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1. (WO2018182031) 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体
Document

明 細 書

発明の名称 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020  

発明の効果

0021  

図面の簡単な説明

0022  

発明を実施するための形態

0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162  

符号の説明

0163  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 熱可塑性樹脂膜及びガラス板含有積層体

技術分野

[0001]
 本発明は、ガラス板等の他の部材に貼り合わされて好適に用いられる熱可塑性樹脂膜に関する。また、本発明は、上記熱可塑性樹脂膜を用いたガラス板含有積層体に関する。

背景技術

[0002]
 樹脂膜が、ガラス板に貼り合わされたガラス板含有積層体が知られている。ガラス板含有積層体の中でも、合わせガラスが広く用いられている。
[0003]
 合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に熱可塑性樹脂膜を挟み込むことにより、製造されている。また、合わせガラス以外にも、ガラス板以外の他の部材に、熱可塑性樹脂膜が貼り合わされて用いられることがある。
[0004]
 上記合わせガラスに用いられる熱可塑性樹脂膜は、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
[0005]
 下記の特許文献1には、黄変傾向が低く、UV-A線及び可視光に対して高い透過率を有し、UV-B線に対して低い透過率を有する中間膜が開示されている。この中間膜は、ポリビニルアセタールと、可塑剤と、UV吸収剤であるオキサニリド型化合物とを含む。また、特許文献1には、中間膜が、HAS/HALS/NOR-HALS型の非芳香族光安定剤を含んでいてもよく、また染料を含んでいてもよいことが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : US2012/0052310A1

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 ところで、意匠性を向上させる目的で、有色のガラス板含有積層体が市販されている。ガラス板含有積層体を有色とするために、熱可塑性樹脂膜を有色とすることができる。また、熱可塑性樹脂膜を有色とするために、染料又は顔料等を用いることができる。しかし、染料又は顔料を用いただけでは、1つの色調に見えるガラス板含有積層体が得られることが一般的である。
[0008]
 本発明の目的は、方向又は角度によって色調が異なって見えるガラス板含有積層体を得ることができる熱可塑性樹脂膜を提供することである。また、本発明は、上記熱可塑性樹脂膜を用いたガラス板含有積層体を提供することも目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明の広い局面によれば、熱可塑性樹脂と、顔料とを含み、熱可塑性樹脂膜を透過型電子顕微鏡によって平面視したときに、縦13μm及び横18μmの四角形の領域中、アスペクト比が3以上かつ50以下である顔料の数が3個以上かつ100個以下である、熱可塑性樹脂膜(本明細書において、「樹脂膜」と略記することがある)が提供される。
[0010]
 本発明に係る樹脂膜のある特定の局面では、前記顔料の長さ方向を平均した方向が、熱可塑性樹脂膜の厚み方向と直交する方向と平行であるか、又は、熱可塑性樹脂膜の厚み方向と直交する方向に対して、20°以下で傾斜した方向である。
[0011]
 本発明に係る樹脂膜は、前記熱可塑性樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂又はアイオノマー樹脂を含むことが好ましい。
[0012]
 本発明に係る樹脂膜は、前記顔料として、フタロシアニン化合物、キナクドリン化合物、アゾ化合物、ペンタフェン化合物、ジオキサジン化合物、ペリレン化合物、インドール化合物又はカーボンブラックを含むことが好ましい。前記フタロシアニン化合物の極大吸収波長が500nm以上740nm以下であることが好ましい。本発明に係る樹脂膜は、前記顔料として、フタロシアニン化合物を含んでいてもよく、キナクドリン化合物、ペリレン化合物又はインドール化合物を含んでいてもよく、カーボンブラックを含んでいてもよい。
[0013]
 本発明に係る樹脂膜のある特定の局面では、JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラスの間に熱可塑性樹脂膜を挟み込んでガラス板含有積層体を得たときに、得られたガラス板含有積層体のヘーズ値が5%以下である。
[0014]
 本発明に係る樹脂膜のある特定の局面では、前記樹脂膜は、第1の表面層と、第2の表面層とを備える。
[0015]
 本発明に係る樹脂膜のある特定の局面では、前記樹脂膜は、前記第1の表面層と前記第2の表面層との間に、中間層を備える。
[0016]
 本発明に係る樹脂膜のある特定の局面では、前記中間層が、前記顔料を含む。
[0017]
 本発明に係る樹脂膜は、ガラス板に貼り合わされて用いられる熱可塑性樹脂膜であることが好ましい。
[0018]
 本発明の広い局面によれば、第1のガラス板と、上述した熱可塑性樹脂膜とを備え、前記第1のガラス板に、前記熱可塑性樹脂膜が貼り合わされている、ガラス板含有積層体が提供される。
[0019]
 本発明に係るガラス板含有積層体のある特定の局面では、前記ガラス板含有積層体は、第1の合わせガラス部材として前記第1のガラス板と、前記熱可塑性樹脂膜と、第2の合わせガラス部材とを備え、前記第1のガラス板に、前記熱可塑性樹脂膜が貼り合わされており、前記第2の合わせガラス部材に、前記熱可塑性樹脂膜が貼り合わされており、前記第1のガラス板と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記熱可塑性樹脂膜が配置されている。
[0020]
 本発明に係るガラス板含有積層体は、自動車用サイドガラスであってもよく、自動車用リアガラスであってもよく、自動車用ルーフガラスであってもよい。

発明の効果

[0021]
 本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂と、顔料とを含む。本発明に係る熱可塑性樹脂膜を透過型電子顕微鏡によって平面視したときに、縦13μm及び横18μmの四角形の領域中、アスペクト比が3以上かつ50以下である顔料の数が3個以上かつ100個以下である。本発明に係る熱可塑性樹脂膜では、上記の構成が備えられているので、方向又は角度によって色調が異なって見えるガラス板含有積層体を得ることができる。

図面の簡単な説明

[0022]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を用いたガラス板含有積層体を示す断面図である。
[図2] 図2は、本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を用いたガラス板含有積層体の変形例を示す断面図である。
[図3] 図3は、熱可塑性樹脂膜を透過型電子顕微鏡によって平面視したときの画像を示す図である。

発明を実施するための形態

[0023]
 以下、本発明の詳細を説明する。
[0024]
 本発明に係る熱可塑性樹脂膜(本明細書において、「樹脂膜」と略記することがある)は、ガラス板等の他の部材に貼り合わされて好適に用いられる。上記他の部材は、貼り合わせ対象部材である。
[0025]
 本発明に係る樹脂膜は、熱可塑性樹脂と、顔料とを含む。
[0026]
 本発明に係る樹脂膜では、該樹脂膜を透過型電子顕微鏡(TEM)によって平面視したときに、縦13μm及び横18μmの四角形の領域中、アスペクト比が3以上かつ50以下である顔料の数Xが3個以上かつ100個以下である。
[0027]
 本発明では、上記の構成が備えられているので、方向又は角度によって色調が異なって見えるガラス板含有積層体を得ることができる。本発明では、多色視認性を高めることができ、ガラス板含有積層体に多色性を付与することができ、意匠性を高めることができる。
[0028]
 上記顔料の数Xは、例えば、樹脂膜の製造時に、顔料の添加量を制御することにより、調整することができる。
[0029]
 多色性における色調をより一層良好にする観点からは、上記顔料の数Xは、好ましくは5個以上、より好ましくは10個以上、好ましくは80個以下、より好ましくは50個以下である。
[0030]
 多色性における色調をより一層良好にする観点からは、上記顔料の長さ方向を平均した方向が、熱可塑性樹脂膜の厚み方向と直交する方向と平行であるか、又は、熱可塑性樹脂膜の厚み方向と直交する方向に対して、20°以下(傾斜角度)で傾斜した方向であることが好ましい。多色性における色調をより一層良好にする観点からは、上記顔料の長さ方向が傾斜している場合に、上記傾斜角度は、好ましくは15°以下、より好ましくは12°以下である。なお、後述する実施例では、上記傾斜角度は10°以下であった。
[0031]
 上記樹脂膜は、1層の構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよく、4層以上の構造を有していてもよい。上記樹脂膜は、2層以上の構造を有し、第1の表面層と、第2の表面層とを備えていてもよい。上記樹脂膜は、3層以上の構造を有し、上記第1の表面層と上記第2の表面層との間に、中間層を備えていてもよい。上記樹脂膜は、上記中間層を2層以上備えていてもよい。上記樹脂膜は、第1の中間層と第2の中間層とを備えていてもよい。
[0032]
 JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラスの間に熱可塑性樹脂膜を挟み込んでガラス板含有積層体を得たときに、得られたガラス板含有積層体の全光線透過率は、好ましくは1%以上、より好ましくは4%以上である。
[0033]
 耐光性の観点からは、上記表面層の全光線透過率が、上記中間層の全光線透過率よりも高いことが好ましい。耐光性の観点からは、上記表面層の全光線透過率が、上記中間層の全光線透過率よりも10%以上高いことが好ましく、30%以上高いことがより好ましい。
[0034]
 上記全光線透過率は、平行光透過率と拡散光透過率との合計である。上記全光線透過率は、JIS R3106:1998に準拠して測定される。具体的には、分光光度計を用いて、透過した光線をすべて積分球に受光するよう積分球の開口部に、測定対象物を平行にかつ密着させ、分光透過率を測定する。上記全光線透過率は、この状態で測定された分光透過率から算出された可視光線透過率を意味する。上記分光光度計としては、例えば、日立ハイテク社製「U-4100」等が挙げられる。
[0035]
 ガラス板含有積層体の透明性を高める観点からは、JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラスの間に熱可塑性樹脂膜を挟み込んでガラス板含有積層体を得たときに、得られたガラス板含有積層体のヘーズ値は好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下である。
[0036]
 以下、本発明に係る樹脂膜に用いることができる各材料を詳細に説明する。
[0037]
 (熱可塑性樹脂)
 上記樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む。
[0038]
 上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びシクロオレフィン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0039]
 上記樹脂膜は、上記熱可塑性樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂又はアイオノマー樹脂を含むことが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂を含むことがより好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、ガラス板、合わせガラス部材又は他の樹脂膜等に対する本発明に係る樹脂膜の接着力がより一層高くなる。上記表面層及び上記中間層が、ポリビニルアセタール樹脂又はアイオノマー樹脂を含むことが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂及び上記アイオノマー樹脂はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0040]
 上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70~99.9モル%の範囲内である。
[0041]
 上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、好ましくは3500以下、より好ましくは3000以下、更に好ましくは2500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、ガラス板含有積層体の耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、樹脂膜の成形が容易になる。
[0042]
 上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
[0043]
 上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれているアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3又は4であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、樹脂膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
[0044]
 上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1~10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1~10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド又はn-バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n-ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0045]
 上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、樹脂膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、樹脂膜の柔軟性が高くなり、樹脂膜の取扱いが容易になる。
[0046]
 上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
[0047]
 上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、樹脂膜及びガラス板含有積層体の耐湿性が高くなる。
[0048]
 上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
[0049]
 上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
[0050]
 上記アセタール化度は、以下のようにして求める。先ず、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を求める。得られた値を、主鎖の全エチレン基量で除算してモル分率を求める。このモル分率を百分率で示した値がアセタール化度である。
[0051]
 なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396-92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。
[0052]
 (可塑剤)
 樹脂膜の接着力を適度に高める観点から、上記樹脂膜は、可塑剤を含むことが好ましい。上記表面層及び上記中間層が、可塑剤を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、ガラス板、合わせガラス部材又は他の樹脂膜等に対する本発明に係る樹脂膜の接着力がより一層高くなる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0053]
 上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
[0054]
 上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2-エチル酪酸、ヘプチル酸、n-オクチル酸、2-エチルヘキシル酸、n-ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
[0055]
 上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4~8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
[0056]
 上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ-2-エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ-n-オクタノエート、トリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,3-プロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,4-ブチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
[0057]
 上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
[0058]
 上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
[0059]
[化1]


[0060]
 上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5~10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn-プロピレン基を表し、pは3~10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6~10の有機基であることが好ましい。
[0061]
 上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ-2-エチルブチレートを含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
[0062]
 上記可塑剤の含有量は特に限定されない。上記樹脂膜において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は、好ましくは25重量部以上、より好ましくは30重量部以上、好ましくは60重量部以下、より好ましくは50重量部以下、更に好ましくは45重量部以下、更に好ましくは40重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、ガラス板含有積層体の耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、樹脂膜の透明性がより一層高くなる。
[0063]
 (顔料)
 有色の樹脂膜とするために、上記樹脂膜は上記顔料を含む。過度の色むらを効果的に抑える観点からは、上記中間層が、上記顔料を含むことが好ましい。上記表面層は、上記顔料を含んでいてもよく、上記顔料を含んでいなくてもよい。
[0064]
 着色剤が染料と顔料との何れに該当するかは、カラーインデックスによる分類から判別することができる。
[0065]
 本明細書において、カラーインデックスに記載されていない着色剤等については、「顔料」及び「染料」は、以下のように定義されてもよい。ポリビニルブチラール樹脂(ポリビニルアルコールの重合度1700、水酸基の含有率30モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度69モル%)を用意する。このポリビニルブチラール樹脂100重量部と、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部と、ポリビニルブチラール樹脂と3GOと着色剤との合計量100重量%に対して0.015重量%の含有量となる着色剤とを混練し、押し出して得られる厚さ760μmの樹脂膜(単層)を得る。この樹脂膜と、JIS R3106:1998に準拠して測定された可視光線透過率が90%の2枚のクリアガラス(厚み2.5mm)とを用いて合わせガラスを作製した際に、得られる合わせガラスのヘーズ値が0.35%以上となる着色剤を顔料とする。ヘーズ値が0.35%未満となる着色剤は染料とする。
[0066]
 上記顔料は、有機顔料であってもよく、無機顔料であってもよい。上記有機顔料は、金属原子を有する有機顔料であってもよく、金属原子を有さない有機顔料であってもよい。上記顔料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0067]
 上記有機顔料としては、フタロシアニン化合物、キナクドリン化合物、アゾ化合物、ペンタフェン化合物、ジオキサジン化合物、ペリレン化合物、インドール化合物及びジオキサジン化合物等が挙げられる。
[0068]
 上記有機顔料の色調は、黄色、橙色、赤色、バイオレット色、青色又は緑色であることが好ましい。
[0069]
 上記無機顔料としては、カーボンブラック、及び酸化鉄、酸化亜鉛及び酸化チタン等が挙げられる。
[0070]
 上記樹脂膜は、上記顔料として、フタロシアニン化合物、キナクドリン化合物、アゾ化合物、ペンタフェン化合物、ジオキサジン化合物、ペリレン化合物、インドール化合物又はカーボンブラックを含むことが好ましい。上記樹脂膜は、上記顔料として、フタロシアニン化合物を含んでいてもよく、キナクドリン化合物、ペリレン化合物又はインドール化合物を含んでいてもよく、カーボンブラックを含んでいてもよい。
[0071]
 上記フタロシアニン化合物としては、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体が挙げられる。上記フタロシアニン化合物はフタロシアニン骨格を有する。
[0072]
 上記フタロシアニン化合物は、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することがより好ましい。上記フタロシアニン化合物は、バナジウム原子を含有していてもよい。上記フタロシアニン化合物は、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン、又は、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体であることがより好ましく、銅原子を含有するフタロシアニン又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体であることがより好ましい。樹脂膜及びガラス板含有積層体の遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記フタロシアニン化合物は、銅原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
[0073]
 過度の色むらをより一層抑える観点からは、上記フタロシアニン化合物の極大吸収波長が500nm以上740nm以下であることが好ましい。過度の色むらをより一層抑える観点からは、上記フタロシアニン化合物は、CASNo.147-14-8のフタロシアニン化合物であることが特に好ましい。
[0074]
 上記キナクドリン化合物は、キナクドリン及びキナクドリンの誘導体が挙げられる。上記キナクドリンは、キナクドリン骨格を有する。
[0075]
 上記ペリレン化合物は、ペリレン及びペリレンの誘導体が挙げられる。上記ペリレンは、ペリレン骨格を有する。
[0076]
 上記アゾ化合物は、アゾ骨格を有する。
[0077]
 上記ペンタフェン化合物は、ペンタフェン及びペンタフェンの誘導体が挙げられる。上記ペンタフェンはペンタフェン骨格を有する。
[0078]
 上記インドール化合物は、インドール及びインドールの誘導体が挙げられる。上記インドールは、インドール骨格を有する。
[0079]
 上記ジオキサジン化合物は、ジオキサジン及びジオキサジンの誘導体が挙げられる。上記ジオキサジンは、ジオキサジン骨格を有する。
[0080]
 ヘーズ値を低くし、かつ過度の色むらを効果的に抑える観点からは、上記樹脂膜100重量%中、上記顔料の含有量は好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.03重量%以上、好ましくは0.4重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下である。
[0081]
 また、上記樹脂膜が多層である場合に、ヘーズ値を低くし、かつ過度の色むらを効果的に抑える観点からは、上記顔料を含む層100重量%中、上記顔料の含有量は好ましくは0.001重量%以上である。上記樹脂膜が多層である場合に、ヘーズ値を低くし、かつ過度の色むらを効果的に抑える観点からは、上記顔料を含む層100重量%中、上記顔料の含有量はより好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.03重量%以上、好ましくは0.4重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下である。
[0082]
 (光安定剤)
 上記樹脂膜は、光安定剤を含むことが好ましい。光安定剤の使用により、樹脂膜が長期間使用されたり、太陽光に晒されたりしても、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記光安定剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0083]
 変色をより一層抑える観点からは、上記光安定剤は、ヒンダードアミン光安定剤であることが好ましい。
[0084]
 上記ヒンダードアミン光安定剤としては、ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基、アルコキシ基又は水素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤等が挙げられる。変色をより一層抑える観点からは、ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基又はアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤が好ましい。上記ヒンダードアミン光安定剤は、ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基が結合しているヒンダードアミン光安定剤であることが好ましく、ピペリジン構造の窒素原子にアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤であることも好ましい。
[0085]
 上記ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「Tinuvin765」及び「Tinuvin622SF」、及びADEKA社製「アデカスタブ LA-52」等が挙げられる。
[0086]
 上記ピペリジン構造の窒素原子にアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「TinuvinXT-850FF」及び「TinuvinXT-855FF」、及びADEKA社製「アデカスタブ LA-81」等が挙げられる。
[0087]
 上記ピペリジン構造の窒素原子に水素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「Tinuvin770DF」、及びクラリアント社製「Hostavin N24」等が挙げられる。 変色をより一層抑える観点からは、上記光安定剤の分子量は好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは700以下である。
[0088]
 過度の色むら、及び変色をより一層抑える観点からは、上記樹脂膜100重量%中、上記光安定剤の含有量は好ましくは0.0025重量%以上、より好ましくは0.025重量%以上、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。
[0089]
 また、上記樹脂膜が多層である場合に、過度の色むら、及び変色をより一層抑える観点からは、上記光安定剤を含む層100重量%中、上記光安定剤の含有量は好ましくは0.0025重量%以上、より好ましくは0.025重量%以上、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。
[0090]
 (金属塩)
 上記樹脂膜及び上記表面層は、マグネシウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(以下、これらを併せて金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記中間層は、上記金属塩Mを含んでいてもよい。上記金属塩Mの使用により、ガラス板、合わせガラス部材又は他の樹脂膜等に対する本発明に係る樹脂膜の接着力を制御することがより一層容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0091]
 上記金属塩Mは、金属として、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr又はBaを含むことが好ましい。樹脂膜中に含まれている金属塩は、K又はMgであることが好ましい。この場合に、KとMgとの双方が含まれていてもよい。
[0092]
 また、上記金属塩Mは、炭素数2~16の有機酸のアルカリ金属塩又は炭素数2~16の有機酸のアルカリ土類金属塩であることがより好ましく、炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。
[0093]
 上記炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩としては、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2-エチル酪酸マグネシウム、2-エチルブタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム及び2-エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
[0094]
 上記樹脂膜におけるMg及びKの含有量の合計、及び、Mg又はKを含む層(表面層など)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、ガラス板、合わせガラス部材又は他の樹脂膜等に対する樹脂膜の接着力をより一層良好に制御できる。
[0095]
 (紫外線遮蔽剤)
 上記樹脂膜、上記表面層及び上記中間層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記紫外線遮蔽剤の使用により、樹脂膜が長期間使用されたり、高温下で使用されたりしても、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0096]
 上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
[0097]
 上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属系紫外線遮蔽剤(金属を含有する紫外線遮蔽剤)、金属酸化物系紫外線遮蔽剤(金属酸化物を含有する紫外線遮蔽剤)、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤)、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤)、トリアジン系紫外線遮蔽剤(トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤)、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤)、シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤)及びベンゾエート系紫外線遮蔽剤(ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤)等が挙げられる。
[0098]
 上記金属系紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
[0099]
 上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤又はベンゾエート系紫外線遮蔽剤であり、より好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤である。
[0100]
 上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
[0101]
 上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
[0102]
 上記ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
[0103]
 上記ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
[0104]
 上記トリアジン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA-F70」及び2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
[0105]
 上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤としては、2-(p-メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル-2,2-(1,4-フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2-(p-メトキシベンジリデン)-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル4-ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
[0106]
 上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B-CAP、Hostavin PR-25、Hostavin PR-31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
[0107]
 上記シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤としては、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-5-t-ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-フェニル)シュウ酸ジアミド、2-エチル-2’-エトキシ-オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
[0108]
 上記ベンゾエート系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
[0109]
 変色をより一層抑え、可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記樹脂膜100重量%中及び紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上である。変色をより一層抑え、可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記樹脂膜100重量%中及び紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。
[0110]
 (酸化防止剤)
 上記樹脂膜、上記表面層及び上記中間層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤の使用により、樹脂膜が長期間使用されたり、高温下で使用されたりしても、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0111]
 上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
[0112]
 上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
[0113]
 上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’-t-ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
[0114]
 上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、及び2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
[0115]
 上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、堺化学工業社製「H-BHT」、BASF社製「IRGANOX 1010」、並びにADEKA社製「アデカスタブ AO-40」等が挙げられる。
[0116]
 変色をより一層抑え、可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記樹脂膜100重量%中及び酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記樹脂膜100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
[0117]
 (他の成分)
 上記樹脂膜は、必要に応じて、難燃剤、帯電防止剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[0118]
 (樹脂膜の他の詳細)
 遮音性を効果的に高める観点からは、上記中間層が、ガラス転移温度が10℃以下である層を含むことが好ましい。
[0119]
 上記樹脂膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに遮熱性を充分に高める観点からは、上記樹脂膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記樹脂膜の厚みが上記下限以上であると、ガラス板含有積層体の耐貫通性がより一層高くなる。上記樹脂膜の厚みが上記上限以下であると、樹脂膜の透明性がより一層良好になる。
[0120]
 上記樹脂膜の製造方法は特に限定されない。該樹脂膜の製造方法として、従来公知の方法を用いることができる。例えば、配合成分を混練し、樹脂膜を成形する製造方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
[0121]
 上記混練の方法は特に限定されない。この方法として、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー又はカレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出機を用いる方法が好適であり、二軸押出機を用いる方法がより好適である。
[0122]
 (ガラス板含有積層体)
 図1は、本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を用いたガラス板含有積層体の一例を示す断面図である。
[0123]
 図1に示すガラス板含有積層体1は、樹脂膜2と、第1の合わせガラス部材21(第1のガラス板)と、第2の合わせガラス部材22(第2のガラス板であってもよい)とを備える。樹脂膜2は単層の樹脂膜である。樹脂膜2は、ガラス板含有積層体を得るために用いられる。樹脂膜2は、ガラス板に貼り合わされて用いられる樹脂膜である。ガラス板含有積層体1は、合わせガラスである。
[0124]
 樹脂膜2は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。樹脂膜2の第1の表面2a(一方の表面)に、第1の合わせガラス部材21が積層されている。樹脂膜2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2b(他方の表面)に、第2の合わせガラス部材22が積層されている。
[0125]
 図2は、本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を用いたガラス板含有積層体の変形例を示す断面図である。
[0126]
 図2に示すガラス板含有積層体11は、樹脂膜12と、第1の合わせガラス部材21(第1のガラス板)と、第2の合わせガラス部材22とを備える。樹脂膜12は、多層の樹脂膜である。樹脂膜12は、ガラス板含有積層体を得るために用いられる。樹脂膜12は、ガラス板に貼り合わされて用いられる樹脂膜である。ガラス板含有積層体11は、合わせガラスである。
[0127]
 樹脂膜12は、第1の層13(第1の表面層)、第2の層14(中間層)及び第3の層15(第2の表面層)がこの順で積層された構造を有する。本実施形態では、第2の層14は、遮音層である。第1,第3の層13,15は、保護層である。
[0128]
 樹脂膜12は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。第1の層13の外側の表面13aに第1の合わせガラス部材21が積層されている。第2の層15の外側の表面15aに第2の合わせガラス部材22が積層されている。
[0129]
 このように、本発明に係るガラス板含有積層体は、第1のガラス板と、本発明に係る樹脂膜とを備えていればよい。上記樹脂膜は、上記第1の合わせガラス部材(第1のガラス板)と上記第2の合わせガラス部材との間に配置されていることが好ましい。
[0130]
 上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に樹脂膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に樹脂膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第2の合わせガラス部材がガラス板又はPETフィルムであることが好ましい。
[0131]
 上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
[0132]
 上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
[0133]
 上記ガラス板含有積層体の製造方法は特に限定されない。上記第1のガラス板に、上記樹脂膜を貼り合わせることにより、ガラス板含有積層体を得ることができる。さらに、例えば、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、樹脂膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、第1の合わせガラス部材と樹脂膜との間及び上記第2の合わせガラス部材と樹脂膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70~110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120~150℃及び1~1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、ガラス板含有積層体である合わせガラスを得ることができる。
[0134]
 上記樹脂膜及び上記ガラス板含有積層体は、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記樹脂膜及び上記ガラス板含有積層体は、これらの用途以外にも使用できる。上記樹脂膜及び上記ガラス板含有積層体は、車両用又は建築用の樹脂膜及びガラス板含有積層体であることが好ましく、車両用の樹脂膜及びガラス板含有積層体であることがより好ましい。上記樹脂膜及び上記ガラス板含有積層体は、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。本発明に係るガラス板含有積層体は、自動車用サイドガラスであってもよく、自動車用リアガラスであってもよく、自動車用ルーフガラスであってもよい。
[0135]
 以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
[0136]
 実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。
[0137]
 熱可塑性樹脂:
 (ポリビニルアセタール樹脂)
 ポリビニルブチラール樹脂(PVB(1))(ポリビニルアルコールの重合度1700、水酸基の含有率30モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度(ブチラール化度)69モル%)
[0138]
 ポリビニルブチラール(PVB)樹脂に関しては、ブチラール化度(アセタール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396-92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
[0139]
 (可塑剤)
 トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)
[0140]
 (顔料)
 カーボンブラック顔料(CASNo.1333-86-4)
 銅フタロシアニン顔料(1)(CASNo.147-14-8)(極大吸収波長600nm)
 銅フタロシアニン顔料(2)(CASNo.12239-87-1)(極大吸収波長640nm)
 アントラキノン顔料(CASNo.4051-63-2)
 ペリレン顔料(CASNo.4948-15-6)
[0141]
 極大吸収波長の測定方法:
 クロロホルム100重量部に対して、顔料0.002重量部を混合し、クロロホルム溶液を得た。得られたクロロホルム溶液を光路長1.0mmの分光光度計用石英セルへ入れた。自記分光光度計(日立製作所社製「U4100」)を用いて、300~2500nm透過率を測定し、極大吸収波長を求めた。極大吸収波長とは、透過率が極小値を示す波長であって、且つ、該極小値が最小である波長、すなわち最大吸収波長のことを指す。
[0142]
 (光安定剤)
 Tinuvin765(BASF社製、N-C(アルキル基)型)
[0143]
 (金属塩)
 混合物(1)(酢酸マグネシウムと2-エチル酪酸マグネシウムとの混合物)
[0144]
 (紫外線遮蔽剤)
 Tinuvin326(BASF社製)
[0145]
 (酸化防止剤)
 BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
[0146]
 (実施例1)
  樹脂膜を形成するための組成物の作製:
 PVB(1)に、3GOと、銅フタロシアニン顔料(1)と、混合物(1)と、Tinuvin765と、Tinuvin326と、BHTとを下記の表1に示す配合量となるように添加して、ミキシングロールで充分に混練し、組成物を得た。
[0147]
 樹脂膜の作製:
 樹脂膜を形成するための組成物を、顔料の数Xが下記の表1に示す数になるように、押出機を用いて押出しすることにより、単層の樹脂膜(厚み780μm)を作製した。
[0148]
 合わせガラスの作製:
 得られた樹脂膜を、縦15cm×横15cmに切り出した。次に、JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラス(縦15cm×横15cm×厚み2mm)の間に樹脂膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、合わせガラスを得た。
[0149]
 (実施例2~4及び比較例1)
 組成物の配合成分の種類及び配合量を下記の表1に示すように設定したこと、並びに押出時の濃度を変更して顔料の数Xを下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂膜及び合わせガラスを得た。
[0150]
 (実施例5)
  中間層を形成するための組成物Xの作製:
 PVB(1)100重量部に、3GOを40重量部加え、更に、Tinuvin765と、Tinuvin326と、BHTと、混合物(1)とを得られた樹脂膜全体(全層)で下記の表2に示す含有量となるように添加して、ミキシングロールで充分に混練し、組成物Xを得た。
[0151]
 表面層を形成するための組成物Yの作製:
 PVB(1)に、3GOを下記の表2に示す配合量となるように添加して、ミキシングロールで充分に混練し、組成物Yを得た。
[0152]
 樹脂膜の作製:
 中間層を形成するための組成物Xと、表面層を形成するための組成物Yとを、顔料の数Xが下記の表2に示す数になるように、共押出機を用いて共押出しすることにより、第1の表面層/中間層/第2の表面層の積層構造を有する樹脂膜(厚み760μm、幅100cm)を作製した。その際、断面形状が楔形状であり、樹脂膜の一方の端部から他方の端部に向けて厚みが減少し、且つ、幅方向に20cmの長さである中間層が、第1,第3の樹脂層の間に埋め込まれた形状となるようにし、且つ、中間層の最大厚みが300μmになるようにした。
[0153]
 合わせガラスの作製:
 得られた樹脂膜を、縦15cm×横15cmに切り出した。その際、中間層の最も厚い部位が得られる合わせガラスの端部に位置し、かつ、該端部から反対側の端部に向かって中間層の厚みが減少するように切り出した。次に、JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラス(縦15cm×横15cm×厚み2mm、可視光線透過率85%)の間に樹脂膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、合わせガラスを得た。
[0154]
 (実施例6~8及び比較例2)
 組成物の配合成分の種類及び配合量を下記の表2に示すように設定したこと、各層の厚みを下記の表2に示すように設定したこと、並びに押出時の濃度を変更して顔料の数Xを下記の表2に示すように設定したこと以外は実施例5と同様にして、樹脂膜及び合わせガラスを得た。
[0155]
 (評価)
 (1)顔料の存在状態
 得られた樹脂膜について、以下の操作を行った。クライオシステム(ライカ社製、LEICA EM FCS)によるダイヤモンドナイフ(DIATOME社製、DiATOME DRY)のウルトラミクロトーム(ライカ社製、LEICA EM UC7)を用いて、前処理として樹脂膜の製造時の流れ方向に平行かつ樹脂膜の表面に対して垂直にトリミング及び面だしをした。この操作にて、測定サンプルとして超薄切片を得た。なお、実施例5~8及び比較例2で得られた樹脂膜に関しては、得られた樹脂膜の中間層の最も厚い部位のトリミング及び面だしを行った。また、実施例及び比較例で得られた樹脂膜に関しては、樹脂膜の製造時の流れ方向が明確であるが、フロントガラスから剥がした樹脂膜のように製造時の膜の流れ方向が不明である樹脂膜を評価する場合には、以下の方法によって樹脂膜の製造時の膜の流れ方向を知ることができる。即ち、樹脂膜を正方形状に切り出し140℃の恒温槽に30分保管した後の樹脂膜の、横方向と縦方向の収縮率が最も大きい方向が流れ方向であると確認することができる。これは、一般的に樹脂膜の製造において、製造時の膜の流れ方向に最も伸展する力が加わるため、加熱時には逆に製造時の膜の流れ方向に最も収縮することによる。他にも、樹脂膜がロール状体である場合には、ロール状体の巻取り方向によって確認することができる。これは、樹脂膜のロール状体は、樹脂膜製造時の膜の流れ方向に巻き取られることから、ロール状体の巻取方向と、樹脂膜製造時の膜の流れ方向とが同一であることによる。顔料の存在状態を評価するためのTEM観察(日立ハイテクノロジーズ社製、HT7700型、加速電圧100kV)、及び、EDS測定(日本電子社製、JEM-2100F型、日本電子社製、UTW型Si(Li)半導体検出器、ビーム径0.2nm)を、以下のようにして行った。縦13μm及び横18μmの四角形の領域中、アスペクト比が3以上かつ50以下である顔料の数Xを数えた。なお、TEMによる画像観察は3回実施し、3回の観察のうち、最も個数の多い結果を採用した。また、EDSによりアスペクト比が3以上かつ50以下顔料の組成を評価した。また、図3に、熱可塑性樹脂膜を透過型電子顕微鏡によって平面視したときの画像を示した。
[0156]
 (2)ヘーズ値の測定
 ヘーズメーター(東京電色社製「TC-HIIIDPK」)を用いて、JIS K6714に準拠して、得られた合わせガラスのヘーズ値を測定した。なお、実施例5~8及び比較例2で得られた合わせガラスに関しては、得られた合わせガラスの中間層の最も厚い部位におけるヘーズ値を測定した。
[0157]
 (3)全光線透過率
 JIS R3106(1998)に準拠して、得られた合わせガラスの全光線透過率(TvD)を測定した。分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、透過した光線をすべて積分球に受光するよう積分球の開口部に、得られた合わせガラスを平行にかつ密着させ、分光透過率を測定した。得られた上記分光透過率から算出した可視光線透過率を、全光線透過率とした。なお、実施例5~8及び比較例2で得られた合わせガラスに関しては、得られた合わせガラスの中間層の最も厚い部位における全光線透過率を測定した。
[0158]
 (4)多色性の評価
 SERIC社製の人工太陽照明灯「XC-100」を用いて、100cm離れた位置から、得られた合わせガラスに光を照射した。合わせガラスの光が照射された表面をガラスの面方向に90度回転させたときに、合わせガラスの色調が変化するか否かを評価した。多色性を以下の基準で判定した。
[0159]
 [多色性の判定基準]
 ○:色調が変化する
 ×:色調が変化しない
[0160]
 詳細及び結果を下記の表1,2に示す。なお、下記表1,2において、各層における可塑剤の含有量は、各層における熱可塑性樹脂100重量部に対する含有量を示す。また、下記表1,2において、顔料、光安定剤、紫外線遮蔽剤及び酸化防止剤の含有量は、各層100重量%中での含有量を示す。また、下記表1,2において、Mg及びKの含有量の合計(ppm)は、各層中での濃度を示す。また、表1,2において、顔料の数Xは、縦13μm及び横18μmの四角形の領域中、アスペクト比が3以上かつ50以下である顔料の数である。
[0161]
[表1]


[0162]
[表2]


符号の説明

[0163]
 1…ガラス板含有積層体(合わせガラス)
 2…樹脂膜
 2a…第1の表面
 2b…第2の表面
 11…ガラス板含有積層体(合わせガラス)
 12…樹脂膜
 13…第1の層(第1の表面層)
 14…第2の層(中間層)
 15…第3の層(第2の表面層)
 13a…外側の表面
 15a…外側の表面
 21…第1の合わせガラス部材(第1のガラス板)
 22…第2の合わせガラス部材

請求の範囲

[請求項1]
 熱可塑性樹脂と、顔料とを含み、
 熱可塑性樹脂膜を透過型電子顕微鏡によって平面視したときに、縦13μm及び横18μmの四角形の領域中、アスペクト比が3以上かつ50以下である顔料の数が3個以上かつ100個以下である、熱可塑性樹脂膜。
[請求項2]
 前記顔料の長さ方向を平均した方向が、熱可塑性樹脂膜の厚み方向と直交する方向と平行であるか、又は、熱可塑性樹脂膜の厚み方向と直交する方向に対して、20°以下で傾斜した方向である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項3]
 前記熱可塑性樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂又はアイオノマー樹脂を含む、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項4]
 前記顔料として、フタロシアニン化合物、キナクドリン化合物、アゾ化合物、ペンタフェン化合物、ジオキサジン化合物、ペリレン化合物、インドール化合物又はカーボンブラックを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項5]
 前記顔料として、フタロシアニン化合物を含む、請求項4に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項6]
 前記フタロシアニン化合物の極大吸収波長が500nm以上740nm以下である、請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項7]
 前記顔料として、キナクドリン化合物、ペリレン化合物又はインドール化合物を含む、請求項4に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項8]
 前記顔料として、カーボンブラックを含む、請求項4に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項9]
 JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラスの間に熱可塑性樹脂膜を挟み込んでガラス板含有積層体を得たときに、得られたガラス板含有積層体のヘーズ値が5%以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項10]
 第1の表面層と、
 第2の表面層とを備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項11]
 前記第1の表面層と前記第2の表面層との間に、中間層を備える、請求項10に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項12]
 前記中間層が、前記顔料を含む、請求項11に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項13]
 ガラス板に貼り合わされて用いられる熱可塑性樹脂膜である、請求項1~12のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
[請求項14]
 第1のガラス板と、
 請求項1~13のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜とを備え、
 前記第1のガラス板に、前記熱可塑性樹脂膜が貼り合わされている、ガラス板含有積層体。
[請求項15]
 第1の合わせガラス部材として前記第1のガラス板と、
 前記熱可塑性樹脂膜と、
 第2の合わせガラス部材とを備え、
 前記第1のガラス板に、前記熱可塑性樹脂膜が貼り合わされており、
 前記第2の合わせガラス部材に、前記熱可塑性樹脂膜が貼り合わされており、
 前記第1のガラス板と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記熱可塑性樹脂膜が配置されている、請求項14に記載のガラス板含有積層体。
[請求項16]
 自動車用サイドガラスである、請求項14又は15に記載のガラス板含有積層体。
[請求項17]
 自動車用リアガラスである、請求項14又は15に記載のガラス板含有積層体。
[請求項18]
 自動車用ルーフガラスである、請求項14又は15に記載のガラス板含有積層体。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]