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1. (WO2018181674) 全固体二次電池
Document

明 細 書

発明の名称 全固体二次電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070  

実施例

0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091  

符号の説明

0092  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3A   3B   4  

明 細 書

発明の名称 : 全固体二次電池

技術分野

[0001]
 本発明は、固体電解質及び全固体二次電池に関する。
 本願は、2017年3月30日に、日本に出願された特願2017-66682号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

[0002]
 近年、電池は種々の用途で利用されている。電池は、例えば携帯電池等にも利用され、小型軽量化、薄膜化、信頼性の向上が求められている。電解液を用いた電池は、液漏れおよび液の枯渇等の問題がある。そこで、固体電解質を用いた全固体二次電池に注目が集まっている。
[0003]
 一方で、全固体二次電池は、電解液を用いた電池と比較して出力が小さいという問題がある。そこで、全固体二次電池のイオン伝導度を高めることが求められている。
[0004]
 例えば、特許文献1には、固体電解質として酸化物系のLi 1.3Al 0.3Ti 1.7(PO を用いた全固体二次電池が記載されている。また特許文献2には、固体電解質として耐還元性に優れるZrを含むLiZr (PO を用いた全固体二次電池が記載されている。さらに特許文献3には、耐還元性に優れ、菱面体晶のLi 1.55Al 0.2Zr 1.70.1Si 0.252.7512が複合化した粒子を用いた全固体二次電池が記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 日本国特開2016-1595号公報
特許文献2 : 日本国特開2001-143754号公報
特許文献3 : 日本国特開2012-246196号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 しかしながら、特許文献1~3に記載された固体電解質は、いずれも三斜晶又は菱面体晶であり、イオン伝導性が充分とは言えなかった。
[0007]
 本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高いイオン伝導性を有する固体電解質及びこれを用いた全固体二次電池を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明者らは、立方晶のリチウム含有リン酸化合物を含む固体電解質を用いることで、イオン伝導性に優れた全固体二次電池が得られることを見出した。
 すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
[0009]
(1)第1の態様にかかる固体電解質は、結晶構造が立方晶であるリチウム含有リン酸化合物を有する。
[0010]
(2)上記態様にかかる固体電解質は、前記固体電解質を構成する立方晶のリチウム含有リン酸化合物が、Li M1 M2 M3 3-w12・・・(1)で表され、前記一般式(1)は、0<x≦3、0≦y<2、0<z≦2、0≦w<3を満たし、M1は、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Nb、Mn、Co、Ni、Cu、Ag、Ga、Al、In、Sc及びYからなる群より選択される少なくとも一種であり、M2は、Zr及びHfからなる群より選択される少なくとも一種であり、M3は、Si、B、S、V、Mo及びWからなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
[0011]
(3)上記態様にかかる固体電解質は、結合水を0.01質量%以上20質量%以下含んでもよい。
[0012]
(4)上記態様にかかる固体電解質は、粒度分布測定で得られる測定値(D50)が、0.1μm以上10μm以下であってもよい。
[0013]
(5)第2の態様にかかる全固体二次電池は、上記態様にかかる固体電解質を有してもよい。
[0014]
(6)上記第2の態様にかかる全固体二次電池は、一対の電極層と、この一対の電極層の間に設けられた前記固体電解質を有する固体電解質層とが、相対密度80%以上であってもよい。

発明の効果

[0015]
 上記態様にかかる固体電解質によれば、イオン伝導性を高めることができる。また上記態様にかかる固体電解質を用いた全固体二次電池によれば、電圧のロスを少なくし、容量を向上できる。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 本実施形態にかかる全固体二次電池の要部を拡大した断面模式図である。
[図2] 本実施形態にかかる固体電解質を構成する立方晶の単結晶粒子の走査型顕微鏡(SEM)像である。
[図3A] 固体電解質を構成する単結晶粒子におけるイオンの伝導経路を模式的に示した図である。
[図3B] 固体電解質を構成する不定形粒子におけるイオンの伝導経路を模式的に示した図である。
[図4] 実施例1のX線回折(XRD)像である。

発明を実施するための形態

[0017]
 以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[0018]
[全固体二次電池]
 図1は、第1実施形態にかかる全固体二次電池の要部を拡大した断面模式図である。図1に示すように、全固体二次電池10は、第1電極層1と第2電極層2と固体電解質3とを有する積層体4を備える。
[0019]
 第1電極層1はそれぞれ第1外部端子5に接続され、第2電極層2はそれぞれ第2外部端子6に接続されている。第1外部端子5及び第2外部端子6は、外部との電気的な接点である。
[0020]
(積層体)
 積層体4は、第1電極層1と第2電極層2と固体電解質3とを有する。第1電極層1と、第2電極層2は、いずれか一方が正極として機能し、他方が負極として機能する。電極層の正負は、外部端子にいずれの極性を繋ぐかによって変化する。以下、理解を容易にするために、第1電極層1を正極層1とし、第2電極層2を負極層2とする。
[0021]
 積層体4において正極層1と負極層2は、固体電解質3を介して交互に積層されている。正極層1と負極層2との間で固体電解質3を介したリチウムイオンの授受により、全固体二次電池10の充放電が行われる。
[0022]
「固体電解質」
 本実施形態にかかる固体電解質3は、結晶構造が立方晶であるリチウム含有リン酸化合物を含む。固体電解質3に用いることができるリチウム含有リン酸化合物としては、菱面体晶、三斜晶のものは知られているが、立方晶のものは知られていない。
[0023]
 結晶構造が立方晶のリチウム含有リン酸化合物は、イオン伝導性に優れる。これは、立方晶の対称性の高さに起因すると考えられる。立方晶は、単位格子の基本並進ベクトル(a1、a2、a3)の長さが等しく、かつ、それぞれが直交しており、対称性が高い。
[0024]
 全固体二次電池10を充放電する際に、イオンは結晶構造を構成する原子間の隙間を移動する。結晶構造の対称性が高いと、この隙間が存在する位置も三次元的に対称になりやすい。すなわち、対称性の高い立方晶構造では、結晶内に導入されたイオンの伝導経路が三次元的に等価に存在し、イオンが伝導しやすくなっていると考えられる。
[0025]
 これに対し、菱面体晶は、単位格子の基本並進ベクトル(a1、a2、a3)の長さは等しいが、これらは直交していない。また三斜晶は、単位格子の基本並進ベクトル(a1、a2、a3)の長さも異なり、これらは直交していない。すなわち、立方晶に比べると、菱面対称及び三斜晶は対称性が悪く、イオンの伝導経路が限定されていると考えられる。
[0026]
 本実施形態にかかる固体電解質3は、リチウム含有リン酸化合物を含む。本実施形態にかかる固体電解質3は、イオン伝導性に優れる材料が好ましく、以下の一般式(1)で表記されることが好ましい。
 Li M1 M2 M3 3-w12・・・(1)
 一般式(1)は、0<x≦3、0≦y<2、0<z≦2、0≦w<3を満たし、一般式(1)におけるM1は、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Nb、Mn、Co、Ni、Cu、Ag、Ga、Al、In、Sc及びYからなる群より選択される少なくとも一種であり、一般式(1)におけるM2は、Zr及びHfからなる群より選択される少なくとも一種であり、一般式(1)におけるM3は、Si、B、S、V、Mo及びWからなる群より選択される少なくとも一種である。
[0027]
 一般式(1)で表される物質は、立方晶構造を選択できる。また一般式(1)で表される物質は、構成する元素のイオン半径、構成する元素の価数等を変動させることで、結晶構造内に欠陥を容易に生成できる。欠陥は、固体電解質のキャリアとなるホール又はイオンを生み出し、イオン伝導性を高める。
[0028]
 また立方晶のリン酸含有化合物は、粒子形状が正四面体の単結晶粒子であることが好ましい。図2は、本実施形態にかかる固体電解質を構成する立方晶の単結晶粒子の走査型顕微鏡(SEM)像である。
[0029]
 図3Aは、固体電解質を構成する単結晶粒子におけるイオンの伝導経路を模式的に示した図であり、図3Bは固体電解質を構成する不定形粒子におけるイオンの伝導経路を模式的に示した図である。不定形粒子は、粉砕後に焼結して得られた一つの粒子であり、複数の結晶が複合してなる複合体である。
[0030]
 図3Aに示すように、単結晶粒子30は、イオンが伝導する経路Pを有する。経路Pは、単結晶粒子30を構成する原子間にある。図3Aでは、経路Pを模式的に一軸上に図示したが、実際は単結晶粒子30内に経路Pは三次元的に存在する。
[0031]
 単結晶粒子30は、一つの単結晶により構成されているため、粒子内で経路Pは連続している。すなわち、全固体二次電池10を充放電した際に、イオンは単結晶粒子30内をスムーズに移動できる。
[0032]
 これに対し、図3Bに示すように、複数の結晶が複合化した不定形粒子31は、内部に複数の粒界Gsが存在する。不定形粒子31において粒界Gsで区切られたそれぞれのグレインGは、結晶性を有している。そのため、それぞれのグレインGはイオンが伝導する経路Pを有する。しかしながら、経路Pの方向は、グレインG毎に異なるため、イオンの伝導が粒界Gsにおいて阻害される場合がある。
[0033]
 すなわち、図3Aの単結晶粒子30は、図3Bの不定形粒子31よりイオン伝導性に優れる。結晶成長した単結晶粒子30は、図3Bに示すような不定形粒子31のような不定形にはならない。
[0034]
 なお、固体電解質3を構成する粒子が正四面体であるかは、SEM像から判断する。正四面体は、完全な正四面体に限られず、略正四面体を含む。略正四面体は、面の一部に凸部又は凹部を有するもの、角の一部が欠けたもの、複数の正四面体が一部で接続した結合体を含む。
[0035]
 固体電解質3を粒度分布測定して得られる測定値(D50)は、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.3~9μmであることがより好ましい。ここでD50は、粒度分布測定で得られた分布曲線における積算値が50%である粒子の直径である。粒子の粒度分布は、レーザ回折・散乱法(マイクロトラック法)を用いた粒度分布測定装置により測定できる。
[0036]
 固体電解質3を構成する粒子が当該範囲であることで、固体電解質を密にすることができ、イオン伝導性を高めることができる。また粒子の粒径が揃うことで、焼結時に各粒子への熱伝導が均一になり、焼結温度を下げることができる。その結果、Liの揮発を抑制でき、伝導キャリア数を保つことができる。
[0037]
 また固体電解質3は、0.01質量%以上20質量%以下の結合水を含むことが好ましい。結合水は、固体電解質3の構成成分と分子レベルで結合している。結合水が存在すると、立方晶の結晶構造をより安定的に保つことができる。この理由は明確ではないが、P元素とO元素とで形成する四面体と、Zr元素とO元素とで形成する八面体と、が共有するO元素と、結合水のH元素とが水素結合を形成して、結晶構造内に存在するためと考えられる。また結合水を含むことで、立方晶の生成エンタルピーが安定化することも計算から確認した。また結合水は、PO 結合の対称性にも影響することが、FT-IR(赤外分光法)の結果から確認されている。
[0038]
 また、結合水が存在すると、結合水がある部分とその他の部分で、固体電解質の元素の濃度勾配ができる可能性がある。元素の濃度勾配が存在すると、その濃度勾配に沿ってイオンが伝導し、イオン伝導性が高まると考えられる。
[0039]
 「結合水」であるか否かは、水分を含有する固体電解質3のマススペクトルを測定して確認する。固体電解質3を真空中で加熱し、温度を徐々に上昇させながら、m/z値が18の物質(すなわち、H O)の検出量を測定する。結合水は、固体電解質3の構成分子と結合しているため、100℃以下の温度で脱離しない。これに対し、固体電解質3に単に吸着しているだけの吸着水は、100℃以下の温度で脱離する。そのため、100℃以上の温度で脱離した水分の有無で、「結合水」の有無を確認できる。また固体電解質3に含まれる水分の吸着水と結合水の比率も求めることができる。
[0040]
 「正極層および負極層」
 正極層1は、正極集電体層1Aと、正極活物質を含む正極活物質層1Bとを有する。負極層2は、負極集電体層2Aと、負極活物質を含む負極活物質層2Bとを有する。
[0041]
 正極集電体層1A及び負極集電体層2Aは、導電率が高いことが好ましい。そのため、正極集電体層1A及び負極集電体層2Aには、例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケル等を用いることが好ましい。これらの物質の中でも、銅は正極活物質、負極活物質及び固体電解質と反応しにくい。そのため、正極集電体層1A及び負極集電体層2Aに銅を用いると、全固体二次電池10の内部抵抗を低減することができる。なお、正極集電体層1Aと負極集電体層2Aを構成する物質は、同一でもよいし、異なってもよい。
[0042]
 正極活物質層1Bは、正極集電体層1Aの片面又は両面に形成される。例えば、全固体二次電池10の積層方向の最上層に位置する正極層1は、対向する負極層2が無い。そのため、全固体二次電池10の最上層に位置する正極層1において正極活物質層1Bは、積層方向下側の片面のみにあればよい。負極活物質層2Bも正極活物質層1Bと同様に、負極集電体層2Aの片面又は両面に形成される。
[0043]
 正極活物質層1B及び負極活物質層2Bは、電子を授受する正極活物質及び負極活物質を含む。この他、導電助剤や結着剤等を含んでもよい。正極活物質及び負極活物質は、リチウムイオンを効率的に挿入、脱離できることが好ましい。
[0044]
 正極活物質及び負極活物質には、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属複合酸化物を用いることが好ましい。具体的には、リチウムマンガン複合酸化物Li Mn Ma 1-a(0.8≦a≦1、Ma=Co、Ni)、コバルト酸リチウム(LiCoO )、ニッケル酸リチウム(LiNiO )、リチウムマンガンスピネル(LiMn )、一般式:LiNi Co Mn (x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV )、オリビン型LiMbPO (ただし、Mbは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素)、リン酸バナジウムリチウム(Li (PO 又はLiVOPO )、Li MnO -LiMcO (Mc=Mn、Co、Ni)で表されるLi過剰系固溶体正極、チタン酸リチウム(Li Ti 12)、Li Ni Co Al (0.9<s<1.3、0.9<t+u+v<1.1)で表される複合金属酸化物等を用いることができる。
[0045]
 また固体電解質3に合わせて、負極活物質及び正極活物質を選択してもよい。
例えば、固体電解質3に一般式(1)の化合物を用いる場合は、正極活物質及び負極活物質にLiVOPO 及びLi (PO のうち一方又は両方を用いることが好ましい。正極活物質層1B及び負極活物質層2Bと固体電解質3との界面における接合が、強固なものになるからである。また正極活物質層1B及び負極活物質層2Bと固体電解質3との界面における接触面積を広くできるからである。
[0046]
 正極活物質層1B又は負極活物質層2Bを構成する活物質には明確な区別がなく、2種類の化合物の電位を比較して、より貴な電位を示す化合物を正極活物質として用い、より卑な電位を示す化合物を負極活物質として用いることができる。
[0047]
 また、正極集電体層1A及び負極集電体層2Aは、それぞれ正極活物質及び負極活物質を含んでもよい。それぞれの集電体に含まれる活物質の含有比は、集電体として機能する限り特に限定はされない。例えば、正極集電体/正極活物質、又は負極集電体/負極活物質が体積比率で90/10から70/30の範囲であることが好ましい。
[0048]
 正極集電体層1A及び負極集電体層2Aがそれぞれ正極活物質及び負極活物質を含むことにより、正極集電体層1Aと正極活物質層1B及び負極集電体層2Aと負極活物質層2Bとの密着性が向上する。
[0049]
(端子)
 全固体二次電池10の第1外部端子5及び第2外部端子6は、導電率が大きい材料を用いることが好ましい。例えば、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズ、ニッケルを用いることができる。第1外部端子5及び第2外部端子6は、単層でも複数層でもよい。
[0050]
(保護層)
 また全固体二次電池10は、積層体4や端子を電気的、物理的、化学的に保護する保護層を積層体4の外周に有してもよい。保護層を構成する材料としては絶縁性、耐久性、耐湿性に優れ、環境的に安全であることが好ましい。たとえば、ガラスやセラミックス、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いるのが好ましい。保護層の材料は1種類だけでも良いし、複数を併用してもよい。また、保護層は単層でもよいが、複数層備えていた方が好ましい。その中でも熱硬化性樹脂とセラミックスの粉末を混合させた有機無機ハイブリットが特に好ましい。
[0051]
 上述のように、本実施形態にかかる固体電解質は、立方晶のリチウム含有リン酸化合物を含む。対称性の高い立方晶は、イオンの伝導経路が三次元的に等価に存在し、イオン伝導性に優れる。またこの固体電解質を用いて作製された全固体二次電池は、固体電解質での電圧ロスが少なく、エネルギーを容量に寄与する活物質で使用できる。そのため、全固体二次電池の容量を高めることができる。
[0052]
「製造方法」
(立方晶のリチウム含有リン酸化合物の製造方法)
 立方晶のリチウム含有リン酸化合物は、種々の方法で作製できる。例えば、固相法、液相法、水熱法、還流法等を用いることができる。
[0053]
 例えば、液相合成法を用いる場合は、固体電解質を構成する元素を含む化合物を水に溶解させる。この際、水に溶解させる化合物の量は、得られる固体電解質の元素比から求める。その後、溶媒の温度を徐々に下げていくことで、単結晶が核生成し、単結晶粒子30が生成される。溶媒を徐冷し始める際の温度を調整することで、立方晶のリチウム含有リン酸化合物を選択的に作製できる。また固相法、水熱法、還流法等においても、加熱時の温度を調整することで、立方晶のリチウム含有リン酸化合物を選択的に作製できる。
[0054]
(全固体二次電池の製造方法)
 全固体二次電池10の製造方法は、同時焼成法を用いてもよいし、逐次焼成法を用いてもよい。
 同時焼成法は、各層を形成する材料を積層し、一括焼成により積層体を作製する方法である。逐次焼成法は、各層を順に作製する方法であり、各層を作製する毎に焼成工程が入る。同時焼成法を用いた方が、全固体二次電池10の作業工程を少なくすることができる。また同時焼成法を用いた方が、得られる積層体4が緻密になる。以下、同時焼成法を用いる場合を例に説明する。
[0055]
 同時焼成法は、積層体4を構成する各材料のペーストを作製する工程と、ペーストを塗布乾燥してグリーンシートを作製する工程と、グリーンシートを積層し、作製した積層シートを同時焼成する工程とを有する。
[0056]
 まず積層体4を構成する正極集電体層1A、正極活物質層1B、固体電解質3、負極活物質層2B、及び負極集電体層2Aの各材料をペースト化する。
[0057]
 ペースト化の方法は、特に限定されない。例えば、ビヒクルに各材料の粉末を混合してペーストが得られる。ここで、ビヒクルとは、液相における媒質の総称である。ビヒクルには、溶媒、バインダーが含まれる。かかる方法により、正極集電体層1A用のペースト、正極活物質層1B用のペースト、固体電解質3用のペースト、負極活物質層2B用のペースト、及び負極集電体層2A用のペーストを作製する。
[0058]
 次いで、グリーンシートを作製する。グリーンシートは、作製したペーストをPET(ポリエチレンテレフタラート)などの基材上に所望の順序で塗布し、必要に応じ乾燥させた後、基材を剥離し、得られる。ペーストの塗布方法は、特に限定されない。例えば、スクリーン印刷、塗布、転写、ドクターブレード等の公知の方法を採用することができる。単結晶粒子30は、ペーストを塗布する際に配向し、整列することがある。
[0059]
 作製したそれぞれのグリーンシートは、所望の順序、積層数で積み重ねられる。必要に応じアライメント、切断等を行い、積層体を作製する。並列型又は直並列型の電池を作製する場合は、正極集電体層の端面と負極集電体層の端面が一致しないようにアライメントを行い積み重ねるのが好ましい。
[0060]
 積層体を作製するに際し、以下に説明する正極活物質層ユニット及び負極活物質層ユニットを準備し、積層体を作製してもよい。
[0061]
 まずPETフィルム上に固体電解質3用ペーストをドクターブレード法でシート状に形成し、乾燥して固体電解質3を形成する。得られた固体電解質3上に、スクリーン印刷により正極活物質層1B用ペーストを印刷し乾燥して、正極活物質層1Bを形成する。
[0062]
 次いで、作製された正極活物質層1B用ペースト上に、スクリーン印刷により正極集電体層1A用ペーストを印刷し乾燥し、正極集電体層1Aを形成する。得られた正極集電体層1A上に、スクリーン印刷により正極活物質層1B用ペーストを再度印刷し、乾燥して正極活物質層1Bを形成する。そして、PETフィルムを剥離することで正極活物質層ユニットを作製する。正極活物質層ユニットは、固体電解質3/正極活物質層1B/正極集電体層1A/正極活物質層1Bがこの順で積層されている。
[0063]
 同様の手順にて負極活物質層ユニットも作製する。負極活物質層ユニットは、固体電解質3/負極活物質層2B/負極集電体層2A/負極活物質層2Bがこの順に積層されている。
[0064]
 正極活物質層ユニット一枚と負極活物質層ユニット一枚を、積層する。この際、正極活物質層ユニットの固体電解質3と負極活物質層ユニットの負極活物質層2B、もしくは正極活物質層ユニットの正極活物質層1Bと負極活物質層ユニットの固体電解質3とが接するように積層する。これによって、正極活物質層1B/正極集電体層1A/正極活物質層1B/固体電解質3/負極活物質層2B/負極集電体層2A/負極活物質層2B/固体電解質3がこの順で積層されている積層体が得られる。一枚目の正極活物質層ユニットの正極集電体層1Aが一の端面にのみ延出し、二枚目の負極活物質層ユニットの負極集電体層2Aが他の面にのみ延出するように、各ユニットをずらして積み重ねる。積み重ねられたユニットの両面に所定厚みの固体電解質3用シートをさらに積み重ね、積層体を作製する。
[0065]
 作製した積層体を一括して圧着する。圧着は加熱しながら行うが、加熱温度は、例えば、40~95℃とする。
[0066]
 圧着した積層体を、例えば、窒素雰囲気下で600℃~1000℃に加熱し焼成を行うことにより焼結体を得る。焼成時間は、例えば、0.1~3時間とする。
[0067]
 焼結体をアルミナなどの研磨材とともに円筒型の容器に入れ、バレル研磨してもよい。これにより積層体の角の面取りをすることができる。そのほかの方法としてサンドブラストにて研磨しても良い。この方法では特定の部分のみを削ることができるため好ましい。
[0068]
 前記焼結体において、一対の電極層と、この一対の電極層の間に設けられた前記固体電解質3を有する固体電解質層の相対密度が80%以上であってもよい。相対密度が高い方が結晶内の可動イオンの拡散パスがつながりやすくなり、イオン伝導性が向上するからである。
[0069]
(端子形成)
 積層体4に第1外部端子5と第2外部端子6をつける。第1外部端子5及び第2外部端子6は、正極集電体層1Aと負極集電体層2Aにそれぞれ電気的に接触するよう形成する。例えば、積層体4の側面から露出した正極集電体層1Aと負極集電体層2Aに対しスパッタ法やディッピング法、スプレーコート法等の公知の方法を用いることにより形成できる。所定の部分にのみ形成する際は、例えばテープにてマスキング等を施して形成する。
[0070]
 以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
実施例
[0071]
(実施例1)
 LiZr (PO を以下の手順で作製した。まずLiOH・H O、ZrO(NO 、NH (H PO )をそれぞれ秤量比で秤量し、それぞれを水に溶解させた。それぞれの溶液を混合し、pHを調整後120℃まで加熱してから徐冷した。また作製した化合物のX線結晶回折を行った。図4は、実施例1のX線回折(XRD)像である。図4に示すように、実施例1の固体電解質は、立方晶の結晶構造に対応する位置にピークを有し、立方晶であることを確認した。
[0072]
 そして得られた固体電解質の粒度分布、イオン伝導度、結合水含有率をそれぞれ測定した。粒度分布は、レーザ回折・散乱法(マイクロトラック法)を用いた粒度分布測定装置を用いて測定した。イオン伝導度は、ディスク状に成形、焼成して焼結体を得た。得られた固体電解質焼結体を1昼夜水中に含浸させて最大限含有させてから100℃以上の温度で熱処理する時間を変えて、結合水含有率を調整した。そして得られた固体電解質焼結体の両面に電極をスパッタにて形成しインピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製、型番SI1260)により、振幅50mV、周波数0.5Hzから1MHzの条件で測定した。結合水含有率は、TDS測定装置(電子科学株式会社製EMD-WA1000)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
[0073]
(比較例1~3)
 比較例1~3では固体電解質焼結体の結晶相を変えた点が実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
 比較例1の固体電解質焼結体は、実施例1と同様に、混合溶液を作製し、pHを調整後120℃まで加熱してから徐冷することで菱面体晶の固体電解質焼結体を得た。
 比較例2の固体電解質焼結体は、フラックス法を用いて作製した。比較例2では、溶融温度を1200℃とし、徐冷することで三斜晶の固体電解質焼結体を得た。
 比較例3の固体電解質焼結体も、フラックス法を用いて作製した。比較例3では、溶融温度を900℃とし、徐冷することで単斜晶の固体電解質焼結体を得た。
[0074]
[表1]


[0075]
 立方晶を主として有する実施例1の固体電解質焼結体は、その他の結晶構造を主として有する比較例1~3の固体電解質焼結体と比較してイオン伝導度が1桁以上大きく、イオン伝導性に優れていた。
[0076]
(実施例2~32)
 実施例2~32は、単結晶粒子の組成を変えた点が実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同様にして測定した。組成は、元素の一部を置換して変更した。結果を表2~表4に示す。
[0077]
(比較例4及び5)
 比較例4は、固体電解質焼結体の結晶相が菱面体晶である点が実施例3と異なる。また比較例5は、固体電解質焼結体の結晶相が菱面体晶である点が実施例22と異なる。その他の条件は、実施例1と同様にして測定した。結果を表2及び表3に示す。
[0078]
[表2]


[0079]
[表3]


[0080]
[表4]


[0081]
 実施例2~実施例32に示すように、組成を変更しても立方晶の固体電解質焼結体はイオン伝導性に優れていた。また実施例3と比較例4及び実施例22と比較例5を比較すると、いずれの場合でも結晶相が立方晶となることで、イオン伝導度が高まり、イオン伝導性に優れた固体電解質焼結体が得られた。
[0082]
(実施例33~42)
 実施例33~42は、固体電解質焼結体が含有する結合水の量を変えた点のみが実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同様にして測定した。結果を表5に示す。
[0083]
[表5]


[0084]
 実施例33から実施例42にかかる固体電解質焼結体は、いずれも結晶相の異なる比較例1~3よりイオン伝導性に優れていた。また結合水の含有率が0.01質量%以上20質量%以下の範囲である実施例1及び実施例34~40は、イオン伝導度の値が特に大きく、イオン伝導性に特に優れていた。
[0085]
(実施例43~47)
 実施例43~47は、固体電解質焼結体を構成する粒子の粒度分布を変更した点のみが実施例1と異なる。固体電解質焼結体を構成する粒子の粒度分布は、固体電解質を破砕し、篩にかけることで調製した。その他の条件は、実施例1と同様にして測定した。結果を表6に示す。
[0086]
[表6]


[0087]
 実施例1及び実施例44~47にかかる固体電解質焼結体は、いずれもイオン伝導性に優れていた。D50の値が0.1μm以上10μm以下の範囲である実施例1及び実施例43~45は、特にイオン伝導性に優れていた。
[0088]
(実施例48)
 実施例48は、LiZr (PO のZrに変えてHfを用い、固体電解質の組成をLiHf (PO とした点が実施例1と異なる。実施例48の固体電解質は、LiOH・H O、HfCl 、NH (H PO )をそれぞれ秤量比で秤量し、それぞれを水に溶解させた。それぞれの溶液を混合し、pHを調整後120℃まで加熱してから徐冷した。その結果、LiHf (PO で表記される固体電解質の結晶相が立方晶であることを確認した。またこの固体電解質焼結体のイオン伝導度を、実施例1と同様にして測定した。その結果、イオン伝導度は3.15×10 -5S/cmであった。LiHf (PO の結晶相が菱面体晶の場合のイオン伝導度は、6.5×10 -6S/cmであり、LiHf (PO の結晶相が正方晶であることで、イオン伝導度が向上することを確認した。
[0089]
 上述の固体電解質のうち、実施例1、実施例5、実施例11、実施例22、実施例27、実施例43、比較例1、比較例5の固体電解質を用いて全固体二次電池を作製した。正極活物質としてLi (PO 、負極活物質としてLi Ti 12を用いた。そして全固体二次電池の放電容量を測定した。全固体二次電池の放電容量は、2μAの一定電流で行った。充電時ならびに放電時のカットオフ電圧はそれぞれ2.8Vならびに1.8Vとした。その結果を表7に示す。
[0090]
[表7]


[0091]
 実施例1と比較例1及び実施例22と比較例5を比較すると、固体電解質が立方晶であることで、放電容量が向上したことが分かる。また組成、粒度分布等を変更しても高容量な全固体電池が得られた。

符号の説明

[0092]
1…正極層、1A…正極集電体層、1B…正極活物質層、2…負極層、2A…負極集電体層、2B…負極活物質層、3…固体電解質、4…積層体、5…第1外部端子、6…第2外部端子、30…単結晶粒子、31…不定形粒子、P…経路、G…グレイン、Gs…粒界。

請求の範囲

[請求項1]
 結晶構造が立方晶であるリチウム含有リン酸化合物を有する固体電解質。
[請求項2]
 前記固体電解質を構成する立方晶のリチウム含有リン酸化合物が、
 Li M1 M2 M3 3-w12・・・(1)で表され、
 前記一般式(1)は、0<x≦3、0≦y<2、0<z≦2、0≦w<3を満たし、
 M1は、Mg、Ca、Sr、Ba、V、Nb、Mn、Co、Ni、Cu、Ag、Ga、Al、In、Sc及びYからなる群より選択される少なくとも一種であり、
 M2は、Zr及びHfからなる群より選択される少なくとも一種であり、
 M3は、Si、B、S、V、Mo及びWからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の固体電解質。
[請求項3]
 結合水を0.01質量%以上20質量%以下含む請求項1又は2のいずれかに記載の固体電解質。
[請求項4]
 粒度分布測定で得られる測定値(D50)が、0.1μm以上10μm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の固体電解質。
[請求項5]
 請求項1~4のいずれか一項に記載の固体電解質を有する全固体二次電池。
[請求項6]
 一対の電極層と、この一対の電極層の間に設けられた前記固体電解質を有する固体電解質層とが、相対密度80%以上であることを特徴とする請求項5に記載の全固体二次電池。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 4]