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1. (WO2018185871) 核酸増幅方法および核酸解析用装置
Document

明 細 書

発明の名称 核酸増幅方法および核酸解析用装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013  

実施例 1

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026  

実施例 2

0027   0028   0029   0030  

実施例 3

0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037  

実施例 4

0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044  

実施例 5

0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056  

実施例 6

0057   0058  

符号の説明

0059  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12  

図面

1   2A   2B   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 核酸増幅方法および核酸解析用装置

技術分野

[0001]
 本発明は、基板上核酸増幅方法および核酸解析用装置に関する。

背景技術

[0002]
 特許文献1には、基板上の核酸増幅方法として、(a)(i)表面に不連続な、表面の介在領域によって分離されているフィーチャを有するアレイと、(ii)複数の異なる標的生体分子を有する溶液とを含む試薬を準備するステップと、(b)試薬を反応させて、生体分子をフィーチャに輸送し、個々の生体分子をフィーチャの各々に付着させるステップであって、介在領域に電場が印加されて、介在領域から生体分子を取り払う、ステップとを含み得る、生体分子のパターン化された表面を作製する方法が記載されている。
[0003]
 特許文献2には、核酸等の物質を基板上に封入する方法として、収容部13の底面が親水性であり、かつ側壁12の上面が疎水性であるアレイを使用することが記載されている。このため、ビーズ導入工程において親水性の第一の溶媒20を用いた場合において、ビーズ21、21’を含む第一の溶媒20をより効率よく収容部13の中に導入できること、さらに、ビーズ収容工程で用いる疎水性の第二の溶媒30が収容部13に入り込むことを防止できるので、収容部13内の親水性の第一の溶媒20を疎水性の第二の溶媒30によって被覆し密閉して、ドロップレット(液滴)を形成できることが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開WO2013/188582号
特許文献2 : 国際公開WO2016/006208号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 並列型シーケンサにおいて、解析の容易性を向上させるために、基板上に規則的な配置で、単一分子由来の増幅核酸断片のクラスタを形成する技術が求められる。
[0006]
 特許文献1では、基板上に規則的な配置で、単一分子由来の増幅核酸断片のクラスタ形成技術が記載されている。しかしながら、隔離されていない溶液内で複数の鋳型の増幅反応が進行するため、基板上への鋳型DNAの付着速度の差により先行してクラスタ形成に寄与したDNA分子が周辺基板上でさらにクラスタ形成の鋳型となる増幅バイアスが生じる問題があった。そのため、基板上において各鋳型を隔離された液中で増幅させる技術が求められる。
[0007]
 一方、特許文献2では、基板上に規則的な配置で、核酸等の物質を液滴で隔離する技術が記載されている。しかしながら、基板上における増幅核酸断片のクラスタ形成は実現されていないため、別装置で形成された増幅核酸断片のクラスタを基板上に配置する必要があった。
[0008]
 本発明の目的は、基板上に規則的な配置で、増幅核酸断片のクラスタを増幅バイアスなく形成する技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記課題を解決するために、本発明においては、
 任意の規則性を持って配置された親水性を有する複数の第一の表面と、前記複数の第一の表面のそれぞれを囲む、前記第一の表面より親水性が低い第二の表面とを有する基板であって、前記第一の表面には鋳型となる核酸と特異的に結合する分子が固定または配置される、基板を準備する工程と、
 前記基板上に、前記鋳型となる核酸を含む試料溶液と核酸増幅基質および核酸合成酵素を含む反応溶液との混合溶液を供給し、前記第一の表面に前記混合溶液が配置され、前記鋳型となる核酸と特異的に結合する分子に前記鋳型となる核酸が結合する工程と、
 前記基板上に疎水性溶媒を供給し、前記第一の表面上に配置された前記混合溶液が封入された液滴を形成する工程と、
 前記液滴内で前記核酸の増幅反応を行う工程と、
 前記基板上から前記疎水性溶媒を除去する工程と、
 前記基板上に核酸増幅基質および核酸合成酵素を含む反応溶液を供給する工程と、
 前記核酸の増幅反応を行う工程と
を含むことを特徴とする核酸増幅方法を提供する。
[0010]
 また、上記課題を解決するため、本発明においては、核酸増幅反応を行う反応容器と、鋳型となる核酸を含む試料溶液を収容する試料溶液槽と、疎水性溶媒を収容する疎水性溶媒槽と、少なくとも核酸増幅基質を含む反応溶液を収容する反応溶液槽とを備え、前記反応容器には、前記試料溶液槽、前記疎水性溶媒槽、および前記反応溶液槽と連結可能な、第一の開口部と第二の開口部が設けられ、前記反応容器内の上面または底面のいずれかに、親水性を有する複数の第一の表面と、前記複数の第一の表面のそれぞれを囲む、前記第一の表面より親水性が低い第二の表面とを有する基板が設けられており、前記第一の表面には、鋳型となる核酸と特異的に結合する分子が固定または配置されることを特徴とする核酸解析用装置を提供する。

発明の効果

[0011]
 本発明によれば、基板上に規則的な配置で、増幅核酸断片のクラスタを増幅バイアスなく形成することが可能である。よって、並列型シーケンサにおける効率的かつ高精度な核酸増幅とその後の核酸解析が可能となる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 実施例1における核酸解析用装置の構成図である。
[図2A] (a)実施例1における親水性パターン領域を有する基板の例を示す図である。(b)実施例1における親水性パターン領域を有する基板の例の横断面を示す図である。
[図2B] 実施例1における核酸解析用装置において親水性パターン領域の具体的な実施形態を示す図である。
[図3] 実施例1の核酸増幅方法の各工程の概略図を示す。
[図4] 実施例2の核酸増幅方法の各工程の概略図を示す。
[図5] 実施例1または2の核酸増幅方法の結果の概念図を示す。
[図6] 実施例3の核酸増幅方法の各工程の概略図を示す。
[図7] 実施例3の核酸増幅方法の結果の概念図を示す。
[図8] 実施例4の核酸増幅方法の各工程の概略図を示す。
[図9] 実施例5における核酸解析用装置の構成図である。
[図10] 実施例5の核酸増幅方法の各工程の概略図を示す。
[図11] 実施例5の核酸増幅方法のフローチャートを示す。
[図12] 実施例5の核酸増幅方法のフローチャートを示す。
[図13] 実施例6におけるDNAシーケンスを行う場合の核酸解析用装置の構成図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、実施例を図面を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例 1
[0014]
 図1は、本実施例における核酸増幅方法を実施するための核酸解析用装置の一例の構成図である。核酸増幅反応を行う反応容器としてのフローセル100は、その底面に、任意の規則性を持って配置された親水性を有する複数の第一の表面と、複数の第一の表面のそれぞれを囲む、第一の表面より親水性が低い第二の表面と、を有する基板102が設けられている。以下、第一の表面を親水性パターン領域101という。なお、基板102はフローセル100内の上面に設置されてもよい。フローセル100には第一の開口部104と第二の開口部105が備えられており、第一の開口部104および第二の開口部105を介して、フローセル100内へ任意の液体の供給およびフローセル100からの排出が可能である。この液体が流れる区域をフローセル溶液槽103という。試料溶液槽106、疎水性溶媒槽107、および反応溶液槽108は、第一の開口部104に対して、各バルブ110を介して連結している。また、排液槽109は第二の開口部105に対して、バルブ110を介して連結している。各バルブ110の開閉によって、フローセル100内に対する液体の供給および排出の制御が可能である。ここで、試料溶液槽106に収容される試料溶液とは、鋳型となる核酸を含む溶液である。鋳型となる核酸は二本鎖であっても、一本鎖であってもよいし、DNAもしくはRNA、またはハイブリッド核酸であってもよい。反応溶液槽108に収容される反応溶液とは、例えば核酸合成酵素、核酸増幅基質などを含む溶液である。疎水性溶媒槽107に収容される疎水性溶媒は、試料溶液や反応溶液と混合した際に2層に分離される溶媒であって、試料溶液や反応溶液に低溶解性であり高反発性を有することが好ましい。また基板102がフローセル100の上面または下面への設置形態の変更に応じて、試料溶液および反応溶液に対する疎水性溶媒の比重を選択可能である。例えば、脂肪族炭化水素(アルカン、シクロアルカン、スクアレン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン等)、シリコーンオイル、パラフィンオイル、フロン液体(フロリナートFC-40等)などを使用することができる。
[0015]
 なお、フローセル100に供給する液体の種類にあわせて連結する開口部を増やすこと、あるいは開口部に連結する液槽を増やしてもよい。また、第一の開口部104と第二の開口部105の少なくとも一方または両方にポンプ112を設けることで、加圧または減圧によるフローセル溶液槽103内への溶液の供給および排出が可能である。また、フローセル溶液槽103は、核酸増幅反応とそれに続く塩基配列解析等の酵素反応に適した目的温度に調節可能なものとし、温度調整機構は図示しないがフローセル100に備えるか、または、フローセル100とは別に備えてよい。また、試料溶液槽106、疎水性溶媒槽107、反応溶液槽108、および排液槽109はそれぞれ、図示しないがフローセル溶液槽103とは異なる温度調節機構が備わっていてもよく、フローセル溶液槽103と異なる任意の温度に調整可能である。また、試料溶液槽106および反応溶液槽108は使用直前の混合が望ましい試薬の隔離など、核酸増幅反応の特性による要求事項に応じてその数を増やしてもよい。また、基板102上は観察可能(好ましくは光学的に観察可能)であり、本発明に係る核酸解析用装置は、図示しないが、前記フローセル内の前記基板上を観察可能な観察部を備えてもよい。また、フローセル100が上下反転しても核酸増幅反応を行うことが可能である。
[0016]
 図2Aは、親水性パターン領域101を有する基板102の構成例である。図2Aの(a)は直径0.8μmの親水性パターン領域101を、各中心間の距離が1.2μmとなるように多数配置した基板の例であり、本構成の親水性パターン領域101の密度は約80万個/mm となる。並列型シーケンサに用いる場合、核酸増幅断片のクラスタを高密度に配置することによって塩基配列解析スループットの向上を図るため、親水性パターン領域101の直径は0.5~2.0μm程度が好ましく、親水性パターン領域101の密度は、約20万個/mm 以上であることが好ましい。親水性パターン領域を規則的に配置することが好ましく、それによって塩基配列解析のスループットがさらに向上し、また観察や画像処理が容易となる。
[0017]
 図2Aの(b)は、(a)の親水性パターン領域101を有する基板の横断面から見た例である。基板102の下層基板201は親水性であり、下層基板201上に下層基板201よりも親水性が低い隔壁202が存在することによって、基板上に並列化した親水性パターン領域101が形成されている。図示した例では、基板102は、親水性パターン領域101の直径0.8μm、隔壁202の高さ0.8μmの凹構造となる。この凹構造の最底面が親水性パターン領域101(第一の表面)である。液滴の形成の容易性や高密度配置の点ではこのような構成が好ましい。なお、親水性パターン領域101の形状の限定はなく、円形、楕円形、四角形等であってよい。また、隔壁202の側面は親水性であっても疎水性であってもよい。
[0018]
 図2Bは、核酸解析用装置における親水性パターン領域の一実施形態を示す。基板上(好ましくは第一の表面)には、鋳型核酸を固定するための分子203が固定される。一実施形態では、基板上の親水性パターン領域101には、核酸増幅用プライマーとして鋳型核酸と特異的に結合する分子203(すなわち鋳型核酸の一部に対して相補性を有するオリゴヌクレオチド)が固定または配置される。例えば、親水性パターン領域101上にオリゴヌクレオチドを固定化しておくか、あるいは、親水性パターン領域101上にオリゴヌクレオチドを含むハイドロゲルを配置しておくことができる。ここで、鋳型核酸と特異的に結合する分子は、鋳型核酸の種類および配列に応じて異なり、当業者であれば慣用的に設計することができる。別の実施形態では、親水性パターン領域101に核酸増幅用プライマーと結合する官能基203を固定し、試料溶液310および/または反応溶液330に核酸増幅用プライマーを入れ、試料溶液310または反応溶液330の供給後に該官能基を介して基板上に核酸増幅プライマーが配置または固定されてもよい。そのような官能基としては、例えばアビジン-ビオチン結合、APTES-アミノ基結合を利用することができる。
[0019]
 本実施例における基板上核酸増幅方法の各工程について、図3に示したフローセル100の側方断面図を用いて説明する。なお、図3は、試料溶液310が、鋳型核酸を含む反応溶液(すなわち核酸合成酵素、プライマーおよび基質を含む)である実施形態を示している。
[0020]
 本発明において、鋳型となる核酸は、増幅が望まれる核酸であれば特に限定されるものではなく、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、非コードRNA(ncRNA)、microRNA、ゲノムDNA、およびそれらの断片、DNAとRNAのハイブリッド核酸などが含まれ、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。次世代シーケンサ(NGS)では、核酸の塩基配列決定に際して、多様性がありかつ均一な配列クラスターを読み取ることが好ましい。そのため、上述したような核酸を鋳型として、規則的に配置された複数の親水性表面に1分子以下ずつ導入した後に各親水性表面を隔離した条件にて増幅反応を行うことによって、増幅反応および配列解析の段階でのバイアスの発生を低減することができる。
[0021]
 図3(a):試料溶液310が収容された試料溶液槽106、疎水性溶媒320が収容された疎水性溶媒槽107、反応溶液330が収容された反応溶液槽108、排液槽109を用意する。試料溶液310は、親水性パターン領域101上に形成される液滴内で鋳型となる核酸が単一分子となるように濃度を調整しておく。反応に用いられる核酸合成酵素はローリングサークル増幅方法(RCA)に用いられる鎖置換型核酸合成酵素であっても、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に用いられる耐熱性核酸合成酵素であってもよく、与えられた鋳型となる核酸の増幅手段に応じて当業者は自由に選択することができる。例えば、鋳型核酸がRNAである場合には、最初に相補鎖合成酵素を使用してもよい。また、基板上(好ましくは第一の表面)には核酸増幅用プライマーとして鋳型核酸と特異的に結合する分子が固定または配置される。
[0022]
 図3(b):第一の開口部104より、試料溶液槽106から試料溶液槽106内に収容されていた試料溶液310は、フローセル溶液槽103に供給される。
[0023]
 図3(c):第一の開口部104より、疎水性溶媒槽107に収容されていた疎水性溶媒320はフローセル溶液槽103に供給され、余剰の試料溶液310は第二の開口部105より排液槽109に排出されることによってフローセル溶液槽103内の溶液置換が行われる。この溶液置換によって基板102上に配置した複数の親水性パターン領域101に試料溶液310が残存し、基板102上で疎水性溶媒320と隔壁202によって隔離された液滴305が形成される。このように液滴内に隔離されることによって、液滴内に封入された鋳型となる核酸の拡散による汚染を防ぎ、また少量の試料溶液が蒸発することを防ぐことができる。
[0024]
 図3(d):液滴305には、試料溶液310に含まれる鋳型核酸と反応溶液が含まれる。そのため、フローセル溶液槽103に供給された疎水性溶媒320によって液滴305が隔離された状態で、温度調整機能によりフローセル溶液槽103が加温されることによって液滴305内の核酸増幅反応が進行する。核酸増幅反応は、好ましくはローリングサークル増幅方法(RCA)またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。
[0025]
 本発明において、試料溶液310に含まれる鋳型となる核酸の濃度は、基板上に1分子以下の鋳型となる核酸が封入された液滴が形成される濃度、すなわち1液滴あたり1分子が期待される濃度とする。そのため、鋳型となる核酸を含む試料溶液310はその濃度に希釈することが好ましい。それにより、本核酸増幅工程の後には増幅核酸断片308を持つ親水性パターン領域と増幅核酸断片308を持たない親水性パターン領域が共存する。あらかじめ親水性パターン領域101上に固定化されたオリゴヌクレオチド、または、配置されたオリゴヌクレオチドを含むハイドロゲルが核酸増幅用プライマーとして利用されることで、増幅核酸断片308は液滴305内における核酸増幅と同時並行で親水性パターン領域101上に固定化される。なお、基板への核酸増幅断片の固定方法は上記に限定されず、本技術領域において利用される種々の方法を適用してもよい。また、液滴内の増幅核酸断片308は少なくとも一部が親水性パターン領域101に固定されればよい。
[0026]
 これによって、基板102上において各鋳型を隔離された液滴305内で増幅させることが可能となるため、基板上に規則的な配置で、増幅核酸断片308のクラスタを増幅バイアスなく形成することを実現できる。
実施例 2
[0027]
 本実施例においては基板上の増幅核酸断片のクラスタの核酸増幅量向上技術として図3に記載の工程に引き続き、図4に記載の工程を実施する。すなわち、液滴内で核酸の増幅反応をおこなった後、少なくとも増幅反応基質を含む反応溶液を基板上に供給し、核酸の更なる増幅反応を行う。
[0028]
 図4(a):基板102上に形成した液滴内にて核酸増幅反応を行なったフローセル100の側方断面図であり、図3(d)に図示したものと同じである。
[0029]
 図4(b):第一の開口部104より、反応溶液槽108に収容されていた反応溶液330が、フローセル溶液槽103内に供給され、疎水性溶媒320が第二の開口部105より排液槽109に排出されることによってフローセル溶液槽103内の溶液置換が行われる。なお、反応溶液330の供給に先立って疎水性溶媒320を吸引等によって除去してもよい。また、疎水性溶媒320を除去した後に基板102の表面を乾かすことで、親水性パターン領域101上を乾かしてから反応溶液330の供給をおこなうことで、効率的な供給が実現できる。これによって、親水性パターン領域101上に形成されていた液滴305による、増幅核酸断片308の隔離はそれぞれ解消され、増幅核酸断片308に反応溶液330が供給される。フローセル溶液槽103を温度調整機能により加温することによって、増幅核酸断片308を持つ親水性パターン領域101において核酸増幅反応が進行する。このように、液滴305による隔離が解消された状態で核酸増幅反応を行なうことによって、基板102上に液滴305内の核酸増幅反応のみでは得られなかった、より多くのコピー数の単一分子由来の増幅核酸断片308のクラスタが得られる。また、液滴を形成する工程と液滴内で核酸の増幅反応をおこなう工程を一回以上繰り返した後に、反応溶液330を基板102上に供給し、核酸の更なる増幅反応をおこなうことも可能である。
[0030]
 図2Aに示した基板102にて、図4(a)および図4(b)における核酸増幅反応を想定した場合の、増幅核酸断片のコピー数について説明する。ここで、核酸はDNA(デオキシリボ核酸)とする。本実施例では、凹部(親水性パターン領域)のサイズは直径、深さともに0.8μmとし、その容積は約0.4fLとした。反応に用いられる核酸増幅基質(4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP))の濃度を各200μMとした場合、形成された液滴内に存在する4種の核酸増幅基質はそれぞれ5万分子程度である。4種の核酸増幅基質を均等に100塩基ずつ含む400塩基のDNA分子を想定した場合、DNA一分子の増幅当たり4種の核酸増幅基質分子がそれぞれ100分子ずつ消費される。図4(a)のDNA増幅反応において、全核酸増幅基質分子が完全に標的DNAの増幅に消費されたと仮定すると、5万分子/100分子より500分子のDNA増幅が上限となる。ただし、DNA増幅反応において核酸増幅基質濃度の低下や増幅反応の副産物として生成されるピロリン酸が反応効率低下要因となるため、与えた核酸増幅基質量を完全にDNA増幅に消費するのは実質的に困難である。それに続いて、図4(b)のDNA増幅反応を実施した場合、液滴による隔離が解消され、液滴内の核酸増幅において制限されていた核酸増幅基質が、単一分子由来の増幅核酸断片が固定化された親水性パターン領域101上に新たに供給されるため、更なる核酸増幅反応が可能となり、1000~1万分子程度の増幅核酸断片のコピー数が得られる。
実施例 3
[0031]
 本実施例は、実施例1または2における増幅核酸断片308を持たない親水性パターン領域101を減らし、核酸断片308を持つ親水性パターン領域501の割合を向上させるものである。図5に示すように、増幅反応前の親水性パターン領域101に対する、鋳型核酸から増幅された核酸断片を持つ親水性パターン領域501の割合は、導入される鋳型核酸が1分子/1液滴となるように希釈されていることから、確率分布(ポアソン分布という)に従って30%程度となる。
 本実施例における基板上核酸増幅方法の各工程について、図6を用いて説明する。
[0032]
 図6(a):図4(a)の状態を示している。単一分子由来の鋳型となる核酸を保有する親水性パターン領域上の液滴305の割合は、確率分布(ポアソン分布という)に従うため30%程度である。そこで、図4(a)に示される核酸増幅反応実施後、フローセル100において図6(b)~(d)に示す液滴305の形成と液滴305内の核酸増幅反応を繰り返しおこなう。
[0033]
 図6(b):排液槽109に排出された試料溶液310が、第二の開口部105よりフローセル溶液槽103に供給され、フローセル溶液槽103内の疎水性溶媒320が第一の開口部104より疎水性溶媒槽107に排出されることによってフローセル溶液槽103内の溶液置換が行われる。なお、試料溶液310の供給に先立って疎水性溶媒320を吸引等によって除去してもよい。また、疎水性溶媒320の吸引後に基板102上を乾かしてから反応溶液330の供給をおこなうことで、効率的な供給が実現できる。
[0034]
 図6(c):疎水性溶媒槽107に排出された疎水性溶媒320が、第一の開口部104よりフローセル溶液槽103に供給され、液滴305の形成に使われなかった余剰の試料溶液310が第二の開口部105より排液槽109に排出されることによってフローセル溶液槽103内の溶液置換が行われる。これにより、増幅核酸断片308を持たない親水性パターン領域101上に、新規に単一分子由来の鋳型となる核酸が封入された液滴305が形成される。
[0035]
 図6(d):フローセル溶液槽103に供給された疎水性溶媒320によって液滴305が隔離された状態で、温度調整機能によりフローセル溶液槽103が加温されることによって液滴305内の核酸増幅反応が進行する。これにより、増幅核酸断片308のクラスタが基板102上に新たに形成される。
[0036]
 図6(e):図6(b)~(d)における工程を一回以上繰り返した後、図4(b)と同様の操作をおこなう。これによって、基板102において、単一分子由来の増幅核酸断片308のクラスタが形成された親水性パターン領域501の割合を向上することができる。具体的には、図7に示されるように、増幅処理の1回の繰り返しによって、空の親水性パターン領域101のうち新たに30%程度が増幅核酸断片を有する親水性パターン領域501となると期待される。この増幅処理の繰り返しの際に供給される試料溶液中の鋳型核酸は、電荷反発のため、既に核酸断片を有する親水性パターン領域には進入することが困難である。また既に核酸断片を有する領域に新たな鋳型核酸が進入した場合であっても、該領域に存在する鋳型分子と新たな鋳型分子は存在比が大きく異なることから、進入を許した状態で増幅反応が進行した場合においても、後で行うシーケンス解析の障害とはならない。
[0037]
 本実施例において、試料溶液310は繰り返し利用されるため、試料溶液310を収容する、試料溶液槽106および排液槽109はフローセル溶液槽103とは異なる温度調整機構により任意の温度に制御する。また、図6(a)~(d)において試料溶液310および疎水性溶媒320は、再利用せず新しい溶液を用意してもよく、その場合は収容するための溶液槽の数を追加してよい。
実施例 4
[0038]
 本実施例における基板上核酸増幅方法の各工程について、図8に示したフローセル100の側方断面図を用いて説明する。なお、図8は、試料溶液310が、鋳型核酸を含む溶液であり、疎水性溶媒320の導入による液滴の形成前に試料溶液310と核酸合成酵素、核酸増幅基質などを含む溶液である反応溶液330とを試料溶液槽106内で混合する実施形態を示している。フローセル100への添加以前に試料溶液310と反応溶液330を分離しておくことは、試料溶液内での望ましくないDNA増幅反応を防止する手段として有効である。
[0039]
 図8(a):試料溶液310が収容された試料溶液槽106、疎水性溶媒320が収容された疎水性溶媒槽107、反応溶液330が収容された反応溶液槽108、排液槽109を用意する。試料溶液310は、親水性パターン領域101上に形成される試料溶液と反応溶液の混合物である液滴内で鋳型となる核酸が単一分子となるように濃度を調整しておく。反応に用いられる核酸合成酵素はローリングサークル増幅方法(RCA)に用いられる鎖置換型核酸合成酵素であっても、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に用いられる耐熱性核酸合成酵素であってもよく、与えられた鋳型となる核酸の増幅手段に応じて当業者は自由に選択することができる。例えば、鋳型核酸がRNAである場合には、最初に相補鎖合成酵素を使用してもよい。また、基板上(好ましくは第一の表面)には核酸増幅用プライマーとして鋳型核酸と特異的に結合する分子が固定または配置される。
[0040]
 図8(b):試料溶液槽106に、反応溶液槽108から反応溶液330を供給して、試料溶液310と反応溶液330の混合溶液840を調製する。試料溶液と反応溶液はフローセル溶液槽内で混合することも可能であるが、均一な混合溶液の供給を行うためには、フローセル溶液槽への供給前に両者を混合することが望ましい。反応溶液330は、後の工程でも使用するため、この時点では全量を使用しないことが好ましい。
[0041]
 図8(c):第一の開口部104より、試料溶液槽106から混合溶液840がフローセル溶液槽103に供給される。
[0042]
 図8(d):第一の開口部104より、疎水性溶媒槽107に収容されていた疎水性溶媒320がフローセル溶液槽103に供給され、余剰の混合溶液840は第二の開口部105より排液槽109に排出されることによってフローセル溶液槽103内の溶液置換が行われる。この溶液置換によって基板102上に配置した複数の親水性パターン領域101に混合溶液840が残存し、基板102上で疎水性溶媒320と隔壁202によって隔離された液滴305が形成される。このように液滴内に隔離されることによって、液滴内に封入された鋳型となる核酸の拡散による汚染を防ぎ、また少量の試料溶液が蒸発することを防ぐことができる。
[0043]
 以降は、図3(d)に示したように、フローセル溶液槽103に供給された疎水性溶媒320によって液滴305が隔離された状態で、温度調整機能によりフローセル溶液槽103が加温されることによって液滴305内の核酸増幅反応が進行する。また、実施例2および図4に示したように、核酸増幅反応を反復して行ってもよい。その際には、反応溶液槽108から反応溶液330を供給することができる。さらに実施例3および図6に示したように、フローセルへの鋳型核酸の導入を反復して行ってもよい。その際には、試料溶液槽106における混合溶液840、または廃液槽109に回収された混合溶液840をフローセル溶液槽103へ供給することができる。
[0044]
 これによって、基板102上において各鋳型を隔離された液滴305内で増幅させることが可能となるため、基板上に規則的な配置で、増幅核酸断片308のクラスタを増幅バイアスなく形成することを実現できる。また、疎水性溶媒を除去した後に更なる核酸増幅反応を行うことにより、1000~1万分子程度の増幅核酸断片のコピー数が得られる。
実施例 5
[0045]
 図9は、本実施例における核酸増幅方法を実施するための核酸解析用装置の一例の構成図である。フローセル100、親水性パターン領域101、基板102、フローセル溶液槽103、第一の開口部104、第二の開口部105、試料溶液槽106、疎水性溶媒槽107、反応溶液槽108、排液槽109、バルブ110、ポンプ112については図1の構成と同様である。図9に示す構成では、試料溶液と反応溶液を混合するための溶液混合槽913、洗浄溶液を導入する洗浄溶液槽914、試料溶液槽および/または溶液混合槽の温度を制御するための温度制御装置915、フローセル溶液槽103の温度を制御するための温度制御装置916、基板上を観察するための観察部917、制御部918が設けられている。溶液混合槽913および洗浄溶液槽914は、第一の開口部104に対して、各バルブ110を介して連結している。各バルブ110の開閉によって、フローセル100内に対する液体の供給および排出の制御が可能である。観察部は、基板上を観察することができる装置であれば任意のものを使用することができる。例えば、光学顕微鏡、位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡などを用いることができる。観察装置により、増幅された核酸断片が存在する領域、増幅された核酸断片が存在しない領域(すなわち鋳型核酸が導入されなかった領域)などを観察して、操作の完了または操作の反復を決定したり、その後の操作への移行の正否を決定することができる。制御部は、例えばPCを使用することができる。図1の構成と同様に、フローセル100が上下反転しても核酸増幅反応を行うことが可能である。
[0046]
 本実施例における基板上核酸増幅方法の各工程について、図10に示したフローセル100の側方断面図を用いて説明する。なお、図10は、試料溶液310が鋳型核酸を含む溶液であり、疎水性溶媒320の導入による液滴の形成前に、試料溶液310と反応溶液330とを溶液混合槽913内で混合する実施形態を示している。また、手順のフローチャートを図11に示す。
[0047]
 図10(a):試料溶液310が収容された試料溶液槽106、疎水性溶媒320が収容された疎水性溶媒槽107、反応溶液330が収容された反応溶液槽108、排液槽109、溶液混合槽913を用意する。試料溶液310は、親水性パターン領域101上に形成される試料溶液と反応溶液の混合物である液滴内で鋳型となる核酸が単一分子となるように濃度を調整しておく。具体的には、鋳型核酸を含む試料溶液の濃度を反応溶液と混合した時点において1分子/1液滴以下となるように希釈する。反応に用いられる核酸合成酵素はローリングサークル増幅方法(RCA)に用いられる鎖置換型核酸合成酵素であっても、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に用いられる耐熱性核酸合成酵素であってもよく、与えられた鋳型となる核酸の増幅手段に応じて当業者は自由に選択することができる。例えば、鋳型核酸がRNAである場合には、最初に相補鎖合成酵素を使用してもよい。また、基板上(好ましくは第一の表面)には核酸増幅用プライマーとして鋳型核酸と特異的に結合する分子が固定または配置される。試料溶液槽106と溶液混合槽913は、温度制御装置915により氷温から4℃程度に温調する。
[0048]
 図10(b):試料溶液槽106からの試料溶液310と、反応溶液槽108からの反応溶液330を溶液混合槽913に分注して混合し、混合溶液840を調製する。混合する溶液の量は、核酸合成に適した溶液組成となるものであればよく、当業者であれば適宜設定することが可能である。試料溶液310および反応溶液330は、後の工程でも使用するため、この時点では全量を使用しないことが好ましい。
[0049]
 図10(c):第一の開口部104より、溶液混合槽913から混合溶液840がフローセル溶液槽103に供給される。供給される溶液量はフローセル溶液槽103底面に設置された凹部(親水性パターン領域)を有する基板を覆うに足る液量であればよく、フローセル溶液槽103全体を満たすことは必要ではない。
[0050]
 図10(d):第一の開口部104より、疎水性溶媒槽107に収容されていた疎水性溶媒320がフローセル溶液槽103に供給され、余剰の混合溶液840は第二の開口部105より排液槽109に排出されることによってフローセル溶液槽103内の溶液置換が行われる。この溶液置換によって基板102上に配置した複数の親水性パターン領域101に混合溶液840が残存し、基板102上で疎水性溶媒320と隔壁202によって隔離された液滴305が形成される。このように液滴内に隔離されることによって、液滴内に封入された鋳型となる核酸の拡散による汚染を防ぎ、また少量の試料溶液が蒸発することを防ぐことができる(基板上液滴形成工程)。排液槽109には混合溶液840と疎水性溶媒320が流入するが、一方が疎水性溶媒という性質上、排液槽内で混合溶液と疎水性溶媒は混合することがないため、排液槽から混合溶液を再利用することが可能である。余剰混合溶液の十分な排出が可能な疎水性溶媒の供給が必要であるが、フローセル溶液槽103内を充填することは必要ではない。排液槽内の混合溶液を再利用する場合には排液槽は氷温から4℃に温調される。
[0051]
 以降は、図3(d)に示したように、フローセル溶液槽103に供給された疎水性溶媒320によって液滴305が隔離された状態で、温度制御装置916によりフローセル溶液槽103が加温されることによって液滴305内の核酸合成反応が進行する(液滴内核酸合成反応工程)。加温の方法は限定されるものではないが、フローセル100内の基板上面の増幅された核酸クラスターを観察する妨げとならないようにすることが好ましい。核酸増幅後、フローセル溶液槽103を冷却して核酸合成反応を停止する。
[0052]
 続いて、フローセル溶液槽103から疎水性溶媒320を除去する(疎水性溶媒除去工程)。疎水性溶媒の除去は、フローセル溶液槽103への減圧または加圧によって行ってもよいし、フローセル溶液槽103に気体を注入して行ってもよいし、あるいは洗浄溶液槽914から洗浄溶液を供給して行ってもよい。気体の組成は、フローセル溶液槽内の溶液を置換的に除去することが目的であり、その組成は特に限定されるものではない。洗浄溶液の組成は特に限定されるものではないが、反応溶液と同一のバッファー組成であって、核酸合成酵素、基質、プライマーの全部または一部を含まない組成の溶液が好ましい。洗浄溶液を供給した場合には、フローセル溶液槽103に気体を導入してまたは加圧もしくは減圧により洗浄溶液を除去してもよい。
[0053]
 また、実施例2および図4に示したように、核酸増幅反応を反復して行ってもよい。その際には、反応溶液槽108から反応溶液330をフローセル溶液槽103に供給することができる。温度制御装置916によりフローセル溶液槽103が加温されることによって核酸合成反応が進行する(非隔離基板上増幅工程)。本工程の反応溶液は鋳型核酸分子を含まないため、基板上の親水性パターン領域101への新たな核酸分子供給は発生しない。供給される反応溶液の量は凹部(親水性パターン領域)を有する基板底面を完全に覆うに足る液量として定義され、反応溶液供給時には多数の凹部を有する基板底面が一つの連続した反応場となる。上述したような疎水性溶媒にて隔離された液滴内では基質量が限られるため凹部での増幅コピー数が制限されるが、液滴を開放した反応場を形成することで凹部での基質量制限が解消され、多数の核酸分子合成が可能となる。核酸増幅後、フローセル溶液槽103を冷却して核酸合成反応を停止する。必要に応じて、洗浄溶液槽914からフローセル溶液槽103に洗浄溶液を供給し、反応溶液を除去してもよい。
[0054]
 これらの操作を、観察部917より基板上を観察しながら、操作の完了の有無を確認し、操作の反復や次の工程への移行を判断することができる。溶液の供給、温度制御装置の加温および冷却、観察部による観察は、制御部918により適宜制御することができる。
[0055]
 さらに実施例3および図6に示したように、フローセルへの鋳型核酸の導入を反復して行ってもよい。この手順のフローチャートを図12に示す。非隔離基板上増幅工程の後、洗浄溶液槽914からフローセル溶液槽103に洗浄溶液を供給し、反応溶液を除去し、続いてこの洗浄溶液をフローセル溶液槽103から除去した後に、基板上液滴形成工程、液滴内核酸合成反応工程、疎水性溶媒除去工程および非隔離基板上増幅工程を反復して行う。その際には、試料溶液槽106からの試料溶液310と反応溶液槽108からの反応溶液330とを溶液混合槽913において混合して得られる混合溶液840、または廃液槽109に回収された混合溶液840をフローセル溶液槽103へ供給することができる。
[0056]
 これによって、基板102上において各鋳型を隔離された液滴305内で増幅させることが可能となるため、基板上に規則的な配置で、増幅核酸断片308のクラスタを増幅バイアスなく形成することを実現できる。また、疎水性溶媒を除去した後に更なる核酸増幅反応を行うことにより、1000~1万分子程度の増幅核酸断片のコピー数が得られる。
実施例 6
[0057]
 図13は、DNAシーケンスを行う場合の核酸解析用装置の一例の構成図である。具体的には、本発明に係る核酸解析装置の構成(各試薬を基板上核酸クラスタ形成試薬セット1301としてまとめて表した)に加えて、DNAシーケンス試薬セット1302を備える。塩基配列解析の反応において要求される機能はフローセル溶液槽への溶液供給と溶液置換、フローセル溶液槽の温度調節、観察部であり、DNAクラスタ形成の構成と共有可能である。図13に記載の構成によって、基板102上へのDNAクラスタ形成に引き続き、基板102を移動することなく同一のフローセル溶液槽103を反応の場として塩基配列を解析可能となる。さらに観察部917と制御部918を備えた構成によってこれらの一連の工程の制御と観察の自動化が可能となる。
[0058]
 なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。

符号の説明

[0059]
100…フローセル
101…親水性パターン領域
102…基板
103…フローセル溶液槽
104…第一の開口部
105…第二の開口部
106…試料溶液槽
107…疎水性溶媒槽
108…反応溶液槽
109…排液槽
110…バルブ
112…ポンプ
201…下層基板
202…隔壁
203…鋳型核酸を固定するための分子
305…液滴
308…増幅核酸断片
310…試料溶液
320…疎水性溶媒
330…反応溶液
501…増幅核酸断片を持つ親水性パターン領域
840…試料溶液と反応溶液との混合溶液
913…溶液混合槽
914…洗浄溶液槽
915、916…温度制御装置
917…観察部
918…制御部
1301…基板上核酸クラスター形成試薬セット
1302…DNAシーケンス試薬セット

請求の範囲

[請求項1]
 親水性を有する複数の第一の表面と、前記複数の第一の表面のそれぞれを囲む、前記第一の表面より親水性が低い第二の表面とを有する基板であって、前記第一の表面には鋳型となる核酸と特異的に結合する分子が固定または配置される、基板を準備する工程と、
 前記基板上に、前記鋳型となる核酸を含む試料溶液と核酸増幅基質および核酸合成酵素を含む反応溶液との混合溶液を供給し、前記第一の表面に前記混合溶液が配置され、前記鋳型となる核酸と特異的に結合する分子に前記鋳型となる核酸が結合する工程と、
 前記基板上に疎水性溶媒を供給し、前記第一の表面上に配置された前記混合溶液が封入された液滴を形成する工程と、
 前記液滴内で前記核酸の増幅反応を行う工程と、
 前記基板上から前記疎水性溶媒を除去する工程と、
 前記基板上に核酸増幅基質および核酸合成酵素を含む反応溶液を供給する工程と、
 前記核酸の増幅反応を行う工程と
を含むことを特徴とする核酸増幅方法。
[請求項2]
 前記増幅反応はローリングサークル増幅(RCA)またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である、請求項1に記載の核酸増幅方法。
[請求項3]
 前記鋳型となる核酸を含む試料溶液を希釈して、前記液滴1つ当たり1分子以下の前記鋳型となる核酸が封入された液滴を形成する、請求項1に記載の核酸増幅方法。
[請求項4]
 前記核酸は、メッセンジャーRNA(mRNA)、非コードRNA(ncRNA)、マイクロRNA、ゲノムDNA、およびそれらの断片、ならびにRNAとDNAのハイブリッド核酸からなる群より選択される、請求項1に記載の核酸増幅方法。
[請求項5]
 前記液滴内で前記核酸の増幅反応を行う工程の後、
 前記基板上に、前記鋳型となる核酸を含む試料溶液と核酸増幅基質および核酸合成酵素を含む反応溶液との混合溶液を供給し、前記第一の表面のうち増幅された核酸断片を含まない第一の表面に前記混合溶液が配置され、前記鋳型となる核酸と特異的に結合する分子に前記鋳型となる核酸が結合する工程と、
 前記基板上に疎水性溶媒を供給し、前記第一の表面上に配置された前記混合溶液が封入された液滴を形成する工程と、
 前記液滴内で前記核酸の増幅反応を行う工程と
をさらに含む、請求項1に記載の核酸増幅方法。
[請求項6]
 前記基板上から前記疎水性溶媒を除去する工程の後、前記基板上を乾燥する工程をさらに含む、請求項1に記載の核酸増幅方法。
[請求項7]
 核酸増幅反応を行う反応容器と、
 鋳型となる核酸を含む試料溶液を収容する試料溶液槽と、
 疎水性溶媒を収容する疎水性溶媒槽と、
 少なくとも核酸増幅基質を含む反応溶液を収容する反応溶液槽と
を備え、
 前記反応容器には、前記試料溶液槽、前記疎水性溶媒槽、および前記反応溶液槽と連結可能な、第一の開口部と第二の開口部が設けられ、
 前記反応容器内の上面または底面のいずれかに、親水性を有する複数の第一の表面と、前記複数の第一の表面のそれぞれを囲む、前記第一の表面より親水性が低い第二の表面とを有する基板が設けられており、
 前記第一の表面には、鋳型となる核酸と特異的に結合する分子が固定または配置されることを特徴とする核酸解析用装置。
[請求項8]
 前記基板の形状は凹構造を有しており、前記凹構造の最底面が前記第一の表面である、請求項7に記載の核酸解析用装置。
[請求項9]
 前記第一の表面は直径0.5~2.0μmの大きさであり、前記基板上における前記第一の表面の密度は20万個/mm 以上である、請求項7に記載の核酸解析用装置。
[請求項10]
 前記基板上を観察可能な観察部、および/または
 前記反応容器の排液を回収する排液槽
をさらに備える、請求項7に記載の核酸解析用装置。
[請求項11]
 少なくとも1つの温度制御装置をさらに備える、請求項7に記載の核酸解析用装置。
[請求項12]
 前記反応容器、前記試料溶液槽、前記疎水性溶媒槽、および前記反応溶液槽が、前記温度制御装置により適切な温度に調整可能である、請求項11に記載の核酸解析用装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]