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1. (WO2018181348) ステンレス鋼材、構成部材、セルおよび燃料電池スタック
Document

明 細 書

発明の名称 ステンレス鋼材、構成部材、セルおよび燃料電池スタック

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

先行技術文献

特許文献

0020  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0021  

課題を解決するための手段

0022   0023   0024   0025   0026   0027  

発明の効果

0028  

発明を実施するための形態

0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111  

実施例 1

0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134  

産業上の利用可能性

0135   0136  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : ステンレス鋼材、構成部材、セルおよび燃料電池スタック

技術分野

[0001]
 本発明は、ステンレス鋼材、構成部材、セルおよび燃料電池スタックに関する。なお、ここでいう燃料電池とは、固体酸化物形燃料電池である。構成部材には、セパレータ(インターコネクタともいう。)およびセル芯材が含まれる。

背景技術

[0002]
 燃料電池は、水素と酸素を利用して直流電流を発電する電池であり、固体酸化物形、溶融炭酸塩形、リン酸形および固体高分子形に大別される。それぞれの形式は、電解質部分の構成材料に由来する。
[0003]
 これらのうち、現在、商用段階に達しているのは、200℃付近で作動するリン酸形、および650℃付近で作動する溶融炭酸塩形である。近年、室温付近で作動する固体高分子形と、600℃以上で作動する固体酸化物形が、自動車搭載用電源、事業用または家庭用の分散型電源として注目されている。
[0004]
 固体酸化物形燃料電池の構造形式には、円筒型、平板型、および平板円筒型等がある。電解質の組成について、作動温度を下げるための検討が行われている。例えば、スカンジア安定化ジルコニア(scandia-stabilized zirconia:SSZ)系電解質では約650℃、ガドリニアドープのセリア(gadolinia-doped ceria:CGO)系電解質では約450℃での作動が報告されている。
[0005]
 これらの電解質の作動温度は、従来のジルコニアベースの電解質、例えばイットリア安定化ジルコニア(yttria-stabilized zirconia:YSZ)の作動温度である約1000℃に比べ、顕著に低い。作動温度が1000℃近傍の従来型と区別するために、中温域作動型の固体酸化物形燃料電池(Intermediate Temperature Solid Oxide Fuel Cells、略して、IT-SOFCs)と呼ばれる。
[0006]
 より低温での作動を可能とするために、電解質の厚みを薄くすることも行われており、形成方法として、スクリーン印刷法、テープキャスティング法、真空スリップキャスティング法、電気泳動堆積法、カレンダ成形法、噴霧熱分解法、スパッタリングおよびプラズマ溶射法などが開発されている。
[0007]
 薄い電解質膜を使用するには、必要な強靭さを有する燃料電池用構成部材が必要である。具体的には、高合金鋼材またはオーステナイト系ステンレス鋼材が適用され始めている。さらに、作動温度の低下に伴い、電解質部のセラミクスとの熱膨張差がより小さいフェライト系ステンレス鋼材も適用され始めている。
[0008]
 固体酸化物形燃料電池の構成部材として用いられる鋼材には、作動温度域で長時間にわたって良好な耐酸化性および電気伝導性(45mΩ・cm 以下)を有すること、およびセラミクス系の固体酸化物と同等の熱膨張係数(室温~800℃で13×10 -6(1/K)程度)を有することに加えて、起動停止を頻繁に繰り返す場合の耐熱疲労特性および耐スケール剥離性能を有することが要求される。
[0009]
 これまでにも、種々のステンレス鋼材が燃料電池用構成部材として適用されてきた。
[0010]
 例えば、特許文献1には、金属基板を利用し、焼結によるセラミック電解質膜の製造を可能にし、かつ脆性なシール材料を使用する必要を回避する固体酸化物燃料セル及び固体酸化物燃料セルの製造方法が開示されている。
[0011]
 特許文献2には、特に、固体酸化物型燃料電池(SOFC)を含む高温および中温域作動の燃料電池、ならびに450~650℃の範囲で作動する金属支持型中温域作動のSOFCの製造に有効な、セラミック膜のセラミックまたは金属表面上への堆積、特に、セリウムガドリニウム酸化物(CGO)のような安定化ジルコニアおよびドープセリアの膜などのサブミクロン厚のセラミック膜の堆積方法が開示されている。
[0012]
 特許文献3および4には、固体電解質型燃料電池の固体電解質セパレータ材等として利用される安定化ジルコニアと熱膨張係数が近似し、極めて高温における耐熱性、耐食性にすぐれた金属材料が開示されている。
[0013]
 特許文献5には、1000℃付近において良好な電気伝導性を有する酸化被膜を形成するとともに、長時間の使用においても良好な耐酸化性、特に耐剥離性を有し、かつ電解質との熱膨張差が小さい安価な固体電解質型燃料電池セパレータ用鋼が開示されている。
[0014]
 特許文献6には、約750~1000℃において良好な電気伝導性を有する酸化被膜を形成するとともに、長時間加熱においても良好な耐酸化性、耐酸化膜剥離性を安定して有する固体酸化物型燃料電池セパレータ用鋼が開示されている。
[0015]
 特許文献7には、高い集電性能と長期安定性を有し、軽量であるとともに低コストという実用化に必須な条件を同時に満たすセパレータを具備する車載用燃料電池が開示されている。
[0016]
 特許文献8には、600℃以上の高温酸化雰囲気中においても優れた耐酸化性と電気伝導性を示す固体電解質型燃料電池用オ-ステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
[0017]
 特許文献9には、耐高温酸化性が要求される用途、中でも特に固体酸化物型燃料電池の集電部材用途として好適な高温での耐酸化性に優れた希土類金属無添加のフェライト系ステンレス鋼が開示されている。
[0018]
 特許文献10には、高温で良好な電気伝導性を有する酸化皮膜を形成するとともに、長期使用においても優れた皮膜密着性を兼備した、固体酸化物型燃料電池のセパレータおよびその周辺の高温部材に適したフェライト系ステンレス鋼板が開示されている。
[0019]
 特許文献11には、600~800℃の温度域で高い電気伝導性を呈し、かつ熱疲労特性に優れた、固体酸化物型燃料電池のセパレータに使用されるフェライト系ステンレス鋼が開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0020]
特許文献1 : 特表2004-512651号公報
特許文献2 : 特表2011-524844号公報
特許文献3 : 特開平8-35042号公報
特許文献4 : 特開平8-277441号公報
特許文献5 : 特開平9-157801号公報
特許文献6 : 特開2005-320625号公報
特許文献7 : 特開2000-182640号公報
特許文献8 : 特開平6-264193号公報
特許文献9 : 特開2011-174152号公報
特許文献10 : 特開2014-31572号公報
特許文献11 : 特開2006-9056号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0021]
 本発明は、400~860℃の温度域で作動する固体酸化物形燃料電池内の環境での耐酸化性に優れ、かつ、電気的接触抵抗(以下、接触抵抗という。)が低いステンレス鋼材、ならびにこれを適用した構成部材、セルおよび燃料電池スタックを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0022]
 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、下記のステンレス鋼材、構成部材、セルおよび燃料電池スタックを要旨とする。
[0023]
 (1)フェライト系ステンレス鋼からなる基材と、該基材の表面に形成されたCr酸化物層と、該Cr酸化物層の表面に形成されたスピネル型遷移金属酸化物層とを備え、
 前記基材の化学組成が、下記(i)式を満足し、
 前記Cr酸化物層および前記スピネル型遷移金属酸化物層の厚さが、下記(ii)式を満足し、
 前記基材中に、
 M 23型Cr系炭化物、
 M B型Cr系硼化物、
 M B型Cr系硼化物を析出核としてその表面にM 23型Cr系炭化物が析出した複合析出物、および
 NbC炭化物を析出核としてその表面にM 23型Cr系炭化物が析出した複合析出物
 から選択される1種以上を含む析出物を有し、
 前記析出物は、その一部が前記Cr酸化物層の表面から突出している、
 ステンレス鋼材。
 16.0≦Cr+3×Mo-2.5×B-17×C-3×Si≦35.0 ・・・(i)
 0.5≦T Cr/T ≦6.7 ・・・(ii)
 但し、(i)式中の各元素記号は、基材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味し、(ii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
 T Cr:Cr酸化物層の厚さ
 T :スピネル型遷移金属酸化物層の厚さ
[0024]
 (2)前記基材の化学組成が、質量%で、
 C:0.02%を超えて0.15%以下、
 Si:0.15~0.8%、
 Al:0.001~0.025%、
 Mn:0.01~1.0%、
 P:0.045%以下、
 S:0.010%以下、
 N:0.05%以下、
 V:0.5%以下、
 Cr:17.0~32.5%、
 Mo:0~4.5%、
 Ni:0~2.5%、
 Cu:0~0.8%、
 W:0~4.0%、
 Co:0~4.0%、
 Ti:0~6.5×C%、
 Nb:0~6.5×C%、
 Sn:0~0.05%、
 In:0~0.05%、
 Sb:0~0.01%、
 Ca:0~0.10%、
 Mg:0~0.10%、
 REM:0~0.10%、
 B:0~1.0%、
 残部:Feおよび不純物である、
 上記(1)に記載のステンレス鋼材。
[0025]
 (3)上記(1)または(2)に記載のステンレス鋼材を備える、
 固体酸化物形燃料電池用構成部材。
[0026]
 (4)上記(3)に記載の固体酸化物形燃料電池用構成部材を備える、
 固体酸化物形燃料電池用セル。
[0027]
 (5)上記(4)に記載の固体酸化物形燃料電池用セルを備える、
 固体酸化物形燃料電池スタック。

発明の効果

[0028]
 本発明により、固体酸化物形燃料電池に好適なステンレス鋼材、ならびにこれを適用した構成部材、セルおよび燃料電池スタックを得ることが可能となる。

発明を実施するための形態

[0029]
 本発明者らは、固体酸化物形燃料電池の構成部材として用いるのに好適なステンレス鋼材の開発に専念してきた。その結果、以下の知見を得るに至った。
[0030]
 固体酸化物形燃料電池の製造コスト低減は、緊喫な課題であり、特に、燃料電池本体に用いられるステンレス鋼材のコスト低減は大きな課題である。
[0031]
 固体酸化物形燃料電池に用いられるステンレス鋼材は、数万時間にわたり高温酸化環境下で使用されるため、厚い酸化物層によって覆われた状態となる。そのため、燃料電池内に適用されるステンレス鋼材には、優れた耐高温酸化特性を有することに加えて、酸化物層に覆われた状態でも表面の接触抵抗が低く、良好な導電性を有することが求められる。
[0032]
 固体酸化物形燃料電池の作動温度は、適用される固体酸化物で所望の性能が得られる温度に依存する。例えば、高温域作動型では1000℃付近、中温域作動型では850℃以下の温度域である。近年における中温域作動型の固体酸化物形燃料電池の作動温度の低温化は顕著であり、作動温度は450~600℃、さらには430~550℃程度まで低下し始めている。
[0033]
 中温域作動型の固体酸化物形燃料電池における著しい作動温度低下に伴い、燃料電池内部に適用可能な材料の選択肢が広がっている。これまで適用されてきた高価なNi基合金、または高Ni含有オーステナイト系ステンレス鋼に替わり、より安価なフェライト系ステンレス鋼が基材として適用され始めている。フェライト系ステンレス鋼は多量のNiを含有しないため、安価であり、かつ価格の変動も小さい。
[0034]
 また、フェライト系ステンレス鋼は、セラミクスである固体酸化物との熱膨張差が小さい。そのため、フェライト系ステンレス鋼を構成部材として用いることにより、昇温時および降温時における固体酸化物部と金属との間で生じ得る熱膨張差に起因する固体酸化物部側の割れ発生を抑えることができる。
[0035]
 なお、作動温度が400℃付近と低い場合であっても、酸化物層の成長を完全に阻止することは難しい。酸化物層の厚膜化(成長)は導電性低下の大きな原因となる。特に、酸化物層は、高温環境においては比較的良好な導電性を示すものの、低温環境においては導電性が大きく低下する。そのため、作動温度の低温化に伴い、酸化物層による導電性低下の問題が顕在化してきた。
[0036]
 酸化物の中でも、スピネル型遷移金属酸化物(以下、単に「スピネル型酸化物」ともいう。)は、比較的優れた導電性を有している。そのため、優れた導電性確保の観点からは、基材の表面に生成する酸化物層をスピネル型酸化物層とすることが望ましい。換言すれば、曝される雰囲気環境を考慮して基材の合金設計を行うことにより、固体酸化物形燃料電池内で作動中に生成する酸化物層をスピネル型酸化物型主体の酸化物層とすることが望ましい。
[0037]
 しかしながら、固体酸化物燃料電池内環境は個々の燃料電池で異なり、かつ燃料電池は一定の条件で運転される訳ではない。このような状況下、生成する酸化物層をスピネル型酸化物に制御し、さらに、スピネル型酸化物層として長時間に亘り安定に保つことが求められる。
[0038]
 したがって、ステンレス鋼材からなる基材とスピネル型酸化物層との間には、Cr酸化物層が存在することが望ましい。Cr酸化物は、スピネル型酸化物に比べて導電性は劣るものの、Cr酸化物中に含まれる酸素および金属イオンの拡散速度は、スピネル型酸化物中に比べて遅い。そのため、Cr酸化物層は、高温でもその成長が抑えられて安定に存在する。
[0039]
 さらに、基材とスピネル型酸化物層との間にCr酸化物層が存在することによって、スピネル型酸化物も安定して維持される。すなわち、酸化物層の成長を抑え、かつ導電性を確保する観点では、基材の表面に、Cr酸化物層およびスピネル型酸化物層を順に積層するとともに、Cr酸化物層およびスピネル型酸化物層の厚さの比を調整する必要がある。
[0040]
 基材の表面に、Cr酸化物層およびスピネル型酸化物層を有する酸化物層を形成するためには、固体酸化物形燃料電池に適用する前に、所定の条件で予備酸化処理を施すことが望ましい。
[0041]
 また、ステンレス鋼材と固体酸化物との接触部位では、鋼材側から固体酸化物側への金属元素拡散が進行しやすい。固体酸化物側への金属元素拡散は固体酸化物の発電性能を低下させる。しかしながら、上述のCr酸化物層およびスピネル型酸化物層を有する安定な酸化物層は、金属元素の拡散障壁となるため、拡散を抑制できる。
[0042]
 さらに、固体酸化物形燃料電池の運転中にステンレス鋼材表面で生成する酸化物層そのものの昇華、特に、Cr酸化物の昇華による固体酸化物部の金属汚染によって、発電性能が低下することがある。これは、特に、800℃以上の温度域で顕著となる。そのため、後述する有効Cr量を調整することにより、Cr酸化物の昇華を抑制する。
[0043]
 また、上述のように、Cr酸化物層は導電性に劣るため、低温環境においては導電性を低下させる要因となる。しかしながら、基材中に導電性を有する析出物を分散させ、その一部をCr酸化物層の表面から突出させることによって、析出物が導電性パスとしての機能を発揮し、厚い酸化物層に覆われた状態でも接触抵抗を低減させることが可能になる。
[0044]
 本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
[0045]
 本発明に係るステンレス鋼材は、フェライト系ステンレス鋼からなる基材と、該基材の表面に形成されたCr酸化物層と、該Cr酸化物層の表面に形成されたスピネル型遷移金属酸化物層とを備える。
[0046]
 1.基材の化学組成
 基材はフェライト系ステンレス鋼であり、かつ、その化学組成が下記(i)式を満足する。
 16.0≦Cr+3×Mo-2.5×B-17×C-3×Si≦35.0 ・・・(i)
 但し、式中の各元素記号は、基材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味する。
[0047]
 上述のように、本発明の基材は、基材中にM B型Cr系硼化物、M 23型Cr系炭化物等の導電性を有する析出物を分散させることで、所望の電気的接触抵抗特性を確保する。これらの析出物を形成することによって、母相中で耐酸化性に寄与するCr濃度が低下する。上記(i)式中辺値(以下、「有効Cr量」ともいう。)が16.0未満であると、耐酸化性の維持が困難になる。
[0048]
 一方、有効Cr量が35.0を超えると、耐酸化性確保の効果は飽和し、鋼材のコスト上昇およびCr酸化物の昇華の問題が顕著になる。加えて、熱間圧延性および常温靱性が低下し、量産性が悪化する。したがって、有効Cr量が上記(i)式を満足するように化学組成を調整する必要がある。有効Cr量は18.0以上であるのが好ましく、20.0以上であるのがより好ましい。また、有効Cr量は30.0以下であるのが好ましく、25.0以下であるのがより好ましい。
[0049]
 また、上記の基材の化学組成は、質量%で、C:0.02%を超えて0.15%以下、Si:0.15~0.8%、Al:0.001~0.025%、Mn:0.01~1.0%、P:0.045%以下、S:0.010%以下、N:0.05%以下、V:0.5%以下、Cr:17.0~32.5%、Mo:0~4.5%、Ni:0~2.5%、Cu:0~0.8%、W:0~4.0%、Co:0~4.0%、Ti:0~6.5×C%、Nb:0~6.5×C%、Sn:0~0.05%、In:0~0.05%、Sb:0~0.01%、Ca:0~0.10%、Mg:0~0.10%、REM:0~0.10%、B:0~1.0%、残部:Feおよび不純物であることが好ましい。
[0050]
 ここで「不純物」とは、基材を工業的に製造する際に用いる溶解原料、添加元素、スクラップ、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
[0051]
 上記の基材の好ましい化学組成における、各元素の含有量の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
[0052]
 C:0.02%を超えて0.15%以下
 Cは、M 23型Cr系炭化物を析出させ、鋼材表面での接触抵抗を低減させるのに必要な元素である。C含有量が0.02%以下では、M 23型Cr系炭化物の析出量が十分に確保できず、接触抵抗を十分に低減できない。一方、Cを過度に含有させると製造性が著しく悪化する。そのため、C含有量は0.02%を超えて0.15%以下とする。
[0053]
 Si:0.15~0.8%
 Siは、溶鋼段階で脱酸を行うために添加する元素である。Si含有量が0.15%未満では、安定した鋼の脱酸制御が困難となり、可能であったとしても量産性が低下し、かつ製造コストが増大する。一方、Si含有量が0.8%を超えると、基材および酸化物層の界面付近にSiO 皮膜を形成する。SiO は導電性が悪く、SiO 皮膜が連続層を形成すると、接触抵抗が大きくなり電池特性を劣化させる。そのため、Si含有量は0.15~0.8%とする。Si含有量は0.15%超であるのが好ましく、0.3%以下であるのが好ましい。
[0054]
 Al:0.001~0.025%
 Alは、Siと同様に、溶鋼段階で脱酸を行うために添加する元素である。また、AlはAl 皮膜を形成し、耐酸化性の向上に寄与する。Al含有量が0.001%未満では脱酸元素としての効果が安定しない。一方、Al含有量が0.025%を超えると、基材および酸化物層の界面付近にAl 皮膜を形成し、SiO 皮膜と同様に接触抵抗を増大させる。このため、Al含有量は0.001~0.025%とする。Al含有量は0.003%以上であるのが好ましく、0.015%未満であるのが好ましい。
[0055]
 Mn:0.01~1.0%
 Mnは、FeおよびCrとともにスピネル型酸化物を形成する。Mnを含むスピネル型酸化物はCr酸化物(Cr )よりも導電性が高いため、鋼材の接触抵抗を低減させる。また、Mnを含むスピネル型酸化物は、固体酸化物を劣化させるCr酸化物の昇華を防ぐ効果を有する。さらに、Mnは鋼中のSをMn系硫化物として固定する作用があり、熱間加工性を改善する効果がある。一方、Mnを含むスピネル型酸化物は、Cr酸化物に比べて耐酸化性に劣る。そのため、Mn含有量が過剰になると、耐酸化性が悪化する。したがって、Mn含有量は0.01~1.0%とする。Mn含有量は0.2%以上であるのが好ましく、0.9%以下であるのが好ましい。
[0056]
 P:0.045%以下
 Pは、Sと並んで有害な不純物元素であり、その含有量が0.045%を超えると、製造性が低下する。そのため、P含有量は0.045%以下とする。P含有量は、0.035%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましい。
[0057]
 S:0.010%以下
 Sは、耐食性および耐酸化性にとって極めて有害な不純物である。このため、S含有量は0.010%以下とする。S含有量は低ければ低いほど好ましい。Sは、鋼中共存元素および鋼中のS含有量に応じて、Mn、Cr、Fe、もしくはTiの硫化物もしくは複合硫化物、または、Mn、Cr、Fe、もしくはTiの酸化物もしくは窒化物と前記硫化物との複合物として、そのほとんどが鋼中に析出している。また、Sは、必要に応じて含有させるREM(希土類元素)系の硫化物を形成することもある。
[0058]
 固体酸化物型燃料電池のセパレータ環境においては、上記のいずれの硫化物系析出物であっても、加速的な酸化進行の起点として作用し、薄い酸化物層の維持にとって有害となる。通常の量産鋼のS含有量は、0.005%超~0.008%前後であるが、上記の有害な影響を抑制するためには、S含有量は0.003%以下であるのが好ましく、0.001%未満であるのがより好ましい。工業的量産レベルで、S含有量を0.001%未満とすることは、現状の精錬技術をもってすれば、わずかな製造コストの上昇で可能である。
[0059]
 N:0.05%以下
 Nは、高温に加熱された状態での本発明鋼の組織制御に活用し、最終製品における結晶粒度調整に用いる。しかし、N含有量が0.05%を超えると、製造性が低下し、素材としての加工性が低下する。そのため、N含有量は0.05%以下とする。N含有量は0.04%以下であるのが好ましく、0.03%以下であるのがより好ましい。
[0060]
 V:0.5%以下
 Vは、意図的に含有させる必要はないが、量産時に用いる溶解原料として使用するCr源中に不純物として含有されている。V含有量は0.5%以下とする。V含有量は0.4%以下であるのが好ましく、0.3%以下であるのがより好ましい。
[0061]
 Cr:17.0~32.5%
 Crは、FeおよびMnと共にスピネル型酸化物を形成し、さらにCr 層を形成することで母材の耐酸化性を向上させる作用を有する元素である。また、上述のように、本発明の基材は、基材中にM B型Cr系硼化物、またはM 23型Cr系炭化物等の析出物を分散させることで、所望の接触抵抗特性を確保することとしている。そのため、所定量以上のCrを含有させる必要がある。
[0062]
 本発明で用いるステンレス鋼材は、固体酸化物形燃料電池セル構成部材として、導電性を有する固体酸化物部と一体化されて用いられる場合がある。固体酸化物形燃料電池の運転温度は、860℃以下、好ましくは450~700℃、より好ましくは、500℃超~700℃、さらに好ましくは、500℃超~600℃未満の温度領域である。固体酸化物形燃料電池内の環境は、湿分を有する酸化性雰囲気環境であり高温酸化が進行しやすい環境である。
[0063]
 そのため、本発明に係るステンレス鋼材には、長時間にわたり固体酸化物部と接した際の、優れた耐酸化性と良好な導電性との維持が求められる。Cr酸化物は、水蒸気酸化性雰囲気中での耐酸化性に優れており、上記温度領域下で導電性を確保する効果を発揮する。このような観点からは、Cr含有量は高いほど好ましい。ただし、温度によってはCr酸化物の昇華による触媒の被毒が問題となる。したがって、Cr含有量は17.0~32.5%とする。Cr含有量は30.5%以下であるのが好ましい。
[0064]
 Mo:0~4.5%
 Moは、Crと比較して、少量で耐酸化性を改善する効果があるので、必要に応じて含有させてもよい。しかし、4.5%を超えてMoを含有させても上記効果は飽和する。そのため、Mo含有量は4.5%以下とする。上記の効果を得るためには、Mo含有量は0.2%以上であるのが好ましい。
[0065]
 Ni:0~2.5%
 Niは、固溶強化により鋼の強度を改善し、凝固時および900℃以上の高温域でのα、γ相変態挙動および相バランス調整に有効であり、靭性を改善する効果も有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、2.5%を超えてNiを含有させても上記効果は飽和する。そのため、Ni含有量は2.5%以下とする。上記の効果を得るためには、Ni含有量は0.01%以上であるのが好ましい。
[0066]
 Cu:0~0.8%
 Cuは、耐食性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、0.8%を超えてCuを含有させても上記効果は飽和する。そのため、Cu含有量は、0.8%以下とする。上記の効果を得るためには、Cu含有量は0.01%以上であるのが好ましい。
[0067]
 なお、本発明で用いるステンレス鋼材においては、Cuは固溶状態で存在している。熱処理条件によっては、Cu系析出物を析出させることもできるが、析出させると、電池内で加速酸化の起点となり燃料電池性能を低下させるため有害である。Cuは固溶状態で存在していることが好ましい。
[0068]
 W:0~4.0%
 Co:0~4.0%
 WおよびCoは、Niと同様に固溶強化により鋼の強度を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。また、酸化物層と鋼との界面に濃化し、導電性を向上させる効果も有する。しかし、いずれの元素も4.0%を超えて含有させても上記効果は飽和する。そのため、WおよびCoの含有量はそれぞれ4.0%以下とする。上記効果を得るためには、W:0.1%以上およびCo:0.01%以上の一方または両方を含有させることが好ましい。
[0069]
 Ti:0~6.5×C%
 Tiは、鋼中Cの安定化元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。TiはCとの化学的な結合力が強く、ほとんどのTiは溶鋼中でTiCとして析出する。Ti含有量が6.5×C%を超えると、溶鋼中のC含有量にもよるが、TiCとしての析出が完了後もTiC生成に消費されない残余の固溶Ti量が多くなり、冷却過程で固溶Cと反応してM 23型Cr系炭化物として析出するC量が少なくなることがある。そのため、Ti含有量は6.5×C%以下とする。上記の効果を得るためには、Ti含有量は0.01%以上であるのが好ましい。
[0070]
 Nb:0~6.5×C%
 Nbは、鋼中Cの部分安定化元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。Nbは溶鋼中で析出することはなく、そのほとんどが凝固完了後の冷却過程でNb系炭化物として鋼中に微細に分散析出する。析出したNb系炭化物は、より低温で生成するM 23型Cr系炭化物の析出核として機能する。鋼中C量にもよるが、Nb含有量が6.5×C%を超えると、残余の固溶C量が少なくなりM 23型Cr系炭化物として析出するC量が少なくなる。そのため、Nb含有量は6.5×C%以下とする。上記の効果を得るためには、Nb含有量は0.05%以上であるのが好ましい。
[0071]
 Sn:0~0.05%
 鋼中にSnを含有させると固体酸化物形燃料電池内において、表面に生成した酸化スズ層が表面被覆効果により、高温酸化物層の成長を抑制する。酸化スズは高温域では導電性も有し、基材としての導電性を改善する。そのため、Snを必要に応じて含有させてもよい。しかし、Sn含有量が過剰であると製造性が低下する。このため、Sn含有量は0.05%以下とする。上記の効果を得るためには、Sn含有量は0.01%以上であるのが好ましい。
[0072]
 In:0~0.05%
 Inは、希少金属のひとつであり、非常に高価な添加元素であるが、Snと並んで表面接触抵抗を低下させる効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、In含有量が過剰であると製造性が低下する。このため、In含有量は0.05%以下とする。上記の効果を得るためには、In含有量は0.002%以上であるのが好ましい。
[0073]
 Sb:0~0.01%
 Sbは、高温強度を増加させるとともに耐食性を向上させるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、Sb含有量が過剰であると析出および偏析により製造性を阻害する。このため、Sb含有量は0.01%以下とする。上記の効果を得るためには、Sb含有量は0.001%以上であるのが好ましい。
[0074]
 Ca:0~0.10%
 Mg:0~0.10%
 CaおよびMgは熱間加工性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、過剰に含有させると製造性の低下を誘発する。そのため、CaおよびMgの含有量はそれぞれ0.10%以下とする。上記効果を得るためには、Ca:0.01%以上およびMg:0.01%以上の一方または両方を含有させることが好ましい。
[0075]
 REM:0~0.10%
 REMは、耐酸化性および熱間製造性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、過剰に含有させると製造コストの増加につながるため、REM含有量は0.10%以下とする。上記の効果を得るためには、REM含有量は、0.005%以上であるのが好ましい。ここで、本発明において、REMはSc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、前記REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。REMは、工業的には、ミッシュメタルの形で添加される。
[0076]
 B:0~1.0%
 Bは、M Bとして析出、分散することで、導電性を改善するとともに、M 23を析出制御するための析出核としての役割も果たすため、必要に応じて含有させてもよい。しかし、B含有量が1.0%を超えると、M Bの析出量が多くなりすぎて、量産性が悪くなる。そのため、B含有量は1.0%以下とする。B含有量は、0.8%以下であるのが好ましい。上記効果を得るためには、0.0003%を超える量のBを含有させるのが好ましい。また、M Bの析出分散を積極的に活用する場合には、B含有量は0.3%以上であることが好ましい。
[0077]
 2.酸化物層
 基材の表面には、Cr酸化物(Cr )およびスピネル型酸化物の層が順に積層される。なお、スピネル型酸化物とは、XY で表わされる構造を有する酸化物である。XY 中のXはMn、Fe、Ni、Co等であり、YはFe、Cr、Al等である。スピネル型酸化物として、例えば、MnCr 等が挙げられる。
[0078]
 上述のように、スピネル型酸化物は、比較的優れた導電性を有している。そのため、表面に生成する酸化物層をスピネル型酸化物に制御できれば優れた導電性が確保できる。しかしながら、生成する酸化物層をスピネル型酸化物に制御し、かつ、長時間に亘り安定的に保つことは至難の業である。
[0079]
 一方、Cr酸化物中に含まれる酸素および金属イオンの拡散速度は、スピネル型酸化物中に比べて遅い。そのため、Cr酸化物は、高温でもその成長が抑えられて安定に存在する。さらに、基材とスピネル型酸化物層との間にCr酸化物層が存在することによって、スピネル型酸化物も安定に維持されるようになる。
[0080]
 すなわち、基材の表面にCr酸化物層およびスピネル型酸化物層が順に積層されることによって、固体酸化物形燃料電池用の鋼材に求められる特性である導電性と、それを維持するための優れた耐酸化性とが得られる。
[0081]
 また、導電性と耐酸化性とを両立させるためには、Cr酸化物層およびスピネル型酸化物層の厚さが、下記(ii)式を満足する必要がある。
 0.5≦T Cr/T ≦6.7 ・・・(ii)
 但し、上記式中の各記号の意味は以下のとおりである。
 T Cr:Cr酸化物層の厚さ
 T :スピネル型遷移金属酸化物層の厚さ
[0082]
 Cr酸化物層の厚さの比率が低下し、上記(ii)式中辺値が0.5未満となると、耐酸化性の確保が不十分となり、酸化物層の成長が抑制できずに皮膜厚さが増大して、導電性の維持が困難となる。一方、スピネル型酸化物層の厚さの比率が低下し、上記(ii)式中辺値が6.7を超えると、Cr酸化物によって酸化物層の接触抵抗が大きくなり、鋼材に必要な導電性が低下する。上記(ii)式中辺値は、3.0以下であることが好ましい。
[0083]
 酸化物層の厚さについては、特に制限は設けない。しかしながら、Cr酸化物層の厚さが0.2μm未満であると、酸化物層の安定性が低下し、表面にFe酸化物等が形成することで導電性が著しく低下するおそれがある。また、Cr酸化物層の厚さが2.0μmを超えると、後述する析出物がCr酸化物層から突出しにくくなる。そのため、Cr酸化物層の厚さは0.2μm以上であることが好ましい。また、Cr酸化物層およびスピネル型酸化物層の合計厚さについても特に制限は設けないが、0.5~3.0μmであるのが好ましい。
[0084]
 なお、Cr酸化物層およびスピネル型酸化物層の厚さは、以下の手順により求めるものとする。まず、ステンレス鋼材の厚さ方向に平行な任意の断面が観察面になるように試料を切り出す。そして、酸化物層の断面において、Crおよび酸素等の各元素の分布をEPMA(Electron Probe Micro Analyser)を用いて分析することで、Cr酸化物層およびスピネル型酸化物層の厚さをそれぞれ測定する。厚さの測定は、観察視野3か所以上/試料で、10か所以上/視野の断面で行い、その平均値を用いるものとする。
[0085]
 3.基材中の析出物
 本発明で用いられる基材は、基材中に、分散析出した析出物を有する。上記析出物は、M 23型Cr系炭化物(以下、単に「M 23」ともいう。)、M B型Cr系硼化物(以下、単に「M B」ともいう。)、M Bを析出核として、その表面にM 23が析出した複合析出物、およびNbC炭化物(以下、単に「NbC」ともいう。)を析出核として、その表面にM 23が析出した複合析出物から選択される1種以上を含む。
[0086]
 M 23中のMは、Cr、またはCrおよびFe等であり、Cの一部は、Bに置換されていてもよい。M B中のMは、Cr、またはCrおよびFe等であり、Bの一部は、Cに置換されていてもよい。
[0087]
 そして、上記の析出物は、その一部がCr酸化物層の表面から突出している。スピネル型酸化物は、導電性に優れているため、Cr酸化物層の表面から突出したM 23またはM Bが少なくともスピネル型酸化物層と接触することによって、導電性パスとしての機能を発揮し、接触抵抗を低減させる。なお、上記の析出物の導電性はスピネル型酸化物よりも優れているため、析出物はスピネル型酸化物層からも突出していることが好ましい。
[0088]
 基材中にBを含有させる場合には、Bは凝固完了時点で共晶反応によりM Bとして析出する。M Bは熱間鍛造、熱間圧延、冷間圧延時に破砕を行うことで、均一に分散させることができ、分散状況は圧延条件により制御可能である。M Bは導電性を有し、破砕されたとしても非常に大型の金属析出物であるため、接触抵抗を低減することが可能になる。
[0089]
 基材のC含有量にもよるが、概ね920℃を超える温度領域で長時間保持されると、基材中のM 23は熱力学的に不安定となり、一部または全てが熱分解し、CrおよびCがマトリクス中に再固溶することがある。
[0090]
 一方、M Bは、熱的に極めて安定であり、その後の製造履歴によらず固溶も、消失も、再析出もしない。そのため、析出後に破砕分散されたM Bを析出核として、M 23を固溶後に再析出させることが有効である。M 23をM B表面に再析出させると、導電性パスとしての接触面積が大きくなることで、接触抵抗特性を改善することができる。
[0091]
 すなわち、基材中にBを含有させる場合には、M Bが再析出するM 23の析出核として機能するため、接触抵抗特性を容易に、かつ安定して維持することできる。また、M 23の固溶と再析出とは、可逆的に起こる挙動である。そのため、起動および停止を含む運転を行い、温度が上下変動する固体酸化物形燃料電池内の環境下においても、接触抵抗特性が維持されやすい。
[0092]
 また、M 23は、熱力学的に概ね安定であると見做せる860℃以下の温度領域であっても、曝される時間が長ければ長いほど、また、適用温度が高めであればあるほど、拡散により凝集粗大化しやすい。
[0093]
 凝集粗大化したM 23は、凝集粗大化する前と同様に、接触抵抗特性を改善する効果を有する。すなわち、燃料電池の運転中にM 23の凝集粗大化が進行したとしても、表面の接触抵抗特性は維持される。M 23の凝集粗大化によって、接触抵抗特性が向上する場合もある。
[0094]
 さらに、基材中にNbを含有させる場合には、Nbは溶鋼中で析出することはなく、そのほとんどが凝固完了後の冷却過程でNbCとして鋼中に微細に分散析出する。その後、温度の低下とともに、Nbにより安定化されていない残りの固溶Cは、鋼中Crと反応してM 23として析出することとなる。この際に、NbCは、M 23の析出核として機能する。
[0095]
 上述のように、析出したM 23は、曝される温度変動により一部が熱分解(固溶)、析出、凝集肥大化することがあるが、再析出または凝集するにあたっても、微細分散しているNbCは、M 23の析出核として機能する。
[0096]
 M 23の析出は、粒界腐食による耐酸化性低下を回避するために、結晶粒内に析出させることが望ましい。不可避的にM 23の一部が結晶粒界に析出することもあり得る。M 23の結晶粒界への析出に伴うCr欠乏層は、析出後に適切な熱処理条件を採用することにより回復させることができる。M 23の析出に伴うCr欠乏層の存在は、JIS G 0575に規定されている『硫酸―硫酸銅腐食試験』のような粒界腐食性評価試験法により容易に確認することができる。
[0097]
 なお、Cr酸化物層表面から突出する前記析出物の鋼表面からの突出高さまたは分散状態については特に規定は設けない。ただし、酸化物層形成前の鋼表面における、JIS B 0601にて規定されている算術平均粗さRaの値が大きいほど、酸化物層形成後の前記析出物がCr酸化物層から突出する頻度が高くなり、導電性パスとして機能する接触機会が増加するため好ましい。したがって、酸化物層形成前のRaは0.25~3.0μmであることが好ましく、0.85~3.0μmであることがより好ましい。
[0098]
 4.基材の製造方法
 フェライト系ステンレス鋼からなる基材の製造条件について特に制限はない。例えば、上記の化学組成を有する鋼に対して、熱延工程、焼鈍工程、冷延工程および最終焼鈍工程を順に行うことによって製造することができる。
[0099]
 なお、熱延工程においては、高温でのα相とγ相の相変態を活用して、結晶粒度調整を行うとともに、M 23の析出制御を行うことが好ましい。具体的には、圧延途中でα-γの二相組織となるように制御することによって、結晶粒度および結晶粒内析出物の制御が可能となる。
[0100]
 続いて、析出物がCr酸化物層表面から突出するよう、酸化物層を形成する前の鋼材表面を粗面化する処理を施すことが望ましい。粗面化処理方法について特に限定しないが、酸洗(エッチング)処理が最も量産性に優れている。特に、塩化第二鉄溶液をスプレー処理するエッチング処理が好ましい。高濃度の塩化第二鉄溶液を用いるスプレーエッチング処理は、ステンレス鋼のエッチング処理法として広く用いられており、使用後の処理液の再利用も可能である。高濃度の塩化第二鉄溶液を用いるスプレーエッチング処理は、一般に、マスキング処理を行なった後の局所的な減肉処理または貫通穴開け処理として行なわれることが多いが、本発明においては表面粗化のための溶削処理に用いる。
[0101]
 スプレーエッチング処理について、さらに詳しく説明する。使用する塩化第二鉄溶液は非常に高濃度の酸溶液である。塩化第二鉄溶液濃度は、ボーメ比重計で測定される示度であるボーメ度で定量が行なわれている。表面粗面化のためのエッチング処理は、静置状態または流れのある塩化第二鉄溶液中に浸漬することで行なってもよいが、スプレーエッチングにより表面粗化することが望ましい。これは、工業的規模での生産を行なうに当たって、効率よくかつ精度よく、エッチング深さ、エッチング速度、表面粗化の程度を制御することが可能なためである。スプレーエッチング処理は、ノズルから吐出する圧力、液量、エッチング素材表面での液流速(線流速)、スプレーの当たり角度、液温により制御できる。
[0102]
 適用する塩化第二鉄溶液は、液中の銅イオン濃度、Ni濃度が低いことが望ましいが、一般流通している工業製品を用いることで問題はない。用いる塩化第二鉄溶液濃度は、ボーメ度にて40~51°の溶液であるのが好ましい。40°未満の濃度では、穴あき腐食傾向が強くなり、表面粗化には不向きである。一方、51°を超えるとエッチング速度が著しく遅くなり、液の劣化速度も速くなる。
[0103]
 塩化第二鉄溶液濃度は、ボーメ度で、42~46°とすることがより好ましい。塩化第二鉄溶液の温度は20~60℃とするのが好ましい。温度が低下するとエッチング速度が低下し、温度が高くなるとエッチング速度が速くなる。温度が高いと、液劣化も短時間で進行するようになる。
[0104]
 液劣化の程度は塩化第二鉄溶液中に浸漬した白金板の自然電位を測定することで連続的に定量評価が可能である。液が劣化した場合の液能力回復法の簡便な方法としては、新液注ぎ足し、または新液による全液交換がある。また、塩素ガスを吹き込んでもよい。
[0105]
 塩化第二鉄溶液によるエッチング処理後は、すぐに多量の清浄な水で表面を強制的に洗浄する。洗浄水で希釈された塩化第二鉄溶液由来の表面付着物(沈殿物)を洗い流すためである。素材表面における流速が上げられるスプレー洗浄が望ましく、また、スプレー洗浄後も流水中にしばらく浸漬する洗浄を併用することが望ましい。
[0106]
 5.ステンレス鋼材の製造方法
 上記の基材に対して、所定の条件で予備酸化処理を行い、酸化物層を形成することにより、本発明に係るステンレス鋼材を得ることができる。この際に、予備酸化処理条件を制御することによって、Cr酸化物層およびスピネル型酸化物層の厚さを好適な範囲に調整することが可能になる。以下に詳しく説明する。
[0107]
 予備酸化処理を行うに際しては、酸素分圧が制御された雰囲気の炉内に基材を挿入し、5~20℃/分の平均昇温速度で750~900℃まで加熱し、その温度範囲で12~100時間保持した後、炉冷することが好ましい。平均昇温速度が5℃/分未満では、昇温過程の低温領域でスピネル型酸化物層の形成が進み所定の比率の酸化物層を形成することが困難となり、一方、20℃/分を超えると、酸化物層形成による成長応力によって材料が変形してしまうおそれがある。
[0108]
 また、加熱保持温度が750℃未満であっても、Cr酸化物層の形成が遅いため、所定の比率の酸化物層を形成することが困難となる。一方、加熱保持温度が900℃を超えると、酸化物層、特にスピネル型酸化物層の形成が促進され、所定の比率の酸化物層を形成することが困難になる。また、形成した炭化物および硼化物が分解されるおそれがある。
[0109]
 加熱保持時間は、処理温度および析出物の粒径に応じて調整することが好ましい。具体的には、導電性金属析出物の一部がCr酸化物層から突出している酸化物層厚さになるよう、Cr酸化物層の放物線速度定数から酸化物層の成長速度を算出し、決定すればよい。加熱保持時間は、例えば、処理温度が830℃の場合には20~75時間、860℃の場合には10~50時間、890℃の場合には2~15時間と設定することが好ましい。上記の時間で処理を行うことで、再現性よく所定の比率の酸化物層を形成することができる。
[0110]
 熱処理の雰囲気は低酸素分圧とすることが好ましい。予備酸化処理の酸素分圧が高いとスピネル型酸化物層の形成が促進され、Cr酸化物層とスピネル型酸化物層との厚さの比率を適切な範囲に調整することが難しくなる。具体的には、酸素分圧を5×10 -14Pa以下とすることが好ましい。
[0111]
 以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例 1
[0112]
 表1に示す化学組成を有する鋼No.1~41を75kg真空溶解炉にて溶解し、インゴット頂部の最大外径が220mmの丸型インゴットに造塊した。
[0113]
[表1]


[0114]
 インゴット鋳肌表面を機械削りにより取り除き、1220℃に加熱した都市ガスバーナー燃焼加熱炉内にて加熱して、2時間均熱保持した後に、鋼塊の表面温度が1180℃から870℃の温度範囲において、厚さ35mm、幅160mmの熱間圧延用スラブに鍛造し、放冷した。鍛造スラブから厚さ30mm、幅150mm、長さ200mmの鋼片を鋸切断および表面切削により作製し、熱間圧延用鋼片とした。
[0115]
 熱間圧延用鋼片は、1220℃に設定した電気炉内で加熱を行ない、7パスでの熱間圧延と冷却とを行なった。1050℃を超える温度域での総圧下率は55%で一定とした。また、最終パスは全ての鋼について鋼片表面温度が900℃となった時点で開始した。
[0116]
 熱間圧延終了直後の鋼材は、熱延コイルの放冷パターンを模擬した方法により、冷却した。具体的には、熱間圧延終了直後の鋼材を、市販の断熱材である『イソウール』(イソライト工業株式会社製高温断熱材の商品名)の間に挟み込んで16時間かけて緩やかに放冷した後に、イソウールを外して空冷した。使用したイソウール厚みは30mmである。
[0117]
 16時間放冷後でもイソウールを外す前の鋼材表面温度は500℃を超える温度にあり、概ね、量産製造する際の8トン熱間圧延コイルの放冷の温度履歴と類似している。いずれの素材についても熱間圧延途中で割れが生じることはなく、熱間圧延鋼材の外観は健全であった。熱間圧延仕上げ板厚は3mmで一定とした。
[0118]
 さらに、熱間圧延後の鋼材に、箱焼鈍を想定した820℃×6時間保持の熱処理を施した。その後、鋼材表面温度が300℃以下となるまでイソウールの間に挟み込んで徐冷を行ない、その後は強制空冷を行なった。
[0119]
 表面の酸化スケールを機械加工により完全に除去した後、JIS G 0575に準拠した粒界腐食試験を行なった。ただし、基材の全面腐食を抑制して粒界腐食性のみを評価するために、試験温度を90℃に下げた改良評価試験としている。その結果、粒界腐食は認められなかった。
[0120]
 熱間圧延後、ショットブラストによる表面酸化スケール除去を行ない、さらに、8%硝酸+6%ふっ酸を含む、60℃加温の硝ふっ酸溶液中に浸漬し、脱スケール処理を行ない、冷間圧延用素材とした。冷間圧延は仕上げ板厚を0.8mmで一定とし、圧延終了後に、820℃×3分の条件で保持する焼鈍処理を行なった。
[0121]
 焼鈍処理後、ショットブラストによる表面酸化スケール除去を行ない、さらに、8%硝酸+6%ふっ酸を含む、60℃加温の硝ふっ酸溶液中に浸漬し、脱スケール処理を行ない性能評価用試験片とした。性能評価用試験片から80mm×120mmの板材を切断にて切り出した後に、湿式600番エメリー研磨紙で表面を研磨し、さらに、板表面を、液温30℃の密度規準濃度で43°ボーメの塩化第二鉄溶液噴霧により片側6μm溶削を行ない、水洗した。
[0122]
 そして、上記処理後の各試料について、JIS B 0601に準拠し、算術平均粗さRaの測定を行った。Raの測定結果を表2に示す。さらにその後、表2に示す条件で予備酸化処理を行うことで、表面に酸化物層を形成し、予備酸化試験片とした。
[0123]
[表2]


[0124]
 予備酸化試験片の表面をXRD(X-ray diffraction リガク製RINT-2500)で分析し、炭化物、硼化物および窒化物の相を同定した。次に、予備酸化試験片の酸化物層の断面を、FE(Field emission)-EPMA(日本電子製 JXA-8530F)にて分析した。Cr、Mn等の合金元素と酸素、炭素および硼素の分布を分析し、Cr酸化物層およびスピネル型酸化物層の厚さを測定した。さらに、炭素および硼素の分布から炭化物および硼化物の位置を特定し、析出物の突出位置が、Cr酸化物層の上であって、スピネル型酸化物層内であるか、スピネル型酸化物層の上であるかについて調査した。
[0125]
 続いて、予備酸化試験片を用いて、性能評価試験を行なった。
[0126]
 予備酸化試験片を用い、片面を10%水素+90%水蒸気、もう片面を大気+3%水蒸気の雰囲気下において、800℃で1000時間の酸化試験を行った。酸化試験前後の質量変化を測定し、両面合わせた単位面積当たりの質量増加量にて各試験片の耐酸化性を評価した。単位面積当たりの質量増加量が0.4mg/cm 以下の場合に、耐酸化性が優れると判断することとした。
[0127]
 さらに、予備酸化試験片を用い、大気に3%水蒸気を添加した雰囲気下において、800℃で1000時間および3000時間酸化試験をした後の各試験片の電気的な接触抵抗値を測定した。接触抵抗測定は、10mm×10mm角のPtメッシュを酸化試験後の試験片の上下それぞれにLSCFペースト(LSCF粉末にバインダーを混合)で固定し、上下のPtメッシュに電流印加用、電圧測定用のPt線を接合して、四端子法で測定した。Ptメッシュを付けた試験片を800℃の炉に1時間放置し、0.8Aの電流を流した場合の電圧を測定し、接触抵抗値を求めた。各試験片について3回ずつ測定し、それらの平均値を接触抵抗値とした。本発明においては、接触抵抗値が40mΩ・cm 未満の場合に、接触抵抗特性が優れると判断することとした。
[0128]
 これらの結果を表3にまとめて示す。
[0129]
[表3]


[0130]
 耐酸化性評価の結果、試験No.1、2および40では、有効Cr量が16.0%未満であるため、単位面積当たりの質量増加量が大きくなり耐酸化性に劣る。さらに、接触抵抗値の変化を見ても、予備酸化処理後は比較的小さな値を示しているが、時間経過に伴い接触抵抗値が増加した。これらの試験Noでは、保護的なCr酸化物の形成と維持が不十分であったためだと考えられる。
[0131]
 試験No.22、24および41では、基材中に分散する析出物が、M 23、M B、M Bを析出核としたM 23、およびNbCを析出核としたM 23のいずれも含まないため、予備酸化処理後の時点で接触抵抗値が高く、時間が経過するにつれてさらに接触抵抗値が増加した。
[0132]
 また、試験No.17、29および42~45は、予備酸化処理条件が不適切であった例である。具体的には、試験No.17および29では、酸素分圧が高かったため、スピネル型酸化物層の比率が高くなり、時間が経過するにつれて接触抵抗値が増加した。試験No.42では、昇温速度が低いため、スピネル型酸化物層の比率が高くなり、時間が経過するにつれて接触抵抗値が増加した。
[0133]
 試験No.43では、加熱保持温度が低いため、スピネル型酸化物層の比率が高くなり、時間が経過するにつれて接触抵抗値が増加した。また、試験No.44では、加熱保持温度が高いため、スピネル型酸化物層の比率が高くなり、さらに、基材中に分散する析出物が、M 23、M B、M Bを析出核としたM 23、およびNbCを析出核としたM 23のいずれも含まないため、予備酸化処理後の時点で接触抵抗値が高く、時間が経過するにつれてさらに接触抵抗値が増加した。さらに、試験No.45では、加熱保持時間が短かったため、スピネル型酸化物層の比率が高くなり、時間が経過するにつれて接触抵抗値が増加した。
[0134]
 それらに対し、本発明例である試験No.3~16、18~21、23、25~28および30~39では、耐酸化性も良好で、接触抵抗値も40mΩ・cm 未満を維持する結果となった。

産業上の利用可能性

[0135]
 本発明によれば、400~860℃の温度域で作動する固体酸化物形燃料電池内の環境での耐酸化性に優れ、かつ、電気的接触抵抗が低いステンレス鋼材、ならびにこれを適用した構成部材、セルおよび燃料電池スタックを得ることが可能となる。
[0136]
 本発明のステンレス鋼材は、必須元素として高価な添加元素を含有することもなく、かつ導電性付与のための特殊な表面処理を行うこともない。また、回収された鋼材はそのまま汎用ステンレス鋼溶解用スクラップ原料としてリサイクル使用することも可能である。

請求の範囲

[請求項1]
 フェライト系ステンレス鋼からなる基材と、該基材の表面に形成されたCr酸化物層と、該Cr酸化物層の表面に形成されたスピネル型遷移金属酸化物層とを備え、
 前記基材の化学組成が、下記(i)式を満足し、
 前記Cr酸化物層および前記スピネル型遷移金属酸化物層の厚さが、下記(ii)式を満足し、
 前記基材中に、
 M 23型Cr系炭化物、
 M B型Cr系硼化物、
 M B型Cr系硼化物を析出核としてその表面にM 23型Cr系炭化物が析出した複合析出物、および
 NbC炭化物を析出核としてその表面にM 23型Cr系炭化物が析出した複合析出物
 から選択される1種以上を含む析出物を有し、
 前記析出物は、その一部が前記Cr酸化物層の表面から突出している、
 ステンレス鋼材。
 16.0≦Cr+3×Mo-2.5×B-17×C-3×Si≦35.0 ・・・(i)
 0.5≦T Cr/T ≦6.7 ・・・(ii)
 但し、(i)式中の各元素記号は、基材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を意味し、(ii)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
 T Cr:Cr酸化物層の厚さ
 T :スピネル型遷移金属酸化物層の厚さ
[請求項2]
 前記基材の化学組成が、質量%で、
 C:0.02%を超えて0.15%以下、
 Si:0.15~0.8%、
 Al:0.001~0.025%、
 Mn:0.01~1.0%、
 P:0.045%以下、
 S:0.010%以下、
 N:0.05%以下、
 V:0.5%以下、
 Cr:17.0~32.5%、
 Mo:0~4.5%、
 Ni:0~2.5%、
 Cu:0~0.8%、
 W:0~4.0%、
 Co:0~4.0%、
 Ti:0~6.5×C%、
 Nb:0~6.5×C%、
 Sn:0~0.05%、
 In:0~0.05%、
 Sb:0~0.01%、
 Ca:0~0.10%、
 Mg:0~0.10%、
 REM:0~0.10%、
 B:0~1.0%、
 残部:Feおよび不純物である、
 請求項1に記載のステンレス鋼材。
[請求項3]
 請求項1または請求項2に記載のステンレス鋼材を備える、
 固体酸化物形燃料電池用構成部材。
[請求項4]
 請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池用構成部材を備える、
 固体酸化物形燃料電池用セル。
[請求項5]
 請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池用セルを備える、
 固体酸化物形燃料電池スタック。