求項14のいずれか1項に記載の電力変換装置。
[請求項16]
前記トランスの1次巻線あるいは2次巻線のいずれか1方、または両方の巻線に直列にインダクタを有する請求項7から請求項15のいずれか1項に記載の電力変換装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]