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1. (WO2018181661) 熱電変換デバイス
Document

明 細 書

発明の名称 熱電変換デバイス

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010  

課題を解決するための手段

0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114  

実施例

0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130  

産業上の利用可能性

0131  

符号の説明

0132  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 熱電変換デバイス

技術分野

[0001]
 本発明は、熱電変換デバイスに関する。

背景技術

[0002]
 熱電変換を利用したエネルギー変換技術として、熱電発電技術及びペルチェ冷却技術が知られている。熱電発電技術は、ゼーベック効果による熱エネルギーから電気エネルギーへの変換を利用した技術である。この技術は、熱電変換を実現するための熱電変換素子を動作させるのに多大なコストを必要としないので、特にビル、工場等の施設で使用される化石燃料資源等から発生する未利用の廃熱エネルギーを電気エネルギーとして回収できる省エネルギー技術として大きな脚光を浴びている。ペルチェ冷却技術は、熱電発電とは逆に、ペルチェ効果による電気エネルギーから熱エネルギーへの変換を利用する技術である。この技術は、例えば、ワインクーラーや携帯可能な小型冷蔵庫に用いられている。この技術は、その他にも、コンピュータに用いられるCPUの冷却手段や、精密な温度制御が必要な部品や装置(例えば、光通信の半導体レーザー発振器)の温度制御手段としても用いられる。
[0003]
 このような熱電変換を利用した熱電変換素子として、設置場所についての制限をなくすために、薄くて柔軟性を有する熱電変換素子が求められている。例えば、特許文献1には、P型材料からなる薄膜のP型熱電素子とN型材料からなる薄膜のN型熱電素子とで構成された熱電変換モジュールの両面に、2種類以上の熱伝導率の異なる材料で構成された柔軟性を有するフィルム状基板を設け、熱伝導率の大きい材料が前記基板の外面の一部分に位置するように構成した熱電変換素子が開示されている。
[0004]
 また、熱電変換素子は、設置場所の環境条件(例えば、高温多湿)、によって、熱電素子層の熱電性能が低下したり、金属電極の抵抗が増加したりすることがある。これらの現象は、熱電変換素子が長期間の使用に耐えられなくなるという問題を招く。そこで、熱電変換素子に対しては、上述したような、熱電変換素子の大きさや形状に起因する設置場所の制限だけでなく、設置場所の環境条件に起因する設置場所の制限も小さくすることが求められている。例えば、特許文献2には、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンのうちの少なくとも1種の合成樹脂からなる枠体を用いることにより、熱電変換素子の膨張や収縮に対応できるようにした熱電変換装置が開示されている。
[0005]
 一方、インプレーン型と呼ばれる熱電変換素子も提案されている。インプレーン型の熱電変換素子は、熱電素子層の面方向に温度差を生じさせて熱エネルギーを電気エネルギーに変換し得る構成を備える熱電変換素子である。インプレーン型の熱電変換素子は、温度差が生じる長さを面方向に拡大できるので、熱電変換層が薄くても効率よく熱起電力を発生し、また、熱電変換層を薄くすることで素子全体を薄くフレキシブルにすることができる。
[0006]
 近年、エレクトロニクス機器には、その動作や制御を実現するために、半導体素子が実装されることが当前となっている。そして、この半導体素子が微細化されることにより.さらに小型化、高性能化されるにつれて、半導体素子自体が高温になり、半導体素子が多量の熱を放出する発熱体となってきている。そこで、インプレーン型の熱電変換素子に対しても、より小型であること、半導体素子の発熱をより効率良く吸熱すること、高い熱起電力を示すことが求められている。例えば、特許文献3では、低熱伝導性の基板を用いて、この基板の電極や熱電変換層を設けた面とは反対の面に高熱伝導部を配置し、さらにこの高熱伝導部と熱源との間に、高熱伝導部の70%以上の熱伝導率を有する材料からなる接合部材を設けることで、熱源と基板との間の距離を大きくして、自然空冷下でのインプレーン型の熱電変換素子の発電力を高めることが提案されている。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2006-186255号公報
特許文献2 : 特開平10-12934号公報
特許文献3 : 特開2017-92407号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 特許文献3の熱電変換素子においては、低熱伝導層と高熱伝導層とを組み合わせたものを、基板上に設けられた熱電素子層に接着している。ここで、特許文献3においては、熱電変換性能を高くするために、粘着層を薄くするなどして、粘着層の熱抵抗をできるだけ小さくすることが推奨されている。
[0009]
 しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献3の熱電変換素子では、必ずしも熱電変換素子の性能向上を図ることができないことが判明した。つまり、熱電変換素子を、例えば、ゼーベック素子として用いた場合に、熱電変換素子の熱起電力を十分大きくすることができなくなる場合のあることが判明した。
[0010]
 本発明は、上記問題を鑑み、高い熱起電力、及び、大きな温度差を発生することのできる熱電変換デバイスを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱電素子層を覆う連結層と、この連結層上にパターン配置された高熱伝導層とを設け、かつ、上記連結層の熱伝導率を特定の値以下に設定することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]を提供するものである。
[1]P型熱電素子層とN型熱電素子層とが交互に隣接し列状に配置された熱電素子層と、
複数の層を連結するための連結層であって、前記熱電素子層の、一方の面を覆うように配置された連結層と、
該連結層の、前記熱電素子層とは反対側の面上にパターン配置された高熱伝導層と、を備え、
前記高熱伝導層の熱伝導率は前記連結層の熱伝導率よりも大きく、
 前記連結層の熱伝導率は1.6W/(m・K)以下である、熱電変換デバイス。
[2]前記連結層の熱伝導率が0.05W/(m・K)以上である[1]に記載の熱電変換デバイス。
[3]前記連結層は、ポリオレフィン系樹脂を含む組成物からなる封止層を含む[1]又は[2]に記載の熱電変換デバイス。
[4]前記連結層は、硬化性の接着剤組成物を硬化させてなる接着層を含む[1]~[3]のいずれかに記載の熱電変換デバイス。
[5]前記連結層は封止層および接着層の少なくとも一方を有し、前記封止層または接着層は、熱伝導性フィラーを含まない[1]~[4]のいずれかに記載の熱電変換デバイス。
[6]前記熱電素子層の熱伝導率が1~5W/(m・K)である[1]~[5]のいずれかに記載の熱電変換デバイス。
[7]前記連結層の熱伝導率が0.1W/(m・K)以上である[6]に記載の熱電変換デバイス。
[8]前記熱伝導層の熱伝導率が5~500W/(m・K)である[1]~[7]のいずれかに記載の熱電変換デバイス。

発明の効果

[0012]
 本発明によれば、高い熱起電力、及び、大きな温度差を発生することのできる熱電変換デバイスを提供することができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 熱電変換デバイスの第1の実施態様を示す部分断面図である。
[図2] 熱電変換デバイスの第2の実施態様を示す部分断面図である。
[図3] 熱電変換デバイスの第3の実施態様を示す部分断面図である。
[図4] 熱電変換デバイスの第4の実施態様を示す部分断面図である。
[図5] 熱電変換デバイスの面方向の構成例を示す平面図である。図5(A)は、基板2の主面上に設けられた電極3の配置パターンを示し、図5(B)は、電極3を備える基板2の主面上に設けられたP型熱電素子層5及びN型熱電素子層4の配置パターンを示し、図5(C)は、P型熱電素子層5及びN型熱電素子層4を備える基板2の主面上に設けられた第1高熱伝導層91の配置パターンを示している。
[図6] 熱電変換デバイスの製造方法の実施形態を示す説明図である。図6(A)は、電極3が設けられた基板2を準備する工程、図6(B)は、基板2の一方の主面上に、P型熱電素子層5及びN型熱電素子層4からなる熱電素子層6を形成する工程、図6(C)は、熱電素子層6上に第1連結層81を形成する工程、図6(D)は、第1連結層81上に第1高熱伝導層91を形成する工程、図6(E)は、基板2の他方の主面上に第2高熱伝導層92を形成する工程を、それぞれ示している。
[図7] シミュレーションを行ったモデルの一つのユニットを示す図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と称することがある)について説明する。
[熱電変換デバイス]
 本実施形態の熱電変換デバイスは、P型熱電素子層及びN型熱電素子層が、交互に隣接し列状に配置された熱電素子層と、複数の層を連結するための連結層と、この連結層の熱電素子層とは反対側の面にパターン配置された高熱伝導層と、を備えている。
[0015]
 本発明の実施形態にかかる熱電変換デバイスを、図面を用いて説明する。
[0016]
 図1は、第1実施形態の熱電変換デバイス1Aの部分断面図である。熱電変換デバイス1Aは、図1に示すように、第2連結層82は所定のパターンを有する電極3を有する基板2を含み、基板2の一方の主面(電極3側の主面)に形成されたP型熱電素子層5及びN型熱電素子層4からなる熱電素子層6と、熱電素子層6の基板2とは反対側の面に積層された、接着層、封止層等である第1機能層810の単層からなる第1連結層81と、第1連結層81の熱電素子層6とは反対側の面に設けられた第1高熱伝導層91と、基板2の他方の主面に積層された接着層、封止層等である第2機能層820と、第2機能層820の熱電素子層6とは反対側の面に設けられた第2高熱伝導層92と、を含む。
[0017]
 第1機能層810と第2機能層820とは、同じ材質のものでもよいし、異なる材質のものでもよい。また、第1高熱伝導層91と第2高熱伝導層92とは、同じ材質のものでもよいし、異なる材質のものでもよい。
[0018]
 図2は、第2実施形態の熱電変換デバイス1Bの部分断面図であり、図3は、第3実施形態の熱電変換デバイス1Cの部分断面図である。熱電変換デバイス1Bにおいては、熱電素子層6側の基板2と反対側の面に積層した第1連結層81’が、熱電素子層6に近い側から順に積層された、内側層811、中央層812、及び、外側層813を含む。また、第2連結層82’が、熱電素子層6に近い側から順に積層された、基板2、内側層821、中央層822、及び、外側層823を含んでいる。熱電変換デバイス1Cにおいては、第1連結層81’が、内側層811、中央層812、外側層813を含んでいる。熱電変換デバイス1B、1Cにおける、その他の構成は熱電変換デバイス1Aと同様である。
[0019]
 図4は、第4実施形態の熱電変換デバイス1Dを示す部分断面図である。図4に示すように、熱電変換デバイス1Dは、熱電変換デバイス1Bから第2機能層820を無くした構成に相当する。後述するように、蒸着、スパッタリング、印刷等の方法によって、第2高熱伝導層92を直接基板2上に形成する場合は、例えば、第2機能層820を接着層とし、接着層を用いて高熱伝導層92を固定するという必要はないので、熱電変換デバイス1Dのように、基板2の、熱電素子層6と反対側の面の第2機能層820を省略してもよい。この場合、基板2が第2連結層82’である。
[0020]
 図5は、熱電変換デバイス1A~1Dの面方向の構成を示す平面図である。具体的には、基板2の主面に沿う方向における、電極、熱電素子層、及び、高熱伝導層の配置を示している。図5(A)は、基板2の主面上に設けられた電極3の配置パターンを示す図であり、図5(B)は、電極3を備える基板2の主面上にさらに設けられたP型熱電素子層5及びN型熱電素子層4の配置パターンを示す図であり、図5(C)は、P型熱電素子層5及びN型熱電素子層4を備える基板2の主面上にさらに設けられた第1高熱伝導層91の配置パターンを示す図である。なお、図5(C)においては、理解を容易にするために、第1連結層81の図示を省略している。
[0021]
 図5(A)に示すように、四角形状の基板2の一方の主面上に設けられる電極3は、熱電素子層6からの熱起電力の取り出し、又は、熱電素子層6への電圧印加のための端子となる2つの第1電極部3aと、交互に隣り合うようにして列状に配置されたP型熱電素子層5とN型熱電素子層4とを電気的に接続するための多数の第2電極部3bと、複数の列状に設けられた熱電素子層の各列を互いに電気的に接続するための複数の第3電極部3cとを含む。各電極部3a~3cはそれぞれ島状に分かれて配置されている。
[0022]
 また、図5(B)に示すように、P型熱電素子層5とN型熱電素子層4で構成される熱電素子層の列が、複数並んで配置されている。熱電素子層の各列において、端部以外の隣り合う熱電素子層4、5の接合部に重なるように第2電極部3bが配置されている。熱電素子層の各列の一方の端部に接するように、第3電極部3cが配置されている。第3電極部3cは、ある熱電素子層の列の一方の端部のP型熱電素子層5又はN型熱電素子層4と、次の熱電素子層の列の一方の端部のN型熱電素子層4又はP型熱電素子層5とを電気的に接合している。熱電素子層の各列の他方の端部も同様に次の熱電素子層の列の端部と第3電極部3cによって電気的に接合されている。両端に位置する熱電素子層の列における一方の端部の熱電素子が、第1電極部3aにそれぞれ接続されている。こうして、基板2上に二次元的に配置されたP型熱電素子層5及びN型熱電素子層4が、各電極部3a~3cによって電気的に直列接続され、結果的に、基板2の主面上で蛇行するように通電経路が形成されている。なお、熱電素子層の列が線形に配置されており、熱電素子層自体が自立性を有していれば基板2は無くても構わない。図5(B)に示すように、熱電素子層が二次元的に配置される場合には、基板2を用いて熱電変換デバイスを構成することが好ましい。
[0023]
 図5(C)に示すように、第1高熱伝導層91は、各熱電素子層の列に交差するように配置された複数のストライプ状に形成されている。第1高熱伝導層91は、P型熱電素子層5とN型熱電素子層4との接合部を一つおきに覆っている。第2高熱伝導層92も、各熱電素子列に交差する複数のストライプ状に形成されており、図5(C)には示していないが、基板2の主面に垂直な方向から見て、第1高熱伝導層91によって覆われていない熱電素子の接合部に対応する位置に、第2高熱伝導層92が配置されている。結果的に、ストライプ状の高熱伝導層91、92の並び方向の縦断面において、第1高熱伝導層91と第2高熱伝導層92とが、熱電素子層6に対して互い違いに配置されている。なお、基板2の主面に垂直な方向において、第1高熱伝導層91の端部と第2高熱伝導層92の端部とが一致してもよいし、重なっていてもよいし、離れていてもよい。
[0024]
 なお、図5(A)、図5(B)では、第2電極部3bの数を42個(=7個×6列)、第3電極部3cの数を5個、P型半導体層5及びN型半導体層の数をそれぞれ24個(=4個×6列)としており、また、図5(C)では、第1高熱伝導層91の数を4本としているが、これらの数は適宜変更可能である。各電極部3aの大きさや位置も適宜変更可能である。また、図5(A)では、2つの第1電極部3aを基板2の一つの辺に接するように配置しているが、これに限るものではなく、熱電変換デバイスの用途分野や使用環境等に合わせて、2つの第1電極部3aを基板2の別々の辺に接するように配置しても構わない。
[0025]
 各実施形態において、基板2としてプラスチックフィルムを用いるとともに、他の層を薄く形成することにより、各実施形態の熱電変換デバイス全体を、薄くてフレキシブルなシート状のものとすることができる。各実施形態において、いずれも第2連結層82は基板2を含んでいるが、熱電素子層6が自立性を有していれば、基板2を省略してもよい。
[0026]
 上記の各実施形態においては、連結層上の高熱伝導層が設けられていない領域には何らの層も設けられていないが、例えば、低熱伝導層等の部材を設けてもよい。この場合には、連結層は高熱伝導層だけでなく、低熱伝導層等の部材の固定材として機能することもできる。熱電変換デバイスの熱電変換性能の向上の観点から、低熱伝導層の熱伝導率は、高熱伝導層の熱伝導率よりも低いことが好ましく、0.05~3W/m・Kであることがより好ましく、0.1~1.5W/m・Kであることがさらに好ましい。
なお、上記の各実施形態のように、連結層上の高熱伝導層が設けられていない領域には何らの層も設けられず、連結層が露出している場合には、低熱伝導層の代わりに大気が存在することになり、大気の熱伝導率は、例えば、0.02W/(m・K)程度と非常に低いために、低熱伝導層を設けた場合と同等以上の熱電変換性能が得られると考えられる。
[0027]
<連結層>
 連結層は熱電素子層を覆うように配置する。連結層の配置をこのようにすると、連結層をパターン化して形成する必要がないため、生産性に優れる。また、熱電素子層の高熱伝導層が設けられていない領域に、低熱伝導層等の部材が設けられていない場合には、連結層が熱電素子層を覆っていなければ熱電素子層が露出するが、連結層が熱電素子層を覆うことで、高熱伝導層が存在しない領域において、連結層が熱電素子層を保護することができる。
[0028]
 第1連結層81及び第2連結層82としては、熱伝導率が1.6W/(m・K)以下のものを用いる。以下、これらをまとめて連結層ということがある。連結層の熱伝導率を適度に小さく設定し、熱伝導率が1.6W/(m・K)以下の連結層を用いることにより、例えば、熱電変換デバイスをゼーベック素子として用いた場合に、P型熱電素子とN型熱電素子に温度差を設けることで素子から発生する電圧差を最も大きくすることができる。
この結果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、本発明者らの検討によれば、以下のような機構が寄与しているものと推測される。高熱伝導層は熱電素子層と外部との熱交換の効率を上げるために設けられるものである。したがって、高熱伝導層から熱電素子層に、あるいは熱電素子層から高熱伝導層に熱を伝えやすくするため、連結層の熱伝導率が大きい方が熱電変換デバイスの性能を向上させられるようにも思われる。しかしながら、本発明では、連結層が熱電素子層を覆っており、このように熱電素子層上の、高熱伝導層が存在しない領域にも連結層が存在する。そのため、連結層の熱伝導率が大きい値であると、熱電変換デバイスを、例えば、ゼーベック素子として用いる場合には、連結層において外部から伝わった熱が連結層の平面方向に伝播してしまい、連結層の厚み方向に向かって熱電素子層に直接的に伝わりにくくなる。その結果、熱電変換デバイスから十分な電圧差を得られなくなる。一方、連結層の熱伝導率を適度に小さく設定し、例えば、熱電素子層の熱伝導率と同等のレベルにすると、連結層において外部から伝わった熱が連結層の平面方向に伝播することが防止され、連結層の厚み方向に直接的に伝わりやすくなる。その結果、熱電変換デバイスをゼーベック素子として用いた場合に、素子に対して温度差を設けることで素子から発生する電圧差を大きくすることができる。本発明における、このような連結層の熱伝導率の範囲の意義から、図1~4に示される熱電変換デバイス1A~1Dのように、熱電素子層の一方の面と他方の面の両方に第1連結層81および第2連結層82、第1高熱伝導層91および第2高熱伝導層92を備える場合には、第1連結層81と第2連結層82のいずれも、熱伝導率が上記の範囲にある。
[0029]
 連結層の熱伝導率は、連結層を構成する材質、連結層に添加する添加物の種類や添加量等を調整することで適切な値に設定する。連結層の熱伝導率を高くしたい場合は、熱伝導率が著しく低くない樹脂材料を使用するとともに、熱伝導率の大きい添加物、例えば、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化ケイ素、マグネシア等の、熱伝導率が大きい(15W/(m・K)以上の熱伝導率を持つ)熱伝導性フィラーを適量連結層に添加したりすることができる。また、連結層の熱伝導率を低くする手段としては、一般に熱伝導率が小さい樹脂材料を使用することが挙げられる。また、熱伝導性フィラーを、連結層を構成する層に添加しないことによっても、連結層の熱伝導率を低くすることができる。連結層の熱伝導率を1.6W/(m・K)以下とするためには、連結層を構成する層に熱伝導性フィラーを添加せず、かつ、樹脂材料を用いることが好ましい。連結層を構成する層のうち、接着層又は封止層は一定程度以上の厚みを有することが好ましい。この場合、連結層全体の熱伝導率に与える接着層又は封止層の熱伝導率の影響は大きくなる。したがって、接着層又は封止層は熱伝導性フィラーを含まないことが好ましい。また、連結層を構成するすべての層が熱伝導性フィラーを含まないことがより好ましい。
[0030]
 連結層の熱伝導率の上限は、好ましくは1.3/(m・K)以下、より好ましくは1.0W/(m・K)、さらに好ましくは0.8W/(m・K)以下とする。
連結層の熱伝導率は、好ましくは0.03W/(m・K)以上とする。連結層の熱伝導率が高いことによる熱電変換デバイスの熱電性能の低下は、上述のとおり連結層において外部から伝わった熱が連結層の平面方向に伝播してしまうことに起因していると考えられる。一方で、連結層の熱伝導率が所定よりも低い場合にも、熱電変換デバイスの熱電性能が低下する傾向にあることが後述する実施例から確認された。これは、連結層の熱伝導率が低い場合には、連結層における厚さ方向の熱の伝播も抑制されてしまうためであると推察する。このような観点から、連結層の熱伝導率の下限は、より好ましくは、0.075W/(m・K)以上とする。
また、熱電素子層の熱伝導率は、用いる熱電半導体の種類によって変化するが、熱電素子層の熱伝導率の幅広い範囲において、熱電変換デバイスの高い熱電変換性能を得られ易いという観点から、連結層の熱伝導率は、0.1W/(m・K)以上とすることが好ましく、0.12W/(m・K)以上とすることがより好ましい。連結層の熱伝導率がこのような範囲にあれば、例えば、熱電素子層の熱伝導率が1~5W/(m・K)といった範囲にある場合であっても、熱電変換デバイスの高い熱電変換性能を維持することが容易である。
[0031]
 連結層の熱伝導率は、熱電素子層の熱伝導率の幅広い範囲において、熱電変換デバイスの高い熱電変換性能を得られ易いという観点から、好ましくは熱電素子層の熱伝導率の0.05倍以上、より好ましくは0.06倍以上とする。本発明において、連結層の熱伝導率は、周期加熱法によって測定して得られた値であり、連結層が複数の層から構成される場合の各層の熱伝導率についても同じである。
[0032]
 連結層が複数層からなる場合は、各層の熱伝導率を合成した合成熱伝導率を連結層全体の熱伝導率とし、熱伝導率の合成値が上述した範囲になるようする。合成熱伝導率は、各層の厚み方向における熱伝導率を合成して算出すればよく、具体的には、下記の式(1)に従って、各層を構成する材料の熱伝導率(K 、K ・・・K )に、連結層全体の厚みd sumに対するそれぞれの層の厚み(d 、d ・・・d )の比率を乗じたものの総和を合成熱伝導率K sinとする。
sin=d sum/(d /K +d /K +・・・+d /K ) … (1)
 なお、連結層に使用する各層の材質や商品名が判っており、熱伝導率の値も測定されているのであれば、それらの値を用いて合成熱伝導率を算出すればよい。連結層に使用する各層の材質や商品名が判らない場合は、連結層をそれぞれの層に分解して各々測定した熱伝導率を用いるか、各層の材質を分析して、その材質の既知の熱伝導率から算出した熱伝導率を用いて合成熱伝導率を算出する。
[0033]
 連結層が複数層からなる場合に、各層の熱伝導率がいずれも1.6W/(m・K)以下であることも好ましい。これにより、過度に熱伝導率が高い層が存在することにより、連結層の平面方向に熱が伝播し易くなることを回避することができる。連結層を構成する各層の熱伝導率は0.03~1.6W/(m・K)であることがより好ましく、0.075~1.3W/(m・K)であることがさらに好ましい。
[0034]
 熱電変換デバイス1Aの第1連結層81のように単層の連結層を用いる場合は、それ自体が接着性を有しており、第1高熱伝導層91を熱電素子層6に接着して固定できるものであることが好ましい。また、この単層の連結層自体が、封止層であり、後述するように、所定の範囲内の水蒸気透過率を有する層や、ポリオレフィン系樹脂を含む組成物からなる層である場合は、連結層は熱電素子層を覆っており、連結層が熱電素子層を封止する部材として機能するためより好ましい。単層の連結層を用いると、熱電変換デバイス内の層の数が少ないため、熱電変換デバイスの構成を簡素化することができ、熱電変換デバイスの製造工程も簡略にすることができる。また、連結層の総厚みを小さくできるので、高熱伝導層と熱電素子層間の熱交換の効率を上げることができる。
[0035]
 熱電変換デバイス1B、1Cの連結層81’のように、複数の層を含む連結層の場合、上述した第1高熱伝導層91と熱電素子層6の接着機能や封止の機能など、複数の機能を各層に分担させやすくなるというメリットがある。例えば、中間層812としての、後述する補助基材層にガスバリア性を付与し、補助基材層の両面に、それぞれ接着層としての内側層811、外側層813を設けることで、ガスバリアの機能と接着の機能との両立を容易にすることができる。この場合に、さらに内側層811および外側層813の少なくとも一方が封止層も兼ねるものであれば、補助基材層のガスバリア性と、封止層である内側層811および/または外側層813の封止性により、熱電変換デバイスの耐久性の向上が期待できる。
[0036]
 連結層は、連結層全体として、JIS K7129:2008で規定される40℃×90%RHにおける水蒸気透過率が1000g・m -2・day -1以下であるか、このような水蒸気透過率を示す封止層を含んでいることが好ましい。水蒸気透過率が1000g・m -2・day -1を超えると、大気中等の水蒸気が、連結層を透過しやすくなることから、熱電素子層に用いる熱電半導体層が腐食等により劣化し、その結果として、経時により熱電素子層の電気抵抗値が増大し、熱電性能が低下しやすくなる。
[0037]
 連結層全体の水蒸気透過率、あるいは、連結層に含まれる封止層の水蒸気透過率は、より好ましくは700g・m -2・day -1以下、さらに好ましくは600g・m -2・day -1以下、さらに好ましくは50g・m -2・day -1以下、特に好ましくは10g・m -2・day -1以下である。水蒸気透過率がこの範囲にあると、熱電素子層への水蒸気の侵入が抑制され、熱電素子層の腐食等による劣化を抑制しやすくなる。このため、経時後の熱電素子層の電気抵抗値の増加が小さく、初期の熱電性能が維持された状態で、長期間の使用が可能となる。
[0038]
連結層の総厚みは、高熱伝導層と熱電素子層との間の熱伝導が効率的に行われるようにする観点から、1~200μmであることが好ましく、5~175μmであることがより好ましい。
[0039]
(封止層・接着層)
 連結層は、熱電素子層を覆うため、連結層の配置を上記のようにすると、連結層が封止層を含む場合、大気中の水蒸気の透過をより効果的に抑制でき、熱電変換デバイスの性能を長期間にわたり維持することができる。さらに、封止層を含む連結層を熱電素子層の両面に配置することが好ましい。これにより、大気中の水蒸気の透過をさらに効果的に抑制できる。
[0040]
 封止層は、ポリオレフィン系樹脂を含む組成物からなることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂は柔軟性や耐久性に優れており、連結層の熱伝導率を上述した範囲に設定しやすいことに加えて、連結層全体の水蒸気透過性を低くしやすいため、熱電変換デバイスの耐久性を高めることができる。
[0041]
連結層は、接着性を有する層(接着層)を含むことが好ましい。本明細書において、「接着性」は、接着性、及び、貼り付ける初期において感圧により接着可能な感圧性の粘着性、のいずれをも含む。感圧性の粘着性以外の接着性としては、感湿接着性、熱溶融による接着性等が挙げられる。接着層は、接着性を有する添加剤を含む組成物(以下、「接着性組成物」ということがある)を含むことが好ましく、接着性組成物に好ましく含まれる樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。連結層が接着層を含むことで、高熱伝導層と熱電素子層とを連結することが容易となる。
また、連結層の熱電素子層や後述する補助基材層への貼付も容易となる。上述した連結層が単層である場合のように、封止層が接着層を兼ねること、つまり、封止層が接着性を有していることが、連結層を可及的に少ない層から構成でき、連結層の総厚みを小さくできる観点から好ましい。
[0042]
 接着性組成物は、硬化性の接着性組成物であってもよい。本発明の連結層は、熱電素子層を覆うものであるので、連結層の高熱伝導層が設けられていない領域に、低熱伝導層等の部材が設けられていない場合、連結層に含まれる接着層が露出することがあり、その結果、熱電変換デバイスの取り扱い性が劣ることがある。接着層が硬化可能なものであれば、例えば、連結層上に高熱伝導層を接着層の接着性により固定した後に、接着層を硬化させることによって、接着性を消失または低下させることができるため、熱電変換デバイスの取り扱い性を改善することができる。接着剤組成物に硬化性を付与するには、接着剤組成物に後述するエポキシ系樹脂を熱硬化性の成分として添加したり、(メタ)アクリロイル基等のエネルギー線重合性の官能基を有する化合物を、エネルギー線硬化性の成分として添加したりすればよい。
[0043]
 ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、α-オレフィン重合体、2種以上のオレフィン系単量体の共重合体、オレフィン系単量体と他の単量体との共重合体(アクリル酸、酢酸ビニル等)、ゴム系樹脂等、およびこれらの酸変性物やシラン変性物等の変性物が挙げられる。封止層を形成するための組成物中においては、連結層全体の水蒸気透過性を低くしやする観点から、ポリオレフィン系樹脂の配合量は、好ましくは20~100質量%、より好ましくは30~99質量%、更に好ましくは60~98.5質量%である。
[0044]
ゴム系樹脂としては、カルボン酸系官能基を有するジエン系ゴム(以下、「カルボン酸変性ジエン系ゴム」ということがある。)、又は、カルボン酸系官能基を有するジエン系ゴム及びカルボン酸系官能基を有しないゴム系重合体(以下、「ゴム系重合体」ということがある。)が挙げられる。
[0045]
 「ジエン系ゴム」とは、「ポリマー主鎖に二重結合を有するゴム状高分子」をいい、「カルボン酸変性ジエン系ゴム」とは、主鎖末端及び/又は側鎖にカルボン酸系官能基を有する重合体で構成されるジエン系ゴムである。ここで、「カルボン酸系官能基」とは、「カルボキシル基またはカルボン酸無水物基」をいう。
 カルボン酸変性ジエン系ゴムは、カルボン酸系官能基を有するジエン系ゴムであれば、特に限定されない。
 カルボン酸変性ジエン系ゴムとしては、カルボン酸系官能基含有ポリブタジエン系ゴム、カルボン酸系官能基含有ポリイソプレン系ゴム、カルボン酸系官能基を含有するブタジエンとイソプレンの共重合体ゴム、カルボン酸系官能基を含有するブタジエンとn-ブテンの共重合体ゴム等が挙げられる。これらの中でも、カルボン酸変性ジエン系ゴムとしては、架橋剤による架橋後に十分に高い凝集力を有する連結層を効率よく形成し得るという観点から、カルボン酸系官能基含有ポリイソプレン系ゴムが好ましい。
 カルボン酸変性ジエン系ゴムは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
 カルボン酸変性ジエン系ゴム、例えば、カルボキシル基を有する単量体を用いて共重合反応を行う方法や、特開2009-29976号公報に記載される、ポリブタジエン等の重合体に無水マレイン酸を付加させる方法により、得ることができる。
[0046]
 カルボン酸変性ジエン系ゴムの配合量は、封止層を形成するための組成物または接着性組成物中、好ましくは0.5~95.5質量%、より好ましくは、1.0~50質量%、さらに好ましくは2.0~20質量%である。カルボン酸変性ジエン系ゴムの配合量が、封止層を形成するための組成物または接着性組成物中、0.5質量%以上であることで、十分な凝集力を有する層を効率よく形成することができる。また、カルボン酸変性ジエン系ゴムの配合量を高くし過ぎないことで、十分な粘着力を有する層を効率よく形成することができる。
[0047]
 架橋剤は、ジエン系ゴムのカルボン酸系官能基と反応し、架橋構造を形成し得る化合物である。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
[0048]
 ゴム系重合体は、「25℃においてゴム弾性を示す樹脂」をいう。ゴム系重合体は、ポリメチレンタイプの飽和主鎖をもつゴムや主鎖に不飽和炭素結合をもつゴムであることが好ましい。
 このようなゴム系重合体としては、具体的には、イソブチレンの単独重合体(ポリイソブチレン、IM)、イソブチレンとn-ブテンの共重合体、天然ゴム(NR)、ブタジエンの単独重合体(ブタジエンゴム、BR)、クロロプレンの単独重合体(クロロプレンゴム、CR)、イソプレンの単独重合体(イソプレンゴム、IR)、イソブチレンとブタジエンの共重合体、イソブチレンとイソプレンの共重合体(ブチルゴム、IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、スチレンと1,3-ブタジエンの共重合体(スチレンブタジエンゴム、SBR)、アクリロニトリルと1,3-ブタジエンの共重合体(ニトリルゴム)、スチレン-1,3-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、エチレン-プロピレン-非共役ジエン三元共重合体等が挙げられる。これらの中で、それ自体が水分遮断性に優れるとともに、ジエン系ゴム(A)と混ざり易く、均一な連結層を形成し易いという観点から、イソブチレンの単独重合体、イソブチレンとn-ブテンの共重合体、イソブチレンとブタジエンの共重合体、イソブチレンとイソプレンの共重合体等のイソブチレン系重合体が好ましく、イソブチレンとイソプレンの共重合体がより好ましい。
 ゴム系重合体を配合する場合、その配合量は、粘接着性組成物中、好ましくは0.1質量%~99.5質量%、より好ましくは10~99.5質量%、さらに好ましくは50~99.0質量%、特に好ましくは80~98.0質量%である。
[0049]
 エポキシ系樹脂としては、特に制限されないが、分子内に少なくともエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物が好ましい。
 エポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂)、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、2,2-ビス(3-グリシジル-4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、ジメチロールトリシクロデカンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
 これらの多官能エポキシ化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
 多官能エポキシ化合物の分子量の下限は、好ましくは700以上、より好ましくは1,200以上である。多官能エポキシ化合物の分子量の上限は、好ましくは5,000以下、より好ましくは4,500以下である。
 多官能エポキシ化合物のエポキシ当量は、好ましくは100g/eq以上500g/eq以下、より好ましくは150g/eq以上300g/eq以下である。
[0050]
 接着性組成物中のエポキシ系樹脂の含有量は、好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは10~40質量%である。
[0051]
 アクリル系樹脂としては、特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が好ましい。
 この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体や他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。エステル部分のアルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、n-ヘキシルアクリレートn-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0052]
 必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体は、例えばヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を分子内に有するエチレン性単量体であり、好ましくはヒドロキシ基含有エチレン性不飽和化合物、カルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物が用いられる。このような架橋性官能基含有エチレン性単量体の具体的な例としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物が挙げられる。上記の架橋性官能基含有エチレン性単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 必要に応じて用いられる他の単量体としては、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートなどの脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミドなどのN,N-ジアルキル置換アクリルアミド類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 以上の(メタ)アクリル酸エステル、及び必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体や他の単量体を、それぞれ所定の割合で用い、従来公知の方法を用いて共重合を行い、重量平均分子量が、好ましくは30万~150万程度、より好ましくは35万~130万程度の(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する。
 なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
 必要に応じて用いられる架橋剤としては、従来アクリル系樹脂において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、上述した(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が、架橋性官能基としてヒドロキシ基を有する場合には、ポリイソシアネート化合物が好ましく、一方カルボキシル基を有する場合には、金属キレート化合物やエポキシ化合物が好ましい。
[0053]
 接着性組成物中のアクリル系樹脂の含有量は、好ましくは30~95質量%、さらに好ましくは40~90質量%である。
[0054]
 封止層を形成するための組成物または接着性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分が含まれていてもよい。封止層を形成するための組成物または接着性組成物に含まれ得るその他の成分としては、例えば、高熱伝導性材料、難燃剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、イミダゾール系化合物等の熱硬化促進剤、光重合開始剤、及び濡れ性調整剤などが挙げられる。なお、上述のとおり、封止層または接着層は高熱伝導フィラーを含まないことが好ましい。
[0055]
封止層および接着層の熱伝導率は、好ましくは0.03~1.6W/(m・K)、より好ましくは、0.05~1.3W/(m・K)とする。
[0056]
 個々の封止層または接着層の厚さは、好ましくは0.5~100μm、より好ましくは3~50μm、さらに好ましくは5~30μmである。封止層または接着層の厚さがこの範囲であれば、連結層の総厚みを小さい範囲に調整し易い。
 また、この範囲であれば、水蒸気が透過して熱電素子層へ到達するのを抑制しやすくなり、熱電変換デバイスの耐久性を高めやすくなる。さらには、接着層の接着性も好適な範囲に維持しやすい。
 さらに、熱電素子層と、封止層とが直接接することが好ましい。熱電素子層と、封止層とが直接接することにより、熱電素子層と連結層との間に大気中の水蒸気が侵入しやすい層がないため、熱電素子層の水蒸気への侵入が抑制され、連結層による封止性を高めることができる。なお、連結層が基板を有する場合には、基板は通常所定以上の厚さを有し、水蒸気を透過しにくいため、封止層が基板上に直接接することも好ましい。
[0057]
(補助基材層)
 連結層は、さらに補助基材層を含んでいてもよい。補助基材層は、連結層が封止層または接着層を含む場合に、これらの接着層または封止層を支持するための基材となる。例えば、熱電変換デバイス1B、1Cの第1連結層81の中間層812(図2、3参照)や、熱電変換デバイス1B、1Dの第2連結層82の中間層822を、補助基材層とすることができる。連結層が、補助基材層を含むことで、連結層全体の熱伝導率の調整を容易にしたり、熱電変換デバイス全体の強度を高めたりすることができる。また、高熱伝導層が導電性のものである場合に、高熱伝導層と熱電素子層との間に補助基材層が存在することで、高熱伝導層と熱電素子層との短絡を防止することができる。
[0058]
 連結層が補助基材層を含む場合、補助基材層は、熱電変換デバイスのいずれかの連結層に含まれていればよく、例えば、図2の熱電変換デバイス1Bにおける、第1連結層81、第2連結層82のいずれか一方に含まれていればよい。熱電変換デバイス1Bの第1連結層81及び第2連結層82の両方が補助基材層を含んでいることがさらに好ましい。この場合、補助基材層に、後述するガスバリア性を付与することで、熱電素子層への水蒸気の侵入をさらに抑制しやすくなる。
[0059]
 補助基材層の熱伝導率は、好ましくは0.03~1.6W/(m・K)、より好ましくは、0.075~1.3W/(m・K)とする。
[0060]
 補助基材層としては、屈曲性を備え、適度な熱伝導性を与えられるものであればよいが、大気中の水蒸気透過を抑制する性能(以下、「ガスバリア性」ということがある。)を付与する観点から、基材上に無機層または高分子化合物を含む層(以下、「ガスバリア層」ということがある。)からなることが好ましい。
[0061]
 補助基材層を構成する基材としては、屈曲性を有するものが好適に用いられる。例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。これらの中で、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート等が挙げられる。また、シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。このような基材の中で、コスト、耐熱性の観点から、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
[0062]
 補助基材層を構成する無機層としては、無機化合物や金属の蒸着膜等の無機蒸着膜が挙げられる。
 無機化合物の蒸着膜の原料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化珪素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
 金属の蒸着膜の原料としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
 これらの中では、ガスバリア性の観点から、無機酸化物、無機窒化物又は金属を原料とする無機蒸着膜が好ましい。
[0063]
 補助基材層を構成する高分子化合物としては、ポリオルガノシロキサン、ポリシラザン系化合物等の珪素含有高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。これらの高分子化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
 これらの中でも、ガスバリア性を有する高分子化合物としては、珪素含有高分子化合物が好ましい。珪素含有高分子化合物としては、ポリシラザン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、及びポリオルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、優れたガスバリア性を有するバリア層を形成できる観点から、ポリシラザン系化合物が好ましい。
[0064]
 また、無機化合物の蒸着膜、またはポリシラザン系化合物を含む層に改質処理を施して形成された酸素、窒素、珪素を主構成原子として有する層からなる酸窒化珪素層が、層間密着性、ガスバリア性、及び屈曲性を有する観点から、好ましく用いられる。
[0065]
 補助基材層に用いるガスバリア層は、例えば、ポリシラザン化合物含有層に、プラズマイオン注入処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、熱処理等を施すことにより形成できる。プラズマイオン注入処理により注入されるイオンとしては、水素、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、及びクリプトン等が挙げられる。
 プラズマイオン注入処理の具体的な処理方法としては、外部電界を用いて発生させたプラズマ中に存在するイオンを、ポリシラザン化合物含有層に対して注入する方法、または、外部電界を用いることなく、ガスバリア層形成用材料からなる層に印加する負の高電圧パルスによる電界のみで発生させたプラズマ中に存在するイオンを、ポリシラザン化合物含有層に注入する方法が挙げられる。
 プラズマ処理は、ポリシラザン化合物含有層をプラズマ中に晒して、含ケイ素ポリマーを含有する層を改質する方法である。例えば、特開2012-106421号公報に記載の方法に従って、プラズマ処理を行うことができる。紫外線照射処理は、ポリシラザン化合物含有層に紫外線を照射して含ケイ素ポリマーを含有する層を改質する方法である。例えば、特開2013-226757号公報に記載の方法に従って、紫外線改質処理を行うことができる。
 これらの中でも、ポリシラザン化合物含有層の表面を荒らすことなく、その内部まで効率よく改質し、よりガスバリア性に優れるガスバリア層を形成できることから、イオン注入処理が好ましい。
[0066]
 補助基材層における、無機層または高分子化合物を含む層の厚さは、好ましくは0.03~1μm、より好ましくは0.05~0.8μm、さらに好ましくは0.10~0.6μmである。無機層または高分子化合物を含む層の厚さがこの範囲にあると、適度な熱伝導性を付与するとともに、水蒸気透過率の上昇を効果的に抑制できる。
[0067]
 補助基材層のJIS K7129:2008で規定される40℃×90%RHにおける水蒸気透過率は、好ましくは10g・m -2・day -1以下、より好ましくは5g・m -2・day -1以下、さらに好ましくは1g・m -2・day -1以下である。水蒸気透過率がこの範囲にあると、連結層及び熱電素子層への水蒸気の透過が抑制され、熱電素子層の腐食等による劣化が抑制される。このため、経時後の熱電素子層の電気抵抗値の増加が小さくなり、初期の熱電性能が維持された状態で、長期間の使用が可能となる。
[0068]
 無機層または高分子化合物を含む層を有する補助基材層の厚さは、10~100μmであることが好ましく、より好ましくは、15~50μm、さらに好ましくは20~40μmである。補助基材層の厚さがこの範囲にあると、優れたガスバリア性が得られるとともに、屈曲性と、被膜強度とを両立させることができる。
[0069]
(基板)
 連結層に用いる基板としては、熱電素子層の電気伝導率の低下、熱伝導率の増加に影響を及ぼさないプラスチックフィルムを用いることが好ましい。なかでも、屈曲性に優れ、後述する熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、基板が熱変形することなく、熱電素子層の性能を維持することができ、耐熱性及び寸法安定性が高いという点から、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリアラミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムが好ましく、さらに、汎用性が高いという点から、ポリイミドフィルムが特に好ましい。
[0070]
 フィルム基板の厚さは、屈曲性、耐熱性及び寸法安定性の観点から、1~1000μmが好ましく、10~500μmがより好ましく、20~100μmがさらに好ましい。
 また、上記フィルムは、分解温度が300℃以上であることが好ましい。
[0071]
 基板の熱伝導率は、好ましくは0.03~1.6W/(m・K)、より好ましくは0.075~1.3W/(m・K)とする。
[0072]
<電極>
 電極は、熱電素子層を構成するP型熱電素子層とN型熱電素子層との電気的な接続を行うために設けられる。電極には、各種の電極材料を用いることができる。接続の安定性、熱電性能の観点から、導電性の高い金属材料を用いることが好ましい。好ましい電極材料としては、金、銀、ニッケル、銅、これらの金属の合金、これらの金属や合金を積層したもの等が挙げられる。
 電極の厚さは、好ましくは10nm~200μm、より好ましくは30nm~150μm、さらに好ましくは50nm~120μmである。電極層の厚さが、上記範囲内であれば、電気伝導率が高く低抵抗となり熱電素子層のトータルの電気抵抗値を低く抑えられる。また、電極として十分な強度が得られる。
[0073]
<熱電素子層>
 熱電素子層は、熱電半導体微粒子、耐熱性樹脂、並びに、イオン液体及び無機イオン性化合物の一方又は双方を含む熱電半導体組成物からなる層であることが好ましい。
[0074]
 熱電素子層の熱伝導率は、特に限定されないが、通常0.1~5W/(m・K)程度である。用いる熱電半導体の種類によっては、好ましくは1~5W/(m・K)、より好ましくは1~4W/(m・K)とする。熱電半導体として、例えば、シリサイド系熱電半導体材料やスクッテルダイト材料を選択した場合には、熱電素子層の熱伝導率がこのように高いものとなる傾向がある。熱電素子層の熱伝導率が5W/(m・K)以下であれば、熱電素子層の層内部の温度差を維持しやすく、熱電変換デバイスの高い熱電変換性能を維持し易い。熱電素子層の熱伝導率は、3ω法により測定して得られる値である。
[0075]
(熱電半導体微粒子)
 熱電素子層に用いる熱電半導体微粒子は、熱電半導体材料を、微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕することが好ましい。
[0076]
 P型熱電素子層及びN型熱電素子層を構成する材料としては、温度差を付与することにより、熱起電力を発生させることができる材料であれば特に制限されず、例えば、P型ビスマステルライド、N型ビスマステルライド等のビスマス-テルル系熱電半導体材料;GeTe、PbTe等のテルライド系熱電半導体材料;アンチモン-テルル系熱電半導体材料;ZnSb、Zn Sb 、Zn Sb 等の亜鉛-アンチモン系熱電半導体材料;SiGe等のシリコン-ゲルマニウム系熱電半導体材料;Bi Se 等のビスマスセレナイド系熱電半導体材料;β―FeSi 、CrSi 、MnSi 1.73、Mg Si等のシリサイド系熱電半導体材料;酸化物系熱電半導体材料;FeVAl、FeVAlSi、FeVTiAl等のホイスラー材料、TiS 等の硫化物系熱電半導体材料、スクッテルダイト材料等が用いられる。これらのうちでも、地政学的な問題から供給が不安定なレアメタルを含まないという観点からは、シリサイド系熱電半導体材料が好ましく、高温環境で熱電変換デバイスを機能させることを容易とすることができるという観点からは、スクッテルダイト材料が好ましい。
[0077]
 また、低温環境での熱電変換性能が高いという観点からは、熱電半導体材料は、P型ビスマステルライド又はN型ビスマステルライド等のビスマス-テルル系熱電半導体材料であることが好ましい。
 P型ビスマステルライドは、キャリアが正孔で、ゼーベック係数が正値であり、例えば、Bi Te Sb 2-Xで表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Xは、好ましくは0<X≦0.8であり、より好ましくは0.4≦X≦0.6である。Xが0より大きく0.8以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、P型熱電変換材料としての特性が維持されるので好ましい。
 また、N型ビスマステルライドは、キャリアが電子で、ゼーベック係数が負値であり、例えば、Bi Te 3-YSe で表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Yは、好ましくは0≦Y≦3(Y=0の時:Bi Te )であり、より好ましくは0.1<Y≦2.7である。Yが0以上3以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、N型熱電変換材料としての特性が維持されるので好ましい。
[0078]
 熱電半導体微粒子の熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは、30~99質量%である。より好ましくは、50~96質量%であり、さらに好ましくは、70~95質量%である。熱電半導体微粒子の配合量が、上記範囲内であれば、ゼーベック係数(ペルチェ係数の絶対値)が大きく、また電気伝導率の低下が抑制され、熱伝導率のみが低下するため高い熱電性能を示すとともに、十分な皮膜強度、屈曲性を有する膜が得られ好ましい。
[0079]
 熱電半導体微粒子の平均粒径は、好ましくは、10nm~200μm、より好ましくは、10nm~30μm、さらに好ましくは、50nm~10μm、特に好ましくは、1~6μmである。上記範囲内であれば、均一分散が容易になり、電気伝導率を高くすることができる。
 熱電半導体材料を粉砕して熱電半導体微粒子を得る方法は特に限定されず、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、エッジミル、製粉ミル、ハンマーミル、ペレットミル、ウィリーミル、ローラーミル等の公知の微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕すればよい。
 なお、熱電半導体微粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分析装置(CILAS社製、1064型)にて測定することにより得られ、粒径分布の中央値とした。
[0080]
 また、熱電半導体微粒子は、アニール処理(以下、「アニール処理A」ということがある。)されたものであることが好ましい。アニール処理Aを行うことにより、熱電半導体微粒子は、結晶性が向上し、さらに、熱電半導体微粒子の表面酸化膜が除去されるため、熱電変換材料のゼーベック係数(ペルチェ係数の絶対値)が増大し、熱電性能指数をさらに向上させることができる。アニール処理Aは、特に限定されないが、熱電半導体組成物を調製する前に、熱電半導体微粒子に悪影響を及ぼすことがないように、ガス流量が制御された、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、同じく水素等の還元ガス雰囲気下、または真空条件下で行うことが好ましく、不活性ガス及び還元ガスの混合ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。具体的な温度条件は、用いる熱電半導体微粒子に依存するが、通常、微粒子の融点以下の温度で、かつ100~1500℃で、数分~数十時間行うことが好ましい。
[0081]
(耐熱性樹脂)
 熱電素子層に含まれる耐熱性樹脂は、熱電半導体微粒子間のバインダーとして働き、熱電変換材料の屈曲性を高めるためのものである。耐熱性樹脂としては、特に制限されるものではないが、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理等により熱電半導体微粒子を結晶成長させる際に、樹脂としての機械的強度及び熱伝導率等の諸物性が損なわれず維持される耐熱性樹脂を用いる。
 耐熱性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの樹脂の化学構造を有する共重合体等が挙げられる。耐熱性樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐熱性がより高く、且つ薄膜中の熱電半導体微粒子の結晶成長に悪影響を及ぼさないという点から、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、屈曲性に優れるという点からポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂がより好ましい。前述の支持体として、ポリイミドフィルムを用いる場合、ポリイミドフィルムとの密着性などの点から、耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂がより好ましい。なお、本願明細書においてポリイミド樹脂とは、ポリイミド及びその前駆体を総称する。
[0082]
 耐熱性樹脂は、分解温度が300℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、バインダーとして機能が失われることなく、熱電変換材料の屈曲性を維持することができる。
[0083]
 また、耐熱性樹脂は、熱重量測定(TG)による300℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、バインダーとして機能が失われることなく、熱電変換材料の屈曲性を維持することができる。
[0084]
 耐熱性樹脂の熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは0.5~20質量%、さらに好ましくは1~20質量%である。耐熱性樹脂の配合量が、上記範囲内であれば、高い熱電性能と皮膜強度が両立した膜が得られる。
[0085]
(イオン液体)
 熱電素子層に含まれるイオン液体は、カチオンとアニオンとを組み合わせてなる溶融塩であり、-50~500℃の幅広い温度領域において液体で存在し得る塩をいう。イオン液体は、蒸気圧が極めて低く不揮発性であること、優れた熱安定性及び電気化学安定性を有していること、粘度が低いこと、かつイオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。また、イオン液体は、非プロトン性のイオン構造に基づく高い極性を示し、耐熱性樹脂との相溶性に優れるため、熱電変換材料の電気伝導率を均一にすることができる。
[0086]
 イオン液体は、公知または市販のものが使用できる。例えば、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピラゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、イミダゾリウム等の窒素含有環状カチオン化合物及びそれらの誘導体;テトラアルキルアンモニウム系のアミン系カチオン及びそれらの誘導体;ホスホニウム、トリアルキルスルホニウム、テトラアルキルホスホニウム等のホスフィン系カチオン及びそれらの誘導体;リチウムカチオン及びその誘導体等のカチオン成分と、Cl 、Br 、I 、AlCl 、Al Cl 、BF 、PF 、ClO 、NO 、CH COO 、CF COO 、CH SO 、CF SO 、(FSO 、(CF SO 、(CF SO 、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF) 、(CN) 、C SO 、(C SO 、C COO 、(CF SO )(CF CO)N 等のアニオン成分とから構成されるものが挙げられる。
[0087]
 上記のイオン液体の中で、高温安定性、熱電半導体微粒子及び樹脂との相溶性、熱電半導体微粒子間隙の電気伝導率の低下抑制等の観点から、イオン液体のカチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
[0088]
 カチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体の具体的な例として、4-メチル-ブチルピリジニウムクロライド、3-メチル-ブチルピリジニウムクロライド、4-メチル-ヘキシルピリジニウムクロライド、3-メチル-ヘキシルピリジニウムクロライド、4-メチル-オクチルピリジニウムクロライド、3-メチル-オクチルピリジニウムクロライド、3、4-ジメチル-ブチルピリジニウムクロライド、3、5-ジメチル-ブチルピリジニウムクロライド、4-メチル-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、4-メチル-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。この中で、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファートが好ましい。
[0089]
 また、カチオン成分が、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体の具体的な例として、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレイト]、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-メチル-3-ブチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1、3-ジブチルイミダゾリウムメチルスルフェート等が挙げられる。この中で、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレイト]が好ましい。
[0090]
 上記のイオン液体は、電気伝導度が10 -7S/cm以上であることが好ましい。イオン伝導度が上記範囲であれば、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。
[0091]
 また、上記のイオン液体は、分解温度が300℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
[0092]
 また、上記のイオン液体は、熱重量測定(TG)による300℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
[0093]
 イオン液体の熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、さらに好ましくは1.0~20質量%である。イオン液体の配合量が、上記範囲内であれば、電気伝導率の低下が効果的に抑制され、高い熱電性能を有する膜が得られる。
[0094]
(無機イオン性化合物)
 熱電素子層に含まれる無機イオン性化合物は、少なくともカチオンとアニオンから構成される化合物である。無機イオン性化合物は400~900℃の幅広い温度領域において固体で存在し、イオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を抑制することができる。
[0095]
 上記無機イオン性化合物を構成するカチオンとしては、金属カチオンを用いる。
 金属カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、典型金属カチオン及び遷移金属カチオンが挙げられ、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンがより好ましい。
 アルカリ金属カチオンとしては、例えば、Li 、Na 、K 、Rb 、Cs 及びFr 等が挙げられる。
 アルカリ土類金属カチオンとしては、例えば、Mg 2+、Ca 2+、Sr 2+及びBa 2+等が挙げられる。
[0096]
 上記無機イオン性化合物を構成するアニオンとしては、例えば、F 、Cl 、Br 、I 、OH 、CN 、NO 、NO 、ClO 、ClO 、ClO 、ClO 、CrO 2-、HSO 、SCN 、BF 、PF 等が挙げられる。
[0097]
 熱電素子層に含まれる無機イオン性化合物は、公知または市販のものが使用できる。例えば、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、又はリチウムカチオン等のカチオン成分と、Cl 、AlCl 、Al Cl 、ClO 等の塩化物イオン、Br 等の臭化物イオン、I 等のヨウ化物イオン、BF 、PF 等のフッ化物イオン、F(HF) 等のハロゲン化物アニオン、NO 、OH 、CN 等のアニオン成分とから構成されるものが挙げられる。
[0098]
 上記の無機イオン性化合物の中で、高温安定性、熱電半導体微粒子及び樹脂との相溶性、熱電半導体微粒子間隙の電気伝導率の低下抑制等の観点から、無機イオン性化合物のカチオン成分が、カリウム、ナトリウム、及びリチウムから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、無機イオン性化合物のアニオン成分が、ハロゲン化物アニオンを含むことが好ましく、Cl 、Br 、及びI から選ばれる少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
[0099]
 カチオン成分が、カリウムカチオンを含む無機イオン性化合物の具体的な例として、KBr、KI、KCl、KF、KOH、K CO 等が挙げられる。この中で、KBr、KIが好ましい。
 カチオン成分が、ナトリウムカチオンを含む無機イオン性化合物の具体的な例として、NaBr、NaI、NaOH、NaF、Na CO 等が挙げられる。この中で、NaBr、NaIが好ましい。
 カチオン成分が、リチウムカチオンを含む無機イオン性化合物の具体的な例として、LiF、LiOH、LiNO 等が挙げられる。この中で、LiF、LiOHが好ましい。
[0100]
 上記の無機イオン性化合物は、電気伝導率が10 -7S/cm以上であることが好ましく、10 -6S/cm以上であることがより好ましい。電気伝導率が上記範囲であれば、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。
[0101]
 また、上記の無機イオン性化合物は、分解温度が400℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
[0102]
 また、上記の無機イオン性化合物は、熱重量測定(TG)による400℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
[0103]
 無機イオン性化合物の熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、さらに好ましくは1.0~10質量%である。無機イオン性化合物の配合量が、上記範囲内であれば、電気伝導率の低下を効果的に抑制でき、結果として熱電性能が向上した膜が得られる。
 なお、無機イオン性化合物とイオン液体とを併用する場合においては、熱電半導体組成物中における、無機イオン性化合物及びイオン液体の含有量の総量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、さらに好ましくは1.0~10質量%である。
[0104]
 P型熱電素子層及びN型熱電素子層からなる熱電素子層の厚さは、特に限定されるものではなく、同じ厚さでも、異なる厚さ(接続部に段差が生じる)でもよい。屈曲性、材料コストの観点から、P型熱電素子及びN型熱電素子の厚さは、0.1~100μmが好ましく、1~50μmがさらに好ましい。
[0105]
<高熱伝導層>
 高熱伝導層としては、熱伝導性に優れており、その熱伝導率が連結層の熱伝導率よりも大きいものを用いる。高熱伝導層として、熱伝導率が5~500W/(m・K)のものを用いることが好ましく、15~420W/(m・K)のものがより好ましく、300~420W/(m・K)のものがさらに好ましい。
高熱伝導層を構成する材料としては、熱伝導率の大きいものであれば、特に制限されないが、好ましくは金属であり、より好ましくは銅、アルミニウム、銀、及びニッケルのいずれか1種であり、更に好ましくは銅、アルミニウム、及び銀のいずれか1種であり、より更に好ましくは銅及びアルミニウムのいずれか1種である。
高熱伝導層は、ストライプ状、格子状、ハニカム状、櫛状、マトリクス状などのパターンで配置される。これによって、熱電変換デバイスの面方向に温度差を生じさせやすくなり、また、P型熱電素子層5とN型熱電素子層4との境界部分を露出させることで、外部との熱交換が効率的に行われる。結果的に、熱電変換デバイスの起電力性能、発熱性能、吸熱性能を向上させることができる。
 図5(C)でも説明したように、第1の高熱伝導層を、P型熱電素子層とN型熱電素子層との接合部を一つおきに覆うように熱電素子層の一方の面側に配置し、第2の高熱伝導層を、基板の主面に垂直な方向から見て、第1の高熱伝導層によって覆われていない熱電素子の接合部に対応する位置に配置し、高熱伝導層の並び方向の縦断面において、第1の高熱伝導層と第2の高熱伝導層とが、熱電素子層に対して互い違いに配置することが好ましい。
高熱伝導層の厚みは、屈曲性、放熱性及び寸法安定性の観点から、40~550μmが好ましく、60~530μmがより好ましく、80~510μmがさらに好ましい。
[0106]
 本実施形態の熱電変換デバイスによれば、高い熱起電力、及び、大きな温度差を発生することができる。また、所定の水蒸気透過率を有する連結層を用いることで、熱電素子層への大気中の水蒸気の侵入を抑制することができ、設置場所の環境に関わらず高い耐久性を発揮できる熱電変換デバイスとすることができる。また、フレキシブル性を持たせることにより、様々な場所に設置できる熱電変換デバイスとすることができる。なお、上記各実施形態は、第1連結層81に近位である第1高熱伝導層91と、第2連結層82に近位である第2高熱伝導層92という2つの高熱伝導層を備えることにより、熱電変換デバイスの面内に効率よく温度差を生じさせることができ、好ましい構成である。しかし、例えば、熱電変換デバイスの面積を大きくできたり、熱電変換デバイスの構成を極力簡素化することが求められたりする場合には、第2高熱伝導層92を省略することも可能である。
[0107]
[熱電変換デバイスの製造方法]
 本実施形態の熱電変換デバイスの製造方法の一例としては、熱電素子層上に連結層を形成し、連結層の一方の面の一部に高熱伝導層をパターン状に形成する。より具体的には、図6に示すように、電極3がパターン配置された基板2を準備する工程(図6(A))、基板2の一方の面上に、P型熱電素子層5及びN型熱電素子層4からなる熱電素子層6を形成する工程(図6(B))、熱電素子層6の面上に第1連結層81を形成する工程(図6(C))、第1連結層81の面上の少なくとも一部に第1高熱伝導層91を形成する工程(図6(D))、基板2の他方の面上に第2高熱伝導層92を形成する工程(図6(E))を含む。
 以下、各工程について、順次説明する。
[0108]
<電極が形成された基板を準備する工程>
 熱電変換デバイスの製造工程においては、図6(A)に示すように、まず、所定パターンの電極3が一方の主面に形成された基板2を準備する。電極3が形成された基板を準備するためには、基板2上に前述した電極材料等を用いて電極層を形成すればよい。基板上に電極を形成する方法としては、基板上にパターンが形成されていない電極層を設けた後、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターンに加工する方法、または、スクリーン印刷法、インクジェット法等により直接電極層のパターンを形成する方法等が挙げられる。
 パターンが形成されていない電極層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理気相成長法)、もしくは熱CVD、原子層蒸着(ALD)等のCVD(化学気相成長法)等のドライプロセス、又はディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等の各種コーティングや電着法等のウェットプロセス、銀塩法、電解めっき法、無電解めっき法、金属箔の積層等が挙げられ、電極層の材料に応じて適宜選択される。
[0109]
<熱電素子層を形成する工程>
 図6(B)に示すように、電極3がパターン配置された基板2の一方の主面上に、熱電半導体組成物を用いて、P型熱電素子層5及びN型熱電素子層4からなる熱電素子層6を形成する。熱電半導体組成物を基板上に塗布する方法としては、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スピンコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコート、バーコート、ドクターブレード等の公知の方法が挙げられ、特に制限されない。塗膜をパターン状に形成する場合は、所望のパターンを有するスクリーン版を用いて簡便にパターン形成が可能なスクリーン印刷、スロットダイコート等が好ましく用いられる。
 次いで、得られた塗膜を乾燥することにより薄膜を形成する。塗膜の乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が採用できる。乾燥時の加熱温度は、80~150℃の範囲とすることができる。乾燥時の加熱時間は、加熱方法により異なるが、数秒~数十分とすることができる。
 また、溶媒を使用して熱電半導体組成物を調製した場合、この組成物の塗膜を乾燥するための加熱温度は、使用した溶媒を乾燥できる温度範囲であれば特に制限はない。
[0110]
<第1連結層を形成する工程>
 図6(C)に示すように、熱電素子層6の、基板2とは反対側の面上に第1連結層81を形成する。この場合は、第1連結層81は単層の接着層820から構成されている。連結層は公知の方法で形成することができる。連結層は、熱電素子層の面に直接形成してもよいし、予め剥離シート上に形成した連結層を、熱電素子層に貼り合わせて、連結層を熱電素子層に転写させることにより形成してもよい。
[0111]
 連結層が複数の層で構成される場合(例えば、図2に示す、内側層811、中間層812、外側層813を含む第1連結層81)は、予め複数の層を含む連結層を準備しておき、これを熱電素子層に貼り付けてもよいし、複数の層を構成する各層を順次熱電素子層上に積層して複数の層で構成される連結層を熱電素子層上に形成してもよい。
[0112]
<第1の高熱伝導層を形成する工程>
 第1連結層81の面上の少なくとも一部に第1高熱伝導層91を形成する。図6(D)に示すように、熱電素子層6上に形成した連結層81上に第1高熱伝導層91を設けてもよいし、連結層81上に第1高熱伝導層91を設けてから、第1高熱伝導層91付きの連結層81上を基板2に設けることもできる。
[0113]
<第2の高熱伝導層を形成する工程>
 図6(E)に示すように、基板2の他方の面の一部に第2高熱伝導層92を形成する。この場合、基板2に接着層820を設けてから第2高熱伝導層92を設けてもよいし、第2高熱伝導層92を設けた第2連結層82を基板2の他方の面に設けるようにしてもよい。蒸着、スパッタリング、印刷等によって、第2高熱伝導層92を直接形成した基板を用いれば、上述した第4実施形態のように、基板上に直接接して高熱伝導層が設けられた熱電変換デバイスを得ることができる。
[0114]
 以上の製造方法によれば、簡便な方法で、本発明の熱電変換デバイスを製造することができる。
実施例
[0115]
 次に、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
[0116]
<シミュレーション>
 まず、図7に示す構成を備える熱電変換デバイスのモデルを用いて、連結層の熱伝導率が起電力性能に及ぼす影響をシミュレーションによって確認した。このモデルは、図7に示すように、帯状のパターンで配置された第1高熱伝導層91、第1高熱伝導層91に一方の面が接する単層からなる第1連結層81、P型熱電素子層5及びN型熱電素子層4を含み、第1連結層81の他方の面に一方の面が接する熱電素子層6、熱電素子層6の他方の面に一方の主面が接する第2連結層82、及び、第2連結層82の他方の面に接する、パターン配置された第2高熱伝導層92を備えている。第2連結層82は、基板2と、基板2の他方の主面に一方の面が接する機能層820とを備えている。なお、熱電素子層6の、各熱電素子層の並び方向に沿う側面部には、第1連結層81が熱電素子層の段差に充填されているものとした。
[0117]
 具体的には、上記熱電変換デバイスのモデルの一つのユニットにおいて、各部の大きさを以下のように定めた。なお、「長さ」は図7における奥行き方向(a方向)の値であり、「幅」は図7における左右方向(b方向)の値であり、「厚み」は基板の主面に垂直な方向(図7における上下方向(c方向))の値である。
 第1高熱伝導層91は、長さ7mm、幅0.5mm、厚み100μm、熱伝導率398W/(m・K)の帯状のものが、空気層100(長さ7mm、幅1mm、厚み100μm、熱伝導率0.02W/(m・K))を介して両端に分離して配置されるものとした。第1連結層81(長さ7mm、幅2mm、厚み60μm、熱伝導率は表1に示す各値に変化させた。)、基板層2(長さ7mm、幅2mm、厚み60μm、熱伝導率0.11W/(m・K))、及び、機能層820(長さ7mm、幅2mm、厚み12μm、熱伝導率は表1に示す各値に変化させた。)は、デバイス全体に広がる面状のものとした。P型及びN型熱電素子層(それぞれ、長さ6mm、幅1mm、厚み50μm、熱伝導率は表1に示す各値に変化させた。)は、両者の接合部が、隣り合う一対の第1高熱伝導層の間の空間の中央に重なるように配置されるものとした。そして、熱電素子層の段差に充填された第1連結層81Fは、P型熱電素子層5及びN型熱電素子層4が並ぶ方向に沿う熱電素子層6の2つの側面に接して延在する細長い形状のものとした(図7の符号81F参照。それぞれ、長さ0.5mm、厚み50μm、熱伝導率0.11W/(m・K))。第2高熱伝導層92は、長さ7mm、幅1mm、厚み100μm、熱伝導率398W/(m・K)とし、基板の主面に垂直な方向から見て、第1高熱伝導層側の空気層100と対向する位置に配置されるものとした。また、第2高熱伝導層92に隣接して、第1高熱伝導層91に対向する位置に空気層100(長さ7mm、幅0.5mm、厚み100μm、熱伝導率0.02W/(m・K))が配置されるものとした。なお、図7においては、熱電素子層の構成と寸法を理解しやすいように、第1連結層81と熱電素子層6との間に間隔を設けているが、実際のシミュレーションでは、この間隔は無いものとして演算した。
[0118]
そして、この熱電変換デバイスのモデルの、第1高熱伝導層91側の温度を293Kとし、第2高熱伝導層92側の温度を313Kとして、デバイスの両面間に温度差をつけた状態で、第1連結層および機能層の熱伝導率と、熱電素子層の熱伝導率とを種々変化させたときの、定常状態における温度差の値を有限要素法により算出した。結果を表1に示す。
[0119]
[表1]


[0120]
本シミュレーションの結果から明らかなように、熱電素子層の熱伝導率によって若干の違いはあるものの、連結層の熱伝導率が特定の範囲の場合に、大きな温度差が得られることが判る。特に、第1連結層の熱伝導率を1.6W/(m・K)以下とすれば、概ね熱電素子層の熱伝導率に関わらず大きな温度差が得られ、連結層の熱伝導率が1.6W/(m・K)を超えると、温度差が低いレベルにまで減少していくことが判る。
[0121]
<実施例>
 次に、実施例について説明する。後述する実施例で作製した熱電変換デバイスの熱起電力及び温度差、熱電変換デバイスに用いられる熱電素子層の熱伝導率、熱電変換デバイスに用いられる連結層及び補助基材層の水蒸気透過率、及び、熱電変換デバイスの電気抵抗値は、それぞれ、以下の方法で測定・算出した。
(a)熱電変換デバイスの熱起電力及び温度差
 熱電変換デバイスの下部(第2高熱伝導層側)をホットプレートで50℃に加熱し、上部(第1高熱伝導層側)を20℃で水冷冷却した銅板で冷却し、マルチメーターを用いて熱起電力を測定した。得られた熱起電力を用いて、下記式(2)から熱電層に生じる温度差を算出した。ここで、ΔT:温度差[K]、V:熱起電力[V]、n:熱電素子対数[-]、Sn:N型熱電素子のゼーベック係数[V/K]、Sp:P型熱電素子のゼーベック係数[V/K]、である。
ΔT=V/[n・(Sn+Sp)] … (2)
[0122]
(b)熱電変換デバイスの電気抵抗
 熱電変換デバイスの取り出し電極部間の電気抵抗値を、ディジタルハイテスタ(日置電機社製、型名:3801-50)により、25℃×50%RHの環境下で測定した。
[0123]
<熱電変換モジュールの作製>
 以下の手順に従って、図3、5、6に示される構成を備える熱電変換モジュール(電極の形成された基板及び熱電素子層の組み合わせを指す。)を作製した。まず、100mm×100mmの四角形状のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン200H、膜厚50μm、熱伝導率0.16W/(m・K))に、銅-ニッケル-金がこの順に積層された電極パターン(銅9μm、ニッケル9μm、金0.04μm、熱伝導率148W/(m・K))が設けられた電極付きフィルム基板上に、P型熱電変換材料(後述するP型のビスマス-テルル系熱電半導体材料)とN型熱電変換材料(後述するN型のビスマス-テルル系熱電半導体材料)を交互に隣接して配置することで1mm×6mmの両熱電変換材料を、38対を一列として折り返し、10列形成することで、380対設けた熱電変換モジュールを作製した。熱電素子層の熱伝導率は0.25W/(m・K)であった。
[0124]
(熱電半導体微粒子の作製)
 ビスマス-テルル系熱電半導体材料であるP型ビスマステルライドBi 0.4Te Sb 1.6(高純度化学研究所製、粒径:180μm)を、遊星型ボールミル(フリッチュジャパン社製、Premium line P-7)を使用し、窒素ガス雰囲気下で粉砕することで、平均粒径1.2μmの熱電半導体微粒子T1を作製した。粉砕して得られた熱電半導体微粒子に関して、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)により粒度分布測定を行った。
 また、ビスマス-テルル系熱電半導体材料であるN型ビスマステルライドBi Te (高純度化学研究所製、粒径:180μm)を上記と同様に粉砕し、平均粒径1.4μmの熱電半導体微粒子T2を作製した。
(熱電半導体組成物の作製)
塗工液(P)
 得られたP型ビスマス-テルル系熱電半導体材料の微粒子T1を90質量部、耐熱性樹脂としてポリイミド前駆体であるポリアミック酸(シグマアルドリッチ社製、ポリ(ピロメリト酸二無水物-co-4,4´-オキシジアニリン)アミド酸溶液、溶媒:N-メチルピロリドン、固形分濃度:15質量%)5質量部、及びイオン液体として[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]5質量部を混合分散した熱電半導体組成物からなる塗工液(P)を調製した。
塗工液(N)
 得られたN型ビスマス-テルル系熱電半導体材料の微粒子T2を90質量部、耐熱性樹脂としてポリイミド前駆体であるポリアミック酸(シグマアルドリッチ社製、ポリ(ピロメリト酸二無水物-co-4,4´-オキシジアニリン)アミド酸溶液、溶媒:N-メチルピロリドン、固形分濃度:15質量%)5質量部、及びイオン液体として[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]5質量部を混合分散した熱電半導体組成物からなる塗工液(P)を調製した。
(熱電素子層の製造)
 上記で調製した塗工液(P)を、スクリーン印刷法によりポリイミドフィルム上に塗布し、温度150℃で、10分間アルゴン雰囲気下で乾燥し、厚さが50μmの薄膜を形成した。次いで、同様に、上記で調製した塗工液(N)を、ポリイミドフィルム上に塗布し、温度150℃で、10分間アルゴン雰囲気下で乾燥し、厚さが50μmの薄膜を形成した。
 さらに、得られたそれぞれの薄膜に対し、水素とアルゴンの混合ガス(水素:アルゴン=3体積%:97体積%)雰囲気下で、加温速度5K/minで昇温し、325℃で30分間保持し、薄膜形成後のアニール処理を行うことにより、熱電半導体材料の微粒子を結晶成長させ、P型熱電素子層及びN型熱電素子層からなる熱電素子層を作製した。
[0125]
(実施例1)
<ゴム系樹脂を主成分とする接着性組成物の調製>
 カルボン酸系官能基含有ポリイソプレン系ゴム(クラレ社製、LIR410、数平均分子量30,000、1分子あたりのカルボン酸系官能基の数:10)5質量部、カルボン酸系官能基を有しないゴム系重合体:イソブチレンとイソプレンの共重合体(日本ブチル社製、ExxonButyl268、数平均分子量260,000)100質量部、エポキシ化合物(三菱化学社製、TC-5)2質量部をトルエンに溶解し、調製した。なお、上記記載における配合質量部数は、有効成分の量に換算したものであり、溶媒の量は含まない。接着性組成物の有効成分濃度は25質量%であった。
<熱電変換デバイスの作製>
 上述の手順で作製した熱電変換モジュールの上面及び下面に、それぞれ連結層として粘着材を貼り付けた。上面側の連結層としては、補助基材層としてのPETフィルム(厚さ12μm、熱伝導率0.22W/(m・K))の両面に、それぞれ、上記のゴム系樹脂を主成分とする接着性組成物から形成された接着層(厚さ25μm、熱伝導率0.12W/(m・K))を設けたもの(合計厚み62μm、垂直方向の合成熱伝導率0.13W/(m・K))を用いた。下面側の連結層としては、上記の基板に上記のゴム系樹脂を主成分とする接着性組成物から形成された接着層(厚さ22μm、熱伝導率0.12W/(m・K))を積層して構成した(合計厚み72μm、垂直方向の合成熱伝導率0.11/W/(m・K))。なお、連結層は、接着層の両面に設けられた剥離フィルムのうち一方を剥がし、ラミネーターを用いて熱電変換モジュールに貼り付けた後、他方の剥離フィルムを剥離することで形成した。そして、熱電変化モジュールの上面及び下面の連結層上に、それぞれ、ストライプ状の無酸素銅箔C1020材からなる高熱伝導層(膜厚100μm、幅1mm、長さ100mm、熱伝導率398W/(m・K))を設けた。この際、ストライプ状の熱伝導層を、P型熱電素子とN型熱電素子とが隣接する部位の上方及び下方に互い違いになるように配置して、図3、5、6に示す構成を備えるフレキシブルな熱電変換デバイスを作製した。
[0126]
(実施例2)
 第1及び第2の接着層として、いずれも、アクリル系樹脂を主成分とする、膜厚100μm、熱伝導率0.06W/(m・K)のもの(ソマール株式会社製、AD-0001RS)を用いた以外は、実施例1と同様にして、フレキシブル熱電変換デバイスを作製した。なお、上面側の連結層の熱伝導率は上記の接着層の熱伝導率に等しいが、下面側の連結層の合成熱伝導率は0.07W/(m・K)である。また、上記のアクリル系樹脂を主成分とする接着層は、熱硬化性であるが、熱硬化は行わずに各特性値の測定を行った。
[0127]
(比較例1)
 第1及び第2の接着層として、いずれも、エポキシ系化合物を主成分とする、膜厚80μm、熱伝導率3.0W/(m・K)のもの(利昌工業社製、AD-7303)を用いた以外は、実施例1と同様にして、フレキシブル熱電変換デバイスを作製した。なお、上面側の連結層の熱伝導率は上記の接着層の熱伝導率に等しいが、下面側の連結層の合成熱伝導率は0.27W/(m・K)である。また、上記のエポキシ系化合物を主成分とする接着剤は、熱硬化性であるが、熱硬化は行わずに各特性値の測定を行った。
[0128]
 実施例1~3及び比較例1で得られた熱電変換デバイスの熱起電力を上述した測定方法により測定し、得られた値から上記式(2)に基づいて温度差を算出した。
[0129]
[表2]


[0130]
 表2の結果から明らかなように、熱電変換モジュールの熱電素子層の面上に連結層を設けた実施例1および2においては、実際に作製した各層の純度や各層間に微小な隙間が形成されたりすること等の要因により、温度差の値はシミュレーションの結果よりも小さくなったものの、熱電素子層の熱伝導率に対する温度差の変化は、シミュレーション結果と同様の傾向を示している。つまり、連結層の熱伝導率が大きくなるに従って温度差が小さくなり、連結層の熱伝導率が小さくなると温度差が大きくなり、熱伝導率がある値まで小さくなると、今度は熱伝導率が小さくなるにつれて温度差が徐々に小さくなる傾向を示すことが確認された。

産業上の利用可能性

[0131]
 本発明の熱電変換素子デバイスは、優れた起電力性能、及び、優れた温度差発現性能を有する。このため、限られた空間に設置される場合でも、高い熱起電力、及び、大きな温度差を発生することができ、幅広い分野で好適に使用できる。

符号の説明

[0132]
1A、1B、1C、1D:熱電変換デバイス
2:基板
3:電極
3a:第1電極部
3b:第2電極部
3c:第3電極部
4:N型熱電素子層
5:P型熱電素子層
6:熱電素子層
81、81’:第1連結層
81F:熱電素子層の段差に充填された第1連結層
82、82’:第2連結層
91:第1高熱伝導層
92:第2高熱伝導層
100:空気層
810:第1機能層
820:第2機能層
811、821:内側層
812、822:中央層
813、823:外側層

請求の範囲

[請求項1]
 P型熱電素子層とN型熱電素子層とが交互に隣接し列状に配置された熱電素子層と、
複数の層を連結するための連結層であって、前記熱電素子層の、一方の面を覆うように配置された連結層と、
 該連結層の、前記熱電素子層とは反対側の面上にパターン配置された高熱伝導層と、を備え、
 前記高熱伝導層の熱伝導率は前記連結層の熱伝導率よりも大きく、
 前記連結層の熱伝導率は1.6W/(m・K)以下である、熱電変換デバイス。
[請求項2]
 前記連結層の熱伝導率が0.05W/(m・K)以上である請求項1に記載の熱電変換デバイス。
[請求項3]
 前記連結層は、ポリオレフィン系樹脂を含む組成物からなる封止層を含む請求項1又は2に記載の熱電変換デバイス。
[請求項4]
 前記連結層は、硬化性の接着剤組成物を硬化させてなる接着層を含む請求項1~3のいずれかに記載の熱電変換デバイス。
[請求項5]
 前記連結層は封止層および接着層の少なくとも一方を有し、前記封止層または接着層は、熱伝導性フィラーを含まない請求項1~4のいずれかに記載の熱電変換デバイス。
[請求項6]
 前記熱電素子層の熱伝導率が1~5W/(m・K)である請求項1~5のいずれかに記載の熱電変換デバイス。
[請求項7]
 前記連結層の熱伝導率が0.1W/(m・K)以上である請求項6に記載の熱電変換デバイス。
[請求項8]
 前記高熱伝導層の熱伝導率が5~500W/(m・K)である請求項1~7のいずれかに記載の熱電変換デバイス。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]