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1. (WO2018181271) ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ並びにそれらの製造方法
Document

明 細 書

発明の名称 ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ並びにそれらの製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

非特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009  

課題を解決するための手段

0010  

発明の効果

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090  

実施例

0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

明 細 書

発明の名称 : ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ並びにそれらの製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は、ポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ並びにそれらの製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 ポリプロピレンフィルムは、透明性、機械特性、電気特性等に優れるため、包装用途、テープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサをはじめとする電気用途等の様々な用途に用いられている。
[0003]
 この中でもコンデンサ用途は、その優れた耐電圧性、低損失特性から直流用途、交流用途に限らず高電圧コンデンサ用に特に好ましく用いられている。
[0004]
 最近では、各種電気設備がインバーター化されつつあり、それに伴いコンデンサの小型化、大容量化の要求が一層強まってきている。そのような市場、特に自動車用途(ハイブリッドカー用途含む)や太陽光発電、風力発電用途の要求を受け、ポリプロピレンフィルムの絶縁破壊電圧を向上させ、生産性、加工性を維持させつつ、一層の薄膜化が必須な状況となってきている。
[0005]
 かかるポリプロピレンフィルムは、絶縁破壊電圧の向上、生産性、加工性および耐熱性の観点からフィルム面内高倍率延伸が必要であり、かつ、フィルム表面は適度な平滑性と易滑性を両立する面設計とすることが特に重要である。ここで耐熱性という観点では、将来的に、SiCを用いたパワー半導体用途を考えた場合、使用環境の温度が高温になると言われている。コンデンサとしてさらなる耐熱化と耐電圧性の要求から、110℃を超えた高温環境下でのフィルムの絶縁破壊電圧の向上が求められている。しかしながら、非特許文献1に記載のように、ポリプロピレンフィルムの使用温度上限は約110℃と言われており、このような温度環境下において絶縁破壊電圧を安定維持することは極めて困難であった。
[0006]
 これまでポリプロピレンフィルムにおいて薄膜でかつ、高電圧印加時の高温耐電圧特性などの耐電圧特性と保安性とを兼ね備えたコンデンサを製造できるポリプロピレンフィルムを得るために重要となる表面制御をする手法として、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を調整し、クレータ状表面形状の形成に重要なβ型球晶のサイズをキャストシート作成時に制御することで絶縁破壊電圧を向上させる提案がなされている(例えば、特許文献1)。また、耐熱性を高める観点から結晶子サイズを制御する手法として、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を調整し、さらに有機系造核剤を添加したポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献2)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)が異なる2種のポリプロピレン樹脂をブレンドしたポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献3)により絶縁破壊電圧を向上させる提案がなされている。さらには、生産性、加工性の観点からフィルムへの易滑性を付与する手法として、ポリプロピレン樹脂にポリプロピレン樹脂とは異なるポリメチルペンテン樹脂をブレンドして表面に微細突起構造を形成するポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献4)、ポリプロピレン樹脂を積層構造とし、その表面層に有機もしくは無機粒子を添加することで表面制御したポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献5)などが開示されている。しかしながら、特許文献1、3および4に記載のポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂の立体規則性が高くなく、またβ型球晶からの表面形成故に微細突起以外に粗大な突起が多く存在するためコンデンサとしたとき高温環境下での耐電圧性が十分とは言い難いものであった。また特許文献2に記載のポリプロピレンフィルムは、造核剤の影響で平滑表面となりコンデンサとしたときフィルム層間の適度な隙間がないため絶縁破壊した箇所のフィルムの自己回復機能(セルフヒーリング)が動作し難く、高温環境下での信頼性が不十分であった。さらに特許文献5のフィルムは表面保護フィルム用途として表面平滑性に優れ、かつ滑り性やハンドリング性や巻取性に優れた粒子積層したフィルムであるが厚膜フィルムであり、薄膜が要求されるコンデンサ用に用いた場合は粒子が絶縁欠陥になり高い耐電圧性能の発現が困難になる場合があった。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2016-135891号公報
特許文献2 : 特開2015-201616号公報
特許文献3 : 特開2014-231584号公報
特許文献4 : 特開2014-114419号公報
特許文献5 : 国際公開第2017/022786号

非特許文献

[0008]
非特許文献1 : 河合基伸、「フィルムコンデンサ躍進、クルマからエネルギーへ」、日経エレクトロニクス、日経BP社、2012年9月17日号、p.57-62

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 そこで、本発明は、高温環境下でも高い絶縁破壊電圧を示し、コンデンサとしたときに高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現できるポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討の結果、本発明に至ったものである。本発明は、フィルム厚みが0.5μm以上10μm未満であるポリプロピレンフィルムであって、三次元非接触表面形状計測(VertSCAN)の断面解析により測定した少なくとも一方向のJIS-Rzが40~450nm、Raが5~30nm、Rtが50~500nmであることを特徴とするポリプロピレンフィルムである。

発明の効果

[0011]
 本発明により、高温環境下でも高い絶縁破壊電圧を示し、コンデンサとしたときに高温環境下でも耐電圧性および信頼性を発現できるポリプロピレンフィルム、金属膜積層フィルムおよびフィルムコンデンサ並びにそれらの製造方法を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0012]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルム厚みが0.5μm以上10μm未満であって、三次元非接触表面形状計測(VertSCAN)の断面解析により測定した少なくとも一方向のJIS-Rzが40~450nm、Raが5~30nm、Rtが50~500nmである。なお、本発明において、ポリプロピレンフィルムをフィルムと称する場合がある。
[0013]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、特に高温環境下で用いられる自動車用途(ハイブリッドカー用途含む)等に要求される薄膜の耐熱フィルムコンデンサ用に好適である観点から、フィルム厚みは0.5μm以上10μm未満の範囲である。より好ましくは0.6μm以上8μm以下、さらに好ましくは0.8μm以上6μm以下であり、上記耐熱フィルムコンデンサ用途としては特性と薄膜化によるコンデンササイズのバランスから0.8μm以上4μm以下が最も好ましい。
[0014]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、三次元非接触表面形状計測(VertSCAN)の断面解析により測定した少なくとも一方向のJIS-Rzが40~450nm、Raが5~30nm、Rtが50~500nmである。JIS-Rzは50~350nmが好ましく、60~250nmがより好ましい。Raは8~25nmが好ましく、10~20nmがより好ましい。Rtは60~400nmが好ましく、70~300nmがより好ましい。JIS-Rzは40nm未満であるとフィルムの滑りが極端に低下し、ハンドリング性に劣ったり、シワが発生しやすくなり、素子加工性が劣る場合がある。また、コンデンサとして連続使用時にシワ等の影響で容量変化が大きくなってコンデンサの信頼性が低下する場合がある。一方450nmを超える場合はフィルムが滑りすぎてコンデンサ加工時に素子巻きずれが生じる場合ある。Raが5nm未満であるとフィルム表面全体が超平滑となるためフィルムを巻回もしくは積層したコンデンサとした場合にフィルム層間の適度な隙間が不十分なため自己回復機能(セルフヒーリング)が動作し難くコンデンサの信頼性が低下する場合がある。他方、Raが30nmを超える場合は、フィルム表面全体の適度な平滑性が不十分となり、コンデンサとした場合に耐電圧性が劣ったりする場合がある。Rtが50nm未満の場合、フィルムの滑りが極端に低下し、素子加工時にシワが発生しやすくなる場合がある。また、コンデンサとして連続使用時にシワ等の影響で容量変化が大きくなってコンデンサの信頼性が低下する場合がある。一方500nmを超える場合はフィルム表面の所々に粗大な突起が存在し、コンデンサとした場合に該粗大な突起部に電荷集中が生じてショートしやすくなる場合がある。
[0015]
 本発明者らは鋭意検討することにより、ポリプロピレンフィルムの表面に超平滑な部分と突起部を有する部分を適度に形成させ、表面粗さを制御することに着想した。表面粗さを制御することでフィルム同士あるいは搬送ロールとの滑り易さを発現し、またコンデンサ素子作成時の加工性およびフィルムを巻回もしくは積層したコンデンサとした場合に、フィルムとフィルムとの層間ギャップの均一性を発現し、特に高電圧用コンデンサ用途において、高温環境下での耐電圧性と信頼性を得られることを見出したものである。ここで、ポリプロピレンフィルムの表面の少なくとも一方向のJIS-Rz、Ra、Rtをそれぞれ上記した範囲内に制御することは、高メソペンタッド分率のポリプロピレン原料の使用や溶融シート冷却固化時の冷却温度などの条件を好ましい範囲内で制御すること、ラビング処理条件を好ましい範囲内で制御することにより達成可能である。ここでポリプロピレンフィルムの一方向とは、ポリプロピレンフィルム製造工程における流れ方向に対応する方向、すなわち長手方向(以降、「MD」という場合がある)でもよく、前記のフィルム製造工程における流れ方向と直交する方向、すなわち幅方向(以降、「TD」という場合がある)でもよく、MDやTDから円弧上に90°未満で角度をずらしたあらゆる方向でも構わない。
[0016]
 本発明のポリプロピレンフィルムにおけるラビング処理とは、布やブラシを用いて被処理材(本発明ではポリプロピレンフィルム)の表面を物理的に摩擦することをいう。フィルム表面にラビング処理が施される工程は特に限定されないが、例えば二軸延伸フィルムの場合、延伸前の未延伸フィルムに対してラビングする、一方向に延伸された後にラビングする、二軸に延伸された後の巻き取り前にラビングする、巻き取り後、後加工としてラビングするなどがあげられる。本発明のポリプロピレンフィルムにおいては前述の表面粗さを達成しようとする場合、延伸工程を経ることで表面突起を緻密で均一で微細に形成できる観点から未延伸シートにラビング処理を施した後、二軸延伸を施すことが特に好ましい。
[0017]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、結晶子サイズを小さくすることで、コンデンサとした場合に特に高温環境下において、フィルム非晶部を流れる漏れ電流を低減でき、コンデンサの自己発熱に伴う温度上昇による容量低下やショート破壊、耐電圧性の低下などを抑制でき、信頼性を向上させる観点から、結晶子サイズが12.0nm以下であることが好ましい。より好ましくは11.5nm以下、さらに好ましくは11.0nm以下、最も好ましくは10.5nm以下である。上記観点から、結晶子サイズは小さいほど好ましいが、実質9nmが下限である。上記した結晶子サイズは、たとえば、後述する高メソペンタッド分率のポリプロピレン原料の使用や溶融シート冷却固化時の冷却温度などの条件を好ましい範囲内にすることで制御できる。
[0018]
 本発明のポリプロピレンフィルムに用いると好ましいポリプロピレンは、冷キシレン可溶部(以下CXS)が4質量%以下であることが好ましい。これらを満たさないと製膜安定性に劣る場合があったり、二軸延伸したフィルムを製造する際にフィルム中にボイドを形成する場合があり、絶縁破壊電圧の低下が大きくなる場合がある。
[0019]
 ここで冷キシレン可溶部(CXS)とはフィルムをキシレンで完全溶解せしめた後、室温で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分のことをいい、立体規則性が低い、分子量が低い等の理由で結晶化し難い成分に該当すると考えられる。このような成分が多く樹脂中に含まれているとフィルムの絶縁破壊電圧が低下したり、もれ電流が増加する等の問題を生じることがある。従って、CXSは4質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。このようなCXSを有するポリプロピレンとするには、樹脂を得る際の触媒活性を高める方法、得られた樹脂を溶媒あるいはプロピレンモノマー自身で洗浄する方法等の方法が使用できる。
[0020]
 本発明のポリプロピレンフィルムに用いられるポリプロピレンは、好ましくはメルトフローレート(MFR)が1~10g/10分(230℃、21.18N荷重)、より好ましくは2~5g/10分(230℃、21.18N荷重)であることが、製膜性の点から好ましい。メルトフローレート(MFR)を上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
[0021]
 本発明のポリプロピレンフィルムに用いられるポリプロピレンは、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよいし、プロピレンの単独ではない重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチルペンテン-1、3-メチルブテンー1、1-ヘキセン、4-メチルペンテン-1、5-エチルヘキセン-1、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、絶縁破壊電圧、耐熱性の点から、共重合量では1mol%未満とすることが好ましく、ブレンド量では1質量%未満とするのが好ましい。
[0022]
 本発明のポリプロピレンフィルムは実質的にポリプロピレン単体のみからなることが好ましい。ここで実質的にポリプロピレン単体のみとは、ポリプロピレンとは異なる熱可塑性樹脂の含有量が0.1質量%未満、結晶核剤、有機粒子もしくは無機粒子の含有量が0.01質量%未満、分岐鎖状ポリプロピレンの含有量が0.05質量%未満にあるポリプロピレン樹脂である。
[0023]
 また本発明のポリプロピレンフィルムは、DSCで測定される結晶化温度Tmcが121℃以下であることが好ましい。Tmcは118℃以下がより好ましく、115℃以下がさらに好ましく、112℃以下が特に好ましい。ポリプロピレンフィルムのTmcが121℃を超える場合、結晶化速度が非常に速く、未延伸シートでのメゾ相形成が阻害される場合があり、その結果、高温環境下でのフィルム絶縁破壊電圧の低下を招く場合がある。結晶化を促進する結晶核の形成を抑える観点から、結晶核剤や長鎖分岐ポリプロピレンを添加しないことが好ましい。
[0024]
 本発明のポリプロピレンフィルムに用いられるポリプロピレンは、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕捉剤、すべり剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤を含有してもよい。
[0025]
 これらの中で、酸化防止剤の種類および添加量の選定は、長期耐熱性の観点から重要である。すなわち、かかる酸化防止剤としては立体障害性を有するフェノール系のもので、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。その具体例としては種々のものが挙げられるが、例えば2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT:分子量220.4)とともに1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えば、BASF社製Irganox(登録商標)1330:分子量775.2)またはテトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばBASF社製Irganox(登録商標)1010:分子量1177.7)等を併用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含有量はポリプロピレン全量に対して0.03~1.0質量%の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると長期耐熱性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎるとこれら酸化防止剤のブリードアウトによる高温下でのブロッキングにより、コンデンサ素子に悪影響を及ぼす場合がある。より好ましい総含有量は0.1~0.9質量%であり、特に好ましくは0.2~0.8質量%である。
[0026]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルムのメソペンタッド分率が0.96以上であることが好ましい。より好ましくは、0.97以上、さらに好ましくは0.98以上である。メソペンタッド分率は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、該数値が高いものほど結晶化度が高く、融点が高くなり、高温環境下での絶縁破壊電圧を向上できるので好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではない。このように、高メソペンタッド分率のポリプロピレンフィルムを得る為には、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒において、電子供与成分の選定を適宜行う方法等が好ましく採用されたポリプロピレン樹脂を用いる。ポリプロピレンフィルムのメソペンタッド分率が0.96未満の場合、ポリプロピレンの規則性が低い為、フィルムの高温環境下での強度や絶縁破壊電圧の低下を招いたり、金属膜を蒸着により形成する工程やコンデンサ素子巻き取り加工での、フィルム搬送中に破膜する場合がある。
[0027]
 さらに本発明に用いるポリプロピレン樹脂の融点は、結晶性を高め、高温環境下での絶縁破壊電圧を向上できる観点から163℃以上が好ましく、よりこのましくは165℃以上、さらに好ましくは167℃以上である。融点が163℃未満の場合、結晶性が低い為、フィルムの高温環境下での絶縁破壊電圧の低下を招いたり、金属膜を蒸着により形成する工程やコンデンサ素子巻き取り加工での、フィルム搬送中に破膜する場合がある。
[0028]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、表面が平滑でありながら素子加工性を向上させ、耐電圧性も向上させる観点から、少なくとも片表面の光沢度が130%以上150%未満であることが好ましい。光沢度が130%未満の場合、フィルム表面での光散乱密度が高いことから、表面が過度に粗面化し、絶縁破壊電圧の低下を生じ易くなる場合がある。他方、光沢度が150%以上の場合は表面が過度に平滑化されていることを意味し、フィルムの滑りが極端に低下しやすくなる場合がある。そのため、ハンドリング性に劣ったり、シワが発生しやすくなり、素子加工性が劣ったりすることがある。上記光沢度は、より好ましくは135%以上149%未満、さらに好ましくは140%以上148%未満である。光沢度を上記した好ましい範囲に制御するには、高メソペンタッド分率のポリプロピレン原料の使用や溶融シート冷却固化時の冷却温度などの条件を好ましい範囲内で制御すること、ラビング処理条件を好ましい範囲内で制御することにより達成可能である。
[0029]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、高温環境下での耐電圧性と信頼性を得る観点から125℃でのフィルム絶縁破壊電圧が460V/μm以上であることが好ましく、より好ましくは510V/μm以上、さらに好ましくは560V/μm以上である。上限は特に限定されないが、900V/μm程度である。125℃でのフィルム絶縁破壊電圧が460V/μmに満たない場合は、コンデンサとした場合に、ショート破壊を引き起こし、耐電圧性の低下を招き、信頼性が損なわれる場合がある。125℃でのフィルム絶縁破壊電圧を上記した範囲に制御するには、たとえば、フィルムの原料組成を後述する範囲とし高メソペンタッド分率のポリプロピレン原料の使用や溶融シート冷却固化時の冷却温度などの条件を好ましい範囲内で制御すること、ラビング処理条件を好ましい範囲内で制御することにより達成可能である。
[0030]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、耐電圧特性を向上させながら素子加工性を向上させる観点から、フィルムを重ね合わせた際の静摩擦係数(μs)が0.1以上1.5未満であることが好ましい。μsが0.1未満であると、フィルムが滑りすぎて製膜時の巻き取りや素子加工時に巻きずれが発生する場合がある。μsが1.5を超えると、フィルムの滑りが極端に低下し、ハンドリング性に劣ったり、シワが発生しやすくなったり、素子加工性が劣ったりすることがある。μsは、より好ましくは、0.1以上1.2以下、さらに好ましくは0.3以上1.0以下、最も好ましくは0.5以上0.9以下である。
[0031]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、コンデンサとした場合、高温環境下での高い信頼性を得る観点から、幅方向および長手方向の130℃で10分間加熱処理後の熱収縮率の和が5.0%以下であることが好ましい。本発明のポリプロピレンフィルムにおける上記の熱収縮率の和は、好ましくは4.5%以下、より好ましくは4.0%以下である。下限は特に限定されないが、コンデンサ製造工程や使用工程の熱により素子の巻き状態が緩む場合があるので、1.0%とするものである。上記した熱収縮率の和が5.0%を超える場合は、コンデンサ製造工程および使用工程の熱によりフィルム自体の収縮が生じ、素子端部メタリコンとの接触不良により耐電圧性が低下したり、素子が巻き締まることで容量低下やショート破壊を引き起こす場合がある。
[0032]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルム表面粗さの制御およびフィルム耐電圧向上の観点から、メゾ相構造を有する未延伸ポリプロピレンフィルムを少なくとも一方向に2倍以上延伸したものであることが好ましい。少なくとも一方向に2倍以上の延伸を施すことで、分子鎖が伸長し配向構造を有することができ、フィルムの機械特性が向上、コンデンサとしたとき高温環境下での耐電圧性および信頼性を向上させることができる。この観点から、少なくとも一方向に好ましくは4.6倍以上の延伸、より好ましくは5.0倍以上、さらに好ましくは5.6倍以上の延伸である。上限は特に限定しないが、製膜安定性の観点から15倍の延伸とするものである。前記のメゾ相構造は未延伸ポリプロピレンフィルムの段階で形成させることが望ましい。ここでメゾ相とは結晶と非晶の中間相であり、溶融状態から非常に早い冷却速度で固化させた際に特異的に生成する。一般的にポリプロピレンを結晶化させると球晶が成長することが知られているが、結晶化した未延伸ポリプロピレンフィルムを延伸すると、球晶部と球晶間の非晶部で延伸応力に差が生じ、局所的な延伸斑が発生し耐電圧低下を生じやすくなる。一方、メゾ相は球晶生成しないため延伸斑が生じず、優れた耐電圧を発現することができる。未延伸ポリプロピレンフィルムでメゾ相を効率的に形成するには、結晶生成を抑える必要があるが、ポリプロピレンは溶融後の冷却工程で、非常に結晶生成しやすい。特に、立体規則性の高いホモポリプロピレンを用いると非常に結晶生成しやすくなる為、メゾ相の形成を阻害してしまう。そこで、一般的には結晶生成を抑える為に、メソペンタッド分率の低いポリプロピレンを使用したり、プロピレン-エチレン共重合体などの共重合体を用いる手法が用いられる。しかしながら、そういった手段を用いると、フィルムの高温環境下での機械特性が低下したり、熱収縮率が増加する場合がある。本発明では結晶生成を抑えるための手法としては、たとえば、キャスティングドラムの温度を40℃以下とすること、未延伸ポリプロピレンフィルムを300μm以下とすること、キャストドラム上の未延伸ポリプロピレンフィルムに冷風を当てて冷却効率を高めること、また、口金のリップ部の温度を上流の短管部分より高く設定することにより、結晶生成を抑制することが挙げられる。口金リップ部を昇温することによる効果は、ポリマーとリップ部との摩擦が軽減され、剪断による結晶化を抑えることができるためと推測している。
[0033]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、コンデンサ用誘電体フィルムとして好ましく用いられるものであるが、コンデンサのタイプは限定されるものではない。具体的には電極構成の観点では金属箔とフィルムとの併せ巻きコンデンサ、金属蒸着フィルムコンデンサのいずれであってもよいし、絶縁油を含浸させた油浸タイプのコンデンサや絶縁油を全く使用しない乾式コンデンサにも好ましく用いられる。しかしながら本発明のフィルムの特性から、特に金属蒸着フィルムコンデンサとして好ましく使用される。形状の観点では、巻回式であっても積層式であっても構わない。
[0034]
 ポリプロピレンフィルムは通常、表面エネルギーが低く、金属蒸着を安定的に施すことが困難であるために、金属付着力を良好とする目的で、蒸着前に表面処理を行うことが好ましい。表面処理とは具体的にコロナ放電処理、プラズマ処理、グロー処理、火炎処理等が例示される。通常ポリプロピレンフィルムの表面濡れ張力は30mN/m程度であるが、これらの表面処理によって、濡れ張力を37~75mN/m、好ましくは39~65mN/m、最も好ましくは41~55mN/m程度とすることが、金属膜との接着性に優れ、保安性も良好となるので好ましい。
[0035]
 本発明のポリプロピレンフィルムは、上述した特性を与えうる原料を用い、二軸延伸、熱処理および弛緩処理されることによって得られる。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、テンター同時二軸延伸法、テンター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られるが、その中でも、フィルムの製膜安定性、結晶・非晶構造、表面特性、機械特性および熱寸法安定性を制御する点においてテンター逐次二軸延伸法を採用することが好ましい。
[0036]
 次に本発明のポリプロピレンフィルムの製造方法を説明する。まず、ポリプロピレンを支持体上に溶融押出して未延伸ポリプロピレンフィルムとする。この未延伸ポリプロピレンフィルムを長手方向に延伸し、次いで幅方向に延伸して、逐次二軸延伸せしめる。その後、熱処理および弛緩処理を施して二軸配向ポリプロピレンフィルムを製造する。この工程において、メゾ相構造を有する未延伸ポリプロピレンフィルムにラビング処理を施し、その後、二軸延伸せしめることが特に好ましい。以下、より具体的に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
[0037]
 まず、ポリプロピレンを単軸押出機から溶融押出し、濾過フィルターを通した後、230~280℃、より好ましくは230~260℃の温度でスリット状口金から押し出す。スリット状口金から押し出された溶融シートは、10~110℃の温度に制御されたキャスティングドラム(冷却ドラム)上で固化させ、未延伸ポリプロピレンフィルムを得る。
[0038]
 未延伸ポリプロピレンフィルムはメゾ相構造を有していることがより好ましく、メゾ相分率として20%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ここで未延伸ポリプロピレンフィルムのメゾ相分率を算出するには、未延伸ポリプロピレンフィルムを広角X線回折で測定し、X線回折プロファイルを用いて算出する。得られたX線回折プロファイルをピーク分離ソフトウェアで処理してメゾ相とα晶、非晶のプロファイルとに分離し、メゾ相分率を算出する。本発明において、メゾ相を形成している、またはメゾ相構造を有するとは、上記メゾ相分率が20%以上であることをいう。α晶に由来する回折プロファイルとは、回折角(2θ)が10~30度の範囲での広角X線回折測定において観測される、14.1度付近、16.9度付近、18.6度付近、21.6度付近および21.9度付近の5つのピークからなるものである。メゾ相に由来する回折プロファイルとは、15度付近と21度付近の2つのブロードなピークからなるものである。非晶に由来する回折プロファイルとは、回折角が16.2度付近のブロードなピークであり、溶融状態のポリプロピレンを広角X線回折で測定することで得られる。
[0039]
 溶融シートのキャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法、エアーチャンバー法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性が良好でかつ表面粗さの制御が可能なエアーナイフ法が好ましい。また、フィルムの振動を生じさせないために製膜下流側にエアーが流れるようにエアーナイフの位置を適宜調整することが好ましい。
[0040]
 二軸延伸フィルムの機械特性を向上させたり、電気特性を向上させたり、結晶子サイズを小さく制御したり、表面の光沢度を高めたりする観点から、キャスティングドラムの温度は、より好ましくは10~90℃、さらに好ましくは10~60℃、最も好ましくは10~30℃である。特に、キャスティングドラムの温度を10~30℃とすることで未延伸ポリプロピレンフィルムのメゾ相分率を高め、該未延伸ポリプロピレンフィルムがメゾ相構造を有するようにすることができる。
[0041]
 二軸延伸フィルムの表面に緻密で微細な突起を均一に形成する観点から、この未延伸ポリプロピレンフィルムをラビング処理することが好ましく、メゾ相構造を有する未延伸ポリプロピレンフィルムをラビング処理することが特に好ましい。ラビング処理は、ロール状にラビング布やラビングブラシを巻き着けたラビングローラーを押し付ける処理により行う。このときラビングローラーは固定でも回転させながらでも良いが、処理密度を高めフィルム表面の突起を均一かつ微細に形成できる観点から回転させることが好ましい。処理する方向はフィルム走行(MD)でもそれと直行する方向(TD)でも斜め方向でも良い。なお、ラビング処理の回数は特に制限はなく、1回であっても、必要に応じ2回以上であってもよい。またラビングの強さはフィルム表面に触れているラビング布もしくはラビングブラシの長さや繊維径、ラビングローラーの回転数、フィルムの搬送速度、フィルム表面の温度などによって適宜変更できる。なおフィルムの表面温度は、フィルム搬送するロールを加熱し、該ロールを走行するフィルムを処理することでフィルム表面温度を変えて処理することができる。ラビングするフィルムの表面温度は25℃~135℃が好ましく、より好ましくは25~115℃、さらに好ましくは25~95℃、最も好ましくは25~75℃である。
[0042]
 ラビング布の素材としては酢酸セルロース、綿、レーヨン、ポリアミド、アクリル、アラミドなどが好適に用いられる。ラビング布の形態としては、不織布、パイル織り、ベルベット織りが好ましい。またラビングブラシの素材は樹脂繊維や天然繊維があり、樹脂繊維としては、ポリプロピレン、ナイロン、ポリフェニレンスルフィド、ナイロン繊維にカーボン粉を加工した導電繊維など、天然繊維としては豚毛、馬毛、山羊毛、パキン、シダ、パームなどが挙げられる。中でもブラシの耐久性、耐摩耗性、柔軟性およびフィルム表面を削らず極表層のみ摩擦させ、フィルムの優れた耐電圧を維持し、コンデンサとしたときも優れた耐電圧性能を発現する観点から、ナイロン樹脂繊維を特に好ましく用いる。ラビングブラシの形態としては、チャンネルロール式が好ましい。
[0043]
 次に、未延伸ポリプロピレンフィルムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。本発明のポリプロピレンフィルムにおいてはフィルムの表面に緻密で微細な突起を均一に形成できる観点から、未延伸シートにラビング処理を施したフィルムを二軸延伸することが特に好ましい。該未延伸ポリプロピレンフィルムを70~150℃、好ましくは80~140℃に保たれたロール間に通して予熱し、引き続き該未延伸ポリプロピレンフィルムを70℃~150℃、好ましくは80~140℃の温度に保ち、長手方向に2~15倍、好ましくは4.5~12倍、より好ましくは5.5~10倍に延伸した後、室温まで冷却する。さらに未延伸ポリプロピレンフィルムのメゾ相分率が20%以上の場合は、80~130℃、好ましくは90~120℃に保たれたロール間に通して予熱し、引き続き該未延伸ポリプロピレンフィルムを80~130℃、好ましくは90~120℃の温度に保ち長手方向に2~15倍、好ましくは4.6~12倍、より好ましくは5.0~11倍、最も好ましくは5.6~10倍に延伸した後、室温まで冷却する。
[0044]
 次いで長手方向に一軸延伸せしめたフィルムをテンターに導いてフィルムの端部をクリップで把持し、140~170℃、好ましくは145~160℃の温度(幅方向の延伸温度)で幅方向に7~15倍、より好ましくは9~12倍、最も好ましくは9.2~11.5倍に延伸する。
[0045]
 ここで、面積倍率は50倍以上であることが耐電圧性向上の観点で好ましい。本発明において、面積倍率とは、長手方向の延伸倍率に幅方向の延伸倍率を乗じたものである。面積倍率は、55倍以上であることがより好ましく、特に好ましくは60倍以上である。
[0046]
 本発明においては、続く熱処理および弛緩処理工程ではクリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に2~20%の弛緩を与えつつ、145℃以上165℃以下の温度(1段目熱処理温度)で熱固定(1段目熱処理)した後に、再度クリップで幅方向を緊張把持したまま130℃以上、前記の熱固定温度(1段目熱処理温度)未満の条件で熱処理を施し(2段目熱処理)、さらに緊張把持したまま80℃以上、前記の熱固定温度(2段目熱処理温度)未満の条件で熱固定(3段目熱処理)を施す多段方式の熱処理を行うことが、フィルム厚み、表面形状の均一性、熱寸法安定性を向上させ、コンデンサとしたとき耐電圧性、信頼性を得る観点から好ましい。
[0047]
 弛緩処理においては、熱寸法安定性を高める観点から、弛緩率は2~20%が好ましく、5~18%がより好ましく、8~15%がさらに好ましい。20%を超える場合はテンター内部でフィルムが弛みすぎ製品にシワが入り蒸着時にムラを発生させる場合があったり、機械特性の低下が生じたり、他方、弛緩率が2%より小さい場合は十分な熱寸法安定性が得られず、コンデンサとしたときの高温環境下で容量低下やショート破壊を引き起こす場合がある。
[0048]
 多段式の熱処理を経た後はテンターの外側へ導き、室温雰囲気にてフィルム端部のクリップを解放し、ワインダ工程にてフィルムエッジ部をスリットし、フィルム厚み0.5μm以上10μm未満のフィルム製品ロールを巻き取る。ここでフィルムを巻取る前に蒸着を施す面に蒸着金属の接着性を良くするために、空気中、窒素中、炭酸ガス中あるいはこれらの混合気体中でコロナ放電処理を行うことが好ましい。
[0049]
 なお、本発明のポリプロピレンフィルムを得るため、特に重要な製造条件は以下の条件である。
・二軸延伸後のフィルム厚みが0.5μm以上10μm未満であること。
・未延伸フィルムにラビング処理を施していること。
[0050]
 加えて、以下の条件が満たされていることが、より好ましい。
・メゾ相構造を有する未延伸ポリプロピレンフィルムにラビング処理を施していること。
・面積延伸倍率が50倍以上であること。
・二軸延伸後の熱処理および弛緩処理が次の1段目から3段目までの多段方式の処理を施していること。
・1段目の熱処理温度が、145℃以上165℃以下であること。
・2段目の熱処理温度が、130℃以上1段目の熱処理温温度未満であること。
・3段目の熱処理温度が、80℃以上2段目の熱処理温温度未満であること。
・1段目の熱処理工程において、幅方向に2~20%の弛緩処理が施されていること。
[0051]
 続いて、本発明のポリプロピレンフィルムを用いてなる金属膜積層フィルム、それを用いてなるフィルムコンデンサ、およびそれらの製造方法について説明する。
[0052]
 本発明の金属膜積層フィルムは、本発明のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜が設けられてなる。
[0053]
 また、本発明の金属膜積層フィルムの製造方法は、上記のポリプロピレンフィルムの製造方法により得られるポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を設ける金属膜付与工程を有する。
[0054]
 本発明において、上記したポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜を設けて金属膜積層フィルムとする金属膜付与工程の方法は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に、アルミニウムまたは、アルミニウムと亜鉛との合金を蒸着してフィルムコンデンサの内部電極となる蒸着膜等の金属膜を設ける方法が好ましく用いられる。このとき、アルミニウムと同時あるいは逐次に、例えば、ニッケル、銅、金、銀、クロムなどの他の金属成分を蒸着することもできる。また、蒸着膜上にオイルなどで保護層を設けることもできる。ポリプロピレンフィルム表面の粗さが表裏で異なる場合には、粗さが平滑な表面側に金属膜を設けて金属膜積層フィルムとすることが耐電圧性を高める観点から好ましい。
[0055]
 本発明では、必要により、金属膜を形成後、金属膜積層フィルムを特定の温度でアニール処理を行なったり、熱処理を行なったりすることができる。また、絶縁もしくは他の目的で、金属膜積層フィルムの少なくとも片面に、ポリフェニレンオキサイドなどのコーティングを施すこともできる。
[0056]
 本発明のフィルムコンデンサは、本発明の金属膜積層フィルムを用いてなる。
[0057]
 また、本発明のフィルムコンデンサの製造方法は、上記本発明の金属膜積層フィルムの製造方法により得られる金属膜積層フィルムを用いる。
[0058]
 例えば、上記した本発明の金属膜積層フィルムを、種々の方法で積層もしくは巻回すことにより本発明のフィルムコンデンサを得ることができる。巻回型フィルムコンデンサの好ましい製造方法を例示すると、次のとおりである。
[0059]
 ポリプロピレンフィルムの片面にアルミニウムを減圧状態で蒸着する。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着する。次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、表面が一方にマージンを有した、テープ状の巻取リールを作成する。左もしくは右にマージンを有するテープ状の巻取リールを左マージンおよび右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部よりはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、巻回体を得る。
[0060]
 両面に蒸着を行う場合は、一方の面の長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着し、もう一方の面には長手方向のマージン部が裏面側蒸着部の中央に位置するようにストライプ状に蒸着する。次に表裏それぞれのマージン部中央に刃を入れてスリットし、両面ともそれぞれ片側にマージン(例えば表面右側にマージンがあれば裏面には左側にマージン)を有するテープ状の巻取リールを作製する。得られたリールと未蒸着の合わせフィルム各1本ずつを、幅方向に金属化フィルムが合わせフィルムよりはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、巻回体を得る。
[0061]
 以上のようにして作成した巻回体から芯材を抜いてプレスし、両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサを得ることができる。フィルムコンデンサの用途は、鉄道車輌用、自動車用(ハイブリットカー、電気自動車)、太陽光発電・風力発電用および一般家電用等、多岐に亘っており、本発明のフィルムコンデンサもこれら用途に好適に用いることができる。その他、包装用フィルム、離型用フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途でも用いることができる。
[0062]
 本発明における特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次のとおりである。
[0063]
 (1)フィルム厚み
 ポリプロピレンフィルムの任意の10箇所の厚みを、23℃65%RHの雰囲気下で接触式のアンリツ(株)製電子マイクロメータ(K-312A型)を用いて測定した。その10箇所の厚みの平均値をポリプロピレンフィルムのフィルム厚みとした。
[0064]
 (2)三次元非接触表面形状計測(VertSCAN)の断面解析 JIS-Rz、RaおよびRt
 測定は(株)菱化システムの白色干渉計、VertScan2.0 R5300GL-Lite-ACを使用して行い、付属の解析ソフトにより撮影画面を多項式4次近似にて面補正し、次いで補間処理(高さデータの取得ができなかった画素に対し周囲の画素より算出した高さデータで補う処理)し、測定画面上の任意の位置に断面カーソルを設定することにより断面プロファイルと断面粗さパラメータ(JIS-Rz、RaおよびRt)求めた。測定は、ラビング処理面について、n=5で行い、その平均値を各面のJIS-Rz、RaおよびRtとした。ラビング処理がされていない、もしくは処理面が不明なフィルムの場合はそのフィルムの両面について、それぞれn=5で測定を行い、その平均値を各面のJIS-Rz、RaおよびRtとし、Raが高い面側の平均値をそれぞれ採用した。測定条件は下記のとおり。
[0065]
 製造元 : 株式会社菱化システム
 装置名 : VertScan2.0 R5300GL-Lite-AC
 測定条件 : CCDカメラ SONY HR-57 1/2インチ(1.27センチ)
  対物レンズ 10x
  中間レンズ 0.5x
  波長フィルタ 520nm white
 測定モード:Phase
 測定ソフトウェア :VS-Measure Version5.5.1
 解析ソフトフェア :VS-Viewer Version5.5.1
 測定面積:1.252×0.939mm  。
[0066]
 (3)結晶子サイズ
 ポリプロピレンフィルムを長さ40mm、幅1mmの短冊状に切断し、厚さが1mmになるように重ねて試料調製した。フィルムのMD-ZD断面に対して垂直方向にX線を入射し、2θ=約17°(α晶(040)面)における結晶ピークの半値幅βeから、下記式(1)、(2)により計算した。
[0067]
[数1]


[0068]
[数2]


[0069]
 ここで、λ:X線波長(= 0.15418nm)、βe:回折ピークの半値幅、βo:半値幅の補正値(= 0.6(透過2θ-θスキャン法)、および0.13 (反射2θ-θスキャン法))、K:Scherrer定数(=1.0(透過2θ-θスキャン法)、および0.9(反射2θ-θスキャン法))である。
[0070]
 (測定装置)
 ・X線回折装置 理学電機(株)社製 4036A2型
         X線源 :CuKα線(Niフィルタ使用)
         出力  :40kV-30mA
 ・ゴニオメータ 理学電機(株)社製 2155D型
         スリット:2mmφ-1°-1°
         検出機 :シンチレーションカウンター
 ・計数記録装置 理学電機(株)社製 RAD-C型。
[0071]
 (4)130℃で10分間熱処理後の熱収縮率
 ポリプロピレンフィルムを幅方向および長手方向に、それぞれ、幅10mm、長さ50mm(測定方向)の試料を5本切り出し、両端から5mmの位置にそれぞれ印を付けて試長40mm(l )とした。次に、試験片を紙に挟み込み荷重ゼロの状態で130℃に保温されたオーブン内で10分間加熱後に取り出して、室温で冷却後、変化後の試長寸法(l )を測定して下記式にて求め、5本の平均値を熱収縮率とした。
[0072]
 熱収縮率={(l -l )/l }×100(%)
 (5)125℃でのフィルム絶縁破壊電圧(V/μm)
 125℃に保温されたオーブン内でフィルムを1分間加熱後、その雰囲気中でJIS C2330(2001)7.4.11.2 B法(平板電極法)に準じて測定した。ただし、下部電極については、JIS C2330(2001)7.4.11.2のB法記載の金属板の上に、同一寸法の株式会社十川ゴム製「導電ゴムE-100<65>」を載せたものを電極として使用した。絶縁破壊電圧試験を30回行い、得られた値をフィルム厚み(前記(1))で除し、(V/μm)に換算し、計30点の測定値(算出値)のうち最大値から大きい順に5点と最小値から小さい順に5点を除いた20点の平均値を125℃でのフィルム絶縁破壊電圧とした。
[0073]
 (6)光沢度
 JIS K-7105(1981)に準じ、スガ試験機株式会社製 デジタル変角光沢計UGV-5Dを用いて入射角60°受光角60°の条件でキャスティングドラム接触面側の表面を測定した5点のデータの平均値を光沢度(%)とした。
[0074]
 (7)メソペンタッド分率
 ポリプロピレンフィルムを60℃のn-ヘプタンで2時間抽出し、ポリプロピレン中の不純物・添加物を除去した後、130℃で2時間以上減圧乾燥したものをサンプルとする。該サンプルを溶媒に溶解し、 13C-NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)を求めた(単位:%)。
[0075]
 測定条件
・装置:Bruker製DRX-500
・測定核: 13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
・測定濃度:10質量%
・溶媒:ベンゼン:重オルトジクロロベンゼン=1:3混合溶液(体積比)
・測定温度:130℃
・スピン回転数:12Hz
・NMR試料管:5mm管
・パルス幅:45°(4.5μs)
・パルス繰り返し時間:10秒
・データポイント:64K
・積算回数:10000回
・測定モード:complete decoupling 。
[0076]
 解析条件
 LB(ラインブロードニングファクター)を1としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとした。WINFITソフト(Bruker製)を用いて、ピーク分割を行う。その際に、高磁場側のピークから以下のようにピーク分割を行い、更にソフトの自動フィッテイングを行い、ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmのピーク分率の合計をメソペンタッド分率(mmmm)とする。
(1)mrrm
(2)(3)rrrm(2つのピークとして分割)
(4)rrrr
(5)mrmr
(6)mrmm+rmrr
(7)mmrr
(8)rmmr
(9)mmmr
(10)mmmm 。
[0077]
 同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたメソペンタッド分率の平均値を当該サンプルのメソペンタッド分率とした。
[0078]
 (8)未延伸シートのメゾ相分率(広角X線回折)
 キャスト工程後の未延伸シートを幅方向に10mm、長手方向に20mmに切り出した。その試料を用いて、室温中で、回折角(2θ)が5~30度の範囲で測定を行った。詳細な測定条件を下記する。
・装置:nano viewer(株式会社リガク製)
・波長:0.15418nm
・X線入射方向:Through方向(フィルム表面に垂直に入射)
・測定時間:300秒 。
[0079]
 次に、得られた回折プロファイルをピーク分離ソフトウェアで処理してメゾ相、α晶、非晶のプロファイルの3成分に分離する。解析ソフトウェアとして、WaveMetrics,inc社製のIGOR Pro(Ver.6)ソフトウェアを用いた。解析を行うにあたり、以下の様な仮定を行った。
・ピーク形状関数:ローレンツ関数
・ピーク位置:非晶=16.2度、メゾ相=15.0度、21.0度
α晶=14.1度、16.9度、18.6度、21.6度、21.9度
・ピーク半値幅:非晶=8.0、メゾ相(15.0度)=3.5、メゾ相(21.0度)=2.7
 非晶、メゾ相の半値幅は上記の値で固定するが、α晶は固定しない。
[0080]
 得られたピーク分離結果に対して、メゾ相に由来する15度と21度にピークを有する回折プロファイルの面積(m 15とm 21)を算出し、α晶に由来する14.1度、16.9度、18.6度、21.6度および21.9度にピークを有する回折プロファイルの面積(α 14.1とα 16.9とα 18.6とα 21.6とα 21.9)を算出しこれを下記式(3)のとおり算出することにより、メゾ相に由来するプロファイルの面積の割合を求め、これをメゾ相分率とした。
[0081]
  メゾ相分率(%)=100×(m 15+m 21)/(m 15+m 21+α 14.1+α 16.9+α 18.6+α 21.6+α 21.9) ・・・(3)。
[0082]
 (9)静摩擦係数(μs)
 東洋精機(株)製スリップテスターを用いて、JIS K 7125(1999)に準じて、25℃、65%RHにて測定した。なお、測定はフィルム長手方向同士で、かつ、異なる面同士を重ねて行った。同じ測定を各サンプル毎に5回行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの静摩擦係数(μs)とした。
[0083]
 (10)フィルムの結晶化温度(Tmc)
 示差走査熱量計(セイコーインスツル製EXSTAR DSC6220)を用いて、窒素雰囲気中で3mgのポリプロピレンフィルムを30℃から260℃まで20℃/minの条件で昇温した。次いで、260℃で5min保持した後、20℃/minの条件で30℃まで降温した。この際に得られる放熱カーブのピーク温度を結晶化温度とした。
[0084]
 (11)フィルムコンデンサ特性の評価(115℃での耐電圧および信頼性)
 後述する各実施例および比較例で得られたフィルムのコロナ放電処理またはプラズマ処理を施したフィルム表面(フィルム処理表面が不明な場合は、フィルム両面のうち濡れ張力が高い方のフィルム表面)に、(株)アルバック製真空蒸着機でアルミニウムを膜抵抗が8Ω/sqで長手方向に垂直な方向にマージン部を設けた所謂T型マージンパターンを有する蒸着パターンで蒸着を施し、幅50mmの蒸着リールを得た。
[0085]
 次いで、このリールを用いて(株)皆藤製作所製素子巻機(KAW-4NHB)にてコンデンサ素子を巻き取り、メタリコンを施した後、減圧下、125℃の温度で13時間の熱処理を施し、リード線を取り付けコンデンサ素子に仕上げた。
[0086]
 こうして得られたコンデンサ素子10個を用いて、115℃高温下でコンデンサ素子に300VDCの電圧を印加し、該電圧で10分間経過後にステップ状に50VDC/1分で徐々に印加電圧を上昇させることを繰り返す所謂ステップアップ試験を行なった。
[0087]
 <素子加工性>
 下記基準で判断した。上記と同様にしてコンデンサ素子を作成し、目視により素子の形状を確認した。
S:コンデンサ素子の端面フィルムのズレ、シワ、変形がなく、後の工程に全く支障がないレベル
A:コンデンサ素子の変形が僅かにあるが後の工程で問題がないレベル
B:コンデンサ素子の変形、シワが生じており、後の工程に支障を来すレベル
C:コンデンサ素子の変形、シワおよび端面フィルムのズレが酷く、後の工程に支障を来すレベル
 S、Aは使用可能である。B、Cでは実用が困難である。
[0088]
 <耐電圧>
 この際の静電容量変化を測定しグラフ上にプロットして、該容量が初期値の70%になった電圧をフィルムの厚み(上記(1))で割り返して耐電圧評価とし、以下の通り評価した。
S:390V/μm以上
A:350V/μm以上390V/μm未満
B:310V/μm以上350V/μm未満
C:310V/μm未満
 S、Aは使用可能である。B、Cでは実用上の性能に劣る。
[0089]
 <信頼性>
 静電容量が初期値に対して8%以下に減少するまで電圧を上昇させた後に、コンデンサ素子を解体し破壊の状態を調べて、信頼性を以下の通り評価した。
S:素子形状の変化は無く貫通状の破壊は観察されない。
A:素子形状の変化は無くフィルム10層以内の貫通状破壊が観察される。
B:素子形状に変化が認められる若しくは10層を超える貫通状破壊が観察される。
C:素子形状が破壊する。
[0090]
 Sは問題なく使用でき、Aでは条件次第で使用可能である。B、Cでは実用上の性能に劣る。
実施例
[0091]
 以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに説明する。
[0092]
 (実施例1)
 メソペンタッド分率が0.984、融点が167℃で、メルトフローレート(MFR)が2.5g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が1.7質量%であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂を温度265℃の押出機に供給し、樹脂温度265℃でT型スリットダイよりシート状に溶融押出し、該溶融シートを28℃に保持されたキャスティングドラム上で、エアーナイフにより密着させ冷却固化し未延伸ポリプロピレンフィルムを得た。次いで、ラビング処理時のフィルム温度が30℃になるよう温度制御されたロールにフィルムを這わせるように走行させ、該フィルム表面のキャスティングドラム面側にチャンネル式ロールブラシ(素材:6ナイロン樹脂製、型式BRUSNER20-80-150-250、ブラシ繊維径φ0.2mm、ブラシ長さ26.5mm、ロールブラシの直径φ80mm)をブラシ先端がフィルム表面に接地してから3mm押し付け、スピードコントロールユニットモーター1600rpmでフィルム走行と反対回転方向にラビング処理を施し、未延伸ラビング処理フィルムを得た。該未延伸ラビング処理フィルムを複数のロール群にて徐々に85℃に予熱し、引き続き121℃の温度に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に6.1倍に延伸した。引き続き該フィルムをテンターに導き、161℃の温度で幅方向に11.0倍延伸し、次いで1段目の熱処理および弛緩処理として幅方向に10%の弛緩を与えながら158℃で熱処理を行ない、さらに2段目の熱処理としてクリップで幅方向把持したまま145℃で熱処理を行った。最後に3段目の熱処理として115℃の熱処理を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、次いでフィルム表面(キャスティングドラム接触面側)に25W・分/m の処理強度で大気中でコロナ放電処理を行い、フィルム厚み2.9μmのフィルムをフィルムロールとして巻き取った。本実施例のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性に優れ、またコンデンサとしての信頼性、耐電圧はともに優れたものであった。
[0093]
 (実施例2~5)
 溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、ラビング処理条件として処理温度と形状と素材、二軸延伸時の延伸倍率および該二軸延伸後の熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、実施例2では厚み3.0μmのポリプロピレンフィルム、実施例3では厚み2.8μmのポリプロピレンフィルム、実施例4では厚み5.8μmのポリプロピレンフィルム、実施例5では厚み2.8μmのポリプロピレンフィルムを得た。各実施例のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、実施例2のポリプロピレンフィルムはコンデンサ素子加工性に優れ、コンデンサとしての耐電圧および信頼性は実使用上問題のないレベルであった。実施例3のポリプロピレンフィルムはコンデンサ素子加工性に優れ、またコンデンサとしての信頼性、耐電圧はともに優れたものであった。実施例4のポリプロピレンフィルムはコンデンサ素子加工性はやや劣るが実使用において問題ないレベルで、コンデンサとしての耐電圧および信頼性も実使用上問題のないレベルであった。実施例5のポリプロピレンフィルムはコンデンサ素子加工性に優れ、コンデンサとしての耐電圧および信頼性は実使用上問題のないレベルであった。
[0094]
 (実施例6)
 メソペンタッド分率が0.961、融点が165℃で、メルトフローレイト(MFR)が3.8g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が4.5質量%であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂を用い、溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、二軸延伸時の延伸倍率および該二軸延伸後の熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、実施例6では厚み2.9μmのポリプロピレンフィルムを得た。本実施例のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性に優れ、コンデンサとしての耐電圧および信頼性は実使用上問題のないレベルであった。
[0095]
 (比較例1および6)
 ラビング処理を施さないこと、二軸延伸時の延伸倍率および該二軸延伸後の熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、比較例1および6では厚み3.0μmのポリプロピレンフィルムを得た。比較例1および6のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、比較例1のフィルムはコンデンサ素子加工性はズレや変形が大きく実使用において問題のあるレベルで、コンデンサとしての耐電圧は実使用上問題のないレベルであったが、信頼性評価においては素子に10層を超える貫通状破壊が観察され問題が生じるレベルのものであった。また比較例6のフィルムはコンデンサ素子加工性は非常に優れるものであったが、コンデンサとしての耐電圧が使用上問題あるレベルで、信頼性評価において素子が破壊するなど問題が生じるレベルのものであった。
[0096]
 (比較例2)
 二軸延伸時の延伸倍率および該二軸延伸後の熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、比較例2では厚み15μmのポリプロピレンフィルムを得た。本比較例のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性はやや劣るが実使用において問題ないレベルであったが、コンデンサとしての耐電圧が低く、信頼性評価において素子には10層を超える貫通状破壊が観察されるなど問題が生じるレベルのものであった。
[0097]
 (比較例3)
 メソペンタッド分率が0.958、融点が164℃で、メルトフローレイト(MFR)が4.0g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が5.0質量%であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂を用い、溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、二軸延伸時の延伸倍率および該二軸延伸後の熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、比較例3では厚み2.9μmのポリプロピレンフィルムを得た。本比較例のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性は優れるものであったが、コンデンサとしての耐電圧が低く、信頼性評価において素子が破壊するなど問題が生じるレベルのものであった。
[0098]
 (比較例4)
 メソペンタッド分率が0.984、融点が167℃で、メルトフローレート(MFR)が2.5g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が1.7質量%であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂にBasell社製分岐鎖状ポリプロピレン樹脂(高溶融張力ポリプロピレンProfax PF-814)を1.0質量%ブレンドし温度260℃の押出機に供給し、ラビング処理を行わないこと、溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、二軸延伸時の延伸倍率および該二軸延伸後の熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、比較例4では厚み3.0μmのポリプロピレンフィルムを得た。本比較例のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性は優れるものであったが、コンデンサとしての耐電圧が使用上問題あるレベルで、信頼性評価において素子が破壊するなど問題が生じるレベルのものであった。
[0099]
 (比較例5)
 メソペンタッド分率が0.961、融点が165℃で、メルトフローレイト(MFR)が3.8g/10分、冷キシレン可溶部(CXS)が4.5質量%であるプライムポリマー(株)製ポリプロピレン樹脂100質量部に対しノニトール系溶融型核剤である「Milliken社製α晶核剤;NX8000」を濃度が0.3質量部となるように240℃に設定した押出機で混練押出し、ストランドを水冷後チップ化し、ポリプロピレン樹脂原料(A)とした。ポリプロピレン樹脂(A)を温度260℃の押出機に供給し、ラビング処理を行わないこと、溶融押出シートを冷却するキャスティングドラムの温度、二軸延伸時の延伸倍率および該二軸延伸後の熱処理条件を表1の条件とした以外は実施例1と同様にして、比較例5では厚み2.8μmのポリプロピレンフィルムを得た。本比較例のポリプロピレンフィルムの特性およびコンデンサ特性は表1に示す通りで、コンデンサ素子加工性はやや劣るが実使用において問題ないレベルであったが、コンデンサとしての耐電圧が低く、信頼性評価において素子が破壊するなど問題が生じるレベルのものであった。
[0100]
[表1]


請求の範囲

[請求項1]
フィルム厚みが0.5μm以上10μm未満であるポリプロピレンフィルムであって、三次元非接触表面形状計測(VertSCAN)の断面解析により測定した少なくとも一方向のJIS-Rzが40~450nm、Raが5~30nm、Rtが50~500nmであることを特徴とするポリプロピレンフィルム。
[請求項2]
フィルムの結晶子サイズが12.0nm以下である、請求項1に記載のポリプロピレンフィルム。
[請求項3]
フィルムのメソペンタッド分率が0.96以上である、請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
[請求項4]
少なくとも片表面の光沢度が130%以上150%未満である、請求項1~3のいずれかに記載のポリプロピレンフィルム。
[請求項5]
フィルムの長手方向および幅方向の130℃で10分間加熱処理後の熱収縮率の和が5.0%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のポリプロピレンフィルム。
[請求項6]
実質的にポリプロピレン単体のみからなる、請求項1~5のいずれかに記載のポリプロピレンフィルム。
[請求項7]
請求項1~6のいずれかに記載のポリプロピレンフィルムを製造する方法であって、未延伸ポリプロピレンフィルムにラビング処理し、少なくとも一方向に2倍以上延伸する工程を有する、ポリプロピレンフィルムの製造方法。
[請求項8]
請求項1~6のいずれかに記載のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属膜が設けられてなる金属膜積層フィルム。
[請求項9]
請求項8に記載の金属膜積層フィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。