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1. (WO2018185959) 燃料タンクのイナーティング方法及び浮体
Document

明 細 書

発明の名称 燃料タンクのイナーティング方法及び浮体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045  

産業上の利用可能性

0046  

符号の説明

0047  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 燃料タンクのイナーティング方法及び浮体

技術分野

[0001]
 この発明は、燃料タンクのイナーティング方法及び浮体に関する。
 本願は、2017年4月6日に、日本に出願された特願2017-076236号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 LPG(liquefied petroleum gas)タンカー等の船舶においては、定期点検等でドックに入る際に、カーゴタンクの中をガスフリーにする必要が有る。その際、液化石油ガス等に酸素が触れることを防止するため、一般に、液化石油ガスを不活性な窒素ガスなどのイナートガスに置き換えてカーゴタンク内をイナートガスで満たすイナーティング工程が行われる。このイナーティング工程は、点検後の液化石油ガスを貯蔵する前にも行われ、この場合、カーゴタンク内の空気がイナートガスに置き換えられる。
[0003]
 特許文献1には、油輸送船の油槽内にイナートガスを供給可能な船舶が記載されている。この特許文献1においては、補助ボイラの排気ガスをイナートガスとして利用している。このイナートガスの酸素濃度は、5%以下にする必要が有るため、特許文献1では、補助ボイラを高負荷運転し、この高負荷運転時に補助ボイラで発生した余剰な蒸気を、復水器に送り込んでいる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 実開昭58-164999号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1のようにカーゴタンクを備えた船舶においては、イナーティングを行うための設備を船上に有している場合が多い。しかしながら、カーゴタンクを備えずに燃料タンクのみを備える船舶等の浮体においては、例えば、バンカー船や港湾設備等の外部からイナートガスを供給する必要が有り、イナーティング作業が煩雑になるとともにイナーティングに時間が掛かってしまうという課題がある。
 カーゴタンクを備えた船舶等の浮体においても、カーゴタンクにイナートガスを供給している間は、燃料タンクにイナートガスを供給することができず、イナーティング作業に時間が掛かってしまう。
 この発明は、イナーティング作業に掛かる作業時間を短縮することが可能な燃料タンクのイナーティング方法及び浮体を提供するものである。

課題を解決するための手段

[0006]
 この発明の第一態様によれば、燃料タンクのイナーティング方法は、浮体に複数設けられた燃料タンクのイナーティング方法である。燃料タンクのイナーティング方法は、点検前イナーティング工程と、点検後イナーティング工程と、を含む。点検前イナーティング工程は、点検前のイナーティングで、複数の前記燃料タンクのうちの一部の燃料タンクを大気圧よりも高圧のイナートガスで満たす。点検後イナーティング工程は、前記一部の燃料タンクとは異なる他の燃料タンクのうち、点検中に開放された前記他の燃料タンクに対して、前記一部の燃料タンクに満たされた前記高圧のイナートガスの一部を供給する。
 このように構成することで、一部の燃料タンクに点検前に充填された高圧のイナートガスを、その圧力により点検後の他の燃料タンクに送り込むことができる。すなわち、一部の燃料タンクに充填されているイナートガスを用いて、他の燃料タンクに対する点検後のイナーティングを行うことができる。これにより、点検後に他の燃料タンクに対して船外からイナートガスを供給する必要が無くなる。浮体のカーゴタンクのイナーティング作業をしている場合であっても、燃料タンクのイナーティング作業を並行して実施することができる。その結果、イナーティングにかかる作業時間を短縮することができる。
[0007]
 この発明の第二態様によれば、第一態様に係る点検後イナーティング工程では、前記他の燃料タンクの内圧が大気圧となるように圧力を調整するようにしても良い。
 このように構成することで、他の燃料タンクにおけるイナートガスの圧力を適正な圧力にすることができる。そのため、他の燃料タンクに対して無駄にイナートガスが供給されることを抑制できる。
[0008]
 この発明の第三態様によれば、第一又は第二態様に係る点検前イナーティング工程では、前記浮体の備えるカーゴタンク用のイナートガス発生装置で発生させたイナートガスを前記燃料タンクに供給するようにしてもよい。
 このように構成することで、カーゴタンクへのイナートガスの供給と並行して、又はカーゴタンクにイナートガスを供給していないときに、浮体が備えるカーゴタンク用のイナートガス発生装置を用いて、一部の燃料タンクに対してイナートガスを供給することができる。したがって、カーゴタンク用のイナートガス発生装置を有効利用することができる。
[0009]
 この発明の第四態様によれば、浮体は、主機関と、前記主機関に燃料を供給する複数の燃料タンクと、これら燃料タンクを互いに連通状態で接続する接続配管と、前記接続配管に設けられて前記接続配管により接続された燃料タンク同士の圧力を調整可能な圧力調整弁と、を備える。
 このようにすることで、燃料タンク間の差圧を用いてイナートガスを接続配管経由で移動させることが可能となる。さらに、圧力調整弁を備えていることで、接続配管を介して供給されるイナートガスの圧力を調整することができる。したがって、一部の燃料タンクに点検前に充填されているイナートガスを用いて、他の燃料タンクに対する点検後のイナーティングを行うことができるため、イナーティングにかかる作業時間を短縮することができる。
[0010]
 この発明の第五態様によれば、第四態様に係る浮体は、カーゴタンクと、イナートガス発生装置と、第一配管と、第二配管と、開閉弁と、を備えていてもよい。イナートガス発生装置は、カーゴタンクをイナーティングする。第一配管は、前記イナートガス発生装置と、前記カーゴタンクとを接続する。第二配管は、前記第一配管から分岐して前記第一配管と複数の前記燃料タンクとをそれぞれ連通状態にする。開閉弁は、前記第一配管から前記第二配管へのイナートガスの流入を遮断可能とする。
 このように構成することで、開閉弁を開放状態にすれば、カーゴタンク用のイナートガス発生装置で発生させたイナートガスを、第一配管から第二配管を介して燃料タンクに供給することができる。すなわち、カーゴタンクへのイナートガスの供給と並行して、又はカーゴタンクにイナートガスを供給していないときに、浮体が備えるカーゴタンク用のイナートガス発生装置を用いて、燃料タンクにイナートガスを供給することができる。その結果、例えば、既設のカーゴタンク用のイナートガス発生装置を、燃料タンクにイナートガスを充填するためのイナートガス発生装置として有効利用することができる。

発明の効果

[0011]
 上記燃料タンクのイナーティング方法及び浮体によれば、イナーティング作業に掛かる作業時間を短縮することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] この実施形態の浮体の概略構成を示す構成図である。
[図2] この発明の実施形態におけるイナーティングシステムの概略構成を示す図である。
[図3] この発明の実施形態におけるガス燃料タンクのイナーティング方法のフローチャートである。
[図4] この発明の実施形態の変形例における、イナーティングシステムの概略構成を示す図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 次に、この発明の実施形態におけるガス燃料タンクのイナーティング方法及び浮体を図面に基づき説明する。
 この実施形態における浮体としては、液化石油ガス(LPG;liquefied petroleum gas)を運搬するいわゆるLPG運搬船を一例に説明する。
[0014]
(実施形態)
 図1は、この第一実施形態の浮体の概略構成を示す構成図である。なお、図1において、船体2の船首尾方向を矢印で示しており、それぞれ船首側を「F」、船尾側を「A」としている。
 図1に示すように、この実施形態における浮体である船舶1は、船体2と、カーゴタンク3と、エンジン4と、上部構造5と、ガス燃料タンク6と、イナートガス発生装置IGG(図2参照)と、を備えている。
 船体2は、一対の舷側7(図1中、右舷側のみ示す)と、船底8と、上甲板9と、を有している。上甲板9は、最も上方に位置する全通甲板であって、この実施形態における船体2では、暴露甲板である。また、船体2の内部には、カーゴホールド10と、主機室11とが区画されている。さらに、船体2は、船尾2Aの下方にスクリュー12と舵13とを備えている。
[0015]
 カーゴホールド10は、カーゴタンク3を収容する空間である。この実施形態で例示する船舶1は、船首2Fから船尾2Aに向かって複数(より具体的には、3つ)のカーゴホールド10が並んで配置されている。これらカーゴホールド10は、仕切壁10aによって、それぞれ船首尾方向に区画されている。
[0016]
 主機室11は、エンジン4を収容する区画であり、カーゴホールド10よりも船尾2Aに近い側に配置されている。主機室11は、上部構造5の下方に配置されている。この実施形態における主機室11は、二重底を形成する内側の底板14と、その一つ上に形成された甲板15とにより上下が区画されている。
[0017]
 カーゴタンク3は、液化石油ガスを貯蔵可能な積荷用のタンクである。カーゴタンク3は、上述した複数のカーゴホールド10にそれぞれ一つずつ収容されている。すなわち、カーゴタンク3も、カーゴホールド10と同様に船首尾方向に並んで複数配置されている。カーゴタンク3は、より多くの液化石油ガスを運搬するために、液化石油ガスを冷却液化させて体積を小さくした状態で貯蔵することが可能になっている。これらカーゴタンク3に貯蔵された液化石油ガスは、船舶1が航行するための燃料とは区別して、船舶1が航行するための燃料として使用されないようにすることもできる。
[0018]
 エンジン4は、液化石油ガスを燃料として駆動可能とされている。エンジン4は、スクリュー12を回転させて推力を発生させる。エンジン4は、上述した主機室11に収容されている。エンジン4の燃料は、液化石油ガスのみに限られず、液化石油ガスと他の燃料との併用(バイフューエル)や、混合(デュアルフューエル)等であってもよい。エンジン4は、スクリュー12を駆動するものに限られない。例えば、エンジン4によって発電機を駆動するようにしても良い。このエンジン4は、通常は、ガス燃料タンク6に貯蔵された液化石油ガスを用いて駆動される。
[0019]
 上部構造5は、上甲板9の上に形成されており、船橋や居住区等を備えている。この上部構造5は、船首尾方向でカーゴホールド10よりも船尾2A側となる位置で、且つ主機室11の上方となる位置に配置されている。
[0020]
 ガス燃料タンク6は、上述したエンジン4の燃料である液化石油ガスを貯蔵する。この実施形態で例示するガス燃料タンク6は、上甲板9の上に複数設置されている。より具体的には、複数のガス燃料タンク6は、カーゴホールド10の上方の上甲板9の上に設置されている。ガス燃料タンク6は、液化石油ガスを加圧状態で貯蔵可能な加圧式の容器(圧力タンク)となっている。これにより、ガス燃料タンク6は、常温下で液化石油ガスを液体の状態に維持できる。
[0021]
 この実施形態の船舶1においては、ガス燃料タンク6が円柱状の圧力タンクである、いわゆるType-Cタンクの場合を例示している。また、ガス燃料タンク6が2つ設けられている場合を一例に説明している(図2参照)。これらガス燃料タンク6は、その長手方向が船首尾方向と一致する姿勢で配置されている。しかし、ガス燃料タンク6は、これら形状、個数、配置に限られるものでは無い。
[0022]
 図2は、この発明の実施形態におけるイナーティングシステムの概略構成を示す図である。
 イナートガス発生装置IGGは、船舶1の点検前及び点検後に行うイナーティング工程において用いるイナートガスを発生させる。図2に示すように、イナートガス発生装置IGGは、複数のカーゴタンク3にそれぞれイナートガスを選択的に供給するためのイナートガス供給配管20を介して接続されている。ここで、「点検前」とは、カーゴタンク3やガス燃料タンク6の点検や補修のために船舶1がドックに入る前などを意味し、「点検後」とは、点検や補修が完了して船舶1がドックを出た後などのことをそれぞれ意味している。つまり、「点検」に限られるものではない。以下の説明では、船舶1がドックに入る場合を一例に説明するが、ドックに入る場合に限られない。例えば、ドックの外で点検や補修等を行ってもよい。カーゴタンク3を有している船舶1であっても、イナートガス発生装置IGGを備えていない場合もある。その場合、図2において破線で示すように、イナートガス発生装置IGGの代わりに、バンカリングステーションBSを介してバンカー船等の船外設備からイナートガスを供給するようにしても良い。イナートガスの供給は、イナートガス発生装置IGGと、バンカリングステーションBSを介した上記の船外設備と、を併用したり、選択的に切り替えたりするようにしても良い。
[0023]
 イナートガス供給配管20は、第一配管21と、第二配管22と、接続配管30と、を備えている。
 第一配管21は、イナートガス発生装置IGGとカーゴタンク3とを接続している。この第一配管21は、イナートガス発生装置IGGで発生したイナートガスを、カーゴタンク3に供給する流路を形成している。この第一配管21により、イナートガス発生装置IGGのガス出口(図示せず)とカーゴタンク3の内部空間とをそれぞれ連通状態にすることが可能となっている。
[0024]
 第一配管21は、第一主配管23と、第一分岐配管24とを備えている。
 第一主配管23は、イナートガス発生装置IGGのガス出口(図示せず)に接続され、イナートガス発生装置IGGにより生成したイナートガスを第一分岐配管24に向けて案内する。
 第一分岐配管24は、複数本設けられ、第一主配管23から分岐して複数のカーゴタンク3に接続されている。これら第一分岐配管24には、それぞれ遮断弁25が設けられている。これら遮断弁25の開閉を切り替えることで、第一主配管23から複数のカーゴタンク3に対して選択的にイナートガスを供給することが可能となっている。
[0025]
 第二配管22は、第一配管21(より具体的には、第一主配管23)から分岐して第一配管21と複数のガス燃料タンク6とをそれぞれ連通状態にする。第二配管22は、第二主配管26と、第二分岐配管27と、を備えている。
 第二主配管26は、第一主配管23を流れるイナートガスを第二分岐配管27へと案内する。この第二主配管26には、開閉弁28が設けられている。開閉弁28は、第二主配管26の流路を開閉可能に構成されている。この開閉弁28によって、第一配管21から第二配管22へのイナートガスの流入を遮断することが可能となっている。この開閉弁28が開放されているときに、第一主配管23を流れるイナートガスが第二主配管26へ流入する。第二主配管26が第一主配管23に分岐接続される場合について説明したが、この構成に限られない。例えば、第二主配管26は、イナートガス発生装置IGGやバンカリングステーションBSに直接接続されていても良い。
[0026]
 第二分岐配管27は、二本設けられ、第二主配管26と、二つのガス燃料タンク6とをそれぞれ接続している。これら第二分岐配管27には、それぞれ遮断弁29が設けられている。これら遮断弁29の開閉を切り替えることで、第二主配管26から二つのガス燃料タンク6に対して選択的にイナートガスを供給することが可能となっている。この第二配管22を介してガス燃料タンク6に供給されるイナートガスは、大気圧よりも高圧の加圧された状態(例えば、3bar程度)で供給することが可能となっている。
[0027]
 接続配管30は、二つのガス燃料タンク6を互いに連通状態で接続する。この接続配管30には、圧力調整弁31が設けられている。この圧力調整弁31は、いわゆる減圧弁である。圧力調整弁31は、二つのガス燃料タンク6のうち、第一タンク6aから第二タンク6bに移動する気体が大気圧よりも僅かに高い圧力となるように圧力調整する。
 この実施形態においては、点検前に、第二分岐配管27を介してそれぞれのガス燃料タンク6にイナートガスを供給する場合について説明した。しかし、この構成に限られるものでは無い。例えば、点検前においても接続配管30を経由して、第一タンク6aから第二タンク6bへ向けてイナートガスを供給するようにしても良い。このように構成する場合、第二タンク6bにイナートガスを供給する第二分岐配管27は、省略しても良い。
 その反対に、第二配管22において、二つのガス燃料タンク6を互いに接続する第二分岐配管27に圧力調整弁31を設けて接続配管30を省略しても良い。
[0028]
 この実施形態においては、イナートガスが接続配管30により第一タンク6aから第二タンク6bに向けて流入させることが可能な場合を一例に説明するが、第二タンク6bから第一タンク6aにイナートガスを流入させるようにしても良い。さらに、双方向にイナートガスをやり取り可能なように、二つのガス燃料タンク6の間に、イナートガスの流れる方向が互いに異なる二つの接続配管30を並列に接続するようにしても良い。
 なお、接続配管30の両端部に開閉弁32を設け、接続配管30の未使用時に開閉弁32を閉塞位置し、接続配管30の使用時に開閉弁32を開放位置にするようにしてもよい。また、第一タンク6aと第二タンク6bとには、それぞれベント弁Bが設けられている。
[0029]
 この実施形態における浮体である船舶1は、上述した構成を備えている。次に、この船舶1におけるイナーティング方法について図面を参照しながら説明する。このイナーティング方法の説明においては、上述したガス燃料タンク6のうち、第二タンク6bが点検対象であり、第一タンク6aが点検対象ではない場合を一例にして説明する。ガス燃料タンク6のイナーティングについてのみ説明するが、並行してカーゴタンク3のイナーティングを行うようにしても良い。
[0030]
 図3は、この発明の実施形態におけるガス燃料タンクのイナーティング方法のフローチャートである。
 図3に示すように、このイナーティング方法においては、まず、ガス燃料タンク6の定期点検等を行うべく船舶1がドックに入る前に、点検前イナーティング工程(ステップS01)を行う。この点検前イナーティング工程では、ガス燃料タンク6の内部の液化石油ガスを、窒素ガスなどのイナートガスに置き換える。
[0031]
 このイナートガスは、イナートガス発生装置IGGによって発生させている。そして、この点検前イナーティング工程では、開閉弁28を開放するとともに、2つの遮断弁29を選択的に開放することで、第一タンク6a及び第二タンク6bに対してイナートガスを供給する。さらに、この点検前イナーティング工程では、複数のガス燃料タンク6のうち、例えば、点検対象ではない第一タンク6a(一部の燃料タンク)を大気圧よりも高圧のイナートガスで満たし、第二タンク6b(他の燃料タンク)を大気圧のイナートガスで満たしている。カーゴタンク3のイナーティング等を行っている場合、ガス燃料タンク6へ供給するイナートガスは、バンカー船等から供給するようにしても良い。
[0032]
 この実施形態の第一タンク6aに供給されるイナートガスは、例えば、第一燃料タンク6aの容積に対して大気圧下で2倍以上の体積となるように加圧されている。つまり、第一タンク6aを満たす高圧のイナートガスは、その一部を第二タンク6bに送り込んだ場合に第二タンク6bを満たすことができる程度に加圧されている。
[0033]
 次に、船舶1がドックに入ると、点検対象である第二タンク6bを満たしているイナートガスを、送風機(図示せず)等を用いて空気に置き換えるガスフリー作業を行う(ステップS02)。
 その後、空気で満たされた第二タンク6b内の作業(タンク内作業)として、例えば、点検及び補修などを行う(ステップS03)。
[0034]
 第二タンク6b内の作業が完了すると、船舶1は、ドックから出る。ドックから出た船舶1は、例えば、岸壁から離れて、点検後イナーティング工程(ステップS04)を行う。
[0035]
 この点検後イナーティング工程においては、第一タンク6aを満たしている高圧のイナートガスの一部を第二タンク6bに対して供給する。より具体的には、接続配管30の両端部に設けられている開閉弁32をそれぞれ閉塞状態から開放状態に切り換えて、第一タンク6aと第二タンク6bとを連通させる。これにより、第一タンク6aのイナートガスが、圧力調整弁31によって圧力調整されつつ第二タンク6bに供給される。このとき、第二タンク6bにおいては、イナートガスによって内部に残存する空気が排出口(図示せず)からタンク外部に押し出される。これにより、第二タンク6bが、イナートガスによって満たされる。そして、接続配管30に設けられた開閉弁32を閉塞させる。
[0036]
 次いで、イナートガスによって満たされた第二タンク6bに対して液化石油ガスを供給する作業を行う(ステップS05)。この液化石油ガスを第二タンク6bに供給する作業は、例えば、船舶1を接岸させて陸上設備を用いて行ったり、船舶1を離岸させてバンカー船を用いて行ったりしても良い。この際に、第一タンク6aに対して第二タンク6bと同様に液化石油ガスを供給しても良い。
[0037]
 したがって、上述した第一実施形態によれば、点検前に第一タンク6aに充填された高圧のイナートガスを、その圧力により点検後の第二タンク6bに送り込むことができる。すなわち、点検対象ではない第一タンク6aに充填されているイナートガスを用いて、点検対象である第二タンク6bに対する点検後のイナーティングを行うことができる。これにより、点検後の第二タンク6bに対して船外からイナートガスを供給する必要が無くなる。船舶1のカーゴタンク3のイナーティング作業をしている場合であっても、第二タンク6bのイナーティング作業を並行して実施することができる。その結果、ガス燃料タンク6のイナーティングに掛かる作業時間を短縮することができる。
[0038]
 さらに、接続配管30に圧力調整弁31が設けられていることで、第二タンク6bにおけるイナートガスの圧力を適正な圧力にすることができる。そのため、第二タンク6bに対して無駄にイナートガスが供給されることを抑制できる。
[0039]
 さらに、第二配管22を備えるため、カーゴタンク3にイナートガスを供給していないときに、船舶1が備えるカーゴタンク用のイナートガス発生装置IGGを用いて、第一タンク6aに対してイナートガスを供給することもできる。そのため、カーゴタンク3用のイナートガス発生装置IGGを、ガス燃料タンク6にイナートガスを発生させる装置として有効利用することができる。
[0040]
(変形例)
 図4は、この発明の実施形態の変形例における、イナーティングシステムの概略構成を示す図である。
 上述した実施形態においては、ガス燃料タンク6に対して点検前にカーゴタンク3用のイナートガス発生装置IGGからイナートガスを供給する場合について説明した。しかし、この構成に限られるものではない。例えば、図4に示すように、イナートガスを、点検前にバンカリングステーションBSを経由して、バンカー船や陸上設備等の船外から供給するようにしても良い。
 この変形例のようにすることで、例えば、イナートガス発生装置IGGを備えていない船舶(例えば、コンテナ輸送船等)であっても、ガス燃料タンク6に対して、上述したイナーティング方法と同様に点検後のイナーティングを行うことが可能となる。
[0041]
 この発明は上述した実施形態及び変形例の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
 例えば、上述した実施形態及び変形例では、ガス燃料タンク6が2つ設けられている場合について説明した。しかし、ガス燃料タンク6は、複数であればよく、例えば、3つ以上であってもよい。
 上述した実施形態においては、浮体として船舶1を一例に説明したが、浮体は船舶に限られない。例えば、浮体は、発電用浮体や、FSRU(Floating Storage and Re-gasification Unit)等であっても良い。
[0042]
 上述した実施形態では、一つのガス燃料タンク6を高圧のイナートガスで満たす場合について説明した。しかし、ガスフリーにする予定の無いガス燃料タンク6が2つ以上ある場合には、2つ以上のガス燃料タンク6を高圧のイナートガスで満たすようにしても良い。このようにした場合、これらのイナートガスを用いて、より多くのガス燃料タンク6に対して点検後のイナーティングを行うことが可能となる。
[0043]
 上述した実施形態では、主機関がエンジン4の場合について説明した。しかし、ガス燃料タンク6に貯蔵される液化石油ガスを用いて駆動される機関であれば、エンジン4に限られない。
 ガス燃料タンク6の配置や主機室11の配置等は、上述した実施形態の配置に限られない。
[0044]
 上述した実施形態と変形例との構成を組み合わせるようにしても良い。具体的には、船舶1に、イナートガス発生装置IGGとバンカリングステーションBSとを両方設けて、イナートガス発生装置IGGとガス燃料タンク6とが接続された状態、及び、バンカリングステーションBSとガス燃料タンク6とが接続された状態とを切り替え可能としてもよい。このようにすることで、船内と船外とから選択的にイナートガスをガス燃料タンク6に供給することができる。
[0045]
 上述した実施形態及び変形例においては、燃料タンクが液化石油ガスを加圧状態で貯蔵可能なガス燃料タンク6である場合について説明した。しかし、燃料タンクは、加圧されたイナートガスを収容可能な圧力タンクであればよく、貯蔵される燃料の種類は、液化石油ガスに限られない。

産業上の利用可能性

[0046]
 この発明は、燃料タンクのイナーティング方法及び浮体に適用できる。この発明によれば、イナーティング作業に掛かる作業時間を短縮することができる。

符号の説明

[0047]
1 船舶
2 船体
3 カーゴタンク
4 エンジン(主機関)
5 上部構造
6 ガス燃料タンク(燃料タンク)
6a 第一タンク(一部の燃料タンク)
6b 第二タンク(他の燃料タンク)
7 舷側
8 船底
9 上甲板
10 カーゴホールド
11 主機室
12 スクリュー
13 舵
14 底板
15 甲板
20 イナートガス供給配管
21 第一配管
22 第二配管
23 第一主配管
24 第一分岐配管
25 遮断弁
26 第二主配管
27 第二分岐配管
28 開閉弁
30 接続配管
31 圧力調整弁
32 開閉弁
IGG イナートガス発生装置
BS バンカリングステーション

請求の範囲

[請求項1]
 浮体に複数設けられた燃料タンクのイナーティング方法であって、
 点検前のイナーティングで、複数の前記燃料タンクのうちの一部の燃料タンクを大気圧よりも高圧のイナートガスで満たす点検前イナーティング工程と、
 前記一部の燃料タンクとは異なる他の燃料タンクのうち、点検中に開放された前記他の燃料タンクに対して、前記一部の燃料タンクに満たされた前記高圧のイナートガスの一部を供給する点検後イナーティング工程と、
を含む燃料タンクのイナーティング方法。
[請求項2]
 前記点検後イナーティング工程では、
 前記他の燃料タンクの内圧が大気圧となるように圧力を調整する請求項1に記載の燃料タンクのイナーティング方法。
[請求項3]
 前記点検前イナーティング工程では、
 前記浮体の備えるカーゴタンク用のイナートガス発生装置で発生させたイナートガスを前記燃料タンクに供給する請求項1又は2に記載の燃料タンクのイナーティング方法。
[請求項4]
 主機関と、
 前記主機関に燃料を供給する複数の燃料タンクと、
 これら燃料タンクを互いに連通状態で接続する接続配管と、
 前記接続配管に設けられて前記接続配管により接続された燃料タンク同士の圧力を調整可能な圧力調整弁と、
を備える浮体。
[請求項5]
 カーゴタンクと、
 カーゴタンクをイナーティングするイナートガス発生装置と、
 前記イナートガス発生装置と、前記カーゴタンクとを接続する第一配管と、
 前記第一配管から分岐して前記第一配管と複数の前記燃料タンクとをそれぞれ連通状態にする第二配管と、
 前記第一配管から前記第二配管へのイナートガスの流入を遮断可能な開閉弁と、
を備える請求項4に記載の浮体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]