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1. (WO2018181315) バルーンカテーテル、および医療用長尺体の製造方法
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明 細 書

発明の名称 バルーンカテーテル、および医療用長尺体の製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010  

発明の効果

0011   0012  

図面の簡単な説明

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102  

符号の説明

0103  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : バルーンカテーテル、および医療用長尺体の製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、バルーンカテーテル、および医療用長尺体の製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 血管等の生体管腔に形成された狭窄部等の病変部を拡張する医療装置としてバルーンカテーテルが広く知られている。バルーンカテーテルには、一般的に、オーバー・ザ・ワイヤタイプと呼ばれるものと、ラピッド・エクスチェンジタイプと呼ばれるものが存在する。
[0003]
 下記特許文献1に記載されているように、ラピッド・エクスチェンジタイプのバルーンカテーテルは、バルーンが配置されたカテーテルシャフトの先端側のみにガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメンが形成されている。このため、カテーテルシャフトの軸方向(長手方向)の先端側の所定位置には、ガイドワイヤルーメンへのガイドワイヤの出し入れを可能にするガイドワイヤポート(基端開口部)が設けられている。
[0004]
 ラピッド・エクスチェンジタイプのバルーンカテーテルに用いられるカテーテルシャフトは、カテーテルシャフトを構成する外側先端シャフト、外側基端シャフト、および内側シャフトを相互に熱融着して一体化し、内側シャフトの基端部付近にガイドワイヤポートを形成している。なお、外側先端シャフトおよび外側基端シャフトは、バルーン拡張用の加圧媒体(作動流体)を流通させる拡張ルーメンを形成するチューブ状の部材である。内側シャフトは、ガイドワイヤルーメンを形成する内腔を備えるチューブ状の部材である。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2015-93173号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 医師等の術者は、バルーンカテーテルを使用した手技において、血管に形成された狭窄部等の病変部にガイドワイヤを挿通させる。術者は、ガイドワイヤの基端側を内側シャフトの先端側からガイドワイヤルーメンに挿入し、内側シャフトの基端側のガイドワイヤポートを介して、ガイドワイヤをガイドワイヤルーメンから導出させる。そして、術者は、ガイドワイヤに沿わせてバルーンカテーテルを移動させることにより、バルーンカテーテルのバルーンを病変部まで案内する。
[0007]
 術者は、手技の最中、バルーンカテーテルのガイドワイヤルーメンにガイドワイヤを挿通した状態でガイドワイヤを基端側や先端側へ移動させたり、ガイドワイヤを内側シャフトの基端開口部から取り出したりする。術者がこれらの操作を行う際に、内側シャフトのガイドワイヤポート付近に過剰な応力集中が発生すると、バルーンカテーテルの内側シャフトが破断してしまう可能性がある。そして、ガイドワイヤが内側シャフトの破断した部分(引き裂かれた部分)に挟み込まれると、術者は、ガイドワイヤを円滑に移動させることが困難になるため、ガイドワイヤの操作性が著しく低下する。
[0008]
 本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、内側シャフトが形成する基端開口部付近が破断することを防止できるバルーンカテーテル、および医療用長尺体の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明に係るバルーンカテーテルは、内側シャフトと、前記内側シャフトの一部を覆う外側シャフトと、前記内側シャフトと前記外側シャフトに固定されたバルーンと、を備え、前記外側シャフトは、内腔を有する外側先端シャフトと、前記外側先端シャフトの基端側に固定され、かつ、前記外側先端シャフトの内腔と連通する内腔を有する外側基端シャフトと、を有し、前記内側シャフトは、先端側が前記外側先端シャフトの内腔に配置され、かつ、基端側が前記外側基端シャフトの外表面に配置されており、当該内側シャフトは、前記外側基端シャフトの外表面側で開口する基端開口部を形成し、前記内側シャフトは、前記外側基端シャフトの外表面に配置された前記外側先端シャフトの基端から前記基端開口部までの範囲において、第1領域と、前記第1領域の基端側に配置された第2領域と、を有し、前記第1領域は、前記外側基端シャフトの外表面に固定されており、前記第2領域は、前記外側基端シャフトの外表面に固定されていない。
[0010]
 また、本発明に係る医療用長尺体の製造方法は、外側先端シャフトと、外側基端シャフトと、内側シャフトと、前記内側シャフトの内腔に配置する第1マンドレルと、前記外側先端シャフトおよび前記外側基端シャフトの内腔に配置される第2マンドレルと、を供給し、前記外側先端シャフトの内腔に前記内側シャフトを配置し、前記内側シャフトの内腔に前記第1マンドレルを挿入し、前記内側シャフトの先端側が前記外側先端シャフトの内腔に配置され、かつ、前記内側シャフトの基端側が前記外側基端シャフトの外表面に配置されるように前記外側基端シャフトを配置し、前記外側先端シャフトの内腔および前記外側基端シャフトの内腔に前記第2マンドレルを挿入し、前記外側先端シャフトの基端、前記外側基端シャフトの先端、前記内側シャフトを覆うように熱収縮チューブを配置し、前記熱収縮チューブの基端は、前記内側シャフトの基端よりも先端側に位置し、前記熱収縮チューブに熱を付与して収縮させ、前記内側シャフトの基端に前記熱収縮チューブによる融着を施さない状態で、前記外側先端シャフトと前記外側基端シャフトと前記内側シャフトとを融着する、ことを含む。

発明の効果

[0011]
 上記のように構成したバルーンカテーテルは、内側シャフトの基端側に位置する第2領域が外側基端シャフトの外表面に固定されていないため、ガイドワイヤを内側シャフトの基端開口部から取り出す際などに基端開口部付近に応力集中が発生するのを防止できる。これにより、バルーンカテーテルは、内側シャフトに破断が生じることを防止でき、内側シャフトの破断に伴ってガイドワイヤの操作性が低下することを防止できる。また、バルーンカテーテルは、内側シャフトの基端側に位置する第2領域が外側基端シャフトの外表面に固定されていないため、バルーンカテーテルが湾曲した血管等の生体管腔に送達される際、第2領域がガイドワイヤに追従するように容易に変形する。これにより、バルーンカテーテルは、ガイドワイヤに対する内側シャフトの追従性が向上する。
[0012]
 上記の医療用長尺体の製造方法は、内側シャフトと外側シャフトを融着する際、内側シャフトの基端には熱収縮チューブによる融着が施されないため、内側シャフトの基端が外側基端シャフトの外表面に固定されない。これにより、上記製造方法により製造される医療用長尺体は、ガイドワイヤを内側シャフトの基端開口部から取り出す際などに、内側シャフトの基端付近に応力集中が発生することを防止できる。また、上記製造方法により製造される医療用長尺体は、湾曲した血管等の生体管腔に送達される際、内側シャフトの基端付近がガイドワイヤに追従するように容易に変形するため、ガイドワイヤに対する内側シャフトの追従性が向上する。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 実施形態に係るバルーンカテーテルを示す図である。
[図2] 図2(A)は、図1において破線部2Aで囲んだ部分の拡大断面図であり、図2(B)は、図1において破線部2Bで囲んだ部分の拡大断面図である。
[図3] 図2(B)において破線部3Aで囲んだ部分を拡大して示す図である。
[図4] 図3において矢印4Aで示す方向から見た内側シャフトの矢視図である。
[図5] 図5は、実施形態に係る医療用長尺体の製造方法を説明するための図であり、図5(A)は、内側シャフトを外側先端シャフトに軸方向に重ねて配置した状態を示す断面図、図5(B)は、第1マンドレルを内側シャフトに挿入した状態を示す断面図、図5(C)は、外側先端シャフトの内腔に外側基端シャフトを挿入した状態を示す断面図である。
[図6] 図6は、実施形態に係る医療用長尺体の製造方法を説明するための図であり、図6(A)は、外側先端シャフトの内腔および外側基端シャフトの内腔に第2マンドレルを挿入した状態を示す断面図、図6(B)は、熱収縮チューブを配置した状態を示す断面図、図6(C)は、融着後の外側先端シャフト、外側基端シャフト、および内側シャフトを示す断面図である。
[図7] 図6(C)において破線部7Aで囲んだ部分の拡大断面図であり、内側シャフトの切断位置を説明するための図である。
[0014]
 図1に示すように、本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、シャフト100の先端側に配置されたバルーン160を生体管腔に形成された狭窄部等の病変部において拡張させることにより、病変部を押し広げて治療する医療装置である。
[0015]
 バルーンカテーテル10は、冠動脈の狭窄部を広げるために使用されるPTCA治療用バルーンカテーテルとして構成している。ただし、バルーンカテーテル10は、例えば、他の血管、胆管、気管、食道、その他消化管、尿道、耳鼻内腔、その他の臓器等の生体器官内に形成された狭窄部等の病変部位の治療を目的としたバルーンカテーテルとして構成することもできる。
[0016]
 以下、バルーンカテーテル10について説明する。
[0017]
 図1に示すように、バルーンカテーテル10は、長尺状のシャフト(「医療用長尺体」に相当する)100と、シャフト100の先端側に配置されたバルーン160と、シャフト100の基端側に配置されたハブ190と、を有している。
[0018]
 実施形態の説明において、バルーン160を配置した側をバルーンカテーテル10の先端側とし、ハブ190を配置した側をバルーンカテーテル10の基端側とし、シャフト100が延伸する方向を軸方向とする。また、実施形態の説明において、先端部とは、先端(最先端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味し、基端部とは、基端(最基端)およびその周辺を含む一定の範囲を意味する。
[0019]
 図1に示すように、バルーンカテーテル10は、シャフト100の先端側寄りにガイドワイヤ200が出入り可能な基端開口部(ガイドワイヤポート)105が形成された、いわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテルとして構成している。
[0020]
 図2(A)および図2(B)に示すように、シャフト100は、内腔(拡張ルーメン)115を備える外側シャフト110と、外側シャフト110の内腔115に配置され、かつ、ガイドワイヤ200が挿通される内腔(ガイドワイヤルーメン)145を備える内側シャフト140と、を有している。
[0021]
 図1および図2(B)に示すように、シャフト100は、内側シャフト140の内腔145に連通する基端開口部(「内側シャフトの基端開口部」に相当する)105を有している。基端開口部105は、内側シャフト140の基端付近に形成している。
[0022]
 図2(B)に示すように、外側シャフト110は、外側先端シャフト120と、外側先端シャフト120の基端側に固定された外側基端シャフト130と、を有している。
[0023]
 外側先端シャフト120は、軸方向に延びる内腔125が形成された管状部材で形成している。同様に、外側基端シャフト130は、軸方向に延びる内腔135が形成された管状部材で形成している。
[0024]
 外側先端シャフト120および外側基端シャフト130は、シャフト100の基端開口部105付近において内側シャフト140と一体的に接続(融着)している。
[0025]
 図2(B)に示すように、外側先端シャフト120の内腔125と外側基端シャフト130の内腔135は互いに連通している。また、外側先端シャフト120の内腔125と外側基端シャフト130の内腔135は互いに連通した状態で、バルーン160の拡張空間167と連通する内腔(拡張ルーメン)115を形成している。
[0026]
 外側先端シャフト120および外側基端シャフト130は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種エラストマー、ポリアミド、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン等の結晶性プラスチック等で形成できる。
[0027]
 図2(A)に示すように、内側シャフト140の先端側は、外側先端シャフト120の内腔125に配置している。内側シャフト140の先端側の一定の範囲は、外側先端シャフト120の先端側へ突出するように配置されている。
[0028]
 また、図2(B)に示すように、内側シャフト140は、内側シャフト140の基端側が外側基端シャフト130の外表面に配置されている。内側シャフト140は、その基端側で外側基端シャフト130の外表面で開口する基端開口部105を形成している。なお、内側シャフト140の基端側には、後述する第1領域150Aおよび第2領域150Bが形成されている。
[0029]
 図2(A)に示すように、内側シャフト140は、先端側に配置された先端部材180を有している。先端部材180は、ガイドワイヤ200を挿通可能な内腔181を有している。
[0030]
 内側シャフト140は、先端側に先端部材180を備えることにより、バルーンカテーテル10の先端が生体管腔(血管の内壁等)に接触した際に、生体器官に損傷が生じるのを防止する。先端部材180は、例えば、柔軟な樹脂材料で形成できる。ただし、先端部材180の材質は、内側シャフト140に対して固定が可能なものであれば特に限定されない。
[0031]
 図2(A)に示すように、内側シャフト140の内腔145は、内側シャフト140の先端側で先端部材180の内腔181と連通している。また、図2(B)に示すように、内側シャフト140の内腔145は、内側シャフト140の基端側で基端開口部105と連通している。
[0032]
 内側シャフト140は、例えば、外側シャフト110の構成材料として例示したものと同様の材料で形成できる。
[0033]
 図2(A)に示すように、バルーン160は、内側シャフト140の先端部に固定された先端部161と、外側シャフト110の先端部(外側先端シャフト120の先端部)に固定された基端部163と、バルーン160の先端部161とバルーン160の基端部163との間に形成された最大外径部を形成する中間部166と、を有している。また、バルーン160は、バルーン160の先端部161とバルーン160の中間部166との間に形成された先端側テーパー部164と、バルーン160の基端部163とバルーン160の中間部166との間に形成された基端側テーパー部165と、を有している。
[0034]
 バルーン160は、シャフト100の外周面との間に、外側シャフト110の内腔115と連通する拡張空間167を形成している。バルーン160は、拡張空間167内に流体が流入すると、バルーン160の軸方向と交差する放射方向へ拡張する。
[0035]
 バルーン160は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等で形成できる。
[0036]
 図2(A)に示すように、内側シャフト140は、バルーン160の中間部166の軸方向の略中心位置を示す造影マーカー170を有している。造影マーカー170は、例えば、白金、金、銀、イリジウム、チタン、タングステン等の金属、またはこれらの合金等により形成できる。なお、造影マーカー170は、内側シャフト140において先端側テーパー部164と中間部166との間の境界部を示す位置、および、内側シャフト140において基端側テーパー部165と中間部166との間の境界部を示す位置に配置してもよい。
[0037]
 図1に示すように、ハブ190は、流体(例えば、造影剤や生理食塩水)を供給するためのインデフレーター等の供給装置(図示省略)と液密・気密に接続可能なポート191を有している。ハブ190のポート191は、例えば、チューブ等が接続・分離可能に構成された公知のルアーテーパー等によって構成できる。
[0038]
 次に、内側シャフト140について詳述する。
[0039]
 図2(B)および図3に示すように、内側シャフト140は、第1領域150Aと、第1領域150Aの基端側に配置された第2領域150Bと、を有している。なお、図3は、図2(B)に示す破線で囲んだ3A部分の拡大断面図(内側シャフト140の軸方向の拡大断面図)である。
[0040]
 図3に示すように、第1領域150Aは、外側先端シャフト120の基端123から内側シャフト140の基端開口部105までの範囲(外側先端シャフト120の基端123から内側シャフト140の基端開口部105の基端までを含む軸方向の範囲)において、内側シャフト140と外側基端シャフト130が固定(融着)された領域である。また、第2領域150Bは、外側先端シャフト120の基端123から内側シャフト140の基端開口部105までの範囲において、内側シャフト140と外側基端シャフト130が固定(融着)されていない領域である。
[0041]
 後述するシャフト100の製造方法で説明するように、第1領域150Aは、各シャフト120、130、140を融着する際、内側シャフト140において熱収縮チューブ400が配置された領域に形成される。また、第2領域150Bは、内側シャフト140において熱収縮チューブ400が配置された領域よりも基端側に離れた領域に形成される(図6(B)および図6(C)を参照)。
[0042]
 図3に示すように、内側シャフト140は、第1領域150Aから第2領域150Bに向かって傾斜する傾斜部146を有している。また、内側シャフト140の基端開口部105は、傾斜部146に形成している。
[0043]
 図3に示すように、内側シャフト140の基端開口部105は、内側シャフト140の軸方向の断面において、内側シャフト140の基端側から先端側に向かって傾斜している。基端開口部105は、傾斜部146に形成されることにより、傾斜部146と同一平面上に配置されている。
[0044]
 なお、傾斜部146が軸方向に対して傾斜する傾斜角度は特に限定されない。また、基端開口部105は、傾斜部146に形成せずに、例えば、内側シャフト140の軸方向に対して略垂直に開口するように形成してもよい。
[0045]
 図3および図4に示すように、内側シャフト140の基端開口部105は、外側基端シャフト130の外表面と面する第2領域150Bの位置に、未固定部147を有している。なお、図4は、図3に示す矢印4A方向から見た内側シャフト140の矢視図である。
[0046]
 未固定部147は、基端開口部105の周縁部105aの基端部に形成している。また、未固定部147は、基端開口部105の周縁部105aにおいて、平坦部147aを形成している。
[0047]
 平坦部147aは、図4に示す矢視図において、内側シャフト140の内表面と連なるように、基端開口部105の周縁部105aの基端およびその周辺部で形成される。平坦部147aは、後述する対向部148(基端開口部105の周縁部105aの先端およびその周辺部で形成される領域)よりも内側シャフト140の軸方向に沿う幅W1が長く、かつ、後述する対向部148(基端開口部105の周縁部105aの先端およびその周辺部で形成される領域)よりも内側シャフト140の軸方向に直交する方向の距離L1が長くなるように形成される。これにより、平坦部147aは、基端開口部105の周縁部105aのうち、内側シャフト140の肉厚が大きく、かつ、内側シャフト140の周方向に長い領域で形成されるため、内側シャフト140の内腔145に挿通されたガイドワイヤに沿わせることで未固定部147が過度に屈曲した場合であっても、未固定部147が屈曲することを抑制し、術者のガイドワイヤの操作性を向上させることができる。平坦部147aは、後述するように、内側シャフト140に基端開口部105および傾斜部146を形成する際、内側シャフト140の切断角度(切断方向)を調整して、基端開口部105の周縁部105aの基端を切除することで形成できる(図7を参照)。
[0048]
 図3に示すように、平坦部147aの肉厚t1は、軸方向の先端側から基端側に向かって減少するように形成している。平坦部147aの肉厚t1は、傾斜部146の傾斜方向に沿って基端側に向けて徐々に減少し、基端開口部105の周縁部105aの基端で最小となる。
[0049]
 図4に示すように、基端開口部105は、内側シャフト140の内腔145(または基端開口部105)を挟んで未固定部147と対向する対向部148と、未固定部147と対向部148を繋ぐ方向(図4の左右方向)と交差する位置に一対の側壁部149a、149bと、を備えている。
[0050]
 基端開口部105は、図3および図4に示すように、対向部148から平坦部147aに向かって、各側壁部149a、149bの肉厚が増加している。そのため、基端開口部105は、図4に示すように、対向部148から平坦部147aに向かって、各側壁部149a、149bの幅W2(図4を参照)が増加している。
[0051]
 後述するように、対向部148は、各シャフト120、130、140を融着する際、熱収縮チューブ400で覆われた部分に形成される。また、各側壁部149a、149bの少なくとも一部は、各シャフト120、130、140を融着する際、熱収縮チューブ400の基端403よりも基端側に配置される(図6(C)を参照)。ここで、熱収縮チューブ400に付与した熱の影響は、熱収縮チューブ400の基端403よりも基端側の一定の範囲まで及ぶ。このため、内側シャフト140において各側壁部149a、149bが形成される部分は、熱収縮チューブ400に付与した熱の影響を比較的大きく受ける先端側から熱の影響をさほど受けない基端側に向けて、融着後の肉厚および幅W2が大きくなる。したがって、図3および図4に示すように、基端開口部105は、対向部148から平坦部147aに向かって肉厚および幅W2が増加するように形成される。
[0052]
 図3に示すように、傾斜部146の第2領域150Bの軸方向の長さL2は、内側シャフト140の軸方向の断面において、傾斜部146の第1領域150Aの軸方向の長さL3よりも短くなっている。
[0053]
 傾斜部146の第2領域150Bの軸方向の長さは、例えば、0.1mm~0.5mmに形成でき、傾斜部146の第1領域150Aの軸方向の長さは、例えば、0.4mm~2.5mmに形成できる。
[0054]
 図2に示すように、外側先端シャフト120は、所定の外径D1で形成された大径部126を有している。また、第1領域150Aおよび第2領域150Bに対応する部分で外側シャフト110および内側シャフト140が形成する外径(第1領域150Aおよび第2領域150Bに対応する部分で外側シャフト110および内側シャフト140が形成する最大外径)D2は、大径部126の外径D1よりも小さくなっている。
[0055]
 後述するように、各シャフト120、130、140を融着する際(図6(B)を参照)、各シャフト120、130、140は熱収縮チューブ400で所定の範囲が覆われる。この状態で各シャフト120、130、140に熱を付与すると、各シャフト120、130、140は熱収縮チューブ400で覆われた範囲が放射方向内方(シャフト100の内側に向かう方向)に収縮する。この際、外側先端シャフト120の熱の影響が及ばない範囲は、融着前後において外径を維持する。そして、図2(B)に示すように、融着前後において外側先端シャフト120の外径が維持された部分は、大径部126を形成する。各シャフト120、130、140の融着後に外径が小さくなった部分、つまり各シャフト120、130、140を融着する際に熱収縮チューブ400で被覆され部分は、大径部126よりも外径が小さい小径部127を形成する。また、大径部126と小径部127の間には、熱収縮チューブ400に付与した熱の影響で小径部127から大径部126に向けて外径が徐々に大きくなる境界部128が形成される。
[0056]
 次に、図5~図7を参照して、シャフト(医療用長尺体)100の製造方法を説明する。
[0057]
 まず、シャフト100を製造する作業者は、外側先端シャフト120と、外側基端シャフト130と、内側シャフト140と、内側シャフト140の内腔145に配置する第1マンドレル310と、外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に配置する第2マンドレル320と、を供給(準備)する。
[0058]
 作業者は、外側先端シャフト120として、例えば、外径および内径が軸方向に略一定に形成された管状部材を準備する。また、作業者は、外側基端シャフト130として、例えば、先端が先端側から基端側へ向けて斜めに傾斜し、先端以外の部分が軸方向に略一定の外径および内径を有する管状部材を準備する。また、作業者は、内側シャフト140として、例えば、外径および内径が軸方向に略一定に形成され、かつ、基端143には開口部143aが形成された管状部材を準備する(各シャフト120、130、140の形状例は図5(C)を参照)。
[0059]
 作業者は、第1マンドレル310および第2マンドレル320として、例えば、軸方向に略直線状に延伸した公知のものを用いることができる。
[0060]
 作業者は、図5(A)に示すように、外側先端シャフト120の内腔125に内側シャフト140を配置する。この際、作業者は、内側シャフト140は、外側先端シャフト120の基端123から内側シャフト140の基端側が所定の範囲だけ突出するように配置する。
[0061]
 次に、作業者は、図5(B)に示すように、内側シャフト140の内腔145に第1マンドレル310を挿入する。第1マンドレル310は、内側シャフト140の開口部143aから第1マンドレル310の基端側が突出するように配置する。
[0062]
 次に、作業者は、図5(C)に示すように、内側シャフト140の先端側が外側先端シャフト120の内腔125に配置され、かつ、内側シャフト140の基端側が外側基端シャフト130の外表面に配置されるように、外側基端シャフト130を配置する。
[0063]
 次に、作業者は、図6(A)に示すように、外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に第2マンドレル320を挿入する。
[0064]
 なお、作業者は、外側先端シャフト120の内腔125に内側シャフト140を配置する作業、第1マンドレル310を内側シャフト140に配置する作業、外側先端シャフト120に外側基端シャフト130を配置する作業、第2マンドレル320を外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に挿入する作業を順不同で行うことができる。
[0065]
 次に、作業者は、図6(B)に示すように、外側先端シャフト120の基端123、外側基端シャフト130の先端131、内側シャフト140を覆うように熱収縮チューブ400を配置する。この際、作業者は、熱収縮チューブ400の基端403を内側シャフト140の基端143よりも軸方向の先端側に配置し、熱収縮チューブ400の先端401を外側先端シャフト120の基端123および外側基端シャフト130の先端131よりも軸方向の先端側に配置する。
[0066]
 作業者は、熱収縮チューブ400として、例えば、ポリオレフィンなどにより構成された中空状の筒部材を用いることができる。
[0067]
 次に、作業者は、熱収縮チューブ400に熱を付与して収縮させ、内側シャフト140の基端143に熱収縮チューブ400による融着を施さない状態で、外側先端シャフト120と、外側基端シャフト130と、内側シャフト140を融着する。熱収縮チューブ400は、加熱されると収縮し、加熱前の熱収縮チューブ400の内径よりも加熱後の熱収縮チューブ400の内径が小さくなるように変形する。
[0068]
 作業者は、熱収縮チューブ400を収縮させて各シャフト120、130、140を融着することにより、図6(C)に示すように、内側シャフト140に第1領域150Aと第2領域150Bを形成する。
[0069]
 図6(C)に示すように、熱収縮チューブ400の基端403よりも基端側に位置する第1領域150Aは、各シャフト120、130、140を融着する際に熱収縮チューブ400に付与した熱の影響で肉厚が先端側から基端側へ向けて徐々に大きくなる断面形状となる。また、内側シャフト140の基端143付近は、熱収縮チューブ400に付与した熱の影響をほとんど受けないため、融着前後においてほぼ一定の肉厚を維持する。
[0070]
 外側基端シャフト130は、内側シャフト140と同様に、熱収縮チューブ400の基端403付近に位置する部分の肉厚が熱収縮チューブ400に付与した熱の影響で先端側から基端側へ向けて徐々に大きくなる断面形状となる。また、外側基端シャフト130は、熱収縮チューブ400の基端403から一定の距離だけ基端側に離れた部分では融着前後においてほぼ一定の肉厚を維持する。
[0071]
 図6(C)に示すように、外側先端シャフト120は、融着後、熱収縮チューブ400により覆われていた部分に小径部127を形成し、熱収縮チューブ400により覆われなかった部分(小径部127よりも先端側)に境界部128を形成し、境界部128の先端側に大径部126を形成する。
[0072]
 作業者は、各シャフト120、130、140を融着した後、内側シャフト140の内腔145から第1マンドレル310を抜去する。作業者は、例えば、内側シャフト140の内腔145から第1マンドレル310を抜去する作業とは順不同で、外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135から第2マンドレル320を抜去することができる。なお、図示例では、作業者は、融着後に各マンドレル310、320を抜去している。
[0073]
 次に、作業者は、図7に示すように、内側シャフト140の基端部(基端143を含む基端側の一定の範囲)を内側シャフト140の第1領域150Aおよび内側シャフト140の第2領域150Bに亘って斜めに切断する(切断位置の例を図7の破線c1で示す)。なお、作業者が内側シャフト140の基端部(基端143を含む基端側の一定の範囲)を内側シャフト140の第1領域150Aおよび内側シャフト140の第2領域150Bに亘って斜めに切断する前に、熱収縮チューブ400は抜去される。図7は、図6(C)の破線部7Aで囲んだ部分の拡大断面図であり、切断位置を示すための図である。
[0074]
 作業者は、上記のように内側シャフト140を切断することにより、内側シャフト140の第1領域150Aから内側シャフト140の第2領域150Bに向かって傾斜する傾斜部146を形成する(図3を参照)。この際、作業者は、傾斜部146の第2領域150Bの軸方向の長さL2が傾斜部146の第1領域150Aの軸方向の長さL3よりも短くなるように内側シャフト140を切断する(図3を参照)。
[0075]
 作業者は、上記のように内側シャフト140を切断することにより、内側シャフト140に基端開口部105を形成する(図3を参照)。また、この際、作業者は、外側基端シャフト130と固定されていない未固定部147を内側シャフト140の基端開口部105の周縁部105aに形成する(図4を参照)。
[0076]
 また、作業者は、上記のように内側シャフト140を切断することにより、図4に示すように、第2領域150Bに位置する未固定部147に平坦部147aを形成し、基端開口部105の周縁部105aにおいて内腔145を挟んで未固定部147と対向する位置に対向部148を形成し、さらに対向部148と未固定部147を繋ぐ側壁部149a、149bを形成する。
[0077]
 各側壁部149a、149bは、内側シャフト140の第1領域150Aおよび第2領域150Bに跨って形成される。また、内側シャフト140の基端開口部105の各側壁部149a、149bは、対向部148から平坦部147aに向かって肉厚および図4に示す幅W2が増加する。
[0078]
 内側シャフト140の切断作業は、例えば、内側シャフト140を切断可能な刃部等が設けられた公知の工具で行うことができる。
[0079]
 なお、内側シャフト140の切断位置や切断角度(切断方向)は特に限定されない。本実施形態では、基端開口部105の周縁部105aに平坦部147aが形成される所定の位置および角度で内側シャフト140を切断しているが、例えば、作業者は、内側シャフト140の基端開口部105が傾斜した断面形状とならないように、内側シャフト140の軸方向に対して略垂直に内側シャフト140を切断してもよい。
[0080]
 作業者は、以上の各工程を実施することにより、第1領域150Aおよび第2領域150Bが形成された内側シャフト140と、外側先端シャフト120および外側基端シャフト130により構成された外側シャフト110と、を備えるシャフト100を製造できる。
[0081]
 次に、本実施形態に係るバルーンカテーテル10の作用、およびシャフト100の製造方法の作用を説明する。
[0082]
 本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、内側シャフト140と、内側シャフト140の一部を覆う外側シャフト110と、内側シャフト140と外側シャフト110に固定されたバルーン160と、を備えている。外側シャフト110は、内腔125を有する外側先端シャフト120と、外側先端シャフト120の基端側に固定され、かつ、外側先端シャフト120の内腔125と連通する内腔135を有する外側基端シャフト130と、を有している。また、内側シャフト140は、先端側が外側先端シャフト120の内腔125に配置され、かつ、基端側が外側基端シャフト130の外表面に配置されており、当該内側シャフト140は、外側基端シャフト130の外表面側で開口する基端開口部105を形成している。そして、内側シャフト140は、外側基端シャフト130の外表面に配置された外側先端シャフト120の基端123から内側シャフト140の基端開口部105までの範囲において、第1領域150Aと、第1領域150Aの基端側に配置された第2領域150Bと、を有しており、第1領域150Aは、外側基端シャフト130の外表面に固定されており、第2領域150Bは、外側基端シャフト130の外表面に固定されていない。
[0083]
 上記のように構成したバルーンカテーテル10は、内側シャフト140の基端側に位置する第2領域150Bが外側基端シャフト130の外表面に固定されていないため、ガイドワイヤ200を内側シャフト140の基端開口部(ガイドワイヤポート)105から取り出す際などに基端開口部105付近に応力集中が発生するのを防止できる。これにより、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140に破断が生じるのを防止でき、内側シャフト140の破断に伴ってガイドワイヤ200の操作性が低下するのを防止できる。また、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140の基端側に位置する第2領域150Bが外側基端シャフト130の外表面に固定されていないため、バルーンカテーテル10が湾曲した血管等の生体管腔に送達される際、第2領域150Bがガイドワイヤ200に追従するように容易に変形する。これにより、バルーンカテーテル10は、ガイドワイヤ200に対する内側シャフト140の追従性が向上する。
[0084]
 また、上記バルーンカテーテル10の内側シャフト140は、第1領域150Aから第2領域150Bに向かって傾斜する傾斜部146を有し、基端開口部105は、傾斜部146に形成している。このため、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140の基端開口部105が内側シャフト140の軸方向に対して直交するように開口している場合に比べて基端開口部105の開口面積を大きく形成できる。これにより、術者は、バルーンカテーテル10の基端開口部105を介してガイドワイヤ200を容易に取り出すことができる。
[0085]
 また、上記バルーンカテーテル10の基端開口部105は、外側基端シャフト130の外表面と面する第2領域150Bの位置に未固定部147を有している。そして、未固定部147は、基端開口部105の周縁部105aにおいて平坦部147aを形成している。このため、バルーンカテーテル10は、平坦部147aにより未固定部147の耐キンク性が向上するため、内側シャフト140の内腔145に挿通されたガイドワイヤ200に沿わせることで未固定部147が過度に屈曲した場合であっても、未固定部147が屈曲することを抑制する。そのため、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140の基端開口部105を介してガイドワイヤ200を導出する際、ガイドワイヤ200のコイル部等が基端開口部105の基端に引っ掛かるのを防止できる。これにより、術者は、ガイドワイヤ200を容易かつ円滑に内側シャフト140の基端開口部105から取り出すことができる。
[0086]
 また、上記バルーンカテーテル10の内側シャフト140の平坦部147aの肉厚は、先端側から基端側に向かって減少している。このような構成において、内側シャフト140は、内側シャフト140の平坦部147aが形成された部分よりも先端側で外側シャフト110と固定される。つまり、内側シャフト140は、内側シャフト140の基端開口部105の周縁部105aに形成した平坦部147aの基端(基端開口部105の周縁部105aにおいて最も肉厚が小さくなる部分)が外側シャフト110に固定されない。これにより、内側シャフト140は、平坦部147aの基端に応力集中が生じるのを防止しつつ、内側シャフト140の平坦部147aよりも先端側の比較的大きな肉厚を有する部分で応力集中による破断が生じることを好適に防止できる。
[0087]
 また、上記バルーンカテーテル10の内側シャフト140の基端開口部105は、内側シャフト140の内腔145を挟んで未固定部147と対向する対向部148と、未固定部147と対向部148を繋ぐ方向と交差する位置に形成された側壁部149a、149bと、を備えている。そして、各側壁部149a、149bは、対向部148から平坦部147aに向かって肉厚が増加している。
[0088]
 上記のように構成したバルーンカテーテル10は、基端開口部105の周縁部105aの基端側に向けて各側壁部149a、149bの肉厚が増加する。そのため、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140の未固定部147よりも先端側で、各側壁部149a、149bの肉厚を増加させることにより、内側シャフト140の基端開口部105の周縁部105aを補強することができる。これにより、バルーンカテーテル10は、未固定部147よりも先端側で内側シャフト140の各側壁部149a、149bに応力集中が生じた際に、基端開口部105の周縁部105a付近で内側シャフト140が破断することを防止できる。なお、傾斜部146により基端開口部105が形成される場合、内側シャフト140の基端部は、先端側から基端側に向かって、内側シャフト140の軸方向に対して直交する断面における面積が減少する。そのため、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140の未固定部147よりも先端側で、各側壁部149a、149bの肉厚を増加させることにより、基端開口部105の開口面積を大きく形成しつつ、内側シャフト140の基端開口部105の周縁部105aを補強することができる。
[0089]
 また、上記バルーンカテーテル10の傾斜部146の第2領域150Bの軸方向の長さは、内側シャフト140の軸方向の断面において、傾斜部146の第1領域150Aの軸方向の長さよりも短い。
[0090]
 上記のように構成したバルーンカテーテル10は、内側シャフト140が傾斜部146において外側シャフト110と軸方向に接触する長さが長くなる。そのため、バルーンカテーテル10は、傾斜部146における内側シャフト140と外側シャフト110との間の固定力を向上させつつ、未固定部147により内側シャフト140の基端開口部105の周縁部105aへの応力集中を軽減することができる。例えば、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140の対向部148にガイドワイヤ200が接触した際、未固定部147により内側シャフト140の基端部と外側基端シャフト130との間に発生する応力集中を軽減することができる。これにより、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140の基端開口部105付近で応力集中が生じた際に、基端開口部105付近で内側シャフト140又は外側基端シャフト130が破断するのをより一層好適に防止できる。
[0091]
 また、上記バルーンカテーテル10の外側先端シャフト120は、所定の外径で形成された大径部126を有し、第1領域150Aおよび第2領域150Bに対応する部分で外側シャフト110および内側シャフト140が形成する外径は、大径部126の外径よりも小さい。
[0092]
 術者等は、バルーンカテーテル10を血管等の生体管腔へ挿入する際、例えば、一つのカテーテル(公知のガイディングカテーテル等)を利用して、バルーンカテーテル10とともに他の医療デバイス(例えば、バルーンカテーテルとは別のバルーンカテーテルや画像診断に用いられるカテーテルデバイス等)を挿入することがある。この際、バルーンカテーテル10の基端開口部105付近の外径が過度に大きく形成されていると、カテーテル内においてバルーンカテーテル10と他の医療デバイスが干渉してしまい、両者の円滑な移動が妨げられることがある。バルーンカテーテル10は、上記のように第1領域150Aおよび第2領域150Bに対応する部分で外側シャフト110および内側シャフト140が形成する外径が外側先端シャフト120の大径部126の外径と比較して小さく形成されているため、カテーテルの内腔で他の医療デバイスと干渉するのを好適に防止できる。
[0093]
 本実施形態に係るシャフト100の製造方法は、外側先端シャフト120と、外側基端シャフト130と、内側シャフト140と、内側シャフト140の内腔145に配置する第1マンドレル310と、外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に配置される第2マンドレル320と、を供給する。また、当該製造方法は、外側先端シャフト120の内腔125に内側シャフト140を配置し、内側シャフト140の内腔145に第1マンドレル310を挿入し、内側シャフト140の先端側が外側先端シャフト120の内腔125に配置され、かつ、内側シャフト140の基端側が外側基端シャフト130の外表面に配置されるように外側基端シャフト130を配置し、外側先端シャフト120の内腔125および外側基端シャフト130の内腔135に第2マンドレル320を挿入し、外側先端シャフト120の基端123、外側基端シャフトの先端131、内側シャフト140を覆うように熱収縮チューブ400を配置し、熱収縮チューブ400の基端403は、内側シャフト140の基端143よりも先端側に位置させる。そして、当該製造方法は、熱収縮チューブ400に熱を付与して収縮させ、内側シャフト140の基端143に熱収縮チューブ400による融着を施さない状態で、外側先端シャフト120と外側基端シャフト130と内側シャフト140とを融着する、ことを含む。
[0094]
 上記のシャフト100の製造方法は、内側シャフト140と外側シャフト110を融着する際、内側シャフト140の基端143には熱収縮チューブ400による融着が施されないため、内側シャフト140の基端143が外側基端シャフト130の外表面に固定されない。これにより、上記製造方法により製造されるシャフト100は、ガイドワイヤ200を内側シャフト140の基端開口部105から取り出す際などに、内側シャフト140の基端143付近に応力集中が発生するのを防止できる。また、上記製造方法により製造されるシャフト100は、湾曲した血管等の生体管腔に送達される際、内側シャフト140の基端143付近がガイドワイヤ200に追従するように容易に変形するため、ガイドワイヤ200に対する内側シャフト140の追従性を高めることができる。
[0095]
 また、上記のシャフト100の製造方法において、外側先端シャフト120と外側基端シャフト130と内側シャフト140とを融着した後、内側シャフト140は、外側シャフト110の外表面に配置された外側先端シャフト120の基端123から内側シャフト140の基端143までの範囲において、内側シャフト140と外側基端シャフト130が融着された第1領域150Aと、第1領域150Aの基端側に配置され、内側シャフト140と外側基端シャフト130が融着されていない第2領域150Bと、を有している。そして、当該製造方法は、内側シャフト140の基端部を第1領域150Aおよび第2領域150Bに亘って斜めに切断し、第1領域150Aから第2領域150Bに向かって傾斜する傾斜部146を形成することを含む。
[0096]
 上記のシャフト100の製造方法は、内側シャフト140の基端143を第1領域150Aおよび第2領域150Bに亘って斜めに切断することにより、第1領域150Aから第2領域150Bに向かって傾斜する傾斜部146を形成する。さらに、上記製造方法は、内側シャフト140の第1領域150Aと内側シャフト140の第2領域150Bに亘って内側シャフト140の基端開口部105を形成する。上記製造方法により製造されるシャフト100は、内側シャフト140の基端開口部105が内側シャフト140の軸方向に対して直交するように開口している場合に比べて基端開口部105の開口面積が大きくなるため、術者は、バルーンカテーテル10の基端開口部105を介してガイドワイヤ200を容易に取り出すことが可能になる。また、基端開口部105の基端は、内側シャフト140が外側シャフト110と固定されていない第2領域150Bに含まれるため、シャフト100は、内側シャフト140の基端開口部105の基端で応力集中が生じるのを防止できる。これにより、シャフト100は、内側シャフト140の基端開口部105付近で応力集中による破断が生じるのを好適に防止できる。
[0097]
 また、上記のシャフト100の製造方法は、内側シャフト140の基端部を切断する前に、内側シャフト140の内腔145から第1マンドレル310を抜去することを含む。このため、当該製造方法は、内側シャフト140を切断する際に、第1マンドレル310により切断作業の円滑な進行が妨げられるのを防止できる。これにより、シャフト100を製造する作業者は、内側シャフト140の基端部を第1領域150Aおよび第2領域150Bに亘って所定の形状に容易に切断できる。
[0098]
 また、上記のシャフト100の製造方法は、内側シャフト140の基端部を切断し、第1領域150Aから第2領域150Bに向かって傾斜する傾斜部146を形成する際、内側シャフト140の軸方向の断面において、傾斜部146の第2領域150Bの軸方向の長さが傾斜部146の第1領域150Aの軸方向の長さよりも短くなるように内側シャフト140を切断する。
[0099]
 上記のシャフト100の製造方法により製造されるシャフト100は、内側シャフト140の傾斜部146が第1領域150Aにおいて外側シャフト110と軸方向に接触する長さが長くなる。そのため、バルーンカテーテル10は、傾斜部146における内側シャフト140と外側シャフト110との間の固定力を向上させつつ、未固定部147により内側シャフト140の基端開口部105の周縁部105aへの応力集中を軽減することができる。例えば、バルーンカテーテル10は、内側シャフト140の対向部148にガイドワイヤ200が接触した際、未固定部147により内側シャフト140の基端部と外側基端シャフト130との間に発生する応力集中を軽減することができる。これにより、シャフト100は、内側シャフト140の基端開口部105付近で応力集中が生じた際に、基端開口部105付近で内側シャフト140又は外側基端シャフト130が破断することをより一層好適に防止できる。
[0100]
 以上、実施形態を通じて本発明に係るバルーンカテーテルおよび医療用長尺体の製造方法を説明したが、本発明は特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することができ、説明した各実施形態の内容のみに限定されることはない。
[0101]
 例えば、実施形態等において説明したバルーンカテーテルの構造や部材の配置等は適宜変更することができ、図示により説明した付加的な部材の使用の省略や、特に説明されなかったその他の付加的な部材の使用等も適宜に行い得る。同様に、医療用長尺体の製造方法に関する各工程や製造に使用される器具等についても適宜変更し得る。
[0102]
 本出願は、2017年3月31日に出願された日本国特許出願第2017-072815号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

符号の説明

[0103]
10 バルーンカテーテル、
100 シャフト(医療用長尺体)、
105 基端開口部(内側シャフトの基端開口部)、
105a 周縁部、
110 外側シャフト、
115 外側シャフトの内腔、
120 外側先端シャフト、
123 外側先端シャフトの基端、
125 外側先端シャフトの内腔、
126 大径部、
127 小径部、
130 外側基端シャフト、
131 外側基端シャフトの先端、
135 外側基端シャフトの内腔、
140 内側シャフト、
143 内側シャフトの基端
145 内側シャフトの内腔、
146 傾斜部、
147 未固定部、
147a 平坦部、
148 対向部、
149a、149b 側壁部、
150A 第1領域、
150B 第2領域、
160 バルーン、
200 ガイドワイヤ、
310 第1マンドレル、
320 第2マンドレル、
400 熱収縮チューブ、
401 熱収縮チューブの先端、
403 熱収縮チューブの基端。

請求の範囲

[請求項1]
 内側シャフトと、
 前記内側シャフトの一部を覆う外側シャフトと、
 前記内側シャフトと前記外側シャフトに固定されたバルーンと、を備え、
 前記外側シャフトは、内腔を有する外側先端シャフトと、前記外側先端シャフトの基端側に固定され、かつ、前記外側先端シャフトの内腔と連通する内腔を有する外側基端シャフトと、を有し、
 前記内側シャフトは、先端側が前記外側先端シャフトの内腔に配置され、かつ、基端側が前記外側基端シャフトの外表面に配置されており、当該内側シャフトは、前記外側基端シャフトの外表面側で開口する基端開口部を形成し、
 前記内側シャフトは、前記外側基端シャフトの外表面に配置された前記外側先端シャフトの基端から前記基端開口部までの範囲において、第1領域と、前記第1領域の基端側に配置された第2領域と、を有し、
 前記第1領域は、前記外側基端シャフトの外表面に固定されており、
 前記第2領域は、前記外側基端シャフトの外表面に固定されていない、バルーンカテーテル。
[請求項2]
 前記内側シャフトは、前記第1領域から前記第2領域に向かって傾斜する傾斜部を有し、
 前記基端開口部は、前記傾斜部に形成される、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
[請求項3]
 前記基端開口部は、前記外側基端シャフトの外表面と面する前記第2領域の位置に未固定部を有し、
 前記未固定部は、前記基端開口部の周縁部において、平坦部を形成する、請求項1または請求項2に記載のバルーンカテーテル。
[請求項4]
 前記平坦部の肉厚は、先端側から基端側に向かって減少する、請求項3に記載のバルーンカテーテル。
[請求項5]
 前記基端開口部は、前記内側シャフトの内腔を挟んで前記未固定部と対向する対向部と、前記未固定部と前記対向部を繋ぐ方向と交差する位置に側壁部と、を備え、
 前記側壁部は、前記対向部から前記平坦部に向かって肉厚が増加する、請求項3または請求項4に記載のバルーンカテーテル。
[請求項6]
 前記傾斜部の前記第2領域の軸方向の長さは、前記内側シャフトの軸方向の断面において、前記傾斜部の前記第1領域の軸方向の長さよりも短い、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
[請求項7]
 前記外側先端シャフトは、所定の外径で形成された大径部を有し、
 前記第1領域および前記第2領域に対応する部分で前記外側シャフトおよび前記内側シャフトが形成する外径は、前記大径部の外径よりも小さい、請求項1~6のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
[請求項8]
 外側先端シャフトと、外側基端シャフトと、内側シャフトと、前記内側シャフトの内腔に配置する第1マンドレルと、前記外側先端シャフトの内腔および前記外側基端シャフトの内腔に配置される第2マンドレルと、を供給し、
 前記外側先端シャフトの内腔に前記内側シャフトを配置し、
 前記内側シャフトの内腔に前記第1マンドレルを挿入し、
 前記内側シャフトの先端側が前記外側先端シャフトの内腔に配置され、かつ、前記内側シャフトの基端側が前記外側基端シャフトの外表面に配置されるように前記外側基端シャフトを配置し、
 前記外側先端シャフトの内腔および前記外側基端シャフトの内腔に前記第2マンドレルを挿入し、
 前記外側先端シャフトの基端、前記外側基端シャフトの先端、前記内側シャフトを覆うように熱収縮チューブを配置し、
 前記熱収縮チューブの基端は、前記内側シャフトの基端よりも先端側に位置し、
 前記熱収縮チューブに熱を付与して収縮させ、前記内側シャフトの基端に前記熱収縮チューブによる融着を施さない状態で、前記外側先端シャフトと前記外側基端シャフトと前記内側シャフトとを融着する、ことを含む医療用長尺体の製造方法。
[請求項9]
 前記外側先端シャフトと前記外側基端シャフトと前記内側シャフトとを融着した後、前記内側シャフトは、前記内側シャフトの一部を覆う外側シャフトの外表面に配置された前記外側先端シャフトの基端から前記内側シャフトの基端までの範囲において、前記内側シャフトと前記外側基端シャフトが融着された第1領域と、前記第1領域の基端側に配置され、前記内側シャフトと前記外側基端シャフトが融着されていない第2領域と、を有し、
 前記内側シャフトの基端部を前記第1領域および前記第2領域に亘って斜めに切断し、前記第1領域から前記第2領域に向かって傾斜する傾斜部を形成する、請求項8に記載の医療用長尺体の製造方法。
[請求項10]
 前記内側シャフトの基端部を切断する前に、前記内側シャフトの内腔から前記第1マンドレルを抜去することを含む、請求項9に記載の医療用長尺体の製造方法。
[請求項11]
 前記傾斜部を形成する際、前記内側シャフトの軸方向の断面において、前記傾斜部の第2領域の軸方向の長さが前記傾斜部の第1領域の軸方向の長さよりも短くなるように前記内側シャフトを切断する、請求項9または請求項10に記載の医療用長尺体の製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]