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1. (WO2018181773) 中性子捕捉療法用寝台、及び中性子捕捉療法システム
Document

明 細 書

発明の名称 中性子捕捉療法用寝台、及び中性子捕捉療法システム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013  

発明の効果

0014  

図面の簡単な説明

0015  

発明を実施するための形態

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064  

符号の説明

0065  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 中性子捕捉療法用寝台、及び中性子捕捉療法システム

技術分野

[0001]
 本発明は、中性子捕捉療法用寝台及び中性子捕捉療法システムに関する。

背景技術

[0002]
 放射線を用いた治療方法として、中性子線を照射してがん細胞を死滅させる中性子捕捉療法であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)が知られている。ホウ素中性子捕捉療法では、がん細胞に予め取り込ませておいたホウ素に中性子線を照射し、これにより生じる重荷電粒子の飛散によってがん細胞を選択的に破壊する。このような中性子捕捉療法では、中性子捕捉療法用寝台に載置した患者に中性子線を照射するのが一般的である。このような中性子捕捉療法に用いられる中性子捕捉療法用寝台として、特許文献1に記載されたものが知られている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2016-083288号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 中性子捕捉療法においては、他の放射線治療と比較して、患者に対する放射線(中性子捕捉療法の場合は中性子線)の照射時間が長い。具体的には、他の放射線治療では放射線の照射時間が数分程度であるのに対し、中性子捕捉療法では中性子線の照射時間が1時間程度である。従って、中性子捕捉療法用寝台に載置された患者の姿勢によっては、患者が無理な姿勢を長時間継続する必要性が生じる。従って、患者が姿勢を維持し易い中性子捕捉療法用寝台が要請されていた。
[0005]
 そこで本発明は、患者が姿勢を維持し易い中性子捕捉療法用寝台及び中性子捕捉療法システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 上記課題を解決するため、本発明の一形態に係る中性子捕捉療法用寝台は、中性子線が照射される患者を載置する中性子捕捉療法用寝台であって、土台上に設けられ、患者が載置される載置部と、土台上に設けられるフレームと、フレームに取り付けられ、患者の後頭部、顎、背中、及び腰の少なくとも何れかを押さえる押さえ部と、を備える。
[0007]
 中性子捕捉療法用寝台は、患者が載置される載置部に加えて、フレーム、及びフレームに取り付けられた押さえ部を備えている。フレームに取り付けられる押さえ部は、患者の後頭部、顎、背中、及び腰の少なくとも何れかを押さえることができる。従って、押さえ部は、載置部に載置された患者の姿勢に応じ、後頭部、顎、背中、及び腰の少なくとも何れかを押さえることができる。このように、単に患者を載置部に載置するのみならず、体の部位のうち、姿勢維持の際の負担を低減できる部位を押さえることで、患者が姿勢を維持し易くなる。
[0008]
 中性子捕捉療法用寝台は、押さえ部を移動可能に支持するアームを更に備えてよい。これにより、患者の姿勢に合わせて、アームで押さえ部の位置を細かく調整することができる。
[0009]
 中性子捕捉療法用寝台において、一対のフレームが設けられ、一対のフレームの間には垂直壁が設けられ、垂直壁には貫通孔が形成されていてよい。フレームの間に設けられた垂直壁を照射室の壁に沿って配置させることで、患者を中性子線の出射口付近に近づけることができる。このとき垂直壁に形成された貫通孔と出射口の位置を合わせることにより、当該貫通孔を介して患者の患部付近を出射口に近接させることができる。
[0010]
 中性子捕捉療法用寝台において、垂直壁は、載置部と対向する面が載置部から離れる方向へ向けて凹む凹部を有してよい。患者の頭部の正面側へ中性子線の照射が行われる場合、患者は、垂直壁の貫通孔に顔を入れる、または貫通孔の先端側に顔を配置する。この際、患者は脚を垂直壁の凹部に配置することができる。従って、患者が楽な姿勢をとることができる。
[0011]
 本発明の一形態に係る中性子捕捉療法システムは、中性子線を患者へ照射する中性子捕捉療法システムであって、遮蔽壁に覆われた照射室と、上述の中性子捕捉療法用寝台と、照射室内で中性子捕捉療法用寝台に載置された患者へ中性子線を照射する中性子線照射部と、を備え、中性子線照射部は、中性子線の照射野を規定するためのコリメータを挿入可能な孔部が形成された壁体を有し、中性子捕捉療法用寝台の貫通孔は、垂直方向における位置が、壁体の孔部の垂直方向における位置と同じである。
[0012]
 中性子捕捉療法システムにおいて、中性子捕捉療法用寝台の貫通孔は、垂直方向における位置が、壁体の孔部の垂直方向における位置と同じである。従って、上述の中性子捕捉療法用寝台を用いた場合であっても、中性子線照射部から患者への中性子線の照射を好適に行うことができる。
[0013]
 中性子捕捉療法システムにおいて、中性子捕捉療法用寝台の貫通孔は、垂直方向における中心の位置が、壁体の孔部の垂直方向における中心の位置と同じであってよい。これにより、壁体の孔部を通過した中性子線が、好適に中性子捕捉療法用寝台の貫通孔を通過して患者に照射される。

発明の効果

[0014]
 本発明によれば、患者が姿勢を維持し易い中性子捕捉療法用寝台を提供できる。

図面の簡単な説明

[0015]
[図1] 本実施形態の中性子捕捉療法用寝台を備えた中性子捕捉療法システムの構成を示す図である。
[図2] 図1の中性子捕捉療法システムにおける中性子線照射部近傍を示す図である。
[図3] 中性子捕捉療法用寝台をY軸方向の負側から見た図である。
[図4] 図3に示すIV-IV線に沿った断面図である。
[図5] 中性子捕捉療法用寝台をY軸方向の正側から見た図である。
[図6] 後頭部の押さえ部をZ軸方向の正側から見た図である。
[図7] 後頭部の押さえ部をZ軸方向の正側から見た図である。
[図8] 図3とは患者の姿勢が異なる場合の中性子捕捉療法用寝台を示す図である。
[図9] 図4とは患者の姿勢が異なる場合の中性子捕捉療法用寝台を示す図である。

発明を実施するための形態

[0016]
 以下、添付図面を参照しながら本発明に係る中性子捕捉療法用寝台について説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
[0017]
 まず、図1及び図2を用いて、本実施形態に係る中性子捕捉療法用寝台を備えた中性子捕捉療法システムの概要を説明する。図1及び図2に示すように、ホウ素中性子捕捉療法を用いたがん治療を行う中性子捕捉療法システム1は、ホウ素( 10B)を含む薬剤が投与された患者S(被照射体)のホウ素が集積した部位に中性子線を照射してがん治療を行うシステムである。中性子捕捉療法システム1は、中性子捕捉療法用寝台3に拘束された患者Sに中性子線Nを照射して患者Sのがん治療を行う照射室2を有している。
[0018]
 患者Sを中性子捕捉療法用寝台3に拘束する等の準備作業は、照射室2外の準備室(不図示)で実施され、患者Sが拘束された中性子捕捉療法用寝台3が準備室から照射室2に移動される。その後、中性子捕捉療法用寝台3は、照射室2の出射口の前の所定の位置に設置される。中性子捕捉療法用寝台3の構成の詳細については後述する。また、中性子捕捉療法システム1は、患者Sが載置される中性子捕捉療法用寝台3と、治療用の中性子線Nを発生させる中性子線発生部10と、照射室2内で中性子捕捉療法用寝台3に載置されている患者Sに対して中性子線Nを照射する中性子線照射部20と、を備えている。なお、照射室2は遮蔽壁Wに覆われているが、患者や作業者等が通過するために通路及び扉45が設けられている。
[0019]
 中性子線発生部10は、荷電粒子を加速して荷電粒子線Lを出射する加速器11と、加速器11が出射した荷電粒子線Lを輸送するビーム輸送路12と、荷電粒子線Lを走査してターゲット8に対する荷電粒子線Lの照射位置の制御を行う荷電粒子線走査部13と、荷電粒子線Lが照射されることで核反応を起こして中性子線Nを発生させるターゲット8と、荷電粒子線Lの電流を測定する電流モニタ16と、を備えている。加速器11及びビーム輸送路12は、略長方形状を成す荷電粒子線生成室14の室内に配置されており、この荷電粒子線生成室14は、コンクリート製の遮蔽壁Wで覆われた空間である。なお、荷電粒子線生成室14には、メンテナンスのための作業者が通過するための通路及び扉49が設けられている。なお、荷電粒子線生成室14は略長方形状に限定されず、他の形状であってもよい。例えば、加速器からターゲットまでの経路がL字状の場合には、荷電粒子線生成室14もL字状にしてよい。また、荷電粒子線走査部13は例えば荷電粒子線Lのターゲット8に対する照射位置を制御し、電流モニタ16はターゲット8に照射される荷電粒子線Lの電流を測定する。
[0020]
 加速器11は、陽子等の荷電粒子を加速して陽子線等の荷電粒子線Lを生成するものである。本実施形態では、加速器11としてサイクロトロンが採用されている。なお、加速器11として、サイクロトロンに代えて、他の円形加速器(例えば、シンクロトロン)、線形加速器、又は静電加速器等の他の加速器を用いてもよい。
[0021]
 ビーム輸送路12の一端(上流側の端部)は、加速器11に接続されている。ビーム輸送路12は、荷電粒子線Lを調整するビーム調整部15を備えている。ビーム調整部15は、荷電粒子線Lの軸を調整する水平型ステアリング電磁石及び水平垂直型ステアリング電磁石と、荷電粒子線Lの発散を抑制する四重極電磁石と、荷電粒子線Lを整形する四方スリット等を有している。なお、ビーム輸送路12は荷電粒子線Lを輸送する機能を有していればよく、ビーム調整部15は無くてもよい。
[0022]
 ビーム輸送路12によって輸送された荷電粒子線Lは、荷電粒子線走査部13によって照射位置を制御されてターゲット8に照射される。なお、荷電粒子線走査部13を省略して、常にターゲット8の同じ箇所に荷電粒子線Lを照射するようにしてもよい。
[0023]
 ターゲット8は、荷電粒子線Lが照射されることによって中性子線Nを発生させる。ターゲット8は、例えば、ベリリウム(Be)、リチウム(Li)、タンタル(Ta)又はタングステン(W)で構成されており、板状を成している。ただし、ターゲットは板状に限らず、液状等であってもよい。ターゲット8が発生させた中性子線Nは、中性子線照射部20によって照射室2内の患者Sに向かって照射される。
[0024]
 中性子線照射部20は、ターゲット8から出射された中性子線Nを減速させる減速材21と、中性子線N及びガンマ線等の放射線が外部に放出されないように遮蔽する遮蔽体22とを備えており、この減速材21と遮蔽体22とでモデレータが構成されている。
[0025]
 減速材21は例えば異なる複数の材料から成る積層構造とされており、減速材21の材料は荷電粒子線Lのエネルギー等の諸条件によって適宜選択される。具体的には、例えば加速器11からの出力が30MeVの陽子線でありターゲット8としてベリリウムターゲットを用いる場合には、減速材21の材料は鉛、鉄、アルミニウム又はフッ化カルシウムとすることができる。
[0026]
 遮蔽体22は、減速材21を囲むように設けられており、中性子線N、及び中性子線Nの発生に伴って生じたガンマ線等の放射線が遮蔽体22の外部に放出されないように遮蔽する機能を有する。遮蔽体22は、荷電粒子線生成室14と照射室2とを隔てる壁W1に少なくともその一部が埋め込まれていてもよく、埋め込まれていなくてもよい。また、照射室2と遮蔽体22との間には、照射室2の側壁面の一部を成す壁体23が設けられている。壁体23には、中性子線Nの出力口となるコリメータ取付部23aが設けられている。このコリメータ取付部23aには、中性子線Nの照射野を規定するためのコリメータ31が固定されている。なお、コリメータ取付部23aを壁体23に設けずに、後述する中性子捕捉療法用寝台3にコリメータ31を取り付けてもよい。
[0027]
 以上の中性子線照射部20では、荷電粒子線Lがターゲット8に照射され、これに伴いターゲット8が中性子線Nを発生させる。ターゲット8によって発生した中性子線Nは、減速材21内を通過している際に減速され、減速材21から出射された中性子線Nは、コリメータ31を通過して中性子捕捉療法用寝台3に載置されている患者Sに対して照射される。ここで、中性子線Nとしては、比較的エネルギーが低い熱中性子線又は熱外中性子線を用いることができる。
[0028]
 なお、構造を説明するために、図2に示すように、中性子捕捉療法システム1に対してXYZ座標を設定する。Y軸方向は中性子線Nの照射方向(ターゲット8からコリメータ取付部23aへ向かう方向)を示す。また、Y軸方向のうち、中性子線Nの照射方向における下流側を「負」とし、上流側を「正」とする。X軸方向は地面に対して水平な面内のY軸に対して垂直な方向を示す。当該X軸方向の一方側を「負」とし、他方側を「正」とする。Z軸方向は地面に対して垂直な方向を示す。Z軸方向のうち、上側を「正」とし、下側を「負」とする。
[0029]
 次に、図3~図5を参照して、本実施形態に係る中性子捕捉療法用寝台3の詳細な構成について説明する。図3は、中性子捕捉療法用寝台をY軸方向の正側から見た図である。図4は、図3に示すIV-IV線に沿った断面図である。図5は、中性子捕捉療法用寝台をY軸方向の負側から見た図である。なお、図3及び図4では、中性子捕捉療法用寝台3に載置された患者Sが示されている。図5では、中性子捕捉療法用寝台3の構成を説明するために、患者Sを省略している。また、図5では、構造を説明するために、フレームを省略している。
[0030]
 図3~5に示すように、中性子捕捉療法用寝台3は、土台41と、載置部42と、一対のフレーム43A,43Bと、ブラケット44と、アーム46と、押さえ部47と、を備える。
[0031]
 土台41は、照射室2の床面F上に配置される部材であり、中性子捕捉療法用寝台3の各構成要素を下方から支持するためのものである。土台41は、扁平な直方体状をなしており、上面41aに各構成要素が設けられる。土台41の下面には、車輪(不図示)などの走行手段が設けられていてよい。土台41は、当該走行手段によって、床面F上を移動することができる。
[0032]
 載置部42は、土台41上に設けられ、患者Sが載置される部材である。載置部42は、患者Sが腰掛けるための椅子51と、椅子51を支持する支持部52と、椅子51及び支持部52をY軸方向へ移動させるためのガイド部53と、を備えている。
[0033]
 ガイド部53は、土台41の上面41aにおける、X軸方向の中央位置に配置されている。ガイド部53は、当該位置にて、Y軸方向に沿って延在している。ガイド部53は、土台41のY軸方向の正側の端部付近まで延びている。ガイド部53のY軸方向の負側の端部は、土台41のY軸方向の負側の端部付近まで延びている。支持部52は、ガイド部53の上面に配置されている。支持部52のY軸方向における長さは、ガイド部53よりも短い。支持部52及びガイド部53のX軸方向における幅は、椅子51に座った状態の患者Sが、跨ぐことができる程度の幅に設定される。支持部52は、ガイド部53によってガイドされることにより、Y軸方向に往復移動することができる。
[0034]
 支持部52の上面側には、椅子51が設けられる。椅子51は、Z軸周りに回転可能である。例えば、図4に示すように患者Sの体がY軸方向の正側を向いている状態を基準とした場合、患者Sの体がX軸方向の正側へ向いているときは、椅子51をX軸方向の正側へ90°回転させることができる(図8参照)。あるいは、患者Sの体がY軸方向の負側へ向いているときは、椅子51をY軸方向の負側へ180°回転させることができる(図9参照)。
[0035]
 一対のフレーム43A,43Bは、土台41上に設けられ、Z軸方向、すなわち上下方向に延びている。具体的には、フレーム43A,43Bは、土台41の上面41aのうち、Y方向の正側の端部に設けられている。また、フレーム43Aは、土台41の上面41aのうち、X軸方向の負側の端部に配置されている。フレーム43Bは、土台41の上面41aのうち、X軸方向の正側の端部に配置されている。フレーム43A,43Bは、X軸方向において互いに対向する側面43Aa,43Baを有している。
[0036]
 一対のフレーム43A,43Bの間には、垂直壁56が設けられる。なお、垂直壁56は、照射室2の壁体23に接する、又は近接するように配置される。また、垂直壁56には、貫通孔57が形成される。貫通孔57は壁体23のうち、コリメータ31の開口部に対応する位置に形成される。すなわち、コリメータ31の中心軸線と、貫通孔57の中心軸線が一致するように形成される。ここで、壁体23には、コリメータ31を挿入可能な孔部27が形成されている。孔部27は、壁体23をY軸方向に貫通する貫通孔である。孔部27は、上述のコリメータ取付部23aを構成する。孔部27は、中心軸線CLを基準とした円形の形状を有している。中性子捕捉療法用寝台3の貫通孔57は、垂直方向における位置が、壁体23の孔部27の垂直方向における位置と同じである。貫通孔57は、円形の形状を有している。貫通孔57は、垂直方向における中心の位置が、壁体23の孔部27の垂直方向における中心の位置と同じである。すなわち、貫通孔57は、中心軸線CLを基準とした形状を有している。なお、貫通孔57と孔部27の中心は完全に一致していなくともよく、例えばY軸方向から見たときに孔部27の範囲内に貫通孔57が含まれるような場合も、貫通孔57の垂直方向における位置が、壁体23の孔部27の垂直方向における位置と同じと言える。なお、貫通孔57及び孔部27の形状は、円形に限られず、楕円、長円、多角形状などであってもよい。
[0037]
 垂直壁56は、載置部42と対向する面56aが載置部42から離れる方向へ向けて凹む凹部55を有している。凹部55の面56aは、当該凹部55の上方の面56bよりも、Y軸方向の正側に配置されている。凹部55は、貫通孔57よりも低い位置に形成されている。凹部55は、土台41の上面41aから、載置部42よりも高い位置まで延びている。凹部55は、載置部42の椅子51に患者が座ったときに、脚を配置することができる空間となる。
[0038]
 また、フレーム43Aの上端部とフレーム43Bの上端部との間には、X軸方向に延びて各上端部同士を連結する上部フレーム62が設けられる。フレーム43A,43Bの上端部には、Y軸方向に延びる上部フレーム61が設けられている。また、上部フレーム61のY軸方向の負側の端部から、下方へ向けて延びる後部フレーム63が形成される。当該後部フレーム63には、例えば手摺などが適宜設けられてもよい。
[0039]
 ブラケット44は、フレーム43A,43Bの側面43Aa,43Baに設けられる。ブラケット44は、当該側面43Aa,43Baに沿ってZ軸方向、すなわち上下にスライド可能である。また、ブラケット44は、アーム46を取り外し可能に連結するための機構が設けられている。なお、アーム46は、押さえ部47を取り外し可能に連結するためのブラケットも有している。
[0040]
 具体的には、ブラケット44として、フレーム43A,43Bに対して、上から順に、ブラケット71A,71Bと、ブラケット72A,72Bと、ブラケット73A,73Bと、ブラケット74A,74Bと、が設けられている。なお、フレーム43A,43Bの側面43Aa,43Baは、Y軸方向に二つ分のブラケット44を並べることが可能である。具体的には、ブラケット71A,71B及びブラケット72A,72Aは、側面43Aa,43BaのうちのY軸方向の負側に設けられ、ブラケット73A,73B及びブラケット74A,74Bは、側面43Aa,43BaのうちのY軸方向の正側に設けられる(図6参照)。これにより、ブラケット71A,71B,72A,72Bと、ブラケット73A,73B,74A,74Bとは、上下方向に移動させたときに互いに干渉しないので、上下方向における位置関係を変更することができる。すなわち、図4及び図5では、ブラケット71A,71B,72A,72Bが、ブラケット73A,73B,74A,74Bよりも上側に配置されているが、下側に配置されるように移動させてもよい。
[0041]
 押さえ部47は、アーム46を介してフレーム43A,43Bに取り付けられ、患者Sの後頭部、顎、背中、及び腰の少なくとも何れかを押さえる部材である。本実施形態では、押さえ部47として、後頭部を押さえる押さえ部81と、顎を押さえる押さえ部82と、肘を押さえる押さえ部83と、背中又は腰を押さえる押さえ部84と、が設けられている。各押さえ部81,83,84は、X軸方向に延びる樹脂材などによって構成される。顎を押さえる押さえ部82は、顎の部分を載置する樹脂材などによって構成される。各押さえ部81,82,83,84は、接触面にて患者Sと接触する。なお、本実施形態における「押さえ」とは体の部位を支持できればよく、積極的に押さえ付けている必要はない。例えば、顎を押さえる押さえ部82は、顎を支持できていればよく、積極的に顎に圧力を付与していなくともよい。
[0042]
 アーム46は、押さえ部47を移動可能に支持する部材である。アーム46の一端部はブラケット44に取り付けられ、アーム46の他端部には押さえ部47が取り付けられる。また、アーム46の一端部は、ブラケット44に対する取付角度を調整可能である。アーム46の他端部は、押さえ部47の取付角度を調整可能である。これによって、アームは、各取付角度を調整することで、押さえ部47を移動させて、患者Sに対する押さえ部47の位置及び向きを調整することができる。また、アーム46自体に伸縮機構、曲げ機構などを設けてもよい。また、アーム46として、フレキシブルアームやバンドなど、変形自在な部材を適用してもよい。
[0043]
 本実施形態では、アーム46として、後頭部を押さえる押さえ部81を支持するアーム91A,91Bと、顎を押さえる押さえ部82を支持するアーム92と、肘を押さえる押さえ部83を支持するアーム93A,93Bと、背中又は腰を押さえる押さえ部84を支持するアーム94A,94Bと、が設けられている。アーム91A,91Bの一端部はブラケット71A,71Bに取り付けられる。アーム91A,91Bの他端部には後頭部を押さえる押さえ部81の端部が取り付けられる。アーム92の一端部はブラケット72A,72Bの何れかに取り付けられる。アーム92の他端部には顎を押さえる押さえ部82が取り付けられる。アーム93A,93Bの一端部はブラケット73A,73Bに取り付けられる。アーム93A,93Bの他端部には肘を押さえる押さえ部83の端部が取り付けられる。アーム94A,94Bの一端部はブラケット74A,74Bに取り付けられる。アーム94A,94Bの他端部には背中又は腰を押さえる押さえ部84の端部が取り付けられる。なお、各アームの形状、長さ、屈曲態様は、取り付ける押さえ部の形状や大きさに従って、それぞれ異なっているが、図に示すものに特に限定されるものではない。
[0044]
 次に、患者Sの姿勢に応じた押さえ部47の位置などについて説明する。
[0045]
 例えば、図3及び図4に示すように、患者Sが椅子51に座って体及び頭をY軸方向の正負側へ向けている場合について説明する。この状態では、患者Sの顔は、垂直壁56の貫通孔57の手前、すなわち中性子線Nの出射口たるコリメータ31の開口部分の手前に配置される。従って、患者の体も垂直壁56に近接した位置で前かがみになった状態で維持される。このとき、載置部42では、患者Sの体格に合わせて、椅子51のY軸方向の位置、及び高さが調整される。
[0046]
 顎を押さえる押さえ部82は、貫通孔57の下側の縁部付近に配置され、顎を押さえることで、患者Sの頭の位置決めを行う(図6も合わせて参照)。このとき、顎を押さえる押さえ部82が所望の位置に配置されるように、ブラケット72Bの上下方向における位置、及びアーム92の長さや角度が調整される。後頭部を押さえる押さえ部81は、貫通孔57に対応する位置であって、当該貫通孔57から患者Sの頭のサイズに合わせてY軸方向の負側に離間している。これにより、押さえ部81は患者Sの後頭部を押さえ、患者Sの頭が各方向へ移動することを防止する。このとき、後頭部を押さえる押さえ部81が所望の位置に配置されるように、ブラケット71A,71Bの上下方向における位置、及びアーム91の長さや角度が調整される。
[0047]
 ここで、図6を参照して、後頭部を押さえる押さえ部81についてより詳細に説明する。図6に示すように、押さえ部81は、アーム91A,91Bに支持され、X軸方向に延びるレール部材81aと、レール部材81aに沿ってX軸方向へ移動可能なブラケット81bと、後頭部を押さえるパッド81cと、ブラケット81bに接続されてパッド81cの位置調整を行うアーム81dと、を備える。また、ブラケット81b、パッド81c及びアーム81dの組は、一対設けられる。これにより、X軸方向における正側及び負側の両方から、患者Sの後頭部を挟み込むように押さえることができる。なお、押さえ部81の構成は、図6に示すものに限られず、例えば、レール部材81aに更にY軸方向へ延びるレール部材を設け、当該レール部材に沿ってパッド81cを移動させてもよい。
[0048]
 図3及び図4に戻り、肘を押さえる押さえ部83は、貫通孔57から所定距離、下側に離間した位置に配置されている。また、押さえ部83の接触面が上側を向いている。これにより、押さえ部83は患者Sの肘を押さえ、患者Sが体重を預けることを可能とする。また、患者Sは、肘が押さえ部83で押さえられることで、前かがみになったときの体重を押さえ部に預けることができる。このとき、肘を押さえる押さえ部83が所望の位置に配置されるように、ブラケット73A,73Bの上下方向における位置、及びアーム93A,93Bの長さや角度が調整される。
[0049]
 背中又は腰を押さえる押さえ部84(ここでは腰を押さえている)は、椅子51から患者Sの体格に合わせて上方へ離間した位置に配置されている。また、前かがみになっている患者Sの腰の屈曲態様に合わせて、接触面の角度が調整されている。これにより、押さえ部84は患者Sの腰を押さえ、患者Sの体が各方向へ移動することを防止する。このとき、腰を押さえる押さえ部84が所望の位置に配置されるように、ブラケット74A,74Bの上下方向における位置、及びアーム94A,94Bの長さや角度が調整される。なお、患者Sが椅子51に座った後に、ブラケット74A,74Bと押さえ部84とをアーム94A,94Bで接続する。このとき、アーム94A,94Bに変えてバンドなどを用いてもよい。
[0050]
 例えば、図8に示すように、患者Sが椅子51に座って体及び顔をX軸方向の正側へ向けている場合について説明する。この状態では、患者Sの側頭部は、垂直壁56の貫通孔57の手前、すなわち中性子線Nの出射口たるコリメータ31の開口部分の手前に配置される。従って、患者の体もX軸方向を向いた状態で、垂直壁56に向けて体全体を傾けるようにした状態で維持される。このとき、載置部42では、椅子51の向きがX軸方向の正側へ向けられると共に、Y軸方向の位置、及び高さが調整される。当該状態では、患者Sの姿勢に合わせて、顎を押さえる押さえ部82、後頭部を押さえる押さえ部81、及び肘を押さえる押さえ部83の位置が調整される。なお、腰を押さえる押さえ部84は取り外される。なお、何れかの押さえ部を取り外す場合は、アームごとブラケットから外してもよく、アームをブラケットに残してもよく、アーム及びブラケットをフレームから外してもよい。
[0051]
 また、図7に示すように、患者Sの顔がX軸方向の正側を向いている。従って、一対のパッド81cは、患者Sの側頭部付近を押さえる。また、顎の押さえ部82の位置も、微調整される。なお、患者Sの顔は、袋状の部材95で覆われることで固定されてもよい。具体的には、袋状の部材95で頭全体及び貫通孔57を覆い、袋状の部材95の縁部を貫通孔57付近の垂直壁56に固定する。この場合、袋状の部材95の外から、押さえ部82で患者Sの顎を押さえてよい。
[0052]
 なお、顔の向きを図7に示すように、X軸方向の正側とし、体の向きを図4に示すように、Y軸方向の正側としてよい。この場合は、患者Sの頭部に対しては図7の押さえ構造を適用し、体に対しては図4の押さえ構造を適用してよい。
[0053]
 例えば、図9に示すように、患者Sが椅子51に座って体及び顔をY軸方向の負側へ向けている場合について説明する。この状態では、患者Sの後頭部は、垂直壁56の貫通孔57の手前、すなわち中性子線Nの出射口たるコリメータ31の開口部分の手前に配置される。従って、患者Sの上体は、椅子51に腰掛けながら全体として背中側にもたれるような姿勢となる。このとき、載置部42では、椅子51の向きがY軸方向の負側へ向けられると共に、Y軸方向の位置、及び高さが調整される。また、患者Sの脚を載せるための、支持台96が用いられてよい。支持台96は、ガイド部53の側面に設けられたアーム97で移動可能に支持される。当該状態では、患者Sの姿勢に合わせて、後頭部を押さえる押さえ部81、及び背中を押さえる押さえ部84の位置が調整される。なお、顎を押さえる押さえ部81及び肘を押さえる押さえ部83は取り外される。
[0054]
 次に、中性子捕捉療法用寝台3の作用・効果について説明する。
[0055]
 本実施形態に係る中性子捕捉療法用寝台3は、患者Sが載置される載置部42に加えて、フレーム43A,43B、及びフレーム43A,43Bに取り付けられた押さえ部47を備えている。フレーム43A,43Bに取り付けられる押さえ部47は、患者Sの後頭部、顎、背中、及び腰の少なくとも何れかを押さえることができる。従って、押さえ部47は、載置部42に載置された患者Sの姿勢に応じ、後頭部、顎、背中、及び腰の少なくとも何れかを押さえることができる。このように、単に患者Sを載置部42に載置するのみならず、体の部位のうち、姿勢維持の際の負担を低減できる部位を押さえることで、患者Sが姿勢を維持し易くなる。
[0056]
 中性子捕捉療法用寝台3は、押さえ部47を移動可能に支持するアーム46を更に備えている。これにより、患者Sの姿勢に合わせて、アーム46で押さえ部47の位置を細かく調整することができる。
[0057]
 中性子捕捉療法用寝台3において、一対のフレーム43A,43Bが設けられ、一対のフレーム43A,43Bの間には垂直壁56が設けられ、垂直壁56には貫通孔57が形成されている。フレーム43A,43Bの間に設けられた垂直壁56を照射室2の壁体23に沿って配置させることで、患者Sを中性子線Nの出射口であるコリメータ31付近に近づけることができる。このとき垂直壁56に形成された貫通孔57と出射口であるコリメータ31の位置を合わせることにより、当該貫通孔57を介して患者Sの患部付近を出射口であるコリメータ31に近接させることができる。
[0058]
 中性子捕捉療法用寝台3において、垂直壁56は、載置部42と対向する面57aが載置部42から離れる方向へ向けて凹む凹部55を有してよい。患者の頭部の正面側へ中性子線の照射が行われる場合、患者は、垂直壁56の貫通孔57に顔を入れる、または貫通孔57の先端側に顔を配置する。この際、患者の姿勢を安定させるためには、患者の脚も顔と同じ方向へ突き出させる必要がある。すなわち、脚を突き出さないと、患者が頭部のみ前のめりとなってしまい、姿勢を維持するのが困難となるためである。ここで、例えば垂直壁56の面56bが上面41aまで延びている場合、当該面56bと干渉することで、脚を突出させ難くなる。一方、本実施形態では、患者は脚を垂直壁56の凹部55に配置することができる。従って、患者が楽な姿勢をとることができる。
[0059]
 中性子捕捉療法システム1は、中性子線を患者へ照射する中性子捕捉療法システム1であって、遮蔽壁Wに覆われた照射室2と、上述の中性子捕捉療法用寝台3と、照射室2内で中性子捕捉療法用寝台3に載置された患者へ中性子線を照射する中性子線照射部20と、を備え、中性子線照射部20は、中性子線の照射野を規定するためのコリメータ31を挿入可能な孔部27が形成された壁体23を有し、中性子捕捉療法用寝台3の貫通孔57は、垂直方向における位置が、壁体23の孔部27の垂直方向における位置と同じである。
[0060]
 中性子捕捉療法システム1において、中性子捕捉療法用寝台3の貫通孔57は、垂直方向における位置が、壁体23の孔部27の垂直方向における位置と同じである。従って、上述の中性子捕捉療法用寝台3を用いた場合であっても、中性子線照射部20から患者への中性子線の照射を好適に行うことができる。
[0061]
 中性子捕捉療法システム1において、中性子捕捉療法用寝台3の貫通孔57は、垂直方向における中心の位置が、壁体23の孔部27の垂直方向における中心の位置と同じであってよい。これにより、壁体23の孔部27を通過した中性子線が、好適に中性子捕捉療法用寝台3の貫通孔57を通過して患者に照射される。
[0062]
 以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態に係る中性子捕捉療法用寝台は上記に限定されず、種々の変更を行うことができる。
[0063]
 例えば、上述の実施形態に係る中性子捕捉療法用寝台は、複数の押さえ部を備えていた。しかし、中性子捕捉療法用寝台は、患者の後頭部、顎、背中、及び腰の少なくとも何れかを押さえることができる押さえ部を一つだけ有していてもよい。
[0064]
 また、上述の実施形態における各押さえ部及びアームの構成は一例に過ぎず、患者の後頭部、顎、背中、及び腰を押さえて姿勢維持ができる限り、構成は適宜変更してよい。また、押さえ部は、フレームに対して移動可能であったが、移動可能でなくともよい。

符号の説明

[0065]
 1…中性子捕捉療法システム、3…中性子捕捉療法用寝台、41…土台、42…載置部、43A,43B…フレーム、46…アーム、47…押さえ部、56…垂直壁、57…貫通孔、S…患者、N…中性子線。

請求の範囲

[請求項1]
 中性子線が照射される患者を載置する中性子捕捉療法用寝台であって、
 土台上に設けられ、前記患者が載置される載置部と、
 前記土台上に設けられるフレームと、
 前記フレームに取り付けられ、前記患者の後頭部、顎、背中、及び腰の少なくとも何れかを押さえる押さえ部と、を備える、中性子捕捉療法用寝台。
[請求項2]
 前記押さえ部を移動可能に支持するアームを更に備える、請求項1に記載の中性子捕捉療法用寝台。
[請求項3]
 一対の前記フレームが設けられ、
 一対の前記フレームの間には垂直壁が設けられ、
 前記垂直壁には貫通孔が形成されている、請求項1又は2に記載の中性子捕捉療法用寝台。
[請求項4]
 前記垂直壁は、前記載置部と対向する面が前記載置部から離れる方向へ向けて凹む凹部を有する、請求項3に記載の中性子捕捉療法用寝台。
[請求項5]
 中性子線を患者へ照射する中性子捕捉療法システムであって、
 遮蔽壁に覆われた照射室と、
 請求項3又は4に記載の中性子捕捉療法用寝台と、
 前記照射室内で前記中性子捕捉療法用寝台に載置された前記患者へ前記中性子線を照射する中性子線照射部と、を備え、
 前記中性子線照射部は、前記中性子線の照射野を規定するためのコリメータを挿入可能な孔部が形成された壁体を有し、
 前記中性子捕捉療法用寝台の前記貫通孔は、垂直方向における位置が、前記壁体の前記孔部の垂直方向における位置と同じである、
 ことを特徴とする中性子捕捉療法システム。
[請求項6]
 前記中性子捕捉療法用寝台の前記貫通孔は、垂直方向における中心の位置が、前記壁体の前記孔部の垂直方向における中心の位置と同じである、
 請求項5に記載の中性子捕捉療法システム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]