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1. (WO2018181179) 親水性部材と疎水性部材とを積層させた医療機器
Document

明 細 書

発明の名称 親水性部材と疎水性部材とを積層させた医療機器

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0007   0008   0009  

課題を解決するための手段

0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164  

符号の説明

0165  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1A   1B   1C   1D   2A   2B   2C   2D   2E   2F   3A   3B   3C   3D   4A   4B   4C   4D   4E   4F   5   6   7A   7B   7C   8A   8B   8C   8D   9   10A   10B   10C  

明 細 書

発明の名称 : 親水性部材と疎水性部材とを積層させた医療機器

技術分野

[0001]
 本発明は、親水性部材と疎水性部材とを積層させた医療機器に関する。

背景技術

[0002]
 医療機器の分野において、親水性コーティングや疎水性コーティングは広く用いられている。
[0003]
 例えば、特許文献1に記載されたガイドワイヤは、親水性コーティング膜と疎水性コーティング膜との間に空隙を形成し、この空隙に水分を留めている。これによって、ガイドワイヤは、周囲の水分が少ない状況においても潤滑性を発揮する。
[0004]
 特許文献2に記載されたガイドワイヤは、ワイヤ本体の表面に、親水性高分子線材と疎水性高分子線材とをらせん状に巻回している。これによって、ガイドワイヤは、乾燥環境あるいは湿潤環境のいずれの状況においても摺動性を発揮する。
[0005]
 特許文献3~5に記載されたガイドワイヤは、先端のコイル部が気密構造を有している。コイル部を覆う被覆膜は、疎水性コーティングの第1層と、親水性コーティングの第2層とを積層して形成されている。これによって、ガイドワイヤは、コイル部が浮力を受け、重力による先端部の垂れ下がりが防止される。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2015- 62512号公報
特許文献2 : 特開2015-181723号公報
特許文献3 : 特開2008- 12276号公報
特許文献4 : 特開2008- 11938号公報
特許文献5 : 特開2007- 82943号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007]
 従来の医療分野における親水性コーティングおよび疎水性コーティングは、潤滑性を確保したり、コーティング膜を形成したりするために使用されているに過ぎない。
[0008]
 本件発明者は、親水性部材を配置した層と、疎水性部材を配置した層とを積層して管状の周壁部を構成することによって、周壁部の内層側と外層側との間での液体の流通を阻止することができることを見出し、かかる構成を医療機器に適用すれば、医療機器の小径化や性能向上に寄与できる点に着目して、本発明を完成させるに至った。
[0009]
 そこで、本発明は、周壁部の内層側と外層側との間での液体の流通を阻止することができる新規な構造の医療機器を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明に係る医療機器は、管状の周壁部によって中心孔と径方向外方空間とが仕切られた本体部を有している。前記周壁部は、第1ベース部に親水性コーティングを形成した親水性部材を配置した第1層と、第2ベース部に疎水性コーティングを形成した疎水性部材を配置した第2層とを少なくとも含んでいる。前記周壁部は、前記第1層と前記第2層とを径方向に沿って積層して構成されている。そして、前記親水性コーティングが膨潤することによって、隣り合う前記親水性部材が接触し、前記中心孔内の第1液体と、前記径方向外方空間に存在する第2液体とが前記周壁部を通して流通することを阻止する。

発明の効果

[0011]
 このように構成した医療機器によれば、親水性コーティングが膨潤することによって、
隣り合う親水性部材が接触し、中心孔内の第1液体と、径方向外方空間に存在する第2液体とが周壁部を通して流通することを阻止できる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1A] 管状の本体部を有する医療機器の基本構造を示す斜視図である。
[図1B] 親水性コーティングが膨潤する前の状態を示す要部断面図である。
[図1C] 親水性コーティングが膨潤することによって、隣り合う親水性部材が接触した状態を示す要部断面図である。
[図1D] 親水性コーティングが膨潤した状態において本体部が拡げられた状態を示す要部断面図である。
[図2A] 親水性部材および疎水性部材がコイル形状を有する本体部を示す要部断面図である。
[図2B] 親水性部材および疎水性部材がメッシュ形状を有する本体部を示す側面図である。
[図2C] 図2Bに示されるメッシュ形状を示す縦断面図である。
[図2D] 図2Bの2D-2D線に沿う断面図である。
[図2E] メッシュ形状の親水性部材とコイル形状の疎水性部材とが積層された本体部を示す要部断面図である。
[図2F] コイル形状の親水性部材とメッシュ形状の疎水性部材とが積層された本体部を示す要部断面図である。
[図3A] 内層側から外層側に向けて順に、親水性部材、疎水性部材、親水性部材が積層された本体部を模式的に示す断面図である。
[図3B] 内層側から外層側に向けて順に、親水性部材、疎水性部材、疎水性部材が積層された本体部を模式的に示す断面図である。
[図3C] 内層側から外層側に向けて順に、疎水性部材、親水性部材、疎水性部材が積層された本体部を模式的に示す断面図である。
[図3D] 内層側から外層側に向けて順に、疎水性部材、親水性部材、親水性部材が積層された本体部を模式的に示す断面図である。
[図4A] 医療機器の本体部に相当するサンプルを示す斜視図である。
[図4B] 周壁部の内層が親水性の第1層、外層が疎水性の第2層であるサンプルを示す横断面図である。
[図4C] 図4Bに示されるサンプルを用いて、周壁部の液漏れテストを行っている様子を示す横断面図である。
[図4D] 周壁部の内層が疎水性の第2層、外層が親水性の第1層であるサンプルを示す横断面図である。
[図4E] 図4Dに示されるサンプルを用いて、周壁部の液漏れテストを行っている様子を示す横断面図である。
[図4F] 周壁部が第1液体と第2液体との流通を阻止しているか否かのテストを行った実験装置の要部を示す断面図である。
[図5] カテーテルのシャフト部に本体部を適用した例を示す図である。
[図6] シースのシースチューブに本体部を適用した例を示す図である。
[図7A] 本体部を適用したステントを生体管腔内の所望の位置に留置させるバルーンカテーテルを示す図である。
[図7B] バルーンカテーテルの先端部を拡大して示す図である。
[図7C] ステントの拡張前の形状と、拡張後の形状とを示す平面図である。
[図8A] 本体部を適用したフローダイバーターステントを生体管腔内の所望の位置に留置させる自己拡張型ステントデリバリーシステムを示す図である。
[図8B] フローダイバーターステントの自己拡張前の形状と、自己拡張後の形状とを示す平面図である。
[図8C] 動脈瘤と母血管との間における血流の状態を模式的に示す図である。
[図8D] 動脈瘤と母血管との間における血流を遮断するためにフローダイバーターステントを留置した状態を模式的に示す図である。
[図9] 母血管から動脈瘤への流入口を塞ぐために、本体部を適用した塞栓材を動脈瘤の中に留置した状態を模式的に示す図である。
[図10A] 本体部を適用したカバー部材を取り付けた薬剤コーティッドバルーンの先端部を拡大して示す断面図である。
[図10B] バルーンを膨張させてカバー部材を拡径した状態を示す断面図である。
[図10C] カバー部材の拡張前の形状と、拡張後の形状とを示す平面図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、
図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[0014]
 図1Aは、管状の本体部20を有する医療機器10の基本構造を示す斜視図、図1Bは、親水性コーティング32が膨潤する前の状態を示す要部断面図、図1Cは、親水性コーティング32が膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触した状態を示す要部断面図である。図1Dは、親水性コーティング32が膨潤した状態において本体部20が拡げられた状態を示す要部断面図である。
[0015]
 図1A~図1Dを参照して、医療機器10の基本構造を概説する。医療機器10は、管状の周壁部21によって中心孔22と径方向外方空間23とが仕切られた本体部20を有している。周壁部21は、第1ベース部31に親水性コーティング32を形成した親水性部材33を配置した第1層30と、第2ベース部41に疎水性コーティング42を形成した疎水性部材43を配置した第2層40とを少なくとも含んでいる。周壁部21は、第1層30と第2層40とを径方向に沿って積層して構成されている。そして、親水性コーティング32が膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触し、中心孔22内の第1液体51と、径方向外方空間23に存在する第2液体52とが周壁部21を通して流通することを阻止している(図1Cを参照)。隣り合う親水性部材33の間、および隣り合う疎水性部材43の間を拡開させると、第1液体51と第2液体52とを周壁部21を通して流通する(図1Dを参照)。以下、医療機器10の構成について詳述する。
[0016]
 医療機器10は、生体管腔70内に留置して使用される(図1B~図1Dを参照)。本体部20の中心孔22内に存在する第1液体51、および本体部20の径方向外方空間23に存在する第2液体52は、特に限定されるものではなく、同じ種類の液体であってもよいし、異なる種類の液体であってもよい。例えば、第1液体51は中心孔22内を流れる薬液であり、第2液体52は血液などの体液である。本明細書において、第1液体51には、周壁部21の内層側に固定した固体状の薬剤が溶解された薬液が含まれる。同様に、第2液体52には、周壁部21の外層側に固定した固体状の薬剤が溶解された薬液が含まれる。
[0017]
 図1Aに示すように、周壁部21は、第1層30と第2層40との2層構造を有している。図示例では、第1層30が内層を構成し、第2層40が外層を構成している。第1層30は、第1ベース部31に親水性コーティング32を施した親水性部材33が配置されている。第2層40は、第2ベース部41に疎水性コーティング42を施した疎水性部材43が配置されている。図1Bおよび図1Cに示すように、第1ベース部31および第2ベース部41はワイヤ形状を有している。親水性部材33および疎水性部材43は、コイル形状を有している。
[0018]
 本体部20の軸方向長さは、用途、適用する生体管腔70の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、例えば、1~2000mmであるのが好ましい。より詳しくは、ステントに適用する場合には、本体部20の軸方向長さは、1~400mmである。カテーテルに適用する場合には、本体部20の軸方向長さは、300~2000mmである。本体部20の外径(太さ)は、適用する生体管腔70の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、例えば、外径が0.5~50mmであるのが好ましい。
[0019]
 第1ベース部31および第2ベース部41の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)、バネ鋼、チタン、タングステン、タンタル、ニッケル-チタン合金等の超弾性合金などの金属およびポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、グラスファイバ等の硬質プラスチックおよびこれらの複合体を使用することができる。第1ベース部31の構成材料と、第2ベース部41の構成材料とは、同じであっても、異なっていてもよい。
[0020]
 第1ベース部31および第2ベース部41は、形状は特に限定されず、図1Bおよび図1Cに示されるワイヤ形状の他に、例えば、プレート形状を有する。
[0021]
 ワイヤ形状の場合、第1ベース部31および第2ベース部41の直径は、適用する生体管腔70の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、例えば、外径が0.01~0.1mmであるのが好ましい。第1ベース部31の直径と、第2ベース部41の直径とは、同じであっても、異なっていてもよい。
[0022]
 プレート形状の場合、第1ベース部31および第2ベース部41の厚み×幅は、例えば、(0.01~0.04)mm×(0.02~0.2)mmであるのが好ましい。第1ベース部31の厚み×幅と、第2ベース部41の厚み×幅とは、同じであっても、異なっていてもよい。プレート形状の場合には、ワイヤ形状の場合に比べて、第1ベース部31または第2ベース部41を細く形成することができる。周壁部21は内層側と外層側との液体の流通を阻止する液漏れ防止性を有している。その液漏れ防止性を向上させるためには、「縦横の比が1:1以上」が好ましい。「縦」はプレートの厚み、「横」はプレートの幅である。
[0023]
 親水性コーティング32を構成する材料は、吸水して膨潤性を示すものであればどのようなものであってもよい。例えば、親水性材料が挙げられる。親水性材料は、セルロース系高分子物質(例えばヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(例えばポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート-ジメチルアクリルアミド(PGMA-DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン(登録商標)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等からなる公知の親水性物質が挙げられる。
[0024]
 親水性コーティング32の厚さは、特に限定されないが、例えば、乾燥環境(DRY)において0.1~10μm、湿潤環境(WET)において0.5~50μmであるのが好ましい。より具体的には、無水マレイン酸系高分子物質から構成される親水性コーティング32の場合には、乾燥環境(DRY)において1~3μm、湿潤環境(WET)において10~20μmである。アクリルアミド系高分子物質から構成される親水性コーティング32の場合には、乾燥環境(DRY)において1~2μm、湿潤環境(WET)において3~5μmである。
[0025]
 疎水性コーティング42を構成する材料は、疎水性を示すものであればどのようなものであってもよい。例えば、疎水性材料が挙げられる。疎水性材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、反応硬化性シリコーン、
アルキル基、パーフルオロアルキル基で終端された表面自由エネルギーが小さい物質等が挙げられる。また、フッ素系のガスを用いたプラズマの照射や、レーザー微細加工によって、疎水性を示す疎水性コーティング42を構成してもよい。
[0026]
 疎水性コーティング42の厚さは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から構成される疎水性コーティング42の場合には、1~40μmである。
[0027]
 図1Bおよび図1Cに示すように、第1ベース部31は、隣り合う親水性部材33の膨潤した親水性コーティング32が接触するピッチp1において配置されている。隣り合う親水性部材33を接触させることによって、第1液体51および第2液体52が周壁部21を通して流通することを阻止するためである。乾燥環境(DRY)の膜厚と湿潤環境(WET)の膜厚との線形性にもよるが、第1ベース部31の格子の最大隙間(ピッチp1)は、乾燥環境(DRY)の膜厚の略2~6倍程度である。第1ベース部31は上記のピッチp1以下で配置されていればよく、乾燥環境(DRY)のときに隣り合う親水性部材33が接触していてもよい。この場合には、湿潤環境(WET)において、膨潤した親水性コーティング32同士がより強く接触する。
[0028]
 図1Bおよび図1Cに示すように、第1層30は、膨潤した親水性コーティング32が接触し合うことによって第1液体51をシールする。しかしながら、第1液体51は、微小な量ではあるものの、親水性コーティング32自体を通って、第1層30と第2層40との間の空間に達する。第2層40は、第2液体52に接する位置に積層されているが、
上記のように第1液体51に接する位置に積層されているともいえる。
[0029]
 このため、第2ベース部41は、隣り合う疎水性部材43における疎水性コーティング42の間を、第1液体51および第2液体52が通る隙間よりも小さい寸法に設定するピッチp2において配置されている。第1液体51および第2液体52が周壁部21を通して流通することを阻止するためである。
[0030]
 液体が微小隙間を通る要素には、ぬれ性、毛細管現象、液体の粘度などが関係する。このため、疎水性コーティング42間の微小隙間の上限寸法は、疎水性コーティング42を構成する材料、第1液体51および第2液体52の種類によって異なる。微小隙間の上限寸法を特定の寸法に規定することはできないものの、概ね、0~1mmである。
[0031]
 図1Cに示したように、第1液体51および第2液体52は、周壁部21を通して流通することが阻止される。この状態から、図1Dに示すように、隣り合う親水性部材33の間、および隣り合う疎水性部材43の間を拡開する。例えば、本体部20の中心孔22内に配置されたバルーンを膨張させることによって、隣り合う親水性部材33の間、および隣り合う疎水性部材43の間は拡開する。これによって、第1液体51および第2液体52は、周壁部21を通して再び流通する。このように、医療器具10は周壁部21を通して液体の流通をコントロールすることができる。したがって、本体部20が生体管腔70内の所望の場所に位置するまでは、第1液体51と第2液体52との流通を阻止する一方、本体部20を所望の場所に位置させた状態で、第1液体51と第2液体52とを流通させることができる。
[0032]
 図2Aは、親水性部材および疎水性部材がコイル形状を有する本体部を示す要部断面図である。図2Bは、親水性部材および疎水性部材がメッシュ形状を有する本体部を示す側面図である。図2Cは、図2Bに示されるメッシュ形状を示す縦断面図である。図2Dは、図2Bの2D-2D線に沿う断面図である。図2Eは、メッシュ形状の親水性部材とコイル形状の疎水性部材とが積層された本体部を示す要部断面図である。図2Fは、コイル形状の親水性部材とメッシュ形状の疎水性部材とが積層された本体部を示す要部断面図である。
[0033]
 なお、図2B~図2Fにおいては、メッシュ形状であることの把握を容易にするために、隙間部分を大きく誇張して表現している。上述したように、第1ベース部31はピッチp1において配置され、第2ベース部41はピッチp2において配置されている。
[0034]
 第1ベース部31は、形状は特に限定されず、例えば、ワイヤ形状またはプレート形状を有する。第2ベース部41も同様に、形状は特に限定されず、例えば、ワイヤ形状またはプレート形状を有する。親水性部材33は、形状は特に限定されず、例えば、コイル形状、リング形状、またはメッシュ形状を有する。疎水性部材43も同様に、形状は特に限定されず、例えば、コイル形状、リング形状、またはメッシュ形状を有する。親水性部材33および疎水性部材43は、両者がともにコイル形状を有する必要はない。親水性部材33および疎水性部材43は、両者がともにメッシュ形状を有する必要はない。
[0035]
 さらに詳しくは、図2Aに示すように、第1ベース部31および第2ベース部41は、
ワイヤ形状を有している。親水性部材33および疎水性部材43は、コイル形状に形成されている。周壁部21は、2層構造であり、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されている。
[0036]
 図2Dに示すように、第1ベース部31および第2ベース部41は、プレート形状を有している。符号Tはプレートの厚みを示し、符号Wはプレートの幅を示している。図2B、図2Cに示すように、親水性部材33および疎水性部材43は、メッシュ形状に形成されている。メッシュ形状(編組構造)は、親水性部材33および疎水性部材43が複数本編みこまれることによって形成される。周壁部21は、図2Aと同様に、2層構造であり、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されている。図示例では、親水性部材33を編組して、メッシュ形状の親水性の第1層30となる。この上に疎水性部材43を編組して、メッシュ形状の疎水性の第2層40となる。
[0037]
 図2Eに示すように、親水性部材33はメッシュ形状に形成され、疎水性部材43はコイル形状に形成されている。周壁部21は、図2Aと同様に、2層構造であり、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されている。
[0038]
 図2Fに示すように、親水性部材33はコイル形状に形成され、疎水性部材43はメッシュ形状に形成されている。周壁部21は、図2Aと同様に、2層構造であり、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されている。
[0039]
 図2Aにおいて、第1ベース部31および第2ベース部41は、1本のワイヤから構成されているが、複数本のワイヤを束ねたワイヤ束から構成されてもよい。また、本体部20は、親水性部材33および疎水性部材43をリング形状に形成し、軸方向に配列したものを束ねることによって構成してもよい。
[0040]
 周壁部21は、親水性の第1層30と、疎水性の第2層40とを少なくとも1層ずつ含む必要があるが、周壁部21の最内層を親水性の第1層30とするか、疎水性の第2層40とするかは、適宜選択できる。例えば、中心孔22に他の部材を挿通させる場合には、
他の部材との摺動性を高めるために、最内層を親水性の第1層30とするのが好ましい。
親水性の第1層30は、中心孔22内を生理食塩水等でプライミングして濡らすことによって、他の部材に対する摺動性が高くなる。また、最内層を膨潤させたい場合には、最内層を親水性の第1層30とすればよい。中心孔22に液体を流通させるだけであれば、最内層を疎水性の第2層40としても何ら支障は生じない。
[0041]
 周壁部21の最外層を親水性の第1層30とするか、疎水性の第2層40とするかは、
適宜選択できる。例えば、本体部20が生体管腔70内に留置される医療機器10である場合には、最外層を疎水性の第2層40とし、生体管腔70の内面に対してズレ難くするのが好ましい。本体部20が生体管腔70内を移動する医療機器10である場合には、生体管腔70の内面に対する医療器具10の摺動性を高めるために、最外層は、疎水性の第2層40よりも、親水性の第1層30であることが好ましい。また、最外層を膨潤させたい場合には、最外層を親水性の第1層30とすればよい。
[0042]
 図3Aは、内層側から外層側に向けて順に、親水性部材、疎水性部材、親水性部材が積層された本体部を模式的に示す断面図である。図3Bは、内層側から外層側に向けて順に、親水性部材、疎水性部材、疎水性部材が積層された本体部を模式的に示す断面図である。図3Cは、内層側から外層側に向けて順に、疎水性部材、親水性部材、疎水性部材が積層された本体部を模式的に示す断面図である。図3Dは、内層側から外層側に向けて順に、疎水性部材、親水性部材、親水性部材が積層された本体部を模式的に示す断面図である。
[0043]
 なお、図3A~図3Dは積層構造のみを模式的に示す図であり、第1ベース部31および第2ベース部41は、上述したワイヤ形状またはプレート形状のいずれを有していてもよい。また、親水性部材33および疎水性部材43は、コイル形状、リング形状、またはメッシュ形状のいずれを有していてもよい。
[0044]
 周壁部21は、図2A~図2Fに示した2層構造に限定されない。周壁部21は、親水性の第1層30と、疎水性の第2層40とを少なくとも1層ずつ含む必要があるが、親水性の第1層30や疎水性の第2層40をさらに積層し、3層以上の層とすることができる。
[0045]
 さらに詳しくは、図3Aに示すように、周壁部21は、3層構造であり、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、親水性の第1層30が積層されている。
[0046]
 図3Bに示すように、周壁部21は、図3Aと同様に、3層構造であり、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、疎水性の第2層40が積層されている。
[0047]
 図3Cに示すように、周壁部21は、図3Aと同様に、3層構造であり、内層から外層に向けて、順に、疎水性の第2層40、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されている。
[0048]
 図3Dに示すように、周壁部21は、図3Aと同様に、3層構造であり、内層から外層に向けて、順に、疎水性の第2層40、親水性の第1層30、親水性の第1層30が積層されている。
[0049]
 (試験例)
 図4Aは、医療機器10の本体部20に相当するサンプル100を示す斜視図である。
図4Bは、周壁部21の内層が親水性の第1層30、外層が疎水性の第2層40であるサンプル100を示す横断面図、図4Cは、図4Bに示されるサンプル100を用いて、周壁部21の液漏れテストを行っている様子を示す横断面図である。図4Dは、周壁部21の内層が疎水性の第2層40、外層が親水性の第1層30であるサンプル100を示す横断面図、図4Eは、図4Dに示されるサンプル100を用いて、周壁部21の液漏れテストを行っている様子を示す横断面図である。図4Fは、周壁部21が第1液体51と第2液体52との流通を阻止しているか否かのテストを行った実験装置110の要部を示す断面図である。
[0050]
 本体部20を模したサンプル100を複数個準備し、周壁部21が第1液体51と第2液体52との流通を阻止しているか否かのテストを行った。サンプル100は、
 サンプル#1:周壁部21の内層 親水性の第1層30
        周壁部21の外層 疎水性の第2層40
 サンプル#2:周壁部21の内層 疎水性の第2層40
        周壁部21の外層 親水性の第1層30
 サンプル#3:周壁部21の内層 親水性の第1層30
        周壁部21の外層 親水性の第1層30
 サンプル#4:周壁部21の内層 疎水性の第2層40
        周壁部21の外層 疎水性の第2層40
 サンプル#5:周壁部21の内層 金属親水化処理したワイヤ
        周壁部21の外層 疎水性の第2層40
 サンプル#6:周壁部21の内層 疎水性の第2層40
        周壁部21の外層 金属親水化処理したワイヤ
の6種類を準備した。
[0051]
 サンプル100を作成するために、まず、芯金とするパイプ(直径:1.77mm)、
ワイヤを芯金の周りに配置して固定するための両面テープ、端部からの水漏れを防ぐためのシールテープ、親水性コートワイヤ、疎水性コートワイヤを準備した。親水性コートワイヤは、ガイドワイヤ(直径:0.46mm)を10~12cmに切断して使用した。親水性コーティング32は、無水マレイン酸系高分子物質(メチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体)から形成されたものを使用した。疎水性コートワイヤは、PTFEコートされたワイヤ(直径:0.35mm)を10~12cmに切断して使用した。サンプル#5およびサンプル#6については、金属素線にプラズマを照射することによって金属親水化処理したワイヤを用いた。
[0052]
 サンプル#1は次のような手順によって作成した。まず、平坦な面の上に、親水性コートワイヤを平面状に並べ、ワイヤの両端に両面テープを貼り付ける。テープによって保持された親水性コートワイヤを芯金の表面に巻き付け、内層(親水性の第1層30)を形成する。次に、平坦な面の上に、疎水性コートワイヤを平面状に並べ、ワイヤの両端に両面テープを貼り付ける。テープによって保持された疎水性コートワイヤの上に、内層が巻き付けられた芯金を置く。疎水性コートワイヤを内層上に巻き付け、外層(疎水性の第2層40)を形成する。そして、芯金を慎重に抜き取って、サンプル#1を完成させた。芯金を抜き取った部分が、本体部20の中心孔22に相当する。サンプル#2~#6も同様にして作成した。
[0053]
 サンプル#1は、図4Aおよび図4Bに示すように、周壁部21の内層は15本の親水性コートワイヤから形成し、外層は28本の疎水性コートワイヤから形成した。サンプル#2は、図4Dに示すように、周壁部21の内層は19本の疎水性コートワイヤから形成し、外層は20本の親水性コートワイヤから形成した。
[0054]
 図4Fに示すように、周壁部21が第1液体51と第2液体52との流通を阻止しているか否かのテストを行うため、実験装置110は、生体管腔70内に本体部20を留置した状態を模擬的に作った。まず、本体部20を模したサンプル100を、生体管腔70を模した透明チューブ101の中に挿通する。透明チューブ101の一方の端部101aとサンプル100との間を、シールテープ102によって塞ぐ。透明チューブ101の他方の端部101bを上方に向け、ピペットチューブを使用し、透明チューブ101の中に水を注入する。透明チューブ101内を水によって満たしたのち、透明チューブ101の他方の端部101bとサンプル100との間を、シールテープ102によって塞ぐ。サンプル100の内層の一方の開口端に、赤色インクによって染色された水を入れたシリンジ103の先端を挿入する。そして、サンプル100の内層内にシリンジ103から染色された水を注入した。サンプル#1は、図4Cに示すように、透明チューブ101内の水の色の変化を観察し、サンプル#2は、図4Eに示すように、透明チューブ101内の水の色の変化を観察した。サンプル#3~#6も同様にして透明チューブ101内の水の色の変化を観察した。
[0055]
 観察結果は、
 サンプル#1(内層:親水性、外層:疎水性):透明チューブ101内の水の色の変化
                       なし
 サンプル#2(内層:疎水性、外層:親水性):透明チューブ101内の水の色の変化
                       なし
 サンプル#3(内層:親水性、外層:親水性):透明チューブ101内の水の色の変化
                       あり
 サンプル#4(内層:疎水性、外層:疎水性):透明チューブ101内の水の色の変化
                       あり
 サンプル#5(内層:金属親水化処理、外層:疎水性):透明チューブ101内の水の
                           色の変化あり
 サンプル#6(内層:疎水性、外層:金属親水化処理):透明チューブ101内の水の
                           色の変化あり
であった。
[0056]
 サンプル#1(内層:親水性、外層:疎水性)およびサンプル#2(内層:疎水性、外層:親水性)のように、親水性の第1層30と疎水性の第2層40とを積層した場合には、周壁部21を通しての液漏れは発生しなかった。
[0057]
 一方、サンプル#3(内層:親水性、外層:親水性)およびサンプル#4(内層:疎水性、外層:疎水性)のように、親水性の第1層30と疎水性の第2層40とを積層しなかった場合には、周壁部21を通しての液漏れが発生した。
[0058]
 さらに、サンプル#5(内層:金属親水化処理、外層:疎水性)およびサンプル#6(内層:疎水性、外層:金属親水化処理)のように、親水性の層と疎水性の第2層40とが積層されているものの、金属親水化処理したワイヤでは周壁部21を通しての液漏れが発生した。
[0059]
 以上の実験結果から、金属素線に親水性コーティング32を施した親水性コートワイヤを配置した第1層30と、金属素線に疎水性コーティング42を施した疎水性コートワイヤを配置した第2層40とを径方向に沿って積層して構成した周壁部21によれば、親水性コーティング32が膨潤することによって、隣り合う親水性コートワイヤが接触し、中心孔22内の液体(染色された水)と、径方向外方空間23に存在する液体(水)とが周壁部21を通して流通することを阻止できるという知見を得られた。
[0060]
 サンプル#3では液漏れが発生した。親水性の第1層30のみを2層に積層しても、親水性コーティング32による保水量の限度を超えると、親水性コーティング32自体を通って、中心孔22内の液体(染色された水)が、径方向外方空間23に存在する液体(水)に流通したと考えられる。このため、サンプル#1およびサンプル#2のように、中心孔22内の液体(染色された水)をシールする疎水性の第2層40を設ける必要があると考えられる。
[0061]
 サンプル#4では液漏れが発生した。疎水性の第2層40のみを2層に積層しても、親水性コーティング32の膨潤によって得られる親水性コートワイヤ同士の接触が起こらないため、シール性が不足するものと考えられる。
[0062]
 以上説明したように、医療機器10は、管状の周壁部21によって中心孔22と径方向外方空間23とが仕切られた本体部20を有している。周壁部21は、第1ベース部31に親水性コーティング32を形成した親水性部材33を配置した第1層30と、第2ベース部41に疎水性コーティング42を形成した疎水性部材43を配置した第2層40とを少なくとも含んでいる。周壁部21は、第1層30と第2層40とを径方向に沿って積層して構成されている。
[0063]
 このように構成した医療機器10によれば、親水性コーティング32が膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触し、中心孔22内の第1液体51と、径方向外方空間23に存在する第2液体52とが周壁部21を通して流通することを阻止できる。
[0064]
 第1ベース部31は、隣り合う親水性部材33の膨潤した親水性コーティング32が接触するピッチp1において配置されている。
[0065]
 このように構成すれば、隣り合う親水性部材33を接触させることによって、第1液体51と第2液体52とが周壁部21を通して流通することを阻止できる。
[0066]
 第2ベース部41は、隣り合う疎水性部材43における疎水性コーティング42の間を、第1液体51および第2液体52が通る隙間よりも小さい寸法に設定するピッチp2において配置されている。
[0067]
 このように構成すれば、隣り合う疎水性部材43における疎水性コーティング42の間を第1液体51および第2液体52が通ることを阻止することができる。
[0068]
 第1ベース部31および第2ベース部41は、ワイヤ形状またはプレート形状を有している。
[0069]
 このように構成すれば、本体部20を適用する部位、例えば生体管腔70に適した形状の医療機器10に適用できる。
[0070]
 親水性部材33および疎水性部材43は、コイル形状、リング形状、またはメッシュ形状を有している。
[0071]
 このように構成すれば、本体部20を適用する部位、例えば生体管腔70に適した形状の医療機器10に適用できる。
[0072]
 次に、本体部20の具体的な適用例について説明する。なお、以下の説明において、「基端側」とは、生体内に導入される側を「先端側」と称する場合に、反対側に位置する側をいう。また、先端部とは、先端(最先端)から軸方向における一定の範囲を含む部分を意味し、基端部とは、基端(最基端)から軸方向における一定の範囲を含む部分を意味するものとする。
[0073]
 (カテーテル200への本体部20の適用例)
 図5は、カテーテル200のシャフト部201に本体部20を適用した例を示す図である。
[0074]
 生体管腔内の診断や治療には、マイクロカテーテル、ガイディングカテーテルなどのカテーテルが用いられる。これらのカテーテルは、小径の末梢領域や複雑に屈曲した血管に使用されるため、末梢到達性(寸法の細径化)や柔軟性、トルク伝達性が求められている。
[0075]
 従来のカテーテルは、壁部が、トルク伝達性および内腔保持性を付与する金属補強体層と、カテーテルの内層側と外層側との間での液体の流通を阻止する樹脂被覆層との複合体で構成されている。このため、樹脂の被覆による肉厚の増加や、樹脂特有の粘弾性特性によるトルク伝達性の低下が課題となっている。
[0076]
 そこで、上述した本体部20は、カテーテル200のシャフト部201を構成するのに適している。
[0077]
 図5に示すように、カテーテル200は、略円形の断面を備え、生体内に導入可能な長尺状のシャフト部201と、シャフト部201の基端部に連結されるカテーテルハブ202と、を有している。カテーテル200は、シャフト部201とカテーテルハブ202との連結部付近に、耐キンクプロテクタ(ストレインリリーフ)203を有している。なお、カテーテル200は、耐キンクプロテクタ203を備えていなくてもよい。ガイドワイヤ204は、シャフト部201のルーメンに挿通される。
[0078]
 シャフト部201は、軸方向に延在する内腔が形成された可撓性を有する管状の部材である。シャフト部201の長さは、適用する血管の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、例えば、500mm~2000mm程度に設定され、好ましくは、
500mm~1500mm程度に設定される。シャフト部201の外径(太さ)は、適用する血管の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、例えば、0.4mm~5.0mm程度に設定され、好ましくは、0.5mm~3.0mm程度に設定される。シャフト部201の内径は、適用する血管の位置、太さ等の症例によってもその好ましい値は異なるが、例えば、0.3mm~4.0mm程度に設定され、好ましくは、0.4mm~2.0mm程度に設定される。
[0079]
 図2Aに示したように、カテーテル200のシャフト部201の第1ベース部31および第2ベース部41は、ワイヤ形状を有している。親水性部材33および疎水性部材43は、コイル形状に形成されている。
[0080]
 図2B~図2Dに示したように、第1ベース部31および第2ベース部41は、プレート形状を有していてもよい。親水性部材33および疎水性部材43は、メッシュ形状に形成されていてもよい。
[0081]
 図2Eに示したように、シャフト部201は、メッシュ形状の親水性部材33とコイル形状の疎水性部材43とを積層してもよい。図2Fに示したように、シャフト部201は、コイル形状の親水性部材33とメッシュ形状の疎水性部材43とを積層してもよい。
[0082]
 周壁部21は、図2A~図2Fに示したように、少なくとも2層構造であり、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されている。親水性の第1層30は、親水性コーティング32が水、体液、薬液などによって膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触する。その結果、周壁部21は、内層側と外層側との液体の流通を阻止する。疎水性の第2層40は、カテーテル200の外側の血液が内層側に流れ込むことを遮断する。
[0083]
 また、周壁部21は、図3Aに示したように、3層構造とすることもでき、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、親水性の第1層30が積層されている。カテーテル200の実際の使用を考慮すると、最外層は、疎水性の第2層40よりも、親水性の第1層30であることが好ましい。カテーテル200は生体管腔70内を移動する医療機器10であるため、生体管腔70の内面に対する摺動性を高めるためである。
[0084]
 また、カテーテル200の層構造は、基端部から先端部まで一定でなくてもよい。例えば、先端側においては、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、親水性の第1層30を積層(図3Aの積層構造)し、基端側においては、内層から外層に向けて、順に、疎水性の第2層40、親水性の第1層30、疎水性の第2層40を積層(図3Cの積層構造)してもよい。
[0085]
 従来のカテーテルは、シャフト部の内側層と外側層との間での液体の流通を阻止するための樹脂被覆層(内層+外層)と、補強体層との積層構造からなるカテーテル壁部を有している。補強体層は、φ0.04mmの金属線を内層上にコイル巻きにして形成され、外層で被覆されている。カテーテル壁部の厚みは、0.15mmであり、カテーテル直径では0.3mmである。
[0086]
 これに対して、本実施形態のカテーテル200のシャフト部201は、φ0.04mmの親水性部材33および疎水性部材43が積層された構造を有している。シャフト部201の内層側と外層側との間での液体の流通を阻止するための樹脂被覆層が不要となるので、本実施形態のカテーテル200の壁部は0.08mmであり、カテーテル直径で0.16mmである。したがって、従来のカテーテルに比べて、カテーテル直径で0.14mm小さくなる。
[0087]
 以上説明したように、本体部20は、カテーテル200のシャフト部201を構成している。
[0088]
 このように構成すれば、カテーテル200のシャフト部201は、親水性部材33および疎水性部材43の積層構造のみによって、内層側と外層側との液体の流通を阻害できる。カテーテル200は、シャフト部201の内層側と外層側との間での液体の流通を阻止するための樹脂被覆層が不要となり、カテーテル200が小径化できる。その結果、カテーテルは、末梢到達性やトルク伝達性が向上する。また、ガイディングカテーテルでは、
内径の等しい従来のカテーテルと比較して外径を小さくすることができるので、穿刺部を小さくすることができる。さらに、外径の等しい従来のカテーテルと比較して、内径を大きくすることができるので、より外径の大きなデバイスをシャフト部201のルーメン内に挿通することができる。
[0089]
 (シース300への本体部20の適用例)
 図6は、シース300のシースチューブ301に本体部20を適用した例を示す図である。図示するシース300は、イントロデューサー用シース300である。
[0090]
 生体管腔内へ挿入される長尺体をガイドするために、経皮的に生体管腔内へ挿入されるシースが用いられる。シースによる穿刺部位は、小さい方が合併症を引き起こし難いことから、シースの外径は小径であることが好ましい。その一方、シースの耐キンク性および挿入するデバイス寸法との関係を考慮すると、シースの内径および外径についての制限は厳しい。
[0091]
 従来のシースは樹脂成形品であるため、薄肉化には限度があり、キンクが起こりやすいというデメリットがある。
[0092]
 耐キンク性と薄肉化との両立を図るために、樹脂被覆層を設けず、編み込まれた金属素線のみでシースを形成することが考えられる。しかしながら、シースを通して薬剤を注入等することがあるため、シースにはシース内層側と外層側との間での液体の流通がないことが求められる。
[0093]
 そこで、上述した本体部20は、経皮的に生体管腔70内へ挿入されるイントロデューサー用シース300のシースチューブ301を構成するのに適している。
[0094]
 図6に示すように、イントロデューサー組立体302は、体腔内へのアクセスルートを確保するイントロデューサー用シース300と、イントロデューサー用シース300の挿入を補助するダイレーター303とを有している。イントロデューサー用シース300は、シースチューブ301、シースハブ304、止血弁305を備えている。ダイレーター303は、シースチューブ301に挿通され、先端部がシースチューブ301の先端から突出する。ダイレーター303は、シースハブ304に接続されるダイレーターハブ306を有している。
[0095]
 イントロデューサー用シース300のシースチューブ301は、図2B~図2Dに示したように、第1ベース部31および第2ベース部41は、プレート形状を有している。親水性部材33および疎水性部材43は、メッシュ形状に形成されている。
[0096]
 図2Aに示したように、第1ベース部31および第2ベース部41は、ワイヤ形状を有していてもよい。親水性部材33および疎水性部材43は、コイル形状に形成されていてもよい。
[0097]
 図2Eに示したように、シースチューブ301は、メッシュ形状の親水性部材33とコイル形状の疎水性部材43とを積層してもよい。図2Fに示したように、シースチューブ301は、コイル形状の親水性部材33とメッシュ形状の疎水性部材43とを積層してもよい。
[0098]
 周壁部21は、図2A~図2Fに示したように、少なくとも2層構造であり、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されている。親水性の第1層30は、親水性コーティング32が水、体液、薬液などによって膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触する。その結果、周壁部21は、内層側と外層側との液体の流通を阻止する。疎水性の第2層40は、イントロデューサー用シース300の外側の血液が内層側に流れ込むことを遮断する。
[0099]
 また、周壁部21は、図3Aに示したように、3層構造とすることもでき、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、親水性の第1層30が積層されている。イントロデューサー用シース300の実際の使用を考慮すると、最外層は、疎水性の第2層40よりも、親水性の第1層30であることが好ましい。イントロデューサー用シース300は生体管腔70内を移動する医療機器10であるため、生体管腔70の内面に対する摺動性を高めるためである。
[0100]
 また、イントロデューサー用シース300の層構造は、基端部から先端部まで一定でなくてもよい。例えば、先端側においては、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、親水性の第1層30を積層(図3Aの積層構造)し、基端側においては、内層から外層に向けて、順に、疎水性の第2層40、親水性の第1層30、
疎水性の第2層40を積層(図3Cの積層構造)してもよい。
[0101]
 以上説明したように、本体部20は、経皮的に生体管腔70内へ挿入されるイントロデューサー用シース300のシースチューブ301を構成している。
[0102]
 このように構成すれば、耐キンク性と薄肉化との両立を図ったシースチューブ301を提供することができる。イントロデューサー用シース300のシースチューブ301は、
親水性部材33および疎水性部材43の積層構造のみによって、内層側と外層側との液体の流通を阻害できる。イントロデューサー用シース300は、シースチューブ301の内層側と外層側との間での液体の流通を阻止するための樹脂被覆層が不要となるので、小径かつ柔軟性の高いイントロデューサー用シース300が得られる。その結果、イントロデューサー用シース300は、細い血管に使用したり、穿刺部を小さくしたりすることができる。さらにイントロデューサー用シース300は、外径の等しい従来のイントロデューサー用シースと比較して内径を大きくすることができるため、より外径の大きなデバイスをシャフト部201のルーメン内に挿通することができる。
[0103]
 (ステント400への本体部20の適用例)
 図7Aは、本体部20を適用したステント400を生体管腔70内の所望の位置に留置させるバルーンカテーテル401を示す図、図7Bは、バルーンカテーテル401の先端部を拡大して示す図である。図7Cは、ステント400の拡張前の形状と、拡張後の形状とを示す平面図である。
[0104]
 なお、図7A~図7Cにおいては、ステント400のメッシュ形状の把握を容易にするために、隙間部分を大きく誇張して表現している。上述したように、第1ベース部31はピッチp1において配置され、第2ベース部41はピッチp2において配置されている。
[0105]
 血管等に形成された病変部(狭窄部)の治療方法として、ステントを留置するステント留置術が行われている。ステントを病変部に留置する際は、デリバリー用のデバイスとして、バルーンカテーテルが一般的に使用されている。
[0106]
 ステントは、未拡張の状態で、シャフトの外周に折り畳まれたバルーンの外表面に保持(装着)される。また、ステントは、病変部までデリバリーされるとバルーンにより拡張されて、拡張した状態で病変部に留置される。ステントが病変部に留置されることで、ステントの拡張力によって病変部が押し広げられた状態となる。ステントには、冠動脈用バルーン拡張型ステント、末梢血管用バルーン拡張型ステントなどがある。
[0107]
 従来のステントは、生体管腔内に留置された後、ステントの内層と外層との間で液体の流通が生じる。このため、ステントの最外層に塗布した薬剤は、目的とする病変部に移行せずにステントの内層側に流れ出る。また、ステントの最内層に塗布した薬剤は、目的とする病変部に移行せずにステントの外層側に流れ出る。その結果、最外層の薬剤および最内層の薬剤の効果の低下が課題となっている。
[0108]
 そこで、上述した本体部20は、生体管腔70内に留置されるステント400を構成するのに適している。
[0109]
 図7Aに示すように、ステントデリバリー用のバルーンカテーテル401は、収縮した状態のバルーン402にステント400がマウント(装着)されている。バルーンカテーテル401は、長尺状のシャフト403と、シャフト403の先端側に設けられた拡張および収縮可能なバルーン402と、シャフト403の基端に固着されたハブ404と、を有している。
[0110]
 図7Bに示すように、シャフト403は、中空な管状体からなる外管405と、外管405の内腔に挿通される内管406と、を有している。外管405と内管406との間には、バルーン402を拡張するための拡張用流体が流通する拡張用ルーメンが形成されている。また、内管406の内部にはバルーン402を病変部に導くガイドワイヤ407が挿通されるガイドワイヤ用ルーメンが形成されている。
[0111]
 バルーンカテーテル401は、図7Aに示すように、シャフト403の先端側と基端側との間の途上に形成されたガイドワイヤ用開口部408を介して内管406へガイドワイヤ407が導入される、いわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテルとして構成している。ただし、バルーンカテーテル401は、いわゆるオーバーザワイヤ型のカテーテルとして構成してもよい。
[0112]
 内管406の先端部は、図7Bに示すように、バルーン402の内部を貫通してバルーン402よりも先端側で開口している。内管406には、造影マーカー409a、409bを設置している。
[0113]
 バルーン402の基端部は、外管405の先端部に固定されており、バルーン402の先端部は、内管406の先端部に固定されている。また、バルーン402は、収縮された状態では、内管406の外周に巻きつくように折り畳まれている。
[0114]
 図2B~図2Dに示したように、ステント400の第1ベース部31および第2ベース部41は、プレート形状を有している。親水性部材33および疎水性部材43は、メッシュ形状に形成され、ステントストラットを構成している。
[0115]
 周壁部21は、図3Bに示したように、3層構造を有し、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、疎水性の第2層40が積層されている。周壁部21は、図3Cに示したように、内層から外層に向けて、順に、疎水性の第2層40、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されていてもよい。親水性の第1層30は、親水性コーティング32が血液によって膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触する。その結果、周壁部21は、内層側と外層側との液体の流通を阻止する。ステント400の実際の使用を考慮すると、最外層は、親水性の第1層30よりも、疎水性の第2層40であることが好ましい。ステント400は血管壁と圧着させる必要があるため、生体管腔70の内面に対してズレ難くするためである。
[0116]
 ステント400の最内層は、血栓の形成を防止させる薬剤(抗血小板薬)と、生分解性プラスチックとがコーティングされている。生分解性プラスチックが徐々に分解することによって、薬剤を徐放させることができる。
[0117]
 血管内にステント400を留置した場合、ステント血栓症を防ぐために、抗血小板薬を服用することが一般的であり、服薬期間は3カ月~1年もしくはそれ以上である。ステント400が薬剤徐放性を有することで、患者の服薬が不要となり、飲み忘れの防止や、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に寄与することができる。
[0118]
 なお、図2Aに示したように、ステント400を構成する第1ベース部31および第2ベース部41は、ワイヤ形状を有していてもよい。親水性部材33および疎水性部材43は、コイル形状に形成されていてもよい。
[0119]
 図7Cに示すように、ステント400は、上段側に示される拡張前の形状から、下段側に示される拡張後の形状に変化する。バルーン402を膨張させてステント400を拡径すると、ステント400の長手方向(図中左右方向)の長さは短くなる。図において符号θによって示されるメッシュの角度を大きくすることによって、ステントストラットの隙間を小さくできる。親水性部材33および疎水性部材43がコイル形状に形成されている場合には、コイルの角度を大きくすることによって、ステントストラットの隙間を小さくできる。
[0120]
 ステント400は、バルーンカテーテル401によって、生体管腔70内の目的部位に留置される。ステント400は、拡張後のステントストラットの隙間が小さくなる。さらに、親水性コーティング32が血液によって膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触する。その結果、ステント400は、内層側から外層側への血流を遮断する。
一方、ステント400内は、血流が確保されている。
[0121]
 以上説明したように、本体部20は、生体管腔70内に留置されるステント400を構成している。
[0122]
 このように構成すれば、生体管腔70内に留置されるステント400は、親水性部材33および疎水性部材43の積層構造のみによって、内層側と外層側との液体の流通を阻害できる。血流を確保する拡張型ステント400にあっては、ステント400の最外層に新生内被膜の増殖を防ぐ薬剤を塗布し、最内層に血栓の形成を防止させる薬剤を塗布することができる。ステント400の内層と外層との間での液体の流通を阻止することから、最外層の薬剤および最内層の薬剤は、それぞれ目的とする病変部に移行する。したがって、
液体の流通がないことによって薬剤の効果が好適に発揮され、新生内被膜の増殖を防ぐ性能および血栓の形成を防止する性能が向上する。
[0123]
 (フローダイバーターステント450への本体部20の適用例)
 図8Aは、本体部20を適用したフローダイバーターステント450を生体管腔70内の所望の位置に留置させる自己拡張型ステントデリバリーシステム451を示す図である。図8Bは、フローダイバーターステント450の自己拡張前の形状と、自己拡張後の形状とを示す平面図である。図8Cは、動脈瘤421と母血管422との間における血流の状態を模式的に示す図、図8Dは、動脈瘤421と母血管422との間における血流を遮断するためにフローダイバーターステント450を留置した状態を模式的に示す図である。
[0124]
 なお、図8Bにおいては、フローダイバーターステント450のメッシュ形状の把握を容易にするために、隙間部分を大きく誇張して表現している。上述したように、第1ベース部31はピッチp1において配置され、第2ベース部41はピッチp2において配置されている。
[0125]
 近年、脳血管動脈瘤の治療方法として、コイルによる塞栓の他、フローダイバーター留置術が注目されている。フローダイバーター留置術は、動脈瘤と母血管との間にフローダイバーターステントを留置して、母血管から動脈瘤内への血流を遮断することによって、
動脈瘤を血栓化させ、破裂を防ぐ治療法である。
[0126]
 従来のフローダイバーターステント(flow diverter stent)は、
緻密なブレードメッシュ構造を有し、表面張力によって動脈瘤と母血管との間の血流を遮断する。しかしながら、動脈瘤と母血管との間には、少なからず血液の流通が起きるため、動脈瘤の血栓化には比較的長時間を要する。動脈瘤は、血栓化するまでは破裂する可能性があるため、動脈瘤と母血管との間における血流を遮断する必要がある。
[0127]
 そこで、上述した本体部20は、内層側と外層側との間の血流を遮断するフローダイバーターステント450であって、動脈瘤421と母血管422との間における血流を遮断するために使用されるフローダイバーターステント450を構成するのに適している。
[0128]
 フローダイバーターステント450は自己拡張性を備えるステントである。図8Aに示すように、自己拡張型ステントデリバリーシステム451は、ガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメン453が形成された内管452と、内管452の先端部側を覆うように配置された外管454と、内管452の先端部と外管454の先端部との間に配置され、外管454の移動に伴って内管452と外管454との間から放出されて拡張変形するフローダイバーターステント450と、内管452の基端側に配置され、把持可能に構成された手元操作部455とを有している。ステントデリバリーシステム451は、ガイドワイヤに沿って内管452および外管454を体内の目的部位まで挿入することができる。体内にフローダイバーターステント450を放出させて留置した後、外管454および内管452は体外へ抜去される。
[0129]
 図2B~図2Dに示したように、フローダイバーターステント450の第1ベース部31および第2ベース部41は、プレート形状を有している。親水性部材33および疎水性部材43は、メッシュ形状に形成され、ステントストラットを構成している。
[0130]
 周壁部21は、図3Bに示したように、3層構造を有し、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、疎水性の第2層40が積層されている。周壁部21は、図3Cに示したように、内層から外層に向けて、順に、疎水性の第2層40、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されていてもよい。親水性の第1層30は、親水性コーティング32が血液によって膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触する。その結果、周壁部21は、内層側と外層側との液体の流通を阻止する。フローダイバーターステント450の実際の使用を考慮すると、最外層は、親水性の第1層30よりも、疎水性の第2層40であることが好ましい。フローダイバーターステント450は血管壁と圧着させる必要があるため、生体管腔70の内面に対してズレ難くするためである。
[0131]
 フローダイバーターステント450の最内層は、血栓の形成を防止させる薬剤(抗血小板薬)と、生分解性プラスチックとがコーティングされている。生分解性プラスチックが徐々に分解することによって、薬剤を徐放させることができる。
[0132]
 血管内にフローダイバーターステント450を留置した場合、ステント血栓症を防ぐために、抗血小板薬を服用することが一般的であり、服薬期間は3カ月~1年もしくはそれ以上である。フローダイバーターステント450が薬剤徐放性を有することで、患者の服薬が不要となり、飲み忘れの防止や、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に寄与することができる。
[0133]
 なお、フローダイバーターステント450は、図2Aに示したように、第1ベース部31および第2ベース部41は、ワイヤ形状を有していてもよい。親水性部材33および疎水性部材43は、コイル形状に形成されていてもよい。
[0134]
 図8Bに示すように、フローダイバーターステント450は、上段側に示される自己拡張前の形状から、下段側に示される自己拡張後の形状に変化する。フローダイバーターステント450が自己拡径すると、フローダイバーターステント450の長手方向(図中左右方向)の長さは短くなる。図において符号θによって示されるメッシュの角度を大きくすることによって、ステントストラットの隙間を小さくできる。親水性部材33および疎水性部材43がコイル形状に形成されている場合には、コイルの角度を大きくすることによって、ステントストラットの隙間を小さくできる。フローダイバーターステント450は、自己拡張後においても、内層側と外層側との液体の流通を阻止する。
[0135]
 図8Cに示すように、動脈瘤421と母血管422との間においては、実線矢印によって示されるように血流が生じ、白抜き矢印によって示されるように動脈瘤421が大きくなる。
[0136]
 図8Dに示すように、フローダイバーターステント450は、動脈瘤421と母血管422との間に留置される。フローダイバーターステント450は、自己拡張後のステントストラットの隙間が小さくなる。さらに、親水性コーティング32が血液によって膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触する。その結果、フローダイバーターステント450は、内層側から外層側、すなわち母血管側422から動脈瘤421側への血流を遮断する。一方、フローダイバーターステント450内は、血流が確保されている。
動脈瘤421を母血管422から遮断することによって、動脈瘤421を早期に血栓化させ、破裂を防ぐことが可能となる。
[0137]
 以上説明したように、本体部20は、内層側と外層側との間の血流を遮断するフローダイバーターステント450であって、動脈瘤421と母血管422との間における血流を遮断するために使用されるフローダイバーターステント450を構成している。
[0138]
 このように構成すれば、フローダイバーターステント450は、親水性部材33および疎水性部材43の積層構造のみによって、内層側と外層側との液体の流通を阻害できる。
フローダイバーターステント450は、母血管422から動脈瘤421側への血流を遮断する一方、フローダイバーターステント450内の血流を維持できる。フローダイバーターステント450は、動脈瘤421を母血管422から遮断することによって、動脈瘤421を早期に血栓化させ、破裂を防ぐことが可能となる。
[0139]
 上述したステント400と同様に、フローダイバーターステント450の最外層に新生内被膜の増殖を防ぐ薬剤を塗布し、最内層に血栓の形成を防止させる薬剤を塗布することができる。フローダイバーターステント450の内層と外層との間での液体の流通を阻止することから、最外層の薬剤および最内層の薬剤は、それぞれ目的とする病変部に移行する。したがって、液体の流通がないことによって薬剤の効果が好適に発揮され、新生内被膜の増殖を防ぐ性能および血栓の形成を防止する性能が向上する。
[0140]
 ところで、大動脈瘤の治療方法の一つとして、ステントグラフト留置術が知られている。ステントグラフト留置術は、血管壁を内側から補強するグラフトをステントによって支持して留置し、動脈瘤の破裂を防ぐ手段である。グラフトは、撥水性の繊維を編み込んだ人工血管である。
[0141]
 本実施形態のフローダイバーターステント450は、内層と外層との間での液体の流通を阻止することから、ステントグラフトとして使用することができる。この場合は、繊維層であるグラフトが不要となるので、小径かつ柔軟性の高いステントグラフトを得ることができる。その結果、ステントグラフトは、細い血管でも使用できる。
[0142]
 (塞栓材500への本体部20の適用例)
 図9は、母血管422から動脈瘤421への流入口423を塞ぐために、本体部20を適用した塞栓材500を動脈瘤421の中に留置した状態を模式的に示す図である。
[0143]
 上述したように、脳血管動脈瘤の治療方法の一つとして、コイルによる塞栓が知られている。しかしながら、コイルを動脈瘤の中に詰め込んでも、コイル間に微小な隙間が存在するため、母血管から動脈瘤への流入口を塞ぐことは難しい。動脈瘤と母血管との間には、少なからず血液の流通が起きるため、動脈瘤の血栓化には比較的長時間を要する。動脈瘤は、血栓化するまでは破裂する可能性があるため、動脈瘤と母血管との間における血流を遮断する必要がある そこで、上述した本体部20は、内層側と外層側との間の血流を遮断する塞栓材500であって、動脈瘤421の中に留置されて母血管422から動脈瘤421への流入口423を塞ぐために使用される塞栓材500を構成するのに適している。
[0144]
 図9に示すように、塞栓材500は、メッシュ形状に形成されている。周壁部21は、
上述したステント400と同様に、3層構造を有し、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、疎水性の第2層40が積層されている(図3Bの積層構造)。周壁部21は、内層から外層に向けて、順に、疎水性の第2層40、親水性の第1層30、疎水性の第2層40が積層されていてもよい(図3Cの積層構造)。親水性の第1層30は、親水性コーティング32が血液によって膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触する。その結果、周壁部21は、流入口423における血液の流通を防ぐ。塞栓材500の実際の使用を考慮すると、最外層は、親水性の第1層30よりも、疎水性の第2層40であることが好ましい。塞栓材500は血管壁と圧着させる必要があるため、生体管腔70の内面に対してズレ難くするためである。
[0145]
 塞栓材500の最内層は、血液凝固を促進させる薬剤と、生分解性プラスチックとがコーティングされている。生分解性プラスチックが徐々に分解することによって、薬剤を徐放させることができる。
[0146]
 塞栓材500が薬剤徐放性を有することによって、患者の服薬が不要となり、飲み忘れの防止や、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に寄与することができる。
[0147]
 図9に示すように、動脈瘤421の中にメッシュ状の塞栓材500を留置し、母血管422から動脈瘤421への流入口423を塞ぐ。親水性コーティング32が血液によって膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触する。その結果、塞栓材500は、流入口423から動脈瘤421側への血流を遮断する。動脈瘤421を母血管422から遮断することによって、動脈瘤421を早期に血栓化させ、破裂を防ぐことが可能となる。
[0148]
 以上説明したように、本体部20は、内層側と外層側との間の血流を遮断する塞栓材500であって、動脈瘤421の中に留置されて母血管422から動脈瘤421への流入口423を塞ぐために使用される塞栓材500を構成するのに適している。
[0149]
 このように構成すれば、塞栓材500は、親水性部材33および疎水性部材43の積層構造のみによって、内層側と外層側との液体の流通を阻害でき、流入口423から動脈瘤421側への血流を遮断する。塞栓材500は、動脈瘤421を母血管422から遮断することによって、動脈瘤421を早期に血栓化させ、破裂を防ぐことが可能となる。
[0150]
 塞栓材500は、最内層に血液凝固を促進させる薬剤を塗布することができる。塞栓材500の内層と外層との間での液体の流通を阻止することから、最内層の薬剤は、目的とする病変部に移行する。したがって、液体の流通がないことによって薬剤の効果が好適に発揮され、血液凝固を促進させる性能が向上する。
[0151]
 (薬剤コーティッドバルーン601用のカバー部材600への本体部20の適用例)
 図10Aは、本体部20を適用したカバー部材600を取り付けた薬剤コーティッドバルーン601の先端部を拡大して示す断面図である。図10Bは、バルーン602を膨張させてカバー部材600を拡径した状態を示す断面図である。図10Cは、カバー部材600の拡張前の形状と、拡張後の形状とを示す平面図である。なお、バルーン602の構成について、図7Bに示した部材と共通する部材には同じ符号を付して、その説明は一部省略する。
[0152]
 薬剤コーティッドバルーン(drug-coated balloon:DCB)は、
バルーンの表面に薬剤が塗布されており、血管の標的部位に薬剤を塗布するドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System:DDS)である。薬剤コーティッドバルーンは、ホルダーチューブから取り出すときや、標的部位までアクセスするときに、バルーンに塗布した薬剤が流出する。このため、標的部位において効果的に薬剤を塗布したり放出したりすることができていないのが現状である。
[0153]
 そこで、上述した本体部20は、バルーン602の表面に薬剤603が塗布された薬剤コーティッドバルーン601においてバルーン602の周囲を覆うために使用される筒状のカバー部材600を構成するのに適している。このカバー部材600は、バルーン602を目的部位に位置させた状態においてバルーン602を作動させることによって、カバー部材600の内層側に位置する薬剤603がカバー部材600の外層側に放出されることを許容する。
[0154]
 図10A~図10Cに示すように、カバー部材600の第1ベース部31および第2ベース部41は、プレート形状を有している。親水性部材33および疎水性部材43は、メッシュ形状に形成されている。
[0155]
 周壁部21は、図3Aに示したように、3層構造を有し、内層から外層に向けて、順に、親水性の第1層30、疎水性の第2層40、親水性の第1層30が積層されている。周壁部21は、図3Dに示したように、内層から外層に向けて、順に、疎水性の第2層40、親水性の第1層30、親水性の第1層30が積層されていてもよい。親水性の第1層30は、親水性コーティング32が薬液や水によって膨潤することによって、隣り合う親水性部材33が接触する。その結果、周壁部21は、内層側と外層側との液体の流通を阻止する。カバー部材600の実際の使用を考慮すると、最外層は、疎水性の第2層40よりも、親水性の第1層30であることが好ましい。カバー部材600は生体管腔70内を移動する医療機器10であるため、生体管腔70の内面に対する摺動性を高めるためである。
[0156]
 なお、図2Aに示したように、カバー部材600の第1ベース部31および第2ベース部41は、ワイヤ形状を有していてもよい。親水性部材33および疎水性部材43は、コイル形状に形成されていてもよい。
[0157]
 図10Cに示すように、カバー部材600は、上段側に示される拡張前の形状から、下段側に示される拡張後の形状に変化する。バルーン602を膨張させてカバー部材600を拡径したときに、カバー部材600の長手方向(図中左右方向)の長さは短く、あるいは両端部分がより密な状態となる。図において符号θによって示されるメッシュの角度を小さくすることによって、隙間を拡径し大きくできる。親水性部材33および疎水性部材43がコイル形状に形成されている場合には、コイルの角度を小さくすることによって、
隙間を大きくできる。
[0158]
 バルーン602の外周面と、カバー部材600の内周面との間に、薬剤603の層が配置されている。
[0159]
 図10Aに示すように、バルーン602が閉じた状態において、カバー部材600は、
薬剤コーティッドバルーン601のバルーン602の周囲を覆っている。薬剤603の層がカバー部材600によって覆われているため、薬剤コーティッドバルーン601をホルダーチューブから取り出すときや、血管内で標的部位までアクセスするときに、薬剤603が流出することが防止される。
[0160]
 図10Bに示すように、バルーン602が目的部位に達すると、バルーン602を作動させる。バルーン602を膨張させてカバー部材600を拡径すると、メッシュの角度θが小さく、隙間が大きくなる。隣り合う親水性部材33の間、および隣り合う疎水性部材43の間が拡開する。これによって、薬剤603は、カバー部材600の内層側から外層側に向けて放出され、標的部位に移行する。この結果、標的部位において効果的に薬剤603を塗布したり放出したりすることができる。
[0161]
 以上説明したように、本体部20は、バルーン602の表面に薬剤603が塗布された薬剤コーティッドバルーン601においてバルーン602の周囲を覆うために使用される筒状のカバー部材600を構成している。カバー部材600は、バルーン602を目的部位に位置させた状態においてバルーン602を作動させることによって、内層側に位置する薬剤603が外層側に放出されることを許容する。
[0162]
 このように構成すれば、薬剤コーティッドバルーン601をホルダーチューブから取り出すときや、血管内で標的部位までアクセスするときに、バルーン602に塗布した薬剤603が流出することはない。このため、標的部位において効果的に薬剤603を塗布したり放出したりすることができる。
[0163]
 以上、本体部20の適用例を説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。親水性部材33を配置した第1層30と、疎水性部材43を配置した第2層40とを径方向に沿って積層し、周壁部21を通して液体の流通をコントロールすることを目的とした医療機器10に広く適用することができる。
[0164]
 本出願は、2017年3月30日に出願された日本国特許出願第2017-068897号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

符号の説明

[0165]
10  医療機器、
20  本体部、
21  周壁部、
22  中心孔、
23  径方向外方空間、
30  親水性の第1層、
31  第1ベース部、
32  親水性コーティング、
33  親水性部材、
40  疎水性の第2層、
41  第2ベース部、
42  疎水性コーティング、
43  疎水性部材、
51  第1液体、
52  第2液体、
70  生体管腔、
200 カテーテル、
201 シャフト部、
300 シース、
301 シースチューブ、
400 ステント、
401 バルーンカテーテル、
402 バルーン、
407 ガイドワイヤ、
421 動脈瘤、
422 母血管、
423 流入口、
450 フローダイバーターステント、
451 自己拡張型ステントデリバリーシステム、
500 塞栓材、
600 カバー部材、
601 薬剤コーティッドバルーン、
602 バルーン、
603 薬剤、
p1  ピッチ、
p2  ピッチ。

請求の範囲

[請求項1]
 管状の周壁部によって中心孔と径方向外方空間とが仕切られた本体部を有し、
 前記周壁部は、第1ベース部に親水性コーティングを形成した親水性部材を配置した第1層と、第2ベース部に疎水性コーティングを形成した疎水性部材を配置した第2層とを少なくとも含み、前記第1層と前記第2層とを径方向に沿って積層して構成され、
 前記親水性コーティングが膨潤することによって、隣り合う前記親水性部材が接触し、
前記中心孔内の第1液体と、前記径方向外方空間に存在する第2液体とが前記周壁部を通して流通することを阻止してなる、医療機器。
[請求項2]
 前記第1ベース部は、隣り合う前記親水性部材における膨潤した前記親水性コーティングが接触するピッチにおいて配置されている、請求項1に記載の医療機器。
[請求項3]
 前記第2ベース部は、隣り合う前記疎水性部材における前記疎水性コーティングの間を、前記第1液体および前記第2液体が通る隙間よりも小さい寸法に設定するピッチにおいて配置されている、請求項1または請求項2に記載の医療機器。
[請求項4]
 前記第1ベース部および前記第2ベース部は、ワイヤ形状またはプレート形状を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療機器。
[請求項5]
 前記親水性部材および前記疎水性部材は、コイル形状、リング形状、またはメッシュ形状を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医療機器。
[請求項6]
 前記本体部は、カテーテルのシャフト部を構成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療機器。
[請求項7]
 前記本体部は、経皮的に生体管腔内へ挿入されるシースのシースチューブを構成する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の医療機器。
[請求項8]
 前記本体部は、生体管腔内に留置されるステントを構成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療機器。
[請求項9]
 前記本体部は、内層側と外層側との間の血流を遮断するフローダイバーターステントであって、動脈瘤と母血管との間における血流を遮断するために使用されるフローダイバーターステントを構成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療機器。
[請求項10]
 前記本体部は、内層側と外層側との間の血流を遮断する塞栓材であって、動脈瘤の中に留置されて母血管から動脈瘤への流入口を塞ぐために使用される塞栓材を構成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療機器。
[請求項11]
 前記本体部は、バルーンの表面に薬剤が塗布された薬剤コーティッドバルーンにおいて前記バルーンの周囲を覆うために使用される筒状のカバー部材であって、前記バルーンが標的部位に位置した状態において前記バルーンを作動させることによって、前記カバー部材の内層側に位置する前記薬剤が前記カバー部材の外層側に放出されることを許容するカバー部材を構成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療機器。

図面

[ 図 1A]

[ 図 1B]

[ 図 1C]

[ 図 1D]

[ 図 2A]

[ 図 2B]

[ 図 2C]

[ 図 2D]

[ 図 2E]

[ 図 2F]

[ 図 3A]

[ 図 3B]

[ 図 3C]

[ 図 3D]

[ 図 4A]

[ 図 4B]

[ 図 4C]

[ 図 4D]

[ 図 4E]

[ 図 4F]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7A]

[ 図 7B]

[ 図 7C]

[ 図 8A]

[ 図 8B]

[ 図 8C]

[ 図 8D]

[ 図 9]

[ 図 10A]

[ 図 10B]

[ 図 10C]