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1. (WO2018181766) 半導体装置の製造方法及び両面粘着シート
Document

明 細 書

発明の名称 半導体装置の製造方法及び両面粘着シート

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009  

課題を解決するための手段

0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145  

実施例

0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175  

符号の説明

0176  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 半導体装置の製造方法及び両面粘着シート

技術分野

[0001]
 本発明は半導体装置の製造方法及び両面粘着シートに関する。

背景技術

[0002]
 近年、電子機器の小型化、軽量化及び高機能化が進んでおり、これに伴って、電子機器に搭載される半導体装置にも、小型化、薄型化及び高密度化が求められている。
 半導体チップは、そのサイズに近いパッケージに実装されることがある。このようなパッケージは、CSP(Chip Scale Package)と称されることもある。CSPとしては、ウエハサイズでパッケージ最終工程まで処理して完成させるWLP(Wafer Level Package)、ウエハサイズよりも大きいパネルサイズでパッケージ最終工程まで処理して完成させるPLP(Panel Level Package)等が挙げられる。
[0003]
 WLP及びPLPは、ファンイン(Fan-In)型とファンアウト(Fan-Out)型に分類される。ファンアウト型のWLP(以下、「FOWLP」ともいう)及びPLP(以下、「FOPLP」ともいう)においては、半導体チップを、チップサイズよりも大きな領域となるように封止材で覆って半導体チップの封止体を形成し、再配線層及び外部電極を、半導体チップの回路面だけでなく封止材の表面領域においても形成する。
[0004]
 ところで、FOWLP及びFOPLPは、例えば、複数の半導体チップを仮固定用の粘着シート(以下、「仮固定用シート」ともいう)上に載置する載置工程と、流動性を付与した封止材で被覆する被覆工程と、該封止材を熱硬化させる硬化工程と、前記封止体から仮固定用シートを剥離する剥離工程と、表出した半導体チップ側の表面に再配線層を形成する再配線層形成工程とを経て製造される。
 上記の工程において用いられる仮固定用シートには、前記被覆工程及び硬化工程(以下、これらを「封止工程」ともいう)の間には、半導体チップの位置ズレが発生せず、かつ半導体チップと仮固定用シートとの接着界面に封止材が進入しない程度の接着性が求められ、封止工程後には、糊残り無く容易に除去し得る剥離性が求められる。すなわち、FOWLP及びFOPLPの製造に使用される仮固定用シートは、使用時の接着性と、使用後の剥離性との両立が要求される。
[0005]
 例えば、特許文献1には、FOWLPの製造方法において、ポリイミドフィルムからなる基材と該基材の表面に備えられたシリコーン系粘着剤からなる粘着層とを有する仮固定用シート上で封止工程を行った後、該仮固定用シートを手で屈曲させながら剥離する方法が開示されている。しかし、仮固定用シートを手等によって剥離する工程は煩雑であり、生産性向上の観点から、より小さな外力で仮固定用シートを剥離できることが要求されている。
[0006]
 剥離性に優れる仮固定用シートとして、例えば、特許文献2には、基材の少なくとも片面に、熱膨張性微小球を含有する熱膨張性粘着層が設けられた、電子部品切断時の仮固定用加熱剥離型粘着シートが開示されている。FOWLP及びFOPLPの製造において、特許文献2に記載の加熱剥離型粘着シートを用いることも考えられる。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2015-32646号公報
特許文献2 : 特許第3594853号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献2に記載の加熱剥離型粘着シートをFOWLP及びFOPLPの製造における仮固定用シートとして用いた場合、熱膨張性粘着層の弾性率の低さに起因して、前記載置工程及び封止工程中に、載置している半導体チップが粘着シート側に沈み込んだり、半導体チップの位置ズレが発生してしまうことが分かった。これにより、封止工程後に粘着シートを除去した後の半導体チップ側の表面(以下、「再配線層形成面」ともいう)には、半導体チップの表面と封止材表面との間で段差が発生してしまうため、平坦性に劣ったり、半導体チップの位置精度が低下してしまう結果となる。このような再配線層形成面の平坦性の低下及び半導体チップの位置精度の低下は、再配線精度の低下に繋がるため、抑制されることが望ましい。
 また、粘着シートを除去する際に、加熱をして熱膨張性粘着層を膨張させても、半導体チップが粘着シート側に沈み込んでしまっていることにより、ある程度の大きさの外力無しでは剥離が困難となることも考えられる。
[0009]
 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、ファンアウト型のパッケージの製造工程における半導体チップの位置ズレの発生を抑制でき、生産性に優れ、得られる半導体装置の再配線層形成面の平坦性に優れる半導体装置の製造方法、及び該製造方法に用いられる両面粘着シートを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、ファンアウト型のパッケージの製造工程において、膨張性粒子を含み、非粘着性である基材を含む特定の層構成を有する両面粘着シートを用いることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
 すなわち、本発明は、下記[1]~[10]に関する。
[1]第1粘着剤層と、膨張性粒子を含み、非粘着性である基材と、第2粘着剤層と、をこの順に有する両面粘着シートを用いて半導体装置を製造する方法であって、
 下記工程(1)~(4)を有する、半導体装置の製造方法。
 工程(1):第2粘着剤層の粘着表面に、硬質支持体を貼付する工程
 工程(2):第1粘着剤層の粘着表面の一部に、半導体チップを載置する工程
 工程(3):前記半導体チップと、第1粘着剤層の粘着表面のうち、前記半導体チップの周辺部と、を封止材で被覆し、該封止材を硬化させて、前記半導体チップが硬化封止材に封止されてなる硬化封止体を得る工程
 工程(4):前記膨張性粒子を膨張させて、前記両面粘着シートを前記硬化封止体から剥離する工程
[2]さらに、下記工程(5)を有する、上記[1]に記載の半導体装置の製造方法。
 工程(5):前記両面粘着シートを剥離した硬化封止体に、再配線層を形成する工程
[3]前記膨張性粒子が、熱膨張性粒子であり、前記工程(4)が、前記両面粘着シートを加熱することにより、前記熱膨張性粒子を膨張させて、前記両面粘着シートを前記硬化封止体から剥離する工程である、上記[1]又は[2]に記載の半導体装置の製造方法。
[4]前記熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)が、120~250℃である、上記[3]に記載の半導体装置の製造方法。
[5]前記基材が、下記要件(1)~(2)を満たす、上記[4]に記載の半導体装置の製造方法。
・要件(1):100℃における、前記基材の貯蔵弾性率E’(100)が、2.0×10 Pa以上である。
・要件(2):前記熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)における、前記基材の貯蔵弾性率E’(t)が、1.0×10 Pa以下である。
[6]前記膨張性粒子の23℃における膨張前の平均粒子径が、3~100μmである、[1]~[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7]23℃における、第1粘着材層の貯蔵せん断弾性率G’(23)が、1.0×10 ~1.0×10 Paである、上記[1]~[6]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[8]23℃における、前記基材の厚さと、第1粘着剤層の厚さとの比(基材/第1粘着剤層)が0.2以上である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[9]23℃における、前記基材の厚さが10~1000μmであり、前記第1粘着剤層の厚さが1~60μmである、上記[1]~[8]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[10]前記基材の表面におけるプローブタック値が、50mN/5mmφ未満である、上記[1]~[9]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[11]上記[1]~[10]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法に用いられる両面粘着シートであって、第1粘着剤層と、膨張性粒子を含み、非粘着性である基材と、第2粘着剤層と、をこの順に有する両面粘着シート。

発明の効果

[0011]
 本発明によると、ファンアウト型のパッケージの製造工程における半導体チップの位置ズレの発生を抑制でき、生産性に優れ、得られる半導体装置の再配線層形成面の平坦性に優れる半導体装置の製造方法、及び該製造方法に用いられる両面粘着シートを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 本実施形態に係る両面粘着シートの構成の一例を示す、両面粘着シートの断面図である。
[図2] 本実施形態に係る製造方法の一例を説明する、断面図である。
[図3] 図2に続いて本実施形態に係る製造方法の一例を説明する、断面図である。
[図4] 図3に続いて本実施形態に係る製造方法の一例を説明する、断面図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 本発明において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
 また、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
[0014]
 本発明において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
 また、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
[0015]
[半導体装置の製造方法]
 本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1粘着剤層と、膨張性粒子を含み、非粘着性である基材と、第2粘着剤層と、をこの順に有する両面粘着シートを用いて半導体装置を製造する方法であって、下記工程(1)~(4)を有する、半導体装置の製造方法である。
 工程(1):第2粘着剤層の粘着表面に、硬質支持体を貼付する工程
 工程(2):第1粘着剤層の粘着表面の一部に、半導体チップを載置する工程
 工程(3):前記半導体チップと、第1粘着剤層の粘着表面のうち、前記半導体チップの周辺部と、を封止材で被覆し、該封止材を硬化させて、前記半導体チップが硬化封止材に封止されてなる硬化封止体を得る工程
 工程(4):前記膨張性粒子を膨張させて、前記両面粘着シートを前記硬化封止体から剥離する工程
 以下、初めに本実施形態に係る半導体装置の製造方法に用いられる両面粘着シートについて説明し、その後、工程(1)~(4)を含む各製造工程について説明する。
[0016]
<両面粘着シート>
 本実施形態に係る両面粘着シートは、第1粘着剤層と、膨張性粒子を含み、非粘着性である基材(以下、「膨張性基材」ともいう)と、第2粘着剤層と、をこの順に有するものであれば、特に限定されない。
 両面粘着シートの形状は、シート状、テープ状、ラベル状等、あらゆる形状を取り得る。
[0017]
(両面粘着シートの構成)
 図1(A)は、本実施形態に係る両面粘着シート10の断面図である。
 図1(A)に示すように、本実施形態に係る両面粘着シート10は、基材11が第1粘着剤層121及び第2粘着剤層122で挟持された構成を有する。
 なお、本実施形態に係る両面粘着シートは、図1(B)に示す両面粘着シート10aのように、第1粘着剤層121の粘着表面121a上にさらに剥離材131を有し、第2粘着剤層122の粘着表面122a上にさらに剥離材132を有していてもよい。
 なお、図1(B)に示す両面粘着シート10aにおいては、剥離材131の第1粘着剤層121からの剥離力と、剥離材132の第2粘着剤層122からの剥離力とが同程度である場合、両方の剥離材を外側へ引っ張って剥がそうとすると、第1粘着剤層121及び第2粘着剤層122が2つの剥離材に伴って分断されて引き剥がされるという現象が生じることがある。このような現象を抑制する観点から、2つの剥離材131及び132は、互いに貼付される粘着剤層からの剥離力が異なるように設計された2種の剥離材を用いることが好ましい。剥離材131及び132は、両面粘着シート10aを本実施形態に係る半導体装置の製造方法に用いる際に、適宜剥離除去されるものである。
 その他の両面粘着シートとしては、図1(B)に示す両面粘着シート10aにおいて、第1粘着剤層121又は第2粘着剤層122の一方の粘着表面に、両面に剥離処理が施された剥離材を積層したものを、ロール状に巻いた構成を有する両面粘着シートであってもよい。
 ここで、本実施形態に係る両面粘着シートは、膨張性基材と第1粘着剤層との間、及び膨張性基材と第2粘着剤層との間に、他の層を有する構成であってもよい。
 ただし、わずかな力で容易に剥離可能な両面粘着シートとする観点から、図1(A)及び(B)に示す両面粘着シートのように、基材11と第1粘着剤層121、基材11と第2粘着剤層122とが、直接積層した構成を有するものであることが好ましい。
[0018]
 以下、本実施形態に係る両面粘着シートが備える、膨張性基材、第1粘着剤層、第2粘着剤層、及び必要に応じて使用される剥離材について、順に説明する。
[0019]
(膨張性基材)
 膨張性基材は、膨張性粒子を含み、非粘着性である基材である。
 一般的に、特許文献2に記載の粘着シートが有するような熱膨張性粘着剤層は、弾性率が低い粘着剤を主成分とする上に、膨張性粒子を十分に含ませるため、ある程度の厚さが必要となる。そのため、半導体チップの載置工程及び封止工程の間に半導体チップの位置ズレが発生したり、半導体チップが粘着シート側に沈み込んでしまい、再配線層形成面を平坦にできないという弊害が生じ得る。
 一方、本実施形態に係る両面粘着シートは、膨張性粒子は、弾性率が高い非粘着性樹脂に含まれるため、半導体チップを載置する第1粘着剤層の厚さの調整、粘着力、粘弾性率等の制御等、設計の自由度が向上する。これによって半導体チップの位置ズレの発生を抑制できると共に、半導体チップが両面粘着シートに沈み込むことを抑制し、平坦性に優れる再配線層形成面を形成することができる。
 さらに、本実施形態に係る両面粘着シートを用いる場合、半導体チップは、第1粘着剤層の粘着表面に載置されるため、膨張性基材と再配線層形成面とが直に接することがない。これによって、膨張性粒子に由来する残渣及び大きく変形した粘着剤層の一部が再配線層形成面に付着したり、熱膨張性粘着層に形成された凹凸形状が再配線層形成面に転写されてしまい平滑性が低下することが抑制され、清浄性及び平滑性に優れた再配線層形成面が得られる。
[0020]
 膨張性基材の厚さは、好ましくは10~1000μm、より好ましくは20~500μm、更に好ましくは25~400μm、より更に好ましくは30~300μmである。
 なお、本明細書において、膨張性基材の厚さは、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
[0021]
 粘着シートが有する膨張性基材は、非粘着性の基材である。
 本発明において、非粘着性の基材か否かの判断は、対象となる基材の表面に対して、JIS Z0237:1991に準拠して測定したプローブタック値が50mN/5mmφ未満であれば、当該基材を「非粘着性の基材」と判断する。
 ここで、本実施形態で用いる膨張性基材の表面におけるプローブタック値は、通常は50mN/5mmφ未満であるが、好ましくは30mN/5mmφ未満、より好ましくは10mN/5mmφ未満、更に好ましくは5mN/5mmφ未満である。
 なお、本明細書において、膨張性基材の表面におけるプローブタック値の具体的な測定方法は、実施例に記載の方法による。
[0022]
 本実施形態の粘着シートが有する膨張性基材は、樹脂及び膨張性粒子を含むものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、基材用添加剤を含有してもよい。
 また、膨張性基材は、樹脂及び膨張性粒子を含む樹脂組成物(y)から形成することができる。
 以下、膨張性基材の形成材料である樹脂組成物(y)に含まれる各成分について説明する。
[0023]
<樹脂>
 樹脂組成物(y)に含まれる樹脂としては、膨張性基材が非粘着性となる樹脂であれば特に限定されず、非粘着性樹脂であってもよく、粘着性樹脂であってもよい。
 つまり、樹脂組成物(y)に含まれる樹脂が粘着性樹脂であっても、樹脂組成物(y)から膨張性基材を形成する過程において、当該粘着性樹脂が重合性化合物と重合反応し、得られる樹脂が非粘着性樹脂となり、当該樹脂を含む膨張性基材が非粘着性となればよい。
[0024]
 樹脂組成物(y)に含まれる前記樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1000~100万、より好ましくは1000~70万、更に好ましくは1000~50万である。
 また、当該樹脂が2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
[0025]
 前記樹脂の含有量は、樹脂組成物(y)の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは50~99質量%、より好ましくは60~95質量%、更に好ましくは65~90質量%、より更に好ましくは70~85質量%である。
[0026]
 樹脂組成物(y)に含まれる前記樹脂としては、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
 また、上記アクリルウレタン系樹脂としては、以下の樹脂(U1)が好ましい。
・ウレタンプレポリマー(UP)と、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物とを重合してなるアクリルウレタン系樹脂(U1)。
[0027]
〔アクリルウレタン系樹脂(U1)〕
 アクリルウレタン系樹脂(U1)の主鎖となるウレタンプレポリマー(UP)としては、ポリオールと多価イソシアネートとの反応物が挙げられる。
 なお、ウレタンプレポリマー(UP)は、更に鎖延長剤を用いた鎖延長反応を施して得られたものであることが好ましい。
[0028]
 ウレタンプレポリマー(UP)の原料となるポリオールとしては、例えば、アルキレン型ポリオール、エーテル型ポリオール、エステル型ポリオール、エステルアミド型ポリオール、エステル・エーテル型ポリオール、カーボネート型ポリオール等が挙げられる。
 これらのポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 本実施形態で用いるポリオールとしては、ジオールが好ましく、エステル型ジオール、アルキレン型ジオール及びカーボネート型ジオールがより好ましく、エステル型ジオール、カーボネート型ジオールが更に好ましい。
[0029]
 エステル型ジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;等のジオール類から選択される1種又は2種以上と、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4-ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸及びこれらの無水物から選択される1種又は2種以上と、の縮重合体が挙げられる。
 具体的には、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3-メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
[0030]
 アルキレン型ジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;等が挙げられる。
[0031]
 カーボネート型ジオールとしては、例えば、1,4-テトラメチレンカーボネートジオール、1,5-ペンタメチレンカーボネートジオール、1,6-ヘキサメチレンカーボネートジオール、1,2-プロピレンカーボネートジオール、1,3-プロピレンカーボネートジオール、2,2-ジメチルプロピレンカーボネートジオール、1,7-ヘプタメチレンカーボネートジオール、1,8-オクタメチレンカーボネートジオール、1,4-シクロヘキサンカーボネートジオール等が挙げられる。
[0032]
 ウレタンプレポリマー(UP)の原料となる多価イソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
 これらの多価イソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 また、これらの多価イソシアネートは、トリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
[0033]
 これらの中でも、本実施形態で用いる多価イソシアネートとしては、ジイソシアネートが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる1種以上がより好ましい。
[0034]
 脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられるが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
[0035]
 本実施形態において、アクリルウレタン系樹脂(U1)の主鎖となるウレタンプレポリマー(UP)としては、ジオールとジイソシアネートとの反応物であり、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマーが好ましい。
 当該直鎖ウレタンプレポリマーの両末端にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、ジオールとジイソシアネート化合物とを反応してなる直鎖ウレタンプレポリマーの末端のNCO基と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させる方法が挙げられる。
[0036]
 ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[0037]
 アクリルウレタン系樹脂(U1)の側鎖となる、ビニル化合物としては、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む。
 (メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用することがより好ましい。
[0038]
 アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用する場合、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの配合割合としては、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.5~30質量部、更に好ましくは1.0~20質量部、より更に好ましくは1.5~10質量部である。
[0039]
 アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~24、より好ましくは1~12、更に好ましくは1~8、より更に好ましくは1~3である。
[0040]
 また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、上述の直鎖ウレタンプレポリマーの両末端にエチレン性不飽和基を導入するために用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと同じものが挙げられる。
[0041]
 (メタ)アクリル酸エステル以外のビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メタ(アクリルアミド)等の極性基含有モノマー;等が挙げられる。
 これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0042]
 ビニル化合物中の(メタ)アクリル酸エステルの含有量としては、当該ビニル化合物の全量(100質量%)に対して、好ましくは40~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
[0043]
 ビニル化合物中のアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの合計含有量としては、当該ビニル化合物の全量(100質量%)に対して、好ましくは40~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
[0044]
 本実施形態で用いるアクリルウレタン系樹脂(U1)は、ウレタンプレポリマー(UP)と、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物とを混合し、両者を重合することで得られる。
 当該重合においては、さらにラジカル開始剤を加えて行うことが好ましい。
[0045]
 本実施形態で用いるアクリルウレタン系樹脂(U1)において、ウレタンプレポリマー(UP)に由来の構成単位(u11)と、ビニル化合物に由来する構成単位(u12)との含有量比〔(u11)/(u12)〕としては、質量比で、好ましくは10/90~80/20、より好ましくは20/80~70/30、更に好ましくは30/70~60/40、より更に好ましくは35/65~55/45である。
[0046]
〔オレフィン系樹脂〕
 樹脂組成物(y)に含まれる樹脂として好適な、オレフィン系樹脂としては、オレフィンモノマーに由来の構成単位を少なくとも有する重合体である。
 上記オレフィンモノマーとしては、炭素数2~8のα-オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1-ヘキセン等が挙げられる。
 これらの中でも、エチレン及びプロピレンが好ましい。
[0047]
 具体的なオレフィン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE、密度:880kg/m 以上910kg/m 未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度:910kg/m 以上915kg/m 未満)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度:915kg/m 以上942kg/m 未満)、高密度ポリエチレン(HDPE、密度:942kg/m 以上)、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂(PP);ポリブテン樹脂(PB);エチレン-プロピレン共重合体;オレフィン系エラストマー(TPO);ポリ(4-メチル-1-ペンテン)(PMP);エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH);エチレン-プロピレン-(5-エチリデン-2-ノルボルネン)等のオレフィン系三元共重合体;等が挙げられる。
[0048]
 本実施形態において、オレフィン系樹脂は、さらに酸変性、水酸基変性、及びアクリル変性から選ばれる1種以上の変性を施した変性オレフィン系樹脂であってもよい。
[0049]
 例えば、オレフィン系樹脂に対して酸変性を施してなる酸変性オレフィン系樹脂としては、上述の無変性のオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸又はその無水物を、グラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
 上記の不飽和カルボン酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、アコニット酸、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
 なお、不飽和カルボン酸又はその無水物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0050]
 オレフィン系樹脂に対してアクリル変性を施してなるアクリル変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である上述の無変性のオレフィン系樹脂に、側鎖として、アルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
 上記のアルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~20、より好ましくは1~16、更に好ましくは1~12である。
 上記のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、後述のモノマー(a1’)として選択可能な化合物と同じものが挙げられる。
[0051]
 オレフィン系樹脂に対して水酸基変性を施してなる水酸基変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である上述の無変性のオレフィン系樹脂に、水酸基含有化合物をグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
 上記の水酸基含有化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類等が挙げられる。
[0052]
〔アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂〕
 本実施形態において、樹脂組成物(y)には、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
 そのような樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;アクリルウレタン系樹脂には該当しないポリウレタン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
 アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂の含有割合としては、樹脂組成物(y)中に含まれる樹脂の全量100質量部に対して、好ましくは30質量部未満、より好ましくは20質量部未満、より好ましくは10質量部未満、更に好ましくは5質量部未満、より更に好ましくは1質量部未満である。
[0053]
<膨張性粒子>
 膨張性粒子は、外部刺激によって、それ自体が膨張することで第1粘着剤層に凹凸を形成し、被着体との接着力を低下させることができるものであれば特に限定されない。
 膨張性粒子としては、例えば、加熱によって膨張する熱膨張性粒子、エネルギー線の照射によって膨張するエネルギー線膨張性粒子等が挙げられるが、汎用性及び取り扱い性の観点から、熱膨張性粒子であることが好ましい。
[0054]
 熱膨張性粒子としては、膨張開始温度(t)が120~250℃に調整された粒子であることが好ましい。
 なお、本明細書において、熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、以下の方法に基づき測定された値を意味する。
[熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)の測定法]
 直径6.0mm(内径5.65mm)、深さ4.8mmのアルミカップに、測定対象となる熱膨張性粒子0.5mgを加え、その上からアルミ蓋(直径5.6mm、厚さ0.1mm)をのせた試料を作製する。
 動的粘弾性測定装置を用いて、その試料にアルミ蓋上部から、加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、試料の高さを測定する。そして、加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定し、正方向への変位開始温度を膨張開始温度(t)とする。
[0055]
 熱膨張性粒子としては、熱可塑性樹脂から構成された外殻と、当該外殻に内包され、且つ所定の温度まで加熱されると気化する内包成分とから構成される、マイクロカプセル化発泡剤であることが好ましい。
 マイクロカプセル化発泡剤の外殻を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。
[0056]
 外殻に内包された内包成分としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、イソブタン、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、イソノナン、イソデカン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ネオペンタン、ドデカン、イソドデカン、シクロトリデカン、ヘキシルシクロヘキサン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ナノデカン、イソトリデカン、4-メチルドデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、2,2,4,4,6,8,8-ヘプタメチルノナン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン、シクロトリデカン、ヘプチルシクロヘキサン、n-オクチルシクロヘキサン、シクロペンタデカン、ノニルシクロヘキサン、デシルシクロヘキサン、ペンタデシルシクロヘキサン、ヘキサデシルシクロヘキサン、ヘプタデシルシクロヘキサン、オクタデシルシクロヘキサン等が挙げられる。
 これらの内包成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)は、内包成分の種類を適宜選択することで調整可能である。
[0057]
 本実施形態で用いる熱膨張性粒子の熱膨張開始温度(t)以上の温度まで加熱した際の体積最大膨張率は、好ましくは1.5~100倍、より好ましくは2~80倍、更に好ましくは2.5~60倍、より更に好ましくは3~40倍である。
[0058]
 本実施形態で用いる、23℃における膨張前の膨張性粒子の平均粒子径は、好ましくは3~100μm、より好ましくは4~70μm、更に好ましくは6~60μm、より更に好ましくは10~50μmである。
 なお、膨張性粒子の膨張前の平均粒子径とは、体積中位粒子径(D 50)であり、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて測定した、膨張前の膨張性粒子の粒子分布において、膨張前の膨張性粒子の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が50%に相当する粒子径を意味する。
[0059]
 本実施形態で用いる、23℃における膨張前の膨張性粒子の90%粒子径(D 90)としては、好ましくは10~150μm、より好ましくは20~100μm、更に好ましくは25~90μm、より更に好ましくは30~80μmである。
 なお、膨張性粒子の膨張前の90%粒子径(D 90)とは、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて測定した、膨張前の膨張性粒子の粒子分布において、膨張前の膨張性粒子の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が90%に相当する粒径を意味する。
[0060]
 膨張性粒子の含有量は、樹脂組成物(y)の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは5~35質量%、更に好ましくは10~30質量%、より更に好ましくは15~25質量%である。
[0061]
<基材用添加剤>
 本実施形態で用いる樹脂組成物(y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般的な粘着シートが有する基材に含まれる基材用添加剤を含有してもよい。
 そのような基材用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が挙げられる。
 なお、これらの基材用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 これらの基材用添加剤を含有する場合、それぞれの基材用添加剤の含有量は、樹脂組成物(y)中の前記樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
[0062]
<無溶剤型樹脂組成物(y1)>
 本実施形態で用いる樹脂組成物(y)の一態様として、質量平均分子量(Mw)が50000以下のエチレン性不飽和基を有するオリゴマーと、エネルギー線重合性モノマーと、上述の膨張性粒子を配合してなり、溶剤を配合しない、無溶剤型樹脂組成物(y1)が挙げられる。
 無溶剤型樹脂組成物(y1)では、溶剤を配合しないが、エネルギー線重合性モノマーが、前記オリゴマーの可塑性の向上に寄与するものである。
 無溶剤型樹脂組成物(y1)から形成した塗膜に対して、エネルギー線を照射することで、膨張性基材を得ることができる。
[0063]
 無溶剤型樹脂組成物(y1)に配合される膨張性粒子の種類、形状、配合量(含有量)については、上述のとおりである。
[0064]
 無溶剤型樹脂組成物(y1)に含まれる前記オリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、50000以下であるが、好ましくは1000~50000、より好ましくは2000~40000、更に好ましくは3000~35000、より更に好ましくは4000~30000である。
[0065]
 また、前記オリゴマーとしては、上述の樹脂組成物(y)に含まれる樹脂のうち、質量平均分子量(Mw)が50000以下のエチレン性不飽和基を有するものであればよいが、上述のウレタンプレポリマー(UP)が好ましい。
 なお、当該オリゴマーとしては、エチレン性不飽和基を有する変性オレフィン系樹脂等も使用し得る。
[0066]
 無溶剤型樹脂組成物(y1)中における、前記オリゴマー及び前記エネルギー線重合性モノマーの合計含有量は、無溶剤型樹脂組成物(y1)の全量(100質量%)に対して、好ましくは50~99質量%、より好ましくは60~95質量%、更に好ましくは65~90質量%、より更に好ましくは70~85質量%である。
[0067]
 エネルギー線重合性モノマーとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート、トリシクロデカンアクリレート等の脂環式重合性化合物;フェニルヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノールエチレンオキシド変性アクリレート等の芳香族重合性化合物;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリンアクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等の複素環式重合性化合物等が挙げられる。
 これらのエネルギー線重合性モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0068]
 無溶剤型樹脂組成物(y1)中における、前記オリゴマーと前記エネルギー線重合性モノマーとの含有量比(前記オリゴマー/エネルギー線重合性モノマー)は、質量比で、好ましくは20/80~90/10、より好ましくは30/70~85/15、更に好ましくは35/65~80/20である。
[0069]
 本実施形態において、無溶剤型樹脂組成物(y1)は、さらに光重合開始剤を配合してなることが好ましい。
 光重合開始剤を含有することで、比較的低エネルギーのエネルギー線の照射によっても、十分に硬化反応を進行させることができる。
[0070]
 光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロへキシル-フェニル-ケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロルニトリル、ジベンジル、ジアセチル、8-クロールアンスラキノン等が挙げられる。
 これらの光重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0071]
 光重合開始剤の配合量は、前記オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの全量(100質量部)に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.01~4質量部、更に好ましくは0.02~3質量部である。
[0072]
<基材の貯蔵弾性率>
 本実施形態の粘着シートが有する膨張性基材の23℃における貯蔵弾性率E’(23)は、好ましくは1.0×10 Pa以上、より好ましくは5.0×10 ~5.0×10 12Pa、更に好ましくは1.0×10 ~1.0×10 12Pa、より更に好ましくは5.0×10 ~1.0×10 11Pa、更になお好ましくは1.0×10 ~1.0×10 10Paである。貯蔵弾性率E’(23)が上記範囲内である膨張性基材を用いることで、半導体チップの位置ズレを防止することができると共に、半導体チップの第1粘着剤層への沈み込みを防止することもできる。
 例えば、半導体チップは、その回路面が、粘着剤層の粘着表面で覆われるように載置される。半導体チップの載置には、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の公知の装置が用いられることがある。上記手順のうち、フリップチップボンダー又はダイボンダーを用いて、半導体チップを粘着シートの粘着剤層上に載置する際に、半導体チップを粘着シートの厚み方向に押し込む力が加わるため、半導体チップが粘着剤層の厚み方向側に過度に沈み込む恐れがある。また、フリップチップボンダー又はダイボンダーを用いて、半導体チップを粘着シート上に載置する際に、半導体チップを粘着シートの水平方向に移動させる力も加わるため、半導体チップが粘着剤層の水平方向に位置ズレする恐れもある。しかし、上記貯蔵弾性率E’(23)を満たす膨張性基材を用いることで、これらの問題を解決することもできる。
 なお、本明細書において、所定の温度における膨張性基材の貯蔵弾性率E’は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
[0073]
 さらに、本実施形態の粘着シートが有する膨張性基材は、その貯蔵弾性率が以下の要件(1)を満たすことが好ましい。
・要件(1):100℃における、前記膨張性基材の貯蔵弾性率E’(100)が、2.0×10 Pa以上である。
 要件(1)を満たす膨張性基材を有することで、FOWLP及びFOPLPの製造過程における封止工程の温度環境においても、膨張性粒子の流動を程よく抑制し得るため、膨張性基材上に設けた第1粘着剤層の粘着表面が変形し難くなる。その結果、半導体チップの位置ズレを防止することができると共に、半導体チップの第1粘着剤層への沈み込みを防止することもできる。
[0074]
 上記観点から、膨張性基材の貯蔵弾性率E’(100)は、より好ましくは4.0×10 Pa以上、更に好ましくは6.0×10 Pa以上、より更に好ましくは8.0×10 Pa以上、更になお好ましくは1.0×10 Pa以上である。
 また、封止工程において、半導体チップの位置ズレを効果的に抑制する観点から、膨張性基材の貯蔵弾性率E’(100)は、好ましくは1.0×10 12Pa以下、より好ましくは1.0×10 11Pa以下、更に好ましくは1.0×10 10Pa以下、より更に好ましくは1.0×10 Pa以下である。
[0075]
 また、本実施形態の粘着シートが有する膨張性基材が膨張性粒子として熱膨張性粒子を含有する場合、その貯蔵弾性率が以下の要件(2)を満たすことが好ましい。
・要件(2):前記熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)における、前記膨張性基材の貯蔵弾性率E’(t)が、1.0×10 Pa以下である。
 要件(2)を満たす膨張性基材を有することで、熱膨張性粒子を膨張させる温度において、膨張性基材が熱膨張性粒子の体積膨張に追随して変形し易くなり、第1粘着剤層の粘着表面に凹凸を形成し易くなる。これによって、小さい外力によって対象物から剥離することができる。
[0076]
 上記観点から、膨張性基材の貯蔵弾性率E’(t)は、より好ましくは9.0×10 Pa以下、更に好ましくは8.0×10 Pa以下、より更に好ましくは6.0×10 Pa以下、更になお好ましくは4.0×10 Pa以下である。
 また、膨張した熱膨張性粒子の流動を抑制し、第1粘着剤層の粘着表面に形成される凹凸の形状維持性を向上させ、剥離性をより向上させる観点から、膨張性基材の貯蔵弾性率E’(t)は、好ましくは1.0×10 Pa以上、より好ましくは1.0×10 Pa以上、更に好ましくは1.0×10 Pa以上である。
[0077]
(第1粘着剤層)
 本実施形態の粘着シートが有する第1粘着剤層は、粘着性樹脂を含むものであればよく、必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、重合性化合物、重合開始剤等の粘着剤用添加剤を含有してもよい。
 なお、封止工程での加熱によって、載置した半導体チップが第1粘着剤層に沈む込むことを防止する観点から、第1粘着剤層は、非膨張性粘着剤層であることが好ましい。
[0078]
 本実施形態の粘着シートにおいて、23℃における、膨張性粒子が膨張する前の第1粘着剤層の粘着表面の粘着力は、好ましくは0.1~10.0N/25mm、より好ましくは0.2~8.0N/25mm、更に好ましくは0.4~6.0N/25mm、より更に好ましくは0.5~4.0N/25mmである。
 当該粘着力が0.1N/25mm以上であれば、封止工程における半導体チップの位置ズレを防止し得る程度に、十分に固定することができる。
 一方、当該粘着力が10.0N/25mm以下であれば、被着体から剥離する際に、わずかな外力で容易に剥離することができる。
 なお、上記の粘着力は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
[0079]
 本実施形態の粘着シートにおいて、23℃における、第1粘着剤層の貯蔵せん断弾性率G’(23)としては、好ましくは1.0×10 ~1.0×10 Pa、より好ましくは5.0×10 ~5.0×10 Pa、更に好ましくは1.0×10 ~1.0×10 Paである。
 複数の粘着剤層を有する粘着シートである場合、半導体チップが貼付される粘着剤層の貯蔵せん断弾性率G’(23)が上記範囲内であることが好ましく、膨張性基材よりも半導体チップが貼付される側の総ての粘着剤層の貯蔵せん断弾性率G’(23)が上記範囲内であることが好ましい。
 第1粘着剤層の貯蔵せん断弾性率G’(23)が1.0×10 Pa以上であれば、半導体チップの位置ズレを防止することができると共に、半導体チップの第1粘着剤層への沈み込みを防止することもできる。
 一方、第1粘着剤層の貯蔵せん断弾性率G’(23)が1.0×10 Pa以下であれば、膨張性基材中の膨張性粒子の膨張により、第1粘着剤層の表面に凹凸が形成され易く、その結果、わずかな力で容易に剥離することができる。
 なお、本明細書において、第1粘着剤層の貯蔵せん断弾性率G’(23)は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
[0080]
 本実施形態の粘着シートが有する第1粘着剤層の厚さは、優れた粘着力を発現させる観点、及び、膨張性基材中の膨張性粒子の膨張により、第1粘着剤層の表面に凹凸を形成し易くする観点から、好ましくは1~60μm、より好ましくは2~50μm、更に好ましくは3~40μm、より更に好ましくは5~30μmである。
[0081]
 本実施形態の粘着シートにおいて、23℃における、膨張性基材の厚さと、第1粘着剤層の厚さとの比(膨張性基材/第1粘着剤層)としては、再配線層形成面を平坦にすると共に、半導体チップの位置ズレを防止する観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは5.0以上であり、また、剥離する際に、わずかな力で容易に剥離し得る粘着シートとする観点から、好ましくは1000以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは60以下、より更に好ましくは30以下である。
 第1粘着剤層の厚さは、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
[0082]
 第1粘着剤層は、粘着性樹脂を含む粘着剤組成物から形成することができる。
 以下、第1粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物に含まれる各成分について説明する。
[0083]
<粘着性樹脂>
 本実施形態で用いる粘着性樹脂としては、当該樹脂単独で粘着性を有し、質量平均分子量(Mw)が1万以上の重合体であることが好ましい。
 本実施形態で用いる粘着性樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、粘着力の向上の観点から、より好ましくは1万~200万、更に好ましくは2万~150万、より更に好ましくは3万~100万である。
[0084]
 粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂等のゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。
 これらの粘着性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
[0085]
 本実施形態で用いる粘着性樹脂は、上記の粘着性樹脂の側鎖に重合性官能基を導入した、エネルギー線硬化型の粘着性樹脂であってもよい。
 当該重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
 また、エネルギー線としては、紫外線、電子線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。
[0086]
 粘着性樹脂の含有量は、粘着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは30~99.99質量%、より好ましくは40~99.95質量%、更に好ましくは50~99.90質量%、より更に好ましくは55~99.80質量%、更になお好ましくは60~99.50質量%である。
 なお、本明細書の以下の記載において、「粘着剤組成物の有効成分の全量に対する各成分の含有量」は、「当該粘着剤組成物から形成される粘着剤層中の各成分の含有量」と同義である。
[0087]
 本実施形態において、優れた粘着力を発現させる観点、及び、加熱処理による膨張性基材中の膨張性粒子の膨張により、形成される粘着剤層の表面に凹凸を形成し易くする観点から、粘着性樹脂が、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
 粘着性樹脂中のアクリル系樹脂の含有割合としては、粘着剤組成物に含まれる粘着性樹脂の全量(100質量%)に対して、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~100質量%、更に好ましくは70~100質量%、より更に好ましくは85~100質量%である。
[0088]
〔アクリル系樹脂〕
 本実施形態において、粘着性樹脂として使用し得る、アクリル系樹脂としては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体等が挙げられる。
[0089]
 アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは10万~150万、より好ましくは20万~130万、更に好ましくは35万~120万、より更に好ましくは50万~110万である。
[0090]
 アクリル系樹脂としては、アルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「モノマー(a1’)」ともいう)に由来する構成単位(a1)及び官能基含有モノマー(a2’)(以下、「モノマー(a2’)」ともいう)に由来する構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A1)がより好ましい。
[0091]
 モノマー(a1’)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、好ましくは1~24、より好ましくは1~12、更に好ましくは2~10、より更に好ましくは4~8である。
 なお、モノマー(a1’)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
[0092]
 モノマー(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 これらのモノマー(a1’)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 モノマー(a1’)としては、ブチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
[0093]
 構成単位(a1)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは50~99.9質量%、より好ましくは60~99.0質量%、更に好ましくは70~97.0質量%、より更に好ましくは80~95.0質量%である。
[0094]
 モノマー(a2’)が有する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
 つまり、モノマー(a2’)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
 これらのモノマー(a2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 これらの中でも、モノマー(a2’)としては、水酸基含有モノマー及びカルボキシ基含有モノマーが好ましい。
[0095]
 水酸基含有モノマーとしては、例えば、上述の水酸基含有化合物と同じものが挙げられる。
[0096]
 カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物、2-(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[0097]
 構成単位(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは0.5~35質量%、更に好ましくは1.0~30質量%、より更に好ましくは3.0~25質量%である。
[0098]
 アクリル系共重合体(A1)は、さらにモノマー(a1’)及び(a2’)以外の他のモノマー(a3’)に由来の構成単位(a3)を有していてもよい。
 なお、アクリル系共重合体(A1)において、構成単位(a1)及び(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%である。
[0099]
 モノマー(a3’)としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。
[0100]
 また、アクリル系共重合体(A1)は、側鎖に重合性官能基を導入した、エネルギー線硬化型のアクリル系共重合体としてもよい。
 当該重合性官能基及び当該エネルギー線としては、上述のとおりである。
 なお、重合性官能基は、上述の構成単位(a1)及び(a2)を有するアクリル系共重合体と、当該アクリル系共重合体の構成単位(a2)が有する官能基と結合可能な置換基と重合性官能基とを有する化合物とを反応させることで導入することができる。
 前記化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[0101]
<架橋剤>
 本実施形態において、粘着剤組成物は、上述のアクリル系共重合体(A1)のような官能基を含有する粘着性樹脂を含有する場合、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
 当該架橋剤は、官能基を有する粘着性樹脂と反応して、当該官能基を架橋起点として、粘着性樹脂同士を架橋するものである。
[0102]
 架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
 これらの架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 これらの架橋剤の中でも、凝集力を高めて粘着力を向上させる観点、及び入手し易さ等の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
[0103]
 架橋剤の含有量は、粘着性樹脂が有する官能基の数により適宜調整されるものであるが、官能基を有する粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~7質量部、更に好ましくは0.05~5質量部である。
[0104]
<粘着付与剤>
 本実施形態において、粘着剤組成物は、粘着力をより向上させる観点から、さらに粘着付与剤を含有してもよい。
 本明細書において、「粘着付与剤」とは、上述の粘着性樹脂の粘着力を補助的に向上させる成分であって、質量平均分子量(Mw)が1万未満のオリゴマーを指し、上述の粘着性樹脂とは区別されるものである。
 粘着付与剤の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは400~10000、より好ましくは500~8000、更に好ましくは800~5000である。
[0105]
 粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1,3-ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂、及びこれらを水素化した水素化樹脂等が挙げられる。
[0106]
 粘着付与剤の軟化点は、好ましくは60~170℃、より好ましくは65~160℃、更に好ましくは70~150℃である。
 なお、本明細書において、粘着付与剤の「軟化点」は、JIS K 2531に準拠して測定した値を意味する。
 粘着付与剤は、単独で用いてもよく、軟化点、構造等が異なる2種以上を併用してもよい。
 そして、2種以上の複数の粘着付与剤を用いる場合、それら複数の粘着付与剤の軟化点の加重平均が、上記範囲に属することが好ましい。
[0107]
 粘着付与剤の含有量は、粘着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは0.01~65質量%、より好ましくは0.05~55質量%、更に好ましくは0.1~50質量%、より更に好ましくは0.5~45質量%、更になお好ましくは1.0~40質量%である。
[0108]
<光重合開始剤>
 本実施形態において、粘着剤組成物が、粘着性樹脂として、エネルギー線硬化型の粘着性樹脂を含む場合、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。
 エネルギー線硬化型の粘着性樹脂及び光重合開始剤を含有する粘着剤組成物とすることで、当該粘着剤組成物から形成される粘着剤層は比較的低エネルギーのエネルギー線の照射によっても、十分に硬化反応を進行させ、粘着力を所望の範囲に調整することが可能となる。
 なお、光重合開始剤としては、上述の無溶剤型樹脂組成物(y1)に配合されるものと同じものが挙げられる。
[0109]
 光重合開始剤の含有量は、エネルギー線硬化型の粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~5質量部、更に好ましくは0.05~2質量部である。
[0110]
<粘着剤用添加剤>
 本実施形態において、第1粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の添加剤以外にも、一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有していてもよい。
 このような粘着剤用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、顔料、染料、遅延剤、反応促進剤(触媒)、紫外線吸収剤等が挙げられる。
 なお、これらの粘着剤用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[0111]
 これらの粘着剤用添加剤を含有する場合、それぞれの粘着剤用添加剤の含有量は、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
[0112]
 粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、膨張性粒子を含有してもよい。
 ただし、上述のとおり、第1粘着剤層は、非膨張性粘着剤層であることが好ましい。そのため、当該粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物は、膨張性粒子の含有量が極力少ないほど好ましい。
 膨張性粒子の含有量は、粘着剤組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更に好ましくは0.1質量%未満、より更に好ましくは0.01質量%未満、特に好ましくは0.001質量%未満である。
[0113]
(第2粘着剤層)
 本実施形態の粘着シートが有する第2粘着剤層は、粘着性樹脂を含むものであればよく、必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、重合性化合物、重合開始剤等の粘着剤用添加剤を含有してもよい。
 第2粘着剤層の組成及び形態の好ましい態様は、第1粘着材層と同様である。但し、第1粘着剤層と第2粘着剤層の組成は、同一であっても異なっていてもよい。また、第1粘着剤層と第2粘着剤層の形態は、同一であっても異なっていてもよい。
 第2粘着剤層の貯蔵せん断弾性率G’(23)としては、支持体等との密着性を良好とする観点から、好ましくは1.0×10 ~1.0×10 Pa、より好ましくは3.0×10 ~5.0×10 Pa、更に好ましくは5.0×10 ~1.0×10 Paである。
[0114]
(剥離材)
 図1(B)の粘着シート10aのように、本実施形態の粘着シートは、第1粘着剤層及び/又は第2粘着剤層の粘着表面に、さらに剥離材を有していてもよい。
 剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シート、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
[0115]
 剥離材用の基材としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
[0116]
 剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
[0117]
 剥離材の厚さは、特に制限ないが、好ましくは10~200μm、より好ましくは25~170μm、更に好ましくは35~80μmである。
[0118]
〔粘着シートの製造方法〕
 本実施形態に係る両面粘着シートの製造方法としては、特に制限はなく、例えば、下記工程(1a)~(4a)を有する製造方法(a)が挙げられる。
・工程(1a):剥離材の剥離処理面上に、膨張性基材の形成材料である樹脂組成物(y)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又はUV硬化した後、得られた膨張性基材から剥離材を剥離する工程。
・工程(2a):工程(1a)とは別の剥離材の剥離処理面上に、第1粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、第1粘着剤層を形成する工程。
・工程(3a):工程(1a)及び(2a)とは別の剥離材の剥離処理面上に、第2粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、第2粘着剤層を形成する工程。
・工程(4a):工程(1a)で形成した膨張性基材の一方の表面に、第1粘着剤層を貼付し、他方の表面に第2粘着剤層を貼付する工程。
[0119]
 本実施形態に係る両面粘着シートの別の製造方法としては、下記工程(1b)~(3b)を有する製造方法(b)が挙げられる。
・工程(1b):剥離材の剥離処理面上に、第1粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、第1粘着剤層を形成する工程。
・工程(2b):形成した第1粘着剤層の表面上に、膨張性基材の形成材料である樹脂組成物(y)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥又はUV硬化し、膨張性基材を形成する工程。
・工程(3b):形成した前記膨張性基材の表面上に、第2粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、第2粘着剤層を形成する工程。
[0120]
 上記製造方法(a)及び(b)において、樹脂組成物(y)及び粘着剤組成物は、さらに希釈溶媒を配合し、溶液の形態としてもよい。
 塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
[0121]
 なお、製造方法(a)の工程(1a)、及び製造方法(b)の工程(1b)の塗膜から膨張性基材を形成する乾燥又はUV照射は、膨張性粒子が膨張しない条件を適宜選択して実施することが好ましい。例えば、熱膨張性粒子を含有する樹脂組成物(y)を乾燥して膨張性基材を形成する場合は、乾燥温度は熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)未満で行うことが好ましい。
[0122]
<本実施形態に係る半導体装置の各製造工程>
 次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程について説明をする。
 本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、前記両面粘着シートを用いて半導体装置を製造する方法であって、下記工程(1)~(4)を有するものである。
 工程(1):第2粘着剤層の粘着表面に、硬質支持体を貼付する工程
 工程(2):第1粘着剤層の粘着表面の一部に、半導体チップを載置する工程
 工程(3):前記半導体チップと、第1粘着剤層の粘着表面のうち、前記半導体チップの周辺部と、を封止材で被覆し、該封止材を硬化させて、前記半導体チップが硬化封止材に封止されてなる硬化封止体を得る工程
 工程(4):前記膨張性粒子を膨張させて、前記両面粘着シートを前記硬化封止体から剥離する工程
 以下、図面を参照しながら本実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を説明する。
[0123]
(工程(1))
 図2(A)には、両面粘着シート10の第2粘着剤層122の粘着表面122aに、硬質支持体20を貼付する工程(1)を説明する断面図が示されている。
 なお、両面粘着シート10が剥離材132を有する場合は、予め剥離材132を剥離する。
[0124]
 硬質支持体20は、第2粘着剤層122の粘着表面122aに貼付されるものであり、工程(2)及び(3)において平坦性に優れた硬化封止体を得る目的で使用されるものである。
 硬質支持体20は、前記目的を果たす観点から、図2(A)に示すように、粘着表面122(a)の全面に貼付されることが好ましい。したがって、硬質支持体20は、板状であることが好ましく、粘着表面122aと貼付される側の表面の面積は、粘着表面122aの面積以上であることが好ましい。
 硬質支持体20の材質は、機械的強度、耐熱性等を考慮して適宜決定すればよく、例えば、SUS等の金属材料;ガラス、シリコンウエア等の非金属無機材料;ポリイミド、ポリアミドイミド等の樹脂材料;ガラスエポキシ樹脂等の複合材料等が挙げられ、これらの中でも、SUS、ガラス、シリコンウエハ等が好ましい。
 硬質支持体20の厚さは、機械的強度、取り扱い性等を考慮して適宜決定すればよく、例えば、100μm~50mmである。
[0125]
(工程(2))
 図2(B)には、第1粘着剤層121の粘着表面121aの一部に、半導体チップCPを載置する工程(2)を説明する断面図が示されている。
 なお、両面粘着シート10が剥離材131を有する場合は、予め剥離材131を剥離する。
 半導体チップCPは、従来公知のものを使用することができる。半導体チップCPは、その回路面W1に、トランジスタ、抵抗、コンデンサー等の回路素子から構成される集積回路が形成されている。
 半導体チップCPは、例えば、その回路面W1が、粘着表面121aで覆われるように載置される。半導体チップCPの載置には、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の公知の装置を用いることができる。
 半導体チップCPの配置のレイアウト、配置数等は、目的とするパッケージの形態、生産数等に応じて適宜決定すればよい。
 ここで、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、FOWLP、FOPLP等のように、半導体チップCPをチップサイズよりも大きな領域で封止材で覆って、半導体チップCPの回路面W1だけではなく、封止材の表面領域においても再配線層を形成するパッケージに好適に適用されるものである。そのため、半導体チップCPは、第1粘着剤層121の粘着表面121aの一部に載置されるものであり、複数の半導体チップCPが、一定の間隔を空けて整列された状態で粘着表面121aに載置されることが好ましく、複数の半導体チップCPが、一定の間隔を空けて、複数行かつ複数列のマトリックス状に整列された状態で粘着表面121aに載置されることがより好ましい。半導体チップCP同士の間隔は、目的とするパッケージの形態等に応じて適宜決定すればよい。
 半導体チップCPが、第1粘着剤層121の粘着表面121aの一部に載置されることにより、第1粘着剤層121の粘着表面121aのうち、半導体チップCPの周辺部30が形成される。図2(B)において、半導体チップCPの周辺部30とは、複数の半導体チップCPのうち、隣接する半導体チップCP同士の間隙に相当する第1粘着剤層121の粘着表面121aである。
[0126]
(工程(3))
 図2(C)及び(D)には、半導体チップCPと、第1粘着剤層121の粘着表面121aのうち、半導体チップCPの周辺部30と、を封止材40で被覆し、該封止材40を硬化させて、半導体チップCPが硬化封止材41に封止されてなる硬化封止体50を得る工程(3)を説明する断面図が示されている。
 なお、以下、半導体チップCPと、第1粘着剤層121の粘着表面121aのうち、半導体チップCPの周辺部30と、を封止材40で被覆する工程を「被覆工程」と称する場合があり、該封止材40を硬化させて、半導体チップCPが硬化封止材41に封止されてなる硬化封止体50を得る工程を「硬化工程」と称する場合がある。
[0127]
 図2(C)に示すように、被覆工程においては、まず、半導体チップCPと、第1粘着剤層121の粘着表面121aのうち、半導体チップCPの周辺部30と、を封止材40で被覆する。封止材40は、半導体チップCPの表出している面全体を覆いつつ、複数の半導体チップCP同士の間隙にも充填されている。
[0128]
 封止材40は、半導体チップCP及びそれに付随する要素を外部環境から保護する機能を有するものである。
 封止材40としては特に制限はなく、従来、半導体封止材料として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。
 封止材40は、機械的強度、耐熱性、絶縁性等の観点から、硬化性を有するものであり、例えば、熱硬化性樹脂組成物、エネルギー線硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
 以下、本実施形態においては、封止材40を熱硬化性樹脂組成物であるものとして説明をする。
[0129]
 封止材40である熱硬化性樹脂組成物が含有する熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂等が挙げられるが、機械的強度、耐熱性、絶縁性、成形性等の観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
 前記熱硬化性樹脂組成物は、前記熱硬化性樹脂の他にも、必要に応じて、フェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤等の硬化剤、硬化促進剤、シリカ等の無機充填材、エラストマー等の添加剤を含有していてもよい。
 封止材40は、室温で固形であっても、液状であってもよい。また、室温で固形である封止材40の形態は、特に限定されず、例えば、顆粒状、シート状等であってもよい。
[0130]
 封止材40により、半導体チップCP及びその周辺部30を被覆する方法としては、従来、半導体封止工程に適用されている方法の中から、任意の方法を適宜選択して適用することができ、例えば、ロールラミネート法、真空プレス法、真空ラミネート法、スピンコート法、ダイコート法、トランスファーモールディング法、圧縮成形モールド法等を適用することができる。
 これらの方法においては、通常、封止材40の充填性を高めるために、被覆時に封止材40を加熱して流動性を付与する。
[0131]
 図2(D)に示すように、被覆工程を行った後、封止材40を硬化させて、半導体チップCPが硬化封止材41に封止されてなる硬化封止体50を得る。
 ここで、上記したように、本実施形態に用いられる両面粘着シート10は、熱、エネルギー線等により膨張する膨張性粒子を含有するものであり、後述する工程(4)において、該膨張性粒子を膨張させることで粘着表面121aと硬化封止体50との粘着力を低下させ、両面粘着シート10は硬化封止体50から剥離される。したがって、被覆工程及び硬化工程においては、膨張性粒子が膨張しない条件を適宜選択して、封止材40を被覆及び硬化させることが好ましい。
 例えば、両面粘着シート10に含まれる膨張性粒子が熱膨張性粒子である場合、被覆工程及び硬化工程における加熱条件(加熱温度及び加熱時間)は、熱膨張性粒子の膨張に起因する両面粘着シート10の厚さの増加率が10%以下である加熱条件が好ましく、前記増加率が5%以下である加熱条件がより好ましく、前記増加率が0%である加熱条件(すなわち、熱膨張性粒子が膨張しない加熱条件)がさらに好ましい。なお、両面粘着シート10の厚さの増加率は、例えば、所定条件での加熱前後の両面粘着シート10の厚さを、JIS K6783、Z1702、Z1709に準じて、定圧厚さ測定器(株式会社テクロック製、製品名「PG-02」)を用いて測定し、下記式に基づいて計算することができる。
 厚さの増加率(%)=(加熱後の厚さ-加熱前の厚さ)×100/加熱前の厚さ
 なお、被覆工程と硬化工程は別々に実施してもよいが、被覆工程において封止材40を加熱する場合、当該加熱によって、そのまま封止材40を硬化させてもよい。つまり、その場合、被覆工程と硬化工程とを同時に実施してもよい。
[0132]
 なお、本実施形態においては、封止材40として熱硬化性樹脂組成物を用い、膨張性粒子として熱膨張性粒子を用いる態様を説明しているが、例えば、封止材40がエネルギー線硬化性樹脂組成物であり、膨張性粒子が熱膨張性粒子である態様、封止材40がエネルギー線硬化性樹脂組成物であり、膨張性粒子がエネルギー線膨張性粒子である態様であってもよく、これらの態様においても、被覆工程及び硬化工程における両面粘着シート10の厚さの増加率が前記した範囲を満たすことが好ましい。
[0133]
 前記被覆工程において熱硬化性樹脂組成物を加熱する温度の具体例は、使用する封止材40の種類、膨張性粒子の種類等によっても異なるが、例えば、30~180℃であり、50~170℃が好ましく、70~150℃がより好ましい。また、加熱時間は、例えば、5秒~60分間であり、10秒~45分間が好ましく、15秒~30分間がより好ましい。
 前記硬化工程において、封止材40を硬化させる温度の具体例は、使用する封止材40の種類、膨張性粒子の種類等によっても異なるが、例えば、80~240℃であり、90~200℃が好ましく、100~170℃がより好ましい。また、加熱時間は、例えば、10~180分間であり、20~150分間が好ましく、30~120分間がより好ましい。
[0134]
 本実施形態においては、シート状の封止材(以下、「シート状封止材」ともいう)を用いて被覆工程及び硬化工程を実施することが好ましい。
 シート状封止材を用いる方法では、シート状封止材を半導体チップCP及びその周辺部30を覆うように載置することで、半導体チップCP及びその周辺部30を封止材40によって被覆する。その際、半導体チップCP同士の間隙に、封止材40が充填されない部分が生じないように、真空ラミネート法等によって、適宜減圧しながら、加熱及び圧着させることが好ましい。減圧、加熱及び圧着条件の好ましい態様は上記の通りである。その後、ラミネートした封止材40を加熱して硬化させる。硬化させる温度の好ましい態様は上記の通りである。
 シート状封止材は、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂シートに支持された積層シートであってもよい。この場合、シート状封止材が半導体チップCP及びその周辺部30を覆うように積層シートを載置した後、樹脂シートを封止材から剥離してもよい。
[0135]
 工程(3)により、所定距離ずつ離間した複数の半導体チップCPが硬化封止材41に埋め込まれた硬化封止体50が得られる。
[0136]
(工程(4))
 図2(E)には、膨張性粒子を膨張させて、両面粘着シート10を硬化封止体50から剥離する工程(4)を説明する断面図が示されている。
 具体的には、膨張性粒子を、その種類に応じて、熱、エネルギー線等によって膨張させることにより、第1粘着剤層121の粘着表面121aに凹凸を形成し、これにより、粘着表面121aと硬化封止体50との粘着力を低下させ、両面粘着シート10を剥離するものである。
 その際、本実施形態に係る製造方法によると、第2粘着剤層122の粘着表面122aには、硬質支持体20が貼付されているため、第2粘着剤層122の粘着表面122a側に凹凸が形成されることを抑制し、これにより第1粘着剤層121の粘着表面121a側に効率的に凹凸を形成することができ、優れた剥離性が得られる。
 膨張性粒子を、膨張させる方法としては、膨張性粒子の種類に応じて適宜選択すればよい。
 膨張性粒子が熱膨張性粒子である場合は、膨張開始温度(t)以上の温度に加熱すればよい。ここで、「膨張開始温度(t)以上の温度」としては、「膨張開始温度(t)+10℃」以上「膨張開始温度(t)+60℃」以下であることが好ましく、「膨張開始温度(t)+15℃」以上「膨張開始温度(t)+40℃」以下であることがより好ましい。具体的には、その熱膨張性粒子の種類に応じて、例えば、120~250℃の範囲に加熱して膨張させればよい。
[0137]
 膨張性粒子を膨張させた後、両面粘着シート10を硬化封止体50から剥離する。本実施形態に係る両面粘着シート10は優れた剥離性を有しているため、従来の仮固定用シートよりも小さい外力で剥離することができる。剥離する方法は特に限定されないが、例えば、両面粘着シート10からデボンダーを用いて硬化封止体50から剥離する方法が挙げられる。
[0138]
 本実施形態に係る製造方法は、工程(4)において、硬化封止体50から、両面粘着シート10を剥離する前又は剥離した後に、必要に応じて、硬化封止体50の厚さを薄くするために、研削する工程を含んでいてもよい。
[0139]
(工程(5))
 本実施形態に係る製造方法は、両面粘着シート10を剥離した硬化封止体50に再配線層を形成する工程(5)を含むことが好ましい。
 図3(A)には、両面粘着シート10を剥離した後の硬化封止体50の断面図が示されている。
 本工程においては、露出した複数の半導体チップCPの回路W2と接続する再配線を、回路面W1の上及び半導体チップCPの領域外に相当する硬化封止体50の面50aの上に形成する。
[0140]
 図3(B)には、半導体チップCPの回路面W1及び硬化封止体50の面50aに第1絶縁層61を形成する工程を説明する断面図が示されている。
 絶縁性樹脂を含む第1絶縁層61を、回路面W1及び面50aの上に、半導体チップCPの回路W2又は回路W2の内部端子電極W3を露出させるように形成する。絶縁性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。内部端子電極W3の材質は、導電性材料であれば限定されず、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、これらの金属を含む合金等が挙げられる。
[0141]
 図3(C)には、硬化封止体50に封止された半導体チップCPと電気的に接続する再配線70を形成する工程を説明する断面図が示されている。
 本実施形態では、第1絶縁層61の形成に続いて再配線70を形成する。再配線70の材質は、導電性材料であれば限定されず、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、これらの金属を含む合金等が挙げられる。再配線70は、サブトラクティブ法、セミアディティブ法等の公知の方法により形成できる。
[0142]
 図4(A)には、再配線70を覆う第2絶縁層62を形成する工程を説明する断面図が示されている。
 再配線70は、外部端子電極用の外部電極パッド70Aを有する。第2絶縁層62には開口等を設けて、外部端子電極用の外部電極パッド70Aを露出させる。本実施形態では、外部電極パッド70Aは、硬化封止体50の半導体チップCPの領域(回路面W1に対応する領域)内及び領域外(硬化封止体50上の面50aに対応する領域)に露出させている。また、再配線70は、外部電極パッド70Aがアレイ状に配置されるように、硬化封止体50の面50aに形成されている。本実施形態では、硬化封止体50の半導体チップCPの領域外に外部電極パッド70Aを露出させる構造を有するので、FOWLP又はFOPLPを得ることができる。
[0143]
(外部端子電極との接続工程)
 図4(B)には、外部電極パッド70Aに外部端子電極80を接続させる工程を説明する断面図が示されている。
 第2絶縁層62から露出する外部電極パッド70Aに、はんだボール等の外部端子電極80を載置し、はんだ接合などにより、外部端子電極80と外部電極パッド70Aとを電気的に接続させる。はんだボールの材質は、特に限定されず、含鉛はんだ、無鉛はんだ等が挙げられる。
[0144]
(ダイシング工程)
 図4(C)には、外部端子電極80が接続された硬化封止体50を個片化させる工程を説明する断面図が示されている。
 本工程では、硬化封止体50を半導体チップCP単位で個片化する。硬化封止体50を個片化させる方法は、特に限定されず、ダイシングソー等の切断手段等によって実施することができる。
 硬化封止体50を個片化することで、半導体チップCP単位の半導体装置100が製造される。上述のように半導体チップCPの領域外にファンアウトさせた外部電極パッド70Aに外部端子電極80を接続させた半導体装置100は、FOWLP、FOPLP等として製造される。
[0145]
(実装工程)
 本実施形態では、個片化された半導体装置100を、プリント配線基板等に実装する工程を含むことも好ましい。
実施例
[0146]
 本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の製造例及び実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
[0147]
<質量平均分子量(Mw)>
 ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL-L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
[0148]
<各層の厚さの測定>
 株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JIS K6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて測定した。
[0149]
<熱膨張性粒子の平均粒子径(D 50)、90%粒子径(D 90)>
 レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、Malvern社製、製品名「マスターサイザー3000」)を用いて、23℃における膨張前の熱膨張性粒子の粒子分布を測定した。
 そして、粒子分布の粒子径の小さい方から計算した累積体積頻度が50%及び90%に相当する粒子径を、それぞれ「熱膨張性粒子の平均粒子径(D 50)」及び「熱膨張性粒子の90%粒子径(D 90)とした。
[0150]
<膨張性基材の貯蔵弾性率E’>
 測定対象が非粘着性の膨張性基材である場合、当該膨張性基材を縦5mm×横30mm×厚さ200μmの大きさとし、剥離材を除去したものを試験サンプルとした。
 動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、製品名「DMAQ800」)を用いて、試験開始温度0℃、試験終了温度300℃、昇温速度3℃/分、振動数1Hz、振幅20μmの条件で、所定の温度における、当該試験サンプルの貯蔵弾性率E’を測定した。
[0151]
<粘着剤層の貯蔵せん断弾性率G’、膨張性粘着剤層の貯蔵弾性率E’>
 測定対象が粘着性を有する膨張性粘着剤層及び粘着剤層である場合、当該膨張性粘着剤層及び粘着剤層を直径8mm×厚さ3mmとし、剥離材を除去したものを試験サンプルとした。
 粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名「MCR300」)を用いて、試験開始温度0℃、試験終了温度300℃、昇温速度3℃/分、振動数1Hzの条件で、ねじりせん断法によって、所定の温度における、試験サンプルの貯蔵せん断弾性率G’を測定した。
 そして、貯蔵弾性率E’の値は、測定した貯蔵せん断弾性率G’の値を基に、近似式「E’=3G’」から算出した。
[0152]
<プローブタック値>
 測定対象となる膨張性基材又は膨張性粘着剤層を一辺10mmの正方形に切断した後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で24時間静置し、軽剥離フィルムを除去したものを試験サンプルとした。
 23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、タッキング試験機(日本特殊測器株式会社製、製品名「NTS-4800」)を用いて、軽剥離フィルムを除去して表出した、前記試験サンプルの表面におけるプローブタック値を、JIS Z0237:1991に準拠して測定した。
 具体的には、直径5mmのステンレス鋼製のプローブを、1秒間、接触荷重0.98N/cm で、試験サンプルの表面に接触させた後、当該プローブを10mm/秒の速度で、試験サンプルの表面から離すのに必要な力を測定した。そして、その測定した値を、その試験サンプルのプローブタック値とした。
[0153]
 以下の製造例で使用した粘着性樹脂、添加剤、熱膨張性粒子、及び剥離材の詳細は以下のとおりである。
<粘着性樹脂>
・アクリル系共重合体(i):2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=80.0/20.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有する、質量平均分子量(Mw)60万のアクリル系共重合体を含む溶液。希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:40質量%。
・アクリル系共重合体(ii):n-ブチルアクリレート(BA)/メチルメタクリレート(MMA)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)/アクリル酸=86.0/8.0/5.0/1.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有する、質量平均分子量(Mw)60万のアクリル系共重合体を含む溶液。希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:40質量%。
<添加剤>
・イソシアネート架橋剤(i):東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」、固形分濃度:75質量%。
・光重合開始剤(i):BASF社製、製品名「イルガキュア184」、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン。
<熱膨張性粒子>
・熱膨張性粒子(i):株式会社クレハ製、製品名「S2640」、膨張開始温度(t)=208℃、平均粒子径(D 50)=24μm、90%粒子径(D 90)=49μm。
<剥離材>
・重剥離フィルム:リンテック株式会社製、製品名「SP-PET382150」、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、シリコーン系剥離剤から形成した剥離剤層を設けたもの、厚さ:38μm。
・軽剥離フィルム:リンテック株式会社製、製品名「SP-PET381031」、PETフィルムの片面に、シリコーン系剥離剤から形成した剥離剤層を設けたもの、厚さ:38μm。
[0154]
製造例1(第1粘着剤層(X-1)の形成)
 粘着性樹脂である、上記アクリル系共重合体(i)の固形分100質量部に、上記イソシアネート系架橋剤(i)5.0質量部(固形分比)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)25質量%の組成物(x-1)を調製した。
 そして、上記重剥離フィルムの剥離剤層の表面上に、調製した組成物(x-1)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で60秒間乾燥して、厚さ10μmの第1粘着剤層(X-1)を形成した。
 なお、23℃における、第1粘着剤層(X-1)の貯蔵せん断弾性率G’(23)は、2.5×10 Paであった。
[0155]
製造例2(第2粘着剤層(X-2)の形成)
 粘着性樹脂である、上記アクリル系共重合体(ii)の固形分100質量部に、上記イソシアネート系架橋剤(i)0.8質量部(固形分比)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)25質量%の組成物(x-2)を調製した。
 そして、上記軽剥離フィルムの剥離剤層の表面上に、調製した組成物(x-2)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で60秒間乾燥して、厚さ10μmの第2粘着剤層(X-2)を形成した。
 なお、23℃における、第2粘着剤層(X-2)の貯蔵せん断弾性率G’(23)は、9.0×10 Paであった。
[0156]
製造例3(膨張性基材(Y-1)の形成)
(1)組成物(y-1)の調製
 エステル型ジオールと、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を反応させて得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、2-ヒドロキシエチルアクリレートを反応させて、質量平均分子量(Mw)5000の2官能のアクリルウレタン系オリゴマーを得た。
 そして、上記で合成したアクリルウレタン系オリゴマー40質量%(固形分比)に、エネルギー線重合性モノマーとして、イソボルニルアクリレート(IBXA)40質量%(固形分比)、及びフェニルヒドロキシプロピルアクリレート(HPPA)20質量%(固形分比)を配合し、アクリルウレタン系オリゴマー及びエネルギー線重合性モノマーの全量100質量部に対して、さらに光重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、製品名「イルガキュア184」)2.0質量部(固形分比)、及び、添加剤として、フタロシアニン系顔料0.2質量部(固形分比)を配合し、エネルギー線硬化性組成物を調製した。
 そして、当該エネルギー線硬化性組成物に、上記熱膨張性粒子(i)を配合し、溶媒を含有しない、無溶剤型の組成物(y-1)を調製した。
 なお、組成物(y-1)の全量(100質量%)に対する、熱膨張性粒子(i)の含有量は20質量%であった。
[0157]
(2)膨張性基材(Y-1)の形成
 上記軽剥離フィルムの剥離剤層の表面上に、調製した組成物(y-1)を塗布して塗膜を形成した。
 そして、紫外線照射装置(アイグラフィクス社製、製品名「ECS-401GX」)及び高圧水銀ランプ(アイグラフィクス社製、製品名「H04-L41」)を用いて、照度160mW/cm 、光量500mJ/cm の条件で紫外線を照射し、当該塗膜を硬化させ、厚さ50μmの膨張性基材(Y-1)を形成した。なお、紫外線照射時の上記の照度及び光量は、照度・光量計(EIT社製、製品名「UV Power Puck II」)を用いて測定した値である。
[0158]
製造例4(膨張性基材(Y-2)の形成)
(1)ウレタンプレポリマーの合成
 窒素雰囲気下の反応容器内に、質量平均分子量(Mw)1,000のカーボネート型ジオール100質量部(固形分比)に対して、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を、カーボネート型ジオールの水酸基とイソホロンジイソシアネートのイソシアネート基との当量比が1/1となるように配合し、さらにトルエン160質量部を加え、窒素雰囲気下にて、撹拌しながら、イソシアネート基濃度が理論量に到達するまで、80℃で6時間以上反応させた。
 次いで、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)1.44質量部(固形分比)をトルエン30質量部に希釈した溶液を添加して、両末端のイソシアネート基が消滅するまで、更に80℃で6時間反応させ、質量平均分子量(Mw)2.9万のウレタンプレポリマーを得た。
[0159]
(2)アクリルウレタン系樹脂の合成
 窒素雰囲気下の反応容器内に、上記(1)で得たウレタンプレポリマー100質量部(固形分比)、メチルメタクリレート(MMA)117質量部(固形分比)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)5.1質量部(固形分比)、1-チオグリセロール1.1質量部(固形分比)、及びトルエン50質量部を加え、撹拌しながら、105℃まで昇温した。
 そして、反応容器内に、さらにラジカル開始剤(株式会社日本ファインケム製、製品名「ABN-E」)2.2質量部(固形分比)をトルエン210質量部で希釈した溶液を、105℃に維持したまま4時間かけて滴下した。
 滴下終了後、105℃で6時間反応させ、質量平均分子量(Mw)10.5万のアクリルウレタン系樹脂の溶液を得た。
[0160]
(3)膨張性基材(Y-2)の形成
 上記(2)で得たアクリルウレタン系樹脂の溶液の固形分100質量部に対して、上記イソシアネート系架橋剤(i)6.3質量部(固形分比)、触媒としてジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)1.4質量部(固形分比)、及び上記熱膨張性粒子(i)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(y-2)を調製した。
 なお、得られた組成物(y-2)中の有効成分の全量(100質量%)に対する、熱膨張性粒子(i)の含有量は20質量%であった。
 そして、上記軽剥離フィルムの剥離剤層の表面上に、調製した組成物(y-2)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で120秒間乾燥して、厚さ50μmの膨張性基材(Y-2)を形成した。
[0161]
製造例5(膨張性粘着剤層(Y-3)の形成)
 粘着性樹脂である、上記アクリル系共重合体(ii)の固形分100質量部に、上記イソシアネート系架橋剤(i)6.3質量部(固形分比)、及び、上記熱膨張性粒子(i)を配合し、トルエンで希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(y-3)を調製した。
 なお、得られた組成物(y-3)中の有効成分の全量(100質量%)に対する、熱膨張性粒子(i)の含有量は20質量%であった。
 そして、上記軽剥離フィルムの剥離剤層の表面上に、調製した組成物(y-3)を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を100℃で120秒間乾燥して、厚さ50μmの膨張性粘着剤層(Y-3)を形成した。
[0162]
 製造例3~4で形成した膨張性基材(Y-1)~(Y-2)及び、製造例5で形成した膨張性粘着剤層(Y-3)について、上述の方法に基づき、23℃、100℃、及び使用した熱膨張性粒子の膨張開始温度である208℃での貯蔵弾性率E’及びプローブタック値をそれぞれ測定した。これらの結果を表1に示す。
[0163]
[表1]


[0164]
実施例1
 製造例1で形成した第1粘着剤層(X-1)と、製造例3で形成した膨張性基材(Y-1)との表面同士を貼り合わせ、膨張性基材(Y-1)側の軽剥離フィルムを除去し、表出した膨張性基材(Y-1)の表面上に、製造例2で形成した第2粘着剤層(X-2)を貼り合わせた。
 これにより、軽剥離フィルム/第2粘着剤層(X-2)/膨張性基材(Y-1)/第1粘着剤層(X-1)/重剥離フィルムをこの順で積層した粘着シート(1)を作製した。
[0165]
実施例2
 膨張性基材(Y-1)を、製造例4で形成した膨張性基材(Y-2)に置き換えた以外は、実施例1と同様にして、軽剥離フィルム/第2粘着剤層(X-2)/膨張性基材(Y-2)/第1粘着剤層(X-1)/重剥離フィルムをこの順で積層した粘着シート(2)を作製した。
[0166]
比較例1
 製造例2で形成した第2粘着剤層(X-2)と、製造例5で形成した膨張性粘着剤層(Y-3)との表面同士を貼り合わせた。そして、膨張性粘着剤層(Y-3)側の軽剥離フィルムを除去し、表出した膨張性粘着剤層(Y-3)の表面上に、製造例1で形成した第1粘着剤層(X-1)を貼り合わせた。
 これにより、軽剥離フィルム/第2粘着剤層(X-2)/膨張性粘着剤層(Y-3)/第1粘着剤層(X-1)/重剥離フィルムをこの順で積層した粘着シート(3)を作製した。
[0167]
比較例2
 製造例2で形成した第2粘着剤層(X-2)と、製造例5で形成した膨張性粘着剤層(Y-3)の表面同士を貼り合わせ、軽剥離フィルム/第2粘着剤層(X-2)/膨張性粘着剤層(Y-3)/軽剥離フィルムをこの順で積層した粘着シート(4)を作製した。
[0168]
 また、作製した粘着シート(1)~(4)について、以下の測定を行った。これらの結果を表2に示す。
[0169]
<封止工程時の半導体チップの位置ズレ評価>
 作製した粘着シート(1)~(3)が有する第2粘着剤層(X-2)側の軽剥離フィルムを除去し、表出した第2粘着剤層(X-2)の粘着表面に硬質支持体であるSUS板(厚さ1mm、サイズ:200mmφ)を貼付した。
 そして、粘着シート(1)~(3)の重剥離フィルムを除去し、表出した第1粘着剤層(X-1)の粘着表面上に、半導体チップ(チップサイズ6.4mm×6.4mm、チップ厚み200μm(♯2000))を9個、当該粘着表面と半導体チップの回路面とが接するように、必要な間隔であけて、載置した。また、粘着シート(4)の膨張性粘着剤層(Y-3)側の軽剥離フィルムを除去し、表出した膨張性粘着剤層(Y-3)の粘着表面上に、粘着シート(1)~(3)の場合と同様、半導体チップを載置した。
 その後、封止用樹脂フィルム(封止材)を、粘着表面及び半導体チップの上に積層し、真空加熱加圧ラミネーター(ROHM and HAAS社製の「7024HP5」)を用いて、第1粘着剤層(X-1)の粘着表面及び半導体チップを封止材で被覆すると共に、封止材を硬化させて硬化封止体を作製した。なお、封止条件は、下記の通りである。
・予熱温度:テーブル及びダイアフラムとも100℃
・真空引き:60秒間
・ダイナミックプレスモード:30秒間
・スタティックプレスモード:10秒間
・封止温度:180℃(熱膨張性粒子の膨張開始温度である208℃よりも低い温度)
・封止時間:60分間
[0170]
 封止後、粘着シート(1)~(4)を熱膨張性粒子の膨張開始温度(208℃)以上となる240℃で3分間加熱して粘着シート(1)~(4)から当該硬化封止体を分離し、分離した硬化封止体の表面(再配線層形成面)の半導体チップを目視及び顕微鏡にて観察し、半導体チップの位置ズレの有無を確認し、以下の基準で評価した。
・A:封止前より25μm以上の位置ズレが生じた半導体チップは確認されなかった。
・F:封止前より25μm以上の位置ズレが生じた半導体チップが確認された。
[0171]
<封止工程後の半導体チップ側の表面の平坦性の評価>
 粘着シート(1)~(4)を用いて、上述の「封止工程時の半導体チップの位置ズレ評価」と同様の手順で、硬化封止体を作製し、粘着シートから分離した。
 作製した硬化封止体のそれぞれの半導体チップ側の表面(再配線層形成面)を、接触式表面粗さ計(ミツトヨ社製「SV3000」)を用いて段差を測定し、以下の基準により評価した。
・A:2μm以上の段差が生じている箇所は確認されなかった。
・F:2μm以上の段差が生じている箇所が確認された。
[0172]
<加熱前後での粘着シートの粘着力の測定>
 作製した粘着シート(1)~(3)が有する第2粘着剤層(X-2)側の軽剥離フィルムを除去し、表出した第2粘着剤層(X-2)の粘着表面上に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、製品名「コスモシャインA4100」)を積層し、基材付き粘着シートとした。
 そして、粘着シート(1)~(3)の重剥離フィルムも除去し、表出した第1粘着剤層(X-1)の粘着表面を、被着体であるステンレス鋼板(SUS304 360番研磨)に貼付し、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、24時間静置したものを試験サンプルとした。また、粘着シート(4)の膨張性粘着剤層(Y-3)側の軽剥離フィルムを除去し、表出した膨張性粘着剤層(Y-3)の粘着表面に対し、粘着シート(1)~(3)と同様の手順で試験サンプルを準備した。
 そして、上記の試験サンプルを用いて、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、23℃における粘着力を測定した。
 また、上記の試験サンプルを、ホットプレート上にて、熱膨張性粒子の膨張開始温度(208℃)以上となる240℃で3分間加熱し、標準環境(23℃、50%RH(相対湿度))にて60分間静置した後、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、膨張開始温度以上での加熱後の粘着力も測定した。
 なお、被着体であるステンレス鋼板に貼付することができないほどに粘着力の測定が困難である場合には、「測定不能」とし、その粘着力は0(N/25mm)であるとした。
[0173]
[表2]


[0174]
 表2から、実施例1及び2の粘着シート(1)及び(2)を用いた製造方法によると、封止工程時の加熱時において、半導体チップの沈み込みの抑制効果が高いため、半導体チップの位置ズレも見られず、封止工程後の半導体チップ側の表面(再配線層形成面)も平坦であった。
 また、粘着シート(1)及び(2)は、加熱前は良好な粘着力を有するものの、膨張開始温度以上での加熱後は測定不能となる程度まで粘着力が低下していることから、剥離時には、わずかな力で容易に剥離可能であることが裏付けられる結果となった。
[0175]
 一方、比較例1の粘着シート(3)及び比較例2の粘着シート(4)は、膨張性基材ではなく、膨張性粘着剤層を有するため、封止工程時の加熱時において、半導体チップの沈み込みが生じてしまい、半導体チップの位置ズレが見られ、また、封止工程後の半導体チップ側の表面(再配線層形成面)に段差が見られた。そのため、例えば、FOWLP及びFOPLPを製造する際の封止工程での使用には適さないと考えられる。

符号の説明

[0176]
 10 両面粘着シート
 11 基材
 121 第1粘着剤層
 121a 粘着表面
 122 第2粘着剤層
 122a 粘着表面
 131、132 剥離材
 20 硬質支持体
 30 第1粘着剤層の粘着表面のうち、半導体チップの周辺部
 40 封止材
 41 硬化封止材
 50 硬化封止体
 50a 面
 61 第1絶縁層
 62 第2絶縁層
 70 再配線
 70A 外部電極パッド
 80 外部端子電極
 100 半導体装置
 CP 半導体チップ
 W1 回路面
 W2 回路
 W3 内部端子電極

請求の範囲

[請求項1]
 第1粘着剤層と、膨張性粒子を含み、非粘着性である基材と、第2粘着剤層と、をこの順に有する両面粘着シートを用いて半導体装置を製造する方法であって、
 下記工程(1)~(4)を有する、半導体装置の製造方法。
 工程(1):第2粘着剤層の粘着表面に、硬質支持体を貼付する工程
 工程(2):第1粘着剤層の粘着表面の一部に、半導体チップを載置する工程
 工程(3):前記半導体チップと、第1粘着剤層の粘着表面のうち、前記半導体チップの周辺部と、を封止材で被覆し、該封止材を硬化させて、前記半導体チップが硬化封止材に封止されてなる硬化封止体を得る工程
 工程(4):前記膨張性粒子を膨張させて、前記両面粘着シートを前記硬化封止体から剥離する工程
[請求項2]
 さらに、下記工程(5)を有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
 工程(5):前記両面粘着シートを剥離した硬化封止体に、再配線層を形成する工程
[請求項3]
 前記膨張性粒子が、熱膨張性粒子であり、前記工程(4)が、前記両面粘着シートを加熱することにより、前記熱膨張性粒子を膨張させて、前記両面粘着シートを前記硬化封止体から剥離する工程である、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項4]
 前記熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)が、120~250℃である、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項5]
 前記基材が、下記要件(1)~(2)を満たす、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
・要件(1):100℃における、前記基材の貯蔵弾性率E’(100)が、2.0×10 Pa以上である。
・要件(2):前記熱膨張性粒子の膨張開始温度(t)における、前記基材の貯蔵弾性率E’(t)が、1.0×10 Pa以下である。
[請求項6]
 前記膨張性粒子の23℃における膨張前の平均粒子径が、3~100μmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着シート。
[請求項7]
 23℃における、第1粘着材層の貯蔵せん断弾性率G’(23)が、1.0×10 ~1.0×10 Paである、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項8]
 23℃における、前記基材の厚さと、第1粘着剤層の厚さとの比(基材/第1粘着剤層)が0.2以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項9]
 23℃における、前記基材の厚さが10~1000μmであり、前記第1粘着剤層の厚さが1~60μmである、請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項10]
 前記基材の表面におけるプローブタック値が、50mN/5mmφ未満である、請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
[請求項11]
 請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法に用いられる両面粘着シートであって、第1粘着剤層と、膨張性粒子を含み、非粘着性である基材と、第2粘着剤層と、をこの順に有する両面粘着シート。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]