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1. (WO2018181775) 加飾シート、加飾樹脂成形品、及びこれらの製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 加飾シート、加飾樹脂成形品、及びこれらの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115  

実施例

0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129  

符号の説明

0130  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 加飾シート、加飾樹脂成形品、及びこれらの製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、加飾シート、加飾樹脂成形品、及びこれらの製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 車両内装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の成形方法としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、該成形シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化するインサート成形法(例えば、特許文献1参照)、射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融樹脂と一体化させ、樹脂成形体表面に加飾を施す射出成形同時加飾法(例えば、特許文献2、特許文献3参照)、予め成形された樹脂成形体上に加熱や加圧を伴いながら加飾シートを貼着するオーバーレイ法(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
[0003]
 従来、加飾シートの表面に凹凸形状を設けることにより、加飾シートの質感を高める技術が知られている。加飾シートの表面に凹凸形状を設ける方法としては、例えば、透明樹脂フィルムの上に着色層を設け、その上から、エンボス加工を施し、着色層が透明樹脂フィルム側に突出した凹凸形状を設ける方法が知られている。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2004-322501号公報
特許文献2 : 特公昭50-19132号公報
特許文献3 : 特公昭61-17255号公報
特許文献4 : 特開2012-101549号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 表面に凹凸形状を備える加飾シートとしては、表面にエンボス加工を施したものが知られているが、加飾シート上に形成可能な凹凸形状の高低差には限りがあり、単に凹凸形状を設けただけでは、見た目の立体感が不十分である場合があった。
[0006]
 さらに、車両内装部品、建材内装材、家電筐体等に使用される加飾シートの表面には、優れた耐摩耗性が求められるが、エンボス加工によって凹凸形状を付した場合、凸部に摩擦による負荷が集中し、耐摩耗性が劣化しやすいという問題がある。
[0007]
 このような状況下、本発明は、表面の凹凸形状に基づいて、見た目による意匠感に優れ、さらに、耐摩耗性及び成形性にも優れた加飾シートを提供することを主な目的とする。また、本発明は、当該加飾シートの製造方法、当該加飾シートを利用した、見た目による意匠感、及び耐摩耗性に優れた加飾樹脂成形品及びその製造方法を提供することも目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層と、表面に位置する表面保護層とを備える加飾シートであって、前記表面保護層は、厚み方向に断面を有し、前記断面は、前記表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返される凹凸形状を有し、凹部における表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、凸部における表面保護層の厚みT pの平均値(μm)との比(T pの平均値/T vの平均値)を測定した場合に、0.10≦T pの平均値/T vの平均値≦0.35の関係を充足する加飾シートは、表面の凹凸形状に基づいて、見た目による意匠感に優れ、さらに、耐摩耗性及び成形性にも優れることを見出した。さらに、本発明の加飾シートを用いることにより、成形後の加飾樹脂成形品の表面保護層について、好適に0.20≦T pの平均値/T vの平均値≦0.45の関係を充足させて、加飾樹脂成形品に対して立体感のある見た目による優れた意匠感を付与することができ、優れた耐摩耗性も付与することができることも見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
[0009]
 即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層と、表面に位置する表面保護層とを備える加飾シートであって、
 前記表面保護層は、厚み方向に断面を有し、
 前記断面は、前記表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返される凹凸形状を有し、
 前記凹部における前記表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、前記凸部における前記表面保護層の厚みT pの平均値(μm)との比(T pの平均値/T vの平均値)を測定した場合に、0.10≦T pの平均値/T vの平均値≦0.35の関係を充足する、加飾シート。
項2. 前記表面保護層は、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記T p(μm)の平均値が、3μm以上である、項1又は2に記載の加飾シート。
項4. 前記T v(μm)の平均値が、30μm以下である、項1~3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. プライマー層をさらに備えており、
 前記プライマー層は、前記表面保護層の前記基材層側の表面に接面している、項1~4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記表面保護層と前記基材層との間に装飾層をさらに備えている、項1~5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 項1~6のいずれかに記載の加飾シートの製造方法であって、
 前記基材層の一方側から凹凸形状を形成する工程と、
 前記基材層の前記凹凸形状を形成した表面側に、前記表面保護層を形成する工程と、
を備える、加飾シートの製造方法。
項8. 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、表面に位置する表面保護層とを備える加飾樹脂成形品であって、
 前記表面保護層は、厚み方向に断面を有し、
 前記断面は、前記表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返される凹凸形状を有し、
 前記凹部における前記表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、前記凸部における前記表面保護層の厚みT pの平均値(μm)との比(T pの平均値/T vの平均値)を測定した場合に、0.20≦T pの平均値/T vの平均値≦0.45の関係を充足する、加飾樹脂成形品。
項9. 項1~6のいずれかに記載の加飾シートの前記基材層側に、樹脂を射出することにより成形樹脂層を積層する工程を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、表面の凹凸形状に基づいて、見た目による意匠感に優れ、さらに、耐摩耗性及び成形性にも優れる加飾シートを提供することができる。また、本発明によれば、当該加飾シートの製造方法、当該加飾シートを利用した、見た目による意匠感、及び耐摩耗性に優れた加飾樹脂成形品及びその製造方法を提供することもできる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 本発明の加飾シートの一形態の断面構造の模式図である。
[図2] 本発明の加飾シートの一形態の断面構造の模式図である。
[図3] 本発明の加飾樹脂成形品の一形態の断面構造の模式図である。

発明を実施するための形態

[0012]
1.加飾シート
 本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、表面に位置する表面保護層とを備える加飾シートであって、前記表面保護層は、厚み方向に断面を有し、前記断面は、前記表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返される凹凸形状を有し、凹部における表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、凸部における表面保護層の厚みT pの平均値(μm)との比(T pの平均値/T vの平均値)を測定した場合に、0.10≦T pの平均値/T vの平均値≦0.35の関係を充足することを特徴とする。言い換えれば、表面保護層には、表面側に凹凸形状が形成されており、表面保護層の一方向に連続する複数の凸部と複数の凹部を有する凹凸形状において、複数の凹部における表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、複数の凸部における表面保護層の厚みT pの平均値(μm)との比(T pの平均値/T vの平均値)を測定した場合に、0.10≦Tpの平均値/T vの平均値≦0.35の関係を充足する。本発明の加飾シートは、このような特定の構成を備えていることにより、見た目による優れた意匠感を奏することができ、さらに、耐摩耗性及び成形性にも優れた加飾シートとなる。また、当該加飾シートを用いることにより、見た目による意匠感、及び耐摩耗性に優れた加飾樹脂成形品が得られる。
[0013]
 以下、本発明の加飾シートについて詳述する。なお、本明細書において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
[0014]
加飾シートの積層構造
 図1,2に示されるように、本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、表面に位置する表面保護層2とが積層された積層構造を有する。後述の通り、表面保護層2は、凹凸形状を有しており、さらに具体的には、表面保護層2の両面が凹凸形状を有している。なお、本発明の表面保護層2の凹凸形状において、表面保護層2の表面における凸部とは、加飾シートの表面保護層2側の方向に突出するように形成されたものであり、凹部とは、加飾シートの基材層1側の方向に突出するように形成されたものである。
[0015]
 図2に示されるように、本発明の加飾シートにおいて、基材層1と表面保護層2の間には、見た目による意匠感を高めることなどを目的として、必要に応じて、装飾層3を設けてもよい。また、表面保護層2とその下に位置する層との密着性を高めること等を目的として、必要に応じて、表面保護層2の基材層1側の表面に接面するようにプライマー層4を設けてもよい。
[0016]
 また、基材層1と表面保護層2の間には、基材層1の色の変化やバラツキを抑制する目的で、必要に応じて、隠蔽層(図示を省略する)が設けられていてもよい。プライマー層4を設ける場合であれば、当該隠蔽層は基材層1とプライマー層4の間に設ければよく、また、装飾層3を設ける場合であれば、当該隠蔽層は、基材層1と装飾層3の間に設ければよい。
[0017]
 更に、本発明の加飾シートにおいて、加飾樹脂成形品の成形の際に成形樹脂との密着性を高めることを目的として、基材層1の裏面(表面保護層2とは反対側の面)には、必要に応じて、裏面接着層(図示を省略する)が設けられてもよい。
[0018]
 本発明の加飾シートにおいては、成形樹脂層と積層して加飾樹脂成形品となるまでの間、加飾シートの表面に位置する表面保護層2の凹凸形状は、凹凸保護フィルム(図示を省略する)によって保護されていてもよい。凹凸保護フィルムを有する場合、加飾シートの最表面は凹凸保護フィルムとなる。
[0019]
 本発明の加飾シートの積層構造の例として、基材層1/表面保護層2が積層された積層構造;基材層1/装飾層3/表面保護層2が順に積層された積層構造;基材層1/プライマー層4/表面保護層2が順に積層された積層構造;基材層1/装飾層3/プライマー層4/表面保護層2が順に積層された積層構造;基材層1/装飾層3/プライマー層4/表面保護層2/凹凸保護フィルムが順に積層された積層構造などが挙げられる。
[0020]
 図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層1/表面保護層2が積層された加飾シートの断面図を示す。図2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材層1/装飾層3/プライマー層4/表面保護層2が積層された加飾シートの断面図を示す。
[0021]
加飾シートの各層の組成
[基材層1]
 基材層1は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす樹脂シート(樹脂フィルム)である。基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や成形樹脂との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。当該熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂(以下「ASA樹脂」と表記することもある)、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂及びアクリル樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
[0022]
 基材層1の曲げ弾性率については、特に制限されない。例えば、本発明の加飾シートをインサート成形法によって成形樹脂と一体化させる場合には、本発明の加飾シートにおける基材層1の25℃における曲げ弾性率が500~4,000MPa、好ましくは750~3,000MPaが挙げられる。ここで、25℃における曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定された値である。25℃における曲げ弾性率が500MPa以上であると、加飾シートは十分な剛性を備え、インサート成形法に供しても、表面特性と成形性がより一層良好になる。また、25℃における曲げ弾性率が4,000MPa以下であると、ロール トゥ ロールで製造する場合に十分な張力をかけることができ、たるみが発生し難くなるため、絵柄がずれることなく重ねて印刷することができ、所謂絵柄見当が良好となる。
[0023]
 基材層1は、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。基材層1の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、基材層1の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層1を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
[0024]
 また、基材層1は公知の接着層を形成する等の処理を施してもよい。
[0025]
 更に、基材層1は、着色剤を用いて着色されていてもよく、着色されていなくてもよい。また、基材層1は、無色透明、着色透明、及び半透明のいずれの態様であってもよい。基材層1に用いられる着色剤としては、特に制限されないが、好ましくは150℃以上の温度条件でも変色しない着色剤が挙げられ、具体的には、既存のドライカラー、ペーストカラー、マスターバッチ樹脂組成物等が挙げられる。
[0026]
 基材層1の厚みは、加飾シートの用途、成形樹脂と一体化させる成形法等に応じて適宜設定されるが、通常25~1000μm程度、50~700μm程度が挙げられる。より具体的には、本発明の加飾シートをインサート成形法に供する場合であれば、基材層1の厚みとして、通常50~1000μm程度、好ましくは100~700μm程度、更に好ましくは100~500μm程度が挙げられる。また、本発明の加飾シートを射出成形同時加飾法に供する場合であれば、基材層1の厚みとして、通常25~200μm程度、好ましくは50~200μm程度、更に好ましくは70~200μm程度が挙げられる。また、本発明の加飾シートをオーバーレイ法に供する場合であれば、基材層1の厚みとして、通常50~350μm程度、好ましくは100~300μm程度が挙げられる。なお、基材層1の厚みは、表面保護層2の凹部2aが位置している部分における厚みである。
[0027]
 図1,2に示されるように、基材層1の表面保護層2側の表面には、後述の表面保護層2に形成されている凹凸形状に対応した凹凸形状が形成されていることが好ましい。これにより、見た目による意匠感をより一層効果的に高めることができる。
[0028]
[表面保護層2]
 表面保護層2は、加飾樹脂成形品の表面を保護しつつ、凹凸形状によって、加飾樹脂成形品に見た目による優れた意匠感と、優れた耐摩耗及び成形性を付与するために設けられる層である。表面保護層2の表面には、凹凸形状が形成されている。より具体的には、表面保護層2の両面に凹凸形状が形成されている。従って、表面保護層2の基材層1側に接面している層(例えば、基材層1、必要に応じて設けられるプライマー層4、装飾層3など)の表面にも、当該凹凸形状に対応した凹凸形状が形成されている。以下に、表面保護層2が備える凹凸形状について、詳述する。
[0029]
<凹凸形状>
 前述の通り、本発明の加飾シートの表面保護層2は、厚み方向に断面を有しており、当該断面は、表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返される凹凸形状を有している。すなわち、表面保護層2は、表面側に凹凸断面構造を有しており、当該凹凸形状は、互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返されたものである。さらに言い換えると、本発明の加飾シートは、表面保護層2の表面に、一方向に連続する複数の凹部と凸部を備える凹凸形状を有している。当該凹凸形状において、凹部における表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、凸部における表面保護層の厚みT pの平均値(μm)との比(T pの平均値/T vの平均値)を測定した場合に、0.10≦T pの平均値/T vの平均値≦0.35の関係を充足することを特徴としている。加飾シートがこのような構成を備えていることにより、立体感のある見た目による優れた意匠感を奏することができ、さらに、耐摩耗性や成形性にも優れる。さらに、成形後の加飾樹脂成形品の表面保護層2について、好適に0.20≦T pの平均値/T vの平均値≦0.45の関係を充足させて、加飾樹脂成形品に対して立体感のある見た目による優れた意匠感を付与することができ、さらに、優れた耐摩耗性も付与することができる。この機序については、次のように考えることができる。すなわち、加飾シートの凹部2aにおける表面保護層2の厚みT vの平均値と、凸部2bにおける表面保護層2の厚みT pの平均値とが、T pの平均値/T vの平均値≦0.35の関係にあることにより、表面保護層2の凹部2aと凸部2bとで膜厚の差に起因する艶の差が生じ、実際の凹凸形状の高低差以上に立体感があるように見える。また、凹部2aの厚みT vと凸部2bの厚みT pとが、0.10≦T pの平均値/T vの平均値の関係にあることにより、凹部2aにおける表面保護層2の厚みT vが過剰となって延伸を伴う成形加工に供された際に表面保護層に割れを生じたり、凸部2bにおける表面保護層2の厚みT pが不足して耐摩耗性が低下したりすることが抑制される。なお、一般的には膜厚が大きいほど艶が上がることから、T pの平均値/T vの平均値≦0.35の関係を満たす、すなわち凹部2aにおける表面保護層2の膜厚が、凸部2bにおける表面保護層2より大きいことにより、凹部2aが相対的に高艶に、凸部2bが相対的に低艶に見えると考えられるが、例えば表面保護層2に艶消し剤を含む場合には逆に膜厚が大きいほど艶が下がることも想定され、この場合には凹部2aが相対的に低艶に、凸部2bが相対的に高艶に見え得る。そして、0.10≦T pの平均値/T vの平均値≦0.35の関係を充足する加飾シートが成形に供されることによって、加飾シートの表面保護層2が引き伸ばされて、凹部における表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、凸部における表面保護層の厚みT pの平均値(μm)が変化し、表面保護層の凹凸形状が0.20≦T pの平均値/T vの平均値≦0.45の関係を満たす加飾樹脂成形品が好適に形成される。加飾樹脂成形品の表面保護層の凹凸形状が、T pの平均値/T vの平均値≦0.45を充足していることにより、表面保護層2の凹部2aと凸部2bとで膜厚の差に起因する艶の差が生じ、実際の凹凸形状の高低差以上に立体感があるように見え、また、0.20≦T pの平均値/T vの平均値の関係にあることにより、凸部2bにおける表面保護層2の厚みT pが不足して耐摩耗性が低下することが好適に抑制されていると考えられる。
[0030]
 凹部の厚みT vの平均値及び凸部の厚みT pの平均値の算出にあたり、凹部の厚みT vの測定数と、凸部のT pの測定数とは、それぞれ2以上であればよいが、見た目による意匠感、さらに耐摩耗性及び成形性をより一層向上させ、加飾樹脂成形品の意匠感及び耐摩耗性を向上させる観点からは、好ましくはそれぞれ3以上、より好ましくはそれぞれ5以上が挙げられる。なお、測定数は、通常、それぞれ10以下で十分である。
[0031]
 図1の模式図を参照しながら、表面保護層2の厚み方向の断面において、表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返される凹凸形状について、凹部の厚みTvの測定数と凸部のT pの測定数とがそれぞれ3である場合を例にして具体的に説明する。図1には、3つの凹部2a1、2a2、2a3における表面保護層2の厚みT v1、T v2、T v3と、3つの凸部2b1、2b2、2b3における表面保護層2の厚みT p1、T p2、T p3を示している。凹部2a1と凸部2b1とは互いに隣接しており、凹部2a2と凸部2b2とは互いに隣接しており、凹部2a3と凸部2b3とは互いに隣接しており、これら凸部と凹部を含むパターンが繰り返されることによって、凹凸形状が形成されている。言い換えると、凹部2a1、凸部2b1、凹部2a2、凸部2b2、凹部2a3、凸部2b3が、一方向に順に存在していることによって、表面保護層2の表面の一方向に凹凸形状が形成されている。3つの凹部における表面保護層2の厚みTvの平均値(μm)は、厚みT v1、T v2、T v3の合計を3で除して(すなわち、(T v1+T v2+T v3)/3)求めることができ、3つの凸部における表面保護層2の厚みTpの平均値(μm)は、厚みT p1、T p2、T p3の合計を3で除して(すなわち、(T p1+T p2+T p3)/3)求めることができる。
[0032]
 なお、表面保護層2の凸部2bの厚みT p及び凹部2aの厚みT vは、加飾シートの厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより測定した値である。
[0033]
 測定対象とした表面保護層2の凸部2bの厚みT p(μm)の平均値としては、上記T pの平均値/T vの平均値の関係を充足すれば特に制限されないが、見た目による意匠感、さらには耐摩耗性及び成形性をより一層向上させ、加飾樹脂成形品の意匠感及び耐摩耗性を向上させる観点からは、好ましくは3μm以上、より好ましくは3~10μm程度、さらに好ましくは5~8μm程度が挙げられる。
[0034]
 また、測定対象とした表面保護層2の凹部2aの厚みT v(μm)の平均値としては、上記T pの平均値/T vの平均値の関係を充足すれば特に制限されないが、見た目による意匠感、さらには耐摩耗性及び成形性をより一層向上させ、加飾樹脂成形品の意匠感及び耐摩耗性を向上させる観点からは、好ましくは30μm以下、より好ましくは10~26μm程度、さらに好ましくは15~20μm程度が挙げられる。
[0035]
 また、測定対象とした表面保護層2の凹部2aと、当該凹部2aに隣接している凸部2bとの距離w(加飾シートの厚み方向とは垂直方向の距離)の平均としては、特に制限されないが、見た目による意匠感、さらには耐摩耗性及び成形性をより一層向上させ、加飾樹脂成形品の意匠感及び耐摩耗性を向上させる観点からは、好ましくは10~300μm程度、より好ましくは50~250μm程度、さらに好ましくは100~200μm程度が挙げられる。なお、距離wは、図1,2に示されるように、加飾シートの厚み方向の断面から測定した値である。
[0036]
 表面保護層2の凹凸形状によって加飾シートの表面に表現されている意匠としては、特に制限されない。当該凹凸形状によって表現されている意匠としては、例えば、ヘアライン模様、木目模様、幾何学模様(ドット、ストライプ、織物、カーボン等)等が挙げられる。
[0037]
 表面保護層2を構成する素材としては、特に制限されず、たとえば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、耐摩耗性を向上させる観点から、表面保護層2は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されていることが好ましい。表面保護層2の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂について、以下に詳述する。
[0038]
(電離放射線硬化性樹脂)
 表面保護層2の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層2の形成において好適に使用される。
[0039]
 電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[0040]
 また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[0041]
 上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、見た目による意匠感、さらには耐摩耗性及び成形性をより一層向上させつつ、さらに優れた三次元成形性を得る観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することも好ましい。
[0042]
(他の添加成分)
 表面保護層2には、表面保護層2に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
[0043]
(表面保護層2の形成)
 表面保護層2の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。後述の通り、本発明においては、凹凸形状が形成された基材層側の表面に表面保護層2を構成する樹脂を塗布し、樹脂を硬化させることによって、好適に製造することができる。このとき、凹凸形状に合わせて、樹脂の粘度を調整することにより、表面保護層2の「T pの平均値/T vの平均値」が上記の範囲となるように調整することができる。例えば、樹脂の粘度が低い場合、凹凸形状が形成された基材層側の表面に表面保護層2を構成する樹脂を塗布した際に、凹部に樹脂が溜まりやすく、凸部には樹脂が止まりにくい。その結果、凹部の厚みは大きくなり、凸部の厚みは小さくなる傾向がある。逆に、樹脂の粘度が高い場合、凹凸形状が形成された基材層側の表面に表面保護層を構成する樹脂を塗布した際に、凸部に樹脂が止まりやすい。その結果、凹部の厚みは小さくなり、凸部の厚みは大きくなる傾向がある。
[0044]
 本発明においては、調製された樹脂を、表面保護層の「T pの平均値/T vの平均値」が上記の範囲となるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
[0045]
 このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて表面保護層2を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70~300kV程度が挙げられる。
[0046]
 なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、表面保護層2の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと表面保護層2の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、表面保護層2の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。
[0047]
 また、照射線量は、表面保護層2の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~50kGy(1~5Mrad)の範囲で選定される。
[0048]
 更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
[0049]
 電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190~380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が挙げられる。
[0050]
 かくして形成された表面保護層2には、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。
[0051]
[装飾層3]
 装飾層3は、加飾シートに装飾性を付与する目的で、基材層1と表面保護層2の間、プライマー層4を設ける場合は、基材層1とプライマー層4の間、又は隠蔽層を設ける場合は隠蔽層と表面保護層2の間等に、必要に応じて設けられる層である。見た目の意匠感を高める観点からは、装飾層3は、表面保護層2の凹凸形状に沿って設けられていることが好ましい。
[0052]
 装飾層3は、例えば、インキ組成物を用いて所望の絵柄を形成した層とすることができる。装飾層3の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダーに、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
[0053]
 インキ組成物に使用されるバインダーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらのバインダーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[0054]
 インキ組成物に使用される着色剤としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
[0055]
 装飾層3によって形成される絵柄についても、特に制限されないが、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等が挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様であってもよく、あるいは単色無地(いわゆる全面ベタ)であってもよい。これらの絵柄は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成されるが、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成することができる。
[0056]
 装飾層3の厚みは、特に制限されないが、例えば1~30μm、好ましくは1~20μmが挙げられる。なお、装飾層3の厚みは、表面保護層2の凹部2aが位置している部分における厚みである。
[0057]
 また、装飾層3は金属薄膜層であってもよい。金属薄膜層を形成する金属としては、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。金属薄膜層の形成方法は特に制限されず、例えば上記の金属を用いた、真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。金属薄膜層は全面に設けられても、部分的に設けられてもよい。
[0058]
 装飾層3が金属薄膜層である場合、その厚みとしては、特に限定されないが、加飾シートの意匠性を高める観点などからは、光学濃度(OD値)が好ましくは0.6~1.8程度、より好ましくは0.8~1.4程度が挙げられる。なお、金属薄膜層の厚み(OD値)は、表面保護層2の凹部2aが位置している部分における厚みである。
[0059]
[プライマー層4]
 プライマー層4は、表面保護層2とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層2の基材層1側の表面に接面するように設けられる層である。プライマー層4は、表面保護層2の凹凸形状に沿って設けられている。
[0060]
 プライマー層4を構成するプライマー組成物としては、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル-ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等をバインダー樹脂とするものが好ましく用いられ、これらの樹脂は一種又は二種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル-ウレタン共重合体樹脂が好ましい。
[0061]
 ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が使用される。前記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられる。また、ウレタン樹脂とブチラール樹脂を混ぜて構成することも可能である。
[0062]
 架橋後の表面保護層2との密着性、表面保護層2を積層後の相互作用の生じ難さ、物性、成形性の面から、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせることが好ましく、特にアクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせて用いることが好ましい。
[0063]
 (メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる(メタ)アクリル樹脂が好適に用いられる。
[0064]
 (メタ)アクリル-ウレタン共重合体樹脂としては、例えばアクリル-ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が好ましい。硬化剤としては、上記の各種イソシアネートが用いられる。アクリル-ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂は所望により、アクリル/ウレタン比(質量比)を好ましくは9/1~1/9、より好ましくは8/2~2/8の範囲で調整することが好ましい。
[0065]
 プライマー層4の厚みについては、特に制限されないが、例えば0.5~20μm程度であり、好ましくは、1~5μmが挙げられる。なお、プライマー層4の厚みは、表面保護層2の凹部2aが位置している部分における厚みである。
[0066]
 プライマー層4は、プライマー組成物を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により形成される。ここで、転写コーティング法は、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層や接着層の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。
[0067]
[隠蔽層]
 隠蔽層は、基材層1の色の変化やバラツキを抑制する目的で、基材層1と表面保護層2の間、プライマー層4を設ける場合であれば基材層1とプライマー層4の間、又は装飾層3を設ける場合であれば基材層1と装飾層3の間に、必要に応じて設けられる層である。
[0068]
 隠蔽層は、基材層が加飾シートの色調や絵柄に悪影響を及ぼすのを抑制するために設けられるため、一般的には、不透明色の層として形成される。
[0069]
 隠蔽層は、バインダーに、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したインキ組成物を用いて形成される。隠蔽層を形成するインキ組成物は、前述した装飾層に使用されるものから適宜選択して使用される。
[0070]
 隠蔽層は、通常、厚みが1~20μm程度に設定され、所謂ベタ印刷層として形成されることが望ましい。なお、隠蔽層の厚みは、表面保護層2の凹部2aが位置している部分における厚みである。
[0071]
 隠蔽層は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写による印刷、インクジェット印刷等の通常の印刷方法;グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート等の通常の塗布方法等によって形成される。
[0072]
[裏面接着層]
 裏面接着層(図示しない)は、加飾樹脂成形品の成形の際に成形樹脂との密着性を高めることを目的として、基材層1の裏面(表面保護層2とは反対側の面)に、必要に応じて設けられる層である。
[0073]
 裏面接着層には、加飾樹脂成形品に使用される成形樹脂に応じて、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂が用いられる。
[0074]
 裏面接着層の形成に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[0075]
 また、裏面接着層の形成に使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[0076]
[凹凸保護フィルム層]
 本発明において、表面保護層2の凹凸形状は、凹凸保護フィルム層により保護されていてもよい。凹凸保護フィルム層は、加飾シートの真空成形や射出成形時に表面保護層2の凹凸形状の変形や消失を抑制するために設けられる層である。凹凸保護フィルム層は、表面保護層2の基材層1側とは反対側の表面に設けられる。凹凸保護フィルム層は、表面保護層2の凹凸形状を覆っている。凹凸保護フィルム層は、加飾シート(表面保護層2)から剥離可能な状態で積層されており、成形樹脂と一体成形された後に、加飾樹脂成形品から剥離される層である。
[0077]
 凹凸保護フィルム層と表面保護層2とは、直接積層されていてもよいし、これらの層の間に他の層が積層されていてもよい。凹凸保護フィルム層と表面保護層2とが直接積層されている場合には、凹凸保護フィルム層が、表面保護層2の凹凸形状を保護する凹凸保護層となる。
[0078]
 表面保護層2と凹凸保護フィルム層とが直接積層されている場合、凹凸保護フィルム層が表面保護層2の凹凸形状の凹部の少なくとも一部を埋めていることが好ましい。凹凸保護フィルム層が表面保護層2の凹凸形状の凹部を埋めていることにより、凹凸保護フィルム層による表面保護層2の凹凸形状の保護機能をより一層高めることができる。
[0079]
 凹凸保護フィルム層によって表面保護層2の凹凸形状の凹部を埋める方法としては、例えば、押出成形又は熱ラミネートにより、表面保護層2の凹凸形状の凹部を埋めるようにして、凹凸保護フィルム層を積層する方法が挙げられる。
[0080]
 凹凸保護フィルム層を構成する樹脂としては、特に制限されず、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタラート(PBT)樹脂等のポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上が含まれていてもよい。
[0081]
 凹凸保護フィルム層の厚みとしては、特に制限されないが、好ましくは5~300μm程度、より好ましくは5~100μm程度が挙げられる。
[0082]
(離型層)
 離型層は、凹凸保護フィルム層と表面保護層2との剥離性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。離型層は、表面保護層2と接するようにしても設けられる。本発明において、離型層が積層されている場合、離型層は、表面保護層2の凹凸形状の凹部を埋めている。
[0083]
 離型層を形成する素材としては、表面保護層2の凹凸形状を埋めるようにして塗布することができ、かつ、凹凸保護フィルム層と共に表面保護層2の表面から剥離できるものであれば、特に制限されないが、離型層は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により形成されていることが好ましい。これにより、真空成形や射出成形時に表面保護層2の凹凸形状の変形や消失をより一層効果的に抑制し、加飾樹脂成形品に優れた意匠感等を付与することが可能になる。
[0084]
加飾シートの製造方法
 本発明の加飾シートは、例えば、以下の工程を備える方法により製造することができる。
 基材層1の一方側から凹凸形状を形成する工程1
 基材層1の凹凸形状を形成した表面側に、表面保護層2を形成する工程2
[0085]
 例えば本発明の加飾シートが基材層1と表面保護層2のみを備えている場合を例に加飾シートの製造方法を説明すると、まず、工程1において、基材層の一方側の表面に凹凸形状を形成する。次に、工程2において、基材層1の凹凸形状を形成した表面側に、表面保護層2を形成することによって、本発明の加飾シートを製造することができる。
[0086]
 工程2においては、具体的に、凹凸形状が形成された基材層1側の表面に表面保護層2を構成する樹脂を塗布し、表面保護層の凸部2bと凹部2aの厚みを調整して、前述の0.10≦T p/T v≦0.35の関係を充足するようにして、表面保護層2を形成する。前述の通り、例えば、樹脂の粘度が低い場合、凹凸形状が形成された基材層側の表面に表面保護層2を構成する樹脂を塗布した際に、凹部に樹脂が溜まりやすく、凸部には樹脂が止まりにくい。その結果、凹部の厚みは大きくなり、凸部の厚みは小さくなる傾向がある。逆に、樹脂の粘度が高い場合、凹凸形状が形成された基材層側の表面に表面保護層を構成する樹脂を塗布した際に、凸部に樹脂が止まりやすい。その結果、凹部の厚みは小さくなり、凸部の厚みは大きくなる傾向がある。このような樹脂の特性を生かすことにより、凹凸形状の凸部の高さ、凹部と凸部の距離などに応じて、樹脂の粘度を調整し、前述の0.10≦T p/T v≦0.35の関係を充足するように調整する。
[0087]
 工程1において、基材層1の一方側から凹凸形状を形成する方法としては、特に制限されず、例えばエンボス加工を好適に採用することができる。エンボス加工は、公知の方法であり、エンボス加工対象物の表面を加熱軟化させた後、エンボス版で加圧して、エンボス版に形成された凹凸形状をエンボス加工対象物の表面に賦形し、冷却し、固定する方法である。エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機を用いることができる。表面保護層2に形成する凹凸形状に対応するエンボス版を用いることにより、表面保護層2の凹凸形状を形成することができる。
[0088]
 また、工程1において基材層1に形成する凹凸形状を調整することによっても、工程2で形成される表面保護層2の凸部2bと凹部2aの厚みを調整して、前述の0.10≦(T pの平均値/T vの平均値)≦0.35の関係を充足させることができる。例えば、基材層1に形成される凸部と凹部の勾配を急にしたり高低差を大きくしたりすることにより、工程2において塗布された樹脂が凹部に流れやすくなるため、表面保護層2の凹部2aの厚みT vを大きく、凸部2bの厚みT pを小さくすることができる。このように、工程1において基材層1に形成する凹凸形状と工程2で表面保護層2を形成するための樹脂の粘度を適宜調整することにより、前述の0.10≦(T pの平均値/T vの平均値)≦0.35の関係を充足させることができる。
[0089]
 本発明の加飾シートの製造方法において、基材層1、表面保護層2、さらに必要に応じて設けられる装飾層3、プライマー層4の詳細については、前述の通りである。
[0090]
 工程1において、基材層1の表面に凹凸形状を設ける前に、必要に応じて、前述の装飾層3、プライマー層4などを積層したのち、プライマー層4または装飾層3の上から凹凸形状を形成してもよい。装飾層3、プライマー層4などを積層する場合には、これらの層を積層した側から、エンボス加工を施すことにより、基材層1の表面に凹凸形状を形成することができ、かつ、その後に形成される表面保護層2の凹凸形状に沿った装飾層3、プライマー層4を好適に形成することができる。
[0091]
 また、工程1において、前述の装飾層3、プライマー層4などを積層する前に、基材層1の表面に凹凸形状を設け、その後に、前述の装飾層3、プライマー層4などを積層してもよい。この場合にも、凹凸形状の凹部2aが全て埋められないように、装飾層3、プライマー層4を積層することによって、基材層1の表面に凹凸形状を形成することができ、かつ、凹凸形状に沿った装飾層3、プライマー層4を形成することができる。
[0092]
2.加飾樹脂成形品
 本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、表面に位置する表面保護層とを備える加飾樹脂成形品であって、表面保護層は、厚み方向に断面を有し、断面は、表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返される凹凸形状を有し、凹部における表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、凸部における表面保護層の厚みT pの平均値(μm)との比(T pの平均値/T vの平均値)を測定した場合に、0.20≦T pの平均値/T vの平均値≦0.45の関係を充足することを特徴とする。本発明の加飾樹脂成形品は、このような表面の凹凸形状に基づいて、見た目による意匠感に優れ、さらに、優れた耐摩耗性も備えている。この機序については、前述の通り、加飾樹脂成形品の表面保護層の凹凸形状がT pの平均値/T vの平均値≦0.45の関係を充足していることにより、表面保護層2の凹部2aと凸部2bとで膜厚の差に起因する艶の差が生じ、実際の凹凸形状の高低差以上に立体感があるように見え、また、0.20≦T pの平均値/T vの平均値の関係にあることにより、凸部2bにおける表面保護層2の厚みT pが不足して耐摩耗性が低下することが好適に抑制されているものと考えられる。図3に、本発明の加飾樹脂成形品の一態様について、その断面構造を示す。なお、図3は、図2に示される積層構成を備える加飾シートと成形樹脂層5とを一体化させた加飾樹脂成形品の略図的断面図である。
[0093]
 なお、本発明の加飾樹脂成形品の表面保護層2について、凹部における表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、凸部における表面保護層の厚みT pの平均値(μm)の求め方は、本発明の加飾シートと同様である。
[0094]
 本発明の加飾樹脂成形品について、測定対象とした表面保護層2の凸部2bの厚みT p(μm)の平均値としては、上記T pの平均値/T vの平均値の関係を充足すれば特に制限されないが、見た目による意匠感、さらには耐摩耗性をより一層向上させる観点からは、好ましくは3μm以上、より好ましくは3~10μm程度、さらに好ましくは5~8μm程度が挙げられる。
[0095]
 また、本発明の加飾樹脂成形品について、測定対象とした表面保護層2の凹部2aの厚みT v(μm)の平均値としては、上記T pの平均値/T vの平均値の関係を充足すれば特に制限されないが、見た目による意匠感、さらには耐摩耗性をより一層向上させる観点からは、好ましくは30μm以下、より好ましくは10~26μm程度、さらに好ましくは15~20μm程度が挙げられる。
[0096]
 また、本発明の加飾樹脂成形品について、測定対象とした表面保護層2の凹部2aと、当該凹部2aに隣接している凸部2bとの距離w(加飾樹脂成形品の厚み方向とは垂直方向の距離)の平均としては、特に制限されないが、見た目による意匠感、さらには耐摩耗性をより一層向上させる観点からは、好ましくは10~300μm程度、より好ましくは50~250μm程度、さらに好ましくは100~200μm程度が挙げられる。なお、距離wは、図1,2に示されるように、加飾樹脂成形品の厚み方向の断面から測定した値である。
[0097]
 本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートの基材層側に、樹脂を射出することにより成形樹脂層を形成する工程を備える方法により製造することができる。具体的には、本発明の加飾シートを用いて、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の各種射出成形法により作製される。
[0098]
 本発明の加飾シートが前述の凹凸保護フィルム層を備えている場合、本発明の加飾シートを各種射出成形法に供して凹凸保護フィルム層付き加飾樹脂成形品を作製することによって、射出成形の際に凹凸形状が損なわれることを抑制するという効果を好適に発揮することができる。本発明の加飾樹脂成形品を構成する成形樹脂層5の好適な一例として、射出成形で形成された射出樹脂層が挙げられる。これらの射出成形法の中でも、好ましくはインサート成形法及び射出成形同時加飾法が挙げられる。すなわち、本発明の加飾シートは、インサート成形法または射出成形同時加飾法に好適に用いられる。
[0099]
 インサート成形法では、先ず、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートの基材層1側を一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
[0100]
 より具体的には、下記の工程を含むインサート成形法によって、本発明の加飾樹脂成形品(または凹凸保護フィルム層付き加飾樹脂成形品)が製造される。
[0101]
 本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
 真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得る工程、及び
 前記工程で得られた成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する工程。
[0102]
 インサート成形法における真空成形工程では、加飾シートを加熱して成形してもよい。この時の加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材層としてABS樹脂フィルムを用いる場合であれば、通常100~250℃程度、好ましくは130~200℃程度とすることができる。また、一体化工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180~320℃程度、好ましくは220~280℃程度とすることができる。
[0103]
 また、射出成形同時加飾法では、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に本発明の加飾シートの基材層1側を一体化させることにより、加飾樹脂成形品が製造される。
[0104]
 より具体的には、下記の工程を含む射出成形同時加飾法によって、本発明の加飾樹脂成形品(または凹凸保護フィルム層付き加飾樹脂成形品)が製造される。
[0105]
 本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、前記加飾シートの基材が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、前記可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する工程、
 成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂成形材料を射出、充填して固化させることにより、形成された樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる射出成形工程、及び
 可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す工程。
[0106]
 射出成形同時加飾法の予備成形工程において、加飾シートの加熱温度は、特に限定されず、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常70~130℃程度とすることができる。また、射出成形工程において、流動状態の樹脂の温度は、特に限定されないが、通常180~320℃程度、好ましくは220~280℃程度とすることができる。
[0107]
 また、本発明の加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形体(成形樹脂層)上に、本発明の加飾シートを貼着する加飾方法(オーバーレイ法)によっても作製することができる。
[0108]
 オーバーレイ法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本発明の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの基材層1側が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧に開放し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、本発明の加飾樹脂成形品を得ることができる。
[0109]
 オーバーレイ法においては、上記の成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。当該工程を備えるオーバーレイ法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。当該工程における加熱温度は、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、基材層としてポリエステル樹脂フィルムやアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常60~200℃程度とすることができる。
[0110]
 本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層は、用途に応じた成形樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
[0111]
 成形樹脂として使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[0112]
 また、成形樹脂として使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[0113]
 本発明の加飾シートが凹凸保護フィルム層を備えている場合には、本発明の凹凸保護フィルム層付き加飾樹脂成形品から凹凸保護フィルム層を剥離除去することにより、加飾樹脂成形品を得ることができる。また、凹凸保護フィルム層付き加飾樹脂成形品において、凹凸保護フィルム層は、加飾樹脂成形品の保護シートとしての役割を果たすので、製造後に剥離させずにそのまま保管しておき、用時に凹凸保護フィルム層を剥がしてもよい。このような態様で使用することにより、輸送時の擦れ等によって加飾樹脂成形品に傷付きが生じるのを防止することができる。
[0114]
 本発明の加飾シートは、表面保護層2の表面に凹凸形状を備えているため、加飾樹脂成形品の製造工程において、当該凹凸形状の消失を効果的に抑制する観点からは、オーバーレイ法を採用することが好ましい。また、インサート成形法や射出成形同時加飾法を採用する場合には、前述の凹凸保護フィルム層を備える加飾シートとすることが好ましい。
[0115]
 本発明の加飾樹脂成形品は、優れた意匠を有しているので、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;幅木、回縁等の造作部材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
実施例
[0116]
 以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
[0117]
[実施例1,2及び比較例1~3]
 基材層として、ABS樹脂フィルム(厚み200μm)を用いた。当該基材層上に、アクリル樹脂を含むインキ組成物を用いて、木目柄の装飾層(厚さ1μm)をグラビア印刷により形成した。装飾層上に、主剤(アクリルポリオール/ウレタン、質量比9/1)100質量部と硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート)7質量部を含む2液硬化型樹脂からなるバインダー樹脂を含むプライマー層用樹脂組成物を塗布し、乾燥させて厚みが1μmのプライマー層を形成し、基材層/装飾層/プライマー層が順に積層された積層体を得た。得られた積層体の基材層側の表面に、算術平均粗さRa0.05μmのステンレス製鏡面板、プライマー層側に版深が50μmのエンボス版(カーボン網目模様が形成される凹凸形状を備えている)を配置し、温度150℃、圧力0.5MPaの条件で、10分間、熱圧を加えた。次に、凹凸形状が形成されたプライマー層の上から、後述の組成を備える電離放射線硬化性樹脂組成物をバーコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成した。このとき、エンボス版によって形成される凹凸形状を考慮し、実施例1,2及び比較例1~3において電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度をそれぞれ調整して、凹凸形状の凹部と凸部に形成される未硬化樹脂層の厚みを調節した。次に、未硬化樹脂層に加速電圧165kV、放射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、表面保護層を設けることにより、図2に示されるような積層構成を備える各加飾シートを得た。
[0118]
 実施例1,2及び比較例1~3の加飾シートについて、厚み方向に切断し、厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。次に、表面保護層の厚み方向の断面のSEM画像において、表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返された凹凸形状を確認した。次に、当該凹凸形状の互いに隣接する凸部と凹部によって形成されたパターンが3つ連続している3箇所の凹部における表面保護層の厚みT vと、3箇所の凸部における表面保護層の厚みT pを測定した(図1の模式図を参照)。また、厚みを測定した3箇所について、T vとT pそれぞれの平均値、これらの比(T pの平均値/T vの平均値)、さらに、厚みT vの凹部と、当該凹部に隣接する厚みT pの凸部との距離w(厚み方向とは垂直方向)の平均を算出した。結果を表1に示す。
[0119]
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量;10,000):95質量部
4官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量;6,000):5質量部
[0120]
<目視による意匠感の評価1>
 上記で得られた各加飾シートの表面保護層側の表面を目視で観察し、凹凸形状によって観察される陰影等に基づいて立体的な意匠感を以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
A:加飾シートの表面に陰影が十分に表現されており、斜光を照射した際の立体的な意匠感が十分に確認できる。
C:加飾シートの表面の陰影が全体に弱いか、または斜光を照射した際に凹凸形状の凹部に照射された光によって陰影が不十分となり、立体的な意匠感が十分に得られていない。
[0121]
<耐摩耗性の評価1>
 上記で得られた各加飾シートの表面保護層側の表面について、デーバー摩耗試験(CS10、荷重500gf、400回転)を行い、試験後の外観を目視で観察して、以下の基準により耐摩耗性を評価した。結果を表1に示す。
A:表面保護層に軽微な摩耗が見られる。
B:表面保護層に摩耗が見られ、装飾層の一部が露出している。
C:表面保護層及び装飾層に摩耗が見られ、基材層が大きく露出している。
[0122]
<成形性の評価1>
 上記で得られた各加飾シートを赤外線ヒータで加熱し、シート温度が160℃になるまで軟化させた。次いで、真空成形用型(金型)を用いて真空成形を行い(最大延伸倍率100%)、金型の内部形状に成形した。真空成形後の加飾シートを冷却後、金型から離型した。成形後の加飾シートの外観を目視で観察して、以下の基準により成形性を評価した。
A:最大延伸部においても、加飾シートが金型の形状に追従しており、表面保護層に割れや白化が見られなかった。
B:最大延伸部においても、加飾シートが金型の形状に追従していたが、表面保護層に割れや白化がやや見られた。
C:最大延伸部においても、加飾シートが金型の形状に追従していたが、表面保護層に割れや白化が多く見られた。
[0123]
[表1]


[0124]
<加飾樹脂成形品の製造>
 実施例1,2及び比較例1~3の各加飾シートを用いて、以下の工程を備えるオーバーレイ法により、加飾樹脂成形品を作製した。
1.加飾シートの裏面にアクリル系粘着材を塗工して厚み40μmの粘着層を設ける。
2.チャンバー内の上側に加飾シート、下側に成形樹脂を互いに対向するように設置する。このとき、チャンバー内が、加飾シートを介して気密に分割されるようにする。
3.熱盤ヒータにより加飾シートを加熱すると共に、加飾シートの上側及び下側が同一真空圧となるように、チャンバー内を真空引きする。
4.加飾シート温度が120℃となったところで、チャンバー内の上側を大気開放し、軟化した加飾シートを成形樹脂(ABS樹脂)の形状に追随させる(最大延伸倍率100%)。
5.加飾シート温度を120℃に保ったまま20秒間保持し、粘着層を介して加飾シートと成形樹脂を接着させる。
6.チャンバー内の下側を大気開放し、加飾樹脂成形品を取り出す。
[0125]
 次に、各加飾樹脂成形品について、厚み方向に切断し、厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。次に、表面保護層の厚み方向の断面のSEM画像において、表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返された凹凸形状を確認した。次に、当該凹凸形状の互いに隣接する凸部と凹部によって形成されたパターンが3つ連続している3箇所の凹部における表面保護層の厚みT vと、3箇所の凸部における表面保護層の厚みT pを測定した(図1の模式図を参照)。また、厚みを測定した3箇所について、T vとT pそれぞれの平均値、及びこれらの比(T pの平均値/T vの平均値)を算出した。結果を表2に示す。
[0126]
<目視による意匠感の評価2>
 上記で得られた各加飾樹脂成形品の表面保護層側の表面を目視で観察し、凹凸形状によって観察される陰影等に基づいて立体的な意匠感を以下の基準により評価した。結果を表2に示す。
A:加飾樹脂成形品の表面に陰影が十分に表現されており、斜光を照射した際の立体的な意匠感が十分に確認できる。
C:加飾樹脂成形品の表面の陰影が全体に弱いか、または斜光を照射した際に凹凸形状の凹部に照射された光によって陰影が不十分となり、立体的な意匠感が十分に得られていない。
[0127]
<耐摩耗性の評価2>
 上記で得られた各加飾樹脂成形品の表面保護層側の表面について、デーバー摩耗試験(CS10、荷重500gf、400回転)を行い、試験後の外観を目視で観察して、以下の基準により耐摩耗性を評価した。結果を表2に示す。
A:表面保護層に軽微な摩耗が見られる。
B:表面保護層に摩耗が見られ、装飾層の一部が露出している。
C:表面保護層及び装飾層に摩耗が見られ、基材層が大きく露出している。
[0128]
<成形性の評価2>
 上記で得られた各加飾樹脂成形品の外観を目視で観察して、以下の基準により、オーバーレイ法による加飾シートの成形性を評価した。結果を表2に示す。
A:最大延伸部においても、加飾シートが成形樹脂の形状に追従しており、表面保護層に割れや白化が見られなかった。
B:最大延伸部においても、加飾シートが成形樹脂の形状に追従していたが、表面保護層に割れや白化がやや見られた。
C:最大延伸部においても、加飾シートが成形樹脂の形状に追従していたが、表面保護層に割れや白化が多く見られた。
[0129]
[表2]


符号の説明

[0130]
1 基材層
2 表面保護層
2a 凹部
2b 凸部
3 装飾層
4 プライマー層
5 成形樹脂層
v 表面保護層の凹部の厚み
p 表面保護層の凸部の厚み

請求の範囲

[請求項1]
 少なくとも、基材層と、表面に位置する表面保護層とを備える加飾シートであって、
 前記表面保護層は、厚み方向に断面を有し、
 前記断面は、前記表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返される凹凸形状を有し、
 前記凹部における前記表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、前記凸部における前記表面保護層の厚みT pの平均値(μm)との比(T pの平均値/T vの平均値)を測定した場合に、0.10≦T pの平均値/T vの平均値≦0.35の関係を充足する、加飾シート。
[請求項2]
 前記表面保護層は、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である、請求項1に記載の加飾シート。
[請求項3]
 前記T p(μm)の平均値が、3μm以上である、請求項1又は2に記載の加飾シート。
[請求項4]
 前記T v(μm)の平均値が、30μm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の加飾シート。
[請求項5]
 プライマー層をさらに備えており、
 前記プライマー層は、前記表面保護層の前記基材層側の表面に接面している、請求項1~4のいずれかに記載の加飾シート。
[請求項6]
 前記表面保護層と前記基材層との間に装飾層をさらに備えている、請求項1~5のいずれかに記載の加飾シート。
[請求項7]
 請求項1~6のいずれかに記載の加飾シートの製造方法であって、
 前記基材層の一方側から凹凸形状を形成する工程と、
 前記基材層の前記凹凸形状を形成した表面側に、前記表面保護層を形成する工程と、
を備える、加飾シートの製造方法。
[請求項8]
 少なくとも、成形樹脂層と、基材層と、表面に位置する表面保護層とを備える加飾樹脂成形品であって、
 前記表面保護層は、厚み方向に断面を有し、
 前記断面は、前記表面側に互いに隣接する凸部と凹部とを含むパターンが繰り返される凹凸形状を有し、
 前記凹部における前記表面保護層の厚みT vの平均値(μm)と、前記凸部における前記表面保護層の厚みT pの平均値(μm)との比(T pの平均値/T vの平均値)を測定した場合に、0.20≦T pの平均値/T vの平均値≦0.45の関係を充足する、加飾樹脂成形品。
[請求項9]
 請求項1~6のいずれかに記載の加飾シートの前記基材層側に、樹脂を射出することにより成形樹脂層を積層する工程を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]