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1. (WO2018181180) ウインドシールド
Document

明 細 書

発明の名称 ウインドシールド

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076  

実施例

0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

符号の説明

0087  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25A   25B   26   27A   27B  

明 細 書

発明の名称 : ウインドシールド

技術分野

[0001]
 本発明は、自動車のウインドシールドに関する。

背景技術

[0002]
 従来より、車両のウインドシールドに光を照射することで、車速等の情報を投影するヘッドアップディスプレイ装置が提案されている。このヘッドアップディスプレイ装置を用いると、運転者は、スピードメータなどの車内の計器の代わりに、ウインドシールドに投影された情報を見ることで車速を確認できるため、運転中に前方への視線を大きく動かす必要がない。したがって、運転時の安全性を向上できるという利点がある。
[0003]
 しかしながら、厚さが均一なウインドシールドに対して、上記のようなヘッドアップディスプレイ装置を用いると、ウインドシールドの内面で反射することにより視認される像と、ウインドシールドの外面で反射することにより視認される像とが生じるため、ウインドシールド上に投影される像、つまり車速などの情報が二重になる二重像現象が生じるという問題があった。これを解決するため、例えば、特許文献1では、ウインドシールドを外側ガラス板、内側ガラス板、及びこれらの間に挟まれる樹脂製の中間膜で構成し、さらに中間膜の断面形状を楔形にすることで、ウインドシールドの断面形状を全体として楔形にすることが提案されている。これにより、2つの像が重なるため、二重像を防止することができる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2007-223883号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 ところで、近年、ヘッドアップディスプレイ装置によってウインドシールドに投影される情報の表示領域は、増大の傾向にある。そして、本発明者が検討をした結果、表示領域が大型化すると、上記のような楔形の中間膜を用いたとしても、依然として二重像が発生することが確認された。本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、ヘッドアップディスプレイ装置からの情報が投影される表示領域が大型化しても、二重像の発生を防止することができる、ウインドシールドを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。その結果、以下に掲げる発明により、二重像の発生を防止できることを見出した。
[0007]
項1.ヘッドアップディスプレイ装置から照射される光によって情報が投影される表示領域を有するウインドシールドであって、
 外側ガラス板と、
 前記外側ガラス板と対向配置される内側ガラス板と、
 前記外側ガラス板と内側ガラス板との間に配置される中間膜と、
を備え、
 前記表示領域内に20mm以下のピッチで格子点が規定され、
 干渉計により、ピクセル数240×240以上で、前記各格子点における楔角を測定したとき、当該楔角の最大値と最小値との差が、0.32mrad以内である、ウインドシールド。
[0008]
項2.前記表示領域は、上下方向が150mm以上、水平方向が150mm以上の領域である、項1に記載のウインドシールド。
[0009]
項3.前記中間膜の厚みが上方にいくにしたがって大きくなるように、当該中間膜の断面形状が楔形に形成されている、項1または2に記載のウインドシールド。
[0010]
項4.前記外側ガラス板及び前記内側ガラス板は、フロート法におけるガラスの流れ方向を上下方向としている、項1から3のいずれかに記載のウインドシールド。
[0011]
項5.前記外側ガラス板及び内側ガラス板は、前記ガラスの流れ方向に垂直方向では、0.1μm/8mm以上の凹凸を有する項4に記載のウインドシールド。
[0012]
項6.前記ガラスの流れ方向と、前記上下方向とのなす角は、10°以内である項4または5に記載のウインドシールド。
[0013]
項7.水平方向に対する車両への設置角度が60°以下である、項1から6のいずれかに記載のウインドシールド。
[0014]
項8.前記内側ガラス板は、水平方向において異なる曲率半径を有する複数の領域を有しており、
 前記表示領域は、前記複数の領域のうち、最も曲率半径の大きい領域以外の領域に形成される、項1から7のいずれかに記載のウインドシールド。
[0015]
項9.ヘッドアップディスプレイ装置から照射される光によって情報が投影される表示領域を有するウインドシールドの製造方法であって、
 外側ガラス板を準備するステップと、
 内側ガラス板を準備するステップと、
 中間膜を準備するステップと、
 前記外側ガラス板と内側ガラス板との間に前記中間膜を配置して接着するステップと、
を備え、
 前記表示領域内に20mm以下のピッチで格子点を規定し、
 干渉計により、ピクセル数240×240以上で、前記各格子点における楔角を測定したとき、当該楔角の最大値と最小値との差が、0.32mrad以内である、ウインドシールドの製造方法。
[0016]
項10.前記外側ガラス板及び前記内側ガラス板は、フロート法により形成され、
 前記外側ガラス板及び前記内側ガラス板は、前記フロート法おけるガラスの流れ方向を上下方向としている、項9に記載のウインドシールドの製造方法。

発明の効果

[0017]
 本発明に係るウインドシールド及びその製造方法によれば、ヘッドアップディスプレイ装置からの情報が投影される表示領域が大型化しても、二重像の発生を防止することができる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 本発明に係るウインドシールドの一実施形態の断面図である。
[図2] 図1の平面図である。
[図3] 中間膜の断面図である。
[図4] ヘッドアップディスプレイ装置とウインドシールドの位置関係を示す側面図である。
[図5] ガラス板の製造方法の一例を示す側面図である。
[図6] ガラス板と中間膜の一例を示す断面図である。
[図7] ガラス板と中間膜の一例を示す断面図である。
[図8] ガラス板と中間膜の一例を示す断面図である。
[図9] 表示領域を示すウインドシールドの平面図である。
[図10] 楔角の測定方法の一例を示す図9の拡大平面図である。
[図11] 二重像を説明する図である。
[図12] 二重像を説明する図である。
[図13] 二重像を説明する図である。
[図14] y方向の楔角と二重像との関係を示すグラフである。
[図15] x方向の楔角と二重像との関係を示すグラフである。
[図16] ガラス板の製造方法の一例を示す平面図である。
[図17] 図16のA-A線断面図である。
[図18] ウインドシールドの断面図である。
[図19] ウインドシールドの断面図である。
[図20] 実施例及び比較例に係る楔角の測定を説明する平面図である。
[図21] 楔角の測定装置の概略構成図である。
[図22] 干渉縞パターンを解析して、直径96mm範囲でのガラス面の波面の傾きを示した図である。
[図23] 更新点が配置された測定領域を示す図である。
[図24] 実施例における格子点の楔角を示すグラフである。
[図25A] 実施例における格子点の写真を示す図である。
[図25B] 実施例における格子点の写真を示す図である。
[図26] 比較例における格子点の楔角を示すグラフである。
[図27A] 実施例における格子点の写真を示す図である。
[図27B] 実施例における格子点の写真を示す図である。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下、本発明に係るウインドシールドの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るウインドシールドは、ヘッドアップディスプレイ装置から照射される光によって情報が投影される表示領域を有している。
[0020]
 図1は、本実施形態に係るウインドシールドの断面図、図2は図1の平面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るウインドシールドは、外側ガラス板11と、内側ガラス板12と、これらガラス板11,12の間に配置される中間膜13を有する合わせガラス1を備えている。そして、この合わせガラス1にはマスク層2が積層されている。以下、各部材について説明する。
[0021]
 <1.外側ガラス板及び内側ガラス板>
 まず、外側ガラス板11及び内側ガラス板12から説明する。外側ガラス板11及び内側ガラス板12は、公知のガラス板を用いることができ、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラスやグリーンガラス、またはUVグリーンガラスで形成することもできる。但し、これらのガラス板11、12は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、外側ガラス板11により必要な日射吸収率を確保し、内側ガラス板12により可視光線透過率が安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラス、熱線吸収ガラス、及びソーダ石灰系ガラスの一例を示す。
[0022]
 (クリアガラス)
SiO 2:70~73質量%
Al 23:0.6~2.4質量%
CaO:7~12質量%
MgO:1.0~4.5質量%
2O:13~15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe 23に換算した全酸化鉄(T-Fe 23):0.08~0.14質量%
[0023]
 (熱線吸収ガラス)
 熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe 23に換算した全酸化鉄(T-Fe 23)の比率を0.4~1.3質量%とし、CeO 2の比率を0~2質量%とし、TiO 2の比率を0~0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO 2やAl 23)をT-Fe 23、CeO 2およびTiO 2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
[0024]
 (ソーダ石灰系ガラス)
SiO 2:65~80質量%
Al 23:0~5質量%
CaO:5~15質量%
MgO:2質量%以上
NaO:10~18質量%
2O:0~5質量%
MgO+CaO:5~15質量%
Na 2O+K 2O:10~20質量%
SO 3:0.05~0.3質量%
23:0~5質量%
Fe 23に換算した全酸化鉄(T-Fe 23):0.02~0.03質量%
[0025]
 本実施形態に係る合わせガラスの厚みは特には限定されないが、軽量化の観点からは、外側ガラス板11と内側ガラス板12の厚みの合計を、2.4~5.0mmとすることが好ましく、2.6~4.6mmとすることがさらに好ましく、2.7~3.2mmとすることが特に好ましい。このように、軽量化のためには、外側ガラス板11と内側ガラス板12との合計の厚みを小さくすることが必要であるので、各ガラス板のそれぞれの厚みは、特には限定されないが、例えば、以下のように、外側ガラス板11と内側ガラス板12の厚みを決定することができる。なお、ガラス板の厚みは、マイクロメータで測定することができる。
[0026]
 外側ガラス板11は、主として、外部からの障害に対する耐久性、耐衝撃性が必要であり、例えば、この合わせガラスを自動車のウインドシールドとして用いる場合には、小石などの飛来物に対する耐衝撃性能が必要である。他方、厚みが大きいほど重量が増し好ましくない。この観点から、外側ガラス板11の厚みは1.8~2.3mmとすることが好ましく、1.9~2.1mmとすることがさらに好ましい。何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。
[0027]
 内側ガラス板12の厚みは、外側ガラス板11と同等にすることができるが、例えば、合わせガラスの軽量化のため、外側ガラス板11よりも厚みを小さくすることができる。具体的には、ガラスの強度を考慮すると、0.6~2.3mmであることが好ましく、0.8~2.0mmであることが好ましく、1.0~1.4mmであることが特に好ましい。更には、0.8~1.3mmであることが好ましい。内側ガラス板12についても、何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。
[0028]
 また、本実施形態に係る外側ガラス板11及び内側ガラス板12の形状は、湾曲形状である。合わせガラスが湾曲形状である場合には、ダブリ量が大きくなると遮音性能が低下するとされている。ダブリ量とは、合わせガラスの曲げを示す量であり、例えば、合わせガラスの上辺の中央と下辺の中央とを結ぶ直線を設定したとき、この直線と合わせガラスとの距離のうち最も大きいものをダブリ量と定義する。
[0029]
 ここで、合わせガラス1の厚みの測定方法の一例について説明する。まず、測定位置については、合わせガラスの左右方向の中央を上下方向に延びる中央線上の上下2箇所である。測定機器は、特には限定されないが、例えば、株式会社テクロック製のSM-112のようなシックネスゲージを用いることができる。測定時には、平らな面に合わせガラスの湾曲面が載るように配置し、上記シックネスゲージで合わせガラスの端部を挟持して測定する。
[0030]
 <2.中間膜>
 中間膜13は、少なくとも一層で形成されており、一例として、図3に示すように、軟質のコア層131を、これよりも硬質のアウター層132で挟持した3層で構成することができる。但し、この構成に限定されるものではなく、コア層131と、外側ガラス板11側に配置される少なくとも1つのアウター層132とを有する複数層で形成されていればよい。例えば、コア層131と、外側ガラス板11側に配置される1つのアウター層132を含む2層の中間膜13、またはコア層131を中心に両側にそれぞれ2層以上の偶数のアウター層132を配置した中間膜13、あるいはコア層131を挟んで一方に奇数のアウター層132、他方の側に偶数のアウター層132を配置した中間膜13とすることもできる。なお、アウター層132を1つだけ設ける場合には、上記のように外側ガラス板11側に設けているが、これは、車外や屋外からの外力に対する耐破損性能を向上するためである。また、アウター層132の数が多いと、遮音性能も高くなる。
[0031]
 コア層131はアウター層132よりも軟質であるかぎり、その硬さは特には限定されない。各層131,132を構成する材料は、特には限定されないが、例えば、アウター層132は、例えば、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)によって構成することができる。ポリビニルブチラール樹脂は、各ガラス板との接着性や耐貫通性に優れるので好ましい。一方、コア層131は、例えば、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)、またはアウター層を構成するポリビニルブチラール樹脂よりも軟質なポリビニルアセタール樹脂によって構成することができる。軟質なコア層を間に挟むことにより、単層の樹脂中間膜と同等の接着性や耐貫通性を保持しながら、遮音性能を大きく向上させることができる。
[0032]
 一般に、ポリビニルアセタール樹脂の硬度は、(a)出発物質であるポリビニルアルコールの重合度、(b)アセタール化度、(c)可塑剤の種類、(d)可塑剤の添加割合などにより制御することができる。したがって、それらの条件から選ばれる少なくとも1つを適切に調整することにより、同じポリビニルブチラール樹脂であっても、アウター層132に用いる硬質なポリビニルブチラール樹脂と、コア層131に用いる軟質なポリビニルブチラール樹脂との作り分けが可能である。さらに、アセタール化に用いるアルデヒドの種類、複数種類のアルデヒドによる共アセタール化か単種のアルデヒドによる純アセタール化によっても、ポリビニルアセタール樹脂の硬度を制御することができる。一概には言えないが、炭素数の多いアルデヒドを用いて得られるポリビニルアセタール樹脂ほど、軟質となる傾向がある。したがって、例えば、アウター層132がポリビニルブチラール樹脂で構成されている場合、コア層131には、炭素数が5以上のアルデヒド(例えばn-ヘキシルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-へプチルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド)、をポリビニルアルコールでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。なお、所定のヤング率が得られる場合は、上記樹脂等に限定されることはない。
[0033]
 また、中間膜13の総厚は、特に規定されないが、0.3~6.0mmであることが好ましく、0.5~4.0mmであることがさらに好ましく、0.6~2.0mmであることが特に好ましい。また、コア層131の厚みは、0.1~2.0mmであることが好ましく、0.1~0.6mmであることがさらに好ましい。一方、各アウター層132の厚みは、0.1~2.0mmであることが好ましく、0.1~1.0mmであることがさらに好ましい。その他、中間膜13の総厚を一定とし、この中でコア層131の厚みを調整することもできる。なお、中間膜13の層厚とは、中間膜13が楔形である場合には、最も厚みの薄い部分を指す。例えば、ウインドシールドを自動車に取り付けた場合には、最下部の厚みを指す。
[0034]
 コア層131及びアウター層132の厚みは、例えば、以下のように測定することができる。まず、マイクロスコープ(例えば、キーエンス社製VH-5500)によって合わせガラスの断面を175倍に拡大して表示する。そして、コア層131及びアウター層132の厚みを目視により特定し、これを測定する。このとき、目視によるばらつきを排除するため、測定回数を5回とし、その平均値をコア層131、アウター層132の厚みとする。
[0035]
 また、中間膜13の断面形状は、上方にいくにしたがって厚みが大きくなるような楔形に形成されている。この場合、中間膜13の総厚、コア層131、アウター層132の厚みは、最も厚みの小さい箇所、つまり合わせガラスの最下辺部を測定する。そして、中間膜13が上記のような3層で形成される場合、コア層131及び一対のアウター層132の少なくとも1つの断面が楔形に形成されていればよい。
[0036]
 また、中間膜13の総厚は、特に規定されないが、0.3~6.0mmであることが好ましく、0.5~4.0mmであることがさらに好ましく、0.6~2.0mmであることが特に好ましい。また、コア層131の厚みは、0.1~2.0mmであることが好ましく、0.1~0.6mmであることがさらに好ましい。一方、各アウター層132の厚みは、コア層131の厚みよりも大きいことが好ましく、具体的には、0.1~2.0mmであることが好ましく、0.1~1.0mmであることがさらに好ましい。その他、中間膜13の総厚を一定とし、この中でコア層131の厚みを調整することもできる。
[0037]
 コア層131及びアウター層132の厚みは、例えば、以下のように測定することができる。まず、マイクロスコープ(例えば、キーエンス社製VH-5500)によって合わせガラスの断面を175倍に拡大して表示する。そして、コア層131及びアウター層132の厚みを目視により特定し、これを測定する。このとき、目視によるばらつきを排除するため、測定回数を5回とし、その平均値をコア層131、アウター層132の厚みとする。例えば、合わせガラスの拡大写真を撮影し、このなかでコア層やアウター層132を特定して厚みを測定する。
[0038]
 中間膜13の製造方法は特には限定されないが、例えば、上述したポリビニルアセタール樹脂等の樹脂成分、可塑剤及び必要に応じて他の添加剤を配合し、均一に混練りした後、各層を一括で押出し成型する方法、この方法により作成した2つ以上の樹脂膜をプレス法、ラミネート法等により積層する方法が挙げられる。プレス法、ラミネート法等により積層する方法に用いる積層前の樹脂膜は単層構造でも多層構造でもよい。また、中間膜13は、上記のような複数の層で形成する以外に、1層で形成することもできる。
[0039]
 <3.マスク層>
 図1に示すように、この合わせガラスの周縁には、黒などの濃色のセラミックにマスク層2が積層されている。このマスク層2は、車内また車外からの視野を遮蔽するのであり、合わせガラスの4つの辺に沿って積層されている。
[0040]
 マスク層2は、例えば、外側ガラス板11の内面のみ、内側ガラス板12の内面のみ、あるいは外側ガラス板11の内面と内側ガラス板12の内面、など種々の態様が可能である。また、セラミック、種々の材料で形成することができるが、例えば、以下の組成とすることができる。
[表1]


*1,主成分:酸化銅、酸化クロム、酸化鉄及び酸化マンガン
*2,主成分:ホウケイ酸ビスマス、ホウケイ酸亜鉛
[0041]
 セラミックは、スクリーン印刷法により形成することができるが、これ以外に、焼成用転写フィルムをガラス板に転写し焼成することにより作製することも可能である。スクリーン印刷を採用する場合、例えば、ポリエステルスクリーン:355メッシュ,コート厚み:20μm,テンション:20Nm,スキージ硬度:80度,取り付け角度:75°,印刷速度:300mm/sとすることができ、乾燥炉にて150℃、10分の乾燥により、セラミックを形成することができる。
[0042]
 また、マスク層2は、セラミックを積層するほか、濃色の樹脂製の遮蔽フィルムを貼り付けることで形成することもできる。
[0043]
 <4.ヘッドアップディスプレイ装置>
 次に、ヘッドアップディスプレイ装置について説明する。ヘッドアップディスプレイ装置(HUD装置という)は、ウインドシールドに、車速等の情報を投射するものである。しかしながら、このHUD装置を用いると、ウインドシールドに投影された光により、二重像が形成されることが知られている。すなわち、ウインドシールドの内面で反射することで視認される像と、ウインドシールドの外面で反射することで視認される像とが別々に視認されるため、像が二重になっていた。
[0044]
 これを防止するためには、図4に示すように、ウインドシールド1において、少なくともHUD装置500から光が投影される表示領域においては、厚みが下方にいくにしたがって、小さくなるように形成する。これにより、ウインドシールド1の内面で反射して車内に入射する光と、ウインドシールドの外面で反射した後、車内に入射する光とが、概ね一致するため、二重像が解消される。なお、このときのウインドシールド1の楔角αは、ウインドシールド1の設置角度にもよるが、例えば、0.01~0.04度(0.2~0.7mrad)とすることができる。
[0045]
 <5.ウインドシールドの製造方法>
 次に、ウインドシールドの製造方法について説明する。まず、ガラス板の製造ラインについて説明する。
[0046]
 ここで、成形型について、図5を参照しつつ、さらに詳細に説明する。図5は成形型が通過する炉の側面図である。図5に示すように、この成形型800は、両ガラス板11,12の外形と概ね一致するような枠状の型本体を備えている。この型本体810は、枠状に形成されているため、内側には上下方向に貫通する内部空間を有している。そして、この型本体810の上面に平板状の両ガラス板11,12の周縁部が載置される。そのため、このガラス板11,12には、下側に配置されたヒータ(図示省略)から、内部空間を介して熱が加えられる。これにより、両ガラス板11,12は加熱により軟化し、自重によって下方へ湾曲することとなる。なお、型本体810の内周縁には、熱を遮蔽するための遮蔽板を配置することがあり、これによってガラス板11,12が受ける熱を調整することができる。また、ヒータは、成形型800の下方のみならず、上方に設けることもできる。
[0047]
 そして、平板状の外側ガラス板11及び内側ガラス板12に上述したマスク層2が積層された後、これら外側ガラス板11及び内側ガラス板12は重ね合わされ、上記成形型800に支持された状態で、図5に示すように、加熱炉802を通過する。加熱炉802内で軟化点温度付近まで加熱されると、両ガラス板11,12は自重によって周縁部よりも内側が下方に湾曲し、曲面状に成形される。続いて、両ガラス板11,12は加熱炉802から徐冷炉803に搬入され、徐冷処理が行われる。その後、両ガラス板11,12は、徐冷炉803から外部に搬出されて放冷される。
[0048]
 こうして、外側ガラス板11及び内側ガラス板12が成形されると、これに続いて、中間膜13を外側ガラス板11及び内側ガラス板12の間に挟む。次に、両ガラス板11,12、及び中間膜13が積層された積層体を、ゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70~110℃で予備接着する。予備接着の方法は、これ以外でも可能であり、次の方法を採ることもできる。例えば、上記積層体をオーブンにより45~65℃で加熱する。次に、この積層体を0.45~0.55MPaでロールにより押圧する。続いて、この積層体を、再度オーブンにより80~105℃で加熱した後、0.45~0.55MPaでロールにより再度押圧する。こうして、予備接着が完了する。
[0049]
 次に、本接着を行う。予備接着がなされた積層体を、オートクレーブにより、例えば、8~15気圧で、100~150℃によって、本接着を行う。具体的には、例えば、14気圧で135℃の条件で本接着を行うことができる。以上の予備接着及び本接着を通して、中間膜13が、各ガラス板11,12に接着され、本実施形態に係るウインドシールドが製造される。なお、これ以外の方法、例えば、プレス加工により、湾曲したウインドシールドを製造することもできる。
[0050]
 <6.二重像の防止のための方策>
 ところで、ヘッドアップディスプレイ装置500によるウインドシールド1の表示領域は、近年増大が検討されている。しかしながら、表示領域が増大すると、上述したように、ウインドシールド1の断面形状を楔形にしても二重像が解消されないことが、本発明者によって見出された。その理由は、ウインドシールド1の表面に、波形の凹凸が生じていることにあり、特に、凹凸の山と谷が水平方向に延びるような凹凸が二重像の発生に影響を与えていることが分かった。そして、このような凹凸は、表示領域が小さい場合には、問題がなかったが、例えば、上下方向に150mm以上、水平方向に150mm以上、さらには上下方向に200mm以上、水平方向に200mm以上のような大型の表示領域では、二重像の発生が顕著になることが本発明者によって見出された。そこで、本発明者は、このような大型の表示領域において、二重像の発生を抑制する方策を以下の通り、見出した。なお、表示領域15とは、ウインドシールド上で、HUD装置によって表示される情報(文字、図形など)のうち、上下方向の両端部、及び水平方向の両端部を通過する矩形状の領域である。
[0051]
 <6-1.合わせガラスの表面の凹凸の発生原因>
 二重像は、主として以下のいずれかの態様、あるいはそれらを複合した態様で発生すると考えられる。まず、図6に示すように、外側ガラス板11と内側ガラス板12には凹凸がほとんど生じていないが、中間膜13の表面に凹凸が生じている場合である。この場合には、両ガラス板11,12と中間膜13とを上記のように本接着したとき、中間膜13の凹凸によって両ガラス板11,12にも凹凸が生じる可能性がある。
[0052]
 また、図7に示すように、中間膜13には凹凸がほとんど発生していないが、両ガラス板11,12に凹凸が生じている場合である。この場合にもウインドシールド1の表面に凹凸が生じる可能性がある。なお、図7は各ガラス板11,12の凹凸の凸同士が対向するように接着されているが、図8に示すように、各ガラス板11,12の凹凸の凸部分と凹部分とが対向するように接着されることもある。
[0053]
 <6-2.楔角の検討>
 上記のような凹凸が生じる場合、本発明者は、次のような知見を得た。まず、図9に示すように、表示領域15にピッチが20mm以下の格子点を規定する。格子点の数は、表示領域の大きさによるが、規定された表示領域に入る最大数の格子点を設定する。続いて、干渉計により、ピクセル数240×240以上で、各格子点の楔角を求める。そして、得られた各格子点の楔角の最大値と最小値との差が0.32mrad以内であれば、表示領域15における二重像が抑制されることが分かった。表示領域15の大きさが大きく、干渉計によって一度の測定で測定できない場合には、図10に示すように、複数回(図示の例では8回)の測定によって測定する。
[0054]
 なお、本発明者の研究によると、楔角変動の主な原因となる「中間膜厚さの不規則な変動」「ガラスと空気の界面における、ガラス表面の不規則な凹凸」は、大きさ20mm~50mm程度の凸レンズ部分もしくは凹レンズ部分によって形成されている。したがって、表示領域15における格子点(測定点)の密度は、互いの間隔(ピッチ)が20mm以下であれば、欠陥部分を見逃すことなく評価することができる。したがって、格子点のピッチは15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがさらに好ましい。
[0055]
 この知見について、具体的な計算例に基づいて検討する。図11は、HUD装置による虚像の位置を模式的に示す図である。光源であるパターンPから発した1本の光線が合わせガラス1の室内側表面で反射して観察者の眼Eに到達する場合、光線の反射点と入射角θyを定義することができる。パターンPの虚像は眼Eと反射点(入射点)Rを結ぶ線の延長線上にある。このとき、反射点Rと虚像Zとの距離L3は、パターンPと反射点Rの距離L1、反射点Rと眼Eの距離L2及びウインドシールド反射面のレンズ作用によって決定する。
[0056]
 図12は、合わせガラスの一部拡大である。上記の通り、合わせガラス1は外側ガラス板11、中間膜13、内側ガラス板12の3層によって構成され、両ガラス板11,12の厚さは一定であるが、中間膜13には楔角が設けてある。ガラス板11,12の表面は反射点Rを基準とするトーリック面であり、図12の紙面における曲率半径をRy、図12の紙面と垂直方向における曲率半径をRxと規定する。このとき、すべてのガラス表面は同じ曲面とする。
[0057]
 図13は、合わせガラス1の車外側の表面(以下、車外面という)と車内側の表面(以下、車内面という)の反射光の経路を示す図である。車外面の反射光と車内面の反射光は経路が異なるので、虚像面において位置が異なる。これが二重像の原因である。そこで、典型的なウインドシールドとHUD装置の条件を設定して、楔角と二重像の大きさの関係を計算した。計算に用いたのは、米国 Lambda Research Corporation 製の光線追跡ソフトウェア OSLO Premium Edition Rev.6.3.0 である。
[0058]
(設定条件)
 合わせガラスを構成する各ガラス板11,12の厚さを2.0mm、屈折率を1.52とした。中間膜13の厚さを反射点Rにおいて0.8mm、屈折率を1.48とした。合わせガラス1の曲率半径(トーリック面)は、反射点Rにおいて、Rx=4000mm、Ry=8000mmとした。また、入射角θyは65°とした。
[0059]
 また、パターンPと反射点Rとの距離L1を930mm、反射点Rと眼Eとの距離L2を1000mmとすると、合わせガラス1の反射面のレンズ作用により、反射点Rと虚像Zとの距離L3は2000mmとなる。中間膜13の楔角φyは、図12に示すように、中間膜13の厚みが右側ほど厚くなる場合を正値とする。また、中間膜13の楔角φxは、図12の紙面と垂直方向において、奥側が厚く、手前側が薄くなる場合を正値とする。
[0060]
 虚像の位置の関係は、図13に示されるように車内面の反射光の虚像Z1が車外面の反射光の虚像Z2より下側にある場合、位置ズレΔyを正値とする。また、車内面の反射光の虚像Z1が車外面の反射光の虚像Z2よりも紙面奥側にある場合、位置ズレΔxを正値とする。以下、この位置ずれを二重像の大きさと称することもある。
[0061]
 (計算結果)
 中間膜13の楔角φx=0として、φyを変えた場合の二重像の大きさΔx、Δyの値を図14に示す。φy=0(楔角無し)の場合はΔy=+4.8mmの大きな二重像が発生するが、φy=+0.43mradの楔角をつけることで二重像はほぼゼロとなる。また、左右方向の二重像Δxは発生しない。
[0062]
 中間膜13の楔角φy=0として、φxを変えた場合の二重像の大きさΔx、Δyの値を図15に示す。φxの値に比例して左右方向の二重像Δxが発生する。しかし、図14と比べるとグラフの傾きははるかに小さい。これは、楔角φxの変動は左右方向の二重像Δxに、あまり影響しないことを示している。
[0063]
(許容範囲)
 図14より、楔角φy=0.43mradが最適値であることは明らかである。しかし、肉眼の分解能には限界があるので、楔角φyが最適値から多少ずれていても二重像は目につかない。肉眼の角度分解能は1分とされている。本計算例の場合、眼Eと虚像Zの距離はL2+L3=3000mmであることから、角度1分に相当するΔyの値は、3000×tan(1分)=0.87(mm)である。
[0064]
 図14の傾きより、Δyの値を±0.87mmの範囲とするためには、φyの値を0.43±0.078mradの範囲とすれば良い。この範囲であれば、二重像の大きさは肉眼で検出できないレベルとなる。
[0065]
 ところで、肉眼が分解能1分を発揮できるのは、視力検査で使われるコントラストが高く明るいチャートを集中して凝視する場合である。よって、より条件の悪いHUDでの画像を眺める場合の分解能は、もっと大きい角度となる。HUD装置の画像を眺める際の実質的な分解能を2分とすると、φyの許容値は0.43±0.16mradの範囲となる。すなわち、楔角のばらつき、つまり楔角の最大値と最小値との差が、0.32mrad以下であればよい。
[0066]
 上記の典型的な計算例では楔角φy=+0.43mradが最適値であるが、最適値はウインドシールド1の厚さ、入射角、虚像位置Z、HUD装置の収差補正、といった条件によって変わってくる。しかしながら、許容範囲の変動は小さいので、条件によって最適値が変わっても、許容範囲は同じ数値を適用しても問題ない。
[0067]
 以上の知見からすると、格子点の楔角のばらつきが小さいほど、表示領域15における二重像が抑制することができる。したがって、複数の格子点の楔角の最大値と最小値との差が、0.32mrad以下であれば、二重像を抑制することができる。
[0068]
 <6-3.ガラス板に形成される凹凸の抑制>
 図16はフロート法によるガラスの流れを示す平面図であり、図17は図16のA-A線断面図である。両ガラス板11,12は、一般的にフロート法により形成されるが、フロート法では、図16及び図17に示すように、ガラスの流れ方向と直交する方向に凹凸が生じやすいことが分かっている。したがって、両ガラス板11,12を、ガラスの流れ方向が上下方向となった合わせガラスにすれば、凹凸の山と谷が上下方向に延びる凹凸を形成することができる。すなわち、二重像の発生に影響の大きい、凹凸の山と谷が水平方向に延びるような凹凸を抑制することができる。但し、ガラスの流れ方向とウインドシールドの上下方向が完全に一致する必要はなく、例えば、ガラスの流れ方向とウインドシールドの上下方向とのなす角が10°以内であることが好ましい。
[0069]
 このように、ガラスの流れ方向を上下方向とすれば、必然的に水平方向の凹凸が大きくなるため、左右方向の二重像発生が激しくなることが懸念される。ところが、ウインドシールド1の上下方向は鉛直方向から大きく傾いた状態で設置されている。このような場合には、図14、図15に示されるように、水平方向の凹凸(すなわち楔角Δxの変動)による二重像は、上下方向の凹凸(すなわち楔角Δyの変動)による二重像よりもはるかに小さくなる。従って、水平方向の二重像の発生は軽微なものとなるので問題にならない。
[0070]
 なお、各ガラス板11,12の表面において、ガラスの流れ方向と垂直な方向の凹凸が、例えば、0.1μm/8mm以上である場合、二重像が生じやすくなるが、上記のように、複数の格子点の楔角の最大値と最小値との差が、0.32mrad以下であれば、二重像を抑制することができる。このような凹凸は、例えば、表面粗さ測定機として、東京精密(株)製のサーフコム479Aによって測定することができる。また、凹凸の大きさは、例えば、フロート法におけるガラスの搬送速度を変化させることで、調整可能である。
[0071]
 <6-4.中間膜の凹凸>
 図7の観点からすれば、両ガラス板11,12と接着を行う前の中間膜13の凹凸が小さければ、合わせガラスの表面に生じる凹凸を小さくすることができる。例えば、中間膜13が複数の樹脂層で形成されている場合、これらの樹脂層の界面に凹凸が発生する。このような中間膜13は、複数層を共押出によって積層することで形成するが、例えば、押出し速度が均一になるようにすると、凹凸を低減することができる。あるいは、成形時の高温によって樹脂層が軟化し、これによって凹凸が大きくなる可能性もある。したがって、温度の調整によっても凹凸を低減することができる。以上より、中間膜13の製造条件を変更することで、凹凸を低減することができる。
[0072]
 <6-5.ウインドシールドの設置角度>
 ウインドシールド1の設置角度を調整することでも二重像の発生を抑制することができる。すなわち、図18に示すように、水平方向に延びる水平線Hに対する車両への設置角度γを規定する。この設置角度γは、水平線Hと合わせガラス1の車内面との交差角である。この設置角度γが小さくなると、図4に示す光の入射角及び反射角が大きくなるため、二重像の発生が顕著になる。しかしながら、このよう設置角度γが小さい場合であっても、本発明のウインドシールであれば好適に二重像の発生を抑制することができる。この観点から、設置角度γは、60度以下であることが好適であり、45度以下であることがさらに好適である。一方、設置角度γがあまり大きくなるとHUD装置500の位置がウインドシールドと運転者の間になり、邪魔になることから、設置角度γは60度以下であることが好ましい。このように車内面を基準とした設置角度γを規定したのは、次の理由による。すなわち、本実施形態に係る合わせガラス1は、楔角が設けられているため、車内面と車外面とは平行ではない。一方、二重像は車内面の傾きが原因である。よって、本実施形態に係る設置角度γは、水平線Hと合わせガラスの車内面とのなす角としている。
[0073]
 <7.変形例>
 以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
[0074]
 <7-1>
 ウインドシールド1は、図19に示すように、水平方向において異なる曲率半径を有する複数の領域が連なることで形成されている。例えば、図19の例では、7つの曲率半径の異なる領域D1~D7が接続された内面を有するウインドシールド1が示されている。ここでは、領域D1~D7の内面の曲率半径を、それぞれR1~R7とする。但し、この内面は左右対称であるため、D1とD7、D2D5,D3とD6の曲率半径は同じである。そして、これら曲率半径の関係は、以下のようになっている。
 R4>R3=R6>R2=R5>R1=R7
[0075]
 ここで、曲率半径が小さくなると、表示領域15に投影された情報の像の歪みが大きくなるため、表示領域15は、できるだけ曲率半径の大きい領域に配置することが好ましい。したがって、表示領域15は、領域D2~D6に配置されることが好ましい。
[0076]
 <7-2>
 上記実施形態では、中間膜13の断面形状を楔形にすることで、ウインドシールド1の断面形状を楔形にしているが、例えば、外側ガラス板11及び内側ガラス板12の少なくとも一方の断面形状を楔形にすることで、合わせガラスの断面形状を楔形にすることもできる。
実施例
[0077]
 以下、本発明に係るウインドシールドの実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されない。
[0078]
 本実施例では、合わせガラスで構成されたウインドシールド(概略形状:上下方向長さ1060mm×左右方向長さ1560mm)から、図20に示すように、300×300mmの大きさのサンプルを切り出して評価した。このサンプルのほぼ中央には、HUD装置から情報が投影される表示領域(左右方向長さ200mm×上下方向長さ150mm)が設けられている。サンプルの中央(各辺から150mm離れた点)における外側ガラス板、中間膜、内側ガラス板の厚さはそれぞれ2.0mm、0.7mm、2.0mmである。両ガラス板は、フロート法により製造された平板ガラスを、高精度プレス工法により曲げ加工したものである。中間膜は、ウインドシールドの上下方向についてあらかじめ楔角が全面にわたって設けられているものを使用した。楔角により、ウインドシールドの上にいくほど中間膜の厚さは厚くなっている。
[0079]
 ウインドシールドは曲げ加工を施したものであることから、サンプルの表面も曲面で構成されている。自動車に取り付けた状態での左右方向をy方向、上下方向をx方向とすると、サンプルの中央におけるx方向の曲率半径Rxは2700mm、y方向の曲率半径Ryは9500mmである。ただし、RxおよびRyの値はサンプル上の位置によって多少異なった値となる。
[0080]
 楔角の設計値は、表示領域全体に亘って一定値であり、Y方向の楔角は0.40mrad(上側ほど厚くなる方向)、X方向の楔角は0である。一方、サンプルの実際の楔角は、図21に示す装置により評価した。同図に示すフィゾ―式干渉計(米国 Zygo Corporation 製 MARK GPI xps型)から、参照平面を通して出射される平行レーザー光束(直径102mm、波長632.8nm)を、極薄減光フィルターを通してからサンプル(凸面側)に照射した。サンプルを透過した平行レーザー光束は、ミラー(直径96mm)で反射し、同じ経路を逆に辿って干渉計に戻る。そして、この反射光と、参照平面による反射光とを干渉させて干渉縞を発生させた。干渉縞は、ピクセル数320×240のCCD画像に取り込んで解析した。
[0081]
 図22に、干渉縞パターンを解析して、直径96mm範囲での波面の傾きを図示した例を示す。サンプルの厚い部分を透過した波面ほど位相が遅れるので、波面の傾きはサンプル厚さの変化、すなわち楔角に対応している。楔角が一定値であれば波面は一定の傾きを有する平面となる。図22の例の場合は、楔角が場所によって変動しているので、波面は完全な平面ではなく、揺らぎが生じていることがわかる。
[0082]
 波面の高い部分は厚さの薄い部分であり、記録された波面差1μmは厚さの変化2.083μmに相当する。この厚さの変化は、楔角をなす中間膜の屈折率を1.48として、1/(1.48-1)=2.083の計算による。図20に示すように、干渉計による測定は、サンプル上の位置を変えて8回実施した((1)~(8))。8回の測定により、表示領域がカバーされている。
[0083]
 (実施例)
 上記の手法により求めた干渉計データから、図23に示すように、表示領域の中央を基点としてX及びY方向に10mm間隔で、横方向に21、縦方向に16の格子点を規定した。ここでは、左右方向において、左端の格子点番号を0とし、右端の格子点番号を20とする。また、上下方向においては、上端の格子点番号を0、下端の格子点番号を15とする。そして、各格子点でのY方向の楔角を計算した。図24は、これら各格子点での楔角の値をまとめたものであり、横方向に一列にならぶ21個(左右方向の格子点番号0~21)の格子点におけるY方向の楔角をプロットして、線でつないでいる。すなわち、図24には、上下方向に並ぶ16の線(上下方向の格子点番号0~15)が形成されている。楔角の値は設計値0.40mradを基準として、-0.10~+0.04mradの範囲内に収まっている。このばらつきは、計算例による許容値である0.32mradよりも充分に小さい。
[0084]
 図25A及び図25Bに、この実施例におけるHUD装置の投影虚像の写真を示す。図25Aは、Y方向の楔角が最大値となった格子点(左右15番、上下9番)近傍の位置ズレを示している。この格子点の楔角は、基準である0.40mradから+0.05mradずれており、Y方向の位置ズレΔyは、-0.6mmであった。一方、図25Bは、Y方向の楔角が最小値となった格子点(左右6番、上下0番)近傍の位置ズレを示している。この格子点の楔角は、基準である0.40mradから-0.09mradずれており、Y方向の位置ズレΔyは、+1.0mmであった。すなわち、全ての格子点におけるY方向の楔角の最大値と最小値との差は、0.14mradであった。したがって、楔角のばらつきが0.32mradの範囲内であれば、これらの図に示すように、二重像の発生が十分に抑制されていることが分かる。以上より、この実施例では、Y方向の二重像の発生は小さく、上記のように広い表示領域を形成するHUD装置にも、適切に使用することができる。
[0085]
 (比較例)
 実施例とは別個のサンプルについて、同じ評価を実施した。図26に、各格子点での楔角の値をまとめた。楔角の値は設計値0.40mradを基準として、-0.18~+0.16mradの範囲となっており、計算例による許容値である0.32mradを超えている。
[0086]
 図27A及び図27Bに、この比較例におけるHUD装置の投影虚像の写真を示す。図27Aは、Y方向の楔角が最大値となった格子点(左右11番、上下15番)近傍の位置ズレを示している。この格子点の楔角は、基準である0.40mradから+0.15mradずれており、Y方向の位置ズレΔyは、-1.7mmであった。一方、図27Bは、Y方向の楔角が最小値となった格子点(左右17番、上下2番)近傍の位置ズレを示している。この格子点の楔角は、基準である0.40mradから-0.18mradずれており、Y方向の位置ズレΔyは、+2.0mmであった。すなわち、全ての格子点におけるY方向の楔角の最大値と最小値との差は、0.33mradであった。したがって、楔角のばらつきが0.32mradよりも大きければ、これらの図に示すように、二重像が顕著に表れることが分かる。以上より、Y方向の二重像の発生は大きく、HUD装置用としては不適である。

符号の説明

[0087]
11 外側ガラス板
12 内側ガラス板
13 中間膜
500 ヘッドアップディスプレイ装置

請求の範囲

[請求項1]
 ヘッドアップディスプレイ装置から照射される光によって情報が投影される表示領域を有するウインドシールドであって、
 外側ガラス板と、
 前記外側ガラス板と対向配置される内側ガラス板と、
 前記外側ガラス板と内側ガラス板との間に配置される中間膜と、
を備え、
 前記表示領域内に20mm以下のピッチで格子点が規定され、
 干渉計により、ピクセル数240×240以上で、前記各格子点における楔角を測定したとき、当該楔角の最大値と最小値との差が、0.32mrad以内である、ウインドシールド。
[請求項2]
 前記表示領域は、上下方向が150mm以上、水平方向が150mm以上の領域である、請求項1に記載のウインドシールド。
[請求項3]
 前記中間膜の厚みが上方にいくにしたがって大きくなるように、当該中間膜の断面形状が楔形に形成されている、請求項1または2に記載のウインドシールド。
[請求項4]
 前記外側ガラス板及び前記内側ガラス板は、フロート法におけるガラスの流れ方向を上下方向としている、請求項1から3のいずれかに記載のウインドシールド。
[請求項5]
 前記外側ガラス板及び内側ガラス板は、前記ガラスの流れ方向に垂直方向では、0.1μm/8mm以上の凹凸を有する請求項4に記載のウインドシールド。
[請求項6]
 前記ガラスの流れ方向と、前記上下方向とのなす角は、10°以内である請求項4または5に記載のウインドシールド。
[請求項7]
 水平方向に対する車両への設置角度が60°以下である、請求項1から6のいずれかに記載のウインドシールド。
[請求項8]
 前記内側ガラス板は、水平方向において異なる曲率半径を有する複数の領域を有しており、
 前記表示領域は、前記複数の領域のうち、最も曲率半径の大きい領域以外の領域に形成される、請求項1から7のいずれかに記載のウインドシールド。
[請求項9]
 ヘッドアップディスプレイ装置から照射される光によって情報が投影される表示領域を有するウインドシールドの製造方法であって、
 外側ガラス板を準備するステップと、
 内側ガラス板を準備するステップと、
 中間膜を準備するステップと、
 前記外側ガラス板と内側ガラス板との間に前記中間膜を配置して接着するステップと、
を備え、
 前記表示領域内に20mm以下のピッチで格子点を規定し、
 干渉計により、ピクセル数240×240以上で、前記各格子点における楔角を測定したとき、当該楔角の最大値と最小値との差が、0.32mrad以内である、ウインドシールドの製造方法。
[請求項10]
 前記外側ガラス板及び前記内側ガラス板は、フロート法により形成され、
 前記外側ガラス板及び前記内側ガラス板は、前記フロート法おけるガラスの流れ方向を上下方向としている、請求項9に記載のウインドシールドの製造方法。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25A]

[ 図 25B]

[ 図 26]

[ 図 27A]

[ 図 27B]