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1. (WO2018181140) 機械部品及び表面処理方法
Document

明 細 書

発明の名称 機械部品及び表面処理方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

発明の効果

0017  

図面の簡単な説明

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058  

産業上の利用可能性

0059  

符号の説明

0060  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 機械部品及び表面処理方法

技術分野

[0001]
 本発明は、機械部品及びその表面処理方法に関する。より特定的には、本発明は、純チタン又はチタン合金製の部材の表面処理方法に関する。

背景技術

[0002]
 純チタン又はチタン合金は、鋼と比較して硬度が低い。そのため、純チタン又はチタン合金により構成される機械部品を耐摩耗性が要求される用途に用いる場合、表面処理を施す必要がある。
[0003]
 従来から、国際公開第97/36018号(特許文献1)に記載の表面処理方法が知られている。特許文献1に記載の表面処理方法においては、チタン合金製の部材は、微量の酸素を含有する窒素主体の混合雰囲気ガス中において、加熱温度で所定時間保持される。特許文献1に記載の表面処理方法によると、チタン合金製の部材の表面には、窒素及び酸素が固溶する。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 国際公開第97/36018号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 窒素が固溶したチタン合金は、硬度が改善される一方で、靱性が低い。そのため、特許文献1に記載の表面処理方法にしたがって表面処理が行われたチタン合金製の部材の耐摩耗性は、十分ではない。
[0006]
 他方で、チタン合金は、酸素を固溶させることによっても、硬度を改善することができる。酸素が固溶したチタン合金は、窒素が固溶したチタン合金よりも靱性が高い。しかしながら、チタン合金製の部材の表面に酸素を固溶させる表面処理は、酸素を含む雰囲気中で行われるため、部材表面にスケール(チタン酸化物により構成される被膜)が形成されてしまう。
[0007]
 本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、表面におけるスケールの形成を抑制しつつ、表面に酸素を固溶させることができる機械部品及びその表面処理方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

[0008]
 本発明の一態様に係る表面処理方法は、不活性ガスと酸素とを含有する雰囲気ガス中において、部材を加熱温度に保持することにより部材の表面に酸素を固溶させる浸酸工程を備える。部材は、純チタン又はチタン合金により構成される。雰囲気ガス中における酸素濃度は、100ppm以上500ppm以下である。
[0009]
 本発明の一態様に係る表面処理方法によると、部材表面におけるスケールの形成を抑制しつつ、部材表面に酸素を固溶させることができる。
[0010]
 上記の表面処理方法において、部材は、浸酸工程において、加熱温度で4時間以上保持されてもよい。この場合には、部材表面における酸素の固溶量が増加することにより、部材表面の硬度を改善することができる。
[0011]
 上記の表面処理方法において、加熱温度は、900℃以上であり、かつ部材のβトランザス以下であってもよい。この場合には、部材を構成する結晶粒の粗大化を抑制することができる。
[0012]
 上記の表面処理方法において、部材は64チタン合金により構成されていてもよく、加熱温度は900℃以上995℃以下であってもよい。この場合には、部材表面におけるスケールの形成を抑制しつつ、部材表面に酸素を固溶させることができる。
[0013]
 上記の表面処理方法において、部材は、浸酸工程において、加熱温度で4時間以上保持されてもよい。この場合には、部材表面における酸素の固溶量が増加することにより、部材表面の硬度を改善することができる。
[0014]
 上記の表面処理方法において、浸酸工程後に雰囲気ガスを回収するとともに、回収した雰囲気ガスから不純物を除去する雰囲気ガス回収工程をさらに備えていてもよい。この場合には、雰囲気ガスを再利用することにより、処理コストの低減を図ることができる。
[0015]
 本発明の一態様に係る機械部品は、純チタン又はチタン合金製の機械部品である。本発明の一態様に係る機械部品は、表面に、チタン酸化物により構成されるスケールと、酸素が固溶した拡散層とを有する。スケールの厚さは、0.015mm以下である。拡散層中における酸素の濃度は、表面からの距離が0.05mmとなる位置において2.2質量パーセント以上である。
[0016]
 本発明の一態様に係る機械部品によると、機械部品表面におけるスケールの形成を抑制しつつ、機械部品表面に酸素を固溶させることができ、機械部品表面の硬度及び耐摩耗性を改善することができる。

発明の効果

[0017]
 本発明の一態様に係る表面処理方法によると、部材表面におけるスケールの形成を抑制しつつ、部材表面に酸素を固溶させることができる。本発明の一態様に係る機械部品によると、機械部品表面におけるスケールの形成を抑制しつつ、機械部品表面に酸素を固溶させることで、機械部品表面の硬度及び耐摩耗性を改善することができる。

図面の簡単な説明

[0018]
[図1] 実施形態に係る機械部品の上面図である。
[図2] 図1のII-IIにおける断面図である。
[図3] 図2の領域IIIにおける拡大図である。
[図4] 実施形態に係る機械部品の表面処理方法を示す工程図である。
[図5] 試験片1の硬さと表面からの距離との関係を示す模式的なグラフである。
[図6] 試験片2の硬さと表面からの距離との関係を示す模式的なグラフである。
[図7] 試験片1中における酸素濃度と表面からの距離との関係を示す模式的なグラフである。
[図8] 試験片2中における酸素濃度と表面からの距離との関係を示す模式的なグラフである。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さないものとする。
[0020]
 (実施形態に係る機械部品の構成)
 以下に、実施形態に係る機械部品の構成を、図1~図3を参照して説明する。図1は、実施形態に係る機械部品の上面図である。図2は、図1のII-IIにおける断面図である。図1及び図2に示すように、実施形態に係る機械部品は、例えば転がり軸受に用いられる内輪10である。但し、実施形態に係る機械部品は、これに限られるものではない。
[0021]
 内輪10は、純チタン(Ti)又はチタン合金により構成されている。純チタンとは、チタン及び不可避不純物により構成されている金属材料である。内輪10を構成するチタン合金は、ASTM規格B348-13GR.5に規定されているTi-6Al(アルミニウム)-4V(バナジウム)合金であることが好ましい。なお、以下においては、このTi-6Al-V合金を、64チタン合金という。
[0022]
 内輪10は、リング状の部材により構成されている。内輪10は、上面10aと、底面10bと、内周面10cと、外周面10d(表面)とを有している。底面10bは、上面10aの反対側の面である。外周面10dは、内周面10cの反対側の面である。上面10a及び底面10bは、内輪10の中心軸に直交する内輪10の面である。内周面10c及び外周面10dは、上面10a及び底面10bに連なっている。内周面10cと中心軸との距離は、外周面10dと中心軸との距離よりも大きくなっている。外周面10dは、内輪10の軌道面を構成している。
[0023]
 図3は、図2の領域IIIにおける拡大図である。内輪10は、拡散層10fを有している。内輪10は、スケール10eを有していてもよい。スケール10eは、後述するように除去されていてもよい。スケール10e及び拡散層10fは、内輪10の外周面10dにある。拡散層10fは、スケール10eよりも内輪10の内部側にある。
[0024]
 スケール10eは、厚さT1を有している。拡散層10fは、厚さT2を有している。厚さT1及び厚さT2は、外周面10dに直交する方向におけるスケール10e及び拡散層10fの厚さである。好ましくは、厚さT1は、0.015mm以下である。特に好ましくは、厚さT1は、0.005mm以下である。厚さT2は、0.15mm以上であることが好ましい。
[0025]
 スケール10eは、チタンの酸化物により構成されている。スケール10eを構成するチタンの酸化物は、例えば、TiO、TiO である。拡散層10fには、酸素が固溶している。拡散層10fは、チタンのα相により構成される結晶粒を含んでいることが好ましい。拡散層10fに含まれるα相の結晶粒は、等軸状に配列されていることが好ましい。
[0026]
 拡散層10f中における酸素の濃度は、外周面10dからの距離が0.05mmとなる位置において2.2質量パーセント以上であることが好ましい。拡散層10fにおける酸素の濃度は、外周面10dからの距離が0.1mmとなる位置において0.99質量パーセント以上であることが好ましい。拡散層10f中における酸素の濃度は、外周面10dから0.05mmとなる位置において3.47質量パーセント以上であることがさらに好ましい。拡散層10fにおける酸素の濃度は、外周面10dからの距離が0.1mmとなる位置において1.46質量パーセント以上であることがさらに好ましい。
[0027]
 拡散層10f中における窒素濃度及び酸素濃度は、例えばEPMA(電子線マイクロアナライザ)により測定される。
[0028]
 拡散層10fの硬さは、外周面10dからの距離が大きくなるにつれて、小さくなっている。拡散層10fの硬さは、外周面10dからの距離が0.05mmとなる位置において630Hv以上であり、外周面10dからの距離が0.1mmとなる位置において500Hv以上であることが好ましい。拡散層10fの硬さは、外周面10dからの距離が0.05mmとなる位置において690Hv以上であり、外周面10dからの距離が0.1mmとなる位置において520Hv以上であることがさらに好ましい。
[0029]
 拡散層10fの硬さは、JIS Z 2244:2009に規定されているビッカース硬さ試験法にしたがって測定される。
[0030]
 (実施形態に係る機械部品の表面処理方法)
 以下に、図4を参照して実施形態に係る機械部品の表面処理方法を説明する。図4は、実施形態に係る機械部品の表面処理方法を示す工程図である。図4に示すように、実施形態に係る機械部品の製造方法は、準備工程S1と、浸酸工程S2と、冷却工程S3と、後処理工程S4とを有している。
[0031]
 準備工程S1においては、加工対象部材の準備が行われる。この加工対象部材は、実施形態に係る機械部品が内輪10である場合、純チタン又はチタン合金製のリング状の部材である。加工対象部材は、外周面を有している。加工対象部材の外周面は、最終的には内輪10の外周面10dとなる面である。
[0032]
 浸酸工程S2においては加工対象部材の表面に浸酸処理が行われる。より具体的には、加工対象部材の外周面に浸酸処理が行われる。浸酸処理に際しては、不活性ガスと酸素とを含有する雰囲気ガス中において、熱処理炉を用いて加熱処理が行われる。雰囲気ガスの圧力は、例えば常圧(大気圧)である。この熱処理炉は、雰囲気ガス回収設備を有していてもよい。
[0033]
 雰囲気ガス中に含まれる不活性ガスは、例えばアルゴン(Ar)である。加熱処理における加熱温度は、900℃以上であることが好ましい。熱処理における加熱温度は、加工対象物を構成する純チタン又はチタン合金のβトランザス以下であることが好ましい。ここで、βトランザスとは、純チタン又はチタン合金中のα相がβ相への変態を開始する温度である。例えば、64チタン合金のβトランザスは、995℃である。熱処理における保持時間は、4時間以上であることが好ましい。熱処理における保持時間は、8時間以上であることがさらに好ましい。
[0034]
 雰囲気ガス中における酸素の分圧は、加熱温度において、加工対象部材の酸化物(すなわち、チタンの酸化物)の成長が抑制されるように設定される。より具体的には、雰囲気ガス中における酸素の濃度は、100ppm以上500ppm以下である。
[0035]
 浸酸工程S2においては、雰囲気ガス中の酸素が加工対象部材の表面から加工対象部材の内部に侵入、拡散し、拡散層10fが形成される。また、浸酸工程S2においては、加工対象部材の表面に、スケール10eが形成される。スケール10eは、例えば後処理工程S4において除去されてもよい。
[0036]
 図4に示すように、実施形態に係る機械部品の表面処理方法は、雰囲気ガス回収工程S5をさらに有していてもよい。雰囲気ガス回収工程S5は、熱処理炉に設けられた雰囲気ガス回収設備を用いて行われる。雰囲気ガス回収工程S5においては、浸酸工程S2において用いられた雰囲気ガスの回収及び当該雰囲気ガスからの不純物の除去が行われる。雰囲気ガス回収工程S5において回収及び不純物の除去が行われた雰囲気ガスは、再び浸酸工程S2に用いられる。
[0037]
 冷却工程S3においては、加工対象部材は、熱処理炉から取り出され、冷却される。加工対象部材の冷却は、熱処理炉から取り出された加工対象部材を、例えば食塩水で水冷することにより行われる。
[0038]
 後処理工程S4においては、加工対象部材に対する後処理が行われる。後処理工程S4においては、例えば加工対象部材の洗浄、加工対象部材に対する研削、研磨等の機械加工等が行われる。これにより、加工対象部材から内輪10が製造される。
[0039]
 (スケール厚さ及び拡散層の硬度と拡散層中における酸素濃度との関係)
 以下に、スケール10eの厚さ及び拡散層10fの硬度と拡散層10f中における酸素濃度との関係についての評価試験及びその結果を説明する。
[0040]
 <試験片>
 まず、上記の試験に用いた試験片について説明する。表1には、各試験片に用いられたチタン合金の組成が示されている。表1に示すように、試験片に用いられたチタン合金は64チタン合金である。なお、試験片の寸法は、20mm×10mm×10mmである。
[0041]
[表1]


[0042]
 <熱処理条件>
 試験片に対しては、上記の浸酸工程S2及び冷却工程S3が行われた。表2には、浸酸工程S2における加熱温度、保持時間、及び雰囲気ガスが示されている。表2に示すように、試験片1及び試験片2の双方において、加熱温度は920℃であり、保持時間が8時間であった。試験片1及び試験片2の双方において、熱処理は、酸素とアルゴンとを含有する雰囲気ガス中で行われた。但し、試験片1に用いられた雰囲気ガス中における酸素の濃度は100ppmであり、試験片2に用いられた雰囲気ガス中における酸素の濃度は500ppmであった。なお、冷却工程S3は、5パーセントの食塩水で水冷することにより行われた。
[0043]
[表2]


[0044]
 <スケール厚さ>
 試験片1及び試験片2の断面を研磨して顕微鏡観察を行ったところ、試験片1の表面に形成されたスケール10eの厚さは0.005mmであり、試験片2の表面に形成されたスケール10eの厚さは0.015mmであった。なお、試験片1及び試験片2と同一の部材を大気中において850℃の加熱時間及び24時間の保持時間で浸酸処理を行った場合のスケール10eの厚さは、0.35mmであった。
[0045]
 <硬さ評価試験>
 図5は、試験片1の硬さと表面からの距離との関係を示す模式的なグラフである。図6は、試験片2の硬さと表面からの距離との関係を示す模式的なグラフである。図5及び図6に示すように、試験片1及び試験片2の硬さは、表面からの距離が大きくなるにつれて小さくなっていた。
[0046]
 図5に示すように、試験片1の硬さは、表面から0.05mmの距離にある位置において、630Hvであり、表面から0.1mmの距離にある位置において、520Hvであった。試験片1の硬さは、表面からの距離が0.15mm以上となる位置において、ほぼ一定であった。したがって、試験片1においては、0.15mm程度の拡散層10fが形成されていることが明らかとなった。
[0047]
 図6に示すように、試験片2の硬さは、表面から0.05mmの距離にある位置において、690Hvであり、表面から0.1mmの距離にある位置において、500Hvであった。試験片2の硬さは、表面からの距離が0.15mm以上となる位置において、ほぼ一定であった。したがって、試験片2においては、0.15mm程度の拡散層10fが形成されていることが明らかとなった。
[0048]
 図7は、試験片1中における酸素濃度と表面からの距離との関係を示す模式的なグラフである。図8は、試験片2中における酸素濃度と表面からの距離との関係を示す模式的なグラフである。図7及び図8に示すように、試験片1中及び試験片2中における酸素濃度は、表面からの距離が大きくなるにつれて、小さくなっていた。
[0049]
 図7に示すように、試験片1中における酸素濃度は、表面から0.05mmの距離にある位置において2.2質量パーセントであり、表面から0.1mmの距離にある位置において0.99質量パーセントであった。試験片1中における酸素濃度は、表面からの距離が0.15mm以上となる位置において、ほぼ一定であった。したがって、試験片1においては、0.15mm程度の拡散層10fが形成されていることが、この試験結果からも明らかとなった。
[0050]
 図8に示すように、試験片2中における酸素濃度は、表面から0.05mmの距離にある位置において3.47質量パーセントであり、表面から0.1mmの距離にある位置において1.46質量パーセントであった。試験片2中における酸素濃度は、表面からの距離が0.15mm以上となる位置において、ほぼ一定であった。したがって、試験片2においては、0.15mm程度の拡散層10fが形成されていることが、この試験結果からも明らかとなった。
[0051]
 (実施形態に係る機械部品及びその表面処理方法の効果)
 以下に、実施形態に係る機械部品の表面処理方法の効果について説明する。実施形態に係る機械部品の表面処理方法においては、浸酸工程S2が、酸素の含有量が微量である雰囲気ガスを用いて行われるため、加工対象部材の表面に形成されるスケール10eの厚さを抑制しつつ、加工対象部材の表面を酸素の固溶強化により硬化させることができる。
[0052]
 実施形態に係る機械部品の表面処理方法において、保持時間が4時間以上である場合、加工対象部材の表面により多くの酸素が拡散する。そのため、この場合には、拡散層10f中における酸素の固溶量が増加することにより、拡散層10fの硬度を改善することができる。
[0053]
 実施形態に係る機械部品の表面処理方法において、雰囲気ガス中における酸素の濃度が100ppm以下500ppm以上である場合、加工対象部材の表面に形成されるスケール10eの厚さを抑制しつつ、加工対象部材の表面を酸素の固溶強化により硬化させることができる。
[0054]
 純チタン及びチタン合金の熱処理においては、熱処理中にα相がβ相に相変態することにより、結晶粒が粗大化する傾向にある。そのため、実施形態に係る機械部品の表面処理方法において、加熱温度が900℃以上であってβトランザス以下である場合、浸酸処理の際に加工対象部材を構成する結晶粒が粗大化することを抑制できる。
[0055]
 実施形態に係る機械部品の表面処理方法において、加工対象部材が64チタン合金である場合、加工対象部材の表面に形成されるスケール10eの厚さを抑制しつつ、加工対象部材の表面を酸素の固溶強化により硬化させることができる。
[0056]
 実施形態に係る機械部品の表面処理方法が雰囲気ガス回収工程S5を有している場合、雰囲気ガスを再利用することにより、処理コストの低減を図ることができる。
[0057]
 実施形態に係る機械部品によると、機械部品の表面に形成されるスケール10eの厚さを抑制しつつ、機械部品の表面を酸素の固溶強化により硬化させることができる。
[0058]
 以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。

産業上の利用可能性

[0059]
 上記の実施形態は、純チタン又はチタン合金製の機械部品及びその表面処理方法に有利に適用される。

符号の説明

[0060]
 S1 準備工程、S2 浸酸工程、S3 冷却工程、S4 後処理工程、S5 雰囲気ガス回収工程、10 内輪、10a 上面、10b 底面、10c 内周面、10d 外周面、10e スケール、10f 拡散層、T1 厚さ、T2 厚さ。

請求の範囲

[請求項1]
 不活性ガスと酸素とを含有する雰囲気ガス中において、部材を加熱温度に保持することにより前記部材の表面に前記酸素を固溶させる浸酸工程を備え、
 前記部材は、純チタン又はチタン合金により構成され、
 前記雰囲気ガス中における前記酸素の濃度は、100ppm以上500ppm以下である、表面処理方法。
[請求項2]
 前記浸酸工程において、前記部材は、前記加熱温度で4時間以上保持される、請求項1に記載の表面処理方法。
[請求項3]
 前記加熱温度は、900℃以上であり、かつ前記部材のβトランザス以下である、請求項1又は2に記載の表面処理方法。
[請求項4]
 前記部材は、64チタン合金により構成され、
 前記加熱温度は、900℃以上995℃以下である、請求項1に記載の表面処理方法。
[請求項5]
 前記浸酸工程において、前記部材は、前記加熱温度で4時間以上保持される、請求項4に記載の表面処理方法。
[請求項6]
 前記浸酸工程後に前記雰囲気ガスを回収するとともに、回収した前記雰囲気ガスから不純物を除去する雰囲気ガス回収工程をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の表面処理方法。
[請求項7]
 純チタン又はチタン合金製の機械部品であって、
 前記機械部品は、表面に、チタン酸化物により構成されるスケールと、酸素が固溶した拡散層とを有し、
 前記スケールの厚さは、0.015mm以下であり、
 前記拡散層中における前記酸素の濃度は、前記表面からの距離が0.05mmとなる位置において2.2質量パーセント以上である、機械部品。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]