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1. (WO2018185929) トランスファ
Document

明 細 書

発明の名称 トランスファ

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006  

発明の効果

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

図面の簡単な説明

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

符号の説明

0062  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

明 細 書

発明の名称 : トランスファ

技術分野

[0001]
 本発明はトランスファに関し、特に自動車用トランスファに関するものである。

背景技術

[0002]
 自動車に搭載されるトランスファは、一つの入力軸と二つの出力軸とを備え、入力軸からの動力を選択的に二つの出力軸に伝達する装置である。特許文献1には、第1ギヤが配置された入力軸と、入力軸の軸線上に配置されると共に第2ギヤが配置された第1出力軸と、第1ギヤ及び第2ギヤにそれぞれ噛み合う第3ギヤ及び第4ギヤが配置された中間軸と、第4ギヤに噛み合う第5ギヤが配置された第2出力軸と、動力を伝達するギヤ列を切り換える切換装置と、を備えるトランスファが開示されている。このトランスファは、切換装置により二輪駆動位置、四輪高速位置、又は、四輪低速位置に設定される。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 実開昭60-7450号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 しかしながら上記従来の技術では、第1ギヤ及び第3ギヤと第2ギヤ及び第4ギヤとの間に切換装置が配置されるので、第1ギヤ及び第3ギヤと第2ギヤ及び第4ギヤとの間の軸が長くなり、トランスファが軸線方向に長くなるという問題点がある。
[0005]
 本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、軸線方向の長さを短縮できるトランスファを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0006]
 この目的を達成するために本発明のトランスファは、トルクが入力される入力軸と、入力軸の軸線上に配置されると共に入力軸に対して相対回転可能な第1出力軸と、入力軸の軸線とは異なる軸線上に配置される中間軸と、中間軸および入力軸の軸線とは異なる軸線上に配置される第2出力軸と、を備えている。入力軸または第1出力軸のいずれか一方に第1ギヤ及び第2ギヤが設けられる。中間軸に設けられる第3ギヤ及び第4ギヤは、第1ギヤ及び第2ギヤにそれぞれ噛み合う。第2出力軸に設けられる第5ギヤは第4ギヤに噛み合う。切換装置は、入力軸または第1出力軸に対して第1ギヤを分離可能に結合する第1装置と、入力軸または第1出力軸に対して第2ギヤを分離可能に結合する第2装置と、を備えている。第1ギヤ及び第2ギヤは、軸線方向において第1装置と第2装置との間に配置されている。

発明の効果

[0007]
 請求項1記載のトランスファによれば、第1装置は入力軸または第1出力軸に対して第1ギヤを分離可能に結合し、第2装置は入力軸または第1出力軸に対して第2ギヤを分離可能に結合する。第1ギヤ及び第2ギヤは、軸線方向において第1装置と第2装置との間に配置されるので、第1ギヤ及び第3ギヤと第2ギヤ及び第4ギヤとの間の軸を短くできる。その結果、トランスファの軸線方向の長さを短縮できる。
[0008]
 請求項2記載のトランスファによれば、第1装置は、入力軸と第1ギヤとを結合する状態または第1出力軸と第2ギヤとを結合する状態と、入力軸と第1出力軸とを結合する状態と、を切り換える。よって、請求項1の効果に加え、部品点数を減らして軽量化できると共に、切換装置の構成を簡素化できる。
[0009]
 請求項3記載のトランスファによれば、切換装置により、入力軸から第1ギヤ、第3ギヤ、第4ギヤ及び第5ギヤを介して第2出力軸へトルクを伝達するときに、入力軸から第1ギヤ、第3ギヤ、第4ギヤ及び第2ギヤを介して第1出力軸へトルクが伝達される。ギヤを増設することなく、第1ギヤ、第3ギヤ及び第4ギヤを共用するので、請求項1又は2の効果に加え、装置の大型化を抑制しつつ、第1出力軸および第2出力軸を共に減速できる。
[0010]
 請求項4記載のトランスファによれば、切換装置により、入力軸から第1出力軸へトルクを伝達するときに、入力軸から第2ギヤ及び第4ギヤを介して第2出力軸へトルクが伝達される。よって、請求項1から3のいずれかの効果に加え、入力軸のトルクを第1出力軸および第2出力軸へ伝達できる。
[0011]
 請求項5記載のトランスファによれば、切換装置は、入力軸のトルクを第1ギヤ及び第1出力軸へ伝達しないポジションを有する。よって、請求項1から4のいずれかの効果に加え、ニュートラルポジション(中立位置)が得られる。
[0012]
 請求項6記載のトランスファによれば、第1装置および第2装置は、同一の中心軸をもつカムの回転運動により軸線方向に従動するので、請求項1から5のいずれかの効果に加え、切換装置の構成を簡素化できる。
[0013]
 請求項7記載のトランスファによれば、切換装置の第3装置は、中間軸に対して第4ギヤを分離可能に結合する。第3装置により、入力軸または第1出力軸に対して第2ギヤが分離可能に結合される。従って、請求項1から6のいずれかの効果に加え、第4ギヤを各軸に対して分離して、中立位置を得ることができる。
[0014]
 請求項8記載のトランスファによれば、第1装置、第2装置および第3装置は、同一の中心軸をもつカムの回転運動により軸線方向に従動するので、請求項7の効果に加え、切換装置の構成を簡素化できる。
[0015]
 請求項9に記載のトランスファによれば、カムは、入力軸から第1出力軸へトルクを伝えると共に第2ギヤから第4ギヤ及び第5ギヤを介して第2出力軸へトルクを伝える状態から、入力軸から第1ギヤ、第3ギヤ、第4ギヤ及び第2ギヤを介して第1出力軸へトルクを伝えると共に第4ギヤ及び第5ギヤを介して第2出力軸へトルクを伝える状態にするときに、第3装置により第4ギヤと中間軸とを係合した後、第1装置を切り換える。第1装置の作動前に第1出力軸やギヤが回転しないようにできるので、請求項8の効果に加え、第1装置の切り換え時に生じる異音を抑制できる。
[0016]
 請求項10に記載のトランスファによれば、カムは、入力軸から第1ギヤ、第3ギヤ、第4ギヤ及び第2ギヤを介して第1出力軸へトルクを伝えると共に第4ギヤ及び第5ギヤを介して第2出力軸へトルクを伝える状態から、入力軸から第1出力軸へトルクを伝えると共に第2ギヤから第4ギヤ及び第5ギヤを介して第2出力軸へトルクを伝える状態にするときに、第1装置により入力軸と第1出力軸とを係合した後、第3装置を切り換える。第3装置の作動前に中間軸や第4ギヤが回転しないようにできるので、請求項9の効果に加え、第3装置の切り換え時に生じる異音を抑制できる。

図面の簡単な説明

[0017]
[図1] 本発明の第1実施の形態におけるトランスファの断面図である。
[図2] 図1のII-II線におけるトランスファの断面図である。
[図3] トランスファの各ポジションと切換装置との関係を示す図である。
[図4] 二輪駆動位置におけるトランスファのスケルトン図である。
[図5] 中立位置におけるトランスファのスケルトン図である。
[図6] 四輪高速位置におけるトランスファのスケルトン図である。
[図7] 四輪低速位置におけるトランスファのスケルトン図である。
[図8] 第2実施の形態におけるトランスファのスケルトン図である。
[図9] 第3実施の形態におけるトランスファのスケルトン図である。
[図10] 第4実施の形態におけるトランスファのスケルトン図である。

発明を実施するための形態

[0018]
 以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1から図7を参照して第1実施の形態について説明する。図1は本発明の第1実施の形態におけるトランスファ10の軸線を含む断面図である。
[0019]
 図1に示すようにトランスファ10は、同じ軸線上に配置された入力軸11及び第1出力軸12と、入力軸11の軸線とは異なる軸線上に配置された中間軸13と、中間軸13及び入力軸11の軸線とは異なる軸線上に配置された第2出力軸14とを備えている。入力軸11、第1出力軸12、中間軸13及び第2出力軸14は、ケース15に回転可能に支持されている。
[0020]
 ケース15は、入力軸11側を収容する第1ケース16と、第1出力軸12側を収容する第2ケース17と、を備えている。第1ケース16及び第2ケース17を突き合わせることにより、ギヤを収容する空間が形成される。ケース15の中に、第3ギヤ23(後述する)の外周部(下端)が常に浸かる程度の量の潤滑油(図示せず)が収容されている。
[0021]
 入力軸11は、変速機等を介してエンジン等の駆動源(図示せず)に連係されている。第1出力軸12の端部は、入力軸11の端部の内側に相対回転可能に支持される。第1出力軸12は、例えば後輪に連係される。第1出力軸12には、第1ギヤ21及び第2ギヤ22が相対回転可能に設けられている。
[0022]
 中間軸13は、入力軸11及び第1出力軸12と平行に配置されている。中間軸13には、第1ギヤ21に常時噛み合う第3ギヤ23、及び、第2ギヤ22に常時噛み合う第4ギヤ24が設けられている。第3ギヤ23は中間軸13に結合している。第4ギヤ24は中間軸13に回転自在に設けられている。
[0023]
 第2出力軸14は、入力軸11、第1出力軸12及び中間軸13と平行に配置されている。第2出力軸14は、例えば前輪に連係される。第2出力軸14には、第4ギヤ24に常時噛み合う第5ギヤ25が設けられている。第5ギヤ25は第2出力軸14に結合している。
[0024]
 入力軸11にはハブ31が結合している。ハブ31の軸線方向にスプライン32,33が並んでいる。スプライン32は第1出力軸12に結合し、スプライン33は第1ギヤ21に結合している。ハブ31、スプライン32,33の外周に、第1装置51(後述する)のスリーブ54(図4参照)が配置される。スリーブ54は、シフトフォーク(図示せず)の移動に伴い、ハブ31、スプライン32,33に噛み合いながら軸線方向に滑動する。
[0025]
 第2ギヤ22にはスプライン34が結合している。スプライン34の軸線方向にスプライン35が並んでいる。スプライン35は第1出力軸12に結合している。スプライン34,35の外周に、第2装置52(後述する)のスリーブ56(図4参照)が配置される。スリーブ56は、シフトフォーク45(後述する)の移動に伴い、スプライン34,35に噛み合いながら軸線方向に滑動する。
[0026]
 第4ギヤ24にはスプライン36が結合している。スプライン36の軸線方向にスプライン37が並んでいる。スプライン37は中間軸13に結合している。スプライン36,37の外周に、第3装置53(後述する)のスリーブ55が配置される。スリーブ55は、シフトフォーク42(後述する)の移動に伴い、スプライン36,37に噛み合いながら軸線方向に滑動する。
[0027]
 図2は図1のII-II線におけるトランスファ10の断面図である。図2では、理解を容易にするため、第2ギヤ22、第3ギヤ23及び第5ギヤ25の歯形、並びに、スプライン34,35,36,37及びスリーブ55,56の図示が省略されている。
[0028]
 図2に示すようにトランスファ10は、動力を伝達するギヤ列を切り換える切換装置40を備えている。切換装置40は、第1装置51(図4参照)、第2装置52及び第3装置53を備えている。切換装置40は、第1出力軸12、中間軸13及び第2出力軸14に平行に配置されたフォーク軸41,44と、外周の円筒面の溝内にカム48,49が形成されたドラム47(円筒カム)と、を備えている。
[0029]
 フォーク軸41は第3装置53のシフトフォーク42を摺動自在に支持する。シフトフォーク42にピン43が揺動自在に結合し、ピン43はカム48に取り付けられている。フォーク軸44は第2装置52のシフトフォーク45を摺動自在に支持する。シフトフォーク45にピン46が揺動自在に結合し、ピン46はカム49に取り付けられている。
[0030]
 なお、フォーク軸44は、第1装置51(図4参照)のシフトフォーク(図2において第2ギヤ22の紙面奥側に存在する)も摺動自在に支持する。そのシフトフォークにピン(図示せず)が揺動自在に結合し、そのピンはドラム47(円筒カム)のカム溝に取り付けられている。
[0031]
 ドラム47は、モータ等のアクチュエータ(図示せず)によって、フォーク軸41,44と平行な中心軸50の周りを回転する。ドラム47が回転すると、予め設定されたカム曲線に従ってピン43,46が従動し、シフトフォーク42,45が軸線方向(図2紙面垂直方向)へ移動する。第1装置51(図4参照)、第2装置52及び第3装置53の各スリーブ54,55,56は各シフトフォークに係合するので、シフトフォーク42,45の移動に伴い各スリーブ54,55,56は軸線方向へシーケンシャルに移動する。
[0032]
 図3はトランスファ10の各ポジションと切換装置40との関係を示す図である。図3に示すように、ドラム47のカム曲線に従って第1装置51、第2装置52及び第3装置53の位置が切り換えられる。これによりトランスファ10は、二輪駆動位置(2H)、中立位置(N)、四輪高速位置(4H)、四輪低速位置(4L)の各ポジションをとる。
[0033]
 図4は二輪駆動位置(2H)におけるトランスファ10のスケルトン図である。図4の破線は動力伝達経路を示している(図5から図7においても同じ)。二輪駆動位置(2H)では、第1装置51はハイ(入力軸11が第1出力軸12に接続した状態)、第2装置52及び第3装置53はオフに切り換えられる(図3参照)。
[0034]
 図4に示すように、この状態では、第1装置51のスリーブ54はハブ31及びスプライン32に係合し、第3装置53のスリーブ55及び第2装置52のスリーブ56は各スプライン35,37のみに係合する。これにより、入力軸11のトルクはスリーブ54を介して第1出力軸12へ伝達される。第1ギヤ21から第5ギヤ25は回転しないので、ギヤが回転することによるフリクションを低減できる。
[0035]
 図5は中立位置(N)におけるトランスファ10のスケルトン図である。中立位置(N)では、第1装置51はロー(入力軸11が第1ギヤ21に接続した状態)、第2装置52及び第3装置53はオフに切り換えられる(図3参照)。
[0036]
 図5に示すように、この状態では、第1装置51のスリーブ54はハブ31及びスプライン33に係合し、第3装置53のスリーブ55及び第2装置52のスリーブ56は各スプライン35,37のみに係合する。これにより、入力軸11のトルクはスリーブ54を介して第1ギヤ21へ伝達される。第1ギヤ21は第1出力軸12を空転する。第1ギヤ21に噛み合う第3ギヤ23は回転するが、第4ギヤ24は中間軸13を空転するので、第1出力軸12及び第2出力軸14にトルクは伝達されない。
[0037]
 図6は四輪高速位置(4H)におけるトランスファ10のスケルトン図である。四輪高速位置(4H)では、第1装置51はハイ、第2装置52はオン、第3装置53はオフに切り換えられる(図3参照)。
[0038]
 図6に示すように、この状態では、第1装置51のスリーブ54はハブ31及びスプライン32に係合する。第3装置53のスリーブ55はスプライン37のみに係合し、第2装置52のスリーブ56はスプライン34,35に係合する。これにより、入力軸11のトルクはスリーブ54を介して第1出力軸12へ伝達される。第1出力軸12のトルクは、スリーブ56を介して第2ギヤ22に伝達される。第2ギヤ22に噛み合う第4ギヤ24が回転し、第4ギヤ24に噛み合う第5ギヤ25が回転する。これにより、第1出力軸12及び第2出力軸14にトルクが伝達される。
[0039]
 図7は四輪低速位置(4L)におけるトランスファ10のスケルトン図である。四輪低速位置(4L)では、第1装置51はロー、第2装置52及び第3装置53はオンに切り換えられる(図3参照)。
[0040]
 図7に示すように、この状態では、第1装置51のスリーブ54はハブ31及びスプライン33に係合する。第3装置53のスリーブ55はスプライン36,37に係合し、第2装置52のスリーブ56はスプライン34,35に係合する。これにより、入力軸11のトルクはスリーブ54を介して第1ギヤ21へ伝達される。第1ギヤ21は第1出力軸12を空転するが、第1ギヤ21に噛み合う第3ギヤ23が回転し、中間軸13及びスリーブ55を介して第4ギヤ24が回転する。第4ギヤ24に噛み合う第2ギヤ22が回転し、スリーブ56を介して第1出力軸12が回転する。また、第4ギヤ24に噛み合う第5ギヤ25が回転する。これにより、第1出力軸12及び第2出力軸14にトルクが伝達される。
[0041]
 なお、四輪高速位置(4H)と四輪低速位置(4L)との切り換えは、第1装置51及び第3装置53が連係して行う(図3参照)。四輪高速位置(図6参照)から四輪低速位置(図7参照)へ切り換えるときは、第3装置53のスリーブ55を少し滑動させ、スプライン36,37にスリーブ55を係合させる。これにより2重噛み合いの状態にできるので、第1出力軸12と第1ギヤ21との差動回転を防ぐことができる。次いで、第1装置51のスリーブ54をスプライン32から抜き、連続してハブ31及びスプライン33にスリーブ54を係合させる。このときに、スリーブ54がスプライン33に衝突する異音を生じないようにできる。
[0042]
 なお、四輪低速位置(図7参照)から四輪高速位置(図6参照)へ切り換えるときも同様に、ハブ31及びスプライン33に係合した第1装置51のスリーブ54を滑動させ、ハブ31及びスプライン32にスリーブ54を係合させた後、第3装置53のスリーブ55をスプライン36から抜く。スプライン32にスリーブ54を係合するときは、第1出力軸12と第1ギヤ21との差動回転が生じていないので、スリーブ54がスプライン32に衝突する異音を生じないようにできる。
[0043]
 特に、入力軸11がオートマチックトランスミッションの出力軸(図示せず)に連係するときには、出力軸の引き摺り回転により入力軸11に差動回転が生じ、切り換え時にスリーブ54がスプライン32,33に衝突する異音が生じ易いという問題点がある。しかし、このトランスファ10によれば、第1装置51及び第3装置53が連係して、2重噛み合いの状態にした後に切り換えが行われるので、この問題点を解決できる。
[0044]
 このトランスファ10によれば、四輪低速位置(4L)において(図7参照)、入力軸11から第1ギヤ21、第3ギヤ23、第4ギヤ24及び第5ギヤ25を介して第2出力軸14へトルクを伝達するときに、入力軸11から第1ギヤ21、第3ギヤ23、第4ギヤ24及び第2ギヤ22を介して第1出力軸12へトルクが伝達される。ギヤを増設することなく、第1ギヤ21、第3ギヤ23及び第4ギヤ24を共用するので、装置の大型化を抑制しつつ、第1出力軸12及び第2出力軸14を共に減速して、第1出力軸12及び第2出力軸14のトルクを確保できる。ギヤを増設しないので、トランスファ10の軽量化を図ることができる。
[0045]
 第1装置51、第2装置52及び第3装置53を備える切換装置40は、第1装置51により、入力軸11に対して第1ギヤ21が分離可能に結合される。第3装置53により、中間軸13に対して第4ギヤ24が分離可能に結合される。第2装置52により、第1出力軸12に対して第2ギヤ22が分離可能に結合される。これにより、第1ギヤ21、第2ギヤ22及び第4ギヤ24を各軸に対して分離して、中立位置(図5参照)を得ることができる。
[0046]
 第1ギヤ21及び第2ギヤ22は、軸線方向において第1装置51と第2装置52との間に配置される(図1参照)。従って、第1ギヤ21と第2ギヤ22との間にシフトフォーク等の切換装置が配置される場合に比べて、第1出力軸12のうち第1ギヤ21と第2ギヤ22との間の長さを短くできる。さらに、第1ギヤ21に噛み合う第3ギヤ23、及び、第2ギヤ22に噛み合う第4ギヤ24が配置される中間軸13の長さも短縮できる。その結果、第3ギヤ23と干渉しないように配置されるケース15や第2出力軸14の軸線方向の長さも短縮できる。よって、トランスファ10の軸線方向の全長を短縮できる。その結果、トランスファ10を軽量化できる。
[0047]
 また、ケース15内のスペースを有効に活用して、第1ギヤ21及び第2ギヤ22の軸線方向の両側に第1装置51及び第2装置52がそれぞれ配置される(図1参照)。ケース15を第1ケース16と第2ケース17との2分割にして、ケース15の軸線方向の長さを短縮できる。
[0048]
 第1装置51は、スリーブ54の軸線方向の滑動によって、入力軸11と第1ギヤ21とを結合する状態と、入力軸11と第1出力軸12とを結合する状態と、を切り換える。第1装置51を構成する部品点数を少なくできるので、切換装置40を軽量化できると共に、切換装置40の構成を簡素化できる。
[0049]
 第1装置51、第2装置52及び第3装置53の各スリーブ54,55,56は、同一の中心軸50をもつカム48,49の回転運動により軸線方向にシーケンシャルに従動するので、切換装置40を簡素化できる。
[0050]
 カム48,49(円筒カム)は、第3装置53のスリーブ55がスプライン36,37に係合して第4ギヤ24が中間軸13に結合した状態で、第1装置51のスリーブ54を従動してスプライン32,33に係合させる。第1装置51の作動前に第1出力軸12と第1ギヤ21との間に差動回転が生じないようにできるので、第1装置51のスリーブ54が従動してスプライン32,33に噛み合うときに生じる異音を抑制できる。
[0051]
 次に図8を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1出力軸12に第1ギヤ21及び第2ギヤ22が設けられた場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、入力軸11に第1ギヤ71及び第2ギヤ72が設けられる場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図8は第2実施の形態におけるトランスファ60のスケルトン図である。
[0052]
 図8に示すようにトランスファ60は、同じ軸線上に配置された入力軸61及び第1出力軸62を備えている。入力軸61は駆動源(図示せず)に連係されている。入力軸61の端部は、第1出力軸62の端部の内側に相対回転可能に支持される。第1出力軸62は、例えば後輪に連係される。
[0053]
 入力軸61には、第1ギヤ71及び第2ギヤ72が相対回転可能に設けられている。第1ギヤ71は第3ギヤ23に常時噛み合い、第2ギヤ72は第4ギヤ24に常時噛み合う。入力軸61にはスプライン81が結合している。スプライン81の軸線方向にスプライン82が並んでいる。スプライン82は第1ギヤ71に結合している。
[0054]
 第1出力軸62にはハブ85が結合している。ハブ85の軸線方向にスプライン83,84が並んでいる。スプライン83は第2ギヤ72に結合し、スプライン84は入力軸61に結合している。
[0055]
 スプライン83,84、ハブ85の外周に、第1装置91のスリーブ94が配置されている。スリーブ94はスプライン83,84、ハブ85に噛み合いながら軸線方向に滑動する。スプライン81,82の外周に、第2装置92のスリーブ96が配置されている。スリーブ96は、スプライン81,82に噛み合いながら軸線方向に滑動する。
[0056]
 第1装置91、第2装置92及び第3装置53の各スリーブ94,55,96の軸線方向の移動は、ドラム47(図2参照)に形成された円筒カム、及び、それに従動するシフトフォーク(図示せず)によって行われる。ドラム47のカム曲線に従って第1装置91、第2装置92及び第3装置53の位置が切り換えられる。これによりトランスファ60は、第1実施の形態と同様に二輪駆動位置(2H)、中立位置(N)、四輪高速位置(4H)、四輪低速位置(4L)の各ポジションをとる。
[0057]
 次に図9及び図10を参照して第3実施の形態および第4実施の形態について説明する。第1実施の形態および第2実施の形態では、中間軸13に対して第4ギヤ24を分離可能に結合する第3装置53を備える場合について説明した。これに対し第3実施の形態および第4実施の形態では、第3装置53を省略する場合について説明する。なお、第1実施の形態および第2実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図9は第3実施の形態におけるトランスファ100のスケルトン図である。
[0058]
 図9に示すようにトランスファ100は、第2ギヤ22に常時噛み合う第4ギヤ101が、中間軸13に結合している。第1装置51及び第2装置52の各スリーブ54,56の軸線方向の移動は、ドラム47(図2参照)に形成された円筒カム、及び、それに従動するシフトフォーク(図示せず)によって行われる。ドラム47のカム曲線に従って第1装置51及び第2装置52の位置が切り換えられる。これによりトランスファ100は、二輪駆動位置(2H)、四輪高速位置(4H)及び四輪低速位置(4L)の各ポジションをとる。
[0059]
 図10は第4実施の形態におけるトランスファ110のスケルトン図である。図10に示すようにトランスファ110は、第2ギヤ72に常時噛み合う第4ギヤ101が、中間軸13に結合している。第1装置91及び第2装置92の各スリーブ94,96の軸線方向の移動は、ドラム47(図2参照)に形成された円筒カム、及び、それに従動するシフトフォーク(図示せず)によって行われる。ドラム47のカム曲線に従って第1装置91及び第2装置92の位置が切り換えられる。これによりトランスファ110は、二輪駆動位置(2H)、四輪高速位置(4H)及び四輪低速位置(4L)の各ポジションをとる。
[0060]
 以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
[0061]
 上記各実施の形態では、四輪低速位置(4L)において、入力軸11から第1ギヤ21、第3ギヤ23、第4ギヤ24,101及び第5ギヤ25を介して第2出力軸14へトルクを伝達するときに、入力軸11から第1ギヤ21、第3ギヤ23、第4ギヤ24,101及び第2ギヤ22を介して第1出力軸12へトルクが伝達される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1装置51のスリーブ54がハブ31及びスプライン32,33に係合できるようにすれば、第2装置52をオフして、入力軸11から第1ギヤ21、第3ギヤ23、第4ギヤ24,101及び第5ギヤ25を介して第2出力軸14へトルクを伝達するときに、ギヤを介さずに入力軸11のトルクを第1出力軸12へ伝えることができる。同様に、第1装置91のスリーブ94がスプライン83,84及びハブ85に係合できるようにすることは当然可能である。これらの場合も、トランスファ10,60,100,110の軸線方向の長さを短縮できる。

符号の説明

[0062]
 10,60,100,110 トランスファ
 11,61  入力軸
 12,62  第1出力軸
 13     中間軸
 14     第2出力軸
 21,71  第1ギヤ
 22,72  第2ギヤ
 23     第3ギヤ
 24,101 第4ギヤ
 25     第5ギヤ
 40     切換装置
 48,49  カム
 50     中心軸
 51,91  第1装置
 52,92  第2装置
 53     第3装置

請求の範囲

[請求項1]
 トルクが入力される入力軸と、
 前記入力軸の軸線上に配置されると共に前記入力軸に対して相対回転可能な第1出力軸と、
 前記入力軸の軸線とは異なる軸線上に配置される中間軸と、
 前記中間軸および前記入力軸の軸線とは異なる軸線上に配置される第2出力軸と、
 前記入力軸または前記第1出力軸のいずれか一方に設けられる第1ギヤ及び第2ギヤと、
 前記中間軸に設けられると共に前記第1ギヤ及び前記第2ギヤにそれぞれ噛み合う第3ギヤ及び第4ギヤと、
 前記第2出力軸に設けられると共に前記第4ギヤに噛み合う第5ギヤと、
 切換装置と、を備え、
 前記切換装置は、前記入力軸または前記第1出力軸に対して前記第1ギヤを分離可能に結合する第1装置と、
 前記入力軸または前記第1出力軸に対して前記第2ギヤを分離可能に結合する第2装置と、を備え、
 前記第1ギヤ及び前記第2ギヤは、軸線方向において前記第1装置と前記第2装置との間に配置されたトランスファ。
[請求項2]
 前記第1装置は、前記入力軸と前記第1ギヤとを結合する状態または前記第1出力軸と前記第2ギヤとを結合する状態と、前記入力軸と前記第1出力軸とを結合する状態と、を切り換える請求項1記載のトランスファ。
[請求項3]
 前記切換装置は、前記入力軸から前記第1ギヤ、前記第3ギヤ、前記第4ギヤ及び前記第2ギヤを介して前記第1出力軸へトルクを伝達すると共に、前記入力軸から前記第1ギヤ、前記第3ギヤ、前記第4ギヤ及び前記第5ギヤを介して前記第2出力軸へトルクを伝達する状態に設定する請求項1又は2記載のトランスファ。
[請求項4]
 前記切換装置は、前記入力軸から前記第1出力軸へトルクを伝達すると共に、前記入力軸から前記第2ギヤ及び前記第4ギヤを介して前記第2出力軸へトルクを伝達する状態に設定する請求項1から3のいずれかに記載のトランスファ。
[請求項5]
 前記切換装置は、前記入力軸のトルクを前記第1ギヤ及び前記第1出力軸へ伝達しないポジションを有する請求項1から4のいずれかに記載のトランスファ。
[請求項6]
 前記第1装置および前記第2装置は、同一の中心軸をもつカムの回転運動により軸線方向に従動する請求項1から5のいずれかに記載のトランスファ。
[請求項7]
 前記切換装置は、前記中間軸に対して前記第4ギヤを分離可能に結合する第3装置を備える請求項1から6のいずれかに記載のトランスファ。
[請求項8]
 前記第1装置、前記第2装置および前記第3装置は、同一の中心軸をもつカムの回転運動により軸線方向に従動する請求項7記載のトランスファ。
[請求項9]
 前記カムは、前記入力軸から前記第1出力軸へトルクを伝えると共に前記第2ギヤから前記第4ギヤ及び前記第5ギヤを介して前記第2出力軸へトルクを伝える状態から、前記入力軸から前記第1ギヤ、前記第3ギヤ、前記第4ギヤ及び前記第2ギヤを介して前記第1出力軸へトルクを伝えると共に前記第4ギヤ及び前記第5ギヤを介して前記第2出力軸へトルクを伝える状態にするときに、前記第3装置により前記第4ギヤと前記中間軸とを係合した後、前記第1装置を切り換える請求項8記載のトランスファ。
[請求項10]
 前記カムは、前記入力軸から前記第1ギヤ、前記第3ギヤ、前記第4ギヤ及び前記第2ギヤを介して前記第1出力軸へトルクを伝えると共に前記第4ギヤ及び前記第5ギヤを介して前記第2出力軸へトルクを伝える状態から、前記入力軸から前記第1出力軸へトルクを伝えると共に前記第2ギヤから前記第4ギヤ及び前記第5ギヤを介して前記第2出力軸へトルクを伝える状態にするときに、前記第1装置により前記入力軸と前記第1出力軸とを係合した後、前記第3装置を切り換える請求項9記載のトランスファ。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]