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1. (WO2018181324) エラストマーの乾燥方法、エラストマーの製造方法、エラストマーの乾燥装置およびエラストマーの製造装置
Document

明 細 書

発明の名称 エラストマーの乾燥方法、エラストマーの製造方法、エラストマーの乾燥装置およびエラストマーの製造装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051  

実施例

0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061  

符号の説明

0062  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : エラストマーの乾燥方法、エラストマーの製造方法、エラストマーの乾燥装置およびエラストマーの製造装置

技術分野

[0001]
 本発明は、エラストマーの乾燥方法、エラストマーの製造方法、エラストマーの乾燥装置およびエラストマーの製造装置に関する。

背景技術

[0002]
 エラストマーの製造過程において、重合して凝固されたエラストマーを含むスラリーは、水分を多量に含んでいる。エラストマーを製品として出荷するためには、これを脱水して乾燥する必要がある。製造過程のエラストマーを乾燥させる装置としては、たとえば特許文献1に示す装置が知られている。
[0003]
 しかしながら、従来のエラストマーの乾燥装置および乾燥方法では、乾燥室の壁の内面に、エラストマーの微粉が付着して堆積するという課題を有している。乾燥室の壁の内面に付着したエラストマーの微粉の堆積物をそのままにしておくと、堆積物が剥がれて落下し、乾燥途中のエラストマー製品に混入し、異物となってしまうおそれがある。壁へのエラストマーの付着を防ぐために、壁の表面をフッ素樹脂でコーティングすることが考えられるが、エラストマーの乾燥装置では、フッ素樹脂コーティングしてある壁の内面であってもエラストマーの微粉が付着して堆積物が生じてしまうことがある。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開平11-198137号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その第1の目的は、乾燥室の壁の内面へのエラストマー微粉の付着を防止することができるエラストマーの乾燥方法と乾燥装置を提供することである。また、本発明の第2の目的は、エラストマーの乾燥工程での異物の混入が少ないエラストマーの製造方法と製造装置を提供することである。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者は、乾燥室の壁の内面を水で濡らした状態でエラストマーを乾燥させれば乾燥室の内面へのエラストマーの堆積が防止されることを見出した。さらに、乾燥室の内面を均一に、適度な水量で、低コストに濡らす方法として、幾多の検討を重ね、水を噴霧することにより乾燥室の壁の内面を所望の水で濡れた状態にすることが効果的であることを見出した。
[0007]
 すなわち、前記第1の目的を達成するために、本発明のエラストマーの乾燥方法は、
 製造過程のエラストマーを乾燥させる乾燥室を構成する壁の内面に対して水を噴霧することにより、壁の内面を水で濡らした状態で、前記エラストマーを乾燥させることを特徴とする。
[0008]
 また、前記第1の目的を達成するために、本発明のエラストマーの乾燥装置は、
 製造過程のエラストマーが投入されて前記エラストマーを内部で乾燥させる乾燥室と、
 前記壁の内面に対して水を噴霧することにより前記壁の内面を濡らす水噴霧手段を有することを特徴とする。
[0009]
 本発明のエラストマーの乾燥方法と装置によれば、乾燥室を構成する壁の内面が水で濡らされているため、エラストマーの乾燥途中において、壁の内面に付着しようとするエラストマーの微粉は、壁の内面に存在する水と共に下に落ちる。そのため、壁の内面にエラストマーの微粉が徐々に付着して堆積することが防止され、堆積物が剥がれて乾燥途中のエラストマーに混入するおそれを低減することができる。
[0010]
 本発明において、壁の内面を水で濡らした状態とは、エラストマーの乾燥途中において、壁の内面に水が親水状態で常時存在することを意味する。
[0011]
 従来では、乾燥運転初期に、フッ素樹脂コーティング表面などの疎水性表面に水滴が形成され、その水滴にエラストマーの微粉が付着し、乾燥運転途中に、水滴が乾燥する際に、水滴の表面張力でエラストマーの微粉粒子が内面に引っ張られる。その後に、壁の内面に引きつけられたエラストマーの微粉粒子は熱変形して壁の内面に付着し、その上に、さらにエラストマーの微粉粒子が堆積していくと考えられる。堆積して熱変形して劣化したエラストマーの堆積物が落下して乾燥途中のエラストマーに混入すれば、エラストマー製品中の異物となってしまう。
[0012]
 本発明では、壁の内面に付着しようとするエラストマーの微粉は、壁の内面に存在する水と共に下に落ちる。そのため、壁の内面にエラストマーの微粉が徐々に付着して堆積することが防止され、堆積物が剥がれて乾燥途中のエラストマーに混入するおそれを低減することができる。
[0013]
 好ましくは、本発明は、前記壁の内面の上部に水を噴霧して、前記壁の内面に沿って水を垂らして、前記壁の内面を濡らすことを特徴とする。このような方法によれば、壁の内面を効率的に水で濡らすことができる。
[0014]
 また、好ましくは、本発明において前記水噴霧手段は、噴霧ノズルを有し、当該噴霧ノズルは、前記壁の内面の少なくとも上部に向けて水を噴霧する手段であることを特徴とする。このような装置によれば、壁の内面を効率的に水で濡らすことができる。
[0015]
 エラストマーの乾燥方法の一例として、前記乾燥室の内部では、100~220°Cの温度でエラストマーのクラムが押出機から弾き出されてコンベア上に導かれて乾燥されてもよい。
[0016]
 本発明のエラストマーの乾燥装置は、
 前記乾燥室の内部に前記エラストマーを弾き入れる押出機と、
 前記押出機から弾き出されたエラストマーを搬送するコンベヤーとをさらに有してもよい。
[0017]
 本発明の第2の目的を達成するために、本発明のエラストマーの製造方法は、前記のいずれかに記載のエラストマーの乾燥方法でエラストマーを乾燥させる工程を有する。
[0018]
 本発明の第2の目的を達成するために、本発明のエラストマーの製造装置は、前記のいずれかに記載のエラストマーの乾燥装置を有する。
[0019]
 本発明のエラストマーの製造方法および製造装置では、エラストマーの乾燥工程において、乾燥室の壁の内面からの堆積物の混入を防止することができ、異物の混入が少ない良質のエラストマーを製造することができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 図1は、本発明の一実施形態に係るエラストマーの乾燥装置の概略図である。
[図2] 図2は、噴霧ノズルにより図1に示す乾燥装置の乾燥室の壁が水に濡らされる状態を説明するための図である。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
[0022]
 図1に示すように、本実施形態に係るエラストマーの乾燥装置2は、脱水機4と、押出機6と、乾燥室20とを有する。
[0023]
 脱水機4は、特に限定されないが、水分を含むエラストマースラリーをスクリュで軸方向に送り込みながら、水分をバレル外部に絞り出すタイプの脱水機などが用いられる。重合槽から供給された水分を多量に含むエラストマーは、たとえば振動スクリーンで水分が除去された後、脱水機へと供給される。スクリーンで分離された水分は、温水として戻される。
[0024]
 第2振動スクリーンで水分が分離される結果、脱水機4へ供給される前のエラストマーの含水率は、約50重量%程度である。脱水機4では、水分を約8~12重量%程度まで乾燥させることができる。脱水機4で脱水されたエラストマーは、押出機6(エクスパンジョン型押出し乾燥機)のホッパ部へと供給される。
[0025]
 押出機6のホッパ部には、ドレーンホールがあり、エラストマーに含まれる水の一部は、ここから排出されるが、その他の水分は、エラストマーと共にバレル7内部をスクリュ8によりダイ部9の出口まで搬送され、途中で排出されることはない。ダイ部9には、ダイスとオリエンタ10とが対になって配置してある。
[0026]
 ダイスおよびオリエンタ10の配置数は、特に限定されないが、本実施形態では、約5対前後である。ダイ部9までスクリュ8により送り込まれたエラストマーは、ダイスの孔を通して、オリエンタ10から吐出される。バレル7の途中およびダイ部9には、ダイス以外の吐出口はないので、ダイ部9でのエラストマーの圧力は、4~9MPaとなる。
[0027]
 この押出機6では、スクリュ8の回転によるエラストマーのせん断発熱と、バレルジャケットによる加温により、エラストマーの温度を上昇させている。エラストマーの温度調節は、バレルジャケットの内部に流す加熱流体の温度制御により行う。ダイ部9での温度(出口温度)は、エラストマーの種類、分子量、ムーニー粘度などに依存するが、たとえばブタジエンゴム(BR)の場合には、一般に110~150°Cとなるように、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)の場合には、一般に130~170°Cとなるように制御される。すなわち、乾燥室20の内部では、100~220℃、好ましくは100~180°Cの温度でエラストマーのクラムがオリエンタ10から弾き出される。
[0028]
 なお、これらの温度は、押出機6から吐出されるエラストマーの含水率が4~7重量%となるように決定され、得ようとするエラストマーの種類などにより異なる。このようにダイ部9では、高温高圧となっており、ダイ部9の圧力は常にエラストマー中の水の水蒸気圧より高い。ダイ部中のエラストマーと水がダイスから放出されると、水分は蒸気となり、エラストマーはポーラスな状態でダイスから弾き出される。オリエンタ10は、所定長さの方向付け用通路を有し、ダイスの吐出孔から吐出されたクラム状エラストマーの飛び出し方向を方向付けるようになっている。
[0029]
 押出機6の出口側に装着してあるオリエンタ10は、乾燥室20の内部にまで延びており、乾燥室20の内部では、オリエンタ10の吹き出し口の前方に、分散部材としての陣笠部材22が配置してある。陣笠部材22は、本実施形態では、円錐形状である。この陣笠部材22は、その軸線が、押出機の軸線と略平行な水平軸に対して、所定角度で傾斜して配置してある。その角度の調節は、陣笠部材22を天井から吊り下げている2本以上の調整棒の長さや取付位置を調節することにより行う。
[0030]
 オリエンタ10と陣笠部材22との距離(オリエンタ10から吐出されたエラストマーが陣笠部材22に衝突するまでの距離)は、500~1500mm程度が好ましい。オリエンタ10から吐出されたクラム状エラストマー(製造過程のエラストマー)は、陣笠部材22の周面に衝突して、乾燥室20内に配置してあるコンベヤー用の多孔ベルト24へと向かい、その上に、均一に分散して堆積するようになっている。
[0031]
 乾燥室20は、ローラにより搬送方向Aに移動させられる多孔ベルト24を有する。多孔ベルト24は、たとえば開口率が30~40%程度に孔が形成されたステンレス製板材で構成してある。孔の大きさは、ベルト24の上に堆積されるクラム状のエラストマー12が落下しない程度の大きさである。ベルト24の下方には、図示省略してあるノズルが配置してあり、そのノズルから乾燥用空気を、エラストマー12が堆積されたベルト24の裏面から吹き付けるようになっている。乾燥用空気の温度は、本実施形態では、50~95°C程度である。
[0032]
 本実施形態では、図1に示すように、エラストマー12が堆積されたベルト24と、陣笠部材22と、オリエンタ10とを、ハウジング壁30で覆うように構成してあり、ハウジング壁30の内部の温度を一定とし、乾燥室20での乾燥効率を向上させている。
[0033]
 なお、乾燥室20のハウジング壁30は、ステンレス、鉄、ニッケル、アルミ、クロム、銅、その他各種金属合金などの金属で構成することが好ましい。このような金属で構成することで、水に対する濡れ性がよくなる。一方で、ハウジング壁30は、たとえばアルミナやジルコニアのようなセラミックス材料、ホウケイ酸ガラスや石英ガラスのようなガラス材料、エポキシ樹脂、ABS、PETなどの樹脂材料など金属以外で構成してもよい。また、ハウジング壁30の内面には、シラノール処理、アルカリ処理、親水性塗料の塗布、親水性フィルムの被着、コロナ放電などの処理を行い、親水性処理を行ってもよい。また、ハウジング壁30の内面の表面粗さを、水に対する濡れ性がよくなるように制御してもよい。また、表面粗さの制御は、親水性処理と併用してもよいし、表面粗さの制御単独で水に対する濡れ性を向上させてもよい。
[0034]
 乾燥室20の上面(天井面)近くには、噴霧ノズル40が設置されている。噴霧ノズル40は、給水装置42から給水される水を、乾燥室20のオリエンタ10に向かい合う壁30aに向かって噴霧する。本実施形態の噴霧ノズル40は、図2に示すように、扇子を開いたような形状(扇状)に水を噴霧するスプレーノズルである。また、噴霧ノズル40は、着滴エリアが狭い帯状(略一直線状)となり、その着滴エリアの全域にわたり均等な流量分布で水を噴霧するノズルである。
[0035]
 本実施形態の乾燥装置2においては、この噴霧ノズル40を用いて、図2に示すように、乾燥室20のオリエンタ10に向かい合う壁30aに水を噴霧する。すなわち、乾燥室20のオリエンタ10に向かい合う壁30aの最上部近傍の幅方向の全域にわたり、均等の水量となるように水を噴霧する。壁30aにの最上部近傍に噴霧された水は、壁30aに沿って徐々に下に垂れ落ちる。その結果、壁30aは、図示のごとく全域が水に濡れた状態となる。
[0036]
 壁30aに沿って垂れ落ちた水は、壁30aの下縁からさらに多孔ベルト24上に落下する。多孔ベルト24上に落下した水は、多孔ベルト24の移動に伴って、多孔ベルト24上のエラストマー12とともに乾燥用の気流に曝される。その結果、エラストマー12上に落ちた水は、エラストマー12に含まれていた水分とともに蒸発される。
[0037]
 ベルト24上に堆積された乾燥後のエラストマー12は、ベルト24の面から剥離され、粉砕され、計量部へと排出される。乾燥後のエラストマーは、計量部で計量された後、成形され、外観検査が成された後、包装され出荷される。あるいは、乾燥後のエラストマー(たとえばゴム)12は、圧縮されて、たとえばゴムベールに成形された後に包装されて出荷される。
[0038]
 前述したように、図1に示す脱水機4へ供給されるエラストマーの含水率は、約50重量%である。このエラストマーは、脱水機4で脱水され、エラストマーの含水率は、約8~12重量%となる。このエラストマーが押出機6内に供給され、内部でスクリュ8により送り込まれることにより、水を含むエラストマーは、水蒸気圧以上に圧縮される。このため、水を含むエラストマーは、図示省略してあるダイスから大気中に放出されるときに、膨張および破裂し、水分は蒸気となり、エラストマーは、ポーラスなクラム状エラストマーとなる。
[0039]
 ダイスから吐出されたクラム状エラストマーは、オリエンタ10により吐出方向が調節されて、陣笠部材22に衝突する。陣笠部材22の周面に衝突したクラム状のエラストマーは、乾燥室20の多孔ベルト24の上に、均一に散らばる。多孔ベルト24が移動することにより、その上に散らばって所定厚みとなったクラム状エラストマー12は、搬送方向Aに移動し、その途中で、下から吹き上げられる乾燥用空気に曝される。乾燥用空気は、ベルトの多孔から所定厚みのクラム状エラストマー12を通過し、エラストマーを乾燥させる。
[0040]
 本実施形態のエラストマーの乾燥方法と乾燥装置2によれば、乾燥室20を構成するハウジング壁30のオリエンタ10に向かい合う壁30aは、噴霧ノズル40から噴霧された水で濡らされているため、エラストマー12の乾燥途中において、ハウジング壁30aの内面に付着しようとするエラストマーの微粉は、壁30aの内面に存在する水と共に下に落ちる。
[0041]
 そのため、壁30aの内面にエラストマーの微粉が徐々に付着して堆積することが防止され、堆積物(エラストマーの熱変成劣化物含む)が剥がれて乾燥途中のエラストマー12に混入するおそれを低減することができる。なお、水と共に落ちるエラストマーの微粉が乾燥途中のエラストマー12に混入することは問題がない。劣化する前のエラストマーの微粉は、エラストマー12に混入しても一緒に乾燥されて製品となっても異物とはならない。
[0042]
 従来は、乾燥運転初期に、フッ素樹脂コーティング表面などの疎水性表面に水滴が形成され、その水滴にエラストマーの微粉が付着し、乾燥運転途中に、水滴が乾燥する際に、水滴の表面張力でエラストマーの微粉粒子が内面に引っ張られる。その後に、壁の内面に引きつけられたエラストマーの微粉粒子は熱変形して壁の内面に付着し、その上に、さらにエラストマーの微粉粒子が堆積していくと考えられる。堆積して熱変形して劣化したエラストマーの堆積物が落下して乾燥途中のエラストマーに混入すれば、エラストマー製品中の異物となってしまう。
[0043]
 本実施形態では、乾燥室20のオリエンタ10に向かい合う壁30aの上部に噴霧ノズル40から水を噴霧することにより、壁30aに沿って水を垂らし、壁30aの全面を水で濡らすようにしている。したがって、壁30aの内面に付着しようとするエラストマーの微粉は、水で濡れた壁30aに沿って下に落ちる。そのため、壁30aの内面にエラストマーの微粉が徐々に付着して堆積することが防止され、堆積物が剥がれて乾燥途中のエラストマー12に混入するおそれを低減することができる。しかも本実施形態では、壁の内面を効率的に水で濡らすことができる。
[0044]
 本実施形態の乾燥方法を用いて乾燥させるエラストマーとは、ゴム弾性を有する重合体であれば特に限定はなく、いわゆる合成ゴムや熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、これらのエラストマーに広く適用できる。具体的には、スチレン-ブタジエン・ゴム(SBR)、ニトリル-ブタジエン・ゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルゴム、ポリエーテルゴム、ヒドリンゴムなどの合成ゴム;スチレン-イソプレン-スチレン・ブロックポリマー(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン・ブロックポリマー(SBS)、およびこれらの水素化ブロックポリマーなどの熱可塑性エラストマー;などの一般的な合成ゴムや熱可塑性エラストマーに広く適用できる。
[0045]
 本実施形態のエラストマーの製造方法および製造装置では、エラストマーの乾燥工程において、乾燥室20の壁30aの内面からの堆積物の混入を防止することができ、異物の混入が少ない良質のエラストマー(たとえばゴムベール)を製造することができる。
[0046]
 なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
 たとえば、前述した実施形態においては、均等扇形ノズルである噴霧ノズル40を用いて乾燥室20のハウジング壁30に水を噴霧した。しかし、噴霧ノズル40として用いるスプレーノズルはこれに限られるものではなく、円錐状に水を噴霧するノズル等を用いてもよい。また、棒状に直進する水を方向を変えながら噴霧する回転式のノズルを用いて、壁30に対して水を噴霧するようにしてもよい。
[0047]
 また、前述した実施形態では、壁30aの最上部近傍に水を噴霧し、その水を壁30aに沿って垂らすことにより壁30aの全面を水に濡れた状態としていた。しかし、たとえば、前述した円錐状に水を噴霧するノズルにより、回転式のノズルにより、あるいは、本実施形態のように扇状に水を噴霧するノズルの水の噴霧角度を上下させることにより、壁30aの全面に直接水を噴霧するようにしてもよい。
[0048]
 また、前述の実施形態は、噴霧ノズル40により乾燥室20のオリエンタ10に向かい合う壁30aを水で濡らす構成であった。この部分に最もエラストマーの微粉が付着しやすいからである。しかし、乾燥室20のその他の壁にもエラストマーが堆積する可能性はあり、それらの壁も水で濡らす構成としてよい。それらの壁を水で濡らす方法としては、前述したノズルとは別途新たな噴霧ノズルを設置してそれらの壁を水で濡らしてもよいし、同じノズルを用いて、その噴霧ノズルによる水の噴霧角度を広げることでそれらの壁を水で濡らしてもよい。
[0049]
 また、噴霧ノズル40により噴霧し乾燥室20の壁30を濡らす物質は、純粋な意味、厳密な意味での水に限られるものではなく、その他の液体であってもよい。壁30に沿って垂れ落ち、エラストマーの微粉の付着を防止する効果があり、製造するエラストマーの品質に影響を与えない液体であれば、任意の液体を用いてよい。
[0050]
 また、前述の実施形態では、壁に沿って垂れ落ちた水は多孔ベルト上に落下する構成であった。しかし、壁の下縁の下に「とい」のような構成を設置し、壁から落ちる水を回収するような構成としてもよい。
[0051]
 また、前述した実施形態エラストマーの乾燥装置2は、脱水機4、押出機6、乾燥室20を有する構成であったが、この構成は1つの好適な態様を示すものであり、本願発明がこの構成に限定されるものではない。例えば、脱水機4や押出機6は他の態様のものでもよく、あるいはまた、これらを具備しない構成でもよい。脱水機4や押出機6は、本願発明の必須の構成ではない。本願発明の特徴は、乾燥室20の構成あるいは乾燥室20における乾燥方法にあり、乾燥室20にエラストマーを投入する方法、投入するための構成は任意の方法、構成でよい。
実施例
[0052]
 以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
[0053]
  実施例1
実施例1のエラストマーとして、溶液重合により製造されたSBRであり、平均分子量が20.0×10 4 であり、そのムーニー粘度(JIS K6300-1に準拠して温度100℃で測定した値 単位:ML 1+4、100℃)が50であるSBRを用いた。このSBRを、図1に示す装置を用いて乾燥させた。脱水機4へ供給されたエラストマーの含水率は、50重量%であった。
[0054]
 脱水機4で脱水した後のエラストマーの含水率は、10重量%であった。この10重量%の含水率のエラストマーを押出機6で乾燥した。押出機6の出口温度は130°Cに設定した。
[0055]
 ダイスから吐出されたエラストマーの含水率を調べたところ、5重量%であった。この5重量%の含水率のエラストマーを、図1に示す陣笠部材22に衝突させて、乾燥室20の多孔ベルト24上に均一に分散して堆積させた。このとき、乾燥室20のオリエンタ10に向かい合う壁30aに対しては、0.6L/min/m 2 (壁1m 2あたり毎分0.6リットルの水を噴霧)の水量で、水を噴霧ノズル40から水を噴霧した。
[0056]
 乾燥室20で乾燥された後のエラストマーの含水率は、0.8重量%であった。なお、エラストマーの含水率の測定は、JIS-K-6383に準じ、クラムを105±5℃で1時間乾燥した後デシケーター中で放冷し、乾燥前後の重量差を含水量とし、(含水量)/(含水量+乾燥前後の重合体)を百分率で算出した。
[0057]
 このようにして乾燥されたエラストマーを目視により観察したところ、熱劣化が観察されず、また、粉化しないポーラスなエラストマーであることが確認された。また、20000kgのエラストマーについて、異物の混入が観察されなかった。10時間運転後の壁30aの内面には、エラストマーの微粉の堆積は観察されなかった。
[0058]
  比較例1
噴霧ノズル40から水をハウジング壁30に噴霧しない以外は、実施例1と同様な条件でエラストマーを製造し、同様な評価を行った。エラストマーには、微粉の堆積物と考えられる異物の混入が観察された。また、乾燥室20のオリエンタ10に向かい合う壁30aの内面には、エラストマーの微粉の堆積が観察された。
[0059]
  実施例2および比較例2
エラストマーの種類をNBR(日本ゼオン製Nipol DN3350、乳化重合により製造、ムーニー粘度50)に代えて、脱水機4の出口温度を120℃に設定し、押出機6を介さずに乾燥室へ投入(空送)し、実施例1および比較例1と同様な評価を行った。エラストマーを乾燥室20内の多孔ベルト24上に均一に分散して堆積させるために、空送されたエラストマーを陣笠部材22に衝突させる点は、実施例1および比較例1と同じである。その結果、NBRを押出機6を介さずに乾燥室へ投入(空送)した場合も、実施例1および比較例1と同様な結果が得られた。
[0060]
  実施例3および比較例3
エラストマーの種類をBR(日本ゼオン製Nipol BR1220、溶液重合により製造、ムーニー粘度44)に代えて、押出機6の出口温度を110℃に設定し、実施例1および比較例1と同様な評価を行ったところ、同様な結果が得られた。
[0061]
  実施例4および比較例4
エラストマーの種類をIR(日本ゼオン製Nipol IR2200、溶液重合により製造、ムーニー粘度82)に代えて、押出機6の出口温度を210℃に設定し、実施例1および比較例1と同様な評価を行ったところ、同様な結果が得られた。

符号の説明

[0062]
2…乾燥装置
 4…脱水機
 6…押出機
 10…オリエンタ
 12…エラストマー
 20…乾燥室
 22…陣笠部材
 24…多孔ベルト
 30,30a…壁
 40…噴霧ノズル
 42…給水装置

請求の範囲

[請求項1]
 製造過程のエラストマーを乾燥させる乾燥室を構成する壁の内面に対して水を噴霧することにより、壁の内面を水で濡らした状態で、前記エラストマーを乾燥させることを特徴とするエラストマーの乾燥方法。
[請求項2]
 前記壁の内面の上部に水を噴霧して、前記壁の内面に沿って水を垂らして、前記壁の内面を濡らすことを特徴とする請求項1に記載のエラストマーの乾燥方法。
[請求項3]
 前記乾燥室の内部では、100~220°Cの温度でエラストマーのクラムが押出機から弾き出されてコンベヤー上に導かれ、乾燥される請求項1または2に記載のエラストマーの乾燥方法。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれかに記載のエラストマーの乾燥方法でエラストマーを乾燥させる工程を有するエラストマーの製造方法。
[請求項5]
 製造過程のエラストマーが投入されて前記エラストマーを内部で乾燥させる乾燥室と、
 前記壁の内面に対して水を噴霧することにより前記壁の内面を濡らす水噴霧手段を有するエラストマーの乾燥装置。
[請求項6]
 前記水噴霧手段は、噴霧ノズルを有し、当該噴霧ノズルは、前記壁の内面の少なくとも上部に向けて水を噴霧する手段であることを特徴とする請求項5に記載のエラストマーの乾燥装置。
[請求項7]
 前記乾燥室の内部に前記エラストマーを弾き入れる押出機と、
 前記押出機から弾き出されたエラストマーを搬送するコンベヤーと、をさらに有する請求項5または6に記載のエラストマーの乾燥装置。
[請求項8]
 請求項5~7のいずれかに記載のエラストマーの乾燥装置を有するエラストマーの製造装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]