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1. (WO2018185948) 消臭効果を示す材料
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明 細 書

発明の名称 消臭効果を示す材料

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011  

発明の効果

0012   0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023  

実施例

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 消臭効果を示す材料

技術分野

[0001]
 本発明は、アンモニア、トリメチルアミン等のアルカリ性の臭気を効果的に消臭することができる消臭効果を示す材料に関するものである。

背景技術

[0002]
 アンモニア、トリメチルアミンは悪臭防止法において4大悪臭に指定されている臭気であり、汗、し尿、食品腐敗物などから発生する生活臭の成分である。これらの悪臭に対する消臭効果を示す材料として、従来から様々な種類のものが開発されてきた。
[0003]
 例えば特許文献1には、亜硫酸塩と光触媒とゼオライトなどを含有する消臭材が記載されており、この消臭剤で繊維製品を消臭加工することにより、トイレ用マット、靴の中敷、紙オムツなどの様々な消臭製品が得られることが開示されている。
[0004]
 しかし光触媒は紫外線や可視光線により励起されるものであるから、使用場所によっては消臭効果が低減する。またゼオライトは悪臭物質を吸着することにより除去するものであるから、吸着が進行すると次第に消臭効果が低減することが避けられない。
[0005]
 また特許文献2には、消臭剤として銀含有ガラス粉を分散させた紙オムツが記載されている。しかし銀含有ガラス粉は銀の酸化により変色が生じるため、例えば衣料用の繊維製品に適用するなどの用途によっては、好ましくない場合がある。また銀は比較的高価であるから、製造コストがかさむという問題がある。
[0006]
 さらに特許文献3には、15~60重量%のP と、5~40重量%のSO を含む抗菌性ガラスが記載されており、その用途の一例として脱臭製品にも言及されている。しかしこのような組成範囲では、リン酸の溶出が不十分と推測されるうえ、このガラスの目標pHは皮膚刺激性を考慮して中性付近に設定されている。このため、アンモニア、トリメチルアミン等のアルカリ性の臭気を中和して消臭する効果は期待できない。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2008-61846号公報
特許文献2 : 特公平6-51045号公報
特許文献3 : 特表2006-518696号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、使用場所を選ぶことがなく、消臭効果の持続性に優れ、変色を生ずることもない消臭効果を示す材料を提供することである。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記の課題を解決するためになされた本発明は、材料0.1gに蒸留水1mLを注いで得られた飽和水溶液のpHが、2.0~6.9であることを特徴とするものである。
[0010]
 なお、材料を無機系材料とすることができ、その無機系材料をガラス材とすることができる。また、そのガラス材を水に溶解する溶解性ガラスとすることができ、その溶解性ガラスを、リン酸を主成分とするリン酸系ガラスとすることができる。
[0011]
 このリン酸系ガラスは、P 25:30~60モル%、MgO+CaO+ZnO:1~60モル%、SiO 2:0~40モル%の組成を持つガラスとすることができ、さらに1~20モル%のB 23を含有する組成とすることができる。また、さらに1~20モル%のAl 23を含有する組成とすることができ、さらに1~37モル%のK 2O+Na 2O+Li 2Oを含有する組成とすることができる。

発明の効果

[0012]
 本発明の材料は、0.1gに蒸留水1mLを注いで得られた飽和水溶液のpHが2.0~6.9であって、接触したアンモニアやトリメチルアミンを中和することによって、効果的に消臭効果を発揮することができる。
 本発明の材料は光触媒を利用した消臭剤とは異なり、光がない場所においても消臭効果を発揮することができるので、使用場所を選ばない利点がある。また、ゼオライトなどの吸着剤を利用した消臭剤とは異なり、消臭効果の持続性に優れる。また、銀イオンを利用した消臭剤とは異なり、変色を生ずることもないので、衣料用の繊維に使用することもできる。
[0013]
 また、リン酸を主成分とする溶解性ガラスを用いれば、水に対する溶解速度を任意に調整することができるので、幅広い用途に適した材料とすることができる。なお、本発明の材料は水中で使用することもできるが、本来は空気中での使用に適したものであり、大気中の水分が本発明の材料の表面に接することにより局所的にpHが2.0~6.9となり、その大気中に含まれるアンモニアやトリメチルアミンを中和して消臭効果を発揮する。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下に本発明の実施形態を説明する。
 本発明の材料は固体材料であり、粉粒状として用いることが好ましい。その好ましい粒度はマイクロトラック法にて測定した際に、D 50=0.5~55μmである。D 50を0.5μmより小さくすることは粉砕技術的に困難である。また、D 50が55μmより大きくなると樹脂に練り込み、繊維とした際に繊維の特性を低下させるため好ましくない。さらに好ましくはD 50=2.5~5μm、かつD 95が20μm以下である。D 50が2.5μmより小さくなると粉砕が困難となって多くのコストがかかることとなる。またD 50が5μmより大きくなったり、D 95が20μmを超えたりすると、比表面積が小さくなって消臭効果の低下を招く。上記した粒度の測定は、例えばレーザー回折散乱式粒子径分布測定機、「マイクロトラックMT3300EXII」を用いて行うことができる。
[0015]
 本発明の材料は、材料0.1gに蒸留水1mLを注いで得られた飽和水溶液のpHが2.0~6.9であることを特徴とする。この測定は、例えば「HORIBA製 Twin pH」を用いて行うことができる。このpHが6.9を超えると中性に近づいて中和による消臭効果が低下し、2.0未満となると酸性が強くなるため消臭効果は高まるが、衣料用繊維に担持させた場合に人体と接触して肌荒れを引き起こすおそれがあるので、下限を2.0とした。
[0016]
 本発明の材料は、無機系材料とすることが好ましく、さらに好ましくはガラス材とすることができる。本発明の材料の消臭メカニズムは、大気中の水分が表面に接することにより材料が溶出して局所的にpHが2.0~6.9となり、大気中に含まれるアンモニアやトリメチルアミンを中和して消臭するというものである。このためガラス材のうちでも水に溶解する溶解性ガラスであることが好ましい。溶解性ガラスは、水に対する溶解速度を任意に調整することができる。特にリン酸を主成分とする溶解性ガラスを用いれば、溶出したリン酸がpHを低下させるので好ましい。以下に、好ましいリン酸系溶解性ガラスの組成について説明する。
[0017]
 本発明の消臭効果を示す材料として好適なリン酸系ガラスは、P 25:30~60モル%、MgO+CaO+ZnO:1~60モル%、SiO 2:0~40モル%の組成を持つ。P 25はガラスに溶解性を与えるとともに、水溶液のpHを低下させる効果を持つ主要成分である。P 25が30モル%より少ないとガラスに十分な溶解性を与えることができず、消臭効果に寄与するリン酸成分を得ることができない。逆にP 25が60モル%を超えると吸湿性の高い固体となり、取扱い性が低下する。よってP 25は30~60モル%とすることが好ましい。
[0018]
 MgO、CaO、ZnOはいずれもガラスの溶解速度とpHに影響を与える成分である。具体的にはMgOは溶解速度を下げ、pHを上げる性質を持つ。CaOも溶解速度を下げ、pHを上げる性質を持つ。ZnOは溶解速度を上げ、pHも上げる性質を持つ。これらの3成分を合計量で少なくとも1モル%を含有させることによりガラス化を容易にすることができる。これらの成分の合計量が1モル%未満であると相対的にP 25が増加することもあって、吸湿性が高くなり、粉体とすることが困難かつ取扱いが困難となる。しかし60モル%を超えると白濁したり不均質となったりして、やはりガラス化が困難となる。
[0019]
 SiO 2はガラスの骨格成分であるから、0~40モル%の範囲で含有させることができる。しかし40モル%を超えると溶解性を低下させる。また、相対的にP 25が減少することで消臭効果に寄与するリン酸成分を得ることができなくなり、本発明の消臭効果を示す材料としては不適当なガラスとなる。
[0020]
 上記した基本組成にさらに、1~20モル%のB 23を含有させることができる。この場合のリン酸系ガラスは、P 25:30~60モル%、MgO+CaO+ZnO:1~60モル%、SiO 2:0~40モル%、B 23:1~20モル%の組成となる。B 23は弱酸であり、直接pHの低下に寄与しない。しかしP 25の溶出を促進する効果があるので、間接的にpHに影響を与える成分である。B 23が20モル%を超えるとpHの低下を阻害するので好ましくない。
[0021]
 上記の組成にさらに、1~20モル%のAl 23を含有させることができる。この場合のリン酸系ガラスは、P 25:30~60モル%、MgO+CaO+ZnO:1~60モル%、SiO 2:0~40モル%、B 23:1~20モル%、Al 23:1~20モル%の組成となる。Al 23はガラスの骨格成分であり、潮解性を抑制して取扱い性を高める効果がある。しかし溶解性を低下させるので、20モル%を超えることは好ましくない。
[0022]
 上記の組成に更に1~37モル%のK 2O+Na 2O+Li 2Oを含有させることができる。この場合のリン酸系ガラスは、P 25:30~60モル%、MgO+CaO+ZnO:1~60モル%、SiO 2:0~40モル%、B 23:1~20モル%、Al 23:1~20モル%、K 2O+Na 2O+Li 2O:1~37モル%の組成となる。K 2O、Na 2O、Li 2Oはいずれもガラスの溶解性を高める効果を持つが、pHを上げる成分であるので37モル%を超えることは好ましくない。pHを低く保ち、消臭効果を高める好ましい範囲はK 2O+Na 2O+Li 2O:1~7モル%である。なお、着色剤として、Cu、Co等の少量の金属を含有させても差し支えない。
[0023]
 本発明の材料は、好ましくはD 50=0.5~55μm、さらに好ましくはD 50=2.5~5μm、かつD 95が20μm以下の粉粒体として、例えば繊維に担持させて用いることができる。衣料用繊維に担持させれば、人体から発生する汗や、空中の水分によって材料の表面のpHが2.0~6.9に低下し、空中のアンモニアやトリメチルアミンを中和することによって優れた消臭効果を発揮する。以下に消臭試験のデータを実施例として示す。
実施例
[0024]
(実施例1)
 表1に示す5種類のリン酸系ガラスを溶融したうえで冷却、粉砕し、D 50=2.5~5μm、かつD 95が20μm以下の粒度分布を持つサンプルを作成した。常温で各サンプル0.1gに蒸留水1mLを注いで得られた飽和水溶液のpHを表1に示した。
[0025]
 容量が1Lのサンプルバッグにサンプルを0.1gずつ入れ、アンモニアとトリメチルアミンの消臭試験を行った。アンモニアの消臭試験はサンプルバッグに100ppmの濃度となるようにアンモニアガスを投入し、0Hr、0.5Hr、2Hr経過後に検知管を用いてアンモニア濃度を測定する方法で行った。なお0Hrは2分経過時点の値である。同様に、トリメチルアミンを28ppmの濃度となるようにサンプルバッグに投入し、0Hr、0.5Hr、2Hr経過後の濃度を測定した。アンモニアの試験に用いたサンプルバッグはテドラーバッグであり、トリメチルアミンの試験に用いたサンプルバッグはアナリティックバリアバッグ(TGK製)である。比較のために、サンプルを投入しないブランクについても濃度を測定した。
[0026]
 アンモニアガスの濃度推移と濃度減衰率を表2に示し、トリメチルアミンの濃度推移と濃度減衰率を表3に示した。また、0.5Hr経過時の減衰率が95%以上を顕著な効果ありとして◎、40%以上95%未満を効果ありとして〇、25%以上40%未満を効果が弱いとして△、25%未満を効果なしとして×の印を付けて、表2、表3の消臭効果欄に示した。この試験データから、明らかなように、本発明の各サンプルはアンモニアとトリメチルアミンに対して、優れた消臭効果を持つことが確認された。
[0027]
[表1]


[0028]
[表2]


[0029]
[表3]


[0030]
(実施例2)
 請求項6に対応する組成のリン酸系ガラスによりサンプル(サンプルナンバー11~)を作成し、実施例1と同じ方法でアンモニアとトリメチルアミンの消臭試験を行い、濃度減衰率から消臭効果を評価し、表4にガラス組成とともに示した。ここに記載された評価はアンモニアとトリメチルアミンの総合評価であり、両方が◎の場合は◎とし、両方が〇であるか、〇と◎とである場合には〇とし、両方が△であるか、〇と△である場合には△とし、×を含む場合は×として示した。なお、表4中には比較のために、請求項6の範囲を外れた組成のサンプルも記載した。
[0031]
[表4]


[0032]
(実施例3)
 請求項7に対応する組成のリン酸系ガラスによりサンプル(サンプルナンバー31~)を作成し、実施例2と同様に表5に示した。
[0033]
[表5]


[0034]
(実施例4)
 請求項8に対応する組成のリン酸系ガラスによりサンプル(サンプルナンバー51~)を作成し、実施例2と同様に表6に示した。
[0035]
[表6]


[0036]
(実施例5)
 請求項9に対応する組成のリン酸系ガラスによりサンプル(サンプルナンバー71~)を作成し、実施例2と同様に表7に示した。
[0037]
[表7]


 

請求の範囲

[請求項1]
 材料0.1gに蒸留水1mLを注いで得られた飽和水溶液のpHが、2.0~6.9であることを特徴とする消臭効果を示す材料。
[請求項2]
 材料が、無機系材料であることを特徴とする請求項1に記載の消臭効果を示す材料。
[請求項3]
 無機系材料が、ガラス材であることを特徴とする請求項2に記載の消臭効果を示す材料。
[請求項4]
 ガラス材が、水に溶解する溶解性ガラスであることを特徴とする請求項3に記載の消臭効果を示す材料。
[請求項5]
 溶解性ガラスが、リン酸を主成分とするリン酸系ガラスであることを特徴とする請求項4に記載の消臭効果を示す材料。
[請求項6]
 リン酸系ガラスが、P 25:30~60モル%、MgO+CaO+ZnO:1~60モル%、SiO 2:0~40モル%の組成を持つことを特徴とする請求項5に記載の消臭効果を示す材料。
[請求項7]
 リン酸系ガラスが、さらに1~20モル%のB 23を含有することを特徴とする請求項6に記載の消臭効果を示す材料。
[請求項8]
 リン酸系ガラスが、さらに1~20モル%のAl 23を含有することを特徴とする請求項7に記載の消臭効果を示す材料。
[請求項9]
 リン酸系ガラスが、さらに1~37モル%のK 2O+Na 2O+Li 2Oを含有することを特徴とする請求項8に記載の消臭効果を示す材料。