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1. (WO2018181735) 剥離紙原紙及びその製造方法、並びに剥離紙
Document

明 細 書

発明の名称 剥離紙原紙及びその製造方法、並びに剥離紙

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012  

発明の効果

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064  

実施例

0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : 剥離紙原紙及びその製造方法、並びに剥離紙

技術分野

[0001]
 本発明は、変性ポリビニルアルコール(A)及び酢酸ナトリウムを含有するコーティング剤を基材に塗工してなる剥離紙原紙及びその製造方法に関する。また本発明は、当該剥離紙原紙の表面に剥離層を形成した剥離紙に関する。

背景技術

[0002]
 ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略記することがある)は、親水性かつ結晶性を有する特異な合成高分子であり、紙分野において、紙力増強剤、蛍光白色顔料の分散剤、無機物(炭酸カルシウム、クレー、シリカ等)のバインダーとして使用されている。また、PVAは造膜性に優れるため、紙に塗工することにより、ガスなどに対するバリア性や耐油性を付与できる。
[0003]
 PVAが塗工された紙はバリア紙として用いられることがあり、バリア紙の代表例として、剥離紙原紙が挙げられる。剥離紙原紙は、通常、セルロース基材の表面にPVAを塗工することにより製造される。そして、この剥離紙原紙の表面に剥離層(シリコーン層)を形成することにより剥離紙が得られる。剥離紙におけるPVAは、高価なシリコーンや白金が基紙中に浸透するのを抑制する目止め剤の役割を担っている。昨今、このような目止め性に加え、剥離層のシリコーンの硬化を促進したり、PVA層とシリコーン層の密着性を改良できる剥離紙原紙が求められている。
[0004]
 特許文献1には、特定の条件を満たしたシリル基を有するPVAを塗工した剥離紙原紙が記載されている。このようなPVAを塗工した場合、目止め性に優れた剥離紙原紙を得ることができる。しかしながら、シリコーンの硬化を促進させる効果、基材とシリコーン層の密着性を向上させる効果は不十分であった。
[0005]
 特許文献2には、アセタール化反応によって側鎖に二重結合が導入されたPVAを塗工したセルロース基材が記載されている。通常、アセタール化反応は塩酸や硝酸といった揮発性の高い酸を使用するため、そのような酸がアセタール化PVA中に残存すると塗工工程において機器の腐食の原因となるため、改善が望まれていた。また、剥離層のシリコーンの硬化を促進させる効果も不十分であった。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2005-194672号公報
特許文献2 : 特表2013-531136号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、剥離紙原紙におけるシリコーンの目止め性に優れるとともに、剥離層のシリコーンの硬化を促進させ、かつ基材と剥離層との密着性を向上させることのできる剥離紙原紙及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、当該剥離紙原紙を用いて得られる剥離紙を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 上記課題は、変性ポリビニルアルコール(A)及び酢酸ナトリウムを含有するコーティング剤を基材に塗工してなる剥離紙原紙であって;変性ポリビニルアルコール(A)が、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)に由来する二重結合を側鎖に0.005モル%以上10モル%未満有し、1,2-グリコール結合単位を1.4モル%以上2.0モル%以下有し、かつ水溶性であり、変性ポリビニルアルコール(A)に対する酢酸ナトリウムの含有量が0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする剥離紙原紙を提供することによって解決される。
[0009]
 このとき、変性ポリビニルアルコール(A)の粘度平均重合度が400以上5000未満であり、けん化度が70.0モル%以上99.9モル%以下であることが好ましい。また、変性ポリビニルアルコール(A)が、さらにエチレン単位を主鎖に有し、該エチレン単位の含有量が1モル%以上10モル%以下であることが好ましい。
[0010]
 本発明は、上記の剥離紙原紙の製造方法であって;不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)とポリビニルアルコール(C)とを反応させて変性ポリビニルアルコール(A)を得る第1工程と、第1工程で得られた変性ポリビニルアルコール(A)と、酢酸ナトリウムとを水に溶解させてコーティング剤を得る第2工程と、第2工程で得られたコーティング剤を基材に塗工する第3工程とを備える剥離紙原紙の製造方法を提供することによっても解決される。
[0011]
 このとき、第1工程において、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)と、平均粒径50~500μmの粉状のポリビニルアルコール(C)とを反応させて変性ポリビニルアルコール(A)を得ることが好ましい。また、第2工程で得られるコーティング剤のpHが3.0以上7.0以下であることが好ましい。さらに、変性ポリビニルアルコール(A)が粉末であり、該粉末のイエローインデックスが40未満であることが好ましい。
[0012]
 このような剥離紙原紙と、該剥離紙原紙の表面に形成される剥離層とを有する剥離紙が本発明の好適な実施態様である。このとき、前記剥離層が、付加型シリコーン(D)と白金(E)とを含有し、付加型シリコーン(D)100質量部に対して白金(E)を0.001質量部以上0.05質量部以下含むことが好ましい。

発明の効果

[0013]
 本発明の剥離紙原紙は、シリコーンの目止め性に優れている。また、剥離紙原紙を用いることにより、剥離層のシリコーンの硬化を促進させ、かつ基材と剥離層との密着性を向上させることができる。したがって、本発明の剥離紙原紙を用いれば、剥離紙の製造において、付加型シリコーンの硬化工程に要する時間を短縮できる。

発明を実施するための形態

[0014]
(剥離紙原紙)
 本発明の剥離紙原紙は、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)に由来する二重結合を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール(A)と、酢酸ナトリウムとを特定量含有するコーティング剤を基材に塗工してなるものである。本発明の剥離紙原紙は、透気速度が小さくシリコーンの目止め性に優れている。また、このような剥離紙原紙を用いることにより、剥離層における付加型シリコーンの硬化を促進させることができるとともに、剥離層との密着性を向上させることもできる。本明細書において、変性ポリビニルアルコール(A)を変性PVA(A)と略記し、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)を化合物(B)と略記することがある。
[0015]
 本発明の剥離紙原紙の製造方法は特に限定されないが、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)とポリビニルアルコール(C)とを反応させて変性ポリビニルアルコール(A)を得る第1工程と、第1工程で得られた変性ポリビニルアルコール(A)と、酢酸ナトリウムとを水に溶解させてコーティング剤を得る第2工程と、第2工程で得られたコーティング剤を基材に塗工する第3工程とを備える方法が好適である。ここで、ポリビニルアルコール(C)は、化合物(B)に由来する二重結合を側鎖に有さないPVAのことである(以下、「PVA(C)」と記載することがある)。
[0016]
(変性PVA(A))
 上記PVA(C)は、ビニルエステル系単量体を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等の従来公知の方法を採用して重合させることにより、製造できる。工業的観点から好ましい重合方法は、溶液重合法、乳化重合法および分散重合法である。重合操作にあたっては、回分法、半回分法および連続法のいずれの重合方式も採用できる。
[0017]
 重合に用いることができるビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどを挙げることができ、これらの中でも酢酸ビニルが工業的観点から好ましい。
[0018]
 ビニルエステル系単量体の重合に際して、本発明の趣旨を損なわない範囲であればビニルエステル系単量体を他の単量体を共重合させても差し支えない。使用しうる単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブチレンなどのα-オレフィン;アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸i-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸i-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N-メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N-メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。このような他の単量体の共重合量は、通常、10モル%以下である。
[0019]
 また、ビニルエステル系単量体の重合に際して、得られるポリビニルエステルの重合度を調節することなどを目的として、連鎖移動剤を共存させても差し支えない。連鎖移動剤としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;2-ヒドロキシエタンチオール、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられ、中でもアルデヒド類およびケトン類が好適に用いられる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数および目的とするポリビニルエステルの重合度に応じて決定されるが、一般にビニルエステル系単量体に対して0.1~10質量%が望ましい。
[0020]
 ポリビニルエステルのけん化反応には、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基性触媒、またはp-トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いた、加アルコール分解ないし加水分解反応が適用できる。けん化反応に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。中でも、メタノールまたはメタノールと酢酸メチルとの混合溶液を溶媒として用い、塩基性触媒である水酸化ナトリウムの存在下にけん化反応を行うのが簡便であり好ましい。
[0021]
 本発明で用いる変性PVA(A)が水溶性であることが重要である。本明細書において、変性PVA(A)が水溶性であるとは、温度98℃において、変性PVA(A)が溶解した、濃度4質量%の水溶液が得られることをいう。
[0022]
 変性PVA(A)が、化合物(B)に由来する二重結合を側鎖に0.005モル%以上10モル%未満有することが重要である。ここで、変性PVA(A)が化合物(B)に由来する二重結合を側鎖に0.005モル%以上10モル%未満有するとは、変性PVA(A)が、化合物(B)に由来する二重結合を側鎖に有し、当該二重結合量が全モノマー単位に対して0.005モル%以上10モル%未満であることをいう。
[0023]
 上記二重結合の量が0.005モル%未満である場合、剥離層のシリコーンの硬化を促進させることができない。また、基材と剥離層との密着性が不十分となる。上記二重結合の量は、0.01モル%以上であることが好ましく、0.03モル%以上であることがより好ましい。一方、上記二重結合の量が10モル%以上の変性PVA(A)は、製造が困難であり、製造できたとしても生産性が低い。上記二重結合の量は、5モル%以下であることが好ましく、2モル%以下であることがより好ましく、1.5モル%以下であることがさらに好ましい。なお、上記二重結合は、炭素-炭素二重結合を意味する。
[0024]
 変性PVA(A)における化合物(B)に由来する二重結合の量は公知の方法で測定可能である。具体的には H-NMRによる測定が簡便である。当該二重結合の量を測定する場合は、未反応の化合物(B)をあらかじめ除去し、精製した後に行うことが好ましい。精製方法に特に制限はなく、変性PVA(A)が溶解せず、未反応の化合物(B)が溶解可能な溶液で洗浄する方法も可能であるが、変性PVA(A)を一度、濃度1~20質量%程度の水溶液とした後、変性PVA(A)が溶解せず、未反応の化合物(B)が溶解可能な溶液中に水溶液を滴下し、変性PVA(A)を析出させることで精製する再沈殿法が簡便で好ましい。
[0025]
 変性PVA(A)の粘度平均重合度は、400以上であることが好ましく、700以上であることがより好ましく、900以上であることがさらに好ましい。一方、変性PVA(A)の粘度平均重合度は、5000未満であることが好ましく、3000未満であることがより好ましく、2500未満であることがさらに好ましい。粘度平均重合度はJIS-K6726(1994年)に準じて測定して得られる値である。具体的には、けん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](リットル/g)を用いて下記式により粘度平均重合度(P)を求めた。
  P=([η]×10 /8.29) (1/0.62)
[0026]
 変性PVA(A)の水溶性の観点から、変性PVA(A)のけん化度は、70.0モル%以上であることが好ましく、75.0モル%以上であることがより好ましく、80.0モル%以上であることがさらに好ましい。一方、変性PVA(A)のけん化度は、99.9モル%以下であることが好ましく、99.5モル%以下であることがより好ましい。けん化度はJIS-K6726(1994年)に準じて測定して得られる値である。
[0027]
 変性PVA(A)が、1,2-グリコール結合単位を1.4モル%以上2.0モル%以下有することが重要である。1,2-グリコール結合単位の含有量が1.4モル%未満であると、コーティング剤にせん断をかけるとフィブリルが形成されるため、塗工安定性が不十分となる。なお、フィブリルとは、コーティング剤に含まれる変性PVA(A)が会合して得られる糸状の析出物を意味する。1,2-グリコール結合単位の含有量は、1.5モル%以上であることが好ましく、1.6モル%以上であることがより好ましい。一方、1,2-グリコール結合単位の含有量が2.0モル%を超える変性PVA(A)は、吸水性が高いため、保管時に基材と剥離層との密着性が不十分となる。1,2-グリコール結合単位の含有量は、1.9モル%以下であることが好ましく、1.8モル%以下であることがより好ましい。なお、1,2-グリコール結合単位の含有量は、後述の実施例の通り H-NMRスペクトルの解析から求められる。
[0028]
 変性PVA(A)における1,2-グリコール単位結合の含有量を調製する方法は特に限定されないが、例えばビニレンカーボネートを、PVA(C)における1,2-グリコール結合単位の量が上記範囲内になるよう共重合する方法や、重合温度を通常の条件より高い温度、具体的には、例えば75~200℃とし、加圧下に重合する方法などが採用される。後者の方法において、重合温度は190℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。
[0029]
 変性PVA(A)が、さらにエチレン単位を主鎖に有し、該エチレン単位の含有量が1モル%以上10モル%以下であることが好ましい。ここで、エチレン単位を主鎖に有するとは、変性PVA(A)が、エチレンモノマーに由来する構造単位(-(CH 2-CH 2)-)を主鎖に有することをいう。また、エチレン単位の含有量とは、変性PVA(A)の主鎖を構成する単量体単位のモル数に対するエチレンに由来する構造単位のモル数を表す。
[0030]
 エチレン単位の含有量を1モル%以上とすることで、色相のより優れた変性PVA(A)を得ることができる。そのため、変性PVA(A)及び酢酸ナトリウムを水に溶解させたコーティング剤を紙などの基材に塗布した場合、基材の色調が悪化するおそれがない。エチレン単位の含有量は、1.5モル%以上であることがより好ましく、2.5モル%以上であることがさらに好ましい。一方、エチレン単位の含有量が10モル%を超える場合、変性PVA(A)を水に溶解させたときに不溶物が生じるおそれがある。エチレン単位の含有量は8モル%以下であることがより好ましい。主鎖にエチレン単位を有する変性PVA(A)は、主鎖にエチレン単位を有するPVA(エチレン-ビニルアルコール共重合体)を、PVA(C)として用いることで得ることができる。このようにエチレン単位を有するPVA(C)は、ビニルエステル系単量体とエチレンとを共重合させてエチレン-ビニルエステル共重合体を得てから、当該エチレン-ビニルエステル共重合体をけん化することにより得ることができる。
[0031]
(化合物(B))
 本発明で用いられる化合物(B)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、プロピン酸、2-ペンテン酸、4-ペンテン酸、2-ヘプテン酸、2-オクテン酸、ケイ皮酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ムコン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;アコニット酸等の不飽和トリカルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル;アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル等の不飽和カルボン酸ヒドロキシエステル;アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸2-エトキシエチル、メタクリル酸2-メトキシエチル、メタクリル酸2-エトキシエチル等の不飽和カルボン酸アルコキシエステル;マレイン酸モノメチルエステル(マレイン酸モノメチル)などのマレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル;マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等の不飽和ジカルボン酸ジエステルが挙げられる。これらのカルボン酸は塩として用いることもできる。カルボン酸またはそれらの塩は単独で使用することもできるし、二種以上を併用して用いることもできる。
[0032]
 これらの中でも化合物(B)が、PVA(C)の水酸基との反応性の観点から、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸モノエステル、不飽和モノカルボン酸ヒドロキシエステル、不飽和ジカルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又は不飽和ジカルボン酸モノエステルであることが好ましい。沸点がある程度高く扱いやすい観点から、化合物(B)が、メタクリル酸メチル、3,3-ジメチル-4-ペンテン酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、アコニット酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ムコン酸又はマレイン酸モノアルキルエステルであることがより好ましい。反応性制御の観点から、化合物(B)が、シトラコン酸、フマル酸又はイタコン酸であることがさらに好ましい。
[0033]
(酢酸ナトリウム)
 コーティング剤における酢酸ナトリウムの含有量は、変性PVA(A)に対して0.01質量%以上10質量%以下であることが重要である。酢酸ナトリウムの含有量が0.01質量%未満である場合、コーティング剤(塗工液)のpHが低くなりすぎるため、塗工機の腐食が問題となる。酢酸ナトリウムの含有量は0.05質量%以上であることが好ましく、0.10質量%以上であることがより好ましく、0.15質量%以上であることがさらに好ましい。一方、酢酸ナトリウムの含有量が10質量%を超える場合、基材と剥離層との密着性を向上させることができない。酢酸ナトリウムの含有量は8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましい。
[0034]
 酢酸ナトリウムを添加する方法は特に限定されず、例えば、(i)酢酸ナトリウムの存在下で、化合物(B)とPVA(C)とを反応させる方法、(ii)変性PVA(A)と酢酸ナトリウムとを水に溶解させる方法などが挙げられる。中でも、上記(ii)の方法が好ましい。
[0035]
(その他の成分)
 本発明に用いられるコーティング剤には、本発明の効果が阻害されない範囲で、変性PVA(A)及び酢酸ナトリウム以外の他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば、SBRラテックス、NBRラテックス、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、(メタ)アクリルエステル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョンなどの水性分散性樹脂;小麦、コーン、米、馬鈴薯、甘しょ、タピオカ、サゴ椰子などから得られる生澱粉;酸化澱粉、デキストリンなどの生澱粉分解産物;エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉などの澱粉誘導体;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体;グルコース、フルクトース、異性化糖、キシロースなどの単糖類;マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、パラチノース、還元麦芽糖、還元パラチノース、還元乳糖などの二糖類;水あめ、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳糖オリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、カップリングシュガー、シクロデキストリン化合物などのオリゴ糖類;プルラン、ペクチン、寒天、コンニャクマンナン、ポリデキストロース、キサンタンガムなどの多糖類;アルブミン、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、アニオン変性PVA、アルギン酸ナトリウム、水溶性ポリエステルなどが挙げられる。
[0036]
 また、他の成分として、顔料も挙げられる。顔料としては、一般に塗工紙製造分野で使用される無機顔料(クレー、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルクなど)および有機顔料(プラスチックピグメントなど)が挙げられる。
[0037]
 さらに、他の成分として、例えば、粘度調整剤、密着性向上剤、消泡剤、可塑剤、耐水化剤、防腐剤、酸化防止剤、浸透剤、界面活性剤、填料、澱粉及びその誘導体、ラテックスなどが挙げられる。
[0038]
 上記コーティング剤におけるこれらの他の成分の含有量は、通常、変性PVA(A)100質量部に対して、50質量部以下である。
[0039]
(剥離紙原紙の製造方法)
 本発明の剥離紙原紙は、変性PVA(A)及び酢酸ナトリウムを含有するコーティング剤を基材に塗工してなる剥離紙原紙である。剥離紙原紙の製造方法は特に限定されないが、化合物(B)とPVA(C)とを反応させて変性PVA(A)を得る第1工程と、第1工程で得られた変性PVA(A)と、酢酸ナトリウムとを水に溶解させてコーティング剤を得る第2工程と、第2工程で得られたコーティング剤を基材に塗工する第3工程とを備える方法が好適である。
[0040]
 第1工程において、化合物(B)とPVA(C)とを反応させて変性PVA(A)を得る。このとき、反応を促進させるために、反応を行う際に加熱することが好ましい。加熱温度は、80~180℃であることが好ましい。加熱時間は加熱温度との関係で適宜設定されるが、通常、10分~24時間である。
[0041]
 また、第1工程において、共役二重結合を有し、該共役二重結合に結合した水酸基を2つ以上有する化合物、又はその塩若しくはその酸化物(以下、「化合物(F)」と略記する)の存在下で、化合物(B)とPVA(C)とを反応させて変性PVA(A)を得ることもできる。ここで、共役二重結合に結合した水酸基とは、共役している炭素-炭素二重結合を構成する炭素に結合した水酸基のことをいう。当該水酸基は共役している炭素-炭素二重結合を構成する炭素に結合していればよく、その結合位置は特に限定されず、水酸基の総数が2つ以上であればよい。このような化合物(F)の存在下で、化合物(B)とPVA(C)とを反応させることにより、より優れた色調の変性PVA(A)を得ることができる。
[0042]
 共役二重結合を有する化合物としては、ベンゼンのような芳香族炭化水素や、分子内のカルボニル基と共役した炭素-炭素二重結合を有するα,β-不飽和カルボニル化合物などが挙げられる。化合物(F)としては、芳香族炭化水素に水酸基が2つ以上結合した化合物、又はその塩若しくはその酸化物であることが好ましく、芳香族炭化水素に水酸基が2つ以上結合した化合物であることがより好ましく、フェノールカルボン酸又はフェノールカルボン酸エステルであることがさらに好ましい。フェノールカルボン酸としては没食子酸が例示され、フェノールカルボン酸エステルとしては没食子酸アルキルエステルが例示される。第1工程における化合物(F)の量は、PVA(C)100質量部に対して0.001質量部以上5質量部未満であることが好ましい。
[0043]
 化合物(B)とPVA(C)とを反応させる方法は特に限定されないが、(i)化合物(B)とPVA(C)とを溶媒に溶解させ、溶液中で化合物(B)とPVA(C)とを反応させる方法、(ii)粉体の化合物(B)と粉体のPVA(C)とを無溶媒で反応させる方法、(iii)化合物(B)を溶媒に溶解させた溶液にPVA(C)の粉末を加えて膨潤させた後、当該溶媒を除去することにより混合粉末を得て、得られた混合粉末を加熱する方法等が挙げられる。
[0044]
 方法(i)で用いられる溶媒は、化合物(B)とPVA(C)とを溶解させることができる溶媒であれば特に限定されない。例えば、水、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。溶液の固形分濃度は、1~40質量%であることが好ましい。
[0045]
 方法(iii)において、化合物(B)を溶解させる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、酢酸メチルなどのエステル、水などが用いられる。溶媒の除去は加熱又は減圧することにより行うことができる。
[0046]
 方法(ii)又は(iii)において、加熱する前の混合粉末における、化合物(B)の量は、PVA(C)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることが特に好ましい。一方、加熱する前の混合粉末における、化合物(B)の量は、PVA(C)100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましく、3.5質量部以下であることが特に好ましい。
[0047]
 方法(i)を採用した場合、化合物(B)に由来する二重結合の変性量を上げるために、多量の化合物(B)を仕込む必要があったり、反応時間が長くなったりするという問題があった。また、反応性を上げるために触媒を使用することが考えられるが、得られた変性PVA(A)中に触媒が残存することにより、変性PVA(A)にエステル化により結合していた化合物(B)が保存時に加水分解し、結果として得られる剥離紙原紙又は剥離紙の性能が低下する懸念がある。また、変性PVA(A)を得るためには、PVA(C)の溶解工程、化合物(B)との反応工程、洗浄工程、溶媒除去工程など多くの工程が必要であり、生産性や製造コストの点で問題となる場合がある。かかる観点から、上記方法(ii)又は(iii)が好適に採用される。生産性や製造コストを重視する場合には、上記方法(ii)が好ましく、変性PVA(A)の均質性を重視する場合には、上記方法(iii)が好ましい。
[0048]
 第1工程において、化合物(B)と、平均粒径50~500μmの粉状のPVA(C)とを反応させて変性PVA(A)を得ることが好ましい。平均粒径が50μm未満の場合、PVA(C)が微粉になり過ぎて取り扱いが煩雑となるおそれがある。平均粒径は100μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。一方、上記平均粒径が5000μmを超えると、化合物(B)との反応性が低下して、化合物(B)に由来する二重結合が必要量導入されないおそれがある。平均粒径は3000μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましい。平均粒径とは、約50μm毎のメッシュサイズ間隔で準備した目皿にて分級した際、最も多くのPVA(C)が目皿上に残ったメッシュサイズを示したものである。また、上記方法(iii)における、PVA(C)の平均粒径とは、溶液に加える前のPVA(C)の平均粒径のことをいう。
[0049]
 第1工程で得られる変性PVA(A)からなる粉末のイエローインデックス(以下、「YI」と略記することがある)が40未満であることが好ましい。YIが40以上である場合、コーティング剤を紙などの基材に塗布したときに基材の色調が悪化するおそれがある。YIは30以下であることがより好ましく、25以下であることがさらに好ましく、20以下であることが特に好ましい。本明細書におけるYIとは、JIS-Z8722(2009年)及びJIS-K7373(2006年)に準じて測定、計算された値のことである。
[0050]
 第2工程において、第1工程で得られた変性PVA(A)と、酢酸ナトリウムとを水(溶媒)に溶解させてコーティング剤を得る。変性PVA(A)と、酢酸ナトリウムとを溶解させる溶媒には、水以外の他の成分が含まれていてもかまわない。他の成分としては、親水性溶媒が挙げられる。親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、アセトニトリルなどのニトリル類などが挙げられる。また、コーティング剤には、クレイなどの水に不溶な無機粒子が含まれていてもかまわない。コーティング剤における、水以外の他の成分の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
[0051]
 コーティング剤における固形分濃度は、2~30質量%であることが好ましい。固形分濃度が2質量%未満の場合、コーティング剤の紙への染み込みが多くなり、シリコーン目止め効果が低下するおそれがある。固形分濃度は4質量%以上であることがより好ましい。一方、固形分濃度が30質量%を超えると、コーティング剤を紙に塗布した際にレベリングし難く、塗工面の状態が悪化するおそれがある。固形分濃度は25質量%以下であることがより好ましい。
[0052]
 第2工程で得られるコーティング剤のpHは、3.0以上7.0以下であることが好ましい。コーティング剤のpHが上記範囲にあることにより、塗工機の腐食がより一層低減される。コーティング剤のpHは、3.5以上であることがより好ましく、4.0以上であることがさらに好ましい。コーティング剤のpHは、6.8以下であることがより好ましい。
[0053]
 第3工程において、第2工程で得られたコーティング剤を基材である紙に塗工する。紙としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ等の化学パルプやGP(砕木パルプ)、RGP(リファイナーグランドパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ等を抄紙して得られる公知の紙または合成紙を用いることができる。また、上記紙としては、上質紙、中質紙、アルカリ性紙、グラシン紙、セミグラシン紙、または段ボール用、建材用、白ボール用、チップボール用等に用いられる板紙、白板紙等も用いることができる。なお、紙中には、有機および無機の顔料、並びに紙力増強剤、サイズ剤、歩留まり向上剤等の抄紙補助薬品が含まれてもよい。また、紙は各種表面処理が施されたものであってもよい。
[0054]
 コーティング液の塗工は、一般の塗工紙用途設備で行うことができるが、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、トランスファーロールコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター、カーテンコーター、ワイヤーバーコーター等の塗工装置を設けたオンマシンコーター又はオフマシンコーターによって、基材上に一層又は多層に分けてコーティング剤を塗工できる。また、塗工後の乾燥方法としては、例えば、熱風加熱、ガスヒーター加熱、赤外線ヒーター加熱等の各種加熱乾燥方法を適宜採用できる。塗工量は固形分換算で0.3~5.0g/m であることが好ましい。塗工量が0.3g/m 未満であると、シリコーンの目止め効果が低下するおそれがある。塗工量は0.5g/m 以上であることがより好ましい。一方、塗工量が5.0g/m を超える場合、目止め層が基材上で平面を作り過ぎるため表面積が低下し、その後シリコーン層を形成させても、シリコーン層との密着性が充分に得られないことがある。塗工量は3.0g/m 以下であることがより好ましい。
[0055]
 本発明において、目止め層の目止め効果を判断する手法として、JIS-P8117(2009年)に準じて王研式滑度透気度試験機を用いて測定した透気度を用いることができる。透気度は、1500sec以上であることが好ましく、2000sec以上であることがより好ましく、5000sec以上であることがさらに好ましく、10000sec以上であることが特に好ましく、30000sec以上であることが最も好ましい。透気度が2000sec未満になると目止め効果が低下するおそれがある。なお、透気度の値(秒数;sec)が小さいほど、透気速度が大きいことを意味する。
[0056]
 目止め効果を高めるために、コーティング液を塗工後、乾燥させ、その効果を損なわない限りにおいて、平滑化処理を行うことができる。平滑化処理としては、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、マルチニップカレンダー、ソフトカレンダー、ベルトニップカレンダーなどが好適に採用される。
[0057]
(剥離紙)
 また、上記剥離紙原紙と、当該該剥離紙原紙の表面に形成される剥離層とを有する剥離紙が本発明の好適な実施態様である。このとき、前記剥離層が、付加型シリコーン(D)と白金(E)とを含み、付加型シリコーン(D)100質量部に対して白金(E)を0.001質量部以上0.05質量部以下含むことが好ましい。白金(E)の量がこのような範囲にあることで、シリコーン硬化性に優れた剥離紙を得ることができる。白金(E)の量が0.001質量部未満の場合、付加型シリコーン(D)の硬化が十分に進行せず、高温での処理を要することになる。白金(E)の量は、0.002質量部以上であることが好ましく、0.004質量部以上であることがより好ましい。一方、白金(E)の量が0.05質量部を超える場合、高コストとなるため経済性に問題が生じる。白金(E)の量は、0.03質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以下であることがより好ましい。
[0058]
(付加型シリコーン(D))
 本発明に用いる付加型シリコーン(D)は、SiH基と反応性を有する炭素-炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン(d1)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するオルガノ水素ポリシロキサン(d2)とが白金触媒の存在下でヒドロシリル化反応することにより得られるものである。
[0059]
 SiH基と反応性を有する炭素-炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン(d1)は、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基などの炭素-炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンは、例えば主鎖がジオルガノシロキサンの繰返し単位であり、末端がトリオルガノシロキサン構造であるものが例示され、分岐や環状構造を有するものであってもよい。末端や繰返し単位中のケイ素に結合するオルガノ基としては、メチル基、エチル基、フェニル基などが例示される。具体例としては、両末端にビニル基を有するメチルフェニルポリシロキサンが挙げられる。
[0060]
 1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するオルガノ水素ポリシロキサン(d2)は、末端および/または繰返し構造中において、2個以上のSiH基を含有するオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンは、例えば主鎖がジオルガノシロキサンの繰返し単位であり、末端がトリオルガノシロキサン構造であるものが例示され、分岐や環状構造を有するものであってもよい。末端や繰返し単位中のケイ素に結合するオルガノ基としては、メチル基、エチル基、オクチル基、フェニル基などが例示され、これらの2個以上が水素に置換されたものである。
[0061]
 本発明に用いる付加型シリコーン(D)は、溶剤型、無溶剤型、エマルジョン型の中から適宜選択されるが、環境負荷低減や塗工性の観点から、無溶剤型の付加型シリコーンが好適に採用される。無溶剤型の付加型シリコーン(D)としては、SP7015、SP7259、SP7025、SP7248S、SP7268S、SP7030、SP7265S、LTC1006L、LTC1056Lなどの東レダウコーニング社製のシリコーン;KNS-3051、KNS-320A、KNS-316、KNS-3002、KNS-3300、X-62-1387などの信越シリコーン社製のシリコーン;DEHESIVE920、DEHESIVE921、DEHESIVE924、DEHESIVE927、DEHESIVE929などの旭化成ワッカーシリコーン社製のシリコーン;KF-SL101、KF-SL201、KF-SL202、KF-SL301、KF-SL302などの荒川化学工業社製のシリコーン;TPR6600、SL6625などのモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のシリコーンなどが挙げられる。これらのシリコーンは必ずしも単独で使用する必要はなく、必要に応じて2種以上混合して用いることもできる。
[0062]
(白金(E))
 シリコーンの硬化には通常白金触媒が用いられるが、本発明に用いる白金触媒の種類は特に限定されない。ヒドロシリル化反応によって付加型シリコーン(D)を硬化するものが好適に用いられる。例えば、SP7077R、SRX212などの東レダウコーニング社製の白金触媒、CATA93Bなどの荒川化学工業社製の白金触媒などが挙げられる。これらの白金触媒は必ずしも単独で使用する必要はなく、必要に応じて2種以上混合して用いることもできる。白金触媒中の白金をICP発光分光分析装置等で定量することで白金(E)の量が求められる。
[0063]
(剥離紙の製造方法)
 本発明の剥離紙の製造方法は特に限定されないが、変性PVA(A)及び酢酸ナトリウムを含有するコーティング剤を基材上に塗工し、当該基材上に目止め層を形成した後に、付加型シリコーン(D)と白金(E)の量が上記の範囲になるように調製した塗工液を、目止め層上に塗工して剥離層を形成する方法が好適に採用される。剥離層を形成する塗工液の塗工量は、特に限定されないが、固形分量で0.1~5g/m であることが好ましい。塗工量が0.1g/m 未満になると剥離性に劣ることがある。塗工量は、固形分量で0.3g/m 以上であることがより好ましい。塗工量が5g/m を超える場合、付加型シリコーン(D)及び白金(E)を含む剥離層と目止め層との密着性が低下するおそれがある。塗工量は、固形分量で3g/m 以下であることがより好ましい。塗工方法は種々の方法が用いられるが、ブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどが好適である。
[0064]
 本発明の剥離紙における剥離層には、本発明の効果を阻害しない範囲で、付加型シリコーン(D)及び白金(E)以外の他の成分が含まれていても構わない。他の成分の配合量としては、剥離層全量100質量部に対して、通常30質量部以下である。他の成分としては、例えば、粘度調整剤、密着性向上剤、消泡剤、可塑剤、耐水化剤、防腐剤、酸化防止剤、浸透剤、界面活性剤、無機顔料、有機顔料、填料、澱粉及びその誘導体、セルロースおよびその誘導体、糖類、ラテックスなどが挙げられる。
実施例
[0065]
 以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、実施例中、特に断りのない限り、「%」および「部」はそれぞれ「質量%」および「質量部」を意味する。
[0066]
[PVAの粘度平均重合度]
 PVAの粘度平均重合度はJIS-K6726(1994年)に準じて測定した。具体的には、けん化度99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](リットル/g)を用いて下記式により粘度平均重合度(P)を求めた。
  P=([η]×10 /8.29) (1/0.62)
[0067]
[PVAのけん化度]
 PVAのけん化度は、JIS-K6726(1994年)に記載の方法により求めた。
[0068]
[変性PVA(A)に導入された二重結合の量]
 変性PVA(A)について、 H-NMRを用いて変性PVA(A)中に導入された二重結合の量を測定した。なお、当該二重結合の量は変性PVA(A)の全モノマー単位に対する二重結合の量である。
[0069]
[PVAの1,2-グリコール結合単位の含有量]
 以下の実施例で得られた変性PVA(A)に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加え、60℃で5時間保つことで、変性PVA(A)を再けん化した。このとき、変性PVA(A)のビニルアルコール単位1モルに対して水酸化ナトリウム量が0.1モルとなる量とした。得られたPVAをメタノールにて1週間ソックスレー抽出することで、けん化度が99.9モル%以上の精製PVAを得た。
[0070]
 上記方法で得られた精製PVAを90℃で2日間減圧乾燥してメタノールを完全に除去した。そして、精製PVAをジメチルスルホキシド-d に溶解して0.1質量%溶液にし、当該溶液にトリフルオロ酢酸を数滴(約0.1ml)加えて、 H-NMRを測定した。精製PVAに含まれる1,2-グリコール結合単位(1,2-グリコール結合で結合した単量体単位)の含有量は、ビニルアルコール単位のメチンプロトンに由来する3.2~4.0ppmのピーク(積分値α)と、1,2-グリコール結合単位の1つのメチンプロトンに由来する3.25ppmのピーク(積分値β)とから、下記式(I)に従って算出される。ここで、再けん化の前後で変性PVA(A)の1,2-グリコール結合単位の含有量は変化しないから、下記式(I)で求められる値が変性PVA(A)の1,2-グリコール結合単位の含有量となる。
  PVAの1,2-グリコール結合単位の含有量(モル%)=100×β/α (I)
[0071]
実施例1
[変性PVA(A)の製造]
 セパラブルフラスコにジメチルスルホキシド(DMSO)を400質量部、PVA(C)として、粘度平均重合度500、けん化度88.2モル%及び1,2-グリコ結合単位の含有量1.6モル%のPVAを100質量部加え、攪拌しながら105℃に昇温することで、均一溶液を得た。そこへ、化合物(B)として、メタクリル酸メチルを44質量部、フェノチアジンを1.1質量部加え、均一になるまで攪拌した。均一になった後、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物を1.8重量部加え5時間反応させた後、室温まで放冷した。反応溶液にDMSOを100質量部加え希釈した後、1000質量部のメタノールに滴下することで、変性PVAを析出させた。析出させた変性PVAを1000質量部のメタノールで2回洗浄したのち、真空乾燥させることで変性PVA(A)を得た。
[0072]
 得られた変性PVA(A)について H-NMR測定を行ったところ、二重結合の含有量は1.00モル%であった。また、粘度平均重合度は500、けん化度は87.1モル%及び1,2-グリコール結合単位の含有量は1.6モル%であった。結果を表1に示す。
[0073]
[変性PVA(A)からなる粉末のイエローインデックス(YI)]
 変性PVA(A)からなる粉末のイエローインデックス(YI)は、得られた変性PVA(A)からなる粉末について、篩(メッシュサイズ:100μm、1000μm)を用いて100μm未満および1000μmを越える粉を除去したのち、カラーメーター(スガ試験機製SM-T-H1)を用いて測定した。なお、イエローインデックスはJIS-Z8722(2009年)およびJIS-K7373(2006年)に準じて測定、計算された値である。その結果、変性PVA(A)からなる粉末のイエローインデックス(YI)は18であった。結果を表2に示す。
[0074]
[変性PVA(A)の水溶性の評価]
 得られた変性PVA(A)を98℃の水にそれぞれ溶解させて4質量%の水溶液を調製した。水溶液を目視に確認し、以下の評価基準にしたがって評価した。結果を表2に示す。
  A:98℃で溶解していた。
  B:98℃で液中に不溶物が発生していた。
[0075]
[剥離紙原紙の作製]
 変性PVA(A)の6質量%水溶液を調製し、この水溶液に変性PVA(A)に対する酢酸ナトリウムの含有量が1.3質量%となるように酢酸ナトリウムを添加することでコーティング剤を得た。このコーティング剤を、ワイヤーバーを用いて、透気度100秒のグラシン紙に塗工量が乾燥質量で約1g/m となるように塗工した。塗工後、100℃5分間乾燥させることで塗工紙を得た。得られた塗工紙をスーパーカレンダーにて、70℃、400kg/cm で2回処理することで剥離紙原紙を得た。
[0076]
[コーティング剤のpH]
 剥離紙原紙の作製に用いたコーティング剤のpHを測定した。pHが低いほど塗工液が強酸性溶液であるため、塗工機の腐食が問題となる。結果を表2に示す。
[0077]
[塗工安定性]
 剥離紙原紙の作製に用いたコーティング剤を、変性PVA(A)の濃度が2質量%となるように水で希釈した。希釈した水溶液を20℃において200rpmで攪拌した際に、水溶液中に生成されるフィブリルの有無を観察することで、塗工安定性を評価した。結果を表2に示す。
  A:フィブリルは出来なかった。
  B:フィブリルが生成した。
[0078]
[剥離紙原紙の透気度評価]
 剥離紙原紙の透気度を、JIS-P8117(2009年)に準じて王研式滑度透気度試験機を用いて測定することでシリコーンの目止め性の指標とした。結果を表2に示す。
[0079]
[シリコーン硬化性の評価]
 付加型シリコーン(D)として東レダウコーニング社製のLTC1056Lを、白金触媒としてSRX212を用い、付加型シリコーン(D)と白金(E)との比が100/0.007になるように混合した塗工液を、得られた剥離紙原紙上に塗工固形分量1.5g/m となるようにブレードコーターで塗工した。こうすることによって剥離紙原紙上にシリコーン層を形成させた。そして、110℃で熱処理してシリコーンが硬化するまでの時間を計測した。ここで、シリコーンが硬化するまでの時間とは、所定時間間隔でシリコーン層を指で強く10回擦り、シリコーン層が全く剥がれなくなるまでに要した時間(秒)のことをいう。結果を表2に示す。
[0080]
[剥離層の密着性評価]
 付加型シリコーン(D)として東レダウコーニング社製のLTC1056Lを、白金触媒としてSRX212を用い、付加型シリコーン(D)と白金(E)との比が100/0.009になるように混合した塗工液を、得られた剥離紙原紙上に塗工固形分量1.5g/m となるようにブレードコーターで塗工し、110℃で90秒熱処理し、剥離紙原紙上に剥離層(シリコーン層)が形成された剥離紙を得た。得られた剥離紙を下記の指標で評価した。結果を表2に示す。
  A:40℃、90%RHの条件下で、1週間放置した後、シリコーン層を指で強く擦った。その結果、シリコーン層は剥がれなかった。同じ条件下で、さらに1週間放置した後、シリコーン層を指で強く擦った。その結果、シリコーン層は剥がれなかった。
  B:40℃、90%RHの条件下で、1週間放置した後、シリコーン層を指で強く擦った。その結果、シリコーン層は剥がれなかった。しかしながら、同じ条件下で、さらに1週間放置した後にシリコーン層を指で強く擦ったらシリコーン層は剥がれた。
  C:40℃、90%RHの条件下で、1週間放置した後、シリコーン層を指で強く擦った。その結果、シリコーン層は剥がれた。
[0081]
実施例2
 PVA(C)の種類及び化合物(B)の量を表1に示すとおりに変更し、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物に代えて酢酸ナトリウム1.9質量部を用いた以外は実施例1と同様にして変性PVA(A)を製造した。変性PVA(A)の製造条件を表1に示し、分析結果を表1及び2に示す。そして、酢酸ナトリウムの量を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング剤を得た。コーティング剤の評価結果を表2に示す。また、実施例1と同様にして剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
[0082]
実施例3
[変性PVA(A)の製造]
 攪拌機、還流冷却管、窒素導入管及び反応基質の添加口を備えた反応器に、PVA(C)として、粘度平均重合度1000、けん化度99.5モル%、エチレン変性量6モル%、1,2-グリコール結合単位の含有量が1.7モル%のPVA100質量部とDMSO400質量部を添加し、濃度20質量%の溶液を調製した。ここに、化合物(B)として、3,3-ジメチルペンテン酸メチル65質量部と、触媒としてテトラメチルアンモニウムメチルカーボネート0.4質量部を添加し、窒素気流下で100℃に昇温し、130分間加熱撹拌した。その後、溶液をメタノールに滴下してポリマーを単離し、40℃で終夜真空乾燥することにより、変性PVA(A)を得た。得られた変性PVA(A)の分析結果を表1及び2に示す。
[0083]
 そして、酢酸ナトリウムの量を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング剤を得た。コーティング剤の評価結果を表2に示す。また、実施例1と同様にして剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
[0084]
実施例4
[変性PVA(A)の製造]
 PVA(C)として、粘度平均重合度1000、けん化度99.5モル%、エチレン変性量6モル%、1,2-グリコール結合単位の含有量が1.7モル%の粉状PVA(平均粒子径:500μm)を100質量部と、化合物(B)としてフマル酸2.63質量部と、化合物(F)として没食子酸プロピル0.2質量部とをメタノール150質量部に溶解した溶液を調製しフラスコ内に入れ混合し、粉状PVAを膨潤させた後、メタノールを減圧下除去した。その後、85℃で1時間、90℃で1時間、120℃で4時間、攪拌下で熱処理することで反応を行い、変性PVA(A)を得た。得られた変性PVA(A)を再沈精製し、二重結合量を算出したところ、0.19モル%であった。結果を表1に示す。
[0085]
 そして、酢酸ナトリウムの量を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング剤を得た。コーティング剤の評価結果を表2に示す。また、実施例1と同様にして剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
[0086]
実施例5~11、比較例1~6
 PVA(C)の種類、化合物(B)の種類及び量を表1に示すとおりに変更した以外は実施例4と同様にして変性PVA(A)を製造した。変性PVA(A)の製造条件を表1に示し、分析結果を表1及び2に示す。そして、酢酸ナトリウムの量を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング剤を得た。コーティング剤の評価結果を表2に示す。また、実施例1と同様にして剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
[0087]
実施例12
 PVA(C)として、粘度平均重合度1700、けん化度99.5モル%、アクリル酸メチル変性量5モル%、1,2-グリコール結合単位の含有量が1.7モル%の粉状PVAを100質量部と、化合物(B)としてメタクリル酸2-ヒドロキシエチル5.90質量部と、化合物(F)として没食子酸プロピル0.2質量部とをメタノール150質量部に溶解した溶液を調製しフラスコ内に入れ混合し、粉状PVAを膨潤させた後、メタノールを減圧下除去した。その後、85℃で1時間、90℃で1時間、120℃で4時間、攪拌下で熱処理することで反応を行い、変性PVA(A)を得た。得られた変性PVA(A)を再沈精製し、二重結合量を算出したところ、0.09モル%であった。結果を表1に示す。
[0088]
 そして、酢酸ナトリウムの量を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング剤を得た。コーティング剤の評価結果を表2に示す。また、実施例1と同様にして剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
[0089]
実施例13
[変性PVA(A)の製造]
 PVA(C)として、粘度平均重合度1000、けん化度99.5モル%、エチレン変性量6モル%の粉状PVAを100質量部と、化合物(B)としてイタコン酸1.77質量部と、化合物(F)として没食子酸プロピル0.2質量部とをフラスコ内に入れた。混合後、85℃で1時間、90℃で1時間、120℃で4時間、固体のまま撹拌下で熱処理することで反応を行い、変性PVA(A)を得た。得られた変性PVA(A)を再沈精製し、二重結合量を算出したところ、二重結合量は0.12モル%であり、けん化度は99.3モル%であり、粘度平均重合度は1000であり、エチレン変性量は6モル%であった。結果を表1に示す。
[0090]
 そして、酢酸ナトリウムの量を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング剤を得た。コーティング剤の評価結果を表2に示す。また、実施例1と同様にして剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
[0091]
比較例7
 PVA(C)として、粘度平均重合度1000、けん化度99.5モル%、1,2-グリコール結合単位の含有量が1.7モル%、エチレン変性量6モル%PVA100質量部と無水マレイン0.30質量部を混合した。その後、200℃、100rpmに設定したバッチミキサーに投入し、5分間溶融混練した。得られた混合物は黄変しており、水にも不溶なゲルであった。そのため、続く剥離紙原紙の作製は行わなかった。
[0092]
比較例8
 PVA(C)の種類及び化合物(B)の量を表1に示すとおりに変更し、エステル交換触媒を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして変性PVA(A)を製造した。変性PVA(A)の製造条件を表1に示し、分析結果を表1及び2に示す。そして、酢酸ナトリウムの量を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてコーティング剤を得た。コーティング剤の評価結果を表2に示す。また、実施例1と同様にして剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
[0093]
[表1]


[0094]
[表2]


請求の範囲

[請求項1]
 変性ポリビニルアルコール(A)及び酢酸ナトリウムを含有するコーティング剤を基材に塗工してなる剥離紙原紙であって;
 変性ポリビニルアルコール(A)が、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)に由来する二重結合を側鎖に0.005モル%以上10モル%未満有し、1,2-グリコール結合単位を1.4モル%以上2.0モル%以下有し、かつ水溶性であり、
 変性ポリビニルアルコール(A)に対する酢酸ナトリウムの含有量が0.01質量%以上10質量%以下であることを特徴とする剥離紙原紙。
[請求項2]
 変性ポリビニルアルコール(A)の粘度平均重合度が400以上5000未満であり、けん化度が70.0モル%以上99.9モル%以下である請求項1に記載の剥離紙原紙。
[請求項3]
 変性ポリビニルアルコール(A)が、さらにエチレン単位を主鎖に有し、該エチレン単位の含有量が1モル%以上10モル%以下である請求項1又は2に記載の剥離紙原紙。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれかに記載の剥離紙原紙の製造方法であって;
 不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)とポリビニルアルコール(C)とを反応させて変性ポリビニルアルコール(A)を得る第1工程と、
 第1工程で得られた変性ポリビニルアルコール(A)と、酢酸ナトリウムとを水に溶解させてコーティング剤を得る第2工程と、
 第2工程で得られたコーティング剤を基材に塗工する第3工程とを備える剥離紙原紙の製造方法。
[請求項5]
 第1工程において、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)と、平均粒径50~500μmの粉状のポリビニルアルコール(C)とを反応させて変性ポリビニルアルコール(A)を得る請求項4に記載の製造方法。
[請求項6]
 第2工程で得られるコーティング剤のpHが3.0以上7.0以下である、請求項4又は5に記載の製造方法。
[請求項7]
 変性ポリビニルアルコール(A)が粉末であり、該粉末のイエローインデックスが40未満である請求項4~6のいずれかに記載の製造方法。
[請求項8]
 請求項1~3のいずれかに記載の剥離紙原紙と、該剥離紙原紙の表面に形成される剥離層とを有する剥離紙。
[請求項9]
 前記剥離層が、付加型シリコーン(D)と白金(E)とを含有し、付加型シリコーン(D)100質量部に対して白金(E)を0.001質量部以上0.05質量部以下含む請求項8に記載の剥離紙。